令和7年1月17日(金曜日)14時00分~16時00分
文部科学省東館3F講堂
安藤委員、岩田委員、延與委員、尾縣委員、大日方委員、勝田委員、川田委員、久木留委員、桑井委員、境田委員、鈴木委員、髙橋委員、土田委員、友添委員、能瀬委員、原田委員、平野委員、藤原委員、本橋委員、諸橋委員、結城委員、渡邉委員
室伏長官、橋場審議官、大杉スポーツ総括官、赤間企画調整室長、中村健康スポーツ課長、鴨志田地域スポーツ課課長補佐、田口競技スポーツ課課長補佐、根橋参事官(国際担当)付参事官補佐、桃井参事官(民間スポーツ担当)、塚田スポーツ地域振興調査官
スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第1回)
令和7年1月17日(金曜日) 14時00分~16時00分
【赤間室長】 ただいまから、スポーツ審議会スポーツ基本計画部会の第1回会合を開催いたします。皆様大変お忙しい中、ご出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、本部会の最初の会議に当たります。後ほど部会長をお決めいただくことになっておりますので、それまでの間、便宜的に、私、スポーツ庁政策課企画調整室長の赤間が議事を進めさせていただきます。
資料につきましては、議事次第に記載されております一覧のとおりです。会議室にお越しの委員の皆様には、机上にも配布をしております。資料につきまして不足等ございましたら事務局までお申し付けいただきますようお願いいたします。
それでは、本日御出席の委員の方々を50音順にて御紹介をいたします。資料の1-1に委員名簿を添付させていただいております。まず、オンラインで御参加になりますが、安藤 梢委員でございます。
【安藤委員】 よろしくお願いします。安藤です。
【赤間室長】 続きまして、岩田 史昭委員でございます。
【岩田委員】 岩田でございます。初めて参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【赤間室長】 続きまして、延與 桂(えんよ かつら)委員、オンラインからの御参加でございます。
【延與委員】 延與でございます。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 続きまして、オンラインからの参加、大塚委員でございます。接続の関係でまだ入れていないかもしれません。……はい。続きまして、尾縣 貢委員でございます。
【尾縣委員】 尾縣です。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 大日方 邦子委員でございます。
【大日方委員】 大日方でございます。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 勝田 隆委員でございます。
【勝田委員】 勝田です。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 オンラインからの参加になります、川田 翔子委員でございます。
【川田委員】 京都府八幡市長の川田でございます。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 続きまして、久木留 毅委員でございます。
【久木留委員】 久木留です。よろしくお願いします。
【赤間室長】 桑井 亜乃委員でございます。
【桑井委員】 桑井 亜乃です。よろしくお願いします。
【赤間室長】 境田 正樹委員でございます。
【境田委員】 境田です。よろしくお願いします。
【赤間室長】 鈴木 寛委員でございます。
【鈴木委員】 よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 オンラインからの参加になります、髙橋 義雄委員でございます。
【髙橋委員】 どうぞよろしくお願いいたします。髙橋でございます。
【赤間室長】 土田 和歌子委員でございます。
【土田委員】 土田です。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 友添 秀則委員でございます。
【友添委員】 友添です。よろしくお願いします。
【赤間室長】 能瀬 さやか委員でございます。
【能瀬委員】 能瀬です。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 原田 裕花委員でございます。
【原田委員】 原田 裕花です。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 平野 早矢香委員でございます。
【平野委員】 平野 早矢香です。どうぞよろしくお願いいたします。
【赤間室長】 オンラインから御参加になります、藤原 正樹委員でございます。
【藤原委員】 パラスポーツ協会の藤原です。よろしくお願いします。
【赤間室長】 本橋 麻里委員でございます。
【本橋委員】 本橋です。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 諸橋 寛子委員でございます。
【諸橋委員】 諸橋です。よろしくお願いします。
【赤間室長】 結城 和香子委員でございます。
【結城委員】 結城です。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 渡邉 一利委員でございます。
【渡邉委員】 渡邉と申します。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 次にスポーツ庁からの出席者を紹介いたします。長官の室伏でございます。
【室伏長官】 室伏です。よろしくお願いします。
【赤間室長】 次長の寺門につきましては公務のため、後ほど参加させていただきます。審議官の橋場でございます。
【橋場審議官】 橋場でございます。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 スポーツ総括官で政策課長を兼務しております大杉でございます。
【大杉課長】 大杉でございます。よろしくお願いいたします。
【赤間室長】 そして私、施策課企画調整室長の赤間でございます。よろしくお願いいたします。
議題1に入ります前に、本日は本部会の初回の会合となりますので、スポーツ審議会及び本部会の概要等について私から簡単に御説明をさせていただきます。資料1-2、1-3をご覧ください。資料1-2がスポーツ審議会の概要ということになってございます。スポーツ庁の下に設置をされておりまして、スポーツ庁長官の諮問に応じて重要事項を調査・審議をする、そういった組織でございます。
委員につきましては、2頁にスポーツ審議会総会、12月に開催をされましたが、総会の委員20名を記載させていただいております。諸々の過去のスポーツ審議会の中で諸々ご審議いただいているところでございます。
続きまして1-3でございますが、スポーツ審議会における部会の設置についてということで、先月12月のスポーツ審議会総会におきまして部会の設置がなされております。本スポーツ基本計画部会につきましても、この中で第3期スポーツ基本計画の中間評価や第4期スポーツ基本計画について調査・審議することということで設置をお認めいただいているというところでございます。
それでは、議題の1、部会長の選任に移らせていただきたいと思います。スポーツ審議会令第5条第3項の規定によりまして、部会長は部会に属する委員の互選により選任をすることとされております。どなたか御推薦を頂けませんでしょうか? 結城委員、お願いいたします。
【結城委員】 部会長として渡邉委員をご推薦いたします。渡邉委員は現在、スポーツ審議会総会の方において会長代理を務められているとともに、スポーツ振興の関係で研究調査、それからデータの分析などを行い、それから、スポーツ財団の理事長を務められています。スポーツ政策全般に関して深く精通しておられます。それから、スポーツ審議会の発足当初から委員を務められ、第3期スポーツ基本計画の策定の議論にも参画されている他、健康スポーツ部会の部会長を務めていらっしゃいました。渡邉委員のこうした経験から、スポーツ基本計画部会をおまとめいただくのがふさわしいと思います。
【赤間室長】 結城委員、ありがとうございます。ただいま結城委員から部会長に渡邉委員の御推薦がございました。皆様、いかがでございましょうか?
(「異議なし」の声あり)
【赤間室長】 ありがとうございます。それでは、渡邉委員が部会長として選任をされました。恐れ入りますが、渡邉委員には部会長席にお着きいただくとともに、一言御挨拶を頂ければと存じます。
【渡邉部会長】 改めまして皆さんこんにちは。部会長に選任いただきました渡邉と申します。本部会の役割につきましては皆様御承知のとおりでありますが、第3期スポーツ基本計画の中間評価を行うと同時に、改善すべき取組、あるいは新たに実施すべき取組を、後半期に向けて示すといったことが一つの役割と思っています。また、第4期スポーツ基本計画の策定に向けて、この部会で検討すると伺っております。見渡しますとスポーツ界の様々な分野で活躍されている皆様を前に、本当に部会長をしていいのだろうかという思いもありますが、結城委員からご紹介いただいたとおり、発足以来ずっと審議会の委員を務めておりますので、大任ではございますが務めさせていただきます。部会の円滑な運営に努めますので、皆さんの御協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【赤間室長】 ありがとうございました。続きまして、部会長代理の決定をお願いしたいと思います。部会代理は、部会長に事故等があった際に職務を代理いただくことになります。部会長代理の選任につきましては、スポーツ審議会令第5条第5項の規定により、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名することとされております。それでは、渡邉部会長、お願いいたします。
【渡邉部会長】 ただいま御説明がありましたけれども、私といたしましては勝田委員に部会長代理をお願いしたいと思います。ご高承のとおり勝田委員は東海大学特任教授として、また、同大学のスポーツプロモーションセンターの次長を務められております。これまでスポーツ・インテグリティ、スポーツ情報戦略、あるいは教育者育成等、幅広い分野に精通しておられます。また、これまでのスポーツ・インテグリティの部会の委員であるとか、他省庁も含めた様々なスポーツに関する会議の委員も務めていらっしゃいます。私としては勝田委員にぜひお願いしたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、勝田委員から一言お願い申し上げます。
【勝田部会長代理】 ただ今ご指名いただきました勝田です。渡邉部会長から大変身に余るお言葉をいただきました。精一杯しっかりと務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。それでは、次の議事に入ります。議題2、スポーツ審議会スポーツ基本計画部会運営規則(案)について、事務局より御説明をお願い申し上げます。
【赤間室長】 資料2、それから参考資料1-1、1-2、1-3、こちらについてご説明させていただきます。中心になるのは資料2でございます。こちらはスポーツ審議会、この計画部会の運営に関しましての規則ということでございます。内容につきましては、第2章のところで準用と書いてございますが、端的に申し上げますと、総会の部会の運営に関すること、それから、総会の会議の公開に関する規則というものを、この部会にも基本的には準用させていただくという形で、同じようなやり方で進めさせていただくということでお示しをさせていただいております。以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。ただ今の御説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。なければ、進めていきたいと思います。ありがとうございます。
続きまして、本部会の運営規則につきまして、原案のとおり決定させていただいた次第なのですが、ここから議事を公開させていただきたいと思います。報道関係者の入室を許可いたします。報道関係者より会議の撮影・録音を行いたい旨の申出を頂きましたので、許可いたしますのでご了承ください。また、一般の方につきましてはライブ配信での傍聴とさせていただいております。よろしくお願いします。
(報道関係者 入室)
【渡邉部会長】 よろしいでしょうか。改めまして、先ほどの議事におきまして部会長に選任されました渡邉と申します。スポーツ基本計画部会の役割を十分認識しながら、第3期スポーツ基本計画の中間評価、並びに後期に向けました改善案等の取りまとめ、更には第4期スポーツ基本計画の策定に向けて、円滑な部会運営に努めてまいります。また、部会長代理として勝田委員を指名させていただきましたので、お知らせ申し上げます。それでは、スポーツ基本計画部会の発足に当たりまして、室伏長官より御挨拶を頂きます。
【室伏長官】 皆さんこんにちは。改めましてスポーツ庁長官の室伏です。本日は大変御多忙の中、スポーツ審議会スポーツ基本計画部会の第1回会議にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。代表しまして私の方から一言ご挨拶申し上げます。
第3期スポーツ基本計画は、令和3年から東京大会の前後を通じ、委員の皆様の御議論、御審議を経て、令和4年3月末に東京大会のスポーツレガシーの継承・発展に向けて策定してまいりました。この中で皆様にオンラインでお集まりいただくなど、新しいスタイルを取り入れながら作られた計画になります。
策定以降、昨年にはパリ大会が有観客で開催され、日本選手団が輝かしい結果を収めました。また、深刻な少子高齢化が進み、日本全体の活力を取り戻す必要が生じる中で、社会状況も大きく変化してまいりました。今年度は5カ年計画の3年目に当たりまして、中間評価を実施する必要があります。前半3年間の取組について進捗状況を確認し、こうした社会状況の変化等を踏まえて、新たに実施すべき取組や改善すべき取組等を検討し、その結果を来年度以降の施策実施や、そして次期の4期の計画につなげてまいりたいと思っております。
これからの委員の皆様方に短期間での各施策についてご議論いただくことになっておりますが、御負担をお掛けすることもあるかもしれませんが、皆様の御経験を踏まえた御知見をお借りしながら、様々な課題を整理し、今後の方向性を示してまいりたいと思っております。
スポーツは、喜びや感動等といったスポーツそのものの価値にとどまらず、共生社会の実現、経済や地域の活性化、国際協力等、様々な場面で人々や社会に貢献する価値を有するものだと思います。国民の皆様に感動していただけるスポーツ界を実現できるよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。委員の皆様におかれましては、後ほど意見交換の時間を設けております。そちらで併せて行っていただきたいというふうに思います。
それでは、議題3、第3期スポーツ基本計画の中間評価並びに第4期に向けた意見交換に入ります。第3期スポーツ基本計画につきましては、今年度が5年間の計画期間の中間年度に当たります。中間評価を実施することとなっており、先月開催されましたスポーツ審議会総会におきまして、その進め方が示されたところでございます。本日は、まずは事務局から議論の前提となります第3期スポーツ基本計画、あるいはロジックモデルの概要をご説明いただきたいと思います。そして事務局の説明の後に、委員お一人ずつ自己紹介も含め、第3期計画、第4期に向けた御意見をご発言いただきたいというふうに考えております。それでは、御説明をよろしくお願いします。
【赤間室長】 そうしましたら、お手元の資料3-1から3-5、それから参考資料3-1、こちらを用いまして御説明をさせていただきます。まず資料3-1でございます。こちらは今回議論の対象となりますスポーツ基本計画について簡単に触れさせていただいております。スポーツ基本法、平成23年にこれまでありましたスポーツ振興法を議員立法によって前面改正をいたしまして、スポーツに関する基本理念等、それから国の責務等を定めたスポーツ基本法、こういったものが成立しております。この基本法に基づきまして、文部科学大臣がスポーツの推進に関する基本的な計画、いわゆるスポーツ基本計画を策定すること、そしてまた、地方公共団体がこれを参酌をして、地方の計画を定めるよう努めること。こういったことが規定をされてございます。
この規定を受けまして、基本法が成立した後に、この5カ年の計画であるスポーツ基本計画というものを5年おきに定めてきたわけでございますが、先ほど長官からも御説明がありましたとおり、この現行の計画は第3期のスポーツ基本計画、令和4年の3月に決定をした計画でございます。対象期間につきましては令和4年度から8年度までの5年間ということになってございます。
真ん中に黄色い網掛けで書いてございますが、ここの部分が正にその総合的かつ計画的に取り組むべき12の施策群ということになりますが、そういったものを簡単にお示しをしているものでございます。マル1からマル4の辺りが正しく地域スポーツでありましたり国際競技力の向上、あるいは国際交流、それからDXの推進等、そういったスポーツの振興・推進という部分。それからマル5からマル8にかけては、スポーツを通じて様々な社会課題、そういったものに寄与していくといった部分での健康増進でありましたり成長産業化、地方創生、まちづくり、共生社会の実現。こういったものを記載させていただいております。それからマル9からマル12にかけましては、正にこういったスポーツを支えていく様々な団体のガバナンスでありましたり、基盤となりますハード、ソフト、人材、それから安全・安心の確保、インテグリティの確保。こういったものを記載させていただいてございます。
今回のこの3期のスポーツ基本計画の中におきましては、先ほど来ご説明いただいておりますように、第3期の取組状況、これは毎年度定期的にフォローアップをさせていただいているわけでございますが、中間年度にあたりまして第3期計画の前半期の取組を評価していくということが記載されております。また、こういった内容を第4期のスポーツ基本計画の策定に向けた検討にも活用していくべきであるということが記載されてございます。したがいまして、この部会におきましては、この中間評価についての御議論と、第4期のスポーツ基本計画策定に向けまして、様々な御示唆を頂きたいというふうに考えてございます。
資料3-2が、スポーツ基本計画中間評価のスケジュールということでございます。令和6年12月、先月でございますが、スポーツ審議会の総会がございまして、正しくこの部会の設置が決定され、中間評価の進め方について御議論を頂いたところでございます。本日はこの赤枠囲みの第1回の計画部会ということで、中間評価の全体像をご説明した上で意見交換を頂くというような形で考えてございます。
その後、基本計画部会でございますが、これは委員の先生方との日程調整がございますが、3回ほど開催させていただければというふうに思っておりますが、第2回、第3回の部会辺りで具体的な中間評価の案を私どもの方から御提示をさせていただき、こういったカテゴライズをしながら御議論を頂きたいというふうに考えてございます。その後に中間評価についての取りまとめ、最終的には総会の方に御報告をさせていただいて中間評価案を決定すると。こういうふうなプロセスを考えてございます。
続きまして、資料3-3でございます。資料3-3につきましては、先月の12月のスポーツ審議会総会におきまして、この基本計画の中間評価の進め方に関してご審議いただいた際に頂いた御意見を簡単にまとめさせていただいたものでございます。科学的な視点、エビデンスを用いて、それからグローバル、地域、様々な視点からの点検、評価、そういったものが重要であるという御意見。あるいは、障害のある児童生徒の学校体育・部活動における見学をなくし、指導の充実が図られることが重要であるといった御意見。それから、分野としては人材育成という部分が重要であるという御意見や、女性の活躍、少子化対策、あるいは更年期対策という観点で健康へのスポーツの果たす役割、こういったものに対する記載についての御意見がございました。
それから、国際競技団体、IFの役員を増やしていくというところに関しましては、役員だけではなく職員の数も増やしていくということが大切であるというような御意見。それから、スポーツ団体の組織基盤の強化というものにつきましては、東京大会の後、自国開催の求心力というものがなくなっておって、スポンサーの獲得等も難しい団体もあるので、こういった問題は極めて重要であるといった御意見。それから、後ほどご説明させていただきますが、KPIとかロジックモデルとか、そういったものに基づく数値データだけではなくて、実際に現場でどういうふうに活用され効果が実感されているかという、いわゆるその質的な部分での評価というものも大変大事ではないかというような御意見を頂いております。
それから、この計画を策定した時の社会状況、そういったものを踏まえながら計画が策定されているわけでございますが、様々な変化がその計画策定時を上回るスピードでいろいろ進んでいるという中で、この変化に対して今後どのようにスポーツ行政があるべきかという視点も持ちながら評価をするべきであるといった御意見。最後でございますが、EBPM、科学的根拠に基づいたスポーツ政策の立案ということでKPIが設定されているというところに関しまして、先ほど申し上げましたような社会状況の変化、こういったものを踏まえて様々な課題に対しての評価というものをしっかりとしていくということに関して御意見を頂いたところでございます。
続きまして、資料3-4というところで、第3期スポーツ基本計画の中間評価について、全体イメージといった資料がございます。こちらについてご説明させていただきます。2頁から6頁にかけましては、いわゆるロジックモデルといわれているものでございますが、先ほどご説明させていただきました基本計画の中に様々定められております施策、こういったものを共通のテーマでくくり出しまして、それにつきまして様々なアクティビティ、そういったものから出てくるアウトカム、それを踏まえてどういった社会的なインパクトを狙うのかというところ、こういったものを可視化したロジックモデルというものを作成させていただいてございます。これにつきましては、これまでのスポーツ審議会総会の中でも御報告をさせていただいて、こういう形になっているというところでございます。
1つ目の柱が、東京大会を契機といたしました共生社会の実現、それから、多様な主体によるスポーツ参画の実現ということで、左側に4つほどアクティビティということで、子供・若者のスポーツ機会の充実、あるいは国民スポーツ機会の創出、スポーツによる健康増進、障害者スポーツの推進、身近なスポーツの実施環境の整備ということで、4つほどこういった内容をお示しをさせていただいております。
左側に丸印で1、5、8、10というようなことが書いてございますが、これは基本計画の中で定められている12の施策ということで冒頭ご説明させていただいた内容の対応する番号をお示しをしているものでございます。こういったアクティビティに伴って、アウトカム、それからインパクトというふうな流れが右に流れていくわけですが、その中で様々なKPI、数値目標を設定をいたしまして、その効果が十分に発現されているかというところを毎年度確認をしていくというようなことをやっております。
3頁目は、これについて競技力向上について同じようなものをお示しをしているものでございますが、国際競技力の向上、それから国際交流、協力のための基盤作り、ドーピングの防止活動ということで、3つほどテーマを設定をして、こういったロジックモデルを設定してございます。
4頁目につきましては、これはオリンピック・パラリンピック競技大会におけるメダルの獲得数・入賞者数の推移ということで、KPIの中でこういったメダルの獲得数等を設定させていただいております関係で、直近のパリ大会の結果も含めて記載をさせていただいてございます。御参考でございます。
5頁につきましては、スポーツDXの推進、それからスポーツ団体の組織基盤の強化というテーマで、左側にありますとおり先進デジタル技術やデータ活用の促進、ガバナンス改革や経営力の強化、それから安全・安心なスポーツ環境の創出ということで設定をさせていただいてございます。
6頁目が、スポーツを通じた地方創生、日本経済の活性化ということで、スポーツ産業の活性化支援、それからスポーツを通じた地方創生、まちづくりの取組の増加ということで設定をさせていただいているものでございます。
7頁から10頁につきましては、今のロジックモデルの中で御説明をさせていただきました様々なKPI、各分野における指標の例をお示しをしてございます。それぞれのテーマごとに様々なKPIが設定されておりまして、共生社会、それから多様な主体によるスポーツ参画の実現ということに関しましては、ここに記載をされているようなKPIが設定されているということでございます。従来からありますようなスポーツ実施率のこともあれば、様々な民間団体、あるいは企業と連携した取組としてコンソーシアムの加盟団体数等も記載させていただいてございます。
8頁・9頁以降も同じような形でKPIを記載させていただいてございます。スポーツDXの推進、スポーツを通じた地方創生、日本経済の活性化、それから10頁につきましては、競技力の向上、それからスポーツ団体の組織基盤強化ということで、KPIの数字をお示しさせていただいてございます。計画の初年度、4年度から現在までの変化というところをお示しをさせていただいておりますが、6年度につきましては現在進行形ということでブランクになっているものが多いのでございますが、こういったものを整理をしていきながら評価をしていただくということを考えてございます。
それから、11頁から17頁につきましては、こういった数値目標の達成具合ということだけではなくて、当然取組の施策の進捗状況というものを確認していくというところが重要なところになりますので、そういったものについての進捗状況を示した資料ということで、こちらにつきましては次回以降、令和4年度から令和6年度の進捗状況について整理したものを提示をさせていただきたいというふうに考えてございますが、今回は御参考といたしまして令和5年度の進捗状況について、これは昨年度のスポーツ審議会の中でご報告させていただいた内容を御参考までにお示しをさせていただいてございます。こちらにつきましても、ロジックモデルをベースとしながら令和5年度の進捗、それから令和5年度の課題、それに対する対応、そして令和6年度以降の取組という形で、左側に帯がございますが、そういった対応関係の中でそれぞれの施策についての進捗の御説明をさせていただいているというようなところでございます。
全ての内容についてここで取り上げるというところがなかなか難しいところでございますので、まず1つ目の柱の中でいくつか御参考までにご説明させていただきますと、12頁目のところで、中ほどの令和5年度の課題ということで、例えば上から2つ目でございますが、部活動改革の関係がございます。これに関しましては現在、各自治体の方で様々な実証事業に取り組んでいただいているところでございますが、そういった取組の中で、この地域クラブ活動への移行に向けた取組を広げていくということ、それと同時に、より多様な地域クラブの活動のモデルを構築していくというようなことが必要であるというようなところが課題として挙げられております。
それから2つ下に行きまして、国民のスポーツ機会の創出、あるいはスポーツによる健康増進というところで、20歳以上のスポーツ実施率が減少傾向にある。特に女性や働く世代のスポーツ実施率が低いというところ。それから、スポーツと健康の関係、あるいはスポーツを通じたライフパフォーマンスの向上といったところにつきましては、エビデンスや医科学の知見の活用に向けて調査研究に取り組んでいるものの、その活用や普及・促進、それから国民への周知・啓発において、更なる取組が必要であるということ。
その下の障害者スポーツの推進でございますが、障害者のスポーツ実施率が依然として一般よりは低くなっているという中で、ここに書かせていただいているような様々な障害者のスポーツ実施環境の整備が必要だということ。それから、地域の障害者スポーツ振興の拠点といたしまして、障害者スポーツセンターの整備。こういったものが必要であるというようなことが課題として挙げられております。
こういったものを受けまして13頁のところで、上から2つ目、部活動改革のところでございますが、所要の予算を計上するとともに、令和6年度、これは改革推進期間の2年目ということ、今年度でございますが、2年目を迎えるということを踏まえまして、事業の規模を拡大して実施をするとともに、重点地域を指定して政策課題への対応を推進するといったこと。それから、国民のスポーツ機会創出のところにつきましては、Sport in Lifeの理念を拡大して、表彰や認定に関する更なる情報発信、取組モデルの創出や普及、こういったものに努めていくということ。
それから4つ目のポツでございますが、スポーツ医科学の知見の活用、それから健康増進への効果、こういったものをエビデンスに基づき示していくために大学や研究機関等と連携した調査研究、こういったものを拡充をし、国民への普及というものに、周知・啓発等により一層取り組んでいくというような内容。それから障害者スポーツにつきましても、障害者スポーツ団体と民間企業、地方公共団体から構成されるコンソーシアム、こういったものを構築・運営をしていくということ。あるいは実態把握が十分でない障害種に対する調査・研究というものを進めていくということ。3つ目のポツでございますが、障害者スポーツセンターの機能強化に対しての重点的な取組を行っていくというようなことが、令和6年度以降の方向性として書かせていただいてございます。
続きまして資料の3-5でございます。今縷々(るる)御説明をさせていただきました概要でございますが、こういったものにつきまして、個別施策ごとに今後、次回以降ということになりますが、指標、それから関連するグラフ、2頁目以降につきましては取組の状況、進捗の分析、課題、それから今後の施策の実施の方向性ということで、先ほどご説明したような構成に基づいて、こういったものをフォーマットとして提示をさせていただいて、先生方に具体的にご議論いただきたいというふうに思っております。私からの説明は以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。資料が膨大だということと、皆さんのお手元に届いたのが2日ぐらい前ですかね。読み込むのは大変だと思います。ここの委員の方は第3期の計画作りに関与された方もたくさんいらっしゃるのですが、そうでない方も複数いらっしゃいますので、これからの議論の中で、今お話があったことに関して分からないところは分からないと素直に質問していただいても結構かと思います。ありがとうございます。
それでは、最初の会議ということもありますので、委員の皆様方から簡単な自己紹介をしていただきながら、今の説明に関しましての質問なり意見なりを頂きたいと思います。安藤委員から五十音順で御発言を頂きたいと思います。結城委員の御発言の後に私の方が最後に発言をさせていただきます。誠に恐縮ではありますが時間の制約等ございまして、お一人2分程度ということで御発言をお願いできたらというふうに思います。なお、一巡した後、時間がありましたらもちろん追加の御発言を受けたいと考えております。それでは、最初にオンラインで御参加の安藤委員、お願いできますでしょうか。
【安藤委員】 こんにちは。筑波大学の安藤 梢です。オンラインで失礼します。よろしくお願いします。現在私自身が女子サッカーの選手としてまだプレーしていることと、なでしこジャパンとしても15年近く代表でプレーしていた経験もありまして、そういった立場から意見をさせていただきたいと思います。
施策の中で国際競技力の向上、女性スポーツの向上、女性活躍に関して更なる強化の検討が必要ではないかと考えております。女子サッカーを例に挙げてとなりますが、欧米では女子のサッカーの環境が急激に向上していまして、それによって競技力も急激に上がっていまして、日本も世界との差が広げられてしまっているというのが現状です。
ここ最近ワールドカップ、オリンピックで優勝しているスペインの例を挙げさせてもらいますと、2015年にスペインの政府がジェンダー平等の一環として開始したプログラムが大きく影響しています。女性スポーツの推進強化を目的として、男子と女子の代表チームやリーグの選手の報酬や待遇に大きな差があった点を政府が中心となって改善した例があります。そういった世界のジェンダー平等の取組と比較しますと、日本のスポーツのジェンダー平等の意識は大きく後れを取っていると感じています。
こちらはサッカーの例に過ぎませんが、スポーツにおいてのトップレベルでのジェンダー平等の取組を強化することで、社会全体がスポーツを通してジェンダー平等の意識が改善されるのではないかと考えています。それによって女性のスポーツ実施率の向上も期待できるのではないでしょうか。
また、女子スポーツ全体の競技力が上がり、子供たちも女子スポーツに対して大きな夢を持てるようになるのではないかと考えております。以上になりますが、私からの意見とさせていただきます。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、岩田委員、お願いします。
【岩田委員】 日本スポーツ協会(JSPO)常務理事の岩田でございます。初めて基本計画部会に参加させていただきます。よろしくお願いします。この基本計画において、各論的には、主語がJSPOになっており、JSPOとしてしっかりと取り組まなければいけない点として、例えば運動部活動の地域展開の受け皿となるクラブの登録認証制度や、人材育成における公認スポーツ指導者のハラスメント防止の施策等があります。今回は、少し各論は置いておいて、私からは総論についてお話いたします。
スポーツ基本法は、先ほど赤間室長からご説明ありましたとおり、地方公共団体はこれに基づき斟酌して地方スポーツ推進計画を定めることと基本法に定められており、スポーツ団体もこの基本計画に基づき計画を策定するということを大原則として皆で取り組んでいるところです。JSPOも以前はスポーツ振興方策や推進方策として少し文字の多いものをつくっていましたが、あまり読んでくれないということで、2023年3月に「JSPO中期計画2023-2027」を策定しました。これまでの推進方策とはちがい、JSPOの中長期的な事業計画であることが一目でわかるよう、名前も「JSPO中期計画2023-2027」とシンプルに変更しました。この中期計画は2023から2027の5ヵ年計画になっており、EBPMに基づき策定しています。これは我々の加盟団体であります47都道府県スポーツ協会と71の中央競技団体、それから関係スポーツ団体あわせて126の加盟団体の皆様とともにスポーツの推進に取り組んでいこうという名目でつくりました。もちろん、各団体の取組については、日本陸連は陸上競技のサッカー協会はサッカー競技のそれぞれの競技特性があり、47都道府県スポーツ協会も地域の特性がございますので、独自色が出ても全然構わないと思いますし、独自色があった方が尊重できると思っています。
そのような点も考慮する訳ですが、このスポーツ庁の「スポーツ基本計画」がそれぞれの根底にはあることは、絶対ぶれてはいけないということを念頭において、我々が統括団体としてリーダーシップを発揮して、この基本計画の推進に邁進(まいしん)していきたいと思っております。この中間評価と、第4期に向けたというところで微力ながらお手伝いできればと思っています。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続きまして、延與委員、お願いします。
【延與委員】 東京都障害者スポーツ協会の延與でございます。リモートで失礼いたします。また、今回初めての参加ということで、膨大な計画の資料に圧倒されているところですが、よろしくお願いいたします。
私は今の仕事の前は東京都のオリパラ準備局で東京2020大会の招致、開催準備、開催、その後まで担当しておりまして、それを通じてパラスポーツの素晴らしさ、特に社会に与えるプラスのインパクトにすごく感銘を受けて、すっかり今はのめり込んでいるという感じなのですが、御報告の中に少しありましたが、パリのパラリンピックの選手の活躍は本当素晴らしくて、それは東京大会に向けて、東京都もですがスポーツ庁さんや競技団体がやってきたこと、さらに重要なのは、東京大会の後もはしごを外さずに、しっかり進めてきたことの成果がすごく表れたなと思っております。関係各位に心から敬意を表します。
でも一方で私が実は密かに一番喜んでいるのは、東京における障害者スポーツの実施率が大会前と比較して10ポイント跳ね上がって、今46%台まで来ています。本当に素晴らしいし、これを維持継続、更に高め、また、日本全体に広げるためにどうしたらよいかということが大事なのかなと思っております。
最近の私のささやかな問題意識を2点と、今回の会合にあたって少しお願いしたいことの1つを申し上げます。問題意識の1つ目としては、一般の障害者の裾野のスポーツを広げることがすごく大事だと思っているのですが、それを高齢者とか女性とかスポーツが苦手な人のスポーツ機会を高めていくことにもう少しつなげていけないのかなと思っていまして、大体スポーツ好きな人はスポーツをやっているので、これからはスポーツに縁がない人をどう巻き込むかというところが、障害者も子供も女性も少し似ているところがあると思っていまして、そういう縦割りでない仕事の進め方を模索できないかということを考えています。
もう1点、私が心配しておりますのは、地域におけるパラスポーツの担い手が不足していることです。スポーツ指導員の高齢化もありますし、やはり事業を企画する区市町村の人員不足とか、人事異動でノウハウがつながらなかったり、非常に現場の悩みは深いです。これを民間の力とか自治体同士のネットワークとかで何とか高めていけないかなというのを日頃から考えておりまして、この審議会での議論をまたいろいろ自分の中に取り込んでいければと思います。
それから、この計画、いろいろ資料を拝見しまして、ロジックモデルとかKPIとか非常に面白くて参考になるものがたくさんあったのですが、これは最終的にまとめて国民に問うていくときに、ここまで細かく多岐にわたるものがなかなか国民に刺さるのかなと。細かい議論をする一方で、この間に何ができて、何が一番できてなくてやらなければいけないかということを、もう少しストレートに国民に伝わるようなポイントを絞ったメッセージの出し方というのも必要ではないかなと思って、これからの審議会の中でいろいろ教えていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 延與委員、ありがとうございます。続いて、尾縣委員、お願いします。
【尾縣委員】 JOCの専務理事、選手強化本部長の尾縣でございます。また、日本陸上競技連盟、そして東京2025世界陸上財団の会長を務めております。最初に御礼申し上げます。こういった形でスポーツ基本計画を取りまとめていただいていることで、スポーツ界だけではなく、関連する様々な分野から大変な協力を頂ける、そういう状況に今はなっております。そしてパリのオリンピックではTEAM JAPANの団長を務めさせていただきましたが、第3期スポーツ基本計画の数値目標の一つである「オリ・パラ等での過去最高水準の競技成績」について、海外でのオリンピックでの最高の成績ということを、金メダル数、そしてメダル数で達成することができました。これもJSCをはじめ関係団体の皆様の御協力のおかげだと思っております。
ただ、結果の上では成功といえるのですが、いくつか問題も発生しております。まず、SNS等でのアスリートへの誹謗中傷がございます。これに対してはいち早くスポーツ庁の皆様が反応してくださり、政策としても取り上げていただいております。私たちは今後、この問題に対し、どう取り組んでいくか、進めていくかということを真剣に考えてまいりたいと思っております。
もう一つは、この持続可能な選手強化の観点からアスリート及び指導者のWell-beingにも取り組んでいく必要があると思っております。そして最後に、当然ながらオリパラ等でのメダル獲得というのは非常に大切なことではありますが、アスリートがそこに至るまでの背景であるとか、そのプロセスについても注目をし、社会のロールモデルとして示していくことも必要だと思います。こういったことにより、国民の皆様の感動を一層高め、スポーツをより身近なものに感じていただけるのではないかと思っております。私たちJOCとしても、新たなスポーツの価値を見いだし、それをスポーツ界全体で一丸となって育ててまいりたいと思います。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 大日方 邦子と申します。スポーツ基本計画には最初の1期から関わらせていただいております。3期におきましては計画部会の部会長も務めさせていただきまして、自分たちも含めて作ってきたものをしっかりとこちらでまた中間評価していきたいと思っております。
バックグラウンドとしましては、パラリンピックの冬のスポーツ、アルペンスキーの競技を長くしてまいりました。そういった視点からパラリンピック、冬季スポーツ、そして女性といったような立場で話をしていければと思っております。また、現在は競技団体の経営・運営にも3団体ほど関わらせていただいておりまして、所属先の電通ではクライアントである企業様からのスポーツに対する考え方等、お話を聞く機会を多く頂いております。また、長く住んでおります渋谷区の方では教育委員、そしてスポーツ協会の理事等も務めておりまして、これは比較的新しいことなのですが地域の基礎自治体の中でのスポーツ団体の役割をいただき、そういった視点からも考えさせられることが多いなと思っております。
そうした中で最近気になることを申し上げます。スポーツをする・見る・支えるの視点からどういったことをやっていけるかとアイデアを募ると、するとか見るというところに関してはたくさんのアイデアが出てくる一方で、支えるというところについてアイデアが余り出てこない、そういった印象を2、3の機会の中で感じております。その中で特に感じる課題が、スポーツを支える人材が固定化してしまうということ。抱え込んでしまっているという側面もあるが、次世代へとつないでいき発展していく、そういった枠組みをつくるのが、パラスポーツそして地域共通の課題だなというふうに認識をしております。それが1つ目。
そして2つ目としまして、これはパラスポーツに関することですが、オリパラ東京大会を通じて非常に共生社会への関心が高まり、持続をしているというところでは有り難いなというふうに思いますが、一方で競技力を向上していく選手たちが、裾野にいるこれからの選手とトップアスリートとの差が、競技力、そして競技環境といった点でも大きく差が広がっているなと感じています。こういったものをどうやってうまく橋渡しをしてスポーツ振興の拡大につなげていくか、そういった視点が必要ではないかなというふうに感じております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、勝田委員、お願いします。
【勝田部会長代理】 先ほど部会長から身に余る御紹介を頂きました。その御紹介の中でいくつかキーワードになっているところで、この中間評価についての全体イメージと関わりの深いところの背景などを少しお話をさせていただいて、自己紹介に代えさせていただきたいと思っております。
まず競技力強化・向上に関わるところでございますが、これはちょうどアテネオリンピックの前辺りから関わらせていただきまして、ここにメダル獲得数とか入賞数ということが出ているのですが、この頃からメダルの獲得数だけではなくて、この数字の背景には、もう皆さん御存じのとおりだと思うのですが、メダル獲得種目、こういった様々な種目で活躍できるようにするためにどうしたらよいかということもずっと関係者の皆さんたちと話をさせていただいたりしてきました。
その背景にあるのは、またもう一つキーワードとして、夏のスポーツ、夏のオリパラ一体、あるいは夏冬一体、オリパラ一体と連携・共同するという基本法の概念に基づきまして、様々な団体がそれぞれのコアロールをしっかりと尊重しながら連携・共同すると。そういうことで皆さんが活躍できるような協力・強化を進めていくということでやってきました。そういう中にパスウェイとかそういう事業の話があったり、医科学の連携とかそういったことがあったり、あと地域と学校、大学も含めてですが、そういったところの連携とか、ドアをしっかり開けてつないでいこうということがあります。これはさらに昨今の社会課題とか状況を考えると、更に重視して皆さんで連携・共同を進めながら新たな時代に向かっていくということが非常に大事だろうと思います。
2点目、これが最後です。インテグリティの話が出てきました。これにつきましても、インテグリティという言葉はどういうふうに訳したらよいのかとよく聞かれるのですが、これも日本語への訳し方が多様です。マネジメントの対価といわれているピーター・ドラッカーは「真摯さ」と日本語の書物では訳していますし、ラグビーのゲームのインテグリティは「品位」と訳されておりますし、欧州評議会が近年2020年に出してきたインテグリティガイドラインの中にはスポーツのインテグリティは持続可能な社会の発展の貢献の前提条件であるというような記述も見られます。その中のカテゴリーとして人のインテグリティ、それから、いわゆる競技といいますか、集まりといいますか、イベントといいますか、こういったもののインテグリティ、それと3つ目が組織のインテグリティというふうな置き方もされながら、そこで社会の持続可能な発展に貢献していくためのインテグリティを保護するということと最大化するということが非常に重要であるというような記述が見られます。保護するというのはプロテクトですので、ネガティブなものから守りましょうということです。最大化しましょうというのは、スポーツの持っている可能性とか価値とか、様々な学び、つながり、居場所も含めてですが、そういったものを更によりよく高めていきましょう、広げていきましょうという、私はこれをポジティブアプローチと呼ばせていただいているのですが、そういったことも念頭に置きながら、この部会での議論に参加していきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いてオンラインの川田委員、お願いできますでしょうか。
【川田委員】 皆様、オンラインで失礼いたします。京都府八幡市長の川田 翔子と申します。この審議会には初めて参加をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。本市といたしましては、スポーツ庁さんが開催されておられますスポーツ健康まちづくり学生コンペティションで本市事例が表彰を頂きましたり、筑波大学さんが行われておられますスマートウエルネスシティ、健康まちづくりですね。そちらの方に研究会でずっと参加をさせていただいてございまして、そういった御縁もあってお招きを頂いたのかなというふうに思ってございます。
私といたしましては自治体の長として参加をさせていただくという形になりますので、こちらで計画をされておりますスポーツ基本計画を、いかに市民生活、そしてまちづくりに効果的に浸透させていけばよいのかという視点。それから、今後ますます市民生活に重要な課題となっている少子高齢化における健康づくり、それから多文化、障害者を含めた共生社会の実現にどのように反映させていくのがよいかという視線で参加をさせていただければと考えてございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、久木留委員、お願いします。
【久木留委員】 ありがとうございます。日本スポーツ振興センターで理事をしております久木留です。私はその中でハイパフォーマンススポーツセンターのセンター長と国立スポーツ科学センターの所長も所掌として行っています。
その中で、今日は2つについて簡単にご説明したいと思うのですが、ハイパフォーマンススポーツというと、正に競技力向上だけというイメージがあるのですが、そのようなことはなく、いま市長がおっしゃったように、まちづくりにもハイパフォーマンススポーツセンターの知見というのは使えます。例えば女性アスリート支援、暑熱対策、栄養の面等、様々なことがあります。そのため、長官が今進めていらっしゃるハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへというところを私はキーワードにしながら様々なこの基本計画を見ていく必要があるというふうに考えています。
2つ目は、社会状況の変化というところでいうと、今般のパリ2024大会というのは、2つの観点でこれまでと大きな違いがあったと思います。その1つは、アスリートWell-beingというところで、メンタルヘルスを含めてアスリートの健康をどう守るかということがものすごく重んじられました。そこでは、例えばセーフガーディングオフィサーやウェルフェアオフィサーを置くということが新しくやられていました。ここを鑑みていくと、実はこの基本計画の中でうたわれている持続可能な国際競技力向上で過去最高の成績を取るというのは、実はもう時代と少しマッチングしないのではないかと思っています。例えばイギリスやカナダ、オーストラリアではwin wellという考え方が出ています。つまり、勝ち方を追求して、勝ちつづけることにこだわる。勝ち方を追求するというのは、要は何でもかんでも勝ったらよいのではないという意味です。だからアスリートのメンタルヘルスをしっかりと支えることも考えなければいけない。とはいえ勝ちつづけないとやはり注目をされない。だからそこにこだわるのですよというところは、相反するようですが実は時代はもうそういう方向で進んでいます。そうするとwin wellという考え方を日本流にどう落とし込むかということを考えていく必要があるというふうに私は考えています。
そういった意味では、今般、先ほど尾縣委員の方からもありましたが、海外大会においてメダル獲得数は過去最高だったが、東京と比べると実は減っています。そうすると、もうこの過去最高にこだわり続けるということは難しいと。例えば2000年から2024年の7大会、夏の大会を平均していくと、オリンピックでは最高で31個、そして最低で20個取らないと世界3位にはなりません。そうすると、この平均28個を取りつづけられるのかと考えると、これはなかなか難しい。そうすると、やはりwin wellという考え方を日本流に落とし込み、そしてハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへというところを発信していかないと、このハイパフォーマンス領域のスポーツというのは難しくなってくるなというのが今般のパリ2024大会の傾向だというふうに私は考えています。そういった観点で、この第3期のスポーツ基本計画を幅広く見直していくということに、いろんな形で情報提供できればと考えている次第です。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続きまして、桑井委員、お願いできますか。
【桑井委員】 こんにちは。桑井 亜乃です。今回初めて参加させていただきました。私自身はまだまだ分からないことがたくさんありますし、分からないことが分からない可能性が出てきてしまうので、まずはここは一つ学びの場として皆さんに付いていくことと、私も現場で学んだことをお伝えする場でもあると思っているので、しっかりそこはやっていきたいなと思っています。
私は今選手を引退してレフリーをしているのですが、リオの時に選手で出場させていただいて、今回のパリではレフリーとしてオリンピックに参加させていただきました。やはりラグビーは男子のイメージがあるのですが、そういったところ、選手と違う立場でオリンピックに行くことによって、男女で初めて世界で両方出たのが私が初めてになったので、そういった場でも皆さんのイメージをどんどん変えていけたらなと思っています。
後は、昨日参加させていただいたのですがスポーツ庁が行っている学校体育の訪問なのですが、子供たちの現状を肌で感じることができて、なおかつスポーツを好きになってもらえる機会というのを私自身は今現場で教えられることができるので、どんどんアスリーチにも参加させていきたいなと思います。すみません。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】 よろしくお願いします。境田委員、お願いします。
【境田委員】 境田と申します。この第1期、第2期もこの基本計画の策定に関わらせていただきました。私はこの10年ぐらいでいうとバスケットボール協会の理事、ラグビー協会の理事と大学スポーツ協会の執行理事をやっています。
それで、御案内かもしれませんが2015年に川渕さんと二人でBリーグを作ろうといってBリーグを作って、事業規模は当時バスケ界全体で100億円から、おそらく今年700億から800億まで行きます。当時2015年というと、国立競技場問題が大変世の中の注目を集めて、やはり箱物に対する批判というものがあったのですが、あえてバスケ界ではアリーナ、しかもただのアリーナではなくてお客さんが集い、楽しみ、応援できる、まちづくりに役立つアリーナを作りましょうという、こういう御提案をさせていただいて、これが好循環で地域の方々に喜んでいただき、バスケットBリーグの価値も上がっているということなのだろうと思います。
なので、今後はそうやってアリーナを作ってまちづくりという、バスケ界でだけではなくて、他の種目においてもインドアスポーツがそこで行けば、楽しめ、応援でき、幸せになれる、そういったところをこれから、横展開というのか、いろんな競技団体と一緒にやっていくのが必要だろうというふうに思っていますと。それが1つ目です。
後は、大学スポーツ協会というのは、大学スポーツというのが大学の課外活動ということで放置されていたのを何とかしましょうといって作ったのですが、なかなか資金が集まらないし、当初思い描いたような、これは友添先生もずっと一緒にさせていただいてますが、成果が上がらない。この原因といいますか、やはりやろうとしていたのはデジタルによってAIの力を使って何とかやろうと思っていたのですが、なかなかデータが集まらなかったり、いろんな企業との協力がうまくいかないというところが課題として今あります。
僕はこれから競技団体、スポーツ界が成長していくためにはやはり自治体がいかにスポーツをうまく使って、そういった地方創成・活性化につなげるか。そこにデジタルをいかに使うかというのは重要だと思っています。そのときに、自治体というのは全国に1,700あるわけですね。1,700の自治体がそれぞれ独自のシステムで独自のデータ等で独自のフォーマットでやって横連携ができないというのはまずくて、やはりデータというのは、もちろんそれぞれが持つ部分もあるのだけど、例えば匿名化とかして共有化して利活用するというのは絶対に必要なのです。そうすると最初の制度設計がすごく重要で、最初にもう作り込んでしまって後は横展開できませんといったら駄目なのですね。こういうところをいかにスポーツ庁でリードして、全国の自治体とうまく共有できる部分、統一すべき部分と、それぞれ任せる部分、これをちゃんと指針を示していく必要があるというふうに考えています。
そういうふうにビッグデータを使って何らかの新しい価値を生めるとなると、企業が絶対投資してきますので、部活の地域移行も、これはお金がないけど任せました、後はやってくださいというのでは駄目で、やはりここにいかにデジタル技術を使うかというのが重要になると思っていますので、そういったところの戦略をこれから考えていくということが次期スポーツ基本計画においても必要な一つかなと考えております。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 皆さん、こんにちは。鈴木 寛です。現在、東京大学と慶應大学でスポーツ政策、教育政策、文化政策、医療政策を教えております。それから、日本サッカー協会の理事を4期8年務めまして、現在は参与をさせていただいております。後はウェルビーイング学会というのができておりまして、その副代表・理事を、立上げ、Co-Founderでやらせていただいております。私は以前文部科学省の副大臣を2期、大臣補佐官を4期やりまして、2016年の東京オリンピックの招致、これは残念ながら失敗しました。それから2020年の招致、それから2019年のラグビーワールドカップの招致と開催に携わりました。それから、スポーツ基本法の制定に関わらせていただいて、というようなことで、どちらかというとそちら側とかそちら側でスポーツ審議会に携わっておりましたが、今回は委員ということで関与させていただきます。よろしくお願いいたします。
それで、いま友添先生と一緒に日本スポーツ推進機構の政策、スポーツ政策推進機構の理事は境田さんと一緒なのですが、スポーツ基本法の改正の委員会がございまして、その方も担当させていただいております。なので、おそらく第3期から第4期のこの議論の中でスポーツ法の改正の議論も俎上に上がってくるかなと思っておりますので、皆様方の御議論と連動させていきたいなというふうに思っています。
私がスポーツ基本法の改正とか、あるいはスポーツ基本計画の策定、あるいは見直しということで何度強調させていただいてもよいのだと思うのですが、やはり少子化が驚異的な勢いで進んでいると。10年前は100万人だったのですが、今は2023年が72万人です。へたしたら2025年は70を切るかもしれないと。ですからこれがもう10年経てば競技人口に跳ね返ってくるということですね。そういう中で、どれだけそもそも競技人口を確保できるのかということ。そのことがスポーツ全体のやはりシュリンクにつながるという非常に危機的な環境にあるということを、国民の皆さんも含めてシェアしていくということがとても重要だというふうに思っております。そういう中で、スポーツ権というものをどれだけ実質的に確保していくのかと。スポーツを通じたWell-beingをどうやって追求していくのかということは、相当真剣に考えていかないと大変だなと思っております。
それと、東京オリンピック、パラリンピックの強化がうまくいったということで、パリのオリンピック・パラリンピックまではその選手が活躍してくれたと思いますが、次はかなり入れ替えということになってきますし、そういう意味で、この地域スポーツとトップスポーツの好循環というのも前回の基本法策定の時に出たコンセプトですが、新しくこの基本計画部会の皆様方とご一緒にやはり新しいスポーツのコンセプトを出していくという、非常に重要なタイミングだなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、オンラインの髙橋委員、よろしいでしょうか。
【髙橋委員】 髙橋です。現在は早稲田大学でスポーツプロモーション、スポーツ政策の教育研究に当たっております。スポーツ庁さんの方ではいくつかの事業の委員会にも関わっておりまして、その関係で選出していただいたのかなというふうに思っております。
本日はアジアスポーツ政策学会の講演で台湾に出張しております。今回この学会でもシンガポール、韓国、日本、台湾のスポーツ政策の比較ということで議論がなされているのですが、アジアにおいてもスポーツの価値の多様化にどう対応するかということが非常にスポーツ政策において研究者の中で研究が進んでいるという現状でございます。特に日本のスポーツ政策についても非常に注目されていまして、台湾は来年度からスポーツに関係する省庁ができるそうで、日本のスポーツ庁ができて以降どのようなスポーツ政策が展開したのかなどという質問を受けているという状況でございます。
今回、まずは第3期の基本計画の中間評価を行って、しっかり進捗の把握をすること、これは非常に大事だと考えておりまして、しっかりとその任に当たりたいと思っています。それから、ラグビーのワールドカップ、オリンピック、パラリンピック等、こうした国際スポーツイベントを経験することで、我が国全体のスポーツ運営・経営に関わる人々の中で、やはりローカルなスポーツ村の意識というものから、ローカルであってもグローバルなグローカルなスポーツをどうマネジメントするというような意識に変わってきているというふうに認識しております。
今後ともグローバル化・産業化等、ますます社会の変化に対応したスポーツの価値を維持・拡大できるようなスポーツ政策が必要になってくると思っておりまして、バーチャルとリアルによる幸福な社会づくりといったSociety5.0ということがいわれていますが、そうしたSociety5.0を見据えた幅広いスポーツの価値をフォローするような基本計画が提案できるとよいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、土田委員、お願いします。
【土田委員】 皆さん、こんにちは。土田 和歌子です。私は競技歴は実は32年で、パラリンピック出場回数も多く、冬夏を含めて3つの競技を経験させていただき、今は陸上競技で車いすマラソンをやっております。東京大会での結果もあるのですが、昨年のパリ大会ではメダル獲得のためにJPC並びに競技団体の御理解を得て、国立スポーツ科学センターでの医科学サポートを受けながら取り組ませていただけたことで、メダル獲得には少し及ばなかったのですが、非常に悔しい思いはあったのですが6位に入賞できたと思っております。また、未だ可能性を感じて現役を継続できている結果であることにも深く感謝しております。ありがとうございます。
また、これまでも、これからもなのですが、こういった場は私にとって非常にハードルの高いものではあるのですが、必要としていただけることに感謝しまして、また、競技と1児の母としての両立等、これまでの経験を生かせる場として、また、これからは更年期等に自分自身差し掛かってきます。そういった意味では現役選手として体現していけることも多いのではないかというふうに考えております。
また、パラスポーツの発展はもちろんなのですが、障害者、高齢者へのスポーツの重要性を伝えていくことも大切なのかなというふうに思っております。勉強も含めましてお役に立てるよう努めてまいりますので、何とぞどうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。友添委員、お願いします。
【友添委員】 ありがとうございます。友添です。どうぞよろしくお願いします。スポーツとの関わりなどはこれまで余り話したことはないのですが、昔柔道をやっていた時期がありまして、同じ学年に山下JOC会長がいたものですから、もうこれは悔いなく、興味のあったスポーツの人文社会科学研究の世界に入っていきました。
ただ、柔道の経験からですが、やはりスポーツというのは本当に魅力的で、なかなか離れがたく、研究を重ねれば重ねるほどスポーツというのはいっそう魅力的で面白いものだというふうに思ってきました。ある意味では、それが私自身の研究の原動力になってきたように思っています。具体的には、スポーツ教育学とかスポーツ倫理学という領域を研究してきたのですが、折々の要請で研究の射程を広げてきて、最近ではスポーツの自然科学領域以外は大抵何でもこなすみたいなところも無きにしも非ずかなと思っています。
これまでも境田先生とはずっとご一緒で、確かスポーツ庁ができる前のスポーツ青少年部会委員だった記憶もあり、スポーツ基本計画にも携わらせていただきました。第3期の基本計画は第2期のいわゆるスポーツ政策の骨格を引き継いでいると思うのですが、例えば今のスポーツの現状が第2期の基本計画を構想した10年弱前の枠組みで、次の第4期もこの枠組みを引き継いでいくのかどうかは検討すべきではないかとも感じています。
例えばドーピングでも、いわゆる遺伝子ドーピングはもう臨床段階に入っているといわれていますし、ドーピングをめぐる問題もかなり変化している部分もあるように思います。また、鈴木 寛先生が常々おっしゃる夏季の暑熱対策の問題、これは実はスポーツの在り方を大きく変えていくようにも思います。今後、夏には日本では、戸外でスポーツをやったら駄目な時期がもう目の前に来ているとも思います。さらにスポーツの違法賭博の問題でいうと、ネットやスマホを使って誰もが国を超えて違法サイトで容易に行えるようになりました。違法賭博の問題も大きな社会問題になっています。他方で、AI、eスポーツ、バーチャルスポーツの関係をどうするのか。eスポーツはスポーツとして認めていくのかいかないのか。そういう議論をしている間に、もう現実は先に進んでしまうわけです。
そう考えてみると、第3期基本計画のような個別政策のいわゆるカテゴリーが本当に今後5年間妥当するのどうかかということを一度考えてみる必要もある。先ほど赤間室長の方からご説明がありましたが、カテゴライズしていくというカテゴリーそのものの見直しも検討課題になるように思います。基本的にはロジックモデルというのは少し難しい言い方で恐縮ですが、演繹的な手法を取ります。あるべきスポーツ、どのようなスポーツの姿が目指されるべきかという理念とか理想とか、そういうところから具体的な中間目標を決めていくわけです。この中間目標を決めて、個別の政策を決めていくのですね。もちろんそれは相互に関係し合うのだけれども、個別政策はすごく立派なのですが、中間政策、アウトカム、目標が全然駄目だという場合もあります。あるいは個別の政策それぞれはあうまくいくのだけれども、最終アウトカムは全然さっぱりだという例も少なくありません。このロジックモデルを運用していくには、エビデンスの信頼性が高い必要があります。但し、エビデンスの信頼性や妥当性を担保することは、時に難しいことがあります。スポーツ産業の経済規模を何兆円にすると決めても、風が吹けば桶屋が儲かる式で計算すると、非常に大きなものになったり、またきわめて狭くカウントすると当たり前ですが小さく見積もられたりします。私たちは一体信頼性とか妥当性を何に置き、何を信じたらよいのかという問題もあります。ところが、先ほど久木留先生が近いお話をされましたが、エビデンスは本当にそんなに信用に足るものかという面はやはり一方では見ておかなければいけないのかなというふうに思っています。そういう意味でいうと、未来予測がなかなかつかない今、私たち自身は結構厄介な時期に委員をやっていて、では次の第4期はどうするのかということを考えていかなければならないわけです。こういう大変な時にやる以上は、やはりもう一回初心に帰ってゼロベースから見直していくことが必要かなというふうに思っているところです。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。能瀬委員、お願いします。
【能瀬委員】 ありがとうございます。生殖内分泌を中心とした女性医学、そしてスポーツ医学を中心としております診療を専門としておりますので、女性の参加のところと、あと健康増進のところについてコメントをさせていただきます。
女性の参加率については、おそらく企業がスポーツエールカンパニーということを推進されておりますので、将来的にはおそらく働く女性の参加率というのは今後増えていくことが期待されるのかなと思います。ただ、ここに子育てということが入ってくる。つまり、子育てをしながら働く女性というところが加わってきますと、おそらくより時間的な制限が加わってくるので、もう少し取組については工夫が必要かなというのを感じました。
また、健康増進というところでは、これまで疾病とか障害予防というところが中心になっていたかと思いますが、ここで健康増進というところで今調査研究がされているということで、今後結果を期待したいなというふうに感じています。
課題としては、運動と健康、こういったところのどちらも興味がない無関心層、ここをいかに取り組んでいくかというところが課題かなというふうに思います。この課題を解決していくためには、やはり先ほども出ておりましたが、健康へのスポーツの果たす役割ということをもう一度示していくということが必要かなというふうに思います。また、これを示していく上では、施策でいうと1番と5番になるかなと思いますが、スポーツの実施と健康増進、この施策がもっともっと連携して一緒に取り組んでいく必要があるのではないかなというふうに感じました。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。原田委員、お願いします。
【原田委員】 バスケットボール女子日本リーグのWリーグの会長をしております原田 裕花です。元々私は日本代表選手、アスリートとしての出発でした。1996年のアトランタオリンピックに出場しまして、代表キャプテンということも務めさせていただきました。Wリーグとしてはアスリート出身の会長というのは初めてのところで、私自身まだ2年目になるところなのですが、いろんなことを学ばせていただきながら活動の方をしているところです。今回のスポーツ基本計画についても、まだまだ学んでいかなければいけないなというふうにも思いますし、その中で皆さんと一緒に考えて、いろんなことを発信していけたらなというふうに思っています。
少しバスケットのことをお話しさせていただきますと、先ほど境田先生のお話もありましたが、女子バスケットの方は東京オリンピックでは初めて銀メダルを獲得して、パリオリンピックの方では48年ぶりに男女一緒の出場ということも果たすことができました。その中でBリーグの方がかなり盛り上がりまして、その中でバスケットというものの競技の楽しさであったり素晴らしさというのがすごくいろんな方に伝わっていったのではないかなという思いでいますので、バスケットの熱というのが高まっていると感じています。
Wリーグとしても、その熱の中で昨年25周年だったのですが、観客動員というところも史上最多という形にもなりましたし、ファイナルの方でも史上最多の人数を達成することができたりして、男子というところと比べるとまだまだ女子は頑張っていかなければいけないというところがあるのですが、そういう中でも少しずつ注目度というのは上がっている環境かなというふうに思っています。
Wリーグ女子ということでもありますので、やはり女性活躍推進というところであったり、やはり女子スポーツ、そして選手の価値というものをどう上げていくかというのはリーグとしても考えていかなければいけないところでもありますし、選手が本当に競技に集中して輝ける環境というのを作っていかなければいけないというところでは、またこの中でいろんな学びを得ていきたいなというふうに思っております。
リーグの理念の中に、バスケットボールを通じて多彩な力を集結させ、元気、感動、勇気を届け、笑顔あふれる社会に貢献するというものがありますので、またバスケットを通して日本のスポーツというものの力になれたらよいなというふうにも思っていますし、また私自身も成長していろんなことを発信できるようにもなりたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、平野委員、お願いします。
【平野委員】 皆様、はじめまして。元卓球選手の平野 早矢香です。2016年の4月に現役を引退しまして、引退してもう8年が経つのですが、現在はミキハウスのスポーツクラブアドバイザーとして全国各地で卓球教室ですとか卓球の解説ですとか、いろんな活動をさせていただいていて、また、地元栃木県の方ではスポーツ推進審議会の委員などもさせていただいていて、2022年6月からは日本卓球協会の理事も務めております。
私自身が26年間の現役生活を通して、また、引退をして、また別の角度からアスリートの人生、そしてスポーツというものを客観的に見た中で、私自身がスポーツは人生を豊かにするものだと強く感じています。そういった中で今、皆様からのお言葉にもありましたが、やはりスポーツに無関心な層といいますか、スポーツをされている方以外の、いわゆる一般の国民の皆さんにスポーツに携わっていただく、スポーツしてもらう、見ていただくということを考えたときに、スポーツを通して生き方を学ぶというような視点で考えるというのはどうかなと。生き方を学ぶ、その実践の場というのですかね。やはりスポーツの世界は厳しい世界ですから、勝つことが求められますし、ただ、その中のプロセスというものも大切で、それはやはり社会に出てからの生きると、自分の力で歩んでいくというところにすごく私は通ずるところがあるというふうに感じているので、もちろんアスリートの生活としてセカンドキャリアも含めて、アスリートたちが豊かになることもそうなのですが、スポーツに携わった、スポーツをする皆さんがやはり自分の人生にとってプラスに感じるというような感覚で、スポーツを身近に感じてもらうということが私は非常に第一歩かなというふうに感じています。
そういった中で、2022年の6月から卓球協会の理事をしていく中で今2期目に入るのですが、やはり競技団体の協会の組織改革というところは非常に重要だというふうに感じていまして、境田弁護士もお話しされていましたが、やはり横のつながりというところで、協会内で改革をするだけではなく、やはり他競技から学ぶですとか、また、競技団体を統括していただく、そういった、組織ではないですが、そこをある意味指導してもらったり、競技団体任せではなく、そういったところからのアドバイスというところで、なかなか競技団体のこれまでの常識というところを変えていくのはすごく時間もエネルギーも掛かるというところで、やはり他の競技団体からの学びというところを、卓球協会としてももっともっと前進させていかなければいけないなというところで、私はまだまだ新人なのですが、アスリートの視点といいますか、現場から離れないようにというところで、協会内でも非常に議論させていただいています。
そういった中で、選手たちの競技力向上という視点もそうなのですが、やはり海外の国の卓球などを見ていても、アスリート自身の向上という中にはやはり指導者の育成というところも非常に重要で、それが今の時代ではグローバル化といいますか、やはり国際的な視点で、そういった場で活躍できる指導者ですとか指揮官を育てるというところも非常に重要かなと。それが最終的には各競技団体の競技力の向上というところにつながるというふうに考えています。
私自身もまだまだいろいろ勉強不足なので、皆様の御意見をお聞きしながら、自分自身もしっかりと勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、オンラインの藤原委員、お願いします。
【藤原委員】 藤原でございます。私は今、日本パラスポーツ協会の常務理事及び日本パラリンピック委員会の副委員長をさせていただいています。2021年の東京大会の後から参加させていただいて、スポーツ基本計画部会の方は初めての参加となります。したがって、パラスポーツの観点から、それから、今も民間企業に所属しておりますので民間企業の目からも、こちらの第3期の計画に関して勉強させていただくとともに貢献させていただきたいなと思っております。
国を挙げてオリパラ一体で多大なるサポートを頂いたお陰で、おそらく第1期のスポーツ基本計画の前はパラスポーツ及びパラリンピックに関してもまだまだ社会でも知られていなかったと思うのですが、東京大会、それからパリの大会、日本の代表選手団は大活躍をすることができました。非常に有り難い限りです。一方、トップアスリートに比べて一般の障害のある方々のスポーツ及び社会参加という意味ではまだまだ課題は多いかなと。その裾野のパラスポーツの振興をどうやって進めていくかというのが一つの大きな課題ではないかなと思っています。実はパラスポーツ、それからそういった何らかの障害を抱える方、それから今後高齢化社会はますます日本は進んでいきますから、社会的なインパクトは非常に大きいなと思っておりまして、例えば人口比でいくと今は身体障害、知的障害、精神障害を合わせると日本では約1000万人の障害のある方がいらっしゃって、これは人口で8%ですね。それから世界で見ると国際パラリンピック委員会が15%というふうにいっていますから、非常に大きな数の方々であると。つまりマイノリティではないということ。
それから、企業視点でいくと、もうどこの企業もホームページを開いて経営の目標とか理念とか見ると必ずD&Iとかインクルーシブ社会というのは出てくるのですよね。もちろんこの大きな柱の一つは女性の活躍ということなのですが、それと併せて多様性を尊重して、それを社会で皆さんが活躍していく。そのためにやはり一番ある意味分かりやすい、一番つなぎやすいのが、一つがスポーツを通じてということなので、我々としてはこういったスポーツが社会に対するインパクトが非常に大きいということを改めて自覚して、これを政策等に反映していただくのが有り難いし、それに我々も貢献していきたいなと思っております。以上でございます。
【渡邉部会長】 藤原委員、ありがとうございました。続いて、本橋委員、お願いします。
【本橋委員】 皆さん、こんにちは。まず自己紹介からということで、冬季カーリング種目をずっとやっておりました本橋 麻里と申します。現在に至るまでの経緯をお話しようかなと思うのですが、私自身2人の息子がいまして、1人目を生む時に、今9歳なので9年前ですね、スポーツ庁さんの女性アスリート支援で助けられた選手の一人です。そんな希望があって、そのチャンスがあったからこそ私はオリンピックにベストメンバーではなかったのですがチームの皆と一緒に行くことができて、カーリング界初のメダルを獲得することができました。そのチャンスだったり機会というのをたくさんの後輩たちに持ってほしいなという思いで、2018年のオリンピックが終わった後に仲間をフリーターにさせてしまいけないなという思いでチームを一般社団法人化をしまして、ただのカーリング好きの女の子たち、今は男子も預かっているのですが、選手たちが集まる場ではなくて、しっかり仕事の現場として支えられるようにというふうに団体を今立ち上げております。実際、今私がカーリングをやったり、お休みしたりというのを育児と出産等を重ねて何とか踏まえてはいるのですが、実際に今次の2026ミラノ・コルティナオリンピックに向かう選手たちを抱えつつ、私自身もずっとこの大都市ではなくて片田舎、北海道の道東にある12万人都市の北見市という故郷でチームを抱えております。
その中で地方という弱点ではなくて、そこを強みにしていきたいという思いがやはり故郷への還元、そしてスポーツへの還元だなというふうに考えまして、去年、自分の活動としてこれはもう一つのライフワークになるだろうなというふうに思った地域活性とスポーツに焦点を合わせた子会社を自分でも作りまして、何をやろうかなと思っていた矢先、地元の畑違いの夏季スポーツのバスケットチーム、U-15ですね、なので今すごくこの資料にもたくさんある部活動の地域移行のクラブチームを立ち上げるという流れにも携わらせていただいております。今は本当にオリンピックを目指す選手からジュニアアスリートになる子たちも預かりながら、スポーツという軸で人生をとても豊かに活動させていただいております。
その中で、実際に地域部活移行の現場におりまして、多々悩みが多い、かつ、やってもらってよかったなというふうに思います。私も子育て世代なのですが、U-15の世代の親御さんたちがいうのが「クラブ月謝をもっと安くして」とおっしゃるのですが、でも皆さん受験勉強には多額のお金を掛ける、その差は何なのだろうと私はすごく思っておりまして、勉強であってもスポーツであってもやはり育成する上で初期投資というのは掛かるというのを、この部活動はずっと0円でできていた現状があったのだなというのを認識しまして、カーリング種目というのは部活動がない種目だったので、余りそこは気にせずにいたのですが、実際に0円からお金が発生するという、この大きな一歩が皆さんなかなか「うん」といえる家庭といえない家庭が出てきているというのも一つ大きな悩みなのかなというような、実際にリアルなご家庭の悩み、そして選手たちが今過渡期で、強くなりたい選手、又は中学校からスタートしたいなと思っている選手もくみ上げられるようなチームを作っていかなければいけないなど、この会議に落とし込めるような実践的な課題を持って帰ってくることができるのではないかなというふうに思っております。
そして、私にも耳が痛いお話なのですが、最後に女性の働く世代のスポーツ実施率が低い、時間がなくてなかなかスポーツできる時間がなくなりました。ただ、その中でも私が救われたのが、特に同じママアスリートの仲間が共通していうのが、産後すぐに体を動かすことによって「皆、産後鬱って余り通ってこなかったよね」とかというのを、まだ研究結果には出ていないのですが……出てきていますかね、あるのですかね、何かアスリートならではの根性だけでやってきたというよりは、実際に育児だったり仕事というのは大変なのですが、そのスポーツというママが忙しい時間、30分でも自分の一人だけの時間を持つことが精神的によかったのか、プラス、なおかつ体を動かして実際に気分がリフレッシュしたのかというのが、何かもう少し発信できるとすごく納得がいくような、本当に子育て世代、そして働く世代の女性の一歩を踏み出すような、一つ何かきっかけになるのではないかなというふうに思っております。
なので、たくさんのことをやっているのですが、いろんなテーマに引っ掛かることも実際に現場からくみ上げることができるかなというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。すみません。長くなりました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。諸橋委員、お願いします。
【諸橋委員】 皆さん、こんにちは。第2期から引き続き委員を務めます一般財団法人UNITED SPORTS FOUNDATION代表理事の諸橋 寛子です。私は45歳半ばぐらいまで体育以外スポーツはしたことがなく、全くスポーツとは遠い音楽や芸術の方を専門としておりました。2011年、東日本大震災をきっかけに復興支援活動を通じて、スポーツの持つ力というものを生まれて初めて知りました。その後今の財団を立ち上げ、復興支援に携わった後、スポーツを通した地域ごとの課題が見えてきたことにより、全国へ活動の場を広げ、今はマルチスポーツイベントに重きを置いて、約12年間で60万人の子供たちに活動の提供をしてまいりました。
東日本大震災以前はスポーツ小売業やマーケティング会社を持つゼビオホールディングスの経営に携わっておりましたが、現在もマーケティング会社の取締役としてアリーナ経営やリーグ経営、アイスホッケーチームのオーナーなど支える側として携わっております。他にも、こういったスポーツ業界に入ったことによっていろいろ興味が湧いてきまして、知らないことを知るというのはやはり一番の近道ということで、昨年からは日本視覚障害者柔道連盟の理事や海外のリーグ、それから団体のコミッティメンバーもしており、経営と教育をメインに活動をしております。
第3期計画の中間評価に向けた期待、それから第4期計画に向けてということで、2点お話しさせていただきます。まずは教育現場に関わる立場から、子供たちのスポーツの機会の確保についてです。先ほど本橋委員からもお話ありました通り、私自身、部活動の実行会議の委員も務めていますが、この改革が進めば進むほど格差が出てきているということが現実にあります。進んでいるところはより一層環境がよくなり、進まないところは駄目だというだけではなく、進んだからこそ、決して財政的な課題のみならず、その地域の人材の育成の課題や、その環境をつくっていくところに情報が同等に行っていなかったり、部活動をする子供たちがいなかったりということが、非常にその地域を見ていく中で現場に見受けられます。そういったことをより一層これからの次の基本計画において、その状況に応じた施策がより必要になってくると思っています。
2番目に、スポーツ産業の拡大です。2020年で8.8兆円の規模だったスポーツ市場を、今年度まで15兆まで拡大するのは難しいと感じております。とはいっても、eスポーツの問題や、スポーツくじ、いろんなきっかけがあると思うのですが、それらを一気に拡大することは難しいと思うので、より収益性の高いスポーツ産業に特化して、そしてそこへスポーツに関心のない方々をどのように巻き込んでいくかを考え、この産業拡大ということをやっていくことが非常に重要になっております。スポーツ庁だけでなく、その他の産業界・業界とも連携をして、スポーツの新しい価値を創出する施策を具体的に一緒に考えていきたいと思っております。また、中にも書いておりましたが、第3期計画の中間評価においては、KPIのみならず、質的評価の部分に関して改めてもう一度今の段階で精査すべきだとも考えております。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。結城委員、お願いします。
【結城委員】 結城 和香子と申します。よろしくお願い申し上げます。私は読売新聞編集委員としてこれまで30年以上オリンピック・パラリンピックの取材を担当してきたという経緯を持っております。その中で選手として御活躍を拝見した方がこの中には何人もいらっしゃいます。と同時にやはりオリンピック・パラリンピックというものの変遷、そして様々な突き付けられたことに対してどのように対応してきているのか、いこうとしているのか、そういった裏側というのも日々取材で痛感をしてきた経緯がございます。
もう1点、スポーツ審議会の方でも審議会の委員を渡邉部会長の往々にして隣で初期から務めさせていただいておりますし、第2期のスポーツ基本計画の策定にも携わらせていただいております。先ほど友添委員の方から非常に厄介な時期に皆さん委員になられたというのがあって笑ってしまったのですが、確かに第2期の時は未来志向といいますか、これからオリンピック・パラリンピックが来るよ、人々の関心が高まるよ、さあそれをどうやって求心力を高めていくか、そういう問いでございました。第3期というのは、いわゆるオリンピック・パラリンピックの後でレガシーをどのように育み、広げていくのか、そしてこれから先の変化をどう予見するのかという、非常に難しい、だけれども多分正念場といいますか一番大事な部分に当たっていっているのかなという気がしております。そういった流れの中で2点、本日のところ差し上げられればと思います。
1つは、その評価の仕方、在り方としてでございます。質の評価をどういうふうにするのか、私の過去差し上げた言い方ですと、無形のレガシー。人々の意識変革であるとか、そういった部分をどういうふうに評価し得るのか。ここはやはりこれから先取り組んでいくべきポイントの一つではないかと感じております。パリのオリンピック・パラリンピックの時、これは非常に持続可能性を前面に出し、様々な形で行動変容を促したユニークな大会でもあったのですが、と同時に大会の期間中も前後も様々なシンポジウムであるとか研究会が開かれておりまして、印象に残ったうちの一つが、パリ大会のレガシーの評価を監修する独立の国際的な評価委員会の皆様が軸になって各国の識者等々に呼び掛けてシンポジウムとして開いた、議論をした機会でございました。このワークショップに入ってみますと、本当にこれから先のオリンピック・パラリンピックの大会の関係者が多く詰め掛けていて、関心度の高さというのを肌で感じました。
その中でこの質をどのように評価するのかという部分。やはり世論調査といいますか人々がどういう意識変革を自分で自覚しているかというポイントについて、定期的に行うこと。特に大きなイベントがある前と後で必ず行うこと。これを重視をしていかなければいけないというポイントが出ておりまして、パリも実際12月、これからすぐにその事後評価の報告書が出てまいりますが、この中でもおそらく使っている手法だと思われます。
第3期の基本計画の一つの最初の目玉として私たちが考えたのは、私の理解では多様性の推進です。特に東京大会、パラリンピックが人々に伝えた、人々がどのように多様性を受け入れていくのか、受け入れることが、私たちにとって、それから社会にとって、どのような豊かさをもたらし得るのか、そういった実感のようなもの。これが一つの大きなポイントではなかったかと感じていました。
ただ、例えば現在世界を見ますと、アメリカで次期政権の発足を勘案して、特に経済界で多様性推進の動きが大変退潮しているような報道がたくさんございます。やはり日本の中でもそういった流れというものをきちんと定期的に把握をしていく、特にスポーツを通じて人々の意識変革がどのようにあり、そして例えば揺り戻しがあるのであれば、その要因が何なのか、そういった部分を把握していくことというのは非常に重要ではないかと感じております。
もう1点申し上げます。前に総会の時に、いわゆるスポーツの基本の価値は変わらないながら社会がどんどん変わるという話をさせていただきました。現在日本は少子高齢化ももちろんでございますが、本当に様々な形で変化を迎えようとしています。スポーツの基本法においても、デジタル化の流れを勘案をして、改正をする動きがございますし、そして例えば、IOC、私が担当してまいりました国際オリンピック委員会であっても、AIの戦略であるとか、オリンピックeスポーツ大会であるとか、もう動きが急でございます。そういった流れも見ながら、日本の中でどのようにそういった部分を位置付けていくのか、そしてこれからの日本の社会の変革というものを予見していくのか。これは第4期に向けての勘案事項でもあると考えますが、これも何らかの形で、しかも早期に議論を始めていってもよろしいのではと感じています。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。皆さん、本当に時間を有効に活用して端的にお話しいただきましたので、大分時間が余っています。私の方は、お話を聞いていまして、やはり各分野でリーダーシップを取られている皆さんですので、短い時間の中でも説得力ある話を本当にたくさん聞けたかなと思います。今回は中間見直しということですので、友添先生から少し衝撃的なお話もありましたが、取りあえず作った第3期のスポーツ基本計画、ロジックモデル、EBPMということですので、今ある成果指標に基づいてしっかりとまず検証するというのは第一かと思います。
ただ、質の話が審議会の総会でも本日もありましたが、やはり展開されている政策の実効性というところですね。その政策を展開した先に、本当に人と社会に対するインパクトがこのロジックモデルの構造でちゃんと担保できるのかどうか。その辺もしっかり議論していかなければいけないのだろうなと、そんなふうに思っておりました。
私から1個質問してもよろしいでしょうか、鈴木委員。霞ケ関、永田町で活躍されて、基本法も作られましたし、いろんな活躍をされてこられたのですが、今政府全体でEBPMに基づいて政策立案、その推進が進められておりますが、鈴木委員はこれをどのように捉えていらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。
【鈴木委員】 実は私が正に副大臣の時に、科学技術政策からでしたが、EBPMの導入というのを先駆けてやりまして、それが文部科学省全体の政策に広がり、国全体の政策に広がっているという、こういうことなのです。これは当然もちろん重要なことで、医療政策なども当然EBPMが同時に進んだのですが、これが広がるか広がらないかというポイントはどこにあるかというと、行政あるいはアカデミアあるいは関係者はEBPMが重要だということはもう承知ですが、そこから先、このことが国民の皆さんにどれくらいEBPMに基づいてやっているかということが理解され評価されるかどうかというところがポイントなのですね。だからEBPMをちゃんとやっていても、そのことが例えば選挙の結果とか世論調査とかに全く関係なければ、それは行政や関係されておられる方の努力というのは無になってしまうわけで、今そこの課題を乗り越えられるのかどうかと。
一方で、これは世の中全体を見渡しますと、フェイクニュースとか、あるいはFacebookもファクトチェックをやめるとか、正にEBPMと全く逆行するようなことがものすごい勢いで出てきている。あるいは正にポピュリズムみたいなこと。トランプ大統領が大差で勝利してしまうというところも民主主義の危機を反映しているかと思うのですが、そういう意味で、もちろん我々はEBPMに基づく政策立案ということをしっかりやっていかなければいけないのですが、やはりこの重要性をメディアの皆さんも御協力を頂きながら、まあ結城さんに協力していただいてですね、やはりこれが本当に大事なのだと、ファクトに基づく、あるいはエビデンスに基づく、こういう議論の真面目な積み上げというのは大事なんだということを、どれだけコンセンサスを得ていくのかということがこれからの課題だと思います。
そのときに、もちろん納税者の皆さんとか、いろんな関係者の皆さんは当然なのですが、まず我々の足元。要するにスポーツコミュニティがやはりEBPMへの重要性についてやはりしっかり理解して、やはりここに基づいて進めていくのだということを、ぜひこの基本計画部会の下でしっかり進めていただきたいなというふうに思います。
それで一例を申し上げますと、先ほど勝田さんと久木留さんと私はロンドンオリンピックの強化の時に岡田 武史さんをトップにして我々でチームを作って、ちゃんと強化費をEBPMに基づいてやろうと。それまでは何かある種のパワーベースドポリシーメイキングみたいな感じで、となると、やはり男子の競技費というのがある種既得権的に多いわけですね。EBPMでちゃんとやってみると、正に女子スポーツ、あるいは今まで強化費が必ずしも行っていなかった、先ほどおっしゃった新しいスポーツ分野、新しい種目ですね。やはりこういうところに強化費をもっとつぎ込むことによって、メダルという一つのKPIを達成する。それをロジックモデルで逆算すると、今までの強化費配分は違うのではないかと。こういう議論をいたしまして、それを久木留さんがちゃんと精緻に計算していただいて、それでロンドンは過去最高の33個というメダルが取れたということなのですね。だから、やはりEBPMは選手の皆さんとかスポーツ関係者、何か少し遠い話と思っているかもしれないけれども、EBPMなかりせば女子のメダル獲得とか、今まで取れていなかった種目の獲得というのはなかったと。こういうことをその後も長官にずっといっぱい引き継いでいただいてますが、こういうことでぜひまずコミュニティの中の理解と普及を進めていきたいなというふうに思っております。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。やはり各政策事業を展開していく中での巻き込みというのもすごく大事ですよね。要はスポーツ村の人以外の一般の市民にも分かってもらうという意味で。それから、第3期スポーツ基本計画の中には周知、啓発、広報の重要性というのもうたわれていますから、ここもしっかり中間評価は必要なのかなというふうに思います。
あと1個、EBPMに基づいた強化の財源の配分等の話があったのですが、私は第2のオリンピックと呼ばれていますワールドゲームズの日本の副会長をやっているのですが、なかなかここに関しては目が向かないようなところもありまして、更にはここにも出ていないようなマイナー競技のNFなどかもありますから、こういったところにも目を配っていただくことも一方で大事かなと思って聞いておりました。ありがとうございます。
時間がありますので、もうおひと方だけご発言あれば。友添委員、お願いします。
【友添委員】 一つは事務局へのお願いになるかと思うのですが、いわゆるスポーツの基本計画、アクションプランを出している海外諸国の計画の内容を会議体として、第4期を構想する時に共通ベースで理解しておいた方がよいと思いますので、次回ということではなくて結構ですので、少し調べていただければと思います。特にアジアとしてはシンガポール、それから韓国を含めていただくこと。アメリカは確かアクションプランはなかったと思うのですが。あるいは各国のスポーツ法に規定されていないアクションプランも重要なものがありますので、そういうものもお願いします。
以前に、スポーツ庁の外部委託の研究で各国のスポーツ法の調査をした際に、久木留先生と研究アドバイザーを務めたことがありましたが、その時にアクションプランにも重要なものがあると感じましたので、情報提供をお願いした次第です。ご無理のない範囲で結構ですので、よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。皆さんの御協力によりまして円滑に会議も進んでまいりました。それでは、もし言い足りないようなことがあれば、事務局までメール等でご連絡いただきたいと、そのように思います。それでは、最後に室伏長官の方から一言頂きたいと思います。
【室伏長官】 ありがとうございます。委員の先生方におかれましては、様々な角度からご忌憚(きたん)のない御意見を頂きましてありがとうございます。本日の会議では、中間評価を実施するに当たっての導入として第3期基本計画の取組や第4期基本計画へ期待するところや、不安も少しありましたが、全般的について、そしてそれぞれの皆さんお立場でご意見いただきましたけれども、大変重要な点、様々な点を頂きました。
中間地点で私も基本計画の3期の最初から携わらせていただきましたが、コロナで我々がイメージしたものが一旦もう一回作り直さなければいけないような状況の中からスタートさせていただき、その中でもやはりスポーツというのは、コロナを通って更にまたスポーツの重要性を感じたところもあるかと思います。コロナで自粛していき、コロナは防ごうと思ったけれども、開けてみたら子供たちの体力や人々の体力も落ちてしまい、体力がないとメンタル面も落ちてしまい、こういった健康維持以外のことも気付かされたこともありますし、こういったコロナを通してまた様々な困難の中にまた新たな施策を加えていき、我々は前に進んでいくことができるかと思います。引き続き先生方の御意見を頂きたいというふうに思います。
後は、今回女性の委員の先生方も多くて、今後の議論を大変楽しみにしておりますし、新たな風をまた考え方も含めて頂けるというふうに思います。地域の、私もいろんなスポーツ庁の課長以下の皆さんと一緒に日々基本計画を基に全力で取り組んでいるところですが、特筆していくつか言うと、地域の部活動もそうですし、少子化の話を鈴木 寛先生もおっしゃっていましたが、どうしても自治体別にいうと住んでいるところがあったりそうではないところがあるというところはやはりあるのですが、やはり我々は10年、20年先を見た上で政策を、来年、再来年の話ではなくて、その先のスポーツがどうあるか、社会にどうインパクトを与えるかという点も含めて考えていき、その都度また修正すればよいことであると思いますが、先のことも考えてまた取り組んでいくという意味では、自治体のなかなか住まないところの方々に関しても注意深く、また、丁寧に説明をして、やはりこの改革をしていく重要性は私からも都度訴えていきたいというふうに思っています。
私としましては、このスポーツの可能性をもっと広げて、社会にも大きな変革を、インパクトが与えられるように、先生方の御知見を頂きまして進めていきたいというふうに思います。そして4期の基本計画にもつなげていければというふうに思っておりますので、引き続きご指導お願いいたします。以上になります。
【渡邉部会長】 長官、ありがとうございます。先ほど事務局から御連絡がございましたが、次回から個別施策の議論に入っていくことになります。今日はこれにて終了をさせていただきます。Web会議の御参加の委員の皆様、適宜ご退室くださって結構です。ありがとうございました。皆さん、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
スポーツ庁政策課