スポーツを通じた女性の活躍促進会議(第5回) 議事要旨

1.日時

平成30年8月29日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館13階2・3会議室

3.出席者

委員

伊藤委員、後山委員、工藤委員、鯉川委員、福島委員(代理鈴木氏)
田中委員、能瀬委員、久武委員、水原委員、山口香委員、和久委員
ゼッターランド委員

スポーツ庁

鈴木長官、藤江審議官、川合参事官(民間スポーツ担当)、
安達健康スポーツ課長、粂川国際課長

オブザーバー

木藤参与

4.議事要旨

(開会)
○事務局より、配布資料等の確認があった。また、参考資料3として配布している平成30年度版男女共同参画白書(抜粋)にて「スポーツにおける女性の活躍と男女の健康支援」が特集され、スポーツが特集として初めて取り上げられたことが補足説明された。

【政府の基本方針・計画等における女性スポーツ関係の記載について】(資料1)
○事務局より、「女性活躍加速のための重点方針2018」「未来投資戦略2018」等における女性スポーツに関する記載ぶりについて説明があった。

【女性スポーツの促進方策(案)について】(資料2)
○藤江審議官より、「女性スポーツの促進方策(案)」について説明があった。

(質疑応答)
○この会議でも関連省庁からの情報提供をもらって、大変参考になった。関係団体・大学以外にも関連省庁との連携についての記載があっても良いのではないか。
○女子の学校体育における記述が抜けているように感じる。会議の中ではあまり議論がされなかったところかと思うが、フィジカルリテラシーの観点からも重要であると思われる。参考までに、英国の学校体育を統括している組織が女子の体育を対象としたワークショップに取り組んでいる事例があり、そこで作ったカリキュラムが非常に好評だったと聞いている。
○この会議では踏み込んだ議論はしていなかったと思うが、おそらく今後の保健体育の授業に落とし込むことが重要かと思う。この方策にどこまで書き込むかということについては少し慎重になる必要がある。
○企業の中でも女性の団体役員を増やすための研修プログラム等に取り組んでいる。本人の知識やスキルを上げるといった点ももちろん大切だが、なかなか改善が難しい上司や周囲の意識改革も必要であると考える。参加促進プログラムの策定の部分では、働き方改革の中で、単に残業を無くすといったことだけでなく空いた時間を健康への意識に向けられると良いのではと感じる。
○普及の観点からすると、収集した事例をどのように発信、普及させていくかまで記述していく必要があるのではないか。FUN+WALK PROJECTでも企業を統括する組織に話をしても、その組織止まりになってしまうことが多い。企業側へのメリットをきちんと提供して、広報の予算組みをしてもらって展開してもらうことが大切。
○アンバサダー等を活用する際には、トップアスリートではなくて、共感を呼びやすい方にやってほしい。身体生理的な課題や女性指導者の部分では、日本版NCAAが女子に重きを置いたルール化をしているので、それをうまく活用するとよいのではないか。そこから高校や中学に波及していく可能性があると思う。
○この促進方策(案)は「女性スポーツ」の幅が広いので、ここの取組については、ターゲットを明確にして実施することが大切であると思う。
○健康被害についても2つの側面を分けて考える必要がある。1つはスポーツをやりすぎることからの健康被害、もう1つはスポーツをしないことによる健康被害。いずれにしても、やはり10代・中学高校の時期は重要な時期で、学校といった組織と連携するシステムは重要だと思う。
○何処をターゲットにするかだと思うが、運動しないことによるリスクを訴えても、若い健康な人たちがきちんと理解できるかは疑問。スポーツは体に良いと分かっていても、できていない。これまでの正統派なアプローチではない方が、運動に参加しやすいのではないか。
○女性の団体役員の増加にはNFとの連携がとても重要。2020の先への女性役員や指導者につながるといったキャリアの指針を示してフックをかけられるとよいかと思う。ご当地女性アンバサダーの話では、女性が活躍していくにはステイクホルダーで、男性・夫婦・家族の理解があってこそ成り立つと思うので、議論の幅だと思うがアンバサダーには男性や夫婦、家族、親子なども選考の対象とすると広がりもあるかと感じた。
○「女性らしい楽しみ方に配慮することにより」、「女性らしさに関する社会の考え方に起因するものがある…」といった表現がある。女性らしさを固定的に考えてはいけないと言っている一方で、女性らしさに配慮するといった表現もある。女性のライフスタイル、ライフイベントへの配慮は必要かと思う。女性指導者と女性コーチの言葉の使い分けの意図はあるのか、といったところは議論の余地があるかと思うし、女性指導者・コーチと聞いた時に一般の人がどのレベルの指導者・コーチをイメージするのかも意識して、書きぶりを工夫した方が分かりやすいのではないか。

【今年度における女性のスポーツ実施率向上策について】(資料3)
○株式会社日本総合研究所より、「平成30年度女性のスポーツ参加促進事業」について説明があった。

(質疑応答)
○フルタイムで働いている人の方が、パートタイム、未就労の方よりも実施率が低いのか。所得なのか意欲なのか、この辺りも深堀をするとヒントになると思う。
○調査の基礎になる母集団がとても大事かと思うが、グループインタビューのサンプリングには留意していただきたい。このようなところに参加する人は意識が高くそれ自体に偏りがあることになってしまいがち。その辺りは色々な人から意見を伺った方がよい。
○日常のどういったシーンで運動や健康・美容を意識するのかを明らかにしていくと、どんな場面で普及すると効果的なのかを把握することができると思う。
○情報発信にはPRがとても大事で難しいと思っている。ワークショップも堅い情報だと20代にはなかなか届かないので工夫を。
○プログラムの開発については、非現実的なプログラムを出しても届かないと思うので、今の生活の中でスポーツは特別なものではないことがイメージできるものにしてほしい。
○週1回の定義を分かりやすく。また、どこまでがスポーツに入るのか、分かりやすく定義する必要がある。
○スポーツに興味関心がない人をどうやって取り込むか、可能であれば取り上げてほしい。某女子美術大学での講師の経験で、健康に興味がない人は、食べ物を噛むのが面倒くさい、とか、体育の授業にスカートにサンダルを履いてくるような生徒がいた。やはり私たちとは違うんだなと思った。
○e-スポーツはスポーツなのか、という議論がされてくるのかと思うが、その辺りの整理をしておいた方が良いと思う。

【日ASEAN「女性とスポーツ」ステイクホルダーズ会議の実施について】(資料4)
○スポーツ庁国際課より、8月23日(木)にアジア競技大会に合わせてジャカルタで開催された、日ASEAN「女性とスポーツ」ステイクホルダーズ会議」について説明があった。

(質疑応答)
○日本がこのASEANの女性スポーツの中で、そのようにイニシアチブをとっていくのかを、しっかりと戦略を練って取り組んでいくことが大切であると思う。
○東京オリパラの時にサイドイベントを開催するとあるが、2020年の9月に日本体育学会主導で国際会議を実施することになっている(横浜)。参考情報だが、確かジェンダーの部分も入っていたとも思うので、何かジョイント企画ができればと思う。
○期待も込めて申し上げるとすれば、現在開催されているアジア大会では女性の活躍が目立ってきているように思う。女子の競技力といった点では東アジアの日本、韓国、中国の力が突出して高い。指導者、コーチの育成という観点では日本にとどまらず、特に東アジアへ日本から女性コーチを派遣することも可能なのではないかと思う。

【全体を通してのコメント及び自由討議】
○アジア大会ではアジア各国の交流拠点を初めて作った。また、JSCと香港とシンガポールとカタールでアジアのハイパフォーマンスセンターのネットワークを作った。スポーツ外交やスポーツ交流の場の創出としてアジアにおける日本へのリーダーシップの期待は非常に大きい。競技力の側面で目についたのは香港、シンガポールとカタール。特にシンガポールでは女性の役員登用率も非常に高い。
○障害者スポーツの世界では「スポーツ」というと「パラリンピック」というイメージが強く「体を動かすことそのもの」という概念が、より一層少ない。障害者に対してはスポーツの大切さを届けるには違う切口が必要かと思う。特別支援学校を地域の核として、スポーツの捉え方を変えていくことを推進している。学校の中にスポーツ系の先生がいると進んでいくが、そのような人がいないとなかなか進まないのが現状。
○JOCのナショナルコーチアカデミーのなかで、選手時代にアカデミーを受けて、そのあと出産をして世界大会でメダルを取ったような人もいる。そのような人は非常に発信力もあるので、それぞれの立場でできることがたくさんあると感じる。
○資料2で全体として、女性スポーツの各施策のねらいや期待される効果等、取組の背景をしっかりと示していくことが必要。資料3の事業では、期待されるのは「仕掛け」づくりかと思う。併せて、今後のキャンペーン等で、誰にメッセージを届けるのかを想定してデータを集めるとよいものになるかと思う。資料4に関係する意見として、日本にはアジア地域にも必要とされるものがたくさんあると思う。例えば、指導者や医療、スポーツ科学の知見という強みもあるので、各国のニーズに応えていくといったことができるのではないか。

お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課