スポーツ審議会(第36回)議事録

1.日時

令和5年9月22日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について(答申案)
  2. スポーツ審議会健康スポーツ部会の審議状況について
  3. 第3期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価について
  4. その他

4.議事録

【早川会長】  それでは、ただ今からスポーツ審議会第36回総会を開催いたします。皆様、大変お忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、本日の運営に関する説明と資料の確認を事務局からお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  失礼いたします。事務局でございます。資料の確認の前に、4月以降の人事で事務局のメンバーに異動がございますので御紹介をしたいと思います。まず私でございます。4月1日付けでスポーツ庁の政策課長に着任をいたしました先﨑と申します。スポーツ庁は競技スポーツ課長以来6年ぶりということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、7月4日付けで民間スポーツ担当参事官に桃井が着任しております。今日は所用により来ておりませんが、着任をしております。続きまして、8月8日付けでスポーツ庁次長に着任いたしました茂里でございます。
 
【茂里次長】  よろしくお願いします。
 
【先﨑政策課長】  続きまして、9月1日付けで競技スポーツ課長に着任いたしました日比でございます。
 
【日比競技スポーツ課長】  よろしくお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  また、同じく9月1日付けで政策課の企画調整室長に着任をしました柿澤でございます。
 
【柿澤企画調整室長】  よろしくお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  どうぞよろしくお願いいたします。それでは、本日の運営に関する事項と、資料の説明をさせていただきます。本日は、事前にご希望いただきました委員のお三方におかれましては、Web会議での御参加となります。また、伊藤委員におかれましては所用のため御欠席でございますが、代理といたしまして日本スポーツ協会専務理事の森岡 裕策様に御出席を頂いております。また、赤間委員におかれましても所用のため御欠席でございますが、代理といたしまして日本アンチドーピング機構常務理事の綾部 吉也様に御出席を頂いております。会場での傍聴は報道関係者のみとさせていただき、一般の方につきましてはライブ配信での傍聴とさせていただいておりますので、ご了承ください。
 資料でございますが、議事次第に記載されております一覧のとおりでございます。会議室にお越しの委員の皆様には机上にも配布をさせていただいております。不備等ございましたら、どうぞご遠慮なく事務局までお声掛けをお願いいたします。事務局からは以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは議事に入ります。まず、議題の1「スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について」であります。それでは、スポーツ・インテグリティ部会の友添部会長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【友添委員】  ありがとうございます。失礼します。友添でございます。私の方からは、今お話がありましたスポーツ団体ガバナンスコードの見直し、これはNF(中央競技団体)向けのものでありますが、この概要についてお話をさせていただこうと思います。資料1-1と1-2をご覧ください。資料1-2はご覧いただいたらお分かりになるように非常に大部になりますので、適宜ご覧いただければと思います。まず、見直しの背景や部会の経過についてお話をさせていただいた後で、今回の改定のコンセプト、議論になったポイント等につきましてお話しして、最後に今後の統括団体の審査やNFの取組への期待についてお話をさせていただければと思います。
 御存知のように、令和元年にスポーツ庁でスポーツ団体ガバナンスコードが策定され、競技団体におけるガバナンス確保の取組が進められてまいりました。その後、スポーツ界や社会の状況は変化をして、東京大会や北京五輪をはじめとする国際大会等の開催でスポーツへの期待が高まる一方、依然として、これも御存知かと思いますが、スポーツの価値を脅かす不祥事事案が発生しております。スポーツ団体のうち特に中央競技団体につきましては、他のスポーツ団体と比べてより公共性が高く社会への影響も大きいということから、毎年コードの遵守状況を説明をするとともに、4年に一度統括団体による適合性審査というものを受けるという仕組みになっております。ちょうど4年が経って、今年度全ての中央競技団体の適合性審査が一巡することから、これまでの取組の成果や課題を検証しまして、今後のコードの在り方について検討が必要になりました。3月に室伏長官から諮問を頂いて以降、約半年間、6回にわたる部会と準備会等を開催し、具体的には中央競技団体向けのガバナンスコードについてどのような見直しが必要かの検討を行ってまいりました。
 部会では、統括団体の一つであるJOCやいくつかの中央競技団体が、どのようにガバナンスの確保に取り組んでこられたか。その際の御苦労や試行錯誤された部分についてヒアリングを行い、それらの御意見を参考にしながら見直しの方向性や案の検討、議論を行ってまいりました。特に境田部会長代理とも随分議論を重ねたところもございます。部会での主な御意見としては「既にコードに基づいた改革に取り組んでいる団体が多数あり、各団体の改革を後押しするためにも、原則は維持すべきであるという考えの下、また、団体の規模によっては全てのコードに対応することが困難な場合もある」といった御意見もございました。さらに「競技横断的に取り組むことで、より効率的に行うことができるものがある」という御意見や「中央競技団体の役割とは何かという議論を重ねながら、競技力向上だけではなくスポーツの普及やスポーツの価値の最大化も担っていて、社会の変化に柔軟に対応していく必要がある」との御意見も頂いておるところでもあります。他方で「役員の新陳代謝を図ることは不祥事を防ぐというだけではなくて、社会の変化に対応するためにも重要であり、その育成や確保を促すことも重要である」といった御意見を頂きました。また、こういった御意見の他、より各団体のガバナンスについての理解を促し、自発的、積極的に取り組んでいただくための情報の追記や、現時点で更新すべきものなどに関する御意見も出されました。 これらの御意見を踏まえながら、今回の見直しのポイントとして大きく3点が挙げられます。1つ目として、令和元年に策定されましたガバナンスコードに基づいて改革に取り組んでいる団体が多くありますので、これらの団体を後押しするためにも、原則1~13は変更しないということ。2つ目に、これは大事な点でありますが、理事となる人材の確保が困難である小規模団体への配慮の仕方や、競技横断的な支援の在り方等については、スポーツ政策の推進に関する円卓会議において検討を行うというもの。3つ目として、よりコードの実効性を確保するため、記載を見直すというふうに焦点化をしてまいりました。この内容を踏まえまして、スポーツ庁において改定を検討していただければと思っております。
 次年度から統括団体による適合性審査の2巡目が始まりますが、このコードの原則はコンプライ・オア・エクスプレインの手法を採用していますので、中央競技団体による自己説明が何よりも基本となります。そのため、まずは中央競技団体がコードを理解して、形式的にコードを満たすことだけを目的とするのではなく、主体的、積極的な取組が必要だと強く感じています。
 最後になりますが、今、スポーツ界には社会からの厳しい、そしてまた強い視線が注がれていると思います。国民の支持をなくしてしまうと、競技団体だけではなくスポーツ界そのものが存続しません。多くの国民から心から支持していただけるようなスポーツ界になっていくためには、競技団体には率先してガバナンスコードの適合性審査で、形式的な審査にとどまるのではなく、各競技団体の説明を促して、一般社会の常識に照らし、その説明や対応が足りているかどうかを確認して、団体に応じた助言を行っていただくことを、最後に部会を代表しまして強くお願いしたいと思います。私の方からは以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明について競技スポーツ課から追加の説明がありましたらお願いします。
 
【日比競技スポーツ課長】  それでは、私から補足説明といたしまして、まずスポーツ団体のガバナンス確保の仕組みについて御説明をさせていただきます。配布資料の中で参考1と振ってあるものをご覧いただければと思います。参考1「スポーツ団体ガバナンスコードについて」という資料の1頁目でございますが、先ほど部会長から御説明がありましたとおり、令和元年にスポーツ庁としてスポーツ団体が適切な組織運営を行う上での原則・規範として、スポーツ団体ガバナンスコードを策定し公表したところでございます。これは、中央競技団体向けと一般スポーツ団体向けの2層構造となっておりまして、特に社会的影響が大きく公共性の高い中央競技団体向けのものにつきましては、コードの遵守状況について毎年団体が自己説明し公表することと、統括団体による4年に一度の適合性審査を受けるという仕組みになっております。
 2頁目をご覧ください。統括団体による適合性審査の結果につきましては、真ん中に書いておりますとおり、スポーツ政策推進に関する円卓会議という場に報告されることになっております。この円卓会議は、統括団体であるJSPO、JOC、JPSA、それからスポーツ庁とJSCの5者で構成をしております。統括団体による適合性審査の審査結果の種類といたしましては、適合か不適合かの二つでございます。ただし、適合していると評価された団体のうち改善事項があると指摘された団体につきましては、翌年度にフォローアップを行うこととなっております。
 3頁目をご覧ください。競技団体につきましては公費によって強化費等の支援を受けているという観点から、ガバナンスコードの適合性審査の結果等と競技力向上事業助成金の配分とを連動させております。適合性審査は4年に一度でございますが、毎年コードの遵守状況について自己説明や公表をすることとなっておりまして、これが行われていない場合には翌年度の強化費が90%となることになっております。また、適合性審査において要改善事項が指摘された団体のうち翌年度のフォローアップの結果が未改善と評価された団体につきましては、翌年度の強化費が80%になることになっております。
 ここで資料がなくて恐縮ですが、今回のガバナンスコードの見直しに当たりましては、インテグリティ部会での議論に加えまして、今年8月に10日間、部会でご議論いただいた見直し案につきましてパブリックコメントを実施いたしました。頂いた御意見は20の団体と個人から合計44件ございましたが、最も多かったのは役員についての原則を定めた原則2についてでございます。資料1-1に原則2というものが記載されております。全体といたしましては、見直し案について肯定的に捉えて、さらに改革を進めるという視点での御意見が多かったところでございます。
 資料1-1の御説明に入りますが、ガバナンスコードの見直しの大まかな内容につきましては先ほど部会長から御説明のあったとおりでございます。ポイントの1つ目といたしまして、原則1~13そのものは変更しないということでございます。一方で、部会において議論のありました、特に小規模団体につきましては、人材の確保が困難であるという側面もございますので、特に原則2の役員の体制整備のところで議論がございましたが、この点につきまして、具体的な配慮の仕方、それから競技横断的な団体への支援の在り方につきましては、先ほどご説明いたしました円卓会議にて今後検討することとされました。この検討の状況につきましては、今後改めて審議会等に御報告をさせていただきたいと考えております。そしてポイントの3番でございますが、ポイントの1番や2番を前提といたしまして、コードの実効性を確保するための記載の見直しを行ったというところでございます。ここに白丸で7つほど主な修正点を掲げておりますが、それぞれ資料1-2の本文の該当頁も記載をしておりますので適宜ご覧いただきたいと思います。
 まず1つ目の丸ですが、中央競技団体の役割といたしまして、競技力向上のみならず広くスポーツの普及やスポーツの価値の最大化を担うという点を明確化いたしました。
 2つ目といたしまして、役員の新陳代謝が重要であること。そのための人材の育成計画の策定や、理事に期待される知識・経験・能力の観点を示すこと。また、具体的に各理事を選任した際の観点を公表することなどについて記載の追加をしております。
 3つ目ですが、理事の多様性を確保するという点で、原則2において外部理事の目標割合を定めておりますが、現行コードにおきましては、競技実績や指導実績を有する理事の方であっても、別に専門性があれば外部理事として整理するという注記がございましたが、より外部性を高めるためにこの注記を削除しようとするものでございます。
 右側に行きまして1つ目の丸ですが、理事の在任期間や再任までの経過期間の考え方について追記をしております。これは少々記載が細かいですが、原則2におきまして理事の在任期間は原則10年以内というルールがございますが、これを例えば8年で退任をしたときに、2期空ける必要はないけれどもトータルで10年以内である必要があるという旨の記載を追加しております。
 次の丸ですが、不祥事発生時の適時適切な公表ということについても記載を追加いたしております。
 次ですが、原則5でコンプライアンス教育の実施ということが求められておりますが、こちらは統括団体が実施する研修の活用ということについて記載をさせていただいております。
 最後は、団体がコードの趣旨を理解し、主体的・積極的に取り組めるような補足説明の充実ということで、例えば自己説明の在り方といたしまして、そもそもガバナンスコードというものが原則・規範を定めているという前提の下で、コンプライ・オア・エクスプレインということで、団体自らこのコードの規定につきまして実施しているか、していないか。実施している場合にはその根拠を示すこと。実施していない場合にはその理由と今後の見通しなどを示すこと、あるいはそのコードについて自らに適用することが合理的でないと考える理由の説明をすることなどについて記載を充実させていただいております。以上のような記載の見直しを図った上で、部会において答申案を取りまとめていただきました。
 今後のスケジュールでございますが、本日答申を頂きましたら、近日中にスポーツ庁としてこのガバナンスコードの改定を行い公表したいと考えております。補足説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いします。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、本件につきまして御意見等がありましたらお願いしたいと思います。挙手を頂ければ私の方からお願いをします。いかがでしょうか。オンラインで御参加の委員の先生方、御意見がございましたらお願いします。諸橋委員、よろしくお願いします。
 
【諸橋委員】  本日は現場に伺えず、オンラインから失礼させていただきます。本件に関する意見が3点と、今回、時間がない中で十分に読み切れていないところがあるかもしれないので、後ほど質問という形でも伺いたいと思います。
 最初に、前文に対する意見ですが、記載いただいている中央競技団体における適正なガバナンスの確保、特に4のNFの役割について、内容に関して大いに賛成いたします。やはり中央団体の役割が明確に記載されていることが第一で、そして誰がそれをいつまでにどのように遂行するのかということが基本になってくると思います。現在私は経産省が進めております「未来のブカツ」の委員を務めておりますが、少子化が進む中、より多くの子供たちが将来にわたりスポーツと親しむための環境づくりをするためにも、行政や協会、連盟が連携し、それらの組織が健全であることが不可欠だと思っています。一方、団体として価値向上するための経営力の強化については収益を還元すべきところに還元していくという循環のシステムも重要であり、ガバナンスと経営のバランスをどのように均衡していくのか。経営に走ることなく、ガバナンスだけに縛られることなく、バランスよく、各団体が形式的に対応にとどまらないように、スポーツ庁として具体的な方針を示していくことが重要だと考えております。
 2点目です。こちらは原則2、適切な組織運営を確保するための役員等の体制整備についてでございます。17頁目の(1)で言及されております女性役員の登用については、男女共同参画基本計画の下に目標設定が定められています。これは設定された数字を達成すればよいというわけではなく、本来は性別に関わりなく個人の持つ経験・能力・知識が評価されることを目指すものです。そのときに女性役員の登用においても、ただ人数合わせというように女性を登用するということではなく、それぞれ女性の能力に対して等しく評価することを目指すべきだと思います。それぞれのジャンルを網羅できる知識のある役員をバランスよく選任されることで、適切なガバナンス体制を構築し、結果としてスポーツ・インテグリティの確保につながると考えております。というわけで、この本質がNFに伝わるような指針の一文を加えていただければと思っております。
 次に、コンプライアンス強化の教育についてです。私自身いくつかの競技団体と関わりを持ち、役員を務めておりますが、やはり規模が大きい団体であればガバナンスコードに基づく改革を積極的に取り組んでおりますけれども、一方で小規模団体、既にヒアリング済みだということで友添委員の方からお話がありましたが、かなりこのコンプライアンスの部分に関しては苦戦しております。やはり特に教育に関しては基準となるような好事例の横展開ができるようなことで、共有していく仕組みが必要ではないかと思っております。
 最後になりますが、原則4に関しての質問です。現在コンプライアンス委員会を設置している団体数というのはどのくらいあるものなのでしょうか。加えて、コンプライアンス委員会の構成員には法令等に関する専門的な知識のみならず、スポーツ団体の実情やスポーツの持つ社会的意義を十分に理解した有識者を選出するのが望まれると思うのですが、「少なくても女性1名」と書いてあります。実際、現実的に今の現社会でそのような女性を人数として確保可能なのでしょうか。と言いますのも、競技面においては数多くの女性の役員の方がいらっしゃると思うのですが、コンプライアンスにおいては、弁護士や公認会計士など、専門的な知識を持った上でスポーツの団体の実情に詳しいという女性をあまりお見掛けしたことがございません。そういった部分でここは女性に関わるということにこだわるよりは、実際このコンプライアンスを守るために準備すべき部分で、もう少し現実に即した内容にすべきではないかと思っているので質問させていただきました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。事務局の方から何か今お話しすることがあればお願いしたいと思いますが。
 
【日比競技スポーツ課長】  御意見と御質問どうもありがとうございました。1点目で頂きましたガバナンスの確保と経営力の強化のバランスが大事であるという点は、私どもとしても全く認識は一緒でございますので、経営力の強化という点も含めまして、スポーツ庁における予算事業等で団体を促していくということも含めまして積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
 また、2点目の役員の体制整備の中の女性理事の割合目標についての御意見がございました。競技団体の組織・運営における多様性を確保することと、社会とスポーツ界の状況の変化に柔軟に対応するという点で、この女性理事の割合というのは大変重要であるというふうに考えておりますが、御意見がございましたとおり単なる人数合わせということではなくて、きちんと知識・経験を有する方が登用されていくということが大事ですので、そういう機会をつくっていくということも含めまして積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
 また、団体運営の好事例の横展開という御意見も頂きましたが、このガバナンスコードの適合性審査の仕組みの中におきましても、要改善事項の指摘だけではなくて、好事例というものを取り上げて紹介をさせていただいております。こういうものを各団体にも積極的に参考にしていただくように取り組んでいるところでございます。
 最後にご質問いただきましたコンプライアンス委員会の件でございますが、各団体においてコンプライアンス委員会を設置・運営している団体というのは、現在約4割にとどまっているということでございます。加えて知識・経験を有する女性がいるかという御指摘もございましたが、できる限りそのような人材を確保しながら積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えております。以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。友添委員、お願いいたします。
 
【友添委員】  ありがとうございます。部会の委員会に出席されていたメンバーには、大日方会長代理もそうですし、スポーツ審議会の委員の方が多く居らして、いま諸橋委員の方からお話があった点は、委員会の中で割と丁寧に議論してきたことのように思います。例えば、弁護士で女性であれば理事に採用される現実に対してこれは問題があるのではないかという御発言もあったり、経営とガバナンスのバランスをどう取るかというのは人材センターを作るべきだと。その中に経営のいわゆる専門家を配置して適宜競技団体の諮問に応じていただくような形をとっていくべきだということを、円卓会議の方に申し送っています。それから、NFの中で自己財源をどうするのかというのは重要な問題でありますが、NFの理事の中にこういう専門家を配置すべきだということもこの中に盛り込んでいます。と同時に、女性を委員レベルから登用しながら組織の中で育てていく必要があることも記載しているかと思います。それから、研修についても競技横断的な組織を作って、その中でやっていただこうということで、それについても申し送り事項としてお願いをしているところでもあります。そういう形で言うと、一挙に全てが改善されるということは難しいですが、現状はよりよい方向に、いま日比課長の方からお話があったように、今のままでいるということではなくて、もう少し前向きに進めていくということが大事だということで、部会の方としては議論を重ねてまいりました。以上です。
 
【諸橋委員】  ありがとうございます。
 
【早川会長】  部会長、ありがとうございました。他の委員の方はいかがでしょうか。よろしいでしょうか? それでは、意見聴取はここで終わらせていただきます。頂いた御意見はスポーツ庁の今後の施策に反映していただければと思います。本答申を参考に、スポーツ庁において中央競技団体向けスポーツ団体ガバナンスコードを改定いただき、スポーツの普及・振興等の重要な担い手であるスポーツ団体が、より自主的・積極的にガバナンスの確保に取り組み、スポーツの価値がさらに高められることを期待しております。それでは、答申の手交に移ります。室伏長官に答申をお渡ししたいと思います。
 
<早川会長から室伏長官へ答申を手交>
 
それでは、室伏長官から一言御挨拶を頂戴したいと思います。長官、よろしくお願いします。
 
【室伏長官】  ありがとうございます。この度スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について、このような答申をおまとめいただきまして誠にありがとうございます。本日頂きました答申を踏まえまして、近日中にもスポーツ庁としてガバナンスコードの見直しを行ってまいりたいと思っております。また、小規模団体への配慮の仕方や競技横断的な支援の在り方についても引き続き関係団体と検討し、更なるコードの実効性の担保に努めてまいりたいと思っております。御説明にもあったとおり、スポーツ団体特に中央競技団体は、競技力の向上のみにとどまらず、広くスポーツの普及や社会の変化に柔軟に対応しながら、スポーツの価値の最大化を担うことなど、これまで以上に求められる役割とその責任は大きくなっており、特に高いレベルのガバナンスを確保することが求められます。スポーツ団体に、より主体的に積極的にガバナンスの確保に取り組んでいただくためにも、例えば統括団体における適合性審査を通じて、ガバナンス確保のための取組の好事例を広めていくことも重要だと考えております。来年に迫りましたパリオリンピック・パラリンピック大会も含めまして、今後様々な国際大会が続いていく中で、スポーツへの期待の高まりを追い風とし、感動していただけるスポーツ界を実現していくために、スポーツ団体の皆様にガバナンス確保により一層取り組んでいただきたいというふうに思っております。委員の皆様方におかれましては、今後ともご協力、お力添えいただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【早川会長】  長官、ありがとうございました。それでは続きまして、議題の2つ目「スポーツ審議会健康スポーツ部会の審議状況」に入りたいと思います。健康スポーツ部会の渡邉部会長より御報告をお願いいたします。
 
【渡邉委員】  健康スポーツ部会の渡邉でございます。健康スポーツ部会で審議されております三つの事案につきまして、資料の2に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。まず第1です。ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進についてであります。スポーツ実施に関しましては、これまでスポーツ実施率の向上に焦点を当てた施策を推進してまいりましたが、これは頻度のみを捉えていたKPIの設定となっておりました。第3期スポーツ基本計画では、健康スポーツ部会の議論を通じ、身体活動と健康に関する疫学的・科学的根拠に基づきまして、頻度、時間、強度、そして継続期間を加えた新たなKPIを設定いたしました。これは厚生労働省の健康政策も参酌しております。さらに今般の議論では、運動・スポーツの効果を高めるなど質的な視点を持った取組を一層推進していくこと、これが重要であるとの見地から「ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進について」として取りまとめております。
 資料2の2頁目をご覧いただきたいと思います。ここに要約がございます。ここは読ませていただきます。運動・スポーツの効果を高めるためには、心身の維持・向上が必要な機能に焦点を当て、その効果や影響に着目し、それに適した方法や目的を定めた運動・スポーツ、すなわち目的を持った運動・スポーツを実施することが重要であると。いわゆるバックキャスティング的な思考での表現となっております。心身に多様な変化を与える運動・スポーツを実施することによって、それぞれのライフステージにおいて最高の能力が発揮できる状態(ライフパフォーマンスの向上)を目指す。そのことによって、健康の保持・増進はもとより、QOLを高める、あるいは生きがいのある充実した生活を送ることにも寄与するというふうに考えております。そのためには、ハイパフォーマンススポーツのサポート(トップアスリートへのサポート等)で得られたスポーツ医・科学等に係る知見を、アスリートだけではなく一般の人々が日常生活で抱える課題の解決等に生かされ、ライフパフォーマンスの向上につなげることが大事であるというふうに考えました。まとめますと、そのポツ二つということになりますが、スポーツをすることを通じた楽しさや喜び、共に行い、つながりを感じること、心身の健康増進といったスポーツの価値を高めていくことは重要であり、引き続きスポーツ実施率の向上のための施策を推進することが必要である。そのためには目的を持った運動・スポーツの推進が非常に重要であるということであります。
 続きまして6頁目をご覧いただきたいと思います。6頁の下段にございますが、推進により目指すものというのがあります。ただ今の説明の復唱にもなりますが、ここはポツが四つありますので、読ませていただきます。多くの人々が、自らの心身機能の状態や運動・スポーツの影響及び効果に対する関心を高め、個人の適性、健康状態及びライフスタイルに応じて、ライフパフォーマンスの向上を目指し、目的に合わせて運動・スポーツが実施できるような環境の整備が必要である。ハイパフォーマンススポーツで得られたスポーツ医・科学等に係る知見が、アスリートだけでなく国民一般のライフパフォーマンスの向上に生かされることが望まれる。運動・スポーツを通じてライフパフォーマンスの向上が図られることにより、健康の保持増進はもとより、QOLを高められるなど、より自分らしく生きがいのある充実した人生を送れることが期待できる。人生100年時代に、高齢者から若者まで、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会をつくることが重要な課題となっており、こうした課題の解決にも貢献するものであるということであります。
 7頁目の下段には、それをするために国等に求められる対応策というのが記載されております。これは、後刻ご覧いただきたいと思います。
 続いて2つ目の事案であります。障害者スポーツ振興ワーキンググループ中間まとめについてということであります。障害者スポーツの振興に関する個別の課題につきましては、専門的見地から具体的な施策を検討するため、令和4年10月に健康スポーツ部会の下に、障害者スポーツ振興ワーキンググループを設置いたしました。そして、令和5年6月に中間まとめを公表しております。
 8頁目をご覧いただきたいと思います。ここは中間まとめということで少し説明が難しいのでありますが、もし私の説明で皆さんに伝わらないところは担当の方から説明していただきたいと思います。まず、8頁に検討事項が書かれております。障害者スポーツの普及について、障害者スポーツ振興体制の整備について、その他、というふうになっております。
 次に中間まとめの概要について説明をさせていただきます。9頁目をご覧ください。9頁に青字に白抜きで「目指すもの」というのが載っております。ここでは、障害の有無に関わらず、いつでも、どこでも、誰もがスポーツを気軽に楽しめる環境。これをつくることを目指しております。そのためには、その上段に囲みがございますが、地域の障害者スポーツ振興の拠点として障害者スポーツセンターを都道府県単位の広域レベルに一つ以上整備することを提言しています。また、障害のある人がより身近な環境でスポーツに親しむ環境を実現し、健常者と共にするスポーツを推進するために、障害者スポーツセンターを地域全体で障害者スポーツ振興を行う幅広い機能と、高い専門性を持つ人材と、拠点となる施設といったものを、障害者スポーツセンターもしかり、そしてそれがつながるサテライト的な施設もしかり、そういったものをネットワークすることによって、包括的な地域拠点を整備していこうと。そのための役割や機能等をこれから整理する必要があるというふうにしています。なかなかここは解釈が難しいかもしれませんが、私の解釈を申し上げますと、障害者スポーツセンターを都道府県単位のハブ施設として、ハード、ソフト両面の機能を充実させると。そしてそのハブに対して、各地域に障害者が利活用できるようなサテライトを設置し、機能を充実させ、そこのネットワークをつくることによって、包括的な障害者に対するサポートができるプラットフォームを構築するといったふうに私は認識しています。間違っていたら事務局の方から補足いただきたいと思います。
 そして10頁目をご覧いただきたいと思います。今私が申し上げたような、あるいはこの中間まとめのようなものを実現していくためには、様々な機能が必要になってくると。それがここに記載される機能として掲示されております。一つはネットワーク機能、一つは情報拠点機能。一つは人材育成・関係者支援機能、一つは指導・相談機能。すなわちプラットフォームの中は各ハードの施設がそこでネットワーキングされているのですが、それぞれのネットワークあるいは情報拠点、人材育成、指導相談、様々なソフト的ないろんな機能体がそこに集約されていることが、このプロジェクトを進める上では極めて重要であるといったことがこのまとめには書かれております。
 そして11頁目には整備の進め方、国等による支援というのが記載されておりますが、こういった観点を踏まえて、これから同ワーキンググループで取りまとめの作業を進めていただくという段取りになっております。
 最後になりますが、3つ目であります。現場視察、ヒアリングの実施及びガイドブックの策定についてということであります。第3期スポーツ基本計画に掲げます政策目標は12ほどございますが、その中でも多様な主体におけるスポーツ機会の創出、スポーツによる健康増進、スポーツを通じた共生社会の実現、これらの達成、並びに各施策の着実な実施を図るために、スポーツ実施の環境整備や改善に積極的に取り組む地方公共団体、民間事業者、スポーツ関係団体、保険者等の取組に着目し、現場視察、ヒアリング等を実施いたしまして、部会において情報共有の上、ステップ・バイ・ステップで現在議論を展開しております。現場視察に当たりましては、事前に各委員から御推薦を頂き、視察可能な委員と健康スポーツ課の職員の方とで実施しております。幼児から高齢者までの各世代、そして障害者を対象とした事例を選定し、現時点で14事例の報告書を取りまとめております。こうした活動のアウトプットといたしましては、地方公共団体や民間事業者、スポーツ関係団体、保険者等が、今後スポーツ施策を推進していく上で参考となるような、現在に至るプロセスを踏まえた各事例をガイドブックとして編集し、公表することを目指しております。雑駁な説明になりましたが、以上3事案について、健康スポーツ部会からの報告とさせていただきます。
 
【早川会長】  渡邉部会長、ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明について室伏長官の方から一言頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
 
【室伏長官】  ありがとうございます。ただ今、渡邉部会長の方からご報告いただきましたとおり、健康スポーツ部会においては、スポーツを通じた国民の健康増進やライフパフォーマンス、これがキーワードになりますが、ライフパフォーマンスの向上、共生社会の実現に向けて活発に御議論を頂いております。現在、部会における議論の内容を踏まえまして「ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進について」ということでスポーツ庁として取りまとめるとともに、障害者スポーツ振興ワーキンググループの中間まとめも公表をすることができました。本審議会の委員でもあります渡邉委員、久野委員、大日方委員、河合委員をはじめ健康スポーツ部会委員及び障害者スポーツ振興ワーキンググループの皆様から貴重な御意見を賜りましたことを、この場をお借りしまして心より御礼申し上げます。ありがとうございます。特に「ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進について」は私も会議に何度も出させていただきまして議論させていただきましたが、運動・スポーツの効果を高めるためには、運動をただすればよいだけではなく、もちろんすることも大切なのですが、その質的なということで渡邉部会長もおっしゃっていただきましたが、心身の維持・向上に必要な機能に焦点を当て、その効果や影響に着目し、それに適した方法・目的を定めてやることが大事なことで、健康スポーツ部会においても数回にわたりご議論いただき、私の方も説明をさせていただきました。
 ライフパフォーマンスの向上、すなわちそれぞれのライフステージにおいて、年齢に関係なく性別にも関係なく、置かれた立場はそれぞれある中で、最高の能力が発揮できる状態を目指すことは、健康の保持増進はもとより、QOLの向上等、人々が生きがいのある充実した生活を送ることにも寄与すると考えております。これまでスポーツ医・科学の分野では、特にハイパフォーマンススポーツのサポートは行われてきましたが、スポーツを支えるコンディショニングを含めた、食事のとり方、睡眠、トレーニングの仕方、怪我を防止するような方法等、運動・スポーツの効果に関する様々な知見が多くございます。今後はこうした知見をアスリートにとどめておくのではなく、一般の方々が日常生活で抱えるような課題の解決等にも適用され、ライフパフォーマンスの向上につなげていくことが重要だと思います。
 スポーツ庁では令和6年度の概算要求において、スポーツによる国民のライフパフォーマンス向上のための予算措置を新たに要望するとともに、障害者スポーツについても地域全体で連携して、障害者スポーツの振興に取り組むための予算の拡充要望を行っているところです。これまでも国民の意識や関心を高める普及・啓発活動や環境整備等を行っているところですが、取りまとめも踏まえまして更なる施策の充実を進めてまいりたいと思います。
 健康スポーツ部会や障害者スポーツ振興ワーキンググループでご議論いただいております、スポーツを通じた国民のウェルビーイングの実現や障害者スポーツの振興は、スポーツ施策の中でも非常に重要な分野の一つです。今後とも委員の皆様の御知見を賜りながら、スポーツ庁としましても取組を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【早川会長】  長官、ありがとうございました。それでは、本議題につきまして委員の皆様方より御意見、御質問等を頂きたいと思います。挙手を頂けますでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。
 
【鈴木委員】  以前もお話をさせていただきましたとおり、学校では小学3年生から高等学校まで健康という面で保健の授業も行っています。その中で運動・スポーツと健康ということを系統的に学習をしています。この資料の概要の2の部分のスポーツの捉え方の中の体育、発育・発達だけでなく、体力向上も含め、メンタルに関しても効果がある、あと病気の予防の学習のところにも運動というのは価値があるというように、学習指導要領の中でも教えている部分が多々あります。この体育というのが教科体育とは違うかもしれませんが、そういったことを含めて、学校体育との関連も入れていただけると、このスポーツの捉え方というのが、学習指導要領やこれからを担う子供たちがどのようにスポーツを捉えていくのかといったところと一致してくるかと思います。ぜひ学習指導要領の方のスポーツ・体育・運動、ここら辺との兼ね合いも含めて書いていただけると大変有り難いと思います。子供が分かれば、これからその子供が大人になった時に、やはり運動・スポーツは大事なのだと、健康と関わりがあるのだと捉えてくれるかと考えておりますので、ご検討いただければと思います。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、他に御意見はございますでしょうか。長島委員、お願いいたします。
 
【長島委員】  日本医師会の長島でございます。日本医師会では以前よりスポーツ・運動による健康増進と健康寿命延伸を大変重要なテーマと考えて取り組んでまいりました。例えば、健康スポーツ医という認定制度を設けたり、あるいは生涯教育において運動・スポーツの効果というのをしっかりと勉強していただいております。その中で、やはり性別、年齢、障害の有無に関わらず、多様な人々のスポーツを通じたパフォーマンスの向上というのは正に日本医師会の目指しているところでございますが、そうなりますと例えば、何らかの病気やリスクを抱えた方が運動・スポーツをすると、その有効性あるいは同時に安全性というのが大変重要になってまいります。そこでかかりつけで既に何らかの疾患を持って医療機関等にかかっている方は、ぜひかかりつけ医とご相談していただければと思います。そこで、医学的な有用性、有効性、安全性の様々なアドバイスができるかと思います。また、同時に地域において運動に関わる様々な人材や資源がしっかりと有機的に連携することが重要です。そのためには多職種・多業種連携が極めて重要ですが、そのためのガイドブックも日本医師会では作成しております。また、そのような人材や施設を見える化する、例えばリストを作ったり付加するということも極めて重要ですので、そのような取組を日本医師会でしっかりと行っております。地域のネットワーク化、そして連携のための様々な取組についてもぜひ進めていただければと思います。私からは以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、久野委員、お願いいたします。
 
【久野委員】  筑波大の久野です。今日は伺えずにオンラインで申し訳ありません。先ほどの渡邉部会長及び室伏長官から、意気込みを含めその方向性を御丁寧に説明を頂いたわけですが、私も健康スポーツ部会で一緒に議論をさせていただき改めて提案をしたいと思ったのは、スポーツが健康とか予防ということだけではなくて、人のウェルビーイングを高める、特に100年時代の中で生きがいを担保する、そういう全体を「ライフパフォーマンスの向上」という言葉は表しています。ある面健康スポーツの施策の一つの大きなポイントにして、この領域において大事なシンボルとしての立ち上げが今日ではないか、他の審議会の委員の方にも、スポーツの力がライフパフォーマンスの向上につながっていくのだということに関して認識していただきたいと思い追加の発言をさせていただきました。以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、他の委員の方はいかがでしょうか。
 
【結城委員】  ありがとうございます。一言補足させていただきます。私事で恐縮ですが、私は膝が痛かった時に室伏長官に見ていただいて「筋肉のバランスではないか」と言われて、そこからそれを意識して歩いたり階段を上り下りしてみたところ、状態がよくなりました。それによって歩くということの楽しさがだんだん実感として湧いてきて、今は結構長い距離を休みの日は歩くようになっています。
 申し上げたかったのは、そういう正にライフパフォーマンスという部分で、一つの目的から発する運動、そしてそれを継続することが、逆に体を動かすことの喜びにつながるのだという理解を共有させていただきたかった。やはり体を動かすこと、スポーツというものは、根本に喜び、楽しさというものがあるというのは、長官も含めて皆様がおっしゃっていることでございます。目的から入ったとしても、それがいずれにはそれぞれの方たちの充実感、達成感、自分はまだ変われるのだという喜びのようなもの、そしてスポーツ、体を動かすということそのものへの楽しさに大きく変わっていく、本来あったものがさらに加味されていくのだというような観点から、体を動かすということは、スポーツの楽しさを追求することと実は同一であり得るのだという部分を、どこかに流れを付記いただければ非常に分かりやすい、そして共感を得るような方向性になるかと感じました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。友添委員、お願いいたします。
 
【友添委員】  ありがとうございます。まず1点お願いになります。ライフパフォーマンスは非常によい言葉で、イメージはよくつかめるのです。それでライフパフォーマンススポーツも何となくイメージはつかめるのですが、概念は何かというのがよく分からない。つまり対象は何で、方法は何で、具体的にスポーツの何をどう変えたときに、いわゆるライフパフォーマンススポーツと呼ぶのかということを明確にして使っていく必要があるように考えます。言葉が勝手に独り歩きしてしまう可能性もありますので、定義を明確にしていただければと思います。
 それから2点目は質問になりますが、障害者スポーツセンターは非常に大事だと思います。そういうものを作っていく必要はあると思います。先ほど渡邉部会長が「幼児から大人まで使えるような施設」ということでしたが、インクルージョンの立場に立ったときに、このセンターはどう位置付くのかということが非常に気になります。障害をお持ちの方を対象に障害者スポーツを振興していこうとするセンターなのでしょうか、あるいはそうではないのでしょうか。例えば、部活の地域移行が今進んでいますが、部活の地域移行の地域スポーツクラブは、障害のあるお子さんもそこへ一緒に入って活動していこうというものです。健常な子供も障害のある子供もともに参加できるようにと考えられていると思います。そのためにも、都道府県教育委員会あるいは都道府県の知事部局の中でも福祉部局が地域移行後の部活の協議会に入るように制度が作られていると理解しています。いま、お話のありました障害者スポーツセンターというのは地域の中でどのように位置付くのかということを、部会でどのような議論が行われたのかについて、よろしければ、ご紹介いただければと思います。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。渡邉部会長、お願いいたします。
 
【渡邉委員】  ありがとうございます。実はワーキンググループは大日方さんは入っていたと思いますが私は直接入っておりません。ただ、私の認識を最初に少し申し上げます。その後大日方さんからお話しいただきたいと思いますが、現在障害者の専用スポーツセンターというのは全国に5つあります。東京に2つ、大阪に2つ、そして名古屋。そして障害者スポーツセンターと呼ばれるのが全国で25。5つというのは内数です。5つというのは専用で、残り20というのは共用するような施設になっています。今回のグループの報告を受けている限りは、障害者の方に限ったところの議論ではありません。正にユニバーサルという視点から、障害者の方も健常者の方も一緒に使う、あるいはプログラムとして、例えば最近はボッチャと言われておりますが、車いすのバスケットもそうだしゴールボールもそうですし、いろんなスポーツが多分ユニバーサル的に一緒にできると。そういった環境を作っていくことで、ひいては共生社会の実現にも寄与していこうということで、ワーキンググループが議論していただいているというふうに私は認識しております。大日方さん、補足的にお願いします。
 
【大日方会長代理】  どうもありがとうございます。私の方からも今のお話に私なりの理解も含めて少し補足をさせていただきます。障害者スポーツセンターという言葉が若干ハードいわゆる箱というイメージが強くなり過ぎることがあります。このセンターというものの中には、ハードという意味だけではなく、いわゆる必ずしもハードにこだわらないソフト的な整備というところも広く含まれた概念ということで議論をしてまいりましたので、ぜひそこの部分も御理解を頂きたいと思っております。
 その心はということは、ワーキンググループの中でもさんざん議論されてきたのですが、障害がある人たちが、その人たちだけで小さくまとまってということだけではインクルーシブなものにはならないですし、それは誰も望まないという前提です。一緒にやっていくやり方でありますとか、一緒に取り組んでいくための人的なもの、あるいは施設スポーツセンターとしてこういう設備、機能があれば使いやすいものになるというようなことをしっかりと発信をしていく。ネットワークも作っていく、そういうセンター的な機能全体が障害者スポーツセンターであるという、意味合いも含まれております。むしろそちらの方が大きいというふうに私などは捉えており、占有施設とかではなく障害のある人も一緒に使えるもののモデルがあり、最終的なゴールとしては、どこに行っても誰もがスポーツを楽しめるという場であるということを目指す。ここはぜひ今後も、しっかり誤解なく伝えるとともに、実効性のあるものにしていくということ。ここが正にこのワーキンググループの最終的に目指したい部分だと理解をしております。私と共に河合委員もこのワーキンググループの方で議論を進めてまいりましたので、追加等ございましたらまたお願いしたいと思っております。
 
【早川会長】  ありがとうございました。では、河合委員、お願いいたします。
 
【河合委員】  ありがとうございます。JPCの河合です。先ほど渡邉部会長そして大日方委員からもありましたように、この障害者スポーツセンターというのは、改めて申すまでもないのですが残念ながらまだまだ障害のある方々がスポーツをする環境が我が国ではなかなか十分とは言い切れないという大前提の課題がまずあり、例えば障害のある方々の成人のスポーツ実施率しかり、なかなか一般の方々よりもそもそも目標値が低くなっていたり、様々な課題がある中で、今回の第3期スポーツ基本計画も含めて、共生社会を実現していくためにスポーツをどうしていくか、という視点も考えた中で、30近い道県でまだ障害のある方々のスポーツを行っていくハブとなる部分が整備し切れていない。これが東京オリパラが終わった後の現在の日本の状況という中で、それを含めて、今あったようにハードだけではなくしっかりソフト面の機能を盛り込みながらも、とはいえ場所も重要にはなりますし、その都道府県の状況によっては1カ所でカバーしきれない面積の広い都道府県もございますので、そういったものも考えながらサテライト、そしてネットワーク化、それをプラットフォームとしてのハブ機能を使って、その県の障害のある方々も含めた、スポーツ全体を高めていくようなハブ、拠点を作っていきたいということで、今回の議論を進めてまいりました。ボッチャ等非常に人気が出て、多くの方々に関わってもらって参加いただいている状況ですが、実はそんな中で、障害のない方々だけでのボッチャの大会になっていって、障害のある方々が参加できていないという逆の事例もあります。ボッチャは広まったけれども共生社会につながっていったのかというと、そういった課題感もまた出てきているのも事実でありまして、正に共に楽しめるスポーツ界、そしてスポーツをそういった一つのツールとして取り組めるように、これからも引き続きの議論にもなっておりますので、最終取りまとめに向けても議論を深めて、審議会の委員の皆様にも御理解を頂きながら進めていければと考えております。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか?久野委員、お願いいたします。
 
【久野委員】  渡邉部会長の方のお答えで後半だけだったので、ライフパフォーマンスに関して友添委員のコメントに対して一言追加発言をさせていただければと思うのですが。友添委員がおっしゃるように、新しい言葉ですので、この辺りをうまく伝えていくということは御指摘のとおりだと思います。友添委員から御指摘があったような御意見はかなり部会でも議論がありまして、ただ、その中で今回渡邉部会長から御説明があったように、ライフパフォーマンスの向上のために目的を持った運動・スポーツの推進をしていくと。そこがこの施策のポイントだと思います。これは先ほど日本医師会の長島委員が、疾病を持った方々への適用を積極的に進めるときにかかりつけ医の活用をという御発言もありましたが、それにもつながっていくことになりまして、健康スポーツ部会に厚労省の健康課も参加されていて、当然これは取りまとめの中でこういう言葉を含めて了解が得られているというふうに判断できますし、私が地域でいろんな現場の健康部局の方とお付き合いする中からも、疾病予防とか割合アウトカムを求めている厚労省系と、スポーツ実施を挙げるスポーツ庁系のところで若干現場に混乱があったところが、ライフパフォーマンスの向上の目的を持った推進ということで、現場においてはそこが統合されていく方向性が打ち出されたというふうに政策的にも読めますのでこれはよい方向だと改めて思います。言葉は新しくできるといろんな混乱を生むので、今後のスポーツ庁の政策の中で丁寧に進める、あるいは周知をしっかりとしていくということはぜひやっていくべきだと思いましたので、追加発言をさせていただきました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。境田委員、お願いします。
 
【境田委員】  非常によく検討いただいてありがとうございますというのが一つで、これはJSCの国立スポーツ科学センターとかハイパフォーマンスセンターでいろんなエビデンスがあったり、おそらくこの健康スポーツ部会の検討されているライフパフォーマンスの向上についてもそうですし、それから障害者のスポーツ振興についてもそうですが、エビデンスに基づいて個々の競技者とか競技に限らない人々が、いろいろとそれによって恩恵を被るためにやはりエビデンスが必要で、今はDXだとか生成AIとかいう中で、そういうのが非常にしやすい環境があります。第3期スポーツ基本計画の中でも、国とJSCはいろいろな大学等と一緒にそういうエビデンスベースドの研究をして、それを普及させるようなことをしなければいけないようなことを書いたと思うのですが、その辺はJSC等との連携についてはどのような検討をされたか少し教えていただけますか。
 
【室伏長官】  ありがとうございます。JSCの方とも当然、これはコンディショニングというところにフォーカスを当てたり目的を持っているということでありますので、トップアスリートのハイパフォーマンスをライフパフォーマンスという形でスポーツ庁らしい健康増進というところで、このエビデンスに関してはもう一つ、東京大会のレガシーという取組もあって、これはポリクリニックで医学的なそういう医師と理学療法士やスポーツ側のトレーナーと一体的に取り組んできて、一人のアスリートの怪我をさせないような予防をするプログラムを行うとか、こういう連携が行われてきまして、これを展開していくという意味ではエビデンスとしては既にこういった取組をやっております。スポーツですので、実際に町単位でもこういった運動器に対する運動の効果を検証しています。この運動器という言葉が日本ではもう少し定着するように頑張らなければいけないのですが、運動は分かっても運動器が分からないという人が多くて、体には内科器と運動器があって、運動器はモーターコントロールとか筋骨格系の体の外側の機能。我々はこれまで運動しましょう、運動をすれば健康になると言っていましたが、どこか痛いのに運動できませんよね。それをどうやって治すか。腰痛、肩こりを訴える方が4000万人居るということで、これを本当にどこか医療現場だけでまかなえるのか、これは絶対無理なことで、むしろ運動療法。運動器のそういった機能を改善するような、先ほど結城委員からもありましたが、ちょっとしたバランスで痛みが改善するなどということはもうエビデンスとしても十分あって、これが広い意味で運動療法と言われていますが、こういった普及をどんどん行っていくことによって、長島先生がおっしゃった医療との連携も含めて、やはりスポーツの使命だと思います。スポーツ庁は競技スポーツが花形で、もちろんそうなのですが、予算もそうですけれども、でも我々はトップアスリートだけ見ているわけではなくて、そういったコンディショニングやそういった知見を本当にしっかり生かしていくことが、やはり国民のためになっていくスポーツ庁だと思いますので、こういったものを可能性を広げていくという意味ではぜひ連携、医師会の方からもありましたが、そこで健康を目指すというと、健康もよいのですが、やはり新しいワードがあってもしかるべきだということでライフパフォーマンスということだと思いますが、これに関してはさらに町単位で、例えば身体機能がどうかとか、QOLとか、労働生産性、プレゼンティーイズムとか、社会保障費とかそういった様々な観点から、今後さらにどういう形になっていくと人だけではなく町が元気になっていくかみたいな話ですね。少し話し過ぎかもしれないですが、人が元気になってスポーツをするとやはり購買意欲も高まって経済も発展していくというところもあると思いますので、できればもう少し大きなところでスポーツも考えていき、人々のライフパフォーマンスが向上すると、そういったところにも到達するのではないかというふうに思いますので、山口市長にもぜひライフパフォーマンスを実行していただけるようにと思いますが、こういった事例を少しずつ増やしてここにいますので、そういった事例もシェアさせていただきながら横展開していければというふうに思います。
 
【境田委員】  スポーツ庁長官がスポーツサイエンスの研究者であったというのは非常に幸いだと改めて思いました。今やはり生成AIとかデジタル、DXの時代で、こういうスポーツ分野に投資したいとか、新しい国民向けのサービスを開発したい会社というのはいっぱいあるのですね。実はJSCに20年分のトップアスリートのすごい宝のデータが有って、これはあまり生かされていないと思っているのですが、去年DXも自民党の部会でも検討しましたが、やはりそういう日本にある様々な英知を活用して、スポーツを通じて国民を元気にする、そして町おこしするというのは、自治体とつながることも必要なので、そういった大きな絵を描きながら進めるのがよいかというに思いました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございます。渡邉部会長、どうぞ。
 
【渡邉委員】  部会として報告が漏れていましたので1点だけ追加です。いま境田委員がおっしゃったように、これからどうするのだというのは先般の部会で向こう3年間の工程表が示されました。その工程表の中身というのは、境田委員がおっしゃったようにいろんなエビデンスや知見がいろいろ散らばっています。そういったものをまず集約をするということ、そして実証研究を推進するということ、さらにそこで得られた知見をまた周知につなげていくということ。これが一つの柱です。それから2つ目は、実施を促進するための環境整備というところを国の方でも積極的にバックアップしていこうと。3つ目が、モデル創出の支援、実践モデルの推進、こういったものをいろいろ予算化して展開していこうと。最後は、長官が自ら出演されていますが、セルフチェック動画というのがあります。こういったものを含めて周知・啓発を徹底的にやっていって、やはり指導する人も当然必要になりますから、指導する方のためのツール等の作成も、そこの柱の一つとしては加えております。3年間の計画がきっちり出て議決されましたので、多分スポーツ庁はやってくれると思います。以上です。
 
【早川会長】  はい、どうぞ。
 
【友添委員】  確認だけしておきたいのですが、今スポーツの効用的価値とか手段的価値ばかりの議論が出てくるわけですけれども、スポーツは健康になるためだけにやるわけではない人たちも大勢いるということですね。スポーツに内在する楽しさや喜び、内在的・文化的価値を損ねてしまうとスポーツ庁としての本質がやはり歪んでしまう可能性があるので、ここだけはやはり確認をしておきたいと思って発言した次第です。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、本議題に関しての意見聴取はここで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。それでは、議題の3つ目「第3期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価」に入りたいと思います。第3期計画では取組・施策の実効性を高めるためのEBPMの推進が掲げられております。ロジックモデルに基づき、第3期計画の取組状況の進捗を毎年定期的にフォローアップすることとされております。前回の審議会以降、事務局にはロジックモデルをブラッシュアップしていただきましたので、その内容について事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【先﨑政策課長】  ありがとうございます。事務局でございます。基本計画の検証・評価のロジックモデルにつきましては、これまでに度々御意見、御指摘を頂きました。誠にありがとうございます。お陰様で形ができてきたところでございます。今日は、今ご紹介ございましたようなブラッシュアップの御報告と今後の予定について御紹介をさせていただきたいと思います。
 恐縮ですが、まず資料の3-3をご覧いただきたいと思います。この資料は1ポツ、2ポツの2つから構成されておりまして、1ポツが3月のスポーツ審議会総会で頂戴をした御意見でございます。主に3つございました。1つ目の丸、これは「KPIをきちんと明確に定めてほしい」という御意見でございます。もう1つが、3行目にございます「この検証評価を通じてスポーツにあまり関係がない人に対しても、スポーツには様々な意義があるということを伝えていくということが重要だ」。それから次のパラグラフの最後のところですが「第4期スポーツ基本計に向けての議論につなげていくものとする必要がある」という御意見でございます。3つ目は、3行目でございます「スポーツの価値やスポーツの社会的意義等に関するレガシーを何らかの形で評価・表現することができないか」という御指摘でございました。
 これと併せまして、これは4月以降になりますが、文部科学省の中にも文科省全体の政策評価に関する有識者会議というのがございます。言わば政策評価の専門家チームでございますが、その方々からも御助言を頂戴いたしました。まず1つ目が、下線部分でございますが「自分たちがコントロールできるものとできないものを峻別する必要がある」。これは後ほど資料3-1を使って具体的に御紹介をしたいと思いますが、自分たちの実施する事業と、それから実際にそれによって世の中が、行政が期待するとおりの効果が出ているかどうかというのは切り離して考えなければいけない。むしろそここそが評価をするポイントになるのだというような御指摘でございます。それから、2つ目の丸の下線部「因果関係を整理するにあたっては細かく段階を刻んで、手前とその後でどういう変化があるのかというふうなことが分かるように刻んでいった方がよい」という御指摘でございます。
 次の頁でございますが、下線部「KPIやKPI以前の状態について量と質を意識した設定が必要だ」という御指摘。それから、その次の丸ですが「中長期アウトカムからインパクトにどう貢献するのかということを整理すべきではないか」これは実はこの前の前の指摘と重複するところがあるのですが。それから、その次の丸「中長期的に長い目で見るものと、すぐに成果を確認するものなどの時間軸を分けた評価が重要」これも先ほどと似た御指摘でございます。それからその次「アウトカムについて、誰がどういう状況になる、という視点から表現ぶりを改めて整理すべき」これは何がどうなるのかということがはっきりと分かるようにすべきではないかという御指摘。それから最後の丸ですが、これはロジックモデルを作るときによくありがちなのだがということでございまして「必ず漏れが出るものだ。その漏れを潰して最初に精密なロジックモデルを作り過ぎるということは、費用対効果も非常によくない」「政策を動かしていく中で、どこでそれを吸い上げるのかということを念頭に置いて、別途メモしておいて、そしてそれを忘れずに対応していく」。ある程度政策評価が進んできたところで、それをもう一回政策評価の中に戻してあげて、それぞれロジックモデルというものを完成させていく。ずれが発生してくるものなので、常につなぎ直しをして柔軟に対応していくことが必要だと。政策評価の専門家からもこういう指摘を頂いているところでございます。
 これらを踏まえまして修正をいたしましたのが、お手元の資料3-1でございます。資料3-1は、それぞれ四つの柱がございますが、修正前、修正後という形で書かせていただいています。まず2頁のところに修正前というふうに出てまいります。アクティビティ、アウトプット、初期アウトカム、中長期アウトカム、インパクトという形でございますけれども、これが実は先ほどの専門家委員の御指摘であったところなのですが、例えば、このアウトプットの一番上、子供の運動時間の増加とか、あるいは体育事業の改善というのがアウトプットだと書かれておりますが、これは私どものアクティビティとしてこういうものを目標にして実施をするというものであって、私どもがアクティビティを打てば必ず子供の運動時間が増加したり体育の授業が改善されるというのではないでしょう。むしろそこをよく把握して評価するということが必要なのではないかというのが先ほどの専門家の委員の御指摘であったわけでございます。
 そこで、この3頁の方をご覧いただきますと、構成が大きく変わっております。アクティビティの後のアウトプットというのをやめまして、初期アウトカムというような形と直接つないでおります。例えば子供の運動時間の増加や体育授業の改善というところは、3頁では初期アウトカムの中に出てまいります。私どものアクティビティによって、私どもは子供の運動時間が増加したり、体育の授業が改善されたり、スポーツ・運動を「好き」だと感じる子供が増加してほしいわけですが、本当にそうなのかというところを正に評価していくということが必要なのではないかという御指摘でございます。
 それから、また他の委員の方から御指摘があったのは「よく刻んで見ていく必要がある」というところでございました。2頁で言いますと初期アウトカム、それから中長期アウトカムというふうになっていますが、ここを初期アウトカム、中期アウトカム、長期アウトカムという形で、インプット、スループット、アウトプットという形で分かるようにして、どこでうまくいっているのか、どこで課題があるのかということを見えやすくしていく必要があるのではないかというところ、そのところの改善を図ったということでございます。
 それからインパクトのところでございますが、インパクトというのは、これもロジックモデルでありがちなのですが、左から右にリニアに伸びるものではなくて、実は様々な社会的・外的要因が加わってこのインパクトというのが出てまいります。そこで、一つ念押しをするという意味で「スポーツを通じた」という言葉を挟ませていただいて、私どもの施策がどうインパクトにつながっているのか、いないのかということが分かるように整理をさせていただいたということでございます。
 また、3頁におきましては、これは審議会の委員からの御指摘でございますが、長期アウトカムのところの最後、5つ目のポツですが、スポーツが持つ多様な価値、共生社会の実現への寄与等の実感、あるいは文化的・多様な価値、スポーツの持つ価値というふうなものを、長期アウトカムの中に入れさせていただいて、全体がどうなっていくのかということを見渡せるマイルストーンとして一つ置かせていただいているということでございます。その他、審議会の委員から御指摘のございましたKPIについても充実を図ったところでございまして、そういうふうに見てまいりますと、ここでは少し説明できないぐらい細かくいろんなところの修正をさせていただいておるのですが、こういう形で修正をさせていただいたところでございます。
 今後でございますが、第3期基本計画がスタートいたしまして既に1年半が経過をしております。これまでの御議論あるいは御意見、御指摘等を踏まえて、この修正させていただいたロジックモデルに基づいて、そろそろ施策の検証・評価作業というものにスポーツ庁として入っていかなければいけないという段階かというふうに考えております。当然その評価をこれから私どもの方でやらせていただいて、またその状況を逐一審議会の方にも照覧いただきたいというふうに思っておりますが、それらの議論というのは、来年度からスタートいたします第3期基本計画の中間評価、早いもので来年は既に基本計画の中間年を迎えるということになりますので、この基本計画の中間評価。そして、そこからさらにスタートいたします第4期の基本計画、令和9年度以降ということになりますが、策定に向けた議論のベースというふうにさせていただきたいと思います。まだまだ直さなければいけないところ、あるいは御意見を賜れるところはぜひともまた御意見を頂いて、汎用していきたいというふうに考えておりますし、また大きな状況の変化があるかもしれません。そういうものも踏まえて、それはそのときにまた修正を加えることを検討したいというふうに思いますが、基本計画がスタートして1年半ということもございますので、この資料3-1のようなロジックモデルで今後また柔軟に検討するとしても、一応これで施策の評価・検証作業に入っていきたいというふうに考えているところでございます。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の説明につきまして御意見、御質問等ありましたら、お願いしたいと思います。長島委員、お願いします。
 
【長島委員】  ありがとうございます。この中でスポーツDXというのが大変重要だと思っております。医療における医療DXでは、パーソナルヘルスレコード、これが生涯を通じた御自分の健康や医療の情報をスマホ等に蓄積して、御自分でも全部見られる、あるいはそれを関係者、例えばかかりつけ医なり関係する他職種等と共有することで、御自分の健康増進に役立てたり、生活習慣をよくすることなどに役立てたりできます。生涯を通じた健康の情報を御自分が把握するということが極めて重要とされています。正にスポーツにおいても、やはり生涯を通じた、あるいは各地域を通じて御自分がどのようなスポーツをなさっているのかという情報が把握できるようにするということが極めて重要かと思います。そういう意味で、一つはスマートフォンやスマートウォッチから現在は様々な身体活動の状況を自動的に記録できるというところもあります。それだけではなくて、様々なスポーツ施設等においてどのような運動をどの程度やっているのかというような記録、あるいはどのような指導がされたのかというようなこと、これが例えば御自分のスマホの中にしっかり蓄積されることで、例えば他のところで指導を受けるとか、他のところで運動をするというときに、その指導者と共有してしっかり指導が受けられたり、先ほど言ったかかりつけ医にも見ていただいて、それがしっかり役に立つ。あるいは過去のものを振り返って今後どうしようということで、パーソナルヘルスレコードならぬパーソナルスポーツレコードみたいな形で、御自分で様々なスポーツの記録をしっかりと残して、それを基にさらに次のステップへ進むというようなことは大変重要ではないかと思いますので、そのような考えも取り組んでいただければと思います。また、スポーツビジネスにおいても、ここのところを有効に活用し、御本人の同意を得た上でそのデータを収集することで、地域における様々なビジネス展開、あるいはビッグデータとして国の政策にも活用できるかと思いますので、ご検討いただければと思います。私からは以上です。
 
【早川会長】  長島委員、ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。結城委員、どうぞ。
 
【結城委員】  ありがとうございます。一言差し上げます。前回、いわゆるソフトレガシーや無形のレガシーを何とか評価できないかと意見を差し上げました。それに対して真摯にご検討いただいて、熟慮いただいた跡があることに対して感謝を申し上げます。KPI等々の指標のとり方は非常に難しい、無形のものはなかなか反映できにくいということを熟知した上で、今後第4期に向けて、その質的なKPIの模索であるとか、そしてそうしたKPIに資するような評価の仕方で、なかなかスポーツ庁単独ではという場合に、研究者や様々なスポーツ界との横連携等を模索しながら、そういった指標を工夫できないか、お考えいただければという期待、希望を差し上げたいと思います。スポーツの価値、そしてそれをどのように社会に生かすかということは、数値的な評価が難しいものであると感じます。ただ、スポーツ庁の施策がどのように社会に資するかということにおいても、一般の人々の意識変容や行動変容を促していくことが起点になっていると考えます。そのときに、人々の行動変容、意識変容が何をきっかけとして起こっていくか。そこには往々にしてやはりスポーツの本質的に持つ価値、友添委員的に言うと内在的な価値、これがすごく大きな触媒となっているのではないかと思いますし、例えばあれだけ逆風の吹いた東京オリンピック・パラリンピックで、その直後に人々がよかったと言ってくれましたのは、やはりひとえに選手たちの姿に感動したとか、目を開かされた、心が前を向いた、そういう意識や自分たちが受けたものに対する無形の価値だったということは、やはり見つめるべきではないかと思います。その辺りをどのように広めていくか、理解を深めていくか。施策の中で実はそれを最終的には行き着くところとして求めたいのだという部分を行政としていかに発信できるか。その辺りが一つのポイントになり得るのではないかと個人的に思います。
 
【早川会長】  ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。
 
【鈴木委員】  ありがとうございます。私は今埼玉県の方でスポーツ・運動好きだと感じる子供の増加を促進するための会議というのにも委員で入っています。そこでは体育の授業改善ということを主にしてやっています。正にこの基本計画が地方の方でも動き出しているというのを、実感しています。地域の方で動き出していますので、このKPIが今後どのようになっていくのかというのが、やっている私にとっても楽しみであります。実践が始まって各地域でこの動きが始まって、その後検証されていき、この数値がどのように変わっていくのか、今後本当に楽しみだと思っています。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。大日方委員、お願いいたします。
 
【大日方会長代理】  ありがとうございます。修正前と修正後を見比べて、本当に分かりやすくなったなということを非常に強く感じました。こういう形で見てみると、修正前は私も少し分かりにくいなというのがあって、この矢印はどうつながっているのだろうなどと考えるときもあったのですが、修正後で整理していただいたものを見ると、今皆様からも議論がありましたが、足りないものも見えてくるし、ここはもう少し深めて議論した方がよいなというようなこともいくつか見えてきたと思います。
 一点、見ていて少し気になったのが、最後にあるインパクトのところについてです。3頁や5頁では、矢印もこっちに向いたりあっちに向いたりして複層的に絡んでいるというものが表現できていると思うのですが、これが7頁のDXの話になりますと、インパクトで出てくるものが持続的なスポーツの発展に限定されたり、9頁でも地方創生、経済の活性化ということになっています。その手前にはもちろん、デジタルの一般化とか組織運営の適切さ、健全性みたいなことであったり、スポーツ市場規模とあるわけです。本当に私たちが得たいインパクトはこれだけだったかというところをもうす少し考えた方がよいと思います。つまり、境田委員の方からもお話がありますが、スポーツにおけるデジタル活用の一般化ということは我々のスポーツの持続的な発展のためにインパクトとして得たいものだというふうにとらえられてしまうと、そんなもののためにスポーツDXを進めるのだったのかというと、そういうわけではない。これまで審議会で議論されてきたたくさんの深い内容まで含まれるとよいと思います。例えば、私たちがめざす健康長寿社会にスポーツをどう生かしていくのかというような、インパクトとして得たいものの一つというのはそういうものであったというふうにも考えております。インパクトの部分を幅広に捉えること、あるいはどうつながっているのだろうということを矢印1本ではなく複数あるものだと思います。少しそう考えてみると、実は第4期スポーツ基本計画、スポーツの価値というもの、スポーツが社会に対してどういう貢献ができるのだろうかというようなこと、そしてよりよい生活に資することができるのだろうかという、そういったスポーツに関心を持たない方々に対しても説得力のある、スポーツの施策を進めていくのはこういうものなのかということが伝わりやすくなる。こういうことがスポーツにおいては整理することができると、より分かりやすくなるし伝わりやすいのではないかと感じました。今後、ライフパフォーマンスの向上取り組む中で、ではここの箱の中で整理を検証、評価の中で進めれば、次の4期の計画議論にもつながるというふうに思います。 最後なのですが、KPIですが、ここはもう少しこの場で議論をした方がよいと思いました。整理してみると、これが本当にこのKPIでよいのか、もしかしたら第4期に向けて足りないKPIがあるのではないか、あるいは新たにKPIとして設置するべきか、結城委員がおっしゃっていたことにつながると思いますが、それをKPIとしていくための取組という事前の準備が多分必要なのですね。ソフトのものは新しいもの、質的なものをKPIにするという工夫をすると、より意味のあるものになると思います。全横断的な政府の取組と、このスポーツ審議会での議論やスポーツ基本計画でうたっていることとが、より多くの人たちに届きつながると、ご苦労されて作っていただいたものが整理されていき報われると思います。すみません長々と。ありがとうございました。

【早川会長】  ありがとうございました。
 
【細田委員】  今の御意見、とりわけスポーツDXの推進の7頁目のところについて同じように少しモヤモヤとしていたところがありました。正に御指摘のとおりだと膝を打った次第ですが、思いますに今正に起こっていることは先端技術の汎用化でありまして、このスピードというのはもうここに書かれていることが、長期アウトカムの辺りのところが既に現在進行中というような感覚があります。そういった意味でこの7頁の修正後のところが、簡単に言うととても物足りないなというふうに思っております。AIを活用していくのはもう避けようがないということはどの分野でもそうであって、その中で例えばAIのハルシネーションが今自分たちの中でも前に進むときに少しネックになっていると思います。しかしながら、AIをスポーツに活用することは、もしかすると最も人間中心の活用に直結できるのではないかという、漠然とした言い方で恐縮なのですが、そんな期待感を持っています。私は、生成AIが教育分野の中でこの後どのように発酵していくのかということもよく考えているのですが、そこには少し危機感等もあるのですが、その危機感を払拭できるようなフィールドがスポーツDXなのかなと思っております。スポーツDXの推進、この7頁のところの修正後の頁については、もう少し議論が深まっていくとよいかと思っております。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、本件についての意見聴取はここで終わりにさせていただきます。頂いた御意見につきましては事務局で検討いただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、最後の議題です。「その他」でございますが、令和6年度の概算要求が先日公表されましたので、スポーツ庁の概算要求の主要事項について事務局より御説明をお願いします。
 
【先﨑政策課長】  度々恐縮です。事務局でございます。お手数でございますが参考資料の5をご覧いただきたいと思います。「令和6年度概算要求主要事項」というものでございます。2頁目をご覧ください。まず、概算要求の額でございますが、本年度359億円のところ、来年度の令和6年度につきましては、約428億8000万という形での要求。要求額で申しますと約120%、20%の増という形での要求となっております。主要事項の御紹介をしてまいります。まず、地域スポーツクラブ活動体制整備事業でございますが、運動部活動の地域スポーツクラブ移行というものを2023年度から2025年度にかけて改革推進期間として実施をしております。来年度はその2年目ということでございまして、今年度実施をしております実証事業をさらに深めて拡大していくというものでございます。今約340の市町村でやっているものを、さらに約600市町村まで広げて実施をしていくということと、それから重点地域というのを9つほど設けまして、県と基礎自治体、それから各部活動、スポーツクラブ含めて、より多面的、立体的に実証していくというようなことも含めた概算要求となっております。
 (2)は、これも(1)と関連しますが部活動指導員についてでございます。現在1万人ぐらいの予算を確保しておりますが、需要調査によりまして1万3,000人ぐらいの需要があるということから、その分の増額を図っております。
 (3)令和の日本型学校体育構築支援事業でございますが、これは学校体育に関する事業の集合体でございます。増要求につきましては、今年度から始めましたアスリーチというふうに呼んでおりますアスリートの学校現場への派遣という事業、大変好評でございます。今年は約600校で実施をしておりますが、来年度はこれを平年度化し1,000校化するということでの概算要求をしております。
 次は(4)感動する大学スポーツ総合支援事業でございますが、これはUNIVASを中心とした大学スポーツに対する支援でございます。予算としましては、部活動の地域クラブ活動への移行の貢献ということで、大学の知見、人材を活用するために、大学にも地域移行に関する御支援を頂いた場合には、それに対する何らかの支援をするというような、そういう内容になっております。
 (5)がSport in Life推進プロジェクトということでございます。スポーツの実施率を質、量共に改善していくというものでございます。先ほど来お話のありました、スポーツにおいて最高の能力を発揮できるように、精神力とか肉体面、あるいは健康面からの機能、心身の機能をも調整するといったようなコンディショニングについての取組ということも併せて行っていくというものでございます。
 (6)運動・スポーツ習慣化促進事業でございますが、これも今医療との連携でありますとか介護の在り方、障害のある人とない人が共にというような、いろんな支援事業を行っておりますが、その中に、言葉については丁寧に説明していく必要がありますがライフパフォーマンスに関する取組の支援というようなことも含めて行っていくというものでございます。
 (7)障害者スポーツ推進プロジェクトでございます。これは障害のある人とない人が共にする環境づくりを支援していくものでございますが、重度の障害者のスポーツをさらにやっていく取組のための実証研究のようなことも含めて実施をしていくというものです。
 (8)日本パラスポーツ協会補助でございますが、これはパラスポーツ協会の補助はまだまだ足りておりません。私どもとしてもより積極的にこの部分の支援を図っていきたいというふうに考えております。
 続きまして頁が少し飛びますが、15頁目をご覧ください。こちらは競技スポーツを中心とした話でございます。持続可能な競技力向上体制の確立と。まず(1)競技力向上事業でございます。言わずと知れた事業でございますが、来年はパリオリンピック・パラリンピックの当年、さらには2026年にはミラノ・コルティナダンペッツォがあるということで、選手強化プランに基づいた支援強化というのを図っていかなければいけない。特にパラスポーツにおけるコーチ、ナショナルヘッドコーチでありますとかナショナルコーチを中心とした支援の増額というものを図っていきたいと考えています。
 (2)が競技団体の組織基盤強化支援事業。これは(1)とも対となるものですが、競技の支援というものは行っていくわけですが、一方で団体の基盤強化、自走化し、場合によっては自分で資金を獲得するというような取組も深めていかなければいけない。そのための様々なバックオフィスの支援等にも力を入れていくというものでございます。
 (3)がハイパフォーマンス・サポート事業です。今もNFに対するサポートスタッフの帯同による支援を行っておりますが、来年はパリ大会の当年ということもございまして、サポート拠点を会場近くで展開するための費用の計上も行っております。
 (4)は先端技術を活用したHPSC基盤強化事業で、今年度まではスポーツ支援強靱化のための基盤整備事業というふうに言っていたものですが、そこに、先ほどSport in Lifeでも出てきましたがハイパフォーマンスにおけるコンディショニングについての研究費ということも増額をしているところでございます。
 (5)スポーツ国際展開基盤形成事業でございますが、これはIF役員を増やしていくための支援事業として昔からある事業でございますけれども、今年度はそこにさらに国際大会のノウハウの実地のナレッジというもの。かなり日本でも国際競技大会が開かれるようになってきました。国際大会のノウハウというものをナレッジ化して、それを次世代につなげていくといったような取組にチャレンジしたいというものでございます。研修やイベント、交流、事例集といったようなものを充実させていくというものでございます。
 (6)ドーピング防止活動推進事業でございますが、アンチ・ドーピングに関する新事業の中核でございます。今年度は検査手続きのオンライン化の研修というようなところ、後は研究開発というところに力を入れていきたいということでございます。 次が22、23頁目でございます。スポーツの成長産業化、スポーツによる地方創生ということでございます。まず(1)スポーツ産業の成長促進事業ということで、いくつかのポツがございます。スポーツのホスピタリティでありますとか、スポーツとテクノロジーでありますとか、あるいはスタジアムアリーナ改革、スポーツオープンイノベーションプラットフォームといったような様々な事業がございます。産業の成長促進をモデル的に発掘して支援、横展開するというものでございますが、今年度このスポーツホスピタリティでありますとか、あるいはスタアリ改革に関する事業の充実というものを図っていきたいと考えております。
 それから(2)スポーツに関する地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業。スポーツツーリズムでございます。武道ツーリズムでありますとか、あるいは最近はスキーに関するツーリズム等もかなり勢いがあるようでございますが、こういった事業をモデル的に支援する他に、インバウンドの回復を含めたスポーツツーリズム・ムーブメントの創出を積極的に推進するというものでございます。
 (3)は、スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業ということで、(2)と対を成すものですが、こういった活性化・まちづくりの担い手を育成していくというための事業ということでございます。人材育成のサポートや人材確保に向けたマッチングの実証研究等にも力を注いでいくというようなものでございます。来年の概算要求は以上でございますが、今後は緊急経済対策等々、予算編成に向けてはいろんな大きな局面がございます。そういった局面をスポーツ庁、文科省併せて積極的に捉えて、予算増に向けて精一杯努力をしていきたいというふうに考えております。以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。ただ今の御説明に関して何か御質問等はございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
 
【鈴木委員】  中学校における部活動指導員の配置支援事業についてなのですが、学校現場や地方自治体は、人とお金がないという話が前回も出たと思います。ここの人に関わる教師に代わってという部分が兼職・兼業の教員も含むのであるのかどうかといったところが大きいと思うのですが、含まれますでしょうか。
 
【先﨑政策課長】  担当課長の方からご説明させていただきます。
 
【橋田地域スポーツ課長】  失礼いたします。地域スポーツ課長でございます。部活動指導員そのものにつきましては、学校の職員という位置付けでございます。
基本的に中学校の教員が自校や他校の部活動指導員そのものになるというのはあまり想定はしておらず、十分慎重に判断することが必要です。一方で、地域クラブ活動の指導者は、学校の教育外の運営団体、自治体の指導者、その立場になる場合には兼職・兼業の手続を経て対応いただくというのは想定しておりまして、これは昨年12月のガイドラインを踏まえた通知の中でも兼職・兼業の取扱いを示し、さらに1月には初等中等教育局と連携いたしまして手引の方のお示ししておりますので、その点での対応というのはしっかりやっていきたいと思っております。
 
【早川会長】  ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか? はい。それでは、ここで意見交換は終了とさせていただきます。最後に室伏長官からまとめの御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【室伏長官】  お疲れ様でございました。様々な角度から忌憚のない御意見を頂きました。ありがとうございます。本日の総会ではスポーツ団体のガバナンスコードの今後の在り方について答申を頂戴いたました。また、スポーツ審議会健康スポーツ部会での審議状況や、第3期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価等、様々な議題についてご議論いただきました。第3期スポーツ基本計画に関しては来年が計画期間のちょうど中間年度となります。本日頂戴いたしました御意見を来年度の中間評価、さらには第4期スポーツ基本計画の議論にも生かし、よりよいスポーツ行政の実施に向けて検討を進めてまいりたいと思います。引き続き、委員の皆様方の御協力を頂戴できればと思っております。ありがとうございました。
 
【早川会長】  ありがとうございました。次回の対面での開催は来年の3月ごろを予定しています。事務局で調整いただきましてまたご連絡させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

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