スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第3期)(第2回) 議事録

1.日時

令和7年2月10日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 第3期スポーツ基本計画期間前半の進捗状況と課題について
  2. その他

4.出席者

委員

安藤委員、岩田委員、延與委員、大塚委員、尾縣委員、大日方委員、勝田委員、川田委員、久木留委員、桑井委員、境田委員、髙橋委員、土田委員、友添委員、平野委員、藤原委員、諸橋委員、結城委員、渡邉委員

文部科学省

室伏長官、寺門次長、橋場審議官、大杉総括官、赤間企画調整室長、中村健康スポーツ課長、今村障害者スポーツ振興室長、大川地域スポーツ課長、吉丸競技スポーツ課課長補佐、廣田参事官(地域振興担当)、桃井参事官(民間スポーツ担当)、小川参事官(国際担当)

5.議事録

スポーツ審議会 スポーツ基本計画部会(第2回)
令和7年2月10日(月曜日)

【渡邉部会長】 スポーツ審議会スポーツ基本計画部会の第2回目を開催いたします。本日はお忙しい中、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。まず、本日の運営に関する説明を事務局より、お願いいたします。

【赤間企画調整室長】 事務局でございます。本日の運営に関する説明と資料の確認をさせていただきます。本日は事前にご希望いただきました委員の方以外には、Web会議でご参加いただいております。報道関係者についても一般の方と同様にライブ配信での傍聴とさせていただいております。
資料につきましては議事次第に記載されております一覧の通りでございます。会議室にお越しの委員の皆さまには資料を机上に配布させていただいております。不備等がございましたら、事務局までお声がけいただければと存じます。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。議事に入る前に、前回の議会ではご出席いただいておりませんでしたが、大塚委員がご出席されておりますので、一言ご挨拶をお願いします。

【大塚委員】 スポーツ基本計画部会に招集いただきまして、ありがとうございます。日本トライアスロン連合専務理事ならびにワールドトライアスロンの副会長をやっている大塚と申します。前々回、また前回の基本計画部会から参加させていただいております。競技の目線から健常者、障害者、またトップ選手から一般の方々まで、全てを総括してオールインワンで運営させていただいている競技団体として、様々な視点からお役に立てればいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】 早速議事の1つ目「第3期スポーツ基本計画 期間前半の進捗状況と課題について」に入ります。テーマが多岐にわたりますので、事務局におきましては、全体の施策を3つに分けていただいております。本日はそのうちの最初の2つについて議論いただきます。これから資料1に基づいて事務局よりご説明いただきますが、会議の前半は「テーマ1」、後半から「テーマ2」ということにしたいと思います。
まずはテーマ1の東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の実現について説明をお願いします。

【赤間企画調整室長】 事務局でございます。資料1に基づいてご説明させていただきます。今、部会長からご説明いただきましたように、資料1につきましては三部立てになってございます。2ページからが共生社会、多様な主体、16ページからがDX、成長産業化、地域活性化関係、28ページ以降が競技力向上、国際、ガバナンス、インテグリティ関係という構成になってございます。
冒頭は1つ目のセクションについての議論ということになりますけれども、共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の実現というところでございます。3ページをお開きいただきますと、スポーツ審議会でセットさせていただいております、ロジックモデルでございますけれども、こちらの左側4つのセクションに分かれてございますが、このうち左側の上から2つ目と3つ目、国民のスポーツ機会の創出、スポーツによる健康増進、障害者スポーツの推進のパートにつきましては、並行して動いている健康スポーツ部会でご議論いただいている状況でございますので、健康スポーツ課長から、一括してご説明させていただきまして、概要につきましては、私から説明させていただきたいと思います。

【中村健康スポーツ課長】 今、ご覧いただいております3ページ目の左側にマル5マル8と書いてある部分について、私から、前回もこの計画部会でもいろいろご意見がございましたけれども、その後健康スポーツ部会でも議論をしておりまして、その議論の中身を含めてご紹介をさせてもらいたいと思います。
一枚おめくりいただきまして4ページ目の通り、この政策に関する指標と関連データが載ってございます。後ほどご説明させていただきますけれども、国民全体にスポーツによる健康増進、スポーツ機会の創出を図っていこうということで、生活の中にスポーツを取り入れるという取組に賛同していただいている団体の数。それからスポーツエールカンパニー、従業員に対してスポーツの実施に取り組んでいる団体の数。これが2つ指標なっておりまして、この数字を見ていただければおわかりいただけるように、この計画期間3年間を通して増加してきている状況になっております。目標に対しても数としては順調に伸びている状況でございます。
もう1つ指標として掲げている20歳以上の週1回以上のスポーツ実施率、年1回以上のスポーツ実施率ですが、前回の議論でもこれが妥当かどうかというご議論がありましたけれども、状況としましては、週1回と年1回ともに概ね横ばいの状況になっております。まだ正式には公表しておりませんけれども、令和6年のデータでは週1回のスポーツ実施率は52.5%という状況になっておりますので、ほぼ横ばいということになっております。それから30分以上汗をかく運動の週2回以上の実施率についても、ほぼ横ばいというのが、指標についての状況になっております。
一枚おめくりいただきまして、5ページ目に、この3年間の取組と課題について記載をさせていただいております。簡単にご説明しましたように、取組としては、Sport in LifeSport in Life推進プロジェクトということで、スポーツに取り組むために団体をコンソーシアムとしてまとめて、その加盟を増やしていく。特に従業員に対する取組を行うところを、スポーツエールカンパニーとして認定するという取組を進めております。その他に調査研究事業として、より科学的根拠に基づいて目的を持ったスポーツを推進していこうということで調査研究をしております。地方公共団体、各地域でもスポーツ実施の促進に努めていこうということで、運動スポーツ習慣化促進事業というものをやっております。これは各自治体が地域住民に対してスポーツ実施に対する事業などをやっていることに対して、国が補助金を出すという事業を進めております。
こういう取組を行っている結果の分析と課題として、KPIについて先ほどお伝えした通りでございまして、スポーツ実施率については横ばいが続いているというような状況でございます。今後の課題についてということで、Sport in Lifeに関わるコンソーシアムや加盟数に関しては、量だけではなくて質を向上させていくことも重要だろうということで、健康スポーツ部会では、別途経済産業省を中心に進めている健康経営との連携を図ってはどうかというご意見や、Sport in Lifeやスポーツエールカンパニーにはかなり地域差もありますので、そういったことも踏まえながら対策を講じるべきではないか、スポーツエールカンパニーについて、認定を受けるメリットをもう少し明確化して認知度を上げていく必要があるのではないかといったご議論もいただいているところでございます。
この他にスポーツ庁で進めている、目的を持ったスポーツのためのセルフチェック(身体診断)の取組を啓発していき、目的を持ったスポーツの普及を図っていくことが課題であること。それから地方自治体の取組は、単年度で終わらずに自走化させていくことが大事であろうということで、課題として記載しております。
さらに一枚おめくりいただきまして、6ページにそういった課題を踏まえた今後の方向性ということで、コンソーシアムやエールカンパニーの増加に取り組んでいくということ。また、健康スポーツ部会では、加盟団体の実態もしっかりと把握をして、加盟によるメリットをきちんと示していく必要があるだろうというご指摘もいただいております。
調査研究事業は、科学的根拠はもちろん明確にしていきますが、それをいかに国民に普及させて社会に実装させていくかということで、取組を進めていく必要があると思っております。部会でも研究成果が、実際の施策に反映されるような進め方が必要だろうということでご意見をいただいております。それから習慣化促進ですが、課題でもありましたように、国から補助金が出なくなった後も地方公共団体で自走化させていく必要があるということで、事業の横展開などにも取り組んでいくこと。また、後から出てくると思いますけれども、まちづくりなど関係する事業としっかりと連携をして、相乗効果が得られるようにしていくべきであろうというようなご指摘もいただいているところでございます。それから、6ページ目の最後にありますが、ロジックモデルのところで、元々このロジックモデルに書いていなかったんですけれども、スポーツエールカンパニーの認定団体数も今回追加することにしてございます。
続きまして障害者スポーツ(施策8)の関係になります。指標は障害者週1回以上のスポーツ実施率、年1回のスポーツ実施率、それからスポーツを体験したことのある者の割合をまとめております。こちらは増加傾向を保っている状況になってございます。
次の8ページ目に同様に、この3年間の取組と課題について整理させていただいております。取組として2020のレガシーを生かしつつ、パラスポーツ全体としての取組を加速化していくということで、障害者スポーツの実施率向上については、様々な団体の連携体制の構築を進めていくということをやっておりますし、2つ目のスポーツの実施環境の整備ということで、それぞれの地域の中心となる障害者スポーツセンターについて、機能を整理して支援を図っていこうということで、健康スポーツ部会の下に、障害者スポーツのワーキンググループを設置して、昨年に今後の方向性を取りまとめたところでございます。そういった中で、障害者スポーツセンターの強化という方向性を出しております。また、障害者スポーツに関わる指導者の人材、団体の基盤強化というようなことも進めているところでございます。
それから、障害者スポーツ推進体制の整備ということで、昨年の10月から「U-SPORTS PROJECT コンソーシアム」ということで、障害者スポーツを推進するにあたって賛同していただける団体を、先ほどのSport in Lifeでもありましたけれども、コンソーシアムとして加盟していただいて、共に推進していこうという取組も進めているところでございます。
分析・課題としましては、こちらもワーキンググループの方でまとめていただいている内容とも共通するのですけれども、障害のある方とない方が共にスポーツを実施していく環境づくりを進めていくこと、障壁解消を進めていく必要があること、団体の基盤強化をしていく必要があること、特別支援学校の児童などの実施環境の充実が必要であろうというようなご指摘をいただいているところであります。健康スポーツ部会でもいくつかご意見をいただいておりますけれども、障害者スポーツをやっている団体だけではなく、全てのスポーツ団体において障害のある方も含めて指導が行えるような指導者への知識の普及が必要ではないかというようなご意見や、自分から出て行って一緒にスポーツをできるような環境を作っていく必要があるのではないかというご意見も、健康スポーツ部会でいただいております。
最後に9ページ目になります。今後の政策の方向性ということで、こちらもワーキンググループの方で提言をいただいた内容になりますけれども、地域の中核となる障害者スポーツセンターを、各都道府県に一つ以上整備をしていくべきであろうということ、その活動を支える地方公共団体や障害者スポーツ協会などの人材が活躍できる場づくり・研修機会を充実していくべきだということ、団体の基盤強化ということで民間企業との連携などを進めていこうというような方向性を出されております。また、各都道府県においても、スポーツ担当部署が障害者スポーツを所掌しているようなところもありますけれども、一元化した体制を整備していく必要があるのではないかということで、先進的な取組をいただいている事例を整理して横展開していくというようなことも必要だと思っております。それから「U-SPORTS PROJECT コンソーシアム」を増やしていくような方向性を、現在出しているところでございます。私からは以上です。

【赤間企画調整室長】 引き続き概要の部分については、私から説明させていただきます。
10ページの子供・若者のスポーツ機会の充実ということで、指標と関連データをお示しさせていただいております。指標の上3つにつきましては、子供の運動時間、運動意欲、体力の状況についてお示ししたものございますけれども、依然として目標として掲げている数値については、まだまだ改善の余地があるという状況が続いております。その下2つにつきましては、いわゆる運動部活動改革の関連するデータでございますけれども、地域連携や地域移行に向けた協議会の設置であったり、方針の策定といったところの自治体の割合ということで、こちらについては着実に増加してきている状況でございます。それから地域移行・地域連携の受け皿として期待される総合型地域スポーツクラブにつきましても、登録認証制度の運用ということが、徐々に進んでいくというような状況でございます。
11ページにおきまして、取組の状況と進捗・分析の課題をお示しさせていただいております。1つ目が子供の運動習慣の形成・体力向上ということでございます。こちらにつきましては、体育の授業を始め、学習指導要領の趣旨の徹底、授業改善に向けた教員向けの研修等々ということでございましたり、GIGAスクール構想の中で1人1台端末というものが入ってきて、体育の授業の充実に活用したり、あるいは障害の有無に関わらず共に学ぶという、いわゆる共生体育といった概念もしっかりと調査研究というものをやってございます。また、子供たちの運動意欲を高める。それから、東京オリパラのレガシーを生かしていくという中で、体育の授業にアスリート、パラアスリートを派遣する事業も行わせていただいております。また、障害のある児童生徒の体育授業の見学というところに関しては、3期計画の中でも言われているところでございますけれども、こちらについても実態把握に努めているところでございます。
(2)運動部活動改革のところでございますけれども、こちらにつきましては令和5年度から令和7年度までを改革推進期間として、国としても都道府県や市区町村の取組を支援している状況の中で、令和4年度はガイドラインを策定し、令和5年度は実証事業という形で様々な事例を収集分析をし、全国に発信をしていく状況でございます。令和6年度からは新たに先導的に取り組む都道府県の重点地域として指定しており、支援を継続しているという状況でございます。
3つ目は大学スポーツ関係でございますけれども、令和4年度から大学スポーツムーブメント創出等に取り組む大学をモデル的に支援させていただいております。それから、大学スポーツ協会(UNIVAS)が実施する大学スポーツ振興のための普及啓発等の活動に対しても支援をさせているところでございます。
右側の進捗分析のところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、指標のところについては、今のところ目標値と比べると依然として低水準にあるというところでございますが、体力テスト等の結果を見ていますと、運動時間が長い児童生徒、あるいは「運動やスポーツが好き」と回答した児童生徒ほど、体力が向上するという傾向が見られております。また「運動が好き」と回答した児童生徒に関しては、男子と女子で差異がありまして、女子ではまだ改善が見られていないというような状況でございます。そういった中で、少しでも運動時間を確保する、あるいは運動を好きな子供を増やしていくというところで、学校と家庭と地域が連携をした取組というものを、引き続き行っていく必要があると考えてございます。
運動部活動改革につきましては、改革推進期間がスタートする中で着実に実証事業に取り組んでいただいている自治体も増えてきているところでございます。国においても実証事業の成果・課題の整理分析を行いまして、さらに課題解決の方策も明確にしながら広く普及していく必要があると考えてございます。
大学スポーツの関係ですけれども、モデル事業をやってございますが、こういったものを採択していただいているところが、スポーツ強豪校の大学になっているところもありますので、そういったところ以外にも広げていくようなことであるとか、さらなる大学スポーツの振興に関する事業も検討していくべきだと考えております。
12ページ目が今後の方向性です。1ポツ目のところにありますように、学校の体育授業だけで子供の体力が向上するわけではありませんので、学校や家庭、地域が連携しながら取組を引き続き進めていく必要があると考えております。また令和7年度からは、体力や技能の程度が様々な子供や障害の有無に関わらず、様々な子供たちが共に学習をする体育授業をやっていくための調査研究を立ち上げてございます。その次の学習指導要領についての議論も始まっていますので、そういったものや議論の動向を踏まえながら、体育・保健体育の充実等々に努めていくという形で考えてございます。
(2)の運動部活動改革につきましては、令和7年度、改革推進期間も3年目という形になりますけれども、必要な予算について計上し、実証事業についての規模も拡充しながら取り組んでいくところでございます。まさに今、「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」におきまして、令和8年度以降の方策を議論いただく中で、12月に中間とりまとめをいただいておりますけれども、引き続き、最終とりまとめに向けた議論をいただいて、その状況も踏まえて今後の政策を検討していくことになると思います。
それから大学スポーツに関しても、大学スポーツ自体の振興と大学スポーツによる地域振興について、総合的に支援していくというところを、引き続きスポーツ資源を活用しながらやっていくと考えてございます。
13ページ目が、スポーツ実施環境の整備、人材育成という柱になって参ります。指標が3つございますが、一番上のところについては先ほどご説明しました総合型地域スポーツクラブの関係でございます。2つ目に関しては施設の開放頻度というところで、令和5年度で71.8%ということで、これをできるだけ100%に近づけていくということでございます。それから、公認スポーツ指導者の資格認定者の数についても順調に増えていっている状況でございます。
14ページの(1)地域スポーツの「場づくり」の実現・環境構築につきましては、総合型地域スポーツクラブの関係でございまして、登録認証制度の周知普及に関しての補助等をさせていただいております。それから学校体育施設の有効活用、いわゆる「場」の部分の量的な充実、ユニバーサルデザインといった質の充実といった部分に関しても取組を進めております。量のところに介しては、オープンスペースの活用などに関しても調査研究等を実施してございます。
スポーツに関わる人材に関しては、日本スポーツ協会で行っていただいている公認スポーツ指導者育成事業の支援をさせていただいております。それからガバナンスコードの中で人材採用・育成計画を策定するというところに関して、研修会を通じて働きがけをさせていただいております。それからアスリートの方々の効果的なキャリア形成支援ということで、そのためのコンソーシアム運営等もさせていただいてございます。
進捗の分析につきましては、総合型地域スポーツクラブにつきましては、順調に数を増やしているところでございまして、登録クラブの認定なども進めているところでございますが、認証制度について令和6年度中に各タイプの認証基準について整備を行っていくところ、施設のユニバーサルデザイン化、あるいはオープンスペースの活用に関しての普及啓発を、さらに進めていく必要があるということ、学校体育施設の有効活用に関する手引きに関しても、今年度改訂を進めていきたいと考えてございます。また、スポーツに関わる人材育成に関係しても、公認スポーツ指導者の養成を進めていく中で、相談環境の整備に伴って相談件数が増加しているというようなことであったり、人材採用や育成計画に関しても統括団体と連携して計画的に策定を促していく必要があると考えてございます。
最後に15ページです。(1)が場づくりでございますが、総合型クラブに関しては、令和7年度に認証制度の運用を開始していくこと。2つ目のパラグラフがスポーツ施設全般に関してでございますけれども、いわゆる新たなスポーツ施設のあり方についての好事例についての横展開を進めていくこと。あるいは地域のスポーツ環境の量的・質的な充実に向けて、各種セミナーを通した普及啓発を進めていきたいと考えてございます。15ページの下のところが、公認スポーツ指導者養成事業に関しての支援を引き続き実施していくこと、人材育成活用に関する中央競技団体が策定をするような支援を、研修を通じて行っていくというところ。それから先ほど申し上げましたように、スポーツキャリアサポートのコンソーシアム運営支援をしていく中で、関係団体のコンソーシアムへの加盟にも繋げていきたいと考えてございます。駆け足になりましたが、私からの説明は以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。4つの施策についてご報告がありました。各分野の専門の皆さんですから、どの政策の話でも構いません。当然、各政策は連動するということもありますので、誰というふうに指しませんので積極的に挙手の上、ご発言していただきたいと存じます。それではお願いします。

【延與委員】 ありがとうございました。7ページの障害者の運動スポーツ実施の表を見て、私は愕然としたのですが、19歳までと20歳以上で分けているところが非常に面白いと思いました。元々我々の認識では学齢期の間というのは、学校でスポーツの機会があって卒業後の場所を確保するのが大事だってすごく意識して政策づくりに取り組んできたのですが、これを見ると、ほとんど追いついてきていて、令和3年をピークに学齢期の障害者のスポーツ実施率が下がっていることが衝撃的でした。この中には特別支援学校もあれば、普通校もあって、障害者といっても幅広いのでなかなか難しいのですが、最近私どもが事業展開をするときに、特別支援学校にお声がけすると生徒を連れてきてくださることもありましたが、最近はコロナの影響や先生がお忙しいこともあってか、我々が機会を提供しても参加していただけないケースが増えているように感じています。これを見て学齢期は大丈夫だという認識も見直さなくてはと思いますので、頑張りたいと思います。以上です。

【渡邉部会長】 今村室長から何かコメントはありますか?

【今村室長】 数が減っている理由はわかっていません。我々がやらなければいけないと思っているのは、ただ実施率を取るだけではなくて、対象を分けた上で、それぞれの要因が何なのか。やりたい人がやれていない理由はなんなのか。そもそもやりたくないと思っている人がどれくらいいるのかということを、対象を分けて分析していく必要があると考えています。

【渡邉部会長】 他にいかがでしょうか。勝田委員どうぞ。

【勝田委員】 これまでの取組を紐解いて、今後の取組の方向性を議論するときに、スポーツ界のみならず、社会全体の発展に資していくという大局に立って、皆さんでスポーツの今後の施策を考えていくことが、重要だと思っております。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。高橋先生お願いします。

【高橋委員】 ありがとうございました。一つひとつの政策について気づいたことをお話したいと思います。障害者のスポーツ推進(施策8)のところですが、障害者のスポーツでも多様なスポーツがあると思います。例えば、競技種目ごとにどんな障害者スポーツ種目が多く行われているのかなど、もう少し細かく調査をかけると良いのではないかと思いました。他の障害ごとに率も違うのではないかと思ったので、そのあたりも詳しく調べてはどうかと思いました。
それから運営組織に関しての実施環境整備ですけれども、今度山梨県の障害者スポーツセンターができるのですが、そこの基本計画の審議の委員に入っていたのですが、この度指定管理をヴァンフォーレ甲府さんが受けることになりました。ある意味では、一般のスポーツの組織が障害者スポーツの施設に関して運営していく流れが出てきているので、こういったところを障害者と他のスポーツの協会が別々で、お互いが競合入札して課題を残すことがないように、新しい動きの事例として紹介していただけると良いのではないかと思いました。
それから子供・若者のスポーツ機会の充実(政策1)に関して、最近気になるのは、廃校になっているスポーツ運動施設の利活用がどうなっているのか調べておく必要があるのではないかと思いました。都内でもいろいろな中学校が閉鎖されて、グラウンドや体育施設になる場合もあれば、全く違う活用方法になるところもあります。地域のスポーツ施設という意味では非常に大事な観点ではないかと思いました。
最後にスポーツ実施環境の整備、人材育成(施策10)ですが、これは都市部なのかもしれませんが、24時間フィットネスクラブのような大人向けのフィットネスクラブに対して、学校の部活のトレーニングに貸して連携してはどうでしょうか。学校のトレーニング施設を充実するよりは、地域の施設を使う方向のほうがより効果的なのではないかと思います。大人との交流もできますし、そういう視点もあると良いのではないかと思いました。
私も担当させていただいていますが、アスリートキャリアに関しては、積極的に取り組んでくれるスポーツ団体がまだ十分とは言えないというのはその通りで、この辺りはアスリートのキャリア全体を踏まえて、競技をすると人生のwell-beingにつながるというような意味合いでの競技団体運営を積極的に進めてほしいと思います。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。大塚委員、健常者と障害者はインクルーシブな取組されていると思いますが、その点で何か発言はございますか。

【大塚委員】 ありがとうございます。その点も踏まえていくつかよろしいでしょうか。まずはスポーツ実施率の件等に関して、数字でこのように表すと、まだまだという考え方なんですが、スポーツ実施という定義自体の中身を現在に合わせて変えていかなければならないところにあるような気がします。それ以外に出てくる言葉としては「運動」や「運動遊び」という言葉がありますが、30分以上汗を流すことがスポーツなのか、運動なのかということですが、この定義が既に変わってきています。例えば、今オリンピック競技にもなったダンススポーツですが、ダンスをやっている人たちはスポーツなのか運動なのか、ここは認めてあげる時代になってきていると思います。学校が終わってから夕方に皆で集まってダンスをしている若い人もたくさんおります。こういうところもスポーツとして認めてあげることが大事だと思います。
これは聞いた話で申し訳ないのですが、主婦の方が家事をやっているだけで一日5000歩以上歩いていると聞いたことがあります。5000歩という指標はスポーツとして捉えるべきなのか。ある一定の数値を示してスポーツとして出していくことも必要ではないか。それからトップ選手たちがやっている方法では、自分がトレーニングした内容を必ずアプリに入れるんです。スポーツをやっている実施率を自分でアプリに入れるというような時代も、若い人たちには向いてきているのではないかと思います。スポーツの定義を広げることによって、ここの向上を意識的に改革していけるのではないかと感じております。
それから障害のある方とない方の融合という点では、私どもは30年以上前から一緒のスタートラインに立つということでやってきております。これは練習環境も含めて一緒にやらせていただいています。抽象的な言い方をすれば、障害のあるという概念を全く取り消すルール設定や運営のアイデア、競技の安全な仕組みをいち早く作っていくことによって、障害あるなしのないスポーツエントリーができていくと思います。その入口のところを次の機会に作ってあげられれば、障害あるなしの区別のないスポーツフィールドを作れるのではないかと思っています。また、表彰するときも一緒に表彰してあげるというようなところまで、入口から出口まで障害の概念を取り消せるようなマネジメントシステムの方法を考えてほしいと思っています。
それから運動部活動の移行に関しては、すごくいい効果が出始めております。施策でやっていただいているJ-STARは、子供たちの選手の発掘の場に先生方が子供を連れてくる機会がすごく増えてきています。これが新しい部活の移行への、逆に可能性のある子供たちを先生方が目を見て連れていけている状態になってきているのは素晴らしい内容ではないかなと思います。
それからスポーツ施設、スポーツ指導者の部分においてはもう一歩踏み込んで、特にスポーツ指導者は、今、我々競技団体が窓口になってスポーツ指導者育成の入口を作っていますが、これからは公共自治体でもスポーツ指導者の入口を作っていただけたら、更にここの人数は増えてくると思います。そのスポーツ指導者も一競技に囚われないで、指導領域を少し広げていただいたら、子供たちの指導ができるスポーツ指導者を地方公共団体が間口を広げてあげることによって、部活にも活用できるし、施設にも活用できる広がりができるのではないかと思っています。そういったところでも障害があるなしの概念を取り消せるような指導者を作っていただきたいと考えております。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。オンラインの諸橋さん聞こえますか。

【諸橋委員】 聞こえます。諸橋です。よろしくお願いします。重複している部分は避けまして、一点だけ私から申し上げます。子供と若者のスポーツ機会についてです。子供の教育現場に携わる立場から、子供と若者のスポーツの機会の充実に関してコメントをさせていただきます。学校部活動が来年度までを改革推進期間として進んでいる中で、スポーツ庁様のおかげで体制整備が進んでいる自治体の割合が63%と、地域によっては大きく拡大されてきております。その一方で、私が実際に日本全国でマルチスポーツのキャンプを実施する中で、情報の偏りを感じています。スポーツが好きな子どもは、学校から地域へスポーツが移行されても、自ら情報を探しに行って、地域でスポーツをやれる環境を探している親御さんが多いように感じます。一方で、特に女子に多いのですが、それが結果として分析課題にある、女子では改善が見られないということに繋がるのかと思うのですが、女子のマルチスポーツキャンプへの申し込み比率は非常に低いです。今までは学校からの案内や、学校の部活動では、全生徒が好き嫌いに関係なく情報として聞いていましたが、、社会や地域に移行した途端に、自治体が発信した情報以外、自分たちが能動的に検索しない限り情報は回ってきません。そうなったときに、敢えてスポーツが得意ではない・好きではない親御さんたちは、自ら検索にしにいくという環境が少ないのではないかと感じております。このような十分な情報が届かないことによって、結果として環境を整備しても、スポーツの機会を享受できない子供たちが生まれてしまうことを懸念しております。今後、この指標の中に、学校以外でも継続できている子供の数も含めてご検討いただきたいと思っております。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。引き続き、川田委員お願いします。

【川田委員】 ありがとうございます。他の委員さんからも地方公共団体についての言及もございましたけれども、私が自治体として気づいた点も含めてお話をさせていただければと思います。いくつか学校施設等の空間の開放について触れられているところがあったと思います。また、他の委員からも閉校施設について言及がありましたが、確かに子供たちと地域の方々の交流の促進であったり、健康推進が目指すべき姿であるということは重々承知してございますが、一方で学校のセキュリティの確保、また教育現場への負担といった点で、改めて現場に丁寧なヒアリングをお願いをしたいと考えております。
あとは部活動の地域移行についてです。我々も自治体で、いろいろな取組に着手をしているところですが、現場の意見として最もネックになっているのは、教えてくださる担い手が物理的に不足しているということです。こちらの掘り起こしについては、財政的なところも含めて、いろいろな手法を増やしていかなければいけないのではないかと考えております。
また、地方公共団体でスポーツ指導者の間口を広げてはいかが、と他の委員からご指摘をいただきました。本市での取組を一つだけ事例としてご紹介させていただきますと、スポーツ協会の地域の方々が子供たちに、いわゆるサッカーや野球など、敢えて種目を縛らずにスポーツ教室というものを開催して、まだ何をやりたいのか、どんなものが得意かわからない子供たちに、敢えていろいろなスポーツに親しんでもらって、得意なものや興味のあるものを見出してもらって、地域のいろいろなスポーツクラブに繋げることはやらせていただいております。一方でこういったところにおいても、指導者の方々の高齢化が非常に進んでおり、指導者の質・量的な確保というのは、地方自治体の現場では非常に大きな課題となっています。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。多岐にわたる話でしたが、友添委員お願いします。

【友添委員】 ありがとうございます。少し気づいた点をお話させていただきたいと思います。資料4ページ目の20歳以上の年一回以上スポーツを実施する割合にどのような意味があるのか、考えているところです。何をここから読み取ろうとしているのか、よく理解できないように感じています。今回は定点観測ですから実施する必要があると思いますが、少し検討する必要があるのではないかと思いました。障害のある方のところは大事な指標だと思いますので、これはこのままでいいのではないかなと思っております。
後は少し気になったところで、施策1の学校の体育のところでいうと、障害の有無に関わらず、共に学ぶ体育授業の充実ということは非常に大事なことだと思いますが、ここでいう「障害」とは何かということは考えてみる必要があるのではないかと思います。フィジカルディスアビリティばかりを考えてきたのではないか、高次機能障害のお子さん、あるいは自閉症スペクトラムのお子さんが非常に増えていて、特別支援学級に入るまでもないお子さんがいたり、多動性や注意欠如の方も結構多くいます。これは大学生にも多いです。特に小学校段階では配慮していく必要があるのではないかと思います。
また、大塚委員からスポーツの定義について出ましたが、かなり幅広くやろうということで、ウォーキングも含めてやりませんかということで、第3期基本計画の策定時でも検討した記憶があります。ただし、名称を少し変えていってもいいのではないかと思いました。ユネスコの国際憲章もフィジカルアクティビティということを入れていますので、これからは少し幅広く考えてもいいのではないかと思いました。あとは指導者の問題もありますけれども、多分武道系の指導者の採用がないので、中学校段階では剣道・柔道の先生方が減少しています。そうなってくると、どの種目の方がいらっしゃるかわかりません。もちろん男の先生がダンスを教えている授業を何度か拝見したことがありますけれども、先生方の教授技術の向上に資する研修会をやったほうがいいと思うことと同時に、先ほどの障害の問題で言うと、例えば内臓疾患のあるお子さんにどれぐらいの運動負荷が良いのかがわからない先生方もいらっしゃるだろうし、結局は見学という形を取らざるを得ない状態です。この前もお話ししたことがありますが、教育職員免許法の中では、障害者スポーツ指導論というような科目が必修になっていません。あるいはそういう授業を開設しているところが体育スポーツ系の大学ではあまりないために、現場に出てから見よう見まねでやる人たちが多く、事故が発生すると非常に問題だと感じたことがあります。
最後にもう一点ですが、特に女子生徒の運動機会が伸びないということは非常に大きな問題だろうと思っています。骨粗しょう症の原因がどういう原因で発症するのかというエビデンスは結構出てきているように思うのですが、初経の時期を中心にしながら、ジャンピングや骨密度を高める運動機会が減少すると、高齢になってから骨粗しょう症になる確率が高くなるということを研究グループが明らかにしているわけですので、そういう運動機会を設定していく必要が体育の授業のみならず、学校教育の中で必要なのではないかと思います。これが30年後、40年後、50年後、60年後の医療費の削減に大きく貢献していくのではないか、あるいは、それ以上に高齢になって苦しまない女性を作らないことが必要なのではないかと思います。特に幼稚園教育要領と学習指導要領の繋ぎがあまりうまくいっていないのではないかと思います。特に子供の発達に合わせて、幼稚園教育の健康領域と小学校一年生の体育をうまく繋いでいくことは大切だと思います。幼稚園、保育園、こども園を回っていて思うのは、身体的に不器用なお子さんが多くなってきており、階段を左右の足を使ってうまく上がれなかったり、靴紐を結べない子供が小学校の低学年でもいます。こういう子供たちはどちらかというと運動嫌いになっていく傾向があります。また、最初からあまりにも専門化した種目の導入をしてしまうと、なかなか馴染めない子供も出てきます。ドイツではバルシューレという、どの球技にも汎用が効くようなボールプログラムがあります。こういうところからも学んでいく必要があるのではないかと思っているところです。幼児段階から実は運動教育は始まっているわけです。小学校に入っていきなり始まるわけではなく、幼児期にどういう運動経験をしたかということは、生涯にわたる財産になると思います。この辺りを次の計画の中で考慮してもいいのではないかと思ったところです。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。今の議論については一旦16時で切らせていただいて、次のフェーズに移ります。また時間があったら、ここに戻ってきたいと思っております。平野委員、お願いします。

【平野委員】 平野です。よろしくお願いいたします。皆さまからのすごく丁寧なご意見をお聞きまして、私から3つほどお話をさせていただきたいと思います。まず1点目に関しては地域差についてというところで、私は国民スポーツ大会の会議にも出席させていただいているのですが、いろいろな問題点も現状ある中で、国民スポーツ大会と地方自治体のアプローチというのは、何か国民スポーツ大会をきっかけにというところで、現状は一年間各都道府県を回るという形になっているので、どの都道府県も一気にというところは難しい中で、うまく国民スポーツ大会という機会に、こちら側からアプローチしていくことが大事なのではないかと思います。都道府県にお任せするというよりは、こちら側から国民スポーツ大会を利用して、国民スポーツ大会を開催する都道府県のところだけでも、一つずつスポーツの推進について、もっとうまく進められるといいのではないかと思います。私自身もいろいろな活動をする中で、民間の企業さんの中でも企業のトップ層の方がスポーツがお好きであれば、講演に呼ぶ人もアスリートになりますし、福利厚生のイベントにスポーツのイベントも結構多く入ってきます。地方自治体となれば、知事さんや市長さんにどれくらいスポーツへの関心があるかという部分で政策もだいぶ変わってくるのではないかと思います。そこに向けて、しっかり説明やアプローチができてくると、もっとスポーツを推進してくださるのではないかと、自分の活動を通して感じています。
2点目に関しては、学生のスポーツ実施率についてです。皆さんからのお話にもあるように、スポーツがお好きな方やスポーツに興味のあるご両親の元で育つお子さんには、それぞれの家庭でスポーツに携わる時間が少なからずあると思っています。そもそも教育には熱心だけれども、スポーツにあまり興味がないご家庭にどのようにアプローチしていくかというと、学校教育の中でスポーツをする目的というところを明確に伝えていくことが大切だと思っています。一部の方の中にはスポーツをやるからにはトップを目指さなければ意味がないとおっしゃる方もいますが、健康や別の側面からもスポーツをする目的をしっかり発信しなければ、そもそもスポーツがお好きでない方がスポーツや運動をするという発想になっていかないと思います。アスリートは自分で勝手に目標設定をして、スポーツをする目的もそれぞれ持っていると思いますが、スポーツにご興味ない方に、例えば受験を迎えるにあたって健康な体がなければ、当日に病気になったときに自分たちがやっていた努力が無駄になってしまうから、そこに向けて体づくりをしなければいけないとか、体づくりするためには日常的にどれくらい歩いたり、週に1回はどのくらいの運動をすることが大事かということを、ただ単にスポーツをしようという話だけではなく、学業面と運動、女性で言ったらダイエットと運動、栄養運動、健康運動もそうですが、一般の方でスポーツに興味のない方に、運動をする目的や意義を発信していくことが大事だと思っています。学校内でもいいですし、いろいろなところからアプローチをして、スポーツ単体で興味を持ってもらうのではなく、イベントの中に、学業面のところと運動のどちらも学べるような場があると、もっと多くの方にスポーツをするメリットを感じてもらえるのではないかと思いました。
最後に指導者の育成についてです。これはトップ層に対してもそうですし、一般の方向けの指導者もそうですが、スポーツをする方は上達することにすごく喜びを感じると思います。それぞれの能力も重要ですが、指導者のレベルや伝え方もすごく重要になってくると思っていて、トップ層でも指導者の示す方向で、選手は大きく変わっていくと思うので、指導する側のレベルアップも非常に重要だと思います。以上になります。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。大日方委員、お願いします。

【大日方委員】 よろしくお願いします。いくつか気づいたことを申し上げたいと思います。まずは障害者スポーツの子供の実施率についてです。先ほど障害の種別で分けてみる必要があるのではないかというご指摘ありましたけれども、学校の種別でも分析が必要なのではないかと思います。特に支援学校に通われる方々からは、スクールバスの送迎時間によって部活動ができなかったり、先生自身が障害のある人のスポーツを指導する経験がないので、そこのところが課題になっているというような話も聞いております。先ほどもありました、教員養成プログラムの中に障害のある子供へのスポーツ指導をしっかりとプログラムとして入れることは必要なことだと考えております。
それから障害の有無で分けないと言う話もありました。好事例が出ているところで、ヴァンフォーレのような取組をしっかりと伝えていくということ、トライアスロンのようなインクルーシブな競技大会を推奨していくことをスポーツ庁の方で後押しをするようなプログラムが必要だと思います。
それから女性の実施率の話ですが、最近子供たちと話をしていて気が付いたことがあります。制服から体操着へ着替える時間が非常に厳しいというようなことで、着替えないでできる運動はないのかということを聞かれたことがあります。学校の体操と言えば、どうしても体操着に着替えるということがありますけれども、ジャージで登校しても良い学校が増えている一方で、制服でなければいけないところもありますので、どちらに寄せていくのかといった議論も必要ではないかと思いました。
最後に学校体育施設の開放についてです。開放を前提として100%に近づける数値はよろしいと思いますが、果たして開放の頻度だけで良いのかということも、最近は疑問に思っています。学校体育施設を使用するグループや特定の人は限られてしまっており、地域に新しくスポーツをする人材には繋げにくいという課題感も見えていますので、こういったところをどういう形で解決していくのかといったことが必要になると感じました。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。このテーマはここで一旦区切らせていただきます。次のテーマに移らせていただきます。スポーツDXの推進、スポーツを通じた地方創生・日本経済の活性化についてご説明をお願いいたします。

【赤間企画調整室長】 引き続き説明させていただきます。19ページの先進デジタル技術やデータ活用の促進事業に関しては2つです。ビジネスモデル創出件数、それから競技支援研究の活動報告、その知見・ノウハウの提供件数ということで、まだ6年度の数字は入っておりませんが、数字としては目標に向かって前進、あるいは目標のレベルを達成している状況でございます。
次に20ページの取組状況と課題でございます。大きく分けて2つございますが、いわゆるビジネスモデルというところで、こちらはスポーツ団体と民間事業者の連携によって新しいスポーツの楽しみ方やビジネスモデルの創出を支援していく事業を進めておりまして、令和5年度までに5件の取組を実施してきております。その中で様々な推進をしていくための人材が不足をしており、新たなデジタルサービスに自律的に取り組む団体はまだまだ限られている状況でございます。
2つ目のところは競技関係でございます。いわゆるスポーツ医・科学の知見に基づくコンディショニングサポートなどを、場所や時間を問わずにリモートでできるような仕組みの実証研究もやっております。ただ特定の競技に特化している状況でございますので、成果を別の競技に横展開したり、あるいは一般にも広く利用できるようなシステム・アプリの開発・応用が期待されているところでございます。
21ページの今後の方向性でございます。ビジネスモデルの創出のところに関しましては、DXに関して基盤整備が十分でない団体が多いので、まずはデジタル技術を活用した既存ビジネスの提供価値の向上に向けた支援を行っていく必要があるのではないかと思っております。また、成果をスポーツ団体のビジネスの拡大というところだけではなく、他のスポーツ団体以外にも波及するようなところも意識した事業の進め方を検討していく必要があるのではないかと考えております
(2)のところですが、開発したシステム・アプリを実装しながら、次の国際競技大会に向けて、競技力の向上に繋げていくということ、システム・アプリを他の競技でも使えたり、一般利用ができるシステム・アプリへの応用について研究しているところです。
22ページのスポーツ産業の活性化支援について、3つ指標をお示ししておりますが、スタジアム・アリーナの選定というところで、令和7年度までに20拠点という目標がございますけれども、それに向けて進捗を進めております。また、スポーツ市場規模についても、2025年までに15兆円という目標を掲げておりますけれども、これについてはまだ道半ばという状況にあります。赤字のところは、それぞれの指標に対して、その間を繋ぐような指標として、今回からスポーツ観戦する人の割合を追加してはどうかというところで、目標について検討中というところでございます。
23ページをご覧ください。スポーツ市場の規模に関して、2021年のところまで見ると、コロナ前の水準近くまでは回復している状況ではございますが、15兆円という目標達成に向けては、引き続き努力が必要な状況でございます。未来開拓会議の中で中間報告などを取りまとめ、今後も検討を行っていきますが、そういったものを踏まえながら取組を進めていく必要があると思っております。
スタジアム・アリーナに関しては、スポーツ施設だけに目が行きがちでありますけれども、十分なエリアマネジメントを効かせながら「まちづくり」としても取り組んでいくことが必要ではないかと思っております。また、スポーツホスピタリティに関しても、事例の収集・知見・ノウハウ・人材が不足している状況でございますので、こちらに向けた取組を引き続きやっていく必要があると考えてございます。
24ページが実施の方向性でございます。足元の15兆円に向けたスポーツ市場拡大に向けた取組という話と、26年度以降の取組の方向性が書かれてございます。1つ目のスタジアム・アリーナ開拓の部分でございますけれども、先ほども申し上げましたように、スポーツ施設という点で考えるのではなく、様々な施設とも相互複合的な整備・活用を図る、まちづくりの観点からもスポーツコンプレックスという考え方を十分に取り入れながら今後も施策を展開していく必要があるだろうと考えてございます。またスポーツホスピタリティについても、高い付加価値を提供という意味で好事例の展開をやっていくわけですが、関連する観光政策等との連携なども含めて取り組んでいく必要があると考えてございます。最後に書いておりますが、プロスポーツ振興や市場規模拡大の観点から、指標として見る人の割合というものを追加してはどうかというご提案させていただいております。
25ページは、スポーツを通じた地域活性化について、多くの指標が示されてございますけれども、1つ目がスポーツ・健康まちづくりに取り組む地方公共団体の割合です。これを令和8年度までに40%というところで少しずつ増やしてやっていく状況になっています。下3つに関してはスポーツツーリズム関係の初期アウトプットとして設定しているものであります。それについても少しずつ増やしていっているという状況でございます。また、下2つに関しては、訪日外国人旅行者数、あるいはスポーツツーリズムの関連消費額というところで、出口の大きなところに向けた指標を設定させていただいてございます。
26ページ、取組状況と進捗の分析・課題についてでございます。スポーツを活用した「地方創生」「まちづくり」(「スポーツ・健康まちづくり」)に積極的に取り組んでいただいている自治体をスポーツ庁から表彰するという「スポまち!表彰」に取り組んでおります。スポーツツーリズムに関しては、様々な地域に眠っているコンテンツの創出ということで取り組んでおりますけれども、様々なノウハウを蓄積する一方で自発的継続的に取り組む自治体も出てくる中で、他の自治体へ広げていく必要もありますし、継続的な実施が難しいという自治体もございますので、そういった部分は分析しながら適切な支援をしていく必要があろうかと考えてございます。地域スポーツコミッションに関しては、設立というよりも事業の多角化の支援というところに特化してきておりますけれども、様々な事業を継続的に展開できるような経済的・人的な体制が確保できるような支援策を打っていく必要があるのではないかと思っております。
27ページの今後の方向性でございます。「スポまち!表彰」の自治体については、計画を作って終わりというわけではなく、自治体の取組をヒアリングしながら伴走支援していくことが必要だと考えております。また、受賞の有無に関わらず、興味関心のある自治体に対してのサポートもやっていきたいと考えてございます。それからスポーツツーリズムについても、コンテンツの創出と合わせてSNSを活用したプロモーション、国内外で機会を捉えたリアルな体験機会で認知の拡大を図っていきたいと考えてございます。地域スポーツコミッションに関しても、活動内容を見ていったときに、それぞれの活動地域の特徴に合わせた取組ができるように体系的な整理が必要だというところ、それから関係するスポーツコミッションが一堂に会するような機会を通じて連携体制の強化を図っていく必要があると考えてございます。説明は以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。境田委員、お願いいたします。

【境田委員】 以前からスポーツ振興やDXのことはいろいろとお話をさせていただいて、スポーツ庁でご検討を進めて、特にギガスクールの研究もされているということで、いろいろとご検討いただきありがたいと思っています。今、スポーツの地域移行にDXをどうするかということも大きな課題だと思います。今、1700の自治体がそれぞれに地域移行などを一生懸命頑張ってやっておられますよね。一つ参考になるのは、防災分野で防災DX官民協創協議会というものがあります。要は、今後南海トラフなどの非常に大きな災害が起きたときに、日頃から各自治体がしっかり連携していく必要があり、しっかりとデータを共有化し、いざという時のためのデータ連携が必要だということです。当然1700の自治体それぞれが提案しても駄目です。その協議会には400の自治体と500の民間企業が参加しております。そこにはDXの企業ほとんど入っております。そこでいろいろな知恵を出して、実際に災害が起こったときにどのような対策をすれば被害を極小化できるかということを検討して実装しています。ここにいろいろな研究機関も参画しており、まさにこういった取組が、これからの日本のスポーツ技術にも寄与している部分だと思っており、現在スポーツ庁の地域スポーツ課で各自治体がそういった部活の地域移行を一生懸命やってくださっていますけれども、例えばこういった司令塔機能を置いて、防災DX官民協創協議会のように民間と各自治体、研究機関を巻き込んで、サービス展開の検討をするのも良いことなのではないかと思っています。
先ほど指導者が足りないというお話もありましたが、その時にもこういう仕組みがあれば、その道の一番の指導者をオンラインで展開していくことができるのではないかと思いますので、そういったことも検討の余地があるのではないかと思っています。
また、去年の9月にバーチャルテコンドーをやりました。実際にオリンピックスケールでやったときは、大きなスクリーンで2人の選手が戦うんです。実際にゴーグルを付けてセンサー付きのウェアを付けた人たちが、直接コンタクトすることなく戦うことができます。これが非常におもしろくて、シンガポールでやったときは小学生が優勝していました。その時の日本チャンピオンと若い人がやって、若い人が勝っていましたが、これは障害のあるなしに関わらず、老若男女誰でもできます。これはシンガポールのベンチャー企業が作ったのですが、ここまで技術革新で進むものなのだと思いました。これが今後日本で普及していけば、家でテレビゲームやっている子が、ウェアとゴーグルさえ付ければ、全世界で対戦できるようになるので、そうすると国民の運動参加率が一気に高まるのではないかと思います。このようなDXの技術をいかに活かしていくかで重要な解決策の一つになるのではないかと思いました。
すみませんが、ギガスクールを体育の授業でどのように活かすかという部分で何か考えていることはありますか。

【赤間企画調整室長】 先生のイメージしているようなハイスペックなイメージというのはまだまだ学校現場に普及しておりませんので、体育の授業というと一人一台端末を使うことによって、実技の姿を子供たちが撮り合って、運動の姿の中で自分たちがどれだけの課題を克服できているか、動きが上手くなっているかを見ていったり、そういった動画を先生が共有して、日々の成長過程を追いかけていくような使い方がオーソドックスの実践事例として積み上がっています。

【境田委員】 そこまで検討されていることは素晴らしいです。長官のセルフチェックを皆にやらせることもすごく良いと思っています。これはビッグデータになればなるほど価値が大きくなりますし、どのような人が何の競技をするとどんな結果が出たかということは、競技団体でもすごく役に立つと思うので、そういったデータの利活用を検討してはどうかと思いました。以上です。

【久木留委員】 ありがとうございます。境田委員からあった点も含めて、DXの話はデジタイゼーションとデジタライゼーションをして、仕組み化していかないと、多分DXは進まないと思っています。今回のパリ大会でもオーストラリアがものすごく躍進をしています。躍進している背景の中にハード面とソフト面があって、例えばハード面というところではAmazonがしっかりとサポートをしていました。まさに境田委員がおっしゃっているように、民間をうまく入れていかないと、いくらデジタライゼーションをしても、それを繋いでいくインフラの部分がないと結局は広がっていきません。例えば長官のセルフチェックを皆でやったとしても、それをどこかに集めないとビッグデータにはなりませんよね。ビッグデータにならないとAIを噛ませても良い答えをくれません。そう考えると、ハード面でのデジタライゼーションをどのようにするかということを、国の方針でしっかりと示さないと進んで行かないと思います。eスポーツの話を例にしますと、現在のアジアの中でのトップランナーは韓国と中国です。これは1990年の終わりと2000年の初めに国の方針として、eスポーツを推進してきた結果、ハイスペックのインフラ整備ができたから他のことも進んでいくようになったわけです。この部分を進めていかなければ、最終的にDXの話は行き詰まると思います。皆さんもご存知のように「Garbage in, garbage out」という言葉がありますが、要は質の良いデータを入れていかなければ良いデータは得られないということですから、しっかりした仕組みを作っていかなければならないと思っています。
オーストラリアに注目していくと、今スポーツ以外のことも含めてセンターフォーデータサイエンスという形でデータサイエンティストを育成することがものすごく進んでいます。10年後にオリパラを控えているオーストラリアが何をやろうとしているかということは、日本としても絶対に注目しておかなければならないと思います。そうするとハード面のデジタライゼーションと、ソフト面での人材育成を一緒にやっていかなければいけない。先ほど私が話したように、オーストラリアの場合にデータサイエンティストは、別にスポーツだけではないけれども、オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS: Australian Institute of Sport)でも国と組んでスポーツ人材を一緒に育成していくということをやっています。この2つがないとDXは、おそらく「絵に描いた餅」で終わって10年後も同じことを議論しているのではないかと危惧している次第です。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。スポーツ庁でも、厚労省を始め、いろいろな省庁連携がありますよね。デジタル庁との連携はどのような感じでしょうか。

【大杉政策課長】 個別分野での連携もありますけれども、政府全体としてはご承知の通り、デジタル人材育成をかなり強力に進めている中で、それぞれの事業レベルでは、それを敏感に察知しながらやっている所はございますが、スポーツ政策全体として、強力にやっていこうという方針は、まだ未成熟であることが現実だと思いますので、ぜひ、この議論で深めていただければと思います。

【室伏長官】 健康スポーツ課と競技スポーツ課でやっている一般の健康増進も含めたデジタル活用・・・。

【中村健康スポーツ課長】 一応いろいろなデバイスがあって、結局ビジネスをしていてもデータがバラバラになってしまっている問題を克服するための研究を立ち上げています。ビッグデータ化しないと価値がないのは、その通りだと思うので、デバイスの制限をいかに乗り越えてビッグデータ化していくかという研究を今まさに始めようとしている最中です。

【室伏長官】 大阪大学で情報通信の研究をしており、競技スポーツ課が入っているんですけれども、将来、スポーツデータアナリストになっていただけるような人材にも入っていただいて将来についてご助言いただきたいと思っています。情報工学の領域ですと、大学院レベルでもすごいですから、良い情報を入れて一緒に活用していただけるように進めているところです。
政府全体のプラットフォームをどうするかという話ではないですが、我々の出来る範囲のところはさせていただいております。

【境田委員】 政府全体と言うと重たいのですが、防災DX官民協創協議会は一年前に作ったもので、私も幹事で設立からやっていて、これはデジタル庁と一緒に組んでいます。問題意識は、まさにバラバラのデータでは意味がないということです。最初からデータセットを同じにして、もちろん全体でみんな見られる部分と見られない部分、最初の制度設計がすごく重要で、特に個人情報も集めるので、そういったところをよく検討して作りました。一緒に意見交換をさせていただければ参考になる部分も多いと思います。ここはデータの宝庫で、ハイパフォーマンスの成果は国民にも全部還元されるものなので、JSCなどでは重要ではないかと思います。

【渡邉部会長】 次回のテーマに繋がる素晴らしいご発言だったと思います。大塚委員、お願いします。

【大塚委員】 今のお話にも関連しますが、デジタルの競技力向上への活用は絶対的に必要な分野ですので、ぜひとも拡大していただきたいと思います。なおかつ、全国にある競技別強化拠点、種目別強化拠点をデジタルで繋げていただき、中央一括管理のシステムなどをいち早く作っていただけることをお願いしたいと思います。
また、この部分に医療デジタルと同じぐらいの投資の形を取れるような産業に広げていただくことによって、スポーツ産業は瞬く間に数兆円の規模に広がると思います。医療の開発と同じぐらい、スポーツデジタル開発に力を入れていただきたいということが、競技団体としてお願いしたいところです。
また、スポーツ産業のスポーツコンプレックス、ホスピタリティ、スポーツツーリズムに関連するところですが、まさに国際大会を誘致しても、コンプレックスやホスピタリティ、ツーリズムが全て一体化していないと、そのエリアのアリーナやスタジアムでスポーツをやっただけで終わってしまいます。ぜひとも、この関連性の部分についてリーダーシップを執っていただきたいと思います。それぞれが個ではなく、全部繋がっていることがポイントではないかと思いますし、魅力的なところだと思います。以前にスポーツ庁、観光庁、文化庁の3庁連携でやった施策などを、今こそスポーツと連携させてやっていくポイントではないかと思います。

【室伏長官】 先日サインしたばかりです。

【大塚委員】 国際大会をやっても終わった後に食事する場所がない、ラストオーダが早いと言う声もありましたので、そういう全体的な繋がりをスポーツ中心で持っていければ産業に繋がっていくのではないかと思います。

【渡邉部会長】 尾縣委員、お願いします。

【尾縣委員】 JOCの尾縣です。ご説明ありがとうございました。20ページの(2)の「先端デジタル技術等を用いた知見・ノウハウの開発・提供」について、DXという言葉のカバーする範囲があまりに大きく、曖昧になってしまうところがございます。DXで何をするのか、何が出来るのかということを、今一度、各競技におけるコーチングの現場に降ろしていく必要があると思います。例えば、資料に記載された「スポーツ医・科学の知見に基づくコンディショニングサポート」とはどのようなことがイメージされているのか、また、その下に記載された「場所や時間を問わずに行うことができる仕組みの実証研究」が進むことが何を意味するのか、あるいは「デジタル等の先端技術」の「等」には何が含まれているのかについてご説明いただけますでしょうか。こうした点の理解を深めることにより、我々も各競技団体とともに、DXをこれまで以上に競技力向上に活かしていけるのではと思います。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。長官、お願いします。

【室伏長官】 尾縣先生、ありがとうございます。これは広く取っておりまして、選手で言いますと、必ずしも今日本にいて西が丘でサービスを皆が受けるというわけではありません。冬のスポーツでもそうですが、海外に行っている中でも、24時間デジタルで繋がることによって必ずしも物理的にそこにいなくてもできるようなサービスの展開をしていこうということです。コンディショニング、オンラインも含めてという部分がデジタル「等」ということかと思いますが、吉丸さんから補足がありましたらお願いします。

【吉丸競技スポーツ課課長補佐】 まさにセンシングの技術など、いろいろと活用できるものがあると思いますので、デジタルに限らず、様々な先進技術等を活用した手法を研究できればと考えております。

【室伏長官】 それがライフパフォーマンス、即ち一般の方にも還元できることに繋がるのではないかということです。

【尾縣委員】 ありがとうございます。理解しました。

【渡邉部会長】 友添委員お願いします。

【友添委員】 ありがとうございます。東北大学の教育財政学の先生と話をしていて、
土日どちらか一日部活を年間50週やるなら全国で500億円のマーケットがあるとおっしゃっていました。今までは部活手当はあるとはいえ、先生方の事実上のボランティアで展開されてきたのですが、別の見方をすれば民間の事業、つまり民業を圧迫してきたのではないかと言っています。むしろ、それを開放する良い契機になるのではないかともおっしゃっていました。実は教え子の何人かから、スポーツ関連のスタートアップ事業をやりたいということで、何人かが集まってクラブ経営をやってビジネス化したいと相談を受けたことがあります。アイデアを聞くと、非常にしっかりしているけれども、初期費用のお金が尽きて解散したグループもあります。あと、国立教育政策研究所の中で体育授業の教材ビデオを流していますが、それよりもっといいものを開発した知人のグループがあり、ある国がそれに注目して投資したいという話のようでしたが、コスパの問題や言葉の問題でうまくいかなくて解散して、事業に対する大きな借金が残ったところもあります。
ここからが本題ですが、スポーツのベンチャー企業を援助できないのかということです。若い人たちが数人で始めていくようなグループをうまく育てていくと、その内のいくつかが今後日本のビジネスがうまく牽引していくように考えます。事業資金を出すのが難しければ、スポーツ庁のホームページにそういうプラットフォームを開設して、企業を集めてきて、既存の企業とマッチングする等もあるかと思いますが、このような事業は現在行われているのでしょうか。

【室伏長官】 スポーツオープンイノベーション(SOIP)などはやっています。例えばアシックスさんが、シューズにセンサーを入れてやるようなものを表彰させていただいたり、初期投資というわけではないですけれども、イベントを開催しながらマッチングを繋げてあげて、新しいスポーツの産業が生まれるような、社会課題も解決できる形。
これもこういうテーマでやりますということを一年前に言ってやると、皆集まってやると思いますので、お金はあまり使えませんが、イベントを開催して、それをスポーツ庁が繋げることは今後も力を入れていきたいと思っています。
また国際のほうで、日本から海外に飛び出してやっていくことを支援するJSPINもやっていますが、今後発展するようにお力添えをいただければと思います。

【友添委員】 そういう知恵を寄せ合うことがすごく大事だと思います。若い人たちには意欲高い人たちが多いけれども、お金がなくて途中で解散するパターンも多いです。

【室伏長官】 そういうアイデアを拾ってあげるということですね。

【友添委員】 やっているのであればいいです。

【境田委員】 そのためにもデータ基盤があれば実証実験ができるし、今後無限にそういうものが作れる可能性があるので、若い方たちにどんどん入っていただきたいですね。

【友添委員】 松下幸之助さんも二股ソケットを発明して、今のパナソニックという大企業までに築き上げていったわけです。日本企業の業態を見てみると、元々は多くの場合個人から出発しています。そういう意味でいうと、個人のアイデアをうまく育てあげるシステムは大事だと思います。

【室伏長官】 あとは権利と特許をどうやって守るかということです。

【境田委員】 僕は防災DX官民協創協議会のスポーツ版を作るほうが良いと思っているのですが、長官がおっしゃる通り、そうすると、いろいろなスタートアップがいたときに機材サポートみたいなのができること、あとは多くのデータを個人から取るときに、目的を限定して同意を取ると、それ以外に広がったときに、個人の同意に反する扱いになって利用できないということがあります。先進AIの時代はデータをたくさん入れるといろいろな解が出るので、そういった解が出たら、それをあなたに還元するとしますという、同意の取り方という倫理的な問題がすごく重要なので、こういったところも防災DX協議会もまさに議論しています。この知恵をスポーツ界に導入するのが良いと思います。

【渡邉部会長】 境田委員、次回で結構ですから、防災DXの概要を皆さんに共有していただけますか。

【室伏長官】 防災スポーツも表彰させていただきましたね。

【高橋委員】 私の立場から言うと、未来開拓会議で見るスポーツをやっておりますので、見る人の割合を入れるのは良い方向性だと思います。実は地方自治体の地方スポーツ計画でも、見る人を入れると、地元のチームのチケットを買って送るということにまで繋がります。実はそれが入っているだけで可能になると言われていて、地元のクラブの支援という意味で、県がチケットを買って皆さんに配るようなことにもなってくるので、この一文が入っていると、地方も動きやすくなると思います。
スポーツ産業の話は、マイクロソフトやAmazonクラウドサービスが圧倒的で、これから日本がそこに乗っかってしまうと、情報が全てそっちへ行ってしまって、この辺りをしっかり考えなければいけないと思います。ヨーロッパのサッカー界は、マイクロソフトやAmazonクラウドサービスに乗っかってしまって、全てのデータをAIで、5分後にこの状況からゴールが決まる確率までを全部画面に出してしまうような時代になってしまっているので、日本がそこにどうやって追いつくのかというのは、インターネット事業者も含めて議論をしていかなければいけないんではないかと思いました。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。延與委員。

【延與委員】 スポーツを見ることについてですけれども、東京都が、この3月にスポーツ振興計画を改定するということで、年末に中間まとめを出されましたが、その中で「する」「みる」「ささえる」に加えて「応援する」というのが一つ大きなテーマで、「応援する」ことから入って「する」ほうに回っていただけないかということを言っています。
東京都では、最近面白い調査結果がありまして、毎年スポーツ実施率を調査しているのですが、最近はスポーツを通して幸せになるということを一つのテーマにして、スポーツをやって幸福感を感じるかという調査をしていました。スポーツやっている人の7割が幸福感を感じている。ところが、スポーツを支える活動をしている人の幸福感は80%で、支えている人のほうが幸せを感じるという面白いデータがありまして、そこを入口にしてスポーツに近づいて、「する側」に繋げられないかということが一つの大きなテーマになのっているのでご紹介させていただきました。
もう1点は、eスポーツはどういう感じの扱いになっているのか教えていただきたいと思います。東京都の審議会でも大議論になったのですが、テレビゲームなどのネガティブな影響も心配される中で、eスポーツをスポーツ振興でやっていこうという立ち位置には東京都は立っていませんが、一方で障害者スポーツの分野ではテレビゲームはすごく良いツールになっていまして、かなり機能の難しい方でもデバイスを工夫したり、手に固定することによって活動に参加できますし、それが外出の機会や友達が出来たり、小さく手を動かすことが、その人にとってすごくリハビリにもなることから、東京都の障害者スポーツセンターで去年からeスポーツの講座を開くと大変人気で、今年度から少し枠を広げております。
また、病院の先生と協力して、全身麻痺の方でも視線で風船を割るゲームを開発しました。それが目の動きの測定にもなって遊びにもなるし、リハビリにもなって、北海道と東京都で障害者同士が対戦するイベントで大変盛り上がりました。そういう意味で東京都の計画の中でもeスポーツを障害者スポーツや高齢者のスポーツ実施率を高めるためにどんどん使っていきましょうというふうに位置付けようとしております。そういう意味では、いろいろ手作りで工夫しながらやっているものが、先ほどおっしゃいましたDXの中で全国的に共有できれば、病院や自宅にいながらにして、全国の同じような仲間と交流できるという面白いプラットフォームができるのではないかと期待しておりますので、そういうことに繋げていってほしいと思っています。

【渡邉部会長】 赤間さん、eスポーツの取り扱いについてということですが、いかがですか。

【赤間企画調整室長】 eスポーツそのものは、今の3期計画の施策では取り組む形になっていないわけですが、間違いなくIOCなどの国際的な動きが出てきている中で、スポーツ振興の観点から見たときにどういうふうに位置付けていくのかということは、スポーツ庁としても大事なことだと思っています。
先ほどおっしゃられたように、eスポーツに伴う功罪に関して、どちらの側面もあるかもしれませんが、我々としてはスポーツの価値に照らし合わせて、eスポーツをどのように捉えていくかが重要だと思っています。

【久木留委員】延與委員と高橋委員から出ましたが、施策を評価する指標の観点ですが、障害者スポーツに関して一番感じているのは、支える人がいないとその場所に行けないということです。そうすると障害者スポーツの実施率には、支える人もカウントしてあげないといけないと思います。そういった観点をしっかり入れないと障害者はスポーツの場に行けないですよね。そういった観点では、運動スポーツ関連資源マップをもっと高く評価したり、Sport in Lifeの取組、今日もいろいろ出ましたけれども、スポーツ庁がやっている取組を皆さんは知らないと思いますので、評価の指標を変えないと、スポーツ実施率だけを上げても障害者の目線からすれば、私たちはやりたいんだけれども、行けないんですよという評価をどうするのか、というところをもっと評価すれば、スポーツ庁の指標はもっと上がっていくと思います。そういう観点を、今日の3つの中にも入れていくべきではないかと思います。指標の観点を変えることは絶対に入れていくべきだと思います。
友添委員から最初に、ロジックモデルがどうなのかという意見も出たと思います。ここは変えられないことはよくわかりますが、指標を付け加えていくことはできるのではないかと思いますので、ぜひご検討いただければというふうに思います。

【渡邉部会長】 オンラインの皆さまはいかがでしょうか。ないようでしたら、ここからオープンで議題1と議題2と合わせてご発言いただければと思います。

【室伏長官】 先ほどの幸福感についても、スポーツ庁のコンディショニングに関する研究成果報告会で、筑波大学の松井先生がスポーツ観戦との関係についての研究を発表されております。あとは同調心拍といって、選手の心拍と応援している人の心拍が同調するということもわかってきています。

【渡邉部会長】 勝田委員、お願いします。

【勝田委員】 「安心安全」は、それに繋がるDXの開発なども含め大事だと思います。
また、スポーツが果たせる役割や可能性を、防災や災害復興あるいは国際性などに着目して考えることも重要な視点と思います。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。オンラインの川田委員、お願いします。

【川田委員】 ありがとうございます。会場では、DXや全体の議論に入っているかと思いますが、スポーツによる地方創生、まちづくりのジャンルで発言させていただきます。26ページになると思いますが、スポーツ・健康まちづくりのところで、優良取組の表彰等をやっていただいておりまして、本市においても表彰いただきまして、大変光栄でございますし、こういった取組は首長の関心や感度を高める上でも非常に有効な取組ではあると思いますが、複数年度にわたる追跡調査をしていただけると大変ありがたいと思います。
もう1つはスポーツツーリズムについてです。スポーツツーリズムと言いますのは、あくまでその地域によって合うものであったり、周りの方々も含めて興味関心のあるもの、また地域の立地特性などでかなり特色が変わってくるものだと思っております。モデル化や横展開も大事だと思いますが、あくまでも地域の興味関心に合わせた形での広がりを期待したいと思っております。こういった優良な取組があることをご提示いただくことは、選択肢として有り得ると思いますが、地域がそれぞれの特性に応じて選べるようにしていただけたらと思います。26ページの最初の段落にも「優良な取組の横展開を通して」と書いていただいてございます。記載としては良いと思いますが、それぞれの地域の自主性や特性も踏まえていただけるとありがたいと思っています。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。大日方委員お願いします。

【大日方委員】 ありがとうございます。私もスポーツツーリズムのことについてお話しさせてください。今はインバウンドの方々がすごく増えているということで、25ページでも、コロナの影響があったとはいえ、目標値が10倍よりも高い値で設定されていますが、長期の視点で考えたときに心配なのは、いわゆるスポーツのエリアマネジメントとして考えたときに、ホテルやスポーツ施設が外資のものが多くなってきており、長期的な影響がどうなるのかということを、誰かがしっかりと考えなければいけないのではないかと懸念しております。スキー場に行くと、英語が主言語になっていたり、海外のオーナが経営している宿泊施設が多い状況の中で、長期的な意味において成長戦略に繋がるのだろうかというところを、スポーツ庁からも地域活性化という視点において話をしていただける必要があるのではないかと思っています。
もう1点は質問になるのですが、21ページで、スポーツ団体がデジタル技術利活用のために基盤整備が十分でないことが明らかになった点について、どういったスポーツ団体でどのようなものを求めているのかというところを教えていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。スポーツ庁の方、お願いします。

【桃井民間スポーツ担当参事官】 19ページに載ってありますが、スポーツ団体において現在取り組んでいるDX施策ということで、基本計画では、デジタル技術を活用したビジネスモデル創出件数を目標にしているわけですが、令和5年の調査では、上の3つの新しいサービスを開発するということはほとんど出来ていなくて、実際に取り組んでいるのは、社内のデジタルシステムの整備が多いということで、実際に我々がモデル支援や新しいビジネスを開発しても、その後自立してスポーツ団体が続けるところに至っておりません。デジタルを導入する基盤整備をやっていることが課題になっているところが多い段階でした。調査をしてそのような課題が見えてきたところでございます。

【大日方委員】 ありがとうございます。これだけ見るとわかるような気になってしまいますが、現場からすると乖離があると思っています。確かに19ページのところで、進んでいない団体も多いけれども、これを進めたからといって、上の四角囲みのところにいくかというと、結構飛躍があると思っています。この辺りの設定の仕方を分けたほうがいいのではないかと思いました。ビジネスモデルの創出の前にスポーツ団体の中をデジタル化していかないと、なかなか進みにくいのではないかということを、次期の計画の策定でも検討してはどうかと思った次第です。ありがとうございます。

【桃井民間スポーツ担当参事官】 おっしゃるように、新しいビジネスモデルを創出する以前に、データをデジタルデータとして活用できていない団体が多いのも事実ですから、もっと手前の課題からどのように取り組んでいくかというところに課題があるのではないかと考えております。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。進行に不手際がありましたが、時間が来てしまいました。非常に幅広いテーマで議論しなければいけないので、この部会は大変だと思います。そもそも友添委員のお話を受けて、久木留委員から「先生が知らないんだから」というような話もあったので、周知啓発の重要性も謳われておりますけれども、今回の部会を通じて疑問に思われたこともたくさんあると思います。それを事務局に寄せていただけませんでしょうか。部会の数も限られますので、メールにてご意見を事務局にいただきたいと思います。
事務局の皆さまにお願いしたいのは、出たものをしっかり整理していただいて、次の議論に、またそれが繋がるような形で資料をお作りいただけないかということをお願いしたいと思います。今日の議論はこれにて終了させていただきます。
最後に「その他」について、事務局よりお話しいただきたいと思います。

【赤間企画調整室長】 お手元に参考資料1という一枚紙の資料を配布しております。こちらにつきましては、前回の会議の際に友添委員からご発言がありました、次の計画に向けた議論の中で考慮していくことが必要だろうというところで、諸外国のアクションプラン等のフォローも必要ではないかというご指摘をいただいたところでございます。毎回、次の計画を見直していく段階で、我々は調査研究事業というような形でこういうものをやっているわけでございますけれども、令和7年度の予算を活用して諸外国の状況や行政の中がどうなっているか、関連法がどうなっているか、関連する計画、財源等を調べるということで、対象国に関しても、予算の制約等々いろいろございますけれども、今のイメージの中では委員からご指摘のあったアメリカや韓国、シンガポールも含めて考えております。
(2)に関しては、地方のスポーツ行政がどうなっているかということも、国の政策を進めていく上で非常に重要な視点でございます。こちらについても、同じような形で行政の中の状況、あるいは計画の策定状況も含めて調査をしていきたいと考えてございます。こちらについてはご報告でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。最後に長官からお願いいたします。

【室伏長官】 ありがとうございます。改めてスポーツ庁への期待が大きいという実感がありましたので、お気づきの点は遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。基本計画で次の4期に繋がるところであると思いますので、今日いただいた意見はしっかりと取り組んで、特に2021年夏に東京大会が行われて、そういうところから共生社会のところであったり、多様な主体によるスポーツの参画の実現であったり、スポーツDXの推進、スポーツ通じた地方創生、表彰などもさせていただいておりますが、表彰だけではなくてフォローアップで取り組んでいくこともいただきましたし、日本の経済の活性化にも、コロナの時もそうですし、暗いニュースの中でもスポーツには期待が大きいと思うので、しっかり取り組んでいきたいと思います。スポーツ庁らしい政策を、しっかりと打ち出していく必要があると思いますので、皆さまから知見をいただければと思います。
友添先生がお話しされていましたが、幼児期の子供たちから運動を始めなければいけないということで、最後に皆さんと一緒にやりたいことがあるのですがよろしいでしょうか。靴紐を解いていただいて、結んだときの手の動きを覚えておいてください。はい。靴紐を結んだ時の手の指の動きを覚えておいてください。オンラインの方も。それでは、目の前に手を出していただいて同じ動きをやってください。これができないと空間把握能力が衰えているということです。トップアスリートが大会の場で緊張して何もできないことを防ぐために、普段通りの自分かをチェックするために一度紐を解いて結んでみると良いよと言われています。

【渡邉部会長】 最後に赤間さんから事務連絡をお願いします。

【赤間企画調整室長】 次回の部会でございますが、3月6日の15時から開催となります。本日は議論をしておりませんけれども、競技力向上関係、あるいは国際関係、インテグリティ関係のご議論をしていただく予定としております。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。ただいまを持ちまして、第2回の部会を終了します。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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