スポーツ審議会(第4回) 議事録

1.日時

平成28年8月29日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. (1)独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る平成28年事業年度事業計画、予算及び資金計画の変更認可について
  2. (2)第2期スポーツ基本計画のミッションについて
  3. (3)その他

4.議事録

【山脇会長】  皆さん、おはようございます。今日も朝早くから、ちょっと不安定な天候の中を、このように大勢の委員の方にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまからスポーツ審議会総会及びスポーツ基本計画部会の合同会議を開催したいと思います。
 本日、初めての合同会議ということになりましたけれども、時間の都合上、各委員の自己紹介は省略させていただきたいと思います。私が議事を進行させていただきたいと思っております。
 議事に入る前に、まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。配付資料でございますが、お手元「議事次第」と書いてあります1枚の紙に、その一覧を並べてございます。資料1-1から1-3までが、議題1であります、日本スポーツ振興センターの事業計画等の変更についての資料でございます。資料2から資料6までが、本日のメインの議題でございます、スポーツ基本計画についての議論の資料でございます。過不足等ございましたら、事務局までお申し付けくださいますよう、お願い申し上げます。
 なお、先日まで開催されておりました、リオデジャネイロ・オリンピックの結果につきましては、参考2ということで、競技大会の結果についてということで、当方でまとめて、お配りをさせていただいております。
 また、前回総会の議事録でございますが、6月1日になりますが、総会の議事録につきましては参考の3として、また、部会の第1回、第2回、第3回の議事録につきましては参考の4として配付してございます。委員の皆様から頂いた修正については反映したものという形で、お手元にお配りさせていただいております。
 以上でございます。
【山脇会長】  ありがとうございました。もし、資料等に不足等がありましたら、事務局の方にお伝えください。
 それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。
 先ほど説明ありました次第にありますとおり、まず1番目に、独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る平成28事業年度事業計画、予算及び資金計画の変更について、これが1番目の議題でございます。2番目につきましては、第2期スポーツ基本計画のミッションについて、今日の本議題、皆様に御意見を頂くところでございますけれども、この2点について、御審議と御議論を頂戴したいと思います。
 なお、本日、報道機関、関係者より、会議の撮影、録音を行いたいという旨の申し出がございましたので、許可しておりますので、皆さんには御承知おきいただきたいと思います。オープンな場で、今日の議論を行うということでございます。
 それでは、最初の議題に入ります。独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る平成28事業年度事業計画、予算及び資金計画の変更許可について、意見の聴取を行いたいと思っております。
 文部科学大臣が、これらの計画の変更を許可しようとする際には、独立行政法人日本スポーツ振興センター法第21条によりまして、当審議会の意見を聞いた上で行うこととなっております。
 それでは、JSCから資料の説明をお願いいたします。今里理事、お願いいたします。
【今里JSC理事】  JSCの今里でございます。よろしくお願いいたします。
 資料は1-1、1-2、1-3でございますが、1-3が、今、お話のございました事業計画、予算、資金計画の変更の本体でございます。それを新旧対照の形でまとめたものが資料1-2でございます。今回は時間の都合もございますので、それを更に要点としてまとめました資料1-1に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 変更の内容は、大きく分けて2点でございます。
 資料1-1の上の方にございますように、まず、助成対象事業の拡充ということでございます。
 助成対象事業の拡充、東京オリンピック・パラリンピック競技大会等開催助成というメニューがあるわけでございますけれども、この中に、その施設整備助成を追加するというものでございます。
 具体的には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の主として追加種目を想定しているものでございまして、もう一つは、2019年のラグビー・ワールドカップの開催に伴う施設助成を必要とするということで、メニューに加えるというものでございます。
 2点目は、下の方にございます、平成28事業年度の予算の変更でございます。これにつきましては、日本スポーツ振興センター法等と、その省令が改正をされまして、事業収入のうち、特定業務勘定への繰入というものが、その緑のラインの一番下のところでございますけれども、売上の5%から10%に変更ということになりました。これに伴いまして、変更後は、これが55億円の予算であったものを110億円ということ、それに伴いまして、助成財源、国庫納付金につきましては、それぞれ収益の3分の2を4分の3、収益の3分の1を4分の1とすることで、そこにございますような額の変更がございます。
 これに伴いまして、運営費の上限の額を、これは文部科学省令でございますけれども、上限を203億円から183億円と変更しております。これによりまして、助成財源を従前の199億円から、この変更後も197億円と、ほぼ同様の水準を確保するということを、全体の変更として、予算の変更をしたいとしているということでございます。
 非常に簡単ですが、以上でございます。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、本件について御意見等ございましたら、お願いしたいと思いますけれども。本議題につきましては、スポーツ審議会総会の権限に属す事項でございますので、御意見は総会の委員の皆様からのみでお願いをいたしたいと思います。また、スポーツ審議会運営規則第5条におきまして、利益相反に関する規定がございます。自己、配偶者、若しくは3親等以内の親族、又は自己の関係する法人、若しくは団体等に関する案件については審議に参加することができないと規則ではされております。事務局が把握している限りでは、該当する委員はいらっしゃらないということですが、もし、該当の委員がいらっしゃるようでしたら、御発言及び議決への参加は御遠慮いただくようにお願いをいたします。
 それでは、何か、このJSCの投票業務に係る事業計画、予算及び資金計画の変更につきまして、御意見があるようでしたら、お願いをいたしたいと思います。
 それでは、審議会の委員の皆様から、特に御意見・御発言等ございませんようですので、本件につきましては、原案どおりで了承させていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【山脇会長】  はい。それでは、本件につきましては、原案どおりということで、議決をいたしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の、先ほど申し上げました2番目の議題に移らせていただきたいと思います。第2期スポーツ計画のミッションについてでございます。
 6月1日のスポーツ庁長官の諮問における諮問理由の第二ということで、計画が目指す方向性をできるだけ分かりやすく簡潔に示し、国民に向け発信ができるようにということ、スポーツを通じて社会の発展や変革が実現するというスポーツの価値についても、国民の実感が湧くように、具体的かつ簡潔に示すことという諮問を頂いております。
 そこで本日は、事前に皆様の方にも資料をお配りしておりますけれども、スポーツの価値について、それぞれ皆さん、委員の立場から、又は立場を離れて、御議論をいただきたいと考えております。
 スポーツ基本計画部会におきましては、7月5日、25日と2回にわたり、スポーツ基本計画に係る関係団体からのヒアリングを実施させていただきました。つきましては、まず事務局から、この関係団体のヒアリングの概要、それからスポーツ基本計画部会の審議の当面の進め方、それからスポーツ価値について様々な資料が出ております。皆様に事前にお配りしたものですけれども、まず、この3点につきまして、事務局から説明をいただいた後、スポーツの価値について、各委員から御意見を頂戴したいと思います。
 本日は合同会議で、約30名弱の委員の皆様で、いつも大変恐縮でありますけれども、1人3分程度ということで、大変申し訳ありませんけれども、話を短くするというのは大変エネルギーが要ることで、週末、皆さんに大変な御迷惑をお掛けしたかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、事務局から、まず資料2から6について、説明をお願いをいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは資料2から資料6に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 まず最初、資料2をご覧ください。この資料は、基本計画部会が前回並びに前々回、第2回と第3回の会議で実施したヒアリングの概要ということでございます。詳細は参考4に議事録を掲げてございますが、当方、事務局で簡単にまとめたものでございます。
 編集の方針でございますが、現基本計画、7つの柱がございます。子供のスポーツ機会の充実、ライフステージに応じたスポーツ活動等々ございます。この7つの柱に沿って主な意見をまとめたということでございまして、表題の下に括弧で団体名が書いてあるのが、主に重点を置いて、この分野について御意見を頂いた団体の名称という形でございます。
 また、この7つの柱以外にも、例えば、3ページをおめくりいただきますと、障害者スポーツの推進、7番ということで、また、特に意見が多かったということで、独立をして資料を整理してございます。
 また、8番、9番は、諮問理由にございましたスポーツの人材とスポーツをする場、10番、11番、12番が、新たなスポーツ庁になってからの課題ということでございまして、地域活性化、スポーツビジネス、東京大会のレガシーと、そういう観点でまとめさせていただいてございます。これによりまして、スポーツを取り巻く最近の主な論点というのは相当程度網羅できたのではないかと思っております。ただ、項目数にいたしましても、まだかなりの量があるということでございますので、これからスポーツ基本計画の取りまとめに向けて、これを参考にしながら、更に突っ込んだ議論が、これから必要になるのではないかと思っております。これが資料2でございます。
 資料3をご覧ください。これにつきましては、これから当面の進め方ということでございます。基本計画部会の審議の当面の進め方についてということでございます。
 基本計画部会は、これまで3回、ヒアリング等々を実施して御議論いただきました。どちらかというと、まだ最初でございましたので、全般的・包括的な議論が多かったと思っております。ただ、これからは年度内の計画の取りまとめに向けて、焦点を絞った御議論が必要になるのではないかと思っております。でございますので、第4回、第5回、第6回の部会の進め方について、こういう形でお願いしたいという御提案でございます。
 今回、第4回の審議につきましては、基本計画の総論に当たるところの御議論をいただければと思っております。具体的には、去る6月1日に鈴木長官からいたしました諮問の理由、その第二に、このお願いしたい事項が書いてございます。ちょっと小さい字でございますが、諮問理由「第二」ということで、1つ目の丸が、スポーツの価値の具体化・共有について、2つ目の丸が、スポーツを通じた社会の発展・変革について、3つ目が、2020東京大会のレガシーについてと、こういう形でございます。これに沿った形で次期基本計画の総論に当たるところを御議論いただければと思っております。
 なお、諮問理由「第二」の中で、4つ目の項目として、コンプライアンス、インテグリティの話がございましたが、これは各論のところで御一緒にと思っております。
 あと、第5回、第6回、これは9月並びに10月を予定しているところでございますが、その5回と6回につきましては、新しい次のスポーツ基本計画の各論に当たるところを御議論いただければと。個々の政策につきましては、また今後と思っておりますが、各論の冒頭に当たる理念的なところを御議論いただければと思っております。諮問理由の「第三」というところが、これに対応しているところでございます。
 この1つ目の丸、白いところの丸を見てみますと、スポーツに関わる「人材」並びに「場」という切り口、横断的な視点で御議論いただきたいということと、あとスポーツ庁が発足して新たに取り組むべき政策として、健康増進、地域活性化、国際交流、国際貢献、スポーツビジネスの拡大などの個別具体のテーマということでございます。今の基本計画、7つの柱がございますが、これにこだわらず、自由闊達な御議論をという形でございます。ただ、第5回、第6回、時間の制約がございますので、当方事務局の方で、こういう形で、もろもろの政策課題をグループ分けして御議論いただくということが効率的ではないかと思っております。マル1からマル6までということで、グループで分けさせていただいております。中身的にというより、どちらかというと審議の量とか時間に応じて分けさせていただいたものでございますので、あくまでも便宜的な分け方ということで御了承いただければと思っております。
 一番下、米印のところが書いてございますが、これから基本計画の取りまとめに向けて、幾つかの政策目標というんでしょうか、柱を構成していただく必要があろうかと思います。このマル1からマル6は、あくまでも便宜的な政策課題のまとまりでございますが、第2期基本計画を取りまとめるに当たっては、これを自由に御議論いただいて、組み換えていただいて、基本計画のメッセージが、より伝わりやすいような形で構成できればと思っております。この御議論につきましては、第7回以降、具体的な場で、また更に深めていただければと思っております。これから基本計画部会、第4回、第5回、第6回を、こういう形で総論部分と各論部分の冒頭という形で御議論を進めさせていただきたいと思っております。これが資料第3でございます。
 続きまして、駆け足で恐縮ですが、資料4-1以降をご覧いただければと思っております。
 これから、まさに今日のこの第4回につきましては、スポーツの価値について御議論いただくということとしてございます。スポーツの価値につきましては、これまで国内外の様々な機関が、いろんな形で提言をしておられるという形でございます。このA3横長の資料でございますが、この2枚の資料の中に、これまで国内外のいろんな機関がスポーツの価値について言及してきたものをまとめたものでございます。私の右側に座っておられます文科省参与でございます順天堂大学の木藤先生に、膨大な資料の中から、こういう形でおまとめいただいたという形でございます。
 1枚目、この横長のオレンジのところが、「スポーツの個人的価値」について、キーワードを抜粋したものという形になっております。2枚目の緑のこの資料につきましては、「スポーツの社会的価値」の側面から資料をまとめたものになっております。
 この4-1のオレンジのところをご覧いただきますと、一番左側の列が、国際連合とか欧州評議会の、その流れを主に追ってございます。特に、この2015年、国際連合は持続可能な開発のための2030アジェンダというものを出しておりまして、その中で、スポーツと持続可能な開発ということで、かなりの分量を提言しているところでございます。これが1つ目の流れということでございます。
 2つ目の流れがユネスコ等々の流れでございまして、中ほど下にございます2015年のユネスコが定めました体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章というものが、1つ、大きなものなのかなと思っております。あと右側が、特に国内ということで、スポーツ庁のこれまでの流れと、日本体育協会、JOCの流れという形でございます。それ以外にも、IOCの提言でございますとか、IPCの提言でございますとか、あと日本パラリンピアンズ協会の提言などを入れているところでございます。これにつきましては、いろんな提言、本体はかなりの量があるのですが、その中から特に重要と思われるキーワードを、こちらの中で、こちらの編集方針でまとめたものでございます。
 例えば、スポーツの個人的価値につきましては、寛容性と尊厳と、あとは相互理解とか、あと友情、敬意、尊重、鼓舞とか、フェアプレー、チームワーク等々のことが言われてございます。また、社会的な価値のところについては、交流の促進とか、健康の教育とか、人権とか、環境とか、復興とか、平和などが言われてございます。これにつきまして詳しく説明している時間がございませんので、またお時間のあるときにということでご覧いただければと思っております。こういう国際的な議論の中で、我々、スポーツ基本計画も、また取りまとめの作業を進めていきたいと思っております。
 あと、資料4-2につきましては、資料4-1の原点というんでしょうか、4-1はキーワードだけを抜き刷りしてございますので、これを直接の根拠となります文章を抜き書き、抜粋しているものでございます。
 あと、資料5でございますが、こちらは日本体育協会スポーツ医・科学の研究についての提言がございまして、これもスポーツの価値について、いろいろと御提言がされております。
 この図を見ていただきますと、特に個人に内在するような中核的なスポーツの価値と、あと、下、ご覧いただきますと、周辺的なスポーツの価値ということで、個人の中にあるのが、より広がりを持ち、更に下、派生的スポーツの価値ということで、国際的価値、社会・生活向上など、そういう広がりを持った概念なんだというふうな資料でございます。
 あと、資料6につきましては、去る8月29日に公表されました、2020東京オリンピック・パラリンピック大会の組織委員会がまとめられましたアクション&レガシープラン2016の概要についてでございます。
 この中で、5つの柱というものがアクション&レガシープランの中にございますが、1つの重要な柱として、スポーツ・健康というものが第1に掲げられておりますし、それ以外にも、様々なところでスポーツに関わる提言がなされているという形になってございます。こういったものを踏まえながら、これから御議論いただければと思っております。
 以上、駆け足でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 資料がほとんど全てカバーをしていると思いますが、これから、この基本計画に入れるべき重要な価値、スポーツの価値につきまして、それでは皆様から御意見を頂戴していきたいと思います。何度も申し上げますけれども、非常に人数が多くて、最後の渡邉委員まで、きちんと時間の中に入るようにしたいと思っておりますので、3分間ということで、3分を過ぎますと、事務局の方から何かサインが出るかも分かりませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 あいうえお順で大変申し訳ございませんけれども、朝原委員から時計回りに皆様の御意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【朝原委員】  おはようございます。朝原と申します。よろしくお願いいたします。
 突然やってきましたけれども、私、スポーツの価値、もうここに資料にありますように、いろんな価値があると思っているんですけれども、人間の一生涯を通じて、幼少時から高齢になるまで、一部分を取ってスポーツというよりは、子供のときからスポーツに親しめるような環境が、まず大事かなと思っています。それがないと多分その中間もないと思いますし、高齢者になってからも、体を動かすということは、かなりハードルが高いことじゃないかなということで、まず、やはり幼少時の、私自身もそうだったんですけれども、スポーツの入り方というのが、遊びというか、子供、友達と遊んだり、体を動かすというところから入っています。なので、スポーツというよりは、親しみやすいコミュニケーションをとるとか、自分たちでルールを決めるとか、工夫をして何か作り出すとか、そういうところから是非入ったらいいんじゃないかなと思います。年代年代で、やはり仕事の関係とかで時間がなかったりする合間を縫ってスポーツをしようと考えるためには、やはり幼少時の経験であったり考え方であったりというのはものすごい大事なことかなと思いますので、まずは場作りというか、それが非常に大事なのじゃないかなと思います。なので、価値については、本当にここに書いてあるとおりだと思うんですね。これだけ挙げていただけると、いろんなスポーツには価値があると思うんですけれども、それをいかに競技から、散歩、健康、いろんな生活面にいかに密着しているかというところが、私にとってはスポーツのものすごい大事な価値のあるところじゃないかなと思っています。
 最後ですけれども、印象的なのは、日本の競技者というのは、結構スポーツが、競技も一生懸命やっているんですけれども、その一生懸命やっていることが、自分の人生において全てであるという人が結構周りにいたんですね。でも、外国のヨーロッパとかアメリカの限られた人かもしれないんですけれども、そういう方々は自分の一生の中のスポーツは一部であって、自分の生活を満たしてくれるような存在であるということで、すいません、時間が来ましたので、注意をいきなり受けてしまいまして、そういう、ちょっと取りとめもない話ですいませんでした。ありがとうございます。
【山脇会長】  ありがとうございました。トップバッターで申し訳ありませんでした。しっかりまとめていただきまして、ありがとうございました。
 それでは、伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  伊藤でございます。よろしくお願いします。
 私、写真の資料を御用意いたしました。A4のカラーの裏表にしてございます。
 本日は、スポーツの価値について国民に分かりやすく伝えるための具体的な例ということで、一例ではございますが、私どもがやっているものを写真で御用意しました。表裏になっているのであれですけれども、1つがスポーツの体験会。これは障害者スポーツの体験会を様々なところで様々な競技を行っているものです。
 もう一つの裏か表が、これは昨年、2015年から始めましたボランティアアカデミー。ボランティアをするということを通じて、スポーツに関わっていく、価値に関わっていくというものです。
 この2例を挙げたのは、私、今日の資料の4-1の2ページ目の「スポーツの社会的価値」というところに大きく「共生社会」の実現というのがありますが、私のアプローチの案は、障害者スポーツとスポーツというのを融合・一体化したことにより実現できる共生社会というものへのアプローチです。
 例えば、今、リオのオリンピックが終わりまして、皆様、お帰りなさいませ。これからパラリンピックがありますけれども、チケットが目標値の12%の売上であるということで、とても心配だなと思っています。
 それから、先達ては、ある自治体の方から御相談がありまして、うち、グラウンドが空いているから、ウィルチェアーラグビーの体験会やりたいと。やっぱりラグビーは外でやるのかなと思われたんだと思うんですね。結構、ウィルチェアーラグビーというパラリンピック種目はテレビとか新聞などでたくさん見るんですけれども、実際に見たり触れたりしたことがないから、グラウンドで外でやるラグビーだというふうな誤解があったりする。まだまだ、いろんなところで知っていただく機会って必要だなというところも実感しているところであります。
 私が今日2つ例に挙げたのは、そういった意味では、いろんな人たちがいろんな立場で関わっていただける。私どもSTANDで主催をしているもののほかに、市民講座、区民講座ということで開催させていただいたり、社員の方の企業の社員研修としても取り入れていただいたりしております。
 こんな中で何が起こるかというと、障害のある人と一緒にスポーツをして1時間半楽しむと、その人との間の触れ合いによって、障害があるということは、その人じゃなくて、社会の側にあるのだなという、根木さんがいつも言ってらっしゃる、そういったことがすぐに、すーっと1時間半で分かります。それから、ボランティアアカデミーというので、つえをついた人を案内する講座をやったら、翌々日に街角で、生まれて初めてつえをついた人に声を掛けて、御案内しましたという人が現れてきます。こういったスポーツを通じて共生社会が実現できるということの例として、こういったものをやっているということを挙げさせていただきました。
 もっともっとたくさんのスポーツもあるし、もっともっと競技もある。そして、もっともっと様々な障害。
 カードが来ました。
 障害というのがあるので、これが全国でいろんな場面でいろんなところで展開を、私どもがやるのには限りがあるので、広がっていくようなことというのができたらいいんじゃないかなということで、例示をさせていただきました。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、上治委員よろしくお願いします。
【上治委員】  上治でございます。私の方は、資料3の来月の検討課題に掲げられているんですが、「スポーツビジネスの拡大」という項目があるのですが、例えば、スポーツ用品といっても、非常に定義付けが難しいです。例えば、ポロシャツにしても、スポーツメーカーで売っているもの、アパレルメーカーで売っているもの、その流通チャネルごとに数字が随分変わってくる部分があると思います。ですから、冒頭から、昨年の10月からスポーツGDPという課題が何回か出ておりますけれども、スポーツに関連する商品の売上だけの拡大という定義付けなのか、そしてまた、今日、原田先生がおられますけれども、スポーツツーリズムということで、スポーツに関わったもの全てのビジネスの数字に組み込んでしまうのかということも含めて、スポーツビジネスというものの定義付けを、いま一つ明確にしていただいて、併せて海外からの流出も、かなり海外メーカーが日本の中に入ってきています。そういうことも含めて、スポーツビジネスの定義作りのところで、是非アイテム別、それからチャネル別の定義を1度議論していただいて、正確なスポーツビジネスの拡大というものに取り組んでいただければと思います。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 では、大塚委員、お願いします。
【大塚委員】  大塚です。おはようございます。
 私の方からは、スポーツの価値に関して、今、我々がスポーツの現場で直面しているプラスのポイントとして、参加型スポーツの伸び方が、東京マラソン以降、非常に大きい飛躍をしていると。これはどこにポイントがあるかということですと、先ほどの朝原委員のお話にも通じるんですが、大きく国民のライフスタイルがスポーツ寄りに変わってきているなと。この部分を更に伸ばしていくことによって、産業、特に食、娯楽、洋服、ひいてはメディアの方までも、このスポーツの持つライフスタイルの部分を伸ばしていく価値があるのじゃないかなと思っております。すなわち、勝ち負けだけにこだわらない、評価の場を求め過ぎないスポーツというものを、もう一度洗い直していってはどうかなと思います。
 一方、メガスポーツイベントにあるオリンピック、サッカー、こういったものは当然のことながら、それぞれのメガイベントのポリシーに基づいた勝ち負け、それぞれの目標というものに向かっていくという、こちらの部分も必要だと思います。
 NHKが年間にスポーツを放送する時間が6,000時間と聞いております。これだけのものが、今、日本の中にメディアで流れている以上は、今、国民をスポーツに参加してもらう方向に持っていくチャンスじゃないかなと思っております。この部分をスポーツの価値として伸ばしていければなと考えております。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、大日方委員、お願いします。
【大日方委員】  おはようございます。大日方です。よろしくお願いいたします。
 私の方は、資料4-1の日本パラリンピアンズ協会のところで書いていただきました取組について、少しお話を、まずさせていただきます。
 パラリンピアンズ協会では、選手たちが様々な形で、自身の体験を通じて、スポーツの価値というものについて講演会等で言及をしております。そうした言葉を抽出をしまして、どういうことを言っているのかというようなことをまとめてみました。3か月ほど前のことだったと思いますが、発表させていただいたものの中で、IOCの言っていらっしゃる3つの価値、IPCが言っている4つの価値、それからそれ以外にも障害受容であるとか自己肯定感、さらにはロールモデルとしての役割といったものについて研究しているというようなことが見えてまいりまして、7つの価値に加えて、3つのパラリンピアンとしての価値というものがあるのではないかと、そのような仕分けの仕方をしております。
 ここから分かることというのは、アスリート自身が、具体的な自分の体験を通じてスポーツの価値を語れること、その説得力の大きさだと思います。語れるアスリートというものを、より人材育成が必要だと思いますし、語る場を増やしていくということ。特に子供を対象にしたものは非常に有効ではないかと感じました。
 それを通じて何が分かるんだろうというと、生きる力というんですか、スポーツを通じて、自己肯定感をどのように得られるかということ、これは障害があるなしにかかわらず、非常に重要な視点なのではないかと感じています。
 そして、少しお話をずらしますが、スポーツの価値というものに気付く機会を増やすという意味では、見るスポーツというものも、また重要ではないかと思っています。スポーツ、例えば、観戦する文化というものが、日本では、まだあまり十分ではない。気軽に週末に観戦をしに行く、そのような文化を根付かせること、気軽にスポーツを誰もが観戦できるようになる、そんなことも必要ではないかと思っております。
 そして、障害のある人の施設利用ということに関しましては、先週、パラリンピアンズ協会が、パラリンピアンを対象に競技環境調査というものを行いました。そこで、スポーツ施設の利用を断られたことがある人はどれぐらいいるかと聞きましたところ、5人に1人が施設利用を何らかで断られたという非常に大きな数字が出ました。パラリンピアンがこれだということは、障害がある、これからスポーツを始めようという人にとっては、まだまだスポーツが身近なところにはないという、そういったことも推定できるんではないかなと思っております。こうした施設の運用面というところも、もう少し改善できることがあるのではないかと思っております。
 最後に、スポーツと一番接点があるところだと、健康寿命というところを皆さんおっしゃるんですが、スポーツが健康寿命にどのように影響をしているのかということ、どういう好影響があるのかということをデータで示す必要があるのではないかと思っています。恐らく、十分でないのであれば調査をするというようなことも考えていった方がよいのではないかと思っております。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 久木留委員、お願いいたします。
【久木留委員】  久木留です。よろしくお願いします。
 私は、多分、スポーツの価値というのは多種多様にあると思っておりますが、ここではスポーツに直接的に関わらない人も認める価値というものを念頭に置かなければいけないと思っています。そこで、2つの観点からお話をしたいと思います。
 まず、スポーツの価値は危ういものだというのが1点目。2点目は、スポーツの価値から考えるハイパフォーマンススポーツの意義について、少しお話をさせていただければと思います。
 スポーツの価値は危ういものだということは、皆さん御承知のとおりだと思います。欧州評議会では、2012年以降、2つの大きな政策が出ています。1つはインテグリティー・オブ・スポーツ、2つ目はアスリートのデュアルキャリアです。
 これの政策を読み解いていくと、スポーツ崩壊の危機感、つまりスポーツはいいものだと思っていながら、不正賭博があったり、八百長があったり、アンチ・ドーピングに関わる問題があると、その価値は一気に無くなってしまうということです。日本のことを考えてみると、2012年のロンドン・オリンピック以降、暴力指導の問題、不正賭博の問題がありました。このことによって、2016年オリンピック・パラリンピックは、大丈夫かという声が上がりましたが、今回、オリンピックではアスリート、JOC、統括団体の力と競技団体等の力によって、いろんなスポーツに関わる人たちが協力した形で、41個のメダルをとることができました。2020年東京オリンピック・パラリンピックに対する国民の世論というものを見てみると、今日の日経新聞にもありましたけれども、1番目がテロ対策を主張し、4番目にスポーツの強化というのが出てきています。こういうことを考えたときに、世論というのは、いろんな形で浮き沈みするんだなというのが分かります。
 そこで、スポーツの価値をハイパフォーマンススポーツという観点から捉えてみると、今回、大きく二極化したような気がします。1つは、4つの競技、つまり柔道、レスリング、体操、水泳によって、実際に金メダルでは12個中11個とった。これは全体の92%です。メダル数では31個、これは76%に当たります。もちろん、このほか陸上やウエイトリフティング、テニス、カヌー・スラローム、バドミントン、卓球等がとりました。しかし、4つの競技とそれ以外の競技という形で大きくやっぱり二極化してしまった。その中で、このスポーツの価値を広く国民に知っていただくためには、やっぱり中長期的な計画に則って進めていく仕組みが必要だと思います。勝つことの意義を深く考え進めていくことが重要でしょう。ただメダルを獲得するというのではなくて、勝つことというのは、国民の関心も高まりやっぱり意義があるのだと思います。この意味からもスポーツの価値との関係というものをしっかり捉えた上で、このことを私たちは数値化して表していくことがスポーツの価値になるのではないかなと考えております。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 桑田委員、お願いいたします。
【桑田委員】  桑田でございます。よろしくお願いします。
 スポーツの価値ということですが、非常に分かりやすくまとめていただいた資料の中で、やはり多くの価値があるなということを改めて実感いたしました。
 私自身の体験からしまして、あえてスポーツの価値で一番大きなものはというと、感動をどう共有化するかということだとが大きなテーマなのかと思っております。その感動を共有化することによって、選手も観客や支援者もそこからエネルギーが生まれ新しい挑戦が始まり、応援が始まります。そして、日常生活の中でいろんな展開になっていくのかなと感じております。そして主人公はやはり人間ですので、感じ方も人それぞれでありますが、感動を共有化するためにもスポーツを通しての人間教育ということだと思います。私は地域でスポーツ現場を見ていてもすごく感じますのは、関係者それぞれへの教育、つまり人間性の教育をスポーツを軸としてどのように組み立て提供できるかを考える、そういうことが今大事なんじゃないかと思います。
 戦後の復興期、50年前の東京オリンピック、私は小学生でありオリンピックを見て感動しました。そこからの日本経済の発展から、昨今の社会環境や経済環境等私たちを取り巻く環境が大きく変化してきております。もちろん地域でのスポーツ環境も大きく変わってきております。指導者や先生、保護者の考え方も相当変わってきております。その中で、確かに競技とかメダルとか、目標はいろいろあっていいと思いますが、その原点はやはり地域でやっている子供たちからお年寄りまでがスポーツや運動を気軽にやれる環境作り、それが非常に大事で、日々のスポーツ活動や運動の中で一つ一つの小さな感動をどう提供し、体験していくか、その場をもっと多く作っていくかということが非常に大事なんじゃないかと思います。人間教育という意味では、私は教育者じゃありませんので専門ではありませんが、やはり人間性、あるいは宗教性、道徳性、さらには情操教育、社会教育等が一般的に言われていると思います。これは本当にスポーツをやる我々が、スポーツを通して地域で具体的に子供たちからお年寄りまでに根をおろしていかないいけないことだと考えます。21世紀、価値観が多様化し個が中心になっており、1つのまとまりとか、地域とか組織とかコミュニティという価値観が薄れてきているように思います。地域コミュニティ再生のキーポイントにスポーツが中核になり得ると実感しております。そのためスポーツや運動を行える場所の提供と、専門で専任の指導者や経営者を雇用するためにも地域スポーツの事業化、ビジネス化が期待されていると思いますのでど、そういうことを、是非提案し議論頂きたいと考えます。 以上でございます。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 境田委員、お願いいたします。
【境田委員】  まず、私、バスケットボールの理事をやっておりまして、今回、女子は8位入賞することができましたが、男子は桑田さんが出られた1976年から40年間出ておりません。男子の強化というのが本当に喫緊の課題でございますが、先般の理事会の中でも話しているんですが、やはり今まで何が足りなかったかというと、多くの原因があるのですが、1つは、科学的なサポートが十分でない、更にPDCAサイクルが十分でなかった、こういうことが1つの大きな原因かなと考えております。
 それで、東京大学の理事として、ちょっと発言いたしますと、東京大学では3か月前に、東京大学スポーツ先端科学研究拠点というものを作りました。この3か月間、いろんな研究者、50人ぐらいヒアリングしてまいりました。臨床医学、脳科学、バイオインフォマティクスとか、バーチャルリアリティーとか、AR(拡張現実)とか、人工知能、IoTとか、それからセンシング、そういったいろんな人と話を聞いてきました。皆さん、それぞれに、例えば、JISSと研究していますとか、どこかの団体と研究していますってあるのですけど、そこをインテグレートすることがなかったわけですね。これを今後、大学の中でインテグレートすることが非常に重要な課題かなと思っております。
 それで、いろいろと具体案を考えたときに、例えば、今、いろんなセンシングとかウェアラブルの技術で、選手のデータをリアルタイムで計測したり、もしかすると可視化することができる時代ですよね。そういったいろんなデータに加えて、今、スマホでバイタルデータが、日々いろいろ情報を全部入手できる時代です。そういったデータをきちんと日常的に管理して、それを、例えば、スパコンだとか、人口知能とか、そういうものを加えて、詳細な解析を行って、それで新しいトレーニング方法を開発する、若しくはトレーニング方法を改善するというですね。さらにまた、VRとかARみたいなものを作って、新しいトレーニング方法も作っていくと。今、バーチャルスタジアムとかバーチャルアリーナ、スマートスタジアム、スマートアリーナという構想がありますけど、具体的に、こういうことに貢献できるような技術がどんどん開発できるのではないかと思っております。
 こういった技術が開発すると、もちろん代表の強化のみならず、スポーツ用品メーカーとか、IT産業とか、通信会社とか、ヘルスケア業界とか、もちろんリハビリとか、あとロボットを作っているメーカーとか、若しくは、まちづくり、そういったものにこういった技術は当然応用していける可能性があると思っております。したがって、こういう大学と、こういう競技団体が連携しながら、こういった社会への還元を行う、社会への貢献とか発展に貢献すると、こういったことが今後の大きな課題なのではないかと思いますし、1つのスポーツの大きな価値なのではないかと思っております。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  佐藤満です。よろしくお願いします。
 スポーツの価値ということで、今、御意見をお聞きしながら考えましたが、先ほど資料4-1の「スポーツの価値」についての検討課題の中でまとめられたとおり、様々な要素が含まれており、スポーツの価値というのは大きなものであるということを非常に強く感じております。
 平成23年に、スポーツ基本法が制定されておりますが、その中で、「スポーツは世界共通の人類の文化であり、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的生活を営む上で不可欠なものであるとともに、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利である」と定めております。それがこの資料4-1から具体的なスポーツの価値として見えてくるのかと思います。
 その中で、文化的価値から見ますと、現在は子供たちに対して、日常的にスポーツに親しむ環境や楽しむ環境がない状況です。スポーツ機会の充実とか、施設の整備とか、ずっと叫ばれながら、解決されていません。それが今まで私が会議の中でも話したことです。多くの子供たちがさまざまなスポーツを行うことのできる環境を作ることがスポーツ基本法にある前文を可能にし、スポーツの価値を上げるものと非常に強く感じております。
 先ほど久木留先生の方からもおっしゃいましたが、金メダル種目が非常に偏ってしまっています。他方、なかなかとれない競技がまた数多くあるということです。レスリングは、メダルをとるときには非常に騒がれておりますけれども、実際の金メダル獲得までの努力のプロセスは、なかなか一般の方々には見えません。それは日本が特定の競技に偏っているため、レスリングが身近な存在にないことがあります。子供のときにさまざまな競技を行う環境がないと触れ合えませんし理解されません。
アメリカの高校生のレスリング人口は26万人、イランはレスリングを国技として数多くの子供たちが行っており、レスリングは身近な存在です。
 スポーツの価値は多種多様にあると思いますが、自分たちが関わっていないと理解されないことが多々あります。私がソウルオリンピック後のイラン遠征時、通りがかりの人々から声をかけられました。何を言いたいかといいますと、基本的に子供の時に、さまざまな競技を行うことによって、他競技にも興味を持つと思うのです。現在の子供たちの競技レベルはあまりにも高度化し過ぎて、この競技しかやらないといけないというような風潮さえあります。日本ではメジャーである競技がすごいとか、自分の行っている競技しか興味がない傾向も強くなります。本来はそうではなく、さまざまな競技を経験することにより、それぞれのスポーツの価値観をお互いが理解することが必要です。その相互理解が金メダル獲得までのプロセス、その努力が価値をさらに高めてくれると考えます。そしてそれがもっと数多くの人々に夢や勇気、感動を与えてくれます。
子供たちが数多くのスポーツに触れる環境を作ること、複数スポーツを行うことが人々のさまざまなスポーツへの理解度も深めてくれます。そして数多くのスポーツが身近な存在になることが、日本でのスポーツが文化として存在し、スポーツの価値が高まると考えます。
 まとまりのない話になりましたが、以上です。
【山脇会長】  ありがとうございます。
 庄野委員、お願いいたします。
【庄野委員】  
【庄野委員】  庄野です。
 私は日常的に医師として、生活習慣病の方々の治療のための運動療法や、一般の国民の方の健康づくりのための運動に携わっている立場からの意見を申し上げたいと思います。
 スポーツの価値についてという議題を考えたときに、スポーツには確かに様々なすばらしい価値がありますが、あまりにもスポーツはいい面ばかりというような価値についての議論というのは、どこか上滑りな部分がないだろうかというのが少し心配になります。
 というのは、スポーツということで、表の面ですばらしい部分がたくさんあるのは事実ですが、その裏側の面にも目を背けず向き合ってこそ、スポーツの本当の価値というものが、幅広い視点から確立されていくのではないかなと感じます。その裏の面というのは、先ほど久木留委員がスポーツ競技の部分でも申し上げられたこと以外に、一般国民における運動・スポーツの効果には、例えば、健康増進とか、生活習慣病の改善とか、介護予防とか様々なプラスの部分が期待できますが、やり方を一歩間違えれば、事故や怪我などのマイナス部分がある。つまり、運動はもろ刃の剣と言われるように、必ずそういうリスクを持っているということを踏まえて、リスク面を最小限にしながらプラス面を最大限に享受できる仕組みを作らなければいけないと思います。
 一般の国民や病気や障害のある人においても、スポーツの価値を正しく享受するためには、スポーツとリハビリや医療の部分での連携が必要です。病気がある段階での運動療法と、それから病気がだんだんよくなって、元気になっていったときに、本当に自分がやりたいスポーツができるようになっていくまでの流れができることが大切だと思います。安全・安心に運動・スポーツが実施できる共生社会の実現という視点がもっと表現されるべきだと思います。つまり、誰でも初めのうちは際限なくやれるわけではなく、運動に伴うリスクの方が高いですから、自分の限界を正しく知ることも大切です。今の限界を知った上で、将来の可能性を追求していき、そして、だんだん体力が付いて元気になっていくと、過去には限界であった部分が少しずつ縮まって、可能性が広がってくるということです。そういった方向性でスポーツの価値を広げる視点がもっと必要ではないかと思いました。


【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木委員】  鈴木でございます。
 スポーツの価値につきましては、個人的価値、それから社会的価値につきまして、資料4-1に非常によくおまとめいただいていますので、これに尽きると思うんですが、その中で、フェアプレーとか、あるいはルールの遵守とか、あるいは他への尊重、先ほども御意見ございましたけれども、人を認める価値観、こういうものの根本に当たる、それを支えるものが、スポーツが公正に競技されているということだと思います。
 昨今のドーピング問題からも分かりますように、公正に競技をする環境を担保する、この体制作りということが、やはり必要になってくるんじゃないかと思っています。これは2020年の大会、それから2019年のラグビー・ワールドカップの成功等を考えますと、やはり重要な問題ではないかと考えております。それには、やはりクリーンなアスリートを守るということとともに、クリーンなアスリートを作るということも必要だと思うんです。この作るということは、やはり教育等がここに関わってくると思いまして、今まで考えられたより幅広いアンチ・ドーピング体制というものの構築が必要ではないかと思います。
 そうしますと、第2期スポーツ基本計画のミッションを考える上では、できるだけ具体的に国民に分かりやすいようにということでございますので、やはり関心の大きい、このアンチ・ドーピングという文言を、ミッションの1つの中に加えていただいて、皆で公正な環境というものを作っていくということをしていければと思っています。
 以上でございます。


【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、髙橋委員、お願いいたします。
【髙橋(和)委員】  横浜国立大学で、小学校、中学校、高校の教員養成をしております。その立場からお話ししたいと思います。
 まず、この資料を作ってくださった木藤参与の努力とすばらしさに感謝いたします。
 この中で、2030アジェンダのレジリエンスというところと、それから女性や若者の能力を強化するという点に、ちょっと関連してお話ししたいのですけれども。
 レジリエンスという生きる力、立ち直る力というのを、中学生3万人に昨年調べました。その結果、怒りというのが結構中学生は高くて、高校生、大学生も調べたんですけど、下がっていく。切れるという中学生がいるということは、皆さんも御存知だと思いますけれども、それをスポーツや運動が好きかということと、ダンスが、私が競争しないダンスの領域の専門でありますので、2つの群で聞いてみましたところ、やはり運動、スポーツをする群、それからダンスをする群は怒りの要素も少ないと。そういうところでレジリエンスがスポーツやダンスをする人たちにはあるのだなというのが、今、日本の子供たち、あるいは青年にとって明確になりました。
 そういうことと、それから地震国である日本では、3・11もしかり、それから熊本もしかり、そのたびに運動する機会が少なくなっていきます。特に福島では、ちっちゃい子たちの、あの期間、外に出れなかったということで画然と体力が落ちている。そういう中で、レジリエンスも絶対落ちていくだろうと思っていまして、このレジリエンスということを、是非大きなポイントとして入れていただけたら有り難いなと思っています。
 それから、スポーツというと競争すると思われがちですけれども、庄野委員もおっしゃったように、戦うだけではなくて、身体活動とか、本当に体を動かす喜びみたいなところもポイントに押さえていただけたら有り難いかなと思います。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、髙橋委員、お願いいたします。

【髙橋(秀)委員】  障がい者スポーツ協会の髙橋でございます。
 4-1の資料、大変すばらしいと拝見いたしました。スポーツの価値は、ここに書かれているとおりだと思います。ポイントは、今日の課題にもありましたが、それをどう伝えていくかということだとすると、私は子供、学生ということと企業という2つをターゲットに広めていったらどうかと考えているというのが結論です。
 少し申し上げますと、東京オリンピック、1964年のときは、スポーツの価値を仮にどういう手段で我々が感じたかというと、聞く、見る、読むだったんじゃないかと思うんです。聞くというのは、ベルリンオリンピックの時の「前畑頑張れ」ではないですが、ラジオですよね。それから、見るという意味ではようやくカラーテレビが出てきて、東京オリンピックの開会式の中継などは本当にすばらしかったと思いますけれども、ラジオで聞く、テレビで見る、新聞で読むということでスポーツの価値を感じていくという時代だったんじゃないかと思います。
 それから50年がたって、現代ではスポーツの価値を感じるのは「みる」「する」「ささえる」へと変化してきたと思います。「みる」のはテレビだけじゃなくて、スマホとかSNS、いっぱいありますし、「する」「ささえる」ということも重要になってきたということだと思います。それをどういうふうに国民に広げていくかということだと思いますが、ちょっと愕然としたことがありまして、7月31日に、文科省さんもちょっと一部関わっていらっしゃったTOSSの全国研修会がビッグサイトであって、ウィルチェアーラグビー、我々の障害者スポーツではメインスポーツの1つですけれども、ウィルチェアーラグビーの模擬授業がありました。そのときの先生が、500人以上の先生に「ウィルチェアーラグビー見たことある人、知ってる人」って、手を挙げた人1人しかいませんでした。したがって、我々はパラスポーツをしょっちゅう見ていますけど、ほとんど先生たちにはパラスポーツの「みる」「する」「ささえる」は広がっていないということを前提に考えていかねばなりません。そこで大切な視点の第一は教育で、具体的には2つです。1つは子供の教育です。義務教育のときにしっかりと子供たちに体験をさせたり教えていく。ただ、教えていく先生が分かっていませんから、先生も含めて教えていくということが大事。2つ目は大学の場だと思います。大学はスポーツを体系的に勉強する最後の場ですし、施設も充実していますし、それから障害者もいます。健常者、障害者、一緒にすることもできる。そうした意味では、大学教育の場というのは非常に重要だと思っているということが広める視点の1つ目です。
 2つ目の視点は企業です。企業は、やはり日本のスポーツ文化は企業に負うところが大きいという意味では、私は企業におけるファンクラブ制度を提唱したいと思っています。各企業にファンクラブを、できれば競技別のファンクラブがあって、その会費が競技団体を支えていくというようなことの仕組みをレガシーとして残せればいいと思っています。
 その2つ、子供・学生、そして企業社会へと広げていくことによって、私どもが当面求めている2020、全競技会場の満員にもつながるんではないかと期待しているところでございます。
 以上でございます。


【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、田口委員、お願いします。
【田口委員】  こんにちは。田口です。
 リオ・オリンピックが終わりまして、それを見た方々のをネットとかで読んでいると、その人らのコメントに、「感動した」とか、「ボランティアで、是非、2020年は参加したい」とか、「開催を反対していたけど、2020年、東京に来るのが楽しみになった」って、そういうコメントがたくさん見受けられたんですね。こういうのは、やはりテレビとかでオリンピックを見られたり、もちろん会場でも見られて、そういういろんなスポーツの価値を感じられたと思うんですね。やはりスポーツには、ある意味、そういうのでいろんな価値があるのだなというのが分かったと思います。
 同じくパラリンピックにも同様の価値があるのですけれども、まだまだ、それを理解されていない部分がたくさんあると思います。実際、先日、2日間にわたって、各団体の御希望を伺ったときに、28団体お聞きしたんですけれども、4分の1若しくは5分の1ぐらいの団体の方が障害者に触れていたぐらいで、ほとんど触れてなかったと、多分、皆さん、御参加、御出席された方は感じられたかと思います。そうですね。そういうのを、やはりまだまだ身近に感じていただけてないんではないかと私は感じました。
 今回のお題というか、スポーツの価値について、国民に分かりやすく伝えるために、どのように具体化して表現していくかということで、団体のヒアリングの際に、パラリンピアンズ協会の河合さんがおっしゃったとおり、やはり次期の5年の計画には、障害者スポーツの章を立てて、あと具体的な言葉で数値目標等を設定することで推進することが必要。私はこの言葉に、やはり今回、この5年は、まずはこれは重要だと感じました。
 あと、今、決められた時間ですので細かくは言わないんですけど、そのとき河合さんが出された資料ですね。河合さんと大日方さん、お二人が発言された資料に、具体的な言葉で記載されていますので、是非それをご覧いただいて、そういうのを具体的に、パラリンピックに関しては、障害者スポーツに関しては、まだまだ具体的な目標と言葉で表現していかないといけないんではないかなと感じました。
 先日、東京2020年のパラ4年前イベントがありまして、知的障害児と、あと普通学校の生徒、一緒にソフトボールの交流大会というのを、私はそこにいたんですけれども、やっぱり子供たち、健常者の子供たちですね。障害者の子供たちに触れて、もうソフトボールを一緒にキャッチボールをしていたり、そういう姿に皆さん、感動もしましたし、実際、一緒に行った健常者の子供たちが、その後、気軽に障害者の子供たちに接したり、いろんな手伝いをしているので、そういうのをそばで見て、やっぱりスポーツ、一緒に何かを行うということは、何かを教え込むというよりは、すぐに共生社会につながるんじゃないかと感じました。それは健常者と障害者、どちらにもかかわらず、スポーツには、その役割を果たせるということを感じました。それは子供たちだけでなくて、大人も、そして組織も同様だと思いますので、是非身近にやっていく仕組み作りが必要かと思いました。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 竹田委員、お願いします。
【竹田委員】  まず、リオ大会では、政府、そして多くの方々の御協力をいただいて、また、皆さん方の大きな御声援で、選手、いい成績を収めることができたと感謝しております。ただ、まだ課題は山ほどありますし、2020年へ向けて、皆さんの更に期待に応えられるよう努力したいと思いますので、よろしくまた御支援のほど、お願い申し上げたいと思います。
 スポーツの価値についてなんですが、IOCでは、スポーツの価値を広めるために、オリンピック・ムーブメントを推進する事業に重点を置いております。JOCでは、唯一のNOCとして、このオリンピック・ムーブメントを広げて、スポーツのすばらしさ、スポーツの価値をいかに広げるかということで活動を行ってきております。
 オリンピック・ムーブメント自体、皆様、よく御存知だと思いますが、簡単に申し上げれば、スポーツのすばらしさを1人でも多くの方に伝えて、そしてスポーツの参加を促してスポーツを行っていく。そういったことによって相互理解を深めて、明るく豊かな社会形成をして、国際親善に尽くして、そして、ひいては世界の平和の構築に貢献していこうというものだと信じております。
 そのオリンピック・ムーブメントは、オリンピックの中の頂点に位置するものであって、今回のリオ大会においても、オリンピズムを分かりやすく日本の選手団の活躍によって理解していただいた方も多くおられると思います。特に今回、レスリング、あるいはバドミントン、卓球の選手たちが、本当に最後まで諦めないで、そして自分の高い目標に向かってチャレンジしていく、そういったオリンピアンの姿を多くの方が感動していただいたとも思います。ただ勝ち負けだけではなくて、多くの感動を今回も得られたと思います。
 例えば、陸上の女子の5,000メートルの予選ですけれども、選手が転倒いたしまして、その2人の選手がお互いに思いやって、そして国籍を超えてスポーツマンシップ、そしてフェアプレーの精神を見ることもできましたし、そういった多くのことが、このオリンピックからもスポーツの価値を受け取ることができたと思います。
 ブラジルは御承知のとおり多くの貧民窟がありまして、特にリオでもファヴェーラと言われる場所が多くあるのですが、そのファヴェーラの出身の柔道の女性の選手が初めてオリンピックで金メダルをとったということで大きな話題になりましたが、このファヴェーラの柔道の指導者が、スポーツの価値について、とってもいいことを言っておりますので、このことをひとつ皆さんにお伝えしたいと思います。
 「若者はスポーツを通じて自分が何かを達成できるということを知り、自尊心を持つ。すると責任感や自立心、人のために何かをする心など行動が大きく変わる。スポーツは人間性を育て、社会を変えることになる」という言葉でした。やはりスポーツは、まさにこのような好循環を与えていく力があるのだろうと思いました。
 また、オリンピックというのは、選手を中心とした、要するに、アスリート・ファーストということが最も重要なことになるわけですが、我々JOCとしても、アスリート・ファーストを念頭に、相手へのリスペクト、あるいは心技体の調和のとれたオリンピアンを大事に育てて、2020年、あるいは2020年以降に社会に向けてメッセージを送ってくれる、そういった選手たちを是非育てていきたいと思っておりますし、この206の国・地域から集うオリンピックというのは、いわゆる人種、宗教、国際政治、こういったものを超えた1つの平和の象徴だと思いますが、こういったスポーツを通じた平和の象徴、このスポーツのすばらしさを、オリンピック教室や、あるいはオリンピックデーランであるとか、あるいはオリンピック・コンサート、そういった多くのイベントを通じて、オリンピアンがみずから国民に触れながら、そのスポーツのすばらしさを伝えていくようなことを今後も続けていきたいと思っています。
 やはりオリンピックの年というのは、オリンピックからいろんなスポーツの価値を得て、自分もスポーツをやっていきたいという子供さんもたくさんいると思うんですが、やはりオリンピックイヤーでない年に、なかなかこれが落ちていくんですね。それで、今度、IOCでは、オリンピック・チャネルというのを立ち上げまして、これはテレビ・チャンネルではないんですが、いわゆるパソコン、あるいはスマホで、様々なプログラムが用意されておりまして、日本語版でも見えるように、これからなっていくと思いますが、365日24時間、いつでもオリンピックのことに関して、いろんな情報が得られるような、そういったものが始まります。ですから、こういったものも、是非そういったスポーツの価値を受けるために、使用、利用、活用していただければ大変有り難いと思います。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、田嶋委員、お願いいたします。
【田嶋委員】  私、JOC、そしてサッカー協会の方で、主に球技の方を中心にやっていますが、このハイパフォーマンス、第1の道の評価というものの価値というのは、ロンドン、リオ、そして多分東京で、かなりみんなに知っていただけるんじゃないか。ただ、先ほど久木留委員がおっしゃったように、球技、やっばり全然勝てないんですね。それは何でだろうって、いつも僕ら分析しているんですが、ここに運動部活動の充実というのが出ているんですけれども、やはり球技こそ底辺広く、部活動とかで、いわゆる第2の道の、本当にグラスルーツのものからトップアスリートを育てる環境が、僕は学校のクラブ活動にあると思っています。それで、文科省の方は今そこを縮小し、なるべくあまり無理させないようにしようとか、そういうような傾向にあり、それで、この逆に、日当等は上げるような方向で一生懸命してくださっていますが、失礼な言い方だけど、所詮、今300円のが500円になるとか、1日いても500円や1,000円にもならない。そういう中で、みんな一生懸命やっている。人が、指導者が減っていくのが当然であって、そういう報酬のことをしっかりと考えていく必要があるのじゃないかと思っています。
 それから、竹田会長にポスト2020年のことを担当しろということで、いろいろ今やっているんですが、やはり僕は自立だと思っているんですが、そのためには、例えば、我々、パラリンピックの電動車椅子だとか、デフとか、それから障害者連盟のブラインドアンプティーと、それをサッカー協会の中に取り込みました。それで、今、すごくいい方向には行っているんですけれども、同じユニフォーム着てやろうよって、みんなで言ってくださって、非常に簡単なものかなと思ったら、実はスポンサーが違う。デフの方たちをいっぱい保養している生命保険会社の方がいらっしゃる中で、我々の代表チームの保険会社とバッティングして着ることができない。でも、どっちが大事なんだといったら、僕は長くサポートしてくださっている方を大事にするべきだと思っています。そういう意味では、女子も最初は日本代表、男と同じものを着たいと言っていたのが、世界一になってから、私たちの特別なものにしてくださいと言うようになってきた。それと同じように、パラリンピックもやっぱり自立していくという、そういう方向を、2020までは、東京オリパラ室、組織委員会があって、そこでつなげるかもしれないけど、その後はしっかりと自立できるようなところを作っていかなければいけないんじゃないかなと思っています。その価値が十分あると思っています。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 田中委員、お願いします。
【田中委員】  田中ウルヴェ京です。お願いします。
 もともとがオリンピック選手であり、そして、現在はハイパフォーマンスのための心理を専門として研究をしたり、オリンピック選手やパラリンピック選手に指導しているという立場で、そのスコープで申し上げます。
 スポーツの価値の具体化というようなお話でした。具体化の遠いビジョンとして、今から発言することは、どこに向かうための発言かというと、2050年までに、スポーツの可視化の中でも、特にトップアスリートの脳の情報処理能力の可視化ということを実現するために、今どんなことをすべきかということで1つ提案をしたいと思っています。
 なぜそこにいったかというと、IOCが発言している様々なことを各国のNFが捉えている中で、一番、今、全く可視化ができていないと言われているところがこの部分です。「心技体」と日本語では言われますが、このうちの技とか体の部分は、かなり可視化が進んできたと結論付けていて、その中で心理の部分だけは、少しまだ遅れていると言われていることがあるというので、この視点が遠い目標ということです。
 そのために何をしなければならないかということで、2つです。
 1つ目は、国民に分かりやすく伝えるということだったので、オリンピック選手のメダルという外的価値の取得のための心理のシステム化。なぜこれをやらなければいけないか。心技体の中のどれも、しっかりと、JISSでも、ナショナルトレセンでも科学サポートは進んではいるのですが、心理の部分では、まだまだどうしてもマイナスになってしまった選手をゼロの域まで取り戻すというようなクリニカル・サイコロジーの方が優先されていて、ゼロからプラスに、つまりもともとしっかりちゃんとできているアスリートを更によくするためのエクストラ・オーディナリーという領域の心理学の発達が、日本ではまだまだ遅れているというような印象を受けます。そのために技と体と一緒にコラボをしての科学サポートシステムということが確立できていないというところは、直近ですぐにできることかとは思いますので、そこの部分をしっかりすることで、もちろん外的な価値というだけのメダルをとるというものの強化促進になるということは1つの価値かとは思います。ただ、これの弊害があるということで、デュアルキャリアだったり、キャリアプログラムの重要性であったりということが提言されているはずです。なので、その2番目としては、メダルだけではないスポーツの価値のシステム化、ここが何かというと、木藤先生の、この資料4-1にあるようなことが、まず最初の質的な分析のものだとしたら、これをそれぞれのオリンピアン。このオリンピアンがどの競技特性にフォーカスするのか、あるいはどこの年代にフォーカスするのかによるかと思いますが、それぞれの選手たちのこれらの価値をどう獲得してきたかというプロセスを、まず調べていくということも、それぞれの明確化するというものの最初になるかと思います。
 以上、この2つ申し上げます。ありがとうございます。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 根木委員、お願いします。
【根木委員】  はい。パラリンピアンの根木です。私はスポーツの価値の部分で、教育のところのお話させていただこうと思います。
 僕自身、朝原さんと同じ法人で、アスリートネットワークであったりとか、大日方委員のパラリンピアンズ協会等でも、子供たちに向けて、自分たちの経験を、いろんな形で伝えることをさせてもらっています。また、パラリンピック・サポートセンターでは、あすチャレ!スクールということで、今、全国の小・中学校に向けて、体験型授業ということで活動させてもらっていて、当面の目標として、2020年までには1,000校の学校、全国、日本中を回るということをさせてもらっているんですけれども、スポーツを通じて、やはり今回、オリンピックがあったように、みんなが目標や夢や憧れを持ち、それに向かって進んでいくことであったり、日本中が応援することによって、応援をすることのすばらしさがあったり、そこに友情が芽生えたりということの部分について、子供たちの影響というのは計り知れないすばらしいものがあると思います。
 これはまた、パラリンピックだけではないんですけれども、生涯スポーツということでいうと、なかなか皆さんに、まだ知られる、見ていただくこともなかったことによって、大きく一番伝えることができるのは、僕は違いを認めるであったりとか、人間の可能性というのを、もっとパラリンピアンを通じて知っていただけることもできるのかなと思います。ついては、共生社会の実現。皆さん共通の思っておられることだと思うんですけれども、スポーツを通じて、誰もが違いを認めて、素敵に輝ける社会というものを見せることが、特に教育の部分で、スポーツの力によって、これを伝えていく方法を、これから重点的にできたらなと思っております。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 萩委員お願いします。
【萩委員】  萩と申します。大学の教員をしております。
 私は一国民としての発言ということになろうかと思いますけれども、今回の宿題は、スポーツの価値について、国民に分かりやすく伝えるために、どのように具現化・具体化していくかということなんですが、これに的確に答えられる自信はあまりないんですけれども、諮問理由について感じたことを率直に述べたいと思います。
 最初の諮問理由のところに、「スポーツに関わる全ての人々がスポーツを通じてその価値を学び」とあります。つまり学ぶ必要があるのですね。恐らくやみくもにスポーツをただしているだけでは、その価値を認識するということは難しいんだろうと思います。そこにきちんと意味付けをして学ばせていくということが必要だと思うんですね。
 例えば、学校教育の中で、体育の授業の中で、楽しさとか喜びとかおもしろさというものを前面に出して授業をしている先生というのはどれぐらいいるのかなと、ちょっとそこを疑問に思っております。また、意識して学ぶということが非常に重要であるということ。それと、スポーツというのは、やはり体験して初めて、その価値が実感できるわけですね。その体験は、「する」だけではなくて、「みる」「ささえる」など、様々な関わり方がありますけれども、いずれにしても自分が体験して感じるということが非常に重要です。そこが一丁目一番地かと思いますので、できるだけ多くの国民を、この一丁目一番地に誘うような施策、仕組みが必要なんだろうと思います。そのためにも、身近で気軽に誰でも参画できるような仕組みというものを、今後とも考えていかなければいけないと思います。
 2つ目の諮問理由の中に、「共生社会」の実現という言葉があります。共生社会を実現するために必要なものは理解だと思います。日本は、一般社会の中では、まだまだ多様性になれておりません。しかし、スポーツの世界は、もう既に多様性になっております。つまり多様性を前提として進められているということですね。オリンピックを見ても、肌の色、体の大きさ、言語、様々な多様性の中で多くのアスリートたちが活躍しておりますし、日本人アスリートも、その中で堂々と戦っております。さらに戦いが終われば、お互いを称賛して、お互いを褒めたたえているという、こういう姿が何よりもその多様性を理解するのに非常にいい機会になっているかと思います。
 これから5年の間に、ラグビー・ワールドカップ、あるいは東京オリパラ、ワールド・マスターズゲームという非常に国際的なイベントが予定されておりますが、これがまさにその多様性を理解し、感じ、受け止められるイベントになるかと思いますので、これが共生社会の実現のための理解を促進するものになるのではないかと思います。
 最後に、3つ目の諮問理由の中に、「スポーツの価値を飛躍的に高める」とあります。このスポーツの価値を飛躍的に高めるためには、スポーツの価値を伝える人々の育成が必要です。先ほど大日方様がおっしゃったように、それを伝えられるのは、やっぱりトップアスリートかなと思います。このトップアスリートの方々がスポーツの価値を高めるように活動していくというようなことが非常に重要だと思いますので、そこをうまく推進していく。
 目指すゴールは、スポーツの価値が社会から必要なものに高められるということですね。社会の課題を解決するものになり、投資する価値のあるものにまで価値を高めないと継続的なスポーツの振興というのは難しいと思います。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 原田委員、お願いします。
【原田委員】  先ほど木藤委員が作られた資料4-1を縦に眺めていますと、年代とともにスポーツの価値というのが若干変わってくるなと。例えば、個人的価値だと、健康、交流、人格形成というものから、貧困、戦争のトラウマ、ジェンダー、LGBTですね。あるいは薬物依存まで、非常に世相を反映している。社会的価値に関しても、平和とか教育、あるいは男女平等といったものから、人権、コミュニティ形成、無差別、都市再生ということで、社会が求めるスポーツに対する価値は徐々に変化している、あるいは時代とともに変化するということで、恐らく不易と流行みたいに、変わってはいけない価値と変わっていくべき価値があるのかなと考えられます。
 スポーツの価値というのは、今は社会的課題の解決から地球的課題の解決。例えば、紛争解決、あるいは差別の撤廃、あるいは国際開発といったものに徐々に変わって、非常に守備範囲を広げているわけです。
 そういうような中で非常に面白いのが、日本では今、高齢化と人口減という待ったなしの問題に直面していますが、総務省が2009年に行った地域おこし協力隊という制度があります。これは地域に3年間、若い人を送って、特別交付税で月20万、あるいはその活動費を提供するんですが、その募集要項を見ていますと、スポーツが非常に多いんです。今の地域をスポーツで元気にしてくれ、あるいはスポーツイベントを企画してくれ、こういったものがあり、それが雇用の創出に結び付くと。今後、最初、上治委員がおっしゃったように、スポーツビジネスの健全な拡大とともに、雇用を生んでいくといった新しい側面を、この価値作りの中に取り入れていくべきだろうと思います。そういった流れを行政が施策によって作ることが重要ではないかなということですので、これは今後、地域におけるスポーツ振興だけでなく、先ほどの運動部活動、田嶋委員の話にもありましたが、地域からそういう有望な人材を発掘するための運動部活動にも非常に重要に関わってくる施策ではないかと思いますので、日本の今の現状に合った新しいスポーツの価値というのを、この基本計画の見直しの中でクローズアップしていただければいいなと思います。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 福井委員、お願いします。
【福井委員】  オリンピック委員会、福井です。
 まず、先ほど竹田会長からもオリンピックの話がありましたが、私も大塚委員とともに、日本選手団の本部の1人として参加をさせていただきました。皆様の御協力で、本当にチーム・ジャパン一体となって臨むことができました。大きな声援、本当にありがとうございました。
 それで、リオ・オリンピックで日本選手が非常にいい成績を残した今、スポーツに対する期待というのが高まってきて、スポーツに対する理解を深めるというのは、今、絶好の機会だと考えています。なぜスポーツなのかという定義を分かりやすく説明をして理解を得ることはもちろんなんですけれども、スポーツに全く興味のない人、特にスポーツが嫌いだと明言している方もいます。そういう方々の意見を聞くことによって、逆説的にスポーツの普及方法ですとか、あるいはスポーツの新たな価値が見えてくるのではないかなと考えています。物理的に困難な状況にある人も含めて、極端な状況にある方にとってのスポーツって一体何なんだろう、あるいはどんな意味があるのだろうということを知るというのは、すごく大切なのかなと思っています。
 スポーツは人間の本能である闘争心ですとか向上心を、厳格なルールに守られて、毅然と戦うことで、結果として勝ち負けが決まりますが、そこに敗者の潔さというスポーツの一番崇高な副産物が生まれると言われています。スポーツ嫌いと言われる人の話を、そんなに数多く聞いたわけではありませんが、この勝ち負けがはっきりするところが受け入れられないということを多く聞きます。ですから、スポーツを理解してもらうには、勝者への礼賛とともに、敗者への潔さの称賛を浸透させる必要があるのかなと考えています。物理的に困難な状況にある人にも、押し付けにならないように、スポーツが心の潤いになるものであるという角度からアプローチするということも必要なのかなと思います。
 スポーツによって、既に感動をもらって、心を動かされた人が、いかに持続的にスポーツと関わり続けて、周りの人たちを巻き込んでもらって、すごく大きな渦を作っていくか。また、オリンピックや、これから始まるパラリンピックの後だけの一過性のものにしない、恒久的なスポーツへの理解、好意への働きかけを、これからも続けていきたいと思っています。
 最後になりましたが、木藤先生、すばらしい資料、ありがとうございました。大変よく理解できたと思います。本当ありがとうございます。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 増子委員、お願いします。
【増子委員】  はい。増子でございます。
 先ほどから、パラアスリートが、すばらしい障害者スポーツ、そしてスポーツの価値についてお話をしていただいていますので、私はまた地域スポーツ、そしてまた違った観点から、少しお話をさせていただきたいと思います。
 キーワードは地域ということなんですけれども、今から例えば20年後、30年後、日本は超高齢化社会を迎えます。超高齢化社会を迎えるに当たって、国民の40%が高齢者になるというようなデータも予測されています。その中で、高齢者と言われる方々のほとんどが何らかの身体的に問題、若しくは障害、身体的・内部的に問題を抱えていることが考えられると言われています。
 先ほど委員の方から、幼児期からのスポーツ習慣、そして青年期のスポーツ習慣、競技スポーツに取り組む、そういった中で、こういった先の日本が高齢化を迎えるに当たり、高齢の方が一生涯を通したスポーツをすることで、健康に留意するというか、障害のあるなしにかかわらず、障害スポーツを推進することによって、高齢、そして高齢障害者をお持ちの方が、健康的に日常を過ごす機会が設けられるということがスポーツの価値の1つに挙げられると思います。
 もう一つは、地域において高齢者のスポーツの対応をすることによって、私どもパラアスリート以外、地域で重度の肢体不自由、若しくは重複障害の方で、なかなか移動困難な方々が、公営交通機関、アクセシビリティー、施設の改善、そういったものが進むことで、地域の身近なところでスポーツを取り組むということができることが考えられます。重度の肢体不自由の方々は、なかなかスポーツに取り組む環境がないために、見るのは、とても楽しく見るのがお好きだと思います。ただ、取り組む環境が、地域においてはなかなか難しい観点もありますので、そうした高齢障害者のスポーツの推進、生涯スポーツの推進をすることで、介助・介護の負担軽減にもつながることで、より福祉的な、保健・福祉的な医療の観点からもスポーツの価値は高まりますし、そうなれば社会的なスポーツの価値も更に高まると思います。
 その中にあって、地域の中で最も私が考えるのは、次の第5回、第6回のテーマでもあります、総合型の地域スポーツクラブというのが、やはり重要な役割を持ってくると思います。これの在り方については、また次回以降、在り方検討ということなので、そちらの方でお話ができればなと思っています。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 山本委員、お願いいたします。
【山本委員】  山本でございます。
 山本でございます。私は今、経団連のオリパラ等推進委員会の企画部会長という立場を持っておりまして、経団連のオリパラ等推進委員会の活動を少し御紹介したいと思います。
 今、スポーツの価値を伝えていく、高めていくということで、どういうことが経団連としてできるかということを、ずっと検討してきておりますが、見る、知る、支えるということの、まず見ること、それから知ることをしていこうというのがファーストステップだと思っております。
 具体的には、この委員会の委員長が、コ委員長と、2人いらっしゃいまして、1人がトヨタの豊田章男さんと、それからもう1人がパナソニックの長榮さんがですけれども、豊田さんをはじめ、室伏選手と豊田会長が宮城の方を回って、パラアスリートの方と対談をしたりとか、それから器具メーカーを訪問されて、それをビデオに録って、これからですけれども、フェイスブックか何かに上げて、それを伝えていくような手段を持てないかというようなことを考えております。
 それから、もう一つ、各企業で、これから展開をしていく予定にしておりますけれども、企業が持つアセットの1つとして、企業に登録しているスポーツ選手がいらっしゃる。この企業のアスリートの方と、その企業のトップの方が、やはり日本、東京だけじゃなくて、全国いろんなところのマイナースポーツに目を向けたりとか、パラスポーツに目を向けていくということで活動を展開していく。これが日本全体に対して伝えていくことにもなるだろうし、支えることにもなっていくんじゃないかということを推進をしております。
 さらには、今度10月に企画をしておりますけれども、「月刊経団連」という雑誌が、会報がございまして、そこでは経団連の事務総長が司会をして、豊田委員長、それから長榮委員長、それから室伏さん、高橋尚子さん、河合純一さんなどに参加をしていただいて、まず座談会を開いて、それをそういった会報で掲載をし、発信していこうというようなことを考えております。これを2020まで段階的に展開をしていくことで、ムーブメントを作っていきたいというのが、今、経団連の活動内容でございます。
 以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 和久委員、お願いいたします。

【和久委員】  和久です。2点、発言させていただきます。
 1点目は、次期スポーツ基本計画に盛り込むべきスポーツの価値について、2点目は、それらの価値を実現する上で、特に重要な機能について発言をさせていただきます。
 まず1点目のスポーツの価値に関して、諸外国の国レベルのスポーツ基本計画を見ても、スポーツの価値に焦点を当てたスポーツプランは、そう多くはありません。その中でも、イギリスとフランス、一部カナダのスポーツ基本計画が参考になるかと思います。
 それらの中で謳われているスポーツの価値は、身体的健康、精神的健康、人の個々の成長、社会の発展、経済発展、社会的統合、自然保護、これらの7つの項目に重点が置かれています。このことも踏まえて、今後の次期スポーツ基本計画で焦点を当てるべきスポーツの価値は、基本的にはスポーツ基本法に基づくべきであり、またイギリスの例に非常に近いのではないかと考えています。
 そこから考えられるスポーツの価値は5つです。まず、国民の健康の保持・増進と健全育成、2点目は、インクルージョンや女性の活躍、世代間の交流などを含む社会の発展。3点目は国際競争力、国際的影響力、国際開発への貢献といった国際的地位の向上。4点目は雇用の創出を含む経済発展。5点目は防災や震災後の復興、人口減少、高齢化を考慮した都市・まち計画を含めた環境保護、これらの5つの価値が重要になるのではないかと考えています。
 さて、2点目の、これらの価値を実現する上で特に重要な機能が、今回のリオ・オリンピックの事例の中にあるので、それを御説明したいと思います。
 御承知のように、英国は、イギリスは自国でのオリンピック開催後、メダル獲得数を伸ばした世界初めての国になりました。英国の取組の重要なポイントは、4年後への投資と8年後への投資をパラレルに展開したことです。この投資は、すなわち、どこにどのような投資をするかを見定める機能を強化して行われました。したがって、先読みする情報であるとか、インテリジェンスの機能強化が、今後、これらの価値を実現する上で非常に重要になると思います。
 一方で、これらの投資を受けたスポーツ団体については―競技団体だけではなく、総合型地域スポーツクラブも含めて―投資の成果をしっかり出していくための組織能力の向上とそれへの支援が非常に重要と思います。最後に、アスリートやコーチ、組織の経営者などの人材の発掘と登用・育成システムの強化が非常に重要になると思っています。
 以上です。


【山脇会長】  ありがとうございました。
 渡邉委員、お願いいたします。
【渡邉委員】  最後になりました。渡邉と申します。いつも最後なものですから、皆さんのすばらしい意見を学べると同時に、当初考えていたことが破綻しそうになることがあるのも現実です。
 本日のテーマは、スポーツの価値について、基本計画を通じて国民にどう分かりやすく伝えるかです。木藤先生のおまとめいただいた資料、私もすばらしいと思います。ここに掲げられているキーワードは、万国共通の価値の本質を示しているのだろうと思います。翻って、基本計画を通じて、様々な社会課題に直面する日本で生活する人々に、スポーツの価値をどう分かりやすく伝えるのか。
 先ほどから具体的な事例がたくさん出ておりますが、運動部活動、スポーツ少年団、総合型スポーツクラブ、あるいはスポーツボランティア、こういった活動の場を通じて、どういうスポーツの価値を学ぶことができるのか、学ぶべきなのかということを、具体的に基本計画に落とし込んだら良いのではないかと思います。
 資料4-2に掲げられているスポーツの価値の例は、それぞれ社会的・政治的な背景を踏まえていますので、全て正鵠を得ていると思うのですが、スポーツ基本計画にこういった表現ばかりだと、なかなか腑に落ちない、分かりにくいというのが現状ではないでしょうか。そして、それぞれの機会、場を通じて、どういうスポーツの価値を学ぶことができて、それが個人的な価値にどう結び付くのか、ここもしっかりと説明する必要があろうかと思います。また、その個人的な価値というものを個々の個人が実現することによって、どう社会的な価値につながるのか、さらに、その社会的な価値を向上させることが、日本が抱える社会課題の解決にどうつながっていくか、ここの文脈をしっかり整理する必要があるだと思います。
 ただ、基本計画は、今の修正案議論にありますが、盛り込み過ぎると分かりにくくなるといった一方の議論があります。基本計画はできるだけスリムにしていく、ただし、そこに補足資料的なものも追加していく、それにより前述のスポーツの価値を分かり安く示す、こういう考えで見直しを進めていったら良いのではないかと思います。
 最後ですから、座長、これで終わりにします。以上です。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、泉委員。
【泉部会長代理】  資料5を基に、日本体育協会の取組を踏まえまして、基本的な意見を述べさせていただきたいと思います。
 一部、渡邉委員の方からもお話が出ておりますが、日本体育協会とJOCで公表いたしましたスポーツ宣言日本では、スポーツは自発的な運動の楽しみを基調とする人類共通の文化であると謳われております。スポーツは自ら求めていくところに価値があるという自発性を大変重視しております。スポーツそれ自体を行うことを楽しみと捉えまして、これを文化的特徴、いわゆる内在的な価値としていること、このような内在的な価値が十分に尊重されるときに、個人的にも社会的にも価値が創出されると述べられております。
 また、本会の新たなスポーツ価値意識の多面的な評価指標の開発という研究プロジェクトでは、スポーツの価値の構造をお手元の資料5の下段のとおりに示しております。そこでは人間がスポーツとの多様な関わり方、「する」「みる」「ささえる」等を通して得られるスポーツ固有の楽しさ、喜びこそが中核的スポーツ価値として位置づけられ、こうした価値が十分に享受されるとき、結果として、健康・体力の維持・増進や人との交流といったスポーツの周辺的な価値をはじめ、教育的・経済的・国際的価値などといった派生的な価値が個人や社会全体に創出されるとしております。
 スポーツ政策におきましては、中核的スポーツ価値の創出とともに、時としてスポーツを手段として捉え、周辺的価値や派生的価値を創出することを重視する政策も当然ながらあると思います。そのときに、手段としてのスポーツに偏り過ぎてしまうと、周辺的な価値や派生的な価値は、スポーツでなくとも、他の文化的活動でも実現可能であるため、スポーツの必要性が薄れてしまうことが懸念されます。例えば、健康づくりを目的にした場合、スポーツに限らず、食事や生活習慣も手段となり得るため、必ずしもスポーツでなくても健康づくりが行えることになります。諮問文のとおり、スポーツを国民の文化として根付かせていくためにも、スポーツの周辺的・派生的価値とともに、中核的なスポーツ価値をしっかりと位置付けていただき、これを広め、共有していくことが必要です。
 また、これまで我々はスポーツを実践する中で、こうしたスポーツの価値を感じてきたと思います。人それぞれにおいて、スポーツの価値を様々に捉え、暗黙知としての理解に止まってしまっており、形式知として共有ができていないのではないかと推察をいたしております。今後、スポーツの価値を学び、具体化・共有化する過程においては、実際にスポーツを実践し、その価値を体感することと、体感した価値を学ぶことで、より一層、その価値を深めていくことが重要であると考えております。
 最後に、今日のテーマとは外れますが、先般のリオ・オリンピックで41個のメダルを獲得いたしました。すばらしい活躍をしていただいたと思いますが、残念ながら、メダルをとった競技団体がロンドンの13から10に減っております。これから2020年に向けて、この2年間が新しい選手の発掘・育成、これ非常に大事だと日本体育協会も考えておりまして、オールジャパン体制で、国体を中心に、日本体育協会としても、しっかり下支えをしてまいりたいと思っております。国体は毎年延べ30万人の選手が予選会に出ます。こういう方たちの中から、次代を担うアスリートの発掘・育成をしっかり担ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 はい、友添部会長お願いいたします。

【山脇会長】  ありがとうございました。
 今日は、スポーツの価値という、非常に抽象的な難しいテーマを皆様に考えていただきまして、時間も本当に3分以内、もっと短く簡潔に言っていただきまして、本当にありがとうございました。それぞれの皆さんの立場とか、あるいは広く国民の立場ということで、重要な御意見を頂戴したと思います。
 今、友添部会長からもお話がありましたけれども、諮問の総論の2番目の言わんとするところは、また今度の計画の核になるスポーツの価値についての考え方とか学び方、伝え方というのは、これから日本の国の在り方とか社会の在り方に非常に密接に関係している。スポーツを通じて如何に社会を変えていくということに大変に密接に関係をしてくると思います。
 社会を変えゆくには、いろんなアプローチがあります。経済的なもの、社会運動、法律など、いろんなやり方があるわけですけれども、いろいろやってみますと、スポーツの切り口というのは非常にすぐれているというか、我々スポーツ界が思っているよりは、もっとすぐれた切り口ではないか。私もいろんなことをやってきましたけれども、スポーツの切り口というのは、楽しんで、体験して、それでみんなを巻き込んで、すばらしい切り口ではないかと思っております。スポーツの価値という議論の中で、これから具体化していく中においても、スポーツという切り口を、社会を変えていく、国を作っていくという中で、どのようにうまく広めていくかということを、少し志を高くして、スポーツ界だけでなくて、違うジャンルの人、広く皆さん、いろんな人を巻き込んでいくという、まず志を持って、この計画を進めていくと非常にいいものが出来上がるんではないか。これが東京2020年の大会の成功、ひいては、その後のレガシーにつながって、日本の国が変わっていく、社会が変わっていくということにつながるんではないかと思いますので、今日の議論は、非常によかったと思っております。
 一応、議題は以上で終了いたしましたけれども、今後の5回、6回につきましては、次の諮問の第三ということで、事務局の報告にありましたとおり、ここは例ということですけど、このような課題を中心に置きまして、今後の政策目標、具体化するものについて、いろいろ議論を進めていきたいと思っております。
 まだ少し時間がありますけど、何か言い足らなかったこととか、今後の進め方について、何か御意見等々ございますでしょうか。
 それから、今日、皆さんの意見をお互いに聞いた中で、言い足らなかったとか、こういうことだというのがございましたら、メールでも何でも、これは別に3分に区切りませんので、皆さんの御意見を事務局の方に頂けたらと思います。
 何かございますか。なければ、次に最後に、次の日程等につきまして、事務局からお願いいたしたいと思います。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。先ほど資料3に基づきまして御説明を申し上げましたが、次のスポーツ基本計画の部会でございますが、部会は第5回、9月29日木曜日を予定しております。部会の第6回につきましては、10月14日金曜日を予定しておりまして、それぞれ今日と同じく午前10時から12時までという形で予定をしております。場所については、また決まり次第、改めて御連絡をさせていただきたいと思っております。
 また、今し方、山脇会長からお話がありましたとおり、この2回の会議で主要課題6テーマについて御議論をいただきたいと思っております。目安として、1つのテーマごと40分ということで、冒頭、事務局から現状を御説明させていただいた後、委員の皆様方に討議をしていただきたいと思っております。大体40分をテーマをやって、それが2回というイメージでお考えいただければと思っております。
 この会議は、あくまでも基本計画部会ということでございますが、部会に属しておられない総会のメンバーの方も御出席いただくことは可能でございます。時間、場所が決まりましたら、御案内状につきましては、部会の委員並びに総会の委員、両方に送らせていただきたいと思っております。総会の委員の方々でも、日程の付く方、また参加を御希望される方は事務局までお申し出いただければと思っております。
 その後の話でございますが、この総会につきましては、今日と同じような形での合同部会を12月頃に開催をさせていただきたいと思っております。総会の次回につきましては、部会との合同開催という形で、12月頃に開催をさせていただきたいと思っております。
 以上、事務局からでございます。
【山脇会長】  ありがとうございました。
 それでは、次回の2回は部会ということになりますので、友添部会長、それから部会の委員の皆様、少し忙しいスケジュールになり、また盛りだくさんのテーマになりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、審議会の委員の皆様も、是非、お時間が許せば、その部会の方に御参加されて、御意見を聞いていただきたいと思います。
 それでは、今日は、まだ時間がございますけれども、本日は、これにて終了いたしたいと思います。皆様、どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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