令和8年1月23日(金曜日)14時00分~16時00分
文部科学省3F1特別会議室
岩田委員、延與委員、大塚委員、大日方委員、勝田部会長代理、川田委員、久木留委員、桑井委員、境田委員、鈴木委員、髙橋委員、友添委員、能瀬委員、藤原委員、星委員、本橋委員、諸橋委員、結城委員、渡邉部会長
河合長官、浅野次長、籾井審議官、大杉総括官、赤間企画調整室長、中村健康スポーツ課長、遠藤障害者スポーツ振興室長、大野地域スポーツ課課長補佐、田中競技スポーツ課長、廣田参事官(地域振興担当)、小川参事官(国際担当) 他
スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第9回)
令和8年1月23日
【渡邉部会長】 昨年末は、短い期間で数多くの部会に御参加いただき、ありがとうございました。
本年はこれからとりまとめの作業となりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは時間になりましたので、スポーツ審議会スポーツ基本計画部会第9回を開催いたします。本年も引き続きよろしくお願いいたします。
まずは事務局より資料の確認をお願いいたします。
【事務局】 本日の運営に関する説明と資料の確認をいたします。
本日は事前に希望いただいた委員についてはweb会議に御参加いただいております。
報道関係者については、一般の方と同様、ライブ配信での対応としております。
資料につきましては、議事次第に記載しております一覧のとおりです。
資料に不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
【渡邉部会長】 それでは、議題の1「第4期スポーツ基本計画の策定に向けた基本的な考え方について」に入ります。
昨年11月に河合長官よりスポーツ審議会に対し、第4期スポーツ基本計画の策定について諮問を受けました。当部会では4回にわたり関係団体からのヒアリングを行い、そのヒアリングから出た意見を踏まえ、これから各論の議論を行う予定です。まずは計画全体としての考え方について議論を伺いたいと思います。はじめに事務局より御説明をお願いいたします。
【事務局】 事務局から御説明いたします。
本日御議論いただきたい資料は、資料1の「第4期スポーツ基本計画の策定に向けて(目標等の設定についての考え方)」というタイトルの資料です。
1ページおめくりいただき、「これまでの議論の経緯と本日の論点」という部分から順に御説明いたします。今回の第4期計画の議論は、諮問を受けてから計画部会が立ち上がったのではなく、現行の第3期計画の中間評価の段階から委員の皆様に関わっていただいております。
中間評価を通じた振り返りの中でも、第4期計画の策定に向けた御提言として、スポーツは社会そのものの持続可能性を担保する極めて重要な価値を持つものであり、その役割の大きさを改めて確認しながら、この検討を進めていく必要があるのではないかという御指摘をいただいているところです。
また、二つ目の丸にありますように、これまでの基本計画部会における御議論・御意見、それから関係団体からのヒアリングでいただいた様々な御意見・御要望につきましては、参考資料の4-1、4-2という形でまとめさせていただいたものを今回お配りしております。
そうしたものを通じ、基本計画の内容のみならず、これからの時代における様々な課題にどのように向き合い、どのような方針で目標等を設定していくのかといった、計画策定の前提となる考え方に関する御意見もいただいておりました。
そうした点も踏まえ、今後、基本計画の具体的な内容を御議論いただくことになりますが、それに先立ち、スポーツの重要な価値や大きな役割をしっかりと踏まえた計画となるよう、まず、以下の点について確認した上で、計画案の作成を進めていきたいと考えており、論点1、論点2という形で大きく二つ掲げております。
一つは「基本計画における目標等の設定についての考え方」、論点2は「論点1の考え方を踏まえた基本計画の基本構成等の在り方」という2点です。
次のページです。
論点1「基本計画の目標等の設定についての考え方」についてですが、これはあくまで私どものたたき台として御理解いただければと存じますが、計画が掲げる目標等についてどのような考え方で設定していくのが良いかという点に関して、御議論いただきたいと考えております。
私どもで考えたところ、大きく4点ほどあるのではないかということでお示ししております。
一つ目は、今回の改正基本法の大きな柱・軸である、スポーツを通じた社会課題の解決に重きを置きながら、また、自然環境、社会環境の変化に対応した環境づくりを目指し、目標を設定していくという点をポイントとしてはどうかという点です。
その前提となるところとして、目標に掲げる指標等が既にありますが、これらは、これまでの指標がこうであったから次はここまでいけるだろうというような、従来の指標の延長線上での積み上げではなく、社会課題解決という観点からバックキャストし、どのような施策を打っていくべきかを考えていく必要があります。
また、ここで示す様々な指標や目標に関して、当然ながら高い目標を掲げることもありますが、これまでの実施状況や社会の変化なども踏まえ、必要かつ現実的な目標となるようにも留意していく必要があると考えます。
二つ目の点につきましては、この計画が誰のための計画かということですが、幅広い分野の関係者、すなわち国民も含めたステークホルダーの方々が理解し、共感できるような計画にしていく必要があります。それゆえに、この目標実現に必要な投資、人材、知識、ノウハウといった様々な好循環の流れを生み出すような視点を重視していくべきではないかと考えております。
そのためには、我々が従来考えていたような分野の縦割りではなく、体系的に皆様に分かりやすく示していくことを意識する必要があると考えます。
三つ目目につきましては、幼児期から高齢期まで、生涯を見通したウェルビーイングの実現と、それが単に個人の自己実現にとどまらず、社会の成長や発展にも貢献していくという視点を重視する点です。
そうした点を重視していくのであれば、働く世代や女性のスポーツ実施率等の課題はありますが、一人一人のライフスタイルや環境の違い、あるいは地域の格差なども踏まえつつ、一人一人の意識や行動の変化を促す、個人レベルではなく、企業、組織、関係団体も含めた社会全体の行動変容を促していくという視点が重要であると考えます。
4点目は、アスリート・ウェルビーイングを土台としたハイパフォーマンスの追求です。これまでハイパフォーマンスの分野では、メダルの獲得数等がKPIとして設定されている部分もありますが、重要なことは、アスリート一人一人が持てる可能性を最大限発揮できる状況になることであり、そのために必要なウェルビーイングの観点、そうした部分に関してアスリートにも配慮した国際競技力の向上を目指していくという点を4点目に掲げております。
1ページおめくりいただき、論点2です。
この論点1の考え方について様々御議論いただいた上で、それらを踏まえた基本計画の基本構成の在り方についてどのような点に留意していくかという点です。
一つ目は、国民一人一人、あるいは幅広い分野の関係者の方々が自分ごととしてこの目標実現に取り組むことができるように、社会課題等へのインパクトを分かりやすく示していくことが必要なのではないかという点です。
二つ目は、分野の縦割りにならないよう、体系的に分かりやすく示していくこと、例えば社会課題等への対応を軸にするなど、体系的に分かりやすく示していくことを考えていく必要があるのではないかという点です。
三つ目は、施策のまとまりごとに別添のようなモデルを整理した上で計画案を作成していくということです。1ページおめくりいただきますと、これは例えのイメージとして「国民のスポーツ実施の促進に向けて」というモデルをお示ししておりますが、一番右側にある社会課題等へのインパクトからバックキャストして、施策等を組み上げていく、そのために、短期的な効果や中長期的な効果をどう捉え、その繋がりをどう捉えていくのかというところを、しっかりと御議論いただいた上で計画全体を組み立てていくことが必要なのではないかと考えております。
さらに、1ページおめくりいただきますと、こちらは参考ですが、第1期計画から第3期計画までの大まかな構成をお示ししたものです。
計画が策定された時々の状況を反映したものとなっており、一番左の第1期計画は、スポーツ基本法が成立し、東京オリンピック・パラリンピック大会の招致という状況下で策定された計画です。その中で、トップスポーツと地域スポーツにおける連携協働による好循環の創出といったことも位置付けられた第1期計画でした。
この第1期計画の期間中にスポーツ庁が創設され、東京オリンピック・パラリンピック大会に向かう局面の中で第2期計画が策定されております。
その中では、スポーツの価値を国民の方々にどのように伝えていくかという点で、「スポーツで、人生が変わる。」あるいは「スポーツで、社会を変える。」といった大きな四つのスポーツの価値をメッセージとして伝えながら、計画全体が形作られていました。
その後、東京大会が新型コロナウイルス感染症の拡大の中で1年延期されて開催された後、策定されたのが現行の第3期計画です。
第3期計画については、第2期計画の中長期的なスポーツ政策の基本方針を踏襲しながら、第3期計画における新たな視点や、東京大会のスポーツレガシーの継承・発展といったところに重点を置き、計画全体が形作られていたという状況です。
御議論いただきたい資料については以上です。
それから、お手元に参考データ集として参考1の資料をお配りしております。
時間の関係で中身について細かく御説明はいたしませんが、目次を見ていただきますと分かりますとおり、少子高齢化等を含む内容や、気候変動等がスポーツに与える影響、地域の活性化や経済の活性化に与えるインパクトに関するデータ、体育・スポーツ施設のストック状況、事故の発生状況、アスリート等を取り巻く環境の変化、また、健康格差に関する問題意識の高まりなどがあります。これは政策や事業が集団に与える健康影響に関する評価の枠組みであるHIAというものもありますが、その中でも社会的弱者等の特定の集団への影響の検証といったことも行われており、公平なスポーツ機会の提供という点で参考になるものかと考えて掲載しております。
いずれにしましても、このデータ集につきましては、今後我々としてもブラッシュアップしていきたいと思いますし、委員の皆様の御助言をいただきながら内容を充実させていきたいと考えております。
事務局からの説明は以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、意見交換に移ります。
事務局から説明がありましたが、まずは論点1「目標等の設定についての考え方」について御意見・御質問等がありましたら、従来どおり名札を立てて御発言いただきたいと思います。
なお、Web会議より参加いただいております委員の皆様におかれましては、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。
また、御発言いただく際には、お名前をおっしゃってから御発言いただきたいと思います。
それでは意見交換に移りますが、いかがでしょうか。
久木留委員、まずは口火を切っていただけますでしょうか。
【久木留委員】 ありがとうございます。この大変な取りまとめをしていただいたことに、まずは感謝申し上げます。
その上で、論点1と論点2はなかなか分けづらいと考えておりますが、私としては、まず最も重要なことは、スポーツに価値があるという認識は、大前提として問題ないと考えます。しかし、スポーツに関わりのない方の方が多いのが実情です。そうしたことを踏まえると、スポーツの価値を社会に浸透させるための施策が何であるかを明確に考える必要があります。
例えば、今般、スポーツ基本法が改正されましたが、その中に様々なヒントがあると考えています。具現化していくためには「スポーツ×○○」という視点が必要だと考えます。その例として、スポーツ基本法の改正の中でスポーツと文化の連携が明確に記されているのであれば、「スポーツ×文化」でどのような社会課題を解決できるのか、といった点を明確に記述していけば、スポーツの価値向上に繋がるのではないかと考えます。
もう一つは、第3期計画からずっと言われ続けているスポーツの実施率ですが、私はここに少し疑問を持っています。なぜなら、実施率が上がったと言われますが、本当に上がっているのかどうか、今ひとつ分からないからです。実施率の上がり方が低い理由を考えたときに、私はまず、スポーツをする環境が本当に整っているのだろうか、そこに地域格差はないのだろうか、という点を疑問に思います。例えば、現在の石川県と東京を比較することが本当に妥当なのかといったことを考え、スポーツをする場所と空間の確保という点を、今回の第4期計画に明確に記述すべきであると考えています。
そして3番目として、この資料の中にもありますが、スポーツをする人には老若男女がいます。その際に、具体的なポイントとしては、領域を分けて考えないことにあると考えています。これは、例えば1989年に競技スポーツ課と生涯スポーツ課に分かれていったように、現在のスポーツ庁も、様々な部署に分かれています。しかし、本来はハイパフォーマンス領域と、ライフパフォーマンス領域、いわゆるグラスルーツを分けて考えるべきではないと考えています。
具体的な例を挙げると、我々ハイパフォーマンススポーツセンターの中で培った様々な知見を地域に展開することは当然のことと考えます。ただし、ここには課題もあり、展開するための方策として、ハイパフォーマンスアスリートに用いている暑熱対策を、そのまま子供や高齢者に適用することは困難です。しかし、そのデータをどのようにトランスレーションするのか、そのトランスレーターとなるのが、実は大学であると考えています。大学の研究者の中には、例えば高齢者の運動を研究している人もいれば、発育発達を研究している人もいます。この人たちがトランスレーターとして関与するような施策を作れば、ハイパフォーマンス領域で培ったスポーツ医・科学の知見を展開することができます。これが具体的に実現したという例が、現在、日本にはありません。実は世界にもありません。F1で培ったブレーキング技術や燃費の問題を一般車に展開することが行われています。また、宇宙で開発したものを地球でどう使うかということも考えられています。スポーツ以外の一般のビジネスでは行われていることです。そうであるならば、これをしっかりと取り入れていくべきではないかと、私自身は考えています。
また、最も重要なことは、システムをどう作るかであると考えます。そのためには、今回様々なヒアリングを行いましたので、オールジャパン体制で取り組まないと、JSPOで行っていることをJOCで活用したり、JOCだけでなくJPCで活用したり、それをオールジャパンでどう組み替えるかというと、役割分担をして進めることが重要だと考えています。皆が同じことをやっていて、予算も限られている。このあたりのオールジャパン体制のシステムをどう活用するかが問われると思います。
最後に、現在、部活動の地域展開等が言われています。私はこの部活動の地域展開等は子供たちだけの問題ではなく、高齢者等が一緒にスポーツをすることにも繋げていければ、今回の第4期計画に一本の筋が通る、背骨を通すことができると考えます。その上で、重要なことは、これが持続的なスポーツ政策であるとすれば、そこで培った様々なデータを吸い上げる仕組みをきちんと持っていなければ、うまく構築できないと考えます。この点はハイパフォーマンスもライフパフォーマンスも全て同じです。こうしたシステムを作り一つに繋げていくというのが、今般、この資料を読ませていただき、私が申し上げたい一つの方向性です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。結城委員お願いします。
【結城委員】 ありがとうございます。結城と申します。
私はメディアに携わっておりますので、基本計画をどのように記述し、伝えていくかという部分を中心に2点申し上げます。
一つは前文のような部分に、理念をしっかりと盛り込むということです。我々は第3期計画の議論の中、特に終盤において、コロナ禍、国際社会の行方やデジタル化・AIの進展など、様々な予見できなかった事象が起きてきました。その変化が早まっていることも含め、理念をまずしっかりと入れておくことで、詳細な施策部分が時代にそぐわなくなる可能性があったとしても、軌道修正が可能となり、方向性が定まる形にできればと考えています。
その際には、理念には基本法と響き合うような根幹の部分を押さえておく必要があると考えます。例えば、スポーツの基本は楽しみ、楽しさであること、心と体を育み、人と繋がる価値を持つ大変身近なツールであり、このようなものは他に類を見ないということ。それが今、社会課題への貢献という非常に大きな価値があるという認識が広まっていること、そして少子化やデジタル化など、これまでの枠組みでは対応不能な大きな変化が起きていること。それに従って、その価値をどう持続させ、展開していくのかという部分で、この第4期計画を策定するという流れをまず入れておくことがポイントになるのではないかと思います。
もう1点は分かりやすさです。先ほど事務局からもありましたが、その分かりやすさという意味で、例えば過去の施策を比べてみますと、第2期計画は非常に明瞭であると感じます。これは、次のオリンピック・パラリンピックが来る、スポーツの価値はあなたにとって何か、という個人ベースの呼びかけを、意識啓発を意図して行っているからではないかと思います。
今回、特に社会課題という部分から起こして、逆にそれを組み立てるという御提案が事務局からありましたが、そのような形をお取りになるのでしたら、少なくとも各所に、最初の部分に分かりやすい、理念に通じるようなキーワードのようなものを入れ、個々人にとっての意味が分かるような形を取るとよろしいのではないかと感じます。理由を申し上げます。
結局、施策を行うとき、それが国であれ、地方行政であれ、スポーツ団体であれ、どのようなレベルであっても、計画を展開しようとすれば、その目的は、各個人、つまり、やる方、支える方の意識啓発、そして行動変容を呼びかけるものになります。皆がどのように協働し、そして自由意志で行うかが重要になります。
仮に、こういう社会課題がある、それに資するのがこのスポーツの価値である、だから皆様やりましょう、という形にしてしまうと、ある意味で上から「やれ」「やってください」と言っているようにも聞こえてしまい、個人のレベルでは心に響かない可能性が高いと考えます。そのような形になってしまうと、人々の意思として続かず、文化・習慣になっていかないのではと懸念します。
逆に「あなたの人生にこう資するから行動してみよう」というキーワードがあると、意識に届きやすくなるのではないかと考えます。例えば、社会変化として第一義に少子化があり、部活動の地域展開がある。その場合は、当事者である子供たちの未来にとって、それがどういうことなのかという視点を最初の理念として入れていくということです。例えば、子供の頃からスポーツをすることはその子の人生にとって非常に重要であり、体をつくり、人としての素地を育む、その機会を子供から奪わないためにどうするのか、それがこの施策である、という立て付けで次に施策を展開していくことがポイントになりうると感じます。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。オンラインの友添委員お願いします。
【友添委員】 ありがとうございます。オンラインから失礼します。
今、種々の御意見を伺い、なるほどと感じるところが多かったです。
基本的には、スポーツ基本計画が誰に向けたメッセージであるかということを、まず考えておく必要があると感じておりました。今お伺いしながら、個人的にはこれはタックスペイヤー、すなわち納税者へのメッセージであるという色彩を忘れてはならないと考えています。
特に重要な点は、スポーツ基本法そのものが、スポーツの「振興」から社会課題の「解決」へと大きくシフトチェンジをしている点であり、基本計画はもちろんそれに倣っていく方が良いのではないかと考えています。
同時に、例えば社会課題そのものは、それぞれのスポーツの価値の階層性にうまく対応していますので、先ほど申し上げたような、いわゆる社会的課題について、例えば「振興」から「解決」へといったタイトルを設け、それぞれの課題がスポーツの価値のどれに対応するか、という対応関係を大まかに示しながら進めていくことが一つあっても良いのではないかということです。
もう一つ、社会的課題から入っていくというのは、換言すれば、スポーツの必要性から入っていくわけです。
例えば、先ほど久木留委員が言われたアスリートのトップパフォーマンス追求の問題にしても、メダルを取るだけで本当に良いのか、という点があります。あるいは、私の大学時代の恩師がよく言ったセリフで、今でもよく覚えていますが、「感動や夢は3日、3週間、3ヶ月、3年経ったら忘れる」とよくおっしゃいました。もちろんスポーツで感動や夢をというのは、とても重要なことですが、むしろ例えばハイパフォーマンスの研究や実践の中での成果を、ライフパフォーマンスでどのように還元していくのかということが非常に問われてきています。例えば、高齢者の運動処方にどのような還元ができるのか、あるいは子供たちのスポーツコーチングにどういう影響を及ぼせるのか、そういったことを考えていく必要があるときに、社会課題の解決における課題相互の連携性をとっていくことが必要になってきます。このあたりは、基本計画の第2章あたりで書き込んでいくことができるのではないかと考えているところです。
具体的には、社会的な動向を見てみると、例えばEUが出しているスポーツ施策は、4年ほどをかけて実施していくわけですが、こういったところを見ても、いわばグローバルスタンダードとして、「振興」から「解決」へのシフトチェンジを始めており、方向転換をし始めていると感じています。
これと関連して少し余談ですが、現行のスポーツ基本計画の中には「振興」という言葉と「推進」という言葉が混在していますが、このあたりの整理を第4期計画で行う必要があるのではないかと考えます。スポーツ振興法からなぜスポーツ基本法に変わったのか、あるいは、こうした「振興(プロモーション)」からなぜ「アドバンスメント」に変えていったのか、といった政策への転換を、第1章あたりに解決策を含めて書き込んでいく必要があるのではないかと考えているところです。
先ほど赤間室長が「バックキャスト」という言葉を使われましたが、例えば今日の資料で言うと、バックキャストに沿っていくと、課題を示し、そして中長期的な課題を具体的に引き直し、実際には実践的な課題に細分化していく、それぞれのスポーツの価値の対応の中で、そして最終的には施策を打って期待される成果という形に変えていけば、基本的には構造的な計画ができ上がってくるのではないかということを、今お二人の話を聞きながら感じていたところです。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。大塚委員、よろしくお願いします。
【大塚委員】
最も重要なポイントとしては、第1期、第2期、第3期と計画が推進され、途中でオリンピック・パラリンピックもあり、具体的なゴールを示すことができた中、第4期計画における最終的なゴールは、今出てきた社会課題の解決なども含めて、最終的にはスポーツ経済産業の推進、この1点に繋がるものを示していくことが望ましいと考えております。
今出た社会課題等の解決に資する最終的な目標も、スポーツ経済自体を高みに見ていくということが、スポーツ界全体の発展にも繋がりますし、こちらにもありますように、ハイパフォーマンスの点においても、経済、すなわちスポーツをすることによって、それぞれの所得が上がっていく、そういう社会を作っていくことが、最もスピード感を持って進めていける要因に繋がるのではないかと考えております。
「投資」という言葉や、人の流れを生み出す視点も強調していただいておりますが、ポイントとしては、とにかく経済を大きくしていくためにスポーツがあるのだという流れを作っていく、もうそういう時期に来ているのではないかと考えておりますので、是非とも、最初の目標設定にスポーツ経済の成長というところを置いていただきたいと考えております。
それから、アスリートのウェルビーイングを土台としたハイパフォーマンスの追求の箇所に関して言えば、これはアスリートのみならず、スポーツに関わる指導者、関係者を含めた全ての追求目標が、国際競技力のみならず、国際マネジメント能力、国際的なスポーツの発展能力、全てのところに繋がると考えていますので、ここの部分においては、アスリートのみならず幅広いスポーツ関係者というように広げて考えていただけたら素晴らしいのではないかと考えております。
最終的に掲げていくべきことは、チームジャパンの一体感、ここに繋がる目標設定と見え方、これをぜひお願いしたいと考えております。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。諸橋委員、お願いします。
【諸橋委員】 素晴らしいとりまとめ、ありがとうございます。今の大塚委員に加えて、発言いたします。
まず、論点2の一つ目で言及されている「社会課題等へのインパクトを分かりやすく示す」という部分についてです。そのインパクトを、単なる数値目標にとどまらず、社会に伝えていく上で、まず重要なのがアスリート、もしくは元アスリートの存在であると考えます。例えば、アスリートからの言葉や表現は、一般市民にとっては非常に分かりやすく、なぜならそこには実績があり、感動があるからです。
先日、日本財団のプラットフォーム「HEROs」が主催する「ユニバーサル・インクルーシブ・フェスタ」に私の財団も運営協力として参加し、初めて参加者が障害者のお子様と健常者のお子様でミックスした形での活動機会を設けました。メーカー、アスリート、小児医療従事者、そして障害をお持ちのお子さまとその御兄弟・御家族など、これほど様々な方が関わるということは初めてで、それぞれを繋ぐ接点となるような共通の会話は、今まで全くありませんでした。しかし今回の開催によって、健常者だけ、障害者だけで行ったイベントとは全く違う新しいものを、スポーツを通じて創り出したという感動を非常に覚えました。その時に、その価値を伝えていたのは、元アスリートそして現役アスリートの皆様でした。そういった部分において、アスリートのセカンドキャリアについても、今後の具体的な検討の中で引き続き議論を深めていくことが望ましいと考えています。
加えて、産業化についてです。大塚委員がおっしゃられたように、スポーツの産業化、スポーツ経済をどう発展させるか、次の期は、これが最も重要ななってくると考えています。部活動に関しても、ウェルビーイングに関してもそうですが、現在、日本全国で私が活動している体感として、スポーツを使って経済を盛り上げたいということも含め、「スポーツでまちを盛り上げたい」という自治体もあれば、一方で、一つのイベントとして終わっていて、「スポーツは一過性のものである」という見方をしている地域もあります。スポーツの価値を上げていく上で、その場限りにならない継続的な活動、そしてそれが経済的に寄与するような活動になっていくことが、スポーツの価値を上げていく一つの観点でもあるので、各論においては、治体ごとの「スポーツの価値」に対する受け止め方にも目を向け、その差を緩やかに埋めていくような整理をしていくことと、スポーツの経済発展をどのようにしていくかという部分を研究していくべきかと考えております。以上です。
【渡邉部会長】 他の皆様はいかがでしょうか。髙橋委員お願いします。
【髙橋委員】 論点というよりも、メッセージという点で少し考えましたが、現在、非常に社会が大きく変化する中で、スポーツ界も変化していくべきであると考えており、それを推し進める「イノベーション」のような言葉をもう少し盛り込むと良いのではないかと考えます。指標としては、例えば新しいスポーツイベントがどれくらい創出されたのか、新しい地域展開も新しいプロセス、イノベーションの一つかもしれません。また、新しいマーケットがどれくらい形成されたのか、といったことを指標に置きながら、変わっていくところに関して、ある程度後押しし、ポジティブに捉えるようなメッセージが出ると良いのではないかと考えます。このままではいけない、というようなメッセージを出すと良いのではないかと考えています。これは全体的なニュアンスとしての提案です。以上です。
【渡邉部会長】 星委員、お願いします。
【星委員】 取りまとめありがとうございました。
私どもとしては特に、目標設定の4番「アスリート・ウェルビーイングを土台としたハイパフォーマンスの追求」は、私どもが目指しているところと合致しており、ありがたいと考えております。
私どもの調査で、トップアスリートの約24パーセントがうつ状態を経験したことがあるという結果が出ており、様々なストレスにさらされながら競技力向上に励んでいるという実態がある中で、この観点は非常に重要であると考えます。また、最近スポーツ庁から予算をいただき、誹謗中傷対策もJPCと一緒に進めていますが、その会議の中でアスリートが浴びている言葉などを目にしますと、見るだけでも本当に心を病むようなひどい言葉をぶつけられているケースがあります。そのため、このウェルビーイングを土台としたという点は非常に重要であると考えています。
一方で、アスリート・ウェルビーイングや誹謗中傷対策はトップアスリートだけの問題なのかという観点は重要です。先ほど来、スポーツに関わる人全ての問題であるというお話も出ていますが、例えば、地方の少年野球の審判をボランティアで務めている方や、ボランティアで指導している方が、保護者から選手選考に関してひどい誹謗中傷を受けることもあると聞いておりますので、トップアスリートに限った話ではないと考えます。スポーツには様々な関わり方がありますが、関わる人が皆、幸福感を感じる、そうした中で自分なりのスポーツを見つけていくということが重要であると考えています。
また、人々がスポーツで幸せになることで、スポーツによる社会課題解決が実現し、そこに投資をしようという動きも生まれてきて、先ほどから出ている経済成長の話にも繋がっていくと考えられます。こうした目標の設定について、方向性として賛成であり、ぜひその方向に向かって計画を立てていけたらと考えております。以上です。
【渡邉部会長】 延與委員お願いします。
【延與委員】 膨大なデータを綺麗に集めていただき、本当に事務局の御努力に心から敬意を表します。
3点発言します。
1点目は感想的になってしまいますが、11月に行われたデフリンピックが本当に素晴らしく、競技も素晴らしかったですが、何と言っても観客席の熱狂的な盛り上がりは、オリンピック・パラリンピックともかなり異なり、全国から、また世界から集まった聴覚障害者同士が本当に人と人を結ぶ大会でした。また、今回そこに聞こえる人も加わって共に熱狂的に応援するというのは、スポーツがそれほどまでに人と人、コミュニティとコミュニティを結び付けるというものを初めて経験し、スポーツが持つ価値が、これまでとは違う、すばらしいものであると感じました。
その結果、盛り込むべきことが非常に多くなっており、一般の方がこの計画を読んでも、要点が分かりにくいというのが実情ではないかと考えます。ですので、第3章のような各論の部分は様々盛り込むのは良いですが、最初の数枚、第1章はかなり絞り込み、この5年間の計画の柱が何であるかを大胆に切り込んだ方が良いのではないかと考えています。その柱が何であるかについては皆様と色々議論を重ねたいところですが、おっしゃるように社会経済的なところも一つの大きな柱でしょうし、私の考えでは、もう一度スポーツ機会の平等、すなわち、地方にもよらず、また性別も様々ですが、全ての人がスポーツをする機会を確保するというようなものを柱に掲げるなど、何か大胆な柱を作っていかないと、誰にも届かないのではないかと考えております。
また、今後、目標の指標なども作っていくと思いますが、たくさんあっても良いですが、それは第3章にたくさん書き込み、この計画で何かシンボリックなものを一つか二つ、それが実施率なのかどうかは分かりませんが、そうした絞り込んだ議論をして、この5年間の計画のテーマはこれです、と大胆に打ち出していくのが国民の心に届くのではないかと思います。
3点目も感想になってしまいますが、年末にはたくさんのヒアリング、ありがとうございました。様々な団体の話を聞いて本当に勉強になりました。それを通じて感じたのは、どの団体も一生懸命活動しているけれども、どこも人手などが足りず、やりたいことができていない、隙間がたくさんあるということを非常に感じました。これからの5年間は、そうした全国に散らばる様々な団体やリソースをいかに繋げていくかが大切なのではないかと感じ、現在、静岡県のコンソーシアムなども官民で熱心になさっていますが、あれがもっと広く深く展開していくようなものが、これからの日本のスポーツには必要なのではないかと思い、そうしたものも柱に入ってくると嬉しいと思いました。雑駁で失礼いたしました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。境田委員お願いします。
【境田委員】 境田です。取りまとめ、本当に御苦労様でした。
私も久木留委員がおっしゃった、ハイパフォーマンスの成果を、様々な一般のアスリートに届けるというのは非常に重要であると考えています。
それともう一つ、今回、部活動の地域展開等で非常に大きな予算が補正などでも確保され、これから部活動の地域展開等などがどんどん進み、地域のスポーツ振興が発展していくのだろうと考えております。その際に、例えばある県の複数のバスケットボール部やサッカー部で一つのチームができました、そこに指導者のフィーを支払うというのが基本的には想定されていると思いますが、単にそこで一つの地域のサッカークラブができましたと言って、ある意味、孤立というか、そこで、はいお任せです、という形にするのか、例えば国立スポーツ科学センター、ハイパフォーマンスセンターとうまく繋いで、指導者にしろ、生徒にしろ、体力を付ける、瞬発力を付ける、持久力を付けるにはどうしたら良いかというデータを取ってハイパフォーマンスセンターに送ると、様々な回答が返ってくる、というような仕組みは考えられないでしょうか。
さらには、ハイパフォーマンスセンターでも、この20年以上の様々なデータの蓄積やメソッドの蓄積があります。それに加えて、最近はAIを用いたアスリートへのサポートも多くあります。そういった国立スポーツ科学センターなどを中心に、協力してくれる企業や大学とコンソーシアムを組んで、そこが様々な地域スポーツをサポートしていくようなハブ機能ができれば、いわゆるスポーツのDX、デジタル化も進み、真のオールジャパンになるのではないかとも考えましたが、これは久木留委員の御意見もあろうかと思いますが、そういった案も一つあるかと考えました。
【渡邉部会長】 勝田委員、お願いします。
【勝田部会長代理】 ありがとうございます。
まず、大きな副題のようなものを、最終的に皆様で検討するのも良いのではないかと思いました。これが1点目です。
我々はこれまで経験したことのないような大きな時代の変化と、向き合っています。このような大きな変化に対して、スポーツがこれまで培ってきたものをポジティブに次に繋げていくチャンスであるという認識のもとに、施策に関する検討が展開されていくことも大事な視点と考えます。
いただいた資料に沿ってお話をいたしますと、まず3ページの社会課題の解決等の部分ですが、環境づくりと目標等の設定という項目があります。どのような環境がこれから必要になるのか、学校と地域の連携もそうですし、国際的な連携も、スポーツ団体の連携と協働も。このあたりから少しブレイクダウンしていくことも一つのアプローチと思いました。
例えば「する・みる・ささえる」、そして「あつまる」「つながる」という概念が、具体的にどのような指標で観測されていくのかという視点もあるかと思います。また「関係人口」という言葉がありますが、スポーツと関係する「生産年齢人口」や「支援人口」あるいは「交流人口」など、様々な言葉から紐解くこともできるようにも思います。ちなみに「みる」について着目すると、現地で見る場合もあればオンラインで見る場合もあり、ブレイクダウンしていくと様々な指標が成り立つかと考えられます。今後、このような指標づくりに関する議論を展開してはどうかと思います。
また、指標や様々な施策を考えていくときに、人、ゲーム・競技やイベント、あるいは組織、システム、といった視点から検討していくといったアプローチも考えられます。
さらに、「連携及び協働」に関わる部分ですが、そこにはスポーツ活動への投資価値に関する視点もあると思います。スポーツに投資するという環境づくりといった視点も重要と考えます。
それから「ウェルビーイング」ですが、これについては「生涯にわたってスポーツとより良く関わる」といった観点が、スポーツを通じたウェルビーイングに資する視点として重要と捉えます。様々なライフスタイル、環境、ニーズ、目的といったことを踏まえ、多様な人々がそれぞれの立場や環境においてスポーツとより良く関わっていける。そのために必要な導き手となる指導者等とはどのような人なのか、そのための環境としての施設や機能は、そのために必要なライフスタイルとはなど、スポーツを通じたウェルビーイングの視点から取り組みについて検討していくことが重要と思います。
最後に、アスリート・ウェルビーイングについて。アスリートだけではなく、関わる審判、マネジメント、メディカルやコンディショニングなど、様々なスポーツの推進に寄与する人材のパフォーマンスやウェルビーイングが向上し、輝き、活躍する環境づくりを目指す」ことを念頭に検討していく。それによって、アスリートはもちろんのこと、関わるそれぞれのパフォーマンスやウェルビーイングの向上につながっていくと思います。
いずれにしましても、持続可能な社会の発展に貢献していくスポーツの在り方や方向性を念頭に、さらに検討を重ねていくことが、大きな時代の変化と向き合うこれからの時代において重要と考えます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。鈴木委員お願いします。
【鈴木委員】 皆様のお話は全くそのとおりであると思いますが、少し久木留委員の御意見に加えて、私は、第4期計画で重要視すべきは、現在開始している部活動の地域展開等を全国で漏れなく確実に実施することにより、スポーツ権の機会を全ての人々に保障することであると考えます。本当に各地域でスポーツのエコシステムを根本から抜本的に作り直さなければなりません。一部、そうした制度的なケースもありますが、まだまだ地域のバランス、ばらつきというのは、手が付けられていないところが多くあると思います。
その際に、幾つか留意点があると考えており、まさに単一スポーツからマルチスポーツへ、そして文化活動も加えること、また、中学生だけでなく多世代、ここにはもちろん高校生、大人が親子で参加することも含まれるでしょうし、高齢者も含まれます。それから、エコシステムなので、財源と、特に人材が重要です。これまでは、特に地域では学校教育関係者にかなり依存し、お願いしていたところが多いので、そこをどのように人材を広くあまねく確保していくのか、ということが非常に重要であると考えます。もちろん、移動や交通といった話もあるでしょう。
それから、スポーツ実施の必要条件として、場所、空間ももちろん重要ですが、もう一つは時間です。時間がないとスポーツはできないので、そこは確保していかなければなりません。そういう意味では、体育の時間の確保など、強化だけでなく、かつて学校で行われていた「朝の読書活動」のようなことも必要になってくるのではないかと思います。そのことが日本人の読書力の向上に繋がったりもしました。
それから「スポーツ×〇〇」ということで、私が最近特に注目するのは、一部の高校や、多くの大学で行われているような、アスリート探究やスポーツ探究です。スポーツは、あらゆる探究のネタになる、全ての教科、学際的なものが関わりますので、これをもう少し教育的な文脈でも位置づけることができるのではないかと考えます。
最後に、第4期計画で主張すべきは、国際情勢が不穏な中で、オリンピック憲章などにもあるように、スポーツはまさに平和の基盤であるということです。スポーツを通じた国境、人種を超えた人的な繋がりを大事にしていく、あるいはそういう意識を皆が持つ、まさに勝つためのスポーツではなく、スポーツを通じた国際交流を含めた人間の交流です。これまでもピンポン外交や、モスクワオリンピックなど、スポーツは政治に振り回された経験がありますが、逆に今こそ、スポーツが世界の平和あるいは国際親善に積極的に貢献していくべきです。しかも、それをやりやすいポジションに我が国はあると考えますので、その分野で主導権を発揮するという点は、渡邉部会長がまさにずっとやってこられたことですが、もう少し強調しても良いのではないかと思いました。以上です。
【渡邉部会長】 能瀬委員、お願いします。
【能瀬委員】 ありがとうございます。すでに何度かお話があったかと思いますので、補足になります。
これまで各団体のヒアリングや女性関連で関わらせていただいて強く感じていることが、今後は、様々な各団体の連携、また協働していくということが、人的、予算的、また時間的な効率化の観点からも必須であると感じています。連携していくことが、最終的には各団体の強みやターゲットを明確化することに繋がっていくかと思いますし、情報を受け取る側が、情報過多の時代において情報の選別をすることにも繋がっていくかと思います。論点1の2のところに、幅広い分野の関係者が共感するということを書いていただいておりますが、ぜひ関連団体が協働・連携することの強化を示すような文言を入れていただければ良いのではないかと思いました。
また、ウェルビーイングについてですが、中長期的な効果の女性の健康向上のところで、括弧内に「更年期症状」と書いていただいていますが、これまでの議論で、ライフステージに応じた女性の健康課題ということを議論してきたかと思いますので、年齢層や疾患を限定するような書き方ではなく、幅広く対応できるような内容にされた方が良いのではないかと思いました。
【渡邉部会長】ありがとうございました。桑井委員お願いします。
【桑井委員】 取りまとめ、ありがとうございます。
私から1、2点ありますが、境田委員がおっしゃっていた部活動から地域スポーツ活動に移行していく中で、今、私自身の友人が中学生や高校生の子供を持つ中で、指導者に対して対価を支払うのは当然であると考えますし、これまで部活動で教員が指導していた状況から、例えば経済的な理由でスポーツができなくなったり、地方に行けば親の協力がなければスポーツの場に通えなくなったりする子供たちが増えてきているのではないか、ということを親の話を聞いて感じており、そこがどのように変化していくのかというのが1点目です。
2点目は、勝田委員がおっしゃっていたとおり、スポーツを通じて、スポーツをするアスリートだけでなく、関わる全ての人がウェルビーイングになる必要があると考えています。私自身もレフリーをしていて、レフリーがミスジャッジをすれば「殺すぞ」「死ね」といった形でSNSに書き込まれる時代になっており、レフリーやその他の方々もプロフェッショナルという立場が非常に求められ、選手のレベルが高くなればなるほど、その人たちに求められるものも同等のものになっていくという考えがあります。そういった点でも、最後の4番目に関しては、パフォーマンス追求というところではアスリートだけでなく、その他関わる方々も含まれていただけたらと考えています。以上です。
【渡邉部会長】 大日方委員、お願いします。【大日方委員】 ありがとうございます。非常に分かりやすくまとまったと感じると同時に、大きな変革の時なのかなと、これを見ていて思います。
いくつか申し上げる中で、話が前後するかもしれませんが、ゴール設定の話が大塚委員からもありました。確かに、スポーツ産業の成長発展というところは非常に重要なゴールの一つであると同意いたします。それと同時に、本当にこれ一つに絞って良いのかということについては、もう少し議論が必要であろうと感じます。
考えたときに、3ページの三つ目の論点、論点1に挙げられている3番目が非常にヒントになると思っており、社会の成長発展と同時に、個人の、人が豊かに暮らすことができること、成熟した社会だからこそできるものがこのスポーツの意義でもあると思います。我々が世界を見るにつけて、スポーツというのは、平和がなければなかなかそこまで至らないということを日々感じている中で、改めてこういったところをゴール設定のもう一つの柱とすることに関しては、議論した方が良いかと感じた次第です。
二つ目が指標につきまして、これも1番目で、積み上げではなく大きな見直しも、一つの時期なのだろうと考えています。例えば、久木留委員からも挙がったスポーツ実施率について、本当にこれが役に立つのか、何に繋がるのかということについても考える、これは非常に貴重な機会であろうと考えています。ここでしっかりと議論をすることが重要で、何となく曖昧にするのではなく、残すのか残さないのか、ということを明確にすべきです。様々な地域で、これまではスポーツ実施率を指標に立てて基本計画を策定しているので、仮にこれをやめるとした場合、やめるという議論にはなっていませんが、例えばそういったこれまであったものをなくす場合には、我々として責任を持って明確にその方向性、変わるのだということについて示さなければ混乱が起こるというところについて、しっかりと議論していく必要があると感じました。
最後に、4番目のアスリート・ウェルビーイングという、この言葉の難しさについてもお話がありましたが、もう少しフラットに考えてみると、スポーツをしない人たち、あるいはスポーツにそれほど興味がないと言っている人たちにとって、なぜハイパフォーマンスを追求するのでしょうか、ということだと思います。我々は、自身が関わってきたことも含めて反省すると、第1期・第2期・第3期計画、特に第2期・第3期計画は、東京大会があるということ、その直後だったこともありますが、ここについてあまり議論を深めきれなかったという思いがあります。そこが、スポーツ社会とスポーツの乖離を生んだ一因になっているのかもしれず、メダルの獲得数だけではないというところは、そのとおりだと思いますが、では何なのかと。アスリートが幸せになれば良いということでもない、という話が今さんざん出てきたわけで、なぜハイパフォーマンスを追求していく必要があるのでしょうか。おそらくこの議論の中に幾つもヒントがあり、その場合は、ハイパフォーマンススポーツからライフパフォーマンススポーツへ、といったものを、もっと強調していくということも一つであると思いますし、産業の発展というところもあるでしょうし、ウェルビーイングという個人のものであるかもしれない、あるいは健康長寿というところ、いずれに繋がっているのかというところを明確にしていくことで、改めてハイパフォーマンス追求の意義、これをあの人が勝手にするのではなく、皆でやっていきましょうということの意義が、しっかりと基本計画の中で盛り込まれることで、皆様とスポーツが広く同じ方向を向いて進んでいけるのではないかと感じました。以上です。
【渡邉部会長】 久木留委員、どうぞ。
【久木留委員】 ここは重要なところなので、アスリート・ウェルビーイングについて、私の意見もそうですが、皆様の意見を伺いたいと考えています。
私はまず、大塚委員と勝田委員がおっしゃった、アスリートだけのウェルビーイングではないという点には大賛成です。その上で、間違ってはいけないのは、よく誹謗中傷の話が出ますが、誹謗中傷への対策は確かに重要な観点です。しかし、これはあくまでリスク要因の一つです。リスク要因は誹謗中傷だけでなく、怪我のこと、オーバートレーニング、社会的な環境、例えば失業やスポンサー契約の終了など、全てが要因となります。ですから、誹謗中傷だけを取り上げて政策化していくと、間違った方向に進みかねないと考えます。
また、アスリート・ウェルビーイングは決して心理の問題だけではありません。アスリート・ウェルビーイングというと、どうしてもウェルフェアオフィサーということで心理の専門家が関わってきますが、実は私が申し上げたように、フィジカルの問題やマネジメントの問題など、様々な側面の要因が関わってきます。これをどうやってカバーしていくのかが、非常に大きな問題になります。
もう一つは、リスク要因と同時にプロテクティブ要因(保護要因)があります。プロテクティブな要因をしっかりと押さえておかないと、このアスリート・ウェルビーイングへの問題は誤った方向に進みかねません。
その上で、なぜ私自身がアスリート・ウェルビーイングにこだわっているかというと、政策を作るときに、世界の情勢はどうなっているのかを考慮する必要があると考えているからです。2020年の東京大会以降、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは、間違いなくアスリート・ウェルビーイングを中心に据えてきています。例えば、これからブリスベンでオリンピック・パラリンピックが開かれるオーストラリアでは、「2032年+」の中で明確にアスリート・ウェルビーイングを位置付けなければ資金を提供しません、と謳っています。そうであるならば、これを我々日本はどう考えるのかということを明確に議論しておかないと、第4期計画としては不十分なものになってしまうと考えます。
ですから、現在、それらの国々ではWin-Well/勝ち方を追求し、勝ち続けることにこだわる、ということが言われています。これは以前も話しましたが、非常に重要な要因です。これを例えば、現在、競技団体に作成してもらっている戦略プランの中に位置付けられれば、リスク要因とプロテクティブ要因について明確に考えるきっかけになると考えています。これらをきちんと理解した上で進めないと、もう第4期計画ですから、世界の情報をうまく取り入れた中で日本はどうするのかという議論を考えていかないと、違った方向に進むのではないかと私は思います。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
様々意見が出てきましたが、皆様の御意見は、本日提示された論点1の四つの柱から大きく乖離するものではない、というのが私の所感です。そこに肉付けをしていただくようなお話が今日あったのではないかと考えています。大塚委員が経済成長というお話をされたとき、これも解釈の仕方が様々あると思います。アスリート・ウェルビーイングと同様に、経済が成長するということは、人的資本や社会関係資本など、様々なものが関わってきます。そこには、その地域のネットワークやリレーションも含まれ、そうすると久木留委員が最初に言われたように、オールジャパンという、領域や分野、組織、他の方も言われていましたが、そういったものを全て併せ持った中で考えていかないと、経済成長は見えてこないのだろうと思います。
様々なお話があり、結城委員の御意見などは論点2に繋がるような御発言であったと思います。ここは論点1ということで区切ってきましたが、大分網羅的な御意見が出たのではないかと思います。
髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】 私の発言は肉付け的なものなので、手短に申し上げます。
アスリート・ウェルビーイングの中で言うと、例えばファイナンスアドバイザーのようなところも含めて、今後進んでいくのは、アメリカの大学スポーツでNIL(Name, Image, and Likeness)が導入されたように、アスリート個人の名前、イメージ、肖像といった、いわゆる法的な保護が重要になってきて、そのあたりがしっかり整備されてくると、実はビジネスのための制度設計なので、産業化にも繋がります。今それが曖昧だから、誰が何を使って良いか分からず、アスリートが主張できないというのが、非常に課題になっているのではないかと考えており、これはプロテクティブという意味でも、個人の商業的な権利というあたりも位置付けると、今後5年、10年で課題になってくるのではないかと考えています。少し肉付けの部分でした。失礼します。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。友添委員、よろしくお願いします。
【友添委員】 ありがとうございます。
少し整理しておかなければいけないのは、おそらく大日方委員がおっしゃったのは、アスリート・ウェルビーイングが駄目だということではなく、ハイパフォーマンスを追求する社会的意味や意義、ここを明確にしていく必要があるのではないか、ということだと私は理解しています。私もそのあたりを最初に申し上げたように、タックスペイヤー(納税者)の目線に立ったときに、説明がきちんとつくような形の計画であるべきだろうということと思っています。
例えば、生活保護世帯がこれだけ急増する中で、なぜトップアスリートを含むウェルビーイング、そしてハイパフォーマンスを追求するのか、これは国にとっては極めて大事な視点であり、あるいはスポーツ界にとっては一番大きな眼目になるところですが、これを我々だけが納得しているような論理展開ではなかなか厳しいでしょう。むしろ、それを一般の納税者たちがきちんと理解できるような形の社会的意味付け、位置付けを、計画全体の中で明示していく必要があるのではないかということが一つです。もう一つ、大塚委員がおっしゃった点は極めて重要であると考えます。スポーツエコシステムが確立しないと、人材の交流も育成もできませんし、財源の持続可能性も生まれてきません。そういう意味で、今回位置付けなければいけないところですが、ここも実は大事なところで、これだけで良いのかというわけではなく、大塚委員ももちろんこれだけで良いとおっしゃっているわけではないと思いますが、今重要な点は、こうした様々な目標や課題が、きちんと連携するような横串を刺す論理をどう作るかということです。それが一つ、社会課題で包摂をしながら、DE、つまりダイバーシティとエクイティです。イコーリティではなくエクイティという、これは延與委員が先ほど言われたことと関連してきますが、こうしたエクイティの発想と、インクルージョン、包摂性、こういったことを三位一体で、今申し上げるわけではありませんが、DEの視点も次期基本計画の底流には含めていく必要があるだろうと考えています。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、岩田委員お願いします。【岩田委員】 簡潔に2点、今皆様の意見を聞いておりまして、論点1はもうこれで十分かと思います。論点1と2という柱立ても非常に複雑に絡み合っているので、どこを循環させていくかということですが、私は一番初めに、例えばスポーツインテグリティからスタートし、それが使い古された言葉ですがスポーツの価値を上げる、価値に関するリテラシーが向上する、というところに繋げると考えます。その結果、皆様がおっしゃるように、企業が賛同してスポーツの成長産業化に繋がり、また自治体が協力して地方創生・まちづくりにも繋がるといった好循環が生まれ、その循環が達成されると社会課題の解決、ウェルビーイングの実現と循環していくのではないかと考えているので、この論点1には大賛成です。
もう1点は、最初に久木留委員がおっしゃった、オールジャパン体制でやるべきだというのももっともで、11月から12月にかけてヒアリングを行いました。私は35年ほどスポーツ団体に長年深く関わっているので、この50団体のほとんどを知っていますし、役職員で知っている方もたくさんいます。しかし、初めてヒアリングした方は、これほどスポーツ関係団体があるのかと驚かれただろうと思います。日本医師会や全国知事会など、違う目的で活動されている団体を除いても、スポーツだけでも20数団体あり、乱立しているように見えますが、このスポーツ団体はそれぞれの誕生の意義と役割があり、きちんと自治で運営されています。この団体を全部統括したらどうかというような乱暴な話ではなく、まず久木留委員がおっしゃったように、全てにおいてオールジャパンで横連携をして、スポーツ庁、JSCなどと連携しながらやっていくのが一つです。
一つの例として、運動部活動の地域展開等で最も大事な指導者の質の担保、量の確保、質の担保という点でいくと、私もヒアリングに参加し、様々な団体が指導者養成をやられている、という御意見がありました。それはそれで尊重されるべきだと思いますが、どこかで横串を入れて、JSPO、JOC、JPSA、JSCは、競技力向上の観点も踏まえ、各NF、PFと連携して指導者養成を行っています。しかし、自治体独自、各大学独自でやると、その辺が若干薄くなる可能性もありますし、ならない可能性もあります。ですから、連携して指導者の確保をやっていかないといけません。運動部活動の地域展開等において、現在JSPOの公認スポーツ指導者資格保有者は30万人しかおりませんので、量も確保していかなければなりません。これについては横串を入れてきちんと、スポーツ指導者の公的仕組みづくりという形でやっていかなければならないと考えています。以上です。
【渡邉部会長】 オールジャパンというのは、おそらく大きな意味で、コレクティブインパクトをどのように生み出していくかを考えていくということではないかと聞いておりました。
論点1のうち、最後に結城委員、その後、論点2の議論の時間に移りたいと思います。
【結城委員】 御発言があったことに対して、短く申し上げます。
大日方委員の、経済という大きなゴール設定以外にも柱を立てるべきだという御意見には私も賛同いたします。スポーツの価値の最大のものは無形のものだという議論は、過去もこの審議会でずっと行ってまいりましたし、選手の活躍がどのように人々を触発するのか、そこにこそ、おそらくハイパフォーマンスの価値の一つがあると思います。共生社会の意義も、人生の豊かさも、多くの部分で、お金に換算しにくいものがあります。それが今、岩田委員がおっしゃったように、好循環で経済に結びついていけば理想の形ですが、経済という視点を柱にする際には配慮も必要かもしれないと思いました。
同様に、鈴木委員がおっしゃった平和というもの、これはすばらしい、これから特に重要になっていく可能性のある価値だと思いますし、過日、髙橋委員がおっしゃった防災という観点、災害が起きたときにスポーツがどう資するかという部分、コロナ禍でスポーツは不要不急だという声があったと記憶しています。そうではないという部分を、何らかの形で、これから社会がどう変わるか分からない、大きな変化がありうるかもしれない、その中でもスポーツの価値を見ていく必要があるのだという部分は、どこかで押さえておく必要があると感じます。
最後にインテグリティ、これに関しては、今、岩田委員がおっしゃったことにも繋がりますが、この概念を、スポーツの価値を守る体制づくり、施策づくり、そして教育啓発の大きな枠組みであるとまず位置づけ、その中に誹謗中傷等の様々な課題を掲げていくことが、分かりやすく、また、我々のこれからに大きな指針を与えるものになりうると感じます。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。川田委員からコメントが入っておりますので、事務局でお読みください。
【事務局】 チャットから事務局にて代読いたします。
川田委員より御意見です。
部活動地域展開等についての議論があったかと思います。教育現場では、これまで公立中学校で行われていた部活動が地域展開等となったことにより、担い手に支払う月謝をどのように負担するかが大きな課題となっております。生徒に月謝負担を求めるならば、部活動は習い事に近い立ち位置となり、経済的事情等で参画機会が制限される場合が発生し、これまで学校教育で浸透していた文武両道の教育カリキュラムが、大きく変質する恐れがあると考えます。スポーツ教育のすそ野の確保の観点からも、経済面を含めたより綿密な制度設計をお願いしたいと思います。
以上です。
【渡邉部会長】 まず、赤間室長、ここまで論点1の議論でしたが、事務局より何かコメントはありますか。
【赤間企画調整室長】 大変多岐にわたる御意見をいただいたところです。我々もこの四つをお示ししましたが、今、部会長からも御指摘いただいたように、様々な部分を肉付けさせていただきながら形を作っていきたいと思いますし、これらを踏まえて全体の骨格を作ってまいりたいと思いますので、本当にありがとうございました。
【渡邉部会長】 論点1と繋がっておりますが、論点2について、皆様の御意見がありましたら、改めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
藤原委員、もし何かあればお願いします。
【藤原委員】 ありがとうございます。
皆様の意見を聞いていて、本当に共感するものがたくさんあったので、新たに付け加えるところはありませんでしたが、これを論点2でどう落とし込んでいくかは難しいと感じました。例示の1番目と2番目は社会課題が入り、論点1で書いたものをできるだけ網羅的にうまくまとめてくださっていますが、ややインパクトが弱いような気がしており、私自身、今、頭の中が整理できていないですが、もう少しすっきりとまとめられたら良いのではないかと思いました。
一方、具体的なイメージとして、5ページ目に施策と最終的に目指す社会課題が書かれているので、これで大分整理ができると分かりました。ただ、もう少し整理ができれば良いなと、私自身はまだ頭の中が整理できていないので恐縮ですが、もう少しすっきりとインパクトのある形にまとめられたら良いのではないかと感じました。無理に二つ三つのものを一緒にしているようなので、もう少しシンプルでも良いのかもしれません。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。他の委員の皆様はいかがでしょうか。延與委員、お願いします。
【延與委員】 座長御指摘のとおり、論点1のところで論点2を語ってしまった延與です。
内容については、専門の様々なものをどんどん盛り込んでいくのだと思いますが、基本構成を考えたときに、少し私の中で悩みがありまして、障害者スポーツをどのように扱うかという点は、東京都の計画でもいつも議論になります。健常者と障害者の計画は別だったものを一体化しましたが、障害の部分は障害の部分でまとめて見たいという思いがあり、別章で再掲するような形で障害者のスポーツを取り上げる、これはこれで一つの整理です。
しかし、現場の実態から言うと、障害者スポーツは、高齢者のスポーツや「ゆるスポーツ」などの現場においては、垣根が低くなってきています。特に地方や社会資源の少ないところに行けば、障害者だけ、高齢者だけで活動するのでは、意味がなくなっているのだと思います。その辺りの障害者スポーツをどう表記していくかは、結構悩みどころかと感じておりまして、構成の中でどう扱うかですが、現場の実態としてはオールジャパンで様々な人が分け隔てなく活動できるようにしながら、しかし、障害者にはこういうサポートがありますよ、ということが分かるような計画にしていただけると、ありがたいと思っております。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
赤間室長、もし現段階で、第4期基本計画の構成の部分について、何かイメージがあれば教えていただきたいと思いますが、まだそこまで至っていないですか。分かりました。では、そこもまた皆様の御意見を賜りながら進めていくということになろうかと思います。
久木留委員お願いします。
【久木留委員】 私は構成というより、よくまとめてくれているので、あとはこれに肉付けしていけば良いと考えています。
その上で、最後の「施策」「短期的な効果」という部分ですが、これはまさにロジックモデルを書いてもらっているのだと思います。これまでの最大の問題は、後からロジックモデルを当てはめて評価を行っていたため、整合性が取れなかったことにあると考えます。ですので、このアプローチには賛成です。
それに加えて、最も重要なことは、モニタリングと評価の基準をどうするかということを明確にしておくことです。例えば「スポーツの価値に関するリテラシーの向上」と書かれていますが、それは誰を対象にして、どこまで達成すれば良いのかを明確に記述し、計画を立てる側がその基準を持っていなければ、モニタリングはできないと考えます。また、この委員会を立ち上げて実施していくのか、あるいは委員会が主導してモニタリングの仕様を決めておき、委員会自身で実施するのではなく、定点観測として継続的に追ってもらうことも可能かと思います。そうした仕組みを導入しておかないと、2027年3月に第4期計画が策定され、2年後に中間報告をやらなければならないからと皆が集められて、モニタリングと評価を議論するというのは、第1期から第3期までの部会でずっとやってきたことなので、この反省を踏まえ、最初にM&E(モニタリング&エバリュエーション)の仕組みを明確にしておくということを付け加えられたらいかがでしょうか。
【渡邉部会長】 勝田委員お願いします。
【勝田部会長代理】 「社会課題等へのインパクト」については、スポーツがこれまで培ってきた様々な内在価値や外在価値などを、今後どのように活かしていくのか、といった観点から考えていくことも一つのアプローチと思います。
また、多様な主体が「連携・協働」していくことが重要であり、その際、それぞれの社会的役割や、培ってきたものなどを互いに尊重し、一緒にできることなど、役割分担しながら、縦割りにならないように進める努力が大事だと思います。
それは、定点観測・点検評価に関わる指標や基準づくりなどモニタリング等の仕組みづくりにおいても必要なこと捉えます。
【渡邉部会長】 赤間室長、もしお答えできるところがあればお願いします。
【赤間企画調整室長】 それぞれの御指摘はごもっともであると考えており、「社会課題解決へのインパクト」というところは、まさにスポーツの価値をどう生かしていくのかということにほかならないと思いますし、連携協働のところについても、個人、あるいは社会団体、組織、そういったものとの連携をどのようにつないでいくのかということにほかならないと思います。また、勝田委員や久木留委員からもありましたが、まさに定点観測できる、モニタリングできる指標というものを、ぜひここの中でも御議論をいただき、それをある種オートメーションで評価していけるようなシステムを作るということも大変大事なことであると思っております。それぞれどうもありがとうございます。
【渡邉部会長】 大日方委員。どうぞ。
【大日方委員】 ありがとうございます。二つ申し上げたいです。
今のこの議論の延長の中で、モニタリングのこと、それからこのイメージ、5ページで書いていただいたものは、まさに今回初めてこういう形でスタートから議論しているので、非常に良いことであると思います。EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)が、計画の時からしっかりとできているということの重要性を考えると、同時に、この計画は連続性も持ちますので、これまでの計画をここに一旦入れたものをベースにして、抜き差しした方が良いかと思いました。
少し、今これはイメージで書いていただいているので、先ほど能瀬委員からもお話がありましたが、部分的な箇所があったり、EBPMで評価していると見ると、実はここが評価から抜けているな、とか、計画の中に入っていてもここが入っていないな、というようなものも、物理的に入れられなかったというものがあったりすると思うので、このイメージ、こういう形で箱が分かりやすくなったところで、一度この計画部会の前段で、皆様でやってきたものや、EBPMの評価で受けたものなどをここに落とし込んで入れてみると、これは何かはまらないな、とか、実はこの指標は、先ほど境田委員がおっしゃったように、何を目指しているのだろうか、というようなモニタリングもしづらいものが見えて浮き出てくると思うので、そういったものを変えるという議論を、次ぐらいに、事務局の方々の御負担を心配しつつですが、一度できると、かなり浮き上がってくるものが見えてくるかと考えており、お願いできると嬉しいというのが1点目です。
もう1点が、延與委員からお話があった、パラスポーツや障害のある人のスポーツをどう書くかというところについて、これは第2期・第3期計画で相当議論してきた経緯というところも、しっかりと踏まえる必要があると考えています。そもそも第1期計画の前に、スポーツ振興計画だった時代のことも振り返り考えますと、その時はまだ法律が違ったということもあり、障害がある人がスポーツをするという前提が、その中に書かれていませんでした。そこから第2期計画、東京大会が決まり「オリパラ一体」という言葉が出て、もっともっと、当たり前にいるということをここで言わなければいけない、あるいはそれが政策的に進める力になってきたというのは事実だと思います。私もそれを第2期・第3期計画と関わって強く言い、進める立場として、ある種しっかりと書き込むことが必要だという立場で話をしてきました。
一方で、これは河合長官とも同じ考えかもしれませんが、共生社会とは何かと考えたとき、スポーツとパラスポーツが別にあるわけではありません。何か「パラ」という頭書きを取ったとしても、当然にスポーツの中には多様性があり、インクルーシブな状態が理想の形であると思います。ここが理想であり、理想に向けて我々は走っているわけで、どこまで到達できたのか、あるいはそこの理解度がどこにあるのかというところによって、ここは入れるべきか、章立てした方が良いものなのかどうかは考えるべきであると考えています。
例えば、今、第2期計画の前後を考えると、国立スポーツ科学センターのナショナルトレーニングセンターで、オリンピック選手とパラリンピック選手が一緒に練習することは、もはや前提となっており、これはある種、不可逆的な状況であると思うので、これをまた取り分けようということにはならないでしょう。進歩している部分に関して言うと、あまり取り分けすぎることによって分かりにくくなるかもしれない、ということもあり、ここに関しても結論が今どちらですと言い切れませんが、もし、障害やパラスポーツという言葉をこの章立てから抜くのであれば、どこにでも入っているという前提でなければなりません。見落としなど、実はここに関しては考えられていませんでした、ということがあってはなりません。そこはまさにDI(ダイバーシティ&インクルージョン)の視点で全て検証していく、XとYの軸でそこが抜け漏れないようにするという、これは別に障害だけでなく、高齢者や女性の視点といったところを検証するという、この手間はきちんと行った上で、全体としてどう作るかという構成について議論することが必要です。ここも我々としては大きな決断であり、それによるメッセージは「何となく抜けた」ではなく、しっかりと「こういう意図を持って公開する」という形で結論を出すべきであろうと。それがもしかしたら第4期計画では、そういったことを言わなくても良い、その「パラ」という接頭辞をなくしても良いという社会的な成熟度が来たタイミングと言い切れるのであれば、そうすべきです。そこを、まさにここで議論するべきポイントであると理解しました。以上です。
【渡邉部会長】 境田委員、お願いします。
【境田委員】 5ページですが、真ん中は少しカタカナが多いと思いましたが、この社会課題へのインパクトという整理は、非常に分かりやすいと思いました。
ただ、今回スポーツ基本法が改正された趣旨は、スポーツが様々な社会課題を解決してくれるからだろう、という背景がありました。例えば「デジタル化」は、デジタルがスポーツのみならず社会全体を変えるから、スポーツ分野でもデジタル化を進めましょう、というものです。「ホスピタリティ」は、国際交流、海外からのインバウンドの話や、それによるスポーツGDPという形での経済的規模の拡大の話です。「コンプレックス」はまちづくりです。そして「eスポーツ」は新たな産業を興す、という側面があります。これらはそれぞれ全て社会課題です。その社会課題を解決するために、このスポーツ基本法ができて、そこに改正で新しい条項が加わったという点があるので、そういう観点から、もう少しこの課題と目的を整理してみるというのも、一つの案として良いかと感じました。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。髙橋委員お願いします。
【髙橋委員】 ありがとうございます。
基本構成等について留意する点ということで、私は1番目の「国民一人一人、幅広い分野の関係者が自分ごとに感じる」という書き方は大事であると考えています。現在、モデルとして別添で付けていただいたこのページは、スポーツを「する」ことを促進するイメージだと思いますが、関わり方からすると「みる」人もいれば「ささえる」人もいるし、イベントに「あつまる」人もいれば、スポーツで何か「つながって」いこうという人達もいます。自分事にするなら、そうした個人の行動から、それに関してどのような施策があるのか、というように書いてあげると、自分は何かビジネスをして支えていきたいという人はそこを中心に見るでしょうし、そうでない人は「する」というところから入るのではないか、ということで、政策のところから入ってしまうと、最初から遠い話のように、一般の方々は思うのではないかと考えました。
その際に、これからの議論になると思いますが、指導者数がどう変動したのか、施設数がどう変動したのか、国際大会が日本でこの5年間にどれだけ開催できたのか、スポーツサイエンスの部分で言えば、スポーツ科学論文がどれだけ増えたのかなど、出せる指標はあると思うので、それぞれに紐づけて、こういったところから見ていきますという指標をまず示し、このようなものがあるのではないかと示しておくと、それに関わる人たちは、自分がこれに貢献できるのではないかと、より具体化できるのではないかと考えました。今、「する」人のイメージは非常によく分かりましたが、多様な関わり方から見たらどうかという御提案です。以上です。
【渡邉部会長】 まずオンラインの本橋委員、お願いします。【本橋委員】 皆様の意見を聞きながら資料ももう一度見直していましたが、第三期スポーツ基本計画の策定時からの社会の変化というのが、本当にとてもシンプルにまとまっていて、さすがだなと思いました。先ほどの意見にもありましたように、アスリートの強化をそれほどしなければいけないのか、と思っている方も日本国内にはたくさんいらっしゃるだろうなと思う反面、今回パラの国際大会が日本で開催されたということは、経済にも紐付くというか、パラアスリートの皆様の活発な活動、そして、今後パラの中でも本当にプロとして活動していく方も増えるのではないかと思わせてくれるような、そういう大会だったというのもありまして、アスリートは、国内の人口から見れば数パーセントかもしれませんが、トップアスリートという職業が確立されてきた時代なのかなというところと、国際試合を牽引できる、そういう国力的なものがスポーツでも可視化されるという役割がアスリートにはあるのかなと、アスリートという現場、職場にはあるのかなと、非常に感じ、第3期計画中の社会の変化の論点だったかなと思いました。
私自身も地方に住んでいて少子化をひしひしと感じる中でも、本当に各分野をあまり孤立させてしまうと、なかなか縦割り社会のようなものが消えないのかなと感じているので、よりミックスして様々な方がやりたいスポーツに集まれる環境というのを、スポーツ庁が旗振りをしてくださっているというのも地方でも少しずつ感じてはいる反面、今後、部活動の地域展開等というところで、各家庭の社会格差、これは学習面でも同じだと思いますが、部活動に参加したければ、かなり好成績を取るか、あとは家庭環境が良いか、というところもイコールだとは思いますが、アスリートの世界でも、スポーツを職業にしたいとなったときに、その初期投資がかかる中で、スタートでつまずくことなく、スポーツには触れてほしいなというところが、今後どのように、スポーツ庁が旗振りをしてくれているのかというところも明確にしておけるのが、何か不安材料の大きな軸なのではないかと思います。
とりまとめの話がなかなかできませんが、第三期スポーツ基本計画からの社会の変化という部分で、本当によくまとまっているなと、ただ感心した意見になってしまいますが、私自身、そのトップアスリートという職業が、パラでも、様々なトップアスリートも、職業として今後確立していく中で、どのように社会の皆様から「スポーツだけ特別だよね」ではなく、「アスリートとしてこのように社会貢献できる」という点をもう少し可視化できるようなものがあれば、アスリートとしては少し心穏やかかなという意見です。以上になります。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。友添委員お願いします。
【友添委員】 手短に言うと、社会課題それぞれが、例えば階層性を持っていること、連続性を持っていること、ビッグイシューだけがあるわけではなく、その下に階層性や連続性があるということを、その繋がりの中で記載されていくべきだろうと強く思っています。
もう一つ思うのは、例えばKPIを見ても、働き盛りや女性のスポーツ参画が非常に低く、また、障害者のスポーツ参加も低い。これはおそらくKPIを見ていても、理由はよく見えてきません。質的な調査をやっていかなければなりません。私たちがよく使う手法では、当事者調査というのを行いますが、本来ならこのあたりのヒアリングを丁寧に行ってみて、その中から抽出されてくる課題や問題を施策に反映していくという手順をとっていく必要があるように思います。それを今後詰めていくのか、やっていくのか、あるいはどうするのかということも含めて、量的調査だけでは読み取れないところ、そこをどう丁寧に拾い起こして施策に反映していくのかということを、次のまだ手を付けていない課題として、検討する時期が来たなという感じをしています。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。大塚委員お願いします。
【大塚委員】 ありがとうございます。整理も非常に分かりやすく受けとめさせていただいています。
5ページの「国民のスポーツ実施促進に向けて」のイメージのところですが、境田委員と同じように、もう少し基本法に準じたワードや整理の必要があると感じているところと、一番考えていきたいと思うところは、右側の「社会課題等へのインパクト」という、「社会課題等」という言葉を入れていただいていますが、この「等」というところは、論点1にもあります自然社会環境の変化などを指しているのではないかと思いますので、ここに掲げている社会課題等へのインパクト、五つの赤い囲みは、もう少しあるのではないかと考えております。
さらに「日本の経済成長」というところが一つありますが、これはここに含めるべきではなく、もちろん経済以外の柱も立てるべきだという論点は十分に理解していますが、これらの社会課題等のインパクトを解消した先に日本の経済成長があるのだ、という持って行き方をこの第4期計画にはしていただきたいと、今ぱっと見て考えているところでございます。以上です。
【渡邉部会長】 最後に大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 今の点に関してですが、ここの箱に「企業の利益率・成長率向上」と入れてしまうと、これは儲からなければ、利益に繋がらなければスポーツはやらない、という裏返しになりかねないので、その言葉はもう少し違うかと考えています。このスポーツ基本計画を説明するときに、少しこれまでにない視点を入れたら良いなと思うのは、スポーツビジネスです。スポーツに関わろうと思ってくれる企業が、これを読んだときに、我々はこの分野に少し投資してみようか、というようなものになると良いと考えています。
少し問題意識として、オリンピック・パラリンピックに対するスポンサーがぱっと撤退しているというようなところもありますが、アスリートは応援したいと皆様おっしゃいます。スポーツは応援するというけれども、その組織は応援したくない。これは我々から見ると持続不可能であり、土台がなくなってアスリートだけが活動できるということはないわけですが、こういったことが正しく伝わるというのも、基本計画における役割なので、ここの見直しをしていただくのとともに、そういった視点から少し構成をしてみるというのも、先ほどのお話に繋がるところであるかと思いました。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
今日も活発な議論、ありがとうございました。冒頭申し上げましたが、今日は各論に入る前に、大局的なところで考え方についてどうだろうか、あるいは基本構成等の在り方というように書いてありますが、最後の5ページのところは久木留委員がおっしゃったように、第3期計画の時には、EBPM、ロジックモデルを初めて計画に落とし込む必要があったので、計画全体の章を並べて、それぞれインパクトまで、アウトカムから作ったというのは、大日方委員が部会長をやっていましたから一番御存知だと思います。今回は、実現可能性というところもしっかり踏まえて、施策ごとにきちんとしたロジックを立てようではないかというところで、このたたき台が出てきたのだと私は認識していましたが、赤間室長、それでよろしいですかね。
【赤間企画調整室長】 はい、過去の反省のもとに、しっかりと整理していきたいと思います。
【渡邉部会長】 そういうことだそうです。ですから、今日様々御意見が出ましたが、それは本当に貴重な意見だと思います。それを生かして、また次の展開をどうするかというのを、少し事務局と議論しながら課題設定をしていきたいと思います。
今日は最後まで長官にも御参加、立ち会っていただきましたので、最後に長官から一言お話いただければと思います。お願いします。
【河合長官】 先生方ありがとうございました。皆様からいただいた意見をしっかりお聞きしながら、我々も計画を作って終わりではなく、実行し、さらにそれを踏まえてより良くしていくことが重要であると受け止めております。
今年新年早々に、私は「スポーツを通じて誰もが自分らしく生きられる社会へ」というのをテーマに掲げて、今年1年をまず取り組もうとしております。その中の一つの柱がこの基本計画の策定になりますので、引き続き先生方には、貴重な御意見をいただきながら、そして、事務局と議論していただきながら、より良い計画作成に向けて、また引き続きお力添えをいただきたいと考えております。本当に長時間ありがとうございました。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。最後に、事務局から事務連絡をお願いします。
【事務局】 本日も御議論いただきましてありがとうございました。
次回につきましては、2月25日14時からを予定しておりますが、詳細につきましては改めて事務局から委員の皆様方に御連絡をいたします。以上です。
【渡邉部会長】 長時間にわたりましてありがとうございます。以上をもちまして部会を閉会といたします。ありがとうございました。
── 了 ──
スポーツ庁政策課