スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会(第1回)議事録

1.日時

令和5年4月27日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省第二講堂(旧文部省庁舎6階)及びWEB会議(Zoomを使用)

3.議題

  1. 部会長の選任について
  2. スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会運用規則(案)について
  3. スポーツ団体ガバナンスコードの概要とこれまでの経緯について
  4. これまでの適合性審査の実施状況について
  5. スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について(検討の視点)
  6. 今後の審議の進め方について

4.配付資料

5.議事録

スポーツ審議会 スポーツ・インテグリティ部会(第1回)

令和5年4月27日

(冒頭、非公開で部会長及び部会長代理の選任が行われ、部会長に友添委員、部会長代理に境田委員が選任された。また、スポーツ・インテグリティ部会運営規則についても承認された。)

【友添部会長】 それでは議事を再開いたします。改めまして、部会長に選任されました友添です。よろしくお願いいたします。
今ご説明いただきましたように、ガバナンスコードによる適合性審査が一巡しています。コードができてから4年目に入りますが、この間、一部のNFでの不祥事も起こっています。これを機にコードをもう一度見直し、より実効性を高めていく必要があると思います。以後円滑な進行を心がけますので、ご協力のほどよろしくお願いします。
部会長代理の境田委員から一言ご挨拶をお願いします。よろしくお願いします。

【境田部会長代理】 部会長代理に選任いただきました、境田です。
私はこのガバナンスコードというものに多少の思い入れがございまして、2007年から2009年にかけて、超党派のスポーツ議員連盟でスポーツ基本法を作るという作業が行われていたのですが、その会議に有識者として呼ばれ、スポーツ基本法の中に、スポーツ団体のガバナンスに関する条文を設けるべきというお話をさせていただき、具体的な条文案を示して議員の先生方に説明をした記憶がございます。
2013年から2014年にかけてもいくつかのスポーツ団体で不祥事等が続き、文部科学省からの依頼を受けて、「スポーツ団体のフェアプレーガイドライン」の策定に関わったことがございました。本日お越しの國井先生もご一緒だったと思います。それから、4年前には、友添先生とご一緒に、今回のスポーツ団体ガバナンスコードの策定にも関わらせていただきました。
4年前には、やはり多くのスポーツ団体に不祥事が相次ぎ、何か早く対策を打たないといけない、ということで、短期間で「スポーツ団体ガバナンスコード」を作りましたが、やはり本当にこのガバナンスコードが、スポーツ界に適合しているのか、もっと改善すべきところがあるのではないか、という思いがずっとありました。したがいまして、今回、スポーツ庁で、ガバナンスコードに関する検討会を設けていただいたことに感謝しています。引き続き、よろしくお願いいたします。

【友添部会長】 ありがとうございました。
それではスポーツ・インテグリティ部会の委員の紹介に移ります。事務局から、お願いします。

【西川課長】 本日は時間の関係から、委員の皆様はお名前のみの紹介とさせていただきます。名簿につきましてはお手元の資料の1としてお配りしています。
本日は座席順にご紹介します。初めに勝田隆委員です。続きまして金森稔子委員です。國井隆委員です。栗山陽一郎委員です。谷本歩実委員です。中竹竜二委員です。藤原正樹委員です。籾井圭子委員です。森岡裕策委員です。
なお、お二方は、本日はオンラインで参加されていらっしゃいます。お一人目は大日方邦子委員です。齊藤まゆみ委員です。
本日はご欠席ですが、井口加奈子委員、以上14名の皆様が本会の委員として指名されています。
さらにオブザーバーと致しまして、独立行政法人日本スポーツ振興センターの松木知恵子スポーツ・インテグリティユニット長に出席いただいています。
最後にスポーツ庁からの出席者をご紹介いたします。はじめに室伏広治スポーツ庁長官です。審議官の星野です。政策課長の先﨑です。競技スポーツ課課長補佐の筒井です。弁護士でスポーツ庁法務支援スタッフの角藤です。
なお、次長の角田は本日公務のため遅れての出席となります。こちらからは以上です。

【友添部会長】 ありがとうございます。
それではスポーツ・インテグリティ部会の発足に当たりまして、まず室伏長官からご挨拶をお願いします。

【室伏長官】 部会長、ありがとうございます。皆さんこんにちは。今回の部会もお世話になります。
まず友添部会長、それから境田部会長代理、お受けいただきありがとうございます。また、有識者の皆様におかれましては大変お忙しい中、スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会の委員にご就任いただき、誠にありがとうございます。
令和元年6月に私共スポーツ庁がスポーツ団体のガバナンスコードを策定してから既に3年が過ぎ、その間スポーツ団体の皆様にはガバナンスコードの遵守に向けて取り組んで頂き、また統括団体の皆様には適合性審査などスポーツ団体のガバナンスの確保に向けた取り組みを支援していただきました。スポーツ界全体のガバナンスの確保に取り組んでいただいたことについて、改めまして感謝申し上げます。
一方で皆さまにご尽力していただいたにも関わらず、残念ながらスポーツ界ではいまだにスポーツの価値を脅かすような不祥事事案が発生しております。そのことによってスポーツを愛する多くの人々を失望させ、さらには我々が応援していくべきアスリートが競技に集中できなくなってしまう、そういった事態に陥っていることは事実です。
このような事態を防ぎスポーツ・インテグリティを向上させていくために、スポーツ団体ガバナンスコードの遵守を引き続き推進するとともに、その実効性を高めるための方策について一巡目の適合性審査の最終年度を迎えた、まさにこのタイミングで今一度検討していく必要があると考えています。
そのため委員の皆様、改めてスポーツ団体のガバナンスコードの今後のあり方についてご審議いただき、ご提言いただければと思います。
3年目ということで様々な事案もあり、我々も今後改善しなければいけないことなども見えてきたところがあるかと思います。そういう意味で二巡目の審査を見据え、短期間で集中的なご審議をいただくことになりますが、スポーツ・インテグリティの確保に向けて活発なご議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【友添部会長】 それでは次の議題に移ります。
議題(3)スポーツ団体ガバナンスコードの概要とこれまでの経緯について、事務局よりご説明をお願いいたします。

【筒井補佐】 まず資料5のスポーツ団体ガバナンスコードの概要とこれまでの経緯という冊子をご覧ください。
まずおめくりいただいて、一枚目に簡単な全体的な建付けをモジュールのような形で載せています。
また、ガバナンスの関係法令ですが、『スポーツ基本法』が大元にあり、『スポーツ基本計画』の中でも赤線を引いている箇所ですが、初回のガバナンスコードの適合性審査の実施により得られた課題を踏まえ、ガバナンスコードの改訂や適合性審査の運用の在り方の再検討を進め、強化の仕組みについて見直しを行うと規定されています。今回これに基づいて必要であれば見直しを検討していくことになります。
続いて2ページ目、スポーツ団体ガバナンスコードの大きな建付けです。
令和元年6月、スポーツ庁がガバナンスコードを策定・公表しましたが、NF向けと一般スポーツ団体向けがある中で、今回中心的に議論をしていただくのは中央競技団体、NF向けのガバナンスコードです。
おめくりいただき、3ページ目に大きな2種類のコードの原則をそれぞれ記載しています。中央競技団体向けはより高いレベルのガバナンスが求められるということで原則が13種類あります。それに対して一般スポーツ団体向けについては原則6までです。
右下の備考には、ガバナンスコードを策定してから様々な箇所に当てはめた、例えば下の方でスポーツ振興助成の事業の申請にあたってJSCのウェブサイトを活用した自己説明や公表が必要になったり、総合型地域スポーツクラブの登録に対してもコードの活用がされているということで、徐々に適用範囲を広げ、活用することで政策に活かしているという状況です。
続きまして4ページ、スポーツ団体ガバナンスコードの適用範囲ということで、オレンジで塗っているところが今回の議論の中心になる中央競技団体向けが適用される団体です。残りの紫色で塗っているところが一般スポーツ団体向けコードが適用される団体です。
続きまして5ページ目、ガバナンスコードの役割と自己説明の在り方ということで、こちらはまさに建付けや中身というよりは、運用の仕方についてですのでおさらいしたいと思います。
基本的にはコンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)原則ということで、競技団体が自らに適用することが合理的でないと考える規定については、その旨を説明することが必要になります。具体的にどのような自己説明が許容されるかについては統括団体が策定する審査基準に基づき、適合性審査において個別具体的に判断されます。
よく使っている図で説明しますと、自己説明、まさに原則は先ほど13項目あったうちのそれぞれの団体においてもちろん組織の構造上適用されない場合もありますので、ここは「うちの団体は関係ない」ということであれば、下の「適用されない」という理由について説明していくということになります。
適用される場合は、遵守しているものの根拠を統括団体に示し、それが認められれば適合していると判断されます。
遵守出来ていない場合についても、直ちに遵守することが困難である具体的・合理的な理由や、今後のスケジュールを統括団体に示すことで、そこが直ちに不適合という判断にはならない仕組みになっています。
6ページは、ガバナンス強化の仕組みです。これも我々がよく使っている資料ですが、いわゆるスポーツ界の中で国、スポーツ庁がガバナンスコードを策定しており、このコードのクレジットはスポーツ庁が持っています。先ほどお伝えしたように日本スポーツ協会、日本オリンピック委員会、日本パラスポーツ協会の統括三団体の方で審査をしているということで、コード自体は国が策定していますが、その運用、まさに適合性審査をするところについては国が審査に直接タッチはせず、統括団体側で行っています。これは日本特有、日本型の仕組みです。
続いておめくりいただくと、スポーツ団体ガバナンスコード適合性審査のスキーム図ということで、これは後で説明があるかもしれませんが、統括三団体の方で実際どういうスケジュール感で審査を行っているのかというところを簡単にまとめた図です。
審査は競技団体を4つに分けて、それぞれの団体の審査を4年かけてやっていきますが、そのうちの1年間のスケジュール感を示しているものです。最終的には円卓会議に審査結果を報告していただく建付けになっています。
次の8ページ目の資料ですが、審査自体はまさに統括団体側で行われますが、最終的に国の方で出している助成金やJSCのスポーツ振興助成のくじ・基金等の政策ツールとなっている資金については、一部ですがその審査等の結果を配分等に反映しています。
例えば、競技力向上事業助成金、いわゆる強化費においては、適合性審査で自己説明・公表が適切に行われていない場合には90%、つまり強化費が10%減額されるということになります。また、その下の「要改善事項」として指摘された競技団体が翌年度のフォローアップを受けた結果、「未改善」と評価された場合には強化費が20%減額されることとなります。
これは後で統括団体からご報告いただけると思いますが、これまでの審査の中で、フォローアップの結果、「未改善」となった団体は今のところありません。
その下の下線を引いていないところについては、円卓会議に「不適切」な不祥事事案として報告された事案は20%減ということで、直近では昨年度報告されたバトミントン協会の事例がこれに該当します。
続きまして9ページ目、他のガバナンスコード等の状況ですが、日本のスポーツ団体ガバナンスコードは、イギリスのUKガバナンスコードであるとか、オーストラリアそれからカナダ、それぞれの先行事例、先進的な国のガバナンスコードもかなり参考にしていますし、大枠については一般企業のコーポレートガバナンスコードも参考にしています。
そのため、もともと参考にしていたそれぞれのコードの現在の状況はどのようになってきているのかということについて、代表してイギリスのコードの状況を挙げています。
イギリスは国際的な腐敗防止対策において主導的な地位を確保することを国家戦略としているところ、IFの汚職が立て続けに起こりました。
例えば、10年ほど前の汚職、それからイギリスが国際招致をしようとしていた大会において他の国に敗れたなど、様々な事情を踏まえイギリスがそのようなところでスポーツ界のインテグリティというところで主導的な役割を果たそうという政策を取ってきています。
イギリスでは、2016年にUK Sport/Sport Englandの協働によってガバナンスコードが策定されました。このコードはTier1、2、3と3種類あり、一番強いのがTier3ですが、最近の改定でまさに我々が今行っているような今までの適合性審査の実績や社会情勢等を背景に、2021年7月に以下の改定を実施しています。
今回、中央競技団体向けをメインにしていますのでTier3を参考にしていますが、役員における多様性ダイバーシティの確保や、福祉・安全、セーフガーディングの担当理事を置かなければいけないなどの見直しを新たにしています。
さらに各原則・細則の解説を充実させるということも行っております。「適合」の定義、例えば提出資料はどういったものが提出されるのかなどについて、より詳細にしていくところです。これはまさに我々日本のスポーツ団体ガバナンスコードのオレンジの冊子でいいますと、コード、原則そのものというよりは、その中の補足説明の部分を充実してより細かくクリアにわかりやすくしていったという流れがあると理解しています。
そのほか、カナダ、オーストラリアも資料には記載していませんが、基本的には同様の方向性で改定されていると承知しています。
それから下の方のコーポレートガバナンスコードにおいても内容は明確には記載していませんが、例えば指名委員会や報酬委員会を設置する、より多様な中核人材を整備する等しており、そういう流れで参考にしてきたそれぞれコードが必要に応じて見直されています。
最後に参考として、今回、井口先生、國井先生にも入っていただいていますが、国際大会のガバナンス体制の在り方の指針についても、最近スポーツ庁の方でまとめていますので、これらのガバナンスコードと密接に関係する事象として挙げさせていただいています。
最後の参考のところはバレーボール協会やバトミントン協会の最近の不祥事事例をアップデートして参考につけています。以上です。

【友添部会長】 ありがとうございました。
今日は認識合わせをまず行うということ。そして現状はどうなのかというところの確認。それから論点を探っていくということ。これら3つが大きな課題になっていると思います。
ご意見等は最後に自由時間を十分に取っていますので、その時にお願いします。 議事を進めていきます。続きまして議題(4)これまでの適合性審査の実施状況について、統括団体を代表して日本スポーツ協会の森岡理事よりご説明をお願いします。

【森岡委員】 これまでの適合性審査の実施状況について、統括団体を代表しまして日本スポーツ協会から説明します。
資料6、1ページをご覧ください。これまで令和2年度から令和4年度の3年間で合計89の中央競技団体の適合性審査を実施しました。概要は資料1ページのとおり、各団体の結果は資料4ページ、日本トライアスロン連合以降、一覧表の通りです。
一覧表につきましては、左列から団体名、審査結果、審査所見です。右列の審査所見には、審査委員会から好事例、もしくは要改善事項が付された場合のみ記載をしています。
1ページにお戻りください。89団体のうち88団体が適合となり、令和2年度に審査を実施した日本障害者セーリング協会の1団体のみ複数の審査項目で審査基準を満たさなかったため不適合となっています。一覧表は資料の7ページのナンバー19です。
好事例については審査基準を満たしている項目の中で、特に他の団体の模範となる取り組みとして25団体、46項目に付されています。具体的な内容は一覧表の所見の通りです。
例えば、資料の4ページ3団体を見てください。審査項目1の中長期計画に関する項目について、幅広い層を対象として意見を募っている点や具体的な目標値や進捗管理を設けている点に好事例が付されています。
一方、要改善事項は、不適合にはならなかったものの、近い将来当該団体の組織運営に支障をきたしかねないと判断されるものとして9団体22項目に付されています。
具体的には選手選考に関する規程が一切整備されていないこと、あるいは懲罰に関する規程が一切整備されていないことなどが挙げられます。こちらも詳細は一覧表の通りです。
1ページにお戻りください。要改善事項が付された団体は翌年度にフォローアップとして審査委員会に改善状況を報告する必要があります。
現時点で令和2年度審査並びに令和3年度審査で要改善事項が付された6団体は、いずれも改善状況の報告があり、適切に改善されていることを審査委員会にて確認しています。令和4年度審査で付された3団体についても、現在本年度の改善状況の報告を待っているところです。
なお、令和2年度審査で不適合となった日本障害者セーリング協会は、フォローアップとして翌年令和3年度に再審査を受審する必要がありましたが、令和2年度の審査後に法人運営上の都合により日本パラリンピック委員会の加盟を外れ、適合性審査の対象外となったため、再審査は実施していません。
2ページをご覧ください。先ほど説明がありましたが、大まかなスケジュールのスキーム図です。下のNFから順に上に上がっていくわけですが、審査書類の提出は例年7月末を締切りとし、その後8月、9月を中心に弁護士、公認会計士、学識経験者等で構成される予備調査チームにおいて予備調査を実施します。
予備調査終了後、11月から12月の間に開催する審査委員会において審査結果案を決定し、年明け1月の各統括団体での理事会で最終的な審査結果を機関決定します。審査結果決定後、2月に審査対象団体へ審査結果を通知した後、統括団体のホームページで審査結果を公表し、最後、3月に円卓会議へ結果を報告します。
次、3ページをご覧ください。各審査項目の評価について、資料は適合性審査の運用規則を抜粋しています。
評価はABNFの4種類で、A評価はここに記載の通りガバナンスコードの規定に基づく審査基準を遵守していると認められるもの。B評価は審査基準を遵守していないものの、直ちに遵守することが困難である具体的かつ合理的な理由を説明し、遵守に向けた今後の具体的な方策について説明していると認められるもの。N評価はその審査項目を自らの団体に適用することが合理的でないと考える自己説明を行っていると認められるもの。F評価はA評価、B評価、N評価のいずれの評価にもあてはまらないものです。
なお、審査項目によって審査基準が複数あり、それら全て遵守していないとA評価にはなりません。審査委員会は各審査項目の評価に基づき総合評価を決定することになり、F評価がなければ総合評価が「適合」、F評価が一つ以上付されると「不適合」となります。説明は以上です。

【友添部会長】 ありがとうございました。まとまった説明で、よく理解できました
続きまして議題(4)に移ります。スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について、事務局より説明をお願いします。

【西川課長】 再び失礼します。お手元の資料7をご覧ください。ここからは30分程お時間を頂きまして、今後、このNF向けコードの在り方をご審議いただく上で必要となる基礎データや主な検討の視点を順次お示しします。
まずお開きいただき、2ページ3ページ、こちらは今回の諮問文の内容、先ほどご紹介した通りのものを載せています。
そして次の4ページではガバナンスコードの第一章の概要を掲載していますが、ここにはコードの骨格となる考え方が書かれていますので、初めにおさらいをします。
まずNFには全国に多くのステークホルダーが存在し、そして唯一の国内統括団体として競技に関する業務を独占的に行っている。従って、公共性の高い団体として特に高いレベルのガバナンスが求められているという点は、改めて押さえておいていただきたいと思います。
加えましてもう一つ、コードの役割ですが、これはあくまでも原則・規範であり、その遵守状況については各NFが直ちに遵守できているか否かを問わず、具体的かつ合理的な自己説明を行い、公表することが求められています。
特に遵守できていない場合の、いわゆる自己説明、エクスプレインの在り方については、先の資料でも言及させていただいた通り、5ページの図の特に中ほどにありますこの2点をしっかりと示すことが求められているという点についても、今一度ご認識いただきたいと思います。
その上で6ページ以降ではコードの第二章に掲げています13の原則ごとに適合性審査の結果から把握されたNFの現状と成果と課題、それらを踏まえた今後の検討に向けた視点という形で、今後の検討の土台となる基礎的な情報を示していきたいと思います。
それでは次の8ページにお進みください。このページ以降、本資料の構成は原則1から順番にすべてこのようになっています。
まず一番上に原則の本文を載せておりまして、その左側、①現状というところに当該原則の遵守状況、そしてその右側の②成果と課題というところにその概略と適合性審査を通じて把握された統括団体としての課題感や、また審査を受けていただいたNF側の方から聞かれた主な意見などを記載しています。
なお、NFの意見については今回スポーツ庁がすべてのNFを対象にしたアンケートと、それから抽出ですが個別のヒアリングなども行わせていただいて把握したものです。
そして最後、一番下の欄、③検討の視点。ここは本部会において今後検討を深めていただくべきテーマの例を示している、こういった資料の構成になっています。
まず原則1に関して具体的な中身を説明いたします。原則1は組織運営に関し、基本的な計画を策定し、公表すべきというものです。
現状ですが、まず中長期基本計画については、これは審査時点ですが、39%のNFが策定公表に至っており、残りは検討段階にとどまっています。
このグラフの見方について補足しますと、このデータは先程ご紹介いただきましたこれまで3年間に実施された適合性審査の結果の審査項目ごとの評価、先ほどのABNFという4段階の評価のことですが、この結果を団体数の割合で記載しています。
ですから、このデータの対象となるNF数はそもそもすでに審査を受け終えている89団体です。そしてこの各評価の意味は先ほどまさに説明のあった通りです。
したがって原則1については、この3つの種類の基本計画いずれにつきましても審査の時点で策定公表に至っているのはまだ2割から4割ということに過ぎず、半数以上のNFが審査の段階では未だ策定・検討中といった段階だったということが読み取れます。
なお、NFがどのような自己説明、エクスプレインを行っているかにつきましては、主な内容を次のページでご紹介しています。9ページですが、ご覧頂きますように、<例1>の団体のケースでは、小さい団体であるのでまだ人材計画の策定に至らないという理由と、また令和5年7月までという具体的な達成時期を示したような説明になっているのに対し、例えば一番下の<例3>は財務計画について、これまで赤字を出してないので計画を作って来なかったが今後は検討したいということで、達成時期は具体に示されていないという内容になっていると理解できます。
これはあくまで一例ですが、今後の本部会の審議にあたりましてはこうした自己説明の内容の妥当性についても必要に応じてご検討いただければと思います。
最後に再び8ページですが、こうした状況を踏まえ、一番下の③検討の視点としては、基本計画の策定・公表がまだ具体的に進んでいない状況を踏まえ、これを促すためにどのような対応が考えられるかということを一つの視点としてお示ししています。
ここまで原則1です。以下、この構成で続きます。
続きまして10ページ、原則2です。ここは内容が盛りだくさんのため、小項目ごとに区切っています。
まず最初に、役員構成の多様性の確保を図るための外部理事や女性理事の登用についてです。コードでは外部理事25%以上、女性理事は40%以上の目標をそれぞれ設定するとともに、その達成に向けた具体的な方策を講じることを求めています。
これについて現状としてはA評価が3割強、残りはB評価となっています。ちなみに評議員、下のグラフについては財団法人でない法人においてはそもそも置いていないというN評価のケースが多くありますが、評議員会を置く団体の中で見てみますと、現状、やはりA評価になっている団体は少ない現状です。
②成果と課題のところで、NFや統括団体からの主なご意見を紹介しています。赤字のところをご覧ください。まず一部のNFの方からは競技によって登録人口の男女比が大きく異なるので40%という一律の目標が適切かどうかそもそも疑問であるという声や、なかなか適任者が見つからない、また加盟団体の推薦枠にはどうしても男性が集中してしまう構造的な問題があり、その解消が難しいという声が聞かれています。
また外部理事については統括団体からコードの脚注のところにその定義が丁寧に書いてありますが、その幅が広すぎるが故にやや骨抜きになっているという指摘もありました。その脚注というのは※印のところです。「当該団体と緊密な関係がある者」であっても、例えば法務やビジネスといった専門的知見を有する方であれば外部理事として整理することも考えられる、このように定義している部分に関するご指摘です。
これらを踏まえ、今後の検討の視点としては今ご説明したような外部理事の定義、あるいは女性理事の目標割合の妥当性、その達成に向けた工夫等を示しています。
なお、先ほどの原則1と同じように自己説明の例につきまして、同じく次のページに記載しています。これはあくまで一例ですが、例えば<例1、2>のように具体的な取り組みの中身や理由、達成時期までを明示しているケースもあれば、<例3>のように当面の女性の目標はひとまず20%を目指すといった説明に留まっているものも見受けられます。
続きまして次の12ページをご覧ください。次はアスリート委員会の設置です。これについてはAとBがおよそ半々という状況でした。
ここではいくつかのNFが審査において好事例として紹介されています。先ほどの資料にもあった通りですが、例えばアスリート委員会の委員長がNFの理事としても選任されていることでアスリート委員会での議論が組織運営に適切に反映されているというケース。あるいは競技の中に複数ある種目やジェンダーのバランスに配慮した委員構成にしている。また委員のみならず全ての代表選手の意見をアンケートで吸い上げて業務執行に反映させているといった例もありました。
ここについてはこうした好事例をうまく横展開していくことで実効性が高まるのではないかと考えられるところです。
続いて、次の13ページは割愛させて頂き、14ページにお進みください。こちらは理事会の適正規模、実効性の確保についてです。審査の結果を見ますと円グラフは省略していますが、ほとんどのNFがA評価でした。
では、実際に理事会の規模がどうなったのかについても把握する必要があると考え、こちらは別途実態調査を行わせていただきました。これを見てみますと、コード策定前の平成30年度においては理事の全体の平均が16.7人であったのに対し、令和4年度では13.9人とやや減っていました。
ただし、最大で48人というところもあり、右側ですが規模の大きいNFからは理事会や地域代表や競技種目の代表で構成されるのでどうしても一定規模以下にできない、こういった声も上がっています。
なお、②の欄の下のところですが、先に少し触れました大規模大会のガバナンス指針、これにおきましてもこの点についての重要性が強調されているということについて、参考情報としてご紹介をしています。
本原則につきましてはこうした状況を踏まえつつ、改めて理事会の適正な規模をどう考えるか、これを検討の視点の一つとしていただくことが考えられるかと思います。
なお、次の15ページですが、理事の人数についてもう少し男女別と外部理事の平均についてもそれぞれ掲載しています。特徴としては赤字で書きましたが、まず女性理事の割合については平均で以前は15.6%だったものが26.5%まで10ポイントほどアップしているということ。また右側の外部理事につきましても平均12.6%から29.2%へとアップしていることが分かります。
これらはいずれもこのガバナンスコード策定の効果であると考えられます。
ちなみに今ご紹介している中央競技団体の実態調査、この全体版は本日の参考資料5として別途配布していますので、適宜ご参照ください。
続きまして16ページをご覧ください。原則2の次は(3)役員等の新陳代謝を図る仕組みを設けるという原則のうち、理事の就任年齢や就任時の年齢に制限を受ける点です。
審査結果からは理事の年齢制限をすでに設けているところと設けていないところ、検討中であるところが約半々であるということが分かります。
ただし、こちらも実態調査の結果で見ますと、何らかの定年制を定めているNFが以前は30%台でしたが75%まで増えていることが分かりました。
直ちに年齢制限を定められない団体、これは多くはパラの団体ですが、そういったところからの声としては、NFの中核人材の多くが高齢者であるということや、そもそも団体規模が小さく人材がいない中で現職を退任させることが現実的ではない等が挙げられています。
次の17ページの自己説明の例を見ましても、例えば<例2、3>のように一部の理事については年齢制限を適用除外として扱っているというケース等も現時点ではあるようです。
さらに次の18ページにも関連で、実態調査から理事の就任時の年齢制限を実際何歳と設定しているかというデータを載せています。その内容を見ますと、規定がないところはかなり減ってきましたが、内容を見ますとやはり中には85歳以下といった実質的にあまり制限にならないところで線を引いているところもそれなりにあるという理解ができるかと思います。
こうした状況を踏まえ、検討の視点としては引き続き今のコードの書きぶりのままで良いかどうか。あるいは団体の実情に応じた柔軟な設定をどこまで許容するかといった点が論点になるかと思います。
続きまして20ページをご覧ください。こちらは理事が原則として10年を超えて在任することがないように在任回数の上限を設けることについてですが、既に上限を設定できているNFが約4割です。
実際の現職理事の在任期間を見ましても、①の下の方ですが、かつては理事を10年以上勤めている方が18%程度でしたが、4年間で13%程度に減少しました。このデータの詳細については22ページにも掲載していますので、是非ご参照ください。
実はこの原則はなかなか適用が困難だという声が多くのNFから寄せられています。主な理由は②の赤字で示した2点に集約できるかと思います。一つは将来の幹部候補、代表理事等を育成していく上で10年では短すぎるというご意見です。特に30代、40代等の比較的若い世代の方を理事に登用し10年で退任させてしまうことは組織にとっても損失だといったご意見です。
もう一つのご意見は、IF役員ポストを獲得するにはNF役員任期10年では短いというものです。現在のコードでは補足説明におきまして、IF役員については上限10年の例外として扱ってもよいとしていますが、その場合は長くてもプラス2期、すなわち4年までと書いていますので、実質的には上限が14年です。これについてなお短かすぎるという意見であると理解できます。
ちなみにこの原則につきましては、コード策定の時点では東京大会が近くに控えるタイミングであったという事情から、一巡目の審査に限っては直ちに遵守出来ない理由を明確にするだけでよいという、いわゆる激変緩和措置を適用できることにしていました。
したがって二巡目の審査ではこの激変緩和措置が適用できないことになりますので、基本的には次の4年サイクルで取り組みが進んでいくことが想定されると思っています。
なお次のページの自己説明例をご覧いただきますと、例えば<例2>のケースに原則としては10年以内という規定を置きながらも、IF役員などの例外については再任上限の定めをおいていない。先ほどの14年ということが特に定められていないNFもあるというのが今の状況だと理解しています。
次、24ページをご覧ください。こちらは原則2の最後の項目、役員候補者選考委員会の設置についてです。現状審査を受けたNFの4割がすでに選考委員会の設置に至っています。
ただし、審査を行っていただいている統括団体からは、単に選考委員会の設置の有無を見るだけでなく、その独立性を担保することが重要と考えられるところ、その客観的な判断は難しいという意見をいただいています。
例えば具体的な基準としてはこの選考委員会の構成員のうち、理事が過半数を締めないであるなど具体的な線引きは考えられるが、こうした基準がコードの本文で提示されないと、なかなか審査の中で適否が判定しにくい、こういったご提案をいただいているところです。
理事の選考の公正性、透明性を確保すること。こちらも先般の大規模大会のガバナンス指針でも中心的なテーマとなったところです。この点スポーツ庁でも重視したいと考えています。このコードの本文の今の書きぶりを見直すべきか、あるいは何か追記することが考えられるのか、こういったあたりについても今後ご検討いただければと思います。
続いて原則3、26ページです。こちらは組織運営に必要な各種の規程の整備についてです。現状としては法令遵守のための規定については9割がすでに整理済みであるのに対し、代表選手選考規程や審判員の選考規程については、審査の時点では該当する団体の半数程度しか未だに策定には至ってないという状況でした。
これについて右側、統括団体の方からは先ほどの役員候補者選考と同様に代表選考についても単に規程が存在するかどうかということに留まらず、その内容が公平で合理的なものであるかを本来判定するべきですが、それを統括団体として行うには限界があるというご意見もありました。ここについても必要に応じ今後審議をいただければと思います。
続いて28ページにお進みください。原則4のコンプライアンス委員会の設置についてです。委員会を設置し運営するに至っているNFが4割程度にとどまっている状況です。特に小規模な団体からはコンプライアンス委員会を構成する有識者の確保が難しいという声が上がっています。
関連しまして、30ページの原則5も併せてご覧いただきたいと思います。コンプライアンス強化のための教育の実施ですが、役職員、選手、指導者、審判員に対する教育の実施を求めていますが、これについては実施に至っているところが約半数程度です。統括団体から研修と一口に言ってもその内容にかなりのばらつきがあるというご指摘もありました。
このガバナンスコードではNFによる健全な組織運営を目指して各種の規程の整備等を具体的に求めているわけですが、申し上げるまでもなく、こうした規程の存在やこの趣旨・内容といったものがただ存在するだけではなくそのNFの役職員や会員に広く認知をされて運用されなければ意味を成しません。
その意味でこうした研修・教育の実施は人も変わっていく中で継続的に実施して行くことが極めて重要ですが、その内容にばらつきがあるということに関して今一度ここでどのような取り組みが考えられるのか。あるいはコード本文において追記すべきことがないかどうか。こういったことについても必要なご審議をいただければと思います。
ちなみにコンプライアンス教育につきましては、NFで共通する内容も多いく、統括団体においても各種の研修機会を提供されていると承知しています。また、その他の30ページの左下に参考として記載していますが、スポーツ庁でも実は令和元年度に委託事業を通じて研修モデルを作成しています。
さらに31ページには審査で好事例として挙げられ掲載している事例、これはサッカー協会ですが、こういった事例の横展開も効果的と考えられます。
続いて32ページ、原則6です。法務・会計等の体制構築です。ここはある意味非常に基本的な原則のため、ほとんどのNFにおいて既に対応されています。
一部の団体からは資金不足のために専門家サポートをボランティア当然でお願いせざるを得ないという声が上がっていますが、パラ団体の方からは日本財団様によるパラスポーツサポートセンター、これが東京大会後も事業継続をされていて、それによる支援を引き続き受けているところが多くあるとも聞いています。
続いて34ページをご覧ください。原則7、情報開示についてです。財務情報の開示、これはすべてほぼ対応されているのに対し、選手選考の基準を開示出来ていないNFが3割あるのは少し問題だろうかと考えられるところです。
なお、このコードの遵守状況のところはデータが7割、67%になっていますが、おそらく適合性審査一年目の段階では準備中という段階があったという意味ではないかということで、現在ではここはさすがにすべてのNFが自己説明、公表していると理解しています。
従いまして、ここでは主に選手選考基準の更なる開示の促進が課題であろうと考えられます。
続いて36ページにお進みください。原則8、利益相反の管理についてです。利益相反管理の規程やポリシーともに審査時点で作成できているのは約4割でした。一部の団体からは利益相反取引の対象範囲を団体で判断することが困難であるという声が聞こえています。
こちらも実はスポーツ庁の委託事業でも令和2年度にモデル管理規程を作成して公開していますが、少し周知が足りていない状況もあるかもしれません。
ただし、東京大会の今般の組織委員会の事案でも大きく問題になった観点です。ここについては最低限のルールが全てのNFで早急に定められるように促していく工夫が必要であると考えています。
続いて38ページ、原則9、通報制度の構築についてです。審査時点ではNFの 4割で制度が構築されていました。ただし制度が構築できていてもその運用において課題が残るという指摘が統括団体からは出されています。
次の39ページのここは自己説明の欄をご覧いただきますと、<例1、3>のように、まずは必要な規程を整備した上で窓口の設置を検討していくという所が多く、ここはおそらく原則3、4、さらに次の原則10に規定されているコンプライアンス、あるいは懲罰等の各種規程が整備されることがこの通報制度運用の前提になるという関係性にあると考えられます。
続いて40ページをご覧ください。原則の10、懲罰制度の構築についてです。これは先ほどお伝えしたように原則9の通報制度を運用する上で欠かせない制度の一つですが、審査時点で制度が構築されているNFは4割でした。
団体の不祥事を防いだり、起こった不祥事の再発を防ぐためには懲罰制度は不可欠なものです。そうした意味で適合性審査についてもこの懲罰制度が未整備である多くの団体に対しては要改善事項が出されており、それにより速やかな整備が促されている状況にあると理解しています。
続いて42ページをご覧ください。原則11、紛争の解決についてです。この原則ではスポーツ仲裁機構によるスポーツ仲裁を利用できるように自動応諾条項を定めることを規定しています。審査時点では条項の設定は6割強でしたが、直近の仲裁機構のデータによると78%のNFが自動応諾条項を採択しているということです。
しかしながら、統括団体からは、その内容について対象となる紛争を限定しすぎているケースがあるといったご指摘や、申立期間について合理的でない制限を設けていないと本文に書いていますが、その基準が曖昧であるというような指摘が出ています。
これらを踏まえ、コードの補足説明等において例えばさらなる追記が必要かどうか検討の余地があると考えています。
続きまして44ページをご覧ください。原則12、危機管理及び不祥事対応体制の構築についてです。まず危機管理のマニュアルについては審査時点で策定できていたのは3割でした。この危機管理マニュアルについては一部の団体からはモデルとなるものが共有されるとありがたいといった意見がありました。これも実は先ほどの利益相反規程などと同様に、スポーツ庁委託事業でモデル例も公表していますが、この周知がやはり不十分であることも考えられます。
いずれにしましても、今後は他のNFのケースなども参考にしながら各団体の実情に応じた実効性あるマニュアルが作成されることが望まれるところです。
不祥事が発生した場合の対応につきましては、この項目は不祥事が発生したNFのみが対象になるため、8割以上の団体は対象外です。対象となる団体ではほぼ対応がなされたということです。
ただし、45ページの自己説明をご覧いただきますと、<例2>のように例えばマニュアル策定時期を明示されていない、あるいは先ほども少し触れさせていただいたバドミントン協会の円卓会議で報告された不祥事事例のように、不祥事が起きた際、当初の事実関係調査を行う体制が独立性や中立性を欠くものであり、結果として責任者の処分等の対応が大幅に遅れたといったケースもありましたので、引き続きすべてのNFにおいて着実に必要な体制を行える構築づくりに努めていただく必要があると考えています。
最後です、46ページ。原則13、地方組織のガバナンス確保のための指導、助言、支援についてです。こちらの3割程度は地方の加盟団体を持たずN評価ということですが、加盟団体があるところだけで見ますと半数強が地方組織等との権限関係を明確化できているというのが審査結果の状況です。
これについては審査においていくつかの好事例があげられています。47ページです、下のところ、例えば加盟団体の法人化支援をしている、あるいはオンラインを活用してコミュニケーションの充実を図っている、また財政的支援を行っている。こういった工夫も見られるところです。
以上、大変駆け足になりましたが、ここまでが原則ごとの情報提供となります。最後に一枚48ページですが、こちらにコード全体を通じた共通の視点、課題感を5点ほど掲げました。
一つはやはりNFによってはサンプルモデルをそのまま導入するような形式的な導入にとどまり、結果として自己説明資料の類似内容のものが散見される、こういった状況があるという点。
関連しまして2つ目に、コードの遵守が形式的なものにならないよう、このコードのそもそもの主旨や意義をしっかり関係者に周知徹底を一度ではなく継続的にしていかなければならないだろうということ。
そして3つ目に適合性審査の一巡目では今までご覧いただいてきたように、これからやりますという計画の提示にとどまる段階の団体も少なくなかったものの、二巡目以降においては、これを計画から実行に至るフェーズに引き上げていく必要があると考えられます。
そして4つ目、本来はコンプライorエクスプレインという原則の下で、多くの団体でエクスプレインがなされていますが、その内容にはやはりばらつきがまだ見られるため、本来あるべき自己説明というのはどのようなものなのか。また要素という意味だけではなく、ややもすると審査のための作文となりがちですが、ここをよりステークホルダーの広い理解を得るためのものという視点で検討することもあっていいのではないかという点。
最後ですが、NFがより一層主体的に積極的にコードの遵守に取り組む。やらないと罰せられるから嫌々やるということではなく、積極的に取り組むことができるように例えば何らかのインセンティブを与えるようなことが考えられないか。
いくつかの角度からになりましたが、そういった視点を提示させていただきました。
駆け足の説明になりましたが、こちらからの情報提供は以上です。
これらを踏まえながら本日は次回以降の検討において特に深掘りをしていく、特に取り上げるべき論点等につきまして様々なご意見をいただければ幸いす。
大変お時間頂戴いたしましたが、事務局からの説明は以上です。

【友添部会長】 ありがとうございました。膨大な情報を非常に上手くご説明いただいたと感じています。
もともとの仕組みとしては、サポートはするけれどもノーコントロール、つまり国は管理はしないということでやってきたわけであって、それがエクスプレインのいわゆる本質的なところで、前回はこの原則を大切にして、ガバナンスコードを作ってきたというところです。
4年経って、コード自体の評価みたいなものを今日拝見したような感じがします。原則が適切であったことを感じていますが、実効性という点では成果がうまく出たものとそうでないところとに分かれた部分も感じています。
今、西川課長からお話がありましたように、次回以降、特に取り上げるべき論点を委員の皆さんの方でお考えであればそれをお話しいただきつつ、その他自己紹介も兼ねて発言をお願いしたいと思います。恐縮ですがだいたい3分から4分程度の範囲内でそれぞれお話をいただければと思います。
順番としては勝田委員から回っていき、最後は今日リモートで参加のお二方、そして最後に境田部会長代理にお願いしたいと思います。まず勝田委員からお願いします。

【勝田委員】 当初から計画をしていた検討だと思いますが、特にこの時点で検討するのは意義のあることだと思います。それはなぜか。
一つはスポーツ界を取り巻く状況変化です。コロナ禍長期化の影響、気候変動、ポストSDGsもあります。
それから情報化の進展、対話型AIという話も出てきております。また、国際情勢の変化などもあります。
スポーツ界においては、ここ数年、競技団体の中の変容の一つとして、新たなリーグの創設や選手、スタッフなどのフルタイム化、専門化などが進んでいる傾向もあるように思います。
このような、様々な環境変化を念頭において、中央競技団体の存在意義なども踏まえ、議論を進めていくことが重要ではないかと考えています。
建設的な対話を大切にし、会議に参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【友添部会長】 ありがとうございました。金森委員、お願いします。

【金森委員】 金森です。よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。簡単に自己紹介をさせていただきます。
私はもともとNHKの報道局の記者をしていまして、長くアマチュアスポーツ、オリンピック、パラリンピック等をカバーしてきました。
最近は現場を離れ、IFや一部NFとも向き合う仕事をしていますが、それはNHKが持っているオリンピック、パラリンピック、世界選手権などの放送権契約を締結するときの担当者といいますか、それでIF、NFさんと契約をしていくという業務に携わっているため、少し現場からは遠いですが、とはいえ組織と組織の話になるので、コンプライアンスやガバナンスなど、常に気を付けながら業務をしていますので、今回このような会に呼んでいただいたことは非常に意義深く、私もたくさん学ばせていただきたいと考えています。
特に先ほど西川課長からもご説明いただいたところで、原則2の(3)のところです。統括団体からIFの役員の関係で上限を緩和する場合は人材不足などの懸念が多いというところですが、そこについては確かに私も普段、競技団体さんと向き合っていて、余人をもって替えがたい方がいらっしゃると思います。
それが主観であってはならないといいますか、客観的に余人をもって替えがたいかどうかというところを詰めていく、誰が見ても納得できる形で議論していく必要があると今日感じました。引き続きよろしくお願いいたします。

【友添部会長】 ありがとうございました。國井委員、お願いします。

【國井委員】 國井です。よろしくお願いいたします。
ガバナンスコードの前のフェアプレーガイドライン、あるいは今回の大規模大会のガバナンスについても参加させていただく等、非常に大きなガバナンスについて参加させていただくことが多いのですが、そもそもNFとは何かということは常に問題意識を持っています。
おそらく皆様のお手元にある緑の過去の資料の第一回、4ページ目あたりに当時の日本スポーツ協会の加盟状況、日本オリンピック委員会、それからパラリンピック委員会の加盟団体が書いてあります。
これは平成30年のところですが、NFと一言でいいましてもそれこそ陸上の陸連やサッカーなどの団体とそれからパラの団体でもJPCに入っていない障害者、スペシャルオリンピックも含めている中で、これは今少し変わっていると思いますが、非常に多くなっている状況です。
我々はよく中央値などの話をしますが、どのあたりを我々としては対象としていくかもよくよく考えておかなければならないと常に感じています。
その上で最終的な需要、NF向けのガバナンスコードを一冊にまとめますので、先ほど来からの好事例がどのレベルの段階にとっての好事例なのかがある程度水平展開する上で、自分たちと同じぐらいの規模感でこんなことをやっているということが一番参考になると思います。
正直言いまして陸連さんやサッカーレベルの本当に潤沢にお金があるところは障害者スポーツ団体とは全く違います。そのあたりもしっかり丁寧に議論する必要があります。
上の方だけのお金があるところだけがきちんとガバナンスが整っているということではなく、スポーツ界全体を考えていかないと良くはなりません。
そういった意味では今回NFだけのガバナンスコードに注目していますが、個人的には一般団体向けが本当の基本中の基本のところです。ここは非常に私は大切なところだと思っていますので、期を見て一般向けの方も何らかの機会があればもう一度見直すなり、あるいは再検討することが、いわゆるNFだけじゃないところで起きている不祥事、体罰など、さまざま問題が起きていると思いますが、そこにもやはり役立つのではないかと思っています。今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

【友添部会長】 栗山委員、お願いします。

【栗山委員】 栗山と申します。
私は弁護士です。これまで国内外のスポーツ法務をさまざまお仕事させていただきました。
また国内であれば、オリ団体からパラ団体までさまざまサポートをさせていただく機会をいただき、また平成31年のスポーツ団体ガバナンスコード策定段階でのスポーツ・インテグリティ部会のメンバーをさせて頂いていました。
その後、適合性審査のところでもいろいろと関わらせていただき、コードについての成果や課題について様々ご説明いただいた内容を実感しているところです。
このような経験をしてきた中で、まさに今回のスポーツ団体ガバナンスコードの実効性確保という観点での改訂作業に少しでも尽力できればと思います。
実効性確保にあたってはコードの中身を見ていかなければいけないというところですが、今、國井委員からお話がありました通り、本当にオリパラ含め様々な団体があることは忘れずにコードの中身を検討していきたいと思っております。
またコードの中には例えば中立性、専門性、また公平性、合理性という言葉が出てきますが、これを補足説明の中なのか、出来る限り具体的にしてNFの方、またはコードを見る一般社会の方々が分かる内容にしていく必要もあると思っています。
私自身はこの実効性確保にあたっては特にNFの自己説明という部分を充実させなければならないと考えています。
これまで一巡目というところで言えば、NFの方はコンプライアンスに注力してきましたし、先ほどスポーツ庁からもご説明がありました通り、自己説明も適合性審査に合格するための説明がなされてきたように思います。
今後は、いかに社会に対して自分たちのNFというものを自己説明していくか。広くステークホルダーに対して自己説明していくかというところが重要だと思っていますので、自己説明にあたってポイントとなる、より具体的・合理的な説明ができるような補足説明を追加して行くことも必要ではないかと思います。
様々な委員のご意見をいただきながら、少しでもお役に立てればと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【友添部会長】 ありがとうございました。谷本委員、お願いします。

【谷本委員】 谷本です。よろしくお願いします。
私は競技者として柔道の出身ですが、現在様々なNFの女性理事、そして外部理事として携わらせていただいています。
また、いろいろなNFの委員会の方にも参加させていただく中で、ガバナンスコード遵守という意味では非常に差が激しいことを実感しています。
また、先ほども参考事例が上がっていましたが、こういった取り組みの実効性の確保といった意味では隣のNFはどんなことを取り入れているのか、じゃあやってみよう、これが非常に早いのではないかということも感じています。実際に様々なことを現在まで取り組んできました。
また女性理事や外部理事、そういった時に同じ競技者であってもやはりこういった専門的知識が非常に抜け落ちてしまっていることもあり、競技者の目線が理事会においてあまりないということも併せて実感しています。
こういった意味では、こういった外部理事というものに対しては、競技にもう少し特化した研修というものが今後あってもいいと思っていますので、まずは自分自身が務めております理事の立場の方でぜひ取り組みたいと思っています。以上です。

【友添部会長】 中竹委員、お願いします。

【中竹委員】 中竹です。今回20年ぶりぐらいに文科省に来まして、懐かしいなと。以前は私、三菱総研にいまして、事務局のサポーターをしていました。こういう形で再訪できたことを非常に光栄に思っています。
バックグラウンドとしては僕自身、ラグビーで現場の監督等を経験し、その後ラグビー協会の理事、今は車いすラグビー連盟の副理事長をやっています。
なので、自分の団体の評価が非常に気になるところではありますが、おそらく今回呼ばれたのはその観点というよりも、もう少しビジネスよりのところかなと思っています。
僕自身は自分で会社をいくつか経営していまして、三社で社外取締役をしています。まさにガバナンスコードと同時にサステナビリティレポートや、ESG、これがほぼ毎回のように議論になっているのが現状です。
その観点について少しコメントさせて頂きますと、もともとガバナンスコードはビジネス、基本原則は五つですが、やはり様々な不祥事や自分たちの会社の価値を下げないために投資家にどう見せていくかという投資家目線です。
それでいうとスポーツは投資家や株主が少し曖昧ですので、ビジネスのことをそのままやっていくのは少し違うとはもちろん思っています。
しかし、実はちょうど先週1週間、JOCの仕事でオリンピック関連、パリに行ってきましたが、ほとんどの議論がやっぱり人です。ESGのS、ソーシャルの部分でどれだけintangible評価、お金やハードではなくソフトに投資していますかというこの議論がほとんどです。
この流れを見るとおそらくEUの流れの5年後ぐらいに日本が来ると言われています。最近のEUの流れを見ると、ブランドビジネスではなく、レピュテーションビジネスと呼びます。要するに、スポンサーがブランドを上げるための広告宣伝費という予算を捻出するというより、企業が本当に地域の人に喜ばれる活動をしているスポーツクラブなどの組織に社会貢献費として投資しています。そうしたレピュテーションの上がる社会貢献費を中央競技団体に流してもらうことを期待したいです。
この流れをつくるためにも、まずガバナンスコード、これだけ整備されているので、勝田先生がおっしゃったように、この時点で見直しをし、見直しをした後、その次におそらく人的資本やサステナビリティレポート、このあたりに注力するような促しがあると、もう少し皆さんがポジティブになるかと思います。
言い方はよくありませんが、おそらく現場の人はバツを貰わないようにコピペしながらやっていると思いますが、面白いことに実はEUのサステナビリティレポートはあえてマイナスコメントを書きます。なぜかというと、ここから伸びしろがあると正直に開示している事の方が信頼性が高まるわけです。
要するに様々なスキルアップをしていても、うちはここはやっていません、やれていません。どれだけ自分のとこで働きたいかという指標もほとんどの人がうちの会社で働きたいと思っていないなどをあえて開示します。なぜかというと、この後絶対良くなるという自信があるからです。
そうした場合に今やっている皆さん、現場のNFからするとマイナスなことはなるべく書かないようにしようというエクスプレインがあると思いますが、そうではなく、それを元に今後の伸びしろを載せていきますよというメッセージを今から加えると、僕はもしかしたら唯一ここは人的資本の観点からいうとビジネスを越えられるんじゃないかなと思います。
ほとんどの団体がこういったところでビジネスから来たところの真似をしていますが、この観点で言えば、おそらくスポーツの方が先んじられるかなという気がしています。
そのあたりテーマとしては大きい話ですが、そういった観点でいうとみんながポジティブな気持ちになると思います。
最後に一点、当然のことではありますが、傾向として今書き方がほとんど「我々の団体は」が主語です。日本の有価証券報告書もそうですが、今EUをはじめほとんどの国が「我々の従業員は」という主語に変換しています。我々はこんな制度を設けています。こういった通報制度、例えば今回でいうと通報制度を設けています、これ会社がやりましたという話ですが、通報制度を使える状態になっているか。当然ですが「社員が」です。競技団体の選手やコーチたちがこんな通報制度あるのか、ではなく、ちゃんと使える状態になっているという主語を変換するような開示の仕方があると本質的なものになると思います。
長くなりましたが以上になります。

【友添部会長】 ありがとうございました。藤原委員、お願いします。

【藤原委員】 日本パラスポーツ協会の藤原です。私はそれまでは民間企業でしたが2021年にこの協会に来ました。
今、中竹さんが素晴らしいことをおっしゃったので言うことがほとんどなくなってしまいました。私も全く同じ観点で、民間企業はおそらく2020年前後にコーポレートガバナンスの議論が非常に活発化し、もうそうしないと生きていけない時代になりました。いろんな不祥事もありましたし、株の持ち合いで、ある意味、経営は無難にできていたものがそういうわけにいかなくなった。3割は外国の株主になったり、モノを言う株主になったりなど、そういったステークホルダーの声が無視できない。
それから従業員含めて社会の一員である、企業も社会の一員である、そこを深く意識してどうやってそれに対応していくか。
それから、さらに企業の価値を高める意識が非常に高まった。それは単に時価総額だけではなく、社会の中での企業の価値をどう高めていくかという議論を受け、25年ほど経ち今の社会的な環境の中で企業はコーポレートガバナンス、CSR、ESG、全てにおいてそういったところを重視するに至ったという経緯があります。
まさにこのスポーツ団体ガバナンスコードもそれに準ずるか全く同じ流れだと私も感じています。この4年間でかなり出来たところもあるし、民間企業よりも進んでいるところもあります。
例えば女性理事及び外部理事は、おそらくまだまだ民間企業は社外取締役の中で、女性が登用されている企業はたくさんありますが、内部の取締役で女性が登用されている企業は本当に少ない、まだまだ遅れている企業が多いです。
そういった中でこの13項目のガバナンスコード、かなり厳しい項目もあり、一歩進んでいるところもあります。そこを踏まえて二巡目の議論ができればと思っています。
それからこれは何のためにあるのか。要するに罰を与えることではなく、やはり組織として価値を高めていく。スポーツ団体においても様々なステークホルダーがいますし、それからやはり公金を使わせていただいているというところは意識高く、そこをしっかり考えて形式主義に陥らず、しっかり組織の価値を高めていくことは非常に大事だと思います。
もちろん選手が安心して競技をすることが第一でもあり、それから選手もその組織の一員として同じようにこのガバナンスコードの意味を考え、みんなでこれを達成することが大事だと思います。私も委員としてそれに尽力していきたいと思います。よろしくお願いします。

【友添部会長】 ありがとうございました。籾井委員、お願いします。

【籾井委員】 JOCの籾井と申します。ガバナンスコードの適合性審査の制度の立ち上げのところから、今審査の委員としても審査に関わっています。
そういった経験も踏まえ、この中身の議論の前に大前提としてお話をさせて頂きたいのが、まずこのガバナンスコード、これから見直し、在り方の議論をしていくわけですが、スタート地点としてこのガバナンスコードができたことでようやくそのガバナンスについての体系的な議論ができるようになったと捉えています。
これは我々統括団体自身もそうですが、NFの皆さんからもこのガバナンスコードがあったことによってようやく組織の改革に着手できる環境になったというコメントをよく頂きます。
今回この議論をするにあたって、そしてもうすでに改革に着手して取り組んでいるところもありますので、そうした団体に対して梯子を外さないことは常に肝に銘じておかないといけないかなと考えています。
一方で先ほどの説明にもありましたように、まだまだ形式的に行っている部分もあります。これから実効性確保に向けた議論が必要だと思っていますが、形式的になっていることの大きな要因として、ガバナンスコード一つ一つの原則の趣旨が十分に理解をされていないと感じることが多くあります。
そうした趣旨について継続的に説明をしていくことも必要ですし、例えば原則1組織運営の様々な基本計画を策定してくださいという適合性審査の中でも作っていて当たり前ということで過ぎていってしまいますが、実はこの原則1でいっているいろんな計画を組織としてしっかり議論をして何のための組織なのかという意識を関係者の中でしっかり共有していくことはガバナンスの大前提になっていくと思います。
数値目標がある所がどうしても着目をされて、ハードルが高いと捉えられますが、ガバナンスの本質が何かについてはしっかり捉えていく必要があると思っています。
少し矛盾するかもしれませんが、一方でこれを100%全部こなそうと思うと本当に負担が大きくなります。
JOC自身もこのガバナンスコードに沿った運営組織改革をしてきていますが、100%やると思うと非常に負担が大きいので、逆に横断的に出来る部分でどうしたら負担が軽減できるのかということも考えていく必要があると思います。
それから原則2は一番これから議論されていくところだと思いますが、この部分については、コードにどう反映させていくかということはありますが、スポーツ団体の多くは理事が非常勤で、そして二年に一度役員候補者選考委員会によって改選されます。
おそらく理事は団体の業務を監督するという前提でそういう建付けにガバナンスコード上もなっていると思いますが、実態は非常勤で報酬ももらってないかもしれないが実際は業務執行にも関わっている。そういう中で二年に一回誰かによって変えられてしまうかもしれないけど、特にIFとの関係など、人材育成もしていかないといけない。
そのあたりを誰がどういう形で理事としての評価を行うのかというあたりも含めて考えていかないと、多分形だけ整えることになってしまうので、その辺りの実態部分もぜひこの会議の場でお聞きいただけるといいと感じています。以上となります。

【友添部会長】 ありがとうございます。森岡委員、お願いします。

【森岡委員】 日本スポーツ協会の森岡です。前回の2019年の時にも今の友添部会長、境田部会長代理、それから國井委員、栗山委員と一緒に参加させていただき、2度目になります。適合性審査を行っている統括団体としては、コード策定前と策定後でかなりのNFで意識の改善が見受けられると思います。
ただ、スポーツ庁の分析にもありましたが、やはり形式的な組織ルール整備になり、組織決定や組織運営において硬直的になっていくケースも散見され、NFの方から対応に苦慮しているということも聞きます。
NFによって歴史も文化も競技人口も全く異なり、予算規模や人員規模が大きいところからそうではないところもあります。それを一律に一つのコードに当てはめていくのはかなり厳しいと思っています。
とは言えNFはやはり社会的な影響力を有しているということで、公共性が高いため、多様性を尊重しつつも、今回作っているようなコードのような形で適用しないとなかなか前に進んでいきません。
ただし、矛盾しますが、やはり一定程度の柔軟性を持った適切なガバナンスの在り方もここで検討する必要があると私は考えています。
最後に、國井委員からありましたように、ここでは直接の議論ではありませんが、スポーツ界全体で考えた時に、一般スポーツ団体向けガバナンスコードもあります。日本スポーツ協会は、総合型地域スポーツクラブ登録認証制度を昨年度から始め、それにあたっては一般スポーツ団体向けガバナンスコードの自己説明が必要になります。これにより、やはりグラスルーツのスポーツの中でも今まで一切考えたことのないガバナンスやコンプライアンスを意識しつつあります。
総合型地域スポーツクラブのみならず、スポーツ少年団のような町の一般クラブでも、ガバナンスやコンプライアンスという言葉が出るようになるということは、スポーツ界全体の意識が上に向いてきているという感触です。以上です。

【友添部会長】 ありがとうございました。大日方委員、聞こえるでしょうか。

【大日方委員】 聞こえております。

【友添部会長】 それではお願いいたします。

【大日方委員】 日本パラリンピアンズ協会の大日方です。よろしくお願いいたします。 私は前回のこのコードの策定に参加させていただきました。
そしてバックグラウンドとしましては、現在、自身の出身競技を含め、3つの競技団体の理事を務めさせていただいています。そうした中で感じることを少し述べたいと思います。
まずこのガバナンスコードを策定して行く中で籾井委員等からもお話がありましたが、非常に多くの議論が競技団体の中で行われました。
そうした中で課題を整理をすることができましたし、ここが足りないねというところについて策定して行く必要がある。あるいはここに付いては、整備されていると思っていたけれども、この文書では対照が違うのではないかなど、そのような話をすることができたという意味においては、非常にこのガバナンスコードの意味が大きくあったと思っています。
このようにまさに今スタートラインに着いているというところで、今後の持続可能な組織にしていくために、ガバナンスコードをどのような発展をさせていくのがいいのかというのが、今回のポイントになるだろうと思います。
すでにいろんなご指摘がありますが、複数の競技団体の理事を務めておりますと、それぞれの競技団体で理事の役割も理事会としての機能もバックオフィス機能も全く違うという、この多様性に気付くことができました。
そうした中で共通して大切なことは、原則1の人材の計画であり、誰が競技団体でどのような形で支えるべきなのかという、こういったビジョンのもと、これらが議論されるべきだと考えています。
実際、この人材計画について、説明を回答しようと思ったときに、競技団体の人材は多様で、どこにフォーカスして答えるべきか、回答する側として迷ったということもあります。
そうした観点において、原則2、役員等の体制についても競技団体の現状とあるべき姿というところでもう一度で考え直す、そういった意識としては意義のあるものに感じています。
そして3つ目、最後ですが、スポーツ団体ガバナンスコードを改めて読みかえして思ったことは、原則4、6,9,10,12で、いずれも弁護士や公認会計士といった専門人材の方々への要請があり、非常に濃い記載がされているなと感じました。
こうした点において、こういった人材が何を担うのか、どのような形で担うべきなのか、こういった観点から原則を見直していくのも一つの方法と感じています。どうぞよろしくお願いいたします。

【友添部会長】 ありがとうございました。齊藤委員、聞こえるでしょうか。よろしくお願いします。

【齊藤委員】 よろしくお願いします。
私は今回新たに委員として参画することになりました。パラスポーツやデフスポーツなどの学識経験ということでこの場に呼んでいただいたと認識をしています。
そういう意味で申しますと、おそらくパラとかデフ関係の競技団体は、このガバナンスコードができる前はほぼ法人格を持たない任意団体のような小さなところから、組織の形を作るというその移行期にちょうどこのガバナンスコードがあって、その中でまずは形を整えることに注力をして、いろいろと進んできた団体が多いのではないかと思います。
なので、ようやく形、器が出来上がった。次はそれを実効性のあるものにするにはどうしていけばいいのか。理事の数も見ますと2人とか3人という規模のところから何十人という理事の体制のところまでやはり多様性のある中で、より実効性のあるガバナンスコード、それをどういう形で動かしていくのか、実効性のあるもの、具体性のあるもの、そこにしていくにはどのような関わりをしていけばよいのかということを私は皆様と一緒に学びながら進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【友添部会長】ありがとうございました。続いて境田委員、お願いします。

【境田委員】 スポーツ団体ガバナンスコードとはなんだろうと思った時に、ガバナンスコードはやはりスポーツ界を良くするための手段であるということ。つまり、スポーツ基本法に書かれている目的、理念、つまり、スポーツを通じて国民を元気にするとか、健全な社会を作るとか、あるいはスポーツ文化を作るというような法の目的を達成するための手段がスポーツ団体ガバナンスコードであるということです。
スポーツ団体がしっかりしたガバナンスを構築し、適切なマネジメントができれば、そのスポーツ団体の価値が上がるのみならず、ひいてはスポーツ基本法の目的である健全な社会を作るとか、地域社会の発展に貢献するとか、国際交流などにも資するとか、そういうことなのだろうと思います。
私のこれまでのスポーツ界での経験の一つに日本バスケットボール協会の改革がございます。国際バスケットボール連盟が、2014年11月に日本バスケットボール協会に制裁を科したことにより、日本バスケットボール協会はオリンピック予選など国際大会への出場ができなくなりました。そのときは、バスケットボール界の課題を解決するためのタスクフォースの一員として、川淵さんと一緒に様々な改革をさせていただき、また、Bリーグを創設したのですが、そのときに、サッカー界、つまり日本サッカー協会やJリーグから数多くのことを学ばせて頂きました。
1992年、Jリーグが始まる前はサッカー界の事業規模は15億円ぐらいだと思います。今は400億円くらいにまでになっていると思います。
なぜそんなに成長したのかということですが、おそらくサッカー界は、サッカーの発展のみならず地域社会を元気にするとか、その地域全体をスポーツで健康にするとか、人々の連帯感や絆を作るとか、あとはスポーツマーケットを拡大するとか、スポーツビジネス人材を育成するとか、そういうことの積み重ねの結果なのだろうと思います。露出が増えることでマーケットが拡大し収入が増え、結果として、サッカー日本代表が強くなり環境が整備され、審判のステータスやレベルが向上し、指導者のレベルが向上し、学校がサッカーに力を入れ、地方の都道府県の協会の運営も強固になる、そうするとさらに資金が増え、結果として、さらに代表は強く、環境も整備されていく、人材も育つ、テレビ局などメディアとの関係も良好になり、一層露出も増える、サッカー界ではこのような好循環が生まれているわけです。
バスケ界は年間の事業規模が2015年当時15億円だったのが今200億円ぐらいにまで拡大しました。これはサッカー界の発展に貢献してきた人、つまりスポーツ団体のマネジメントの在り方を熟知した人を川淵さんがサッカー界から連れてきたからこそ実現できたといえます。
実は、2019年から日本ラグビーフットボール協会でも理事を務めていますが、当時年間事業規模が50億円くらいだったのが、今年度は120億円になったと思います。この背景には、バスケ界がサポートしてきたということもございます。
Bリーグとリーグワンの勉強会なども何度か行いました。そういう中で、ラグビー界もいろいろな勉強をさせてもらってかなり良くなってきたと思っています。
ここ数年、スポーツビジネスに精通した優れた人材がいくつかの競技団体に入っていますよね。この人材交流がとても重要で、これがどんどん増えていけば、日本のスポーツ界はもっと間違いなく良くなると思っています。
実は一番、お金って無限にあるわけじゃないので、それをどう適切に、無駄なく振り分けていくか、というのが組織運営の肝です。関係者に説得を行い、説明責任を果たしつつ、いかに無駄なく効率的に資金を使うか、ということです。これができる人がまだスポーツ界には十分にはいないと思います。これからこのような人材が育って、いろんなスポーツ団体で行き渡れば絶対スポーツ界は良くなります。
実はそのようなことが出来る人はIFの理事になれます。IFの理事は、10年間はそのスポーツ団体の理事を経験しなければなる資格がないというのは、私は違うと思っています。
私は、先に述べました2015年のバスケットボールタスクフォースの委員のときに、国際バスケットボール連盟のパトリック・バウマン事務総長やインゴ・ヴァイス理事と、制裁解除に向けた厳しい、しびれる交渉を幾度となく行いましたが、そのときに感じたことは、IFの理事として求められる資質は、まさに本当の意味でスポーツの価値がわかっていること、ビジネス・マーケティングがわかっていること、運営マネジメントがわかっていることであり、その競技の出身者であることではない、ということでした。
以上のとおりで、一番大切なことは、本当に良い人材を育ててスポーツ界を良くすることで、ガバナンスコードはそのための手段に過ぎない、そのような物の見方も必要ではないかと思います。

【友添部会長】ありがとうございました。 私の方ですが、スポーツ倫理学、スポーツ教育学、などを専門としています。スポーツ教育学分野では先日来の運動部活動の地域連携・地域移行について取りまとめをさせていただきました。倫理学自体は法令が立てられるときの、いわゆる立法の趣旨について倫理に即して考える立場で、原則、あるいは規範とはどういうものかというのが考察の対象になります。もう少し難しい言い方をすると、SeinよりもSollenの世界。つまりスポーツの世界で事実を前提としてあるべき姿をどう構築するかということを考えることが私の専門領域のひとつです。
少子化の波はもう止めることができない時点にきています。今までさまざまな意味で右肩上がりの競技団体のやり方は限界が来ていて、これから努力しないNFは淘汰される、あるいは消えていく運命にあると思います。
ただ、また別の形で立ち上がってくるNFやIFもあるだろうとも思います。そういう意味ではIOCの仕事も変わっていくだろうし、IFそのもののあり方も変わっていく時期に来ているように思います。
先ほど勝田委員が言われたように、今は時代の変革期にいる、その中でガバナンスコードをどういうふうに発展させていくのかということが、今回私たちに課せられた主要な使命だということだと思っています。
原理主義になるわけでもなく、現実をちゃんと見据えながら柔軟に対応していけるようなコードの解釈。説明、補足、こういうことを審議していければいいと思っています。
ということで、最後に長官に一言いただきたいのですけれど、よろしくお願い致します。

【室伏長官】 ありがとうございます。
皆さん、ひとりひとり素晴らしいご挨拶を頂きまして、また友添先生のおかげで先生も増えまして、また大変これまでのコードのことを本当にご理解頂き、策定までご尽力していただいた籾井さん含め、森岡さんもそうですし國井先生もそうですが、そういった方のまたご知見をいただいて、今斎藤先生がおっしゃった時代の変革、勝田先生もおっしゃいましたが、こういうときに僕の部活動もそうでしたが、今をどうするかではなく、本当に日本のスポーツ界の先を見て、5年、10年先また発展していくよう、これが競技団体のみならず、競技団体の鑑となって、それを見ている子ども達や選手も含め、健全な状態に持っていくというところにあると思います。
お話を聞いていて、境田先生もおっしゃいましたがきちんと世の中の常識に合わせていけない団体はなかなかファンも付いてきません。スポンサーもそうかもしれませんし、これはビジネスにも通じる。また国際的なところもそうだと思います。
また理事の問題。これもまた何年かというものがありますが、理事になることを目標にしているわけではないと思います。なって何を成し遂げるかっていうところまでやはり考えていき、それは世界のスポーツのため、またもしかしたら委員会の方が理事になることよりも委員になる方も向いている場合もあったり、実は理事会にあがる前に各種委員会があって、そこで物事は決まり理事会に上がっていくわけですから、実はそういったところであったり、バスケットのバウマンさんやヴァイスさんなどは理事ではなく事務的なところで籾井理事もスポーツ庁でいろいろ経験されて本当に実務をされて今やっているのでこういったものがあると思いますが、理事の問題もありますが広く人材を考えて、将来本当にどうやって対応していくのか。社会に、世の中に求められる、また期待に応えられるように、ぜひ素晴らしいものにしていきたいと思っています。以上になります。

【友添部会長】 突然のご指名にもかかわらず、ありがとうございました。
本日みなさんからいただきましたご意見は、次回の協議の議論の柱、あるいは今後取りまとめていただいて展開していきたいと思います。
最後に事務局より今後の審議の進め方についてご説明をお願いします。

【西川課長】 お手元の資料8に今後の審議を進め方について案ということを書かせていただきました。
今回第1回ですが、第2回についてはすでに日程調整をさせていただき、5月30日を予定しています。ここでは個別の論点の深掘りということで、いくつかの団体に対するヒアリングを少し交えながら議論を深めていただきたいと考えています。
それ以後、だいたい月に一回のペースで3回、4回、途中パブリックコメント手続きを挟みながら最終的には7月頃に5回ぐらいの審議を経てコードの見直し案答申という形でおまとめいただきたいと事務局としては考えています。説明は以上です。

【友添部会長】 ありがとうございます。
今日はこれで終了ですが、今いただいたスケジュール感でよろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは事務局にマイクをお戻します。

【西川課長】 部会長ありがとうございます。
以上をもちまして本日の会議は終了させていただきます。
今お伝えしたように、次回が5月30日午後2時から4時半までを予定しています。詳細につきましては追って事務局より連絡いたします。本日は皆様、どうもありがとうございました。

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