令和7年12月22日(月曜日)13時00分~15時30分
TKP新橋カンファレンスセンター
岩田委員、延與委員、大塚委員、大日方委員、勝田部会長代理、川田委員、久木留委員、桑井委員、境田委員、鈴木委員、高橋委員、能瀬委員、原田委員、平野委員、藤原委員、星委員、本橋委員、諸橋委員、結城委員、渡邉部会長
浅野次長、大杉総括官、赤間企画調整室長、中村健康スポーツ課長、廣田参事官、吉屋参事官(民間スポーツ担当) 他
スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第8回)
令和7年12月22日
【渡邉部会長】 ただいまからスポーツ審議会スポーツ基本計画部会、第8回を開催いたします。本日はお忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日も前回に引き続き、関係団体からのヒアリングを予定しております。
まずは事務局より本日の運営に関する説明、資料の確認をお願いいたします。
【事務局】 スポーツ庁政策企画調整室長の赤間でございます。本日の運営に関する説明と資料の確認をさせていただきます。本日は事前に希望をいただきました委員の方には、Web会議で御参加をいただいております。報道関係者については一般の方と同様、ライブ配信での傍聴とさせていただいております。資料につきましては、議事次第に記載されております一覧のとおりでございます。資料に不足等がございましたら事務局までお声がけをいただければと存じます。以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。本日は時間が限られておりますので、皆様には御協力をお願いいたします。
それでは議題の1、関係団体からのヒアリングに進みます。本日も資料1に記載されている団体において取り組まれている状況、成果、そして現状抱えていらっしゃる課題、第四期計画において期待すること、この三つの点を中心にお話を伺ってまいります。重ねて申し上げますが、6分間という時間で御説明いただければと存じます。説明の後、30分程度の時間をとりまして、質疑応答に入りたいと存じます。
まず、Gグループにつきましては、一般社団法人日本トップリーグ連携機構、株式会社日本政策投資銀行、一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構、一般社団法人日本eスポーツ協会、日本武道館の順で御説明いただきます。
繰り返しになりますが、6分間という非常に短い時間ですが、よろしくお願いしたいと思います。なお、日本商工会議所につきましては、書面提出でいただいておりますので、後ほど資料2-10を御覧いただきたいと存じます。それでは、一般社団法人日本トップリーグ連携機構からよろしくお願いいたします。
【一般社団法人日本トップリーグ連携機構】 皆様こんにちは。一般社団法人日本トップリーグ連携機構でございます。本日、私どもからお話しさせていただく内容は資料2-1、また委員の皆様には参考資料として資料3、資料4を添付しております。資料3、4は、当機構に加盟しておりますJリーグ、Bリーグという二大プロリーグの今後の方針や、スポーツ庁への提言などをまとめたものでございますが、こちらにつきましては皆様に御覧いただくことで説明に代えさせていただきます。Jリーグも観客動員が過去最高となり、Bリーグも新しいアリーナが完成する中で、ホームタウン活動や社会的責任活動「B.HOPE」など、様々な活動をしております。資料は簡潔にまとめておりますので、後ほど御覧いただければと存じます。
それでは、資料2-1のトップリーグ連携機構としての取組について御説明します。1ページ目ですが、私たちが大切にしている新たな取組として、「社会に貢献して輝くために」ということで、三つの内容を整理しております。
まず一つ目は、企業スポーツの価値の再定義と施策についてです。先のパリ五輪に出場した選手の6割以上がプロではなく、実業団に所属している選手でした。当機構の加盟団体のうち、プロ以外は190の実業団スポーツであり、選手の雇用やチーム運営を考えると、企業が年間約1000億円を投資している計算になります。これまでのスポーツ基本計画ではプロ化がうたわれてまいりましたが、1億2000万の人口の中に既に3大プロスポーツが存在する中で、更にプロ化を進める考え方もあるかと存じますが、それ以上に、実業団、すなわち企業がスポーツをどう支えているかに着目していくべきではないかと考えております。
二つ目は、連携の推進です。当機構は競技団体が連携する、世界でも稀な組織ですが、この20年間で、プロリーグのノウハウをアマチュアスポーツに提供するなど、非常に良い形ができあがってまいりました。この「連携」を更に広げ、日本のスポーツ界の悪しき前例である縦割りを解きほぐし、皆様と連携していく仕組みが必要かと考えております。
もう一つ、私たちが大きく取り組んでいる活動が、幼少期の運動遊びです。「スポーツ」という表現を用いると得意・不得意という話になりがちですが、スポーツの原点は「遊び」「楽しむ」ことです。運動遊びという表現を用い、マルチスポーツという考え方を推進していく上で、大きな機会を作ることが必要ではないかと考えております。
後半部分では、全国で初めてとなる1000名を超えるトップアスリートへのアンケート調査結果をまとめております。非常に興味深い結果が出ており、トップアスリートの6割近くが、幼少期に専門競技以外の運動遊びを日常的に行っていたことが分かりました。また、女性アスリートの方が早期に専門競技を始めている傾向も見られ、これは女子のスポーツ環境が十分に整っていない可能性を示唆しているかもしれません。最も大きな発見は、笹川スポーツ財団やスポーツ庁の調査では幼少期のお子さんで週6日以上運動しているのは36パーセントでしたが、トップアスリートでは6割以上が毎日のように運動遊びをしていたという点です。子供たちが運動することがトップアスリートへの近道になっているということも考えられますので、こうした点をスポーツ基本計画の中に盛り込んでいただくことが、今後大切なのではないかと考えております。お約束の6分でございます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 簡潔な御説明ありがとうございました。続きまして、株式会社日本政策投資銀行、お願いします。
【株式会社日本政策投資銀行】 株式会社日本政策投資銀行と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。我々銀行は、もともと調査という文脈でこの分野に携わってまいりましたが、昨今では投融資の分野にも取組を拡大させていただいており、そちらを中心にお話しできればと存じます。
1ページ目に我々の取組をまとめております。左側が調査研究、右側が市場形成への貢献です。もともとスタジアム・アリーナを中心とした地域活性化の文脈で研究を進めてまいりましたが、最近ではその必要性を経済的価値のみならず、社会的価値にも注目して研究しております。
2ページ目に、我々が考える課題感を示しております。スポーツをビジネスとして捉えられていないという業界の実態があるのではないかと考え、ビジネスとして成立させるための「成長サイクル」の仮説を描いております。これは、ビジネスとして捉える以上、しっかり投資を行い、そのための人材を育てていくべきだというシンプルな提言です。
3、4ページで特に課題と認識しておりますのが、ビジネス人材の育成・獲得と、コンテンツの価値を高めるためのスタジアム・アリーナの整備が進んでいない点です。
5ページ目以降では、スタジアム・アリーナを社会的価値という観点で考察しております。経済的価値の追求はもちろん前提ですが、それだけでは捉えきれない価値を明確にすることで、資金の出し手を増やせるのではないかと考えております。
6ページ目にあるように、経済的価値と社会的価値を両輪で見せることで、ステークホルダーを増やしていくことが重要です。自治体やスポンサーに対し、社会的価値をエビデンスとして明示することが求められます。
7、8ページでは、社会的価値の算定・活用における課題を挙げております。算定にあたっては、分かりやすく汎用的なモデルを作ることが重要ですが、当初は事業者側も不慣れなため、国からの支援パッケージがあると望ましいと考えております。活用においては、PR目的だけでなく、アカデミックなエビデンスに基づいた研究を進め、説明責任を果たせる材料にしていくことが重要です。
9ページに、第四期計画に期待することをまとめております。投資を行う銀行の立場としては、資金循環、マネーフローの目詰まりを解消することが急務です。そのためには社会的価値の活用も並行して考え、資金を投下した後に事業者がそれを扱える体制を整える必要があります。どのような収入項目をファイナンスの対象と見るか、人材をどう育てるか、といった点をしっかり考えるべきです。
下に記載のとおり、ビジネスとしての成功を果たすため経営・マーケティング・デジタル等の人材育成や、施設整備(主にスタジアム・アリーナ)にあたっての支援パッケージを検討いただきたいと考えております。このあたりは社会的価値も活用しながら、しっかりと整備していく方針を期待しております。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構、お願いします。
【一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構】 一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構でございます。よろしくお願いいたします。資料を1枚めくっていただきますと、我々の組織の概要がございます。2011年に観光庁が策定したスポーツツーリズム推進基本方針に則り、オールジャパン体制でスポーツツーリズムを推進する組織として設立されました。観光庁からスピンオフした最初の一般社団法人で、現在はスポーツ庁と非常に密接に連携しております。
事業内容ですが、まず官民連携のプラットフォーム機能の形成に取り組んでおります。例えば、スポーツツーリズムの需要拡大のための官民協議会や、武道ツーリズム推進協議会などをスポーツ庁と共同で行っております。また、自主事業として、セミナー「JSTAスポーツ未来会議」や、5回構成の講座「JSTAアカデミー」といった普及啓発・人材育成事業を実施しており、来年1月からスタートする講座は定員がほぼ埋まるほどの人気となっております。
次に、スポーツツーリズム推進の受け皿となる地域スポーツコミッションの支援です。我々はスポーツツーリズムの司令塔として、地域にスポーツコミッションという組織を作る支援をしてまいりました。現在、全国で207のスポーツコミッションが活動しております。
何のためのスポーツツーリズムか、という点ですが、最も大事なのは社会課題の解決、特にまちづくりです。少子高齢化で疲弊する地方都市を、スポーツとツーリズムでどう活性化していくか、それが我々の事業の根幹を成しております。同時に、人を呼ぶためのコンテンツ造成支援も行っており、特に自然資源や武道ツーリズムなど、その地域ならではのコンテンツ開発を支援しております。また、海外スポーツ関係組織との連携も深めており、現在は台湾の教育部体育署やソウル特別市体育会と連携協定を結ぶなど、特に東アジアを中心に連携を進めております。
現状の課題としましては、スポーツツーリズムに関するデータ活用と効果測定が挙げられます。データが非常に不足しており、EBPM(Evidence-based Policy Making)を推進する上で障壁となっております。また、多様なスポーツの活用、特にマイナースポーツやパラスポーツ、eスポーツ、武道ツーリズムなどの活用も課題です。地域スポーツコミッションについては、先進的な地域とそうでない地域との間で格差が出始めており、これを平準化していく必要があります。
この第四期計画への期待としましては、まずスポーツツーリズム産業の拡大と文化の定着のため、スポーツの価値を最大化し社会経済発展に貢献する施策の柱の一つとして、明確に位置付けていただきたいと存じます。同時に、官民連携のプラットフォーム機能を強化し、スポーツ庁と観光庁の政策連携を計画段階から一層強化いただくことをお願いしたいと思います。また、先ほど申しましたように、EBPMを可能にするためのスポーツツーリズムに関する統計調査の定期的な実施を期待しております。
次に、地域スポーツコミッション支援として、200を超えるコミッションの次のフェーズとして、質的向上を目指すための認証制度の導入や、支援の継続をお願いしたいと考えております。最後に、活動資金の安定的な確保と、それをスポーツ振興に還元する財政的な仕組みづくりができればと考えております。ちょうど6分になりますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。皆様本当にありがとうございます。続いて、一般社団法人日本eスポーツ協会お願いします。
【一般社団法人日本eスポーツ協会】 一般社団法人日本eスポーツ協会です。よろしくお願いいたします。資料2-4にございますが、改めまして、eスポーツとは電子の競技ということになります。そのデジタルという特性を最大限に活用し、「いつでも、どこでも、誰でも」参加できるのが最大の特徴です。
次のページですが、私どもはまずグラスルーツの普及活動に尽力しております。2019年から国体の文化プログラムとして全国規模の大会を主催しており、多くの予選はオンラインで開催し、決勝はリアルな会場で行う形式をとっております。毎回数万人の参加があり、例えば今年の滋賀大会では小学生が優勝するなど、幅広い世代が活躍できる競技です。今後は、スポーツ競技としての認知をより広げ、特に学校単位での参加を拡大することが課題と認識しております。
次のページ、競技力向上という点では、スポーツ医科学の知見を活用し、日本代表選手を中心に強化メニューを作成しております。来年の愛知・名古屋アジア競技大会ではeスポーツが11種目採用されており、日本が得意なタイトルも多いため、複数のメダルを獲得し、社会的認知を更に高めていきたいと考えております。
次のページですが、eスポーツは福祉分野での活用も進んでおります。海外のセミナー等で日本の福祉分野での活用事例を紹介すると、非常に驚かれます。現在は、各自治体と私どもの全国38の支部が連携する形で、高齢者福祉や障害者福祉の活動を実施しておりますが、個別の動きに留まっているのが現状です。これを全国の支部が集まる定例ミーティングで事例共有し、水平展開を進めております。
次のページ、地域クラブ活動という動きも始まっており、eスポーツは非常に相性が良いと考えております。一つの学校単位ではチームを組むのが難しい種目も、地域でまとまることで多様な種目に取り組めますし、オンラインでの練習も可能です。静岡支部では、焼津市や藤枝市の教育委員会と連携し、ITスキル学習と合わせてeスポーツ活動に取り組んでいます。eスポーツの良い点の一つとして、試合の記録が全て残るため、良かった点・悪かった点を映像を見ながらクリアに振り返ることができ、PDCAを回して改善に繋げるという学習効果が非常に高いと聞いております。
そうした中で、第四期計画に期待することとして、次のページですが、まずはインフラ整備です。学校や地域クラブ、自治体の福祉施設などでインターネット回線の整備や、ゲームPC等の設備投資が進むことで、eスポーツを活用する取組が増えると期待しております。
また啓発面では、まだeスポーツの社会的価値に対する理解が十分ではなく、ゲームに対する偏見も残っております。この新しいスポーツ基本計画に「eスポーツ」と一言載るだけで、自治体や教育委員会の皆様が動きやすくなると思っておりますので、そのあたりを期待したいと思います。以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。最後になります。日本武道館お願いします。
【日本武道館】 日本武道館と申します。よろしくお願いいたします。日本武道館としましては、現状と成果、課題、そして希望することに分けて御説明いたします。
まず、武道は1000年以上の歴史を有する日本の伝統文化であり、現在、ユネスコの無形文化遺産への登録準備を今年から始めております。国内に約250万人、海外に約5000万人の愛好家がいらっしゃり、日本武道館では主催事業として全日本少年少女武道錬成大会、後援事業として高齢者武道大会など、多岐にわたる年齢層の方々に武道を楽しんでいただいております。
少子化により武道人口は減少しておりますが、それに対しては、日本武道協議会や全国都道府県立武道館協議会といった全国組織と連携して対応しております。
実施14年目を迎えた中学校武道必修化の課題は、指導者不足と、年間約10時間という指導時間の短さです。これに関しましては、武道館として指導者の養成・育成に力を入れたいと考えております。日本武道協議会では、全国武道指導者研修会を開催しており、最近ではパワハラやセクハラといったハラスメント教育も取り入れております。また、地域社会武道指導者研修会も全国の都道府県立武道館協議会と共同で実施しております。
国際的な普及にも力を入れており、令和7年度までは海外への武道団派遣事業を実施し、演武大会の開催や現地日本人学校での指導などを行ってまいりました。「礼に始まり礼に終わる」という武道の精神は、日本の生活文化にも根付いてきていると感じております。
これからの希望としましては、中学校で武道が必修化されたことで、何十年後かには日本人全員が武道の経験者となります。小学校から中学校、中学校から高校へと進む際に、武道を続ける環境が途切れないようにすることが重要です。部活動の地域クラブ活動への展開は、その意味で大変ありがたいと考えております。最近は小中一貫教育もありますので、中学校だけでなく、例えば小学校高学年などでも武道を必修化していただけると幸いです。日本武道館では、中学校武道必修化のための指導書と、地域の道場などで教える人たちのための指導書の2種類を作成しております。小学校のうちから武道に親しんでもらい、中学校、高校でも続けていただきたいと考えております。以上が日本武道館からの発表になります。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。それでは、委員の皆様、ただいま御説明のあった五つの団体に関して、御意見御質問をいただきたいと存じます。対面の方は名札を立てて、オンラインの方は挙手ボタンを押してください。質問時間は2分以内で、第四期基本計画の策定に向けた観点に絞ってお願いいたします。各団体の皆様には、質問をまとめてお聞きいただいた後、それぞれお答えいただきます。それでは、延與委員、結城委員からお願いいたします。
【延與委員】 一般社団法人日本eスポーツ連合に2点質問です。
私も東京都の計画に携わっておりますが、eスポーツを「スポーツ」とすることに対しては、ゲーム依存の問題などをクリアしない限り、なかなかやりにくいという抵抗が多くあります。この点についての見解を伺いたいと思います。
それから、私自身、障害者スポーツを振興する立場として、現在eスポーツをとても活用させていただいております。現状はデバイスを手作りで工夫して障害のある方でも参加できるようにしていますが、今後はゲーム自体がリハビリや知的障害児の学習に繋がるようなコンテンツが開発されると、行政としても非常に使いやすく、それを突破口にeスポーツが定着していくかと存じますが、その辺りについて何か動きがありましたらお願いいたします。
【渡邉部会長】 結城委員、お願いします。
【結城委員】 ありがとうございます。株式会社日本政策投資銀行と一般社団法人日本eスポーツ連合に質問させていただきます。
まず株式会社日本政策投資銀行、社会的価値の算定という部分、大変興味深く拝聴いたしました。スタジアム等への投資だけでなく、これが定例的に、かつアンケート以外の形でできるようになれば、様々なKPIの設定であるとか、そして社会に対するスポーツイベントの総合的な価値の見方を変える素地になるかと感じます。日本国内で、こうした動きやアンケート以外の指標開発がどこまで進んでいるのか、もう少し詳しく教えてください。
一般社団法人日本eスポーツ連合に伺います。御提言の中で、スポーツ基本計画における社会的価値の明記という御要望がありました。確かに挙げていただいたように多くの価値があると認識しておりますが、eスポーツの種類そのものが非常に幅広いという認識もございます。体を動かすバーチャルなものから、スポーツのルールで行うもの、そしてファーストパーソン・シューティングのようなものまで様々です。例えばIOCなどは、その中で線引きをして連携を深めようとしています。この点について、国内を統括されるお立場から、日本のeスポーツとして特にどのような価値を広げていきたいとお考えなのか教えてください。もう1点、eスポーツを特に学校や部活動で広めようとする場合、自主的な時間制限や健康への配慮といった、リスクの周知と自律的な実践が不可欠かと思います。この辺りの方策について教えてください。
【渡邉部会長】 高橋委員、続いて桑井委員お願いします。
【高橋委員】 一般社団法人日本トップリーグ連携機構への御質問です。現役時代に関してはトップリーグの中で様々な活動をされていると存じますが、引退後のレジェンドアスリートのキャリアや価値を向上させるような施策を第四期計画に入れていくとした場合、貴機構として何か施策なり活動は可能か、お考えがあれば教えてください。以上です。
【渡邉部会長】 桑井委員、お願いします。
【桑井委員】 お話ありがとうございます。一般社団法人日本トップリーグ連携機構にお伺いします。私自身も今、リーグワンのレフリーとして関わらせていただいており、高橋委員と重なりますが、選手のセカンドキャリアについてです。ラグビーのリーグワンは5年目になり、プロ選手が増えたことで、今後のセカンドキャリアがどのように変化していくのか、各競技のアスリートが集まってセカンドキャリアの講習などが行われているのか、といったことを考えておりました。また、盛り上がりの点で、BリーグやJリーグに比べると、ラグビーはまだ地域に根付いているようで根付いていないという思いもあります。企業にはコミットしていただいていると存じますが、地域のファン層という点ではまだこれからなのかな、というのが私の印象です。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。藤原委員お願いします。
【藤原委員】 御説明ありがとうございます。結城委員の質問の補足のような形で、株式会社日本政策投資銀行に質問させていただきたいのですが、今後ますます、スポーツの施設、それから単に建設だけでなく運営にお金がかかってくるので金融機関の役割が増していくと存じますし、それがなければ財政的な支援がなければ日本のスポーツ界で発展がないと思います。この社会的価値の活用といいますか指標は非常に面白いと私も思ったのですが、例えば金融機関が実際にこのような指標を作って、経済的な算定だけではなくて、社会的な価値を算定して融資をする、積極的にやっていくということが本当に可能なのかどうか。ここに書いてある文脈では、社会的価値は、経済波及効果に近い形に見えますが、例えば更に突っ込んで、施設がバリアフリー化されているとか、様々な形で社会に還元するとか、そういった形、指標にはならないかもしれませんが、で価値を測っていくことまで発展した、御要望として出されているかどうか、その点教えていただければ幸いです。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。勝田部会長代理お願いします。
【勝田部会長代理】 ありがとうございます。それぞれの皆様の培ってきた取組には、コアな役割があろうかと存じますが、そこを踏まえて、これからの新たな時代におけるスポーツの価値、特に社会的価値についてお伺いします。
【渡邉部会長】 各団体5団体ということでよろしいですか。では、一旦ここで質問取りまとめをいたしますので、まず一般社団法人日本eスポーツ連合の方から回答お願いします。
【一般社団法人日本eスポーツ連合】 御質問ありがとうございます。
まず啓発面、ゲーム依存の問題についてですが、私どもはゲーム業界団体と共に啓発活動に取り組んでおり、その中で、親子でしっかり利用の約束を作っていくことを重視しております。eスポーツは明確な目的を持った競技ですので、1日のプレー時間なども含め、親子の約束事が作りやすいと考えております。大会等で啓発冊子を配るなど、地道な活動も続けております。
障害者向けのコンテンツ開発についてですが、現状はコントローラーを個別に作るなどの対応をしていますが、ゲーム自体にリハビリ等の要素を盛り込むことについては、相応の開発投資が必要となり、ユーザー数が多くは見込めないものを民間ゲーム会社にお願いするのは難しいのが実情です。将来的には、そうした開発への助成といった提言もしていくべきかと、改めて思った次第です。
eスポーツの社会的価値についてですが、確かにeスポーツには様々な種目があり、ジャンルも非常に多種多様で、特にIOCなどはオリンピズムに合うということでその人を撃つようなシューティングゲーム等は除外ということになっているかと存じます。そんな中でどのような社会的価値を、というところでございますが、まずは年齢に合ったレーティングというものも業界団体としては重視しておりまして、大会の参加基準なども、こういった年齢別のレーティングに合ったものをということで参加基準は設定しております。eスポーツはこのデジタル競技ということで、どなたでも始めやすいというところがありますので、こういった高齢者、障害者の方、どうしても様々なスポーツ競技がある中でできるものは限られてきますので、そういった中でデジタルの競技ということで、eスポーツを選択いただけるということは一つの価値だと考えておりますし、実際高齢者や障害者のイベントの中で、新しいコミュニティ、繋がりができまして、その後もオンラインで対戦するなど、コミュニティが続いているという話もたくさんございますので、こういった種目が限られる選択肢が少ない人でもできるところがeスポーツの一つの社会的価値だと考えております。
また教育面に関しましても先ほども少し触れさせていただきましたが、特にそのチーム戦で、論理的思考であるとか、コミュニケーション力、協調性といったもの、またそれを振り返りやすいというところ、こういったものは教育面では十分活用価値があると、考えているところでございます。こういった部活動などで、そういったものが広がってきたときに、その時間的な部分ということも含めてリスクについては、先ほど御説明しましたとおり、親子で目標を作る、またそういった部活動で、顧問コーチ等としっかり目標を立てるというところが、まずは基本なのかなと考えております。以上とさせていただきます。
【渡邉部会長】 一般社団法人日本トップリーグ連携機構お願いします。
【一般社団法人日本トップリーグ連携機構】 ありがとうございます。御質問ありがとうございます。
まず高橋委員からいただきました引退後のアスリートの対応ということですが、現在、企業が選手を引退後も再雇用するという流れができてきております。プロリーグのチームでさえ、例えばJ2の水戸ホーリーホックがJ1に昇格できた背景には、選手たちのチームへの帰属意識や、地域で選手を育てていただいているという仕組みがありました。アスリートが引退したら終わり、ではなく、選手が持つ能力を別の分野で発揮してもらうことを民間企業も非常に重視しており、そうした再雇用の仕組みができています。
また、社会人野球では、人材確保のために、スポーツに打ち込む力を持った人材を地域の民間企業が雇用し、好きなスポーツを継続させてあげるという仕組みが全国で立ち上がっています。企業という視点を持ちながら、選手たちのセカンドキャリアを考え、選手がプレー中に次の人生について学び、謳歌できるような仕組みを、多くの企業スポーツを抱える当機構としてプロリーグの知見もいただきながら考えていく必要があると存じます。
桑井委員からお話のあったセカンドキャリアについても、プロチームであっても、実業団や支援企業がセカンドキャリアとして選手の能力を再発揮できる仕組みを作っています。プロ化して社員ではなくなったから終わり、ではなく、逆にチームが持つ支援企業や地方自治体と連携することで、選手が次の人生で活躍する場を作ることができます。それは、部活動の外部指導者として、地元の企業で働きながら地域の子供たちを育てる、といった形にも繋がるかと存じます。
最後に勝田部会長代理からお話がありました価値ですが、当機構の川淵会長も、スポーツはどうしても勝負の価値にいってしまいますが、その勝負ではなく、スポーツが持っている価値をどう高めるかが重要だと申しております。この10年間、まさにその点に取り組んでまいりました。その価値とは、選手の価値、チームを支える企業の価値、ホームタウンである自治体での価値など、多岐にわたります。これらを皆様と英知を一つにしながら高めていくこと、それがスポーツの価値向上に繋がるのではないかと考えております。以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。株式会社日本政策投資銀行お願いします。
【株式会社日本政策投資銀行】 御質問ありがとうございます。まず、日本国内での社会的価値の可視化の動きですが、現状、体系だった評価の仕組みはないのが実情かと存じます。これはスポーツの世界に限りません。ファイナンスの世界でも、社会的インパクトを活用する取組は散見されますが、ロジックモデルを明示的に可視化したり価値算定したものを活用できているものはあまり多くないのが実情です。現行のPFIの仕組みでも、VFM(Value for Money)や経済波及効果といった経済的な指標しかなく、スポーツ施設に限らず、文教施設など公共性のあるもの自体の社会的価値が図られていないという根本的な問題があります。ですので、スタジアム・アリーナ等を通じて、PFI自体の仕組みを見直していく活動ができればと考えております。
社会的価値をどう投融資に生かすかという御質問ですが、正直、社会的価値は金銭的価値ではないため、それ自体に民間が投資するのは難しいです。しかし、先ほど申し上げたとおり、PFIの仕組み自体を変え、公共が社会的価値を根拠に資金を投じる仕組みができれば、民間が取るリスク量が減ることで、そのプロジェクトに民間が更に資金を拠出できる可能性は高まると考えます。また、スポンサーシップにおいても、事前に社会的価値を見込んで資金を出す仕組みができれば、収益の固定化が図られ、民間の投融資を呼び込める可能性はあります。
価値の可視化にあたっては様々なファクターがありますが、我々は昨年8月にレポートを出しており、その中でウェルビーイングやシビックプライドといった指標も加味したモデルを検討しております。来年度以降、これをガイドライン化していく動きもあり、その中で、各施設が目指す姿(子育て、防災など)に応じて、算定する価値を選別できる仕組みができないかと考えております。
これからのスポーツの価値については、社会的価値も重要ですし、AI等の技術が進展する中で、逆にスポーツは人間でしかできない分野として、その価値が更に高まっていくのではないかと考えております。政府の戦略の中でもコンテンツは重要視されておりますが、スポーツについてもその文脈の中で、しっかり稼ぐ仕組みを作り、その上でグラスルーツにも資金を流していく健全なエコシステムができあがっていくのではないかと考えております。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。価値というところで一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構、何かコメントありますか。
【一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構】 うまくお答えできるかわかりませんが、スポーツコミッションが全国で200以上できたこと、これが価値そのものだと考えております。これまでスポーツによる地域活性化は、メガイベントを誘致できる大都市や、Jリーグ・Bリーグのある自治体では比較的容易でしたが、そうしたものがない地方において、どうやってスポーツで活性化し、価値を生むのか。そこに明確な切り口を与えたのがスポーツツーリズムではないかと考えています。
特に小さな自治体で、今ある資源を最大活用してスポーツで地域を活性化するというメッセージが非常にうまく響いた結果、スポーツコミッションがたくさんできたのだと思います。具体的には、従来のスポーツを振興する内向きの政策と、外から人を呼んでくる外向きの政策、この二つを連動させ、人を呼んで経済効果を生み、その利益で内部の社会的価値を充実させるという循環が、皆様に理解され、スポーツコミッションを作ろうという動きに繋がっているのだと考えております。
我々としてはそれをもう一歩進め、これは公益財団法人笹川スポーツ財団もやられていますが、「アクティブシティ」を作っていきたいと考えております。住民のウェルビーイングを高め、経済的に価値ある活動を展開していくという概念にも今取り組んでおりますので、このスポーツによる地域の活性化を具現化できたことが、非常に大きな価値の一つかと考えております。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。時間内に終わりました。初めてです。この後次のグループがありますが、もし皆様よろしければ、一旦ここで閉じたいと存じます。オンラインの皆様よろしいですか。ありがとうございます。それでは、ただいまのグループはこれにて一旦終了ということになります。皆様御協力どうもありがとうございました。
【渡邉部会長】 皆様お待たせいたしました。それではHグループのヒアリングを始めたいと存じます。Hグループにおかれましては、公益財団法人日本スポーツ施設協会、公益財団法人スポーツ安全協会、公益社団法人日本理学療法士協会、一般社団法人SDGs in Sportsの4団体ということになります。時間の関係で6分以内の御説明ということで御協力よろしくお願いいたします。それでは早速ですが、公益財団法人日本スポーツ施設協会の方から御説明をお願いいたします。
【公益財団法人日本スポーツ施設協会】 公益財団法人日本スポーツ施設協会と申します。本日はこのような機会をいただき誠にありがとうございます。御指示いただきました3項目の資料ですが、当協会の事業を、深く御理解いただきたいという思いから、枚数が多くなっております。御了承願いたいと存じます。
1ページを御覧ください。事業の概要ですが、当協会におきましては、我が国における体育・スポーツ施設の充実及びその効果的な運営の促進を図ることを目的としております。併せて第3期スポーツ基本計画に定められた目標の実現に向け、その重要な基盤となる体育・スポーツ施設の環境整備・充実を下支えし、安全・安心で持続可能な施設づくりに寄与するために、六つの事業を展開しております。
2ページを御覧ください。「掘り下げる」「育てる」「称える」「伝える」「備える」「役立てる」の六つでございます。
3ページは、第3期スポーツ基本計画に本協会の役割を明記いただいた事項です。
4ページ、まず「掘り下げる」ということでありますが、全国スポーツ施設研究協議大会の開催であるとか、全国47都道府県を9ブロックに分けましてブロック別の研究協議会あるいは都道府県別の研究協議会の共催をしておりますが、当協会としましては、開催促進のための共催金の交付や、要請に応じて講師派遣をしております。特に第3期におきましては、当協会も携わらせていただきました、スポーツ施設のユニバーサルデザインのガイドブック(スポーツ庁策定)、そして、東京都等により作成されました障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルの活用によりまして、バリアフリーあるいはユニバーサルデザイン化の推進に努めしたところでございます。
5ページ、「育てる」という分野ですが、水泳指導管理士、これはプールの必須の資格と言われておりますが、その他合わせて7種類の公認資格者の養成を行っているところでございます。スポーツの指導者、競技力向上のための指導者というよりも、施設の維持・管理運営に特化した資格が多いということが、御理解いただけるかと存じます。その他に、資格養成講習会ではありませんが、木製床管理者養成講習会の開催やスポーツ施設管理者のための障害者対応講習会も行っております。
6ページですが、今現在、当協会が公認する資格者数は、延べ人数が3万3500名あまりということになっております。
7ページは、「称える」「伝える」という事業でありますが、特に「伝える」では、人工芝グラウンドにおけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドライン等の発行をするとともに、ホームページでの周知を行っているところでございます。
8ページは、「備える」「役立てる」という事業、そして9ページは当協会におきましては、約200社の特別会員とそれらの会員で構成します10の部会を持っております。これが強みになるかと存じます。
10ページ以降は、抱える課題ということでありますが、これは日頃から課題認識し、努力している事項でありますし、次の項目と連動する事項でありますので、ページだけおめくりいただくということで、説明は省略をいたします。気候変動の深刻化、こういったことを踏まえて、スポーツ救急員公認インストラクターの養成もしております。それから学校体育施設の有効活用、そして補償制度の充実というようなことです。
13ページを御覧いただきますと、改正基本法ということで、記載のとおりでありますが、スポーツの価値・機能を拡張し、地域や経済の活性化など様々な社会課題の解決を目指すということでありますので、スポーツの場の環境整備・充実が益々に重要になってくると認識しております。2段目の枠のところは今現在スポーツ庁において先行して作成が行われております安全対策の評価・改善のためのガイドラインの策定ということであります。これも完成後には幅広く周知、活用促進のための普及に努めるつもりでございます。
14ページ、次期基本計画において期待することとありますが、スタジアム・アリーナなど新たな施設と地域の既存の施設というのは、かなり違いがあろうかと認識をしておりますが、「人材」については、いずれの施設の場合であっても重要な位置を占めると考えております。
15ページでありますが、人材の養成と適正な配置ということで、御承知のとおり博物館法では学芸員、図書館法では図書館司書の必置規定があることとは異なり、スポーツ施設に専門資格者の配置の義務化はありませんが、国として推奨度合いを高めていただくことによりまして、専門人材の量的・質的向上に影響をもたらしますので、御配慮をお願いしたいということでございます。
16、17ページ、学校体育施設の有効活用について、部活動の地域展開等を踏まえまして、学校施設の共同利用・利用拡大が一層求められます。そういった中で安全性を確保する仕組や効果的な活用策を企画する管理運営体制の構築が求められるということで、そのためには17ページになりますが、指定管理者制度、あるいは業務委託によって外部の専門人材を活用すべきであろうということです。そのことにより安全の確保と学校の負担を軽減させることにも繋がるということでございます。
18ページでありますが、ユニバーサルデザイン化、安全対策、これはスポーツ権の実質化を掲げております関係上、当然必要な措置ということでございます。
19ページは、補償制度であります。保険制度の普及・充実は第3期基本計画の中にも記載いただいておりますが、安心してスポーツに関与するための施設環境整備の一環として明確に盛り込まれるべき事項かと考えております。
最後になりますが、環境に配慮した持続可能な施設づくりということで、心身の健康の増進や、長寿社会の実現を担うスポーツ施設におきましては、環境に悪影響を及ぼすようなことがあってはならないし、持続可能なスポーツ施設づくりとして、地球環境安全の視点に立った施設づくりが求められるということでございます
最後20ページに記載のとおり、国との連動を更に強くして取組を進めてまいりたいと存じます。御清聴ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて公益財団法人スポーツ安全協会お願いします。
【公益財団法人スポーツ安全協会】 公益財団法人スポーツ安全協会と申します。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の資料の2ページ目を御覧ください。当協会は、楕円で囲っている三つの事業を公益目的事業として実施しております。これからこの3事業について、取組状況、課題、そして基本計画への期待を御説明します。
まず3ページ、一つ目の普及奨励助成事業ですが、直近3年間でその範囲、金額ともに大幅に拡充しております。特に、改正スポーツ基本法にうたわれている部活動の地域展開など、発達段階に応じて継続的に多様なスポーツに親しむ機会を作る取組に対し、重点的に助成を実施したいと考えております。
8ページ、来年度令和8年度の助成メニューですが、特に部活動の地域展開に対する自治体への助成を重点的に行う計画です。この助成事業を行う中での課題として、新しい取組を進めるには地域における関係団体間の連携が重要ですが、この連携が必ずしもうまくいっていないケースが見られます。これを解決するためには、地域におけるコーディネート機能の強化、すなわちコーディネーター人材の育成と育成体制の構築が一層図られるべきだと考えております。
次に9ページ、二つ目の事故防止の推進に関しましては、当協会のスポーツ安全保険では年間約16万件の事故が発生しており、その事故データを統計として提供しております。
事故防止に関する課題は2点あります。一つは熱中症や落雷といった気候変動に由来するリスクへの対応。もう1点は、アーバンスポーツに代表されるような新しいスポーツに関する安全・事故防止体制が総じて脆弱である点です。伝統的な種目では各競技団体にノウハウの蓄積がありますが、新しいスポーツでは競技団体が脆弱であったり、競技者側の怪我防止の意識が低かったりするため、重大な事故に繋がりかねないと懸念しております。
最後に12ページ、三つ目のスポーツ安全保険制度についてです。本保険は、団体活動中のリスクに対し、比較的低廉な掛金で手厚い補償を提供しております。保険制度の課題としては、特に成人の方々の、自分たちのけがに対する保険加入意識の低さが挙げられます。中学生以下の加入率が約33パーセントであるのに対し、高校生以上64歳までのスポーツ活動者では約2.9パーセントに留まっております。保険加入の意義は、万一の際に日々の生活支援やバリアフリー化など、様々なお金がかかることに対する大きな支えとなる点にあると御認識いただきたいです。私どもとしても周知活動は行ってまいりますが、国民の皆様の、本当に必要な保険・補償に対する意識向上が進むことを期待しております。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。続いて、公益社団法人日本理学療法士協会お願いします。
【公益社団法人日本理学療法士協会】 本日はお時間をいただき誠にありがとうございます。公益社団法人日本理学療法士協会でございます。本会は約14万人の理学療法士が所属する医療専門職の団体として、競技スポーツから地域スポーツ、健康づくり、パラスポーツまで、安全・安心と医科学的根拠に基づくスポーツの推進に取り組んでまいりました。スポーツには楽しさや社会活性化といったすばらしい価値があります。しかしその土台には必ず、医学・医科学・理学療法学の視点から見た身体の安全、正しい体の使い方がなければならないと存じます。このことを担保することで、生涯にわたって安心・安全に運動・スポーツに取り組む文化を下支えできると考えております。これまでの成果を踏まえ、第四期計画に向けた現場の課題と具体的な解決策を提言させていただきます。詳細は副会長の佐々木より御説明申し上げます。
副会長の佐々木と申します。よろしくお願いいたします。スライド3ページをお願いいたします。本会はこれまで、国民のスポーツ実施率向上、国際大会でのメディカルサポート、スポーツ・パラスポーツ領域に関わる理学療法士の育成を長年にわたり継続してまいりました。
スライド4、5ページ、近年ではスポーツ庁と連携し、ライフパフォーマンス向上やパラスポーツ推進にも注力しており、障害のある方へのスポーツ指導に関するハンドブックの普及や、学校・地域を対象とした研修事業を通じて、現場を支える人材育成と質の担保に取り組んでおります。
スライド6ページから、第四期スポーツ基本計画に向けた提言を御説明します。
スライド7ページ、本日は特に重要性の高い五つの重点提言を御提案します。上から順に、①(マル1)安全・安心の確保と人材の質の向上、②(マル2)子供たちのスポーツ環境における安全管理体制、③(マル3)女性アスリート支援、④(マル4)パラスポーツの専門的支援体制、⑤国内競技団体の医科学支援です。
スライド8ページ、一つ目は、安全・安心の確保と人材の質の向上です。現在スポーツ現場では「トレーナー」という呼称が広く使われていますが、その定義は曖昧であり、保有資格も様々です。選手の命や健康を守るメディカル領域と、パフォーマンスを高めるアスレチックケアの領域を整理する必要があります。第四期では、医科学的判断を要する安全管理領域において、理学療法士等の国家資格を有するメディカルスタッフの
活用を明記し、誰もが安全にスポーツに取り組める体制の構築をお願いいたします。
スライド9ページ、二つ目は、子供たちのスポーツ環境における安全管理体制です。部活動の地域移行が進む中、指導者の質や安全管理の格差が懸念されています。特に発育発達期におきましては、オーバーユースによる障害予防が不可欠です。そこで、技術指導を行うコーチと、身体の安全を守るメディカルスタッフの分業モデルを提案いたします。地域のスポーツクラブ等において、理学療法士が定期的なフィジカルチェックを行う仕組みを構築し、子供たちが将来にわたって、スポーツを楽しめる環境を整備することを提案いたします。
スライド10ページ、三つ目は、女性アスリート支援です。特に産前産後の身体ケアや競技復帰は医療とスポーツの境界領域であり、医学的サポートが不足しています。この時期の女性アスリートに対し、理学療法士による伴走型支援を提供できるようお願いいたします。
スライド11ページ、四つ目は、パラスポーツの専門的支援体制の確立です。地域におけるパラスポーツの課題は、指導者やクラス分けに対応できる専門人材の不足です。全国47都道府県にある理学療法士会を人材バンク及び拠点として位置付け、タレント発掘やクラス分け支援を強化・促進する仕組みを御提案いたします。
スライド12ページ、最後の五つ目は、競技団体の医科学支援です。東京2020大会では、多職種連携による世界標準のサポートが実現しましたが、各競技団体の平時の体制にはまだ浸透しておりません。大会時だけでなく、日常のガバナンスの中に理学療法士などの有資格者を配置し、傷害予防やデータ管理を行う体制を制度化することにより、世界標準の医科学支援体制の構築を更に推進することを提案いたします。
最後に、国民の誰もが生涯にわたり安全にスポーツを継続できる社会の実現に向けましては、医科学的根拠に基づく人材配置と制度設計を行うなど、スポーツインテグリティの確保が不可欠です。第四期計画では、理学療法士の専門性を御活用いただきたく、御検討のほどよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。最後になりますが、一般社団法人SDGs in Sportsお願いします。
【一般社団法人SDGs in Sports】 ありがとうございます。一般社団法人SDGs in Sportsと申します。本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。当団体は2021年より、スポーツ界のジェンダー平等と環境・気候変動分野において、主に学びの機会を提供したり、講演・メディア活動を通じた啓発や政策提言のためのアドボカシー等を行ったりしてきております。
本日は、第四期スポーツ基本計画を検討する上で重要な視点として挙げられている五つの分野の中で、ジェンダー平等と気候変動の二つのテーマにおいて取り上げていただきたい課題を提案させていただきます。
まず、提言1「ジェンダー平等なスポーツ実施環境の促進」です。20代以上の女性のスポーツ普及・継続に関しましては、これまでの基本計画の中でも重要な課題として掲げられていると存じますが、私たちは今、少子化でスポーツ人口が激減している現在、10代の女の子のスポーツ参加や離脱の背景にある構造的な課題に目を向ける必要があると考えております。特に、女の子がスポーツをやめてしまう理由は多岐にわたると考えられ、女の子たちがスポーツをしたくなる、継続したいと思える文化を多方面で地道に作り上げなければならないと考えております。
そういった中で、一つ目の「多様な主体の参画、共生社会の実現」という課題においては、部活動の地域移行等でも特に女の子がスポーツを継続する機会を阻まれないように十分に配慮したり、女性の体育教員や指導者を増やしたりする必要があります。また、月経等女性特有の健康課題や、ユニフォーム、更衣室等の問題への取組もまだ不十分であります。
そして三つ目の「スポーツを通じた地方創生・経済の活性化」というところにおきましては、男性のスポーツのみならず、特に立ち遅れている女性のプロスポーツにも官民連携の投資を行い、露出の機会を増やし、多様なロールモデルを増やすことによって新しいマーケットが開拓され、そしてそれが女の子のスポーツ継続にも結びつくことが期待されると考えております。
そして五つ目の「スポーツインテグリティの確保」、特にガバナンスの分野の関わりでは、近年、スポーツ団体の女性リーダーの課題はやや解消されておりまして、スポーツ団体の役員の男女比は近年32パーセント以上に増えております。しかし、コアの意思決定層はまだ男性に偏っており、ガバナンスにおいて多様性が真に効果を発揮するには、女性リーダー人材の育成が不可欠だと考えております。
これらのジェンダー課題は相互に深く結びついておりますので、スポーツ界全体として包括的なジェンダー平等戦略の策定を切望しております。
次に、環境・気候変動分野について提案させていただきます。提言2「環境・気候変動対策の促進」のページになります。現在、私たち人類の存続を脅かすほどの危機となっている環境・気候変動問題は、熱中症の問題や雪の減少など、特に夏や冬のスポーツに大きな影響を及ぼしておりますが、適応策に関しては、今までの団体からもたくさん声が上がっておりますように、熱中症、特にアスリートや子供たちを守るための対策を徹底的に行わなければなりません。また、文部科学省の交付金を利用した体育館の空調・断熱整備も喫緊の課題であると考えておりまして、こちらもスポーツ基本計画でも挙げていただきたい重要な視点があると存じます。
しかしこれらの適応策、つまり、スポーツが被害者となっている側面だけに、対応していては、スポーツはますますその影響を受け、そして、さらに無責任だと考えられてしまうような状況でもあるかと存じます。特に大規模スポーツ大会などでは、エネルギーや水、観客の移動、そして飲食物品販売、廃棄など、たくさんの二酸化炭素が排出され、スポーツも、いわば加害者の一因にもなり得ます。
そして何よりも、この人類が気候変動課題に立ち向かう今、他に類を見ないスポーツの求心力がこの問題の解決策として寄与し、人々の意識を変容させることが社会から求められています。そういった中で、スポーツの施設や産業、そして国際大会の産業の脱炭素化、環境負荷軽減というものが、既にオリンピック・パラリンピックやワールドカップ、それから世界選手権などの招致の条件にもなりつつあります。ということで、この第四の「すべてのアスリートが可能性を発揮できる環境」のところにおきましても、国際競争力の部分において不可欠になっていると存じます。また、三の「スポーツを通じた地方創生・経済の活性化」というところでも、スポーツの産業が脱炭素化社会に資する取組を行うことで新たなパートナーシップの構築が行われていることは、Jリーグの事例からも明らかだと存じます。
このように、スポーツの価値を守り、そして子供たちを守るだけでなく、社会そのものの持続可能性に寄与することが今のスポーツ界に求められていることだと存じますので、スポーツ基本計画にこの点をぜひ御考慮いただきたいと存じます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。なお日本医師会につきましては、書面で資料を提出いただいております。それではここからは、質疑応答ということで、先ほど同様、質問のある方は名札を立ててください。オンラインの方は挙手ボタンを押してください。それでは鈴木委員からお願いします。
【鈴木委員】 皆様どうもありがとうございました。公益財団法人日本スポーツ施設協会に御質問ですが、12ページで施設賠償責任保険に熱中症対策などを入れていただいているのは大変すばらしいことだと存じますが、これにどれぐらい反応があるか、理解が進んでいるか、また、これを進めていく上で、何かこういう後ろ盾があると良いという御提案があれば教えていただきたいです。
それから15ページのところで、スポーツ施設管理運営に携わる人材の養成は非常に重要だと存じますが、これはとても専門分野が多岐にわたっており、ハードのことも建築のこともスポーツ生理のことも、競技やコーチングのことも分からなければいけないスーパーマンだと存じますが、これをどうやって育てたら良いのか、また、これにアカデミアが何か貢献している例や、今後貢献し得る可能性についてお聞かせください。
それが公益社団法人日本理学療法士協会の方にお伺いしたいのですが、私も本当に理学療法士が重要だと考えており、この五つの御提言は全くそのとおりだと存じます。それで子供も重要ですが、むしろ中高年以降が安心してやっていく上でより、まさに、この理学療法士の役割というのは、より重要になってくると考えております。これをうまく広げるには、意識啓発もさることながら、費用の問題であるとか、病院だとある程度診療報酬などが確立しておりますが、この分野はおそらくほとんどまだ何もそういった基準も標準もないので、資格としてはもう社会的に認知された非常にクオリティの高い資格だと存じますが、それを活かすためにどういう制度、支援があれば良いか教えてください。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。オンラインの久木留委員お願いします。
【久木留委員】 ありがとうございます。私は二つの組織に御質問です。まず一つは公益社団法人日本理学療法士協会ですが、御主張はよく分かりましたし、大変すばらしい取組をされていると存じます。一方で、7ページの1から5の活用推進というところがあったのですが、これについて、例えばJSPOのATとの連携であるとか、柔道整復師、もしくは鍼灸師との連携、JOCやJPC、NFとの連携についてはどう考えているのか。おそらくどの団体も、主張はされていますが一番の問題は、重なるところがたくさんあるということです。そのところで連携をどうやって行えば自分たちの得意分野を活かせるのかというところは、どちらもあまり書かれていないので、その点をお聞きしたいです。
次に一般社団法人SDGs in Sportsですが、御説明の内容はそのとおりだと考えます。例えば今回の世界陸上は成功だったと存じます。私も何回か参加させていただきました。ペットボトルの分別はよく書かれておりますが、マイボトルを持っていこうというような呼び掛けはあまりなかったように思います。この点については、今後、国際競技大会を招致していく上でとても重要な点だと存じます。他の大会でも、この点はあまり取り組まれていないのではないかと思いますが、もちろんそれだけではないのですが一例として挙げました。そのような取組に関して調査をされているのかどうかというのをお伺いしたいと存じます。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。境田委員お願いします。
【境田委員】 聞こえておりますでしょうか。ありがとうございます。公益財団法人スポーツ安全協会にお聞きしたいのですが、今、事故補償の制度を設けられていて、800円で4500万円の補償が受けられるということで、これが多くの運動する方々にとっての非常に大きな支えになっていると存じます。他方、例えば頚椎を損傷してしまったとか、ずっと車椅子になったとなると、億以上の今後の補償が必要になるようなケースもあるかと存じます。そういう中で今後、貴協会というのではなく、そういった非常に重篤な障害を負ってしまった人に対して、何らか手当をするにはどうしたら良いかという問題意識をお持ちですかということと、例えばJSCにも事故補償制度というものがあります。何かうまくそういうところと連携して、そういう重篤な障害を負った人にも何らか補償できるような制度は考えられるのか、といったところも御意見いただければ幸いです。ありがとうございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 御説明ありがとうございます。4団体に御質問申し上げます。
まず公益財団法人日本スポーツ施設協会の御説明に関しまして、このスポーツ施設という概念が今アリーナ、スタジアム等々、箱物に体育館と限られておりますが、そろそろこの公益事業としてスポーツ施設全体、すなわち公道を利用したスポーツ、これも施設です。仮設関係のものを、非常に多岐にわたって日本のスポーツが発展するにあたっては、貴法人の役割は大きいと存じますので、施設という範囲、この概念を更に仮設物、公道を使ったもの、そういったところまで広げるような将来計画はおありでしょうか。これはスポーツ政策と非常に重要な密接感があるのではないかと存じます。
公益財団法人スポーツ安全協会においては、16万件のこのデータ関係、こちらをぜひ事故防止に結び付けるような活動をしていただくことができないか、ということを改めてお願いいたします。非常に貴重なデータだと存じますし、現場から上がってきているデータと保険がかかったデータが合致したことによって、すばらしい安全スポーツの国をつくれるのではないかと存じます。
公益社団法人日本理学療法士協会に関しましては、今、久木留委員と同じ質問になりますので省略させていただきますが、競技団体側からすると本当に資格がたくさんありますので、そこのところの精査・整理が必要ではないかと考えております。
一般社団法人SDGs in Sportsにおきましては、一言、スポーツ界全体のジェンダー戦略への提言というお言葉がありましたが、そこをもう一歩踏み込んで具体的にいただけると分かりやすいと思いました。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。延與委員お願いします。
【延與委員】 二つの団体にお尋ねいたします。まず公益財団法人日本スポーツ施設協会に、18ページのところでユニバーサルデザインの件を進めていただいて大変ありがたいと存じます。一方で国においては全国に障害者スポーツの拠点を作っていこうという方針がある中で、新たな施設をどこが作るというよりも既存のスポーツ施設を活用していくことが現実的にとても求められると存じますが、その際にハードのバリアフリーを超えた、例えば人材の配置であるとか障害者に対するスポーツプログラムの提供であるといった、中身が非常に求められてくると存じますが、そのあたりに対応するためにどういうことが必要なのかお考えを教えていただければと存じます。
二つ目の団体として、公益社団法人日本理学療法士協会、東京都障害者スポーツ協会も大変お世話になっております。この11ページ以下に書いていただいているとおりでございまして、今、国の言っているその全国の拠点を作るのは、これだったら良いのではないかと私これを見て考えていたぐらいでございまして、ぜひこれが広がることを望んでおりますが、東京都は様々な形で御協力いただいておりますが、何か東京都以外でこういう取組があるというのを教えていただければありがたいということと、これを実際進めるためには、例えば公的な制度とか、どういうものが一番必要とされているのかについてお考えを伺えればと存じます。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。結城委員お願いします。
【結城委員】 ありがとうございます。一般社団法人SDGs in Sportsに二つ伺います。まずジェンダーに関して、女の子のスポーツ参加・継続の方、いわゆる参加率が低くなりやすいという点は非常に面白い分析だと存じますし、こういった問題というものを我々の基本計画では、これまでもそれが課題であるという認識は深くしておりますが、どのように改善をしていくのかという方策がなかなか見えてこなかったように感じております。このジェンダーの問題というのが先ほど相互に深く結びついている、そして総合的な施策を、とおっしゃられました。大塚委員の御質問とも重なりますが、確かにメディア、私メディアでございますのでメディアの報道などを拝見しておりましても、様々な社会の価値観であるとか、それからジェンダーバイアスに至るまで、それがある意味ではにじんでいる部分があるなというふうに自覚もしております。ただこれを、どこから、しかも施策の部分としてどのようにというところで、女の子の参加も含めてですが、見えにくい。これ、総合的な施策をとおっしゃいますが、海外での例えば成功事例でも結構でございます、どういう切り口があり得るのかを具体的にお示しいただければ、とても助かります。
それから、その持続可能性に関して、これがもうある意味で大会等々の開催の基本になっているというのは全くそのとおりでございますし、社会課題貢献というのは非常に重要なスポーツの今後の役割になっていくと存じますが、例えば、パリオリンピック・パラリンピックのときに持続可能性を強く打ち出して、選手たちにマイボトル持参でということを進めました。ただその時に感じましたのが、そのパラリンピアンたちが非常にそれをやりにくかった。選手村で、お皿が割れて車椅子が困る、マイボトルに自分でリフィル、視覚障害の方はできない、何か洗えない、場所が分からない等々、ある意味で今具体例だけ申し上げましたが、障害等々のほかの要素を持っていらっしゃるような方々が、同じくくりでの持続可能性というものに参画できにくいという現実があったと存じます。その辺りは例えば何か調査をしていらっしゃるのか、提言なさっていらっしゃるのかを伺わせてください。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。桑井委員お願いします。
【桑井委員】 貴重なお話ありがとうございます。一般社団法人SDGs in Sportsにお伺いしたいのですが、私自身現場で今ラグビーのレフリーをしておりますが、女子更衣室がないであるとか、男性の試合は男性が吹くべきであるとか、様々なことを耳にするにあたって、これだと女性がやりたいと思える環境はなかなかついてこないのではないかというのがあるので、私自身としてはそこをどんどん変えていきたいというのが、私自身の現場の意見です。また、もともと男性のスポーツというかコンタクトスポーツで基本男性から始まっておりますが、どんどん日本代表としても、女子、女性が強くなっていく段階で、男性から女性に対して上から物を言われてしまうというのはなかなか改善されていないのかなと考えております。女性がよりスポーツを維持というか、小さいときからどんどん重ねて大人になっていくにあたって、様々な方々の講演とか講習とかが身近なものに感じられたら良いのではないかと感じました。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。境田委員。
【境田委員】 聞こえておりますでしょうか。ありがとうございます。公益財団法人スポーツ安全協会にお聞きしたいのですが、今、事故補償の制度を設けられていて、800円で4500万円の補償が受けられるということで、これが多くの運動する方々にとっての非常に大きな支えになっていると存じます。他方、例えば頚椎を損傷してしまったとか、ずっと車椅子になったとなると、億以上の今後の補償が必要になるようなケースもあるかと存じます。そういう中で今後、貴協会というのではなく、そういった非常に重篤な障害を負ってしまった人に対して、何らか手当をするにはどうしたら良いかという問題意識をお持ちですかということと、例えばJSCにも事故補償制度というものがあります。何かうまくそういうところと連携して、そういう重篤な障害を負った人にも何らか補償できるような制度は考えられるのか、といったところも御意見いただければ幸いです。ありがとうございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。それでは、回答お願いしたいと思いますが、公益財団法人日本スポーツ施設協会の方からお願いします。
【公益財団法人日本スポーツ施設協会】 鈴木委員から御質問いただきました12ページ関連ですが、当協会が関係しておりますのは施設賠償責任保険とスポーツ災害補償保険でありまして、従来のスポーツ災害補償保険は「急激かつ偶然な外来の事故」によるけがを対象としており、徐々に症状が進行する熱中症は原則として対象外でしたが、近年の気候変動もあり、当協会の扱う保険の中で給付対象とする検討をし2026年度より実施するところでございます。
同じく鈴木委員から御指摘の15ページ関連ですが、当協会が養成しておりますのは、スポーツ施設の管理運営に携わる人材です。オールマイティーではございませんが、例えば「公認スポーツ施設管理士」では、マーケティング、法的責任、経営論、施設の劣化と保全、用器具や芝生の維持管理、音響・照明、プール、フロアの維持管理等など12科目を体系的に学びます。当協会は、施設の維持管理運営にあたっては、まず基本的事項を体系的に学ぶことが必要だと考えております。この資格はゴールではなく、スタートに値するものであり、実務経験を積んだ方には上級資格も用意しております。
大塚委員からの御質問ですが、スポーツ施設の概念を広げるという御指摘は、まさしくそのとおりだと考えております。当協会の名称は「スポーツ施設協会」ではあるが、13ページの資料にも記載のとおり、必ずしも体育・スポーツ施設といった建物に限定せず、広く「スポーツの場」の環境整備・充実という考えを持っております。
延與委員からのユニバーサルデザインに関する御質問ですが、第3期計画にも明記され、我々も携わった中でいくつかのマニュアルも完成しております。これを全国の様々な研究大会等でお配りし、説明する機会を設けております。バリアフリー化には費用がかかりますが、予算は有限です。しかし、人間の知恵は無限とも言えます。よく言われることですが、心のバリアフリー、心のユニバーサル化がまず一番重要であり、その上で様々な施設設備ということになるのではないかと考えております。当協会は予算を配分できる法人ではありませんので、まずは人による創意工夫によってできることからやっていきましょうということをお願いしているところでございます。
【渡邉部会長】 それでは公益社団法人日本理学療法士協会の方お願いします。
【公益社団法人日本理学療法士協会】 ありがとうございます。鈴木委員御指摘の中高年に対する取組、おっしゃるとおりだと存じます。ただ具体的にイメージしますと、例えば健康増進施設とかフィットネスジムのような場を仮にイメージしたときに、なかなかその場に理学療法士が活躍、要するに働けるような法制度になっていないのが現状です。例えば具体的に健康増進施設に対しては健康運動指導士というのは規定がありますが、医学領域と位置付けられていないため雇用が生まれず、活動が属人的・個人的になってしまっています。費用面や法制度面での後ろ盾があれば、医療が縮小していく中で、その前後の段階で身体機能を維持するために我々を活用いただけると、社会保障費の抑制にも繋がるかと存じます。理学療法士が誕生して60年、ようやく病院の中から外に出て活躍できる段階に来ましたので、制度的な御支援をいただけると、活躍できる人材はたくさん出てくるのではないかと存じます。
久木留委員と大塚委員の件ですが、様々な競技団体や職能団体との連携、おっしゃるとおりでございまして、決して我々だけで言っているつもりはないのですが、連携がないのであれば、連携する場をぜひ作っていただきたいと思います。アスリートや国民のためにより良い、それぞれの専門性をどのように活用すれば良いかという議論の場が、当事者同士だとなかなか、正直まとめるのも難しい面もありますし、私たちが動いていても僭越ですが、競技団体ごとによっても特性があるようにも存じますし、都道府県や階層別によってもあるような気がします。なので、これ競技団体とも一緒に何か議論する場を作って、そろそろこの国がスポーツを産業化しようとするのであれば、一度そういう場に私たちも入れていただいて議論させていただけると良いのではないかと。品質管理、サービス提供の質の管理というのは、どうしても我々提供側が属人的、偶発的になりやすいというのは、様々な団体からも聞くので、組織としてきちんと動ける形を構築していくというのは、これから日本は大事だと存じますし、この質は世界にも勝てると存じますし、グローバル視点では、わが国の理学療法士は
世界標準レベルと聞いておりますので、私たちも努力が足りなければ努力はしますが、ぜひそういう場をこういう基本計画等、あるいは先生方のお力でセットしていただければ良いのではないかと存じました。東京オリパラのときにそういう話合いがあって、取組のところで医師を中心に、理学療法士とATの方々でポリクリを運営ができたという実績がありますので、何かそういう形が広まれば良いと存じますし、国体、スポーツ大会ごとに都道府県では様々な活動をしておりますが、それが繋がらないという現状も聞いておりまして、先ほど延與委員のどこの都道府県が、という点ですが、ほぼ全国スポーツ大会をやっているところはみんな動きます。
愛知県は今度アジア大会があるので、愛知県とか静岡とか大分とか、そういうパラスポーツの盛んなところは、ほぼほぼこういう活動はできておりますが、なかなか表に出てこないところが多くて、そういうところにフォーカスさせていただけると良いと存じますし、都道府県ごとに動いたりとか、スポーツ協会、都道府県のそこのまたレギュレーションが様々な難しい問題があると聞いたりも私はしますので、そういう横串を刺すようなことを、団体と当事者同士でやるというのがちょっと限界に来ているような気がしているので、まさしく基本計画の中で、指針をお示しいただけると、整理できるのではないでしょうか?すいません、質問に対して御願いを返してしまい大変申し訳ありませんが、目詰まり感がたくさんあるということが事実でございまして、ぜひそこを、足元を、今一度みんなでオールジャパンで考える場をリードしていただけるとありがたいと存じます。以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。副会長何かありますか。よろしいですか。
【公益社団法人日本理学療法士協会】 鈴木委員からの御質問についてのみ、1点補足です。中高年以降の安心のためにどう取り組むのが良いかという点ですが、この点、特に働く世代、40代から60代でもフレイルが2割だというのは大阪の調査もございますし、スポーツ庁の調査でも特に女性の、働く女性のスポーツ実施率が低いという課題があると承知しております。これ鈴木大地長官のときに、厚労省と連携して取り組むということで、厚労省の労働基準局の中で、第14次の労働災害防止計画の改正がありました。この中で、理学療法士等を活用してという文言を入れていただいて、特に働く高年齢の女性について、労働災害を防止するために、特に転倒、腰痛が増えており、小売業で女性が働き出したら転倒して骨折、骨粗鬆症もあり骨折になりやすいので、その重要事項の中に記載いただいたのが、スポーツ庁と連携し、ライフパフォーマンス向上の取組を行うことなどです。これを通じて、女性がスポーツをすることで、そういった労働災害を防ぐということが計画に書かれました。それによって理学療法士が企業に行って、そこで実際に従業員の皆様、中高年の皆様に身体チェックを行って企業で指導するということがやっと実現するようになりました。産業保健の14次防で記載されたのと同じように、ぜひスポーツ基本計画の中にも、厚労省と連携をしてということで御記載いただくと、我々も更にこのライフパフォーマンスの目的を持ったスポーツ、これを企業で広めていくというのが、一緒に噛み合わせて実施できるなと考えているところでございますので、ぜひその点、また御配慮いただければと存じます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。流れで一般社団法人SDGs in Sports、お願いします。
【一般社団法人SDGs in Sports】 ありがとうございます。まず久木留委員からのマイボトルに関する御質問ですが、調査というものはさほど行われてはおりませんが、当団体は今、日本財団とスポーツ界横断の使い捨てプラスチックの削減のプロジェクトをやっておりまして、プロスポーツチームを中心に30団体、トップアスリート40名以上と一緒に連携して行っております。実はパリの大会ではとても大々的なペットボトル削減の施策がなされておりまして、日本の事例では、例えば鈴鹿8時間耐久ロードレースや湘南国際マラソンで使い捨てプラスチックの禁止がうたわれてはおりますが、他の興行では、そこまで大きなルールとはなっておりません。背景には、おそらくですが、飲料メーカーとの密接なスポーツ団体、スポーツの興行とのスポンサーシップの関係などもありまして、飲料メーカーは水平リサイクル推進にかなり舵を切っておりますので、なかなかペットボトルをやめてマイボトルにという施策について踏み出せないところはあるのかなと思いつつも、先の万博でも、かなり大々的にウォーターステーションが置かれておりまして、それが非常に長蛇の列となり、人々の熱中症の危機も救ったのではないかと存じますので、今このような御時世にぜひスポーツ界ではそれが当たり前となるように、今日施設の方もいらっしゃいますし、ウォーターサーバーの設置というものも義務付けるような、そういったルール化がなされていけば良いと考えておりました。
二つ目の大塚委員のジェンダー戦略について、特にスポーツ界横断のジェンダー平等戦略についての我々の考えですが、これは第二期のスポーツ基本計画ではかなりたくさんの施策がまとめられた表があったりもしましたが、第三期ではそれが抜け落ちてしまったのかなという印象がありました。たくさんの諸課題がある中で、ジェンダーレンズでその問題を一つ一つ見ていくことによって、たくさんの課題の中にジェンダーによる障壁がたくさんあるのではないかと考えておりますので、それぞれが密接に関わるということを考えると、ジェンダー平等戦略を基本計画の中というわけではありませんが、そばに置く感じで必要だと考えておりますし、また私の前職は国連組織ですが、この主流化という観点では、前文などにそこがしっかり置かれていることが非常に重要だと考えております。前文に置かれることによって、そのすべての課題、すべての項目にその視点を持ってやっていかなければいけないということをしっかり位置付けることになるかと存じますので、本当にその主流化、すべてに様々なレンズで課題解決を行っていくことを、一つの文章にまとめるようなこともあってしかるべきかと考えております。
これと関連しますが、結城委員からの質問に関して、確かにこの鶏が先か卵が先かの議論になりますが、総合的にと申しましたのも、アンサーとして包括的にということが考えられると存じます。というのも、海外のジェンダー戦略、そしてプロスポーツ化が、例えばスペインやオーストラリア、アメリカでかなり女子のプロスポーツが台頭していて、史上最高の収益を上げているような事例を見ても、包括的にやっている、それが官民連携で長期的な視点で投資が行われており、それがプロスポーツ、そしてアマチュアスポーツ、アマチュアスポーツも女の子の課題、指導者の課題、レフェリーの課題、ガバナンスの課題と、密接にすべてが組み合って、ようやく結果が5年、10年単位で出てきているのかなと考えておりまして、今までの日本の現状ではアクターがそれぞれその場所で頑張っているけれども繋がっていないばかりに、点的な活動になってしまっているととても思いますので、包括的に女の子の課題、そしてこの根底にあるメディア、そしてルックスの問題というものはとても密接に関わり合っていると存じますので、そういった施策をしっかりまとめて、全面的に推し進めて根気よく行っていくことが必要だと考えております。
パラアスリートなどのオリパラの施策に関する弊害などによる調査はというところですが、実はこれ、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会のアスリート委員会と連携しまして、パリ2024の環境施策を選手がどう感じていたかというアンケートを内々で行いました。それに関して結果を見ると、アスリートたちは、快適だったということが多かったです。選手村のバスにエアコンがなかったとか、ベッドの問題だったりシャワーの問題だったりというのは出てきてはおりましたが、オリンピック選手とパラリンピアンのその差は何かというのは、さほど見られませんでした。ただもちろん配慮は必要だなというところはありましたが、オリンピアン、パラリンピアンたちはとても好意的に利用していたという調査がありましたので、また組織委員会と連携して内々に調査を見せることは可能かと存じます。
最後の桑井委員からの提言ですが、確かに本当に女性スポーツは特に様々な問題を抱えたまま、みんな悶々として、もっともっとこのすばらしさを見せていきたいのに、なかなかファンの方や女の子たちに響いていかないというような、そういった事例も抱えながら、素晴らしいロールモデルがいると存じますので、先ほどの結城委員への答えとも連携しますが、包括的に、様々なところで女性が多様なロールモデルとして存在していくということを、スポーツ界横断で見せていければなと考えております。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。公益財団法人スポーツ安全協会、お願いします。
【公益財団法人スポーツ安全協会】 大塚委員御指摘いただきました16万件のデータベースの活用につきましては、まさしくおっしゃるとおりでございまして、私どもとしても、まだデータ精度が粗いところもございますので、精度の向上と分析力の向上、それから何よりも実際の実施主体である、例えば競技団体など、そういったところと二人三脚でこのデータをどのように活用していくかといったところが重要かと存じますので、そういった関係機関の皆様との協働というのも進めてまいりたいと存じます。
それから二つ目、境田委員から御指摘がいただきました、スポーツ安全保険の特に後遺障害の水準ですが、こちら令和5年度に現在の最高4500万円に引き上げはさせていただきましたが、現状、傷害保険ですとこのあたりが現在での最高値というようなことでございまして、一方で御自身のけが、自分のリスクでけがをした場合はこの傷害保険ですが、例えば指導者の指導が悪く、その結果指導者がその行為に関して法律上の賠償責任を負うといった場合の賠償責任保険につきましては、私どもスポーツ安全保険は令和8年度から、一人当たりの限度額を1億円から2億円に引き上げをさせていただきました。従いまして、そういう指導上のミスで重度の後遺障害を負ったといった場合には、傷害保険とは別に、4500万円を超えるような水準になるかと存じますが、支払いをすることが可能というような形になります。
なお、JSCの災害共済給付制度との関係で申しますと、あちらは学校の管理下の事故で、私どもは学校管理下外の事故ということで、すみ分けはされておりますが、部活動の地域展開が進む中で、ユーザー側に混乱というか誤解がないような形で、JSCと共同して正確な情報提供に努めてまいりたいと存じます。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。無理なお願いをして、6分間で本当に発表いただきありがとうございます。また、委員の皆様もいつも以上に端的な御質問いただきありがとうございます。
これまで4回、ヒアリングを進めてまいりましたが、このヒアリングのそれぞれの発表、質疑応答も踏まえて、年が明けましたら、具体的な議論に移っていきたいと存じます。それでは以上をもちまして、Hグループのヒアリングを終了とさせていただきます。どうもありがとうございます。なお事務局より御連絡があればお願いしたいと思います。
【事務局】 ありがとうございます。次回は1月23日14時からを予定しておりますが、詳細については事務局より改めて御連絡をいたします。質疑応答に関して追加の質問等あればまた事務局にお繋ぎいただければ適宜繋がせていただきます。以上でございます。
【渡邉部会長】 それでは、第8回目の基本計画部会、これにて閉会といたします。ありがとうございました。
── 了 ──
会議後に委員の先生方から頂戴しました質問等及び質問等に対する各団体の回答につきまして、以下のとおり掲載いたします
【平野委員】
1. スポーツ安全協会
スポーツ安全保険等補償制度について、またスポあんネットについては、一般的にどの世代のどういった方達が利用し、認知されているのでしょうか。トップ選手ではなく一般のスポーツ愛好家向けなのか、部活動向けなのか、競技によって認知のされ方も違うのか等が気になりました。
(回答)
スポーツ安全保険はアマチュアの団体が対象で、また現在の部活動のような学校管理下の活動は補償の対象外(日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度にて補償)となっており、全体として一般のスポーツ愛好者の団体の加入が太宗を占めております。
加入団体の種類別加入者数は、スポーツ少年団(全体の17パーセント)、地域の同好者団体(15パーセント)、各種スポーツ教室等(12パーセント)、競技団体・スポーツ協会(9パーセント)、少年・少女団体(8パーセント)、総合型地域スポーツクラブ(6パーセント)の順となっております。また加入団体の種目別加入者数は、サッカー・フットサル(14パーセント)、野球(11パーセント)、バスケットボール(6パーセント)、バレーボール(6パーセント)、空手道(3パーセント)、ソフトボール(3パーセント)、テニス(2パーセント)、剣道(2パーセント)、陸上競技(2パーセント)、バドミントン、卓球、ラグビー、柔道の順となっております。種目別加入者数は競技人口と比例的な傾向があり、全体として競技による認知度に大きなバラツキはないと考えております。
【星委員】
1. 日本スポーツ施設協会
地方の施設は老朽化も進んでいますが、資料2-6の14ページ記載の「自主財源の確保」とはどのような手段を想定しているのでしょうか。
また、最近のスタジアムやアリーナはスポーツ以外のコンテンツも活用し、お金を生む施設となっているところもありますが、そのような民間の取組を参照して自主財源を増やし、施設の改善に回して持続可能な運営をしていくような方向性、あるいは貴会がそれをサポートするような計画は今後の取組の中にあるのでしょうか?
(回答)
一般的に、スポーツ施設の「自主財源の確保」の手段としては、ネーミングライツ(命名権)の導入、施設内壁面、デジタルサイネージ(電光掲示板)やホームページ等への広告掲載による掲出料や、施設の空きスペースや休眠施設を有効活用した「スポーツ教室」の開催、飲食販売、物販、自動販売機等の設置などが想定されます。
近年、国により、まちづくりや地域活性化の核となる「スタジアム・アリーナ改革」が推進されており、ご指摘の通り、改革のモデルとなる新たなスタジアム・アリーナの設置により、民間ノウハウの活用や複合化によるまちづくり、地域活性化、収益性向上を目指したスポーツ施設が誕生してきております。
一方、わが国の体育・スポーツ施設の大多数を占める地域の既存の施設には、収益性という課題を抱えつつも、必ずしも設置当初から収益性を高めるための設定はありませんが、新たな民間の取組を参照して自主財源を増やし、スポーツ施設の改善に回して持続可能な運営をしていくような方向性が望まれます。
日本スポーツ施設協会においては、国が行っている「スポーツコンプレックスの推進に関する相談窓口」のような、地方公共団体からの相談に対して専門家等の派遣を行うといった個別の対応システムはありませんが、毎年全国9ブロック別に開催するスポーツ施設研究協議会や都道府県別スポーツ施設研究協議会からの要請に基づき、施設の収益確保に向けた取組を含め、スポーツ施設の在り方に関する様々な研究テーマに沿った講師の派遣、機関誌「SF 月刊体育施設」やその他情報提供を通じて、安全・安心で持続可能なスポーツ施設づくりに向けた取組を継続的に行っております。
2. SDGs in Sports様
資料p7の「5.スポーツ・インテグリティの確保」に関し、気候アクション枠組み導入・ルール化とありますが、具体的にどういう取組をイメージされているのでしょうか?
(回答)
様々な形が考えられると思いますが、例えば「スポーツ気候アクション基本指針(仮)」のようなガイドラインを策定し、スポーツ団体に準拠を促すものを提案いたします。「適応」としてはすでに暑熱対策のガイドラインはありますが、これから増えることが予想される災害時の対応等についても加えることが考えられます。これに、脱炭素(緩和)の取組を加えることが基本の柱になると考えます。その中で「最低基準」として、
- 年 1 回の簡易 GHG 算定(施設・移動)
- 暑熱・災害対応計画の提出
- 使い捨てプラスチック削減の基本方針
さらに「推奨基準」として
- 再エネ導入
- 体育館やスタジアムの断熱改修
- 環境配慮型大会運営
- 環境配慮型のスタジアム・体育館設計
などが考えられるかと思います。
また、これらを推奨するために、全国共通のツール(例えば簡易排出量算定 Excel、暑熱リスク評価チェックリスト、環境配慮型の大会運営チェックリスト、自治体や加盟団体向け制度導入マニュアル等)が整備されることが望ましいと思います。最終的にはガバナンスコードに含むことも御検討いただきたいです。
【諸橋委員】
1. 日本政策投資銀行
課題の「官側の制度設計」について、具体的にどういったことを求めるのでしょうか。
金融機関が資金をつけているスポーツ産業の事業分野の事例はありますでしょうか。
(回答)
1点目については、説明資料にて記載の通り、「人材面整備への支援」、「施設(スタジアム・アリーナ)整備への支援」を期待しております。
人材面整備について、スポーツ業界には経営・マーケティング・デジタル等のビジネス人材が不足しております。投入された資金を適切に活用し、リーグ・クラブの成⾧や成功につなげるためには、専門的なビジネス人材の確保が必要であり、人材の育成・確保には、教育環境の整備や人材育成プログラムの充実が必要だと考えております。そのため、省庁による支援パッケージの一環として、専門人材の派遣・教育など側面的な支援に向けた制度設計を期待しております。
施設整備面では、全国でスタジアム・アリーナの新設や建替構想が多数進行している一方で、昨今の人材不足、建築費高騰などが影響しプロジェクトの見直しや中断を余儀なくされる事例が多く見られます。依然として施設への助成金等の支援が限定的であるため、法整備を含め、機能的な投資や支援が可能となる仕組みの構築が必要だと考えており、投資機会拡大のために社会的価値の活用も模索していくべきだと存じます。
2点目について、スタジアム・アリーナに関しては、スポンサー企業が社債等で調達する事例はあるものの、過去約5年の間に完成した施設のうち、事業主体(SPC)が金融機関から資金調達したと公表情報で確認できる事例はIGアリーナ・フラット八戸・アシックス里山スタジアムの3件のみで、まだ日本での事例は限定的であるのが実情です。その他スポーツメーカーやスポーツテック等の企業に対するコーポレートファイナンス、投資等の実例は多数存在するかと存じます。
2. 日本スポーツツーリズム推進機構様
官民連携について、経産省との連携を検討していたり、過去に繋がりはありますでしょうか。
要望における、地域スポーツコミッションへの支援について「認証制度」とは具体的にどういった内容を考えているのでしょうか。
(回答)
特に経産省との連携は検討しておりません。過去のつながりについては、会長の原田が「経済産業省スポーツ産業活性化研究会」(2013-2014)の委員長を務めたことがあります。この委員会はその後、スポーツ未来開拓会議に移行し、経産省とスポーツ産業の関係を深めました。
認証制度の具体的な制度設計については現在構想中で、具体的な内容をお知らせする段階には至っておりませんが、地域SCの質的な充実を図ることが最大の目的となっています。支援政策の成果により、地域SCの数は順調に増えておりますが、次のステップとして、地域SCの体制・活動の質の底上げや意欲の可視化等が重要になってくると感じています。政策の効果を図るためにも、評価軸の導入は、今後の検討課題の一つとして有意義ではないかと考えております。
3. 日本eスポーツ協会
学校にもeスポーツのインフラ整備を要望する中で、現状学校と直接的に関わって定期的に実施している取組などがありましたらご教示ください。
(回答)
全国38の地方支部が、以下のような部活動の支援をはじめとする学校関連施策を推進しています。
・eスポーツ部の設立を支援
・ 部活動に係るインフラ(活動拠点、ゲーミングPC他)を提供、支援
・ eスポーツの練習に併せてプログラミング、ITスキル教育を推進
・ 高校生eスポーツリーグを主催 等
4. 日本スポーツ施設協会
人材の養成・適正配置について、これまで外部公募なども検討した事例はありますでしょか。
(回答)
ヒアリング資料にも記載の通り、日本スポーツ施設協会においては、各種スポーツ施設関係者の資質向上を図るとともに活動の促進と管理体制を確立するため、公認資格者制度を定め、水泳指導管理士、スポーツ施設管理士、スポーツ施設運営士など7種類の資格者養成を行っています。屋外、屋内、プールなど多様な形態を有するスポーツ施設において、安全・安心で持続可能なスポーツ施設づくりに向けて、スポーツ施設の維持、管理・運営に必要な事項を体系的に学んだ人材の配置は必要不可欠であると思っております。
現に、スポーツ施設の維持管理だけでなく利用促進やサービス向上を担う経営的視点を持つ人材が求められるようになり、各スポーツ施設においては、人材養成の一環として職員を資格養成講習会に参加させるなど、組織内部における人材養成に日本スポーツ施設協会の制度が活用されております。
組織内での人材養成ではなく、外部から人材を求めようとするなら、指定管理制度の活用やスポーツ施設の管理運営経験を有する人材を広く外部から公募し採用することは当然あり得ると思いますが、それらは各スポーツ施設において行われることでありますので、日本スポーツ施設協会として、具体の事例は把握できておりません。
5. SDGs in Sports
女性リーダー育成プログラムについて、現在の受講人数実績と、実際にどんな方が受講して力を発揮されているか、本プログラムに関する今後の展望があれば伺いたいです。
(回答)
現在までに2期行い、各25名程度が全10回程度のガバナンスやマーケティングに関する講義、メンタリング、ネットワーキングの機会に参加しております。これまで競技団体理事や職員、プロスポーツクラブ職員、アスリート(現役・引退)、指導者、スポーツ関連NPO、スポーツ関連企業等の方々が受講されています。これからの受講生の実績として、新たに競技団体理事になった受講生・スタッフはこれまでで6名ほどおり、他にも各団体でプログラムを立ち上げたり、会社設立、一般社団法人の代表や幹部になったり、新しい事業を立ち上げた者が、ざっと見積もって受講生のうち半数ほどにのぼります。今後の展望ですが、継続すること、持続可能なプログラム運営基盤を作ること(複数年サポートが見込まれるスポンサー獲得など)、中央競技団体だけでなく都道府県競技団体など地方の人材育成にも力を入れること、様々なテーマを扱うこと、等を考えて現在第3期を企画中です。
スポーツ庁政策課