スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会(第2回)議事録

1.日時

令和5年5月30日(火曜日)14時00分~16時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室及びWEB会議(Zoomを使用)

3.議題

  1. 関係者からのヒアリング
  2. スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について

4.配付資料

5.議事録

スポーツ審議会 スポーツ・インテグリティ部会(第2回)

令和5年5月30日(火曜日)

【友添部会長】 定刻となりましたので、ただいまから、第2回スポーツ審議会、スポーツ・インテグリティ部会を開催いたします。 皆様、大変お忙しい中ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は前回ご欠席をされました、井口委員にご出席いただいております。どうぞ、ご挨拶のほど、よろしくお願いします。

【井口委員】 弁護士の井口でございます。前回は欠席して申し訳ありませんでした。
前回の議事録を拝見しました。議論の中で、ガバナンスコードの色々な課題ですとか、問題点というか、そういったものが議論されていましたけれども、ガバナンスコードを作った当初から想定されていたものも多いように思いました。それをどうやって守っていくかというところが、一つの、別の意味での課題かなとは思っています。
それとは別に、現実的に、中央競技団体の方から見た時に、想定外の問題点も浮かび上がってきたりしています。
そういった想定外の問題点については、ここで改めて議論をしていく必要があるのかなという風に思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【友添部会長】 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。
今日は、齊藤委員からご欠席の連絡を受けております。また、勝田委員と中竹委員には、リモートで出席をしていただいております。 それでは、はじめに事務局より、配布資料等につきましてご説明をお願いいたします。

【筒井補佐】 オンラインの方はお送りさせていただいたリンクから入っていただければと思いますけれども、資料の1-1から1-5まで発表資料がございます。
資料2は事務局作成の資料でございまして、資料3は審議会の進め方についての資料でございます。それから参考資料は、1,2,3とございまして、机上配付資料は、会場の方々には机に置かせていただいておりますけれども、ガバナンスコードの冊子と、これまでの資料をまとめたファイルが置かれていると思いますので、もし何か足りないものがございましたら、事務局まで言っていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

【友添部会長】 よろしいでしょうか。それでは、議事に入りたいと思います。
前回は、ガバナンスコードの一巡目の適合性審査の結果と、この間に得られました成果や課題を振り返りつつ、委員の皆様から、それぞれの問題意識をお話いただきました。
本日は、それらを踏まえまして、主要な論点に焦点化しながら、二巡目審査に向けたコードの見直しの必要性を議論していきたいと思っています。
進め方ですが、はじめに、統括団体やNF関係者からのヒアリングを行いまして、その上で、各論点の議論に進みたいと思っています。 ヒアリングについては、各競技団体が、どのような工夫やご苦労、試行錯誤を重ねながら、ガバナンス確保に取り組んでこられたのか、具体的なお話をお伺いすることで、前回紹介されました、データだけからでは読み取れない現状が把握できるのではないかと考えております。その上で事務局と相談し、5名の方々にご発表をお願いしたところでございます。
それでは、前置きが長くなりましたが、早速ヒアリングに移りたいと思います。本日のご発表者とその順番は、お手元の議事次第に示している通りでございます。それでは、まず籾井委員からお願いします。発表者席に移動をお願いします。

【籾井委員】 すみません、ご紹介にあずかりましたJOCの籾井と申します。よろしくお願いいたします。
お手元の資料に沿ってご説明をさせていただきたいと思います。
最初は目次ですので飛ばさせていただきまして、3ページ目、「スポーツ団体ガバナンスコードとJOC」というところからお話をさせていただきます。
統括団体ということではありますけれども、統括団体もそれぞれの団体によって状況が異なっているかと思いますので、本日はJOCとしてのお話ということでご了承いただければと思います。
JOCは、二つの側面がございまして、一つはJSPOさん、それからJPSAさんとともに、統括団体として、加盟団体のガバナンスコードの遵守状況を審査する立場にあるということ。
それからもう一つは、JOC自身も審査する立場にある以上は、きちんとこのガバナンスコードを遵守し、その遵守状況を説明する立場にあるということで、JOC自身も、このガバナンスコードに沿った様々な取り組みを行っております。
4ページ目でございますけれども、これで全て網羅されているわけでは必ずしもないとは思いますけれども、ガバナンスコードを受けて、JOC自身が新たにどんな取り組みをしたかということをリストアップしております。時間の都合もございますので、個々にはご説明はいたしませんが、やはり審査する立場である以上、NFの皆さんに対して、きちんとガバナンスコードの重要性を示す上でも、JOCが自らこれを遵守していくことが必要ということで、様々なガバナンスの在り方を見直しました。
多くのJOCの加盟団体もそうですけれども、既に公益法人として認定をされておりますので、最低限の規程類というのは、当然整備をされていたところでございますけれども、ガバナンスコードの趣旨や、ガバナンスコードに照らして何のために必要なのかということを、改めて見直しをし、規程類等の整備をしたということでございます。これによってガバナンスがすっきりした部分が多いかなという風に捉えております。
最後のところにある、役員選考の在り方の見直しというのが、本日のテーマの中心でもあります原則2に関わる部分でございますので、次のページ以降も、少し詳細にご説明をさせていただければと思います。
令和3年度改選の前に、JOCは役員選考の在り方を見直しました。女性比率ですとか、外部理事比率ですとか、在任、再任期間の上限とか、こういう規定をどうやって取り入れていくかという議論をした上で、ここの資料にあるような見直しを行っております。
ポイントといたしましては、令和3年度以前は、NFのカテゴリーごとに役員の割り当てがされておりまして、NFからの推薦も、そのNFの役員歴、経歴について書いていただいた上で推薦を上げていただくということになっておりました。
今回、令和3年度の見直しの際には、もう少し理事が果たすべき役割、あるいは監事が果たすべき役割というのを、しっかりと整理をした上で、これを理事・監事候補者に求められる資質という形で、理事の方は10項目規定の中に書き込んでおります。同時に、個々の資質能力で判断をするということと、それから、女性を多く推薦していただくという観点からも、NFの役員でなければならないという要件を緩和しております。
その他にも、女性候補者が推薦されやすいようにするために、2名まで推薦可能な場合を定めたり、あとは、アスリート委員会の代表も、より声が通りやすくするという観点からも、従来1名だったのを男女1名ずつにする等のことも併せて取り組みました。
そして、最後の部分が、おそらく今回のこの部会の中でも、大きな議論になっていくところだと思いますけれども、理事の再任上限は、5期10年という風に明確にJOCはしております。ただし、4年の期間を経た後は、再度理事候補者になることができること、それから、その人物が再任されないことで、本会の運営に著しい支障が生じると判断される場合には、例外を認めることとしています。
令和3年度の改選時には、この例外は適用しておりませんが、役員候補者選考委員会が再任させることが適切であると評価した場合には、この例外が適用されるという仕組みになっております。
次のページをご覧いただきまして、この選考の在り方を見直した効果ですけれども、当然女性比率40%、外部比率25%というのは達成しているという前提で、その他の点を挙げさせていただいておりますけれども、理事の半数が入れ替わりました。それに伴いまして、性別、あるいは年齢、バックグラウンドが多様化しまして、それまで当たり前と思っていたことが、理事会での議論の中で、新たな気づきを与えられることもありました。例えば、具体例で言うと、LGBTQ+の研修をJOCとして新たに実施をするといったような変化が生まれてきております。
それからアスリート委員の代表が増えたということで、アスリート委員会の活動そのものも活性化してきたという風に感じております。こうしたポジティブな面は本当に多くて、ただ一方で、やはり課題もございます。
(3)のところに挙げさせていただいております、継続的に新陳代謝を保つことができるような役員選考の在り方。それから、理事・監事の評価の在り方。そして、2年ごとの改選という仕組みの中で、将来組織を担っていく役員をどうやって育成していくのか。こういったことが課題だという風に感じています。
それぞれ三つ相互に関連していると思うのですけれども、やはり、継続的に新陳代謝を保つということを考えると、例えば、JOCですと、令和3年度の時に半数以上の理事の方々が新任という形で入られましたけれども、この方々が10年間MAXまで勤めていただいて、一斉に退任するということになると、それはそれで継続性の問題もありますので、その辺りは、今後少し計画的に考えていく必要があるのではないかと思っております。
理事会の役割というのが、業務の執行を監督するという立場であるということを考えますと、やはり、全員が10年やるということは、必ずしも新たな気づきとか、問題点を指摘するという意味では、好ましくないのかなという風に思っておりまして、これは個人的な意見にはなりますけれども、5期はあくまでも上限であって、2期、長くても3期くらいで、一般的な理事の皆様は交代してもいいのではないかなと思っております。
ただし、執行部については、やはりそういうわけにはいきませんので、組織の安定性、継続性を考えると、どうやって将来組織を担っていく人材を育てていくかというのは、課題なのかなと思っております。
特に、ガバナンスコードの中では、理事会から独立した役員候補者選考委員会で、役員の選考をするということになっていまして、ここに継続性とか安定性というのをどうやってインプットしていくかというのは、結構悩ましくて、あまりおかしなやり方をすると、それは今の体制がいつまでも影響力を及ぼすということになりかねないと思いますので、その辺りのバランスというのは考えていく必要があって、そういう中でも、やはり理事・監事の客観的な評価の在り方というものは、十分に議論していく必要があるのだろうと思っています。
ちなみにJOCでは、今、役員候補者選考委員会が現体制の執行部や事務局の幹部にヒアリングをするという形で、一定程度、継続性というところは担保する形で役員選考を行っております。
それから、NFの状況でございます。次のスライドにいきまして、これはJOC加盟団体のみですけれども、66団体中、不適合になった団体はございません。令和4年度10月末時点での自己説明公表資料によりますけれども、66団体のうち38団体が、既に再任回数の上限を設ける規程を、整備をしております。
ただ同時に、激変緩和を適用している団体も33団体あるということで、実際の運用はこれからという団体も多いのではないかと考えております。こうした中で、2回目の審査に向けて、自己説明で記載の通りに規程の整備を行っていくことが必要ということと、それから、激変緩和期間終了後の運用の在り方、これについても、今まさにNFにおいて検討されているのではないかと思っております。
特に、激変緩和措置期間として、4年間設けられておりましたけれども、この4年は長いようで、やはり人材育成をしていく上では、必ずしも十分ではないところもありますので、ここからしばらく過渡期にあると思いますけれども、この過渡期でどうやってこなしていくのかというのは、スポーツ界全体で知恵を絞る必要があると思っていますし、審査をする統括団体の方でも、この部会での議論も参考にしながら、今後、審査基準の見直しということをやっていく必要があるのだろうと思っております。
最後になりますけれども、所感となります。大体これまで申し上げてきたことの繰り返しになる部分もございますが、やはりガバナンスコードは、特に明確な理由もなく、慣習として行われてきたことを見直すという意味で、非常に大きなきっかけとなって、意義が大きかったという風に考えております。
そして、JOCの加盟団体の半数以上は、既に再任回数の上限を設けることをはじめとして、改革に取り組んでおりますので、この改革の方向性を後押しするという意味でも、あと梯子を外さないという意味でも、やはり、現在のガバナンスコードの枠組みというのは、維持していくことが必要になると考えております。
ただし、まだ過渡期にありますので、スポーツ団体ガバナンスコードの考え方に則りまして、合理的な理由がある場合、それがきちんと説明できる場合の例外というのは、在り得ると思っていまして、この例外の合理的な説明がどうやって付けられるのか、というところをしっかりと皆さんと一緒に考えていく必要があると思っております。
この際、一番重要なのは、やはり、なぜこの規定が盛り込まれたかというところの背景を、よくよく思い出しながら、それは特定の理事の発言力が過度に強くなってしまって、独裁的な運営に陥ったというような組織があったと、これを踏まえて、今こうした規定が設けられておりますので、例えば、例外を認める場合でも、1期限りとか、2期限りとか、しっかりとお尻を決めて、決めておかないと、結局また後が育っていないということに陥りますので、そういう計画をしっかりと示した上で、合理的な説明というものをしていく必要があるのではないかと考えております。
そして最後、大前提となりますけれども、やはり理事の評価の在り方、これは非常勤が多い中で、難しい部分はございますけれども、この在り方についてはしっかりと議論していくことが必要と思っております。すみません、少し時間をオーバーしましたが以上となります。

【友添部会長】 ありがとうございました。
ただいまのご発表について、ご質問・ご意見はございますか。いかがでしょうか。よろしいですか。
1点だけお尋ねしてよろしいでしょうか。66団体中33団体が激変緩和措置を使用したということで、もうこれは終わってもいいという理解ですか。まだ続けた方がいいという風に率直に感じておられますか。どちらでしょうか。

【籾井委員】 私の理解では、激変緩和措置というものは、その期間内を合理的な説明がなくても、遵守しなくていいよということだったと認識をしております。
それは、どこかで無くさないと、永遠に遵守しなくていいということになりますので、当初予定していた期間が過ぎた後は、合理的な説明を求めた上での例外という方向で議論していくべきかな、という風に考えております。

【友添部会長】 ありがとうございました。それでは、お席の方にお戻りください。
次に、公益財団法人日本バドミントン協会村井副会長より、ご発表をお願いしたいと思います。村井副会長には、ご発表席への移動をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。

【村井副会長】 村井でございます。よろしくお願いします。
8年ほど、Jリーグのチェアマンをさせていただいて、今、1月20日にバドミントンに来て、皆目分からない中で、右左分からない中で今対応しておりますが、今日バドミントンの内容についてお話をさせていただきます。
では、ページをめくっていただいて、ご存知のように日本バドミントン協会は、相当の不祥事で、私の起用という顛末を迎えることになりましたが、お手元のページを見ていただいて分かるように、一番最初に2017年に職員の横領事件がありました。その下に行っていただいて、事務局の人間がそれを発覚するのですけれども、その処分が甘い形で済ませてしまったが故に、2回目の横領も行われるという、そういうような事案がございました。一回隠してしまうと、それを隠すために、それをまた隠すという連鎖が行われていって、結局、都合3回にわたる不正横領があるわけです。
下のページを見ていただくと分かるように、横領が発覚してから理事会の事案報告までに、なんと1年半も要していた。これを隠蔽という風な、社会からは表現をされていました。
次のページをめくっていただくと、3ページ目には、理事会が認識してから対外的に公表するのに、そこから、また2年半も要しているということでございます。今回の問題の本質を、「悪意なき罪」と私は表現しましたが、同質性は、男中心、バドミントン関係者中心、一見閉鎖的な匂いがしますが、一方でこれは気心知れた人間関係は非常に心地も良くて、信頼できる人間関係ともいえる。ただこれが学閥・派閥の温床になってくるのです。
こうなって身内の人間同士で集まると、どうしても身内にとって悪いこと、管理責任を問われる事案になると、身内を守る、もしくは伏せたくなってしまう、若しくは、公表に時間をかけてしまう。理論武装に時間をかけてしまう。防衛的になると今度は、反対意見は遠ざけるというような、そういうような力学が働いていきます。
この閉鎖性の行き着くところは、内向きで、耳障りの悪いことを言う外部の人間は遠ざける。そして、色々な人材とかは中に入れないようにする。内向きのマネジメント風土が横行してきた結果、刻々と変化する社会規範とか、経営環境の変化に適応できない組織を生んでしまう。
一人一人は、本当にバドミントンを愛する人たちですけれども、この悪意なき罪の行き着くところが、アスリートの期待を裏切るような、組織の停滞や混乱を招いたということです。
とかく、AさんBさんが悪いというような議論に行きがちですが、構造的にこういうことを生み出してしまう仕組みがビルトインされているということに気がつくところから、改革を始める必要がありました。
一点目、克服すべき課題の一点目は、評議委員会です。左上に評議員会に矢印がついていますが、現在は5%しか女性がいない。55名中、女性が3名という、そういうような男社会でありました。これは、なかなか解決は難しいです。各都道府県の親分は、時間を待っても、いつも理事長は男が出てくる可能性が高いので、これの女性比率を一気に50%まで上げようということが、我々のアスピレーションで、これを実現するためには、一つ知恵を使いました。
47都道府県を九つのブロックに分けて、各都道府県の代表が評議委員になるという既成概念から、9ブロックから、例えば男性1人、女性1人、東北6県の中から男性1人、女性1人だったら選べるよね、というような議論を重ねて、ブロックの中から男女同数を上げていく仕組みを作っています。
現在は、この評議員の選び方については定款を変更しました。今期は改選期ではないので、2年後にそれに向けて準備を進めます。2年後はこの考え方で、ブロックから男女1名ずつですが、将来的には、例えば、東北ブロックで女性が2人代表者のいる県が二つあれば、そこのブロックからは、男性2人女性2人で、4名が選出できるように拡大できるかもしれません。最終的には47都道府県から、男女半々くらいで選べるような世界を目指したいというところで、最初の入口は、ブロックから男女1人ずつというのが、今回の定款改定の一つのポイントです。
それから二つ目、克服すべき課題の二つ目の理事会。これは、20名近く、ほぼ全員がバドミントン関係者で、唯一、私がバドミントンの外から来ている状況でございます。
これも、同質性のガバナンスコードの二つ目のテーマのところでございますが、徹底して、今回の不祥事が起こったことを反省すると、まず、役員候補者選出委員会を、なあなあのものではなくて、本格的なものを作ろうというのが一点目です。
それから、8割程度が業務執行を行わない理事で、業務執行は2割程度です。2割を8割が監督するという考え方となります。監督する人は、弁護士、会計士、企業経営者、コンプライアンス担当者、ソーシャルテーマ課題を解決する人たち、様々な社会の目からプロが監督する。そういうような観点で、結果的には、理事会も男女半々を目指そうということです。
構造を見てください。これはまだ、対外的に発表していない資料ですが、役員候補者選出委員会ですが、現在の業務執行理事は、下のグレーのところが3名、このグレーの現執行部が審判を受けるわけですので、これが過半数を超えないということがポイントのひとつ目。それから協会の会長は、この選出委員会の委員長は兼任できないということが二点目です。
例えば、ブルーのところが社外有識者の理事ですけども、こういう人事をやる時は、人の名前から発想しがちですが、我々は要件から議論をしました。一人はスポーツ界を代表する人を選ぼう。NFを監督してきたような経験者から選ぼうというものです。鈴木大地さんは名実ともにスポーツ行政のトップでした。二つ目は、サクセッションプランを策定した経験がある人、上場企業の指名委員会などを経験している人。安田結子さんは、ラッセル・レイノルズという、世界最大規模のサーチファームの日本代表を経験されている方ですが、昭和シェルとか、村田製作所、出光興産、日本水産など様々な日本を代表する上場企業の社外取締役をされて、指名委員会を指揮したりされていらっしゃいます。
それから、もう一人は、やはり、規約やルールや社会規範に則って、単なる法律条文だけではなくて、その背景にある社会規範に則って、議論が進むような弁護士を選ぼうということで、広瀬さんをアポイントしています。広瀬史乃さんは、スポーツ好きが高じて、最初、日刊スポーツに就職して、その後、辞めてから弁護士を取られた方ですが、こういうような方々、そして、理事を選ぶ評議委員の方々で議論をしているということでございます。
それから、克服すべき三点目の課題ですね。これは、理事会が、監督と選手が、同一人物がやっている。所謂、不正事件が起こって、職員が横領した時の管理監督している人間は、ここで言うと本部長といった役職者が管理責任ですが、本来、本部長を処分するべき理事会が、その理事が本部長を兼任していると、自分で自分を処分することになります。自分で自分のことを対外的に公表する立場になります。そういう意味では、審判とプレイヤーが、同一人物がやっていることが、今回の問題の本質だという風に定義しているので、完全に監督と執行を分離しました。しかも、業務執行を行わないでいいのならば、20人もいる必要がなくて、10人いれば十分。そういうような考え方で、10名以内で理事会は構成しようというようなことを決めています。
ですから、本部長と理事は、兼任はしないということになります。そして、監事も、どちらかというと理事を退いた人を処遇するといった考え方があったのですが、理事を監督する、本当に重要な役割ですので、監事の人事にも、ちゃんと配慮をするということです。
理事監事は、まだバイネームは決定しておりませんが、理事を代表する代表理事が2名、これが業務執行に関する説明責任を果たすということで、それ以外は、会計士や弁護士や企業経営者、様々、アスリート委員会等々の方々で、業務執行を監督する。うち、赤字のところが女性になりますので、理事会10人のうち半分は女性、そして、監事からも女性を起用するということです。
克服すべき課題の四点目、これは、事務局機能の脆弱さ、お金が無いので事務局が雇えない。そうなってくると、ボランティアで人を使ってくる、ボランティアで協力してくれるのは仲間内しかやってくれない。そもそも、同質性の入口は、お金が回らない、こういうような事務局の脆弱性に問題があるということですので、この事務局をいかに強化するかというところが、これも本質の議論でした。
本部長は、基本的には、地方の理事が兼任していたので、中途半端になるので、ここは、専任の本部長を置くということを決めています。とはいえ、そんなに人件費が払えないので、事務局員に関しては、週3日来てくれる人でもいいとしています。5日のうち、過半数以上勤務が可能で、主たる勤務と言える程度の業務ができるプロの人を兼業で契約することによって、コストを少し下げていたりすることもあります。プロボノとか、VIK(Value in kind)所謂、現物出資型の人材獲得も検討していきます。今、ほぼほぼ、事務局の輪郭がもう既に見えてきております。
最後五点目は、では、理事は社外の人ばかりで、バドミントン会で働いている人間は、どうやって関与するのだ、というのが大きな課題になりますが、これを徹底したオープンポリシーのもとで、オールバドミントンの関係者での委員会を組成しています。合同委員会と言っていますが、この組織図で言うと、真ん中のところ。これは、四つの本部に対応する委員会を四つ設けて、ここには、各地区代表や、8連盟の代表や、アスリート委員会や、S/Jの実業団企業の人たちが、全てここに必ず入ります。
なので、協会の議論を聞いていないとか、その決定プロセスは知らないとかと、もう言えないように、全ての関係者がこの委員会に入りますし、執行部からは、この事務局長として委員会に入っていきます。なので、ノウハウがストックされて、議論が蓄積されていく。こういうようなことを目指しております。
ちなみに、アスリート委員会は、現役選手は全ての実業団から1名ずつ、著名なOBも合わせてアスリート委員会を組成して、この代表者は、10名の理事会の中に入ることになります。選手の声が、必ず理事会のところにあって、全ての実業団チームの全選手に結果がフィードバックされるという。聞いていないとか、意見が届かないとか、そういうことはもうないような形にするような構造となっております。 最後になりますが、この議論は、ガバナンスコードの社外比率25%とか、女性比率40%だとかといった数値目標に入りがちですが、そこから議論するのではなくて、社会の相似形を意識することが大切です。女性登録者は男女半々なのだから、評議員も男女半々にするんだという発想です。また、泥棒と警察を同じ人がやっていると誤解されるような組織ではもう駄目で、監督と執行を分離するんだという発想で、「外の目」とか、「プロの目」で監督するんだという、このコンセプトを徹底的に議論していった中で、最終的に、先ほどのような案が出ています。
最初の頃は、ガバナンスコードを見ながら、それに合うような制度改定をしていたのですが、それでは、多分魂が入らないということで、まず共有を徹底しました。6月の18日に、この評議委員会での新ボードがスタートしますが、今後は様々な色々なコミュニティがバドミントンにはありますが、そういう人たちの声を丁寧に聞く、今、そうした活動をしていこうと思っています。
200万人くらいの登録者がいる一般社会の意見聴取ができるコミュニティから、バドミントンをどう思うか?というような意識調査をクオンという会社を使って、サウンドしています。様々な批判もいっぱい来ますが、それを今一つ一つ紐解いていて、次の改革に向けたミッション策定に、今動いているところでございます。
最終的には、ビジョンです。到達したい姿は、4本部ごとにビジョンとして策定していきます。それを統合した全社ビジョンも作るのですけれども、所謂、予算と事業計画と人事がセットになって連動していくような形を目指します。形だけ評議委員会の時に予算を作って、あとは、それと事業計画と実行部隊が連動していない。最終的に、後で気がついたら予算が超過していたみたいなことが起こり得ますので、両者の同期を取っていくところまで、今年中には持っていきたいなと思っております。バドミントン協会、以上でございます。ありがとうございました。

【友添部会長】 ありがとうございました。
スポーツ界にとっては、ドラスティックな転換だという風にお伺いをしておりました。ご質問・ご意見はございますか。よろしいでしょうか。
一点だけ私の方から。8枚目ですか、役員等候補者選考委員会のところ、8ページ目をご覧いただければと思いますが。
これを拝見したら、素晴らしいアイディアだという風に思いました。ただ一点、ちょっとお尋ねになります。役員等の候補者選考委員会の委員に、現職の会長、つまり代表理事が入って、尚且つ業務執行理事が入ると、議論をリードするのではないかと考えますが。
もちろん、理事さんが入る分には構わないとは思うのですが、本丸中の本丸である会長と業務執行理事が入るという、ここの手続きの公平性の担保をどのようにされているか一点だけ教えてください。

【村井副会長】 理事を選ぶということは、次の理事長を選ぶことでもあるので、理事長の業務が一体どういうものなのか、どういうことが克服すべきテーマなのかということが分からないと、社外の方だけでは議論ができないところもありますので、今回は委員長を兼任できないということと、過半数を外部の人が握るということとで担保したいと思います。先ほど申し上げた、安田さんにしても、広瀬さんにしても、また鈴木さんもそうですけれども、スポーツ行政のトップや上場企業の指名委員会、高い社会規範で判断されている方たちを選べば、お手盛りのお友達内閣なんかは、もう絶対作れなくなる。それくらい厳しい人選をすることがとても大事だという風に思います。

【友添部会長】 ありがとうございました。はい、どうぞ。

【國井委員】 Jリーグで、素晴らしい改革、業績を上げられて、でも、Jリーグというのは、NFの下にあるプロリーグですよね。そのプロリーグのガバナンスをされた経験と、今回一人でNFに入られた、見られた経験と、そのマネジメントするのに求められるものは、何か違いがありますでしょうか。

【村井副会長】 NFという立場ですが、僕もサッカー協会の副会長を兼任していたので、一応はNFの概要は理解していたのですが、最終的に、先ほどいくつか、同質性とか、閉鎖性とか、色々申し上げたのですけども、行き着くところ、お金が回らないことに起因した様々な問題構造になっていた事象に現在直面しています。
サッカーの場合は、ある程度お金が回る組織だったので、こうやってお金が回らない組織を、どうやって強化するのか、競技の社会性を真剣に説明して、価値を磨いて、胸張ってお金をいただくという体質に脱皮しないといけないのかな、と改めて認識しています。
一方で、任期は、サッカーの場合は、私は8年というのを自分で決めて、自分で身を引いたのですが、やはりこのガバナンスコードで、NFはもう十数年という方がいっぱいいらっしゃいますが、むしろ、やはり10年は長すぎる。
私は8年で他の競技に出たわけですが、役員の更新上限任期の問題と、社外理事枠というか、外部理事枠の議論というのは、表裏一体です。私は8年で市場に出てきたので、まだこの年で、他の競技団体で外部理事ができるということなのですね。
なので、ある意味、一つの競技だけを見ると、長い年月やらないと本質は分からないという議論はあるのですが、全体のスポーツ市場を見た時に、色々な競技を熟知した人材が市場に出てくることで、必ずやスポーツ界が発展すると考えています。そんなことも、自分が外に出てみて初めて気がついたという、そんな感じでございます。

【友添部会長】 ありがとうございました。後の議論に、また反映をさせていただこうと思っています。ありがとうございました。自席にお戻りをいただければと思います。ありがとうございます。
次に、公益財団法人日本トライアスロン連合の大塚専務理事より、ご発表をお願いいたします。大塚専務理事には、ご発表者席への移動をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。

【大塚専務理事】 友添部会長、ありがとうございます。ご紹介いただきました、大塚です。よろしくお願いいたします。
まず、今回ガバナンスコードのNF役員再任回数、在任年数等々の施策に関する国際連合、またアジア連合、IF役員、AF役員ポストとの関連性について、現状と考察を述べてほしいという依頼を受けました。
このIF役員分析の発表の機会に、今申し上げたいことは、NFは大変苦労しています。統括団体との大きな違いは、事務局の規模ですね。JOC、日本スポーツ協会事務局員は、相当の人数いらっしゃいます。NFの事務局は10人以下が平均です。サッカー協会なんかは除いてですね。
同じ事務局体制ではないということは、どうかということは、理事会の理事がやっていかなければいけない仕事は、業務執行だけではないんですね。やはりディレクターマネジメント、現場、色々なことをやっていかなければいけないのがNFの理事です。
そのNFの理事を、いかにして国際舞台に出していくかというのが、国の国際戦略である中、競技団体は、競技の特性と競技団体による格差が非常に大きいです。その部分を、10年任期を原則としたり、また例外という措置、また緩和をしていただく措置を取るのではなく、競技運営やマネジメントバランス、渉外力、国際力の人材を逃がさないように、もう少しNFに柔軟性を持たしていただきたいというのを、私としては、この分析を機に改めて思いました。
例外措置とか、緩和措置という言葉は、非常に受け止めやすい言葉ですが、NFによっては、何か悪いことをしているような気にもなりかねません。そういった意味では、さらにNFに柔軟性を示した改定を求めるというようなことも、やり方の一つとしてあるのではないかなと思います。
さらに、この国際力を高めていく中で、NFの人材確保、人材育成は、選手のセカンドキャリアに通じる、NFの使命だという風に思っていますので、ここの部分におけるNFの自立性、独立性、柔軟性をもたらしていただくことイコール、このガバナンスコードの改定ではなく、大きな進歩に繋がるのではないかと、NFの現場から私が感じていることです。お手元の資料の説明をさせていただきたいと思います。
NFにとって、国際戦略を今求められております。これは2020年東京オリンピック、パラリンピックが決まった時から、また7年前から拍車が大きいNFによる国際戦略、NFの中長期戦略の中に盛り込ませていただきました。
目的と方策は何かということは、国際大会の誘致、国際人材の養成、国際審判員の養成、また国際指導者、インターナショナルコーチの養成、グローバルマーケティングの開発等々、テレビ放映権も含めた、大きなNFの成長に繋がる部分を、国際戦略によってしっかり広げていこうと、こういう戦略のもとNFは、役員の現状と傾向分析をしていきました。
IFの役員を今どういう人たちがやっているかというと、オリンピアン出身者、パラリンピアン出身者、競技経験者、競技をオーガナイズしている人たち、競技をマネジメントしている人たち、コーチ、そういった人たちが候補者の背景におります。
職業としては、ビジネスパーソン、スポーツ関係のビジネスパーソンが最も多いです。その他に弁護士、ドクター、教師、経営者、自営業、学識経験者もいっぱいいらっしゃいます。
就任プロセスとして、NFの理事は、どのような就任プロセスがあるかということで言いますと、やはり、NFの理事になって、国際会議等々に出ていくところから、ご自身のロビー活動が始まっていくというのが、間違いない現実です。
また、在任と選挙に関しては、IF/AFの役員選挙は4年に1回です。我々、日本の任期は2年に1回です。その間に、NF選挙が2回以上あることは事実です。NF理事に就任後、早ければ2年、遅くても6年後にIF/AFの役員に立候補することができるのが、現実です。もちろん、今日の資料にありますように、横から引っ張られるケースとか、アジアの枠とか、その他、専門委員の枠で、理事になるのと同時になられている方々もいらっしゃいます。NFの理事ではなくても、IFの役員になれるケースは、それぞれの競技の特性によって違いますので、一律判断は非常に危険だという風に思っております。
また、NFの承認・推薦というのは必ず必要です。これは重要なポイントですが、NF理事会の承認があるかないか、これがIFの役員になる大きなポイントです。昔は、この段階で雑巾がけが足りないというようなことで、理事会の承認を得られなかったケースは様々ありますが、今はむしろ、NFの理事会で推薦者をしっかりと求めて、IFに送り込んでいくという国際戦略が整っているのではないかと思います。
もう一個重要なポイントは、オリンピックIFはオリンピック憲章が全てなんですね。そのオリンピック憲章に準じた、IFの役員の選考システムを入れているところがほとんどです。では、オリンピック憲章には何が書かれているかというと、IOCの委員になった人は、その国のNOCの理事にならなければならないということが書かれています。
同様に、IFの役員は、その国のNFの理事であるべきという通念、概念を、IFはほとんど持っているということは、選挙の際に、NFの理事であることは、大いなるポジティブな要因になるという風に思っていただければと思います。
また、IF/AF役員ポスト獲得には、多くの国際大会や国際会議の場で、NF役員として、様々な国・関係者と知り合い、サポートすることで友人・仲間が増え、その国際関係者とのコミュニケーションを活発化させ、時には、家族ぐるみの関係構築は必要です。
この時に、やはりNFの代表であるか、NFに、その国と国に対するサービスができるかどうか。非常に重要な立場であるということは、NFの役員であることが然るべき国際交流に繋がるという風に考えております。
二番目、IF役員ポストへのキャリアパスの事例ケースとしては、こちらに書いてありますように、最長ケースとしては、IFの理事4年、3期4年、IFのほとんどが、3期が一つのタームになっていますので、ここで12年。業務執行理事にグレードアップして12年。もし会長になったとしたら、さらにそこで12年。最長36年間の事例が、グローバルな世界で示されています。
今度は日本、また一般的なケースはどうか。理事から副会長になるケース、また理事から会長になる渡邊守成さんのようなケース、理事→副会長→会長になるケース、これは今、私が会長を狙うかどうか悩んでいるところです。これでも最低10年以上の年数はかかっているというのが現状ですね。
例題にありますように、理事8年、副会長8年を経て、会長に立候補というのが、私自身のケースで、今会長に立候補するかどうか悩んでいるところです。また、例2)としては、理事8年、会長8年のチャレンジですね。その他のIF理事のサポートとして、IF会議等にNF理事としてオブザーブ出席することができます。こういったケースを利用して、理事、副会長に上がっていくケースもあります。
また今度は、IF会長まで行くと、利益相反の関係から、NFの役員は下りなければならないという関係もありますので、その関係は、AFではその限りはありませんが、IFによっては、そういうケースがあるということをご理解いただければと思います。
結論として、最後になります。IF役員ポスト獲得の主たる目的は、国際的に自国のイニシアチブの確保、NFの発展に寄与するということ。役員再任回数制限の主たる目的は、NF内部を新陳代謝させ、健全なNFの運営に寄与すること。この二つを合致させる課題としては、柔軟性を持ったNFの自立だという風に思っています。
新陳代謝への課題、どのように新陳代謝させていくか。企業のお話に関して言えば、企業の役員取締役は、フルタイムワーカーで、お給料、役員報酬が出ています。NFの役員はどうでしょうか。ほとんどが無報酬、ボランティア、また非常勤です。新陳代謝のために、今後若手役員を登用するには、報酬を支給できるNFの経営基盤体制、これが裏側にあるということもご理解いただければと思います。
また、役員選考の課題ですね。日本は統括団体も含めて、ほとんどが互選による役員選考です。この度、サッカー協会会長選挙が選挙で行われたと伺っています。IF/AFは、全て選挙なんですね。選挙活動は大変なものです。その選挙に勝ち抜くことを使命とされている以上は、その選挙に勝てる材料として、NFの理事であることは重要なポイントになると思います。
IF役員、NF役員、これを両方兼ねていくことが、今は必要な状況ではないかという風に思っております。スポーツ庁が定めるガイドライン方針を遵守しながらも、NFが自立した経営基盤を確立させ、新陳代謝や役員任期、役員有給制度などのルールを、NF独自で責任持って、柔軟性を持って、役員選考規程に定め、遂行していくことが、むしろ逆にNFのガバナンス強化と、それに伴う組織力強化、競技力向上に必要だという風に考えております。
2年×5年の10年とすることは、NF理事会の承認があれば、この任期延長可能とする柔軟性、ここをぜひともご検討していくことが、このIF役員獲得においては、絶対的に必要な要素ではないかなという風に考えております。参考資料および資料の中にあります、IF役員の就任時任期年数においては、競技団体の特性によって様々なケースがあります。アジアの役員をやっていて、横滑りで、その後NFの理事になったケースなどもありますし、割り当てがある競技もあります。この年数だけでご判断することは危険だと思いますので、付け加えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

【友添部会長】 ありがとうございました。今のご発表について、ご質問・ご意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。あまりないようでしたら、指名をしていきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
谷本委員、どうでしょうか。

【谷本委員】 ありがとうございました。
私も自分の出身の競技から離れて、他の競技団体を見ていますと、やはり競技によるIF役員のポジションというものは、本当に違うなということを感じております。ですので、やはりこういった点を踏まえていくと、合理的説明というところの部分で議論していくところであって、そういったものでない、基本的なNFの運営に関しては、新しい新陳代謝をメインで考えていく、一番今日議論する点ですけど、改めてそれも明確になったのかなという風に感じました。ありがとうございます。

【大塚専務理事】 ありがとうございます。
仰る通りで、NFの理事の選考内容に、NFの半分くらいの理事は、地域、加盟団体から選出するというケースも多々あります。その加盟団体からの選出理事は、当然任期制とか、新陳代謝性を設ける、これは必要なことだと思いますし、その加盟団体がそれによって活性化していくという現実があると思います。ただ、やはり能力のある理事は、継続再任させていくということは、NF自身が判断して決めていくことが、重要ではないかなという風に考えております。ありがとうございます。

【友添部会長】 ありがとうございました。
それでは、大塚専務理事には、自席の方にお戻りをいただければと思います。ありがとうございました。
続きまして、公益社団法人日本ライフル射撃協会、松丸会長よりご発表をお願いしたいと思います。松丸会長には、ご発表席の方へ移動をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。

【松丸会長】 今、ご紹介にあずかりました、日本ライフル射撃協会の松丸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、はじめに、我々中央競技団体から、このように意見を聞いてくださる機会を設けていただき、大変感謝申し上げます。本日は、ライフル射撃協会の立場ではなくて、小規模団体の立場から、課題となっている項目について、意見を述べさせていただきます。
まず、お手元の資料の一番目に、団体規模に応じたコードの適用というところがございます。皆様、周知のこととは思いますけれども、中央競技団体の規模は団体によって大きく異なります。規模を測るメジャーとして、予算規模と会員数を挙げて例を記しました。公開情報から入手し、数字は丸めてございます。
ご覧の通り、大と小では、50倍から100倍の差がございます。笹川スポーツ財団の2020年度調査報告書によりますと、収入が1億円未満の競技団体が、一番多くて20%を占めます。また、10億円未満は全体の80%におよびます。会員数で見ますと、1万人未満が一番多く50%、さらにそのうち5000人未満の団体が30%を占めるということです。
また、先ほど大塚さんからもありましたけれども、正規雇用者数は4人未満の団体が一番多く30%に至ります。
ここの資料の例に挙げているライフル協会、アーチェリー連盟よりも、さらに小規模な団体が中央競技団体の多数派であると。これが中央競技団体の実態です。ガバナンスコードで求められていることは、必ず実施すべき事柄であることは十分理解した上で、やはり団体の実力に応じた、柔軟な対応が必要だと考えております。
参考になりますのは、2015年に先行導入されているコーポレートガバナンスコードです。コーポレートガバナンスコードでは、重要度によってコードを3段階に分類し、企業規模に応じて、求めるコードの適用範囲を分けてございます。
ここにありますように、コーポレートガバナンスコードでは、基本原則は、原則、補充原則と二つのコードに分類をしてございます。上場企業はプライム市場、これは従来の一部上場企業にあたりますが、これは基本原則、また原則は高水準、補充原則は高水準。またスタンダード市場、グロース市場という形で、少し原則を緩和してございます。
スポーツ団体ガバナンスコードも、重要度とか実施の難易度によりまして、コードを3段階程度に分類して、例えば、財務規模、会員数、ここで示した規模のメジャーですけれども。また、もう一つの視点としては、交付金の投入額によって、スポーツ団体の規模を設定して、規模に応じてコードの適用範囲を定めることや、実施までの期限を緩和することなど、こういう検討が必要ではないでしょうか。
企業規模によって、コードの適用範囲を変えているコーポレートガバナンスコードの目的は、企業の実力に見合ったコード遵守を求め、実効性を上げることにあります。
スポーツ団体ガバナンスコードも、実力に応じた遵守すべき行動を定めて、安定的に、且つ段階的に実効性を高めることが重要だと思います。実力が伴わずにコードを厳守して、中長期的に見て、組織の発展を阻害するようなことがないような配慮が必要です。
そこで、小規模団体が特に課題としている項目を説明します。3点あります。
一つは、外部理事、女性理事40%の実現であります。新聞報道で政府目標として、2025年までにプライム市場の上場企業に女性役員最低1人、2030年までにプライム市場の上場企業に女性役員比率30%という報道がございました。我々が求められている水準40%よりもはるかに低いということであります。女性理事に関しましては、論点整理のところでも、女性競技者、男性競技者の比率などを配慮すべきだということが記されておりましたので、要望は割愛させていただきます。外部理事につきましては、弁護士、公認会計士など、専門家に入っていただくのは非常に望ましいと思いますけれども、25%、そのような専門家で全て埋めることは当然できません。
私はアーチェリー連盟の理事をしておりますし、アーチェリー連盟からライフル射撃協会の理事に入ってもらっています。このように、スポーツのベースのことをしっかり理解した方が、他団体の理事になるという形で、理事の人事交流ということは、外部理事として非常に有効であります。
二番目、最も困っているのが役員任期10年の縛りであります。要はどのように団体の経営者候補を養成するかの問題であります。キャリアの官僚の皆さんのように、色々な省内ポジションを回って、あるいは在外公館を始め、他の省にも出向されて、ジェネラリストとして成長される、そのような養成されるシステムが整っていれば別ですけれども、我々競技団体では、各委員会、審判、競技運営部会、総務系、強化系など、非常に専門に特化しておりますので、いきなり全ての委員会を回って勉強しろと言っても現実的には難しい。
したがって、どうやってジェネラリストを育てているのかというと、やはり理事になって、理事会に上程される、あらゆる案件を検討するようになって、協会の全体が俯瞰的に見られるようになる。そうやって、今まで我々は協会のジェネラリスト、経営者の候補者を育ててきたというのが実態です。したがって、会長の任期も含めて10年というのは、なかなか無理があるという風に私は認識をしております。
IF役員になることについては、大塚理事が説明しましたので、ここでは割愛します。最後に、三つ目として困っているのは、弁護士、公認会計士等の有識者の配置整備についてでございます。複数の原則で有識者の配置整備が求められているところです。しかし、士業の専門家と複数契約するのは、経費的な負担が大きい。例えば、通報相談窓口の弁護士と協会の顧問弁護士は、利益相反を避けるために、二つの法律事務所と契約することが必要となりますし、会計事務所、社会保険労務士等々、契約が必要になります。
この解決策として提案したいのが、全団体が個別に、そういう士業の先生と契約するのではなくて、統括団体が弁護士事務所や会計事務所と契約をして、NFが利用できるようなスキームを作っていただくと大変ありがたい。実現しますと、効果はスポーツ界全体の経費節減だけではなくて、不祥事に対する法的判断に統一性が図れることや、会計処理が一元化されることによって、NF間の財務比較分析が容易になって、NFそれぞれの強み弱みに基づいた経営アドバイスも可能となると考えています。私の発表は以上です。

【友添部会長】 今ご発表いただきました。ご質問・ご意見等ございますか。よろしいでしょうか。
私の方から、一点だけお尋ねします。非常に有益なお話ありがとうございました。様々に刺激的なお話で、必要な項目ばかりかと思っています。
一つ、例えば、若い時から委員長として、要は、理事会にも出席しながらオブザーバーの形で連盟で育成していくような形、つまり、NFが将来の理事候補者を育成していくようなシステムでは、やはり駄目だということでしょうか。そういう形でジェネラリストを育成するという方法も一つあるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【松丸会長】 要は、責任感、決定権がなくて、オブザーバーとして勉強していくということですよね。やはり、理事として役割がしっかり、責任を持って与えられたが故に、そういう時間と労力をかけて出てくると思うのですね。あなたは必ず将来的に理事になるからという約束をして、オブザービングしてもらうなら別ですけれども、ただ、あまり早い段階で幹部候補として約束をするということも難しいと思います。現実的に。

【友添部会長】 ありがとうございました。それでは、自席にお戻りください。ありがとうございました。
続きまして、日本視覚障害者柔道連盟の遠藤副会長より、ご発表いただきたいと思います。遠藤副会長、発表者席へご移動ください。それではよろしくお願いいたします。

【遠藤副会長】 それでは、今ご紹介いただきました、日本視覚障害者柔道連盟の遠藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
今4人の方々のお話を伺いました。それで、一番最後ですが、障害者競技団体の一つということで、私が指名されて、推薦されて、ここにいるのかなと思っております。その中で、今回のガバナンスコードに対応する取り組みをしてきましたけれども、特徴のある、若しくは、苦労しながらも、何とか対応ができたという、そういうことで何か推薦をいただいたのかなというような思いでおります。
今回の添付資料は、この役員の構成の1枚だけとなっております。ガバナンス行動の対応につきましては、ほとんどのところは、なんとか規定も含めまして、整備ができたのかなという、そういう思いでおります。ただ一番ネックといいますか、苦労したのは、やはりこの役員、理事の任期なり構成なりですね。そこのところを、やはり構成員の皆さんに理解をいただいて、それで計画的にガバナンスコードの考えに則って対応する、そこが一番苦労したところであります。
それと、やはりうちの連盟も視覚障害者ということで、情報障害ということを言われておりますので、やはりこの中での議論でもあったかと思うのですが、やはりそういう障害を持った方、全盲ですね。弱視もおりますけれども、やはり全盲。あとは、アスリートですね。パラリンピアン、特に全盲のそういうパラリンピアンを、やはり役員の中に置くというのが非常に大切なことであろうかなと、そういう風に思っております。私も、この視覚障害者柔道に関わって、もう40年を、連盟としては、まだ組織としては、まだそういう長くはないのですが、20年くらいですが、その前から、ゴールドメダリスト、私は宮城ですけれども、そちらで一番最初に、ソウルパラリンピックが一番最初だったのですけれども、そこに送り出した選手がおりまして、その選手と関わって、大学の時から関わったものですから、それでずっとやってきました。
それで、やはり全盲の選手に対する、柔道だと特にそうだと思うのですが、その接し方、考え方とか、物事をその選手にどういう風にして理解してもらうか、逆に、その選手がどういう風にして、柔道というもの、組織も含めてでしょうけれども、それを理解するということは、やはり視力に障害があると、健常者とは、やはり同じような形で考えてはいけないということがあろうかと思います。私も現場でそういう形でおりまして、その後に理事として入っておりますので、理事で入って、今副会長という立場ですが、この連盟の役員の中にも、パラリンピアン出身、アスリート出身というのが、6名,7名ほどおりますけれども、その中に全盲の選手は一人だけなんですね。
ですから、取り組んで苦労しましたけれども、やはり、その全盲の選手が、今10年という期間を区切って、ガバナンスコードの中に出ておりますけれども、その10年の中で組織を理解してやっていくのは、非常に難しいのではなかろうかな、という風に、そういう感じでおります。
ここまで来るのに、やはり目の見えない方々は、本当に苦労されて、我々と同じような土俵に立って、組織運営というか、そういうことに少しでも一緒にやろうということで努力する中で、その10年という期限は、非常に何かそういう方々にとっては厳しいかなという、そういう風な思いでおります。これは、他の競技団体、障害者の競技団体としても、おそらくそういうことがあろうかな、と思っております。 特に、本当に視覚障害者柔道については、視力が全然ない、そういう理事を、それもアスリートですね、そういう理事を一人でも多くということで、ぜひこの中に入れておきたいというのもありますので、それが障害者だから10年ではなくていいとか、そういうことではありませんけれども、その辺も含めて、何か色々その辺の事情を考えていただきながら、特別な何か配慮とか、そういうものも必要なのかなという、そういう思いでおります。
あと、この中で、コンプライアンス委員会とか、やはり不祥事が起きた時の対応というものが、一番まずは目的かなという、このコードにつきましてはですね。それで、本連盟としても、コンプライアンス委員会を立ち上げまして、それで連盟の会長は弁護士ではあるのですが、その他に、外部の弁護士を入れまして、招きまして、そういう立ち上げをしております。
それとあと、やはりアスリートの意見を、しっかりと聞きたいということで、これは全柔連のアスリート委員会の中に、当初はうちの選手も入れていただいていたのですが、やはり連盟独自で、アスリートの考え方、意見をきちっと吸い上げて、組織の運営に活かさないと駄目だということで、今は連盟独自のアスリート委員会を立ち上げて、しっかりと連盟とのパイプ役として、我々も動きながら仕上げるような、そういう形での組織運営をやっております。
いずれにしても、障害者競技団体は、やはり組織の基盤が軟弱といいますか、弱い中で、皆さん頑張っておりますので、その辺も含めて、色々考えていただくと大変ありがたいかなという、そういう風な思いでおります。以上です。

【友添部会長】 ありがとうございました。ご質問・ご意見ございますか。森岡委員、いかがでしょうか。他にご意見ございますか。よろしいでしょうか。
遠藤副会長とは、実は全柔連の改革もご一緒した時期がございまして、一生懸命されているのもよく存じておりますけれども、これ今、表、資料1-5を拝見すると、10年規定を適用すると、この上の理事、8番から上の理事は全て一度に退任という形になるということでしょうか。

【遠藤副会長】 その説明をしませんでしたが、これは平成4年度からですかね。任期2年になりますけども、4年計画、5年計画ですか、これを上の方の14年,13年というところは切り替えていくというようなことになっております。
それで、今2年任期の、今年は2年目ですが、1年過ぎた段階で、外部理事、それと女性の理事を今回3人新たに選任しておりますので、それだと来年は、この中のほぼ半数を入れ替えるというような形で、一気にみんな辞めるのでは、なかなか組織運営ができませんので、その辺をここ2期の間に変えていくという。特別な事情があって、どうしてもという場合は、もしかするとその辺、それに当てはまらない人間が出るかもしれませんけれども、基本的には、コードの考え方に沿って対応していくという、そういう形にしております。

【友添部会長】 ありがとうございました。大変な改革を今からやられるということで、ぜひうまく進むように念じております。それでは、自席の方にお戻りをいただければと思います。どうもありがとうございました。
ご発表いただきました皆様には、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。ご発表者の皆様には、ここで退室をいただければと思います。お忙しい中、ヒアリングにご対応いただきまして、本当にありがとうございました。拍手をもってお送りをしたいと思います。
(※発表者退出)
ただいまの5名の皆様からのご発表では、とりわけ、原則の2に関係することが多かったかという風に思っています。つまり、理事会の構成などの点に関してのご発表が多くて、所謂、理事任期の問題、これについても、かなり今日は議論を深めていかなければいけないのではないかという風に思っています。
現場の実状と我々がここで考えるものがミスマッチにならないように、できるだけ今のご発表を踏まえながら、あるいはそれぞれの委員の皆様方のご経験を踏まえながら、議論をしていければという風に思っています。それでは、議題の2のガバナンスコードの今後の在り方について、各論の検討に進んでまいりたいと思います。事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。

【西川課長】 お手元の資料の2をご説明させていただきたいと思いますが、これに先立ちまして、まず参考資料の1をご覧ください。 こちらは、前回の部会でのご意見、それから本年3月のスポーツ審議会総会におきまして、委員からいただきましたガバナンスコード関連の主な意見をまとめたものでございます。
ご覧いただきますと、大きく二つの傾向がございまして、一つはコードの意義や自己説明の在り方といった全般的なご意見、そして、もう一つは、各原則の個別論点、とりわけ原則2に関するご意見を多くいただいております。
これを受けまして、今後の本部会では、このコードの全般に関すること、それから原則ごとの論点と、それぞれご検討いただきたいと思っておりますけれども、本日はまず、先ほど部会長からもありましたように、原則2を中心とする論点についてご議論いただければと考えております。
それでは、再び資料の2をご覧いただきまして、1ページの目次をご覧ください。こちらの資料では、原則2に関して三つの論点、その他の原則に関して二つの論点をご提示しておりますが、まずここでは、原則2に関する論点についてご説明させていただきます。
まずは2ページ、原則2の(1)、外部理事及び女性理事の目標割合の設定に関する論点でございます。まず、①、外部理事につきましては、定義の見直しに関する論点がございます。外部理事の任用につきましては、こちらに書きましたように、競技実績者とは異なる観点からの多様な意見ですとか、理事に対するチェック機能といったような効果が期待されているところでありまして、その割合は、前回もご説明しましたように、コードの策定以前では、全体平均12%であったものが、現在では29%にまで上昇しているという状況です。
しかしながら、その実態を見てみますと、コード16ページの脚注に記載した定義の当てはめによりまして、実質的には、競技実績者に当てはまる方が外部理事として整理されるようなケースが多くなってしまい、結果として、外部理事登用の効果が薄まっているのではないかという指摘があるところです。
このコードの本文の脚注の定義といいますのは、ここの点線囲みに示している内容のことで、端的に申しますと、本来は外部理事に当てはまらない競技経験者などであっても、例えば、ビジネス、大学教授などの経験を持っていて、そうした知見による貢献を期待して理事に登用される場合であれば、外部理事と整理してよいというものです。
この脚注を入れた当初の理由は、各競技と直接的な関係を持たない人材を獲得することは、現実には大変難しいためということであったと理解しております。
一方で、一巡目の審査結果から見てみますと、やはりどうしても形ばかりの外部理事といった方が多くを占めてしまっているケースが少なからず見受けられると承知しています。したがって、この脚注をこのまま維持するべきかどうか、あるいはこの際、削除ないし修正をするべきかどうかという点を、本日一つご議論いただきたいと考えております。
ちなみに、一番下の点ですが、企業では、社外取締役候補者、いわゆる外部理事に当たる者だと思っていますけれども、これについては、選任理由やその期待される役割を株主に公表することが義務づけられておりまして、例えば、こういったものを参考に、NFにおいても、各外部理事について選任理由ですとか、期待される役割、先ほどJOCの方では資質を予め定めておられるということでしたけれども、そういったことを公表することも適当ではないかと考えられるところです。
以上が、本日ご議論いただきたい一点目の論点でございます。
続きまして次の3ページは、女性理事の目標の割合についてですけれども、女性理事の任用を促す理由、これは申し上げるまでもないかもしれませんが、現行コードの記載をおさらいしますと、一義的にはステークホルダーの多様な意見を反映させるということですけれども、加えまして、社会の多様性や活力を高めるといった観点、また女性の競技者を増やし、競技の普及を図る、あるいはスポーツを通じて女性の活躍を促進する、こういった多角的な意義が記載されているところでございます。
そして、現状としては、女性理事の割合は全体平均で26%と上昇しておりますけれども、なお40%の目標には届いていないのが現状です。こうした中で、先ほどヒアリングでもありましたように、例えば、各競技の登録人口に合わせた女性比率目標が適当ではないかというご指摘があります。
そこで今回、このNF登録人口の男女比を見てみますと、本日、お手元の資料の参考資料の2をご用意しておりますが、これをご覧いただきますと、例えば、体操やバレーボール、エアロビといったような一部の競技では女性が多いですけれども、一方で、サッカー、柔道、レスリングを始めとする多数の競技では、女性よりも男性の登録者が圧倒的に多いということが分かります。
例えば、27番サッカーで言えば、86万対5万、32番の柔道で言えば、11万対2万と、こういった状況でございます。繰り返しになりますけれども、女性理事を増やすことの目的には、女性の社会進出、特にスポーツで言いますと、女性の競技人口を増やそう、そしてまた、競技をする人だけではなくて、みる、支えるといった女性人口を増やそうということも含まれておりますので、これは政府目標としているということも含めまして、スポーツ庁としては、今の目標を維持すべきではないかと考えているところですけれども、皆様からご意見をいただきたいと思います。
ここも一つ参考を書いております、資料2の3ページの一番下のところですが、UKのコードでは、一昨年の改定におきまして、従来の性別目標を撤廃して、代わりにLGBTや少数民族、障害の有無などを含みます、ダイバーシティの確保を目標に掲げる形となっております。こうした手法も、直ちにではないかもしれませんけれども、我が国においても、将来的に参考にし得るのではないかと考えているところです。
続いて、4ページをご覧ください。原則2の(3)②、理事の在任期間の在り方についてです。現行のコードでは、一巡目の適合性審査期間に限り、激変緩和措置を置いておりますけれども、この措置は、先ほどもご議論ありましたが、基本的には来年度以降適用されなくなるということですので、各競技団体において、今後理事の在任期間に関する規定を具体的に整備運用していただくということになってまいります。
これについては、本日のヒアリングでもありましたように、①NF内の幹部候補育成との関係、そしてもう一つは、②IF役員ポスト獲得との関係といった論点がございます。これらはいずれも、コードをそもそも策定する時点からあった論点だと承知しておりまして、当時、様々な検討を経て今に至っているわけですので、まさにこれからというこのタイミングで大きく見直すということは、基本的に考えにくいわけですけれども、本日も様々なご意見がございましたので、改めてこのご検討をお願いできればと考えております。
まず、①の観点ですが、5ページのイメージ図にありますように、例えば、この一番上にあるような、まず理事になってから長く経験を積むという在り方が、これまでのスタンダードであったとしますと、今後は例えば、その下の二つ目、三つ目のイメージのように、理事登用の前に、委員会等での経験を積んでいただくというような形。また、こうした人材育成を計画的に進められるように、理事候補者の育成計画を各NFで策定いただくことも必要ではないかというようなことを、4ページの文章には記載させていただいております。
続いて、次の②のIF役員ポスト獲得に関する論点ですが、6ページをご覧ください。参考資料3としまして、本日、先ほどちょっと大塚様からも触れていただきましたけれども、今の日本人のIF役員一覧を資料とさせていただいております。こちらご覧いただければお分かりになりますように、現にIF役員として活躍されている日本人のうち、IF役員就任の時点でのNF役員歴が10年未満の方が半数以上を占めている状況でございますので、日本のNF役員を10年以上勤めることが、IF役員選挙で勝つための必須要件ではないと見ることができますし、これはちょっとデータをご用意できていないのですけれども、必ずしも日本人に限ったお話でもないともお聞きしています。
一方で、IF役員ポストの獲得の道筋といいますのは、団体やポストによって、また、その時々の諸事情によっても様々ですので、NF役員歴の必要性について一概に語るということも、これまた困難であると言えると思います。
ただし、NF役員の在任期間に上限を設けるそもそもの趣旨としましては、組織の新陳代謝を図ることで、特定の人物が過度な支配力を持ち、不祥事を起こすということを防ぐということですから、各NFにはこうした趣旨を十分に踏まえた上で、IF役員ポスト獲得も含めた計画的な人材育成に努めていただくことが肝要であり、その取り組みをコードの自己説明においてしっかりと書いていただくこと、つまり、単に余人を以って代えがたいのでこの理事は例外ですというようなことではなくて、中長期的にこのように組織を新陳代謝させていきます、そのため今はこういった人材育成に努めていますといったような形で、本日のヒアリングでも具体例のご紹介ありましたけれども、そういった具体的な自己説明をしていただくことが必要ではないかと考えております。
続きまして、7ページ、原則2の(4)、役員候補者選考委員会の在り方についてです。現行コードでは、選考委員会は理事等から独立して運用することが求められており、この独立性をどのような仕組みで担保するべきか、ということですけれども、ここは、本日村井様の発表でもありましたけれども、まず一般論としては、3ポツにありますように、原則の理事が選考委員の過半数を占めないこと。これは、まず最低限必要な基準であろうと考えられます。加えて、※印に記載したような、理事の中でも外部理事を中心にして独立性を担保するなど、そういった工夫の余地もあろうかと考えられるところです。
本原則の趣旨は、学閥や年功などによる順送り人事のようなものを排除して、多様性や客観性を確保するということでありますから、ここで合わせて確認しておきたいことは、選考委員の人選ももちろんですけれども、その委員会の運営方法についても、例えば、一番下の※印に記載したような形だと少し問題がありますので、必要に応じて、例えば、こうしたことをコードに補足説明として追記をして、審査の中でチェックしていただけるようにするというようなことも、あり得るかと思っております。
以上、大変駆け足ですが、原則2に関連する論点をご説明いたしました。ページ以降のところは、このあと時間が許せば扱っていただくということで、部会長とお話させていただいておりますので、一旦、私からのご説明はここまでとさせていただきます。

【友添部会長】 ありがとうございました。丁寧な資料をご準備くださいまして、ありがとうございます。
ただいま、ご説明がありました通り、本日は、まず原則の2の部分を中心に議論をしたいと思っています。原則については、今、西川課長の方からご説明がありましたように、外部理事、女性理事の目標割合の達成について、ということと、二つ目、理事の再任回数の上限に関すること、これが二つ目であります。三つ目、役員候補者選考委員会に関すること、この三つが中心になってくるということでありますが、まずは、主な論点としてこれらが上がってくるということで、それぞれの論点について、順番に皆様からご意見を伺いたいと思っています。
まずは、外部理事、女性理事の目標割合の達成に関することについて、ご意見ございますか。いかがでしょうか。三つ織り交ぜてお話をいただいても結構です。特に一つだけということではなくて、三つ関係させながらお話を伺っても結構です。いかがでしょうか。
井口委員、よろしくお願いします。

【井口委員】 女性理事の40%という数字についてですけれども、このガバナンスコードを策定した時には、数字をある程度出さなければ、皆さん真面目に考えないというような話をしたように記憶しています。
その後、この何年か、中央競技団体の側から、この女性理事比率の問題を見てきました。その中で一つ気になったのは、これを悪用する人が出てきているという実態があるということです。
それは何かといいますと、身近なところで女性理事候補者が見つからないのでどこかから候補になりそうな人を探してこようという風に皆さん当然考えるわけですが、他方で、そこに付け込む女性理事候補者が出てきています。ちょっと表現は悪いですけれども、理事として入って、お宅の協会あるいは連盟さんをちゃんとしてあげるので私に金払えと。そういうようなことをおやりになる方が出てきてしまっているというようなことが、分かってきています。
女性理事が足りないので、何としても頭数揃えたいという中央競技団体の弱みにつけ込むような、おかしなことをおやりになる方が出てきてしまっているというようなことがあるので、この数字、私は、本当は下げたいと思っていませんけれども、何かそういうことに対する手当てが必要なのかなということを、最近考えているところです。

【友添部会長】 ありがとうございます。
役員候補者選考委員会は機能していないということでしょうか。

【井口委員】 そこは、私は選考委員会に入って見たわけではないのですが、一定の社会的な地位があり、女性ということであれば、選考委員会を通れるのではないかなという風に考えています。
例えば、変な例ですけど、女性で弁護士というようなある程度の肩書きがあれば、選考委員会は通りやすいですし、ちゃんとした方だろうという風に思うかもれしれません。

【友添部会長】 ありがとうございました。
重要な問題提起かと思います。今のご意見も踏まえながら、いかがでしょうか。これは、実はチェックできないですよね。そういう形で申請されてくると、役員候補者選考委員会の方でも、チェックができずに、もちろんこれは、適合性審査でもチェックできないということになってきますけれども、これについてご意見、これだけではなくて、これも踏まえながら、ご意見いかがでしょうか。
籾井委員、どうぞ。

【籾井委員】 再任期間の上限については、先ほどお話させていただいたのですけど、外部理事と女性理事の部分は、時間の都合上お話できなかったのですが、まず、外部理事の定義のところで、競技実績者と異なる観点からのご意見が必要ということが書かれているのですけど、競技実績者だから駄目ということではなくて、むしろ競技のことは知っているに越したことはなくて、ただ競技のことしか知らない人ばかりはまずいということなのかなと思っています。
なので、競技実績者を除くということではなくて、競技以外の客観的な視点をきちんと持てる方が外部理事として求められているのではないかと。そういった意味で、株主総会の参考資料に、なぜ選んだのかを記載しなければいけないという説明の仕方というのは、工夫の余地があると思っています。
例えば、JOCもNFの人だったら外部にカウントできないのか、という議論をよく、外向けにどう説明するかという話の中でするのですけれども、やはり、学者、例えば山下会長は、大学の教員もやっていますけれども、では、それをやっているから外部理事と言えないですよね、という極端な例を出すと、やはり外から見た時の納得感ということだと思うので、そこは、なぜ外部理事が必要なのか、ということをきちんと伝えた上で、各NFが判断すべきで、逆に競技者は駄目とかいうのを一律にやってしまうと、組織として元々何のための組織かということを考えた時には、少し歪んでしまうのかなという気がします。
それから、女性役員の比率についてですけれども、数字ありきは良くないけれども、一定後押しするための目標ということで、これを入れられたという背景は私も理解をしていますし、そういう意味でJOCも、割とこの数字をまず達成するためにということで、女性理事を登用しましたけれども、逆に色んなパズルをしないといけない中で、女性理事40%ということだけが独り歩きすると、例えば、今JOCの役員の中には、杉山文野さんというLGBTQの方もいらっしゃいますし、それから、パラリンピアンもいらっしゃいます。
そういった方たちを、例えば、そのパラの方が男性だったとして、女性を選ばないと40%満たさない場合に、どっちを取るのが正解なのというと、必ずしも女性40%達成することが正解ではないと思うのですね。そこら辺も、多様性確保、色んな立場の方々の意見が反映されるようにするという目的に照らして、どうなのかということだと思うので、40%達成しないと罰せられるみたいな雰囲気になってしまうのは、ちょっとよろしくないので、その辺りは全体のバランスの中で多様性が確保されています、女性40%ちょっと割るのだけれども、多様性、他の形での多様性が確保されています、みたいなことが許されてもいいのではないかなと。それを緩和するという意味ではなくて、本来の趣旨、元々の規定の趣旨を考えた場合に、そういう考え方もあってはいいのではないかと思います。以上です。

【友添部会長】 ありがとうございます。
本質主義に立つか、形式主義に立つか、あるいはその中間でいくのかという議論かと思っています。自己説明をすることが、これの大原則なので、自己説明をすれば、その時点で、それがエビデンスを伴った客観性があって、合理的な説明であれば構わないということですけども、ここはやはり忘れないでおきたいということと、もう一点、40%というのは、スポーツの世界からエンパワーメントしていこうではないかという意図が非常に強くあった。多分、40%を掲げてこなかったら、今回のように、これだけ女性比率の上昇はなかっただろうということだろうと思うのですね。
籾井理事が、最初の会議で仰った「梯子を外さないで」というのは、こういうことも含めての理解をしていますが、よろしいですか。

【籾井委員】 すべき、ということでは全くなくて、やはりそれぞれの団体、当事者が、自己説明をする時に、本当に間違ったことをしていないのであれば、ちゃんと正々堂々と説明すればいいと思いますし、そういう形での、元々は多様性の確保なんだという、全部の原則そうですけれども、本来の趣旨がきちんと理解された上で、どうやってこなしていくかという話が、どうしても形式論だけになりがちなところを少し危惧しているということです。

【友添部会長】 分かりました。ありがとうございました。
16ページを少しご覧ください。今日の資料も大事ですが、全体の流れの文脈から少し見ておきたいと思います。16ページのところでは、脚注という形で、今日の資料に含み込まれている文節があります。
この脚注を実は外すというアイディアが一つある。あるいは、これを残すべきという考えがある。実質主義に立てば、残してもいいではないか、あるいは残すべきではないかということ。ただ、現状、達成に向かっていくと、おそらくこの辺りでまた不正が起こる、この脚注がある限り、何らかのごまかしが起こる可能性がある。
例えば、ビジネスということで言えば、どういうような書きぶりでも可能だと。ただし、それを防ぐためには、会社法の義務規定ではないですけれども、今は社外取締役については、どういう役目、どういう職務を担うかということは、ホームページを見れば、経歴から分かるわけでありますけれども、それと同様に、各NFにどういう理由で外部理事として任用しているのか、あるいは、女性の理事についても、やはり同様に書き込みがもし可能であれば、書き込んでいただいてもいいかとも思うのですね。
そうすると、井口委員が仰ったように、弁護士、女性、だけではなかなかいかない。なぜその役割を担うのかということも書いてもらえれば、かなり防ぐことはできるのかなという風に思っています。この辺りも含めて、ご意見いただければありがたいですし、また、自由なご意見でもいいです。栗山委員、どうでしょうか。

【栗山委員】 ありがとうございます。
私としては、今のお話も踏まえて、16ページの脚注5を削除するよりは、今問題になっている点を踏まえて、記載内容を少し変えていくというのが良いのではないかと考えています。
スポーツ庁様の方でご準備いただいた、資料2の2ページの下の方にて、会社法上の社外取締役についての記載があるところ、こうした記載も参考にしながら、それぞれのNFごとに、外部理事に求めている、果たすことが期待されている役割などを、きちんと自己説明していただくと共に、それをベースにして、実際に外部理事の方を選考していく役員候補者選考委員会にて、きちんと評価する仕組みを設けて、やはりこの方が専門的な知見に基づいてNFに貢献できる方だなというような評価となれば、外部理事として役員候補者になっていただくのがよろしいのではないかなと個人的には考えております。

【友添部会長】 ありがとうございます。
今、ご意見をいただきました。脚注については、少し文章を整除しながら、これについては、NFのホームページで、さらに、それぞれどのような役割を担うのかということについて、書き込みをしていただく。大日方委員、すみません、藤原委員、先にお願いします。次、大日方委員お願いします。

【藤原委員】 外部理事の目標25%に関しては、まず25%以上というのは、そんなに難しい目標ではないと思います。理事の役割を考えた時に執行する理事と、それから、それを監督する理事と役割が明確に分かれている。
そもそも、このガバナンスコードを作った時に色んな不祥事が起こって、それをどう防いでいくか。スポーツ団体の価値を高めて、選手が安心して競技できる形にするか、ましてや、公金を入れていて、社会に対して、しっかりそれを我々はやっているんだ、ということを伝えていかなければいけない。社会からの信頼を回復するということから始まっていると思うので、25%は、完全なる外部理事に入ってもらい、その目的は、監督するということで良いかと。組織の価値を高めていくということを考えれば、25%とは、4人に1人ですから、そんなに難しいとも言えないかと。また、最初の4年間は脚注が必要だったのかもしれないけど、2巡目は例外規定は必要ないと思います。それが、ひいては、価値を高めるということに繋がるということ。
それから、女性理事40%、これは難しいと思います。ただ、これも最初に、このガバナンスコードを作った時に、おそらくスポーツ界が、これはビジネス界よりも先行し、先ずスポーツ界から改革をしていこうということだったかと。それから、世界の情勢から見たら、まだまだ日本は遅れていますから。ビジネス界もそうだし、政界もそうだし、まだまだ女性の進出率が低い、女性が活躍されている割合がまだ低いと。
従って、そこをスポーツ界が先行してやっていこうという思いもあるので、厳格に40%ありきということではないのだけども、目標自体は、これくらい高い数字を置いておくというのは、私はありではないかと思います。

【友添部会長】 ありがとうございます。
少し整理をしたいと思います。今、藤原委員からは脚注はいらないと。脚注を削除すれば、外部委員の、謂わば、内容、属性がよく分かる。もうこれではっきりします。脚注がある故に色んなところの問題が出てくると。
つまり、競技実績理事が、本来ならそこに入る人たちが、外部理事に入るというところ、そこにも入ってくることに問題があるということの事例が出ているということであります。現状では。

【藤原委員】 補足ですが、外部理事の役割を先ほど私は監督の視点から言ったのですけど、執行する外部の人もいるわけですよね。先ほど、バドミントンの村井さんのお話もありましたが、村井さんは、バドミントンに関する経験、知見はないけど、では、今を何やられているか、非常に先行的な改革をされていて、それが組織に対して非常に良い効果を生んでいると。
だから、必ずしも、その競技、あるいは選手のセカンドキャリアとして、理事がいなければいけないということではなくて、もちろん、そういう人たちも必要だけど、4分の1くらいは全く違う分野から人に入ってきてもらって、大きな改革をしてもらうとか、全く違う視点でアドバイスしていただくとか、そういったことは、やはり閉鎖性とか、独善性というか、今までの古い文化を修正する意味でも必要だろうし、それが組織に対しても、非常に良い効果を生むのではないかと思います。従って、こういう何か言い訳的な脚注は無しにして、もうスパッと外部の理事は、本当に外部の人ですよ、という風にしてもいいのではないかということです。

【友添部会長】 ありがとうございます。もう整理しなくてもよく、今のご説明でお分かりになられたかと思います。大日方委員、いかがでしょうか。

【大日方委員】 ありがとうございます。
私は、理事の女性比率を4割の指針があってから、いろいろな団体に声をかけていただくことが多くなりました。
その中で正直に申し上げて、迷うのは何を期待されているのだろうというところ。ここは、やはり明確にしていただかないと引き受けられないし、大変遺憾ながら、「座っていてくれればいいから」と言われることもあるんですよね。これは、本質的なところからは、かけ離れた議論で、とにかくその割合を満たすということが目的になってしまっていて、こういうことを減らしていくことが、このガバナンスコードの本質だという風に思います。ぜひどういう期待をするのか、単に女性だからでは説明にならないというところを、しっかりとここで担保していくことが重要だろうと思います。
もう一つ、ここで気をつけて議論していかなければいけないのは、小さな団体の声というものが、やはりどうしても反映されにくい形になってしまうことです。to beで、こうあるべきだという理想が高すぎて、実情とは全くかけ離れたものになってしまうと、今のようなことにもなりかねないという懸念もあります。どこの程度だったら、説明がちゃんとできるのか、あまり難しくなりすぎない、噛み砕いた内容にしていくということも、やはり必要だと思いました。
また、先ほど、ちょっと発表者の皆さんからのお話を聞きながら、整理が必要だなと思ったのは、業務執行理事と一般理事、それ以外の監督する理事の、役割分担とか、どの機能をどう担っていくのかというのが、小さい団体ほど整理されていないという現状があるということです。
外部理事、女性理事の、達成について、これは数字を変える必要はないというのが、私の結論です。けれども、業務執行理事の女性の比率も、大切なことと思います。外部の理事だけが、女性で基準を満たしているというようなことですと、やはり全うできないと。その本質をしっかりと理解していただく、少しその説明を加えた方がいいかなと思います。

【友添部会長】 ありがとうございます。
本質的な議論を抜きに、多分頭数だけでやると、女性で外部理事だから丁度いいや、どちらもパーセンテージが伸びて、という話になってくるので、それを防ぐというのはどうするのか、ということだろうと思うのですね。
それについては、ホームページで役割をしっかり明記していただくということが必要で、こういう議論が、ようやく少し今まとまりかけてきたわけでありますけども、森岡委員どうでしょうか。

【森岡委員】 女性理事、外部理事の割合については、結論から言って、この数字は維持すべきだと思っています。ガバナンスコードを作る前に、ブライトン・プラス・ヘルシンキ2014宣言があり、スポーツ界の中で、女性理事の割合を40%とするという文言がありました。法的拘束力はありませんが、日本でも署名をしたスポーツ団体があり、ガバナンスコードもこの宣言を参考に40%にしたというのが、最初の経緯だったと思いますので、私はこの部分は維持すべきだと思っています。次もよろしいですか。

【友添部会長】 ちょっと一旦、ここでよろしいですか。
2014年だったと思うのですね。ブライトン・ヘルシンキ宣言。これに応じて、エンパワーメントしていこうということで、高めだということで、脚注についてはいかがですか。外しますか、残しますか。それからパーセンテージについては、ほぼ合意が得られたので、現状維持ということでよろしいでしょうか。この2点お諮りしたいと思います。
数値についてはよろしいでしょうか。外部理事25%、それから女性理事40%を、それぞれホームページで、これの役割については明記していただくということを各NFに希望するという形に。
それから脚注については、今、藤原委員からは、もう削除した方がいいのではないかというお声、あるいは残すべきだという積極的なご意見は、今のところいただいていませんが、残してもいいのではないかというご意見はありますか。この辺り、まだ議論を少し深めながら続けてまいりましょうか。ありがとうございます。森岡委員、どうぞ、お願いします。

【森岡委員】 ありがとうございます。
役員再任回数の制限については、人材育成とセットでないと、競技団体の運営が持続可能な形にならないと思っています。
この項目は、組織の新陳代謝を促すものですが、各NFには、組織体制、予算規模、歴史的な背景、競技人口などによって、大きな差が見られます。一律に原則10年と上限を決めることによって、組織体制が継続できなくなる団体が出てくる恐れがあると考えております。 大塚さんのプレゼンテーションで、例外措置として、1期または2期の延長が認められているものの、適用することがNFにとって悪いことをしているように見えるというお話がありました。実際に、そのような認識があるため、役員候補者選考委員会で客観的な議論を経ればいいものを、一律に例外措置の適用を止めた競技団体もあると聞いております。
2017年から2019年にかけてコンプライアンス違反が頻発した際に聞こえてきた声の一つに、「長く役員をしているから悪いのではなくて、悪い方が長く役員をしていた」というようなものもあったかと思います。ただ、新陳代謝をしなければいけないということで、この原則が作られたという経緯だったと思っております。では、どうするかと言われたら、形式的、硬直的な組織のルール整備とならずに多様性を尊重しつつも、一定程度の柔軟性を持ったガバナンスの在り方を検討するべきだと考えております。原則と例外であれば、やはり、原則を遵守したいのが日本人としての常ですので、例外を適用してしまうと、何か悪いことをやっているように見えるというのが、ちょっとまずいのではないかと思います。以上です。

【友添部会長】 ありがとうございました。
現行では、10年やって、そして計画、つまり中計に則って、必要な人材、あるいは国際的な大会にとって必要だと、あるいは、「など」と書いてあるので、もちろん合理的な説明がつけば、2期最大4年まで延長して、14年ということで今やれるという状態です。森岡委員は、さらに、この14年では短い場合があるだろうと。謂わば、例外を認めてもいいのではないかということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。
今、そういうご意見をいただきましたけれども、これも踏まえて、少し議論の方向が役員の任期の再任についての意見に移っています。忌憚のないご意見、いかがでしょうか。長官、入っていただいても結構ですよ。長官、何かご意見いただけるでしょうか。

【室伏長官】 いつも思っていましたけど、これは、元々は、今、オリパラの問題なんかで、スポーツの団体に対して大変世の中の厳しい目が、さらに向けられている中で、様々な改革、JOCも含めて、山下会長も改革をされている中で、また今見直すというところに立つと、やはりできるだけ多くの、世の中に公益的な団体として、自分たちが認められればいいという立場に立つのか、世の中に、やはり透明性があって、どこにでも通用するような、透明性のある団体、そしてオープンであり、そして若い人材も育成していくような形で、組織として生まれ変わっていくかどうか、こういう大きな観点で、やはり我々の一言一言が、大変重い、今、委員の先生方に言っていただいていることは重いと思いますので、ぜひこれは、我々もちろん後戻りするつもりはないですし、改革をしなければ、スポンサーがつかないとか、本当にスポーツ界は大丈夫なのかという状況からすると、真剣に考えなければいけない時だと思います。

【友添部会長】 古から、長期政権による権力は必ず腐敗するという風に言われているわけですね。つまり、長期的になればなるほど、独裁的で、独占的になっていく。そして、その周りには腐敗が起こってくるというのは、よく言われている。
それは、言葉を変えて言えば、今日村井委員のご発表になった内容と、まさに同じ内容かと思うのです。どうでしょう、中竹委員も、もしご意見があれば、適宜手を挙げていただければと思いますし、勝田委員にもご意見伺えればと思います。中竹委員、どうでしょうか。

【中竹委員】 ありがとうございます。
今日の事例の発表も非常に参考になりました。今の論点で、僕自身、個人的には、数字目標は変えずに継続した方が良いかなとは思っていますけど、注釈に関しては取ってもいいかなと思っています。取る際に、やはり歴史的に、これを一応注釈で入れていたのだけど取りましたという事実を、常に、やはり我々作った側が意識するのと同時に、開示することも大事だなと思っています。
本質的には、目標に対しては、僕は賛成ですが、これはちょっと形式になるので、今、実は結構企業で行われていることは、基本的には、女性や多様性の人たちの外部の人たちの数もそうですけど、基本、組織ごとに、ビジネスはスキルマトリックスで、自分たちの理想の役員のメンバーの像を出しております。
おそらく、これ僕、今、共有できると思うのですが。これは見えますかね。今ちょっと画面に共有したのですけども。これは、所謂、企業が、具体的な企業名も出ているのですけども、多い会社で上位に上がれば上がるほど、10個の、我々役員として10個の経営陣の、それぞれの領域をちゃんと踏まえましょうねと。それに基づいて、一人一人の役員が、どれをカバーできるかというのをマトリックスで示していくんですね。
そう考えた時に、それぞれNFが、それぞれの領域で進むに当たって、組織マネジメントをしっかりやる、会計ちゃんとやるとか、今後DXをやっていくとか、サスティナブルやるみたいな、自分たちの組織が、今後10年くらいに、どんなスキルマトリックスで、そのためにはどういう人を入れた方がいいかというマトリックスがあると、マトリックスあった上で、結果的に、女性や外部の人たちが数字を達成しているということが本来の理想かなと思います。
なので、先ほど企業においては、なぜこの人が選ばれたかという注釈に書くのは、当然ですけども、自分たちの組織自体が、この役員構成メンバーの中でどれを担っていて、どこの領域で活躍するかというのが明確になるといいかなと思います。もしかしたら、我々としても今回、別にルールにするわけではないのですけども、理事を選ぶ際の、自分たちの組織が理想とするスキルマトリックスを提示させるというのは、一つ案であるかなと思いました。以上です。

【友添部会長】 ありがとうございます。
スキルマトリックスのアイディアも、もちろん考えの対象の中には入っていくかと思っています。今、中竹委員が仰ったように、脚注が削除されていった事実、歴史は残していくということで、これは付録の方につけていけば済むわけでありますけれども、そういう意味で言うと、脚注について削除するというご意見がまた出てきたということと、理事の再任回数、現行について14年を延長するかどうかということでありますけども、勝田委員、いかがでしょうか。

【勝田委員】 社会の大きな変化の認識というのは非常に重要で、スポーツを通して、社会課題にどう向き合っていくか、そのような視点が肝要と思っております。
世界的な社会課題に対しても、国際的に協調を図りながら、スポーツも資していくという観点から紐解いていくと、組織構造や課題に関する原則などが、少しずつクリアになっていくように思います。論点に関する入口の一つとして、大きな視点も重要と。以上です。

【友添部会長】 今いただいたご意見、特に勝田委員のご意見については、次の議題を含めて検討していく、これをご覧になって分かるように、1章のところは、丁度、謂わば、不祥事が続発した時に書かれた文章なので、これがこのまま今回も残るとは思っていません。
この中には、その後の社会の変化、あるいはスポーツ界の変化、そして、謂わば、何よりも公金を重要な資金源としながら活動しているNFの在り方、あるいはNFとは何か、こういった、所謂、本質的な論議も、この1章の中に書いていかなければいけないだろうという風に個人的に思っているところでもあります。
これについては、また次の機会にご議論いただければという風に思っていますし、勝田委員からの今貴重なご提言については、十分、踏まえながら次に進めていければという風に思っています。
いかがでしょうか。所謂、役員候補者選考委員会の委員、これについてどうでしょう。ご意見いただければ、ありがたいです。大事な点は一点だけだと思います。理事会からの独立性をどう担保するかという、そこが重要な論点かと思います。この辺りも含めて、金森委員、貴重な提言がいただけたらありがたいのですけど。

【金森委員】 ありがとうございます。
一点だけ、ちょっと話が戻るようですけれども、先ほど、一部の発表者から、競技団体は、オリンピック憲章が全てであるというご発言があったのですけれども、ご存知の方は多いと思いますけど、オリンピック憲章を見てみますと、今、理事というのは、4年×2回と。次、もう一回理事になりたいという場合は、2年置いてからなるという風なルールになっていて、さらに理事を選ぶのはIOC100人、凡そ100人のIOC委員から選ぶのですけれども、彼らは、今、定年が70歳という風に規定されていて、かつて、もうちょっと緩かったのですけれども、ただこれを変えた時に、IOCを突然変えると、当時高齢化、それからほとんど男性だったので、ルールをいきなり適応してしまうと、そして誰もいなくなった状態になってしまうので、まずは、80、昔選ばれた人は80歳で定年しましょうと。ただし、何月何日以降選ぶ人は70にしましょうということで、段階的に進めていった結果、今、IOC総会を見ていただくと、かなり景色が変わったなと、この20年で。女性の方、多様性、それから国ですね、選ばれる国。かつて、スイスのような小国から、5人も6人も選ばれていた。今、もうそれはできないですから。というような、段階を経て組織が変わっていったと。ただ、大中小と組織は色々と課題が違いますので、あくまでもこれは、IOCという、資金的にも、人材的にも恵まれた組織だからこそ、可能になったと。ただ一方で、大きな所帯だからこそ、非常に右折するにも左折するにも、難しい。色んな意見を言う方がいて、意思決定にたくさんの人が関わっている難しさはあると思うのですけれども、そういう風な変革を遂げてきているので、時間をかければ、そのフレキシビリティを持たせた改革の中で、景色を変えていけるということは、できるのではないのか。さっき、IOC憲章の話が出た時に、そのようなことは思いました。

【友添部会長】 ありがとうございます。
IOC憲章、オリンピック憲章そのものの中には、IFとの関係は書いてございますけれども、その理事の規定については書いていない。むしろ、一つの参照枠として、IOCのオリンピック憲章があるという位置づけだったという風に思います。
多分、個人的な位置づけ方は、各個人の自由なものですから、それはそれで尊重しながら、ただし、そこのところは十分に配慮しながら検討していければという風に思っています。ありがとうございます。
いかがでしょうか。森岡委員、ご意見いただいたように、14年の枠を超えて、もうちょっと柔軟に対応していけばいいということで言えば、具体的な、ゴールイメージとしては、どういう例の時に、どの程度の、謂わば、年数であれば認められるというゴールイメージがあれば、お話しいただければありがたいのですが。

【森岡委員】 現在もガバナンスコードに記載がありますが、役員選考委員会の中で、例えば、中長期計画等を策定するにあたって必要不可欠で、内部のガバナンス的に継続して在任するべき方については、外部の役員選考委員会で、客観的な議論を経て任期を延長するのが良いと思います。

【友添部会長】 ありがとうございます。
どうでしょう、14年という最大限のMAXを使ったあと、尚且つ余人を以って代えがたい場合には、それについては柔軟に対応してもいいではないかと。あるいは、そういう文言をこの中に書き込む必要があるのではないかというご意見を伺ったというように思います。
少しお話を深めていきたいわけでありますが、今の森岡委員のご意見に対して、何かご意見ございますか。籾井委員、どうぞ。

【籾井委員】 すみません、個別というよりは、全体を通しての話になるのですけれども、元々このスポーツ団体ガバナンスコードは、NFの規模がそれぞれ違っていることなど、全て想定をした上で、だからこそ、コンプライ・オア・エクスプレインという仕組みを取ったという風に記憶をしています。
それぞれの団体が、自分たちの組織に合った形のガバナンスを、ここに書いてある指針に沿ってやっていく。さっきの女性比率の話にしても、外部理事の定義のところにしても、この在任期間の話にしてもそうですけれども、本当に原則、この書きぶり自体を変えないといけないものなのか、それとも、そのエクスプレインの世界の中で、NF自身が説明していくべきなのか、ということは、やはり一度きちんと議論した方がいいのかなと思います。
全てを、このコードの中で、形式的に振り分けられる形にしていけばしていくほど、一番最初の実質なのか、形式なのかという話になりますけれども、どんどん形式の方になっていって、はっきり言って、形式的なことだけだと、決して組織運営は良くならないと思っています。
これはちょっと、この部会での議論の範疇から出てしまうかもしれないのですけれども、今、統括団体の方で、適合性審査をやっていて、すごく数をこなさないといけないので、もうこれははっきり言って、形式的な審査以上のことは絶対にできないと、これはもうリソースの限界としてできないという風に考えていますけれども、もう少し、それを抽出で、何かモニタリングをしたりとか、例えば、外部理事も、別に、さっきの繰り返しになってしまいますけど、競技経験者だから駄目ということではなくて、その人が本当に閉鎖的な世界の話しかできないのだと、やはり外部理事としてはおかしいということなので、そういう中身の部分まで、少し抽出で例えば見るということもやりながら、コンプライ・オア・エクスプレインの、エクスプレイン部分が、本当にその通りなのかというのを見ていくという考え方とセットでやらないと、全部このコードに書き込んで、例外も書き込んで、となっていくと、多分、元々のこのコードの性質が変わってきてしまうと思うので、その辺りは少し議論できたらいいかなと思いました。

【友添部会長】 ありがとうございます。貴重なご意見です。國井委員、どうぞ。

【國井委員】 すみません、今、籾井委員からあったようなところですけども、スポーツ団体側の、5ページの自己説明の在り方のところが、これがずっと気になっているのですけど、「適用される」のあとが、「遵守している、遵守できていない」、先ほど森岡委員からもありましたけど、できていないところで自己説明をするので、何か非常に悪いことしているというイメージになって、やはり我々としては、そもそも、あのソフトローである、行動を使おうということは、よく我々、NF独自が、その組織の状態、その形態に応じて、きちんと考えて、きちんと説明することが必要なので、ここを遵守しているのは簡単ですけど、先ほどから出ている女性比率40%とか、外部理事…それは、先ほどから出ている数合わせになってしまうので。
そうではない、我々としては競技人口がこうだからこうだとか、今までの経緯でIFだからこうだ、というのをきちんと説明できる環境作りというのは、多分、必要ではないかなと思っているので、この辺りをしっかり、何かのところで議論したいなと思っているのと、原則と、今書きぶりからすると、原則と、その解説と、脚注、その三つをどこに入るかによって、やはり皆さん印象が違っていて、やはり原則のところに入ると、やはりそれを守らなければいけないというところがありますので、どこに入れるかというのは、しっかり工夫しないと、多分、今後また同じこと…やはり、本来は解説だとか、脚注のところも踏まえて、議論しなければいけないのかなという風なことを一つ思っています。
あともう一点、役員候補者選考委員会は、実は、私は今、役員選考委員会というものやっていて思うことがあってですね。私のやっている役員候補者選考委員会は理事会から諮問を受けるのですけど、やはり理事会の影響が大きいので、ここには最低限と書いてありますけど、そこに、やはりパワーバランスもありますので、きちんとした指針が書き込まれていることは、実際、運営する上で大変必要なことかなと。やっていて痛感しますので、その辺りは、ぜひ議論したいなと思っています。私からは以上でございます。

【友添部会長】 ありがとうございます。
5ページの図に関して言えば、私はこれを作った時の座長だったわけですが、善管義務、あるいは忠実義務があるという前提でこれを書いていると。元々、それを果たさないということが前提になってくると全てが崩れてしまう。ここに書いている原則も、あるいは解釈も、あるいは脚注も、自己利益のためにこれを使うことも実はできる。その一つの例が、先ほど井口委員が仰ったNFの自己利益のために、これを解釈して使っているという例になってくる。根本的な善管注意義務を果たしてもらわない限りは、これはもうどうしようもないわけですね。
ただし、かといって、全てが善良なという前提で、これが作られてきている、作られるべきだということでもない。実際には、そこを上手くバランスを取りながら、先ほどの形式主義と実質主義の間を取りながら、実は書かれているわけでありますけれども、先程来、お話がありました、例えば、ホームページに役割を書き込むのも、原則に書くということではなくて、脚注に書くのか、解釈のところに書くのかは議論しなければいけない。ここは、次回への宿題だという風に思っています。
今日、早急にご意見を求めても、拙速な結論に導いてしまう可能性がありますので、この辺りは、皆さんと共に、また次回考えていきたいと思っています。
かなり時間が経過をしてきています。本当は、予定されているもう一つの議題に行きたいところですが、そこのところは、もう今日は断念をしてここで、境田部会長代理からご意見をいただきます。

【境田部会長代理】 境田です。 まず、IFの理事になるために、という議論がありますけど、IOCが変わったように、本当はIFも変わらないといけないと思います。これまでいくつかのIFで、不祥事を起こしたことがあったと思います。トップが逮捕されたこともありました。詳細は分かりませんが、やはり利権に群がる、古株の人たちが離れないのではないかと思います。本当はIF改革も、我々は求めていかなければならないと思います。
ただし、今現在は、まだ多くの国際スポーツ団体が変わっていない、つまり民主化・グローバル化されていないわけだから、やはり、我々も、それを前提に、コネクションを進めていなかければならない訳ですね。具体的には、IFで力のある権利者に取り入るとかいうプロセスが必要なのかもしれないですね。だから、今は、IFが真にグローバル化するまでの過渡期のような時期かな、と考えています。
それから、4年前にガバナンスコードで女性理事を増やすということを決めましたが、私は、その議論のときも、本当に理事会で椅子に座って他人の話を聞いているだけの女性理事は作ってはいけないと思っていました。でも、現実には、大日方委員がお話されたように、いくつかのNFでは、女性理事に対して、その程度の期待しかしていないということもあるのかと思います。あと、最近は、理事のなかで、業務執行理事とそれ以外の理事を分けるという考え方もありますよね。でも、理事というのは、法律上は、法人の全ての業務に対して、善良なる管理者の注意義務を負っているわけですよ。だから、私はここしか知りませんというのは、本当は通用しないのです。
それで、おそらく、井口委員とか、これまで競技団体の理事を長くされた方は分かると思うのですが、競技団体に求められる業務量はかなりの量になります。私は、昔、日本フェンシング協会の第三者委員長として、協会改革をやった際に、すべての理事を選び直すという作業をしたことがありましたが、その際に、NFにはどのような業務があるのかと調べてみたら、100個くらいあったのです。それこそ強化とか、マーケティングとか、普及とか、税務とか、予算とか、大会開催とかいろいろあるわけです。一般的な企業とは異なる、ちょっと特殊な業務がNFにはあったりもします。NF特有のノウハウが必要だったり、知識や経験、人脈が必要だったりするのですよね。
本当は、そういうNFの役員に求められるエッセンスがまとめられたマニュアル本みたいなものがあった方が良いと思います。私もラグビーとか、Bリーグの理事などやっているのですが、実は他のスポーツ団体の理事と話したときに、他の団体では、もっと良いグッドプラクティスがあることを知ったこともありました。だから、本当は、そういった各業務において、どういうのが良いプラクティスで、それをどう学べばいいか、というところ、それを女性理事の間できちんとシェアできれば、座っているだけの理事には絶対ならないと思いますし、むしろすごく役に立つことになると思うのです。あと、バドミントン協会村井さんも仰っていましたが、やはりいかにお金を稼いで人を増やすかがどの団体も抱える実は大きな課題です。最近は、デジタルマーケティングやファンエンゲージメントなど、様々な工夫をしながら稼いでいる団体が結構いくつかあるわけです。そういった良い取り組みについては、多くのNFでもシェアした方がいいですよね。そういったマーケティングもできる、ガバナンスもできる、マネジメントもできる、というような女性理事をたくさん増やすことが重要です。そして、一つの団体で理事をやり、任期が終われば、また他の団体に理事としていく、そういった人が横展開をして、スポーツ界を引っ張っていく、そのようなことが実現できればと思いますし。
そして、そういったことができる人は、おそらくIFの理事にすぐになれると思うんですよ。おそらく、村井さんであれば、分かりませんが、おそらく、IFからも理事になってくれと言われるような人だと思うのです。
村井さんのように、Jリーグであれだけの優れた成果をあげられた方は、他競技のIFの理事もなれると僕は思います。バスケットボール協会の会長の三屋さんも、まさにそうやって、いま、国際バスケットボール連盟の理事として大活躍されています。日本スポーツ界の優れたリーダーがどんどん世界の国際スポーツ界で活躍していく、そのような視点も今回のガバナンスコード改定にも必要な視点かなと思いました。以上です。

【友添部会長】 ありがとうございました。大日方委員、どうぞ。

【大日方委員】 私が今、理事になっている団体は、そういう形式的なところはないので、今の団体の名誉のために申し上げておきます。
それに加えて、ちょっと在任期間10年の話で、現実的なところを少し見ないといけないという立場から、ちょっと皆さんの議論を活性化させたいなという風に思って、敢えてお話をしたいと思います。
この議論が始まったのが、令和元年で、ちょうど5年経つというところです。現実問題、多分この5年間で、任期満了となって辞めていく人たちの後任を、新陳代謝と言えば聞こえは良いのですけれども人材育成できているのかなという競技団体が多数あるのが実情だと思います。むしろ、10年任期で事情を分かっていた人たちが辞めることによって、新たに全く事情を知らない人が競技団体の理事になる、いうことによる混乱やリスクについても、少し考えなければいけないのかなというところが、今回のポイントにはあるかなという風に感じていて。ここをどういう風に担保すればいいのだろうというのを、ずっと考えています。
といってでは、この原則を無くせばいいとはもちろん思わないですし、何という表現を使えばいいのだろうというのもにわかには、思い浮かばないのですが、激変緩和措置に類するような何か必要ではないないかと。激変緩和ではないですが、競技団体のサイズによって、人材が回りにくいところがあるし、たしかに人材育成をしないければいけないのは間違いないけれども、原則1では人材、組織運営に必要な人材育成について規定されているということではあるのですけれども、理事とは実は書いていない。理事の人材育成を曖昧なままに5年間、走ってきている競技団体が多い実態を考えると、今後5年程度は、そこをちゃんとやりなさいよということを謳ったり、10年を超える場合の、この新陳代謝というところの書きぶりに、少し何らかの注釈をつけ加えるなり、サイズによって、規模感によって、少し緩和するなりというような、そういった工夫も必要なのかなというように感じました。ちょっと現実的過ぎるでしょうか。その辺りは、皆さんのご意見を聞きたいと思います。

【友添部会長】 ありがとうございました。
少し、私先ほど、松丸会長のところで触れたのですけれども、役員候補者になる人の、人材育成の計画書を同時に4年ごとに出してもらうというアイディアは、やはりあっていいのかなと思っています。
ただ、松丸会長の方は、それは無理だと。あなたは将来理事だと、あなたは違うという選別をするのは難しいというご意見をいただきました。それは、なるほど、という風にも思ったところですけれども、原則1の方は、事務局というか、事務方の人材育成、採用の方針について書いてあるのだと思います。役員候補者については、やはり主として原則2で書かれなければいけないということだと思っています。
もちろん、原則に入れる必要はないのだけれども、10年規定のところで、もし森岡理事が仰るご懸念があるのだったら、育てていき方の計画書を、同時に4年ごとに出してくださいということも、一つ考えられるのではないかという風に思います。
どうでしょう。ちょっと肩を上げ下げして、一息入れながらやりましょう。もうあと少しで終わりますので、アイディアを出してもらえればと思います。いかがでしょうか。
大日方委員、ご意見は今の私の考えでよろしいでしょうか。

【大日方委員】 はい、すごく良いアイディアだなという風に思います。
そうだったのだと理解しました。私も、すみません、作った側なのに、理事の人材育成も原則1に入るのかなという風に理解をしていました。それくらい、やはり競技団体の小さいところは、事務局のと、委員や理事というのは、すごく近いところにあるという実情を踏まえると、ちゃんと、原則2に理事の人材育成について書くというのは大賛成です。

【友添部会長】 今のレベルだと、原則2の解説、もしくは、脚注に入れるというアイディアになります。籾井委員、どうぞ。

【籾井委員】 今の人材育成のところですけれども、人材育成していくこと自体は、もう必須だとは思うのですけれども、一方で、やはり、2年に1回改選があって、次の改選の時に、理事を引き受けていただけるかどうかも分からないし、まさか選考委員会で選ばないといけないものを勝手に打診するわけにもいかない中で、現実的に、人材育成の計画というのは作れないのではないかと、ちょっと今感じていまして。そこが、やっているところがあるなら、ぜひお聞きしたいなと思います。というのが一点。
もう一つ、理事の役割というものを、やはりもう1回ちゃんと考えないといけないかなと思っていて、本当に、そんなに長くやっていないとできないのですかと、すみません、すごくちょっと叩かれてしまうかもしれないのですけど、要は、NFというものを考えた時に、公益法人という、民間の企業とは違う特殊性はありますと。それから、収益構造は少々、通常の企業とは違います。そして、多分組織が脆弱で、スポーツ界以外のところに比べると脆弱という特殊性はありますけれども。
では、組織運営に求められる資質能力が、他の分野と大きく違うかというと、違わないと思うんですね、マネジメントに必要な能力は。ただし、知らないと間違った判断をする場面というのはあるので、支える人たち、これは事務局だと思うのですけれども、支える人たちが、その競技に特有の重要な事項を、きちんとそういう方に伝えられるということが必要なのではないかと思っていて、ちょっとそこを整理しないと、やはり長くないと組織運営できないよね、という前提で話をすると、ちょっとまた方向性が変わってきてしまうのかなと思った二点を、コメントとして申し上げます。

【友添部会長】 すみません、一点目、ちょっと言葉足らずでしたけれども、委員を、まずはどのような順番で、どういうように育てていくのかという、はっきり言うと、カリキュラムですよね。そういうカリキュラムを作って、それを提案してくれということですね。何も理事にすぐするということではなくて、この委員会が終わったら、次この委員を経験して…というような、謂わば、カリキュラム構成を作るということが一点と。
それから、二点目の方ですけれども、全くその通りで、例えば、今度逆に言うと、データが示しているように、IFの理事になるには、NFの理事であることが必須ではない。つまり、データをみる限り実はあまり関係ありません。
私がデータで確認したところで言うと、日本人のIF役員が今36人いて、IFの理事になった時のNFの理事歴に関して見ると、10年未満が25人となっています。ほとんどが10年未満です。それから、0年が13人いるわけです。つまり、NFの理事の経験がなくて、すぐにIFの理事になっている。もちろん、何か様々な役割を担えるということだと思います。
このようにお話しすると、連盟や団体によって、事情は違うと言うけれども、今度は逆に言うと、事務局に、連盟ごとの理事在任の期間を確認するという作業も、実はお願いをしましたが、これはなかなか確認が難しかったようです。この間、事務局にはかなり難しいデータを揃えていただいて、せっかくですから、こういうデータも、実はエビデンスとして、やはり私達は見ていかなければいけないと思うのですが。

【室伏長官】 日本のNFの理事の年数と、IF役員になれるかなれないかは、データ上は関係ないということですし、あとは、オリンピック・パラリンピックを日本で開催するとか、IF主体の世界選手権を日本で開くとか、こういう時になると、IFとのパイプも重要になってきたりということもあって、日本人がIF役員に選ばれるケースが増えてくる。こういう背景で、NF理事歴0年でIF役員になるというケースもあると思います。NF役員を10年やればいいということだけではなくて、ファイナンスの様々な貢献だとか、さらに、日本からの様々な後ろ盾があってなることも多々ありますので、この議論は、NFでの理事経験が全くなくてもIF役員になっている人がいることを考えると、NF理事歴の議論とは完全に切り離すべきだというふうに思います。

【友添部会長】 ありがとうございます。
今、長官の方からもグッドアイディアをいただいたところで、ただ、今日結論を下すという、拙速は避けたいと思います。次回に繰り越していければと思います。
次の議題の説明について、事務局の方からお願いいたします。

【筒井補佐】 資料3をご覧ください。今後の審議の進め方ですが、次回は6月の15日、2週間後ですけれども、第3回ということで、次回は、コード改定素案をお示しすると書いてありますが、本日の議論を踏まえて、部会長ともよく相談をさせていただきたいと思います。今考えているスケジュールとしては、このようなものですので、第4回までの日程と併せてご承知おきください。

【友添部会長】 原則以外の論点も、実はまだ議論をしていかなければいけないということです。これについても、今日は宿題という形になりました。時間がきましたので、長官に最後のごコメントをいただければと思います。

【室伏長官】 友添部会長をはじめ、有識者の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、先月の第1回に引き続きまして、本部会にご出席いただきましてありがとうございます。
本日は、籾井委員から、JOCのガバナンスコード遵守に向けた取り組みをご発表いただき、また村井様、大塚様、松丸様、遠藤様から、各競技団体がガバナンスコードの遵守にあたり、どのような工夫やご苦労をされてきたか、また試行錯誤を重ねられてきたかを中心にお話しいただきました。
ガバナンスコードの遵守にあたっては、競技団体関係者の皆様から、様々なご意見をいただいているところでございますが、スポーツ界では、未だにスポーツの価値を脅かすような不祥事案件が発生したりとか、また、特に東京大会を巡る一連の不祥事は、スポーツを愛する多くの人々を失望させてしまったこともあります。
このような事態を防ぎ、スポーツ・インテグリティを向上させ、私の所信ですけども、感動していただけるスポーツ界を目指すということで、これは、社会から見て、感動を強制するスポーツ界ではなくて、「私はメダル取ったんだ、感動しただろう」ではなくて、やはり自然と社会が、本当に素晴らしいなというふうに感動していただけるスポーツ界を目指すということで、引き続き頑張ってまいりたいと思います。 あとは、原則を変える、変えないということも、これは皆さんに議論していただくところにありますけども、やはり原則というものが、前鈴木長官時代から、一生懸命作っていただいた議論の末に今ここにあって、これをどう、前向きに捉えていく、女性の理事4割、25%の外部理事も、前向きに捉えると、こんなに良いことがあるんだよとか、前向きに捉えれば、こんな素晴らしいことがあるんだよ、というふうになっていくように、運用も含めて、やはり我々は、こういうものを作ったからには、コンスタントにこれを運用していくことを、その時代に合わせて考えていく必要がありますので、ぜひこの辺も含めて、議論いただければという風に思います。
ぜひ、肩の力を抜きながら、ということがありましたけども、よろしくお願いしたいと思います。
中竹先生、そして勝田先生もありがとうございました。

【友添部会長】 今日は、かなり踏み込んだ議論まで入っていきました。ただ、司会の不手際で、進行の方に支障をきたしたことは、お詫びを申し上げつつ、次回に、また宿題を出しておきますので、しっかり予習をして来ていただきたいという風に思います。その点、よろしくお願いいたします。
今日は、もうこれで散会ということで、お終いとしたいと思います。どうもありがとうございました。中竹委員ありがとうございました。勝田委員ありがとうございました。

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