スポーツ審議会(第25回)議事録

1.日時

令和3年3月30日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省第二講堂(旧庁舎6階)

3.議題

  1. (1)独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る令和3事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可等について
  2. (2)令和2年度第3次補正予算におけるスポーツ団体に対する補助案について
  3. (3)令和3年度におけるスポーツ団体に対する補助案について
  4. (4)第2期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価
  5. (5)その他

4.議事録

【早川会長】 皆さん、こんにちは。昨年の3月からスポーツ審議会の会長を仰せつかっております早川でございます。本日は、室伏長官が着任されてから初めての審議会ということで、こういう直接皆様にお会いする形で開催できまして、大変うれしく思っております。今回、対面での開催に御尽力いただきました事務局の皆様に感謝申し上げたいと思います。
それでは、ただいまから、スポーツ審議会第25回総会を開催いたします。皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症予防対策として、事前に希望をいただきました委員の先生におかれましては、ウェブ会議形式で御参加いただく形とさせていただいております。また、報道関係の皆様並びに一般の方につきましては、ライブ配信での傍聴とさせていただいておりますので、御承知おきいただければと思います。
まず、議事に先立ちまして、1点御報告がございます。このたび、友添秀則委員より、「自身は、スポーツ基本計画部会長として第2期スポーツ基本計画の取りまとめに携わった立場であり、新たな第3期スポーツ基本計画策定の検討が始まるに際して、会長代理の役目は別の方に譲りたい」というお申出がございました。
このため、これを承認して、スポーツ審議会令第5条第5項に基づいて、新たな会長代理として、大日方邦子委員を会長の権限により指名をさせていただきたいと思いますので、その旨御報告させていただきます。
大日方委員におかれましては、よろしくお願いいたします。

【大日方委員】 よろしくお願いいたします。(拍手)

【早川会長】 続きまして、本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。

【小畑政策課補佐】 事務局でございます。冒頭、早川会長からもお話がございましたとおり、今回の会議につきましては、一部の委員の方につきましてはウェブ会議方式での御参加とさせていただいているところでございます。
なお、委員の皆様におかれましては、事前に資料をお送りしているところでございますけれども、ウェブ会議で御参加されている委員の先生方におかれましては、議事を円滑に行う観点から、御発言に当たりましては、聞き取りやすいようはっきり御発言をいただくとともに、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくという形で御配慮いただければと思います。
また、本日会議室にお越しいただきました委員の先生方におかれましては、入室に当たりまして、消毒、検温に御協力いただきまして、ありがとうございます。事務局といたしましても、マイクをお渡しする際に、使用都度消毒をしてお渡しをするなど、感染症対策の徹底に努めてまいりたいと考えております。
また、同じく御発言に当たりましては、お手元の端末につきましてミュートを解除して御発言いただくとともに、会場に音声を広げる観点からマイクをそれぞれ職員がお持ちいたします。端末の操作につきましても、マイクをお持ちした職員のほうで適宜サポートをさせていただきたいと思っておりますので、何とぞ御承知のほどをお願いいたします。
それから、会議資料につきましては、端末での共有という形ではなく、お手元に印刷したものを御用意してございますので、そちらを御参照いただければと思います。
事務局からは以上でございます。

【早川会長】 ありがとうございました。
それでは、議事の開始に先立ちまして、室伏スポーツ庁長官より、一言、御挨拶を頂戴したいと思います。長官、よろしくお願いします。

【室伏長官】 皆さん、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。スポーツ庁長官の室伏です。
第25回スポーツ審議会総会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。今期、審議会委員の改選があって、初めて対面で、一部オンラインでの御参加を含むような形で、開催させていただくことができまして、本当にうれしく思います。ありがとうございます。また、感染症対策のほうも御協力いただきましてありがとうございます。
御存じのとおり、山下会長、そして早川会長も、つい先週、福島のほうで私も一緒に出させていただきましたけれども、オリンピックの聖火リレーが、いよいよスタートいたしました。グランドスタートを拝見させていただきましたけれども、ランナーの方々が掲げた聖火をつなげていく姿が、コロナ禍という厳しい状況の中で、様々な関係者の皆様がスポーツのともしびを絶やさないように御尽力されてこられた姿と重なりまして、本当に感慨深いものを感じました。
スポーツは、人々に心身の健康だけではなくて、感動や勇気を与えるものであり、またスポーツを通じて社会の活性化を図ることができる、そういう価値を有するものだというふうに確信しております。
来年度は、そのスポーツの今後の在り方を示す第3期スポーツ基本計画の策定に向けて、今回御審議をいただく重要な年になっておりますけれども、それに先立ちまして、本日は、現在運用されております第2期スポーツ基本計画の実施のこれまでの状況、評価など、スポーツの様々な分野における現状や課題について御議論いただく予定になっております。
本日は、御参加の委員の皆様方より様々な御知見を踏まえた御意見、お考えをお伺いしまして、現在の課題やスポーツ行政の方向性などについて、意見交換をさせていただきたいと思っております。
ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【早川会長】 長官、ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。本日は、次第にありますとおり、1番目、独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る令和3事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可等について。2番目、令和2年度第3次補正予算におけるスポーツ団体に対して補助案について。3番目、令和3年度におけるスポーツ団体に対する補助案について。4番目、第2期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価、以上の4点について、御審議、御議論をいただきたいと思います。
多くの議題が予定されておりますけれども、とりわけ4点目の第2期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価に関しては、本日御出席の委員の皆様からそれぞれ御発言をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題1に入ります。独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る令和3事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可等について、意見聴取を行いたいと思います。
文部科学大臣がこれらの計画を認可しようとする際には、独立行政法人日本スポーツ振興センター法第21条により、当審議会の意見を聴いた上で行うこととなっております。
それでは、日本スポーツ振興センターより資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【松坂JSC理事】 失礼いたします。日本スポーツ振興センターの理事の松坂でございます。スポーツ審議会の委員の先生方におかれましては、日頃より日本スポーツ振興センターの業務に多大の御理解と御尽力をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日、ただいま早川会長から御説明がありましたように、日本スポーツ振興センター法第21条の規定に基づきまして、委員の先生方に御説明申し上げるものでございます。
お手元の資料は、2ページから10ページまでが私の説明する資料でございます。資料1-1を御覧ください。2ページでございます。
こちらが本日御説明するスポーツ振興投票等業務に係る令和3事業年度事業計画等でございます。こちらの説明に先立ちまして、スポーツ振興投票の状況について、簡単に口頭で御報告申し上げたいと思います。
令和2年度でございますけれども、スポーツくじの売上げは、先般まとまりまして、1,017億円ということでございます。1,000億円を突破いたしますのは、平成29年度以来3年ぶりということでございます。これに伴いまして、助成財源といたしましては、165億円程度を得られる見込みでございます。
令和2年度でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、Jリーグがしばらく開催できないということがございました。これに伴いまして、くじの発売ができない期間がございました。大変厳しい状況ではございましたけれども、Jリーグより先に再開したドイツのブンデスリーガを対象としたくじの販売を行いまして、くじの中断期間を約1か月短縮するという形で事業を行わせていただきました。
Jリーグの中断に伴う変則日程につきましても、柔軟にJリーグのほうには対応していただきました。従来は週1回程度販売ということでサイクルを回しておりましたけれども、BIG系の商品を週に2回販売ということを8週間にわたって行いました。また、昨年2月には、1等最高当せん金12億円というMEGA BIGという新商品を発売しております。こちらにつきましても、売上げが好調ということで、貢献したものだと考えております。
関係法の改正でございますけれども、先生方には御案内のとおりですが、昨年12月の臨時国会で、バスケットボールを対象競技として追加する。また、単一試合投票やスポーツ振興助成の対象拡大に係るスポーツ振興投票法等の関係法の改正がございました。
現在、JSCにおきましては、この新しい商品の仕様でございますとかシステム開発に向けての準備を進めているところでございます。できるだけ早い時期の発売開始に向けて、準備を進めております。
すみません、資料1-1に戻っていただきまして、「スポーツ振興投票等業務に係る令和3事業年度事業計画等(案)の概要について」を御覧ください。
スポーツ振興くじの発売、また、その売上げによる助成につきましては、令和3年度においては、運営の基本方針に基づき業務を推進するということを考えております。
運営の基本方針におきましては、4点挙げさせていただいておりまして、1点目といたしましては、くじの安定的な売上げの確保を図るということ。この中では、売上げとして1,040億円を設定するというようなことを挙げております。
また、2点目といたしましては、地域スポーツの振興のための効率的な助成を行うということを挙げてございます。
3点目といたしましては、スポーツ振興投票制度の趣旨につきまして、我が国のスポーツ振興に重要な役割を果たしているという点を中心に、その趣旨の普及・浸透を広く国民に理解していただけるように広報に努めてまいりたいと考えております。
また、業務の運営の点でございますけれども、効果的・効率的な運営が行えますよう、民間の経営手法を十分に活用して、安定的なセキュリティの確保にも取り組みたいと考えております。
これら4点、運営の基本方針にのっとって業務を進めてまいりたいと考えております。
具体の取組の詳細につきましては、事業計画の本文のほうに、資料でございますと資料1-2に記載しておりますが、販売面の努力をまず行っていきたいと考えております。
市場調査を適切に実施いたしまして、顧客のニーズの的確な把握に努める。また、魅力的な商品の開発、こちらにつきましても、進めていきたいと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による、くじの対象試合が延期等することがございます。これによりまして、安定的な開催に影響が生じる場合には、各リーグの状況に応じまして、柔軟な対応を行っていき、先ほど御説明したように週2回発売ですとか、多くの販売機会を確保するように努めてまいりたいと考えております。
助成の観点でありますけれども、関係法が改正されたことによりまして、収益の使途が拡大いたしました。幾つかありますけれども、例えば、空調やナイター設備、医療スタッフ確保、そういったものの使途が拡大することや、地域における青少年スポーツ活動、こういったものへも振興に役立つようなことを考えております。助成メニューの引き続きの不断の見直しを行ってまいりたいと考えております。
資料1-1の下のほうでございますけれども、収入支出予算の欄がございます。こちらの御説明をさせていただきます。
こちらにつきましては、くじの収入といたしまして1,040億円を上げております。この1,040億円に加えて、払戻金の時効による収入等が約4億ございますので、1,044億円ということが収入の見込みでございます。
支出の見込みといたしましては、売上げの半分の520億円が払戻金ということでございます。そのほか、くじの販売等を行うための販売経費、運営費として283億円がございます。これは省令の規定にのっとって充てるものでございます。それから、新国立競技場の建設費等に充当するものとして特定業務勘定への繰入れというものがございます。こちらも売上金の10%の範囲内ということで、104億円を充当するものでございます。
こちらを差し引いた後の額が収益ということでございますけれども、法定の国庫納付金のほか、助成財源として約102億円を確保する予算となっております。
JSCといたしましては、引き続き、我が国のスポーツ振興を図る上で重要な役割を果たしていきたいと考えております。適切に販売機会を捉えまして、令和3年度のスポーツ振興投票業務を進めてまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【早川会長】 ありがとうございました。
ただいま説明がありました本件につきまして、御意見等ございましたらお願いしたいと思います。
なお、本議案については、スポーツ審議会運営規則第7条におきまして、利益相反に関する規定が置かれております。「自己の関係する法人若しくは団体等に関する案件については、審議に参加することができない」とされております。該当する委員がいらっしゃいましたら、御発言及び議決への参加は御遠慮いただくようにお願いしたいと思います。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。それでは、特に御意見はないようでございますので、本件については、原案どおりで了承とさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【早川会長】 ありがとうございます。
続いて、議題2、令和2年度第3次補正予算におけるスポーツ団体に対する補助案についてに移りたいと思います。
スポーツ基本法第35条により、国は、スポーツ団体に対する補助金の交付については、当審議会の意見を聴いた上で行うこととなっております。
まず初めに、本日の出席者のうち、スポーツ審議会運営規則第7条の利益相反に関する規定に該当する可能性がある方について、事務局より御紹介いただければと思います。

【小畑政策課補佐】 それでは、資料2、通しページでいきますと11ページ目を御覧ください。今回、御審議をいただきますスポーツ団体、公益財団法人日本スポーツ協会ということでございます。この団体におきまして、スポーツ審議会運営規則第7条の利益相反に関する規定に該当する可能性のある方ということで、事務局において把握しておりますのは、伊藤委員、山下委員ということでございます。
以上でございます。

【早川会長】 ありがとうございました。
本議題に関する利益相反に該当する委員につきまして、事務局から今御紹介いただいた委員のほか、該当する委員はいらっしゃいますでしょうか。
追加では特にないということで、先ほど事務局のほうからお名前が挙がった委員は、それぞれ該当団体に関する御発言等の参加は御遠慮いただくようにお願いいたします。
それでは、本議題につきまして、事務局からの説明聴取を行った後に、委員の皆様から意見聴取を行いたいと思います。
事務局より、資料の説明をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 スポーツ庁健康スポーツ課長でございます。議題2の令和2年度第3次補正予算におけるスポーツ団体に対する補助案について、説明をさせていただきます。
先ほど会長より御説明がありましたとおり、スポーツ基本法第35条により、国がスポーツ団体に補助金を交付しようとする際は、スポーツ審議会の意見を聴いた上で交付を行うことになっております。
資料2を御覧ください。通し番号の11ページから14ページになります。
スポーツ庁では、令和2年度の第3次補正予算において、公益財団法人日本スポーツ協会に対し、子供の運動遊び定着のための官民連携推進事業を実施いただくための、2億9,828万1,000円の補助を予定しております。
補助事業の内容といたしましては、資料2の1、目的にありますとおり、コロナ禍による外出自粛による影響を踏まえまして、子供たちの運動機会を増やし、運動習慣を身につけてもらうことによって、子供たちの体の成長とストレスの解消を図ろうというものです。あわせて、本事業においては、取り組んだ内容をより広範に普及、定着していくための方策などについて、都道府県のスポーツ協会や地方自治体などが連携して取り組む場を設置いただくことも考えております。
以上、簡単な説明ではございますが、御審議をお願いします。

【早川会長】 ありがとうございました。
それでは、本件につきまして、御意見などがございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、特に御意見がないということで進めさせていただきます。スポーツ庁におかれましては、適切な補助金執行を行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続いて、議題3、令和3年度第3次補正予算におけるスポーツ団体に対する補助案についてに移りたいと思います。
こちらも、スポーツ基本法第35条に基づき実施されるものであります。
まず議題2と同様、本日の出席者のうち、スポーツ審議会運営規則第7条の利益相反に関する規定に該当する可能性のある方について、事務局より御紹介いただければと思います。お願いします。

【小畑政策課補佐】 事務局でございます。それでは、資料3、通し番号でいきますと、15ページ目から17ページ目を御覧ください。今回、御審議いただきますスポーツ団体の一覧を記載しております。御確認いただければと思います。
これらのスポーツ団体におきまして、スポーツ審議会運営規則第7条の利益相反に関する規定に該当する可能性のある方につきまして、事務局において把握しております委員を御紹介いたします。伊藤委員、大日方委員、河合委員、境田委員、鈴木秀典委員、友添委員、山下委員、以上でございます。

【早川会長】 ありがとうございます。
本議題に関する利益相反に該当する委員につきまして、事務局から、今、御紹介いただいた委員のほか、該当する委員はいらっしゃいますでしょうか。
いらっしゃらないようですので、それぞれ事務局から御説明のあったお名前が挙げられた委員の方については、それぞれ当該団体に関する御発言等の参加は御遠慮いただくようにお願いいたします。
それでは、本議案につきまして、事務局からの説明聴取を行った後に委員の皆様からの意見聴取を行いたいと思います。
事務局より資料の説明をよろしくお願いいたします。

【今泉政策課長】 それでは、資料3に基づきまして御説明申し上げます。
令和3年度の予算につきましては、先週金曜日、26日に既に国会において成立しております。今回、お諮りさせていただくのは、先ほど会長からお話がありましたとおり、スポーツ基本法第35条によりまして、スポーツ団体の補助金の交付については、スポーツ審議会の意見を聴いた上で行うこととなっておりますので、それを行うものでございます。
今回、令和3年度につきましては、六つのスポーツ団体に対して総額約18億4,000万円の補助を予定しております。これは対前年度に比べまして、5.6億円の増になります。
まず、1点目でございます。公益財団法人日本スポーツ協会に対する補助でございます。金額は約6億2,000万を予定しております。これは、スポーツの普及・振興を目的として行われる指導者の養成、市民レベルのスポーツを通じた国際交流等について補助を行うものでございます。また、本年度から、新しい生活様式に対応した地域スポーツの推進に関する事業に対しても補助を行うものでございます。
2点目でございます。公益財団法人日本障がい者スポーツ協会に対する補助でございます。金額は約6億円を予定しております。これは、障害者スポーツの普及・啓発、指導者の養成・活用、国際総合競技大会への日本選手団の派遣や国際競技力向上に関する情報収集・提供等に対して補助を行うものでございます。
3点目でございます。公益財団法人日本オリンピック委員会に対する補助でございます。金額は約2億3,000万を予定しております。これは、国際競技大会への日本代表選手団の派遣や国際審判員の養成等に対して補助を行うものでございます。
4点目でございます。公益財団法人日本武道館に対する補助でございます。金額は約6,000万円を予定しております。これは、武道の普及・振興を目的として行われます武道練成大会の開催、指導者の養成、武道を通じた国際交流の促進、古武道の普及について補助を行うものでございます。
5点目でございます。一般社団法人大学スポーツ協会に対する補助でございます。金額は約1億3,000万を予定しております。これは、安全安心な大学スポーツ活動の実施、及び、卓越性を有する人材の輩出に資する事業に対して補助を行うものでございます。
最後に6点目でございます。公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構に対する補助でございます。金額は約1億9,000万円を予定しております。これは、国内のドーピング検査に係るドーピング検査員の新型コロナウイルス感染症予防対策の徹底を図るため、ドーピング検査員への感染予防対策及びドーピング検査の実施場面における感染予防対策等を行うための補助でございます。
以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【早川会長】 ありがとうございました。それでは、本件について御意見などございましたら、お願いしたいと思います。
特に御意見はないということでよろしいでしょうか。
それでは、こちらについても、スポーツ庁におかれましては、適切な補助金執行を行っていただきたいと思います。
続いて、議題4、第2期スポーツ基本計画の実施状況の検証・評価に移りたいと思います。
御承知のとおり、現在の第2期スポーツ基本計画は、平成29年度から令和3年度までの5年計画となっております。来年度がその最後の年度となります。
来年度は、令和4年度から令和8年度までの次期のスポーツ基本計画について議論を進め、将来的なスポーツの在り方等について検討していく必要がある年度となっております。
そのためにも、まず次期計画に向けた議論の前提として、現在運用されている第2期スポーツ基本計画に基づき実施された取組、それによる成果の進捗、そして社会情勢の変化等も踏まえ、どのような課題が引き続き残っているのかについて、スポーツ庁より御報告をいただき、その上で、皆様と状況を共有して、意見交換をさせていただきたいと思います。
それでは、事務局のほうから説明をよろしくお願いいたします。

【今泉政策課長】 失礼いたします。まず、第2期スポーツ基本計画について、簡単におさらいをさせていただきたいと思います。
皆様の参考資料3-1、ページ数で言いますと107ページを御覧いただけますでしょうか。
第2期スポーツ基本計画には四つの基本方針がございます。
一つ目が、「スポーツで「人生」が変わる!」、二つ目が「スポーツで「社会」を変える!」、三つ目が、「スポーツで「世界」とつながる!」、そして四つ目、「スポーツで「未来」を創る!」と。こういう四つの基本方針の下で作成されております。
その下で4点の政策目標を立てております。
1点目が、スポーツを「する」「みる」「ささえる」、そのスポーツ参画人口の拡大と人材育成、あと活動の場の充実でございます。
2点目は、スポーツを通じた活力があり絆の強い社会の実現、そして、共生社会の実現の話、スポーツを通じた経済振興及び地域振興の話、そして国際展開、これを含めております。
3点目でございます。国際競技力の向上に向けた強力で持続可能な人材育成や環境整備というところでございます。
そして、4点目でございます。クリーンでフェアなスポーツの推進によるスポーツの価値の向上でございます。
これら四つの政策目標を立てまして、その政策目標の下で19の施策目標を立てております。そして、その下で139の具体的施策を取りまとめて、20の成果指標を設定していると。これが第2期スポーツ基本計画のポイントでございます。
今回、お諮りさせていただきまして、先生方からの御意見を頂戴したいところについて、この第2期スポーツ基本計画の進捗状況及びその数値目標の達成状況について、これから資料4を基に御説明申し上げたいと思います。資料4は20ページ目でございます。
まず、一つ目の政策目標になりますスポーツ参画人口の拡大についてでございます。
この点については、成人の週1回及び週3回以上のスポーツ実施率、障害者の週1回・週3回のスポーツ実施率、これは、いずれも計画策定時と比較して上昇しております。そういう意味で一定の達成度は得たと考えられますけれども、ただ、目標値に掲げたものとはまだいまだに乖離がある状況でございます。また、成人のスポーツ未実施率についても着実に減少はしております。ただ、こちらも目標値とは開きがある状況でございます。
引き続き、国民のスポーツ実施に向けた環境整備、機運醸成を行う必要があると考えております。
その際、特に戦略的にこの取組を進めるのであれば、人生の初めの段階、若い子供の段階からスポーツ機会を増やして、スポーツ嫌いを減らし、運動習慣をつけていくこと、これが戦略的に効果がある方法ではないかと考えております。
ただ、現在、ここのところについても、スポーツが「嫌い」・「やや嫌い」である中学生の割合は、計画期間中、数値がほぼ変わらないところでございました。こういう中、将来的なスポーツ参画人口の確実な向上のためにも、子供の頃からの運動習慣の確立と体力の向上が重要課題となっていると考えております。
また、折しも昨年9月に休日の運動部活動の地域移行の話も出ております。ここら辺の話も含めて、部活動改革が必要と考えているところでございます。
この観点でもう2点、話をさせていただきたいと思います。
まずは、人材育成、地域のスポーツ人材の育成の観点でございます。地域のスポーツ人材の育成に関しては、JSPOさんのほうで行っております公認スポーツ指導者資格のさらなる普及、取組が必要であると考えております。
場の提供でございます。場の提供に関して、まず総合型地域スポーツクラブについてでございます。これは、コロナの影響で登録・認証制度及び中間支援組織の整備については、令和4年度以降に実施する予定となっております。
それ以外にこの点で重要な点は、学校施設、社会体育施設、民間の施設、そこら辺の施設をお互いにシェアしながら活動する。そういうシェアリングエコノミーの観点で取組を進めることが重要と考えているところでございます。
続きまして、2点目の政策目標であります、スポーツを通じた活力があり絆の強い社会の実現についてでございます。この点については、25ページ目を御覧いただけますでしょうか。
ここの目標の点については、大きく4点ございます。
まず、1点目は共生社会の実現の観点です。
その中で、まず、障害者スポーツの振興についてでございます。
障害者のスポーツ実施率は、週3回以上の実施率を含めまして、増加傾向が見られます。ただ一方、無実施層は、依然として半数超でございます。また、実施してない方々の85%が、「特にスポーツレクリエーションに関心はない」と回答しているような状況でございます。また、若年層で見ても、無実施層が増加傾向にあるという状況でありますし、また、障害発生が18歳以下の障害者に係る学校体育への参加状況につきましても、「毎回参加した」と回答する割合については43.5%にとどまっております。ここの部分をどう後押しするのかが課題と考えております。
続きまして、スポーツを通じた健康増進についてでございます。
この点につきましては、健康寿命の延伸に効果的なスポーツプログラムの策定、また、そのスポーツの習慣化を推進する地方公共団体への支援、取組事例の作成等は行っております。ただ、これが全国津々浦々、国民の皆様の生活にまで届いているのか、普及啓発については、まだ十分になされていないだろうと考えているところでございます。
その一方、この点については、厚生労働省さんと連携会議を設置して、その連携が強化されつつあります。特に厚生労働省さんが策定する新身体活動ガイドライン、これは仮称でございますが、これを基に、最新の知見に基づいたスポーツ、これを広く普及させて、健康増進に関するリテラシー向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、スポーツを通じた女性の活躍促進でございます。
この点に関しましては、スポーツを通じた女性の活躍促進会議というものを設置して、女性スポーツの促進方策というのをまとめております。特に大きな点は、3点の柱があります。まず、女性の世代ごとのスポーツ実施率の向上、2点目がスポーツ団体の女性役員の増加、3点目が女性指導者の育成でございます。
続きまして、26ページ目を御覧いただけますでしょうか。スポーツの成長産業化に関する部分でございます。
第2期スポーツ基本計画では、2025年までにスポーツ市場規模を15兆円まで拡大すると。この観点で、これまで、スタジアム・アリーナ改革や中央競技団体の経営力強化、スポーツオープンイノベーションの推進等を通じて成長産業化に取り組んできたところでございます。
数字で見ますと、総額ではおおむね順調に推移してきております。ただ、コロナウイルスの関係で感染拡大の中、スポーツが止まる状況も生じております。その影響で先行き不透明な状況になっていることは否めません。
ただ一方、明るい話題としては、オンラインの取組が進んでいるところでございます。特にスポーツ×テクノロジーとして、いろいろなテクノロジーも進んできております。これを活用したスポーツ産業の促進ということがあり得ると考えているところでございます。
スポーツ市場の推計指標としては、スポーツGDPの測定の仕方について精緻化を図っていくということも必要かと考えているところでございます。
27ページ目を御覧ください。この項目の3点目でございます。スポーツを通じた地域活性化についてでございます。
インバウンドの増加を背景に、これまで地域外からの交流人口拡大、いわゆるアウター政策を進めてまいりました。数字で見るとこれは順調に推移してきました。ただ、これもコロナ禍の影響で非常に今後不透明な状況となっております。今後は、このアウター政策と併せて地域内の交流人口拡大・健康増進、こういうものを含めたインナー政策、これを同時並行することによりまして、まちづくりを総合的に進めていくことが必要ではないかと考えているところでございます。
次の点が、国際貢献でございます。
スポーツを通じた国際貢献に関しましては、スポーツ国際戦略というものを策定して、IFにおける日本人役員の増加、スポーツ・フォー・トゥモロー事業によります国際貢献事業を行っております。それ以外に、ユネスコのスポーツ大臣会合やアジアを中心とした政府間会合を積極的に開催したり、また大規模国際大会としては、ラグビーワールドカップ2019をはじめ、多くの国際大会を開催してきたところでございます。
今後、この国際大会の成果をどうレガシーとして引き継いでいくのか。この点が、国際戦略については課題となっているところでございます。
スポーツ基本計画の三つ目の政策目標であります国際競技力の向上についてでございます。ページ数32ページ目を御覧ください。
ここの点では、政策目標として行ったことなど、JOCさん、JPCさんが設定したメダル獲得目標を踏まえつつ、我が国のトップアスリートがオリパラ大会において過去最高の金メダル数を獲得するということを支援することを目標としております。
ただ御存じのとおり、第2期のスポーツ基本計画策定以降、オリパラ大会というのは2018年の平昌冬季大会のみでございます。また、御存じのとおり、東京オリパラ大会については来年度という形でございます。そのため、現時点において、オリパラ大会における金メダリストの評価は困難でございますが、それ以外、オリパラ大会の開催年以外におきましても、各競技の世界最高峰レベルの大会、いわゆる世界選手権におけるメダリスト及びメダルポテンシャルアスリート、いわゆるMPAの輩出等については、着実になされていて、成果を上げられているものと考えているところでございます。
今後についてでございますが、今年夏に行われます東京大会の開催、あと来年になります北京大会、この大会を踏まえまして、達成状況を評価の上、いわゆる鈴木プランとしてつくってきた競技力向上の計画についての検証、見直しを行っていくことが課題と考えております。
第2期スポーツ基本計画の最後の政策目標、クリーンでフェアなスポーツのところでございます。これは34ページ目を御覧ください。時間の関係もありますので、少しはしょらせていただきます。
この点では、特筆すべきところについてはガバナンスコードの策定でございます。スポーツ審議会の中にインテグリティ作業部会を設置して、ガバナンスコードを策定いたしまして、統括団体による適合性審査を実施することとしております。また、JSCにおいては、モニタリングを実施するという形になっております。
また、アスリートの権利保護の観点で、第三者相談窓口を設置するとともに、最近ではJOCさんイニシアティブでスポーツ7団体が共同して、性的画像の対策等も行っているところでございます。
また、アンチ・ドーピングに関しまして、これまでも日本のドーピング防止活動については、国際的に評価されてきたところでございますけれども、2018年にドーピング防止法の施行がございました。それを基に、引き続きドーピング検査体制の整備等を行っているところでございます。
また、本年1月に発効いたしました教育に関する国際基準、結果管理に関する国際基準というものがございます。こういう国際的ルールに適切に対応していくということも必要になっております。
以上が、第2期スポーツ基本計画の四つの政策目標に基づいた検証・評価でございます。これに加えまして、あと4点だけ申し上げさせてください。
今、申したのは、あくまでも施策の内容についてでございます。ぜひ、皆様から、御意見を頂戴したものとして、以下の口頭で4点申し上げたいと思いますので、それについても御意見をいただければと思います。
一つ目は、ロジスティクスの問題です。
政策について、個々の取組を行うだけじゃなくて、それをきちんと全国津々浦々の国民にまで届けなければなりません。そのロジスティクスについて、第2期スポーツ基本計画の中ではまだ弱いところがあったのではないかと考えております。また、そういうふうに現場に届けなければ、政策実効性としては、まだ十分ではないところもございます。
この政策実効性を高めるために、どう全国津々浦々の国民に政策を届けていくのか。このロジスティクスの強化が一つ論点にあるだろうと考えております。
二つ目は、限られたリソースの配分についてでございます。
我々スポーツ庁も、公費の獲得には努力してきております。そのせいか2015年には290億だったスポーツ予算についても、令和3年度については354億と約2割増の予算の増を得ております。さはさりながら、全国津々浦々にこのスポーツの価値を届ける、そのリソースとして本当に十分なのかというと、やはりまだ不十分と言わざるを得ないところがあります。
人的リソースもしかりです。今、いろいろと地域スポーツ指導者も存在しておりますけれども、これをいかに拡大していくのか。また、アスリートの活用をどう考えていくのか。部活動を代替する体制をどう取っていくのか。人的リソースでもいろいろと課題があります。
この限られた人的リソース、財政的リソースをどういうふうに戦略的に配分していくのか。ここも、先生方の御意見を頂戴したいところでございます。
3点目が、リソースの配分だけではなくて、リソースの拡大自体も考えていかなくてはいけないところでございます。
今回、国際競技大会の開催を通じて、例えば人的リソースについては、ラグビーワールドカップでも、東京オリパラ大会でも、いろいろなスポーツ人材が育ってきております。この方々が、各大会が終わった後にどういうふうにリソースとして活用していけるのか。また、公費について伸びをさらに努力していくとともに、公費以外で金銭的リソースをどう拡充していくのか。この点も大きな点だと考えております。
口頭での最後の点が、エビデンス・ベーストの取組でございます。
まず、今回の数値目標について、第2期の部分については、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。ただ、第3期に当たって、本当にこのスポーツの実施率とか政策効果を見るのに、数値目標として本当に今の目標で適切なのかどうか。それをきちんと調査し、データとして把握できる状況になっているのかどうか。さらにそれを研究機関の研究者等に御協力いただいて、分析し科学的に評価できるような体制になっているのかどうか。この点については課題かと考えております。
以上4点についても、資料にはございませんけれども、併せて御意見を頂戴したいと考えております。
私からは以上でございます。

【早川会長】 ありがとうございました。
それでは、今御説明いただいた点につきまして、意見交換を行いたいと思います。
御質問のある方は挙手をお願いしたいと思います。ウェブで参加いただいている先生には、オンライン会議システム上の挙手ボタンを押していただきたいと思います。
それでは、いかがでしょうか。順番は特に決めておりませんけれども、御発言いただける方、挙手または挙手ボタンをお願いします。
久野先生。

【久野委員】 筑波大学の久野です。
論点の中で、スポーツ庁から大事なポイントを言っていただけてよかったなあと感じておりました。特に私の専門のスポーツと健康という分野からすると、スポーツ実施率だけで見ていくのは、課題がかなりあると認識しています。
つまり、やればいいということではなくて、健康が維持されるようなレベルのスポーツをやっている人をどれぐらい増やすかということが一番論点ですので、そのような視点を今回どの程度まで、急展開を望んでいるわけではないのですが、少し第一歩を入れ込んでいけるようなことを目指すべきではないかと。それが、多分今後スポーツ庁で予算を獲得していくときに、ここで財務省という言葉を出していいのかよく分からないのですが、そういうところに対して説得力も増していくんだろうと思います。
ここに妥当な数値目標を立てるエビデンスは相当ありますので今回の改定では非常に大きなポイントになるのではないかと思います。
もう一つ、ポイントとして入れていただきたい点が2点ありまして、1点は日本社会が高齢化している中で、高齢者という捉え方だけでは政策効果も出づらくなっている。つまり、これから2040年まで、日本社会は80歳以上の後期高齢者の方が非常に人口を占める社会がやってくるわけです。例えば、今、我々の領域で、医療費の抑制よりは、介護費の抑制、介護者をいかに抑え、そして、スポーツ等を通じて、いかに生きがいを持った人生にしていただくのかというところにかなり転換してきています。
そういう意味でも、80歳以上の方を含めた意味でのいわゆる100歳時代、最期までスポーツで健康で行けるというような視点が、多分、次の5年間においては非常に大事な視点じゃないかと思います。
もう1点は、私自身も不勉強だったのですが、このコロナ禍で、子育てのお母さんたちが非常に特にメンタルヘルスがやられている。妊産婦については、厚労省でも意見交換を続けているのですが、色々なプログラムがあってもほとんど地域で使われていないという課題があります。
メンタルヘルスや様々な問題の中で、スポーツの力が非常に効果があるというエビデンスが出ているので、そういう面では、単に高齢者だけではなく、多様な世代、特に女性、少子化対応という妊産婦の方々を含めた子育ての女性をターゲットにしていくという視点が今後大事じゃないかと感じておりました。
あと、次回でもいいのですが、例えば、地方創生の第2期総合計画の中で、スポーツ・健康まちづくりというのをスタートさせて、スポーツ庁と内閣府とよく調整していただいているのですが、私が調べる限りほとんど自治体は使っていないのではないかと思います。つまり、スポーツ庁以外のところでスポーツを活性化する予算があるのをどれぐらい使われているか。もちろん、スポーツ庁で予算獲得する視点とうまく他省庁も含めてやっていくその辺の視点を計画にどう入れるかということと、計画だけじゃなく、使うほうの自治体やスポーツ団体への啓蒙が課題ではないかと感じております。
以上です。

【山田委員】 よろしいですか。山田ですけれども、聞こえますでしょうか。
幾つか、今の文科省の御説明を伺っていて感じた点を述べたいと思います。
非常に綿密に継承されているということがうかがえて、大変心強く思っているのですが、ただ正直言いまして、どうも実感と少し違うところがあります。特に、この1年、コロナの問題で、私ども、かなり、今お話がありましたように、スポーツは大きな影響を受けたという気がしております。
地域においても、スポーツジムが閉じられたり、多くのスポーツイベントが中止になったり、スポーツに日頃から親しんでいる量が増えてきたという実感は、正直言ってありません。ですから、この調査について、スポーツの質というものがきちっと検証される必要があるのではないかなと思っております。地域のほうでは、スポーツに親しめるかというとこの1年は非常に厳しかったのではないかなというのが私の実感であります。
そうした点から申しますと、新しい基本計画も5年スパンになると思うのですが、かなりコロナの問題は引きずってくるのではないかと思います。新しい日常のことも出ておりましたけれども、安心してスポーツを楽しめる環境をどういうふうに確保していくか。ウィズコロナの時代、ポストコロナの時代において、これをどう総合的に見ていくのかという視点が必要になってくるし、また、先ほど補正予算で感じたのですが、このコロナを踏まえて、スポーツをどういう方向で発展させていったらいいのかという基本的な考え方が少し分からない、どちらかというと対症療法に終わったじゃないかなという点があります。この点は、新しい計画をつくるときにしっかり練っていただきたいと思います。
そうした中で、かなり新しいものが出てきております。リソースの問題が出てきて、補助金が使われてないとのことですが、多分、地方公共団体は、今はもうコロナ対策費用が大変な額になっていますので、それどころではなかったのかもしれません。ただ、リソースの方法はいろいろなものが出てきています。
例えば、クラウドファンディングが、この間、ものすごく普及しました。それから、スポーツではあまり使われてないのですが、ふるさと企業納税、こうしたものも、地域の活性化と民間とスポーツをつなぐ大きなツールになると思っています。
冗談めいて申し訳ないですが、Go To トラベルとGo To Eatがあるのであれば、Go toスポーツがあってもいいのではないかと思います。地域で交流を深めていくために、思い切ったGo to スポーツの予算というものがあってもいいのではないかなと思いまして、そういった点からもリソースを考えていただけたらと思います。
また、この間、私はリモートで参加しておりますけれども、スポーツに関しましても、Youtubeとか新しい普及の方法が出てきていると思います。こうしたものをどれだけ私たちがうまく取り入れていくことができるのか、戦略的に考えるべき時期に来ているのではないかなと思います。
これからの5年間、まだまだコロナの影響の中でのスポーツになると思いますので、多くの方々がPCR検査を受け、感染防止対策を徹底し、その中で地域間の交流がより盛んになるような、計画に向かって、さらに検証を進めていただければありがたいと思っております。
また、私、他の業務の関係がありますので、途中で抜けることはお許しいただきたいと思います。以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。それでは、ほかの委員から。境田先生、お願いします。

【境田委員】 委員の境田でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず、今泉課長から4点の今後の課題という御指摘がございました。その前に、この7年、8年をちょっと振り返ってみたいのですが、実はこのスポーツ庁ができて5年半たちます。それで、実は、友添先生などとそのスポーツ庁ができる前、スポーツ審議会の前のスポーツ青少年部会という会の審議会の委員も務めておりました。そのときの政策から比べると、各段にその政策の内容がきめ細かくなり、幅が広くなり、いわゆる草の根、現場に寄り添った政策が多く出ています。これは明らかです。これは見ていただくと違いが明らかです。
スポーツ庁ができて、地域振興、それからオリパラ、競技スポーツ、国際など、健康スポーツもそうですけれども、そういった人材がスポーツ庁に結集して日本のスポーツ政策を立案してくださっている。それから予算も、先ほど2割増ということですね、それが、今の日本のスポーツをかなり拡大路線に持っていっているのだろうと思います。
この人口の減少、出生率の低下、それから施設の老朽化、何もしないとこれは明らかにマイナスのスパイラルに入ります。それをここまで持っていっているということは、実は評価されるべきだと私は考えております。
実際、コロナが起きて、私はバスケット、Bリーグ、ラグビー、テコンドーなど、いろんな競技団体の役員なんか務めておりますが、本当に悲惨なほどダメージを受けていらっしゃいました。そこを、これはスポーツ庁のみならず、JSPO、JOC、障がい者スポーツ協会、いろんなメニューが交付されて、本当、これで息つけたというのが実感としてあります。だから、ここも、やはりスポーツ庁ができて、きめ細かなコロナ政策をしていただいたと、これは現場の実感として感じておりますということです。
それから、次に、今泉課長の四つの御指摘ですけれども、私は、これからのスポーツが発展し拡大路線に入るためのキーワードはデジタルだと思っています。三屋会長もいらっしゃいますけれども、Bリーグができたのが5年前。これによってバスケット界の事業規模が100億から300と3倍に拡大しました。実は、ここの肝は、まず一つはデジタルですね。Bリーグのお客さんのデータをスマホできちんとデジタルで取って、データベースを作って、解析をして、次の戦略を立てるという、エビデンスに基づく政策、対策を立てるということをやったわけです。
ただこのデジタルだけでは駄目で、あと二つ要素があって、もう一つはガバナンスです。現場に携わって政策立案する、そこの体制、組織マネジメントがしっかりしていない。これは、2005年、15年前のバスケット協会であったりしましたが、やはり人材を得てガバナンスを確立する。これは、中央競技団体のみならず、地方の各都道府県協会まで含めたトータルのガバナンスを実現するというのが重要です。スポーツ団体、ガバナンス、これもスポーツ庁が一生懸命つくってくださって、これが今非常に各競技団体を健全化しています。
あともう一つは、コラボレーションです。バスケットが発展したのは、何もBリーグだけが頑張ったのではないと思うんですね。Bリーグの、例えば北海道のレバンガ北海道というチームと北海道のスポーツ協会、北海道庁、札幌市とかそういう自治体、それから、地域の企業、それからクラブ、そして、Bリーグの本体に加えてスポンサー、そういったところのコラボレーションをきちんと実現するということによって、今のBリーグの発展はしています。
大学スポーツ協会、これも、スポーツ庁ができてから創設されました。これも大きな成果です。スポーツ庁ができて、大学スポーツ協会をつくるときに、私は委員だったのですが、一番の悩みは権益が何もない。大学スポーツ協会ができても、箱根駅伝は、関東陸連が権益を持っているから、一切こちら側に利益は来ないし、6大学野球も、関東の大学野球は持っていますよね。だから、お金を生み出すものが何もなかったのです。
そこで何を考えたかというと、学生のデータ、それから大学スポーツを無料配信するその視聴者のデータというビッグデータを用いて新しい価値を生み出します。デジタルを用いて新しい価値を生み出しますという説明会を私、この講堂でやって、ここに100何十社来ていました。そこで、今5社、6社、スポンサーが手を挙げていただいて、今、UNIVASの財政を支えてくださっているし、その企業と新しい価値を生み出そうとしています。
なので、そういった形で、権益がなくても、興行権がなくても、そういったデジタル、ガバナンス、コラボレーションというものをきちんとまとめて政策をつくっていけば、新しい価値を生み出すことはできると考えていますので、これがこれからのスポーツ振興の非常に大きなキーポイントかなと思っています。
以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。

【友添委員】 ありがとうございます。友添でございます。幾つか感じるところをお話させていただこうと思います。
一つは、大事な点は、山田委員がおっしゃったように、ポストコロナをどう考えるのかということが大切になってくるように思います。つまり、コロナ禍の中でのスポーツ界の現状から第3期の基本計画は始めるのか、あるいはそれと関わりなく議論を始めるのか、ここが一つ、大きな分かれ道になると思います。恐らく、コロナを全く捨象して切り込んでいっても国民的な共感は得られないだろうと思うのです。ここのところ、つまりコロナによる影響を十分に考慮して、基本計画を考えるというスタンスは意図しておかなければならないと思います。
あと、ロジスティクスの問題も重要だと思います。今泉課長がおっしゃったロジの問題は、先生方、委員の皆さんもよく御存じのように、地方に行けば、県や市、町でスポーツ審議会に相当する会議があり、そこでも基本計画をつくっています。政令指定都市に行けば、政令指定都市のスポーツ審議会もあり、そこでもまた、スポーツ基本計画をつくっています。それはすばらしいことなのですが、ただ、国のスポーツ基本計画をダウンサイジングしただけということが結構多いように思います。だから、それでは実際に地方にあった、本当の意味での基本計画作成にまで波及していないように思えます。こういったことも、第3期では考慮していく必要があるようにも思います。
さて、第2期の基本計画を見てみると、具体的施策を139つくっているのです。139という数は、イギリスの基本計画であるSporting Futureに比べても、もう圧倒的に多いですね。それから、オーストラリアのSport 2030。これはいわゆるNational Sport Planと言われているものですが、日本のスポーツ基本計画と同じですけれども、これとの比較においても傑出しているほど多いのです。
だから、実は具体的に施策を行う現場では施策自体が重複している場合もあって、多分困っている事態が起こっているように思います。ここを整理する必要があるように思います。第2期基本計画では再掲という形で11加えたのですが、結局、これはもうちょっと整理する時間、もっとそぎ落とす時間が必要だっただろうなと思うし、これだけの分量があれば、多分先ほどのロジという次元でのお話しで、地方が自らの実情に応じた施策を実行するというのは少し難しいのではないかと思います。ここをどう整理するのというのも、一つ大きな課題だろうと思います。
もう一つ、例えば、アウトプット、アウトカムの指標を見てみると、四つの大きな政策目標というのがあるわけですが、これはグローバルな視点から見ても、きわめて妥当な政策目標かと思っています。それから、施策目標の19というのも決して数的に多いとは思っていなくて、むしろ妥当なところだろうと思っているわけです。これもグローバルな視点から見てもほぼ網羅していて遜色はないです。
ただ、先ほど申し上げたように、具体的な施策をもう少し地方に委ねるところは委ねたほうがいいと、ずっと思ってきた部分があることを再度申し上げたいと思っています。
あと、境田先生や今泉課長がおっしゃったことで言いますと、スポーツの組織の財政的な自立をどう促すのかというところは喫緊の課題だろうと思っています。これはどういうことが必要かと考えていくと、スポーツの新たな職域をどう拡大、開拓していくのかということを、少し具体的に広げていかなければいけない時期に来ているように思います。例えば具体的に言えば、スポーツとAIの問題だとか、スポーツとデジタル化の問題をどう活用していくのかということです。
これは、境田先生らと大学スポーツ協会をつくるときに、ゼロからのスタートだったわけですが、その際にお金をどういうふうに生み出していくのかというところで、境田先生が具体例を出してくださったことをよく覚えています。つまり、ビッグデータをどう活用して、これをどういうふうにいわゆるビジネス化していくのかということです。それから、スポーツとITの問題を考えると新しい職域が出てくるチャンスでもありますね。
先ほど今泉課長がおっしゃったように、第2期スポーツ基本計画というのはエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングということを徹底してやってきたところがあって、ただし、そのエビデンスって妥当なのかというところも、実はなきにしもあらずのような気がしています。
例えば、スポーツの市場規模をどう数えるかというのは、結構研究者の好みの問題でもあるところもある。何を波及効果として見るのかというと、例えば、第一次波及効果だけで限定する研究者もいれば、第二次、第三次まで組み込んでしまう研究者もいて、時に有効なデータやエビデンスたりえない場合もあります。もう1回、エビデンス・ベーストといったときに、エビデンスが何かということをちゃんと精査する必要がまずあるのだろうなと思っています。
あと、政策目標でいうと、第2期では共生の問題を一生懸命やってきたつもりですし、女性スポーツの活躍促進、これは皆さんも、非常に一生懸命トライもしてきたし、やってきたという自負もあると思います。障害者スポーツについても、本当に一生懸命やってきた部分がある。ただ、共生で一つ、あまりやれなかったのは何かというと、自然保護や環境保護の問題と、そこにおけるスポーツの課題。90年代の初頭以降、グリーンスポーツの問題はカナダなどのスポーツ先進国ではかなり大きな問題意識をもって取り組んでいるのですが、基本計画ではほとんど触れられなかった。
ただし、国連のSDGsを見てみると、これは2030年までの達成課題であるのですが、ちょうど第3期はその期間に含まれるというか合致してしまうのですね。だから、スポーツと言わばSDGs、あるいはスポーツと環境保護の問題、これはやっぱり大きな問題として、政策目標の一つに挙げて考えていかなければいけないのではないかと思っているところです。
あと、あまりお話を引っ張るつもりはないのですが、コンプライアンスの問題とガバナンスの問題、これは第2期では特筆すべき成果だったと思います。ただし、どうも世界的な動向を見てみると、これをスポーツ・インテグリティという言葉でくくっているのです。
だから、ここもスポーツ・インテグリティという言葉、これは後でJADAの鈴木先生のほうからお話があると思うのですが、WADAの教育に関する国際基準、これは今年の1月1日から発効していますけれども、スポーツの価値教育という、もっと大きな基盤からスポーツ・インテグリティの問題を扱っていく時期に来ているだろうと思うのです。だから、これは四つの政策目標の中のやはり大きな方向の転換として出す必要があるだろうと思います。
あと、個人的には、子供の体力問題、具体的には低下の問題、これはコロナの問題を含めて非常に大きな問題で、小学校の男子なども今までになく低い体力値を示していますが、この現状を早急に改善していかなければならない。
子供の体力問題は日本の教育にとっても非常に大きい問題で、将来の骨粗鬆症の予備軍となったり、サルコペニア、フレイルの予備軍をつくっていってしまう可能性があるということを考えると、学校体育のいっそうの充実と運動部活をいわゆる地域運動部へどういうふうにうまく移行させていくのかということと関係してくるように思います。
そのときに、JSPOのいわゆるスポーツクラブ、総合型地域スポーツクラブとどう連携していくのかというのは、第3期基本計画が日本のこれからのスポーツのあり方を規程する大きな分水嶺になる可能性があると思います。
第3期の基本計画では、このような事柄もうまく政策目標として組み込んでいく必要があるのだろうなということを思っています。
以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。それでは、続いてオンラインで参加されています斎木委員から御発言をお願いします。

【斎木委員】 斎木でございます。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
今泉課長から問題提起が4点ございました。全国津々浦々の国民に届けるためのロジスティクス、限られたリソースの配分、リソースの拡大、そしてエビデンス・ベーストの施策についてであります。
私は、特にロジスティクス、リソースの配分及びリソース拡大を考えましたときに、極めて重要なことは官民連携であろうかと思います。本日の審議会の議題の2番目は、令和2年度第3次補正予算における「子供の運動遊び定着のための官民連携推進事業」に対する補助についてでございました。官民が連携することによって、地域と中央、そして様々なステークホルダーが連携プレーを取って協働することによって、好循環の実現を図ると。私は、これは今後の官民連携のモデルになる非常にいいことではないかと存じます。
なお、官民連携といったときには、友添委員の御指摘にも正しくございましたように、必要な役割分担を行って、重複のないように整理をすることが大切です。その上で、ワンチームといいますか、オールジャパンといいますか、関係者間の協働連携作業を行っていくことがスポーツの発展のために大変重要であろうと考えております。これが1点目です。
それから2点目に申し上げたい点でありますけれども、第2期の計画において四つの基本方針、すなわち「スポーツで「人生」が変わる!」、「スポーツで「社会」を変える!」、「スポーツで「世界」とつながる!」、「スポーツで「未来」を創る!」が謳われています。大変すばらしい理念だと思います。
私は、この四つの基本方針を考えるときには、キーワードとして、多様性と調和、ダイバーシティーとインクルージョンということを改めて想起したいと思います。したがって、第2期基本計画の進捗状況をこれからきちんと検証し、第3期の計画を策定するに当たっては多様性と調和ということで横串を刺して、しっかりと議論をしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【早川会長】 ありがとうございました。
それでは、どうぞよろしくお願いします。

【結城委員】 ありがとうございます。結城と申します。
今の先生方の御発言、非常に面白く関心深く伺いました。友添委員から御指摘いただいていますが、これからを考えるべきなのは、やはり私も、コロナ、ウィズコロナという視点でというのが非常にポイントになっていくだろうと感じています。
このコロナ禍というのが、いつ終わるのか等々の問題にかかわらず、既にこの1年間、私たちの身の回り、自分も含めてスポーツへの接し方、考え方というのがかなり変わってきているように感じております。
もちろんスポーツの現場、境田先生のところなど、大変な御苦労をされていらっしゃると同時に、我々一人一人がスポーツというものをまた違う感覚で、光で見始めているのではないかという気がしています。
このスポーツ実施率の向上、これ、非常に興味深く拝見をしています。実は、全くの私見でございますけれども、これ、ひょっとしたら、自分でこれまでやってきたような、人と対面で楽しむような形のスポーツがなかなかできにくい社会にあって、じゃあ、例えばここでウォーキングをする、ジョギングをする、何らかの形で自分で汗をかく、そういう個の部分でやっていくことも、実はスポーツだったのと、ある意味で一人一人の方たちが週1回汗をかくかどうかと聞かれたときに、自分の身近でやっていることも、これはスポーツに入れられるのだなという一つの大きなスポーツの定義の変革が個々のレベルで起こっている可能性があるのではないかと。
もう一つは、これは、どこまでと思いますけれども、例えば、今もう簡単にスマホで歩数等々を計れますね。自分の生体データなどが出てくる方もいる。そういう計測をし、そして、それをある意味で自分の過去、もしくはほかの方と比較ができるという意味で、非常に運動をするということが個々人レベルで継続しやすくなっているきらいがあるのではないかと。そういう意味でも、その変化が、コロナ禍という中で、そしてデジタルの推進とともに、だんだんに身の回りに起きてきているのではないかという気がしています。
ただ、その一方で、これまでスポーツ実施率、突出をしていたやに見えた高齢者の方たちの層では、いわゆる地域でのいろんな運動教室等々が、軒並み緊急事態宣言のたびに全てなくなってしまって、非常にジレンマを抱える状態になっている。その辺りが、恐らく反映されていないだろうと。その方たちがどうやって健康を、本当の意味での健康寿命を維持できているのかという問題というのも、この数字だけでは恐らくすくい取れていないのだろうなという気がしております。
その意味で、コロナ禍がもたらしている変化というものをどういうふうに分析をし、その中で、こういった数字、もしくは補助的に何らかの格好での指標をもって、今の社会、そしてこれからというものを推しはかれるかというのが、一つのポイントになっていくのではないかという気がいたします。
あと、私のほうで、私、自分の仕事柄、オリンピック、パラリンピック等々に関わることが多いものですから、ここまでスポーツ庁が創設をされて以来の一つの大きな柱というのは、東京大会が来る、それに向けてのある意味でレガシーを、私たちの社会の中でスポーツというものが持ち得る価値、そしてその価値を一人一人がどういうふうに自分の中で得て感じていくのか。そこを大きく後押ししようという部分がすごく大きかったと思います。
この四つの柱も含めて、その流れをどうつかまえるか、どのようにこれからにそれを維持しレガシーとして残すかという部分が一つのポイントになってきただろうと思います。
ここまでこういう形で、世論も見ながらですけれども、なかなか前を向きにくいという状況が生じてきた、ようやく今、いろんな形でオリンピック・パラリンピックに向けて徐々に物事が回転を始めた、この変化の中で一つ言えるのは、レガシーを残すためには、人々の関心の高さ、オリンピック・パラリンピックという機運に対しての心の持ちようというのが物すごく大事になってくるということです。
こんなもの、いいんだ。もうお祭り騒ぎなんか私は知らないというような状態でいる方たちが多ければ多いほど、その機運というものをスポーツ振興につなげることが難しくなっていくのではないかという気がしています。
その辺り、もちろん是々非々でいいのです。だけれども、この今のちょうど議論が深まりつつある、何でオリンピック・パラリンピックをやるのかという議論が深まりつつある、この機運は、逆にやりようによってはポジティブに変えていくことができるのではないかと。初めて日本の社会が、何のためにスポーツはあるのだということを考え出したとも言えるのだと思うのです。ここをある意味で行政としてもしっかり踏まえながら、何らかの支援策というものを押し出していくことがあっていいのではないかと思います。
ある意味で、これからの社会というもの、そして未来というものを考えたときに、私が取材いたします国際オリンピック委員会なども、ポストコロナの変化をつかまえて、分析をして、それにどのようにスポーツが貢献できるのか。今、SDGsというお話もありましたけれども、環境であれSDGsであれ、そういったその大きな流れの中にスポーツが何を貢献できるのかという部分をかなり強化しようとしています。
もちろん、それをそのまままねする必要はありません。だけれども、その視点の中には、ある意味でスポーツというものが、私たちの社会の中で、みんなの心の中で生き残って、それを受け入れてもらって、大きくしていくためには、それが社会的な価値を持つ、大きないろんな社会の問題とも関わり得るのだというのを示すことは得策である。それがスポーツ、オリンピック運動、生き残る道である。そういう視点が入っているかです。それは参考にできるかと思います。

【早川会長】 結城委員、ありがとうございました。
それでは、続いて御意見を頂戴したいと思います。
河合委員、よろしくお願いします。

【河合委員】 ありがとうございます。河合です。説明、今泉課長、ありがとうございました。
私のほうからは、まずスポーツを通じた共生社会ということについて、もう一度考えていただきたいなと思っています。
こういう、パラリンピック等も含めてですけれども、スポーツを通じて、社会そのものが共生社会になっていくということは、もちろんそれが望ましいわけですが、改めて、このスポーツ界そのものが、スポーツの現場そのものが、今、共生社会と呼べる状況になってきているかということの視点が必要なのではないかなと思っています。
例えば、先ほどあったように、学校体育において、障害のある子供たちは43.5%の参加です。こういうデータを先ほどお示しいただきましたけれども、この状態を共生できているというふうに呼ぶのか、呼ばないのか。私はやっぱり、どういう形であれ、その子に応じた、能力に応じた中で体育活動に参加することができる状態をつくること。つまり、見学者をゼロにするということを目指すべきではないかと考えるわけです。
当然それに伴って、もちろん文化系の活動に入る子もいるわけですが、運動部活動に関しても、これまで総合的な在り方のガイドライン等をこちらも示していただいていると思うのですが、これまでハラスメントや教員の働き方改革等に対応する部分でのガイドラインにとどまり、障害のある子供たちが一緒に活動する上でのガイドラインというような項目はほとんどないと思います。
こういったものを抜本的に見直しながら、まさに進めていかなければならない。さらには競技大会ですね。中体連や高体連、そしてUNIVAS等のこういった大会に、障害のある子たちが、方々が、出場できる環境をつくっていく。これらを国として、指針として示していくということを通じていかなければ、社会はスポーツを通じて共生になっていくよねと言いながら、我々の状況がどうなのかということを改めて見ていく必要性があると。
さらには、民間のスポーツクラブや公共のスポーツ施設の利用率とかこの部分も、障害者差別解消法とかの考え方からすれば、100%使えて当然と考えています。そのようなところも含めて、どう盛り込み、具体の部分に進むのか。
さらには、学校において体育の教師の取組が、スポーツにおいてとても重要になりますけれども、この場合、障害者のスポーツ指導員の資格を取得するなどを通じて、校内でのまさに特別支援教育のコーディネーターのような中心的な役割をすることによって、体育、スポーツ、そういった運動部活動を通じて、学校が共生教育の場になっていくのだと。こういったものを示していくことは可能ではないかと、まず1点目、思っています。
2点目、競技力向上の部分についてですけれども、改めて、この5年間の中で、ナショナルトレーニングセンターのイーストの完成等を含めて、本当にパラリンピックに対して大きなお力添えをいただいたことにはお礼を申し上げたいと思っております。
今後はそういったものを活用し、しっかりと今後の可能性を持ったポテンシャルのあるアスリート、タレントを発掘、育成、そして強化していくというパスへの仕組みを構築することだと思っております。その際に、パラリンピックにおいて重要なのは、どうしてもクラス分けという問題があります。障害のある子供たちとか障害のある方が、自分に合った種目を見つけられるような仕組みにする上でも、クラス分けの専門家が必要になりますので、この部分も共に取り組むのが第3期の課題なのではないかなと考えております。
そして、最後に課題を4点挙げていただいた中で2点お話しさせていただければと思いますが、ロジスティクスは先ほどいろんな先生方からありましたけれども、やはり地域の都道府県、あるいは市区町村のスポーツ審議会、スポーツ推進審議会等での議論が重要かと思います。予算の獲得、具体的な施策、その中で、障害のある当事者や障害者スポーツに理解がある、そういった方が入っているのかいないのかも含めて、ジェンダーバランスとか、今まさに多様性と言われる中での、ここのガイドラインじゃないですけれども、望ましい、こういう審議会の構成の方向性とかモデルとか、そういったものも何か示すなどしないと、先ほどあったように、今の国の方針を切り貼りするような状態では、なかなか魂の籠もった、それぞれの地方の活動にならないとも思いますので、こういったことを通じて、地方に進めていくという方策があるのではないかと思っています。
最後に、限られたリソースの再配分ということで、これは人材育成かと思います。室伏長官が就任時も人材育成がとてもスポーツ界は重要なのだということをおっしゃっていたと記憶しておりますが、今のところ、残念ながら、指導者あるいはコーチの育成は、どこどこの組織やどこどこの担当というふうに、競技団体の経営人材はこちらというふうに、どうしても横串が刺さっていない。スポーツに関わっているいろんな人材をもっと大きな視点で捉えて、人材育成の仕組みを構築する時期かと思いますので、何度かこの審議会でもお話ししていますが、人材育成のグランドデザインをしっかりとつくって、取り組むことが今後も大切かなと思っております。
以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。
では、続けて鈴木秀典委員からお願いいたします。

【鈴木秀典委員】 日本アンチ・ドーピング機構の鈴木でございます。
それでは、私からは、私の一番関わっている、クリーンでフェアなスポーツの推進によるスポーツの価値の向上、この観点から、先ほど、今泉課長がお示しになられました4点について、考えてみたいと思っております。
この第2期のスポーツ基本計画、この中では、2018年の10月に、スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律、これをつくっていただいて、この国内のドーピング体制の整備の推進をしていただいたというのは、これは第2期のスポーツ基本計画としては非常に大きなことであったと思います。先ほどエビデンスという話がありましたけども、こういうふうにきちんとした形で法整備をしていただいて、それに基づいて進めていくと。これは非常に大きなことだと考えております。
それに関わりまして、スポーツ庁のほうでおまとめいただきましたこの総論ですか、ここに書かれてある進捗状況と展望は全くこのとおりでございますので、賛同いたします。
日本では、こういう形で進んでいるのですが、実は、世界では、ロシア問題を機に私は非常に大きくいろんなことが変わったと考えております。それは特に、先ほど友添委員がお話しになられましたスポーツ・インテグリティ、これを確保することということが本当に大きな課題になりまして、WADAも2021年、今年から世界アンチ・ドーピング規程を変えましたけれども、それに伴って新たにつくったものが、一つが教育の国際基準、それからもう一つが結果管理になります。
特に教育は、どういうものを教育と指すのかというものを明確に定義して、その中に、先ほど、これも友添先生がおっしゃったように、スポーツの価値を基盤とした教育、これをしなさいというものを明確に打ち出してきました。
これは、先ほどの今泉課長の論点の一つ、限られたリソースの配分、これは、先ほど、河合委員もおっしゃっていましたけども、この限られたリソース配分する上では、教育というものを若いうちから行うということの重要性、これも、WADAのほうも世界の情報を見て、すなわち、そういった風土が育ってからではなくて、育つ前にきちんと対応するという、これが非常に重要だということに気がついたと言って、言い過ぎかもしれませんけれども、ではないかと思っております。
これは、日本は非常にアドバンテージのあるところです。しかし、アドバンテージがあると思っていると、いつの間にかのシステムをきちんと世界は整えて進んでしまいますので、例えば、今も進んでいる教育のシステム、これをしっかりつくることによって、このアンチ・ドーピングを含めたインテグリティの確保ということをしていくということが、意外と遠いようで近道で、お金がかかるようでかからないということではないかなと思っております。
そういう点では、ガバナンス、コンプライアンスの強化というものをさらに求めていくことが必要でして、数字でいうと、仲裁制度の整備が約60%というのは非常に少なくて、アスリートの権利保護という観点からは、自動応諾条項の採択等、ここは推進を望んでいるところです。
それから、プロスポーツ等、トップアスリートの活躍というものが我々を勇気づけたように、こういったスポーツの価値というものが改めて見直されていくと思います。そこにおいては、国際レベルでインテグリティを確保する。それは、スポーツの裾野が広がって、例えばスポーツ産業とか、プロスポーツを拡大すればするほど、それをするアスリートはクリーンであること。それから、試合自体もクリーンであること。こういったことを、数字のベースでちゃんと示せるような、担保できるようなシステム、これが必要ではないかと思いまして、次期の計画にもぜひ盛り込んでいただければと思っております。
以上です。ありがとうございました。

【早川会長】 ありがとうございました。
それでは、鈴木委員。

【鈴木美江委員】 それでは、私のほうからは、政策1と2について、学校現場の立場でお話しさせていただきたいと思います。
まず、今泉課長がおっしゃったように、子供の頃からの運動習慣が、豊かなスポーツライフの実現に向けて今後決まっていくといったところ、私も同感です。それに伴ってですけれども、全国津々浦々まで届けるロジスティクスの強化といったところでは、学校現場では学習指導要領がございますので、それがよい授業として、どこの場所でも行われるということが大事であると思います。
しかしながら、体育に限っては、教科書がない、準備が大変、自分自身が運動が苦手な教員がいるといった理由から、体育の授業を行うことに負担を感じている教員も一定数いるのは事実です。
このような状況の中、よりよい授業を児童に提供し、運動、スポーツの好きな児童を育てていく体育、保健体育の授業の充実のための手だてというのを、今後もスポーツ庁を中心に行っていただけたらと思っています。
スポーツをする時間を持ちたいと思う中学生を指標にされているのですが、実は中学生はすごく忙しくて、受験勉強もあり、部活動も、運動とは限らず文化部に入っている生徒もいます。そんな中で、スポーツする時間を持ちたいと思っているかもしれないけれど、事実無理だなと思って、ここで数値が上がってないのではないかなと思います。思っているのだけど、事実無理だから、ここで数値が上がらないのではないかということを考えると、小学校の高学年にこの数値目標のところを変えて、全国学力・学習状況調査や全国運動能力・運動習慣等調査もあることですので、そんな中で数値目標を考えていってはいかがかなと思っています。
小学校の体育でできるようになって、好きになって、中学校段階で得意になってくれれば、その後、生涯スポーツに向かって、もっと自分がやってみたいとか、見てみたいだとか、そういった次につながるような気がします。
部活動についても、先ほどからありましたが、現場では、地域によって状況が違います。地域スポーツ型で指導員がたくさん来てくれるような場所もあれば、それがおじいちゃん、おばあちゃんや高齢者ばっかりで、とても指導員の確保が難しいところもあります。また、熱心に教えている教員がいるところもあるので、先ほど官民連携というお話がありましたが、地域の状況に応じたハイブリッドな形でやっていただけたら一番いいと感じております。
最後に政策2についてです。スポーツを通じた健康の増進についてです。こちらについても、学校体育のほうでは、体育と保健一体となって、系統的な学習を行っています。健康増進のためのリテラシーは、小学校3年生から保健の学習で行っておりますので、そこで、子供たちが健康と運動がいかに密接に関わっているのかといったところをエビデンスで、全国学力・学習状況調査や全国運動能力・運動習慣等調査の中の質問に入れて調査されるとよいのではないかと考えております。
以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。
では、三屋委員、お願いします。

【三屋委員】 すみません、多分、初めての参加です。よろしくお願いいたします。
重複するところは省きます。まず、1点、スポーツとの多様な関わり方というのが、もうちょっとあったほうがいいかなと思っています。スポーツを「する」「みる」「ささえる」とかで、スポーツを「する」となると、どうしてもプレーヤーだけの意見になってしまいがちなので。
バスケットボール協会は、この間、室伏長官との懇談のときにも言わせていただきましたが、審判は15歳から取れます。指導者は18歳からライセンスが取れるようにしています。だから、何もプレーヤーだけがスポーツと関わるのではなくて、多様な関わり方があるよということを言っていかないといけないと思っています。そのためにはしっかりとしたライセンスの拡充は必要だろうと思っています。
2点目。スポーツを嫌いな人を減らすというのは、多分、中学生だと、もう無理だと私は思っています。自己概念が一度できてしまうと、なかなか、それを突き崩すのは難しくて、だったら、幼稚園とか低学年のとき、もちろんJSPOさんにアクティブチャイルドプログラムというのがございます。それが本当に浸透しているのか。要するに、低学年から、早期完成型とか育成型で専門性に行ってはいないか。そこは、しっかりチェックするべきだろうと思っています。
体を動かすのは楽しいというふうな概念がつけば、その後、幾らでも専門性に移っていけるので。最初から早期育成型のプログラムにはなってはいないだろうか。その証拠に、多分JSPOさんとか、うちの協会もそうですけれども、暴力暴言の件数が小学生は非常に多いです。要するに、大人が小学生を指導という名前でかなり厳しい指導をして、バーンアウトさせてしまっているという状況があります。そこは、しっかりとメスを入れるべきだろうと思っています。
スポーツというのは、私は、体力だけが大事ではなくて、今言われている非認知能力をすごく育てると思っています。辛抱強く物事に取り組むだとか、そういうものが、例えば文部科学省だとアートだとか音楽がなっているので、ぜひとも、我々はスポーツを通して非認知能力、子供たちが生きる力、しなやかに生きていくために必要な非認知能力をスポーツは育てるのだということをもう少し訴えていったらいいのではないだろうかと思っています。
3点目に、スポーツの人を増やしていくという中で、今どんどん働き方改革で部活動の先生方が減っていっています。それから、時間も減っていっています。それから、少子化で部活動ができなくなっています。
そんな中で、例えば、1種目だけ出られる大会が今どれだけあるのだろうか。だったら、そういうまちクラブだとか総合型のスポーツクラブをたくさんつくりましょう。でも、「そこに行ったら全国大会の予選に出れないもん」と言ってそこに入らない子たちもたくさんいます。そのまんまスポーツをする機会をなくしている人もいます。それから、オリンピック種目で中学校の部活動にないものもたくさんあります。そういったものをいかに拾っていくか。それは、まちクラブだとか総合型が絶対に必要になってくると思います。
じゃあ、その人たちが出る大会をいかにつくってあげることができるのか。それもトーナメントではなくて、リーグ戦をいかにつくるのか。今そこに我々は挑戦しています。弱かったらあっという間に負けて、3年生の春で引退してしまうではなくて、負けても負けても、自分たちが思うところまでちゃんと自分の種目をやり切れる。それをいかにNF、それからそれぞれの都道府県の協会と連携して。リーグ戦文化というのが多分これからのスポーツ政策には大きいのだろうなと。
日本はトーナメント文化なので、ぜひリーグ戦文化というものをしっかり取り入れて、これは子供たちだけではなくて、社会人も、それから高齢者も、全体に、日本人は日本の中にスポーツのリーグ戦文化というのを入れていくことによって、スポーツ人口というのが、これからも拡大していくのではないだろうかと思っています。
以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。
では、山下委員。

【山下委員】 このスポーツ基本計画に、日本オリンピック委員会としてもどう関わっていくかという視点も交えながら、お話しさせていただきたいと思っています。
まず、3点話したいと思いますけれども、一つは、コロナ禍の状況の中で、心そして体の健康というのは自分で守らなきゃいけないのだ、その意識がもっともっと高まっていく必要があるのではないかなと思っています。
欧米とかを見ていますと、こういう状況だからこそ、やはりスポーツというのは必要だと。そういう認識が非常に高まってきているのですが、日本ですと、これが不要不急に見えてしまう。スポーツというと、どうしても勝ち負け、みんなでやるという。だけど、こういうコロナ禍の状況の中で、そうやって集まってやることにも限界がある。もっと気楽に、身軽に一人でもやれる。そういう身体運動、スポーツ、こういうことに対しても、もっともっと関心を持っていく必要があるのではないかと思います。
JOCの理念の中に、一番最初に「全ての人々にスポーツへの参加を促し」と書いてあるのです。これをお飾りにしてはいけない。国際競技力の向上、これも大事ですけれども、東京2020大会の選考が1億総スポーツ社会にどうつながっていくのか、どうつなげていくのか。ここに関しては、日本オリンピック委員会としても、責任があろうと思っております。ですから、NFと連携しながら、ここについては、それがレガシーとして残っていくように、我々にできることをしっかり考えていきたい。
それから、二つ目ですね。東京2020大会のレガシーの一つが共生社会。JOCの評議委員会での発言があって、組織委員会の会長が代わりました。橋本新会長が、性差別を含む全ての差別、これをなくし、共生社会の実現、多様性の確保、これを目指していくと。組織委員会はオリンピック・パラリンピックが終わったらそこで終わるけれども、日本スポーツ協会、JOC、日本パラリンピック協会をはじめとする関係団体が受け継いで、これをぜひ実現してほしいと、こういうふうに言われました。
我々も、様々な差別をなくし、多様性を確保しながら、共生社会を実現していく。これについて、今これまでないぐらい日本オリンピック委員会の中でも、自らの責任と関心が高まってきています。
ですから、様々なスポーツ関係団体と協力しながら、JOCが変わろうとしても駄目なのですね、いかにNFを巻き込んでいくか、いかに都道府県のスポーツ団体を巻き込んでいくか、スポーツ界が率先しながら、この共生社会の実現につなげていきたい。
今回の東京2020大会は、オリパラ一体、これまでないぐらいにオリンピックとパラリンピック、この協会が協力してきた団体だと思います。ただ、その組織だけじゃなくて、各加盟団体までそれが浸透していく。そういう意味では、まだまだ小さな一歩を踏み出したに過ぎないと、こういうふうに思っています。
3点目、国際競技力ですね。先ほど河合委員もおっしゃいましたけど、この東京2020大会に向けて、国のほうでもオリンピック・パラリンピックに多大な御支援いただいたこと、このことを心から感謝、御礼申し上げたいと思っています。
ここには、過去最高の金メダル数と書かれておりますので、これは委員として私が触れるしかないと思いますので、ちょっと触れさせていただきます。
金メダル獲得目標30個、これが非常に動いていますけども、現実は、それぞれの競技団体と綿密に打合せして、それぞれが最高の準備をして、選手たちが果敢に自分の夢にチャレンジして、最高のパフォーマンスを発揮したときに、どれだけのメダルの結果を出せますかというのを集めていって、それを基に出した数字なのです。ですから、30個が大事なんじゃなくて、自国開催のオリンピック・パラリンピックで、「大変ですね、プレッシャーが」と。私は、何を言っているのだと。自国開催のオリンピックやパラリンピックに出られるってどれぐらいすばらしいことなのか。果敢に己を信じて、仲間を信じて、それぞれ夢にチャレンジできる。その環境をつくることが一番大事。そうすると結果として30個が見えてくる。
一部のマスコミでは、高い目標を掲げて選手たちの尻を叩くと、そういう話がありますけど、全く真逆でございます。残された期間は限られておりますけれども、選手たちがオリもパラも果敢にそれぞれの夢にチャレンジできる、そんな環境をつくっていきたい。
それから、多額の資金を選手強化に出していただいております。トップアスリート、トップスポーツパーソンの影響力は非常に大きいのです。ですから、これが様々な形でスポーツに関わる人たちのロールモデルにいかにしていけるか。ここも我々の責任であろうと思っています。これは、選手に求めるよりも、指導者、あるいは組織の一番上の人たち、そうした人たちがそういう意識を持っていただくことが大事だろうと思っています。
それから、もう一つ。できれば、多額の強化資金を出していただいた。それが国民に還元されるように、目に見える形で、そういう形を何とかつくっていけないか。このスポーツ基本計画、これが現実になるように、様々なスポーツ関係団体が一緒になりながら、我々も責任の一翼を担っていきたいと、こう思っております。
以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。
時間が押していますけれども、せっかくの機会でございますので、あと5人の委員の先生方から御意見を頂戴したいと思います。ただ、このまま行きますと20分ぐらい遅くなりますので、御予定がある関係で、早めに御発言されたい方がいらっしゃいましたら、お願いしたいと思います。
では、伊藤委員のほうから、お願いします。

【伊藤委員】 ありがとうございます。
日本スポーツ協会の仕事をしていますが、第2期スポーツ基本計画の実施状況と歩調を合わせながら、国民体育大会の開催、スポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブの育成、スポーツ指導者の養成など、子供からお年寄りまで全ての人々にスポーツに楽しんでいただくために、いろいろな課題の解決に向けて取り組んでいます。その中で、これからの時代のスポーツをそうすればこれまで以上に魅力的にできるのか、つまり、ポストオリンピックそして、これからのポストコロナ時代に合ったスポーツを発展させること、全ての人に喜ばれるスポーツの在り方、より魅力的なスポーツをどのようにつくっていくかということをいろいろ考えていたところです。
我々が取り組むべきことは、人々がスポーツの楽しさ、面白さ、喜び、そして新しい発見、感動を得るために、貢献、行動することです。そのためには、全てのプレーヤー、観客、支援者、ボランティア、審判、コーチ、研究者、こういう全てのスポーツを囲む人々の目線の集合体で取り組んでいくべきだというふうに思っています。
例えば、我々の今やっている国民体育大会、スポーツマスターズ、スポーツ少年団、こういう仕事がありますが、残念ながらあまり大きな変化のない状況で事業が行われています。世の中の動きから見ると、他のアミューズメントよりも進歩がどうしても少ない状態にあると思っています。
例えば、先ほどもYoutubeの話がありましたが、デジタル、AI、インターネット配信のような最新の技術を取り入れた事業がどんどん増えていき、そういうものが、これからのポストコロナ時代には、より活躍していくことだと思っています。
また、変化に乏しい、発展が難しいとしても、そういう新しい目で見て、自分たち自身を変えていく力をつくっていくということが、我々にとってとても必要だと思っています。
そして、スポーツは、するだけではありません。見る側にとっては、楽しさ、喜び、発見、感動、いろいろなアミューズメントを兼ね備えた、そういう複合的なスポーツの事業をより多くつくっていく、そういう新しいスポーツの方向性をこれから我々自身が考え始めております。ちょうど2024年には、国民体育大会が国民スポーツ大会に名称が変わります。それをチャンスに我々が未来に向かったスポーツと、その周りにある生活の組合せをどのように構想するかという部分に向かっていくべきだろうと思っています。
以上です。

【早川会長】 それでは、田中委員。よろしくお願いします。

【田中ウルヴェ委員】 ありがとうございます。
今泉課長、ありがとうございました。論点が四つありましたので、ロジ、政策を届けるということと、それからエビデンス・ベーストということだとしますと、大きく捉えると分かりやすく一貫ということだと捉えました。なので、分かりやすく一貫ということで、言葉の整理について少しコメントをしようと思っていました。
施策を全部拝見しました。例えば、具体例として43ページ、「アスリートのキャリア形成」というところがあります。ここは、支援体制が整い始めていて、人材育成というところでしっかり入っていくということは大変よいことかと思っています。
しかし、アスリートキャリア、これは何を定義するものなのかということ、これはスポーツ庁でしっかり定義をしていくことが必要かと思っています。英語ではありません。例えば、アスリートキャリアというのは、athletic careerの意味なのか、アスリートのキャリア、つまりathlete's careerなのかによって定義が変わってきます。
例えば、athletic careerを競技のキャリアというふうに考えますと、競技者のライフサイクルにのっとって、どのようにathletic careerを終えるかという支援は大変大事です。終えるかという支援と今現在やっているキャリア支援には少し乖離が生じているように感じています。
また、もしも、athlete's career、つまりアスリートのキャリアという点での支援を大事にするということであれば、athlete's careerの中で、デュアルキャリア支援は長くやっているわけですが、dualというのが、どうもスポーツ庁の中では、学業と競技を両立する、あるいは仕事と競技を両立するということに特化してやっているように見受けられます。
本来のdual careerは、holistic careerなので、人間として選手を見ることということが定義づけられています。どちらにしろ、どちらも行うのか、あるいはどちらか一つに支援体制を整えていくのかというような、こういった言葉の整理は施策の部分で大事かと思います。
特に、諸外国の先行研究におけるathletic career支援の面では、デュアルキャリア概念を提唱してきたEUでは5側面が言われています。就業面だけでなく、心理社会面や金銭面、あるいは心理面というような。また身体面でのキャリア支援というものもありますので、そういったところを具体化するために、特にエビデンス・ベーストという点では、妥当性の検証が必要になるためにはエビデンス・ベーストだと思いますので、そこのところは少し言葉の整理というのが必要かと思います。
最後に45ページ目の「サ」の部分です。医療・栄養・トレーニング・心理などのスポーツ科学などの専門的な知識を有する人材を育てていくというような施策はありますが、その施策の後の取組や課題のところに心理の人材育成が入っていません。
例えば、諸外国のNOCを見てみると、スポーツサイコロジストだけでなく、パフォーマンスディレクターという人材が存在していたりします。この辺りも、ぜひ検証するために仮説を立てていただいて、これが必要なのか必要じゃないのかということはやっていただければというふうには感じます。
以上です。

【早川会長】 ありがとうございました。渡邉委員、お願いします。

【渡邉委員】 ありがとうございます。手短にお話をいたします。
私も、スポーツ庁ができて、第1期のスポーツ審議会から参加しております。そして第2期スポーツ基本計画をつくるときに、私が上位概念的に常に意識していたのは、スポーツ基本計画を実施することを通じて、健康長寿社会、そして共生社会をどう構築していくのかと。スポーツというのは、その切り口なのだということで、参加しておりました。
そういった文脈の中では、先ほど、斎木さんがおっしゃったように、多様性と調和というのは物すごく大事になってくると思います。
そして、第2期スポーツ基本計画を振り返りますと、第1期に比べまして、随分整理されて分かりやすくなったと。すなわち、計画を推進しやすくなったと思います。
特に大きな進歩だったのは、責任所在である主体者を明確にしたということです。国とか地方自治体とか日本スポーツ協会さんとか、そういった主体を明確にした。これが大きな進歩だったと思います。ただ、残念ながら、先ほど今泉課長のお話にあったように、目標値を達成している施策項目はまだまだ少ないですね。
ここで一番大事になってくるのは、主体者同士の連携、協力をもっと強化するということ。これは、また斎木さんの言葉を借りると、官民連携という言葉がありますが、官民連携だけでは十分とは多分言い切れない。国レベルで言うとスポーツ推進会議というのがあって、スポーツ庁を筆頭に、経産省とか国交省とか、いろんな省庁がここは絡んでいます。厚労省ももちろんです。そうすると、ここの縦のラインの行政の仕事というのが地方自治体にあるわけですね。ここの連携もやっぱり図らなきゃいけない。
それから、計画の中にいろいろあります。スポーツコミッションの問題、総合型スポーツクラブの問題、スポーツ推進委員の問題。こういった組織や人たちが、地域の中でどれだけスポーツというものを通じて地域を活性化してくれるか。あるいは、地域経済の活性化に寄与することができるのか。だから、地域の中にもいろんな分野の方が集うプラットフォームが必要になってくる。
そして、今泉課長から四つの問題提起が先ほどありました。ロジスティクスあるいはリソースの配分・拡大、あるいはエビデンス・ベーストの取扱い、こういったことも、やっぱり協力連携を強化するというところに大きくかかってくると思うのです。
ロジスティクスで言うと、情報を届けるということと届けた情報を方々に促す。これが絶対必要になってきますから、これは単発的な主体者では、そこに結びつかないということですね。
それから、境田さんはお帰りになりましたが、技術的にはデジタルというもの。あるいは山田委員もおっしゃっていましたが、Youtubeをはじめ、いろんな最新技術、テクノロジーをいかにここに持ってくるのか。というのは、私たちはアナログな空間での三つの場が重要だとずっと言ってきました。時間・空間・仲間。ただ、これがコロナ禍になって、オンラインで、デジタル上で担保できる、成果を上げるということが分かったわけですよね。だから、それをうまく使っていくというのが必要だと思います。
最後に、プラットフォームという話でいうと、Sport in Lifeコンソーシアムという組織が一昨年出来上がりました。ここには1,100を超える組織が、たしか加盟していましたよね。これは、地方自治体から民間の営利企業まで多種多様です。
今、健康スポーツ課さんが主管されていますけれども、これはまさにオールスポーツ庁で、このSport in Lifeを育成していくと。そうすると、リソースの配分とか拡大がありましたけれど、マネタイズもできますし、アスリートの持っている価値を社会にどうやって還元するかを考える場にもなる。そこでまた、お金の循環が生まれるということも考えられますから、そういったことを第3期スポーツ基本計画の策定ではぜひ取り組んでいきたいと思います。

【早川会長】 諸橋委員、お願いします。

【諸橋委員】 お時間が13分過ぎているようですので、皆さんがおっしゃったことに関して、重複するところは割愛させていただきます。
1点、今泉課長がおっしゃったロジスティクスの課題、それから限られたリソースの配分とその拡大に関して、先ほど皆さんがおっしゃった官民連携に加えてなんですが、行政、それから協会、連盟、都道府県のスポーツ団体、地方団体と、本当にエリアエリアで全く状況が違います。そこも連携することが、本当の意味での民間連携であり、それこそ共生なのですね。そうすることによって、その共生で得られるいわゆる資金というものが、またスポーツ産業に拡大する。
そして、2点目は、ウィズコロナですが、私は、コロナのピンチをチャンスにと思っております。このことで、生活様式が変わったことで前に戻ることはないことを前提に、いわゆるスポーツの質が上がることがスポーツ産業の拡大にもなり、そして、地方の環境が整わない場所においても、スポーツの質を上げるべく、デジタルの力を使い、結果、官民が連携し、産業が拡大することによってクリアできるリソースの拡大というものが非常に重要ではないかと思います。
以上です。

【早川会長】 では、大日方委員、お願いします。

【大日方委員】 ありがとうございます。大日方です。
手短に、5点になりますけれども、申し上げたいと思います。
まず一つ目、いろいろな方からお話が出ているデジタルの活用、ここは非常に重要な分野になると思います。一方で、高齢の方々は、なかなかこういったIT機器を使うことが難しい。この辺りをどのようにやっていくのか、進めていくのかという点について、我々は忘れてはいけないという視点を持ちたいと考えます。
二つ目は、組織における人材についてです。人材が足りないというところ、いろいろなところで話題になっておりますが、一つは、地方でのスポーツを支える人材、非常に高齢化かつ固定化している、こういった問題があるのではないかなと考えております。これらをどのように継承していくのか、流動性を高めるのかという視点。もう一つは、組織をマネジメントする人材という点についてです。スポーツを支えることで生活が成り立つような形を取らないと、なかなかここは進まないだろうと考えます。
三つ目は、オリパラ一体のレガシーというものを、この東京大会の後にどのように続けていくのか。それは、競技団体にとってのオリパラ一体とは何だったのか。共生社会を真に実現するために、スポーツ界はどのようにするべきなのか。レガシーの継承ということについて考える視点もあると思います。
四つ目は、スポーツの社会的な価値、ここを多くの方々が、民間企業の方々、スポーツを支えてくださっています。そこを継承していくためには、スポーツの社会的な価値というところ、どこに求めていくのかというところを、我々はいま一度明確にしないといけないと考えております。
特に、アスリート、先ほどロールモデルに国民に還元されるというような言葉も、山下会長からございましたが、好成績を上げることがゴールではないということ、アスリート自身が意識するということ、この教育を私自身、NFに関わるものとしてもやっていかなければいけない、そういった課題意識を持っております。
五つ目、エビデンス・ベーストの話は非常に重要だと思っております。特に、スポーツを通じた共生社会の実現、障害のある方のスポーツといった分野については、本当にこれが正しいエビデンスと言えるのかといったこと、少し検証が必要ではないのか。分野とは何なのかといったようなことを、しっかりと考えて、次期計画に盛り込む必要があると考えます。
以上となります。ありがとうございます。

【早川会長】 ありがとうございました。多くの方々から、大変貴重な御意見を頂戴しました。
私自身は、コロナ禍で多くのスポーツ関係の方がいろんな試行錯誤を重ねて、スポーツの力を示そうということで頑張ってこられた1年だと思うのですが、うまくいったところ、そうでないところ、たくさんあると思いますが、最初に、山田委員がおっしゃったんですかね。コロナ禍というか、まだ先がよく分からない中で、今回、第3期の基本計画を、中期の計画を立てるということなわけですけれども、スポーツの姿がさま変わりする可能性もいろいろありますね。見方もそうですし、発信の仕方等も変わってくる。その辺は少し柔軟な構えをしていかないと、何か決めて、あと1年、2年ぐらいすると、こんなに変わってしまったのかということが起こりかねないという状況も、競技だとかによりますけれども、あると思いますので、その辺はぜひしっかりやっていただきたいと思います。
共通しているのは、広い意味での人材育成の部分と、SDGsを強く意識した政策の展開というのは必ず必要になってくるだろうと思います。その辺りをぜひお願いしたいと思います。
だいぶ時間がオーバーしてしまいましたけれども、この辺りで締めさせていただきたいと思います。たくさんの貴重な御意見をいただきましたので、次期のスポーツ基本計画の検討にしっかり臨んでいただきたいと思います。
最後に、室伏スポーツ庁長官から一言御挨拶を頂戴したいと思います。

【室伏長官】 皆さん、大変長い間お疲れさまでした。今日はちょっとマイクについて、久々のオンラインとせっかくの対面で皆さんとの貴重なお時間を前々からつくっていただいたにもかかわらず、本当に申し訳ありませんでした。この後、皆さんにお伝えできるような形で議事録を作成し、共有させていただきたいと思います。
本当に今日はすばらしい時間を、議論をいただきまして、本当にお一人お一人の先生に、委員の皆さんにもっと深掘りをしてお聴きしたいところも多々ございます。また、引き続き、これは重要な局面だと思いますし、またオリパラが終わってから、今はコロナもあって、また大会に盛り上がれるとは信じていますけれども、やはりその後、本当にどういうスポーツ振興、スポーツ政策というものが必要なのか、本当に5年、10年先の世界基準でもあり、また日本の社会にも本当にスポーツは必要だなと思っていただけるような形で、ぜひ今後もそういったことを取り組んでまいりたいと思います。来年度の第3期スポーツ基本計画も、創立のときから友添先生も、スポーツ庁がある前から本当に御尽力くださって、随分進歩してきているということでおっしゃっていただいた委員の先生方もおられますけれども、もっともっとこれからスポーツ振興を進めていけますように、また皆さんのお力をお借りしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は長い間、ありがとうございました。オンラインの皆様もありがとうございました。

【早川会長】 すみません、最後に事務局のほうから、次回の日程等にアナウンスがございますか。

【小畑政策課補佐】 事務局でございます。次回のスポーツ審議会の日程等につきましては、また準備ができ次第、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。
以上でございます。

【早川会長】 それでは、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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