平成29年8月31日(水曜日)13時30分~16時30分
全日通霞が関ビル8F中会議室
原田座長、宮嶋委員、中島委員、陣内委員、中村委員、山下委員、鎌上委員、元田委員、中山委員、名川委員、山口委員、木内委員、竹山委員、高橋委員代理
・官民が連携してスポーツツーリズム需要拡大のための国内外へのプロモーションを展開するにあたり、動向やニーズを把握することが目的。
この結果を踏まえ、今後の戦略策定やプロモーション展開等を検討する。
・調査内容としては「する」、「みる」スポーツツーリズム全般をテーマとする。第2回の協議会で国内調査の結果、第3回の協議会で海外調査の結果を報告し、クロス集計や考察に対しご意見を頂きながら取りまとめを行う。
・国内調査においては、日本全国47都道府県を対象に、エリアごとにサンプルを均等割り付けとし、性年代については20代から60代の男女を均等割り付けとし、合計2100サンプルに対し調査を行う。
・海外調査においては、中国、韓国、台湾、香港、アメリカ、オーストラリア、タイの7ヶ国・地域で、直近3年以内に訪日経験がある20代から60代の男女を対象とする。性別での均等割り付けのみで、サンプル数については各国300サンプルに対し調査を行う。
・設問については、スポーツツーリズムの実施経験や実施意向については共通事項としたうえで、国内調査ではスポーツツーリズムに関わるモノやサービスのニーズ、旅先で合わせて実施したいこと、スポーツツーリズムに関する情報収集源などを調査する。海外調査では共通事項に加えてスポーツツーリズムを日本で行ううえでの期待や不安、情報収集源について調査する。
・まだスポーツツーリズムという言葉が一般的に浸透していないところも鑑みて、スポーツツーリズムを「旅行先でのスポーツ・運動」に置き換えて設問を作成した。
・旅先で実施したいスポーツの中で「釣り」は、該当しないのか。海外においては、フィッシングやハンティングがメジャーなスポーツツーリズムとして捉えられている。
・余暇スポーツの一方で、部活動的なスポーツや、旧来型的なスポーツ市場も非常に大きい。例えば、菅平で行われているラグビーの合宿や、バスケットボールのウインターカップ、甲子園のような圧倒的な集客力を持つ大会など。今回の調査において団体需要だから省くのか、部活のように個々のライフスタイルの中で派生する需要も含めて調査するのか、線引きをどこで引くのか?
・現状の聞き方では、まず旅行が主にあって旅行のついでのスポーツというニュアンスに見える。スポーツを目的に旅行をする、途中でスポーツをする、この両方が含まれた表現のほうが良いのではないか。
・同じ「走る」でも、マラソン大会への出場を目的とした旅行の場合と、出張先でジョギングをする場合とでは全く違う。スポーツが主目的の場合、プラスアルファで行った場合、線引きした設問の方が判りやすいのではないか?
・「スポーツ・運動」という聞き方だと、コアなスポーツ・運動というイメージに受け取ってしまうため、旅先でのレンタサイクルなど、エントリーレベルのものまでの需要を調べた方がよいのではないか。
・マジ部でリフト券がタダになると、スキーはしないが、リフト券を購入して星空を見る等の行動をする人が見受けられた。その時にもウェアを購入するなどの周辺消費が発生した。直接的にスポーツを行うこと以外にも、スポーツで要するリソースをスポーツ以外のものと掛け合わせることによって生み出されるマーケットもある、そういった周辺消費、新たな需要を生み出す可能性の領域まで調査を行うと、今後のアクションプランとしても、広がっていくのではないか。
・外国人旅行者はスキーを楽しむ方がいる一方で、例えば雪に触れながらのそり遊びを行う方もいる。彼らはこれもスポーツと捉えているように見える。スキー場に行き、写真を撮って帰る人など、スキーを実際にやっていなくても、スキーに行ったと考えるのではないか。
・日本人はだんだんアクティブになっていると感じるが、現状のスポーツ実施率の調査においては、中々そういった動向を捉えられていない。
今回の調査でもアウトドアスポーツの捉え方について齟齬が生まれないよう、設問を検討する必要がある。
・今回のテーマであるアウトドアスポーツは、旅とスポーツの境目が難しい。例えば、海外の方が熊野古道を歩く場合、アウトドアスポーツ的に見ればトレッキングだが、旅行者側から見れば文化的な側面が動機となっている。また、お遍路巡りを行うことは、無意識にウォーキングしたことになる。目的はスポーツでなく、観光を目的として訪日した外国人が結果的に運動している。そういった事象もうまく拾えるような質問の方法を検討しても良いのでは。
・スポーツだけでなく、アクティブツーリズム的なニーズを測ることも重要である。
・現状の設問において、スノースポーツやスノーアクティビティーという括りでは、範囲が広すぎポテンシャルがわかりづらくなるので、周辺とコアを明確にする意味でも検討が必要。インバウンドのスポーツツーリズムの需要創出という観点では、現状の質問では因果関係を導くのは難しいように思える。、年収や訪日経験を踏まえて、日常的にどのようなライフスタイルの層が今後ターゲットになっていくのか、今後の戦略につながるような設問にした方が面白い調査になると思う。
・海外調査については、サンプル数の確保という観点から、回答対象を訪日経験者に限定をしなくても良いのではないか。訪日経験を条件とすることによるバイアスもあるが、海外の回答者が自国ではこう動いている、日本に行く方はこういうデータとなっている、というように一緒に調査してもよいのではないか。
・アウトドアクライミングや純粋なキャンプはアウトドアの大きな主流なので、選択肢に加えるべきではないか。また、マリンスポーツの中にはシーカヤックを入れた方がよいのでは?
・海外調査で「日本で実施したいスポーツ」というの設問があるが、根本的に日本で実施したいと思えるスポットがあるかどうかを知らなければ、日本に来たいと思わないはずなので、実際にスポーツをやる人の選択の仕方と設問がずれているのではないか。ある程度具体的な日本のスポーツ環境に関わる事前情報を与えた上で質問しないと需要を正確に取ることができない可能性があるのではないか。
・今年はスポーツツーリズム・ムーブメント創出事業の初年度ということで、統計的なデータが不足している状況のなかでは、スポーツツーリズムの潜在層と想定できる層がより多く集まる場所での発信を方針とする。
・そこで、アウトドアの体験など380のカテゴリーで約1万6000件のプログラムに対応している着地型、体験型のアクティビティー情報サイト「アソビュー」を活用したプロモーション展開を提案した。アソビューのユーザーは通常の旅行に加え、地域での体験への消費・参加意向が高く、旅先でのアクティビティーに積極的な層が多く集まる場所として、顕在層・潜在層に対しプロモーションが行える。
・既にアウトドアスポーツを楽しんでるユーザーには、より幅を広げ、高頻度で楽しんでいただくことを目指し、まだ経験がないユーザーにもアウトドアスポーツにチャレンジするきっかけ作りなる展開していきたい。
・実際の展開については、計画中。第2回の協議会での案内を行う。
・積極的に行きたい層は100人に15人程度、誘われたらいくというのが50%超というのが旅行の傾向だが、スポーツツーリズムにおいても同様なのではないか。誘う・誘われるといった仕組みが、一番需要を広げるフックになり得ると思う。したがって、面白いイベントを作る、そこに他者を誘いやすくする仕組みづくりが必要なのではないか。
・興味関心が同じ層が集まるグループを活用することで、そのような盛り上げが期待できる。
・スポーツツーリズムは「スポーツで人を動かす仕組みを作る」事業だと考えており、そのような仕掛けをどう作るかが重要である。
・取組を進めるうえではその中間のKPIを図ることも大事。最後のゴールは多くの人を動かすことだとしても、発信や検索の回数、拡散により話題作りがどれだけ行われたか、予約の一歩手前に何%が至っているのかなどが計測できる時代なので、国内についても海外についてもICTを活用した科学的な分析方を提案したい。
・特にインバウンド市場においては、縦割りにスポーツと考えずに、旅行者目線で自然・文化・歴史・食等もまとめた総合的な楽しみ方を発
信すべきではないか。そういった取り組みを行う上で各省庁の連携を図ってほしい。
・スポーツツーリズムの活性化のためには、スポーツ参加人口の増加も必要である。メディアを通じて観る機会を増やすこと、見たい・憧れとなるヒーローを生むこと、そして競技者の育成環境の整備も必要ではないか。プレーヤーだけでなくそれに携わる人にも社会的な底支えがあるような環境にすることも必要。スポーツ界のヒーローが次々に生まれ、興行ベースで成り立つようにしていくことも大事なのではないか。
・インバウンドにおいては受け入れ側の環境整備が非常に重要なのではないか。飲食店などでは多言語化が進んできているが、スポーツ体験の分野では対応が積極的でない感がある。スポーツツーリズムでもインバウンド推進を行うためには、まずは受け入れ側への支援やサポート、環境整備に対して何ができるかまでを考えたマーケティングが必要ではないか。
・インバウンドに限らずサイクルツーリズムでも、例えば「サイクルラックを整備すれば人が来てくれる」のような意識が持たれているなど、サイクリストと地域側の意識のミスマッチも起こっている。インフラを整備しても、有効な整備に至っていないケースも見受けられる。
・例えばマラソンもウォーキングもブームになりつつあるが、地域を訪れたときに走ったりウォーキングをする環境があまり整っていない。海外のホ テルではジムがきちんと管理されているが、日本には非常に少ない。お客様の志向も変わってきている中で、このようなインフラ作りも課題だと感じる。
・商業施設の中でも、エンターテイメント性の高いスポーツを紹介していきたい。特にメジャーではないスポーツの場合に、どこで体験・練習ができるかなどの情報源に繋げられていない。小さいころから体験をしてもらうことが大事だし、リアルな体験を行える場としていくとともに、その先の関心に繋げるためにも商業施設としてチャレンジしたい。
スポーツ庁参事官(地域振興担当)付