スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第3回) 議事録

1.日時

令和3年5月19日(水曜日)13時00分~16時00分

2.議題

  1. (1)関係団体からのヒアリング
  2. (2)その他

3.配付資料

4.議事録

【大日方部会長】 皆様、こんにちは。ただいまからスポーツ審議会スポーツ基本計画部会の第3回会合を開催いたします。皆様、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
今回の会議につきましても、新型コロナウイルス感染症予防対策として、各委員はウェブ会議で御参加をいただく形とさせていただいております。また、報道関係の方も含めて傍聴の方は、YouTubeによるオンライン配信を御覧いただく形となりますのでよろしくお願いいたします。
本日、秋元委員より代理出席のお申出が事前にございました。これを承認しておりますので御承知おきください。
また本日も、前回に引き続き関係団体からのヒアリングを予定しております。
まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
【事務局】 事務局でございます。ただいま部会長より御紹介ありましたように本日関係団体からのヒアリングということで、資料につきましては発表順に関係団体の発表資料をまとめてございます。
また、本日も、発表時間、それから意見交換は前回同様の形となります。タイトなタイムスケジュールとなりますが、何とぞ御協力のほどお願いできればと思います。
また、お時間の都合上、御質問がいただけなかった場合につきましては、こちらも前回同様、会議後に事務局のほうからお伺いのメールをさせていただきますので、お寄せいただきましたら、私どものほうで関係団体にお送りいたしまして、回答内容をお返しするということで対応させていただきたいと思っております。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
それでは早速、議事に入ります。
本日も、資料1に記載されております11団体より、スポーツ振興に向けた取組状況と成果、抱えられている課題、第3期計画において期待することについて御意見をお伺いすることになっております。
進め方といたしましては、幾つかの団体のグループごとに分け、まず各団体から8分以内で順次御発表いただきたいと思います。その後、グループごとにまとめて質疑応答の時間を10分程度取らせていただきます。
本日は、団体の皆様もオンラインで御参加されていらっしゃいます。
それでは早速、ヒアリングを始めさせていただきます。事務局は、Eグループの入室を御確認お願いいたします。
(Eグループ 入室)
【大日方部会長】 それでは、最初のEグループ、日本商工会議所様、日本トップリーグ連携機構様、日本経済団体連合会様です。
事前に御案内しておりますとおり、各団体御説明時間8分以内をお守りいただきますようお願いいたします。次のグループの時間帯の関係もございますので、御協力よろしくお願いいたします。
それではまず、日本商工会議所様からよろしくお願いいたします。
【塩野(日商)】 日本商工会議所、塩野と申します。よろしくお願いいたします。お時間がございませんので、簡潔にお話しさせていただきます。
資料のほうは資料2の3ページ、4ページでございまして、先に4ページの下のほうを御覧いただければと思います。ごく簡単でございますが、商工会議所についてお話しさせていただきます。
まず商工会議所は全国に515か所ございまして、それぞれの地域で中小企業の経営支援、地域の発展といったことについて取り組んでおります。総会員数が1,223,000者というようなことになってございます。
健康経営の推進に積極的に取り組んでおりまして、各地でセミナー等の開催をしているようなこともございます。四つ目の丸ですが、企業の役員さん、従業員等を対象にして定期健康診断等を実施して受診の促進をしています。スポーツに関しましては、特にこれは地域、地域の活動になりますけれども、事業所対抗の運動会であったり、野球大会、ソフトボール、ボウリング、ゴルフといったこと、また、ウォーキングのイベント等の開催などを通じて、会員企業、従業員等の運動機会の促進に努めています。また、地域振興や観光振興といった観点から、スポーツツーリズムといったものにも取り組んでいるというようなことがございます。
1ページ戻らせていただいて、3ページでございます。第3期のスポーツ基本計画策定に向けてということで、上から少し御説明させていただきます。
まず、最初に1番、第2期基本計画の実現状況の確認・検証ということでございます。施策目標や各種のKPIというものがございますけれども、この達成状況等について、コロナ禍による影響も十分に踏まえて確認・検証を行っていただく必要があるということを最初に書かせていただいております。
次、2番でございますけれども、第3期スポーツ基本計画についてということで、まず(1)は、民間のスポーツ施設・事業者はスポーツの取組に非常に重要な役割を果たしております。この地域スポーツの推進に関する官民連携の強化ということを念頭に置いて、民間スポーツ事業者をスポーツ基本計画の中に明示的に位置づけていただきたいというのが一つ目でございます。
二つ目、政策目標・施策目標についてということで、スポーツ参画人口の拡大、スポーツ実施率の目標の65%についてはということで、昨年度時点で59.9%まで向上しているということは非常に高く評価をしております。目標の達成に向けて、スポーツ・運動の機運醸成の国民運動を一層推進すべきということでございまして、コロナ禍で、運動をしていなかった方々が、これはいかんということでされているケースもあれば、感染のおそれということで運動しなくなった方というのも逆にいるということでございまして、その後者のほうの阻害要因を取り除くことで、これはかなり大きく数字を上げることができるのではないかなということで、目標を高く取っていいのではないかと思っております。
これについては、運動がしたいけれどもできていないという人と、スポーツはもう関係ありませんという無関心な方々がいらっしゃるので、アプローチを別々にする必要があるということでございます。また、都市部と、車社会で動かれている地方部では、大分このウォーキングの習慣などが異なるということがありますので、そういったことを考慮に入れた対応が必要だと考えております。
②でございます。特にコロナ禍でビジネスパーソンへのアプローチということでございまして、Sports in Lifeプロジェクトやスポーツエールカンパニー認証制度、これらの評価、目標設定の見直しということを行うべきであると。どちらの制度も十分に浸透しているとはなかなか言い難い状況がありますので、積極的な普及活動と一段高い目標設定が必要ではないかと。また、Sports in Lifeプロジェクトについては、企業にとっては、もう少しメリットと言えるものを明確に打ち出していただくのがありがたいかなというふうに思っております。
次の矢じりでございます。運動習慣の定着化が、生活習慣病の予防、改善に効果が認められるということで、これは国民医療費の適正化にもつながるということかと思います。健康経営の取組について、取組企業の増加に向けた働きかけを強化することが必要であるということと、運動機会の増進ということ、それがそのまま効果があることを強調していくべきだろうと思っております。
また、スマートワーク時代の運動習慣についての検討を含めていってはどうかと。プレゼンティズムの防止やメンタルヘルス対策に効果があるということを科学的なデータとともに記していくべきだろうと思っております。
商工会議所としましては、東京商工会議所で健康経営アドバイザーという資格制度を設けておりまして、こういった普及にも力を入れておりますので御理解いただければと思います。また、特定健康診断というものは行われますけれども、体を動かすということについての測定、例えば体前屈であったり、腕や肩の可動域を測るみたいなことを加えることで、運動の必要性を実感させることができるのではないかなというふうに考えております。
③でございます。人材と場の充実ということで、アスナビの利用促進のための支援策を検討すべきであると。アスリートが職場での運動指導者になれるような方向性も検討していくべきではないかと。三つ目でございますが、オリパラレガシーの一つとして、スポーツボランティアの拡充なども強化をしていくべきではないか。四つ目としては、地域の中小企業の経営者、社員は地元密着型でありますので、総合型地域スポーツクラブとの連携等の調査・研究をすべきということでございます。次のページでございます。民間スポーツ事業者の施設を、地域の健康スポーツの重要な資源、公共的な財産と位置づけて、住民等が積極的に活用できる施策を講じるべきであるということでございます。
スポーツを通じた共生社会の実現ということで、障害者のスポーツ環境整備、パラスポーツの振興などの推進が必要であるということでございます。次の矢じりは、アクティブ・チャイルド・プログラム、フレイル予防のプログラム、生活習慣病の予防、改善のスポーツプログラムなども用意していくべきではないかというふうに考えております。
⑤でございます。スポーツを通じた経済・地域の活性化ということでございますが、スポーツ市場規模を15兆円に拡大するという目標について、このコロナ禍の状況で少し数字が後退している部分があるかと思いますので、戦略の再構築をすべきであるということでございます。民間スポーツ事業者、ヘルスケア事業者であったり、プロスポーツ運営者等の育成、生産性の向上などを図っていく必要があるということでございます。地域スポーツコミッションを核とした、スポーツ推進施策、スポーツポイント制度、スポーツツーリズムの推進策などもしっかりと盛り込んでいくべきではないかと思っております。
最後の最後、3番でございます。スポーツ立国を実現するという強い意志をこの中でしっかりと示していただくべきということでございます。
最後でございますけれども、予算・財源の確保ということで、市場規模15兆円を目指すということにふさわしい予算とその財源を、省庁横断でしっかりできるような検討をしていただくべきということです。
大変駆け足になりましたけれども、こちらからの説明は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【大日方部会長】 どうもありがとうございます。
それでは次に、日本トップリーグ連携機構、田口様、よろしくお願いいたします。
【市原(JTL)】 田口の前に専務理事の市原でございますが、このたびは第3期の振興計画策定の提言の機会をいただきましてありがとうございました。
今日は事務局の田口ほうから発表させますが、トップリーグは2005年に設立して本年で17年目を迎えます。9競技、12リーグが連携しまして、国際競技力の向上のための連携、それから、団体ボール競技の普及、発展、特に日本の国際競技力は団体ボールゲームが非常に低迷しておりますので、スタートの時点はその思想からスタートいたしました。その他、日本のスポーツ界の下支えになるというような様々な事業を行っております。
それでは早速、田口から発表させていただきます。田口局長よろしくお願いします。
以上です。
【田口(JTL)】 皆さんよろしくお願いいたします。それでは、資料の6ページ目を御覧ください。
今、市原専務理事のほうから話がありましたように、私たちトップリーグ連携機構は、全国で300チームを超え、さらに選手でいうと7,000名以上の選手が加盟をしている団体スポーツ競技の組織でございます。
今回、第3期のスポーツ基本計画で、第2期までの情報も全て踏まえましたところ、私たちから皆さんに対して提言できることとして、トップリーグ連携機構ならではの横断的に競技間を超えた、組織の垣根を超えた中で行っている活動について御説明をさせていただきたいと思います。
まずここに書きましたように、四つのテーマに沿ってお話をさせていただきます。
7ページ目を御覧ください。これは私たちも非常に驚いたんですけど、過去、日本で、このようにスポーツを支えてくれる企業側を目線にした様々な調査というのはそれほど多くやってこなかったという事実がございました。そのために私たちは今回、調査企業に協力をいただいて、7ページにございますようなウェブ形式でアンケート調査をさせていただきました。例えば企業としてチームを持っている実業団スポーツ、またはスポーツをスポンサーとして支える企業の方、そういったスポーツを支えてこられた企業200社、全く今までそういったことに関して支援の実績がない企業200社、このような企業がどのようなことをこれまでスポーツに対して感じてきたのかを調査させていただきました。調査の項目は30項目以上ございますが、今回はこの提言にぜひとも知っていただきたい内容が出てきておりますので、参考までに抜粋してお伝えをさせていただきます。
まず、スポーツを支える企業ですが、これは私たちスポーツ界にとっても非常に大きな問題だと思います。このコロナ禍の2月に調査したということもございますが、200社のうち4割が、見直しや、継続をしない、実施をしないという回答結果が出ました。その中には、支援をしない企業の方がどういうふうに感じていらっしゃるかというこの継続しない理由の一番上ですね、成果の可視化が難しく費用対効果が計りにくい、まさに企業が今スポーツに求めている、またはスポーツ界がここを超えない限りは今後の日本のスポーツ産業自体も低迷していく、この理由がまずは一番多いということを御覧いただければと思います。
そして次の9ページ目です。こちらは今までスポーツを支援したことがない企業の数ですが、その中で3割は今後の支援意向があります。ただし、支援意向はあるのですが、支援をしたい理由に対してまだまだ私たちスポーツ界が応えられていない、また、支援をしない理由も、コスト的に負担が大きいためというような企業が7割を超えていることを考えると、こういった部分に関して、私たちスポーツ界全体でこの課題をテーマにして様々な施策をしていく必要があるのではないかなというふうに感じております。
それからもう1点、10ページ目です。こちらは海外に対してということですが、これも非常にびっくりしたんですけれども、国内のスポーツに対する支援よりも、少子高齢化の中、産業界の皆さんは世界に目を向けられています。楽天様がいい事例でございますが、FCバルセロナというサッカー界では超有名なチームのスポンサーをされています。ああいった形で、アジア諸外国にも今日本の企業がたくさん進出をされているということを考えると、海外への投資意欲が国内を上回っている、このままこれを放置していくとこの数はどんどん開いていく、イコール国内のスポーツ産業の空洞化がさらに強まってしまう。ここも非常に大きな問題ではないかなというふうに考えています。
結果として私たちとしては、スポーツがこの後どういうふうに企業に支えていただけるか、支え合うか、これは実業団スポーツを含めてですけども、アクティベーションできるような仕組みづくりを行っていくべきではないかなというふうに考えています。
12ページ目です。こちらは連携です。先ほどの企業調査もそうですが、競技団体単体でもうやっていく時代ではないと。私たちトップリーグ連携機構で活動していく中、競技間を超えての活動の必要性、また、その重要性を、チームの方、またリーグの方からも如実に感じることができております。スポーツ界挙げてこの連携活動をさらに深めることで、企業への支援、また企業からの支援等も含めて、様々な施策を今後行っていく必要があるのではないかなと感じております。
そして、スポーツ界からのSDGsです。こちらも、もちろんスポーツから行うことが大きいですけれども、ジェンダー平等の実現などに関しては女性スポーツ等にさらに新しい仕組みをつくる必要があるかなというふうに感じております。私たちトップリーグもWoman Athlete Projectの拡大をしていきたいと思っております。
最後に、これが一番大きいと思いますが、スポーツという表現と運動遊びの表現が乖離してしまっていることで、次世代の少子高齢化の中でも子供たちがスポーツをする入り口としての運動遊びが間違いなく低下しています。この低下をさらにとどめる必要がある。この15ページにありますような運動遊びの低下、16ページにありますような運動能力の低下、ここを改善するのはスポーツ実施率の前の運動遊びだというふうに私たちは感じております。
ぜひともこの入り口の年少期の運動遊びの機会の創出を、日本スポーツ協会が行うアクティブ・チャイルド・プログラム、そして私たちトップリーグ等が行うプレイリーダー、こういった欧米諸国の事例を例に取って私たちがこの活動をすることで、アスリートのセカンドキャリア等も含めて、非常に大きなチャンス、そして可能性が広がるのではないかなというふうに感じております。
雑駁でございますけれど、私のほうからの説明とさせていただきます。ありがとうございました。
【大日方部会長】 どうもありがとうございました。
それでは最後に、日本経済団体連合会様からよろしくお願いいたします。
【左三川(経団連)】 経団連の左三川と申します。よろしくお願いします。18ページ以降の資料4を御覧ください。
まず19ページが、経団連が行っているスポーツ支援の位置づけでございます。御案内のとおり経団連は、企業活動のための環境整備が主な役割ですが、2011年のスポーツ基本法成立以来、スポーツに本格的に関わるようになり、明示的にやっておりまして、スポーツ推進部会を設置しました。そして、2013年にオリパラ東京招致が決まり、これが非常に経済界にとっても大きな関心事項となっておりますので、オリンピック・パラリンピック等推進委員会に発展させ、今日まで活動しております。それと併せまして、これだけのイベントを経済界全体として支援していこうということで、2015年にはオリンピック・パラリンピック等経済界協議会を発足させております。
活動テーマは、(1)大会の開催成功というのがまずございまして、そのために企業スポーツの活動強化、選手の支援を行い、日本代表選手・チームに活躍していただきたい、それを国民の方々も願っているだろうということでございます。それから、東京の大会ではありますけども全国での機運醸成や、大会を開催して終わりではなく、レガシーも形成をしたいという思いで今日までやってまいりました。
(2)は、オリパラだけに限らずスポーツを通じた人材育成や、企業によるアスリート雇用の支援、それから、スポーツビジネス、成長産業化ということ森島さんにも関心を持ってまいりました。それから関連して、地域活性化にもつなげたいと考えております。
20ページを御覧ください。経団連のオリンピック・パラリンピックに対するスタンスです。一つ目の項目は今年の1月時点での経団連会長メッセージでございます。震災から10年ということで、東北のためにも、それからコロナ禍からの復活に向けても、希望に満ちた大会ということを願っているとしておりまして、今日まで基本的に変わってございません。
それから、真ん中の項目ですけれども、経団連でも、経済界協議会でも、機運醸成活動、そしてレガシー形成活動を全国で、企業人が全国に出向いてやってまいりました。あわせて、一昨年のラグビーワールドカップ2019にも協力してまいりました。
最後の項目ですけども、現在、リアルで全国の不特定多数の方々と触れ合う活動はなかなか難しいので、控えざるを得ないのですけども、オンラインを活用しつつ、いずれ状況を見ながらリアルの活動も再開させたいという構えでおります。それから、大会の開催時には、企業人ボランティアを独自で組成しまして、また、競技会場の美化活動もしたいということで、詳細は感染状況との兼ね合いで今後詰めますが、そのようなことを考えております。
21ページを御覧ください。先ほど申し上げましたレガシーの関係でいいますと、これはスポーツの大会なので、スポーツの普及、子供の運動習慣づくりとか、それからパラスポーツの体験や理解促進、さらに障害を持った方と健常者の方々の触れ合いにもつながるだろうということでやっております。右側は企業対抗ボッチャ大会の写真です。こういった活動も企業に広めているところでございます。
それから二つ目の項目、バリアフリーです。今申し上げたことと関連しますが、誰もがバリアを感じない社会づくりにも取り組んでおります。
最後の項目ですけども、オリパラには多様な側面がございますので、日本の魅力発信、先ほど申し上げた東北復興、それから日本の技術の発信といったことも含めて取り組んでおります。経済界協議会は恐らく今年度いっぱいぐらいで一旦役割を終えますので、せっかくやってきた活動を、全国の自治体様や地域の経済界の皆様に引き継ぐことでレガシー化したいと、今計画してございます。
また、せっかく取り組んでまいりました企業におけるアスリートの活躍、それは競技面でも、競技活動を終えた後のセカンドキャリアでもそうですが、引き続き強化していくために、どうしたらいいかを考えていく必要があると考えております。
22ページを御覧ください。以上のスタンスを踏まえまして、第3期計画への期待ということを少し申し上げます。
資料は第2期計画の抜粋ですけども、第2章の2、(2)の辺りで触れていただいている社会全体での医療費抑制、より企業の視点に近いところでいうと健保財政などもありますが、企業経営において響くのは、健康経営に直結するんですよという視点だと思いますので、この点をより強調していただくと良いのではないかと考えております。
下半分の第3章の1、(1)、ビジネスパーソンのスポーツ実施率向上に関してですけれども、具体的施策で「とりわけ、今ここに通勤時間などを活用して気軽にスポーツに取り組む」と書いていただいていますけども、今この状況で、テレワークも進み、今後も浸透していくであろう中で、どうしたらいいかということも検討していただけるとよろしいのではないかと考えております。
これらを踏まえまして、最後の一番下の矢印、赤字ですけども、より健康経営との直結によって取組を一層促すということで、細かいワーディングですけども、「民間事業者」というよりも、これはスポーツ産業だけの話ではありませんので、「企業」と呼びかけていただけるとよろしいのではないかなと思っております。
最後、23ページを御覧ください。スポーツの成長産業化には我々も関心を持っております。しかし、もしも何かボトルネックがあるとすれば、それが何かということを洗い出ししていただきたいと思います。現在はウィズコロナで仕方ない面もあると思いますが、ポストコロナを見据えて、何か触れていただくとよろしいのかなと思います。
それから、2020大会以降の企業スポーツの機運維持。これは我々の課題でもあるのですけれども、どうしたらいいかということ、それから地域活性化に関しては、ラグビーワールドカップ、オリパラに向けて取り組んできたホストタウン等の活動の機運を、どう生かしたらいいかについて、少し課題を挙げていただくとよろしいのかなと思います。
以上でございます。
【大日方部会長】 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました三つの団体に対しまして、御質問や御意見、委員の方々からありましたら挙手ボタンを押していただけますようお願いいたします。
3名で。
それでは、境田先生、お願いいたします。
【境田委員】 境田と申します。トップリーグ連携機構の田口さんにお伺いしたいと思います。
これから地域のスポーツを振興していくためには、エンタメができる魅力的なアリーナ、スタジアムが必要となると思っておりまして、トップリーグ連携機構傘下のいろんな競技団体、リーグも、そのようなものがあれば、より発展できるのかなと思っています。
それで、実は私、Bリーグの理事もやっているんですけど、群馬の新しいアリーナが企業版ふるさと納税を活用したということで、これは税額控除が6割受けられて、かつ3割は経費負担で落とせるということで、実質寄附金額の1割の負担で企業はスタジアム、アリーナの建築に貢献できると。
こういう制度が今できたということでこれを活用しているんですが、こういったことでスポーツに貢献したいという企業は実はあるんじゃないかと思っておりますし、トップリーグ連携機構傘下のリーグもこういったものをどんどん活用すべきじゃないかと思うんですが、そこについて、例えば田口さんがそういった周知活動を行っておられるのかとか、各リーグがそういった意識はどこまであるかとか、そういったことについてお伺いできればと思います。
【田口(JTL)】 ありがとうございます、境田先生。いつもお世話になっております。
今の御質問の内容ですけど、私たちは今、スポーツ界はトップリーグ連携機構の川淵会長、そして、エンターテインメント界からはコンサートプロモーターズ協会の会長であるディスクガレージの中西会長、この二人が会長、副会長という形で、Entertainment Committee for STADIUM・ARENA(ECSA)という新しい団体を一昨年に立ち上げております。
そちらのほうで、今先生からお話がありましたように、各全国でのアリーナ、スタジアムの建築計画等の中にスポーツに対しての意見がとても多いのですが、エンタメの利用について、利便性があるか、それから利用しやすい施設なのかというのはまだまだ情報がないので、そういった団体を使って今情報共有をいろんな形でさせていただいております。
そこに、各リーグ、各地域から、スタジアムの建築、アリーナの建築等についての御助言を求められるような機会がありますので、私たちはその団体を活用しながら、先生からお話があったような様々な情報、また、先ほどの群馬のような先進事例を展開できるように、このECSAという団体で私たちは一緒に行っていければなというふうに今、様々な活動を行っているところです。
今後は、Jリーグ様が造ろうとしているスタジアムであるとか、横浜市が造ろうとしているスタジアム、そういったのにもエンターテインメント界の意見を入れていきながら促進をしていきたいなというふうに感じております。
以上です。ありがとうございます。
【境田委員】 ありがとうございます。
【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、御質問をこの後、3名の方から手が挙がっておりますので、まとめていただきたいと思います。結城さん、國土さん、渡邉さんの順番でお願いをいたします。まとめて団体よりお答えをいただく形を取らせていただきます。
じゃあ結城さん、お願いいたします。
【結城委員】 今お三方からいただいたお話、非常に興味深く伺いました。特にこのコロナ禍で、企業のプライオリティーが変わっていく可能性がある、そしてスポーツというものの位置づけも変わっていく可能性がある、そういうご指摘やに思っております。
その中で、当然コロナ禍で逆境への強さというものを企業体が求められるときに、どのようにスポーツという、もしくはスポーツ文化というものを自分たちのプライオリティーに位置づけるのか、それは非常に深淵な問いだと思うのですが、ここの部分で、例えば企業はこれからの時代は利益だけの追求では恐らく生き残れない、いろんな社会的な貢献であるとか価値であるとか、そういったものに存在価値を重ねることが非常に大事になっていくのではないかという論調もございます。
それも踏まえて、今現在スポーツ、そしてこれから持ち得るもの、価値というものが一体どのようになっていき得るのか、それから、今商工会議所のお話などにあったように、スポーツをある意味で健康、命を守るという形に大きく広げてを踏まえていくこと、これをどのように例えばスポーツへの企業体からの支援といったものに結びつけられ得るのか、その辺りを御示唆いただければと思います。
あと、田口さんに、この企業のアンケート、非常に面白く拝聴いたしましたが、じゃあ支援を続けたいと言っている企業の理由は何なのか、そこがもしお分かりだったらお教えください。
【大日方部会長】 御質問ありがとうございます。
それでは、國土委員、お願いいたします。
【國土委員】 手短に。トップリーグの田口さんに私も御質問したいんですけれども、トップリーグを引退した選手はセカンドキャリアが大事だという話ありましたが、そういった選手の統計とかそういったものはお持ちでしょうか。もしもありましたら、その情報教えてください。あるいは、引退した選手とコネクションが取れるようなデータベースとかそういったものというのがあれば教えていただけたらと思います。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】 お三方どうもありがとうございました。いろいろ勉強になりました。
まず田口さんに質問なんですけども、スポーツを支える企業は、先ほどお話があったように、企業スポーツのチームを所有する企業と、あるいはそれをスポンサードとして支える企業と、両方多分入っていらっしゃると思うんですが、企業スポーツを所有するところに関して、調査項目の中に、企業スポーツを抱える理由として、労務施策、社員の一体感醸成とか帰属意識の醸成とか、あるいはチームワーク醸成、あるいはスポーツを通じた人材育成というようなものが質問としてまずあったかどうか、あった場合にはどのような結果が出ていたのか、これを田口さんに教えていただきたいと思います。
それから、塩野さんにおかれましては、健康経営という観点で、田口さんの質問に絡みますけども、全国に122万の会員企業があるということですが、企業スポーツのチームをお持ちの企業とそうでないところで健康経営といったところに何らかの差異があるのであれば教えていただきたいと思います。
あと、左三川さんにおかれましては、オリパラのレガシーということが先ほどお話にあったと思いますけども、実際に2020大会が終わった後に経団連としてどのようなレガシーを、これから創出する、あるいは継続していく、そのための取組体制を取って進めていこうとされているのか、それぞれ教えていただければと思います。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、森岡委員から手が挙がっておりますので、こちらで質問は最後にさせていただきます。森岡委員、お願いいたします。
【森岡委員】 私から、田口さんに2点質問があります。
1点目ですが、大変貴重な資料を提示していただきましてありがとうございました。その中で、スポーツを支援していない企業における今後の支援意向の中で、今後は支援したいというのは3割で、今後も支援する考えはないと企業は7割と出ていますが、これを見直すためのアクティベーションできる仕組みを研究していくという御発言があったかと思います。具体的なイメージがあれば教えていただきたいです。
2点目は、スポーツへの入り口としての運動遊びは大変重要だというのは我々JSPOとしてもご指摘のとおりだと考えております。その中で、アスリートのキャリアを活用していくという説明があり、JSPOが開発したアクティブ・チャイルド・プログラムを活用していただき大変ありがたいと思っております。この場面において、アスリートのセカンドキャリアを活用していくときの具体的なイメージというのも教えていただきたいです。
この2点です。以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
それでは順番にお答えをいただければと思います。御質問が今多かったところ、大変関心があるところも含めて、まず田口さん、塩野さん、左三川さんの順でお願いしたいと思います。
【田口(JTL)】 まず最初に、結城様からの御質問のところです。
これは今、再度森岡様からの御質問があった内容にも重複するんですけれども、今回の企業調査をして分かったことは、これは國土さん、渡邉さんも同様かもしれませんが、企業が今までの広告宣伝効果、看板広告を出して幾らという代理店さんがよくやる数値の出し方なんですが、その満足度は低下しております。先ほど渡邉さんからもお話がありましたように、2003年に文科省が企業に調査したときには、社員の士気高揚、会社の従業員のためにということが第3番目にスポーツを支援する理由になっていました。ただ、今回2020年の調査のときには、それが7番目、8番目に落ちています。それより今の企業が必要としているのは、自社の商品がどんだけPRできるのか、直接どれだけ売れるのか、株主に対して説明責任が果たせるのか、そういったまさに企業が何をしていることによってスポーツを支援したらいいのかということに、明確にこの20年弱で大きく企業も求めていることが変わってきたというのが、今回分かることができました。
それから、結城様がおっしゃったスポーツ文化、これから私たちはここをですね。今回の調査はこの2月に行いましたし、2021年もまた日本スポーツ振興センターからの助成金も頂ける決定をいたしましたので、さらに、民間企業、コンサルティングの企業と一緒になって、企業等の情報をさらに深掘りして、日本の企業スポーツ、実業団スポーツの仕組みはもしかするとこれからアジア諸外国に輸出できる仕組みだと思っていますので、こういったものを日本の戦略として、さらに諸外国に売り込めるような仕組みづくり、そこまでの調査を、トップリーグ連携機構に関係する企業の皆様に御協力いただきながら今後行っていきたいと思っております。こういったものにも国からの助成等が頂ければ、私たちとしても活動に拍車がかかるのではないかなというふうに考えております。
それから、國土さんのお話がありました統計ですけども、残念ながら私たちの統計としては、トップリーグ連携機構全体の選手のものは持っていません。ただ、私たちは今、全国40か所でボールゲームフェスタというイベントを行っていますが、そこでOB、OGの300名以上の選手たちと今活動を共にしています。そういったところで初めてスポーツ界で横断的に選手たちのネットワークが築けておりますので、まさに今お話があったようなことを今後の私たちの活動の基本として行っていく必要があるのではないかなというふうに考えております。
それから森岡様のお話がありましたアクティベーションの向上ということですが、これは、企業が今回の調査で回答に、支援したことのある、また、支援したことない企業も同様に、スポーツに求める価値は何ですかというか、何を求めていますかというところで、スポーツ界の積極的な選手も含めての情報発信ということが一番だったんですね。ということは、企業側から、逆からすると、スポーツ界が企業をうまく活用した選手たちの情報発信であるとか、地域であるとか企業の工場がある地場だとか、そういったところでの発信が、逆に言うとうまくいっていないのではないかなというふうに考えていますので、ここは僕はチャンスかなと考えています。
今回の調査をきっかけに、さらに選手、スポーツ界が、企業と一緒になってアクティベーションを通じて、地方創生、また地域への発信、そういったものを様々に行えることが、今後日本のスポーツ界を支えられる、先ほど言った12兆円の原資になってくるのではないかなというふうに感じているというところです。
すみません、ちょっと雑駁なので、抜けているものがありましたら、また再度御質問いただければと思います。以上でございます。ありがとうございました。
【大日方部会長】 ありがとうございます。調査につきましては非常に関心高いところかなとも思っておりますので、ぜひ提供いただけるものがほかにもあるようであればお示しいただければと思っております。ありがとうございます。
【田口(JTL)】 はい。ありがとうございます。
【大日方部会長】 お願いいたします。
では、塩野さん、次にお答えお願いいたします。
【塩野(日商)】 塩野でございます。ありがとうございます。
適切な答えになるかどうか分かりませんけど、健康経営ということにつきまして特に、企業の皆さん、従業員の方々の、これはどちらかというと健康経営というとスポーツ、運動に関わる部分とそうでない部分と両方あるかと思いますけれども、ここでいいますと身体運動することによって、より健康に近づけるということでございますので、この辺りは、どういう支援というか、資金的な面とかというところはあまりないのですけれども、従業員に向けて運動の働きかけというのを積極的にしていくようにというところを、よりどうやってうまく働きかけていくかということを常に考えているところでございます。あまり答えになってございませんけれども、そんなことで企業さんへの働きかけを強めていくというところでございます。
もう一つ、スポーツチームを持っているところとそうでないところというような御質問をいただきましたけれども、大変恐縮ですが私どもは、先ほど申しましたように、中小企業さんの経営支援といいますと資金繰りであるとか税務の相談であるとかそういったことを中心にやっておりますので、じゃあどういう企業さんがというか、スポーツチームを抱えていらっしゃるところがどのくらいあるかといったところまでの情報は実際は把握してございません。
そして、健康経営について申しますと、従業員さんの心身ともに健康であることをいかにして保っていくか、それは健康面に関する知識でもそうですし、今申し上げたような身体運動といったこともそうであるということでございますので、チームを持つことと今の健康経営の働きかけの強さというところというのは、少し分かれたお話だとは思いますけれども、もちろんスポーツを進めるというようなことをしていく、チームを持たれるというところがあるとすれば、より強く健康経営の意識はしていただけているだろうと思います。ただ、それは、外向けのチーム支援というよりは、改めて従業員をしっかりと健康に保つこと、従業員の家族を健康に保つことといったことで、強く意識していただく必要はあると思いますので、リンクしないかなと思い、特に情報を持っていないということをおわび申し上げるとともに、それぞれについてしっかりとした意識づけをしていく必要があるだろうというふうに考えてございます。
ちょっと適切な答えじゃないかもしれませんけれども、以上でございます。ありがとうございます。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、左三川さん、御回答をお願いいたします。
【左三川(経団連)】 まず結城委員にいただいた御質問ですけども、コロナ禍でのスポーツの価値でございます。
まず、現在の状況で企業活動全般でいいますと、プライオリティーとしてはどうやって今の状況から、正常な企業活動、例えば海外渡航なんかもありますけども、そういったことがどうやって正常化できるかというのがまずプライオリティーです。その中でスポーツ選手が逆境にもめげず頑張っているんだということは、当然ながら企業人にとっても、これは元気づける材料となっております。
もう一つ御指摘がありました、企業も利益至上じゃない時代だよねという話、おっしゃるとおりです。我々はサステナブル資本主義という言葉を使っておりますが、意味は同じだろうと思います。
そこで視野に入ってくるのは、恐らくSDGsの17項目全てです。その中には、当然ながらカーボンニュートラルをはじめとした環境問題なんかも重要課題として含まれております。その中でスポーツがどれだけの優先順位を引き続き保てるか、とりわけこの東京招致が決まって以来のインパクトをどれだけ保てるかというのは、正直申し上げますと今後の課題だと思っております。
引き続き渡邉様からいただいたレガシーの取組、多分これも共通した課題だと思うんですけども、先ほど御説明しましたレガシーづくりというのは、基本的に我々がやってきた活動をどこかのどなたに引き継ぐという前提で考えているのですけども、恐らく御質問いただいたのは、じゃあ経団連自身がどうやっていくのかということだと思います。
そこで一つ前提として考えなければいけないのが、各社、大会スポンサー企業のオリパラ部という部署、部隊の方がいらっしゃいまして、その方々が大変今まで活躍していただいておりましたが、それは恐らく今年中とか今年度中になくなってしまうのは事実だと思います。
その中で何をやっていくのか、どうやって説得力を持っていくのかというのは、我々自身もどうやってこの位置づけを引き続き保っていくのかというのは大きな課題だと思いますし、広くスポーツ界の皆様からも、さっきトップリーグ連携機構様の御説明で、多分見る視点は違うんだけど何かすごく共通しているなという気がしたんですが、引き続きいろいろとお知恵も拝借したいと思っております。
以上でございます。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
田口さん、それではお願いいたします。
【田口(JTL)】 すみません、森岡さんの質問二つ目の回答をしていませんでしたので、付け加えさせていただいてよろしいでしょうか。
運動遊びのスポーツの入り口のところで、セカンドキャリアというところのお話だったのですが、私たちは、先ほど國土さんからの御質問がありましたように、引退した選手たちのネットワークを活用して様々な意見を伺っていると、新しく引退した選手たちを新しいビジネスの世界に送り出すというよりは、そのまま企業人、スポーツを終わった後に引退した場合は様々な活動をされているんですが、その方たちのやりがい、生きがいを残すために、例えば週末でも、少しの謝金でも構わないので、自分がやられたスポーツを地域であったりとか自分の育った学校であったり、そういったところで活動する機会をつくってあげることが、もしかすると、様々なスポーツ選手、特にトップアスリートは皆さん、自分で解説であったりだとか、様々な生き方があるんですけど、そうでない8割、9割の一般のアスリート、選手たちにそういう機会をつくってあげる、それで、運動遊びや学校部活動の指導者も含めて、子供たちにそういったノウハウを伝えることができる、活動することができる。日本スポーツ協会様の行うアクティブ・チャイルド・プログラムや、私どものJTLネットワークのような活動を通じて、選手たちが生きがいとしてスポーツに一生携われる、そんな活動ができればいいかなというふうに思っていますので、ぜひともそういったところも運動遊びの提言の中に盛り込んでいただければという意味で発言をさせていただきました。
以上です。申し訳ありませんでした。
【大日方部会長】 御回答ありがとうございました。
それでは、お時間になりましたので、Eグループのヒアリングを終了させていただきます。
3団体の皆様、大変お忙しい中御出席をいただきましてありがとうございました。オンライン会議の御退出をお願いいたします。
事務局は、次のFグループの団体の入室をお願いいたします。
(グループE、F入替え)
【大日方部会長】 では、準備が整いましたので、次のヒアリングを始めさせていただきます。
Fグループは、日本アンチ・ドーピング機構と国際協力機構様でございます。
事前に御案内をしておりますとおり、それぞれの団体の説明時間8分以内ということをお守りいただきますようにお願いいたします。次のグループの時間帯の関係もございますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
ではまず、日本アンチ・ドーピング機構様、よろしくお願いいたします。
【浅川(JADA)】 よろしくお願いいたします。日本アンチ・ドーピング機構の浅川と申します。
では、皆さんお手元の資料を御覧いただければと思います。
3ページ目から私どもの説明の具体的なものが始まりますので、進めさせていただきます。当機構における取組をまず御説明申し上げまして、その後に、課題と、それから、今後の第3期計画に関する期待値を御説明申し上げたいと思います。
では、まず当機構の取組実績ですが、スポーツの公平性、公正性の維持向上ということで、主要な競技大会におけるドーピング検査または競技会外での検査を実施してございます。同時に、ラグビーワールドカップ及び東京2020大会におけるアンチ・ドーピング活動に中核的に関わってきております。また、分析の向上のための研究活動も展開してきております。
教育活動におきましては、競技団体と連携し、アスリート、サポートスタッフ向けの研修活動を展開してきております。2017年度以降につきましては、加盟競技団体の教育活動の計画立案と実行支援を行ってきております。また、学習指導要領改訂により高等学校でアンチ・ドーピングに関する教育が追加されたことを受けて、モデル校と連携したスポーツの価値に基づく教育を実践してきております。
ページを変えていただきまして、情報提供につきましては、使用可能薬を確認できる検索サイトを運営してきております。アスリートや医療従事者に広く活用いただいておりまして、2019年度では42万件を超える検索実績がございます。医療従事者向けの情報提供サイトを設定して、競技大会の開催地域の医師会などとの連携をして情報発信に努めております。
国際貢献につきましては、SFT活動の下、ウェブサイトや国内外でセミナーなどを展開し、188か国、11万人を超える裨益者にアクセスをいたしました。そのほか、国際競技大会でのIFとの連携、アジア地域のアンチ・ドーピング機構対象のセミナーの開催、検査員の育成等の活動を継続的に実施してきております。そのほか、JADAの活動とは別に、WADAなどの国際機関の委員会活動を通じた貢献を行ってきてございます。
最後にスポーツファーマシストです。使用可能薬の判断、教育活動を担う専門家の育成のために、2009年に日本薬剤師会の協力をいただき設立しました公認スポーツファーマシスト制度ですが、1万人を超える方々を認定してきておりまして、競技団体、都道府県体育・スポーツ協会をはじめとしまして様々な場面での活動が展開されております。
スライド送っていただきまして、今後の具体的な課題及び期待値について御説明申し上げます。4ページ目に進んでいただければと思います。アンチ・ドーピング活動の推進につきまして、まず全般的なところから御説明申し上げたいと思います。
2020大会で獲得をした知見、成果を活用し、国内外の活動の実効性を高めること、それから、第2期スポーツ基本計画の施策目標でもあります国際的な施策、スポーツ界のルール作成に関与できる人材を育成することが重要であると考えております。これらの実践においては、SDGsやユネスコの行動計画において共通する、スポーツを通した社会変革の視点を持つことが重要と考えています。また、ドーピング検査における独立性、中立性は必須要件でありまして、ますますこの重要性が高まりつつあります。最後に、昨年12月にスポーツ振興投票法が改正され、くじ対象競技が拡大されていきますが、くじ対象競技が公正な環境の下で展開されることが従前にも増して必要となると考えております。
この背景から、画面の右側になりますけれども、2020大会レガシー活用により実効性を向上させ、国際的なプレゼンスのさらなる向上を目指すことが期待されます。それから、ドーピング検査体制の独立性、公正性の確保のために設置されたスポーツフェアネス推進機構を中核とするドーピング検査推進体制の重要性について、国内の関係各機関が再確認することが期待されます。また、スポーツ振興くじの拡大に合わせて、くじ対象試合がクリーンであることを保証していくための新たな検査体制の構築が期待されます。
ページをめくっていただきまして、ドーピング検査領域につきまして御説明申し上げます。
ドーピング検査は尿と血液を採取いたしますが、血液検査が少ないことが我が国の課題です。2020大会に向けて拡充いたしました検査員の陣容、経験値を継承する対策が必要になってまいります。ドーピング検査の根幹である分析ですが、現状日本では民間企業を基盤とする体制です。この体制の維持、機能拡充対応に課題があると考えております。国民体育大会につきましては、国内最大のスポーツの祭典ですが、国際水準に見合う対策が講じられているのかという観点で検討が必要と考えております。
右側に移りまして、これらの背景から、血液検査拡充のため競技団体の協力が不可欠と考えております。2020大会で獲得した知見、陣容を維持していくための予算の拡充が期待されます。WADA認定分析機関がスポーツ界において担う機能、役割の公益性と、日本がWADAという組織創設以来常任理事を務めているという背景に鑑みて、WADA認定分析機関自身がスポーツ振興くじへの申請を可能とするなど、柔軟な財政支援の在り方を検討いただければと思います。それから、かねてからの懸案であります国民体育大会におけるドーピング対策の在り方につきましては、国体の名称を変更するタイミングに合わせ、また世界基準を念頭に置いて、国を含めた当事者である主催3組織における新たな枠組みの提案が必要と考えられます。
ページをめくっていただきまして、教育領域です。
21年1月の世界アンチ・ドーピング規程の改定によりまして教育に関する国際基準が新設され、統一基準に沿った活動が各国の責務となりました。国際基準に合致した国内体制の構築が急務です。ユネスコドーピング防止国際規約及び我が国のドーピング防止推進法においても、教育は中核的な施策として位置づけられています。これらの事情に加えて、教育がアンチ・ドーピング活動の基盤となる点を踏まえ、スポーツ庁、統括組織、競技団体、有識者などから成る大局的な方針検討が必要と考えます。
これらを背景として、国による政策面、財政面の主体的な参画、支援が期待されます。また、教育に関する国際基準で求められる国内体制構築のため、スポーツ庁、統括組織、競技団体、有識者から成る検討会議を設置し、関係者間での議論を経て方針策定をすることが期待されます。
ページめくっていただきまして、次に、教育に関する国際基準では、研修を受けたエデュケーターという職域による研修実施が設定されております。また、様々な必須要件が設定されました。医療従事者、サポートスタッフ、大学生アスリートへの教育は重点領域となってまいります。
これら背景から、保健体育の教師免許を持っている方の専門性を活用すること、また、小学校から大学までのスポーツの価値を基盤とした教育の実践が期待されます。また、医療従事者などに対する大学教育でのカリキュラムの設定、国家試験への出題などが期待されます。最後に、公的助成を受けるアスリート及び公的助成を受けるアスリートに対応するスタッフへの教育の徹底も期待されるところとなります。
ページをめくっていただきまして、調査研究領域です。
アンチ・ドーピングの教育は、医学、薬理学等領域にまたがる体制を構築して長期的な取組が求められます。社会科学領域における調査研究も重視されてきております。我が国では各分野の研究は高いレベルでの知見や専門性を有していますが、これらの研究者や研究機関とアンチ・ドーピング教育との連携が十分ではない点が、現状の研究基盤整備における課題となっています。
これらの背景から、複数年の研究計画・執行を可能とする体制が期待されます。また、自然科学、社会科学の双方を包含する研究を促進するなど、研究支援が期待されます。
最後に、国際貢献領域です。
ページをめくっていただきまして、東京2020大会を経て獲得される知見、成果を活用した国際支援を継続的に実施することが課題となります。第2期計画が指摘する国際的な施策、ルールづくりへの参加を実現するため、人的・組織的ネットワーク構築が求められます。この観点から、国際機関との連携強化、特にオリンピックのドーピング検査の統括組織であり、スポーツの根幹である公平性、公正性を支える活動においてさらなる活動の拡大が想定されるITAについては、ITAの地域事務所の国内誘致を視野に入れた関係強化が求められます。ドーピング検査の拡充は国際的な課題であり、これらに対する支援要請はアジア地域を中心に年々大きくなっています。
これらを踏まえまして、SFTの後継施策の推進、ITAの地域事務所の東京への誘致が実現されることが強く期待されます。WADAをはじめとして国際機関への人材派遣を通じたネットワークの強化、それからアンチ・ドーピング機構と相互連携組織とのさらなる連携の強化、アジア地域で中核的な立場にあります日中韓の3か国の連携強化、また、2020大会を経験した検査員を海外に派遣することによる、海外への支援体制の拡大をすることが期待されます。
以上をもちまして私どもの説明、提言を終了させていただきます。ありがとうございました。
【大日方部会長】 浅川さん、ありがとうございました。
それでは、国際協力機構様、よろしくお願いいたします。
【勝又(JICA)】 JICA――国際協力機構の勝又と申します。本日は、企画立案を行っている企画部と、JICA海外協力隊で長らくこの分野で活動しております青年海外協力隊事務局の2部署から説明させていただきます。私は青年海外協力隊事務局の勝又でございます。
それでは、36ページの1枚目から御説明をしたいと思います。
あえて導入部で「0.」というのを設けております。「スポーツを通じた国際協力の意義-SDGs及び人間の安全保障への寄与-」ということで記しております。
スポーツと開発の国際的動向としましては、まず、ユネスコのこちらの国際憲章において、全ての人にとっての基本的な権利ということでうたわれております。それから、この1枚目中段のところで、2030アジェンダ(SDGs)におきましても、皆さん御存じのとおりかと思いますけども、持続可能な開発においてスポーツも重要な鍵であるということでうたわれております。
それで開発途上地域の課題ということですけども、まず政策実施の困難性ということで、途上国でも意外とスポーツ政策は充実している国もあるんですけれども、予算が極端に少ないであるとか体制が脆弱であるとかいったところで、十分な事業実施が困難な状況というのはございます。
37ページ、2枚目に移ります。スポーツへのアクセスの格差ということです。
特に、社会的に困難な状況に置かれている方々にはスポーツへのアクセスが遠い、あるいはジェンダー格差や文化的な背景からの女性のスポーツの機会が限られているというようなことがございます。それから、学校体育の未整備ということで、カリキュラムとしては必修化されているにもかかわらず、認知度が低い、読み書き、算数より劣る、あるいは指導人材、施設の不足というのが現実としてあるというところです。
それから、日本政府の政策的重点として、我々JICAとしましては人間の安全保障というのを少し強調したいと思います。こちらは、亡くなられた緒方貞子さんがUNHCRの高等弁務官だった時期に提唱に深く関与したということで、言わば日本生まれでもある概念と言えると思います。SDGsに比べるとやや知名度が劣るかもしれませんけども、国連総会の場などにおいても、菅総理からも非常に重要な概念ということで昨年9月にも強調されています。
15年2月に政府が定めました、ちょっとこれ誤植がありまして「開発協力大綱」ですけれども、こちらでも人間の安全保障というのが開発協力の根本にある概念ということで、人間中心の開発を推進するために必要な支援の分野として、スポーツというのもこの大綱には明記されていると。人間の安全保障という、一人一人の尊厳を守るという、よりそこを強調した概念を、次のスポーツ庁さんの計画でも取り込んでいただけると、非常にありがたいなというふうに思っております。
それからJICAによる取組ということですけども、協力隊という意味では、65年、くしくも前のオリンピックの翌年度からスポーツ隊員の派遣を続けておりまして、累計で4,600名を超えています。それから学校体育ですが、日本の伝統とも言えるものかなというふうに思います。それから障害者スポーツへの協力ということで、90年代以降、この分野で途上国から研修員を招いたりということで行っています。2000年代からは、平和構築分野でスポーツを活用ということで、東ティモールや南スーダンでの国体といったようなことを展開しております。
次に、2030年に向けたJICAの「スポーツと開発」の事業の方向性ということですけども、理念としまして、「全ての人が性別や年齢、文化、社会的・経済的地位、障害の有無などに関係なくスポーツを楽しめる、それを等しく選択できる平和な社会の実現を推進する」ということを掲げておりまして、その下に二つのアプローチと三つの取組ということで示しております。
一つはスポーツそのものを開発課題として捉える「スポーツの開発」、それから、スポーツを手段として捉える「スポーツを通じた開発」という下に、「スポーツの開発」としては三つの取組のうちの一つ目ということで、スポーツへのアクセスの向上として、ハード・ソフトのインフラの整備、スポーツの普及強化、それから、39ページ、4枚目に行きまして、「スポーツを通じた開発」としては、人材育成、それから社会包摂と平和の促進ということで、それぞれ健康増進、教育、社会参加促進、平和構築ということで掲げております。
この「スポーツを通じた開発」の事例につきましては、41ページ以降に四つほど事例を挙げておりますので、後ほど御覧いただければと思っております。
39ページの中ほどの「スポーツと開発」の分野の全体像は、「スポーツの開発」と「スポーツを通じた開発」をまとめますとこういった形になると思います。
それから、SDGsのゴールへの貢献としましては、特にゴール3、4、5、10、16、17の、健康、教育、それからジェンダー、不平等是正、それから16番の平和、それからパートナーシップということで考えております。
最後に、第3期スポーツ基本計画への期待ということで二つ挙げさせていただいております。
一つは繰り返しになりますけども、スポーツを通じた国際協力を国際的にリードするための政策的位置づけということで、SDGsへの貢献はもちろんのこと、一人一人の尊厳を守る、人間の安全保障の実現に寄与するということを位置づけていただければというふうに考えております。より広範な方を引きつけられるこの分野の特性がございますので、そういったことで市民や団体に参加いただきながら、誰もが参加可能なスポーツ等を通じた国際協力に方向性を示して、人間の安全保障という日本が主導している開発の理念の下、政策的に位置づけていただけることを期待したいと思います。
それから二つ目は、イノベーションの促進ということで、JICA海外協力隊の一時帰国下でコロナの影響で待機していたときに、多くのスポーツ隊員がオンライン指導を行っているような事例がございます。今後、人の行き来だけでなくて、テクノロジーを活用した新たなスポーツの取組というのはあろうかと思います。こういったイノベーティブな取組は、様々な個人、団体の力が必要というところで、意欲のあるような皆さまに参加頂けるようなプラットフォームの構築というのに期待していきたいと思っております。
以上になります。ありがとうございました。
【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、二つの団体から御発表いただきましたので、2団体に対しまして御質問や意見等ございましたら挙手ボタンにてお願いいたします。質問を先にまとめて頂戴して、後からまとめて団体に御回答いただくような形を取らせていただきます。
では、森岡委員、池田委員、大塚委員、そして結城委員ですね。では、四方からの御質問お願いをいたします。
では、森岡委員、お願いいたします。
【森岡委員】 浅川さんに2点質問をします。
1点目は、先ほどエデュケーターについてお話がありましたが、国際的には、このエデュケーターというのをISEにおける要求事項においては、どこの機関が認定しようとしているのかというのを教えていただきたいです。公的な資格として位置づけるとありますが、誰がどのような団体が認定するのかというのが1点目。
2点目は、このエデュケーターはサポートスタッフ等に対する教育を行うものとありますが、認定された後に具体的にどのような活動をするのか、例えば、活動場所等のとかイメージを教えていただきたいです。
以上です。
【大日方部会長】 では、池田委員、お願いいたします。
【池田委員】 発表ありがとうございました。私のほうからは、JADAの浅川さんへ三つほど質問させてもらいたいと思います。
まず1点目ですけれども、30ページ目のドーピング検査領域の右側の期待事項の3番目と4番目のことについてです。アスリートにとってドーピングに関わるロシア問題というのはすごく非常に大きいインパクトだったんですけれども、中でも分析を担うラボラトリーの不正というのは本当に非常にショックな出来事で、改めてラボの独立性であったり、その分析能力の高さを担保するということはとても重要だと、このロシア問題を通して私はすごく実感したのですが、この30ページのところに、WADAの認定分析機関でもあるラボ、ここでいうLSIに財政支援が必要だというふうに書いてあって、私は正直びっくりしたんですね。LSIは、これから高度な分析を行っていく上で、totoの助成の申請が可能になれば大丈夫なのかなというふうなところが質問です。
というのも、高い分析能力を維持するためにはお金がかかると思うんですけれども、アスリートの立場から考えてみると、日本はロシアとは違って独立性と高い分析能力が担保されているという、WADAの認定の分析機関に自分のクリーンを証明する検体分析を実施してもらっているという安心感があると思うので、なくなったら困るなというふうにちょっと不安に感じたので質問させてもらいました。
2点目ですけれども、同じく30ページ目の期待事項の五つ目です。国体のアンチ・ドーピング対策の在り方に対応した期待事項に関連することになるのですが、実際現在の国体で年間どのぐらいの検査を実施しているのかどうか、もし教えていただけるなら教えていただければと思います。
先日JSPOさんの発表の中でJapan Gamesの話を伺ったんですけれども、今後、影響力の大きい国体が名称変更して、少年団の全国大会やマスターズなどと、また大きなイベントを包括してJapan Gamesと拡大していくというふうになっていくのと同時に、これもアスリートからの視点なんですけれども、大きくなっていけば必然的にアスリート自身は自分がクリーンであることがより求められていくので、本当にそのクリーンを証明するための検査というのはかなり重要になってくるので、今後Japan Gamesというふうになっていった場合に、期待事項にも書いてある検査体制が拡充されることで、十分な検査の数、それを担う体制というのは整うと考えていいのかどうかというところが二つ目になります。
三つ目ですけれども、調査研究領域に関してです。33ページにちょっと言及されているところで気になったところなんですが、あえて調査研究に関して、「複数」として、「複数年にわたる研究計画・執行を可能とする体制が必要」というふうに書かれてあるのですが、単年度ではなぜ駄目なのかという理由が聞きたいなと思ったところです。
この検討部会に参加させてもらって、改めてスポーツの価値の大切さというのは皆さんが重要視されているんだなというふうなことを感じているのですけれども、一方でじゃあスポーツの価値は何なのかとか、何で日本はこんなに違反が少ないのかといったような調査研究はまだまだだなというふうに個人的に感じているところがあって、なかなかエビデンスも出てこないなと思って、この調査研究はとても重要なことだと思うので、その点に関してお聞かせいただければと思います。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、大塚委員、お願いいたします。
【大塚委員】 ありがとうございます。発表のほう大変ありがとうございます。私からは、JADAさんに2点、JICAさんに1点質問があります。
今の池田委員のお話にも関連する点もありますが、まず最初は、ドーピング検査領域のことに関して、血液検査数がまだ不足しているということで、今後この血液検査数を増やしていくと。大変これは大がかりなプロジェクトになると思うのですが、その中で浅川さんからのお話の中に、NFの協力が不可欠というお言葉がございました。このNFの協力の部分がもし具体的に分かるのであれば、ぜひともお示しいただければなと。特にまたここ、NFの抱えるドクターの課題もございますので、より具体的なものは今後示していただければいいんじゃないかなという点が一つ。
二つ目は、今の池田委員の内容にも関わりますが、国民体育大会、今後のスポーツ大会に関する検査領域のお話があったんですが、教育領域のほうにはこの点が強調されていませんでした。ぜひともこのスポーツ大会でのドーピング検査実施における、やはりこれも競技団体及び都道府県競技団体も含めまして、どのようなスポーツ大会での実施に関して教育領域をそこまで広げていっていただけるかどうか。そういった点においても具体的なものがありましたら、お示しいただければいいなと思っております。
それから、JICAさんに対しての御質問ですけれども、先般、日本オリンピック委員会と連携協定の大きな取りかかりのMOUを結んだばかりの中なんですけれども、今回御提案いただいた施策の中に、オリンピック・パラリンピックレガシーをJICAさんの活動にうまくつなげていくような部分が見受けられなかったように思います。オリンピック・パラリンピックレガシーに関して、JICAさんの方針の中に取り入れていくような計画、またプラン、御意向があるようでしたら、ぜひともお示しいただければと思っております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
【大日方部会長】 それでは、結城委員、お願いいたします。
【結城委員】 お願いいたします。浅川さん、それから勝又さんにそれぞれお伺いいたします。
JADAのほうの教育に関して、1点伺います。私も過去、JADAのいろいろな試みを実地に見聞させていただいて、その際に印象に残ったのが、アンチ・ドーピングの知識や手法、それからなぜいけないのかといったことだけではない大きな踏み込みを見せて、スポーツとは何か、私たちにとっての価値とは何か、一体社会そしてそこにいる私たちはそれをどう守るべきか、そういった視点を強く打ち出していらっしゃるやにお見受けをいたしました。
これから、どのような形でその二つの知識、それからその考察のバランスを取った、JADAさんとしての教育を展開していきたいのか、いかれるのか、そこを1点伺います。
海外との研究連携についても、池田委員がおっしゃられたように非常に大事と思うのですが、海外の事例というのはどのようにそれを展開しているのかについても御示唆いただければと思います。
勝又さんのほうに伺わせていただきます。
コロナで、当然一番国際社会の弱い部分、途上国への打撃や疲弊が進んでいるやに伺っています。しかもコロナ禍でなかなか、今オンラインの話ありましたけれども、実地でのスポーツの指導等々ができにくいようにもお見受けをいたします。
そのスポーツを通じて途上国の社会をどのようにこれから変えていこうとされていらっしゃるのか。その際に、一番当然、JICA、それから海外協力隊のお話を伺うときに必ず皆様おっしゃるのは、どうやったら地域に根づいてくれるかです。日本から運動会を持っていくのはとても面白いんですけれども、どうやってそのエッセンス、精神、そしてスポーツのよさを地域の人々に根づかせるか。その辺りを今後の展望とともにお教えいただければと思います。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
それでは、浅川さんから、そして勝又さんの順でお答えをいただければと思います。恐縮ですがちょっと時間が押しておりますので、簡潔に御回答いただけると大変助かります。
では、浅川さん、よろしくお願いいたします。
【浅川(JADA)】 皆さん、御質問ありがとうございました。
まず、森岡委員からの御質問にございましたエデュケーターの制度につきまして、これは21年から施行されておりますISEの中での義務事項となっておりまして、そのエデュケーターは誰が認定をするのかということにつきましては、規程の中では、各国のアンチ・ドーピング機関がそのエデュケーターの研修制度を設定し、その研修制度を経た人に対するエデュケーター認定をすることというふうに定められております。ということで、日本国内においてはJADAが国内の研修制度を立ち上げ、その制度を経て認定者が生まれてくるということになりますので、JADAが認定者ということになってまいります。
次に、そのエデュケーターがサポートスタッフに教育をする場合に、どのような場面がイメージされるかということですが、これはまさに、スポーツ協会様とのお付き合い、または競技団体(NF)さんとのお付き合いの中でそれぞれ事情が変わるかと思いますけれども、スポーツ協会さんとのお付き合いの中におきましては、都道府県体育協会様からのいろんなこれまでも機会の設定を、スポーツ協会様を通じて対応いただいておりますので、そういったところを拡充していくということが今後の対応になってくるかと思います。
と同時に、競技団体の関係の方もいらっしゃいますので、競技団体の皆様との関係の中では、これからJADAのほうで具体的な説明会を設定させていただくことを予定してございます。実際には6月に、この1年間に向けてこういうことで今年1年間の教育に関する大きな施策が変更になりますという説明会の第一弾をさせていただき、11月にもう一度、教育に特化した形で競技団体の皆様への御説明のセッションをさせていただく予定となっております。6月のものにつきましては近々御案内が競技団体様に向けて発信されますので、そちらのほうを御確認いただければと考えております。
では次に、池田委員からの御質問にございました、ロシア問題を経てラボの独立性が非常に重要だということで御指摘をいただいた件ですが、まさにそのとおりでございまして、日本国内におきましては今、スポーツ振興くじの助成を実は頂きながらラボの機器の整備はできておりますが、これは私どもJADAがその助成申請の立場に立っているところから、私どもの脆弱な財源がその背景で動くということになっておりますので、私どもの基盤に左右されるリスクがそこには内在してございます。
そういった意味合いからも、それから、先ほど来御指摘いただいているとおりラボの公益性に鑑みて、民間企業ではあるものの、位置づけを鑑みれば、直接の申請をしていただくという柔軟性を考慮いただくに十分な基盤または背景があるのではないかというところが今回の課題提起の背景でございます。
それから、国民体育大会につきまして複数の委員の方から御質問いただいております。現状での国民体育大会におけるドーピング検査は200件前後というところになってきてございます。これは夏秋季と、それから冬季大会の合計の数でございます。
これに対して、私どもの今回の御提示の中で、主催者3団体における検討をしていただくことを御提示さしあげたわけでございますが、これについては実際に今後、まずは教育も含めたアンチ・ドーピング対策の在り方を御検討いただき、検査だけではなく、大塚委員からの御指摘のとおり、まずは教育ありきということが21年規程の中で明確に打ち出されたところでございますので、都道府県体育・スポーツ協会様との連携の中で、実際にまずは教育の拡充を図っていただく。それもスポーツ大会の会期直前ということではなくて、国民体育大会がアスリートの登竜門という位置づけ、またはこれから国民体育大会自体が拡充していくという未来を考えれば、年間を通した教育的な施策が、都道府県体育・スポーツ協会の皆様、日本スポーツ協会の皆様との連携の下で展開される前提があって、その上にドーピング検査というものが実施されるべきだというふうに考えております。
ドーピング検査の数におきましては、もちろん世界で一番メジャーなオリンピックの参加アスリートの数と検査数というようなところが一番の上限と考えれば、それを例えば指標として、実際に国内最高位に位置づけられるスポーツイベントがどのようなアンチ・ドーピング対策が実施されるべきかというようなところは、参加するアスリートの階層も鑑みながら、ぜひ御検討いただく中で適切な方向性を検討いただければと考えているところでございます。
それから調査につきまして、複数年の必要性というところを御質問いただきました。これは、先ほど私の説明の中で資料にも言及させていただきましたが、アンチドーピング教育は決して単年で成果が出せるというような性格のものではなくて、長い期間または複数の領域に関連する人たちがコミットした結果として、ようやく成果が出てくるというのが、自然科学または社会科学の領域で共通しているところかというふうに考えております。実際の事例を参照すれば、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が提供するグラントにおいては、複数年のグラントというものがまずベースとなっておりまして、単年度のものもゼロではございませんけれども、比較的短期で結果が出せるような珍しいものに対してが短期で、多くのものは複数年ということが前提になろうかというふうに思っております。
それからもう一つ、ちょうど今調査研究の話が出ましたので、結城委員のほうから海外の研究についての事例等があればという御質問がございましたので、この場で続きの中で回答させていただければと思います。
実際に海外では、複数の領域または複数年という話をさせていただきましたが、ドーピング分析というような日常の業務がドーピングと直結しているような人たちだけではなくて、例えば、米国のアンチ・ドーピング機関であるUSアンチ・ドーピングエージェンシーが毎年開いているシンポジウムでは、犯罪心理学の方を招聘して、なぜドーピングが誘発されるのか?というアスリートの心理的構造の視点に立ち、、犯罪心理学の専門領域を背景とするテーマが取り上げられています。例えば、この様な外部の視点・切り口で見ることによってドーピングの抑止に係る教育にも、または抑止にも転用できるんではないかというような課題設定の中で、その専門領域を披露しながら実際のプレゼンテーションをしてくださるような機会がございます。
同じように社会科学だけではなくて自然科学の領域でも、血液学の専門であったり代謝の専門の先生方が同じような観点から、ドーピング防止に対する専門性を、興味を持って時間または研究にコミットするという体制ができております。日本においてはまさにそれぞれの専門領域では世界の指折りの先生方がいらっしゃると思いますので、そういった方々にアンチ・ドーピングにコミットしていただくような政策を展開していくことで、国際的な貢献ができる体制になっていくのではないかというふうに課題意識を考えているところでございます。
続きまして大塚委員から御指摘をいただいた件でございますが、血液検査の検体数を増やす上で競技団体の皆様からの御支援がいただきたいというところですが、既にスポーツ庁または厚労省等の御支援、御協力をいただく中で、競技会におけるドーピング検査、採血におきましては、その大会が開催される開催地における医療機関の協力をいただき、巡回診療という形で採血をするために、柔軟な対応ができる体制ができております。
JADAでは、自分たちの基盤となる医療機関との連携または競技会開催地との連携というのはなかなか取りづらいという事情がある一方で、イベントを開催するスポーツ団体や競技団体の皆様は、例えば定例的に開くイベント、土地との連携があるシンボリックなイベントがあったりとか、またはそのイベントを開催する上で自治体の皆様との行政も含めた大きな準備体制が動いているかと思います。そういう中で地域に所在する医療機関に関与していただき、その医療機関が巡回診療届を出していただくという対策の中で、ドーピング検査、具体には競技会における採血が、柔軟な対応の中で実施できるルールが出来上がっておりますので、この辺りへの具体的な競技団体の皆様との連携が必要となってまいります。
それから、大塚委員から国民体育大会における教育の質問ございましたが、先ほどの回答の中で包含させていただいたというふうに考えておりますので、もし不足等あれば後で御指摘いただければと思います。
それから最後に結城委員から冒頭で御質問いただいた一つ目のところですが、すみません、私どもの教育について非常に御理解いただいておりましてありがとうございます。スポーツの価値教育と、それから具体的なルールに対する知識とをどうバランスを取っていくのかというようなところかというふうに理解いたしました。
私どもの考えといたしましては、スポーツの価値をまずは若年層――小学校、中学校の頃から、必ずしもドーピングまたはアンチ・ドーピングという言葉を使わずとも、スポーツのフェアネスというところに対して、例えばロールモデルとなるアスリートの振る舞いをモデルとしたお話をするとか、そういう中でスポーツの持つ本質的な価値を理解いただく階層をつくっていくと。その上で、ようやくパフォーマンスが上がったところで、ドーピング問題を具体的に考える基盤をその上に乗せていくような形で、自分たちがロールモデルとなってスポーツを守っていくと、スポーツ環境を守っていくためにはどうすればいいのかということの課題意識を持ったアスリートを育てていく、その上でアスリートに対して、例えば居場所情報を出すことの重要性をその上に乗せていくような教育をすることによって、しっかりとした活動ができてくるようになるのではないかというふうに考えております。
私どもの提案の中でも、小学校から大学までスポーツの価値を基盤とした教育の実践ということを提示させていただきますのは、恐らくは学校現場、部活動においてこのような価値を基盤とした教育というのは非常に親和性が高いというふうに考えております。部活動の先生方は必ずしも保健体育の教員ではないかと思いますので、こういった先生方にもこのような領域に対する理解を深めていただくような情報発信・共有の機会というものを今後も積極的に構築していくことによって、スポーツにおけるドーピング防止活動の教育が、先ほど委員からの御質問にあったように、バランスの取れた形で展開をしていく未来をつくっていければというふうに考えております。
以上、御質問いただいた内容につきましては御回答差し上げたと思いますので、もし漏れたところがございましたら後ほど御指摘いただければと思います。ありがとうございました。
【大日方部会長】 浅川さん、ありがとうございました。
では、勝又さんから、JICAさんの御回答をお願いいたします。
【勝又(JICA)】 ありがとうございます。
大塚委員からは、貴重なご示唆を頂き、感謝申し上げたいと思います。オリパラレガシーということを、我々も意識しながら取り組んでいますが、開発援助機関としてオリパラということを言及することで、逆に「スポーツと開発」への取組みが一過性ととらえられることを懸念する面もございます。むしろ、委員からもJOCさんとの連携協定に触れて頂きましたが、JOCの目的の一つは「オリンピズムの実現」ということで理解しております。オリンピズムとは、スポーツを通じて全ての人の可能性を実現することと理解しておりますが、これは当方のプレゼンで協調した「人間の安全保障」との親和性が極めて高いと考えており、連携協定でも双方の概念を明記しております。開発機関としては、スポーツを通じた人間の安全保障の実現を通じて、オリンピズムにも貢献するという考え方もあるかと考えています。
なお、SDGsの中のゴール17であるパートナーシップの重要性についても申し上げましたが、各国ドナーの中ではフランスのJICAにあたるAFDという機関との連携を近年深めています。AFDはマクロン大統領の意向もあり、「スポーツと開発」についてのイニシアティブを進めていて、JICAとの協働についてもアプローチをもらっており、イベントでのJICA北岡理事長のビデオメッセージなど、関係を強めています。この連携においては、東京2020からパリ2024に向けてレガシーを伝えるという思いで取り組んでいる点を申し添えます。
結城委員のご質問に対してですが、JICAの業務は、どのような課題においても「途上国の人々の可能性を広げる」取組みだと考えており、スポーツにおいてもそれは同様だと考えています。その中で、コロナ禍においては、海外協力隊が全員一時帰国した際に、オンラインでの現地とのつながりを継続した方々が相当数おられる訳ですが、体育・スポーツ分野での取組みも多く、特にスポーツの持つ人と人を繋ぐ力、またいろいろな人々への訴求力が発揮されていると考えています。
一方で、地域に根付くためには、やはり実地での協力が必要な面はあります。現在、全ての分野から20か国ほどの協力隊員が現場に戻り、また現在約100名の皆さんは新規の派遣のための訓練中です。一方、コロナ禍で一時帰国した隊員のうち、約800名の方々が、いつか渡航再開できる日を願って、意欲を持って待っていただいています。JICAとしては、コロナ禍においても、できる取組みを地道に進めていく、このように考えています。
【大日方部会長】 勝又さん、ありがとうございました。
ちょっとこちらが、スポーツ庁のこの会議の中では、オンラインでトラブルがあったようですけれど、ほかのオンラインで参加している皆様は、勝又委員の回答は聞けておりますか。森岡さん、聞けていますか。ありがとうございます。
それでは、後ほどこちらで参加している者たちも確認をさせていただこうと思います。ありがとうございました。
それでは、こちらでFグループのヒアリングを終了いたします。お二方、2団体ですね、お忙しい中、御出席をいただきましてありがとうございました。オンライン会議のほう御退出をお願いいたします。ありがとうございます。
委員の皆様、恐縮ですが少しだけ休憩を取らせていただいて、すぐ再開をしたいと思います。大変恐縮ですけれども、3分ほどの休憩になりますが45分再開ということでお願いいたします。
(休 憩)
【大日方部会長】 それでは、後半を再開させていただきます。
Gグループ、入室済んでおりますでしょうか。ちょっと今こちらの接続がうまくいかない部分がありましてばたばたしておりますが。ありがとうございます。
それでは、Gグループは、高体連と全国大学体育連合、大学スポーツ協会様となります。
事前に御案内をしておりますとおり、各団体御説明は8分ずつ以内でお守りいただきますようお願いいたします。
それではまず、全国高等学校体育連盟様よろしくお願いいたします。
【奈良(全国高体連)】 皆さんこんにちは。全国高体連の奈良でございます。本日はよろしくお願いいたします。時間もありませんので、早速説明等させていただきます。
まず、本日はヒアリングの機会をいただきまして本当にありがとうございます。資料冊子の45ページに記載させていただきましたけども、三つの項目について、本連盟の状況などについて、まさしく羅列、箇条書にしましたけれども、この中で今日は数点に絞って御説明等をさせていただきたいと思います。
まず1番の、本連盟の取組及び成果のところでは、(2)運動部活動作業部会の立ち上げという項目を立てております。
平成30年3月に運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを受け、全国高体連では、基本問題検討委員会の中に運動部活動検討委員会同作業部会を、その年の5月22日に開催した理事会において決定し、立ち上げました。この部会での協議内容として、ガイドラインに示された各内容について本連盟としてどのような方針、方向性を持って課題を整理し対応していくかということが含まれておりました。
2年間の活動内容を令和2年6月の理事会に報告し、確認された内容について都道府県高体連など関係組織に対して提示をしました。その報告書の中では、課題の整理として五つありまして、部員不足による合同チームのインターハイへの参加、大会規模の見直し、固定開催競技の拡大、部活動指導員に関すること、それから地域スポーツクラブ等との連携の在り方についてという五つに整理をいたしました。
そして現時点では、1番の部員不足による合同チームのインターハイへの参加についてと、固定開催競技の拡大について、この二つの項目を軸に、第2期の運動部活動作業部会として現在取り組んでいます。一方、五つ目の地域スポーツクラブ等との連携の在り方については、これは大変大きな課題でありまして、後ほどの課題の項目で触れさせていただきたいと思います。
次は1の(3)についてですが、全国高校総体への引率規程の見直しです。平成29年3月に部活動指導員の制度が確立され、本連盟では、平成30年5月の理事会でインターハイなど全国大会の引率に係る規程の改定を行い、部活動指導員による全国大会の引率を認めることといたしました。また、翌年の都道府県高体連が主催する競技大会における部活動指導員の引率に関する規程の整備状況などについて調査をいたしました。その結果、全ての都道府県において部活動指導員による引率が認められていることが分かりました。しかし、制度の設置状況や実際の任用の状況については各自治体において違いがあることも、その時点で同時に分かりました。
顧問として指導を行う当該競技の経験が全くない教員が40%以上存在し、また、顧問としての仕事量が長時間労働の一因とされている現状において、外部人材を活用することは、教員の働き方改革を推進するという観点からその一助になると考えています。
次に、大きな二つ目の項目で、本連盟が抱えている現状の課題というところに入ります。
その中では、1の指導者の資質の向上。今日の話の中ではこのことは全てに通じることなのかなとも思っていますが、平成24年12月に発生した、部活動中の顧問の指導の在り方を原因とした部員の生命に係る事案の発生を機に、部活動顧問による不適切な指導の問題が大きく取り上げられるようになりました。全国高体連では、体罰根絶全国共通ルールを策定し他の団体との連携の下、この根絶に取り組んでおります。
しかし、残念なことに報告される体罰事案は減ってはいません。正直申しまして直近においても部活動顧問による不適切な指導事案が発生し、ネットニュースやテレビなどでも報道されています。極めて残念な状況と言わざるを得ません。今、少子化や教員の働き方改革という社会情勢を背景にして、学校における部活動やその延長線上にある全国大会を含む競技大会の在り方そのものが大きな岐路に立っている中で、まさしく考えられない状況です。
もちろん、多くの指導者は高い意識と愛情を持って日々頑張っているのですが、本連盟としては、様々な機会を通して指導者の意識改革に取り組むと同時に、このルールの厳罰化も視野に入れて、撲滅につなげていきたいと考えています。
次に、大きな2番の(2)、先ほど後ほどと申したところで、地域部活動・スポーツクラブ等学校外のスポーツ団体に所属する高校生(高校生年代)の全国大会への参加についてです。このことについて、先ほど申した報告書の中では、インターハイの根幹に関わる部分でもあり、時間をかけて慎重に整理していくべきとまとめています。
この「根幹に関わる」という部分ですが、その意味は、全国大会、インターハイにおける競技別大会、これは「学校対抗を原則とする」というふうに明記されています。学校に設置された部活動に所属するチーム及び生徒による競技を原則にしているということです。ここに学校部活動ではないクラブチームなどの参加を可能とするには、学校対抗戦であるという基本的な前提を変えていく必要があります。この点は相当慎重な議論も必要と考えています。
また、昨年9月にスポーツ庁から働き方改革を踏まえた部活動改革が示され、教員の働き方改革に軸足を置いた地域部活動との連携の在り方の中で、「大会の参加資格については、学校以外のチームも参加できるよう弾力的な取扱いの検討を要請する」と明記されており、本連盟としても、インターハイそのものの在り方やその基盤である学校における部活動の在り方と併せて、慎重に協議を進めていく必要があると考えています。
次に大きな3番、第3期スポーツ基本計画策定における期待ということで、1点お話をさせていただきます。(1)の部活動の位置づけと部活動の意義の再確認というところです。
スポーツ庁においても、学校教育における部活動の意義やその必要性について、明確に示されています。しかし、少子化が急速に進み、同時に教員の働き方改革という観点から、競技大会を含む部活動改革が強く求められ、本連盟としても作業部会を立ち上げ検討を進めています。また、部活動指導が教員の長時間労働の原因とされていることから、将来的に学校教育から部活動を切り離すという考え方があることも承知しています。
しかし、文科省においても示されている優れた教育システムである日本型学校教育、この中で部活動が担う役割が当然にあると考えています。もちろん、教員の負担軽減を進めていくことは必要です。しかし、その手だてとして、学校教育から部活動を分離するのではなく、もっともっと外部力を学校に取り込んでいく、言わば分離型から融合型へ変換をして進めるべきと考えています。
運動部活動に特化して言い換えれば、学校が有している施設や用具、そして人材も含め、さらに有効に活用し、地域にとって学校が体育、スポーツの拠点となるような仕組みづくりが必要ではないかと考えています。これには当然ながら予算等も必要となります。第3期計画においても、引き続きそのような視点を持って計画が進められることを期待しています。
早口になりましたけども、以上で終わりにします。ありがとうございました。
【大日方部会長】 どうもありがとうございました。
次に、全国大学体育連合様よろしくお願いいたします。
【葛西(大体連)】 全国大学体育連合の理事の葛西でございます。
それでは、まず第1の、私ども全国大学体育連合におきまして取り組んでおりますスポーツ振興に向けた取組状況と成果につきまして、御説明いたします。46ページでございます。
本法人は、大学教育における体育に関する研究調査を行っておりますFD活動の支援、会員相互の体育活動の評価と表彰を行っておりまして、大学教育の発展への寄与を目的とし以下の事業を行っております。体育における調査研究及び助成、同じく大学教育における研究会、研修会、競技会及びその他の催しを開催しております。大学教育における体育に関する内外の情報、資料の収集及び提供をしております。そして、同じく体育に関する評価と表彰、同じく体育に関する機関誌、図書等の刊行、内外の体育関係諸団体との連絡及び協力、その他法人の目的を達成するために必要な事業を行っております。
主な具体的な活動を以下に示します。中央研修会、支部研修会、総会講演会、シンポジウムの開催、また、体力測定のデータ、授業評価のデータ等の調査研究活動を行っております。また、教育研究補助金、研修会開催補助金の研究助成事業、また、全国大学体育連合賞、大学体育教育賞、大学体育研修精励賞、大学体育優秀論文賞、大学体育FD推進校表彰の顕彰事業も行っております。また、機関誌といたしまして「大学体育」を発行し、教育研究論文誌「大学体育学」を発行しております。また、スポーツ教材等の刊行物の発行、ホームページによる研修会、シンポジウムの情報、研究助成、顕彰事業の告知、活動報告、刊行物、教員公募等を公開しております。また、メールニュースを活用し、研修会、シンポジウムの情報、研究助成、顕彰事業の告知、教員公募等の会員への情報発信及び相互の情報交換をしております。また、ワールドマスターズゲームの後援団体として、2020年度実施の同ゲームに対する支援及び協力を行っております。
次に、47ページを御覧いただければと思います。現状、私ども全国大学体育連合において抱えている課題といたしまして、三つ挙げております。
一番目は、男女共同参画問題の件でございます。21世紀を先導する人材を積極的に育成、登用し、活動継続を発展、進化させていかなければならない、そのような観点から、全国大学体育連合は既に男女共同参画の問題につきまして積極的な推進を宣言しておりましたけれども、まだまだこの活動が停滞しております。今回、プロジェクトチームを立ち上げまして、積極的な活動を展開したいと思っております。
二番目です。業務のICT化問題ということで、仕事や時間に柔軟性を持たせ、効率化につなげたいと思っております。業務にICTを活用し、情報共有を容易にさせ、情報の書き込み及びスマホやタブレットなども使用が可能となります。本連合は様々な諸業務を抱えておりますが、ICT化で効率的な運営を実施したいと考えております。
そして、第3番目の課題ということでございますが、このコロナ禍におきまして、大学の体育授業のオンラインによる授業及び講習会を、きちんとした形でまとめたいと考えております。現在のこのコロナ禍におきまして、オンライン授業、ハイライト授業の重要性が問われております。特に、対面の指導が重要だと考えられております体育、スポーツにおきましては、まさに喫緊の課題と言えるわけです。
本連合では、現在も対面における講習会を重要と考え実施してまいりましたけれども、オンラインによる授業及び講習会の企画立案を急務と捉えております。先進的なオンライン授業を周知するとともに、コロナ禍にある本連合加盟校に緊急アンケートを実施し、そのアンケート結果を踏まえ、現在進行形で体育、スポーツのあるべきオンライン授業を模索したいと考えております。
次に、第3期計画に期待することです。
まず、1つ目として大学生をコアとするスポーツ振興の重要性の盛り込みを期待しています。
その際に、一般学生のためのスポーツ拡大施策がもっと議論されるべきであり、そのフィールドとして大学体育がより活用されるべきものと考えます。その実現のためには、正課体育・課外活動としてのスポーツをキャンパス内で活性化する基盤をまず整えた上で、社会的に拡大していく生涯スポーツにつながる振興策を、強く大学に求めていただければと考えております。
正課体育と課外活動の学生の皆さんの、スポーツ全般を下支えする大きなうねりがあればこそ、学生界のトップスポーツ選手の活動も光り輝き、その恩恵は多くの一般学生のみならず一般の方々に対するスポーツの関心と興味を引くことにつながるのではないでしょうか。一般学生のスポーツ活動がそのまま生涯スポーツへと続く参加拡大につながるとすれば、「する」「みる」「ささえる」、それぞれのスポーツ参画人口の拡大に有機的につながる可能性は非常に高くなると考えております。
次に、二つ目でございます。スポーツや運動に対する考え方が、コロナ禍において多少変わってきたように感じます。スポーツへの参加自体に戸惑いを感じるだけではなく、コロナ禍が拡大する状況下の今、本当にスポーツをやっていいのか、このように疑問を呈する人が現れている現状があります。「する」「みる」「ささえる」、このスポーツ参画人口の拡大を目的として、大学のみならず一般社会における生涯スポーツの実施を促進できるような具体的な方策が示されるならば、より建設的であるのではないかと考えております。
以上、報告とさせていただきます。ありがとうございました。
【大日方部会長】 どうもありがとうございます。
それでは最後に、大学スポーツ協会様よろしくお願いいたします。お待たせしました。
【池田(UNIVAS)】 大学スポーツ協会――UNIVAS専務理事の池田でございます。
資料49ページから説明をさせていただきます。
恐らく今日、この審議会ヒアリングに参加されている団体の中では一番若い団体かと存じております。ようやく今年で3年目を迎えたという新しい組織になっておりますので、成り立ちから活動というところをまず御紹介させていただければと思います。
2016年の検討開始ということでございまして、特に大学スポーツの振興に向けてということでございますが、大学スポーツは公共的役割を担う可能性を持つ、そして、大学が保有するリソースは極めて大きな潜在力を秘めているといったことが確認された上で、今まで存在しなかった統括組織をつくろうと、その役割として一つは学生アスリートの育成であり、二つ目として学生スポーツ環境の充実であり、3番目として地域、社会、企業との連携を図る。そういった目的で民間組織として規定をされ、さらに2年間の検討会議を経て、2019年3月に一般社団法人として設立をいたしました。
設立理念でございますけれども、大学スポーツの振興によって卓越性を有する人材を育成し、大学ブランドの強化及び競技力の向上を図る、もって我が国の地域、経済、社会のさらなる発展に寄与、貢献するということで規定をされている次第でございます。
次いで50ページ目でございます。現在の活動の指針でございますけれども、目標の大学スポーツの振興といったところに向けまして、何といっても、大学スポーツに関わる人々、大学スポーツ参画人口の拡大に取り組んでいる次第でございます。特にスポーツをする学生を増やす、スポーツを観戦、応援する人々を増やす、学生と運動部の支援を強くするといった活動を推進しております。
現在会員は、全国42都道府県にまたがります220大学、競技団体は35団体、競技団体の登録学生数はおおよそ17万人クラスの規模といった体制でございます。執行体制としては五つの委員会で事業を推進しつつ、民間企業4社とパートナーシップを組み、事業推進費用の8割以上を民間資本に支えられている現状でございます。
次いで、51ページでございます。設立から2年たちまして、推進してきた事業の概要がこちらでございます。
まず、人材育成に向けましては、運動部学生にスポーツのみならず、学習、そしてキャリア形成に取り組んでいただくことを支援するプログラムを開発し提供していく、そして、安心してスポーツに取り組めるような環境整備を、安全安心ガイドラインの制定といったことを通じて推進してまいりました。
大学ブランドの確立といったことに向けましては、まずは大学スポーツの見える化を目指しまして、加盟団体のインカレを総合化してUNIVAS CUPとして開催をし、試合の映像化を進めることによって、インターネットによる無料配信を実現してきております。昨年度は動画視聴数が延べ100万回を超える規模というところまで成長を果たしてきているところでございます。また、地域貢献に向けては、各大学における推進体制の整備から着手をしているということでございます。
さらに、マネジメントの強化といった目的におきましては、大学及び競技団体の運営体制をどうデジタルトランスフォーメーション化していくかというテーマで、運動部学生情報管理のプラットフォームを開発いたしました。大学・競技団体の会員団体に無償提供を行い、運動部学生情報のデジタル化を今進めているところでございます。
次いで、52ページでございます。3年目の本年でございますけれども、今御報告申し上げた事業をさらに発展をさせていこうということで取り組んでおります。
人材育成の観点におきましては、運動部学生のキャリア形成を支援するオンラインプログラムの体系を完成させることで、大学の4年間しっかりとしたキャリア形成をできるような形で支援をしていくということであります。
それから、安全安心面の環境整備というところでございますけれども、既に適用しております安全安心ガイドラインを基に、SSC認証評価制度といったものをスタートさせ、各会員団体における安全対策の実行・着手度を高めるということと、併せて、補償の充実を行うといったことから、安全安心面の環境整備をさらに進めていこうということで進んでおります。
地域振興というテーマでございますが、ノウハウが暗黙知として各大学に存在をしているというケースが多いわけでございますので、UNIVASがハブとなってノウハウや情報の共有化、そういったものを進めてまいるということでございます。
みるスポーツの推進というところでありますけれども、大学スポーツのファンマーケットの開拓が最も必要であろうと思われております。ファンが増えてきています試合動画の配信をさらに拡大し、さらに視聴するアプリを提供することによって、大学スポーツのファンデータのデジタル化を進めていこうということでございます。
昨年度開始しました運動部学生情報管理プラットフォーム提供と、運動部学生のデータ化も着々と進んできております。さらにサービスの増強といった観点におきましては、運動部学生に日々の体調管理を行えるシステムを無償提供させていただいています。
次いで53ページでございます。現状の課題ですが、以下4点を挙げさせていただきました。
1点目は、会員数のさらなる拡大というところでございます。3年目に入りましたわけですが、現在4年制大学のほぼ4分の1レベルの加盟ということにとどまっております。設立時の中期目標がございますので、UNIVAS活動をさらに認知していただくことと、会員への提供価値のさらなる充実化といったことによって、加盟会員を増やしていく必要性を感じております。
そして2点目は、大学スポーツ参画人口のさらなる拡大というところでございます。大学スポーツを取り巻くステークホルダー及び潜在顧客というのは非常に多いものであると認識しております。障壁が低く関与しやすい「みるスポーツ」、「みる大学スポーツ」をテーマに、ファンデータのデジタル化ということに取り組んでいこうという点であります。
そして3点目でございます。大学スポーツに対するマネジメント体制の改善であります。大学の部活動自体、課外活動であるがゆえ、各大学における大学スポーツへの関与度に、いまだに跛行性が大きいのが現実であります。大学の自主性優先ということになっている現実もございます。大学スポーツの価値創造に向けては、大学における関与体制の標準化を図っていく必要性を感じております。
4点目、これはUNIVASの組織そのものの問題でございますが、安定した収入基盤を確保していくということでございます。現状、冒頭申し上げたとおり、パートナーでございます民間企業からの協賛金が協会事業収入の8割を超えているというところでございます。組織運営の安定化と事業の今後の発展というところに向けましては、自主財源の確保であったり、協賛企業・団体のさらなる拡大といったことを図っていく必要性を感じている次第でございます。
最後に、第3期スポーツ基本計画に期待すること3点を挙げさせていただきました。
1点目は、テーマとメッセージの問題でございます。掲げていらっしゃいますSports in Lifeは大変すばらしいテーマであると思います。しかしながら、生涯スポーツを実現していくということにおきましては、大学世代においてどうスポーツと関わっていくのかというスポーツの関わり方が非常に今重要であると感じております。一方では大学生のスポーツ離れといった現象もあるわけでございますので、そういったことの歯止めにつながるような指針と政策というものを期待させていただいております。
そして2点目でございますけれども、競技横断型、そして世代連結型、そういったスポーツ推進体制を改めて確立していく必要があるのではないかという点でございます。スポーツの持つ価値は非常に大きく、多様で多大だと思っています。特に学生世代においては、スポーツで培った経験が、取り組んだ御本人のキャリア形成に大きく役立つものであると認識しております。したがいまして、大学世代のみならず、若年代からの一貫した人材教育に向けた取組といったものの必要性も感じております。それから人材育成という観点に立った場合、大学スポーツ学生のプロ化の問題の是非ということに関しても検討していく必要性を感じさせていただいております。
そして、最後の3点目でございますけれども、大学スポーツのさらなる振興に向けてということでございます。第2期計画から「する」「みる」「ささえる」スポーツになっておりますけれども、見るスポーツということに関して、この第3期の計画にて明確な政策指針の御提示を期待しております。また、全世代のスポーツ振興にも大学スポーツは寄与する可能性を大きく秘めていると思っておりますので、御支援よろしくお願いしたいというところでございます。
54ページ目は、参考資料ということでございます。特に、組織基盤の確立、業務改善も含め、DX化を精力的に推進しております。そちらのDX化推進の構図を整理させていただいたのが54ページ目でございます。
それから、55ページ目でございます。先ほど取組で御紹介しましたSSC安全安心認証制度は、今月の前半にスタートしたところ、非常にマスコミからも大きな反響をいただいておりますので、御参考までにお目通しをいただければと思い、資料としてつけさせていただきました。
以上で報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【大日方部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました三つの団体につきまして、御質問、御意見ありましたら、委員の皆様方、挙手ボタンを押してください。
菊委員と森岡委員から今手が挙がっておりますので、まずでは菊委員からお願いいたします。
【菊委員】 ありがとうございました。私は筑波大学に勤めております菊と申しますけれども、それぞれにお聞きします。
高体連の方には、私も学習指導要領の作成協力者で、高校の座長もやっていた関係で、その観点からお聞きしたいんですけれども、高体連さんはインターハイを開催するということで大変大きな力を発揮されていると思うのですが、基本的に高校生の運動生活というものをどう考えるかということが非常に重要だと思うので、その場合に、恐らく部活動に高校生がどれくらい参加しているのかとか、その基盤となる自発的に高校生が体育の授業を通じてクラブや部活に参加していくということについて、高体連の側から、働き方改革でいろいろ部活の改革というのは言われているんですけど、生徒の側に立ったときにどういうふうな施策なり考え方が必要なのかということを、これまでの反省も含めてお伺いできればと思っています。
それからもう一つは、私学と公立の学校の関係ですね。これもインターハイを開催されていて、いろんなひずみだとかいろんな課題を考えておられると思うんですけど、その辺のところももし何かありましたら教えていただきたい。
それから、大学体育連合さんについては、一般学生の生涯スポーツに向けた施策というのは大変重要だとお聞きしましたけれども、逆に、最後に御発表になった大学スポーツ協会に対して、そういうことについて期待することであるとか、あるいはその立場から基本計画についてこういうような考えを示してほしいとか、何かそういうのがあればぜひお伺いしたいと思います。
三つ目は大学スポーツ協会さんですけども、先ほど、それぞれの大会の注目度を上げるとのことでしたが、これは高度競技者の育成ということをターゲットにされていると思うんですけど、逆に一般学生についてどう考えているのか。NCAAなんかではかなりディビジョンを細かくして、それぞれの大会というものを主催していると思うんですけども、その辺の方策なりシナリオというのがあるんだったら教えていただきたい。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では森岡委員、その次に境田委員と池田委員という順番で、ここまでにさせていただきたいと思います。
森岡委員、お願いします。
【森岡委員】
まず、奈良先生に2点お伺いします。我々も今、地域のスポーツクラブ、あるいは子供達の視点に立った運動部活動の改革への一助を担いたいと考えております。先ほどの御発言では、全国大会である、インターハイへの参加資格・条件の整理を現在行っているとのことでした。参加資格・条件については、根幹に関わることのため時間をかけて検討していくとのことでした。学校対抗を原則とするとことを前提とするという、古くからの課題であることは我々も理解しておえりますし、今後解決していくべきものだとに考えております。今後、高体連としては、そのゴール設定は大体どのように考えているのでしょうか。
我々日本スポーツ協会は約3,600の総合型地域スポーツクラブ、直接的には高校の部活動は関係しませんが、約31,000団のスポーツ少年団の単位団を抱えております。これらと部活を融合して「大きなスポーツクラブ」を形成するためのプラットフォームをつくりたいとに考えております。高体連とも様々なディスカッションしていきたいと考えております。
2点目は、分離・切離し型から融合型という記述があります。これも今後の全国大会への参加資格、在り方が大きく関わってくると考えておりますが、この融合型の具体的なイメージを教えていただきたいです。
次に、葛西先生に質問です。大学の一般体育ということが1995年に大学設置基準の大綱化により必修ではなくなりましたが、スポーツ実施率を上げる、あるいは大学生のスポーツ離れをなくしていく意味からも、一般体育授業の必修化は一つの有効な方策だろうというふうに考えています。そのあたりについての議論は現在どのように行われているのかを教えていただければと思います。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、境田先生、お願いいたします。
【境田委員】 UNIVASの池田さんにお伺いしたいのですが、54ページですね。スポーツの見える化、DXの推進というところですが、今まで大学の競技団体、学連というのは、ほとんど財力、財務・資金力が弱いし人材もいないということで、なかなかこういったインカレとかの無料配信ができなかった、ここに切り込んで無料化をというサービスを提供しますのは画期的なことだと思います。加えて、ここに視聴アプリを提供するということも、これ、ほとんどの競技団体やったことないことですね。
この視聴アプリが普及すると、ここに対して恐らく様々なスポンサーもつくと思います。これは、今後の競技団体とかとUNIVASとかの間で資金循環が起きる可能性があると思います。これから様々こういったアプリなどから得られたそういった資金を、またいろんなところに循環させていくということも考えていただければと思います。
また、例えばその県の、例えば東北大学なら東北大学、北海道大学は北海道大学で、自治体とUNIVASで、このアプリをうまく利用することによって、そこにも資金循環を起こす、地域振興に結びつける、こういった可能性も十分あると思いますので、UNIVASというのがこれからの日本スポーツ界全体の資金循環をつくる一つの役割も担っていただければと思いますが、そういったことについての見解をいただければと思います。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
池田委員、お願いします。
【池田委員】 発表ありがとうございました。山形県スポーツ協会の池田です。
森岡さんの根幹に関わる学校対抗と融合型ということに関して、質問は全く私も一緒で同じ質問なのですが、プラスして、この発表資料の最後の外部人材の育成と確保について、私から質問させてもらいたいのですけれども、もう少し具体的に詳細がおありでしたらお聞かせいただければと思います。現状、部活動は教員の方々が担っている部分が多いと思うのですが、高体連としてこの部分をどのように考えているかお聞かせいただければと思います。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、高体連の奈良さんから回答お願いいたします。
【奈良(全国高体連)】 いろいろと御質問等いただきましてありがとうございます。全てに対応できるか不安ですが、お答えさせていただきます。
まず、筑波大学の菊先生から、部活動またはインターハイの在り方というか、価値というか、または生徒側に立ったこれからの部活動に対する高体連としての取組、施策等についてということだったと思いますが、現状、330万人ほどの高校生がおり、その中で、活動に所属している生徒は大体115万から120万で、全高校生の約4割近くが部活動に所属していることになります。
そして、その部活動やインターハイに、彼らがそもそも何を求めているのかということなんですが、主催者である高体連といたしましては当然ながら教育活動の一環として実施しているということ。そして、教育活動の一環として実施するということの最大の目的は、インターハイもその基盤となる部活動も子供たちを健全に育成するということだと思っています。しかし、御承知のとおり、部活動そのものは教育課程外の活動になりますから、教員の働き方改革との関係もありますけども、この問題の難しさの一つにその点があると考えています。
インターハイそのものは、その年度のその競技のナンバーワンを競う競技大会ですが、それは競技としての一つの側面であって、そのこと以上に子供たちをどうやって健全に育成していくかという視点に立って、今までも、またこれからもやっていくべきだと考えています。
それから、私学と公立学校の問題ですけども、これもいろいろな意味で当然ながら違いがあります。例えば、体罰根絶全国共通ルールへの対応においいても若干の違いがあります。具体的には、ルールに基づき必要に応じて報告等の提出を求めても、公立学校の場合と私立学校では対応に、違いがあります。公立学校の設置者である各県の教育委員会の責任において管理されているのに対し、私立学校の場合は各学校の設置者の責任、その理念に基づいて管理されており、さらに経営という立場もありますので、そういった点からも公私の対応の違いという問題は常に抱えています。
それから、森岡先生からいただいた参加資格に関わるご質問で、そのゴールはどのくらいなんだということですけれども、例えばインターハイだけに限って言うと、学校対抗というのは一番の前提なんです。したがって、学校に所属していても学校外で活動している子たちがそのチームとして大会出場するというのは大きな問題でありまして、そこを変えていくには、正直申しまして5年は最低でもかかると思っています。じゃあそこのゴールは5年でいいのかとなると、これを浸透させて理解を求めて、きちっと参加資格を変えて前提を変えてやっていくというのは、かなりハードな目標で、時間的にももう少しかかるのかなとも考えています。
ただ、全国高体連といたしましても、部活動やインターハイの在り方が現状のままで良いと、考えている訳ではありません。要するに、様々な改善・改革を進める中で、このことも当然に検討を進めていかなければいけないと思っています。
先ほど、インターハイはそもそもというお話をしましたけれども、偏った勝利至上主義によって、様々な問題が生じてきていることも事実だと思っています。つまり、学校の中で行われる部活動と、学校以外で教員ではない人が指導するチームというのは、少なからず違いが出てくるだろうなと思っています。そこら辺の違いも整理しながらやっていく必要があると考えています。
それから、分離型と融合型のイメージが具体的にあるかということなんですが、私が申し上げたかったのは、教員の働き方改革、負担軽減のために、負担とされている部活動を、負担だろうから学校から切り離していくというのではなくて、そのほかにもやり方はあるのだろうと思っております。
その一つとして、過去において学校は閉ざされた空間と言われていましたけども、開かれた学校づくりということもありますし、もっともっと外の力、外の人材を学校に取り込んでやっていくべきだと思っています。そのときに並行して、例えば学校を地域のスポーツ拠点にすることによって、学校の中に複数の学校の子供たちを取り込んでいくなどの工夫も考えられます。
まだ漠然としたところですけども、そういった中で、地域部活動とか、または総合型地域スポーツクラブとか、そういった学校外で活動する子供たちの活躍の場も提供できるような形が考えられるんじゃないかなと思っているところです。
それから、最後のご質問は外部人材の育成と確保という問題でしたでしょうか。例えば顧問として担当する競技を御自身が経験したことのない教員がおよそ40%程度いるとされています。技術指導ができるかどうかということについては、当然ながら技術指導ができる人が指導に当たることの方が子供たちにとってもよいことと言えます。ただし、技術指導ができるからといって、部活動が目指す子供たちを健全に教育していくということがきちんと進められるかというと、そうはいかない場合もあると思います。つまり、技術指導ができる人だったら誰でも来てくださいではなくて、学校教育における部活動の意義を理解した上でお力添えいただきたいと思っています。
それからもう一つは、これは都市部とそれ以外のところでは状況が随分違っていて、私もいろいろと聞き取りをしますけども、外に人材を求めてもそもそもいませんとか、そういうようなことが実際にあります。だから、東京など大都市圏で、施設もあったり人材もあったりということであれば対応も可能ですけども、そうではない地域もあります。つまり、そこに人材を確保していく、育成していくという仕組みをつくらないと、幾ら学校の中に人材を入れようとしても、入れるべきというか来てくれる人がいないという状況が実はありますよということでます。
すみません、長くなりましたけど以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
それでは、全国大学体育連合の葛西さんから回答お願いいたします。
【葛西(大体連)】 質問ありがとうございました。
まず、筑波大学の菊幸一先生からは、大学の体育から、全国大学スポーツ協会へのサポート的な、あるいはお願いできる内容ということでお話がございました。
ということであれば、各大学のトップレベルの選手を応援する方は、学生のみならず、OB、OG会が非常に応援されていらっしゃるわけですよね。私は、一般学生が興味を持つ関心というのは、基本的には各大学に在学するトップアスリートの学生だと思います。ただ、それだけではどうしても升が少なくなるかと思います。私が、全国大学スポーツ協会にお願いしたいことは、各大学を横断してスポーツ選手を応援するような試みです。
現在UNIVASさんのほうは、自らの大学を応援する風土づくり、父兄、OB、OGをまとめるというようなお話がございましたけれども、今お話ししましたように、各大学だけをターゲットにするとどうしてもそれほど応援する層は多くはならないと思います。
全国のUNIVASに加盟している大学の全てのトップレベルの学生の、例えばプロモーションビデオの作成ですね。つまり、どんなスポーツでも一流のパフォーマンスというのは人を感動させるわけです。そういうものを作成して、これは著作権問題もあるかもしれませんが、プロモーションビデオを作って、特集を組んで、年間幾つか絞っても構わないわけですが、ぜひともそういったプロモーションビデオを作って、何てスポーツってすばらしいんだろうと、一般の方々もスポーツの魅力に取りつかれるような。だから、場合によってはNHKが作っているようなそういったものも、お国のためだと活用させていただいて、スポーツのファンをつくるんだと、どんどんどんどんスポーツファンを増大するんだと、そういうような観点から、著作権を外していただいてプロモーションビデオを作っていただくということをお考えいただければと思います。
だから、各大学のOB、OGだけではなくて、全国の、スポーツに参加することができない、やることができない、だから、見るだけで感動させるようなものを僕は作るべきではないのかというふうに思います。それが菊先生の御質問に対する一つの考え方ということになります。
それから、森岡裕策先生からの御質問でございまして、若者のスポーツ離れがあると。大学でも、大綱化によって選択科目になっているところが非常に多い。また、必修科目でやっているところもまだございます。私どもの会長の安西先生は、やはり必修にすべきではないかという御意見を、様々な観点からいろんな場所で発信しております。私もやはり、何とかそんな形で大学の必修化ということに対して、アクセラレートできないかなというふうに思っております。
今回たまたまコロナ禍において、体育、スポーツにおいても、オンライン、オンデマンドで非常に高く評価してくださる方々が多数ございます。学生の皆さんもあらためて、体を動かすことのみならず、そういうふうに視覚によって、あるいはそういった先駆的なトップレベルのパフォーマンスを見ることによって、かなりモチベーションが上がってくる。そういったことを踏まえた上で実技が行われることで効果が倍増する。つまり、スポーツに対する理解、それからモチベーションが上がることによって、実際に体を動かすことの楽しさがまた倍増してくるといった部分もございますので、体育、スポーツの関係者が今回コロナ禍によって、オンライン、オンデマンドの授業の重要性、価値観、そういったものが非常に高くなったと思います。
ですから、ここで、体育はやらなければ意味がないという考え方に立つのではなくて、見ることによって学ぶ、それからトップレベルのパフォーマンスを見ることの重要性、それによって体育の価値に気づくということも考えると、実際に体を動かすことだけが全てではないというように思います。
例えば、ストレッチングですとかヨガだとか、そういったものは非常に人気があるわけです。ところが、それに対応した人材がなかなか出せないということもございますので、そういった意味では、今後、大学の体育を推進する関係者の意識改革というのでしょうか、そういったものができて、多くの方がこの必修化を実施するに当たって、体を動かすことだけではない、見ることも非常に大きな価値があってとなれば、場合によっては、体をあまり動かさなくても大学の体育の単位が取れる、そういった意味では非常に重要な提案が出せるのではないだろうかと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、UNIVAS池田さん、お願いいたします。
【池田(UNIVAS)】 御質問ありがとうございました。
菊先生、それから森岡先生からも、大学のスポーツ離れのテーマでお話をいただいていたかと思います。
実際のところ、この一般学生、それからスポーツ離れをどうしていくのかということを考えたときに、当座のゴールはみるスポーツの拡大だろうと考えております。しかしながら、みるスポーツに至る前、まだ知るスポーツというレベルが必要と感じておりまして、なかなか昔ほど一般学生が自分の大学のスポーツに関心を持たない、そのような環境になってきているかとも思います。
入試の仕方からも変わってきて、推薦入試が増えてきているということもあったり、それから、大学自体がキャンパスの多拠点化しているというようなことや、一般学生の身近にスポーツがなくなってきているというような物理的な側面もあるかと思います。
今回、32競技映像化をして、正直なところ私も見たこともない競技があったぐらいでございます。まずは競技を知っていただくということ、同級生がこんな活躍をしているんだということを、見て、知っていただくことがまず第一弾であるということで映像化を進めてきております。
それから、境田先生からいただきましたことでございます。
みるスポーツを極めていくということにおいてでございますけれども、既に何十年の歴史のある競技団体、それから既にずっと取り組まれている大学に、後発のUNIVASとしてどのように大学スポーツの新しい価値をつくっていくのかというテーマにおいては、デジタルコンテンツをしっかりと持つことが重要、よって映像化を図っているというところもあります。
あわせて、アプリを提供することによって、今度はスポーツを取り巻く、するアスリート、みるファン、そして支える企業、団体、そういったものが見える化できることになりますので、デジタルコンテンツをプロパティ化し、それをマネタイズすることによって循環させていくモデルということはつくっていけるだろうと思っていますし、将来的にはそういうことを目指して進めていこうというふうには考えております。
それから、大体連様からすごく良い御提案もいただいております。確かに今現在、映像の中で、とある競技のとある人気選手のスーパープレー集みたいなものを、実はユーチューブのオフィシャルチャンネルで展開しておりまして、非常に当たりが良いです。
そういったこともございますので、自分の大学のプレーしか見られないというわけでは決してなく、映像化するというのは広く見られるということですので、大きく大学スポーツのブランド化を図っていければと思って取り組んでおります。ぜひまた御協力もよろしくお願いしたいと存じております。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、このグループのヒアリングを終了させていただきます。3団体の皆様、お忙しい中ありがとうございました。
では、御退出をお願いいたします。
では、最後のグループの入室を、事務局の皆さんよろしくお願いいたします。
(グループG、H入替え)
【大日方部会長】 では準備が整ったようです。それでは、Hグループのヒアリングを始めます。
時間が押してしまって申し訳ありません。Hグループは、笹川スポーツ財団、日本スポーツ施設協会、日本スポーツクラブ協会でございます。各団体の御説明8分以内で、できるだけ短めにお願いいたします。また、委員の皆様も御質問はできるだけ簡潔にお願いできればと思います。
それではまず、笹川スポーツ財団様、よろしくお願いいたします。
【澁谷(SSF)】 笹川スポーツ財団の澁谷と申します。
このたびは、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。それでは早速、お手元の資料56ページから御説明に入りたいと思います。
私たち笹川スポーツ財団は、国民一人一人が生涯にわたり各自のライフスタイルに合ったスポーツの楽しみ方を享受する社会、これを私たちは「Sport for Everyone」と呼びますが、この実現のために活動している公益財団法人でございます。
スライド左側に示すとおり、スポーツ分野のシンクタンクとして、国や地方自治体のスポーツ政策形成のエビデンスとなる調査・研究を行っております。研究テーマは、スポーツとまちづくり、子供のスポーツ、障害者のスポーツなど多岐にわたります。また、スライド右側に示しておりますが、地方自治体やスポーツ団体などと連携して調査研究の成果を現場で実践する、ドゥータンクの機能も併せて持っております。スライド中央にありますクロスした赤と青の円は、シンクタンクとドゥータンクを両輪とした私たちの事業のイメージ図であります。
ここからは、第3期計画に記載することについて、私たちの事業成果を踏まえて、計画に盛り込むべき具体的な論点をお示ししたいと思います。次の57ページを御覧ください。
主な論点は、ページの一番上に示しました、スポーツボランティア、地域スポーツ、子供のスポーツ、そして、障害者スポーツの四つになります。
まず一つ目の、スポーツボランティアです。競技団体や地域のスポーツ現場における人材の高齢化と後継者不足を課題として書きました。これはスポーツに限らず、近年の我が国の社会活動に共通する深刻な課題であります。
私たちは、2019年のラグビーワールドカップで、その活躍が高く評価されたボランティアの養成に参画いたしました。また、2019年12月に日本スポーツ協会と連携協定を結び、国民体育大会・全国障害者スポーツ大会を含む大規模イベントのボランティアを、大会のレガシーとして継続的に生かす取組に着手いたしました。
これらを踏まえて、第3期計画では、次の二つを盛り込むことを要望いたします。一つ目、大規模国際イベントで活躍したボランティアを大会レガシーとするための受皿として、競技大会、特に単一競技の大会において、一般公募ボランティアの活用を促進すること。二つ目として、気軽にスポーツを支える活動に関われる環境と、一部の人に負担が集中しない体制づくりのために、地域でスポーツを支える新たな担い手を育成することであります。
次に、ページ右側の地域スポーツに進みます。地域スポーツの課題としては、地域で活動する多様なスポーツ団体の連携が希薄な上に、地域スポーツの担い手が不足している。この一方で、部活動改革の加速を受けて、現在地域スポーツ現場も改革が求められながら、多くの地域で期待どおりに進んでいないという状況がございます。
私たちは2017年に行いました政策提言で、地域のスポーツ運営を担う新たな組織のモデルを提案いたしました。2019年度から宮城県角田市をフィールドに、このモデルの実証実験を行っています。
第3期計画では、この事例を参考に、スポーツによるまちづくりやスポーツを生かした社会課題の解決を一元的に担う地域スポーツ推進のためのプラットフォームを、基礎自治体ごとに設置、構築する取組を採用することを要望いたします。
続いて、58ページを御覧ください。ページ左側、子供のスポーツです。
子供の体力・運動能力の低下や、運動する子としない子の二極化、そして子供のスポーツ離れといった問題は、およそ20年以上前から指摘されながら、なかなか改善されていません。私たちの調査では、未就学児から小学校低学年の19.5%、つまり約2割が、運動、スポーツを全く実施していないか、低い実施頻度にとどまっています。さらに高校期では、全く運動、スポーツを実施していない者だけで2割を占めます。
私たちは、宮城県角田市や東京都足立区と連携して、未就学児に日本スポーツ協会開発のアクティブ・チャイルド・プログラムを提供する取組や、小学校の体力向上の取組などを実践してきました。
これらを踏まえて、第3期計画では次の二つを盛り込むことを要望いたします。一つ目、体力テストの平均値の高低だけにとらわれない、新たな観点や指標に基づく施策を実施すること。具体的には、日常生活の潜在活動量や習い事の実施状況などを含めた、子供に関する多様なデータの収集とその利活用であります。二つ目としまして、第2期計画と同様に、幼児・小学生の取組を充実させ、さらに継続すること。具体的な事業としては、アクティブ・チャイルド・プログラムのような、運動が苦手な子供でも楽しめるプログラムを全国的に広く展開し、幼少期からの運動習慣づくりを促進することなどが挙げられます。
次に、ページ右側の障害者スポーツです。障害者のスポーツ実施率は、国が調査を開始した2013年からほぼ横ばいです。成人の実施率は、2019年の調査からリハビリテーション、階段昇降などを種目に追加したために増加したようには見えますが、実質的には微増にとどまると考えられます。
私たちは、障害者スポーツの環境の発展には、障害者の運動、スポーツや障害者の日常生活に関わる全ての団体が継続的に連携、協力する体制が必要であると提言しました。2018年から、こうした体制整備の実証研究として、大分県に地域スポーツイノベーターを配置してきました。
第3期計画では、これらの事例を参考に、障害者のスポーツの場を創出するためのコーディネーターを都道府県や政令指定都市の障害者スポーツ協会に配置し、スポーツ関係者、障害福祉関係者との連携、さらに特別支援学校を拠点化するなど、こういったことを推進していくことを要望いたします。加えて、2014年に国が批准しました障害者権利条約第30条第5項の条文、「障害者が障害に応じたスポーツ及びレクリエーションの活動を組織し、及び発展させ、並びにこれらに参加する機会を有することを確保する」、この条文の実現のため、障害当事者による活動の組織化を支援することを盛り込むよう要望いたします。
次に、59ページを御覧ください。こちらは、これまでに説明してきました四つの論点を整理しまとめたものであります。
続いて、60ページを御覧ください。こちらは、四つの論点以外に計画に盛り込むべき論点を整理してまとめております。また、課題として頂戴しておりました、私ども団体が現在抱える課題についてもこちらに記載しておりますので、後ほど御確認いただければ幸いです。
以上で笹川スポーツ財団の発表を終わります。ありがとうございました。
【大日方部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、日本スポーツ施設協会様、お願いいたします。
【水原(JSFA)】 それでは、資料集の61ページをお開きください。
本日の説明をさせていただきます、公益財団法人日本スポーツ施設協会常務理事兼事務局長の水原と申します。よろしくお願いいたします。
1966年、昭和41年以来、55年間の歴史のある名称である日本体育施設協会から、日本スポーツ施設協会に変更し、今年度から新たなスタートを切ることになりました。当協会は、設立当初より、組織名称が示すとおり、スポーツの振興推進を体育・スポーツ施設に特化した切り口で、誰もが楽しく安全にスポーツを楽しめる環境づくりに取り組んでまいりました。
第2期スポーツ基本計画においては、「国は、日本体育施設協会と連携し、スポーツ施設の事故や老朽化に関する情報提供や、施設の維持管理に関する人材の育成により、スポーツ施設の安全の確保を推進する」と記載され、それらに基づく各種事業を展開してまいりました。このたびの第3期スポーツ基本計画の策定に当たりまして、資料に基づき、安心・安全で持続可能なスポーツ施設づくりを目指すため、幾つかの課題に分けてお話しさせていただきたいと思います。
それでは、61ページの大項目1、スポーツ施設のストックマネジメントに関して。特に、地域にある学校、公園、河川敷等のスポーツの場を一体的に活用できるよう、各省庁間の総合的な連絡調整を行い、自治体がストックマネジメントを実現できるように支援することの必要性を感じております。公共資産であるスポーツの場の所管の横断的管理ができる、体制づくりを推進していただきたいと考えております。
次のページ、62ページへお移りください。2項目め、スポーツ施設の管理運営に携わる人材の養成と適正配置。安心・安全で持続可能なスポーツ施設を目指すためには、施設というハード面ではなく、各種スポーツ指導者と同様に、施設の維持、管理、運営に携わる人材というソフト面の充実が必要不可欠である。利用者の需要に応じた運用の改善とともに、スポーツ施設に求められる利用者の多様性、利用の多様化の課題等に迅速に対応するために、専門的知識を有する者――公認スポーツ施設管理士、公認スポーツ施設運営士、公認水泳指導管理士等の養成や資質向上に今後とも努めてまいりますので、第2期スポーツ基本計画に引き続き、継続してスポーツ施設に適正に配置するよう働きかけをお願いしたいと考えております。
次に、第3項目め、学校体育施設の有効活用と安全管理。近年、学校体育施設の共同利用や利用拡大等が一層求められております。その中で安全・安心なスポーツ施設として利活用するためには、改めて安全性を確保する仕組みや効果的な活用策を企画する管理体制の構築が必要であると感じております。この点につきましては、ぜひ皆様方で御検討いただきますようお願い申し上げます。
続きまして、63ページ、第4項目め、スポーツ施設のユニバーサルデザインの推進。スポーツ施設にとって、年齢、性別、障害のあるなしにかかわらず、日常的に全ての利用者にとって安全で快適な使いやすい施設を目指すためにも、ハード面とソフト面の双方の取組が必要であると思います。施設を運営する、または管理する者が様々な利用者の障壁を理解し、その人を尊重し受け入れることのできるスポーツ施設づくりを進めるために、スポーツ施設の管理者、運営者に対する多様性等の理解を深めるためのガイドラインの作成が必要であると考えております。
次に、第5項目め、安心・安全を担保する補償制度の普及と充実。スポーツ施設の管理不足による施設に起因する事故を防ぐための方策を講ずるためにも、施設の安全管理ができる有資格者の配置だけでなく、施設のリスクマネジメントの一環として、安全に対する意識を高める啓発活動が必要であります。その一方で、不測の事態が発生した場合の対応策として、補償制度の普及、充実を図ることが必要であると考えております。
次に、第6項目め、地球環境に配慮した持続可能な施設づくり。持続可能なスポーツ施設づくりとして、地球環境の視点に立った施設づくりが求められております。例えば、ピッチからちぎれた人工芝が排水溝から河川へ、河川から最終的には海洋汚染につながるというようなことのないような施設管理方法や製品の開発、スポーツに関わる分野での持続可能な物作りと施設基準の策定を、官民挙げて取り組まねばならないと考えております。
次に、7項目め、スポーツ施設の防災拠点としての活用の項目になります。ページをめくっていただきます。災害発生時には、多くの公共スポーツ施設、学校施設が避難所等の防災対応として使用されることがあり、防災対応施設としての構造体や非構造部材の耐震化等のハード面の整備を着実に進めるとともに、ソフト面での体制整備を行うことも必要であると考えております。特に、安全な場所の確保や環境に配慮しなければならない高齢者、疾病により注意が必要な方、障害に関する理解など、災害時の対応は施設管理者だけでは限界があり、地域住民との協力が不可欠であると考えております。その観点からも、学校施設を含む公共スポーツ施設は日頃から地域に開かれたコミュニティーの拠点として機能していくこと、関係者間の情報交換や準備が必要であると考えております。
最後になりますが、第8項目め、スポーツ施設に関する施策の実現に向けた全国組織体制の整備。特に、スポーツ施設における様々な課題解決や安心・安全で持続可能な施設づくりを全国的に展開し、その施策を具現化するには、都道府県体育・スポーツ施設協会の組織基盤の整備と組織力の強化が不可欠であると考えております。各都道府県のスポーツ施設に関する所管との連携や一元化を進めていくことが、全国的なスポーツ環境の整備を推進する体制づくりの基盤となること、今後関係団体との連携、協働や一元的な体制づくりの検討も必要であると考えておりますので、その体制づくりも含め御検討いただきたいと思っております。
以上、8項目に関して御検討いただきますようお願い申し上げ、私からの説明を終了させていただきます。
なお、資料集の65ページに参考資料1としまして、当協会の公認資格別登録者数及び資格の概要、66ページには参考資料2として、都道府県体育・スポーツ施設協会の事務局設置別一覧を用意させていただきましたので、御参考にしていただければと思います。
以上で終了させていただきます。ありがとうございました。
【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、日本スポーツクラブ協会様、よろしくお願いいたします。
【野川(JSCA)】 こんにちは。日本スポーツクラブ協会の理事長の野川でございます。本日はこのような機会をつくっていただきまして誠にありがとうございます。本日最後の発表となりましたけども、よろしくお願いしたいと思います。
資料12の68ページを御覧ください。
本協会は、小野喬・清子夫妻が設立いたしましたスポーツクラブに特化した協会でございます。総合型地域スポーツクラブマネジャー養成講習会を、2000年より文部科学省等と共催しております。総合型地域スポーツクラブに加えまして、各種の地域スポーツクラブの普及、育成及び健康・体力づくり指導を行うとともに、スポーツクラブ運営と健康・体力づくりのための調査研究並びに指導人材育成を行っております。現在の登録指導者数は6,242名でございます。
本団体が取り組んでいるスポーツ振興に向けました主な取組状況、成果は68ページから69ページ、それから今後の取組につきましては75ページから76ページに記載しておりますので、お時間のあるときに御覧になっていただきたいと思います。
さて、本日は限られた時間でございますので、昨年4月から今月10日までに実施いたしました4回の調査結果を基に、我が国の地域スポーツクラブの置かれた現状を踏まえ、第3期スポーツ基本計画策定において御検討、御協議いただきたい事項を述べさせていただきます。
76ページと77ページを御覧ください。第3期スポーツ基本計画策定において検討、協議していただきたい事項はこの3点でございます。
1点目は、総合型地域スポーツクラブの量的充足度についての再吟味をしていただきたい。スポーツ振興基本計画は、全国の中学校区1万か所に1クラブ設立が目的でございました。これ、20年前でございます。それが現在は3分の1の3,600クラブ設立にとどまっております。最も充足すべき町村地域でのクラブ育成率が70%未満であること、それから、スポーツ実施率の目標65%に到達、突破するためには、誰もが安価にスポーツできる物理的な環境のさらなる創出が必要であることを鑑み、質的な充実と同様に量的拡大についての計画策定の是非をぜひとも再吟味していただきたい。
第2点目は、中間支援組織についての論点整理でございます。スポーツ振興基本計画の制定時から、広域スポーツセンター構想、拠点クラブ構想、中間支援組織構想などの施策が提案、試行されてきましたが、必ずしも成功しているとは言い難い。よって、人的、財政的な支援が十分でない都道府県のスポーツ協会や、あるいは任意の協議会等に任せるべきではないと思います。特に生涯スポーツ振興の本来の原資であるtotoの助成金等を財源として、国主導の対応を進めるべきではないかと考えております。
第3点目は、学校運動部活動の新たなる制度設計と有資格指導者の配置でございます。笹川の澁谷さんの御発表もありましたけども、日本のスポーツ振興の将来を左右する少年期のスポーツ施策は大変重要でございます。2030年の年少人口は2020年よりも約250万人減少し、一部の地域以外は軒並み少子化が加速することは容易に予測されております。学校の統廃合を含め、運動部活動にも大きな変容をもたらすと思います。したがって、多種多様なスポーツ種目振興のためには、従来どおりの通年型、単一種目型では限界があるので、部活動の新しい制度設計が必要であり、もう待ったなしの状況と思います。
児童生徒の減少が続く中、学校運動部活動は運動能力、技術の優れた児童生徒ばかりが活躍する場ではなくなっております。運動能力やモチベーションが高いとは言えない児童生徒もスポーツを楽しめる環境の整備と、初心者・初級者指導にも精通した有資格指導者の配置がぜひとも必要です。スポーツSDGsの標語「No one will be left behind」が運動部活動にも求められる時代でございます。種目別の公認スポーツ指導資格だけではなく、スポーツを含め幅広い知識と社会的規範等について幅広い教養を身につけた指導者がぜひとも必要であり、速やかに育成を進めるべきだと思っております。
学校運動部活動の地域クラブへの移行については、地域スポーツクラブの関心は非常に高いことが分かっております。調査中にこのような質問を、クラブマネジャーからいただきました。
「運動部活動指導は生徒のためですか。あるいは先生の働き方改革のためでしょうか。行政はどちらを優先して考えているのでしょうか。きっかけが働き方改革で実行するのであれば、生徒のために運動部活動指導の充実ということになるでしょうか。これまで運動部活動指導については、区の行政と一緒に2年間テストしてきましたんですけれども、教育委員会の考え方、現場の先生の考え方、学校の中でも管理職と、それから顧問の考え方、地域スポーツクラブの考え方、生徒及び親の受け止め方など、皆全部違って統一するのが非常に難しいことが分かりました。実際に指導すると想定外の問題が多数出てきて、その対応に時間がかかり、マネジメントできる人材がいないと指導者への負担が多くなり、できる人材、やりたい人材を集めることが困難になり、地域のお父さんや定年教員ばかりで、スポーツ少年団の延長になると思います。休日部活動指導は、地域スポーツクラブが簡単に引き受けて対応できることではないかもしれません」というふうな御意見でございます。
もう1点は、紙面の関係上載せられませんでしたけども、地域スポーツクラブの経営に最も効果的な施策をアンケートしましたところ、自治体が実施している地域スポーツクラブの指定管理者制度支援事業が挙げられております。法人格を持たないと、この支援事業はできません。総合型地域スポーツクラブの4分の1しか法人格を取得していない現状を打破するためにも、自治体が実施している地域スポーツクラブの指定管理者支援事業をさらに充実する必要があると思います。
御清聴ありがとうございました。
【大日方部会長】 野川先生、どうもありがとうございました。
それでは、御説明いただきました三つの団体につきまして、質問、御意見等ありましたら、委員の皆様、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。
たくさんの手が既に挙がっております。では、藤田委員、石塚委員、森岡委員、結城委員、大塚委員、こちらまでで、すみません、皆さんもう時間大分過ぎてしまっておりますので手短にお願いいたします。
藤田委員、お願いいたします。
【藤田委員】 ありがとうございます。
笹川スポーツ財団の澁谷さんと、日本スポーツ施設協会の水原さんにお伺いしたいんですが、まず、笹川スポーツ財団の澁谷さんにです。
スポーツイノベーターの実践は非常にすばらしい実践であったと思いますが、これを全国に広げてそういう人材をといったときに、二つ壁があるような気がするんですね。一つは、各都道府県、自治体にそういう様々なコーディネート、いろんな関連組織のことを分かっている人材はいるかどうかということですね。それで時間がある方ですね。そこが一つの壁。もう一つは、国の事業としてそういったことをやっていくのに、なかなか人材の人件費が出てこない中で、どういうふうにそれを配置していけばいいのかなという、この2点、もしお考えがあれば教えていただきたいということです。
それから、日本スポーツ施設協会の水原さんには、施設協会さんがたくさん資格を出していらっしゃいますが、これらの資格を取るのに、例えば障害のある方に対する対応であるとか、施設の運用であるとか、そういった部分というのはカリキュラムの中にもう既に入っているのかどうか、その点を教えていただければと思います。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、石塚委員、お願いします。
【石塚委員】 ありがとうございます。私のほうからは、日本スポーツ施設協会の水原様に御質問をさせていただければと思います。
先ほど御説明いただいた中に、学校体育施設の有効活用というところの文言が入っておりまして、私も非常にここ関心を持ってお話を伺っておりました。ここであるように、防災拠点としての在り方ですとか、地域住民のスポーツ活動の場としての在り方というものは非常に重要かと私も思っているんですけれども、(3)番のところに書いてあります指定管理制度ですとか業務委託で、専門的な知見を持っていらっしゃるようなところに委託する可能性もあるんではないかということが書いてあるんですが、実際にこれは全国的に見ると少し事例なんかも出ていると思うんですけれども、これをさらに全国的に加速化させていくためには、例えば何か課題があるものなのか、もしもそういった障壁になるような部分があれば御教授いただければと思います。
もう1点、仮にそれを民間の事業者が、その学校体育施設の管理をしていく可能性があるのであれば、またここも何か、現状の課題ですとか障壁があるのかというところをお伺いできればと思います。
よろしくお願いいたします。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、森岡委員、お願いします。
【森岡委員】 ありがとうございます。日本スポーツ協会の森岡でございます。3人の方々どうもありがとうございました。
私からは1点。SSFの澁谷さん、どうもありがとうございました。いろいろ我々とも連携協定を結んでいただいて、着実に前に進んでいるというふうに理解しております。
そこで、先ほどありましたが、ボランティアのところなのですけども、これオリパラを持ち出すまでもなく、今や大会開催というのはボランティアなくてはもうできないという、不可欠な存在だというふうに我々も理解しているのですが、今後、地域住民が高齢化していく地域スポーツにおいて、一部の人に負担が集中しない、ここに記載しております新たな担い手と先ほど御説明いただいたのですけども、この新たな担い手というのは、この担い手の人の役割とか、あるいは任務とか、どういった方をイメージして。新たな担い手というのは、高齢化していくのでそうではない若いボランティアの方々を想定しているのか何なのかというのが分からないので、もう少し御説明していただければと。
この1点です。以上です。ありがとうございました。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、結城委員、お願いします。
【結城委員】 ありがとうございます。私からは、笹川スポーツ財団、澁谷さんに、手短に2点確認をさせていただければと思います。
一つは、日常生活の身体活動量のデータの収集、非常に面白く拝聴いたしました。これは、お子さんのスポーツだけではなくて、スポーツ実施率全体にも関わってき得るものではないかと感じています。この指標となるもの、手軽で、しかもデータ収集可能な指標というのが何か、もうアイデアというか、その視野の中にお入りになっていらっしゃるのか、海外でこういった事例はどのようになっているのかを1点お教えください。
それから、西田先生もお触れになられた、大分のコーディネーターの実践をされた数はもう倍増以上と。すばらしいと思います。ただ、大分はもちろん歴史的にも、障害そして障害者スポーツに理解があるところ、地域だと思っておりますし、施設、環境的にも恵まれているのかなと。この御経験を経て全国展開という御提案をいただいたのですが、ほかの地域に汎用できるような何か気づきであるとか、あと特に今障害者スポーツに逆風になっているコロナ禍、ウィズコロナの時代でも有用になるような何かお考え、なぜそのコーディネーターの活動というのが有用なのかとかいった点をお教えください。
以上です。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
では、大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 ありがとうございます。大塚でございます。三つの団体のプレゼンテーションありがとうございました。
私も質問は笹川スポーツ財団の澁谷さんにお願いしたいんですけれども、四つの論点にまとめていただきありがとうございます。その中で、子供のスポーツの部分におきまして内容をまとめていただいている中で、日本スポーツ協会さんのアクティブ・チャイルド・プログラムなどの活用というような具体案、自治体との連携などがあったんですけれども、ぜひとも競技団体――ナショナル・フェデレーションまたはプリフェクチャル・フェデレーション――都道府県競技団体との連携などを御検討いただければなと思っております。
というのは、ナショナル・フェデレーションにせよ都道府県競技団体にせよ、ガバナンス・コードの制定で、きちっとした活動指針が改めてつくり上げ始められております。そういった中、または選手たちのセカンドキャリアを生かす場所、それから国際連合のほうも今、大きなターゲットを子供たちに置き始め、デベロップメント・プログラムがどんどん各国にも下り始めてきております。そういった中では、子供たちへの施策の部分において、競技団体の活用というのはぜひとも御検討いただきたい項目になるんではないかなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
それでは、笹川スポーツ財団、澁谷さん、御回答お願いいたします。
【澁谷(SSF)】 皆様、御質問ありがとうございます。順番は、前から順でなくてもよろしいですか。
それでは、大塚委員からいただきました御質問からお答えさせていただきたいと思います。
中央競技団体、それから都道府県競技団体との連携ということにつきましては、私たち笹川スポーツ財団としても、具体的な連携協定等はまだ結んではおりませんものの、先ほどの日本スポーツ協会様との連携などを通じて、競技団体が主催する大会に公募型のボランティアを導入してというような形の取組を今年度開始する予定でございます。
また、子供のスポーツとスポーツ人口に関する部分で言いますと、私たちが子供から成人までのスポーツ実施率の調査を行っておりまして、この調査結果で種目別の人口も出るということで、この私たちが調査しています種目別のスポーツ実施人口を、競技団体として、当該競技の愛好者人口として活用していただいている団体様も大分増えてきておりますので、私どもとしてはそのような連携については喜んでさせていただきたいと考えております。
続きまして、森岡委員からの御質問にお答えさせていただきたいと思います。
地域のスポーツボランティアというところに関しては、一般的に言われるスポーツボランティアというのは、ともすると、イベントの運営のお手伝いということで、日常的なスポーツの指導とかクラブ運営というところについて視点が行かないという部分がありますが、むしろ重要なのは日常的にスポーツを支えるボランティア人材の育成でありまして、新たな担い手というところで具体的にその想定している人というのは、決して新しいものではございません。
ある意味、多くの成人の地域社会とのつながり、入り口の部分でよく見られるのが、子供の保護者の立場で地域の方とつながってくるというところなのですが、どうしてもスポーツ少年団やクラブチームも含めて、自分の子供のスポーツ現場のお手伝いが終わると卒業してしまうと。子供が、例えば少年団やクラブチームを中学校に進学する際に離れてしまうと同時に指導者とか運営を支える現場から離れてしまいます。今の従来型の特定の人が物すごく大きく負担する状況ですと、なかなかその新たな担い手にはなってもらいにくいのですが、例えば、今、一人二人で運営を担っているような地域の少年団であるとかクラブチームみたいなところで、運営のマネジメントの方法を少し変えていくようなことを、行政であるとか市町の体育・スポーツ協会などが仕向けていくことによって、今までよりもそれほど大きくない時間的負担で、スポーツを支える人材として関わり続けてもらうような、そんな仕掛けをしていくことを提案していきたいと考えています。
それから、結城委員からいただいております身体活動量のデータの収集といったところに関してです。
私どものほうでも海外で参考となる事例等は取れてはおりませんが、活動量に関する部分については、例えば子供全員ではなくてもモデル的にスマートウオッチのようなものをつけてもらって活動量を取るということ、それを、それこそ運動、スポーツの習い事をしている子供、そうでない子供とか、多様な子供たちを対象にしてサンプリングするようなこと、また、既に実は地域においては、子供のスポーツに直接関わらないにしても、子供の健康に関するデータであるとかそういったものというのを学校単位などで取られているわけですね。そういったデータと組み合わせていくことで、ある意味、ターゲット別に有効な、地域における運動、スポーツ、身体活動のプログラム提供みたいなことができるというふうに考えております。
残りはイノベーターに関する質問かと思います。藤田委員、それから結城委員からの御質問にありました大分イノベーターの実践に関して、お二人からの共通の質問に近いところがあると思うんですが、大分のイノベーターの登用の際に、視点として私たちが考えたのが、属人的にたまたまここに能力の高いイノベーターがいたから成功したという形は取りたくないと考えました。
たまたま大分のイノベーターでは、障害者スポーツではなくて障害福祉業界にいた若手の女性の方をイノベーターとして登用しました。ただ、私たちとして考えたのはむしろ障害者スポーツに詳しい人というよりも、コミュニケーション力が高いとか、営業マン的な能力といいますか、そういったところを重視してイノベーターとして配置をさせていただきまして、正直、求める人材として障害者スポーツに関する知識とか指導力ということではないというふうに思っています。ある意味それは既に、都道府県や政令指定都市に障害者スポーツ協会でそういう経験をお持ちの人材はたくさんいらっしゃるので、むしろそういう方たちが忙しくて手が回らない、あるいはあまりコミュニケーションとかが一見できているようでも、他分野の人たちのところに積極的に入っていってコーディネートするといいますか、ファシリテートするようなことが得意でないという方も多いので、ある意味そのコーディネート、ファシリテートができるようなそういう人材であれば、障害者スポーツの知識とかそういったものはむしろ後からつけていただければいいものというふうに私たちは認識しています。
それから、予算に関する部分ですね。藤田委員から御質問いただきましたけれども、もちろん国がこういったものを制度化して財源をつけていただくことが望ましいのは事実でありますが、それが現実的でないとするならば、基本としては、県や政令指定都市がそういう人材について予算を取るということが望ましいと私は考えています。つまり、都道府県や政令市の障害者スポーツ協会の職員として位置づけるというような認識です。
ただ一方で、既に協会の職員の人件費は十分に支出されているので、新たな一人を加えるというのはもちろん難しいこととは思います。ただ、そういった中では場合によっては、コーディネーター一人を配置するというよりも、協会の人の交代の時期、例えばその協会の方が定年などで引退されたりとか、そういった交代の時期に、コーディネート力がある人材を確保していくと。あるいは、そのコーディネーターの機能を協会の職員全体で分担してやっていくといったことも可能ではないかなと思っております。
私からの回答は以上です。ありがとうございました。
【大日方部会長】 どうもありがとうございます。
水原さん、お願いいたします。
【水原(JSFA)】 藤田委員からの質問に回答させていただきたいと思います。
資料65ページの、公認資格別登録者数及び概要一覧を見ていただきながら御説明させていただければと思います。
資格名に関しては、スポーツ施設管理士、スポーツ施設運営士、上級スポーツ施設管理士に関しましては、科目の中に障害者スポーツに関することはまだ入っておりません。ただ、トレーニング指導士、スポーツプログラマーに関しましては、障害者のスポーツトレーニング、障害者のフィットネスプログラムという科目の中で、国立障害者リハビリテーションセンターの教官の方に来ていただいて講師をお願いしております。
ただ、スポーツ施設管理士のための障害者対応講習会を、2018年から日本障害者スポーツ協会並びに東京都障害者スポーツ協会等と各地域の協会と連携しながら開催し、資格を持っておられる方に対して障害者対応の講習会を開催しております。また、全国で9ブロックの研究協議会または県の研究協議会が毎年開催されておりますが、2018年から各地区で、障害者スポーツ協会と我々協会の人間が出向きまして障害者対応についての講習会を開催したりしておりますので、今後ともそのような機会を多くつくりながら、一般の体育・スポーツ施設における障害者対応含めて進めていきたいと考えております。
以上です。
【大日方部会長】 どうもありがとうございました。
すみません、水原さん宛てに、もう一つ回答があると、御質問されているということを今事務局から指摘いただきました。学校体育施設の指定管理のお話だったかなというふうに思いますが、御回答お願いできますでしょうか。
【水原(JSFA)】 質問がちょっと聞こえていなかったのかと思うんで、申し訳ないです。学校の指定管理ですか。
【大日方部会長】 すみません、石塚委員からですかね。
【石塚委員】 私から御質問させていただきました。
【大日方部会長】 簡潔にもう一度お願いできますか。
【石塚委員】 はい。こちら聞こえておりますでしょうか。
【水原(JSFA)】 はい。今聞こえております。
【石塚委員】 資料(3)番のところにあったように、学校体育施設の指定管理の制度というものは、防災拠点という観点と地域のスポーツ活動の場の整備という観点が非常に重要なことかなというふうに理解をしておりまして、今後、全国的に事例はあるものの、広く全国にこの学校体育施設の指定管理の制度でしたり運営委託というところを広げていくことを考えていった上で、何か課題になるような部分ですとか障壁になるような部分がもしあれば御教授いただければと思っております。
もし仮に、この文言の中には入っていないんですけれども、民間事業者のノウハウを活用してこの部分の指定管理の制度なんかを充実させていくというところに関しても、同様にもし何か課題や御意見ありましたら御教授いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
【大日方部会長】 水原さん、いかがでしょうか。
【水原(JSFA)】 質問の内容が指定管理者制度や業務委託等により外部の人材を活用してというところに係ってくると思うのですが、今後、学校体育施設の有効活用というところで、いろんな形が今出てきていると思います。
ただ、我々が把握している中では、活動に関する施設の貸与をするときの、総合型地域スポーツクラブが指定管理を受けて学校の施設を管理、運用するというところで、実際に安全管理までできているかどうかというところの把握ができておりません。そういった面で、我々の協会としては、安全管理を担保しながら、そういうような施設運営が任されるような形をつくっていかないといけないだろうというのが一つの指摘の内容になります。
それと同時に、そのような学校関係者の負担を軽減する中で一層指定管理制度が進むような形が取れたらいいのかなというふうな思いでこの項目を書かせていただいております。具体的に、施設を運営、管理するというところでの民間の指定管理を受けている業者は幾つか出てきていると思いますけども、安全管理まで担保されているかどうかというのは非常に分かりにくいところであるので、今後これは我々も含めて調査していかなければいけない部分かというふうに考えております。
回答にはなっていない部分が多々あると思いますけども、現状なかなか把握できていない部分でもあります。
以上でよろしいでしょうか。
【石塚委員】 はい。ありがとうございます。
【大日方部会長】 ありがとうございます。
この部分につきましても、もし委員のほかの皆様や関係者で知見お持ちの方がいらっしゃいましたら、またスポーツ庁のほうまでお寄せいただければと思います。
それでは、3団体の皆様、本日本当にお忙しい中、お時間いただきましてありがとうございました。こちらでHグループのヒアリングを終了いたします。
オンライン会議のほう、3団体の皆様、御退出をお願いいたします。
(グループH 退室)
【大日方部会長】 委員の皆様、長時間のヒアリングへの御対応ありがとうございます。大幅に時間が超過をしてしまいました。申し訳ありません。
また、先生方にはなかなか発言の挙手ボタンのタイミング、押しづらかったという感想お持ちの方も多いのではないかなと思っております。ぜひ、もしまた追加の質問等や御意見がございましたら事務局までお寄せいただければと思っております。
それでは事務局より、次回の日程につきまして御連絡お願いいたします。
【事務局】 事務局でございます。委員の先生方におかれましては、長時間にわたりまして、また、タイトなタイムスケジュールの中、様々御配慮、御協力いただきましてありがとうございます。
先ほど部会長よりお話しいただきましたように、お時間の都合上、御質問いただけなかった内容につきましては、再度事務局より照会をさせていただきたいと思います。
また、次回の日程につきましては、会議資料1にもございますが、24日月曜日、14時15分からの開始ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【大日方部会長】 ありがとうございました。それでは、本日はこちらで終了いたします。長時間ありがとうございました。

―― 了――

なお、会議後、大学スポーツ協会より会議中の菊委員から質問に対する回答に追加がございましたので、以下の通り記載させていただきます。

【菊委員】(議事録より抜粋)
大学スポーツ協会さんですけども、先ほど、それぞれの大会の注目度を上げると。これは高度競技者の育成ということをターゲットにされていると思うんですけど、逆に一般学生についてどう考えているのか。NCAAなんかではかなりディビジョンを細かくして、それぞれの大会というものを主催していると思うんですけども、その辺の方策なりシナリオというのがあるんだったら教えていただきたい

(追加回答)
まず映像化に関してですが、現在UNIVASに加盟している競技団体のうち30競技のインカレに相当する大会は映像化をし、無料配信をしています。野球やアメフトといったメジャーな花形競技は勿論ですが、アーチェリー、フライングディスクやオリエンテーリング等今までは関係者のみしか知る機会のなかった競技も映像化することにより、当該競技の学生競技者のモチベーションアップや、大学スポーツ競技の底辺拡大に寄与してきていると認識しております。もっとも、インカレですのでその競技における高度競技者が映像の中心とはなりますが、その映像を見ることは全国の各大学にてその競技に邁進している学生にとって参考や目標となっており、競技自体の普及や価値向上にもつながっていると認識しております。
また、ご存じの通り運動部員において卒業後も競技を続けていけられる高度競技者はほんの一握りであり、スポーツエリートのみの集団である米国の運動部(Varsity)、NCAAとは運動部そのものの構成が全く違っております。大半の一般運動部員はスポーツとの取り組み方を変え、一般社会人としてスタートを切らざるを得ません。しかしながら、大学の四年間にスポーツに打ち込んだことはご本人にとって大きな財産であることは間違いありません。一般運動部員が、運動部活動と学業の両立は勿論、運動部活動で得るものをご自身の人間力向上に繋げていけるように、UNIVASではデュアルキャリア形成を支援する各種プログラムを提供させていただいており、人材育成に向けた取り組みを推進しております。
大学スポーツの価値は多様で多大であります。運動部学生が卓越した社会人として活躍していく姿を見せることが、後輩たちの励みやスポーツに取り組む学生の増加につながり、そのことは「スポーツの持つ価値」を再認識していただくことに繋がると認識しております。

 

また、会議後に委員の先生方から頂戴しました質問等及び質問等に対する各団体の回答につきまして、以下のとおり掲載させていただきます。

【大石委員】
①団体名:全国高等学校体育連盟
口頭で発表されていましたが、運動部活動作業部会の詳細(構成員や活動内容)が分かる資料を見せていただくことはできますでしょうか?
どなたかの質問にも少しありましたが、3-(1)の「分離切り離し型」と「融合型」の具体的なイメージをもう少し教えていただけますか?

(回答)
1 運動部活動作業部会の詳細(構成や活動内容)について
(1)平成30年5月に設置が認められた運動部活動検討委員会・同作業部会の設置規程(参考資料1)並びに構成員につきましては別添の報告書(令和2年6月の理事会に提出)、9ページから10ページ)(参考資料2)をご参照ください。
(2)活動内容につきましても、添付の報告書をご参照ください。
(3)なお、現在は第1期(平成30年5月から令和2年3月まで)の運動部活動検討委員会・同作業部会から規程の一部見直しをしたうえで、第2期(令和2年6月から令和4年3月まで)の運動部活動作業部会が継続されています。しかし、昨年度はコロナへの対応の関係で計画された工程どおりに進捗できておりません。

2 「分離・切り離し型」と「融合型」の具体的なイメージについて
【前提】
(1)教員の負担軽減は必要 ➡(優れた人材の確保)
(2)部活動を含む「日本型学校教育」を持続可能なものとするために、これまで部活動が担ってきた部分と問題点を今一度、整理したうえで必要な改善を進める必要がある。現状のままで良いとは言えない。➡(部活動改革は必要)
(3)教員の負担を軽減する手段として、教員にとって負担とされる部活動を学校教育から切り離すことが唯一の方法とは言い切れないのではないか。➡(現状の施策に加え、他の方策を探る)
(4)部活動を学校教育から切り離すことで懸念される問題として、「生徒の活動欲求に応えるための活動場所確保の問題」、「指導者の確保・育成の問題」、「地域間格差の問題」、「経済格差の問題」などが挙げられる。➡(学校外での活動確保には多くの問題が存在する)
(5)学校には指導が可能な人材が存在し、一定以上の施設・用具を有している。➡(教員の負担軽減を配慮しつつ更なる活用が可能ではないか)
【融合型のイメージ】
上記の各項目を前提に融合型のイメージを一言で述べるならば、「現状の施策を進めつつ学校への外部力の取り込みを更に推進する」ということです。
今、部活動が教員の長時間労働の原因とされ、マスコミを中心にネガティブな面だけが取り上げられる傾向にあります。その全てを否定するものではありませんが、教科指導や進路指導・生活指導などの業務に加え、部活動指導に積極的に取組んでいる教員の意欲を削いでいるように思えてなりません。勿論、教員の主たる業務は当該教員の専門教科における教科指導です。しかし、この教科指導をより効果的に指導していくためにも、教室以外(部活指導など)での生徒との触れ合いは極めて有益です。これは客観的データを基に説明することは困難ですが、間違いのない事実だと考えています。
一方、現状の部活動には、当該競技の経験がない顧問の存在、指導者による不適切な指導の問題等々複数の課題が存在していることも事実であり、これらの課題改善は教員として優秀な人材を確保するためにも必要です。したがって、学校教育から部活動を切り離すことありきではなく(0か1かではなく)、学校に外部力を積極的に取り込んでいくという双方向の取り組みを進めるべきではないかと考えています。この取り組み、考え方を「融合型」と表現しました。
さて、「融合型」のイメージについて具体的にお示しすることは現時点ではできませんが、これに向けて取り組むべき内容について記載します。
(1)外部指導員制度の拡充(人材の確保・育成・待遇面の改善)
(2)学校の施設・用具、人材を活用した拠点校化の推進
(3)地域部活動制度における諸課題の整理と改善
(4)学校外での活動場所の確保
(5)生徒並びに保護者目線での部活動の在り方に関する調査

②団体名:全国大学体育連合
1.-7にあります「スポーツ教材等の刊行物」を具体的に見せていただくことはできますか?

(回答)
現在、大体連の事務所に保管されているものは、フットサルの実技講習のDVDです。以前、バドミントンの実技講習も作成しましたが、事務所には見当たらないようです。
したがって、フットサルの実技講習内容のDVDをお送りさせて頂く用意がございますことをご報告申し上げます。なお、2021年3月開催の実技講習会の卓球実技のDVDを8月末までに編集作成する予定でございます。こちらも完成次第、お送りする用意がございます。

③団体名:大学スポーツ協会
「5.大学スポーツ振興に向けた課題」の中で、加盟会員の拡大の障壁と感じていることを教えてください。

(回答)
ご質問ありがとうございます。
障壁は以下の3点であると感じております。

1.組織的課題に起因する大学ガバナンスの未発揮
大学において運動部活動は課外活動であり、学校法人の組織には属さず、総称である体育会や学友会等はあくまでも任意団体として存在しております。「学生の自主性を重んじる」との方針のもと、大学からは活動支援費等は支給するものの、敢えて干渉をしないとのスタンスを取っている大学もまだ多い現状です。
しかしながら、昨今のハラスメント問題や安全体制の問題を見ても、課外活動だとしても大学は管理責任を負うべきであることは社会要請からも明らかであります。2016年の大学スポーツの振興に向けた検討会議における大学スポーツ振興に向けた取り組み課題にも提起されたことをうけ、徐々に大学の取り組みを変わってきてはおりますが、さらに大学経営層の理解を深めていく必要性があります。運動部活動に対する大学の積極的な関与とガバンナンス発揮が求められることであります。

2.運動部活動を通じた人材育成視点の未浸透
大学の中にはスポーツ強豪校もあれば、そうではない大学も多く存在します。UNIVAS会員大学の中でも前者の大学が目立っているのも現実です。
しかし、UNIVASは4年間の運動部活動を通じて人間力形成を図ってほしいと考え、それに向けた活動を推進しています。大学卒業後、競技生活をメインに続けていくことができる運動部学生はほんのひと握りです。大半の学生は競技生活から社会人生活にシフトせざるを得ません。そのことを考えると、大学の四年間において、運動部活動・学業に加えて将来を見据えたキャリアデザインを実践していただきたい。その為に、運動部活動を通じて得られる経験を計画力や実行力、組織マネジメント力として自覚し身に付けることを促進するオンライン学修プログラムや部の主務・マネージャーを対象とした研修セミナー等の支援プログラムを展開しています。運動部卒業生が社会人として光輝けるように、運動部活動を通じた人材育成を目指しています。競技力の強弱に係わらず、運動部活動を行っている全ての大学において人材育成の観点で運動部活動を捉えていただくことが必要であり、その思想の浸透を図っている途上にあります。


3.UNIVASの活動に対する認知と理解の不足
UNIVAS設立の準備検討段階において「日本版NCAA(仮称)」という単語が頻繁に使用されていました。ご存じの通り、NCAAは全米の約1/3の大学が加盟し、アメフトやバスケットボールを中心に8,000億円規模のマーケットを形成しており、Divisionにグレード分けされた地域カンファレンスでリーグ戦を行っている団体です。NCAAに参加している運動部は大学を代表して公式戦に参加するVarsityと称されるクラブで、スポーツエリートで構成される少数精鋭集団であり、大学の組織の一部として活動をしています。しかしながら日本においては、百人を超える部員を保有している運動部も珍しくなく、且つ上述の通り大学の組織とは別な位置づけで活動をしておりますので、運動部活動の土台から日米では隔たりがあるのが現実であり、「日本版NCAA(仮称)」の「日本版」は日本の運動部活動の実態を踏まえること、を意味しておりました。従ってUNIVASでは上述した人材育成の観点を持ち、安全安心性を向上したり、大学スポーツの更なる認知拡大など総合的な取り組みを推進している次第です。
設立準備期間に「日本版NCAA」という単語が独り歩きしてし まい、スポーツ強豪校の組織である、大学スポーツのビジネス化を目指している等のUNIVAS活動の本質とは異なるイメージを持ってしまった大学関係者も未だに多く存在しています。
より早くUNIVAS活動の本質の理解を促進していくことが急務であると認識しておりますので、ご理解ご支援賜れると幸いです。

④団体名:大学スポーツ施設協会
廃校の活用で何か考えられていることや具体的な事例はありますか?

(回答)
学校体育施設の有効活用に関する手引き(スポーツ庁)において、指定管理者や業務委託の事例が掲載されています。また、総合型地域スポーツクラブが、学校の体育施設を管理して、収入を得ながら活動する団体が増えてきているようです。
川崎市の高津総合型スポーツクラブSELFなどは有名な事例として時々話題に上がっていますし、札幌市の体育館を札幌市障がい者スポーツ指導者協議会が指定管理を受けて施設管理をしているなど、地域それぞれの利活用があるようです。
総合型地域スポーツクラブの団体や日本スポーツ協会でも情報をお持ちかと思います。

<参考資料>学校体育施設の有効活用に関する手引き(スポーツ庁)
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop02/list/detail/1385575_00002.htm

⑤団体名:日本スポーツ施設協会
各団体が認定している資格の統一化(特に指導者の資格)に関して考えられていること、具体的な計画等はありますか?
例:日本スポーツ施設協会
水泳指導管理士、トレーニング指導士、スポーツプログラマーなど
日本スポーツクラブ協会
スポーツインストラクター、子供身体運動発達指導士など
日本スポーツ協会
スポーツリーダー、フィットネストレーナー、スポーツプログラマー、競技別コーチ など

(回答)
当協会の資格に関しては、体育・スポーツ施設に特化した中で人材の養成を行ってきました。現在資格の統一化に関しては、検討しておりません。

① 水泳指導管理士は、水泳指導ではなく、安全管理、安全指導、緊急時の対応、救助等に重きを置いた講習内容となっています。
② トレーニング指導士は、競技に特化せず地域の健康維持・増進を目的に行う市民レベルのトレーニングに対する指導を目的としています。
③ スポーツプログラマーは、日本スポーツ協会の資格として、当協会が主管団体として養成している。

以上のことから、それぞれの対象、活動の場所等により人材の育成が異なってきていると思われますので、競技別の指導者や体育教師の場合とは異なるステージでの活動になっているため、それぞれの目的に合わせたそれぞれの組織が認定してきていますので、習得しなければならない知識や技術的なものは一定レベル同じものを学んでいると思いますが、スポーツ指導者として一つの資格に集約することは難しいかと考えています。したがって、一人の指導者がいくつかの資格を有することになってきていると思います。

⑤団体名:日本スポーツクラブ協会
各団体が認定している資格の統一化(特に指導者の資格)に関して考えられていること、具体的な計画等はありますか?
例:日本スポーツ施設協会
水泳指導管理士、トレーニング指導士、スポーツプログラマーなど
日本スポーツクラブ協会
スポーツインストラクター、子供身体運動発達指導士など
日本スポーツ協会
スポーツリーダー、フィットネストレーナー、スポーツプログラマー、競技別コーチ など
  健康長寿医療センター
   介護予防運動指導員

(回答)
大石様、ご質問有難うございます。指導者資格の統一化とは、名称のみでしょうか?あるいは、内容(カリキュラム)を含む統一化、あるいは一本化でしょうか?事例として挙げられている資格は、業務独占資格でも行為独占資格でもありませんので統一化の必要はあまりないと認識しています。したがって、統一化に向けた具体的な計画は持ち合わせていません。
多くの資格は、免許などと異なり業務独占および行為独占ができません。類似した名称の資格が巷に溢れ、内容的にも首を傾げる資格も散見されますが、資格の価値を決めるのは基本的には市場だと思います。時代遅れで社会のニーズ、特定領域のニーズに合致しない資格は淘汰されていきます。したがって、法人格の違いに関わらず、資格を提供する団体は質的充実と向上に注力していると思います。
大手フィットネスクラブなどでは、自クラブの商品である運動プログラム(ヨガ、ダンスWave、ズンバ、シナプソロジーなど)を商標登録している例もあるように、団体によっては指導者資格を商標登録していることもあります。弊協会でも全ての資格について商標登録を行い、独自性および新たな市場創出の企業努力をしています。
資本主義の下、各団体が質の高い資格の担保と独自性・多様性など工夫して競争することが有資格者の質的向上に資すると思います。スポーツ関連資格の統一化(=独占化)は、マーケティングが機能せず硬直化につながる恐れがあると思います。

【大日方部会長】
①団体名:全国高等学校体育連盟
連盟内に立ち上げられた「運動部活動作業部会」について、部活動のさらなる充実を目指した議論が進められていると伺いましたが、議論の報告はいつ頃まとまる予定か教えてください。
また、運動部活動と一言でいっても、夏季・冬季競技、インドア・アウトドア、競技人口など多様であり、地域によっても様々な事情があると思いますが、これらをふまえた包摂な議論が行われているのでしょうか。

インターハイは学校対抗を原則としており、学校外のスポーツ団体に所属する高校生の参画には慎重な議論が必要、というお考えを示されました。
スキー競技では、スキー部のない都市部の中学校に通う生徒が、インターハイ出場のために遠隔地の学校に進学したり、部を創設することができずにインターハイ出場を諦めたりした、という話を耳にしますが、このような事例数は、少ないのでしょうか。また、こうしたケースについて、貴連盟としてはどのような見解をお持ちか、教えてください。
また、団体競技において、必要最低な部員数が集まらない場合、複数の学校が合同でチームを結成して参加することはインターハイでは認めることはないのでしょうか。少子化で1校あたりの在籍生徒数が減少する学校で、生徒たちが多様なスポーツに取り組むための工夫は必要ではないかと考えますが、貴連盟のお考えを教えてください。

(回答)
1 運動部活動作業部会の議論がまとまる予定について
平成30年5月の理事会において本連盟基本問題検討委員会内に「運動部活動検討委員会・同作業部会」を設置しました(設置規程(参考資料1)並びに構成員等につきましては、別添の資料(参考資料2)をご参照ください。)
この部会は2年間の期間限定付きでしたので、2年間の活動内容等について令和2年6月の理事会に運動部活動作業部会の報告書としてまとめ提出しました(別添の報告書をご参照ください)。したがって、2年間のまとめについてはお示しできますが、課題改善に向けて規程を見直したうえで新たな部会として活動を継続しております。しかし、現時点ではコロナ対応等の関係で計画通りに進捗していない現状があり計画そのものの見直しを予定していることから、現時点での課題改善等に向けたゴールをお示しすることは困難な状況です。

2 運動部活動作業部会内における議論の方向性等について
夏季インターハイだけでも30競技34種目を展開します。したがって、インターハイの実施に向けては多様な課題が存在しています。作業部会では、この状況を踏まえ、「インターハイの課題整理と改善の方向性」について別添の報告書のとおりまとめています。その中で課題の設定として以下のように整理しています。
(1)部員不足による合同チームのインターハイへの参加について
(2)大会規模の見直し等(開催時期・日数)について
(3)固定開催競技の拡大について
(4)部活動指導員の活用状況について
(5)地域スポーツクラブ等との連携の在り方について

上記の5項目を課題として設定し、改善に向けた方向性についてまとめています(詳細については別添の報告書をご参照ください)。

3 学校外のスポーツ団体のインターハイ参加について
このことに、報告書の中でも課題として設定しています(上記2の「(5)地域スポーツクラブ等との連携の在り方について」)。ただし、この問題はインターハイの学校対抗戦であるという前提に大きく関わってくる内容なので、時間をかけて慎重に進めることとしています。ただし、昨年9月に文部科学省から「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」が示され、その中でこれに関する柔軟な対応が求められていることから、高体連としても問題の先送りはすべきではないと考えています。
したがって第2期の作業部会において計画の見直しと併せて議論の優先順位の見直しも必要と思われます。

4 学校内に部活動として存在しない競技で活動する生徒のインターハイ参加について
インターハイに繋がる都道府県の競技大会への参加は、個人や学校外の団体として出場することは現状できません。したがって、学校外の団体等で練習をする生徒がそこに参加するためには、学校の部活動として加盟・登録し参加することになります。
この様なケースは数多くあり、所属する学校長の責任において当該生徒の不利益にならない様な対応がされていると思います。逆にインターハイへの出場レベルの生徒が在籍しているにも関わらず、何ら対応をすることなく当該生徒がインターハイ出場を諦めざるを得ないケースの方が少ないのではないかと推測しています。

5 部員不足による合同チームのインターハイ参加について
この問題についても、上記2の(1)に記載のとおり、作業部会においては、加速する少子化対策として早急に対応すべき内容として考えています。
現状は、統廃合等による合同チームのインターハイ出場は認めていますが、部員不足による合同チームの出場は認めていません。しかし、全中大会の一部競技、また、甲子園大会(日本高野連)においては既に認められている内容でもあることから、早急な対応をと考えています。

②団体名:笹川スポーツ財団
障害者スポーツの場の創出に向けたコーディネーター活用のご提案について伺います。一般校に通う障害のある児童・生徒が増えていますが、一方で、体育や運動部活動に、見学やマネージャーなどではなく、「する」立場で参加するためには、課題もあります。例えば、体形や障害、体の発達に応じたスポーツ用具(スポーツ用車いすやスポーツ用義足など)の貸し出しを受けたり、ガイドランナーなどの支援者をコーディネートしたりすることが必要ですが、ネットワークをつなげる仕組みが不足していると考えます。コーディネーターの活動は、特別支援学校を拠点とするだけではなく、一般校に通う児童・生徒の体育や運動部での活動にも寄与すると考えますが、いかがでしょうか。考えを聞かせてください。

(回答)
大日方部会長のご指摘通り、一般校に通う障害のある児童・生徒が増えてきている中で、体育や運動部活動に、当たり前に「する」立場で参加できていなことは課題だと考えております。
今回ご提案させていただいたコーディネーターの活用による特別支援学校の拠点化は、”障害者スポーツの拠点”から始まり、”地域スポーツの拠点”となることを想定しております。実現プロセスとしては、まずは拠点校の教員への研修、外部指導者による体育授業の実施、加えて、用具の整備・貸出を展開します。このときに、コーディネーターは拠点校の担当教員と該当地域の障害者スポーツ指導者のマッチングも行います。その後、一般校への巡回指導を通じて、一般校に在籍する障害児の「する」立場でのスポーツ参加を実現します。巡回先での教室は、一定期間の実施を経て、コーディネーターの支援がなくても、当該校の教員と地域の障害者スポーツ指導者で自立して運営できる体制をつくることをゴールと考えております。
従いまして、コーディネーターの活動は、一般校の障害児のスポーツ活動に大きく寄与するものと考えます。

また、このことについて、以下の通り御意見を頂戴しております。

(意見)
私自身も、地元の教育委員を務めている中で、障害のある子どもの運動機会を広げるちょっとしたお手伝いをすることができた細やかな事例があります。一例を紹介させてください。
地域の中学校で車いすを使っている障害のある生徒が、バドミントン部で活動していると聞きましたので、部活動の見学に行きました。指導主事さんから、同校で毎年、行われているスキー修学旅行にその生徒が参加できるようにどのような準備をすべきか、相談を受けたことがきっかけです。
すると、地元の大学から派遣されている指導員の方も適切な指導をされ、部員の子どもたちと一緒にシャトルを打ちあっていて、障害のない生徒と障害のある生徒が自然体で活動していることに驚きました。しかし、彼女は、日常用車いすを使っていて、動きにくそうに見えました。顧問も指導員の方も競技用の車いすの存在は知っているものの、彼女にとってどの程度、必要なものなのかは分からず、レンタル先などの情報もなく、また、保護者に高額なスポーツ用車いすの購入を薦めるわけにもいかず、という状況でした。 そこで、区のオリパラ課の知り合いに相談したところ、区が所有するバドミントン用の競技車いすを貸し出してくれました。また、パラバドミントン競技団体の体験会なども紹介したところ、スポーツへの意欲も技術的にも上達したようで、競技団体の育成選手に指定を受けるまでになりました。
私の場合、相談を受けたきっかけも、教育委員だったことも、指導主事の前任校に車いすユーザーいたこと、区で所有している車いすが彼女に合うサイズだったこと、行動力のある区職員がいらしたこと、など幸運な偶然が重なったケースです。
一言で、「障害者」といってもその運動機能にかかわる障害は多様で、運動に即した用具があり、それらを利用するためにも体にフィットさせるなど工夫が必要なことがあり、個別性が高いのが特徴です。
地域にコーディネーターがいれば、障害のある子どもが地域でスポーツに取り組みたい、という時、相談を受け、ネットワークを駆使して、用具レンタルやボランティアの派遣など、障害のある子ども(人)がスポーツをする機会の創出につながると考えます。第3期計画で、このような地域コーディネーターの制度の創設を期待します。

③団体名:日本スポーツ施設協会
「地球環境に配慮した持続可能な施設づくり」について。ピッチからちぎれた人工芝が河川に流れ込み、海洋汚染につながることのないよう、適切な施設管理が必要、という重要なご指摘をいただき、ありがとうございます。
このような環境汚染の事例はすでに起こっているのでしょうか。汚染された事例やかろうじて汚染を食い止めている、というような危機的な事例があれば教えてください。また、敷設済みの人工芝が流出しないように防ぐためには、どのような取り組みがスポーツ庁として必要か、提言があればいただきたい。

(回答)
協会がこの件に関して報告を受けている内容は以下のものになります。
当協会特別会員部会の屋外体育施設部会より昨年12月「日本の河川・港湾・湖におけるマイクロプラスチック浮遊状況調査」及び「人工芝の流失源調査」レポート:株式会社/一般社団法人ピリカの資料を受け今後、屋外体育施設部会としても持続可能な施設づくりを目指すうえで、環境に関するテーマを今後取組んでいくという話合いを行いました。
協会しては、今後も屋外体育施設部会を中心に今後の取組ついて検討を進めております。現在のところ対策としていくつか提案されておりますが、更なる現状調査とスポーツ用器具や屋外体育施設の素材を作っている民間企業、施工業者、管理・運営団体が一堂に会した開催により課題や対策等検討進めて行く必要があると思います。


【藤田議員】
①団体名:日本経済団体連合会
多くの企業が障害者スポーツに関心を持てくださるようになりました。しかし、熱性やすく冷めやすいという言葉通り、2021 年以降一気にその関心がなくたってしまうのではないかという心配をしています。
障害者スポーツの場合、一般のスポーツ以上に直接売り上げに結びつくということが少ないのではないかと思います。そこでお聞きしたいこととして
①障害者スポーツ選手雇用や、団体への資金援助、社員教育等に障害者スポーツを取り入れたところなど実際にどのようなメリットがあったのでしょうか?
②売り上げに直接結びつかないとすれば、SDG’sや、共生社会形成といった他の価値観で企業の障害者スポーツへの関心や取組を継続してもらうことは可能でしょうか?
③他にも何か企業の取り組みを継続してもらうための戦略や価値があればご教示ください。

(回答)
藤田様、ご質問をお寄せいただきありがとうございます。
まず、「2021 年以降一気に関心がなくなるのではないか」との問題意識は、例えば河合純一様からも伺っており、せっかく高まった関心を持続することが大変重要と考えております(以下ご参照)。
http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2020/0305_06.html
ご質問いただいた3点、直接的なメリットや企業戦略からは若干離れますが、障がい者スポーツに親しむことを通じて障がいを持つ方と健常者の方の交流が深まり、さらにバリアフリー社会の深化を目指す意識が各社で高まりました。特に企業内・企業間のボッチャ大会は非常に良い機会で、今後も全国各地の経済界で継続できるよう準備しております。また、車いすバスケットボール体験会などは車いすの使い方、移動の大変さを学ぶ機会となり、バリアフリーマップ作りを始めるきっかけにもなりました。こうした取り組みを長く継続できるよう努力します。引き続きよろしくお願いいたします。

②団体名:国際協力機構
途上国で日本が障害者スポーツを推進する意義は何か?中国や韓国など他国のこの分野での支援状況がわかれば教えてほしい。

(回答)
① 「開発」として障害者スポーツを推進する意義
まず、障害者スポーツに限らず、JICAの「障害と開発」の目的は、「すべての障害者の人権の尊重、完全参加と平等およびインクルーシブな社会を実現」である。障害インクルーシブな社会の実現に向けた取り組みは、開発課題の解決、経済効果などの観点から、障害者のみならず、すべての人に及ぶ。例えば、「教育(非障害児を含む教育効果の向上)、 物理的環境・構造物、雇用・労働(従業員全体の満足度や業務効率の向上)、ビジネス(市場拡大)、医療・保健分野(医療関係者の知識向上) (https://www.jica.go.jp/activities/issues/social_sec/ku57pq00002cyac5-att/guideline_handicap_development.pdf)」などの正のインパクトがある。
さらに、「スポーツと開発」という観点から、開発途上国における障害者スポーツ(さらにはユニバーサルスポーツ)を推進する意義は、万人の権利としてのスポーツを障害者が受益者として、そして実施者として参加できるように保障することである。また、障害者の「エンパワメント(役割や責任、仲間や他者との関わりを通じ、競技力の向上にとどまらず、自己効力感、障害の社会モデルの視点など)」にもつながり、社会参加を促進することが可能である。(BOX参照)

② 「日本が」推進する意義
我が国の国際協力の在り方を示した「開発協力大綱」は、人々の基礎的生活を支える人間中心の開発を推進するために必要な支援分野の一つとしてスポーツが明記している。また、「スポーツ基本法」前文には「スポーツの国際的な交流や貢献が、国際相互理解を促進し、国際平和に大きく貢献するなど、スポーツは、我が国の国際的地位の向上にも極めて重要な役割を果たすものである」と明記されている。
これらの下で、「開発途上国で障害者スポーツを推進する」ことの我が国にとっての意義は、国際的な「スポーツと開発」や「スポーツとSDGs」の議論において我が国のこれまでの実績を生かしてプレゼンスを発揮できる点にある。例えば、1990年代から開始した障害者スポーツの研修により、開発途上国において障害当事者のロールモデルとなる人材が育っている。そうした人々とともに、今日の障害者スポーツに関する国際場裏において我が国との絆と信頼の下で協調するに至っている(BOX参照)。
我が国は、JICAを含めて様々な団体が、障害当事者とともに、障害者スポーツ、ユニバーサルスポーツ等を通じて、障害者スポーツそのものの普及にとどまらず、障害平等啓発、ダイバーシティ教育などに取り組んできた。今後も、こうした知見を活かし、開発途上国の障害者スポーツを推進することは、きわめて大きな意義があるといえる。


③ 他国の支援状況について
1965年から開始されたJICA海外協力隊スポーツ隊員の派遣実績はあるが、国際的に「スポーツと開発」が叫ばれるようになったのは、ここ20年である。特に、NGOをはじめとする草の根の実践に始まり、国連や欧米諸国にも広がっていった。近年では、フランス開発庁などもパリ2024オリンピック・パラリンピック大会を見据えてアフリカを対象とした「スポーツと開発」のプラットフォームを立ち上げるなどの動きを見せている。他方で、中国によるスタジアム建設などの例はあるが、アジア近隣諸国のドナーが「スポーツと開発」分野に注力しているという情報は現時点では把握していない。国際協力においては、各国が独自の開発協力方針や強みを生かして事業を展開しており、我が国は、1965年から続く青年海外協力隊による「スポーツと開発」の取り組み、同スキームでの障害当事者派遣による障害者スポーツの促進、スポーツ施設整備の実績など豊富な実績を有することから、「スポーツと開発」を強みとして展開する意味は大きい。

■BOX「パラスポーツを通じて誰もが平等に社会参加できる社会へ」:アフリカ・パラリンピック委員会事務局長ホセ・ロドリゴ・ベハラノ氏の熱き思い
https://www.jica.go.jp/topics/2019/20191030_02.html
「日本には車いすや全盲の方もアクセスできるインフラ設備や施設が整っていたり、障害者自身も一緒に働いている組織があったり、スポーツにおいては障害者もアスリートとしてプロ意識をもって取り組んでいたりなど、母国との違いに人生観を変えるような衝撃を受けました」とホセ氏はJICAの研修に参加したときのことを振り返ります。
カーボベルデでは当時、障害者が社会のタブーとして扱われ、「障害者がスポーツなんかできるわけない、成功できるはずがないと考えられていた」とホセ氏は言います。そこで、日本から帰国した彼がまず取り組んだのが、障害者とその家族の意識改革でした。パラスポーツに取り組む障害者の家へ何度も出向き、障害者が社会参加をするうえでスポーツの果たす役割がいかに大きいかを啓発し続けました。
最初は、聞く耳をもたなかった家族も、長い年月をかけて情熱的に語られるホセ氏の話を聞き、次第に考え方が変わっていきました。
「私にそれだけの情熱をくれたのが日本での日々なのです。パラスポーツを普及させるためには、競争や結果だけを求めるのではなく『スポーツを通じて誰もが参加できる平等な社会に変えていくのだ』というビジョンを信じることが大事だと気づかせてくれたのです」

【カーボベルデ初のパラメダリストが誕生】
ホセ氏の熱意ある地道な活動が形となったのが、2016年に開催されたリオデジャネイロパラリンピックです。カーボベルデの選手が陸上男子400mで、同国ではパラリンピック初となる銅メダルを獲得しました。

「グラセリノ・バルボサ選手が表彰台に立ったとき、国民はみんな泣いて喜びました。障害の有無など関係なく国民が一つになったのを見て、改めてパラスポーツの力を感じました。2020年は東京でパラリンピックが開催されます。カーボベルデに限らず、アフリカの各国から1人ずつでもパラリンピックに出場できるように願っています」

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