平成30年1月29日(月曜日)10時~12時
【田邉部会長】 皆様、おはようございます。第3回スポーツ審議会スポーツ国際戦略部会を開催いたします。皆様、大変お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
本日は、報道関係者より、会議全体についてカメラ撮影を行いたい旨の申出があり、許可いたしていますので、御承知おきください。
それでは、まず、事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【今泉国際課長】 おはようございます。失礼します。それでは、本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。
机上に配付させていただきますのは、本日の座席表及び議事次第とありますクリップどめしたペーパーでございます。議事次第をごらんいただきまして資料の確認でございますが、2のところで資料1から4、さらに参考資料1から3を用意させていただいております。お手元の資料を御確認いただきまして、不足等ございましたらお申し付けください。
【田邉部会長】 秋元委員、清水委員、來田委員は御欠席ですが、札幌市及び筑波大学よりお越しいただいております。なお、本部会はスポーツ審議会総会委員の皆様にも御案内しております。本日は渡邉委員に御参加いただいております。また、札幌市からは、今回初めて町田副市長よりお越しいただいておりますので、一言お願いいたします。
【札幌市(町田)】 札幌市副市長の町田でございます。秋元札幌市長の欠席が続いておりますことについて委員並びに事務局の皆様に大変御迷惑をお掛けしておりますこと、改めておわび申し上げるものでございます。まことに申し訳ございません。
札幌市では、まさにこの部会で御議論されておりますスポーツの国際展開を通じたまちづくりを推進しておりまして、現在、冬季オリンピック・パラリンピックの招致につきましてIOCとの対話をスタートしたところでございます。そのような中、国際戦略部会への参画と委員の皆様の貴重な御意見を聞く機会を頂きましたことに厚く御礼を申し上げます。本日はよろしくお願いいたします。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、まずは本部会におけるこれまでの主な議論について事務局から説明をお願いいたします。
【今泉国際課長】 ありがとうございます。それでは、資料1をごらんください。ただいまから第1回、第2回の会議において出ました主な意見をまとめさせていただいておりますので、時間は限られておりますが、ざっと紹介させていただきたいと思います。
まず、スポーツの国際交流とスポーツ産業の関連でございますが、スポーツ用具の開発について日本がイニシアチブを取り得ると。国内だけではなくて視野を世界のマーケットにも向ける必要があるという御意見がございました。また、アジアからの期待や、アジア市場への新たな展開にポテンシャルがあるという話。あと、世界には相当の市場があって、スポーツを成長産業として伸ばそうとしていると。そのためにも海外市場の実態、規制、周辺情報を収集、分析して、必要なところにその情報を届けるという仕組みが必要であろうという御意見もございました。
また、スポーツの成長産業化において、このスポーツの国際交流の観点で言えば、民間企業がビジネスとしてメリットを感じてみずから積極的に取り組めるような環境整備が必要であろうという御意見がございました。また、国際競技大会の招致をてことして、雇用等の様々な波及効果を生み出すスポーツツーリズムをはじめとした産業の勃興が必要であるという御意見がございました。
また、スポーツの国際交流と地域振興という観点でございますが、ここについて言うと、スポーツツーリズムがまさにスリーピングジャイアントと呼ばれていて、誰でもスポーツツーリズムに参入できるような仕組みが必要であろうという御意見とか、また、スポーツの国際戦略を進めるに当たって、各自治体の体制や自治体の中の国際担当部局やスポーツ担当部局の横の連携も必要であろうという御意見もございました。
さらに国際競技大会前後のキャンプ地の誘致とか、地域の国際化を図ることについて効果がありますけれども、その際にも特に国と自治体をつなぐネットワークの仕組みがあるという御意見がございました。
次に、国際人材の育成、又はIF役員の増加の件でございます。この件については、大学において大学生を対象として養成プログラムを創設できれば、それでプロパーの国際人員養成に貢献できるのではないかという御意見とか、また、特にアジア地域では選手、指導者としての実績が重視されるので、国際競技大会で活躍したアスリートをいかに国際的に活躍できるマネジメント人材に育成していくのか、アスリートのセカンドキャリアについても鑑みる必要があるだろうという御意見がございました。
また、これも大学の方からでございましたが、AISTSとのネットワークを通じてIFにインターンシップを派遣するという取組が既に行われておりまして、国際スポーツアカデミーとの連携を続けることによって修了生が世界中に存在して様々な情報が収集され、共有されると、そういうことができるのではないかというような御意見もございました。
さらに、NFにおいて長期的な人材育成が重要であるということはもちろんではありますけれども、それ以外にNF全体で共有できるような、そういうスポーツ国際人材の養成というものも必要ではないかという御意見がございました。
次に、組織間の連携のためのプラットフォーム構築についてでございます。ここではSFTCスポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアムの事例が出されまして、350以上の団体が加盟していて、非常にユニークなものであると。今後の国際交流活動の展開にもプラットフォームとして有効に活用できるのではないかという御意見がございました。
また、それ以外に、ステークホルダーを抱え込むための枠組が必要であって、日本が主導してこういう枠組を構築、展開する必要があると。例えば、その事例としてJSCさんがやっていらっしゃるハイパフォーマンスのネットワークであるASIAとか、また、国内の地方公共団体とつながるジャパン・スポーツ・ネットワークとか、そういう御紹介があったところでございます。また、こういうネットワークについては単体の自治体だけでは情報収集に限界があるので、こういうプラットフォームやネットワークを通じていろいろなネットワーク形成ができるというお話がありました。
また、IF役員についてはいち早く最新情報を入手することができて、また、それをNFに還元することができると。そのために必要なIF役員と国内関係団体との情報共有とかステークホルダーが定期的にコミュニケーションをとれる場が必要であるという御意見がございました。
続きましてNGOはじめいろいろな団体の活動とその連携でございます。NGOの活動を通じて、スポーツを通じて世界に平和をアピールできたイベントがある。ただ、その1つの団体だけでは全てを達成することができないので、それぞれ必要に応じて専門性を持った組織、人と連携する必要がある。そういう意味でもネットワークが重要であるという御意見がございました。また、国のスポーツの国際展開だけではなくて、国際的なNGOやNPOを育てて、官民で協力していくことの、そういう土台作りも必要であろうという御意見が出たところでございます。
続きまして、他国の取組例等でございます。ここではイギリスとオーストラリアとフランスの例が出されまして、それぞれ効果的に国際競技大会の開催とそれ以外の効果、例えばIF役員の派遣であったり、スポーツ産業の売り込みであったり、そういうことについて戦略的にイギリス、オーストラリア、フランス等が行っているという御紹介がございました。
さらに、ウインタースポーツの観点で、今後、東アジアで冬季オリパラのリレー開催がございます。こういう中、日本はアジアの中でもウインタースポーツ競技でアドバンスがあるので、その分野で貢献ができるんじゃないかと。また、中国が国を挙げて氷雪産業に力を入れているので、ここの市場を意識しながらスノーリゾートを活性化して、国際スポーツイベントの招致等でそれをてことして支援していくということもあるんじゃないかという御紹介がありました。
また、札幌市さんのこれまでの取組も御紹介がございまして、昨年2月の冬季アジア競技大会をはじめ、これまで多くの国際競技大会を招致してきて、アジアのウインタースポーツの拠点としてアピールしてきているということも御紹介がございました。
次に、パラスポーツでございますけれども、今後、パラスポーツにおいて相手国のニーズを把握しながらしっかりと事業実施できるような配慮が必要であろうという観点とか、ハード面の支援も必要だけれども、教育等のソフト面の支援も必要であるとか、また、特に協力に当たっては上から目線ではなくて、ともに発展するような視点が必要であろうという御意見がございました。
続きまして、日本のスポーツの強みに関する御発言もありまして、特に日本のスポーツの強みとしては、忍耐力や自己抑制、又は社会性や敬意、自尊心などの強み、ここら辺が打ち出せるのではないかと。また、礼儀やファアプレー、こういうものも打ち出せるんじゃないかと。そういう意味で一番そこら辺のことが伝わりやすい、又は端的に表れているのが武道ではないかという御意見がございました。
次に、データの利活用についてでございます。東京大学のスポーツイノベーション拠点の御紹介の中で、また、バスケットボールのプロリーグ化のことで、特にやはりデジタルマーケティングの重要性、そしてデータ分析の重要性の御発言がございました。その中で、トップアスリートから一般市民まで年齢や性別にかかわらず体力、生活習慣等で得られる身体情報を広く集約してビッグデータを形成して解析すると。そういうことで個々のニーズに合ったサービスを提供できるということがございました。
最後でございます。今後、統一された成果と効果を図る、そのためにもKPIが必要であろうと、そういうような御発言があったところでございます。
以上でございます。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
ただいまの説明について御質問等ありましたらお願いいたします。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、前回は各委員の皆様からそれぞれのテーマに従ってお話しいただきましたが、前回御欠席だった前原委員と、時間の関係で私からお話しすることができませんでしたので、お話しさせていただきます。
それでは、前原委員からお願いいたします。
【前原委員】 すみません、前回、海外遠征のために出席することができませんでしたので、レポートで提出させていただきました。簡単に説明をさせていただきます。
まず、競技団体の取組として、IFと国際卓球連盟と連携したスポーツの国際協力の取組についてですけれども、日本卓球協会は30年にわたりまして国際卓球連盟の会長、そしてまた副会長を送り出しておりまして、国際卓球連盟の中でも中心となって国際協力をしてきております。また、今後も国際スポーツ組織などに関与できる人材や活躍できる人材の育成等を考えまして、JOCで行っております国際人養成アカデミー事業を活用しまして、国際卓球連盟の中での日本のプレゼンスの確保に努めております。その中から3つの取組について御紹介させていただきます。
1つは、日本卓球協会スポーツ医科学委員会国際会議の開催。これは2014年からスポーツ振興くじ助成金制度を活用させていただきまして、毎年、東京で国際会議を行っています。日本の我々のスポーツ医科学委員会の研究者とともに海外の方々を招きまして、研究成果を発表して、お互い学び合う場となっております。そしてまた、私、国際卓球連盟の副会長としてジュニアプログラムについての担当をしておりまして、今年、10月23日から31日まで鳥取市で開催されますワールドカデットチャレンジ大会という18歳以下の大会がありまして、大会の前に合同合宿がありまして、その中に教育プログラムとしてアンチ・ドーピング講習会を入れたり、あるいはスポーツ栄養の講習を入れたりして、ジュニア期からの啓発に力を入れていく計画をしております。
2番目として、平成25年度だったのですけれども、国際的スポーツ人材のプログラムとして、人材派遣をしました。日本卓球協会は文部科学省によるこの事業に応募しまして、本会のルール審判委員会委員長をITTFのシンガポール事務所に派遣しまして、派遣期間中、国際卓球連盟の卓球用具の検定に関わる業務を中心に検証を行いました。そういう実績を評価されまして、昨年の5月にありました役員改選、委員会改選で、今まで通信委員であったのですけれども、用具委員会の正規メンバーに昇格しました。そういった地道な活動が国際的にも評価されるということを認識いたしました。
3番目として、ITTFのローザンヌ本部事務所への人材派遣を昨年度しました。これもスポーツ振興くじ助成金制度を活用させていただきまして、ドーピングコントロール委員会の委員をローザンヌに1名派遣しました。着任後はアンチ・ドーピング分野の第一人者でありますフランソワさんに従事しまして、私も昨年イタリアでこの方とお会いしまして、非常に派遣者の世話をしてくれまして、力が付いたというふうに言われました。今後、この領域での日本のプレゼンスを高めていくことにつながるというふうに思っております。資料の中に派遣者が書きました人材派遣に関する課題と改善案が報告されていますので、御参考になればというふうに思います。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、私の方から説明させていただきます。資料は、2の1ページ目、2ページ目の2枚になっております。日本アンチ・ドーピング機構が行っている国際会議の開催についてという点でお話しさせていただきます。まず、アジア・オセアニア国際アンチ・ドーピングセミナーの開催ということで2006年より毎年行っております。特にアジア地域のアンチ・ドーピング関係者を招聘して国際会議を行っています。今年度で11回目の開催になります。参加の状況は下のテーブルに書いておりますが、本会議の目的は、アジア地域のアンチ・ドーピング関係機関の人材育成という点です。特にNADO、ナショナル・アンチ・ドーピング・オーガナイゼーションの人材を中心に招聘しています。昨年末になりますけれども、ブータンから2名のアンチ・ドーピング国内の体制の立ち上げのためのミーティングをJADAと行いたいということで、2名の来客を受けてミーティング等を行いました。ブータンだけではないですが、アジアの多くの国においては、アンチ・ドーピング活動には政府関係者の方が深く関わっています。特にブータンでは教育省のスポーツ担当者が国内のアンチ・ドーピングの対応を一手に担っているという構造もあるということで、非常に中身の濃いミーティングができたということがありました。
下の四角のところにまとめとしてポイントを書いてありますけれども、アジア地域の多くの国においてアンチ・ドーピング活動に政府関係者が関わるケースが非常に多いという状況であること。それから、本会議においてはNADOから招聘している人材の多くが政府機関の特に役職者であるというケースも多く見られる点です。このような観点から本会議は単なるアンチ・ドーピングの人材育成だけではないということで、政府支援としての意味合いも強く出ているという状況でございます。
裏、2ページ目に行きまして、こちらは継続的にまず行っていることが非常に強みとして、少しずつですけれども出てきているという状況であります。中長期的な視点でアジア地域におけるアンチ・ドーピングの関係者の人材育成、特にアジア地域における人材を確立するというところです。左側に4年間継続して参加している国、それから最近参加し始めた国を示しています。11年間という長い時間をかけて行うことで少しずつ良い連携ができています。国との連携では強い関係を保つことができている状況が生まれています。
以上です。
それでは、次に中間まとめについて議論していきたいと思います。なお、本日は秋元委員、清水委員、來田委員が御欠席ですが、札幌市及び筑波大学よりお越しいただいておりますので御発言いただきたいと思いますが、御異議ありますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【田邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
【今泉国際課長】 それでは、資料3及び資料4を基に御説明申し上げます。この資料については部会長、部会長代理とも相談させていただきまして、このような形にさせていただいております。資料3と資料4は基本的に同じ内容でございます。ですので、私の方からは資料3をベースに御説明させていただきたいと思います。適宜、資料4を斜め読みしていただければと思います。
まず、スポーツ国際戦略の作成する意義について整理させていただきました。これは昨年3月に出されました第2期スポーツ基本計画に基づきまして、その基本計画の中で基本方針の1つである、スポーツで世界とつながるということが書かれております。具体的にはその中でスポーツに関する国際動向を国内施策に還元することということと、国内のスポーツに関する取組事例を国際社会へ紹介すること。つまり総称してスポーツの国際展開を実施することによって世界とつながるということの達成を掲げているところでございます。また、皆様御存じのとおり、今後2019年から2021年まで大規模な国際競技大会を控えております。またとない絶好の機会であり、そこにおいてスポーツの国際プレゼンスの向上を図っていく必要があると考えております。
その中で、これを進めるに当たって、やはりそれぞれの関係機関が持っている人的リソース、物的リソース、金銭的リソースが限られています。また、それぞれの本来目的がございます。その中において効果的にスポーツ国際展開を実施するに当たっては、やはり関係機関との連携が必要で不可欠でございますし、それぞれがそれぞれ独自に活動するのですけれども、ただ、1つの合意された方針に基づいて連携して活動することで、日本として一貫性のある取組を打ち出すことができるんじゃないか。これがスポーツ国際戦略の意義として整理させていただいております。
2のところです。資料4で行きますと2ページ目でございますが、スポーツ国際戦略の主なビジョンでございます。これはイメージでございます。言うまでもなく我が国は、少子高齢化社会の中で様々な課題を抱えております。第2期スポーツ基本計画の中では、世界とつながるというコンセプトにおいて、スポーツの力を活用して多様性を尊重する社会、持続可能で逆境に強い社会、及びクリーンでフェアな社会を実現することが提示されております。この3つの方向性はいみじくも昨年7月のユネスコのスポーツ大臣会合の成果文書であるカザンアクションプランの方向性とも合致しているところでございます。
この方向性の実現に関しまして、また、第2期スポーツ基本計画におきましては、スポーツの参画人口を拡大するんだと。そして、他分野との連携、協力によって一億総スポーツ社会の実現に取り組むんだということが掲げられております。これをスポーツ国際展開で解釈いたしますと、スポーツ国際展開の中では、まさに国内及び海外の人々の社会参画や社会的連帯、これをスポーツによって強化すること。資料4の2ページ目で言うと、まさに横軸の部分でございます。それと、あと、個々の人々の健康増進や能力開発に貢献すること。これは同じく資料4、2ページ目の下段の縦軸の部分です。こうすることによって、社会全体の社会参画をする人の質と量の拡大をスポーツを通じて実施していくということで貢献できるのではないかと考えております。こういうビジョンの達成に向けて、短期的には2021年まで、もう既に第2期スポーツ基本計画にビジョンと施策が書かれておりますので、その達成を目指すとともに、中長期的には2030年までに国連の持続可能な開発目標SDGsに掲げる社会課題の解決に対してスポーツが貢献していくことというふうに整理させていただいております。
ちょっと国連の持続可能な開発目標、SDGsが急に出てくることにもしかしたら違和感をお感じの方もいらっしゃるかもしれません。ここの意味するところは何かといいますと、国連のこのSDGs、御存じの方については余計かもしれませんが、2015年の国連総会で採択された17のゴールがございます。その中には貧困対策とか健康増進とか、あと教育振興、不平等の解消、いろいろな社会課題があります。このスポーツを通じたもろもろの社会課題の解決、これを一言で分かりやすく言うと、しかも国際的に通用する言葉で言うと、このスポーツを通じた持続可能な開発目標SDGsへの貢献というのが一番分かりやすい言い方かと思いまして、このように整理させていただいたところでございます。
続きまして、このスポーツ国際戦略のミッションでございますが、これについては資料4の4ページ目をごらんいただければと思います。スポーツ国際戦略のミッションでございますが、まずスポーツ基本法において、このスポーツの国際展開については国際的な地位向上や相互理解の増進、そして国際平和への貢献、こういうことが掲げられているところでございます。これを国際的目的というふうに整理させていただきました。併せてスポーツ基本法では、国民の心身の健全な発達とか、健康長寿、そしてバリアフリーの実現に向けた明るく豊かな国民生活の形成、地方創生、経済発展を通じた活力ある社会の実現、これらをまとめまして国内的な目的とさせていただいております。スポーツ国際戦略のミッションとしては、単に国際的な目的の達成のみならず、国内的な目的の達成にも貢献していくと。そのためにも国際的な側面と国内的な側面をどういうふうに効果的に連携、接続を図るのか。そのために必要な具体的方策を特定化することをこのミッションの1つとしております。また、限られたリソースを効率的かつ効果的に導入するためのターゲットの明確化ということも必要であろうというふうにさせていただいております。さらに、それぞれの関係団体が、それぞれの本来目的に基づいて活動するわけでありますけれども、それが1つの方向性として合致するよう、日本全体として共通のメッセージ、スローガンを設けることが必要であろうというふうに整理させていただいているところでございます。
その上で、ミッションの達成に向けた基盤整備といたしまして、5つのものを掲げさせていただきたいと思っております。1つ目が、今申しました、スポーツ国際展開における共通のメッセージ・スローガンです。まずここには、恐らくこれまでの御意見で出ました、国際社会において日本が打ち出したい強み、これの特定化が必要だというふうに考えております。その言葉をまた国際的にも通用する表現にする必要がありますし、誰でもビジョンを理解しやすいような端的なスローガンである必要もあると思っております。それを、繰り返しになりますが、関係団体のそれぞれの活動において、まさにチームジャパンとして一体感のあるメッセージとなるような工夫が戦略においては必要であろうというふうに考えております。
2つ目の基盤でございますが、これは国際スポーツ社会にどんどん積極的に参画することと、それを促す仕組みを作り上げることでございます。例えば、国際会議の国際コミュニティーへの参画とか、又はみずから国際会議を開催すること、これが1つあるかと思います。2つ目に、国際コミュニティーの中の有力なポストを獲得する。その中でIF等に日本人役員を派遣したり、又はスタッフを派遣する。そういうことが必要であるかというふうに考えております。さらに、スポーツに関する国際会議や国際競技大会の戦略的な招致、支援というものが必要であると考えています。
そして、その次が、国内外のネットワークの構築も基盤として必要だろうというふうに整理させていただいております。国内で言えば、省庁と地方公共団体、そしてスポーツ関係団体等のネットワーク構築が必要でありますし、また、国際的に見れば、諸外国のスポーツ担当の役所とのネットワーク構築というものも必要であります。また、これまでも、2国間覚書というものを締結しておりますが、それを戦略的に締結することが必要であるというふうに整理させていただいております。
その次に、スポーツの国際展開のための体制整備、人材育成の部分でございますが、ここの部分については、例えば既存の海外拠点のリソース、そういうものを活用して、国内外の好事例を情報収集して、それを国内で共有するための情報収集や共有のプラットフォームが必要であろうということと合わせて、中長期的な視野で計画的に、また意識的にスポーツ国際人材を育成すること、これが必要であろうというふうに整理させていただいております。
さらに、このスポーツの国際展開がスポーツ国際展開の効果だけで終わるのではなくて、きちんと他分野に拡大していくような枠組作りも必要であろうというふうに整理させていただいております。
今のが資料4で言うと5ページ目の説明とつながってまいります。
それを行う上で5のところでございますが、具体的方策を実施する上での工夫でございます。言ってみれば、タクティクッスに当たるところでございます。戦術に当たる部分と考えています。幾つかございます。1つが、ターゲット及び日本の強み、セールスポイントの特定化についてでございます。まずターゲットのことで言うと、資料4の6ページ目に当たるかと思いますが、地域的なターゲットの設定というものも考えられるかと思います。これはもちろん、何を目的としてスポーツ国際展開を行うのかによって変わりますけれども、例えばスポーツを通じた開発とか産業振興であれば、6ページ目のような事例になるかというふうに考えております。つまり、アジアを中心にまずは取り組んでいくということもあるかと思います。また、転じて戦略的な2国間ということであれば、例えばフランスとかロシア、インド、中国、韓国、そこら辺が考えられるかと思っております。
スケジュール的なターゲットで見ると、資料4の7ページ目に当たりますけれども、今後、ここで整理させていただくような様々な行事がございます。ここら辺のスケジュールをそれぞれ見ながら個々の取組をターゲット付けしていく必要があるのではないかと思っております。
さらに、次はターゲット競技でございます。これまでの議論の中でも武道、ウインタースポーツ、パラスポーツの話がありました。我々のリソース、もちろんそれ以外を排除するというわけではないですけれども、どこに焦点を置いた形にしていくのかということもターゲットとして考えているところでございます。
次の工夫としては、事業の継続性の確保についての部分でございます。これも、これまでの御議論の中でございました。国際プレゼンスを維持しながら信頼性を損なわないためにも、この事業の継続性の確保が必要であると。ただ、官の限られたリソースではそれは困難な部分が多いので、民の活力を活用した事業の持続性の確保が必要であろうという御意見があったところでございます。ただ、そのためにも、民の活力の活用といっても、民の方でそれを有意義と認めてもらうような形にするためにも、スポーツの国際展開の価値自体を他分野に拡大していく必要がありますし、また、民間企業の関与が促せるようなインセンティブの設定とか、ビジネスモデルの構築が必要であろうというふうに考えています。ここの点では、JETROさん、Jリーグさんの方から御紹介がありましたし、先ほどのスポーツ用品やスポーツツーリズムの観点もここら辺で考えていく必要があると思っています。また、特にやはりポストSFT事業、これをどう考えていくのかという視点も重要な論点かと整理させていただいております。
その次でございます。多様な関係者との連携でございます。この多様な関係者の中には、政府機関、独法、スポーツ関係団体、地方公共団体のほかに、やはり民間企業さん、NGO、大学、学会等の多様な関係者があり得るかと思います。その方々との連携とネットワークの構築が必要であろうと整理させていただいております。その中で、このスポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアムにおけるネットワークの活用とか、JSCさんが持っているジャパン・スポーツ・ネットワークやASIAの活用、又はそれぞれのJETROさん、JICAさんが持っていらっしゃるようなネットワークとの連携、こういうものが必要であるというふうに整理させていただいております。
その次でございます。このスポーツの国際展開を行う上においては、諸外国におけるニーズ把握や協働、ここが必要でございまして、そのためにも現地コミュニティーや国際NGO、又は現地の日系法人との協働というものが必要になる。これもこれまで出た議論の御指摘でございます。さらに、対話枠組の創設なり、双方向的な交流プログラムの創設というものが必要であるということを論点として挙げさせていただいております。
その次は中長期的で計画的な人材育成の推進でございます。この観点で言えば、国内の人材育成とともに海外の人材育成も必要ですし、例えばJOCさんの国際人養成アカデミーとか、TIASさんの大学又はスポーツアカデミーとの連携、また国際NGOとの連携、こういうものも論点になるかというふうに考えて整理させていただいております。
次に、これもこれまで出た御意見でございますけれども、指標作り、評価を含むモニタリングと成果評価、この枠組をあらかじめ構築していくことが必要であろうと。そのためにKPIの設定が必要というのはこれまでも御議論がありましたし、今後、JICAさんのPCM手法やPDM手法のスポーツ国際展開への活用ということも検討していかなければならないかもしれません。
最後でございます。こういうスポーツ国際展開のために必要な基盤形成としてハード面、ソフト面の両面の基盤整備が必要であろうというふうにこれまでの御議論から踏まえて整理させていただきました。一つは既に中央レベルで持っているスポーツ国際戦略連絡会議の活用でありますし、又は海外拠点におきましてはJSCさんが持っている海外拠点の充実、強化。又は、これも御議論にありましたが、NFで共同利用できるような海外拠点の設置、こういうものが必要であろうと。さらに、他国、特にイギリス、オーストラリア、フランスがターゲットになるかと思いますけれども、そこら辺の国際戦略の情報収集と研究、さらに東大のスポーツイノベーション拠点が行っていらっしゃるような最先端のスポーツ科学やデジタルデータの活用分析の方法、さらに最後でございますけれども、国内における広報活動とともに国外における広報活動というものも必要だろうと。この国際戦略の目指すところの一つに、日本のプレゼンスの向上というものがあれば、取組を行うだけではなくて、こういう広報活動についても必要であろうというふうなことを論点整理させていただいているところでございます。
以上でございます。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
それでは、中間まとめ骨子(案)について是非活発な議論をお願いいたします。まず、1から3までまとめて意見を頂きまして、その後は4についての意見交換、その後、5についてという分け方で議論していきたいと思います。まずは1から3までについて御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。挙手でお願いいたします。1というのはスポーツ国際戦略を策定する意義というところ、それから2がスポーツ国際戦略の主なビジョン、そして3がスポーツ国際戦略のミッションというところで、この3つです。次が4のスポーツ国際戦略のミッション達成に向けた基盤整備、最後に戦術のところに当たります5の具体的な方策を実施する際の工夫という形で、ただいま御説明いただいた中間まとめの骨子(案)について3つに分けて議論していきたいと思います。
【篠原委員】 じゃあ、よろしいですか。質問なんですけど、福岡県の篠原です。
まず、意義のところにスポーツの国際交流、国際協力というのが一番冒頭にあるのですけれども、具体的なこの後の基盤整備の議論にも関わってくると思うのですが、ここで言う国際交流といったもののイメージが、特に我々自治体から考えたときに、どうしても後半の部分を見ると、国際貢献であるとか、そういったところが非常に強く打ち出されてあるように思うのですけれども、その辺の具体的なところのイメージといいますか、その辺がもしあればお聞かせ願えればと思います。
【田邉部会長】 事務局からお願いいたします。
【今泉国際課長】 このスポーツの国際展開という言い方で逆にまとめたいなと思っているのが、これまでのスポーツ国際交流というのは、まさに青少年交流みたいなイメージが多々あります。スポーツの国際貢献というと、今度、スポーツを通じた開発のイメージが強くなりました。ただ、今回、このスポーツ国際戦略の中で打ち出したいスポーツの国際展開というのは、そういうものも当然含むのですけれども、それ以外にも例えばスポーツツーリズムのインバウンドみたいなものも含みたいと思います。実はいろいろと幅広い概念で、スポーツの国際的な活動全般をスポーツの国際展開というふうに呼んでいきたいと思います。その活動の場面も、海外だけではなくて国内におけるスポーツと国際が関わるようなものも、これをスポーツの国際展開という形にさせていただければと思っています。
【篠原委員】 分かりました。
【田邉部会長】 有森委員、よろしくお願いします。
【有森委員】 すみません、単なる言葉の使い方だけなんですけど、そうすると、「スポーツの」というよりは「スポーツによる」というふうにした方がいいのかなと。「スポーツの」と言ってしまうと、すごく漠然と分かりづらくて、「スポーツによって」こういうこと、こういうことっていう、その流れの言葉の方がちょっとイメージが付きやすいかなというふうに思いました。
【田邉部会長】 ありがとうございます。 そのほか。
【鈴木委員】 JICAの鈴木でございます。
1から3までの項目において特に重要だと思いますのは、日本としてのメッセージ性のところだと思います。今、東京オリパラが目前にありますが、皆共通のメッセージとして、ビヨンドオリパラというところ、それが先ほどちょっと御説明があったSDGsのところです。恐らく今、国際社会では2030年のSDGsというのがひとつの大きな共通言語になっております。日本国内でも今、経団連等でも多くの皆様が我々以上に頑張って、SDGsのバッジを付けていただいたりしていまして、相当盛り上がっていると思います。2030年に向けてますます盛り上がっていく中で、スポーツが開発に大きな貢献をするポテンシャルを持つという、SDGsを意識したメッセージを出すというのは、非常に重要だと思います。それは開発ということに加えて、ビジネスも含めて日本社会全体がまたさらに元気になるという要素もあるのかなと思います。また、、パラリンピックの精神でもあるすべての人々の参画、取り残される人々がいないようにというメッセージもすごく重要だと思っています。是非そのメッセージを高めて、発信していけたらなと思います。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございます。
そのほか。じゃあ、和久委員、お願いいたします。
【和久委員】 2のスポーツ国際戦略の主なビジョンのところなんですけれども、基本計画に出されているダイバーシティーとサステーナビリティーとクリーン・アンド・フェアという、こういうコンセプトは、国際的にも非常に通用するポイントだというふうに思います。あと、もう1つ加えるならば、ウエルフェアーとかウエルビーイングとか、これら全体をまとめてキャッチコピーというか、その後のスローガンの方にもつながっていくと思いますけれども、まとめて一言で言えるようなビジョンというのを出していってもいいんじゃないかなというふうに思いました。総論としては非常にまとまっていてよろしいかと思います。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
宮嶋委員、お願いいたします。
【宮嶋委員】 テレビ朝日の宮嶋です。
これ、国際戦略ですから、先ほど有森さんがスポーツの国際展開というよりも、「スポーツによる」というふうにしたらどうかというようなことをおっしゃいました。すごく基本的な問題だと思いますけれども、スポーツっていうのは本来、個人の非常に自立した自分の楽しみであるとかそういうところから発しているわけで、今ここで論じているのは、国としてそれをどう展開していくかということになるわけですよね。もはやスポーツというのが私たちの世界の中では当たり前になってきてしまっているので、その大前提である部分、個人の楽しみであるとか自立したものであるとかということがちょっと忘れられがちになって、これが独り歩きしてしまうと怖いなという気がしております。ですから、そのところを、もしこれを作るときに大前提として踏まえて書いていただくことが必要かなと思います。
恐らく有森さんが感じられた、感覚的にこうした方がいいんじゃないですかというふうな非常に素直なというか、本来スポーツをやっていらっしゃる方というのは、自分で自分が好きでそれを始めているんだけれども、気がついたら国がそれをいろいろ展開して、こんなところまで行っちゃって大丈夫なのっていう、何かそんな心配もどこかにあるかもしれないなという気もいたしますので、ひとつ御検討をよろしくお願いしたいと思います。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
そのほか何か御意見等ございますでしょうか。
【境田部会長代理】 先ほど鈴木委員がおっしゃったSDGsというものがこれからの社会で共通の非常に大切な価値であって、これを取り入れるべきであるという御意見だったかと思いますが、実は東京大学も、SDGsへの貢献を大学全体のビジョンとして掲げており、また、その実現に向けて、新しく未来協創推進本部という組織も作りました。これにより、大学全体がどの方向を目指すべきかという目標をシェアすることができました。また、SDGsの実現に向けて、自分の研究はこのように貢献できるという研究者も多数出てきています。私は日本バスケットボール協会の理事もやっていますが、従来は、SDGsのような概念について余り意識はしてこなかったのですが、今後は、競技統括団体とし何らかの取り組みをしたいと思います。JOCさんとかJPCさんとか、もう既にSDGsに取り組んでおられるのかもしれませんけれども、スポーツ団体も今後は、もう少しSDGsというものに取り組んでいくのもよいのではないかというふうに思っています。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
その他。じゃあ大日方委員、お願いします。
【大日方委員】 ありがとうございます。今、様々なSDGsに関しての御意見が出まして、私も全く同感であります。それで、そのことについて少し表現を御提案したいと思うのですが、資料の4の方の2ページが、この資料3の方の2ページの2のこの部分に相当するところ、ビジョンに関するところだと思いますが、この資料4の方の2ページ、最後のところで、理想形は総活躍社会というような表現がございますが、これが多分、若干、日本的な表現なのかなというふうに思っておりまして、SDGsの言葉に置き換えると、誰も取り残さないと、先ほど鈴木さんがおっしゃった、このことになるかと思います。大切なことは、みんなが活躍できるって非常に前向きな言葉のように思いますけれども、前提として誰も取り残さないという、むしろこちらの方を今、世界、日本もそうだと思いますが、社会の中で残されていく人の方が多くなっているという、こちらを強調した方がより分かりやすくなるのかなというふうに感じましたので、こちらの表現の方に合わせたらいかがかなという御提案でございます。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
その他、何かございますでしょうか。
それでは、次、4の方に移りたいと思いますが、もし4を話している間に何か気が付いた点等がありましたら1、2、3の御意見等も含めてという形で行きたいと思います。次は4について御意見がある方、いらっしゃいますでしょうか。和久委員、お願いいたします。
【和久委員】 4の(1)のメッセージ、スローガンのところですが、4全体として内容については賛同いたします。(1)のところで、この共通したメーセージあるいはスローガンを世界に発信をしていくにはやはりアンバサダーが重要と思います。これはアスリートのキャリア形成にも関係しており、アスリートを積極的に活用していくという観点からも重要と思います。例えば5の方にも関係してきますが、大使館や在外公館にそういうアンバサダーをそれぞれ配置をして、共通のメッセージをそれぞれ世界に発信していくといったような取組を念頭に置くのも必要かと思いました。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
じゃあ、お願いいたします。
【筑波大学(高橋)】 筑波大学、清水委員の代わりに出席しております高橋でございます。清水委員に代わって御発言させていただきますが、4番の基盤整備のところの(3)国内外のネットワークの構築というところでございますが、その後の工夫のところにも大学、NGO等が出てくるわけですが、ここの、ポンチ絵の4ページの中に、例えば大学・スポーツアカデミーというような、これは全て組織名称が一団体としてあるものだけ載せたということなのかもしれませんけれども、もしネットワークということを全体的に考えるのであれば、大学等とか、大学・アカデミー等というような丸を入れていただければなというふうに思います。
ちなみに、ロシアオリンピック大学、それからソウル大のドリーム・トゥギャザー・プログラムも続いておりますので、恐らく2020年のレガシーを考えれば、ネットワークの一つに大学等があってもいいのかなということを申しつかっております。
以上でございます。
【田邉部会長】 ありがとうございます。
じゃあ、札幌市さん、お願いいたします。
【札幌市(町田)】 続きまして札幌市の方からもお話しさせていただきたいと思います。4の(5)でございますが、スポーツの国際展開の効果の他分野への拡大に向けた対話の枠組ということでございますが、札幌は雪が今もたくさん降っておりまして、雪が育む共生社会という観点からちょっとお話し申し上げたいのですが、現在、札幌、北海道、スキーシーズン真っ最中でございます。多くの外国からのお客様が札幌近郊をはじめとしてニセコなどにスキー場をたくさん訪れておられるわけでありますが、札幌というのは人口200万弱、196万人、大都市でございますが、年間の積雪量は6メートルにのぼります。これだけ雪が降りますから雪まつりなどのイベントもありますが、スキー場も市内都心部、札幌市の中央区にもスキー場がございますし、また、30分、1時間掛けるとニセコのエリアへも足を伸ばせるというような、都市そのものがスキーリゾート、スノーリゾートになっているところでございます。そして、雪質が大変よいということで、近年のパウダースノーの部分が追い風となっております。カナダのウィスラーとか北米のコロラドベイルなどと並ぶ世界最高の雪質、パウダースノー、こういったところでたくさんのお客様がおいでになるという、世界にも類を見ない環境でございます。
雪とかウインタースポーツ、まあ、経済、観光、そういった面への大きな強みでありますとともに、今回のビジョンの1つでございます人々の社会参画、連帯の強化への貢献についても、例えば除雪、一晩に30センチ、40センチ、50センチの雪が降るわけでございますので近所の人同士でするということで地域社会の連携にもつながります。また、道路の除雪を機械的にやりましても、どうしても道路には雪が残りますので、車椅子の方がいたらみんなで車椅子の方を助けていくと。雪により人と人とがつながる共生社会といった文化が雪国では自然と育まれていくと思います。
昨年、札幌市では、札幌市でも初めてとなります障害者の国際スキー大会、IPCのノルディックワールドカップを開催いたしましたが、子供たちの観戦やボランティアの協力などがありまして、こうしたパラスポーツにおいても、する・見る・支える文化が育ってきているという状況でございます。こうした冬季スポーツの国際大会の開催を通じまして、北海道・札幌にスポーツに関するすばらしい環境と文化を世界に知ってもらうということで、札幌・北海道ブランドの向上につなげていきたいと思うところでございます。地域が持つ独自の環境にスポーツの力をプラスしていくことで、国内外に様々な貢献ができるものではないかなと札幌市としては自負するところでございます。
最後に一言だけ。2月9日から韓国で平昌オリンピック期間中、日本、JOCが平昌に設置するジャパンハウスの中に北海道・札幌プロモーションブースを常設して、北海道・札幌が持つウインタースポーツ王国としてのポテンシャル、豊かな観光資源などを世界に向けて発信したいと思っているところでございます。
以上でございます。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
そのほかございますでしょうか。じゃあ、大日方委員、お願いいたします。
【大日方委員】 3ページの国際スポーツ界への積極的な参画とそれを促す仕組みのところなのですが、これは非常に重要な視点だと思います。ここに多分、促すというところに含まれるのかもしれませんけれども、恐らくサポートする仕組みといったものも必要だろうというふうに考えています。単純に参画を幾ら促しても、実際にできていない現状が、余り多い方ができていない状況の中で、やはり何が必要なのかということをサポートするということ。4の方の人材育成のところ、最後の方ではまた人材育成も必要だというふうには書いていただいているのですが、ちょっとこちらの方にもそういったサポートをするのだという意識を書いていただくといいかなと思いました。
2つ目が国内外のネットワークの構築のところでございますけれども、こちらが省庁、自治体、スポーツ関係団体というようなことが多く入っているのでありますが、これのネットワークを構築するときに重要なのは恐らくやっぱり民間の企業を早い段階から一緒に巻き込んでいくということだと思います。具体的方策の方では先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、特にグローバルに活動している企業をこの枠組の中でネットワークの中に入れて一緒に取り組んでいく、こういったことを入れてはどうかなというふうに思いました。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
そのほかございますでしょうか。じゃあ有森委員、お願いいたします。
【有森委員】 余り知識のない中でちょっと外れる質問かもしれませんけれども、私たち、ちょっと個人的な現場になりますが、マラソン大会も走って終わる、ゴールしたら大会終わりという大会は、今、割と受けないんですね。何を一緒にプラスアルファすると人が集まったり受けたり、参加する人の幅が広げられるかというと、それにプラスアルファ、音楽が入ってきたり、アート性が入ってきたり、地域のそういったエキスポですか、今、エキスポと言っておりますけれども、そこで地域の人たちがアピールできるエキスポの前日からのイベント、これが今、絶対必要なわけですね。スポーツがスポーツの現場だけであるというのは、逆にスポーツの人を取り込むのはスポーツだけやっていればいいということではなくて、特にこういった地域に根ざすとか、社会につながることにスポーツが役立つということを言い続けるのであれば、やはりそこに文化要素というか、スポーツをより盛り上げてくれる、スポーツの現場を使ってより社会とつなげる要素を持った文化要素というのが現場になければ、やはり取り込める人はスポーツ人だけなんですね。なので、今、私たち、スポーツが大事なのは、多分、スポーツの現場にスポーツの人だけが来る時代ではもうなく、スポーツの現場にいかにメッセージを持った人が来たり、いろいろな状況の人が来たり、全く関係ないけれどもここを使ってこんなことがしたいんだという人が来ることが、多分、最終的に社会に生きていくために、スポーツってやっぱり大事なんだよね、国際的に大事なんだよね、スポーツが絶対的にどんな社会においても、国においても必要なんだよねっていうところにつなげる大事な要素かなと私は感じていて、なので、もちろんここはスポーツ審議会でスポーツ国際戦略のスポーツというところの打ち出しなので、スポーツに常に文化がつながっていい。それが音楽とかアートとかそこに全部入るかもしれませんが、そういうところとのつながりを常に意識していますよと、そこをいつも必要としていますよという要素をどこかしら文章に盛り込むことは大事なのかなというふうにちょっと感じております。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
今の意見について、私も、有森委員のおっしゃったように、スポーツだけではなかなか人が集まらない。YOGがすでに始めているかと思うのですけれども、文化教育プログラムということで、大会参加以外の若者にも幅広く大会をサポートしてもらうというような文化教育プログラムというのもスタートしているかと思いますので、そのような観点でも考えていく必要があるのかなと思いました。
そのほか何かございますでしょうか。
【境田部会長代理】 非常に参考になるすばらしい有森委員の意見であると思います。それで、やっぱり、だからそういった大会であっても、そこに参加してくれる人が意義を感じたり、若しくはその大会自体がいろいろな世間に対して訴える工夫ですよね。もう少しそういったことも必要なのかなと。先ほどSDGsということを申し上げましたけれども、SDGsで結構課題が幾つもありますよね。例えばこの大会はSDGsのこの課題とこの課題に貢献していますとかみたいなことをできるだけ発信していくというような取組ですよね。そういったものをしていくということも良いかと思います。
実際、ネットワークの構築をして、これを維持してということだとお金も掛かります。でも、これを国費でというのもなかなか難しいときに、やはりSDGsに賛同してくださる企業や民間団体を募り資金の支援をお願いするとともに、それら支援者とともにSDGsを実現していく、そのような方法も考えられるかなということをちょっと思いました。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
宮嶋委員、お願いいたします。
【宮嶋委員】 ありがとうございます。5で言おうかどうしようかちょっと迷っていたのですが、やはりここで言った方がいいと思ったので。国内外のネットワークの構築ということに関してなんですね。これまでスポーツそれぞれ仕切ってきたというのは競技団体、いわゆるNFというところがそれぞれの競技というのをまとめてどう発展させるかというのを担ってきたはずなんですが、私も幾つかのNFに関わらせていただいいてよく分かったのは、NFというのは8割から9割、競技力向上のことしか考えていなくて、1割が普及かなみたいな現実なんだと思います。だからこそ恐らく、文部科学省でこういうことを音頭を取ってやらなきゃいけないと思っておやりになっていらっしゃるんだろうなということも思っております。
要するに、スポーツが持っている力として、今ずっと皆さんがお話ししているSDGsに関してもあるのですけれども、こういうこともみんなでやりましょうとNFで言ったところで、NFの上層部の方の頭の固さ、やわらかさにもよるのだと思いますけれども、ほとんど聞いていただけないというのが現実だと思います。ですから、これを展開していく、特に国内外のネットワークの構築、「NFは、じゃあ外しちゃっていいわけ?」みたいになっちゃうかもしれませんし、反対に言ったら、先ほど卓球の例がありましたけど、「NFはIFに人材、そうやって貢献していくことぐらいしかないの?」というような、これまた寂しい話になってしまいますので、NFをどうやって使っていくのか。NFの人たちにどうやってこういう考え方を理解してもらうのか。要するにNFが理解しないことには一人一人の選手が理解するというのはとても難しいし、コーチが理解するということも重要になってくるわけで、そういうふうに末端にこういう考え方をちゃんと認識してもらうためにも、もちろんいろいろな、今まで関係していないスポーツ団体のコネクション、それから連携していくというのは重要ではあるのですけれども、今まで引っ張ってきたNF、それからJOCのような組織に、こういう考え方をいかに浸透させるかということをちょっとどこかで考えていただけるとよろしいかと思います。よろしくお願いいたします。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
大塚委員、お願いいたします。
【大塚委員】 じゃあ、そのNF、JOCからというわけじゃないんですけれども、今の御意見、そうじゃないNFもありますので。基盤整備の(4)スポーツの国際展開のための体制整備と人材育成の部分で、人材育成のことが次のページに2行加わっております。重要なポイントだと思うのですけれども、前回の意見交換のときにも申し上げたのですが、人材育成が今、言い方はちょっと適切かどうか分かりませんが、ほとんど中途採用向けなんですね。前回申し上げましたように、大学の中にそういう学科があって、そこから出てきたプロパーのNFの職員ですとかスポーツ展開ができる人材を作っていくという意味では、ここは人材の発掘と育成という基盤整備の項目を設けていただければというふうに思っております。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
そのほか何かございますでしょうか。
よろしいでしょうか。では、次、5について御意見がある方はお願いいたします。
【野口委員】 JETROの野口でございます。第2期スポーツ基本計画ですとか、あるいは未来投資戦略2017の中では、やっぱりスポーツ自体を成長産業化させるという方針が明確になっているわけです。その中において、今回の戦略をうたっている中でも、3の中では、例えば③、地方創生あるいは地域社会の再生への寄与ですとか、あるいは④の経済発展等を通じた活力ある社会の実現という言葉で読み込めると言えば読み込めるのかもしれないのですが、私は、やはりもうちょっとスポーツを産業として捉えて、製品やサービスのアウトバウンド、あるいはスポーツツーリズムなどのインバウンドというのを双方向でのビジネスを加速させるための何かメッセージを戦略上もうちょっと明確に打ち出した方がいいのではないかなという気がしています。
その意味において、5では(2)の継続性ですとか、それから(3)の関係者の特定化と連携、これは先ほど大日方委員の方からもございましたネットワークの議論とも関わってくるわけですが、民間企業をどういうふうにこの中で連携させていくのか。あるいは(4)にありますところの協働というところでも海外にいる関係企業等との連携、また、あるいは在外公館との連携というのも出てこようと存じます。それから、(7)のところで、基本的な基盤を形成していくということにおいてやはり民間企業の活力というのをもう少し使っていかなければいけない。そのためには民間企業の方々が自信を持ってビジネスに参画できるような環境を作っていく。それに何ができるのかというと、やはりまず、今、一番欠落しているのは情報なのだろうと思っております。そういう意味で情報をきちんと民間企業の方に伝えていけるような形をしっかり作って、グッドプラクティスのようなものもお見せできるような、そういったものが重要な部分だろうと思っております。
JETROは御案内のとおり、企業の海外ビジネス支援という意味において一定程度のノウハウを持っております。その意味において私ども皆様方、JETROが持っていないスポーツネットワーク、スポーツの関係者とのネットワークとうまく連携しながら、こういったビジネスの支援をやることでよりスポーツ産業の成長化に向けた取組というものにつなげていきたいと思っております。もう少し成長産業としてのスポーツというものを前面に出した国際戦略というものを作っていければいいのではないかなという気がしております。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
原田委員、お願いいたします。
【原田委員】 2点御指摘させていただきます。まず5の(1)ですね。ターゲット及び日本の強みということがありまして、論点の中に幾つかターゲットがあるのですが、これが非常に分かりにくい。すなわち、地域的なターゲットというのはターゲット地域ですよね。その下にあるスケジュール的なターゲットというのは、ターゲットイベントですね。最後のターゲット競技、これはよく分かりますね。是非ここを明確にしていただくのがいいのかなと。例えば、資料の7ですね。7ページ、スポーツ国際戦略のスケジュール的なターゲットを見ると、これは全部イベントなので、この3つをしっかり区分けしていただくのがいいのかなと思います。
あとは、戦略的。戦略というのは、これは長期的な展望をやるのですけれども、それを例えば戦術に落とし込むところは具体的な記述が必要ですが、カナダのオリンピック委員会などだと、毎年こういうイベントをやる、5年に1回これをやる、10年、20年に1回は誘致するぐらいのことが書いてあるんですね。そこまでここに書き込む必要があると私は思います。そうでないと戦略にならないので、是非具体的な記述をお願いします。これが1点目です。
2点目なのですが、今、我々の周りでは2020年の後どうなるんだという議論が結構ありまして、こういうメガスポーツイベントから派生する、今、野口委員がおっしゃったように、B to Bの関係、イノベーション、すごいですよね。全てが2020年をターゲットに動き出すということなので、これが2020年の後にどうつなげるかというのが重要になると思います。
スポーツ庁の資料を見ていると、例えば2026年の冬季オリパラ大会、クエスチョンマークのままなんですね。もう来年の秋にはこの26年が決まるという状況でまだクエスチョンマークなのというのは、ちょっと声を大にして言いたいと思います。というのは、今、筑波大学の高橋先生がお見えですが、TIASの協力を得て、ローザンヌを中心にいろいろな2026年の情報を集めているのですが、かなりこれまで待ちの戦略で来たのですが、競合都市がぽろぽろ消えていっています。シオンも今年の6月に住民投票をやるのですが、非常に危ないと。あとはカルガリー、ここも分からない。そうすると、かなり前向きに準備をしておく必要があるなと思いますので、是非スポーツ庁の方が閣議決定の方に一歩動けるような強い情報発信が必要だと思います。
ちょっと論点がずれるのですけれども、実は土曜日にスポーツ庁、文化庁、観光庁でやっております三庁連携のアウォードで北海道の美唄市でスノーゴルフの視察に行ってまいりました。そこで聞いた話なのですが、そのゴルフ場は夏は60人、ところが冬は4人なんですね。56人解雇します。だから人がいつかない。ところが、スノーゴルフと、あとスノーパークというのを始めて、要はスノーモービルでゴムボートを引っ張ったりとか、いろいろな遊びをやったら、マレーシアからその前日に60人ぐらい来て遊んでいるわけですね。夏が60人、今、冬が25人の雇用が生まれたと。これはまさにスポーツツーリズムなんですけれども、そういった仕組みを作っていく。
あとは、雪というのはコストのかからない、すごい再生資源なんですね。ただでばんばん降ってくる。東南アジアに行くと、今、日本で雪を見ただけで、もうみんなから「すげえ」って言われるぐらい特殊なポジショニングにある。さっき町田副市長がおっしゃったけど、6メートル降るんですね。こんな都市は世界にないということなので、是非26年のオリンピック招致をてこにして、新たなイノベーション、そういったSDGsじゃないですけど、雪というスポーツ資源の持続的かつ有効活用を世界にアピールしていくとてもいいチャンスだと思うので、これはもう札幌市だけの話ではなく日本が持っている競争優位性のあるスポーツ資源をどう展開するか。それをインバウンドにどう結び付けるかというような話があります。そういうのが決まると、東京五輪もそうなんですけど、スポーツマイスがすごく活性化します。やはり日本に来てもらうことが大事だと思います。是非、このクエスチョンマークが取れるように、この委員会から強力な発信をしていただきたいなと思います。
すみません、少し長くなりました。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
じゃあ、鈴木委員、それから斎藤委員、和久委員という形で行きたいと思います。お願いいたします。
【鈴木委員】 まず、1点目として5(1)のターゲットの話、それから2点目が人材育成ネットワーク、3点目に評価についてコメントしたいと思います。
ターゲットなのですが、今のお話があったように競技スポーツを強化してメダルを取るぞというような、まさにアスリート的な部分で見ていく部分と、先ほどからのSDGs等の議論の中でより日本の強みを意識してどう国際貢献していくのか によって、ターゲットのイメージは違うのかなとは思っております。長期的にスポーツを通じて日本は何をメッセージとして国際社会に貢献していきたいのかということを考えると、ASEAN、日中韓というところの他に、アフリカや中南米といった開発途上国も、重点地域として考えていくべきと思います。アジアだけでいいのかということではなく、日本の強みはいろいろな地域で発信すべきですし、実際平和と民族融和への貢献についてはまさにアフリカで我々は実施しています。また、中東でもスポーツを通じた開発への貢献をやってきたので、活動の地域的ターゲットについては、そのような観点から考えていくべきではないかと思います。競技スポーツの普及だけを考えれば別の議論もあるのだろうと思いますが2020を超えた国際戦略として出すのであれば、より広く、国際的な枠組での貢献というところを見ていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。
次に人材育成についてですが、確かに大学のときから本当にマネジメントというところに必要な人材というのは重要だと思いますし、そこはここで強調すべきところだと思います。加えまして、うちの宣伝になりますが、これまでスポーツ分野の青年海外協力隊として活動したボランティアは、4,000人に達します。多くがすでに日本に帰国して、。いろいろなところで活躍しています。海外での経験を持った協力隊OVをリトレーニングすれば、スポーツ分野の国際貢献をする人材として、活躍できる可能性があると思います。
最後に1点、評価は非常に重要だと思います。指標作成にあたっては単視眼的なものではなくて、インパクトをきちんと見られるような、SDGsの貢献も踏まえて作っていくことは非常に重要だと思います。また、定期的にモニタリングしていくことも重要かと思います。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
では、斎藤委員、お願いします。
【斎藤委員】 5のところで何点かあるのですけれども、その前に原田委員から御教示をしていただきましたスノーゴルフですとかスノーパークについてなのですけれども、友人がフランスでスノーラグビーというものをやっておりまして、今年2月に開催されるときから初めて日本の元選手を呼んでやって、日本にもどんどん発信していきたいという意向でやっておりますので、もしスノーラグビーに御興味がありましたら御一報いただけますとつなげますので、フランスの方もどんどん日本にスノーラグビーを持ってきてやりたいと言っております。
では、5の中なのですけれども、まず1つ目が1点目のターゲット及び日本の強みの特定化というところで、戦略的な二国間交流の仕掛けのところにフランスとあるので、ちょっとフランスについて触れさせていただきますと、皆さん御存じのとおり、ラグビーのワールドカップ、日本の後がフランスですし、オリンピックも東京の後がパリです。ワールドマスターズの方も恐らくフランスに行くのであろうということで、日本の次にフランスという大きなイベントが幾つか続いておりますので、日本も2020年、21年が終わったときにそこで終了ということではなくて、先ほども原田委員の方からおっしゃっていましたけれども、ポスト2020というところでいかにして例えばフランスの方に、単なる大会を運営する知識だけではなくて、例えばマーケティングの方でフランスに対してどんなアドバイスができるのかとか、東京2020の方はこれまでにないほどのスポンサー数を誇っておりますので、そういったところでお手伝いをして、日本のプレゼンスを2020年が終わった後も高めていくような枠組が作れるのではないかなと思っております。ただ、フランスの国民性といいますか、ちょっと簡単に裏切ったりするところはあるので、いかに国と全ての団体を巻き込んで、裏切れないような状況を固めてからやっていった方がいいんじゃないかなと個人的には思っております。
2つ目の事業の継続性の確保というところで、論点のところに民間活力の活用に向けたインセンティブの創出とありますけれども、今、IMGという会社でオリンピックのマーケティイングの方を担当しているのですけれども、その中で東京の2020のスポンサーの皆様のところをお巡りして感じたのが、皆さんレガシーのプログラムを作るに当たって非常に苦労されている。どうやったら他者と差別化をしつつ、2020年が終わった後も自分たちのブランド名を残していけるようなプログラムを作れるかということで四苦八苦されているんですね。なので、例えば人材育成でしたらリクルートさんとかパソナさんとかありますけれども、そういったところにお話を持っていってもいいのかなと。皆さんがおっしゃっていたSDGsの方も、この2社に限らずほかの会社の方にそういうお話を持っていって、具体的に企業としてどんなふうにお手伝いできますかというような話をしてもいいのかなと思いました。
最後の点なのですけれども、人材育成と(6)にちょっと関わってくるのかなと思うのですけれども、人材育成をしようといったところで、ちょっとはかりづらいというか定量化しづらいところがあると思いますので、例えば前回もちょっと触れましたけれども、IOC委員を日本としてどうやって確保して増やしていくかというのを例えば1つの指針にしたとして、皆さん御存じだと思うのですけれども、IOC委員になるには個人枠というのが70枠最大であって、IF枠が15、NOC枠が15、アスリートが15と数が決まっているのですけれども、各国、個人枠で出せるのが今は1人になってしまっていますので、個人枠で何人も増やそうと思っても増やせない。というわけで、例えば戦略的にIFで1人出していこうとか、NOCで1人出していこうとかというような日本として一貫性のある施策ということなので、そういう1つの目標を定めた上で、例えばIFには何人、役員ですとか会長、専務理事を送っていこうとかというようなものが具体的に見えてくるのかなと思っています。
今、一番IOC委員の数が多いのがスイスで4名なのですけれども、ほか、3名いるところが中国、カナダ、スペイン、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、アメリカぐらいだったと思うのですけれども、やっぱりそういうところは発言力も強いですし、スポーツ界でも割と存在感があるというところがありますので、日本もそういうところを目指しつつ、IOC委員としてそこで得た情報ですとかそういったものを日本のJOCですとか国の方に還元したりですとか、IFとして会長からそういったところでNFに還元したりですとかということができていくのかなと思いました。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
では、和久委員、お願いします。
【和久委員】 5の(1)からそれぞれ気付いた点を述べたいと思います。まず(1)のターゲットの特定化ですが、国際スポーツ界が日本に期待すること、あるいは経済的な成長のポテンシャル、あるいは政府系スポーツ機関のネットワークの中での日本への期待、これを考えるとやはりアジアを外すことはできないと。特にASEANと中央アジア、ここはしっかりと押さえておく必要があると思います。その後、大洋州とか、さらにフランス、そういったところが今後重要な地域的ターゲットになっていくと思います。戦略的な二国間交流の仕掛けの中で記載されていますけれども、ロシアに関しては今、ハイパフォーマンススポーツの中ではインテグリティ上の課題があるがゆえに、コミュニティスポーツの領域で戦略的にロシアとの関係性を維持しておくことが重要と思います。また、インドに関しても、マーケティング規模からすると学校体育やスポーツ政策に関心が高いところですので押さえておく必要があるかなと思っています。
続いて(2)と(3)について、民間企業がしっかりと関われるようなネットワークとビジネスモデルという意味で、このSFTCをコンソーシアム型からマルチサイドプラットフォーム型に転換していく必要があると考えています。関わっていただける民間企業のマーケティングやCSVにしっかりと貢献することができるプラットフォームに転換していく必要があろうかと考えます。ただ、マルチサイドプラットフォーム型に転換した場合、プラットフォームの管理には手間もかかりますので、今のSFTCの事務局を恒常化させていくという工夫も合わせて必要になると思います。
(4)のところにつきましては、先ほど申しましたけれども、共通のメッセージやスローガンを世界に発信していくアンバサダーの設置というのが重要になってくるかと思っています。
そして、(6)の指標作りとモニタリングの実施につきましては、国際的にも課題と認識されており、国連機関の方でも指標開発が進められています。JSCのスタッフがこの国連ののプロジェクトチーム、ワーキンググループのメンバーとして参加していますので、その動きと情報を共有しながら適切な指標作りに貢献できればいいかと思います。
最後に(7)ですけれども、論点のスポーツに関する海外拠点の整備拡充ということに関しては、現在、JSCはスポーツ庁の受託事業としてローザンヌに拠点を設置しております。先ほど斎藤委員からもありましたIOCの出身国の多くがヨーロッパであることを考えても、ローザンヌの拠点を恒久化していく取組が重要になっていくのではないかと思います。JSCはロンドン事務所を有していますが、こうした海外拠点の単体での運営には課題も多いので、いろいろな関係機関との共同運営の可能性も含めて恒久化を図っていくということが重要と考えております。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
大塚委員、そして大日方委員ということでお願いいたします。
【大塚委員】 私も(1)のターゲットのところなのですけれども、競技団体の立場から言いますと、ターゲット地域に関しましてはどうしても欧米を意識せざるを得ない状態にありまして、それは競技力向上のみならず、先ほどから出ていますIF役員の増加ですとか育成などに関しましても全てターゲットはやっぱり欧米になってきますし、国際競技団体の所在地もヨーロッパ中心であるということを考えますと、戦略的にアジアを外せないのも十分に分かるのですけれども、2030年までの攻め方ですね、この中においてはやっぱり並行して欧米というものも意識していかなければならないんじゃないかなというふうに非常にそこを強く感じます。
もう一つ、ターゲット競技の設定に関しましては、ここに武道、ウインタースポーツ、パラスポーツと出ているのは、これを競技とまでするか、ターゲット分野とするかとあるのですが、もう一つやっぱり若者ですね。若い人たち向けという言い方自体がもう古いのかもしれないですけど、そういう分野などもやっぱりターゲットにしていかないと、まさに今、日本体育協会、JOCでは、eスポーツ団体を加盟させるかどうかと。また、オリンピックの方もeスポーツを認知し始めているという部分で言いますと、2030年までの間に必ず起きてくる部分、そういったものをちょっと意識してはいかがでしょうかということがあります。
それから、ちょっと項目が分からないのですが、今までの議論の中にありました国際大会の誘致、国際会議の招致、開催支援、これがこちらの工夫、取組の中のどこに入るのかなと。是非とも期待をしていかなきゃいけない部分で、我々も取り組んでいかなきゃいけない部分として、国際会議、国際大会の招致、開催支援をどちらかの項目に入れていただければと思います。
それから、人材育成とその後の部分で、先ほど斎藤委員からも御説明がありましたように、具体的な戦略をもってIF、IOC、それから今ちょっと脆弱になってきているOCAなども狙い目ですし、アジアをターゲットとしていくのであればOCAなども非常にいいのではないかなと思います。それから、スポーツアコードにこれから名前が変わりますけれども、どうやって日本がプレゼンスしていくかというような国際会議に対する戦略作りなども是非ともどこかに盛り込んでいただければと思っております。
最後、7番の本当に一番最後ですね、スポーツ国際戦略に関わる諸活動の広報活動。まさにここもこれからの大きなポイントになる部分だと思います。SNSが中心となってきている今の時代ですので、スポーツジャパン的な発信を是非とも基盤形成並びに工夫の部分、取組の中に入れていただければなというふうに考えております。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
では、大日方委員、お願いいたします。
【大日方委員】 ちょっと私から、長くなってしまうかもしれませんが、5点申し上げたいと思います。
まず1つ目は、昨年9月に私自身が出席してきましたイギリスとの日英の二国間のお話です。ここで、この議論の中で全く出てきていなくて、私も情報提供すればよかったなというふうに考えているのですが、日英21世紀委員会という民間レベルの政策対話フォーラムというものが、昨年でたしか34回、今年で35回目になると思いますが、行われております。その中で様々な政治や経済、それから投資、そういったようなこと、教育といったようなこと、安全保障の話などが話題になるのですが、今年のテーマの一つが2020年の東京2020を踏まえて、将来に向けて日英でどんな協力ができるのかという、まさに国際交流でありスポーツ、レガシーの話ですね。というようなことがワンセッション行われておりました。やはりこの中で日本とイギリスで協力してオリンピック、パラリンピックを開催した後の国でどのようなレガシー、どのようなスポーツに対して貢献できるのか考えていく必要があるよねというような話があり、各国の首相にそのことは報告されているんですね。これは残念ながら、ほとんどスポーツ界の方は御存じなかったかもしれませんけれども、こういった取組も実は行われているということを、もしかしたらほかの二国間でもあるのかもしれなくて、スポーツをどーんと正面に出しているものではない日英二国間交流の中にこそ、スポーツといったものが入っていくことの重要性、それはこの日英で非常にやれるのではないかなというふうに考えています。オリンピック、パラリンピックを開催した後、どうするのかという話が先ほど来から出ていますが、これを日英で協力することによって世界に対して発信する、そのようなことも一つできるのではないかなというふうに考えました。後ほどまた事務局にも情報提供させていただきたいと思います。
それから、2点目がウインタースポーツについてですけれども、先ほど札幌市の方や原田先生からも御説明がいろいろありましたけれども、日本ではもっともっと潜在的には発掘されていない価値といったようなものがあるのではないかなと思います。今年の年末に志賀高原の方で滞在をしましたけれども、ほとんど日本人はいなくて、奥志賀高原ですけれども、海外の方しかいないんですね。そこも日本の文化というよりは海外の欧米の文化のような状況になっていて、もうちょっと日本の文化と欧米とうまく連携できないかなと。特に志賀高原という大きなリゾート地、全体がリゾートになっているところ、雪が非常に多いところ、こういったところをうまく開発をツーリズムにもつなげていくというようなところは少しそれぞれに任せるのではなく、戦略的にウインタースポーツをこうしていこうねというようなことを地域をまたいだ形で連携できると、何かコンソーシアムのようなもので考える場があってもいいのかなというふうに思いました。
3点目が、先ほど大塚委員の方からも国際大会、国際会議の誘致という話がありましたけれども、今、日本でかなり皆さんそれぞれの地域でやっていること、海外のナショナルチームの合宿を誘致するということ、そのことを通じてまちづくりであったりとか国際交流というようなことをやろうとしている。こういうことも我々としては支援していく、あるいは取り組んでいく。特に情報がなくて困ると皆さんおっしゃっているので、こういうふうにやっているような好事例といったものを、皆さんお互いで情報共有するということができるのではないかというふうに思いました。
4点目が、先ほどIOC委員のお話が斎藤委員からありましたけれども、IPCの理事についても非常に特異だなという状況だというふうに考えています。御承知のとおり、スポーツ審議会、親会の方の会長もされていらっしゃる山脇さんがIPCの理事で日本から出ていらして、大変、国際パラリンピック界においては日本というのは大きく期待をされている、そういう状況です。バックグラウンドとしてスポーツ界ではなく、経済界の方がこの中に入られていたという、短い時間の中で指示を得ている、これは一つ、パラリンピックだからというところもあろうかと思いますけれども、今後これをどういうふうに、山脇さんの後をといいますか、続けて日本からも出していくのかということ、これも重要な視点ではないかなと考えます。
最後、6ページの(7)のところで、NFで共同利用できる海外拠点ということ、これは少し、多分、和久さんの方からもいろいろ述べられているところだと思いますけれども、NFの立場から言いますと、スキー競技ですね、私、出身が。ここがかねてから海外拠点ということを申し上げて、日本国内だけにとどまっていると難しいけれども、アメリカや、特にウインターですので欧米ということになりますが、やはり欧州といったようなところで拠点を持ちたいというふうに、その必要性、強化のレベルから言われておりますけれども、実はウインタースポーツの発展、まさにリゾートも含めてというところにおいても、これは海外の事例あるいは海外の状況というのを把握していくことというのが結果的には大きな相乗効果につながるのではないかと思っています。強化だけではなくて裾野の普及、そしてまちづくりといったような国内にある資産をどう生かしていくのかというような視点からも海外拠点ということを少し幅広に取り上げてみるというようなこともおもしろいのかなというふうに感じました。
以上でございます。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
そのほか、筑波大学さん。
【筑波大学(高橋)】 筑波大学です。TIASをさせていただいていることで非常に経験させていただいた中で感じたことを5のところについてお話しさせていただきたいと思います。アカデミーというところの立場からすると、非常にニュートラルであるというところが重要なポイントでありまして、例えば(1)の地域のターゲットの特定化で、地域でありますと、例えば今、筑波大学のボルドー事務所が既にパリのオリンピックに関わることをしたいということで、組織委員会の立ち上げと同時に連動したいというようなことが動いていたり、実はロスの関係で西海岸のシンクタンクからスポーツ、健康に関係する様々な取組を協働したいというような話がもう入っております。というようなことで、実はこのポンチ絵の6枚目も、地域というのであれば国名じゃなくて、例えばパリ・丸、ロサンゼルス・丸というぐらい打ち込んでもいいのかなという感じがしております。
それから、2番目の事業の継続性の確保ですが、民間企業等と書いてありますが、実は事業の継続性には、先ほど宮嶋委員の話がありましたけれども、スポーツ団体の全面的な協力が必要だということをアカデミーの立場として感じております。というのは、様々な学会だとか学位プログラムを海外から呼んできたときに、日本のスポーツ団体と交流したいというのが彼らの非常に強い要望なのですが、日本のスポーツ団体が国際化しないというのは、英語がしゃべれないし、誰もプレゼンできないみたいな状況がありまして、それを考えますと、民間企業プラススポーツ団体の国際化というところが実は非常に大事なポイントじゃないかと思っております。ちなみにTIASの修了性はまだ2期しか出しておりませんけれども、日本体育協会さん、それから日本サッカー協会さんには積極的に採用していただいていますし、組織委員会には今、3名おります。それから、アシックス様は3名採る予定ですし、電通様も1名ということで、非常にそういうことが分かっている企業は実はどんどん採用が始まっています。ということを実はアカデミーを使っていただきたいという感じはします。
それから、最後の7番のところですが、実は、アカデミーも先ほど言ったボルドー事務所のようなものを持っていて、TIASも現在、AISTSと協力しまして、AISTSビルディング内にTIASローザンヌ研究室というのを設けております。そういった形で、実はニュートラルな立場だからこそ話せたり情報が入ってくるというところがありまして、そこと日本のスポーツ競技団体の国際化を連動させて具体的な工夫に持ち込めるようなイメージが分かると、スポーツ競技団体の方々が国際化しなきゃいけないんじゃないかという後押しになるし、それをサポートする教育機関もあるんだよという流れになるんじゃないかなと感じております。
以上でございます。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
じゃあ、和久委員、お願いいたします。
【和久委員】 1点補足ですが、このスポーツ国際戦略の前提になっているのが、日本のスポーツのスポーツ・インテグリティです。先日、UKスポーツとスポーツ・インテグリティの関係でミーティングを行い、情報がありましたので共有しておきたいのですが、この中間まとめの中に入れるかどうかはともかく、国際的にもスポーツ・インテグリティは非常に大きな問題になっています。今、政府とIOC、国際スポーツ団体、そして政府系のスポーツ機関などが連携をして、スポーツ・インテグリティに関する国際的枠組み作るという動きがあります。それぞれいろいろな思惑があるので、これができるまでには相当時間がかかると思われますが、日本のスポーツ国際戦略としてスポーツ・インテグリティをベースとした戦略を考えるのであれば、この動きに関してはしっかりと押さえておくということと、この動きにしっかりと日本政府も関わっておく必要があると思います。
UKスポーツの話では、しばらく前にG20の会議の中でもスポーツ・インテグリティが話題にのぼったということです。スポーツ庁の方でフォローされていれば良いと思いますが、スポーツ・インテグリティは日本がしっかりと国際的な意思決定に参画する新しい分野だと思いますので、フォローが必要と思いました。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
そのほか。篠原委員、お願いいたします。
【篠原委員】 全体的に先ほども冒頭で質問させていただいたのですが、今、5番目の中を見たときに、地方公共団体の役割というか、これからどんなことをやっていけばいいのかというのがなかなか分かりづらいなというのが率直な感想です。じゃあ、地方公共団体は何ができるのかというそもそも論もあるかもしれませんけれども、例えば先ほど札幌市さんから話がありましたけれども、オリンピックも含めた国際大会又は国際会議の招致、誘致というのも1つの例かもしれませんし、今、先ほどもありましたホストタウンの取組をいっぱいやっていますけれども、その中で実際に提携を結んだ国あたりは、キャンプだけじゃなくて、せっかくだからもういっそのこと姉妹提携を結ぼうかとか、いろいろな文化交流をやろうよとか、継続的に選手の相互派遣をやろうよとか、そういった声も多数あります。そういったところが今回、最終的に表に出るときのペーパーとして、地方公共団体はじゃあどんなことをやったらいいのかといったようなことがもう少し伝わるような内容になるといいんじゃないかなということを思った次第です。
特に、個人的にはアジアという地域的なターゲットというのは非常に、特に福岡という立場、九州という立場から考えると、また、NFと違って地方公共団体がそんなに専門的なツールを持っているわけじゃないので、じゃあ、そういった貢献は何ができるかといったときに、例えば運動会を国際交流(JICA)でされていますけれども、そういったことであれば比較的取り組みやすいところもあるんじゃないかと思いますし、スポーツコミッション、スポーツツーリズムの発信もあると思いますけれども、各自治体がやっているローカルのイベントを国際化してみる。例えば、そこで先ほどあったホストタウンの話の流れの中で、キャンプが来る国から、例えば今、駅伝大会をやっているのですけれども、駅伝のチームをその国から何人かでも呼んでくるだとか、そういった、具体的に地方公共団体がどんな国際戦略に対してやっていけばいいのかといったようなところのイメージを是非出していただければという思いで聞かせていただいております。よろしくお願いいたします。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
では、和久委員、お願いいたします。
【和久委員】 今の篠原委員の意見は非常に重要な指摘で、このスポーツ国際戦略が完成するには、このスポーツ国際戦略の考え方を受けて、各団体がいつまでに何をするか、どういう役割とアクションを起こしていくかというところに落とし込まれないと、この戦略の意味が薄くなってしまうと考えています。実は、最後に私の方から、ではJSCはこの戦略を受けていつまでに何をすればよろしいですかと質問しようかと思っていました。今、篠原委員の御指摘のとおり、それぞれの団体がこの戦略に対してどういう役割を担い、どのような行動を起こしていくかということを議論し、スポーツ庁と相談をしながら決めていく必要があると思います。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
その他、ございますでしょうか。
それでは、私の方から1点、5のところの具体的な方策を実施する際の工夫と取組ということで、外部資金というのをうまく取り入れることができるような仕組みというのも必要なのかなと思っております。これは多分、大塚委員のJOCの方が把握しているかと思うのですけれども、IOCのオリンピックソリダリティーです。大きな予算があるかと思います。例えばICECPというインターナショナル・コーチング・エンリッチメント・サーティフィケイト・プログラムがあります。スポーツコーチの指導者教育プログラムを行っています。このプログラムは、IOCのオリンピックソリダリティーを使いUSOCがデラウエア大学と一緒になっています。年間約20名ほどの指導者育成を行っています。参加者の全ての滞在費、宿泊等を補助しています。プログラムの最終的にはローザンヌの本部で、参加者一人一人がプロジェクトのプレゼンをおこない、認定書を出す、指導者教育プログラムですけれども、こういうような外部資金というのもうまく取り入れるような形で行うことで、国外内のインパクトも強いのではないかなと思っています。私もJOCの方の推薦を頂きまして、このプログラムに参加させて頂きました。一つ一つプログラム内容は、非常勉強になりました。トータル3か月ぐらいになるかと思いますけれども、USOCが中心になってデラウエア大学、ナショナルトレーニングセンターのあるコロラドスプリングス、また競技別にアメリカのそれぞれの地域に広がってのインターンシップがあります。最後のプロジェクト発表まで、コーチに教師が1人ずつ付きます。教師の人たちも、アメリカ以外から来ています。例えばイギリス、イタリア、スペイン、カナダ等も来ています。非常にすばらしいプログラムでした。
ですので、是非、何かこの外部資金をとり活用すれば、国外内に大きなインパクトがあるのか考えます。 以上です。
前原委員、お願いいたします。
【前原委員】 ちょっと戻ってしまうのですけれども、3のスポーツ国際戦略のミッションの丸1と丸2に当てはまることなんですけれども、先日、国際卓球連盟の方で戦略会議がありまして、卓球あるいはスポーツをやることによって健康にいい、そしてまた医療費の削減につながるとか、スポーツあるいは卓球をやることによってリハビリの効果があるとか、そういったものを提示してスポーツをやることのプロモーションにつなげるという提案をしました。国際連盟でどう扱われるか分かりませんけれども、もしスポーツ庁あるいは各競技団体でスポーツをやることによって本当に健康、あるいは長寿につながるんだというようなものがメッセージとして出せるといいかなというふうに思っています。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
じゃあ、大日方委員、お願いいたします。
【大日方委員】 補足なのですけれども、先ほど和久委員の方からお話があった、誰が何をするのかという話が非常に重要だというところで、いろいろ議論を踏まえていきますと、やはり一つ大切なのは、スポーツ国際戦略を一緒に取り組むという意識改革を国内のNFであるとか、あるいはJPC、JOCさんはちょっと分からないですけれども、必要なんだろうなというふうに感じております。パラスポーツ、重要だというふうにおっしゃっていただいて、非常にありがたいことでもあるのですけれども、多分このまま今までどおりにJPCが、今までどおりの国際貢献のやり方をしていくと、なかなか実現ができないと、そこがボトルネックになってしまうというような可能性もありますので、これはNFもそうですけれども、やはりこれまでとは変えていくんだというメッセージ、変わっていくためにこういうことを統括競技団体、NFはやってほしい、地方の自治体はこういうことをやってほしい、JSCはこういうことに取り組むということをしていく。まず意識を変えていく。そして具体的にこういうことを期待しているというようなメッセージを出していくことというのが必要かなというふうに感じました。
以上です。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
じゃあ、原田委員、お願いいたします。
【原田委員】 先ほどの前原委員のお話に続くのですけれども、3のスポーツ国際戦略のミッションの中で、きょうお話がありましたけれども、スポーツ交流からスポーツ展開へと、非常に広く社会課題の解決に向けてやっていこうという、この趣旨は私は大賛成です。非常にいいなと思っています。卓球の場合、今年、Tリーグ、プロの卓球が開催されます。すると、今、アリーナとか建設が非常に促進しているのですけれども、そういうところに新たなコンテンツが生まれる。地域との密着、そしてそこに関連する企業が非常に活性化するというのを期待しております。さらに、チームに中国人とかヨーロッパからも著名選手が来るわけですよね。そうするとそれを見に観光客も来るだろうし、そのスポーツの国際展開は別に外でやる必要がなくて、中で国際展開をすることによって、東のローザンヌ的な役割も長期的な視点として持ってもいいのかなと。それが2020年の最大のレガシーだし、このTリーグのスタートというのは非常に時宜を得たものではないのかなと。既に境田委員がされているBリーグも大成功を収めておりますし、それに続く第4のスポーツとして今後の発展が展開できますし、将来的にはT1、T2、T3、T4と、そういう流れができますので、青少年にとっても、あるいは地域の卓球愛好者にとっても非常におもしろい動きができるかなと思いますので、そういう意味でのスポーツの国際展開の国内展開、そういうのも重要になると思います。コメントです。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
では、境田委員に最後にお願いしたいと思います。
【境田部会長代理】 今、原田委員のおっしゃったとおりだと思います。やっぱりBリーグもそうでしたけど、アリーナを拠点とするスポーツビジネスができると、やはりいろいろなIT企業とか、いろいろな企業がすごく関心を持ち、ビジネスパートナーやスポンサーやサプライヤーになりますよね。そうすると地域経済も活性化し、自治体のメリットにもなりますし、スポーツビジネスの規模全体の拡大にもつながると思います。
それから、先ほど出ましたけれども、スポーツビジネスが発展するためには、中央競技団体、NFがいかに前向きに事業に取り組むかが肝になりますそうであれば、NFにとってのメリット、具体的には新たなネットワークの構築や自治体との連携、企業との新規ビジネ分野の開拓など様々なメリットを訴えていく、そのような努力も必要かなと思いました。
【田邉部会長】 ありがとうございました。
では、そろそろ時間になりましたのでここら辺で終了したいと思います。大変活発な御議論を頂き、ありがとうございました。本日予定していた議論は以上で終了しました。
皆様、これまで出た御意見の方向性で、スポーツ国際戦略の中間まとめ案を作成するということで御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【田邉部会長】 異議なしという声、ありがとうございます。それでは、事務局は本日の御議論を踏まえて中間まとめ案を作成してください。また、皆様におかれましては、先ほどの御議論を参考に、スポーツ国際戦略の方向性を基に、またそれぞれの機関においていつまでに何を行うのかという具体的な取組という観点で結び付けて、どのようなイメージになるのかについてまた御検討いただき、それを基にアイデアを頂けたらと思います。
それでは、本日はこれにて終了します。皆様、どうもありがとうございました。
【今泉国際課長】 次回部会につきましては、現在のところ3月に開催したいというふうに考えておりますが、まだ日程調整を行っておりますので、その日程調整の結果、適切な時期に過半数以上の方がお集まりいただければそこで開催したいと思いますが、そうならない場合もあり得まして、その場合には持ち回りとさせていただければと思います。その際には事務局の方からメール等で中間まとめ案を送付させていただきまして、メールに御意見を頂くというような形で進めさせていただきたいと思います。
【田邉部会長】 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
── 了 ──
スポーツ庁参事官(国際担当)