武道ツーリズム研究会(第2回) 議事要旨

1.日時

2019年11月11日(月曜日)10時00分~12時30分

2.場所

セレスティン芝三井ビルディング12階(東京都港区芝3-23-1)

3.出席者

委員

  原田座長、鈴木委員代理、高橋委員、村山委員、宮崎委員、斉藤委員、市原委員、馬場委員、William Reed委員、陣内委員、平委員、David Atkinsonアドバイザー、山野氏

4. 議事要旨

■検討会開催の目的など主旨説明要点(資料3に基づき事務局より説明)
・2016年度スポーツ庁主催「スポーツによる地域活性化を担う事業体についての検討会」で整理をしたハイブリッド型事業体の考え方を踏まえ議論を進める。
・地域スポーツ振興組織の現状把握及び課題の洗出しを再度行い、自主財源の確保、地域住民への公共サービス提供、経済効果や雇用を創出する事業体への展開方針を討議する。
・従来の地域内での活動に加え、地域外からの交流人口や訪日観光客を獲得する事で、地域への経済効果や社会的効果の両面を創出する事業を複合的に展開し、同時に経営的に自立・自走する組織経営を検討する。

■議題
 1.地域スポーツコミッションの実態について(事務局説明要旨)
 (要旨)
・地域スポーツコミッションの約6割が、スポーツ庁が地域スポーツコミッションへの支援事業を開始した2015年以降の設立である。
・地域スポーツコミッションの7割以上が行政内組織や外郭団体であり、行政主導でスポーツを活用した地域振興やまちづくりを進める組織が多数ある。
・年間事業費は1,000万円未満が6割弱と脆弱である。
・活動目的は、スポーツ合宿・キャンプの誘致や実施が7割、スポーツイベントの誘致や実施が6割となっており、スポーツツーリズムの振興に主眼を置いた組織が多数ある。
・事業(活動)の財源は行政からの運営補助金や行政からの受託事業(指定管理等以外)の収入など行政に依存している。また、自主事業を持たない組織が7割弱ある。
・専任スタッフがいる組織は37%で、兼任などの人員を加えても小規模な組織が多数ある。
・資金面では、行政依存体質からの脱却や自主財源の確保を課題に挙げる組織が多数ある。
・人材面では、人材不足や兼任による専門性、ノウハウ継承に支障がある。また、人件費を伴う財源確保を課題とする組織も多く、資金面と連動している。
・組織面では、行政内組織や行政主導の任意団体から、民間組織への移行や法人化を検討している組織が多数ある。
・活動面では、合宿誘致やスポーツイベント開催などの単一事業から、多角的な事業展開を課題に挙げる組織が多数ある。また、行政や体育協会、観光協会、町内会等との連携による活動の展開を希望する組織も多数ある。
・組織立上げ時だけでなく、事業継続に対しての支援も望んでいる組織が多数ある。

 2.出雲スポーツ振興21の取組について(白枝委員説明要旨)
 (要旨)
・1999年に当時の出雲市が合併前に基本計画を立てたものを、民間の立場で具現化する組織として行政主導でスポーツ関係者を中心にNPO法人として設立したものである。
・業務内容のひとつとして、公共施設の運用管理と有効活用の一環で指定管理者制度を用いて県立・市立に対応している。また、指定管理者としての施設活用事業も行っている。
・拠点がある出雲ドームは90%を超える稼働率の中で、スポーツ団体や各種実行委員会の事務局業務を行っており、体育協会やスポーツ少年団等の様々な団体と連携している。
・事業活動は様々な業種の地元の企業と連携し、儲ける仕組みを作り、再投資を繰り返し、コロナ禍にも耐えうる財務を構築している。
・スポーツの日常化を図って元気な市民による地域活動の活性化を推進し、元気な地域づくりに貢献すること、として「スポーツ振興による地域づくり」を理念に掲げている。
・出雲の歴史文化を知るミステリーウォークから、2次交通の弱い地方に適したポタリング的サイクリングを組み合わせたツーリズムを展開し、イベント型から日常的ツーリズムへの発展を目指している。
・高齢者の健康増進は、見守り防災、減災から防犯、子育て支援、地域環境やイベント支援へと繋がる。それが地域の力となっている。
・スポーツ振興策の実施、事務局業務を通したスポーツ団体との協力、市民活動の支援、施設の管理、それぞれが目的ではなく、その先に目指すものを見つけ、それを一括りにして地域づくりとして捉え、スポーツを軸として活動を行っている。
・地域スポーツ振興組織の活動にとって自立と連携が重要であると同時に、組織の理念と目的を常に確認して軸をぶらさない、目的と手段を間違えないという運営方針が重要である。
・連携をする最大のメリットは、他地域で培われたノウハウやヒントを得ることができ、自前の活動に活用できることである。

 3.自由討議
●人材・意識改革
・「何でしなければならないのか」を「何でしないのだろう」への職員の意識改革が必要である。
・ノウハウを持った人材の人事異動や定年退職による流出や世代交代のタイミングが課題である。
・高齢者の健康増進・医療費の削減、社会参加の促進という側面に止まらず、地域活動において高齢者が主体的人材であり、地域活動の先頭に立ってもらうことが重要である。
・拠点となる施設を持つことは重要だが、行政の財政削減のツールとして使われるだけだと無意味であり、施設管理(指定管理)はむしろ人材確保の財源として重要である。
・行政から出向者など移動によるノウハウ・情報を持つ人材の流出は大きな課題であるが、世代交代に対応した組織の柔軟性も重要であり、人材育成が重要である。

●組織の機能・役割
・生活圏における健康増進や地域コミュニティの形成などのプラットフォームとして、地域スポーツコミッションの役割が重要である。
・地域スポーツコミッションは地域やまちづくりのプラットフォームとしての組織の意味合いがあるが、人やモノ、ことなどを有効に結び付けるリエゾン機能を持つということが最も重要である。しかし、それをマネジメントできる人材が不足していることが課題である。
・行政の縦割りの課題を横串で繋ぐのが民間組織の役割であり、その役割を地域スポーツ振興組織が果たすことにより、官民一体型の連携体制が形成できる。

●地方の特性に合った対応
・地域の特性によって地域課題や地域振興の目的が異なり、様々な組織の在り方を尊重するべきである。
・地方では、未だにスポーツは体育的で、遊びという感覚がないことが課題である。

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参事官(地域振興担当)