スポーツ審議会総会(第32回)議事録

1.日時

令和4年9月6日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス (東京都港区虎ノ門一丁目3番1号 東京虎ノ門グローバルスクエア 4階)

3.議題

  1. (1)会長の選任等について
  2. (2)スポーツ審議会について
  3. (3)令和3年度第1次補正予算におけるスポーツ団体に対する補助案について
  4. (4)最近のスポーツ施策の動向について
  5. (5)その他

4.議事録

(1)会長の選任等について
委員の互選により早川委員が会長に選任された。会長代理については、早川会長から大日方委員が指名された。
 
(2)スポーツ審議会について
事務局から、スポーツ審議会の運営について資料2-1、資料2-2、資料2-3に基づき説明があり、原案のとおり決定された。
また、公開に関する規則に基づき、この時点から会議が公開された。
 
【早川会長】  先ほど委員の皆様より会長に選任いただきました、早川でございます。この新しい体制の下で、第3期スポーツ基本計画の着実な実行に向けて邁進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、会長代理として、第3期に引き続いて大日方委員に御就任いただきましたので、お知らせいたします。
 それでは、第4期スポーツ審議会の発足に当たり、室伏スポーツ庁長官から御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
【室伏長官】  早川会長、ありがとうございます。
 皆さん、御紹介いただきましたスポーツ庁の室伏でございます。第4期スポーツ審議会の委員に御就任いただきまして、このたびは誠にありがとうございます。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会、開催よりもう1年がたちましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期となりましたが、関係者の皆様の力により無事に開催することができました。
 前期の審議会においては、今後5年間の第3期スポーツ基本計画について御審議いただく中で、様々な御意見を頂戴し、我が国のスポーツ政策が進むべき方向を示していただきました。スポーツ庁としましては、第3期計画の着実な推進を図るために、組織の再編、そして広報活動――随分このことはアドバイスいただきましたけれども、広報活動等の取組を進めてまいりました。
 本日は、これらの取組に加えまして、6月に検討会議にて提言を取りまとめいただいた運動部活動の地域移行等につきましても御報告いたします。
 これからのスポーツ行政は東京大会のスポーツレガシーを継承、発展させるため、スポーツを通じた健康増進、そして、共生社会の実現など、具体化に取り組む必要があると考えております。委員の皆様方は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を頂戴できれば幸いでございます。本日はよろしくお願いいたします。
【早川会長】  長官、ありがとうございました。
 また、委員の方の自己紹介につきましては、後ほど意見交換の時間がございますので、そちらで併せて行っていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、議題の三つ目、令和3年度第1次補正予算におけるスポーツ団体に対する補助案について意見聴取を行いたいと思います。
 こちらは、スポーツ基本法上、国がスポーツ団体等に対して補助金を交付する際にはスポーツ審議会の意見を聴かなければならないとされていることから議題としているものであります。
 まず初めに、本日の出席者のうち、スポーツ審議会運営規則第7条の利益相反に関する規定に該当する可能性のある方は、斎木委員、友添委員、私、早川、三屋委員、山下委員、以上であると事務局において確認しております。私も同規定に該当いたしますので、こちらの……。失礼いたしました。あとお二人いらっしゃいました。境田委員、諸橋委員、以上でございます。私がその規定に該当するということで、こちらの議題3のみ、会長代理の大日方委員に進行をお願いできればと思います。大日方委員、よろしくお願いいたします。
【大日方委員】  早川会長より御指名をいただきまして、議題の3につきまして進行役を務めさせていただきます。
 本議題に関する利益相反に該当する委員につきまして、事務局、今、会長から御紹介いただいた委員のほかに該当する委員の方はいらっしゃいますでしょうか。
(「なし」の声あり)
【大日方委員】  該当する方はこれ以上いらっしゃらないということですので、本議題につきましては、事務局からの説明聴取を行ったのちに委員の皆様から意見聴取を行いたいと思います。
 また、利益相反の規定に該当する可能性のある委員におかれましては、御発言を遠慮いただくようにお願いをいたします。
 では、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【渡辺参事官】  資料3、11ページを御覧ください。
 令和3年度第1次補正予算におけるスポーツ団体に対する補助について(案)というものでございます。これは令和2年度には3回、これと同じ内容のものを御説明し、御意見を頂戴したほぼ同じものでございます。
 全国規模のスポーツリーグまたは大会の主催団体補助という形で、これは別紙を御覧ください。14ページのパワーポイントの資料を御覧いただければと思います。ここで四つコラムを設けております。
 1番のところで、試合開催時における感染症対策の徹底ということで、消毒液、それから検温に必要な機器の購入、それから人員の確保、こういったものに対する支援というのが1番目です。
 それから2番目、試合の運営改善による感染症対策の強化ということで、様々な技術を活用して、空気の滞留を把握したり、あとは人流解析を行うということで、得られた知見を今後の感染対策に生かすというような取組です。
 それから3番目の取組として、コロナ禍における体験機会の提供拡大ということで、直接会場に来れないというようなことが起こります。それに対して、リモート観戦時の臨場感のある放送配信用コンテンツを作ったりというようなこと、こういったデジタル技術を活用した取組を支援するというものが3番目です。
 それから4番目、試合の中止等に伴い発生したキャンセル費用支援という形で、政府からまん防とか、様々な観客制限なども行われましたし、それに加えまして、水際措置として入国ができないというようなこともございました。こういったものでキャンセルせざるを得ない、もしくは、キャンセルしたというものに対して支援をするということで、この四つに該当するものという形でスキームができております。
 その下を御覧いただければと思います。上記1から3につきましては、補助率2分の1、それからキャンセル費用の支援については10分の10の定額で補助という形でのスキームができております。
 合計で51億円という形で募集を開始しました。
 公募期間は令和4年6月3日までという形で、ただ、事業期間は、今年度末近くということで、来年の2月28日までの事業と、期間を置いております。
 そこで、12ページ、13ページを御覧ください。
 全部で82の団体及び交付決定額の案という形で、金額をリスト化しております。スポーツ庁におきまして、こういった申請書類のチェックを行いました。私たちがチェックをした結果というのがこの82団体、合計で17億円という形になっております。
 これら、全体52億円の予算の枠がございますが、まずはその17億円という形で、できれば交付決定を進めたいというふうに考えております。今後につきましては、また、コロナの状況にしたがって、もっとひどくなった場合に再度募集をするということもあるのではないかと考えておりますが、まずは申請をしてきていただいたところに対しての手続を進めたいと思っておりますので、ぜひ御意見、それから御質問をいただければと思っております。よろしくお願いします。
【大日方委員】  ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見がございましたら挙手をお願いいたします。また、オンラインで御参加の方は、挙手ボタンを押していただきますようにお願いいたします。会場の皆様にもし挙手の方がいらっしゃるようでしたら、事務局のほうでサポートのほどお願いいたします。
 特に御意見はないということでよろしいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【大日方委員】  それでは、スポーツ庁においては適切な補助金の執行を行っていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ここで司会進行を早川会長にお戻ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
【早川会長】  大日方委員、ありがとうございました。
 続きまして、議題の四つ目、最近のスポーツ施策の動向に入りたいと思います。
 本日は第4期スポーツ審議会の最初の会議でございますので、スポーツ庁より一括して説明を受けた後に、委員の皆様お一人お一人から、今後の取組の在り方等につきまして意見交換をしたいと思います。
 それでは、まず、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【大西政策課長】  それでは、資料4-1、4-2、4-3、それから参考資料4に基づきまして、まず私のほうから御説明させていただきます。
 資料4-1は、第3期スポーツ基本計画の概要になっております。こちら、釈迦に説法でございますけれども、若干御説明させていただきますと、第2期計画期間中の総括として、新型コロナウイルス感染症の拡大、それから、東京オリパラ大会の1年延期、原則無観客での開催、その他社会状況の変化がある中で、改めて確認されたものが、スポーツそのものが有する価値、それからスポーツが社会活性化等に寄与するという価値、この二つの価値をさらに高めるべく、第3期計画で施策を展開していくというふうにまとめております。
 東京オリパラ大会のスポーツレガシーの継承発展、それから、新たに三つの視点を設定しまして、スポーツを「つくる/はぐくむ」、スポーツで「あつまり、ともに、つながる」、スポーツに「誰もがアクセスできる」、この三つの視点から施策を考えていくということになります。
 その次のページになりますけれども、今後5年間に総合的、計画的に取り組む12の施策ということで、①から④がスポーツの振興に資する施策、⑤から⑧がスポーツによる地域活性化、社会課題の解決に資する施策、それから⑨から⑫がそれらを行うための基盤的なものあるいは制度的な整備ということでまとめております。
 また、その下には、感動していただけるスポーツ界になるための目標設定ということで、KPIのようなものをそれぞれ設定いたしまして、これの向上に向けて取り組んでいくというふうにまとめております。
 次の資料4-2でございます。
 スポーツ庁として、前回の総会における広報についての御審議に基づきまして、第3期スポーツ基本計画の広報を実施しております。ホームページの作成や事務連絡の発出、それから、多くの団体等に対しての説明会の実施、それからSNSやスポーツ庁のウェブマガジン「デポルターレ」におけるその配信、それから長官自らインタビューや寄稿等において、スポーツ基本計画の内容についての発信というものに取り組んでございます。
 それから、資料4-3を御覧ください。
 東京オリパラ大会後のレガシーの継承・発展に向けたスポーツ庁の体制の整備ということで、4月1日から右側のような体制になっております。それまでは、五つの課、二つの参事官という体制でございましたが、一番下にありますオリンピック・パラリンピック課が令和3年度末までの時限でありましたので、この課がなくなりまして、代わりまして、右側のほうに赤い字で書いております組織が新しく設けられています。
 地域スポーツ課ということで、運動部活動が政策課の学校体育室から地域スポーツ課のほうに移行しまして、スポーツ課では運動部活動の推進、それから幼児期から大学生までのスポーツ活動の推進、こういったものを担当するということ。それから、国際担当の参事官が、オリンピック、パラリンピックのスポーツフォートゥモローの推進を引き継いでいるということになります。
 続きまして、参考資料の4を御覧ください。
 参考資料4は、令和5年度の概算要求主要事項ということで、先週いろいろ報道もされましたが、令和5年度に向けての概算要求について御説明いたします。
 目次の次のページに、主要事項ということでまとめておりますけれども、大きく4項目ございます。スポーツ庁の予算は、令和4年度、前年度予算額というところに、一番上に書いておりますのが、約355億円でございましたけれども、令和5年度の概算要求額は463億円ということで、増減としては108億円の増という大幅な増要求をさせていただいております。
 四つの項目がございまして、一番上の運動部活動の地域連携や地域スポーツクラブ活動移行に向けた環境の一体的な整備等、こちらが大幅な増額を要求しているものでございまして、(1)地域スポーツクラブ活動体制整備事業等が82億円弱の要求、(2)中学校における部活動指導員配置支援事業が、拡充ということで20億円の要求をさせていただいております。こちらは後ほど地域スポーツ課長のほうから説明させていただきます。
 そのほか、大きな二つ目の柱、持続可能な競技力向上体制の確立等としましては、競技力向上事業を引き続き、オリパラが終わった後ではございますけれども、103億円の要求。それから、競技団体の組織基盤強化支援事業ということで、3億円から6億円への増要求をさせていただいております。
 それから、三つ目の柱が、多様な主体によるスポーツ参画の促進と共生社会の実現、その中では、(3)障害者スポーツ推進プロジェクトを大きく拡充して要求しています。
 また、四つ目の柱、スポーツの成長産業化・スポーツによる地方創生につきましても、それぞれ拡充した予算を要求しているところでございます。
 その次のページからは、それぞれの項目につきまして、より具体的な内容等、それぞれの事業についてのポンチ絵を添付してございますので、適宜御参照いただければ幸いでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【橋田地域スポーツ課長】  続きまして、お手元の資料の21ページ目から御覧ください。運動部活動の地域移行と地域スポーツ環境の整備について説明させていただきます。
 続いて、22ページをお開きください。
 左上のグラフでございますけども、中学生世代の人口増減の推計といたしまして、今後とも少子化が進む状況という中で、右上のとおり、1運動部活動の参加人数は近年減少傾向にあるという状況でございます。また、左下のとおり、参加率自体も減少傾向にあるという中で、一つの学校では部活動が成り立たなくなるといった状況も見られます。また、右下、教師の休日の部活動指導の時間につきましては、約2時間という中で、これが負担になっているという状況もございます。
 そうした中、23ページ目、これまでの経緯・取組でございますけれども、一番上の平成30年のガイドラインの中では、この生徒のスポーツ環境の充実の観点から、学校と地域が協働・融合した形での地域のスポーツ環境整備を示していたというところでございます。
 その後、平成31年の中央教育審議会答申の中では、地域で部活動に代わり得る質の高い活動機会を提供していくという観点から、将来的には学校単位から地域単位の取組にしていくということが盛り込まれておりました。
 さらに、その後の国会附帯決議の中では、この部活動を地域単位の取組にすること、これを早期に実現するということが国会から政府に求められていたというところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、令和2年の部活動改革の方針の中で、令和5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るという方針を示していたところでございます。
 こうした方針を受けまして、25ページでございますけれども、令和3年度からのモデル事業といたしまして、全国各地の拠点校において実践研究に取り組んでいただいているというところでございます。
 資料の26ページでございますけれども、実践研究は、47都道府県、12指定都市に委託いたしまして、102の市区町村で取り組んでいただいております。受け皿といたしましては、地域のスポーツクラブですとか、教育委員会指導、体育(スポーツ)協会、民間事業者、地域学校協働本部などといったような形で、多様な主体で担っていただいております。
 国としては、何か一つのモデルというよりは、こうした多様なモデルを創出して、今後、事例集の作成というのを取り組んでいきたいと考えております。
 続いて、30ページを御覧ください。
 スポーツ庁といたしまして、部活動の受け皿の整備方策を検討いただくため、運動部活動の地域移行に関する検討会議――友添委員にも座長を務めていただきましたが、こちらで議論をいただきまして、去る6月6日に提言が取りまとめられたところでございます。
 資料の32ページがその提言の概要でございます。今回、公立の中学校等を対象といたしまして、まず、運動部活動の意義といたしましては、上のほうにございますように、これまで自主的、主体的な参加による活動を通じた責任感、連帯感の涵養といったような役割があったわけでございますけれども、課題といたしましては、冒頭に説明したような少子化の進行、あるいは、競技経験のない先生の指導、休日を含めた指導といったところの負担もあるという状況でございます。そうした中で、これまでも説明したような方針を示してきたというところでございます。
 その上で、今回、目指す姿の部分につきましては、やはりスポーツにとっての今回の意義という観点から3点示しております。
 1点目といたしましては、この少子化の中でも将来にわたって子供たちがスポーツに継続して親しむ機会を確保すると。このことは、学校の働き方改革を推進し、学校教育の質の向上にもつながるということ。
 2点目といたしましては、スポーツというのは楽しさ、喜びを感じることに本質を持つわけですけれども、部活の意義を継承、発展させながら、地域での様々な方々との交流を含め、新しい価値を創出すること。
 また、3点目といたしましては、地域の持続可能で多様なスポーツ環境を整備するという中で、多様な体験機会を確保していこうというところで整理がされております。
 続いて、改革の方向性でございますけども、まずは休日の部活動について地域移行していくということを基本といたしながら、目標時期といたしましては、令和5年度の開始から3年後の令和7年度末を目途としております。
 一方で、3年ではなかなか難しいという御意見もございまして、ここのところはさらに時間を要する場合、地域の実情等に応じて可能な限り早期の実用を目指すとされております。
 また、平日の部活動の地域移行については、できるところから取り組むことを考えられますけれども、休日の進捗状況を検証し、さらなる改革を推進するとされております。
 続いて、課題への対応のところでございますけれども、新たなスポーツ環境につきましては、地域に応じた多様なスポーツ団体等が実施主体として想定されること。また、スポーツ団体等の充実に向けて多様な財源確保を検討していくこと。指導者の確保のため資格の取得、研修の実施、教師の兼職兼業、支援方策の検討に努めていくこと。学校体育施設の有効活用も盛り込まれております。
 また、右上の大会については、地域のスポーツ団体等でも参加できるよう要請していくこと。会費負担に関わりましては、困窮する家庭への支援、保険についてはスポーツ安全保険が災害共済給付と同程度の補償になるよう要請していくこと。その他、学習指導要領等の取扱いについても盛り込まれております。
 今回の提言を踏まえまして、35ページでございますけれども、今年7月には室伏長官より、一つには、日本スポーツ協会に対して、スポーツ活動の実施主体の確保、指導者の質の保障、量の確保、加盟団体の主催大会における見直し等の協力支援を要請しております。
 また、36ページ、日本中学校体育連盟でございますけれども、既に令和5年度から、地域のスポーツ団体等の参加を認めるという方針を決定いただいておりますが、その着実な実施。また、都道府県等の大会でも同様の見直しが行われるよう協力や支援を行うということを要請しております。
 スポーツ安全協会につきましては、要請も踏まえまして、既にこのスポーツ安全保険の見直しを決定いただいているというところでございます。
 37ページをお開きください。
 今回の提言を踏まえた令和5年度概算要求といたしまして、地域スポーツクラブ活動体制整備費用等ということで、約102億円を要求しております。
 まず、事業内容の一つ目、地域移行に向けた支援でございますけれども、都道府県・市区町村レベルでの総括とコーディネーターの配置、中学校区レベルでのクラブ活動の運営団体・実施主体と中学校との連絡調整を行うコーディネーターの配置、②の運営団体・実施主体の体制整備等の支援、③の指導者の配置、広域的な人材バンク、講習会の開催の補助、④の参加費用負担の支援を要求しているというところでございます。
 その他、Ⅱ.のアドバイザー事務局の設置や派遣、また、Ⅲ.の地域スポーツクラブ活動のモデル創出に係る事業も要求しております。
 左下のⅣ.の部活動指導員でございますけれども、当面なかなか地域で受け皿がないというところにつきましては、こうした各学校拠点校での配置ができるような配置支援の経費も拡充しております。
 今回の改革の趣旨を踏まえますと、この体制例①のように、市区町村が運営団体となって地域のスポーツ団体等と連携して指導者を派遣したり、体制例②のように、進んだ地域につきましては、総合型地域スポーツクラブ等が主体になって取組を進めていったりというケースも考えられます。これらはあくまで一例でございますけれども、地域の実情に応じて取り組んでいただく中で、このメニューを用意させていただいております。年末の予算案編成に向けて、必要な額の確保に向けて努めていきたいと思っております。
 その他提言を踏まえまして、このガイドラインの改訂にも努めていきたいと思っております。
 以上でございます。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、これまでの内容につきまして、簡単な自己紹介を含めて、意見交換、質疑応答を行いたいと思います。
 赤間委員から五十音順で御発言いただきたいと思います。最後、渡邉委員の御発言の後に、大日方会長代理、それから私の順番にさせていただきたい思います。
 なお、時間の制約もございますので、恐縮でございますが、お一人3分程度で御発言をお願いしたいと思います。
 それでは、最初に赤間委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【赤間委員】  ありがとうございます。赤間高雄です。
 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の会長をしております。また、早稲田大学のスポーツ科学学術院の教授をしております。専門はスポーツ医学です。アテネオリンピック、北京オリンピック、ロンドンオリンピック等、日本代表選手団本部ドクターで参加しております。昨年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、チーフメディカルオフィサーを務めております。
 本日、スポーツ審議会総会に当たって、改めまして、スポーツ基本法のアンチ・ドーピングに係る部分をちょっと読み直してまいりましたので、少し意見を述べさせていただきます。
 スポーツ基本法は2011年施行で、第29条に「ドーピング防止活動の推進」というのが記されております。国はJADAと連携してアンチ・ドーピング活動を推進するというふうに書かれておりますけれども、この時点では、日本スポーツ振興センターについての記載はございません。
 2013年に、日本スポーツ振興センター法が改定されましたので、2018年施行のスポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律では、日本スポーツ振興センターは国とJADAと連携して、アンチ・ドーピング活動の中核としての役割を果たすというふうに記されております。
 また、本日の資料の参考(全体版)の、さらに参考4の11ページに少し書いてあるんですけれども、2016年にロシアの組織的ドーピング不正というのが明らかになりました。これを受けまして、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)では、各国のアンチ・ドーピング体制の監査を厳格化しました。日本も2018年にWADAの監査を受けまして、この時点では、JADAの検査実施体制は競技団体からの独立性確保が不適格という指摘を受けまして、そのままではオリンピック・パラリンピックやワールドカップに日本代表選手団が参加できないという事態となりましたけれども、その後、日本スポーツフェアネス推進機構が設立されまして、新たな検査実施体制が整備され、その結果、無事に日本代表選手団が参加できたという経緯がございます。
 このように、国内のアンチ・ドーピング活動体制には、近年かなり変化が生じていますので、特に施行から10年以上経過しているスポーツ基本法の内容については見直しが必要かどうか検討ということも課題ではないかと考えております。
 以上です。ありがとうございます。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、石野委員のほうから御発言をお願いします。
【石野委員】  皆様、こんにちは。石野枝里子と申します。
 私はもともとスピードスケートの選手をしておりまして、2006年のトリノオリンピックに出場しました。現役時代の経験を生かして、現在は、日本オリンピック委員会拠点ネットワーク推進事業、アシスタントディレクターとして勤務しております。主に、アスリートの練習環境に関するサポートをしております。
 長いこと競技スポーツの畑におりますので、競技スポーツの観点から最近のスポーツ施策の動向について私見を述べさせていただきますと、やはりトップアスリートの国際競技力向上のための施策というのが、非常に広範囲にわたり施行されておりますので、その結果というのが、最近のオリンピック、あとは世界選手権等に結果として表われていると実感しております。
 本当に、昔と比べましても、トップアスリートが日本国内で優れた、本当に高い水準でトレーニングできる環境が整ってきていると思っております。ただ、やはり諸外国と比べると、充実しているとは言い難いかなという部分もあると思っております。なので、ぜひ引き続き、さらなる国際競技力向上のための施策等を御検討いただきたいなというふうに思っております。
 ただ、やはり一方で、競技スポーツの現場の近くにおりますと、国費を使っている以上、国民の皆さんの御理解ですとか応援をいただかないとやっていけないという現状もあるというのを理解しております。
 なので、やはりスポーツの価値が問われているというところがありますので、スポーツをしていて競技力が向上すればいいということではないと思っておりますので、競技力向上と併せて、スポーツの価値が高められるような取組を、競技スポーツとしても、社会に貢献できるという要素があるというのを発信していきたいなと思っております。
 第3期スポーツ基本計画の中にも、多くそういったスポーツの価値を高めるような施策が組み込まれておりましたので、今後さらに期待したいと思っております。
 以上です。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、伊藤委員、よろしくお願いします。
【伊藤委員】  日本スポーツ協会JSPO会長の伊藤です。第3期スポーツ審議会から、引き続いて委員に就任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 第3期スポーツ基本計画では、JSPO関連の施策としては、総合型クラブ、スポーツ少年団の育成強化を通じた地域スポーツ環境の構築や、公認スポーツ指導者の養成を通じたスポーツに関わる人材の育成と活躍の場の確保など、内容が明記されております。これらの施策を中心に、JSPOが確実に実行することにより、基本計画の実現に貢献するとともに、年齢や地域を問わず、全国幅広く、直接コンタクト可能な接点を通じて、基本計画を広めていきたいというふうに考えています。
 なお、これらの施策への取組は、現在、スポーツ庁が中心となって取り進めている運動部活動の地域移行とも密接に関連するものであり、JSPOにおいて、本年4月、運動部活動の地域移行に関するプロジェクトを立ち上げました。
 JSPOでは、多様な学校や地域の実情を踏まえ、中学生をはじめとするジュニア世代が、目的、志向に応じて、スポーツを安全に楽しむことができる環境を整備するため、これまで以上に優れたスポーツ指導者の育成、実施本体としての総合型クラブやスポーツ少年団の育成に努めていくこととしております。
 具体的な取組として、明後日の9月8日にJSPO加盟団体ミーティングを行い、室伏長官にも御挨拶をいただくこととしております。さらに、11月にはJSPOの改革集中期間の取組をまとめ、加盟団体と連携、協働して、具体的な対策を示してまいりたいと考えております。
 これまでの取組に加え、新たな取組により、スポーツの価値の最大化に取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、河合委員のほうから御発言をお願いいたします。
【河合委員】  日本パラスポーツ協会パラリンピック委員会の河合純一です。どうぞよろしくお願いいたします。第3期より継続になりますので、引き続き皆様と議論をしていければというふうに考えております。
 簡単に自己紹介させていただきますが、私、視覚障害の水泳選手として、パラリンピック6大会に出場してまいりました。2020年より現職JPCで勤務をしております。
 このたび、第3期のスポーツ基本計画、非常にすばらしいものをまとめ上げることができたというふうに考えておりますし、さらに先月、障害者スポーツ振興方策に関する検討チーム報告書、高橋プランが出されたことにより、共生社会の実現を目指すという我々の考えている方向性を強く後押しいただいていると感じております。
 そのような立場から、3点、お話をさせていただきたいと思います。
 1点目は、日本パラスポーツ協会として、この東京2020大会のレガシーをしっかりと定着を地域にも進めていくために、全国47都道府県において、障害者スポーツセンターというものを設置できるよう、共生社会の情報発信のハブともなり得る拠点づくりに力を注いでいきたいというふうに考えております。
 2点目ですけれども、JPC、日本パラリンピック委員会といたしまして、今般の東京大会あるいは北京大会の成果を踏まえてですけれども、改めて、クラス分けというものの重要性をこれまで訴えてまいりましたところ、クラス分けセンター(仮称)の設置についても、今、検討を進めるということになっており、しっかりとこのあたりを踏まえて、我々JPCとして、2028年、30年に向けた強化の目標を、2020大会を、あるいは北京大会を踏まえて見直しを行いまして、金メダル数、総メダル数、メダル獲得競技数の最大化を図るというふうにいたしました。こういった目標は国の大きな方針と合致しているものと思っておりまして、引き続き、この達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 3点目は、個人的、なおかつ障害のある当事者として、これら様々な方策や施策を見直していった中で、発掘などがジャパンライジングスタープロジェクトや、今の強化の方向性などがある中で、育成環境の充実という部分においては、やや課題があると考えております。
 障害のある子供たちがしっかりとアスリートを目指していこうと思ったときには、脆弱なパラの競技団体ごとにこの育成環境まで整えていくのは、なかなか課題がありますけれども、障害種に応じた支援を行うことで、例えば、寄宿舎など、寮などがある特別支援学校なども、地域の医科学スポーツセンターや競技団体などと連携、協働することで、アカデミー化、ジュニアアカデミーのような形を、ロールモデルをつくっていき、しっかりと広げていくようなことも考えていかなければ、発掘したけれどもなかなか育成できないという状況にならないかということを危惧していることを、最後に申し上げておきたいと思います。
 いずれにいたしましても、第3期スポーツ基本計画に書かれている中で、障害のある児童生徒が希望すれば、学校の体育や運動活動等で見学をするということをなくしていこうということも明記をいただいたところでございますので、こういったところが着実に実施できるよう、私自身も全力で取り組んでいきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
【早川会長】  ありがとうございました。
 では、続いて、久野委員のほうからお願いいたします。
【久野委員】  筑波大の久野と申します。私も第3期に続いて、今回、拝命させていただきました。私の専門は、スポーツ医学、健康政策です。特にスポーツと健康、あるいは、今日の御説明の中ですと共生社会というような観点で貢献できればと思っております。
 基本計画の中でも関わらせていただきましたが、計画をつくってから時間がたっているので、さらにそれを進めていくための新たな視点もあるな、今日、感じながらお聞きしていたんですが、私の領域で申し上げますと、共生のある面の反対語は、社会的孤立になるのかなと。特に、高齢者に関しては、運動不足とか喫煙より孤独のほうが死亡リスクを高めるという明確なエビデンスが、もう10年以上前に出ております。
 健康にスポーツがいいぐらいは国民に伝わっているんですが、そこに一定の投資や仕組みをつくることへの価値が伝わっていない。スポーツという世界で捉えられてしまって、地域課題を解決するというところにつなげていないところに、自治体の首長さんや職員の皆さんを含め、少し課題があるように思っています。
 今、我々で準備をしているプロジェクトの中で、地域システムというのは、政府あるいは自治体がセーフティーネットをしっかりとつくって、それ以上落とさないといいますか、自殺とかそういうことから守る視点があるわけですが、スポーツの力は、多分、そこに陥らせない、落とさないという力が、社会的孤立を防ぐ点でもあるんだろうと思います。
 ただ、私、100以上の基礎自治体とプロジェクトをこれまでやってきた中で、結構ここまでの視点はありますが、そこを、さらにもっとWell-Beingを目指して、上げるという三つ目の視点ですね。守る、陥らない・落とさない、そして上げる、その上げるのところが残念ながら非常に弱いなと思います。
 スポーツ側のもともとの指導者は、どちらかというとスポーツをエンジョイ、楽しむという視点が強いですし、地域にいる保健師さんといった保健側、医療側の人たちはどちらかというと落とさない視点があって、Well-Beingに、その上げていくという視点、その仕組みづくりが、今回非常にポイントであると思います。
 共生社会、もう一つの言い方が包摂的という言葉があると思いますが、スポーツを通じた包摂的なコミュニティという視点で見ますと、これは飛躍かもしれませんが、部活動問題が挙げられると思います。首長さんと情報交換していると、今までと変えることなので、ものすごい不安がある評判が悪いなという感じがします。長官はじめスポーツ庁の皆さんが一生懸命やられているのは理解しているのですが、多分、そこは不安があるので、若干スポーツ界とか先生たちだけの問題になっている。これをやることによって、地域にどういう新たな価値が共創されるのかというあたりが見えないと、これに乗れないなという印象を、複数の首長さんから感じています。
 ちょっと極端な例ですが、ヤングケアラーという問題が出てきていますよね。子供たちが、いわゆる高齢者の介護の世話をしていて、自分の時間がなくなってしまう。そうした問題がある中で、この部活動問題と対比させると、どっちが地域の問題として大きいのかみたいな、そういう極論も起きている。でも、そういうところに、スポーツの力でどう貢献していけるのかというロジックも必要じゃないかと思います。
 あと、もう1点、DXの点がこれにしっかり入っていて、大事だと思いますが、最近の勉強会でなるほどと思ったんですけど、今、日本である面で企業も含めて議論されているのが、DX1.0のところまでで、いわゆるITに変えるというところでとどまっていて、DXの考え方は1.0、2.0、3.0で、3.0から落として、1.0を考えていかないといけないのに、何かIT化をすることがDXだという考え方が少し蔓延しているので、今回、このあたりにスポーツ基本計画の中に入っているDXのところも、DX1.0でとどまらずに、3.0、つまり3.0というのは、いわゆるそこの価値創造、価値競争がされるところまでどう持っていくかという視点がすごく大事なので、ここはしっかりと見ていく必要があるんじゃないかと思っています。
 最後に、人材育成がスポーツ界においては非常に重要ですので、リカレントをどう強化していくのかと。私は筑波大学で、ここ15年、茗荷谷の東京キャンパス担当でずっと社会人教育に関わっているんですが、そこでも人材育成が非常に重要であると感じています。若干宣伝ですが、先ほど御挨拶された石野委員も、最近、社会人大学院のところを修了していただいて、そういうような人材をどんどんつくっていくという仕掛けも、大事であると思っております。
 以上でございます。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、小谷委員、御発言をお願いいたします。
【小谷委員】  ありがとうございます。音声大丈夫でしょうか。
【早川会長】  大丈夫です。
【小谷委員】  改めまして、小谷実可子です。今回、スポーツ審議会には初めて参加させていただきます。体調不良のため、発言時以外はカメラオフで大変失礼しております。なお、私自身は、1988年ソウルオリンピックにシンクロナイズドスイミングの選手として出場して以来、メディアの立場、JOCの裏方の立場、招致活動など、様々な形でオリンピックあるいはスポーツに携わってまいりました。
 現在は、JOCのオリンピックムーブメント推進等担当常務理事、また、日本オリンピアンズ協会の副会長、国際的にはアジアオリンピック評議会のアスリート委員長などを務めさせていただいております。私には全くアカデミックなバックグラウンドはないので、全て、経験から感じたことですけれども、四つほど述べさせていただきたいと思います。
 まず、一つ目に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会においては、室伏さんが長官になられた後、約1年間、最後の最後にスポーツディレクターを務めさせていただきました。もちろん競技を愛すとともにしっかりと運営するということも大切だったのですが、加えまして、皆様御存じのようなことがあり、組織委員会の中では改めてジェンダーイクオリティということが問題視されました。そこから加速度的に様々なことが進んだ中で、私自身は選手としてオリンピックに出ていたので、オリンピック・パラリンピックは競技の場でしかないと思っていたのですが、どれだけこのスポーツイベントを通して社会を変えるお手伝いができるのか、そして東京2020大会がそういった活動をしてきたのかということを、改めて勉強させていただきました。そして、大会が終わった後、JOCとしては選手強化はもちろんですが、アスリートやオリンピアン、あるいはスポーツの力を使って社会貢献、社会変革のお手伝いをするという面でも、しっかり活動していきたいと思っております。私自身も、最近では、LGBTQを共に理解し支え発信していくアライアスリートの講習を受けたり、マスターズの選手としても相変わらずトレーニングを続けております
二つ目に、部活動の地域移行に関連して、日本オリンピアンズ協会では、ソチ以降オリンピックに参加した全てのオリンピアンのデータを収集しております。その中で、今後スポーツイベントや様々な活動に参加していきたいかという点についてもアンケート調査をしており、ある程度はデータを持っております。全国に広がっているこのオリンピアンのネットワークをぜひ使っていただき、地域でのスポーツ振興に活かしていただければと思います。もちろん地域で指導者を育てることも大切だと思いますが、せっかくなので全国のオリンピアンとの連携を取っていければいいのではないかと思います。
 また、私自身は、30年間ずっと地域で私塾のシンクロチームを持っており、そこでは小学校1年生から大学を卒業するまでの、経験値も様々で、学校も学年も異なる、多様なバックグラウンドを持つスイマーが、一緒に一つの目標に向かって練習をしています。それが子供たちには非常にいい経験となっているようで、近年でも卒業した生徒たちに門戸を開きましたら、10人近い40歳を過ぎたスイマーたちが、子供を預けたり仕事の合間を縫って練習に参加するようになりました。私自身もマスターズでかつての選手たちと一緒に泳いだり、あるいはスポーツクラブで私よりもうん10歳も年上のおばさんたちとともに、もうギャーギャー悲鳴をあげながらトレーニングをしていると、本当に元気になって、先ほど久野委員がおっしゃった孤独というものがもたらすダメージの軽減であったり、スポーツクラブに行って、みんなで苦しいね、大変だねと言う中で、何か活気が出たり、あるいは目標ができたりということで、年齢や世代を超えたこのスポーツを通した交流というものの価値を身をもって感じております。
 部活動の地域移行とは少し異なる話になってしまうかもしれませんが、学生だけではなく幅広い年代、あるいは経験の方々もみんな一緒になってスポーツを振興していくということも考えたらいいのではないかと思いました。
 最後に、石野委員もおっしゃっていましたけれども、強化のサポート、選手育成という意味では非常に効果が出ていると思うのですが、指導者以外の競技役員というのは相変わらずほぼボランティアで、今も、少なくともシンクロに関しては、元選手やシンクロ愛好者らの善意に甘えて競技会を支えているという現状です。アスリートが競技をするのと同じぐらい競技役員が新しいルールを勉強し、全国各地に行って競技を支えるというのが非常に負担になっております。このあたりもぜひ、これからのスポーツ文化の発展のためには目を向けていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、斎木委員、御発言をお願いしたいと思います。
【斎木委員】  斎木尚子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。現在は、日本ラグビーフットボール協会の理事及びラグビーの国際総括団体でありますワールドラグビーの理事、加えて、日本スケート連盟の副会長を務めております。スポーツ審議会については、第3期から委員を仰せつかっておりまして、第3期スポーツ基本計画の作成に当たりましては、議論に参画をさせていただきました。
 スポーツを取り巻く外部環境が大きく変化する中、スポーツの価値を一層高めるとともに、それが様々な社会課題の解決につながっていくように、今回も皆様と力を合わせ検討を深めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、境田委員、御発言をお願いいたします。
【境田委員】  境田と申します。弁護士をしています。私も引き続きの委員就任をさせていただいております。
 今、私がスポーツ政策で重要だと考えている政策が二つあります。一つ目は、スポーツ界において、正義(ジャスティス)、公平さ(フェアネス)、こういった理念をきちんと浸透させていくということであります。このための活動はもう15年ぐらいしておりまして、振り返ってみますと、友添委員とか大日方委員とはずっと御一緒させていただいているんですけれども、2011年のスポーツ基本法を制定する際に、有識者の立場から、スポーツ基本法には、アスリートの権利、つまり「スポーツをする権利」を明文化すべきというご提案をさせていただきました。あとは、スポーツ団体のガバナンスですね。スポーツ界全体のがバンスを確立するために、スポーツ基本法の条文の中に、スポーツ団体のガバナンスについて、明文化すべきという提言をさせていただき、それが実際にスポーツ基本法第5条にも反映されました。
 2013年には柔道界とか相撲界等で、パワハラ事件やいじめ・暴力事件などが相次いだこともあり、日本スポーツ振興センター(JSC)の中に暴力相談窓口を設置すべき、そのために日本スポーツ振興センター法の改正を行い、同センターが上記窓口を設置できるようにすべきという提言をさせていただきました。このときは、実は、議員立法だったのですが、わずか1週間程度で審議・改正法の制定という運びになりました。
 2018年から19年にかけては、非常に多くのスポーツ団体で不祥事事案やスポーツ団体のガバナンスが機能不全となったような事案が相次ぎ、テレビをつければ、毎日のように、スポーツ団体の不祥事が取り上げられたということもございました。政府や超党派のスポーツ気委員連盟におきましても、スポーツ団体のガバナンスを確立すべきという声が急速に高まりました。それを受け、これも大日方委員、友添委員ともご一緒させていただきましたが、極めて短い期間で、「スポーツ団体ガバナンスコード」を制定するという作業にも関わらせていただきました。
 今、斎木委員と同じラグビー協会の理事を拝命しており、そのほかにも日本バスケットボール協会やBリーグの理事、それから大学スポーツ協会UNIVASの執行理事などを拝命しております。やはり、実際に、スポーツ団体の運営に関わっている立場から申しますと、やはり「スポーツ団体ガバナンスコード」が制定されて以降は、スポーツ団体のガバナンスは急速に向上したという実感を持っております。
 ただ、この「スポーツ団体ガバナンスコード」も、日本サッカー協会や日本バスケットボール協会といった大規模団体に適用するのはともかく、多くのパラリンピック競技団体のような小規模団体にも一律適用することが果たして妥当なのか、実際には、過大な負担となっていないのか、もしくは、スポーツ団体の審査に関する負担を軽減するためにも、スポーツ団体のバックオフィス業務を集約化したり、効率化できないかとも考えております。このような取組みにより、スポーツ団体のガバナンスを一層確立していくことが重要だというのが一つ目です。
 二つ目が、先ほどの久野委員からの御発言とも重複しますが、やはり先端テクノロジーをスポーツ界に取り入れ、スポーツ界全体の成長にいかにつなげていくべきか、ということです。スポーツ界に限らず、ビッグデータ、AIとかデジタル、そういった技術を活用し、社会・経済の発展につなげていくことが重要ですし、実際、世界を見ればGAFAと言われるグーグルとかアマゾンとかフェイスブック、アップルといったビッグデータ、AI、デジタル技術を駆使して事業活動を続ける企業が、社会や経済を大きく変えつつあります。
 やっぱりこの技術革新の波に、スポーツ界、スポーツ団体も乗らなければいけないと思います。ただ、このテーマについては、私も実は久野委員と同じ問題意識を持っていて、久野委員がおっしゃるように、ウェブ1、ウェブ2、ウェブ3とデジタルトランスフォーメーションを進めていく必要があります。ウェブ1、つまり、今まで紙でやってきた作業をデジタルに置き換えるだけでは、スポーツ界全体のデジタルトランスフォーメーションは実現できません。これを実現するためには、データを集め解析しコンテンツを生み出してそれを社会に還元するというプロセスが必要です。具体的には、地域の振興とか競技力の向上とか健康社会の実現とか、青少年の運動能力の享受機会の向上とか、そういった目的のためにビッグデータを集め、そのビッグデータをAIで解析し、コンテンツやアプリを開発し、それを社会実装する、さらにそのコンテンツやアプリから得られたビッグデータをもとに、さらに新しいサービスやコンテンツを開発する、そのようなエコシステムを作り上げていくことが必要です。
 今、政府全体で、スマートシティ構想やデジタル田園都市国家構想など様々なデジタルプロジェクトに取り組まれていますが、私が気になるのが、ある自治体で、政府の補助金を獲得して、デジタルプロジェクトを始めても、結局そのデータプラットフォームで閉じたシステムになっているということです。類似のデータプラットフォームが他の自治体でも作るのであれば、本来であれば、政府の自治体DXプロジェクトは、全てデータフォーマットを統一して、システムも統一して、データプラットフォーム間で、互換性や連結性を確保すれば、精度の高いサービスを生み出し、まだ、高い収益性や価値も生み出すことができます。現実にはそのような制度設計がないので、それぞれがガラパゴス化した閉じたデータプラットフォームになっています。これが大きな問題だと考えています。
 スポーツ界ではそのようなことにならないように、データプラットフォームを作るのであれば、最初から、データフォーマットやシステムを統一化し、互換性、連携性、相互運用性というのを確保しなければいけません。こういった議論を実は今年の1月から5月にかけて自民党スポーツ立国調査会スポーツDXPTで行いました。ここである程度、提言書をまとめましたので、この提言書をもとに、今後、関係者との意見交換や議論も進めながら、きちっとスポーツ界のデジタルトランスフォーメーションを具体化していくことが必要です。
 以上となります。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】  私も3期から引き続き拝命しました。学校が変わりまして、埼玉県春日部市立上沖小学校の校長、鈴木美江でございます。よろしくお願いします。
 学校では児童生徒が一生懸命できるにようになろうとか、うまくなろうと頑張っている姿が一番の感動です。現在、小学校の校長として勤務する中で、子供たちはスポーツから元気をもらっていると思うことがたくさんあります。小学生も、「する、みる、ささえる」そういった立場の人がいることも、このオリンピック・パラリンピックで学んできました。私の学校の地域のマラソン大会では、運営を手伝う中学生も支える立場として活躍してくれています。また、学校では、運動・スポーツは、子供の健康・体力にも大きく寄与しています。スポーツマンシップについても、体育の学習としても学んでいます。大切なことは、小さいときからしっかりと教えていく必要があると思っています。今後も教育として、発達の段階に応じて、系統的にスポーツの価値について、日本国民として、ミニマムとして、学ぶ内容を教科の体育・保健体育として位置づけて学習していくことが大切ではないかと思います。
 一方、私のいる地域だけではないと思うのですが、中学生の、先ほどもありました運動部活動の地域移行は市町村の課題の一つです。市でも部会を立ち上げて、地域移行するための会議を持っていますが、課題が山積しています。今、遅々として進んでいない状況です。
 本日示されたことが各市町村レベルまで、地域実情に応じてフレキシブルに安心して進められるよう、迅速に教え、導いて、進めていただけると、子供を預かる学校としては大変ありがたいし、安心できます。どうぞよろしくお願いいたします。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、友添委員、よろしくお願いします。
【友添委員】  ありがとうございます。友添と申します。スポーツ教育学とかスポーツ倫理学というスポーツの人文社会科学を専攻してきて、40年ほど大学でオリンピアンだとか研究者、あるいは保健体育の教員を養成してまいりました。現在は小、中、高校の学校体育研究の全国的組織である日本学校体育研究連合会の会長を拝命しております。
 今、運動部の地域移行の話を聞いておりまして、随分評判が悪いなというふうに聞こえてきて、ちょっと寂しいなと感じておりました。地域移行の会議の座長を務めた私の耳に入ってくるところでは、非常に評判がいいんですね。よくやったとか、今、英断が必要だとかという声が非常に多くて、何か私にはいいことしか言ってくれないのかなというふうにも思ったところです。
 今、振り返ってみますと、いつから本審議会の委員だったかはあまり記憶がはっきりしないのですが、境田先生とはずっとご一緒させていただいたようにも思っております。
 特に今回、第3期の早川会長の下での第3期のスポーツ基本計画、非常にいいものができたと思っています。今後5年間で取り組む12の施策、これは非常に精選したすばらしいものだと思っていますし、これを実際に実現できるかどうかということが、日本のこれからの50年のスポーツのあり方を規定することになるだろうと思っています。
 少し、もうちょっと広い視点から考えてみたいと思うのですが、スポーツというのを見てみると、競技スポーツと非競技スポーツの、具体的に言うと二極化の時代が長らくあったわけですね。そして、多極化の時代が来て、障害者スポーツやプロスポーツ等、様々な極が置かれた時代が来て、今、また、今度多極化から極がない拡散の時代に入っているような気がしています。スポーツの分散型、拡散型の時代に入ったなと思います。言葉を変えて言えば、スポーツの地殻変動が起こり始めたなと感じているところでもあります。
 これまでのスポーツの特性、特にプレイ性やコンペティション競争性、あるいはLarge muscle movementつまり大筋活動を伴うという現在のスポーツの文化特性が揺らぎ、ここに様々な新たな特性が入り組み出した時代が来たなというふうに思っています。
 スポーツがこういった特性に加えて、さらに様々な特性が入り混じり、ひょっとしたら特性などという一定のまとまりがない、あるいはスポーツのシンボルだとか表象というものがなくなってしまう時代が来ているのではないかと感じることも多くなってきたようにも思います。
 いま、目の前に全柔連会長でもある山下委員が座っておられるのですが、伝統武道の柔道だとか剣道を考えてみると、愛好者というのはかなり減ってきているというのも事実だろうと思います。多様な格闘技の時代が来ていて、特に私たちのような旧世代の人間は、こんなのは武道じゃない、格闘技でもないというふうに思ってきたのですが、それが地下格闘技という形を経て、SNSやYouTubeで、格闘技の既存イメージを壊すというメッセージを含んで、1分1ラウンドのブレーキングダウン(Breaking Down)などのパフォーマンスが若者に人気で、多分、スポーツ庁の若い職員の方たちは、TikTok、YouTubeで朝倉未来さんを見ていると思うんです。これは非常に大きな人気を博し、あるいは新しいメディアとか媒体そのものが、武道や格闘技のイメージやあり方さえも変えていく時代が来ていることを切実に感じます。山下委員のロス五輪の決勝戦を正座をしてテレビで観戦した世代の私たちにとっては、スマホでTikTokやYouTubeで見る格闘技というのはスポーツじゃないというふうに思ってしまうのだけれど、確実にこれはもう広義のスポーツになってきていると思います。ブレイクダンス(Breakdancing)はオリンピック種目になりましたが、ずっとカウンターカルチャーだったわけです。これがIOCの中でオリンピック種目に入っていく。そういう意味でいうと、IOCはすばらしい先見性があると言いたいところもあるのですが、現実の変化や推移は実はもっと早いというように思うところがあります。スポーツの概念が拡散してしまって、今後五輪でさえ、何の大会かわからなくなってしまう日がくるとも限りません。
 スポーツは変わると言われていて、時代とともに実は変わるわけですが、また、その実施体制も普遍的なものではなくて、柔軟に変わっていくわけですが、私たちは今、日本のスポーツの、これからどう変わっていくかの、いわゆるマイルストーンに立ち会っているという意識がやはりすごく大事じゃないかなと思っています。
 と同時に、一層拡散化していくスポーツの文化特性がグローバリゼーションの時代の中で、新しい日本のスポーツの振興体制をどう変えるかということに、私自身すごく興味を持っています。
 一つ言えることは、恐らくこれからのスポーツでは、地域、コミュニティ、町というのが非常に大きなウエートを占めるという時代が来るだろうと思っています。町の中から、地域から、オリンピアンが多く生まれてくる時代がもう目の前に来ているだろうと思っています。ここの成否を握っているのが、実は運動部活動の地域移行だろうというふうに思っているところです。これは抜本的に明治時代の日本のシステムを組み換えていく大きな国家的な事業だという意識を、やはり共有をしていければと思っているところです。
 こんな問題意識を持って、スポーツ審議会に参加をさせていただこうと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、長島委員、御発言をお願いいたします。
【長島委員】  日本医師会常任理事の長島でございます。私、初めての参加でございます。日本医師会では、スポーツ、運動による健康増進、健康寿命延伸、これを極めて重大なテーマと考え、日本医師会認定健康スポーツ医を中心に、しっかりと活動しております。
 厚生労働省の健康寿命延伸の統一標語にも、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にお薬」ということで、1番目に運動が来ているということで、運動がいかに健康増進、健康寿命延伸に大切かということを示しているかと思います。
 これからは超高齢社会、人生100年時代を迎えますけれども、そうしますと、スポーツ、運動するのは健康な方だけではありません。高齢者や病気を抱えた方、これらの方が大勢運動、スポーツをすることなります。そのときにはやはり、医学的な有効性と安全性を保ちながら、楽しくスポーツするということが極めて重要になるかと思っております。
 その際には、まずは地域においてはかかりつけ医が、教育の場においては学校医が、職域においては産業医、これが中心的な役割をしていただいく。そこで、地域にいる運動関係の指導者など様々な運動関係の職種としっかり連携をしながら、地域でスポーツを推進していくことが重要です。その際には、地域連携、多職種連携、これは極めて重要だろうと思っております。
 また、その実現のために、その地域、市町村にどんな運動関係の専門家、職種の方がいるのか、どんな運動に関する施設があって、そこにどんな設備や体制があるのかということを、地域で見える化することが大変重要です。そこで、日本医師会では、地域の運動資源マップ、これはスポーツ庁のほうでもおつくりになられてますけど、日本医師会も協力して、ぜひ全国の市区町村で運動資源マップをつくっていただきたいと思います。それを基に地域の多職種が連携して、活動するための連携パスというのをつくりたいというふうに思っております。
 また、実際にそこで運動関係者が、医学的な安全性、有効性を知るために役に立つものとして、日本医師会では、『健康スポーツ医学実践ガイド~多職種連携のすゝめ~』というものを作成いたしました。これは(日本医師会会員限定ではありますが)ホームページ上にも公開しておりますし、市販もされております。ぜひ、これをお読みになって、役に立てていただければと思います。ここに多職種連携の自治体も詳しく書いてございます。
 最後にですけれども、運動に関わる健康の状況として、ロコモティブシンドローム、フレイルというのがございましたが、今回、医学会として、フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言というのが出されました。ここで、ロコモ、フレイルともに、実際にどうやって予防していくか、これが運動スポーツにとって大きな目標だと思っております。そのような形で、日本医師会としてもしっかりと地域の運動、スポーツ推進、そしてその有効性と安全性を医学的に担保すること、ここに努力していきたいと思います。
 私からは以上です。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、細田委員のほうから御発言お願いします。
【細田委員】  皆様、改めましてこんにちは。今期からスポーツ審議会に参加させていただきます、さいたま市教育委員会教育長の細田眞由美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 最近のスポーツ施策で一番気になっていることはという問いに対しましては、何といいましても部活動の地域移行について。これについては、四六時中考えています。私は、これは、先ほど友添委員もおっしゃっていましたように、本当に大改革であると思います。ちょうど2020年度に、文部科学省がGIGAスクール構想を打ち出して、それを僅か半年ぐらいで制度を整えて、実際に取り組んでいって、あのときの教育改革に並び立つ大きな教育改革だというふうに思っております。
 GIGAスクール構想で申しますと、今、学校の風景が変わりました。授業の風景も変わっております。それと同じく、この部活動の地域移行は、そもそも、とりわけ中学校教育、そしてその後は多分、高校教育についても膨らんでいくと思うんですけれども、大きく変えていくこととなります。
 今、私が取り組んでいることも含めてお話をさせていただきたいのですけれども、まず、そもそもなぜ部活動改革なのかというときに、その理由は、少子化による生徒数の減少と、それから教員の働き方改革、教員のボランティアで支えられているこの部活動は持続不可能だというような理由で語られることが多いわけですけれども、ただ、実は、1,740くらいある自治体において、相当状況が違います。
 私どものような大きな自治体ですと、0歳から14歳までの転入超過が7年連続日本一で、合併以来、毎年1万人ずつ人口が増えるというレアな自治体と、それから、全国の教育長会議に出ますと、あの学校もあの学校も存続が厳しいというようなところと、抱えている課題が全く違います。ですから、この部活動改革、地域移行につきましても、先ほど御説明がありましたように、一つのモデルの形ではとてもじゃないけれどもできないだろうというふうに思っているところでございます。
 そして、6月6日に運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言がまとまりまして、室伏長官に提出されたあの瞬間に、私は、どうしたらいいかではなくて、これはもうここに進めていくんだという覚悟が決まったわけでございます。ただ、そうじゃない教育長もいっぱいおります。不安でしょうがないという教育長もいっぱいいます。そして、校長先生レベルでも、やはり、とても不安だというふうに思っている方々のお声もいっぱい耳に入ってきます。ただ、あの提言は非常によくできていると思います。受け皿、活動場所、指導者について、系統立てて御提言されているので、これをしっかりロードマップに従って実践していきたいと思っております。
 これまで、さいたま市が取り組んでまいりました部活動改革につきましては、まず、スポーツを科学する生徒の育成ということで、先ほども少しお話がありましたけれども、運動部活動×デジタルトランスフォーメーションで、非常に効率よく、もっともっと効率よく効果的に、そして、エビデンスに基づいた、そういう運動部活動を提供しようということで、これも複数年やってきまして、モデル校で大変うまくいきます。それから運動部活動掛けるプロスポーツで、さいたま市内にありますプロスポーツチーム、埼玉ブロンコスとかT.T彩たまとか、そこと連携協定を結びまして、プロスポーツの選手の皆さんたちと、DXも絡めながら、効率よい部活動にチャレンジしました。そして、地域人材の活用もやっております。これは全部モデル校でやりますと、非常にうまくいくんです。非常にうまくいって、成果がいっぱい出てきます。ただ、それをさいたま市、59校の中学校、中等教育学校、それから、高等学校も4校ございますので、そこに広げていこうとなると、やはりいろいろな課題が出てきます。
 その課題を三つ大きく、これもいろいろなところで語られているんですけれども、まず、お金のこと、指導者のこと、それからそれを本市のように大きな自治体ですと統括する団体、これがどこがどのように担ってくださるかというようなことも大きな課題です。しかし、私はこういった課題は、お金やら人材やら、これはここにいらっしゃる方々とか、自治体のいろいろな力を使うと、クリアできないことはないというふうに思っております。
 しかし、もう一つ、私は大変大きな課題があるというふうに思っているのは、それは、今、中学校の部活動をこの3年間で、休日は地域に移行していきますが、そのときに、そもそも部活動の持っていた教育的効果、教育的価値について、考えていかなければならないと思っています。学校教育、とりわけ中学校教育は、部活動で学校を支えてくるという側面がやはりあったわけです。子供たちの達成感の獲得とか責任感や連帯感やら、時に問題行動の発生の抑制やら、学習意欲の向上などにも、部活動が寄与してきたが、地域に移行したときに、中学校教育は、その部活の担ってきたものをどんな教育活動で代えていくかといいますか、代替していくかというあたりのところを議論していかなければならないと痛感しています。
 ただ、私は、理想を掲げながら改革を進めていこうと思います。その理想と申しますのは、やはり、もともとスポーツはとても楽しいものであって、生涯関わっていくものである。だから、地域で運動の苦手の子供も障害のある子供も年齢も様々な階層の中で、みんなが生涯楽しんでいける、そういう地域への移行を掲げて、そこに向かって、それこそがWell-Beingな社会をつくっていくことにつながっていくんだという理想掲げながら、まずは、学校の校長先生方も教育長も不安な方がいっぱいいらっしゃいますので、足元から一歩ずつ、この大きな改革にチャレンジしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、三屋委員のほうから御発言をお願いします。
【三屋委員】  こんにちは。三屋でございます。現在は、日本バスケットボール協会とJOCのほうでお世話になっております。選手としては、80年のモスクワオリンピックボイコットを経験し、それから84年のロサンゼルスオリンピック、そちらにいらっしゃるJOC会長の山下会長と、それから室伏長官のお父様と一緒に出させていただきました。三屋でございます。よろしくお願いします。
 町クラブ、地域への移行化のところで、我々も今、いろいろチャレンジはしています。1月に行われています中学校の全国大会を、今まで1条校、中学校の部活しか出られなかったんですけど、そこに、町クラブ、それからBリーグのジュニアも出場できるという大会につくり変えました。現在のところ、まだ3年終わったばっかりなので、まだ部活のほうが若干強いです。そこで本当にいい形で動いてきてはいるんですけれども、一つ課題があって、町クラブの組成の問題ですね。大体、3年生が夏の全中で引退するケースが多いんですけども、引退した人たちが町クラブに入ってバスケを続けるととてもいいんですけれども、そこにあまり規制がかけられないので、強い選手が1か所に集まってしまって町クラブを形成してしまい、そこに幾つか問題が出たりしていますので、地域の移行化のときに、そのあたりにどの程度まで規制をかけるかというのが、ちょっと肝になるかなと。あまりがちがちにかけてしまうと、動きもつらいと思いますけれども、地域に移行した場合、その辺の不公平さが出ないようにするというのは、ちょっと今、私たちも抱えている課題感です。
 ただ、本当に、子供たちのスポーツ環境を整えるという意味では、移行化というのは、私は賛成しております。
 もう一つは、DXなんですけれども、今、リモートコーチングはできないかということで、幾つか企業さんとそこの取組をして、コーチがいないとか、部活の担当の方が専門ではない、教えられないという方に、いかにそのリモートでコーチングしていくかというのに、ちょっとチャレンジはしていこうと思っています。
 もう一つ、競技団体で言いますと、やっぱり各都道府県の方への負担というのがちょっと大きくて、また、その都道府県の方のリーダーシップの差にかなりばらつきがありますので、実現できるできないというところはなかなかばらつきあって非常に悩みどころなんですけども、とにかく子供たちの環境づくりということでチャレンジをしていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、諸橋委員、御発言をお願いします。
【諸橋委員】  改めまして、3期に続きまして、4期もスポーツ審議委員をやらせていただきます諸橋寛子と申します。よろしくお願いします。
 私は第3期スポーツ基本計画の部会委員として、こちらの基本政策の策定にも携わらせていただきました。やはり今回、部活動の部分は友添委員と同じように、私のところに入ってくる話はとてもいい話が、前向きな話が多いです。絶対そんなはずないと思いながら、2020年より私は経済産業省の地域スポーツクラブ産業研究委員会でも、経済的視点、環境的視点、それから指導者の問題ということで、スポーツ庁様と連携しながら研究しておりました。結果として今回、この令和5年度の概算要求事項で、かなりの金額を部活動、地域スポーツクラブに整備していただいたようですが、きっとまだまだ全然足りなくて、環境のみならず人材育成の部分で非常にネックになってくると思っております。指導者のみならず、マネジメント、経営する者、そこを仕切って仕組みをつくっていく者、たくさんのそういった人材育成がないことには、幾ら場所があっても、人がいても、つくり得ないのではないかと思っています。
 ついては、その環境や指導者のためにも、これから、よりその地域によって異なった状況を把握していくことが重要であると思っています。
 その結果、この大きなすばらしい進化をしているところですが、そのことがやはり調査しないことによって、スポーツ環境の格差が二極化につながっていくのではないでしょうか。結果、また、スポーツができる状況の子とできない子ができる、できる環境があったりなかったりということにならないように見ていく必要があります。ついては、トライアンドエラーでやりながら、結果に対して随時レギュレーション、それも前向きなレギュレーションを決めていくことで、三屋委員がおっしゃられたような、問題を1個1個解決していくのが重要なのではないかと思っております。
 それともう1点、こちら、スポーツを通じて活力ある社会実現するために、スポーツの成長産業化、これが必須でございます。人材を育成するためにも、環境を整備するためにも、資源となる資金です。こちらを今ある税制だけの中では、どうやったって無理な部分が大きいと思いますので、やはりスポーツ産業をいかに拡大していくか、そしてスポーツ庁がそれをどのようにリードしていくか、2025年まで、市場規模15兆円に達成するという部分においては、他省庁との連携は必須だと思っております。
 私もリーグ、それからチームスポーツアリーナの経営に携わっておりまして、経営の立場から考えても、この部分の新しく生み出す産業から循環型の仕組みで教育に還元していく、そして人材育成していくというスキームをつくっていかないと発展はないのかなと思っております。そういった視点で、私は今回、第4期審議委員会として努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、山口委員、お願いいたします。
【山口委員】  改めまして、こんにちは。私は茨城県の笠間市という人口規模からいいますとちょうど7万2,000ぐらいの人口の街でございます。全国1,700強のちょうど真ん中ぐらいの平均的な自治体でございます。市長職、ちょっと長くやらせていただいている中で、この東京オリパラが決定して、その後、ホストタウンの登録制度がスタートしました。その頃から私が感じているのは、スポーツに取り組む自治体が、関心を持つ自治体がかなり増えてきているんじゃないかと、そういう感じを受けております。
 私どもの地元も、もちろんホストタウンの登録をしたり、その頃から、スポーツの計画書をしっかりつくり上げたり、さらに、スポーツコミッションを立ち上げて法人化したり、いろんな取組をしてまいりましたが、地方自治体の首長さんの考え方に、スポーツ振興といっても、担うところが大きくて、関心がなければあまりスポーツにも取り組まないでしょうし、関心のある首長さんであれば取り組むと、簡単に言えばそういうところがあったりですね。先ほどの100万都市のさいたま市から300万都市の横浜市、1,000人の自治体、地方それぞれ状況が違いますので、スポーツの振興といってもなかなか課題が山積しているのかなと思います。
 我々が取り組んだ中で、やはり人材の確保というのは、非常に地域スポーツの振興で大きな課題だったんですが、スポーツコミッションを立ち上げて、国の地域活性化起業人という制度を利用しまして、いわゆる大手のスポーツクラブから派遣を受けて、スポーツコミッションの事務局をやっていただいているとか、あとは、地域おこし協力隊ですね。この制度を導入して、スケートボードの運営をしてもらうとか、そういう国の制度というのは、地方にとっては非常にありがたいなというふうに思っております。
 そういう中で、部活の地域移行というのが降ってわいたように我々の情報として入ってきたわけでございますが、私は地域移行というのはいいことだと思っているんですけれども、地域の人に何で部活を地域移行するんだ、学校でやってればいいじゃないかという質問をされたときに、明快な答えができないんですね。一つ言えるのは、先生方の働き方改革ですよと。そこまでは言えるんですけど、次になぜなんだって言ったときに、ちょっとややこしくなってしまって、明快にこういう理由だからということが言えないですね。でも、そこは考えていかなければならないことなんですが、それと併せて、この部活の地域移行に合わせて、先ほど私が申し上げた地域スポーツの振興とをうまく組み合わせて行くことによって、受け皿づくりができるんじゃないかなと思います。
 先ほどお話ありましたけれども、自治体でそれぞれ違いますので、部活の移行もできることできないこといろいろありますけれども、できることから我々はやっていこうと思っているんですが、確かに首長さんでも先が見えないということで不安に抱かれている首長さんが多くいるのも事実です。特に、教育委員会というのは極めて真面目な組織なんですね。真面目に考え過ぎるんですね。少しずぼらであっても、取りあえず移行していけばいいんじゃないかというのは、どちらかというと首長の考えであります。
 これからの地方のいろんな課題を意見として申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、山下委員、よろしくお願いします。
【山下委員】  日本オリンピック委員会、JOCの山下でございます。専門は柔道でございます。私も第3期スポーツ基本計画の立案から関わっておりまして、何人かの委員からいいものができたというふうに言われており、確かに私もそう思います。ただし、完成したことに満足してはいけない。これから実践して変革していかなかったら、絵に描いた餅で終わっては駄目だと思ってます。そういう思いを胸に、今日いただきました資料を基に少し発言させていただきたいと思います。
 ます、東京2020大会のレガシーの継承発展、これに関して我々JOC、そして日本のスポーツ界は、腹をくくって取り組んでいく覚悟があるということを申し上げたいと思っています。
 次に、2021年、JOCはJOCVision2064を立ち上げました。JOCVision2064は、「スポーツの価値を守り、創り、伝える」の下、三つの活動指針がございます。一つ目は、「オリンピズムの浸透している社会の実現」。簡単に言いますと、スポーツフォーオール、それからスポーツパーソンシップに代表されると思っています。それから二つ目が、「憧れられるアスリートの育成」。この憧れられるトップアスリートの存在というものは、子供たち、青少年に大きな影響を与えている。三つ目が、「スポーツで社会課題の解決に貢献」。スポーツ界のジェンダーイクオリティ、多様性と調和、共生社会の実現、SDGs、こういった分野での取組みを実施していきたいと考えています。つまり何が言いたいかというと、このスポーツ審議会と我々JOCが目指しているものは、極めて近いということを皆様に御理解いただければと思っています。
 もちろん、JOCとしては、国際競技力の向上が一番大きな柱であり、メインであります。ここに手を抜くつもりはありませんし、国際大会等を通して多くの国民の皆様にもっともっと感動や希望、勇気を感じていただける、そういう選手育成を各競技団体と連携しながら全力で進めていきたいと思っています。こちらに関しましても、スポーツ庁に、大変御理解、御尽力いただいていることをこの場をお借りして感謝申し上げたいと思います。
 それとともに、スポーツを通して活力ある社会、絆の強い社会、フェアな社会の実現、これを目指して、東京2020大会を目指した時と同じように様々なスポーツ団体と引き続き連携し、協働していきたいと思っています。東京2020大会の成功に向けスポーツ庁、日本スポーツ振興センター、日本スポーツ協会、日本パラリンピック委員会、それから6月で解散しました東京2020組織委員会等とJOCで、非常に連携を密にし、大きな目標に向かって力を合わせることができたと思っています。オリンピックもパラリンピックも日本代表選手団が活躍できましたが、これは今、挙げた役割の異なる様々な組織の協力、支援、理解、これがあったから実現できたと思っておりますし、これこそこれからのスポーツ界のレガシーにしていかねばならないと思っております。
 先ほど日本医師会の長島委員からも非常にポジティブなお話をいただきましたが、今後はさらに、UNIVAS、高体連、中体連、それから日本医師会等とも連携を深めながら、第3期スポーツ基本計画に書かれております「感動していただけるスポーツ界」、この実現に向けて行動していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、結城委員、お願いいたします。
【結城委員】  結城と申します。読売新聞で編集委員を務めています。記者としては、オリンピック・パラリンピックのある意味で光と影のようなものを、30年近く取材をしております。オリンピックは15大会、パラリンピックは10大会取材しています。こちらスポーツ審議会のほうにも、友添委員のように始まる前からではございませんが、始まった後から、第1期からお世話になっています。スポーツ基本計画の第2期、それから第3期というふうに、末席で関わらせていただきました。
 その中で、本当に感じますのは、スポーツ、それからそのピナクルであるオリンピック・パラリンピックもそうですけども、それが置かれた状況というのはここまで変わるのかと。こんなにいわゆる嵐が社会に吹くものなんだなと。もちろん、コロナ禍というのも最大のものでしたし、オリンピック・パラリンピックの変容というものは、もうここまでの私の経験値なんか吹き飛ぶような思いで見ておりましたし、そして、メディア的な観点から申しますと、今に至るまでなぜか不祥事の嵐が吹き荒れているという状況になっております。しかも、残念ながら、人々にレガシーを残す、そのときに、人々がどこまで関心を持っているかということは非常に大きく関与してくると思うのです。そういったものに、例えば、今の社会情勢や不祥事なんていうのはどう影響を及ぼしてしまうんだろうということは、日々、やや不安にもしくは心配しながら見守っています。
 ただ、このスポーツ審議会、それからもちろん行政を担うスポーツ庁におかれて、私たちとして忘れないようにしたいなと思うのは、どんなに社会が変容しても、嵐が吹き荒れても、スポーツの価値というもの自体は変わらないんだということです。これはもう、ここにいらっしゃる、ここまで伺った皆様がいろんな観点からおっしゃっているスポーツの価値というもの、そして、それを具現するような形で、東京大会で私たちが見たものの価値も変わりはしないのだろうと思います。
 例えば、選手たちというのはオリンピックもパラリンピックも、逆境にあって人間は何ができるということを示してくださったように思いますし、それは我々にものすごく大きな気づきをくれたと思います。それから、組織側や省庁も含めてですけれども、先ほど山下会長からありましたように、これまでつながったことのない人たちがつながった。これまで全く関わりのないようなところが協力をした。そして、一つの目的に向かって逆境をどうやって乗り切るかという、意図を持って行動を共にした。これはやっぱりものすごく大きな体験となって、社会には残っていくのだろうと思います。
 部活動の地域移行などは、様々な少子高齢化等社会的変化の余波の一つだと言える。それから、今の社会国際情勢の緊張、そして経済の変化。こういったことももちろんスポーツへの余波になって大きくのしかかってくるんだろうと思うんです。その中で、やっぱり私たちが東京大会も含めてここまで得てきたもの、違いを超えてつながることで、変転を乗り切れる可能性があるんだということ、そして、逆境にあって人は何ができるのかということ、そういったあたりを共有し、自分自身でも模索し続けるというのは、ある意味でレガシーを育むということにもなるのかなと。それは忘れないでおこうと思います。
 それから、全く私事で恐縮ですが、地域移行に関しては拙宅に実は85になる母がおりまして、彼女は公立学校中学校の英語教師を勤める傍ら、今は私学でずっと生涯通じて男子バレーボールの監督、今も私学でアドバイザリーコーチをして、この間も全国中学校大会で秋田に飛んでいっていました。やっぱり彼女もその変更というものを期待半分、だけれども半分みたいな目で見ております。やはり、地域移行で指導者になれる方が増えて、ある意味でいろんな形でオプションが増えるというのはとてもいいだろうと。誰が負担するのという話もしています。ただ、もう一つはまさに、細田さんがお話しになられたように、部活動の指導というのは学校教育の、ある意味で核になるような価値も持っている。問題行動の抑止とか学習意欲とか、まさに全くそのとおりだと。自分のクラスではその部活に属している子供たちから指名して授業を盛り上げてきたような母ですから、やっぱそういう中で、教師としてのやり方等々も含めて、一体感が学校というものを支えてきた部分があるんだと。そのあたりをどういうふうにするのかなというのは、やっぱり申しております。そういった身近な体験談も参考にしつつ、私も議論に参画させていただければと思います。以上です。
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、渡邉委員のほうからお願いします。
【渡邉委員】  笹川スポーツ財団の渡邉と申します。私も結城さんの隣で、第1期から委員を務めさせていただいております。先ほど細田委員の紹介というよりも、演説に聞き入っておりまして、自分で何を話そうかと考えていたんですが、それを忘れるようなすばらしいお話だったと思います。
 今回も皆さん、非常に的確なお話をされておりました。運動部活動の地域移行もそうですし、DXや共生社会の話、いろいろあったかと思います。手短に申し上げますけども、私も第1期から継続して関わっている立場で申し上げますと、第3期基本計画の実行性と実効性、行うことと成果を獲得するということを考えますと、計画の73ページから78ページにあります第4章「施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項」については確実に審議会を通じて行ってほしいというのがお願いであります。
 振り返りますと、私、健康スポーツ部会も部会長として2回ほど務めさせていただきましたが、計画はすばらしいものができるのですが、その後のPDCAを考えますと、進捗、評価検証について、審議会にフィードバックされてこなかったのではないかと、そんな印象を持っています。残念ながら第2期の期間中はコロナ禍といった特殊な状況もあったんですが、行政レビュー等々もスポーツ庁のほうでやられておりますので、そういった要素も含めて、審議会に情報を提供していただいて、今、どういう進捗状況で、どんな成果を上げているか、そこにどんな課題があるか、だから次はこうやって改善しながら進めていくんだといったような議論があると、この審議会の内容も充実したものになりますし、先ほど申し上げました実行性と実効性が高まってくるのだと思いますので、ぜひ長官はじめスポーツ庁の皆さんにそれをお願いしたいと思います。
 それともう1点は、今までやってきた施策もすばらしいものがたくさんあります。そういった今までやってきたこと、そして今までやった結果として出来上がった既存のソフトインフラというものを、もっと有効に活用してほしいと思います。具体的には、スポーツインライフコンソーシアムには民間の企業から我々のような公益法人まで含めて、2,000以上の組織が加盟しています。先ほど、スポーツの成長産業化の話もありましたけども、様々な民間企業の知見というものが、それぞれの組織にはあるはずなんです。それを、山下委員もおっしゃっていましたけども、いろんな組織同士の連携、協力を進めることによって、化学反応を起こして、より一層、相乗効果の高い活動につなげていくといったことが、多分できるんだろうと思います。従って、現状をしっかり検証して、どう改善して、最大成果を獲得していくのか、これを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
 それともうひとつ、既存のソフトインフラということであると、スポーツのポータルサイト「ここスポ」というのがあります。これは、鈴木前長官のときにパブリックコンペティションを実施しまして、その第1回の優秀作品に財源がついて、ここスポというポータルサイトの開設に至ったんですが、利活用について、まだ苦戦しているようであります。スポーツエールカンパニーも同様だと思いますので、既存のソフトインフラというものをさらに有効に活用して、第3期の計画の実行性と実効性を高めていただきたいと、そんなことをお願い申し上げまして、挨拶に代えます。
【早川会長】  ありがとうございました。
 それでは、大日方会長代理のほうからお話を頂戴したいと思います。
【大日方委員】  改めまして、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。日本パラリンピアンズ協会の会長、日本パラスポーツ協会の理事、日本障害者スキー連盟の常任理事等を務めさせていただいております。
 バックグラウンドといたしましては、パラリンピックアルペンスキーの座って滑るクラス、チェアスキーというふうに日本では表現されることが多いんですが、そちらで1994年のリレハンメルから2010年のバンクーバーのパラリンピックまで、5回選手として出場をさせていただきました。
 スポーツ基本計画におきましては、様々な先生方と御一緒に、初期の段階からつくらせていただいて、また、スポーツ基本法の制定・施行についても、いろいろなお話しをさせていただいたことを懐かしく皆様のお話を聞きながら思い出しておりました。
 思い返してみますと、スポーツ基本法がつくられる以前は、障害のある人たちがスポーツをするということについて、今とは随分と大きな認識の違いがあり、スポーツ環境、とりわけは現在とは違う状況だったなと感じております。第2期、そして、第3期のスポーツ基本計画の議論の中でも、多くがやはり共生社会を実現するためにスポーツはどのようにしたらいいのか、誰も取り残さないスポーツといったものをどう考えていったらいいのかというようなことにも、多くの時間、議論を割かれていたというように感じております。
 多くの変化がある中ではありますけれども、スポーツそのものが有する価値といったこと、そして、Well-Beingを高めるために、あるいはスポーツがよりよい社会をつくるために何ができるのか、基本的なことを我々はしっかりと踏まえて、そして、成熟した社会の構築に向けてスポーツができることを議論していくことが必要だなということを改めて感じました。
 そういう中で、少し先の問題意識といたしまして、一つは、アスリート自身の人間教育というものもやはり必要だ、そして、リカレント教育の必要性ということです。先にも述べられている方がいらっしゃいましたけれども、スポーツの競技環境が非常に整備されていく中で、真にスポーツそのものが有する価値を体現できるアスリートたちというのは必要だろうと、そのように感じております。
 また、もう一つ、障害者スポーツ振興方策に関する検討チームでの議論についてです。高橋プランも出していただき、この分野の取組が進むことを大いに期待しております。この議論を進めるに当たって、やはりユニバーサルスポーツの考え方に基づくものことが大切です。健常者と障害者のスポーツを可能な限り一体のものとして捉える、この基本的な考え方を十分踏まえたうえでの検討、議論が必要だろうと感じております。
 様々な方がお話いただいたように、スポーツ界でのつながりを深めていくこと、そして、壁をつくらずにシームレスに議論をしていくこと、変化を恐れない柔軟さといったもの、こういったものが第4期では求められていくんだろうなと感じております。皆様と有意義な議論、そして実行計画が実行できるように力尽くしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【早川会長】  ありがとうございました。
 本日、皆様から大変貴重な御意見、たくさんの御提案をいただきました。聞きっ放しにしないということで、事務局の方とも、しっかりどう受け止めるかということを話していきたいと思います。
 私から、2点だけコメントをさせていただきます。一つは、運動部活動の地域移行についてです。これはもちろん子供のスポーツ参加の機会を創出するということですけれども、受け皿となります運動指導者の育成ですとか、スポーツ経験者のセカンドキャリアの支援ですとか、地域スポーツ環境の盛り上げ、これに非常に有効だというふうに思います。スポーツを通じて活力ある社会を実現するということで、大変貴重な重要な取組だと思います。関係者、地域社会を巻き込んで、しっかりと取り組むべきだろうと思います。
 もう一つは、3期の基本計画の話です。4月からスタートをして、これは山下委員からも絵に描いた餅にしちゃいけないということのお話がありましたけれども、まずは多くの人にきちっと知ってもらうというところが、これは前回大きな議論になりましたけれども、大変大事だと思います。そういった意味で、室伏長官自らがいろんなあらゆる機会を活用して説明に回られているということを大変心強く思いますし、事務局のほうもツールを使っていろんな発信をされているということ、これもぜひ続けていきたいと思います。
 ただ、対象が非常に多いものですから、もっともっと多くの関係者、ここにいる審議会の委員の先生方全員が当事者意識を持って、いろんな機会で3期の基本計画の内容について伝えるということを、みんなでやっていくというのが大事だと思います。
 もう一つは、さっき渡邉委員からフィードバック、何ができて何ができてないのかという、ここはすごく大事なところで、今、スポーツを取り巻く環境変化がすごく速いということを、やっぱり常に頭に置いておかなくちゃいけませんし、審議会の場で、この基本計画そのものも状況の変化に合わせて見直すとかということをいつもやるんだという、そういう前提で、よく動きを見ていくということをぜひやっていかなくちゃいけないというふうに思います。
 新しいメンバーの方も含めて、大変な方がメンバーになっていますので、皆さんの知見を生かしていい審議会にできればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 若干、時間が延びてしまいましたけれども、意見交換はこのあたりで終了というふうにしたいと思います。
 最後に、室伏長官からまとめの御発言をお願いしたいと思います。
【室伏長官】  皆さん、大変長時間にわたり御苦労さまでございました。本当にそれぞれ皆さん専門分野で、しかも長くいろんな御経験をされている中で、本当に貴重な御意見いただきました。本当に感謝申し上げます。
 また、今回の総会では、現在のスポーツの施策の動向についてもということで、特に運動部活動のこともありましたけども、子供たちがスポーツに継続して親しむ機会を確保するため、多様な活動ができる環境を整備し、体験の格差、今日もありましたけども、解消していく必要性を強く感じておりますし、改革を進める上で、今、大変重要な局面にあると思いますので、私自身もしっかり丁寧に、早川会長がおっしゃっていましたように、各関係団体に混乱を招かないように丁寧に説明をさせていただきたいと思っております。
 また、中学生の部活動のことを言っていますけども、これは地域の話もありましたが、決してそれだけではなくて、地域で様々な多様なスポーツ活動、多様な人たちが関わっていくすばらしさ、ここが地域移行ということですので、学校だけでは抱えられないものを含めて、私はスポーツ庁ですのでスポーツ、スポーツだけじゃなくて文化もたくさんありますし、踊りだってそうですし、昔からやっているような舞台だってもしかしたら、いろんなものが存在し、身体活動という意味では、様々な体験、学校以外でもできる。これをぜひ、皆様の御協力、経済界もそうですけども、また、オリンピアンだったり、パラリンピアンのこういった御協力も今日いただけるということも、心強い御意見をいただきました。こういうことで、丁寧に進めていきたいというふうに思っております。
 第3期スポーツ基本計画についても、着実に実施ができるように、もう一回しっかり分析をしてと渡邉委員がおっしゃっていましたけども、進めていけますように、引き続き、積極的な広報活動も含めてやっていきたいと思っております。
 東京大会後のスポーツレガシーとして、世界共通の人類の文化であるスポーツが我が国に定着し展開されるよう、そして、感動していただけるスポーツ界の実現に向けて、委員の皆様とスポーツ庁で一丸となって進めてまいりたいと思っております。
 委員の皆様方には、スポーツの施策について、今後とも御意見をいただきたいと思いますし、御協力をお願いしたいと思います。ありがとうございます。
【早川会長】  長官、ありがとうございました。
 次回の日程につきましては、事務局で調整の上、後日、連絡をさせていただきます。
 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 Web会議で御参加の方は適宜、御退出ください。
 

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