スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第1回) 議事録

1.日時

令和3年4月26日(月曜日)15時00分~17時00分

2.議題

  1. (1)部会長の選任等について
  2. (2)スポーツ審議会スポーツ基本計画部会運営規則について
  3. (3)第3期スポーツ基本計画の策定に向けた意見交換
  4. (4)その他

3.議事録

議題(1)部会長の選任等について
スポーツ審議会令(平成27年政令第329号)第5条第3項に基づき、委員の互選により、以下の者が部会長に選任された。
大日方 邦子 一般社団法人日本パラリンピアンズ協会会長
また、会長の指名により以下の者が部会長代理に選任された。
境田 正樹 TMI総合法律事務所弁護士

議題(2)スポーツ審議会スポーツ基本計画部会運営規則について
原案の通り、スポーツ審議会スポーツ基本計画部会運営規則が決定された。

【大日方部会長】
それでは、ここから議事を公開させていただきたいと思います。本日は新型コロナウイルス感染症対策の観点から、報道関係者の方も含めて、傍聴の方はYouTubeによるオンライン配信を御覧いただく形となります。
それでは、事務局はオンライン配信の開始をお願いいたします。
改めまして、先ほどの議事にて部会長に選任されました大日方でございます。座ったままで失礼いたします。何とぞよろしくお願いいたします。
スポーツ基本計画第1期、第2期の策定に携わってまいりました。ちょっと振り返ってみますと、私がこのスポーツ基本計画に初めて策定に関わらせていただいたのが2011年でした。その頃、東日本大震災が発災した直後で、多くのアスリートたち、スポーツ関係者がスポーツの力で何かできることはないかなということで、必死に皆さんが活動されていた時期、私たちスポーツ関係者も非常に多くのことを考える時期だったなと思っております。そこから10年、経過いたしまして、改めてこの第3期に当たって、スポーツがどういう社会的な役割を担えるのか、そういうことを非常に大きく問いかけられ、そして、2期からさらに進んだ形で、将来を見据えて、10年後、そして20年後の社会の中でスポーツが果たせる役割ということについて、皆様と一緒に考えて議論させていただく。そんな形のタイミングで非常に大きな責任のあるお仕事をいただいたなと思っております。非常に不慣れでございますけれども、皆様と闊達な意見交換をしながらよい第3期計画をまとめていきたいと思っております。どうぞ御指導、御鞭撻、そして御協力のほどよろしくお願いいたします。
そして、部会長代理として境田委員を指名させていただきました。境田委員からも御挨拶をお願いいたします。

【境田委員】 このたび部会長代理に選任されました境田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
大日方委員が第1期、第2期とスポーツ基本計画策定に御尽力されたと伺いまして、私は5年前の第2期の策定に関わらせていただきました。そのときにやはり思いましたのは、スポーツ基本計画の委員の先生方、いろいろな方々から、いろいろな見地からスポーツ普及、振興、育成、国際貢献、様々な観点から貴重な意見をいただき、それが私自身にもとても勉強になりましたし、それがスポーツ基本計画第2期の実現に至ったということで、非常に思い出深いですし、感慨深いものがございます。
今回、第3期ということで室伏長官のほうから具体的な提示がございますけれども、また、今こういう時代が大きく移り変わっていると思います。こういう新たな時代の中で、スポーツの価値をきちんと高めていく。このためにスポーツ基本計画というのは非常に重要だと思いますので、皆様の御支援、御助力をいただきながら、大日方会長を支えたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

【大日方部会長】 ありがとうございます。
それでは、スポーツ基本計画部会の発足に当たりまして、まずは室伏スポーツ庁長官より一言御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。

【室伏スポーツ庁長官】 皆さん、お世話になります。スポーツ庁長官の室伏です。本日は大変御多忙の中、スポーツ審議会スポーツ基本計画部会の第1回会合に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日はスポーツ基本計画部会の走り出しとなる大事な会でありますので、まずは、私のほうから一言お話しさせていただきます。
先週21日にスポーツ審議会総会に対して第3期スポーツ基本計画の策定についての諮問をさせていただきました。スポーツ基本法では、スポーツに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文部科学大臣はスポーツ基本計画を定めなければならないというふうにされております。現行の第2期スポーツ基本計画では、平成29年度から運用が開始されたものであり、今年度を期末とする5年計画となっております。
皆様御存じのとおり、スポーツは、楽しみ、夢、勇気や希望といったものを人々に提供するということだけではなく、健康増進、経済社会の活性化、共生社会の実現、国際協力、国際貢献など、様々な場面で人々や社会に貢献する価値を有するものです。第3期計画の策定に向けては、スポーツの持つこうした多様な価値を東京大会のレガシーとして今後どのように継承し発展させていくのか。ポストコロナ、ウィズコロナと呼ばれる新しい社会、生活様式の中で、デジタル化の進展、少子高齢化、人口減少、地域間格差といった、国内外の様々な社会的な課題や潮流の中で、スポーツがどのように社会や人々に貢献できるのか。スポーツの持つ価値を、国民の皆様、そして世界各国の方々にも共有できるように、スポーツを通じて明るい輪が広がっていくようにするためには、スポーツ庁は、スポーツ界をはじめとした様々な関係者とともに、どのような点に取り組んでいくべきかといった様々な諸論点、諸課題をしっかりと議論し、方向性を示していかなければならないと考えております。
様々な御経験を踏まえた御知見をお借りしながら、委員の皆様とともに、今後5年間のスポーツ政策の目指すべき方向性や主な施策の内容等について取りまとめていきたいと考えております。
本日以降、短期間の中で多くの会議を開催することになってしまいますけども、委員の皆様方には御負担をおかけすることもあるかもしれません。感動していただけるスポーツ界の実現のためにもぜひとも委員の皆様方の御協力を頂戴できればと思っております。何とぞよろしくお願いいたします。

【大日方部会長】 ありがとうございました。
室伏長官からもありましたスポーツの価値を国内にどういうふうに届けていくのかということをしっかりと議論させていただきたいと思います。改めて、委員の皆様の御協力の下、円滑に審議を進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議題の3つ目に入ります。第3期スポーツ基本計画については、室伏長官から御挨拶いただきましたとおり、21日にスポーツ審議会の総会に対して諮問がなされたところです。今後、第3期スポーツ基本計画について審議を行っていくに当たり、その前提としまして、事務局より、この諮問の概要等についての説明をお願いいたします。

【今泉課長】 それでは、御説明申し上げます。資料4-1、通し番号8ページ目及び資料4-2、通し番号9ページ目以降を御覧いただければと思います。
今、部会長のほうから御説明いただきましたとおり、本年今月21日にスポーツ審議会総会がございまして、そのときに室伏スポーツ庁長官から早川スポーツ審議会会長に対しまして、第3期スポーツ基本計画の策定について諮問を行ったところでございます。今後、本年度中にこの第3期スポーツ基本計画をこの部会を中心に御審議いただきまして、最終的にはスポーツ審議会総会を経て、文部科学大臣が決定することとなっております。
まず、その前提でございます第2期のスポーツ基本計画についていま一度おさらいさせていただければと思います。第2期のスポーツ基本計画でございますけれども、平成29年度から令和3年度、本年度までの5年間に行われる5か年の計画でございました。この内容につきましては、参考資料の2-1、通し番号22ページ目でございますけれども、第2期のスポーツ基本計画では4つの基本方針が出されております。つまり、スポーツで人生が変わる、スポーツで社会を変える、スポーツで世界とつながる、スポーツで未来を創るというものでございます。この基本方針の下に4つの政策目標を立てております。つまり、1つ目がスポーツを「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画人口の拡大とそのための人材育成、場の充実でございます。2つ目がスポーツを通じた活力があり絆の強い社会の実現でございます。3つ目が国際競技力の向上に向けた強力で持続可能な人材育成や環境整備でございます。そして4つ目はクリーンでフェアなスポーツの推進によるスポーツの価値の向上でございます。この4つの政策目標の下で19の施策目標を立てまして、139の具体的施策を取りまとめて、それを20の成果指標で設定して評価してきたという状況でございます。
第2期のスポーツ基本計画の進捗状況に関する評価につきましては、本年3月末のスポーツ審議会で御議論いただいたところでございます。その中の報告事項を含めて説明させていただきたいと思います。改めて資料4-1にお戻りいただけますでしょうか。
まず、第2期のスポーツ基本計画、これまでの成果として見れば、競技力向上の戦略的な支援はもとより、スポーツ実施率の向上、あとスポーツ国際戦略というものも策定いたしましたし、ガバナンスコードをはじめとしたガバナンス改革等に関する取組、こういうものを着実に進めてきたところでございます。実際に数字で見ましても、成人の週1回、または3回以上のスポーツ実施率、障害者の週1回、3回のスポーツ実施率については、計画策定時に比べていずれも大きく上昇しているところでございます。ただ、さはさりながら当初掲げた数値目標にはまだまだ十分とは言えない状況でございます。また、少子化が進展する中、運動部活動改革の問題、また、地域における青少年のスポーツ環境の整備、ここら辺が急務の課題となっているところでございます。さらに、今回、この第2期のスポーツ基本計画の期間、そして、最終年度であります本年度は東京オリパラ大会の開催が予定されている年度でございます。これまで培ってきた取組のレガシーをどうこれから国民生活に根差したものとして継承発展させていくのか。その中で、新型コロナウイルス感染症対策への対応ということはもとよりでございます。それに加えまして、今後新型コロナウイルス対応として、さらにこの推進を見ましたデジタル化に対応したスポーツの在り方、いろいろなオンラインの指導とかオンラインでの楽しみ方、そういうものも進んできております。さらに我が国が抱える少子高齢化の問題、人口減少、地域間格差、そういうものもございます。また、世界的に見て必要となる持続可能な開発の件、そして共生社会の実現の件、国内外の様々な社会課題や潮流を的確に捉えながら、取組の方向性を明らかにすることが求められている状況でございます。
さらにスポーツに関わる全ての人の人権の尊重と安全の確保というものを図っていかなければなりません。この5年間いろいろな取組を行ってまいりました。先ほど申したガバナンスコードももちろんでございます。ただ、それでも引き続きスポーツにおける暴力、また、ハラスメント、ドーピング違反というものが生じております。引き続きこのハラスメントや暴力、体罰防止、ドーピング違反の防止、こういうスポーツ団体の健全性、適正な運営管理、こういうものの徹底を図っていかなければならない状況でございます。
さらに、3月末のスポーツ審議会では、今申した中身の話に加えまして、方法論でございますけれども、4点、御議論いただきました。1点目は、レガシーを国民に広く普及していくためには、やはり施策を届けるロジスティックスの整備が必要であろうということでございます。
2点目がスポーツ庁予算につきましては、スポーツ庁発足以来、大幅な予算の伸びを示しております。ただ、さはさりながら、本年度の予算が354億円という形でございまして、まだまだ限られた財源でございます。限られたリソースを生かしながら、どう戦略的に、また、効果的に施策を進めていくのか。その配分における戦略性、こういうことも御議論いただいたところでございます。
3点目の方法論でございますが、2点目の点が言ってみれば現状の限られたリソースの配分のことであれば、3点目は、リソース自体を拡大していくということももちろんございます。人的リソース、物的リソース、金銭的リソース、その拡大を図っていくことも御議論いただいたところでございます。
そして、方法論の4点目が、エビデンスベースでの政策、計画立案でございます。改めてこの第2期のスポーツ基本計画における各指標の妥当性、さらにその政策を進める上での政策の見直しというものもございますし、また、目標を立てたものではきちんとデータとして分析され、次に生かされていく。そういうことについても研究機関との連携も含めまして、分析・評価、こことの連携の話も出たところでございます。
以上、4点を3月末のスポーツ審議会総会において御議論いただいたところでございます。これらを踏まえまして、第3期のスポーツ基本計画の策定についての諮問の中身でございます。
まず、第1の部分については、大きなビジョンのところでございます。ここでは未来社会における生涯を通じたSports in Life、生活の中にスポーツを取り入れていくSports in Lifeのビジョン等を含めまして、2030年以降を見据えたスポーツ政策の在り方の御提示をお願いしたいということを諮問させていただいているところでございます。
2030年は言うまでもなく国連の持続可能な開発目標の達成年でございます。そして、これから10年後の姿でございます。踏まえていただきたい観点といたしましては、ただいま御説明申し上げましたスポーツ基本法の理念、あとスポーツ庁設立の趣旨、そして、第2期のスポーツ基本計画の成果と課題を踏まえた形でよりよいものにしていく中身がございます。
あと、先ほど申したとおり、第2期、東京オリパラ大会をはじめといたしまして、大きなスポーツ大会がございました。この自国開催に係るレガシーをどう継承・発展し、国民に普及・還元させていくのか。この点もテーマとしてあるかと思います。
また、先ほど申しましたデジタル化、少子高齢化、人口減少、地域間格差、こういう社会の変化を踏まえた中での来るべきスポーツを通じた社会づくりの社会像、こういうものも掲げられているところでございます。
そして、先ほど申しました2030年、ここは達成年となっております世界全体の国連が定めた持続可能な開発目標、SDGsの理念、あとユネスコのカザン行動計画、これはSDGsをスポーツを通じて達成していこうということを世界全体のスポーツ大臣が決めたものでございます。この計画の動向、こういうものを踏まえながら、第3期のスポーツ基本計画を策定していくことを諮問させていただいているところでございます。
ここの部分が、言ってみれば、全体の方向性、大きなビジョンのところでございます。
第2のところが、各論かつ方法論に関するところも含まれております。つまり、第1の2030年、今後10年間を見据えながら、今後5年間のスポーツ政策の目指すべき方向性や主な施策、あと計画実効性を高めるための方策、こういうものを御提示いただければと考えております。
踏まえていただきたい観点といたしましては、障害者、女性、子供、高齢者、いろいろな、なかなかスポーツに関与しにくい環境にある多様な方々も含めて、全ての方々がスポーツに携わることができる、そういう多様な主体の参画、共生社会の実現が1つでございます。
2つ目が、スポーツのレガシーをどう国民に広く普及・還元させていくのかという観点でございますので、単にスポーツ団体との連携だけではなくて、ほかの行政機関、地方公共団体、大学、UNIVAS等を含めた学校、あと、民間事業者や研究機関との連携協力が必要になってまいります。
さらに、デジタル技術をはじめとした新技術、データの活用、これらも非常に重要な論点になってくると考えております。
また、先ほど触れさせていただきましたスポーツ審議会の議論でございました多様な財源、人的・物的資源の安定的な確保と戦略的・効果的な活用についても御議論いただければと考えております。
また、次の点も、先ほども御紹介させていただきました。それぞれの政策目標や具体的施策の達成状況に関する検証及び分析評価をしっかりやりまして、次のよりよい施策につなげていくという観点もお願いできればと思います。
最後でございます。この取組を地方、全国津々浦々の国民に届けるためには地方公共団体との連携がマストでございます。スポーツ基本法におきまして、地方においてもスポーツ基本計画というものを策定していただくことになっております。国がつくりますスポーツ基本計画と同調いたしまして、地方のスポーツ推進計画の策定に当たっての指針となるように御議論いただければと考えているところでございます。
私のほうから、諮問に関する説明は以上でございます。

【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、本日、最初の会議ということもありますので、各委員の先生方から簡単な自己紹介もいただきつつ、ただいま事務局から御説明をいただいたこの諮問を踏まえまして、御意見等頂戴できればと思います。お時間も限りがございますので、恐縮ですが、各委員3分程度で御発言をお願いできれば幸いでございます。もし御発言の御準備、整った方がいらっしゃいましたら、順に挙手をいただければ幸いでございます。また、ウェブ会議により御参加されている委員におかれましては、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。どなたからでも結構ですので、口火を切っていただける方、いらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。では、諸橋委員、よろしくお願いいたします。

【諸橋委員】 3分ですので、短めで。今期より委員を務めさせていただきます一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子と申します。2011年の東日本大震災をきっかけに、復興支援活動を通じてスポーツの持つ力を再認識し、財団を設立いたしました。そして、そのスポーツを通して社会文化振興ですとか、スポーツ文化振興、将来を担う子供たちのための活動をしてきて、今まで約10年間で60万人の子供たちにスポーツの機会を提供してまいりました。
東日本大震災以前は、約20年間、総合商社で勤務し、その後、現在のスポーツ小売業ですとか、マーケティング会社を有するゼビオホールディングスの経営に携わっておりました。そのほかスペシャルオリンピックスですとか、国際バスケットボール連盟、NBA、PGAの下部組織であるジュニア教育機関等で国内外のスポーツ団体の委員や役員を多数務めております。
このたび第3期の計画の策定に向けて期待ということなんですが、3点ほど述べさせていただきます。立場としては、民間企業と、いわゆる非営利、営利の立場から、両方の立場からになります。
まず1つ目は、学校におけるスポーツ教育の問題です。現在、運動部活動は指導者不足や少子化によるチーム人数不足、そして地域間によってスポーツ格差が生じていること、危機的状況にございます。皆さん御存じだと思います。そんな状況だからこそ、クオリティーの高いスポーツ教育、全ての子供たちに届けるための取組をしていくべきだと思っております。小学校、中学校、高校の年代によって子供たちがスポーツを通して得られる経験や知識を細分化し、どのような施策で彼らのスポーツ環境をつくっていくか、議論することが重要であると思っております。
2つ目は、スポーツ産業の拡大です。スポーツ人口を拡大するために忘れてならないのは、スポーツに興味がない人、苦手な人、いかにスポーツと関わる機会を提供するかです。例えば私が取締役をしておりますクロスマーケティングスポーツというところでは、3×3、バスケの大会運営をしておりますが、コンパクトな運営パッケージの強みを生かし、行政と連携して、地域振興を兼ねた取組を行っております。このように、スポーツをしない方々、興味のない方々にいかにアプローチするために民間連携できるかということを、ぜひ施策を考えたいと思っております。
最後に、今申し上げました2つが循環型になることです。この重要性はプロスポーツ、大学、スポーツ産業、教育産業等が連携し、相互利益となるシステムを構築し、スポーツビジネスとして運用することは多様な財政の資源の確保につながります。この財源を再び子供たちのスポーツ教育の整備に回す、そういった循環型をつくり出すような施策をこの部会で御提言し、議論させていただきたいと思っております。ありがとうございます。

【大日方部会長】 ありがとうございます。3点について御提言をいただきました。
それでは、ほかの委員の皆様、いかがでございますでしょうか。では、森岡委員、よろしくお願いいたします。

【森岡委員】 私は、元高校の保健体育科の教員で、部活動の指導者としても、7年間勤めました。その後、県の教育委員会や文部科学省においてスポーツ行政に携わってまいりました。
近いところでは、2001年から2011年にわたる旧スポーツ振興法での「スポーツ振興基本計画」、2010年の「スポーツ立国戦略」、さらには2011年の「スポーツ基本法」の策定に事務局として携わらせていただきました。
現在、日本スポーツ協会において民間のスポーツ統括団体として業務を行っているところです。
私から3点ばかりお話しさせていただきたいと思います。
1点目はスポーツ参画人口を増やすということです。第2期の基本計画の中にありますが、その中では、やはり国、地方公共団体のスポーツ関係予算を安定的に確保していくというのは大事だと思っています。これに加えて、我々は、スポーツ団体、あるいは個人による新たな収益力向上の仕組み、プラットフォームを現在、研究しています。このことは国、地方公共団体のスポーツ関係予算、スポーツ振興くじからの助成への依存度を少しでも少なくし、自らが収益力を上げる努力が大事であることを踏まえた取組です。そして我々も含めたスポーツ団体の経営力を強化の一環として、JSPOが保有するデータを活用して民間企業と連携して新たなサービスをつくっていくということ、さらには多様なステークホルダーである、地方公共団体、学校、民間事業者、研究機関との連携協力体制を実現していくことも大事であると考えます。
2点目はコロナ禍におけるスポーツ界への支援です。これはスポーツ庁に多大な御協力、御支援いただき、令和2年度の第1次補正予算、第2次補正予算、第3次補正予算を計上していただき、子供の運動不足解消のための運動機会を創出すること、並びにスポーツ団体・個人のスポーツ活動への支援を行い、令和3年度も引き続き、行わせていただくこととなっております。
3点目ですが、大きなビジョンにおいて、未来社会における生涯を通じた「Sports in Life」ということが挙げられました。2030年を一つのゴールとして、JSPOが取り組むべきことが5つあります。
1つ目は、運動部活動改革への対応です。現役の教員、あるいは部活動指導者、民間の指導者向けに研修会を実施する際に当たって、我々が開発した「モデル・コア・カリキュラム」を導入できないかと考えております。また、部活動での指導を経験した退職教員に対して、我々が養成する「スタートコーチ」の資格を取得していただく仕組みを構築することも検討したいと考えております。
2つ目は、去る4月21日のスポーツ審議会総会で当協会の伊藤会長が話しましたが、「Japan Games」を中核としてスポーツの価値を向上させていくため、新たなデジタル技術の活用等により「スポーツファン」を獲得していくことを考えております。
3つ目は、JSPOがこれまで養成してきた約19万人の公認スポーツ指導者の資質向上と活用です。
いわゆる「モデル・コア・カリキュラム」を活用し、教員のリカレント教育への導入、及びパッケージ化して販売・普及ということを考えております。
4つ目は、インテグリティに関して、不適切な指導に対する処分権限を拡大し、統一することです。
最後の5つ目は、子供の運動遊びに関わることです。保護者に対してスポーツの価値教育をどのように理解してもらうかということ、幼稚園、保育園などの未就学児、あるいは全国小学校の体育授業へJSPOが作成した「アクティブ・チャイルド・プログラム」(ACP)の導入をいかに実現するかを考えております。特に、10年後に改訂が予定される学習指導要領や解説の中においてJSPO‐ACPの記載をお願いしたいと考えております。
以上となります。

【大日方部会長】 森岡委員、ありがとうございました。3点、お話をいただいて、さらに各論、2030年に向けて、5点、御提言をいただきました。
それでは、ウェブのほう、オンラインで、太田委員、御発言をお願いいたします。

【太田委員】 皆さん、こんにちは。日本フェンシング協会の太田です。私は、今フェンシング協会という、所帯もそこまで大きくない連盟の会長をやっています。あとまた、国際フェンシング連盟の副会長もやっています。
私、2017年から会長をやらせてもらっているのですが、もともと協会の中に協会理念というものがなくて、いろいろなNFさんを見に行っても意外にどこのNFさんも理念というのが掲げられてなくて、まず理念をつくるところから始めました。その理念を基に、勝利至上主義からの脱却という中で、フェンシングがほかの競技団体のロールモデルになるべくいろいろな取組をさせてきておりました。その理念に沿った形でのマーケティングであったり、PRということをすることで、比較的小さな団体ではありますが、かなり先進的な取組がしてこられている状態ではあります。
また、スポーツ庁さんのほうから、スポーツガバナンスコードを出していただいたのですけども、なかなか我々のような、かなり小さい競技団体にあれをはめていくのは結構苦しかったんですけども、我々、女性比率の40%は恐らく達成できるのではないかというふうには思っております。数字だけの問題ではないのですが、また、かなり機能的な形で、6月以降、皆さんにお示しできるのではないかと思っております。
私は協会の会長としてやってきた中で言いますと、中央競技団体と地方自治体との連携というのにかなり力を入れてきています。先ほど部活動のところ、諸橋さんからもありましたが、我々は最終的には県立、公立高校とか、学校は自治体で一つのクラブを持っていただくような形、いろいろな学校の学生たちが集まって、それを部活認定していくようなことを自治体と協業できないかということを話していただいたりとかしております。実際に元日本代表の選手たちをそこの自治体にコーチとして派遣もしています。
また、地方自治体のところで言いますと、NFとしては初めて、佐賀県とふるさと納税を通してNFを支援できるというような枠組みなんかもつくっております。これは今後いろいろなNFさんも取り組まれていくのではないかというふうに思っている一つのロールモデルかと思っております。
また、ビズリーチさんと兼業・副業モデルというものもつくりまして、現在、副業・兼業でプロフェッショナル人材を集めてくることにも成功して、これは非常にうまくワークしていますので、もし興味ある方がいれば、我々、常にシェアしていきます。
難しかったところで言いますと、やはりスポーツ団体の連盟はおのおのがかなり違った目的意識の中のステークホルダーが多いと。ある人はオリンピックが大好きだし、ある人は国体が大好きだしという、なかなか皆さんの意思統一をしづらかったというのが本音です。これをNFとして全部まとめていくのは、かなり根回しが上手で、かつ、経営能力が高い人間がトップをやらないとうまく回らないのが本音と実態だと思っています。ですので、結構スポーツ庁さんのような、かなり上の団体の方々から強い意思を持ってこれをやるのだということをやっていただけたほうが、地方競技団体としては組織をまとめやすいのかなと思っております。
以上になります。すみません。駆け足になりましたが、ありがとうございました。

【大日方部会長】 太田委員、ありがとうございました。NFのトップの会長としてのお立場から、NFの理念の創設のことでありますとか、自治体とNFの連携の取組、それから副業・兼業の人材の活用といった点についてお話をいただきました。ありがとうございます。
それでは、尾縣委員、お願いいたします。

【尾縣委員】 皆様にはいつもお世話になっております。日本オリンピック委員会、強化本部長の尾縣と申します。筑波大学の教員、それから、日本陸連の専務理事も務めております。私、30歳後半ぐらいまでは、スポーツ科学であるとか、学校体育という研究畑を歩んでいたのですが、どういうわけかちょっと線路が変わってしまいまして、こういった競技力向上、あるいは組織のマネジメントを中心にやっております。本日はJOCの立場でお話しさせていただきます。
JOCは長きにわたり、国際競技力、それから、オリンピックムーブメントの推進を役割として活動してきておりまして、競技力向上に向けた各種事業、選手団の派遣、様々な形でのオリンピックムーブメントの推進事業を実施してまいりました。この第2期のスポーツ基本計画におきましても、その役割は主として国際競技力の向上、アスリートや指導者の人材育成、キャリア支援の部分を担ってまいりました。また、この夏に控えております東京オリンピック開催に向けましては、自国開催という、本当に絶好の機会にJOCが達成すべき目標を明確にし、公表してまいりました。どうしても日本代表選手団の金メダル獲得数30個という、数値目標ばかりが発信されてしまいまして、そこに多くの注目が集まりますので、2017年にJOC将来構想で明示した「アスリートの育成強化」、「オリンピズムの普及・推進」、「国際総合競技大会の派遣・招致、並びに国際化の推進」という3つの役割に基づいて「JOC GOAL & ACTION FOR TOKYO 2020」を2020年1月に公表しました。皆様の机上に置かせていただいておりますので、また後ほど御覧ください。このうちのアスリートの育成支援は健全な人間力を礎とした競技力向上を目標としております。そして、オリンピズムの普及・推進は、国民にスポーツの価値を伝えることを目標としております。そして、最後に国際総合競技大会への派遣・招致、国際化の推進は、国際平和とプレゼンス向上を目標としております。
それぞれの目標と目標達成に向けた戦略につきましては、JOCでは各施策レベルまで検討し、対外的に分かりやすい表現とボリュームで発信しております。この東京2020大会後には、各目標の達成度を検証しまして、北京2020はもちろん、その後のスポーツの発展、それから社会活性化への寄与につなげていくことが重要と考えております。現在、策定中の2022年度からのJOC中期計画におきましても、その実現に向けて検討しております。JOCがこれらの役割を果たすためには、スポーツ庁、そしてJSC、JPC、JSPO、各NFをはじめとして多くの関係団体の皆様の御支援が必要だと思っております。皆さんとの連携を通しまして、ぜひスポーツの価値を守り、創り、伝えていきたいと考えております。どうかよろしくお願いします。

【大日方部会長】 尾縣委員、ありがとうございました。JOCの将来構想等につきまして、御説明をいただきました。
それでは、オンラインの益子委員、よろしくお願いいたします。

【益子委員】 はじめまして、益子直美と申します。バレーボールをやっておりました。と言っても、もう引退して30年ぐらいたってしまうのですが、私自身は2014年から監督が怒ってはいけない小学生バレーボール大会というのを開催しております。そして、先日、自分の尻をたたくつもりで、火をつけるつもりで、一般社団法人監督が怒ってはいけない大会というのを立ち上げまして、代表理事を務めております。
ぜひ皆さんに知っていただきたいなと思って、早めに手を挙げました。7年、この活動をしてきて、子供たち、小学生のスポーツをやっている環境で、暴言やパワハラ指導などがなくなるように努めてまいりましたが、なかなか広められていないのが現状です。そして、アスリートの仲間もたくさん募りたいなと思って活動してきましたが、やはり顔を出して、手を挙げて、声を上げるということがなかなかしづらい活動なのだなということをつくづく感じております。私自身も自分の経験から、中学生、高校、学生時代は、パワハラというか、手を上げられる指導が、そんな昭和の指導だったので、それが当たり前だったのですけれども、やはり少しトラウマになったり、心に傷があったりということで、絶対小学生の頃の環境は、とにかくスポーツは楽しいと思えるような、継続できるような環境づくりをしていきたいなと思って、細々とですけれども、大きい団体などには所属せず、あくまでも個人で活動をしてまいりました。
さすがにちょっと限界があるなと思い始めているところで、やはりいろいろな競技の方たちと話をしていくと、小学生の環境で、試合数が、例えば大会が多いとか、あとはやはり怒りが生まれてしまうトーナメント制のシステム、やはり勝利至上主義が常に頭に掲げてしまっていると、子供たちは全員が楽しめない。能力の高い選手だけで、やはり身体能力や運動能力が低い子供たちは取り残されてしまっているという状況があります。そして、やはりパワハラ指導では考える主体性とか、自主性というのは育たないなと思っております。ぜひぜひ子供たち、まだ小さいですけど、判断する力もあると思います。私もいろいろなデータを見てきましたが、大人のパワハラ指導、暴言などが子供の脳にどれだけ悪影響があるかなどというデータが、やはり大人向けのものが多いので、ぜひ子供でも理解、判断できるような、そんな簡単なデータが出てくる、できると、私も活動していてすごくいいなと思っております。
スポーツは本当に人間力を育てるすばらしいものだと思います。ぜひぜひ子供の環境を整えていけるように私も微力ですが、やらせていただきたいなと思っております。まずは、小学生のスポーツのシステムでトーナメントを少し少なくする。私はほとんどなくて、リーグ戦などでいいのではないかななんて思っておりますが、そういうシステムを変えていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【大日方部会長】 益子委員、ありがとうございました。小学校の頃にやはり運動が嫌いになってしまう、勝利至上主義であまりにもやり過ぎてしまうと、将来にわたってスポーツ嫌いの子供をつくってしまうのではないかという現状に対するお話をいただいたと思います。
それでは、ほかに。では、髙橋委員、次いで結城委員という順番でお願いいたします。

【髙橋委員】 御指名ありがとうございます。日本障がい者スポーツ協会常務理事、日本パラリンピック委員会副委員長の髙橋と申します。私自身は東京ガス株式会社という民間企業から出向しております。第2期スポーツ基本計画におきましても、基本計画部会の委員を拝命いたしました。
現在の第2期スポーツ基本計画は、私ども障害者スポーツに携わる者にとりましては画期的な計画だったと思います。すなわち、2014年に障害者スポーツが厚労省から文科省へ移管され、2015年にスポーツ庁が創設されたことを踏まえた初のスポーツ基本計画が第2期でありまして、計画の中に障害者スポーツの振興に向けた各種施策や障害者スポーツの実施率目標が初めて示されるなど、まさに初参加にふさわしい意欲的、画期的な計画だったのではないかなと思っております。次回の第3期の計画策定に当たりましては、障害者スポーツに関しては2度目となりますけれども、以下の3点を大切に議論していくべきだと考えております。
まず1点目は、第2期スポーツ基本計画の評価と反省をしっかり行い、継続すべきもの、見直すべきもの、やめるべきものをきちんと整理することが大切だと思います。特にうまくいかなかった施策、効果が薄かった施策や目標などについては思い切って取りやめて、その分を新規施策の展開に振り向けていくことが大切ではないかと思います。
第2点目は、共生社会の重要なキーワードは多様性だと思いますけれども、多様性の前提となる違いを意識した計画としていくことが大切だということであります。例えば、都市部と地方との障害者スポーツの実態の違い、草の根スポーツと競技スポーツとの振興の違い、学校体育と地域スポーツの役割の違い、「する」「みる」「ささえる」のおのおのの参画の違いなど、それぞれの違いを大切にしながら、画一的・一律的な取組だけではない、多様性にも配慮した議論をすべきだと考えております。
3点目は、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを最大限生かすことが大切であるということであります。第2期でも掲げているスポーツにより人生が変わる、社会を変える、世界とつながる、未来をつくるというスポーツの価値を、オリパラのレガシーとして、さらに具現化するような施策を展開することを期待したいと思っております。
以上3点を申し上げました。
最後に、私ども日本障害者スポーツ協会は、本年3月16日に、2030年ビジョンを発表いたしました。その中ではアクションプランの目標として、例えば学校における障害者の児童体育の見学者ゼロ、今残念ながら、障害のある子供さんたちは体育を見学せざるを得ない状況にあるということをゼロにしようとか、地方スポーツの発展なくしてスポーツの発展がありませんので、そうしたことをどうやっていくかというような取組施策を公表しております。そうした具体的なことについては、今日は1回目ですので、改めて今後の基本部会で議論させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【大日方部会長】 ありがとうございました。3点、お話をいただきました。
それでは、結城委員、よろしくお願いいたします。

【結城委員】 ありがとうございます。私、新聞社の編集委員を今務めておりまして、ここまでオリンピック、13大会、それから、パラリンピック8大会への取材をし、27年、28年ぐらい、国際オリンピック委員会など国際スポーツ界の取材を軸にしております。ただ、昨今、東日本大震災、それから、今のコロナ禍も含めて、やはりスポーツって何だろうと。スポーツが私たちに、そして私たちの社会にとって持っている価値とは何だろう。そういうことをいろいろな方に教えを乞いながら、伺いながら、まとめていく、そういう働き、仕事をかなり軸にやるようになっております。
実は第2期の基本計画にも、髙橋委員のように関わらせていただきました。第2期というのは、東京大会、オリンピック・パラリンピックの開催を控えた社会でスポーツの価値への気づきをどう呼ぶかと。そういう期待もあって、それをどう人々に伝えて実践を促していくかという形を取りました。効果はあったと思うんですけれども、目標に到達しなかったという御指摘もいただいています。意図はよかったけれども、自分事として人々が、皆様が考えていただいて、行動変容につなげていただくような流れが弱かったのかもしれないと感じます。
私、過日のスポーツ審議会総会でも、第3期の計画というのは、やはり昨年来の社会の変化、コロナ禍というものを踏まえて、一つの議論の下地にすることが大切ではないかと申し上げてまいりました。その理由を少し共有させてください。コロナ禍で皆さんも同じだったと拝察いたしますけれども、スポーツって何だろうと。本当にスポーツの本質って何だろう。スポーツが世界中でなくなってしまって、また、戻ってくる。だけど、ちょっと形が変わっている。そういう経験というのは、戦争以外では恐らく初めてじゃないかと思うんです。その中で、突き詰めると、その価値というのは、私たちにとって、それから社会にとって何だったんだろうということを随分考えさせられました。スポーツのない時期だって私たちは生きていたんだからいいじゃないのと言う方もいらっしゃるかもしれません。オリンピック・パラリンピック、本当に開けるのって、おっしゃっている人もいらっしゃるやにお見受けいたします。でも、その中ででもスポーツというもののすばらしさも見えたよねというところを共有の一つの土台にできればと感じています。
例えばでございますが、もちろん、この自粛の間、自分や家族の心と健康を守るための体を動かすことの価値、楽しさ、心にとっての楽しさの再発見。それから、ある意味で、スポーツがなくなり、戻ってきたという経験から、人々は自分自身の体験を経て、スポーツとは何かが自分事になったんじゃないかと。それをつかまえ、そこから訴えかけるということは、行動変容を促すポイントになるのではないかと感じています。中長期的にもコロナ禍のもたらした気づきや社会の価値観の変化、恐らくこれから決して全てが元に戻るわけではないのではないかと私感じていますし、ある意味で様々な影響が社会経済、そして政治に出てまいるのではないかと思っています。それをどのようにしたら、スポーツを私たちの生き方、そして社会をよりよくする触媒にできるのかという視点に立つことが、大事な出発点になると思います。
経済への影響が長引けば、当然のことですが、じゃ、どこに配分をするのかという優先順位が大切になってまいります。そこで、スポーツというものをなぜ重視すべきなのかという部分で、どれだけ、それが自分にとって、社会にとって、そして、もちろん施策の観点から価値があるのかによって判断をされることになっていきます。それは、ある意味で、スポーツの価値を高めて、それを認知してもらうためにどうしたらいいのかという視点なしには、施策を社会に広く受け入れてもらえない可能性があるということかと思います。デジタル技術という御指摘ありましたけれども、例えば今、IOCなども入って、離れていても共にスポーツができるオンラインを使いながら模索するような試み、来月から始まるやに伺っています。逆に言えば、これはコロナ禍の中での試みだったのですけれども、少子高齢化で人数がそろわない等々、それから、ある意味で御高齢の方でコロナ禍でなかなか集えない。そういった部分のいろいろな形の進展に資する手段になる可能性もあると思います。
それから、室伏長官の先ほどの御挨拶で、最初に、スポーツの楽しみ、最後にスポーツの感動とおっしゃいました。それが印象に残っています。心への影響というもの。教育というふうに言い換えてもいいんですけども、この心への影響というものを何らかの形で、目に見える形で評価できないか。これは本当に長い間いろいろな方にも訴えかけていることでございますが、生きる上でスポーツはなぜ私たちに必要なのか。スポーツ、スポーツ文化と言い換えてもいいです。心を保ち、身体を保ち、人とのつながりを持つということは人間にとって一体何なのか。そこを何らかの形で評価することができれば、スポーツの価値というものは、物すごく目に見えるようになっていくのではないかという気がしています。
最後に、例えば卑近な例ですけれども、人と人をつなぐというスポーツの価値がございますね。昨今の状況で、地域や組織で共にスポーツをする、それから一緒に見るということもあまりできなくなった、それって本当に価値あるんですかという問いかけがある可能性がある。でも、今オリンピックの聖火リレーが地域を回っていて、これを報道とかオンラインとかで拝見をしていて、人々が笑顔で手を振っている。それを応援する人がいる。そして、それぞれの人が人生を持っている。それを見聞きするたけで、これまで自分の中で本当に不安とかで乾いてしまった心の中に何かが生まれるような気がしています。他者への共感や感動というのはこんな大事だったんだなと。スポーツというのはそれをある意味けれんみなく示してくれる機会になるんだな。もしこれがオリンピック・パラリンピックの開催で、世界中から選手が集い、そしてそれを応援する世界中の人々の話が我々に伝わってくる。そういう時期になったときに、それを我々がどう感じるか。それが人をつなぐということなんじゃないか。そういう部分というのは本当にいわゆる金銭になかなか換算のできない、だけども、物すごく大きな部分であるやに思いますので、そこも踏まえて、いわゆる施策、それからスポーツの価値をどう高めるかという部分をぜひ盛り込んでいけたらと念じています。皆様とこれから一緒に議論ができるのを大変楽しみにしております。

【大日方部会長】 結城委員、ありがとうございました。第2期の基本計画、非常によいものだったけれども、行動変容につなげていくという、この点をもう少し今期は考えていきたい。コロナ禍で、スポーツが自分事化できる、できたのではないかという視点、そして、心への影響を目に見える形で評価する何らかの仕組みなのでしょうか。評価できるようなものをつくって開発をしていくべきではないかという御提案、御提言をいただきました。
それでは、菊委員、お願いいたします。

【菊委員】 筑波大学体育系で教員をやっております菊と申します。私は、今、日本スポーツ社会学会の会長をやっておりまして、専門は体育社会学、スポーツ社会学ということで、主に歴史社会学という分野で少し研究をしております。ここには恐らく学識経験ということで参加させていただいていると思いますけれども、あとは日本体育学会、今年度からは日本体育・スポーツ・健康学会という学会に名称変更しましたけれども、今それの副会長もさせていただいております。
そういう立場でこれまでの基本計画の在り方でありますとか、スポーツ基本法そのものもそうですけれども、実は2011年に基本法ができたときに、先ほど森岡委員、JSPOを代表されておっしゃっていましたが、JSPO、JOCの共同宣言でスポーツ宣言日本というのを発出しました。これは非常に画期的だったと私は思っていますけれども、その中でスポーツとは何かということ、スポーツの定義というのをちゃんと明確に示しているんですね。基本法のスポーツの定義を見ますと、実は非常に残念ながら、まだやっぱり体育なんですよね、基本的なコンセプトが。どうも日本人はやっぱり体育とスポーツの区別がまだよくついてないところがあって、文化としてのスポーツという言い方もするんだけれども、じゃ、文化部と運動部って何で学校で区別するんだとか、いわゆる文化としてのスポーツの考え方というのも非常に不明確なところがあるような気がします。私は、そういう言葉に物すごくこだわるところがありまして、それはこれからのコンセプト、推進を目指して、基本計画をしていく場合にでも、よって立つところのコンセプトがしっかりしてないと、ボタンをかけ違えると結局は無駄な計画になってしまったり、内容がなくなってしまったりするんじゃないかということを危惧しております。
例えば、皆さんどう思われるか分かりませんが、スポーツ振興という言葉をずっと政策用語として使ってきたんですけれども、ほとんどスポーツ振興ということは今、聞きませんよね。恐らくスポーツ推進であるとか、プロモーションという言い方をしていると思うんですね。これはどう違うのかということをやはり根本的に考えていく必要があるんじゃないかと思います。
それから、先ほどのコロナ禍の話で、不要不急の外出は避けてくださいと言われるんだけど、スポーツをやることは不要不急でないのか、不要不急なのか。どっちなんだと。一般的にスポーツは控えてくださいということになるんだけど、本当に価値のあるものであればそれはその人たちにとって非常に大事なものであるはずなので、いろいろな困難があっても、やはりそこに関わろうとするのではないか。そういう力、そういう導き方を日本のスポーツ界がやってきたのかどうかということですね。そういうことも考えていかなければいけないと思います。
それから、Sports in Lifeという標語を掲げていながら、どうもやはり日本というのはイベント中心なんですよね。生活の中でスポーツをと言っていながら、何か大会を開かないとスポーツをやった気にならないという、そういう矛盾ですね。そういうこともしっかり考えていかなければならないんじゃないかと思います。
それから、私はスポーツの起源だとか、近代スポーツの研究もやり、またその中で、暴力の研究もやっていますけれども、スポーツというのは簡単に言うと面倒くさいんですよね。体をわざわざ不自由にする、障害を持った体にするんです。そのことが実は楽しいということを発見したという人たちがいるわけですね。むしろ、目的に対して合理的にやるんだったら、バスケットだったら3歩以上歩けばいいんです。だけど、3歩以上歩いちゃいけないというわけですね。ボールをゴールするだけだったら、手を使って、足を使って、何でも使えばいいんです。だけど、手や足を使っちゃいけないというルールをつくるんですね。要するに、スポーツというのは物すごく不自由な体をわざわざつくっておいて、その上で自分たちが楽しみを見いだすという、ある意味では、非常に不可思議な、そういう文化なんだと。そういうものが今なぜ求められているのかということをしっかり我々は考えていく必要があるんじゃないか。その上できちんとした見通しを持って、ロジスティックスにシナジー効果がちゃんと考えられるような計画にしていきたいなというふうには思っております。
ちょっと余計なことを申し上げました。以上です。

【大日方部会長】 菊委員、ありがとうございました。スポーツの言葉は非常に大切だよねということで、基本法、この基本計画というところも、もう少し整理を、言葉の整理もしたほうがいいのではないかというような御提言もいただいたと思います。次回以降、ぜひまた御提言をいただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、一度オンラインのほうの秋元委員、そして大塚委員という順番でお願いしたいと思います。

【秋元委員】 ありがとうございます。札幌市長の秋元でございます。第3期のスポーツ基本計画の策定に当たっての部会委員としてお声かけをいただきまして、ありがとうございます。私は、地方自治体という立場でこの議論に参画をさせていただきたいと思っているところであります。
御案内のとおり、国におきましては、スポーツの果たす役割の重要性に鑑みまして、スポーツ立国の実現を目指しているところでございます。これを具現化するために、各自治体におきましても、スポーツ振興の計画を策定しております。自治体におきましても、このスポーツの力でまちづくりをしていく、そのことの重要性ということと非常に強く感じているところであります。
札幌におきましても、スポーツ元気都市さっぽろということを表題として、市民の様々なスポーツ活動に対する取組ということを進めているわけであります。御案内のとおり、札幌は人口約200万人という都市でありますけれども、年間に5メートルもの雪、降雪がございます。そういう意味ではウインタースポーツが非常に盛んではありますけれども、それだけではなくて、これまでも冬季オリンピックを開催したという経験もございますが、このほかに、サッカーのワールドカップであったり、ラグビーのワールドカップ、こういった様々な国際大会というものも開催してきております。こういった大会で身近にトップアスリートの活躍を見るということで、子供たちに多くの希望を与えるということ、感動を与えるということはもちろんなのでありますけれども、こういったレガシーをしっかりとまちづくりの中に生かしていく、そういったことを進めていきたいと考えてございます。
今、2030年の冬季のオリンピック・パラリンピック招致に向けまして、JOCの国内先行都市、候補都市ということで一緒に活動しております。東京2020大会、こういったものを含めて、国際的な大会の、さらにスポーツの普及ということについて、レガシーの継承・拡大ということに取り組んでいければと思っております。
一方で、多様なスポーツの参画ということで、先ほど来お話がございますけれども、少子化の中で、学校の部活動、こういったものを継続するための人材育成であったり、指導者の育成と、こういったことにつきましては、多くの自治体がやはり悩みを抱えております。そして、スポーツ施設の維持、更新の予算、財源ということについても多くの自治体が頭を悩ませているという状況があろうかと思います。そういった地方の声を、ぜひこの部会の中でも届けていければと思っております。
加えて、コロナ禍の状況の中で、新しい取組ということも進んでおります。具体的には札幌マラソン、あるいはスキーマラソンにおいて、オンラインでの参加という取組をしてまいりました。これはなかなか人が集まれないという状況でありましたけれども、新しいデジタル技術の活用ということで、新たな方向性、可能性ということも見いだせたのではないかなと思っているところであります。こういったこと、様々な課題、あるいはこれからの期待ということについて、今回の3期の計画策定、これは地方にとっても非常に大きな指針になっていくものだと思っておりますので、現場の声、地方の声をこの部会の中に届けさせていただいて、諮問にお答えをしていきたい、このように考えているところでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【大日方部会長】 秋元委員、ありがとうございました。地方の立場からということでスポーツの力でまちづくりをしていきたいという御提言を今後いただけるというふうにお伺いいたしました。
それでは、大塚委員。そして、ちょっと先に順番だけ申し上げさせていただきます。続いて、その後、藤田委員、石塚委員という形でお願いいたします。

【大塚委員】 ありがとうございます。日本トライアスロン連合の専務理事をやっています大塚でございます。また、国際トライアスロン連合、今名前が変わりまして、ワールドトライアスロンの副会長もやらせていただいています。両方の面から見させていただき、お話をさせていただければと思います。また、第2期のときも大変お世話になりまして、そのときからこの基本計画に携わることができまして、大変うれしく思っております。
競技団体という立場でお話しさせていただくわけですけれども、競技の特性によって競技団体も様々な形がございます。私どもトライアスロンは、オリンピック・パラリンピックの両方を総括している団体であり、エリート競技者だけじゃなく、一般参加者の方まで登録して、一緒にやっている団体でございます。そういった意味では、私どもの団体は競技団体イコールサービス機関だと。会員の方々、加盟団体に向けたサービス機関だという概念でやらせていただいています。
そして、コロナ禍の中で我々が得たものとしては、地域の重要性、それから、やっぱりスポーツの原点回帰、この2つを非常に感じております。
さらにもう一つは、コロナ禍になって、いかにグローバル化がスピードアップして進んでいるかというところです。この3つの観点から申し上げたいと思います。
原点回帰という部分で言えば、スポーツは何だろう。スポーツ・イコール・プレー・イコール遊び、この概念をもう一度取り戻そうということで、ターゲットを子供たちに向けた活動をさせていただいています。その活動のベースとなる場所が地域ですね。都道府県、地域です。その地域も、今お話がありましたように、少子化だとか部活動問題が出ていますが、我々はトライアスロンのコミュニティーとか、クラブ、スクール、それからスイミングクラブですね。こういったところと連携して、どんどんトライアスロンをやる子供たちや大人の人たちを広げていこうという政策を取らせていただきました。
そして、グローバル化の部分ですが、いかにコロナでZoom会議、その他のオンライン会議が増えて、海外との会議は全て広がり始めています。選手の競技説明会もルール説明会も全てオンラインで行われる時代に入ってきました。このときにどのように競技者が対応していくべきかというところの、早々とガイドラインをつくって、進んでいこうということで、プラットフォーム化、また、デジタルベースになった、いろいろなものをつくり始めさせていただいていますが、こういったものもほかの競技団体と共有できれば、もっと早いなと思っておりますので、ぜひとも新しい様式のスポーツのプラットフォームができればいいなと思っております。
スポーツの価値を高めるためにぜひともお願いしたいのが、それぞれの役割が第2期のときからさらにもっと明確にしていくべきじゃないかなと思っております。我々競技団体、スポーツ産業界、メディア、JOC、JSPO、スポーツ庁の皆さん、それぞれの立場の役割は一体何なんだろうかというところが今後示されていければ、非常にNFは奮い立つのではないかなと思っています。
最後に、先週、広島のほうで、海外11か国から選手を迎え入れて、大会をやらせていただきました。再来週は横浜で40か国を迎え入れて大会をやらせていただきます。スポーツ庁の御指導の中で新しい迎え入れ方をしていくわけですけれども、このことに取り組むNFの中で新しいテーマに対して多くの人材が育ちました。本当に奮い立っています、今や競技団体は。ぜひともオリンピックに向けて、機運醸成というのはまさに選手たちが競技をすることを示すことだなということを感じております。
Sports in Lifeイコール・ロングライフ・スポーツというふうに捉えて、第3期の基本計画のほうに意見を申し上げていきたいと考えております。ありがとうございます。

【大日方部会長】 ありがとうございました。NFはサービス産業というふうにおっしゃいましたかね。スポーツ、NFの役割ということから、しっかりとこのスポーツ基本計画の中でもそれぞれの役割を明確にするべきという御提言をいただきました。
それでは、藤田委員。オンラインで御参加、御発言をお願いいたします。

【藤田委員】 皆さん、こんにちは。愛知県にあります日本福祉大学に勤めております藤田と申します。よろしくお願いします。私は、研究分野としては、菊委員と同じスポーツ社会学、体育社会学ということになりますが、対象が障害者のスポーツでございます。ですので、障害スポーツの推進ということに長く関わって研究もしているということになります。また、2000年から、皆さん御存じでしょうか、ボッチャという競技があるんですが、そちらの普及・強化にも関わっております。
私は、スポーツ基本計画、5年ということなんですが、ただ5年で終わりということでなくて、長期で私たちはどっちの方向に向いていくのかという長期的な方向性をきちんと明確にした上で、その5年5年の計画を具体的な施策を考えていくべきではないかなと思っています。そのうちのまず1つ目が、これは本当にどういう、子供のスポーツにも、障害者のスポーツにも、高齢者のスポーツにも全てに当てはまると思うんですが、とにかくスポーツ好きをいっぱいつくりましょうということを、私たちスポーツに関わっている者というのは強くするとか、あるいは上手になるということにすごく価値を置いていますけども、それに加えて、スポーツを好きになってもらうためにはどういう指導がいいのかということですね。それを考えるべきだと思います。そういった意味では益子委員のされている取組というのは非常にすばらしい取組じゃないかなと思います。
様々なところで、例えば障害者スポーツに限って言っても、途中で障害を持った人というのは、大体スポーツをやっている人というのは、障害を持つ前からスポーツをやっている人が多いんですね。そういったことを考えると、やはりスポーツ好きをたくさんつくっておくというのがスポーツに参画していく人を増やしていくための一番の方法ではないかと思います。これは長期的に見ていくという。
もう一つが、共生社会の実現ということです。これはいきなりということはなかなか難しいかもしれませんが、私たちが進んでいく方向性をきちんと日本全国に示すために、例えば競技団体であるとか、あるいは地方のスポーツ協会であるとか、そういったところが障害スポーツ関連の団体と連携をしていく、そっちの方向へ進んだよというのを見せられるような計画が示せるといいのではないかなと思っております。
そして3点目、これが最後になりますが、地域で、地方で、特に障害者スポーツを推進していくような体制をしっかりとつくるということが必要かと思います。地方のスポーツ推進計画であるとか、あるいはそれをつくる推進協議会であるとか、そういったところで障害者スポーツをきちんと位置づけるというのはすごく大事なことですね。それを位置づけることで予算もつけられるし、推進が進んでいくという。もう一点は、地方でも様々な組織が連携していくということが重要ではないかと思います。今、昨年4月の段階で17都府県でしたかね。スポーツ部局が首長部局につくられておりますが、つくられたとしても、やはり障害のある人が初めてスポーツをやるところはどこかというと社会福祉協議会なんかがやっているレクリエーションの場であったりとか、そういったところになるわけですね。ですから、地域においてもスポーツだけの枠組みではなくて、様々な組織がきちんと連携する、そういったことを促進させていくような中身、施策が必要ではないかなと思います。
以上でございます。ありがとうございました。

【大日方部会長】 ありがとうございました。スポーツがうまいとか、強いよりもスポーツ好きをたくさんつくろうということ、そして、共生社会の実現のためにも障害者、健常者という枠を超えたという言い方かな、連携を進めること、障害者スポーツの位置づけを地域の中でもしっかりと進めていく体制が必要だとお聞きいたしました。
それでは、石塚委員、お願いいたします。

【石塚委員】 皆様、改めまして、スポーツデータバンクの石塚と申します。よろしくお願いいたします。私、民間の立場でありながら、今日参加させていただいておるんですけれども、事業の領域としては、スポーツとヘルスケアの事業領域において地域課題、社会課題を解決していくという、そんな中で事業プロデュースをしていくという、そういったことをやっている会社でございます。
今回はその中で学校部活動に関係する地域課題の解決を10年ほど前から長年にわたってやってきております。昨年9月に令和5年に向けた地域部活動の移行というところが少し話題に出たかと思うんですけれども、まさしくそこに向かって、我々が民間として、地域課題の一つである学校部活動をどういうふうに変えていけるのであろうか。また、それをどういうふうに地域の皆さんと協力して、発展的、持続可能なものにするかということを日々、事業としても実施しているところでございます。
学校部活動の課題は教員の皆様の負担軽減という側面はあると思うんですが、先ほど運動実施率の話ですとか、スポーツを好きになる比率を上げていくとか、あったと思うんですけど、第2期基本計画の中にもスポーツ嫌いを減らそうなんていう、そういった数字もあったかと思います。スポーツ嫌いを減らすという意味では、やはり学校部活動におけるスポーツの充実というんでしょうか。そういった環境の整備というものがこういったところにも影響してくるのではないのかなと考えているところでございます。私たちのほうでやっているこの学校部活動の支援事業に関しては、地域にいる様々なスポーツ指導できる、担う人材を学校側にマッチングしていこうと、そういった事業プロデュースをしているところでございます。この中でやはり認定制度の問題ですとか、人材の管理の問題ですとか、様々今後広がっていくところにはあると思うんですけど、こういったところが一つ学校部活動の課題ではあると考えて認識しております。
この学校部活動を充実させるためのもう一つの指標として学校の体育施設、こういったところももう少し効果的に地域の皆さんに開放していくような仕組みが必要になってくるのではないのかなと考えております。こういった学校の体育施設が開放されることによって、地域の皆さんのスポーツ実施率の向上、よりやりやすい環境整備のようなことが今後図っていけるのかなと考えているところでございます。
こういったスポーツ、学校部活動の課題に関しては、地域、様々いろいろな問題、課題があると考えておりまして、一つのロールモデルがなかなか全国津々浦々、課題が解決できないものではないかなと考えておりますので、こういったことから考えると、地域をいかにスポーツで元気にできるか、学校部活動においてそういった課題解決をすることによって元気にできる、そういった可能性を秘めている一つの、課題はたくさんあって、難題も多い分野ではあると思うんですけれども、この一つポイントが学校部活動ではないのかなと考えております。
そういった中でいろいろな地域の総合型スポーツクラブやスポーツコミッション、こういったところと連携することによって、様々新しいモデルの部活動、地域のスポーツ活動の形というのは出てくると思っておりますし、学校の体育施設の有効活用が新しいモデルを生むのではないのかなと考えているところでございます。
また、最後に、こういった日本型の運動部活動は、システムとしては海外に誇れる、非常に重要な一つの形になっているのではないのかなと思っておりまして、基本計画の第2期にもありましたように、戦略的な国際展開という意味では、日本のそういったスポーツコンテンツ、プログラム、指導も入っていると思うんですけれども、そういったものを海外に誇れる非常に重要な要素になってくるのではないのかなと考えているところでございます。学校部活動の課題のみならず、こういった地域をスポーツで元気にする。こういった一つのポイントの中で、様々な取組を推進していくためには、地域でこの基本計画がより浸透できるようなことを議論していく必要があるのかなと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【大日方部会長】 石塚委員、ありがとうございました。学校部活、地域をスポーツで元気にする取組ということを御紹介いただけるということでお聞きいたしました。
それでは、オンラインの方々から手が挙がっております。池田委員、國土委員、能瀬委員の順番で御発言をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【池田委員】 山形県スポーツ協会の池田めぐみです。よろしくお願いします。身の引き締まる思いで務めさせていただきますが、ぜひ精いっぱい務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、この資料を取りまとめていただいた皆さん、ありがとうございます。1字1字、読み込んでいく中で、私なりに第3期スポーツ基本計画の策定に向けた期待というところで、2点、今後のスポーツの在り方というところで3つポイントをお話しさせてもらいたいと思います。
私は、今、東京ではなく、山形県に住んでおりまして、実際にはスポーツ少年団であったり、総合型のクラブであったり、学校の部活動など、地域の活動に関わりながら地域スポーツの振興や推進といった活動を行っています。また、別にアンチドーピングの活動に長年関わってきておりまして、今回、部会のメンバーの方にも今まで御協力いただいた方々がいらっしゃいますけれども、その側面からもお話しさせてもらいたいなと思います。
まず、大枠のところで第3期の策定に向けた期待というところで、1点目なんですけれども、やはり今コロナの影響ということもあってデジタル技術の拡大というのがどんどん進んでいっていて、それはとても大切なことで、今後期待するところではあるんですが、コロナの影響によって、実は別の側面で大きくなってくるであろう経済格差や情報格差というところに関しても対応していかなきゃいけないなというふうには思っていて、その両輪があって展開できるものかなと思いますので、同時に、そこの2つの側面を見ながら展開されていくということに1つ目期待したいと思っています。
2点目なんですけれども、私はずっと山形に住んでいて感じるところではあるんですが、国の定める基本計画というものが必ずしも地方に適した設計ではないといった場合が多々感じられる場面があります。これは今泉さんが冒頭でおっしゃっていたロジスティックというところに関わるかと思うんですけれども、本当にここがポイントだと思っていて、どうして地方に適さないのか、適した部分は何なのか、そこで起こっている課題は何なのかということをぜひ精査していただいて、より効果的に効率よく、それこそ地方のピントやサイズ、ニーズに合うような施策の展開というところにとても期待しています。ここ山形でも細部にまで行き渡るこの施策が、この影響がというのが感じられるようなものになっていくことに期待しているということが大きな2つ目のポイントになります。
今後の在り方について、3つなんですけれども、1点目は地域スポーツの現場に関わってきた立場として、学校部活動、昨今、皆さん言われているところだと思うんですが、スポーツ少年団や総合型地域スポーツの在り方、地域スポーツの在り方について、そろそろ本腰、今まで入れていないということを言いたいわけではないんですが、本腰を入れて考えるというのが今後必要になってくると思います。それに付随して、全国大会の在り方ですね。中体連、高体連などに関して、しっかり考えていくべきだと思いますし、先ほどの石塚さんにもありましたが、学校の施設の利用法、または指導者の育成やライセンス、ちょっと突っ込んで言いますと、報酬の在り方のことに関しても検討していくことが今後の10年、20年、すごく影響していくのではないかなと考えています。
2点目、長年アンチドーピングに関わってきた立場としてなんですけれども、2021年に、スポーツ庁長官の室伏さんも長年関わってきたところではあると思うんですが、教育に関する国際基準というのが改めて今年策定されましたので、これに準拠した形の施策というのも展開としては必要になってくるかなと考えています。その中に記載されている内容として、ドーピング検査を受ける前に教育を受けるということが前提として書かれてありますので、そこをどう日本のスポーツの中に落とし込んでいくか。また、そこにはスポーツの価値に基づいた教育というのも必要であると明記されてきていますので、そもそもドーピングから守りたいスポーツの価値とは何なのか。スポーツにある力とはというものを昨今皆さんおっしゃっていますけれども、それをアスリートのみならず、指導者や保護者や関係者の人たちにも浸透していくといった教育をどのように実施できるかということがポイントになると思います。
併せて、ちょっと長くなっちゃって申し訳ないんですけれども、アスリートの権利宣言に関しても制定されましたので、国際的な動向も踏まえながら、これに関しても柔軟かつ適宜対応していく必要というのは出てくると思います。
3つ目なんですけれども、簡単に言ったらお金の話なんですが、地域のスポーツを支える立場から見ても、アンチドーピングの立場から見ても、totoが日本のスポーツの財源として大きな役割を果たしているというのはもう皆さんも実感しているところだと思うんですが、ここに関して、より柔軟かつ安定した財源となるように、売上げの拡大や安定化というものが本当に大事になってくるかと思います。コロナの影響を踏まえると、安定化という視点で対象を拡大していくという策などもぜひ深掘りして検討していってほしいなということを思っています。
長くなって申し訳ないんですが、以上になります。ありがとうございます。

【大日方部会長】 ありがとうございます。
それでは、國土委員、お願いいたします。

【國土委員】 神戸大学の國土と申します。もともと私の専門は日本子供の発育・発達というところでして、現在、日本発育・発達学会の理事長をさせていただいております。それから、旧日本体育学会、現在、日本体育・スポーツ・健康学会のほうの理事並びに身体の能力を測るような日本体育測定評価学会の理事をさせていただいております。そういった意味でいくと、子供の発育・発達、それから、統計の専門ということになりまして、そういった立場からの学識経験者ということでお話をさせていただきたいと思います。
皆さんのお話で、中学生、高校生、あるいは小学生ということになるんですけれど、私の中では、幼稚園生、幼稚園から、小学生、あるいは中学生に関わって、ずっと元気な子供の育成ということが非常に大事なことではないかなと思っています。それから、それに付随して、体を楽しく動かすと。動かすのが楽しいということが、将来にわたるスポーツの継続につながっていくのではないかなと考えております。
それから、発育・発達ということを考えたときに、子供というのは体がどんどん変化していくことになりますので、小さな大人ではないんですね。なので、単に非常に高度なスポーツ指導というだけではなくて、そういった子供の発育・発達、子どもの体がどういうふうに変化していくかということを踏まえた上での運動スポーツの在り方ということもやはり検討していく必要があると思います。
私の一つの研究テーマでもあるんですけれども、思春期不器用といいまして、運動能力は体が大きくなってまっすぐ伸びていくだけではなくて、一時的にうまくできなくなるということも分かってきております。これは特に、子供の中で1万人の中、子供がそういったことが発生すると言われているんですけれども、実際には、特にトレーニングとか、運動を一生懸命やっている子供のほうがそういった場面に直面をして、そういったときには場合によってはドロップアウトしていくということもあるように聞いております。そういった発達の特性ということを含めて、やはり運動ということを考えていく必要があるかなと思っております。
さらに、運動スポーツというのは文化的な継承が非常に大きくて、例えば体力、運動能力の目標値であるような、投げる、投能力、60年代に戻しましょうという目標があったと思うんですけど、なかなか戻ってこなかったんですね。時代的背景を考えますと、昭和60年にはまだJリーグが発足をしてない状況でして、その後、サッカーが復興してきたりして、あるいはスポーツの価値観というのが多様になってくる中で、相対的に投文化ということが衰退していった、多様になっていっているのではないかなと思っております。そういった状況を踏まえたような体力とか運動能力、あるいはスポーツということもやはり考える必要があるかなと思っております。
さらに、先ほども競技スポーツに継承している、特徴がスポーツでも継承しているということを言っておりましたけれども、やはり子供の段階では、今ある自分の運動能力、あるいはそういったものがどう変化したかということが見えるような形が必要かなと思っております。つまり、競技力となってきますと、隣同士の比較になってしまうんですね。そういった形ではなくて、どうやって変化していったか。あるいはどういうふうに運動を継続しているかというものが見えるかみたいなことも必要だと思っております。
さらに政策的な観点で行きますと、学校の先生の働き方改革も含めて、やはり指導者ということが広くもう少し学校の放課後の時間等に活用できるような制度設計みたいなことが必要かなと思っております。
さらに少し学校のファシリティーというか、学校の施設の活用という話もありましたけれども、特に小学校のファシリティーの活用ということが、今、池田小学校事件以来、なかなか放課後クローズしてしまっているという現状もありますので、そういったところをうまく活用できていくような制度設計みたいな部分というのも目指していければいいかなと思っております。
以上です。どうもありがとうございました。

【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、能瀬委員、お願いいたします。

【能瀬委員】 よろしくお願いします。今回より委員にお声かけいただきました東大病院で産婦人科をしております能瀬と申します。以前、スポーツ庁スポーツを通じた女性の活躍促進会議の委員を務めさせていただきました。現在、私は東大病院の女性診療科で産婦人科医として勤務する中で、2017年より、東大のほうに設立しております女性アスリート外来、また、国立スポーツ科学センターで非常勤の婦人科医師として、女性アスリートの医科学的な問題について、診療、啓発などを行っております。
この点を踏まえまして、今回第3期に向けた期待ということで一言コメントさせていただきます。第2期の基本計画では、スポーツを通じた健康増進、女性の活躍促進ということで検討していただき、第3期につきましては、3つの検討事項の中で、女性という文言を入れていただきました。これまで障害者を含む女性、また、子供の医科学的な問題に対する調査・啓発を行ってきましたが、この分野における課題解決に向けてのポイントは、学校教育にあると考えております。小学校、中学、高校において、正しいヘルスケア教育の提供、また、適切な指導、医療機関と学校が連携した健診制度の充実、また、受診環境整備、こういったことが課題であると考えております。10代からのスポーツ教育というのは長期的な視点からも生涯にわたる健康維持・増進につながるだけではなくて、予防医学という点からも医療費削減という点で社会全体に与える影響は大きいと考えております。また、医科学的な点以外でも、スポーツの価値を高めたり、障害者や、女性が積極的にスポーツに参加したいと思うような政策につきまして、ぜひ今回、子供、学校ということに焦点を当て、具体的な介入策を盛り込んだ内容になることを期待しております。
以上です。

【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、渡邉委員、そして、大石委員、あと、遠藤委員も手を挙げていますかね。その順番で少し手短になってしまいますけれども、お願いいたします。

【渡邉委員】 分かりました。渡邉と申します。笹川スポーツ財団という組織で働いております。また、健康スポーツ部会の部会長も務めさせていただいております。こちらの資料5-1では、12月頃に中間報告案が取りまとめられる予定になっておりますが、ここに向けて健康スポーツ部会のほうも作業を進めてまいります。
実は、健康スポーツ部会というのは、第2期スポーツ審議会の下に設置されまして、2017年9月20日に発足しております。具体的には、スポーツ実施率向上のための行動計画を2018年9月6日に策定いたしました。そして、その1年後にスポーツ実施率向上のための中長期的な施策を策定いたしました。先ほど来、今泉課長から御報告ありましたけれども、スポーツ実施率等については向上を見ておりますが、所期の目標値に達していないというのが現状であります。
翻って、スポーツ審議会、1期、2期と務めさせていただいておりましたけれども、どこに原因があるのか。それは今泉課長がおっしゃったように、4つの課題というところに大きく関連すると私も思っております。そして、スポーツ審議会の様々な委員から御指摘がありますけれども、こういった目標値を達成するためには、やはり様々なステークホルダーが存在する産学官民の連携が大前提であるということは申すまでもありません。そういった中で、ロジスティクスの問題とか、エビデンスベースドの計画策定であるとか、あるいは人的、物的、金銭的リソースの配分拡大、こういったところがつながってくるんだろうと思います。
私、常々、第2期スポーツ基本計画策定に当たっては、国とか、地方自治体とか、スポーツ団体とか、主語が明確になったというのが第1期からの大きな進歩だと申し上げております。しかしながら実態を見ますと、国とか地方自治体という大きな主語の中だけでは、先ほどのロジスティックスであるとか、エビデンスベースドにかかるデータの収集、分析、活用、こういったものはいま一歩進めないと目標値が達成できないんじゃないかな、そんなふうに思っています。
具体的に、先ほど池田さんからもお話があったと思いますが、例えばスポーツを推進する部局、秋元委員がいらっしゃるような政令市とか、都道府県は大体、首長部局になりましたので、行政全体でスポーツ推進ができるんですけども、1,700を超える基礎自治体においては、まだまだ教育委員会、ほかの部署がスポーツ推進を担っていたりするんですね。これから本当に政策を地方に届けようと思った場合には、スポーツ庁の中にも、やはり各部局に横串を刺しながら情報を届ける、行動変容を促す、そして継続をしてもらう。このための戦略部局というのが必要ではないかなと思います。そして一方で、全国各地、地方自治体にもいろいろな実証データがあります。こういった実証データをエビデンスとして集める。そして分析をする。計画に生かして展開する。そのための横串の部局というのが必要になってくるんだと思っています。当然限られたリソースでスポーツ庁も運営されていますので、内製だけでできると僕は思っておりません。だからそういったところにやはり産学官民の連携を生かしていくと。
例えばSports in Lifeという言葉が先ほど来飛び交っております。実は健康スポーツ課さんのほうで、Sports in Lifeコンソーシアムという大きなプラットフォームをマネジメントされています。これは前回も申し上げましたけども、全スポーツ庁的にこのプラットフォームを生かすという戦略を考えられたほうがいいと思います。これは地方自治体から営利企業まで様々な組織がここに入っていますので、そこでマネタイズから始まって、スポーツの価値を届ける。そして、そこで循環を生ませながら、得たリソースをまたスポーツ推進に還元する。いろいろなことが多分可能になってくると思うんですね。今長官いらっしゃいますけれども、すばらしい方々がすばらしい部局でそれぞれ活動しているんですが、いま一度横串を刺すということも考えられたほうがいいのではないかと。そして、スポーツ庁が率先垂範することによって、地方自治体にも横串を刺す必要性、重要性をしっかり伝えてもらいたいと思います。
地方自治体は、秋元委員もいらっしゃいますけれども、行政だけで、やはり行動変容を促すとか、一人一人に継続してもらうということはなかなか難しいと思うんですね。だから、行政の中に民間企業も含めたプラットフォームをしっかりとつくって、そこに様々な組織の方が集って、そのプラットフォームを基にスポーツ推進をするような、そんな環境整備が必要だと思います。
もう終わりにします。これをやっぱり推進するためには、スポーツ庁が本当にイニシアチブを取って、地方に政策の中身を正しく届ける。そして、行動変容というのは、一緒にそこに住む市民の方々に促すようなことも考える。時にはアンバサダーなんていうのも必要になるかもしれません。その上でやはり継続することによって実施率が高まる。一人一人の心身が健康になる、ひいては健康長寿社会とか、スポーツを通じて共生社会が実現できる、そういったスキームをいま一度見直して、今度の計画に落とし込みができたらいいなと、そんなふうに思っています。

【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、大石委員、お願いいたします。

【大石委員】 セントラルスポーツの大石と申します。全国でスポーツクラブを運営している会社でございます。私は大学で体育学、あと健康教育学、また、運動生理学などを学びまして、新卒でこの会社に入社いたしました。以来、スポーツですとか、運動、また、体を動かすことに対していかに価値を感じてもらえるか。また、その価値に対して対価としてお金を支払ってもらえるかといったことをずっと考えてまいりました。
現代人が抱えている健康上の悩み、小さいところで言うと肩凝りですとか、よく眠れないとか、食欲がないですとか、また、重大なところでは生活習慣病ですとか、あとフレイルといったような、そういった健康上の悩みに関して、私は、適切な運動を継続して行うことでほとんどが予防、改善できるかなと考えておりまして、生涯かけて、そういった運動の必要性の普及・啓発をしてまいりたいなと思っているところでございます。せっかく運動に関する価値を感じて始められた方も、残念ながら挫折してしまう人が後を絶たないということ。また、民間のスポーツクラブに在籍して運動を継続している人は、全国民の5%にも満たないという、そういった現実に頭を悩ませているところでございます。その中で、どうしたらそれが打破できるかなと常々思っているわけなんですけれども、やっぱり運動を実践することが当たり前の文化になる。また、歯みがきするように習慣化するといったことが大事だなと思っておりまして、そのためには、やっぱり国ぐるみだったり、学校教育だったり、そういったところから取組が必要だなと勝手にずっと考えておりました。
その中で、こういったスポーツ庁の文化の創造といったところのお仕事の少しお手伝いをさせていただけるというお話をいただきまして、大変光栄に思っております。何か民間の知恵や力をそういった文化の創造ということに役立てていただければと思いますし、一般消費者が何を考えているか。また、その動向ですとか、指導者がいつも苦労していることですとか、また、私、少し前に港区立介護予防総合センターというところに私どもの会社が指定管理で入っておりますので、そちらにも勤めておりまして、高齢者の動向、何を考えているかといったような情報もございます。そういった情報が何か課題解決のお役に立てればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【大日方部会長】 大石委員、ありがとうございました。
それではお待たせしました。遠藤委員、そして境田委員の順でお願いいたします。

【遠藤委員】 皆さん、こんにちは。福島県障がい者スポーツ協会に勤務しております遠藤恵美と申します。車椅子ユーザーとなります。健康スポーツ部会にも所属しておりまして、第2期スポーツ基本計画の策定に続き、障害のある当事者及び地方障害者スポーツ協会の現場の立場から障害児者のリハビリテーションスポーツ、特別な支援を必要とする児童生徒の学校体育の授業環境改善、それと運動部活動の推進、地域におけるスポーツレクレーションの充実が図れるよう皆様のお力添えをいただきながら、議論してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
まず、障害者スポーツに関して少しお話しさせていただきます。時間がないのでちょっと早口になります。2006年に国連の総会で採択された障害者権利条約の第30条の中に文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加について述べられています。その中の第5項で、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動の参加について言及しているんですが、それを実現する適当な措置として、AからEの5つの項目について記述がされているんですね。まず1つ目が、障害者があらゆる水準の一般のスポーツ活動に可能な限り参加することを奨励し及び促進すること。2つ目が、障害者が障害に応じたスポーツ及びレクリエーションの活動を組織し及び発展させ、並びにこれらに参加する機会を有することを確保すること。このため、適当な指導、研修及び支援がほかの者との平等を基礎として提供されるよう奨励すること。3つ目が、障害者がスポーツ、レクリエーション及び観光の場所を利用する機会を有することを確保すること。4つ目が、障害のある児童が遊び、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動(学校制度におけるこれらの活動を含む)への参加についてほかの児童と均等な機会を有することを確保すること。そして最後に、障害者がレクリエーション、観光、余暇及びスポーツ活動の企画に関与する者によるサービスを利用する機会を有する事を確保することとあります。
これまでのスポーツ基本計画の中で、障害児者へのスポーツ推進が取り組まれて、第2期スポーツ基本計画においては、障害者スポーツがかなりのボリュームで特出しされて盛り込まれました。あわせて、2016年に施行された障害者差別解消法によって、合理的な配慮を行うことが公的な施設については義務化されたことによってバリアフリーについても徐々に改善されつつあります。一方で、第2期スポーツ基本計画の中の第3章の(1)スポーツ参加人口の拡大の②に盛り込まれている内容で、かつ学習指導要領の改訂が行われた以降も課題となっているのが、先ほど説明した中の4番目にあった障害のある児童が遊び、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動(学校制度におけるこれらの活動を含む)への参加について、ほかの児童と均等な機会を有することを確保すること、ここについて、やはり今、課題となって残っています。冒頭というか、先ほど髙橋委員よりもありましたが、多様な学びが選択できるようになって、普通学級に通学する障害児、特別支援学級の児童生徒が交流事業も含めて、体育での授業を見学するといった実情がいまだにあります。ですので、先ほどから子供たちは体育が嫌いとか、スポーツ嫌いというような話をお聞きしていたんですが、すごく羨ましく思って聞いていました。障害児にもそうやって体育の機会を設けていただいて、体育が好きとか嫌いとか、そういった認識する機会を与えていただけたらなというふうに思いました。
最後に、今まで障害者スポーツ基本計画の中で触れられてない項目が1つだけありまして、それは障害者が障害に応じたスポーツ及びレクリエーションの活動を組織して及び発展させて、並びにこれらに参加する機会を有することを確保するという、この部分について、今後は第3期のスポーツ基本計画で言及することで障害者スポーツのさらなる普及の促進につながるというふうな可能性があります。第3期スポーツ基本計画のほうでは、障害の有無に関係なく、スポーツの価値を共有できるものとなるよう議論させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。すみません。長くなってしまって。
以上です。

【大日方部会長】 ありがとうございました。
ちょっと私の不手際で時間を超過してしまっておりまして、申し訳ありません。あと10分ほどお時間を頂戴できればと思います。
それでは、境田委員、お願いいたします。

【境田委員】 境田でございます。まず、私が今までスポーツの関わり、ちょっと話させていただきますと、2007年にJリーグの川崎フロンターレの所属の我那覇和樹選手という選手がJリーグ初のドーピング違反ということで処分されるということがありました。結果的にそれは誤りだったということで、国際スポーツ裁判所(CAS)で無罪判決が出ました。その事件に代理人として関わって、2007年、そこから関わっております。そのときに感じたことが、スポーツ界というのが実は閉鎖的で、上意下達、先輩の言うことは絶対、上司の言うこと、それから指導者の言うことは絶対で、アスリートの権利が容易に害される。正しい権利主張もできないというのが多くのスポーツ界であるという実態ですね。これを改善しなければいけないということで、ちょうどその頃にスポーツ基本法の立案が行われていましたので、国会議員の先生方に、私は弁護士の立場から、やはりスポーツ界というのが健全であるため、アスリートの権利、スポーツ権を認めなきゃいけないということで、スポーツ基本法の中にスポーツする権利、アスリートの権利を入れてくださいとお願いしました。でも、実際にこれを守るためには競技団体がきちんとした適正なガバナンスをしなければいけません。競技団体の中でこれをもみ消すことというのも実はよくあったんです。なので、こういうスポーツ団体のガバナンスもきちんと立法化してくださいということで、今の第5条1項、2項、3項というものの立案を提案させていただき、それが条文になりました。
ただし、結局、2011年にできた後、何が起こったかというと、女子柔道の暴力問題だとか、男子バスケットの大阪の桜宮高校の自殺事件とか、そういった痛ましい事件が起きてきました。それでJSC法を改正して、暴力相談窓口をつくるとか、その後の様々な取組も行ってきましたけれども、やはり2018年、2019年、皆さん御案内のとおり、いろいろなスポーツ界での上司によるパワハラだとか、強化委員長によるパワハラとか、セクハラというのは相変わらず続いています。ここも解決しないといけないと思っています。
そういう中で、先ほど太田さんが言っていたように、スポーツ団体、実は、財政力がある団体はそんなになくて、大部分の団体が少人数で財政規模が弱い。そこにスポーツ団体ガバナンスコード、私も実は座長代理でつくらせていただいたんですけども、これを適用して、これを守っていくというのは非常に大変な負荷になるんです。やはりスポーツ団体、もっと新たな収益源を求めていかなければいけません。これが、実は私も2016年からBリーグの設立、それから、資金集め、バスケットボール協会のマーケティング、ラグビー協会の理事としてもマーケティングを行い、テコンドー協会のマーケティングを行ってきましたし、大学スポーツ協会(UNIVAS)の立ち上げときからの資金集めなんかもずっと行ってきました。この中で一番新たな収入源は、ビッグデータとデータプラットフォームです。新しいデータをどんどん集めて、それをデジタルで解析して、サービスを提供する、これが新しい収益源になるし、これが企業に刺さります。さらに、ここからは、こういったデータを集めるだけではなくて、さらにこれをAIとかIoT、それからバーチャルリアリティーとかという技術、それからバイオメカニズム、リスクとか、あとセンシングですね。いろいろな体のデータを、大規模データを瞬時にして取り込み、解析できるというセンシング、ウェラブルの技術、それからアクチュエーターという、そういった体の動きを相手に伝える技術、こういった技術を組み合わせると、今までにはなかった新しい指導方法が開発できると思います。
室伏長官は金メダリストですし、太田さんは銀メダリストで、世界のトップなんだけど、何でトップになったかというのは実は本当は解明されてないと思います。それはもちろん御努力もあるんでしょうが、体格とか体形、それから筋力、骨密度、それから、心理、栄養、関節の可動域とか、様々な変数が恐らくあって、それの中で、こういった原因で金メダルを取れたというのがあるんだけど、実はそこのメカニズムがあんまり解明されていない。これをこれからそういったビッグデータをアスリートからいっぱい取ることによって、そこのメカニズムが開発できます。そうすると、強くなりたい、メダルを取りたい、強化指定選手になりたいという、そういう指導方法がこういった科学の力によってできるようになるわけですね。そうすると、今まで暴力とか、暴言とかという指導方法が、そういったサイエンスによって達成できるようになる。そうすると、暴力もなくなるし、ハラスメントもなくなるだろうということと同時に、今まだ世界でこういった競技力向上の、そういったAI、IT、デジタルを使った技術は開発されていません。これを陸連、水連、テコンドー、バスケ、バレー、それぞれごとに競技団体が開発すれば、市場が世界なので、こういったオンライン指導方法というのは世界でマーケットを取れるんですね。ここの開発をスポーツ庁とか、森岡さんがおっしゃっていましたけれども、そういった国家で、そこのプロジェクトが進むと、日本のスポーツ界が世界をリードできるんです。これが様々な形で地域振興にもつながると思いますし、競技団体の収益力の向上にもつながると思う。これをまず全力で取り組んでいきたいと思っております。
以上でございます。

【大日方部会長】 ありがとうございました。
それでは、私も最後に少しだけ、改めて自己紹介をさせていただきたいと思います。
私はもともとスキーの選手をしておりまして、1994年から2010年まで、冬季のパラリンピックのほうに出場をしてまいりました。一方で、2003年には日本パラリンピアンズ協会、まずパラリンピックに出場した選手による選手会というものを任意団体で何人かと一緒に立ち上げをさせていただきました。出場した選手たちがパラリンピックの価値やスポーツの力といったものを自分たち自身もしっかりと認識し、それに貢献していきたいという、そんな思いから立ち上げたものです。現在は日本障害者スキー連盟の理事、また、日本障がい者スポーツ協会の理事、JPC運営委員などを務めさせていただいております。元アスリートの立場でスキー、スポーツにどういった形で貢献できるのかということを考えております。
競技団体の運営をしておりますと、いろいろな委員からございましたように、その基盤の脆弱性、そして、どうすれば持続可能な、私の後に続いてくれるような人材をしっかりと育て、そして、その人たちが生活も含めてできる。そして、それがしっかりしたガバナンスの下に行っていくのかということ、非常に難しいけれども、そろそろ成し遂げないといけないことだなと考えております。
また、先ほどからいろいろな方々からもお話がありましたけれども、今までの考え方の枠というものを、こういった議論をしていかないとなかなか持続可能なものにならないんだろう。学校という枠、あるいは障害者、健常者という枠にとどまらない、よりシームレスなものを考えていかないと、我々、いけないのではないかということをしっかりと第3期の中に議論をさせていただきたいなというように考えました。ありがとうございます。
私がなかなか皆様のお時間をうまく調整することができず、申し訳ありません。
それでは、この辺りで意見交換を終了させていただきたいと思っております。本日皆様から頂戴いたしました御意見、今後の第3期計画の検討に生かしていただきたいと思っております。
それでは、事務局より、今後の日程案につきまして、御説明をお願いいたします。

【小畑補佐】 事務局でございます。通しページ、12ページ、資料5-1を御覧いただければと思います。こちらは第2期計画を策定した際のスケジュールを参考に、21日に開催されましたスポーツ審議会総会においてお示しのあったスケジュールでございます。次回でございますけれども、本日、各委員の先生方からも御指摘ありましたように、関係団体との連携といった観点から、また、第3期計画をまさにスポーツに関わる方々のみんなの計画にしていくといった観点から、当面、関係団体からのヒアリングということを進めるという形にしてございます。
具体的には13ページ、資料5-2でございますけれども、多くの関係団体から、この間の取組、それから、第3期計画についての各団体の考え等々、ヒアリングするということで進めさせていただきたいと考えております。
具体的な日程、参加方法等につきましては、追って事務局より御連絡をさせていただきます。
以上でございます。

【大日方部会長】 ありがとうございました。この後ヒアリングが3回続くということで大変盛りだくさんな、また、たくさんのお時間を頂戴することになりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最後に、室伏長官より、まとめの御挨拶を頂戴できればと思います。お願いいたします。

【室伏スポーツ庁長官】 皆さん、長い間、時間をいただきまして、ありがとうございます。大変貴重な御意見をいただきました。今、ありましたように、何回か御意見、またいただけると思いますので、我々もしっかりそれをまとめて、第3期スポーツ基本計画につなげていきたいと思います。
いろいろ本当にすばらしい意見をいただきましたけども、いろいろな連携が大事だということも、皆さんおっしゃっていました。連携をする、誰がそれを、恐らくその連携をうまくつなげる役割の方も必要になってくるのかなという感じもいたしました。ぜひそういったところ、また、東京大会後のスポーツ界の、皆さん御心配の財源であったり、どうやってそれぞれが自立していくかというところも本当に課題だと思いますので、我々も精いっぱいポストコロナのためにそれを確保してやっていきたいと思いますし、また、学校教育の面でもかなり御意見をいただきまして、若い頃からスポーツが好きになっていくということでは、いい教育をしていくことが生涯スポーツにもつながってくるということで思いました。
研究の面でも境田先生も今おっしゃいましたけど、データを追うというのもありますけども、後追い研究だけではなくて、先にモデル化したものを提示していくという具体的なものも必要かなと思いましたので、ぜひこういったデジタル化のところも、今後も、詳細、またアドバイスいただければと思います。
また、菊先生におきましては、言葉についてもぜひ我々に御指導いただければと思います。
オンラインの皆さん、今回はお会いできませんでしたけども、また、お会いできるのを楽しみにしていますし、今後とも御意見いただけることを楽しみにしております。
本日は長い間ありがとうございました。御苦労様でした。

【大日方部会長】 室伏長官、ありがとうございました。
それでは、本日、これにて終了いたします。どうもありがとうございました。

── 了 ──
 

お問合せ先

スポーツ庁政策課