令和8年3月18日(水曜日)16時00分~18時00分
文部科学省15F特別会議室
安藤委員、岩田委員、延與委員、大日方委員、大塚委員、勝田部会長代理、川田委員、桑井委員、境田委員、髙橋委員、土田委員、友添委員、能瀬委員、平野委員、藤原委員、星委員、諸橋委員、渡邉部会長
河合長官、浅野次長、籾井審議官、大杉総括官、赤間企画調整室長、鈴木地域スポーツ課長、中村健康スポーツ課長、遠藤障害者スポーツ振興室長、田中競技スポーツ課長、吉屋参事官(民間スポーツ担当)、小川参事官(国際担当)、塚田調査官 他
【渡邉部会長】 基本計画部会が延期となっておりましたが、本日もどうぞよろしくお願いいたします。大日方委員も昨日帰国されたばかりということで、熱戦の興奮冷めやらぬ中かと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず事務局より、本日の運営に関する説明と資料の確認をお願いいたします。
【事務局】 スポーツ政策課の赤間でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
本日の運営に関する説明と資料の確認をさせていただきます。本日は事前に希望をいただきました委員の方にはWeb会議で御参加いただいております。報道関係者については、一般の方と同様、ライブ配信での傍聴とさせていただいております。
資料につきましては、議事次第に記載されております一覧のとおりでございます。1点補足させていただきますと、参考資料6といたしまして、先月栃木で開催されました生涯スポーツ・体力つくり全国会議の資料を添付しております。こちらの全体会の中で、次期計画に向けた期待というテーマでパネルディスカッションが行われ、本部会のメンバーであります大塚委員、友添委員、そして渡邉部会長にも御参画いただきました。その中で使われた講演資料を参考までに追加しております。
資料に不足等ございましたら、事務局までお声がけいただければと思います。以上でございます。
【渡邉部会長】 本日の議題は二つあります。1点目は「部活動の地域展開等について」、そして「第4期スポーツ基本計画の基本的な考え方や重点課題等について」になります。これまで度々時間を延長して実施することもありましたが、時間厳守で進めさせていただければと思います。時間内で御発言できなかった方につきましては、赤間室長宛に御連絡いただけますと幸いです。
それでは、議題の1「部活動の地域展開等について」に入ります。これまで第4期計画に関する議論の中で、皆様から部活動改革に関する言及も多々いただいております。昨年12月にガイドラインが作成されるといった動きもありますので、現状について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【鈴木課長】 失礼いたします。スポーツ庁で地域スポーツ課長を拝命しております鈴木文孝と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、今御説明がありましたように、これまで本部会において部活動の地域展開について様々な御意見や御質問を頂戴してまいりましたので、現状について御報告させていただきます。
資料1に沿って御説明いたします。まず、部活動を取り巻く現状と改革の全体像についてです。学校部活動の課題は大きく2点ございます。1点目は、少子化の進展です。特に地方部では学校の規模が小さくなっており、一つの学校単位ではチームスポーツが十分に実施できない状況になってきております。2点目として、学校における働き方改革も昨今非常に社会的なテーマとなっており、教員の善意やボランティア精神に頼る形は持続可能なものではなくなってきているという現状がございます。
こうした中、これまで学校部活動が果たしてきた意義は非常に大きいものがあると我々は考えておりますので、少子化が進む中にあっても、将来にわたって生徒がスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保していくことが何より重要であると考えております。そのために、地域の様々な方々のお力をお借りしながら、この改革を前に進めさせていただきたいと思っております。
3ページ、部活動改革の全体像です。左側の学校部活動を、一つは下の緑の枠のような「学校部活動の地域連携」として、例えば合同部活動でチームを組めるようにしたり、教員以外の外部の部活動指導員の方に入っていただいたりする取組を進めております。
そこからさらに進み、右側のオレンジ色の枠が「地域展開」と呼んでいるもので、地域クラブ活動として、学校以外の方々、例えば地方公共団体、総合型地域スポーツクラブ、体育・スポーツ協会、競技団体、あるいは民間事業者の方々といった地域の多様な主体が、地域の指導者として幅広い生徒に指導していくというものです。その中で我々としては、学校部活動の教育的意義を継承・発展させながら、新たな価値を創出していきたいと考えております。
4ページですが、従前「地域移行」と呼んでおりましたが、学校の部活動を地域に移すだけでなく、これからは地域に開かれた形で展開していきたいということから、「地域展開」へと名称を変更しております。趣旨としては、学校の中に閉じられてきた世界を地域に開き、地域全体で支えていただくこと、そして新たな価値を創出していきたいということです。
その上で5ページ、新たな価値とは何かということですが、一つには、生徒のニーズに応じたスポーツ・文化芸術活動を提供することです。例えば、野球をやりたいが学校に野球部がない場合でも、地域クラブ活動であれば野球クラブに参加できるといったことが考えられます。加えて、マルチスポーツも非常に重要な取組だと考えております。子供たちが様々な体験をする中で体の動きなどを学んでいくことや、必ずしも勝つことだけに主眼を置かず、レクリエーション的なスポーツ活動も重要です。また、実際に取り組んでいる中学生からは「他の学校の友達ができた」といった声も聞いており、学校の垣根を越えた仲間との繋がりや、幅広い世代の方々が集まることによる豊かな交流も、我々が目指す新たな価値です。さらに、学校段階での「引退」がなく、一貫した指導が行われることも目指しております。
続いて6ページ以降、これまでの経緯と今後の方向性です。7ページ、令和4年12月に友添先生に御指導いただきながら総合的なガイドラインを定め、3年間を改革推進期間と位置付けて取組を進めてまいりました。令和5年度には11億円だったモデル事業の予算を、令和7年度には45億円まで増やし、例えばスポーツでは300市区町村の取組が670まで広がってきております。
その上で、令和8年度以降の方向性について、友添先生に座長に御就任いただいた有識者会議「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」で議論を進め、昨年5月に取りまとめました。その後、給特法やスポーツ基本法の改正も令和5年6月に成立し、昨年の冬に新たなガイドラインを策定いたしました。それに合わせ、令和6年度補正予算で82億円、令和7年度当初予算案で57億円、計139億円の国費を投入し、地方自治体の取組を支援していきたいと考えております。
8ページは、部活動の地域展開に関する法律上の規定です。昨年、スポーツ基本法が14年ぶりに改正され、第17条の2として、地方公共団体は中学生が地域においてスポーツに親しむ機会を確保するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと、国は必要な経費の補助その他の援助を行うよう努めるものとすることが創設されました。また、給特法の関係では、政府は公立教員の時間外在校等時間を削減することを目標として、部活動の地域展開を円滑に進めるための財政的な援助を行うことが定められております。
9ページからがガイドラインの概要です。10ページ、改革の理念に基づき、障害のあるお子さんや運動が苦手なお子さんを含め、全ての生徒の希望に応じて多種多様な活動に参加できる環境を整備したいと考えております。令和8年度から6年間を改革実行期間と定め、この期間内に原則全ての学校部活動において地域展開の実現を目指します。他方で、地域の実情等に応じた多様な改革も重要ですので、そういった点にも留意しながら進めてまいります。活動場所については学校施設の有効活用をお願いしており、希望する学校の先生方には兼職兼業を進めていただきたいと考えております。
11ページは、新たなガイドラインにおける認定制度の概要です。国として活動時間や非営利目的など七つの要件を定め、これを満たす団体について市町村が認定するスキームです。この認定を受けた地域クラブに対し、国費を投入していくことを考えております。
12ページは、関連予算です。(1)として、地域クラブ活動の活動費支援として、指導者の謝金、事務局の人件費、大会引率の際の旅費、ボール等の消耗品費を補助対象としております。国3分の1、都道府県3分の1、市区町村3分の1で支え合う形です。また、経済的に困窮する世帯のお子さんへの参加費・保険料を無料にするため、国が2分の1を支援します。さらに、推進体制の整備として、地方公共団体へのコーディネーター配置経費、人材バンクの設置運用、指導者研修、バス等の移動手段の費用を補助対象としております。(2)として、平日についてはまだ課題があるため、兼職兼業等のモデル形成や学校施設の有効活用等を重点課題とした実証事業を国10分の10で実施し、地方公共団体へのきめ細やかな伴走支援を行ってまいります。
13ページは、今後の取組の見込みです。来年度は全国の約3分の1の部活動が地域展開に入り、1,000を超える自治体で取り組まれる予定です。
最後に14ページ、学習指導要領における今後の取り扱いについてです。現行の学習指導要領では学校の部活動についてのみ規定されていますので、次期改定に向けては、地域クラブ活動についても位置づけることを御検討いただきました。また、部活動についてはインテグリティの確保や働き方改革の推進、地域クラブについてはその位置付けとともに学校との適切な連携について記載することが適切ではないかとの御議論をいただきました。今後、中央教育審議会に報告し、学習指導要領の改定作業に入ってまいりたいと考えております。
私からの報告は以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。それでは意見交換に入りたいと思います。ただいまの説明について御意見、御質問がありましたら、机上のプレートを立てていただくか、Web参加の方は挙手ボタンを押してください。
まず、この改革に関わってこられた友添委員から、もし補足的なところがあればお願いしたいと思います。
【友添委員】 ありがとうございます。特にございませんので、他の委員からお願いします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは諸橋委員、お願いします。
【諸橋委員】 私も当初からこの議論に関わって5、6年になるかと思いますが、かなり進んできたように見ております。第4期スポーツ基本計画に向けて、いつまでにどの程度まで達成するのかという指標を、ある程度明確に数値化・可視化していく必要があるかと存じます。
地域クラブ活動に関する認定制度につきまして、ここに記載されているように認定要件を設定し、スキームを作ったとしても、私が地方を視察した実感として、要件に対する対応についてすぐに取り組める団体と、すぐには取り組めていない団体とで、大きな格差が見受けられます。したがって、チェックリストを作成するなどして段階的に進捗を管理することで、よりターゲットとなる指標の達成精度を上げていくべきです。令和8年度には、約3割の部活動が地域展開に発展するとのことですが、令和8年度の期間中においても、いつ頃までに何割まで持っていくことがこの改革の指標になるのかを明確にした上で進めることで、目標達成に向けた具体的なアクションが可能になるのだろうと考えております。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。お答えになりますでしょうか。
【鈴木課長】 ありがとうございます。10ページを御覧いただければと思いますが、ガイドラインの中で、休日については6年間の改革実行期間内に、原則すべての学校部活動において地域展開の実現を目指すという目標を掲げております。もちろん、中山間地域や離島などで地域展開が困難な場合もございますので、そういった例外は当然ありますが、国としての目標としては、まず休日について6年間で実現することを目指してまいりたいと考えております。
【渡邉部会長】 続いて川田委員、お願いします。
【川田委員】 ありがとうございます。私から、地方自治体の現場としての意見と質問を一つずつさせていただきます。
まず意見といたしまして、本市では休日の部活動は既に地域で実施済みではありますが、現状として、地域クラブの在り方がなかなか見えにくいと感じています。中学生の受け皿としての議論が先行しているため、そもそも地域クラブがどうあるべきなのか、また、社会人の生涯スポーツの受け皿としての存在意義も非常に大きいと思うのですが、その生涯スポーツとの連動性についての議論が見えてきていないように思います。
一方で、市内のスポーツ団体を見ておりますと、高齢化が非常に激しく、資金繰りも苦しい状況です。そうした中で担い手として指名するのは良いのですが、地域クラブそのものの持続可能性をしっかりとサポートしていかなければならないと考えております。
また、学校施設の開放などについては、学校現場は前向きに考えてくれており、理念は分かりますが、財政面も非常に心配です。地方公共団体の財政状況は非常に厳しく、本市も経常収支比率が101パーセントで、税収がほぼ扶助費で赤字になる中、公共交通なども含め、この地域クラブもとなると、状況的には非常に厳しいことも申し添えたいと思います。したがって、国からの財政支援が数年で終わることだけは、絶対に御容赦いただきたいと思っております。
一つ質問ですが、まずは休日からの実施とのことですが、平日については考え方も変わってくるかと思います。補助制度も平日に向いていないように思いますが、平日に関する議論はかなり先になるのでしょうか。この辺りの状況も教えていただけたらと思います。
【鈴木課長】 ありがとうございます。まず、総合型地域スポーツクラブをはじめとする地域クラブが、生涯スポーツの受け皿となり、中学生以外の方々にも御参加いただくことは非常に重要だと考えております。その意味で、幅広い世代との豊かな交流の場になると思っております。
財政支援の持続性でございますが、今回新たな補助制度の自治体負担分(補助裏)については、全額交付税措置を総務省にお願いしておりますので、その辺りも御安心いただければと思います。また、法律に根拠規定ができておりますので、国が数年で手を引くことは想定しておりません。昨年11月の閣議決定でも、継続的な支援により部活動の地域展開の全国実施を加速化すると決定しておりますので、我々も継続的な支援に取り組んでまいります。
そして平日と休日ですが、ガイドラインでも書き分けているところで、まず休日について原則全国実施を目指しますが、平日については様々な課題がございますので、課題の解決をした上で国としての検証を行っていきたいと考えております。その意味で、改革実行期間を前期・後期の3年ごとに分け、中間検証を入れる仕組みとしております。その中で、平日の重点課題に関する実証事業を実施し、どういった形が望ましいのかを国としても考えてまいりたいと思っております。以上でございます。
【川田委員】 ありがとうございます。
【渡邉部会長】 川田委員、よろしいでしょうか。
【川田委員】 ありがとうございます。自治体ごとにもかなり差があると思いますので、また引き続き、よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 藤原委員、お願いします。
【藤原委員】 御説明ありがとうございました。改革の全体像、及び数年かけて取組が着実に進んでいることもよく分かりました。大きな予算が執行されていくということで、いきなり全てを実施するのは難しいので、こういった形で進めていくのが望ましいのだろうと感じました。
質問ですが、この地域展開の件で、初期の頃に障害者や特別支援学校に関する記載や質問があったと記憶しておりますが、本日いただいた資料ではそれが見当たりません。これは、たまたま記載されていないだけなのか、あるいは休日の話だから入っていないのか、議論の経緯も含めて教えていただければありがたいです。
【鈴木課長】 ありがとうございます。10ページの総合的なガイドラインの概要を御覧いただければと思いますが、まず改革の理念として、上から二つ目の丸で、障害のあるお子さんも含めて、多様な活動に参加できる環境を整備するということを理念に掲げております。また、中ほどの「各種課題への対応」の⑥(マル6)番が「障害のある生徒の活動機会の確保」となっており、ガイドライン本体では具体的な取組内容等も整理しております。本日は概要のみですので項目立てだけになっておりますが、そこもしっかりと御議論いただいた上で整理させていただきました。
【渡邉部会長】 全ての生徒が対象だということですね。その他、大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 取りまとめていただき、ありがとうございます。大分分かりやすくなったと思っております。その上で2点質問させてください。
1点目は14ページの次期改定に向けた方向性についてです。※二つ目の高等学校に関しては「部活動についてのみ記載する」とあり、部活動と地域クラブ活動の双方について記載する中学校とは扱いが異なっています。これは原則、中学校のみを対象とするということだと理解しますが、その理由について教えてください。
2点目は10ページの取組方針についてです。現状、部活動の在り方を休日の地域展開と平日の活動の二つに分けて進める形であることは理解できますが、取り組む生徒から見れば休日の活動も平日の活動も一体のものです。平日と休日をどうブリッジさせていくのか、といった議論はどのタイミングで行われるのでしょうか。最終的なモデルが実行期間の前期を踏まえて後期には示されるのか、あるいは前期・後期までを試した上で更に在り方を検討するのか、タイムラインを教えてください。
【鈴木課長】 9ページのガイドラインの議論の中では、高等学校は義務教育ではないこと、また、都道府県が所管しており、中学校よりも学校の裁量が大きいことなどから、まずは中学校を対象として整理を進めることになりました。もちろん、都道府県の判断で高等学校も対象とすることは可能です。
10ページの平日の取組をどう進めるかについては、各自治体の取組状況によっても変わってきますので、現時点で明確なタイムラインを示すのは難しい状況です。関連事業の評価もいただきながら、検討を進めてまいります。
【大日方委員】 背景は非常によく分かりました。やはり早い時期に、休日と平日の一体性をどう確保するのか、また、生徒は中学校から高等学校へと発達段階を踏んでいきますので、そうした中での部活動の在り方についても議論を早め、全体像をしっかりと作っていく必要があると認識いたしました。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。最後に友添委員、お願いいたします。
【友添委員】 ありがとうございます。質問というよりは、事例の紹介になります。6年間の改革実行期間の間に運営団体や実施主体が経済的に自立し、自走することが必要だろうということで、例えば茨城県守谷市ではクラウドファンディングで寄付金を集めて運営している例が出てきています。あるいは石川県かほく市の中学校では、NPO法人を設立し、市から指定管理者の認定を受けて、地域の若い方やシニアの方向けに新しいプログラムを提供し、その収益を地域クラブ活動の財源にしています。
また、藤原委員からお話があった障害のあるお子さんに関しても、例えばインクルーシブクラブが作られ、健常のお子さんと障害のあるお子さんが共に活動する事例や、地域クラブの中でユニバーサルスポーツを使って希望者誰もの受け入れをオープンにしているクラブも出てきています。さらに、スポーツ少年団を通じて小学生、中学生、高校生が一緒に活動を展開している自治体もあります。
こうした事例はスポーツ庁の事例集にあり、それを確認するとアイデアが満載で、自分の地域でも活用できるものが見つかると思います。国が画一的な形でクラブを作るのではなく、地域にある資源を活かした最適化が重要です。ただし、補助金が入る以上、認定制度を採用するにあたっては、しっかりとしたシステムができていることが条件になると思っております。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。続きまして、議題の2「第4期スポーツ基本計画の基本的な考え方、重点課題等について」に入ります。前回、目標等の設定の仕方及び計画全体の構造案について御議論いただきましたが、いただいた御意見を踏まえ、本日は具体的な構造及び重点課題について議論したいと思います。赤間室長より説明をお願いします。
【赤間室長】 それでは資料2に基づいて御説明させていただきます。前回御議論いただきました基本計画策定の考え方を踏まえ、本日は計画の全体の構成イメージと、重点課題、重点施策などについて御議論いただきたいと考えております。
まず2ページ目、基本計画の全体の構成イメージです。国民に分かりやすく計画のねらいをメッセージとして打ち出すべきとの御意見をいただいておりましたので、副題として「スポーツの楽しさで人や地域の可能性を引き出し、未来を切り開く」というものを一旦置かせていただいております。こちらに関してもご意見をいただければと思っております。
計画の構成は、施策を網羅的に書き込む総花的なものではなく、一つ目の柱で計画のねらいを示した上で、二つ目の柱で重点課題を設定し、必要な施策を絞り込んで重点施策を記載する。その上で、その他の施策も含めた全体像を総合計画として示す、という構成を考えております。
内容につきましては、一つ目の「基本計画のねらい」では、改正スポーツ基本法の理念やスポーツの価値を記載し(基本計画を独自に書き起こすということではなく、根本にある基本法の前振りや基本理念を踏まえて記載)、その上で前回御議論いただいた四つの基本的な考え方を修正して記載しております。二つ目の「重点課題」では、ねらいの実現に向け三つの重点課題を挙げ、それに対応する重点施策を記載します。重点施策は、第3期計画の中間評価等を踏まえ、現に必要なものに精選してはどうかと考えております。
続きまして3、4ページ目、前回の部会で御議論いただいた四つの基本的な考え方について、いただいた御意見を踏まえ追記・修正した箇所に下線を引いております。主な変更点として、三つ目のハイパフォーマンス関係の柱を「アスリートウェルビーイングを土台としたハイパフォーマンスの追求」から「ウェルビーイングを土台としたハイパフォーマンスの追求とその成果知見を社会に還元していく視点を重視」と修正しました。これは、ウェルビーイングの観点がアスリートに限らない点、そして成果知見を社会に還元するというハイパフォーマンスを追求する社会的意義を明確にするためです。
5ページ目は、ねらい実現へのイメージ図です。三つの重点課題に対応することにより、スポーツの楽しさや意義を実感していただき、国民一人一人のスポーツへの関心向上や行動変容を起こしていくというイメージをお示ししております。計画のねらいの実現のためには、中ほどにありますような国民一人一人のスポーツへの関心や、スポーツ実施の向上が必要でありますし、スポーツを支える地域や企業、人材等の基盤の強化も不可欠であります。また、それらを実現するためには、スポーツの楽しさやその意義、その価値を実感していただくことによって、国民の方々、ひいては社会全体の関心の向上・行動変容を起こしていく必要があるのだろうと考えております。そのような意味では、各重点課題への対応を通じて、スポーツの楽しさや意義の実感、スポーツの価値の更なる向上をはかることで、人々や組織の関心、そして行動変化につなげていきたいということでイメージを書かせていただきました。
6ページ以降は、三つの重点課題ごとのロジックモデルと、それに対応した重点施策の案をお示ししております。なお、このモデルにつきましては、重点課題ごとの検討・進捗状況がそれぞれ異なっているということもあり、現状、三つのテーマごとにモデルを作成しておりますが、今後の御議論を踏まえ、我々側で精査をしていく中で、分かりやすさ等の観点から全体を集約することも考えられます。いずれにせよ、今回いただいた御議論をふまえて次回の会議までに全体を整理してお示しできればと考えております。
まず7ページ、一つ目の重点課題「国民のスポーツ実施促進と、健康長寿や経済成長等実現への貢献」です。重要な施策として、左側に意識啓発、スポーツ推進、スポーツ環境の整備という三つの施策を位置付けています。これらを通じて人々や地域・企業の意識が変化し、スポーツ実施率の向上に繋がり、その上で中長期的な効果として身体的・精神的な健康の向上や、生産性の向上、人的資本の強化、スポーツ人口と地域課題解決の好循環が生まれていく、その上で社会課題へのインパクトとして国民のウェルビーイングの向上や健康長寿社会の実現、そして日本経済の成長に貢献できるのではないかと考えております。8ページには、これらのモデルを踏まえて重点施策としてどのようなことに取り組んでいくのかをお示ししております。国民のスポーツ実施促進に資するものとして、(1)から(4)に記載されているような施策、そして想定しているインパクトとして(1)から(4)に記載しております。9ページでは、スポーツ実施促進にあたっては、特に課題が見られる幼児期から子育て・働き世代を重点対象として絞り込み、ライフステージを見通したシームレスな検討を行っていくことを示しております。並行して議論が進められております健康スポーツ部会ともしっかりと連携をとりながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
続きまして10ページ、二つ目の重点課題、ハイパフォーマンス関係です。モデルの左側に「中長期の強化戦略プランに基づく競技力向上の支援」や「スポーツ医・科学、情報等による多面的で高度な支援」、「地域の競技力向上を支える体制」、「スポーツ・インテグリティの強化」、「スポーツ団体の組織基盤協会」、「アスリートのキャリア形成支援」等の施策の取組を通じて、持続可能な国際競技力の向上や地域社会への知見、施設等のスポーツ資源の提供、そしてアスリートの多様な働き方やキャリアモデルの普及等社会への還元がなされ、最終的には国際的なプレゼンスの向上や社会の活力創出、ライフパフォーマンスの向上、国民のスポーツへの関心の向上、健全で公正な社会基盤の構築、共生社会の実現等に貢献していくことができるのではないかと考えております。11ページには、それ対応する重点施策として「社会への還元を見据えたハイパフォーマンスの追求やアスリート等を取り巻く環境整備」について記載しております。また、想定されるインパクトとして、(1)から(4)に示した内容を整理しております。 12ページは、三つ目の重点課題「スポーツの意義や価値を生かしたスポーツの地域・社会への貢献」です。施策としては、まちづくりと連携したスポーツ環境整備やスポーツツーリズム、組織基盤の強化、幅広い関係者の連携協働を通じた部活動の地域展開等の推進等、地域のスポーツ資源の活用という柱が一つ、そしてスポーツを通じた国際交流・協力の推進を第二の柱として書かせていただいております。これらの施策への取組を通じて、人々や地域・企業の意識・行動が変化していく、そしてスポーツを通じてスポーツ関連市場の収益拡大、にぎわいの創出、地域スポーツ全体の活性化につながっていく、またスポーツを通じて国際的信頼、ソフトパワーを強化していく等を通じて、全体としては地域経済の活性化による日本経済成長への貢献や持続可能で包摂的な社会づくり、国際的なプレゼンスの向上に貢献していくことができるのではないかと考えております。13ページには、対応する重点施策として「幅広い関係者との協働によるスポーツの意義や価値の共有・活用・展開」に資するものとして、(1)・(2)に記載されているものがあり、想定されるインパクトとしては、(1)から(3)に記載されるものが考えられます。
最後のページは参考として、第1期から第3期までの計画の構成を比較表を添付しております。よろしく御審議をいただければと思います。事務局の説明は以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。それでは意見交換に移ります。
大きく2つに分けて議論できればと考えております。まず5ページ目までの「基本計画の構成と重点課題の設定、ねらいの実現へのイメージ」について議論できればと思います。そして後半につきましては、6ページ以降の3つの課題と重点施策をそれぞれの課題ごとに御議論いただきたいと考えております。
まず5ページ目までの「基本計画の構成と重点課題の設定、ねらいの実現へのイメージ」について、17時10分を目途に議論を行いたいと思います。御意見、御質問等あればプレートを立ててください。
資料が膨大であり、ロジックモデルの議論が中心であることからわかりにくい点もあろうかと推測しますが、皆様が質問を考えられる間にこちらからアナウンスできればと思います。昨日、健康スポーツ部会を開催しました、これまで2回ほど重点課題の一つ目について、議論を進めてきました。このロジックモデルに加え、重点施策の背景・現状、目標、重点施策という形で整理したものを現在議論しているところでございます。したがって、この基本計画部会でも、今後同様の形で議論が進んでいくと思いますが、現段階ではこの資料で御議論いただきたいと思います。
勝田委員、お願いします。
【勝田部会長代理】 ありがとうございます。目標設定の考え方の部分に、デジタル社会やSNSの時代において、直接的な人とのかかわり、すなわち「建設的な関心を持って関わっていく」「つながる」「あつまる」といったスポーツの意義を表す言葉などが入ってくると、より展開しやすくなるのではないかと感じました。
【渡邉部会長】 友添委員、お願いします。
【友添委員】 ありがとうございます。いくつか感じた点ですが、まず1ページ目の「自然環境あるいは社会環境の変化に対応した環境づくりを目指す」という部分で、前の「自然環境」と後の「環境づくり」で指すものが異なり、分かりにくいように感じます。どのような指向性を持った環境づくりを目指すのかを少し触れるべきではないでしょうか。「誰もが障害の有無に関わらず、スポーツを継続することができる環境」というように見受けられますが、整理し直した方がよいと考えております。
また、「ウェルビーイング」という言葉はスポーツ基本法には出てきませんが、スポーツ基本計画の中にはおそらく登場しているものの、定義化されておりません、今回の計画のメインになると考えられるため、しっかりと定義しておく必要があると考えます。個人的には、「社会的ウェルビーイング」がこの言葉の総括的なところだろうと思っています。
【渡邉部会長】 赤間室長、現時点でお答えできることはございますか。一旦預かってということでよろしいでしょうか。その他、皆様いかがでしょうか。大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 まとめありがとうございます。5ページ目までの説明の中で、友添先生のお話と近いかもしれませんが、基本計画の中の言葉との兼ね合いでどうしても違和感があるのは、「ライフスタイル」「ライフステージ」「ライフパフォーマンス」という三つのワードが散りばめられており、差別化するのか、統一するのか、国民の皆様に訴えるには、少し絞り込んだ方が良いのではないかと感じます。
また、投資の話を加えていただきありがとうございます。3ページ目では、「人への投資」という観点を目標の2の中に入れていただきましたが、と「スポーツへの投資・意義」という観点で目標4に入れていただきました。両方とも今までの議論の中で意味合いは理解できるが、特に「人への投資」という言葉は初めて出てくるワードに近く、もう少し具体的な表現の方が良いのではないかと感じました。特に現場の観点からすると、「人への投資」は広義すぎるため、具体化する必要があると思います。細かいところですが、以上です。
【渡邉部会長】 星委員、お願いします。
【星委員】 取りまとめ、ありがとうございます。「ウェルビーイング」という言葉は、私には「幸せ」や「幸福感」といったニュアンスで聞こえています。スポーツに関わることで幸せになってほしい、というメッセージを国民の皆様に伝えたいと考えており、幸福感・幸せという言葉を計画に入れることは難しいかもしれませんが、そうした言葉が計画のベースにあることが伝わると良いと思います。計画は行政の方の目に触れると思うが、なるだけ多くの国民の皆様に伝えるという際には、伝え方については要検討になると考えています。
【渡邉部会長】 友添委員、お願いします。
【友添委員】 5ページ目のイメージ図についてですが、ここに記載されている言葉はキーワードであり、本文に主要概念として記載されると考えておりますが、「スポーツの「楽しさ」で人や地域の可能性を引き出し、未来を切り拓く」というのは、最も大事な言葉です。その下に4つの箱があり、その中で、「日本の社会成長」という言葉は、素直に理解できる一方で、いわゆる進歩主義的な社会観がこの裏側にはあるのではないかと捉える人もいる可能性があり、誤解を招きかねません。「持続可能な社会」など、誤解を避けるような平易な言葉遣いに変更した方が良いのではないかと思います。
【渡邉部会長】 その点は健康スポーツ部会でも意見が出ておりましたので、一旦お預かりします。その他、いかがでしょうか。大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 ありがとうございます。今の議論を踏まえ、やはり「ウェルビーイング」という言葉の定義をしっかりした方が良いと感じます。話をされた委員の中でも「社会的ウェルビーイング」や「個人の幸福感」など、少しずつ捉え方が異なっていました。文書上で読めるものは、「一人一人のウェルビーイングの向上」との記載があるが、社会が一人一人を包摂するのかなど、「ウェルビーイング」の定義が一人歩きしないよう、どこかで定義をしなければ後々誤解を生むと考えます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。次に、6ページ目以降の三つの課題と重点施策について、課題ごとに議論をお願いします。まず一つ目「国民のスポーツ実施促進と健康長寿や経済成長等の実現への貢献」について、17時15分までを目途に議論を進めます。諸橋委員、お願いします。
【諸橋委員】 ありがとうございます。国民スポーツ実施促進の施策「(1)スポーツの『楽しさ』を軸とした多様なスポーツの促進」についてコメントいたします。この項目において、そもそもスポーツが嫌いな人、もしくは「楽しい/楽しくない」の判断にまだ至りにくい幼児期については、「スポーツが楽しいと思えるまでの興味を持つ機会の創出」といった重点施策の追記をいただければと思います。本来「体を動かしたい」と思わない限り、結果的に幼児期・成長期にかけて、もしくは女性も子育て・働き盛りにかけて体を動かさないだろうと思います。そして、やはり「楽しい」と思うということが「体をうごかしたい」のきっかけになるだろうと感じます。特に、「幼児期における多様なスポーツ体験の機会の充実」という観点は、子供たちの将来の選択肢を広げるという意味でも、大変重要であると考えます。従来の“一人一種目”ではなく、幼児期にこそ多種目を経験することによって、多様な世界を知るきっかけとなりますので是非実施促進の部分に、より具体的な重点施策として文言を加えていただくようご提案させていただきます。
【渡邉部会長】 平野委員、お願いします。
【平野委員】 友添委員からも言葉の選び方についての議論があったかと思いますが、私自身栃木県のスポーツ推進会議の委員をさせていただく中で、「障害」の「害」の字をひらがなで書いてほしいという意見が出たことがあります。そこでの栃木県としての回答としては、スポーツ基本計画などで記載されている漢字表記で統一するということでしたが、障害のある方からすると、漢字表記だと嫌な思いをされるというお話でした。個人的には、そうした思いをされる方がいるのであれば、ひらがな表記でも問題ないのではないかと思っておりますがこれまでの基本計画でどのような議論があったのか、経緯があればお聞きしたいと思います。
【渡邉部会長】 現在話せる内容があるようでしたら、お願いいたします。
【赤間室長】 ありがとうございます。基本計画の議論の中で具体的にこの点について議論があったかについては、過去の経緯も含めて確認できておりませんが、公用文の扱いとしては、障害者基本法そのものが「害」の字を漢字で表記しているため、それに準拠しております。ただ、おっしゃるような御意見をいただくこともございますので、そうした点には十分に配慮していきたいと考えております。
【渡邉部会長】 法律に基づいた言葉を使っているというのが回答だと思います。その他の委員の皆様、いかがでしょうか。髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】 7ページの図の中で、中長期的な効果の黄色い箱に「労働災害の防止」という項目だけが一つ出ているのが、少し違和感を覚えます。生産性向上や経済のベースとなる人的資本形成といった流れの中に位置づけられるべきではないかと感じました。
【渡邉部会長】 勝田委員、お願いします。
【勝田部会長代理】 1点目は、スポーツ環境の整備の項目にある「指導者養成」は、スポーツ基本法に鑑み「指導者等の養成等」の方が良いかと思いました。2点目は、環境整備についてです。部活動の地域展開とも関わるかとも思いますが、スポーツを通じた安全安心な「居場所」づくりと、それを導いていく「指導者等」という観点が入ってくると良いかと思います。
【渡邉部会長】 友添委員、お願いします。
【友添委員】 9ページのライフステージの表記についてですが、「生徒期」「学生期」という言葉は、教育学などでは一般的に使われておらず、文科省においてもこのような表記がされていないと認識しており、その点で違和感があります。あえて、なぜこの言葉を選択するのかについては、説明が求められると思います。そもそも、生徒や学生は身分を示す言葉であり、ライフステージとして使用する言葉としては適切でないように思われます。例えば、高校に進学しなかった社会人は「生徒期」には当てはまりません。学校に行ったかどうかにかかわらず同じ次元で捉える「青年期」といった言葉の方が適切ではないでしょうか。もし使われるのであれば、言葉の整理が必要だと思います。
【渡邉部会長】 言葉について、適語は何かについては追ってご意見いただけますと幸いです。
【渡邉部会長】 大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 ありがとうございます。7ページの中長期的な効果の黄色い箱にある「障害者のエンプロイアビリティの向上」という表現は、かなり踏み込んでいると感じます。カタカナが多く分かりにくい点も含め、内容面ももう少し検討が必要ではないでしょうか。逆に、この箱にないと感じるのは、スポーツ施設のUD化やDX化といった施策に対応する中長期的な効果です。誰もが使える施設になることや、防災拠点としての役割といった、まちの発展に繋がる点を中長期的な効果として書き込むべきだと考えます。
もう1点は9ページですが、「高齢期」を60歳からとしている点です。65歳まで働く人が多い中で、この分け方は他の分野との整合性を取る必要があるのではないかと感じました。
【渡邉部会長】 川田委員、お願いします。
【川田委員】 ありがとうございます。7ページの中長期的な効果の中で、スポーツ実施率が上昇することで「女性特有の健康課題が改善」するというモデルの流れが、個人的にぴんとこなかったのですが、これについて教えていただけますでしょうか。また、8ページのインパクトにある「女性の活躍促進と少子化対策への貢献」も、スポーツ振興とどう繋がるのかが分かりにくかったです。
【中村課長】 御指摘の点ですが、スポーツを実施することによって、月経随伴症状や更年期症状、産後うつなどが改善するというエビデンスがあることを踏まえております。それによって女性の心身の健康が改善され、女性の活躍を支援する環境整備にも繋がるのではないか、という議論の中での記載でございます。
【川田委員】 ありがとうございます。8ページも同様の繋がりという理解でよろしいですね。
【中村課長】 ご認識のとおりです。
【川田委員】 ありがとうございます。我々もスマートウェルネスシティの研究会で筑波大学とお話をさせていただく中で、一定の運動が産後うつへの効果があると理解できますが、女性の活躍促進というのは随分大きな効果として記載されていると感じました。
【渡邉部会長】 その点については、冒頭申し上げましたが、それぞれの施策の背景・目的や細かな説明がないためにわかりにくいと思われますが、健康スポーツ部会で複数の医師の先生方にも御参加いただき、様々なエビデンスを提示していただき、それを基にこのロジックを作成している状況です。次回以降、より分かりやすい説明に繋げていきたいと思います。
【大日方委員】 今の議論に関連して、8ページのインパクトはまとめて書かれておりますが、(3)「女性の活躍促進と少子化対策への貢献」は、ぜひ分けていただきたいと思います。少子化対策は女性だけの問題ではないので、別にしていただいた方が良いと考えます。
【渡邉部会長】 その点も昨日、健康スポーツ部会で同様の話がありましたので、一旦お預かりします。
続いて、二つ目の重点課題「ハイパフォーマンスの追求とアスリート等を取り巻く環境整備を通じた社会への還元」に移ります。友添委員、お願いします。
【友添委員】 ありがとうございます。社会への還元とは、メダルの重要性に加え、同等以上に大事な価値を社会に還元するという宣言だとまず確認すべきです。その上で、中長期的な効果の一番下に「地域社会への知見・施設等のスポーツ資源の提供」とありますが、ハイパフォーマンスの研究成果が、例えば子供のスポーツ教育や高齢者の介護予防、女性特有の健康問題などにどう還元されるのか、具体的な施策との繋がりがこのモデルではよく分かりません。また、施策の枠囲いの中に具体的な施策がないように見受けられます。この点は、今後この部会で具体的に検討を重ねていく必要があると感じます。具体的なハイパフォーマンスの追求がどのように地域あるいは社会へ還元されていくのかを具体的に議論していく必要があると感じています。
また、公正・公平なスポーツの実現において、スポーツがガバナンス欠如や八百長などがなく、高潔な状態という記載がありますが、JSCのインテグリティユニットができる際に記載したものだと記憶しています。第2期において、概念を記載する必要があり、転用して記載したと思われます。現在マコリン条約を含め競技の公正性の問題が非常に重視されていますし、また、アスリートの権利・人権、環境の持続可能性といった新しい論点などもインテグリティに含めていく必要があると考えております。
【渡邉部会長】 勝田委員、お願いします。
【勝田部会長代理】1点目はインテグリティについてです。第3期計画でも「我が国のスポーツ・インテグリティを高め」といった言葉が出てきます。一方、欧州評議会が策定したガイドラインでは、「スポーツのインテグリティとは、人類および社会の持続可能な発展に対するスポーツの貢献を保護し、最大化するための前提条件である」といった内容が示されています。
これはスポーツ全体がより良く発展していくための前提と捉えます。このような表現についての検討も良いかと思います。
2点目は国際性についてです。スポーツを通して世界の人々と理解し合い、良きつながりを育むことは非常に大事な視点です。「国際的なプレゼンス」という言葉を、どのように私たちが考え、捉え、カタチにしていくのか考えたいと思います。
【渡邉部会長】 大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 ありがとうございます。10ページの施策にある「地域の競技力向上を支える体制」が、NTCの競技別強化拠点機能強化だけになっていますが、これでは1種目の強化しかできません。今後この機能を多様化し、「強化」だけでなく「活用」という形にしないと、地域社会への知見・施設等の提供に繋がっていかないと考えます。
また、「スポーツ団体の組織基盤強化」の効果が、短絡的にNFの収入増加に繋がるという短絡的な流れになっていますが、まず必要なのは競技団体・スポーツ団体の「経営改革」です。収入増加だけでなく「収支改善」に繋げ、自走可能な強固な組織基盤の構築を目指すという流れを明確にすべきです。
【渡邉部会長】 藤原委員、お願いします。
【藤原委員】 ありがとうございます。10ページの一番右下、社会課題等へのインパクトの中で「企業の利益率・成長率向上」と書かれているのが、他の項目と比べて違和感があります。例えば「スポーツビジネスの発展」といった言葉に置き換えるか、3番目の地域社会への貢献のところでまとめて扱うなど、工夫があった方が良いかと思いました。
【渡邉部会長】 髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】 2点あります。10ページの施策で、地域の競技力向上体制がNTCのことだけ書かれていますが、都道府県も競技力向上に取り組んでおり、自治体のそうした仕組みを支援するような施策があると良いのではないかと思います。
それから、藤原委員と全く同意見で、「企業の利益率」には違和感があります。「スポーツ産業の振興」といった表現の方が適切で、その矢印は「国民のスポーツへの関心の向上」から引かれるべきではないかと感じました。
【渡邉部会長】 大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 ありがとうございます。10ページの中長期的な効果の黄色の箱の下四つは、アスリートが社会でどのように活躍・貢献していくかというモデルになるので、一つにまとめた方が分かりやすいかと感じました。
もう1点は、地域社会への知見や資源の提供についてです。このロジックモデルを見ると、施策との繋がりが薄いことが分かります。今回の基本計画の中で、施策として何を入れ、短期的な効果として何が必要かを議論していく、良いテーマだと理解しました。
【渡邉部会長】 星委員、お願いします。
【星委員】 10ページの中長期的な効果の「ウェルビーイングの向上」ですが、これは誰のウェルビーイングの向上なのかを明確に書いていただけるとありがたいです。
【勝田部会長代理】 アスリートだけでなく、審判や支える人など、多様な人たちが活躍できることが重要と思います。また、中長期的な効果として、「メダル獲得競技数」との記載がありますが、様々な競技・種目が一緒になって連携協働し活躍していくという視点も大切であると思います。
【渡邉部会長】 それでは3番目「スポーツの意義や価値を生かしたスポーツの地域社会への貢献」のフェーズに移ります。17時45分までを目安に議論を進めます。延輿委員、お願いします。
【延輿委員】 13ページの概念表を見ている中で、中長期的な効果の「スポーツによる地域・社会への貢献」が国内向きであるとすると、その下の「スポーツを通じた国内外での貢献」は国内・国外と両方あるため分かりにくく、混乱してしまいます。国際貢献という際に、日本のプレゼンスを高めるということと発展途上国も含めた世界の様々な国でスポーツを振興していくことが日本の国際貢献の一つの柱であるということを考えると、国内での取組と国外での取組の概念をもう少し整理した方がよいのではないかという印象を受けております。
【渡邉部会長】 髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】 施策の「地域のスポーツ資源の活用」を読むと、どうも街中のハード施設があるスポーツのイメージが強いです。山や海、林といった自然の中でのスポーツ資源もあると思うので、そうしたイメージが伝わる文言が入ると良いのではないかと考えます。それがまた、環境への貢献にも繋がると思います。
【渡邉部会長】 星委員、お願いします。
【星委員】 12ページの短期的な効果で、「スポーツを通じて国際交流協力の推進」から上がってきた効果が、特定の四角い枠に限定されているように見えますが、その意図を教えていただけますでしょうか。昨年のデフリンピックなどを見ても、国際大会の効果はここにとどまらない気がします。
【事務局】 国際担当でございます。おっしゃるとおりですが、特に国際競技大会の招致・開催等を通じて、スポーツへの関心の高まりや実施率向上に繋がる効果が大きいと考え、こちらの枠組みを強調して記載させていただきました。
【渡邉部会長】 大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 「する・みる・ささえる」という観点がより具現化されていますが、どうしても「観戦型」のスポーツに偏っている表現が多いように感じます。東京マラソンをはじめとする「参加型スポーツ」という概念を、ぜひ短期的な効果の意識・行動変化のところに入れていただけないでしょうか。欧米を見ても、参加型スポーツに参加する人が観戦者にもなるという好循環が、スポーツの成長を支えています。
【渡邉部会長】 友添委員、お願いします。
【友添委員】 12ページ、13ページの「地域のスポーツ資源の活用」という括りでは、少し厳しいと感じる点があります。例えば、部活動の地域展開は、現状ではまだ「資源」になっていない段階の地域も多いわけです。そうした点も含め、また、ウェルビーイングを社会的・個人的・包括的のどの概念で使うのか、最初の段階でしっかり定義しておかないと、全体を鳥瞰したときに、用語の不整合が生じる可能性があります。一度、全体を鳥瞰し、用語も含めて再検討されるのが良いのではないかと思いました。
【勝田部会長代理】 「スポーツ無関心層」という言葉が出てきます。多くの人たちに関心を持ってもらうことは非常に大事なことです。そこにはインテグリティ、すなわち「健全な関心」を持ってもらう、という働きかけが大事だと思います。
【渡邉部会長】 岩田委員、お願いします。
【岩田委員】 12ページなど、様々な箇所に出てくる「スポーツ団体」の定義をどこかで明確にした方が良いと思います。一般の方から見ると競技団体をイメージしがちですが、都道府県のスポーツ協会や民間のクラブなども含まれるのか、分かりにくいです。
また、素朴な疑問ですが、7ページのロジックモデルだけが中長期的な効果をピンク・黄色・緑で色分けしているのは、何か意味があるのでしょうか。
【中村課長】 すいません、そこは特段の意味はございません。きちんと統一したいと思います。
【渡邉部会長】 大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 12ページで、スポーツの価値の部分で、スポーツに関する法的な権利(肖像権、商標権、データ活用など)の議論が全くない点が気になります。また、ユニバーサルアクセス権も大きな議論になっているところなので、基本計画の中で触れないわけにはいかないだろうと考えます。こうした議論が抜け落ちているので、今後必要かと理解しています。
【渡邉部会長】 大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 質問ですが、12ページの国際貢献人材の中に、IFAF等役員や指導者に加えて「学生」を入れているのは、どのようなねらいがあるのでしょうか。
【事務局】 幅広い人材を育てることが重要であるという意味で、学生についても含ませていただいております。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。本日様々な御意見が出ましたが、特に2番と3番の重点課題については、まだ議論の初期段階であり、今後皆様の御意見をいただきながらブラッシュアップしていく必要があると感じました。
1、2、3の課題に限らず、全体を通して御意見があればお願いいたします。延與委員、お願いします。
【延與委員】 全体に関るところで2点です。一つは、冒頭の「スポーツが楽しい」というワードが大変素晴らしいと思いました。「楽しい」の中には、不正がない、人権が守られているといった多様な要素が含まれており、シンプルで良いメッセージになると思います。
もう一つは、全体を通して障害者スポーツにしっかり取り組んでいくという強いメッセージがあまり感じられない点です。各所にちりばめられてはいますが、もう少しぐっと前に出るような構成にできないかと悩んでおります。
【大日方委員】 御指摘のとおり、各所にちりばめられているとは感じます。この三つの課題という分け方をする限り、どこかに特出しするのも難しいので、この中に抜け漏れなく書き込んでいくのが現実的なのかもしれません。あるいは、計画ができた段階で、障害者スポーツに関する部分を抜き出して体系的に見せるような別刷りを作るなどの工夫も考えられます。
【友添委員】 ありがとうございます。基本計画を策定するにあたっての「基本理念」が、本日の資料には書かれていません。例えば、ウェルビーイングの概念説明や、多様性(Diversity)、公正性(Equity)、包摂性(Inclusion)といったDEIの視点など、国がどのような理念でこの計画を策定しているのかを最初に示す必要があると考えます。そうしないと、具体的な方法論だけが書かれてしまう可能性があります。
【勝田部会長代理】施策のモニタリング、成果の指標づくりに関して、「関係人口」や「交流人口」などといった人や組織のスポーツ参加に関わる視点などから、基準について考えていくこともあろうかと思います。
【桑井委員】 感想になりますが、今の子供たちは一つのスポーツに専門化しがちですが、海外のように多様なスポーツを楽しむ経験が根本には必要だと感じます。「楽しむ」という部分が、勝敗にこだわるあまり失われているのではないでしょうか。また、地域のスポーツにおいては、リアルなアスリートと身近に接することが、子供や地域の人々の関心を高める上で非常に効果的です。アスリートが地域に足を運ぶことが、短期的な効果、そして中長期的な効果に繋がっていくと感じました。
【髙橋委員】 全体的なところで2点です。1点目は、改正スポーツ基本法で変わった点(経済学の視点など)が、施策や効果にきちんと反映されているか、再度確認が必要ではないかと思いました。また、スポーツに関する統計データは、外部に頼るだけでなく、政府が責任を持って整備していくべきではないでしょうか。
2点目は、国際交流協力において、諸外国との関係だけでなく、国内にいる在留外国人とのスポーツを通じた交流という視点もあって良いのではないかと考えます。
【大塚委員】 ありがとうございます。重点課題の中に「スポーツ産業の拡大」「スポーツへの投資」を、より具体的に記載すべきではないかと感じました。12ページの施策の中で、産業に関する項目が「地域のスポーツ資源の活用」の中に入ってしまっていますが、これを独立させて、スポーツ産業の拡大に繋げていく方が良いのではないかと思いました。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。本日様々な議論がありましたが、まだ読み込みが不十分な部分もあるかと思います。ぜひ事務局に御意見をお寄せください。今後の進め方として、次回は、本日出た意見を基にブラッシュアップされたものに加え、2ページの「第四期の総合計画(仮)」のイメージもお示しいただくと、議論がより深まるかと感じました。
それでは最後に、河合長官からコメントをいただきたいと思います。
【河合長官】 先生方、ありがとうございました。いただいた御意見はどれも本当に貴重なものばかりですので、しっかりスポーツ庁として受け止め、前向きな次の提案ができるように準備を進めていきたいと思います。今後とも、お気付きの点等をお送りいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
【渡邉部会長】 長官、ありがとうございました。最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。
【事務局】 ありがとうございます。本日御議論いただいた内容を踏まえ、改めて具体的な計画の内容を検討し、次回お示しさせていただきたいと思います。本日尽くせなかった部分も含め、事務局に御意見をお寄せいただければと存じます。
次回の会議につきましては、5月下旬頃を目途に開催させていただきたいと思います。日程については改めて御連絡いたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは以上をもちまして、基本計画部会を閉会といたします。ありがとうございました。
── 了 ──
スポーツ庁政策課