スポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会(第3回)議事録

1.日時

令和5年6月15日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室及びWEB会議(Zoomを使用)

3.議題

  1. スポーツ団体ガバナンスコードの今後の在り方について
  2. 今後のスケジュールについて

4.配付資料

5.議事録

スポーツ審議会 スポーツ・インテグリティ部会(第3回)

令和5年6月15日(木曜日)

【友添部会長】  それでは定刻になりましたので、ただ今から第3回 スポーツ審議会 スポーツ・インテグリティ部会を開催したいと思います。今日はお忙しい中御出席を下さいましてありがとうございます。今日は全員出席ということでございます。それでははじめに、事務局から配布資料等について御説明をお願いします。

【筒井競技スポーツ課課長補佐】  お手元の資料について確認をさせていただきます。議事次第に記載のとおり、今回は資料1、2、3-1、3-2、4と、参考資料として森岡委員の提出資料をお配りしております。不備等がございましたら、お申し出ください。

【友添部会長】  それでは議事に入りたいと思います。本日の議事の進め方ですが、はじめに先の会議を思い返していただければと思うのですが、前回に引き続きまして第2章の各原則に関する論点についてご議論いただきたいと思っています。その後、第1章、これは「前文」ということで表記しようということで、今は前文という形にしていますが、これにつきまして事務局と御相談をしながら素案を作成していただきましたので、こちらについても御意見を賜りたいと思っております。
まず、第2章について個別の論点の議論に入る前に、各原則の構成につきまして共通認識を委員の皆様方に持っておいていただきたいということで、その方が、議論が円滑に進むかと思いますので、事務局において整理をしていただきましたものにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

【筒井競技スポーツ課課長補佐】  A4の1枚の資料1をご覧ください。スポーツ団体ガバナンスコード第2章が各原則でございますけれども、その構成について前回も少し議論がありましたので、ここで改めて整理をさせていただきました。全体として各原則そのものがあって、求められる理由、補足説明、それから脚注というような4種類の構成になっています。「原則」そのものは原則・規範を記載しております。原則は形式的な文言・記載ではなく、その趣旨・精神に照らして真に適切か否かを確認できるよう、簡潔に抽象的な表現としております。「求められる理由」は、なぜ当該原則がコードに規定され、各団体に取組が求められているのか、その趣旨を説明したものでございます。また、「補足説明」は、原則は抽象的なものでございますので、各団体が原則を実行する上で参考となるよう、用語の定義や考え方等を解説するとともに、具体的な取組事例等を記載しているものでございます。「脚注」は、ほとんど原則2のところに集中して付いておりますけれども、その補足説明の中で用語の定義等を、記載をしているものでございます。また、文末の表現は「求められる」「望まれる」「考えられる」の3パターンございますが、規範としての重要性がより高く、基本的に全ての団体が取り組むことが必要である事項については「求められる」を用いており、「求められる」よりも規範としての重要性は相対的に低いが、各団体の取組が期待される事項については「望まれる」。それから、考え方や取組の一事例を紹介しているものについては「考えられる」という文末表現で統一して作っているものでございます。事務局からの説明は以上でございます。

【友添部会長】  ありがとうございました。各規範のそれぞれの拘束性の強さのようなものを表していると御理解をいただければと思っております。続いて、前回会議に引き続いて第2章の各原則に関する議論に移りたいと思います。まずは原則2について議論を行って、その後原則2以外の論点に入りたいと思います。それでは、西川課長の方から御説明をお願いいたします。

【西川競技スポーツ課長】  お手元の資料2に沿って御説明をさせていただきます。1頁の目次にありますようにまず原則2の関係といたしまして、基本的には前回の続きの論点を整理させていただいております。2頁をご覧ください。
はじめに、原則2の全体の話の前提といたしまして、今回は理事・理事会の役割について確認の意味でまず整理をさせていただきました。前回のヒアリングにおきましてもバドミントン協会の村井副会長から協会の改革の御紹介がありました際に取組の一つとして、理事会の業務執行機能と監督機能を分離するといったお話がありましたけれども、これに関連しまして念のためここで確認をさせていただきたいことは、皆様御案内のとおりですけれども、理事会の権限としましては、1行目にありますように法人法において業務執行とその監督の両方が規定されているということ、そして特にNFの場合は法人の種類によらず極めていずれも公共性が高く、広く社会の状況に対応する役割が期待されているという中で、その理事会は団体の方向性を決める重要な意思決定機関であるということ。つまりNFの理事会には相当高い視野と高い視座というものが求められているのだということでございます。また法人法上、理事は忠実義務を負っておりまして、業務執行理事だけではなく全ての理事が幅広いステークホルダーと協働しながら、NFの利益のみならずスポーツの価値の最大化のために行動することが求められているということでございます。こうしたことを押さえるという意味で現行コードを見ますと、今申し上げたようなそもそものNFの理事会の役割や行為規範といったことについて記述がやや薄いという認識がございましたので、部会長と御相談の上で原則2の「求められる理由」という所に少しこの説明を追記するような案をご準備させていただきました。そちらが3頁の赤字の部分です。
次に、4頁、こちらは前回ご議論いただきました「外部理事の定義の見直しについて」でございます。外部理事については現行コード、脚注という形で、いわゆる競技実績者であっても競技以外の専門的知見を持っている方であれば外部と整理してよいという記載がありますけれども、この恣意的な運用を避けるためにこれを削除すべきかどうかという御議論を頂きました。そして前回の御意見が資料に書いていますけれども「競技実績者だからダメということではなく、それ以外の視点があるということが重要だ」というような御意見もありました一方で「外部理事の今の25%という目標は決して高くはなく、したがって脚注はこの際削除した方がいいのではないか」というような御意見も複数頂いたところでございます。そこで今回お示しする改訂の方向性としましては、外部理事の起用の効果が薄れることのないように、外部理事の定義に関する脚注を外してはどうかということが1つです。それからまたこれに加えまして、外部理事の選任にあたっては人から選ぶということではなく、理事に期待される資質や能力というものをまず定めて、それを念頭に置きながらそれを満たしていくというようなアプローチが必要であるという御意見がありましたことを踏まえまして、新たに各NFにおいて理事に期待される知識・経験・能力の観点を定めて公表していただくこと、それから実際に選ばれた理事について、選任の観点についてホームページ等で公表していただくこと。こうしたことを促してはどうかということでございます。
具体的なコードの改定のイメージが5頁以降ですけれども、まず5頁は単純に「脚注」と言っておりますのがこちらの赤字の所ですが、これを削除してはどうかという点。それから6頁のところが、後に申し上げました理事に期待される知識・経験・能力の観点、それから選任理由の観点の公表に関する部分。こういうことを書くかどうかということもさることながら、さらに7頁お進みいただきまして、ではどうやって公表するのかという、これはあくまでも一つのイメージでございますけれども、御準備してみましたのは“参考1”と“参考2”のところですが、1つは前回籾井委員からもJOCでは理事候補者に求められる資質というのを具体的に定めているという御紹介がありましたけれども、それに近いもののイメージがこちらの参考1でございます。ここに列挙している(1)から(6)というのはあくまで例示でございまして、各NFに求められる能力というのは異なってくるものと考えておりますけれども、イメージとしてはこのようなもの。それからその下の参考2ですけれども、こちらは選ばれた理事についての説明ですが、例えば独立行政法人ですとこういった経歴を公表することになっていますし、株式会社においても株主に対してこういった説明をしているケース等があると承知しています。これは一つの例なのですけれども、ポイントとしては特に外部理事がどなたなのかということ、それからその方はどういう経歴を持っていて、あるいはどういう貢献を期待されて理事になっているのか。この辺りを明らかにしていくということがポイントかと考えておりまして、一方でこういう形式がいいかどうかというのは、このコードの対象は全NFということになりますので、全NFに最低限求められるレベルとしてはどの程度がよいのか。そしてまたこういうひな形のようなものを(付録かもしれませんが)コードに載せた方がいいのか、載せない方がいいのかといったような、その辺りも少し御意見があれば頂ければというふうに考えております。それが2つ目です。
続きまして8頁をご覧ください。こちらは、前回最も多く御意見を頂きました理事の在任期間の上限について、でございます。前回頂いた御意見を振り返りますと、上の半分ですけれども大きく分けますと丸ポツでお示ししております「今の原則を維持するべき」というような御意見と、四角の方は「原則10年という上限はやや厳しいのではないか」「より柔軟な運用が必要ではないか」といったような御意見をそれぞれ頂いたというふうに承知しております。ただし、いずれの立場からもこの原則は組織の新陳代謝を促すという大本の趣旨の部分については、皆さんは賛同いただけたというふうに事務局としては理解をしております。また、今のコードでは組織の腐敗をとにかく防ぐのだという部分が前面に出ていますけれども実は人材の流動によって例えばあるNFの理事が別のNFに移っていくというような循環が生み出されることで人材の層が厚くなって、スポーツ界全体の発展につながるといったような新しい観点も前回ご提示いただいたところでございます。そういったことも総合的に勘案しまして、部会長とも御相談の上で今回お示ししている方向性の案としましては、まず1つ目は結論としては理事の在任期間の上限については維持することが適当ではないか。その理由ですけれども、今のコードに書かれている特定の方による独占支配を防ぐということにとどまらず、新たにこういうことを書いてはどうかということですけれども、異なる世代から多様な背景を持つ人材を理事に登用していくということによって、変化する社会に対応したNF経営や、スポーツの価値の最大化を実現することに資すること。それからもう1つ、理事等を担う人材のNF間での循環を生み出すことで、NF経営人材の層が我が国全体としても厚くなり、結果としてスポーツ界全体の発展にもつながるのではないかといった、前向きな理由も添えました上で、原則の維持という方向性をお示しさせていただいております。なお、その下の所ですけれども、本原則について2つ慎重な御意見があったと思います。1つは、本原則がIFポストの獲得を阻害するのではないかと。これにつきましては、前回の繰り返しになりますけれどもNFの理事歴が必須だというエビデンスがないということが1つと、またIFによっては確かにNF理事歴の長さを重んじるような慣習があるとしても、本来はそれらも変えていくべきではないかといったような御指摘もありまして、したがって今の原則を緩めるというのは本来あるべき姿ではないという趣旨の御意見を多数頂いたというふうに理解しております。また、最後の所ですけれども、10年では人が育たないのではないかという御意見もありました。これについては、理事の登用の前に多様な経験を付与するといったように計画的な人材育成がこれまで伴っていなかったのではないかという御指摘が複数ありました。よって、これについては新たに理事候補者育成計画の策定を行っていくことが望ましいということをコードの補足説明等に追記してはどうかというご提案をしております。
こちらについての補足説明の具体的なイメージが9頁・10頁のところです。まず、人材育成計画の中に理事候補者の計画的育成という要素を含めてはどうかというのが9頁の上の所の原則1の部分と、それに対応しますのが少し飛びますが10頁の方の赤字の部分でございます。さらに、先ほど少し触れました新陳代謝がもたらすプラスの効果につきましても、9頁の下の所ですけれども原則2の“求められる理由”の所にこのような感じで追記をしてはどうかというのが一案でございます。なお参考ですけれども、10頁の一番下の所に“参考”といたしましてコーポレートガバナンス・コードにおけますCEOの後継者計画というものを策定するということがコードにうたわれているわけですけれども、ではその中身はどんなものかを説明した東証のQ&Aを掲載させていただきました。企業における役員候補者の育成というものは、こちらに短い文章ですけれどもありますように、まずは求める人物像の明確化であり、加えてその育成方法、さらには取締役会や指名委員会がどのように関与し、要は選抜を行っていくか、こういった内容から成り立っているということでございます。コーポレートの方もあまりひな形のようなものはなく、企業によってその定め方はまちまちであると承知していますけれども、今回ここでお示ししようとしている役員候補者育成計画のイメージの一つの参考になるものとして簡単ですが御紹介させていただきます。
最後に、11頁をご覧ください。役員候補者選考委員会の独立性の担保について、でございます。ここは前回もご提示したのですが、あまり時間もなく議論も深まらなかったのですけれども、独立性を確認する何らかの基準は必要ではないかという御意見は頂きました。そして、以下“改定の方向性”の所は前回お示しした資料をそのまま掲載しておりますのでおさらいになりますが、3ポツ目に書かせていただきましたようにまずは現職の理事が選考委員の過半数を占めないこと。ここを最低限の基準としました上で、さらに例えば※印にありますような、その選考員会の委員長や副委員長を外部理事等に限り、その方が他の選考委員を選ぶといったように、真の意味で理事会から独立した運営の在り方の工夫というものが必要であるかどうか。こういった辺りの論点を本日改めてご議論いただければというふうに考えております。原則2以外は後ろに回させていただきたいと思いますので、原則2に関する論点の御説明は以上でございます。

【友添部会長】  ありがとうございました。随分前回ご議論いただいたところを埋め込みながら前に進めるような形で今日もう一度ご提案をするということで、原則2につきましては理事それから理事会の役割について。また理事とは何か、あるいは理事会とはどういう仕事をするのかということ。そして外部理事、これは定義がなかったということで、いくつかのお問い合わせがスポーツ庁に来ているという現実、そういうところの混乱を避けようということで見直しをして定義をしようということでもあります。
3つ目でありますが、理事の在任期間の上限に関する考え方、これについても前回の御議論をまとめる形で原案をお作りさせていただいたところでもあります。
4つ目であります役員候補者選考委員会の独立性、これは独立性の担保についてもなかなか難しいところでありますが、いくつかの工夫をしていくということの素案を示しているということになります。こういった4つの論点がございました。それでは、順番に皆様の方から御意見を伺ってまいりたいと思います。議論を分けながら進めていきたいと思うのですが、まずは理事、理事会の役割について。それから外部理事の定義の見直し。この両者について一括で御意見を賜れればと思います。いかがでしょうか。御意見ございましたらよろしくお願いいたします。……少し咀嚼(そしゃく)するのに時間がかかるところかとも思うのですけれども、前回の議論を含めて少し反すうしながら御意見を賜れればと思うのですが、いかがでしょうか。勝田委員、どうでしょうか。

【勝田委員】  ありがとうございます。大原則を皆さんで議論し共有するというのは非常に重要な観点というふうに思います。特に最初のところで、それぞれ役割・定義というのを皆さんが共通できる大きなところをまずしっかりと確認していこうという方向性も賛成でございます。
その上で、“期待される知識・経験・能力”というのは非常に重要で、これはコンピテンシーという概念に該当するものとも思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。7頁の図でありますけれども、これは前回中竹委員の方からご紹介いただいたスキルマトリックスを基に事務局の方で工夫をしていただきました。よろしいでしょうか。森岡委員、何かございますか?

【森岡委員】  ご説明いただきありがとうございます。全体的な方向性としてはこれでいいと思います。1点、法人法上、理事会の役割は、法人の業務執行と理事の職務執行の監督とありますが、業務執行は全て理事会でやるのか。例えばNFで、業務執行の一部を事務局に委任しているようなケースも見られるのですけれども、ガバナンスコードは理事会が100%法人の業務執行を行うというイメージで書かれているのかどうかというのが質問です。

【友添部会長】  それについてはおっしゃるとおりであって、事務局の方はあくまでも業務執行理事もしくは理事のいわゆる業務執行についての指示を受けて動くという形をとっているというふうにイメージしております。

【森岡委員】  分かりました。後はこれで結構かと思います。ただ、先ほどのこの表のマトリックスは、コード本体に記載するかどうかという話があったと思います。 (1)から(6)の知識・経験・能力の観点をつけるというのは分かりやすいと思うのですけれども、これをガバナンスコードに記載するとNFの対応が形式的になってしまうことを危惧するところです。

【友添部会長】  ありがとうございます。現状では付録という形でこういう参考資料をお付けすると。これだけではなくて例えば人材育成計画のひな形を少し示す。ゼロベースでは多分どこのNFもどう記載していっていいのか分からないかと思いますので、あくまでもガイドの役割をするような形で付録を付けるということも考えられるのではないかと思っています。よろしいでしょうか。はい。ありがとうございます。いかがでしょうか。籾井委員、どうでしょうか。

【籾井委員】  まだ頭の整理がちゃんとできていないのですけれども、理事会が果たすべき役割のところなのですけれども、業務執行とその監督の関係の部分が結構重要なポイントかなと思っていまして、どこまでを理事会が監督なのか業務執行をどこまで関わるかによって、おそらく理事に求められる資質というのが結構変わってくるのではないかと思っていまして、そこの辺が今の書きぶりで果たして十分なのかというのが少しまだ判断をしかねていまして、例えば団体としての方向性を決めるというと、理事会全体が執行に関わっているような印象になるのですけれども、そうではなくて監督ということに徹するのだとすれば、むしろ業務執行理事を中心に決めた方向性に対してプロセスが適切かということを判断するというのが理事会の役割になるのだと思ったので、今の記載だとそれが全部ごっちゃになっているかなというところが少し気になりました。
それから、確認なのですが外部理事の脚注を削除するということに関して、基本的な方向性としてそれぞれどういう資質・経験・能力を踏まえて外部理事として登用されたかということを説明するという方向性には非常に賛同するという前提で、脚注は削除されるけれどもそこの説明がきちんとできるのであれば、競技者とかであってもいいという趣旨なのか、そもそもそれ全体を認めませんよという趣旨なのか、それはこの議論の中で少し明確にしておいた方が……基本的には説明できればいいと思うのです。それで公表したときに世の中から見て、それはこの人は競技をやっていたけれども確かにそういうスキルがあるよねと思えるようであればいいのかなと私は個人的には思うのですけれども、そういう理解でよろしいのかどうかということを少し確認させてください。

【友添部会長】  後者については実は検討が十分にできていないというところだと思うのです。ここでご議論いただければと思っています。前者の場合ですが、前回バドミントンの村井さんの方からお話をいただいた時に、理事が業務執行理事や代表理事の監督・監視業務が主となるというお話があったのだけれども、むしろそうではなくて理事自体にも忠実義務があって、理事はもちろん共同責任を持って原案作成あるいは業務執行にあたる必要があるということのニュアンスも含めたということでもあります。ただし、最初に申し上げたように原則主義に立っていますので、各NFによって運用の仕方については様々にあってもいいだろうと。あくまでもここは細則主義に立っていませんので、原則主義に立ちながら各NFでこういう形でアレンジをしていただくということが前提だと理解しています。よろしいでしょうか。はい。他に何かございますでしょうか。どうぞ。

【境田部会長代理】  もうここは法律をベースにした方がよいと思っています。理事会は法人法の90条に書いてあるとおり社団法人の業務執行の決定を行う必要があります。重要ではない業務執行の決定については、理事に委任することができますが、それ以外の業務執行の決定については、理事会、つまり理事会を構成する理事メンバー全員で判断する必要があります。そして、重要な財産の処分や譲りを受け、多額の借財とか重要な使用人の選任・解任は理事に委任することはできず、必ず理事会で決定しなければならない、これが法律の定めるルールです。今の書きぶりだとおそらく法律を正確に反映していない可能性があるというのが森岡委員の御指摘だと思いますので、そこを少し事務局の方でもう一度整理していただければと思います。

【友添部会長】  ありがとうございました。今ご指摘いただいたことを踏まえて、事務局の方で再度整理をして次回お示しをさせていただくということで引き取らせていただこうと思います。他にはいかがでしょうか。井口委員、どうぞ。

【井口委員】  1点だけ気になっているのですが、NFの業務とは一体何かというところで、NFの人たちは一般に、大会運営と強化を業務だと考えています。実はその強化のために助成金の申請や精算をしたり報告をしたりするのですが、これらはどこの業務に当たるのかという理解ができていない団体が多いと思うのです。そうすると、例えば大会運営や強化を中心に業務だと考えれば、それにふさわしい人を会長にし、理事にするということが起きるわけですけれども、実際の現場はそこではなく、法人としての業務執行というと助成金の申請であったりいろいろな、実際の競技と関係ないところで行われるというようなものが多かったりします。したがって、ここでいう法人の業務とは何かというところをある程度明確にしていかないと誤解しているNFが多いのではないかというふうに思います。

【友添部会長】  NFとは何か、それからNFの業務とは何か、役割とは何かというのは、後で前文のところでもう一度ご議論いただけたらと思っています。今までのNFのあり方だけでは駄目だよというメッセージを含めていますので、そういう意味で言うと新しいNF像に向けて過不足があればその点でまたお話を頂ければと思います。今の御意見は参照させていただきます。國井委員、どうぞ。

【國井委員】  ありがとうございます。まず理事と理事会の役割に関して、3頁のところで「求められる」というのを少し厚くしているのは分かるのですけれども、理事と理事会の辺りの区分がどうも頭にきれいに入ってこないので、そもそも論を書いていることは理解はできるのですが、スポーツ庁のときはいわゆる問題があったのでそれに対応するためにこの原則を作ったというふうに理解をしているので、読んでいて少しあれ? というふうなところがあるので、そこはまた今後気が付いたらお話ししていきたいと思います。
1点、先ほどのスキルマトリックスのところなのですけれども、私は今役員候補者選考委員会というのをやっていて、実は理事の選考の基準と代表理事の選考の基準と分けたのですね。先ほどの業務執行にも関係するのかもしれないですけれども、業務執行の方のスキルと、あるいは業務を監督するスキルが違うだろうということで、そこはきちんと分けて議論をしたというのは経験としてあって、全てに理事として期待されるこういうまとめ方でもいいのですけれども、もしかしたらそういったところで分けて議論するというのもありなのかなということで、そこがどのように表現されるかは分からないのですけれども、外部理事というのはおそらく業務執行ではないと思うのですが、今イメージのところに代表理事(外部)と書いてあるのですけれども、この辺りは外部理事で代表理事も当然あるとは思うのですけれども、その辺が少しごっちゃになっていたので、その辺を少し整理しながらやったらどうかというふうに個人的には思いました。私からは以上です。すみません。

【友添部会長】  ありがとうございます。この後御意見等あるいはこういうふうに修文したらいいのではないかという文章の具体的な案を事務局の方にお寄せいただけたら、事務局の方で整理をして反映させていくという形をとってまいりたいと思いますので、今の段階では御意見がまとまっていなくても、こういうふうに思うのだけれどもということでお話を頂いても結構です。いかがでしょうか。大日方委員、どうぞお願いします。

【大日方委員】  ありがとうございます。2頁3頁のところについては、それも賛成なのですけれども、もう少し前段のところで議論するべきといいますか、そこで明らかにした上でこれであればよいのかなと思いました。
そして7頁ですね。スキルマトリックスをイメージしてというところで、こういう表を付けるべきかどうかというような問いもあったと思いますけれども、私はこれは有った方がよいと思います。こういう観点があると整理がつくので、ぜひこういうものは必要だと考えています。その上で、観点についてはこの(1)から(6)ということで今はこう仮に置いていただいていると思うのですが、スポーツの競技団体に求められる、実際の業務とは何かということを考えると、若干足りないといいますか、もう少し項目が多くてもよいのではないかという印象を持ちました。今の内容ですと、いわゆる外部理事に関して言うとここのどの部分に当てはまるのだろうとか、専門分野というところは非常に理解されやすいものなのだと思うのですが、業務執行理事も含めるとなると、ここがスポーツ界ならではの部分というものを皆さんで議論しておいいのかなというふうに思いました。

【友添部会長】  ありがとうございます。もう一度確認になりますが、今お話をいただいた7頁のところでありますが、ここに示した参考1というのは例示であって、サンプルなのですね。各NFがここの内容を規定して自己説明をして、そしてこの規定に沿いながらどうなのかということをマトリックスの方に書いていただくと。もし必要であれば業務執行理事用と、言わば理事用とに分けて示すこともあっていいと思います。これは各NF次第だろうと思っています。大事な点は何かというと、ホームページ等で公開することによって社会的にこういう形でやっているということを広く周知してもらうことと、そしてそれによって例えばおかしな事態を未然に防ぎたいということがあってこういう提案をしているところでもあります。この6についても、あくまでも6個というのはここの表に入るぎりぎりの数ですので、そのくらいのイメージを持ってもらっていいと思うのですね。もっと字を小さくしていっぱい詰め込んでも多分皆さんなかなか読んでいただけないのではないかということで、ここで挙げているのは別にこれだけが意味があるという意味でもありません。これはJOCに示唆いただいたものの中から例示としていくつかピックアップしているというイメージですので、これについては各NFでやっていただければと思っています。こういうのもアペンディクスとして付けていくということであります。外部理事の方の御議論が少し少ないかというふうに感じますが、よろしいでしょうか。大日方委員、どうぞ。

【大日方委員】  今の部会長の方からお話があったところは十分理解はしているつもりでいます。その上でこのガバナンスコードは競技団体にとっては非常に道しるべになるものなので、例示が多いと、こういう視点もあったねということが見ることができるという意味で大変役立つのではないかということです。スペースのこともあると思いますけれども、改めて競技団体としての役割といったものとかそれに必要な資質というものを例示していただくことで、うちは逆にこれはないよねとか要らないねみたいな、省いていけたりする要素があることの方がむしろ同じ方向を向いていきやすいかなというような趣旨として考えていただければと思います。
それともう一つよろしいですか。登用前に委員会等での経験を積ませたりというようなことというのは非常に重要な視点だなと思っていて、これも本文の中にもあったらいいなと思いました。書きぶりとかはありますけれどもやはり委員会等で経験を積んだことで理事になるという、これも一つの資質だと、育成をするのに役立つのだということを書いていただくと、将来の理事候補者を委員会の中で育てていくというような具体的なイメージが持ちやすいと思います。
最後の11頁の選考委員会のことなのですけれども、独立性というところを議論しているところももちろんあると思うのですが、形式的なものにならないことというのも一方でとても重要なことで、外部の人がいて大体決まっているものを何となくよろしいのではないですかという承認になるというようなもの、形式的にとどまらない何か担保ができないかなというところも一方でここは考えた方がいいかなというふうには感じました。

【友添部会長】  ありがとうございます。御指摘の点を踏まえて、また次の再案を示したいと思います。藤原委員、どうぞお願いします。

【藤原委員】  今回の論点整理は非常にまとまってきたと思います。2つあるのですが、1つは外部理事の位置付けなのですけれども、今このマトリックスでいくと、これは例示ですけれども参考2の所に代表理事(外部)と書いてあるので、先ほど國井さんのコメントの中で、代表理事の外部ってあまり想定できないというお話もあったのですが、僕は逆にこれは十分ありで、特にその組織の委員を経て理事をするというのももちろん一つの方法でそれもありなのですけれども、全く違う世界から入ってきて代表理事になるあるいは業務執行理事になるというのは、それはそれで十分必要であると。というのは前回バドミントンの例があったように、やはり外部と内部の違いは何かというと、内部の理事というのはその組織に長く属していて非常に利害関係もあるという方々で、もちろん専門知識や経験が非常に重要ですが、組織の経営・運営にあたってはやはり違う面も必要だし、そうでないと改革ができない。正に不正や不祥事が起こったりしたときにそれを改革するのはやはり内部からは改革できない。外から思い切って代表理事ないしは業務執行理事を入れてきて改革するというのは必要であると。これは必ずしも不祥事があったからそうやるということではなくて、その組織の発展のためにはそういう方法もありだから、いきなり外部理事を登用するというのは十分ありで、あくまでやはり外部と内部の違いといいますか、定義をよく定めておく必要はあるのだろうなと。今も定義は定められているのですけれども、それをしっかりもう一度見直してそれを置いておく必要があるだろうなというのが1つ。
それから2つ目は、このマトリックスはいま大日方委員からはもう少したくさんというのもございましたが、それも一つの方法だけれども今週最初のドラフトを見たときこのマトリックスで10個あったのです。これは10個あると丸を打ったりするのが結構大変だし、小さい組織になると欠けているところが何個も出てきてしまったりするところがあるので、もう少しフレキシビリティ持って、この参考1はそれぞれのNFで、自分のところは(1)から(6)とか、(1)から(4)とかという形で振ってもらって、マトリックスはそれぞれのオプションでもいいのかなと。しっかり出して自分の所で全部賄えるところはそれでも構わないし、小さいNFによっては理事だけで全部は賄えきれないから例えば外部の弁護士さんにお願いするとか会計士にお願いするとか、そういったことで運営する組織もあるのではないかと思うので、今はあった方がいいけれども、このマトリックスを出すことを必ずしも必須条件にしなくても私はいいのかなという気がいたしました。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございました。今頂いた御意見も含めて検討を進めていきたいと思います。まだまだ本日は議論をしていかなくてはいけないところも多いかと思うのですけれども、次に理事の在任期間の上限に関する考え方及び役員候補者選考委員会、これは今のところに戻ってもいいかと思うのですけれども……中竹委員、すみません、どうぞ。

【中竹委員】  すみません、今日もリモートで失礼いたします。本当に事務局の皆さんにきれいにまとめていただき、進捗が素晴らしくて感謝申し上げます。1点これは疑問というより提案にもなるのですけれども、おそらく今の流れはビジネスの流れを追っていくというような形だと思うのですが、今回外部執行理事みたいな形で名称がありますけれども、ここが少し混乱するかなと思うのは、実は会社法でいうと要するに執行と監督を分けましょうというので、実際は会社でいうと役員なのですね。今の我々でいうと理事の話だと思うのですよ。代表取締役と代表理事というのもすごく同義だと思うのですけれども、会社法でいうと最近すごくはやってきたのは執行役員という名前が付いて、どんどん執行する人が増えてきているのですが、会社法的にいうと実は執行役は法的なものではなく普通に会社がどこでも使えるようなものであって、執行役員は名前的には役員な感じですけれども、取締役ではないので、スポーツ界において今回執行理事みたいな感じの名前を付けていくのであれば、我々はスポーツの中では理事にするのか、企業みたいに執行役員というのは会社法の取締役ではなくあくまでも執行の人なのかというのは、ここは少し整理した方がいいかなと思いました。これは実は企業でもかなり混乱していて、馴染みのないところが執行役員になった、取締役になったという気分になりがちなのですけれども、実は会社法の上では違う。今回もおそらく執行理事といったときに、執行理事は理事なのか……これはもうスポーツの中では完全に理事とするのであれば、もちろんそれでもいいと思いますけれども、ここは整理しておいた方がいいかと。もしそういった議論が既にあれば教えていただければなと思いました。

【友添部会長】  ありがとうございます。スポーツの世界では明確な区分をしていないところが実はまだあって、ただ、代表理事が会長で、業務執行理事が副会長だったり、あるいは専務理事だったり、あるいは常務理事というような形、つまり業務を執行することに関与するような理事と区分けをするというレベルで現在のところこの案を考えているというところでもあります。その点についてはあまり細かく規定してもおそらく現状では混乱するだろうということで、この程度の括りでもってまずはやってみようということが現状でもあります。今頂いた御指摘は貴重な御指摘であります。その点も含めて何か良い形で反映できるかできないかを含めて少し事務局と相談させていただくということで引き取らせていただければと思います。よろしいでしょうか。

【中竹委員】  ありがとうございます。では1点、今後おそらく企業のビジネスの流れとも似ていくと思うのですけれども、そうした場合にいわゆる企業の中でいう執行役員という人たち、多分NFの中でもNFによっては多分CFOという名前にもしてしまったりCEOという、ラグビー協会なんかはそうですけれども、それで付いていったときに、もしかしたら企業における執行役員みたいな役職の人をおそらくスポーツ団体も付けていかないといけないときに、我々はスポーツ界でそういった人たちを何と呼ぶかという名称は少し工夫するといいのかなという気がしました。まだ多分決まっていないと思いますが、混乱しないためにも決めるといいと思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。名称は各NFの裁量ですので、それをやるところについてはどんどん進めていただければというふうに個人的にも思っているところです。貴重な御意見ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。それでは次に進めさせていただくということで、今申し上げました理事在任期間の上限に関する考え方と、役員候補者選考委員会の独立性について御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。今の御議論とも重なってくるところもあるかと思うのですけれども。振り返りながら入っていただいても結構です。井口委員、どうぞ。

【井口委員】  10年に関してですが、育成計画もセットで10年という話がございました。例えば、理事になる準備期間として、委員会で何年も活動しているということであれば、その委員会の業務については精通しているということなので、そこから理事になったとすれば、NFの業務についての経験は10年以上あることになります。他方で、私が理解に苦しむのは10年を過ぎて理事を辞めたらもうそのNFを辞めてしまうのかと。つまり、理事でなければNFの仕事は一切しないみたいな前提がどこかにあるような気がするのですが、実はそうではないと思っています。10年過ぎて理事は退いたということであっても、自分の後任として、3年ぐらい同じ委員会でやっているという人を推薦するとします。その後任者が理事になったときは、自分はもう一切その競技とは関係ないのではなくて、もう一回委員会に戻って、その委員会でその理事をサポートしていくということが引き続きできるわけです。委員会では、さらに次の理事候補者の育成にあたることもできます。自分が理事であった時の経験とかそういったものを伝承するのに、別に理事である必要もなくて、委員会に居ながら次の理事や理事候補者に伝えていく、サポートしていくという形でやっていくのであれば、NFの業務の全体を考えたときに、別に理事である期間が10年であろうと、短くはないと思います。理事になる前の委員会での準備期間もあって、理事を辞めた後に次の人のサポートもするということも含めれば、その業務の継続性も維持できますし、理事の仕事も次の人に順調に引き継いでいけるとともに、次の人の育成にもなるのではないかなというふうにいうふうに考えています。なので、10年が短いかというと、準備期間と退任後の次の理事の育成サポート期間を入れると決して短くないのではないかというふうに思っています。

【友添部会長】  ありがとうございます。他にご意見いただけますでしょうか。いかがでしょうか。大学の教員も実は管理職になるためには入試、財務、教務という大学の主要な委員会や業務をこなして十分に経験を積んで学部長なり理事になっていくというルートがあります。同様に、いきなり理事職に就くというよりもむしろ委員会レベルでどれだけ様々な委員として業務に精通するかということが非常に大事であるというところもよく似ているなというふうにスポーツ界の中でも感じるところです。いかがでしょうか。栗山委員、よろしくお願いします。

【栗山委員】  栗山です。資料の御整理ありがとうございました。大変見やすいものと思っております。大きな改定の方向性として10年の維持という御方針はよろしいかと思っているのですけれども、この例外の部分でア)とイ)というのがあって、このア)の部分でIFの役職者ということが書かれているのですけれども、先日のトライアスロンの方よりお話がありましたが、やはり国際大会の誘致だとか国際人材育成だとかということで、国際組織で活躍される方もっと増やしていきたいということ自体は皆さんもそういうふうに考えられている中で、IFに限らず、LOCまで含めるかどうかは別にして、AF、アジアの連盟にて活躍される方も例外のア)として認めていいのではないかと思っています。
他方で、ア)の役職者といったときに雇用をされている職員まで含むのか、それともやはり一定の影響や発言力がある役員またはこれに相当するような地位にある方に限定した方がいいのではないかも思っております。例外のア)のIFの役職者という例外の範囲についてご議論させていただきたいというのが1つでございます。
もう1つは確認という形になるのですけれども、この役員候補者選考委員会の独立性ということで11頁の資料がございまして、先ほどの御説明では、現職の理事が役員候補者選考委員の総数の過半数を占めないことは最低限必要であるとのことでしたが、この現職の理事には外部理事が入るのかどうかにつき、確認させていただきたいと思います。ガバナンスコードのオレンジ色の冊子の19頁にて役員候補者選考委員会に関する補足説明(4)の丸ポツ3つ目で“有識者については外部理事を充てることが考えられる”と書かれておりますが、今回頂いた11頁のところの現職の理事というものには外部理事が入るのか入らないのかが自分としては少しはっきりしなかったもので、質問させていただきました。以上になります。

【友添部会長】  事務局の方からよろしいでしょうか。外部理事が有識者に入るかどうか。現行の冊子体の中ではそういう記載があるのだけれどもどうだろうかということです。

【角藤スポーツ庁法務支援スタッフ】  ご指摘いただいた現職の理事という記載の中には外部理事も含まれると想定しています。他方で、ガバナンスコードで補足説明の中に有識者を複数名配置することが望まれると記載されていますが、その有識者の中にも外部理事は含まれると考えています。つまり、この有識者というものと現職の理事というものが互いに排斥し合わず、外部理事が有識者でありかつ現職の理事でもあることがあり得るのではないかと思っているのですけれども、この現職の理事と有識者というのが両立しないという御意見でしょうか?

【栗山委員】  今回のこの11頁の記載の内容を明確にしていただきたいという趣旨だったので、ここに外部理事が含まれるということを御提案されているということで理解いたしました。ありがとうございます。

【友添部会長】  御指摘の点はもう一度検討するということで進めさせていただきます。いま栗山委員がおっしゃったことを含めて、外部理事の概念定義がしっかりしていないものだから、具体的に有識者といったときにどの範囲まで含めていくのかということを、解釈のレベルで様々に解釈されてしまう可能性があるので、ここのところをより厳密にかつできるだけ緻密にしていこうということで今御提案をいただいているところかと思っています。他にいかがでしょうか。籾井委員、どうぞ。

【籾井委員】  ありがとうございます。2点ありまして、今の役員候補者選考委員会の独立性の部分なのですけれども、この原則2の中に役員候補者選考委員会できちんと選考しなさいと……

【友添部会長】  今の籾井委員の言っておられるのは現行のやつですか? 新しい提案の方ですか? 

【籾井委員】  論点のところです。あまりこの資料を読み上げているわけではなかったので、すみません。この現職の理事が入るかどうかという点についてなのですけれども、今回この役員候補者選考委員会できちんと選考するようにという原則が盛り込まれた背景にはやはり執行部が自分に都合のいい人を入れないようにとか、後はちゃんと新陳代謝が図られるようにとか、スキルマトリックスか分かりませんけれども、しっかり求められる資質・能力があるかどうかを判断するという観点だと思うので、本来は現職の理事が入っていると、その人は必ず再任させなければならないのかとか、公平な議論がしにくくなるのではないかと思うので、過半数を占めないというのは当然のことなのですけれども、本来現職の理事は入らない方がいいのかなと個人的には考えております。一方で、では全然関係ない人たちだけで選んでしまうと継続性とかがなくなってしまうと思いますので、その点はやはりそのときの組織としての課題が何なのか、どういう人物が今求められているのかというところは、現職の理事というより執行部だと思うのですけれども、そういうところからしっかりヒアリングをしていくというところは重要なのではないかと思っております。
それから、再任上限10年のところの人材育成に関してなのですけれども、NFの業務を考えたときに、おそらく競技の専門家といわゆるマネジメント人材……本当に組織運営の財政面だとかそういうところをやっていく方がバランス良く配置されていることがまず重要だと思うのですけれども、この人材の育成計画という話をする際に、おそらく競技の専門家というのはこの人材の育成計画の中で育てていく必要があるのだと思うのですけれども、一般的なマネジメントスキルというのはおそらくNFで育てていくのは無理で、それは外の企業なり他の組織で経験を有している方にやっていただくというのが、NFの体力を考えても現実的なのではないかと思うので、ここの人材の育成計画の部分が何が何でもそこの計画に乗せないといけないというふうにならないように、求められる役割に応じてNFの中で育てていくことも必要だし、先ほどの代表理事の話も含めですけれども外部から持ってくることもあり得るという、そこの柔軟性が残るような記載にできるといいなと思いました。以上です。

【友添部会長】  現職の理事というここの表記については、どちらかといえば競技実績理事を具体的にイメージしているということでもあります。実は3分の1を超えないという原案を事務局とも御相談をしていたところなのです。ただし現状では過半数を超えないというのであまりにもここは激変してしまうと混乱をするのではないかというふうにも考えましたので、過半数で残しているということです。ただ、過半数はやはり多いのではないかというふうに思っているところがあるのですね。ある組織体の中で3分の1を超えると、これはマイノリティーではなくてメジャーになっていきますので、社会心理学研究を見るとはっきりこのことを指摘している研究もりますので、実は3分の1程度というところがラインなのかなと思ったというところも実際のところはあります。それから従来の人材育成計画についてはおっしゃるとおり競技実績理事についてこれを付けてほしいということで、外部理事に求められる資質・能力でいえばこれは中途半端な理屈でできるというものではないので、これは該当しないというような理解であるのは間違いありません。どうぞ。

【籾井委員】  役員候補者選考委員会の現職理事の考え方に関しては、私は外部と競技出身者を分ける理屈があまり理解ができていなくて、結局外部理事であっても競技出身者であっても理事に就任するとだんだん愛着が湧いてくるというのは変わりなくて、そのときにあなたそろそろお引きくださいということを本人が居る前ではなかなか言い出せないところもあると思うので、本当の意味で新陳代謝を促していくのであれば、競技出身者であろうと外部であろうと関わりなく、現職理事という一括りで考えていってもいいのではないかと思います。

【友添部会長】  その趣旨も反映して、ここには単に理事と書いているとご理解いただければと思います。他にいかがでしょうか。森岡委員、よろしいでしょうか。資料の御説明も含めて……もう次のところで。はい。よろしいですか。中竹委員、どうぞお願いします。

【中竹委員】  ありがとうございます。僕も分けなくてもいいのかなという気がしております。外部とか専門を分けなくても理事という一括りでいいのではないかなと思っています。その理由といたしましては、今後のスポーツ界を考えたときにやはり人材の流動性はすごく重要かなと思っておりまして、例えば外部理事の方は自分の競技が10年経ちましたと。もしかしたら他の競技でそういった知見を生かしての御活躍のことを考えると流動性がございますので、一つの競技で10年と括ると流動性が進むのではないかなというふうに思っております。これは結構ビジネス界でも社外取締役のニーズが増える中で、そういった規定を組むことによってかなり流動性が進みましたので、あえてそういったことも鑑みると分けずにしてもいいのではないかなというふうに私としては思います。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございます。現時点では分けておりませんので、あくまでの議論のプロセスの中でそういう心づもりがあったという、単なる部会長の個人的な思いをお話しさせていただいたという段階です。よろしいでしょうか。まだご発言いただいていない委員もいらっしゃいますので、よろしくお願いします。大日方委員、どうぞお願いします。

【大日方委員】  2つお話ししたいと思います。1つはいま籾井委員からお話があったことに関連するお話なのですが、外部理事といわれる方々の専門性というのはもちろん十分にあるのですけれども、私どもの事例でいうと外部理事が実はものすごく多い団体というのがあって、業務執行理事だったり、現場で業務を実際に取り仕切るる人がむしろ少ないという状況だと、いきなりそのスポーツに全く関わっていない方が理事として発信をするとか役割を果たすことは、結構難しいと感じる側面もあります。共通言語が出来上がるまでとか、背景を説明するまでに非常に時間が掛かるというようなことを経験しておりまして、かなり負担があるなというところもあるのですね。そういったときにやはり例えば将来広報・マーケティングに入っていただくような方も委員としてそこで活動していただいていたりというようなことがあると、非常にスムーズに理事としての役割というものを果たせるのではないかという、競技団体に人を育てられないという、専門性という意味では無理かもしれませんけれども、ご貢献いただくことで内部のことを知ってもらうという意味では、広い意味での人材育成かなというように私は捉えていたというようなお話です。
もう1つは、ここでは正直発言しにくいのですが、理事の任期10年の原則の件について、あえてここで皆さんと議論をいたしたいために言うのですけれども、この規定は本当に大丈夫かなというところを若干心配しています。激変緩和措置を東京大会に向けた取組もあるから、ということで含めた内容で、コードができてから4年ですね、考えてみるとその4年の間をどう過ごしていたのかというところは非常に重要です。このガバナンスコードの審査が一巡したことを考えると、このコードでで設けているような理事としての人材育成というものは、この4年間で果たしてできていたのだろうかと。この視点を持っていた団体がどれだけあったか……もちろんそういう立派な団体もあるとは思いつつ、そこを少し心配しています。本来の在り方はこれを見てより良いものにしていくというものなのですけれども、この任期10年にかなり縛られて、10年たったからもうやめないといけないよねという感じにはなってきている団体は多いです。けれども、では誰がそれを継ぐのだろうということ、どうすればいいのか議論されていない団体もあり、、任期満了で多くの理事が退任した後の競技団体の運営は本当に大丈夫かなという心配をしていて、ガバナンスコードが逆に団体運営に支障をきたさせないかというところの工夫をどうしたらいいかなというのを少し問題提起として皆さんに向けてみたいと思いました。

【友添部会長】  ありがとうございます。エクスプレインという自己説明のところがありますので、必ずしも原則は示しているのだけれどもそれぞれの団体に応じてしっかりとエビデンスを示して自己説明をつければそれは、全く問題はないということで結構かというふうに思っています。それぞれの団体の事情あるいは特にパラの場合がオリの種目とかなり色彩が違うところがありますので、むしろその辺もし具体的なアイデアがあれば、事務局の方にご提案いただければそれも織り込んでいくということを考えておりますのでお願いしたいと思います。他によろしいでしょうか。少し時間が超過しているところであります。少し前に進んでいきたいと思いますが、御発言はございますでしょうか。すみません、よろしくお願いします。

【齊藤委員】  すみません。いま大日方委員もおっしゃったように、やはり団体それぞれの特性を踏まえた上で10年という考え方を自己説明というところも含めて提供していければいいのかなというところを感じていることと、それと併せて多様な人材の登用というのも少し前のところにも出てきましたけれども、外部が25%で女性が40%とあるのですけれども、その中に障がい当事者も含めたパーセンテージが出せると、パラの団体等はより良い運営ができてくるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

【友添部会長】  その辺についても少し考えたところでございます。今いただいた御意見はまた事務局で引き取らせていただいて検討させていただければと思います。よろしくお願いします。

【齊藤委員】  よろしくお願いします。

【友添部会長】  それでは、次の議題に移りたいと思います。次に原則2以外の論点の方に移りたいと思います。西川課長、よろしくお願いします。

【西川競技スポーツ課長】  原則2以外の論点につきましては、資料2の12頁、13頁に記載をさせていただいております。これはいずれも前回お出ししたものと同じでございます。時間切れになりましたので改めて御説明の時間を頂きますが、まず1つ目ですけれども、12頁のところは専門人材の確保やその役割の明確化ということで、こちらは第1回の部会で少し御意見を頂いたところでもございます。現行のコードでは御案内のとおり非常に多くの箇所におきまして、ここにいくつか引用していますけれども例えば弁護士、公認会計士といった専門人材の確保をいろいろなところで求めております。具体的に申しますと原則2の外部理事としての登用の他に、原則4のコンプライアンス委員会の構成委員ですとか、原則6では日常的な専門家によるサポート、また原則9では通報制度運用、原則10の懲罰制度の運用、また原則12の危機管理及び不祥事対応といったようなところでございます。こういったことについて個々のNFが特に小さい規模の団体もある中でこうした専門人材の確保、例えば弁護士事務所との契約等を個別に行うのは少し負担が大きいので、NF横断的な対応をすることで各NFの負担を減らすことが適当ではないかといった御意見をこれまでにも頂いているところでございます。また、同じ例えば弁護士・会計士のような方であっても、NFの中に理事としてあるいは委員会として入っていただくような方と、あるいは外部にいて独立性や中立性をもって組織のガバナンス確保に寄与していただくお立場の方と、そういった異なる立場の専門人材も必要になってくるというところでございますので、この辺りの役割分担を整理しつつ組織横断的な対応を考えるといったようなことをご意見いただければと思っているのが1つです。
それから、13頁、こちらは専門人材の確保だけではなくて他にもNFに共通する事項というのがあるだろうということで、例えばここに書いてありますのは“専門人材の確保”の下のところにコンプライアンス研修の実施ですとか、利益相反規定の策定、通報制度・懲罰制度の運用、また危機管理マニュアルの策定といったような事柄は、これまでの御議論の中でも団体横断的な対応で負担軽減あるいは知見の共有を図ることも重要ではないかといった御意見も頂いておりました。一方で、この点線囲みの所に少し参考として書かせていただいていますが、皆様御案内のとおり各統括団体やスポーツ振興センター、あるいは民間団体ですけれども日本財団パラスポーツサポートセンター等の機関が既にそれぞれの立場でNFをサポートする取組を具体的に行っていただいていますので、まずはこういった取組を一層周知徹底していくということは考えられるわけですけれども、こういったものに加えて何か他に良い対応の仕方が考えられるかどうかといったようなところをご議論いただければというふうに思っております。
こちらは場合によってはコード本文への改定というよりも、例えばスポーツ政策に関する円卓会議への宿題として投げていただくということになりますと、スポーツ庁としましても統括団体あるいはJSCの皆さんとともに具体的な検討に取り組んでいくといったことが可能性として考えられますので、そういった辺りも含めましてここは忌憚なき御意見をいろいろと頂きながら、事務局としてもまた部会長と相談させていただいて、今この2つだけ上げましたけれども、原則2以外の他にも論点はあり得ると思いますので、またご自由にご議論いただければというふうに思っております。ご説明は以上です。

【友添部会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。原則2以外の論点。一番大きな課題に絞って御提案をしているところでもあります。御意見等ございますか。……単純化して言えば法務・会計・人材センターみたいなものを作るというアイデアは出てくるかと思いますけれども、ではその財源をどうするのかとか、あるいは人の手配をどうするのかというような問題もあるかと思うのですけれども、御意見をいただけたら有り難いです。籾井委員、どうぞ。

【籾井委員】  すみません、意見というより今JOCの取組ということで御紹介させていただければと思います。1年ぐらい前ですかね、ガバナンスコードの2巡目に向けて、それまではいついつまでに規定を整備しますと皆さんが書いていたのを、本格的に遵守に向けて取り組まないといけないということで、NFに何が必要かというのをJOCとしてヒアリングをしたことがあるのですけれども、その中で規定を作るにあたってやはり法的なサポートが必要だという話と、それからやはり今上げていただいたコンプライアンス研修については割と競技特有の事情というよりは横断的にできる部分があるので、そこは横断的な研修をやってもらえると有り難いという話がありました。今JOCの方では加盟団体向けに法務サポートというのを提供していまして、どんな相談をしてもらってもいいのですけれども、ガバナンスコードの遵守に向けた規定整備の中で、いろいろな競技団体の事例も参考にしながら助言をしていただいたり、それから研修についても年に3、4回ですかね、弁護士の先生方にいろいろな観点からのガバナンスコードに沿った研修を今実施しているところです。ただ、その研修はやっているのですけれども、原則5のコンプライアンス研修とかはNF自身がやることを前提に今書かれている部分がありまして、例えばそこをもう少し横断的なものであっても役職員全員に受講させていればいいというような形になってくると、そういう横断的な研修機会を提供することでNFの負担は減っていくのかなと思いますので、既にたくさんそれぞれの統括団体が取組をしていると思うので、ここから新しい何かを作ってというよりは、そういうものをうまくガバナンスコードの中に取り込んでいくという方がよいのではないかと思いました。

【友添部会長】  ありがとうございます。周囲の取組の御紹介をいただいたわけですが、前向きに取り組まれている姿については非常によく知っているわけで、そういうことをJOCは多分おやりになられているというふうに理解しております。ただ、それだけではなかなか限界がある点があって、ここでは外部有識者を例えば弁護士や有識者を派遣してほしいというリクエストに応えることが可能かだとか、あるいは会計のときに公認会計士を紹介してほしいという声に応えられるかどうか、こういったことがある時期に集中する可能性が高いということでもあります。JOCではそれは可能ですかね?

【籾井委員】  基本的に財政負担はそれぞれのガバナンスに関することについてはNFがやるべきという考えの下、法務サポートについては、今はお金はとっていません。ただ、実際に第三者委員会を立ち上げるので弁護士を派遣してくれといったときにその費用をJOCが負担するかというとそれはできないと思いますし、正直それをやり始めるとキリがないので、新しいのを作るというアイデアは分かるのですけれども、現実的に財源をどこから持ってくるのかとか、誰がその質を担保するのかとか、そういう話が現実的には出てくるのかなと思います。

【友添部会長】  御意見を賜れれば有り難いです。いかがでしょうか。勝田委員、どうぞ。

【勝田委員】  競技団体が新たな時代に向かって、連携・協働していくことでもありますね。それから国際連携も単なる交流にとどまらずに貢献といった視点も踏まえて原則が進められることが肝要であろうと思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。栗山委員、どうでしょうか。何かお考えはありますでしょうか。

【栗山委員】  ありがとうございます。私自身は適合性審査について関わっており、個別のNFからの御相談をお受けする機会も多いです。その中でよくNFの方、特に小さい団体様から言われるのは、ガバナンスコードに記載されている弁護士等の専門家に相談できる体制というものが、自分たちではなかなか確保できていないのだというようなところであり、これは実際にそのとおりかなと思います。NFですらそうということであれば、PF、その地方の組織等ではより一層そうなのかなということは推察されるところではございます。ですので、先ほどの御説明にありましたとおりコード改定そのもののお話ではないので、ここでの御議論なのかどうかというところは一応ありますけれども、実際にはそういうお話しはあるということでお伝えをさせていただきます。
その結果、何が起きているかというと、結構原則3のところで規定の整備をすることということがあるのですけれども、実際に例えば懲罰規定を整備しましたというような御説明をされたり、規定を作ったので見てくださいというような中で、実際にはその懲罰規定とコンプライアンス規定と倫理規定と何とか規定という中で、懲罰についてそれぞれいろいろ書いてあると。では実際どれが適用されるのだというのがあまり分からない。それで作られている方もガバナンスコード上で作れというから作ったというようなことだったりしますので、正に今回の改定で実効性を高めるということであれば、原則3の2のところの補足説明なのか、中に自分たちが持っている規定の整合性をとるということもNFとしては考えていかなければならないということで、そういったことを加筆していくということは必要なのかなというふうには思っております。
後は、先ほど何か他の専門人材を確保するための方法として今御議論がありましたけれども、弁護士サイドからしますと、誰からの御依頼を受けて誰にサービスを提供していくのかというところで、これは利益相反の話も出てきますので、しかもその関係が例えばそのNFだけにとどまるお話であれば特にあまり問題にならないケースもあるのかなというふうに思いますけれども、なかなか依頼者とサービス提供先が違うということ自体は弁護士としては慎重に対応するのが実務なのかなというふうに思っています。以上です。

【友添部会長】  貴重な御意見ありがとうございます。これについては今日すぐ結論ということではなくて、こういうことの要望を受けながら、どういうふうにするのか、会議の方につけていくのか、あるいは国連方式のように競技人口に応じて拠出金を出して、その拠出金に応じて保険をやってというようなアイデアも実は事務局との中では話していたところでもあります。ただこれについても実現可能性という点ではなかなか難しいという話もしているところです。ありがとうございました。これについてはまた……中竹委員、どうぞお願いします。

【中竹委員】  すみません、ありがとうございます。原則としては勝田先生も仰ったように、ここは全部がサポートするというよりは自助の努力だったり公助だったりが必要かなと思いました。今回の専門性のところでいうとおそらく国家資格に関わるような会計だったり法律の方の役割は明確にしてもいいかと思っています。あと補足としてこれは時代の流れを見たときに、おそらく今後国家資格ではないにしろ絶対出てくるのがサステナビリティの問題で、おそらく今ヨーロッパのクラブなどは自分たちの組織の中にチーフ・サステナビリティ・オフィサーというように必ず理事や役員の中でサステナビリティであったりとか当然ウェルビーイングという概念があったり、あとテクノロジーのところですね、おそらく今後ガバナンスコードをしていくには各競技団体に必ずそのテクノロジーの専門家が必須になってくるので、そういったところが資格ではないですけど必ず必要だというのは補足的に、未来のことは早めに提示してあげておいた方がいいのかなというふうに思います。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございます。その辺も含めて少し事務局の方で調べながらまた確認して前向きに対応したいと思います。よろしいでしょうか。國井委員、どうぞ。國井委員を最後にして次の議題に入ります。

【國井委員】  では簡単に。会計の専門家というところの話が出ましたので、現状を。NFの今の会計の全部を見ているわけではないのですけれども、やはり相当DXが遅れているのは現状です。一般の企業は我々が監査をすることもありますが、それに比べても2周ぐらい遅れている感じで、いまだに手でいわゆる倫理を回していたりするので、世の中的にはもう電子倫理とかそういうのがあるので、そういうのも含めていろいろな意味で、ここでは原則を議論する場なので違うのですけれども、いろいろサポートがまだまだ現状では必要だなということはご理解いただければなと思っています。私からは以上です。

【友添部会長】  全く同感であります。その辺りをどう進めていくかということが極めて大事かと思っています。続いて、第1章の前文の在り方に移りたいと思います。議論にあたってある程度文章の形にしてお示しをさせていただいた方が御意見を賜りやすいだろうということで、事務局とご相談しながら素案を作成いたしました。それでは、事務局より御説明をお願いします。角藤専門官お願いします。

【角藤スポーツ庁法務支援スタッフ】  第1章については資料3-1と3-2がございます。まず資料3-1をご覧ください。2頁目において第1章の構成について全体の枠組みを説明させていただきます。現行のコードにおいては、「第1章 中央競技団体における適正なガバナンスの確保について」という見出しの下、3つの節により構成されております。前回及び前々回の部会においては委員の先生方より「気候変動やポストSDGs等様々な環境変化を念頭に置いて中央競技団体の存在意義等も踏まえながら議論を進めていくことが需要である」といった御意見や「ステークホルダーに対して自己説明することが重要。スポーツ団体がより具体的合理的な説明ができるように、ガバナンスコードの説明を追加していくことも必要」といった御意見を頂戴しております。新コード案については、形式的な変更点としてまず全体構成の中で第1章を前文と位置付けを変更した上で、これまで一つの節の中に複数の要素が含まれていたところを、意味のまとまりごとに小見出しを設定することで整理をしております。さらに、内容の変更として時点更新が必要な記載については時点更新をするとともに、委員の先生方にも御指摘を頂いたガバナンスコード策定後の社会、スポーツ界の状況の変化を第1節の(3)に、中央競技団体の役割について第1節の(4)にそれぞれ追記しています。具体的には、ラグビーワールドカップやオリンピック東京大会の日本開催、東京大会後の指針案の策定、コロナ禍におけるスポーツ環境の変化、SDGs、環境配慮の意識の高まりといった、社会とスポーツ界に生じた事象を踏まえながらスポーツに期待される役割の変化を記載しています。さらに、運動部活動の地域移行、NFの役割、NFにおける普及とマーケティングの重要性等、社会とスポーツ界の変化に応じた中央競技団体の役割の変化について記載をしています。また、第3節の(1)でガバナンスコードの意義や役割を明記するとともに、(2)で自己説明の在り方の説明の充実を試みております。
続きまして3頁、4頁において自己説明の在り方についての変更をご説明いたします。まず3頁をご覧ください。3頁は現行のコードにおける自己説明の在り方についての説明図になります。現行のコードにおいては個々の原則、規定について、まずはそれぞれのNFにおいてその原則、規定が適用されるのか、適用されないのかを判断し、適用される場合には遵守しているか、遵守していないかに分かれるという表で説明されております。他方で、現行のコードにおける説明については前回・前々回の部会においてこの「遵守できていない」という表現が原則の要請を満たしていないかのようなマイナスの印象を与えるおそれがあるとご指摘いただいていたところでもございます。
続いて4頁をご覧ください。4頁は新コードにおける説明図の変更案を示しております。変更点は大きく3つでございます。1点目は「遵守できているか」「遵守できていないか」という表現を「実施しているか」「実施していないか」との表現に変更している点でございます。これはコーポレートガバナンス・コードで用いられている「実施」という表現を「遵守」という表現に代わって用いているとともに、「できている」「できていない」という表現、特に「できていない」という表現が与えるマイナス評価のイメージを払拭するために「実施している」「実施していない」という事実に着目した表現に変更しております。これに伴って「遵守」という表現はその意味を1段格上げをして、「実施している」か「実施していない」が説明している場合、この全体をもってコードを「遵守している」ということにするものとして整理しております。2点目に、説明フローの順番を変更しております。個々の原則、規定について、コードの適用有無という解釈や評価を伴うものではなく、それぞれのNFが「実施している」か「実施していない」かという事実レベルの判断をまず行います。「実施していない」場合には、適用され実施予定であるか、適用されないかというのを判断するという流れにしております。これは、NF自らが自律的に適切なガバナンスを構築していくべきという基本的な考え方を前提としたときに、NFがガバナンスコードというNFの外のものに対する適用・不適用という解釈・評価をするのではなく、NF自身の内部において「実施している」か「実施していない」かという事実を確認して、その上でそもそも適用されないということを「実施していない」ことの説明方法の一つと整理した方が、考え方としてNFの自律的なガバナンス構築というところに馴染むのではないかという理由によります。3点目に、フロー図の右側、NFの対応について少し文言を調整しております。具体的には、真ん中のまず2番目の四角において、3頁目の現行コードにおいては「達成時期の目標を示すことが望まれる」ということが※印で記されているところを、4頁目の変更案では「具体的な見通し(達成時期の目標)」として「望まれる」という文言を削除したことや、その他※印を本文に溶け込ませる修正をしております。また、3頁目の「適用されない」の下部にあります「極めて例外的。例えば」以降の点は、結局のところ適用されないということの説明が合理的かどうかといった点に集約されるものと整理をしまして、変更案では記載を削除しております。以上のとおり、理念的な理由からこの自己説明の在り方の説明の仕方を変更しておりますが、そもそものこの理念上の問題点や実務上の懸念点等がございましたら、御指摘を頂ければと思います。
続きまして、資料3-2をご覧ください。資料3-2は座長からお預かりした第1章の修正素案になります。現時点では素案の案文そのままというわけではなく、適宜文言の修正をしつつ追記事項をプロットの形で列挙したものになっております。そのため、前後の文脈や細かい用語法等については説明不足の箇所もあるかもしれませんが、一旦その前提で御確認を頂ければと思っております。内容を少し見ますと、5頁目から9頁目にかけて赤字(見消し)の形でガバナンスコード策定後の社会とスポーツ界の状況の変化について、それを(3)の所に記してありまして、その後7頁以降の中央競技団体の役割についてということで(4)に追記されております。ポイントとしては7頁目の1行目から6行目の所、まず社会環境の変化の中でスポーツが今後の社会の活性化等に寄与する価値が改めて見出されているということが書かれておりまして、それに伴って9頁目の2行目以降“NF は、スポーツを通じた今後の社会の活性化等に積極的に関与し貢献していくことにより、感動していただけるスポーツ界の実現に寄与することが求められている”といったことが明記されている点でございます。先ほど井口委員からもご指摘いただいたNFの役割として、8頁目の9行目以降に「普及」、17行目以降に「マーケティング」といったことにも言及しています。もし過不足等ございましたら御指摘を頂ければと思います。また、11頁目以降は今回のガバナンスコードの見直し点についての説明が記載されております。さらに、12頁以降でガバナンスコードの役割というところを整理しているとともに、自己説明の在り方についてそれぞれ説明の追記がなされております。今回の部会において細部までご確認いただくことは難しいかもしれませんが、追記すべき事項、修正すべき点等がございましたらご指摘いただければと思います。事務局からの説明は以上となります。

【友添部会長】  ありがとうございました。あと最大で15分の議論を頂ければと思っております。いかがでしょうか。御意見・御質問等を賜りたいと思います。谷本委員、どうでしょうか。お願いします。次は金森委員に行きますので。

【谷本委員】  ありがとうございます。先ほどのお話に戻らせていただきたいのですけれども、ガバナンスコードを遵守していくにあたって、遵守するというよりもいかに今遵守できないNFを救うかというのも一つ大切なことだと思うのですけれども、その観点としてやはり人材センターというものは非常に賛成で、この逆転の発想というのですかね、いかにして風穴を開けていくのかというところがすごく重要なのかなというふうに思っています。これが先ほど専門家の方だけでなく、ただその組織横断的に評価できる、ここはこうなのではないかなと気付く人だけでも非常に大きな役割を果たすのではないかなというふうに思っています。こういった意味でも合理的説明というのがおそらくこの後非常に重要になってくると思うのですけれども、ここの事実というのも実際に現場でコミュニケーションを図った人であればよく理解ができると思うので、こういった意味で公共性の確保であったり未然に防ぐといった意味でもすごく必要だなということを感じました。すみません。以上です。

【友添部会長】  ありがとうございます。金森委員、いかがでしょうか。

【金森委員】  ありがとうございます。今御説明があった資料3-1については、この表現ですけれども、コードを開くたびに怒られているような気分になっては逆効果ですので、こうやって「遵守」という言葉から「実施」という言葉に替えたことによって事実ベースで淡々とコンプライしているのかどうかということを一つ一つ見ていくことがよりしやすくなるのではないかと。それから、なぜコンプライする必要があるのかという共通認識をNFに持っていただくことがより明確になったのではないかなというふうに思いました。

【友添部会長】  ありがとうございます。積み残しのNFの役割のところについては井口委員はどうでしょうか。

【井口委員】  NFの役割を具体的にどう書くかはお任せしたいと思いますがも、やはりNFとしてはどうしても大会・競技強化を中心に考えやすいので、そういったことと区別して団体自体の運営とかそういったものにも注力すべきみたいな説明が必要なのかなと。それは人事面に関してもガバナンスに関しても影響を与えると思っていますので、どこかで少しだけ触れることができたらいいのかなと思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。前文の精神は何かというと、スポーツの価値を最大化するためにNFは何をすべきかということだ、と思っています。だからスポーツの価値という言葉が今までほとんどありませんでしたが結構ここで対応しているということなのです。スポーツの価値は外在的価値だとかイントリンシックバリューだとかの外在的・内在的というような議論は置いておいて、大事な点は何かといったらスポーツ基本法で規定しているスポーツの価値を最大化しましょうという作りになっているということです。そのスポーツの価値を最大化するためにNFはどのようなコンプライアンスが必要なのか、あるいはガバナンスが必要なのかというのが、後ずっと各論が続いていくというイメージを持っているところでもあります。いかがでしょうか。大日方委員、どうぞ。

【大日方委員】  ありがとうございます。今の友添先生のお話はすごく分かりやすいなと思っていて、その一言ははっきりあるのでしたっけ「スポーツの価値を最大化するために」という、すごくストレートに……

【友添部会長】  そこまでは提案していないように思います。

【大日方委員】  これはすごく分かりやすくて、競技団体の中でも実は競技団体って何をするのだろうというところで、かなり議論がされたのですね。私がいわゆるスポーツの現場においては、当然だと思っていたことが外部理事の方はそうは理解していないと言われた経験があります。何かというと競技団体におけるこのスポーツに関わる普及に関する役割というところですね。経営者としては、どこから収入が入ってくるのか、それが何に使えるのかといったところの財務の視点で見ると、競技団体の仕事はスポーツの普及ではなく、選手強化であり、競技の普及までであるとポンと言われたことがありました。私はそういう考えもあるのかとその時に驚いて、私の見解ではそうではないと思うということを延々と説明したり議論してということがありました。今のお話があれば共通理解がしやすく、非常に分かりやすいということで、説明が一発でできるという素晴らしさがあると思いました。後は少し細かいところなのですけれども、例えば8頁のところでも11行目で“競技の普及や”とあるのですけれども「そのスポーツの普及や」だと思うのですよね。競技というとすごく狭く捉える、別の意味の狭義に捉える方というのがやはりいて、競技の普及というと、日本代表とか国際的な大会とかということをイメージする方もいます。けれども、特にパラスポーツなどは本来そうであるべきとより強く思うわけですけれども、競技以外でもスポーツを楽しむ、スポーツの普及というところもやはり競技団体としては担っているのだということを示すためにも、例えばここはもう「スポーツの」というような、競技という言葉ではないものがいいかなというふうには思いました。また、井口さんが仰った団体の運営というところも抜けがちな視点なので、そこは入れていただけたらというふうに思いました。
後は資料3-1の方の自己説明のところは非常に分かりやすく整理していただいたように思います。「している」「していない」というところで「遵守」という言葉がなくなって少し……ほっとしたというわけではないですけれどもこの主体性とかNFの自律性というところが強くこの1本で見えたように思います。私が少し分かりにくいかなと思ったのが“適用され、実施予定である”というこの箱の部分で、皆さんがここで悩まれないかなということは少し考えまして、これは自分たちがあくまで適用すると考えていて今は実施していないのだけれども今後実施予定であるということなので、もしかしたら適用されていなくてもいいのかなという、もう少し分かりやすくなるかなということでもう少し検討の余地はあるかなと思います。以上です。

【友添部会長】  御指摘の点は非常によく分かります。ありがとうございます。これも事務局で引き取らせていただきながらまた言葉を練り上げていきたいと思います。ジュニア層からシニア層まで含めて年齢幅広く、競技の普及という意図ではなくて、例えば勝田先生がラグビーで介護予防のラグビーの在り方を開発して、そしてそれを地域でやるということもNFの大事な仕事なのですよということを意図しているのだけれども、まだ実はそこまで言葉が練れていないところがあるので、時間を少し頂きながら次の会議でと思います。森岡委員、どうぞお願いします。

【森岡委員】  8頁の14行目からのところで、運動部活動の地域移行について、我々JSPOも、加盟団体、NFを集めて加盟団体ミーティングを3回実施しました。何をやったらいいか分からないと大半のNFが言っていまして、今ようやく我々も説明しているのですが、NFとしては、都道府県協会等の地方組織と連携するだけでいいという間違った認識になりかねない。行政機関と連携しないと運動部活動の地域移行はなかなか難しいというのは現状我々が加盟団体ミーティングを実施してきた実感ですので、それを記載していただくのがいいのではないかなと思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。貴重な御示唆を頂いたと思います。それについても検討していきたいと思います。ガバナンスコードの性格上どこまで書けるかという話ですよね。ガバナンスコードを主体としながら、つまりNFのガバナンスコードがやれるべきこと、やるべきことを含めて言うと、ぎりぎりのところで言葉を絞りながらやっていかなければいけないけれども、今の御示唆については非常に重要なところかと思います。ありがとうございます。他にいかがでしょうか。勝田委員、どうぞ。

【勝田委員】  スポーツ団体、競技団体いずれにしましてもそれぞれのコアロール、存在意義というものがあり、公共性あるいは共益性などの視点を重視し、自己説明がなされることも大切。いずれにしましても、より良く進化させていくというトーンが前文では重要になってくると思います。

【友添部会長】  ありがとうございます。事務局の方とも共有しながら前文を作ったというふうにも思っているところです。他にございますでしょうか。森岡委員、どうぞ。

【森岡委員】  これは意見というより質問なのですけれども、この新コードを作るにあたって、NF向けではなくて、一般スポーツ団体向けの方もこれにリンクした形で改定されるのか、あるいは一般スポーツ団体向けはそのまま行くのでしょうか。

【友添部会長】  事務局の方はいかがでしょうか。

【西川競技スポーツ課長】  質問ありがとうございます。そこはまだ決定をしていないのですけれども、必要に応じて議論をする場を設けさせていただきたいというふうに思っていますが、部会長ともまたご相談させていただきたいと思います。

【友添部会長】  よろしいでしょうか。すみません、もう時間が今日のところは来ました。貴重な御意見を今日は多く頂いたと思います。追加で御意見等ありましたら事務局の方に、例えばこういうふうに修文したらいいのではないかと、まだ今は議論の論点だけをまとめた段階のところが多いですので、これをこれから練り上げていければというふうに思っています。こういうふうにしたらどうだという御意見を頂ければ有り難いと思います。次回は、本日までの御意見を踏まえまして、境田部会長代理と御相談をさせていただきながら、ガバナンスコードの改訂素案をまとめて、そして委員の皆様方にお示しをできればと思っています。続いて、議題2の今後のスケジュールについて、事務局の方から御説明をお願いします。

【筒井競技スポーツ課課長補佐】  資料4をご覧ください。進め方につきましては部会長、部会長代理とも事務局としてご相談させていただきまして、前回お出しした部分から1回追加をして第6回まで、あと3回を予定しております。こちらにつきましてはまた御意見がありましたらお願いしたいのですけれども、今のところは、次回は約1カ月後の7月13日に全体の素案をお示しさせていただくというふうなことで考えております。以上でございます。

【友添部会長】  ありがとうございます。最後になりましたけれども、長官の方から全体を通してコメント等頂ければと思います。

【室伏長官】  ありがとうございます。4月から始まりました本部会も既に3回目ということで、友添部会長はじめ有識者の皆様におかれましては大変お忙しい中にご出席いただきましてありがとうございます。本日は前回に引き続き原則2を中心にガバナンスコードの各原則に関する論点について貴重な御意見を頂きました。本日はガバナンスコードの前文にある第1章についても改定のポイントを示されまして、段々と見直しの後のガバナンスコードの全体のイメージができるようになってきたかというふうに思います。これらの内容につきましてはそれぞれのお立場から御意見を頂いているところですけれども、皆さん共通のところはスポーツを良くしていきたいというところかと思います。スポーツを良くするという一つの目標に向かって、我々スポーツ関係者が一丸となって、またこのガバナンスコードの遵守、取組、スポーツ・インテグリティを確保することが、感動していただけるスポーツ界を実現するための第一歩となるというふうに確信しております。もうしばらくの間、皆様とこういった議論を御協力賜れればと思っております。次回はいよいよガバナンスコードの素案の議論になってまいりますけれども、スポーツ・インテグリティの確保に向けて引き続きよろしくお願いいたします。

【友添部会長】  室伏長官、ありがとうございました。それでは、今日の議題はもう全て終わりました。これで終了とさせていただきたいと思います。中竹委員もありがとうございました。

【中竹委員】  ありがとうございました。

【友添部会長】  皆様ありがとうございました。それでは散会ということで終わりにしたいと思います。

お問合せ先

スポーツ庁競技スポーツ課