想定される論点について

スポーツ審議会・スポーツ国際戦略部会(第1回)

― 想定される論点(例) ―

 

○ 部会の成果物イメージ:

・限られた人的・財政的・物的・時間的リソースの中で、スポーツの国際展開を戦略的に行うことを通じて、国内外の社会課題の解決にスポーツが果たす貢献において成果の最大化を図るための諸方策について、今後1年間の議論・検討を経て、「スポーツ国際戦略」(仮称)という形でまとめ、当該戦略の下で政策の具体化につなげるイメージ。

 

1 総論

(1)目指すべき共通理念・ビジョン:

 ・国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(=SDGs)やユネスコの第6回スポーツ大臣会合の「カザン行動計画」等の国際的な動向とどう関連付けるか?

 

(2)スポーツの国際展開におけるミッション:

 ・国外のグッド・プラクティスについて、誰がどのように情報収集し、国内の関係機関と情報共有して、それぞれの国内施策の充実に資するように取り組むか?

 ・国内のグッド・プラクティスについて、誰がどのように情報収集し、国外の関係機関と情報共有して、各国の社会課題の解決に資するように取り組むか?

 

(3)日本のスポーツの強み・弱み:

 ・スポーツの国際展開において、諸外国に紹介できる日本のスポーツの強みは何か?

 ・スポーツの国際展開において、諸外国から学ぶべき点は何か?

 

(4)スポーツの国際展開における課題:

 ・限られたリソースで最大効果を上げるためにどこに選択・集中すべきか?

・スポーツ庁が海外拠点を持たない状況で、どのようにスポーツの国際展開を行うか?

 ・国内外の関係機関と適切な役割分担の下、Win-Winの連携体制をどう構築するか?

 ・他国のスポーツの国際戦略の状況はどうか?競合するものはどの程度あるか?

 

(5)スポーツ国際戦略の方向性:

 ・限られたリソースで最大効果をもたらすための工夫として、何があるか?

 ・ターゲット(*ターゲット地域、ターゲットの時間軸、ターゲットとする競技と活動、活動のタイミング、関係者の特定化等)をどのように設定するべきか?

 ・スポーツの国際展開において、どのような機関を「関係・連携機関」とすべきか?

 ・関係機関間のネットワーク及び情報流通の仕組みはどうあるべきか?

・各関係機関の国際関係業務を担える人材をどのように組織的・体系的に育成するか?

・スポーツの国際戦略をどのようにスポーツ基本計画の諸目標の達成に役立てるか?

 

 

1 各論

(1)各論の中の総論:

 ・それぞれの具体的施策をどのように有機的に連携づけるか?

 ・「スポーツ国際戦略」(仮称)という成果物をどのような方法で最大効果化するか?

 

(2)政策別の論点(例):

 1 国際競技大会の招致・開催支援関係:

 ・これまで、スポーツ団体又は地方公共団体で個別かつアドホックに行われてきた国際競技大会の招致活動について、どのように組織的に情報連携を図るべきか?

 ・各国際競技大会の開催効果について、地域社会及び経済の発展、当該スポーツ競技のさらなる振興、地域スポーツの振興、スポーツ・ツーリズムの促進等の目的に、最大限役立てるために、どのような仕組みが必要か?

 ・今後の大規模国際大会の招致に向けて、どのような戦略を講ずるべきか?

 

2 IF等への役員・スタッフ派遣関係

 ・IF役員候補となりうる人材の組織的かつ体系的な育成はどうあるべきか?

 ・IF役員候補となりうる人材の幅広いリクルート活動をどう支援すべきか?

 ・各IFにも女性役員比率の拡大がある中、IF役員候補となりうる女性役員候補をどう戦略的に育成するのか。

 ・既存のIF役員の会長・副会長ポスト等への昇格をどう支援するのか?

 ・既存のIF役員が得る国際的な情報について、誰がどのように収集し、国内の関係機関と情報共有するか?

 ・IFのみならず、スポーツ関係の統括的な国際機関(例:IOC、IPC、WADA等)への日本人役員・スタッフをどのように戦略的に増やしていくか?

 ・IF等への役員・スタッフ派遣の施策の成果をどのように指標化し、評価するか?

 

3 スポーツ交流・協力関係:

・計画的な二国間交流や多国間交流・協力の促進等のために、各種スポーツ大臣会合や二国間協定・覚書締結等の手段をどのように戦略的に活用するか?

・スポーツ・フォー・トゥモロー事業の100カ国・1千万人以上の目標を今後どのように達成すべきか?

・時限的措置である「スポーツ・フォー・トゥモロー事業」が終了する2020年度以降も、スポーツ交流・協力を継続的に実施できるような仕組みはどうあるべきか?その際、受け皿となる実施機関はどこにすべきか?リソースの確保をどうするか?

・相手国におけるスポーツが貢献できる社会課題の特定化及びスポーツに対するニーズ把握を誰がどのように行うべきか?

 ・相手国の官民の関係者との継続的な対話枠組みをどのように構築すべきか?

 ・スポーツの国際交流・協力による効果をどのような指標で評価するべきか?


(別添1)

第2期スポーツ基本計画

 

第2章 中長期的なスポーツ政策の基本方針


3 スポーツで「世界」とつながる!

   スポーツで世界に発信・協力し,世界の絆づくりに我が国が貢献する。

 

スポーツは,人種,言語,宗教等の区別なく参画できるものであり,国境を越え人々の絆を育む。スポーツを通じた国際交流により「多様性を尊重する世界」の実現に貢献する。

スポーツは,貧困層や難民,被災者など困難に直面した様々な人の生きがいづくりや自己実現のきっかけとなり,スポーツによる開発と平和への支援により「持続可能で逆境に強い世界」の実現に貢献する。

スポーツは他者への敬意や規範意識を高められるものであり,日本が率先して模範となることで「クリーンでフェアな世界」の実現に貢献する。

スポーツを巡る国際的な政策,ルールづくりや国際協力に積極的に参画し国内の取組に反映すること,国際競技大会や国際会議を開催すること,それらに必要な国際人材を育成することを通じ,我が国がリーダーシップを発揮して国際的地位を高める。

トップアスリートの世界的な活躍はトップアスリートを輩出した地域の誇りとなり,各地域や団体は,世界と競っているという広い視野をもって国際競技力の向上を図る。

 

→ スポーツに関わる全ての人々が主体的に取り組むことで,スポーツの力が十分に発揮され,前向きで活力に満ちた日本と,絆の強い世界の実現に貢献できる。

 

 

 

 

 

 (別添2)

第2期スポーツ基本計画

 

第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策

 

(3)スポーツを通じた国際社会の調和ある発展への貢献

[施策目標]

  国際社会においてスポーツの力により「多様性を尊重する社会」「持続可能で逆境に強い社会」「クリーンでフェアな社会」を実現するため,国際的な政策・ルールづくりに積極的に参画し,スポーツを通じた国際交流・協力を戦略的に展開する。

  ラグビーワールドカップ2019及び2020年東京大会等を歴史に残るものとして成功させ,その後のレガシーとしてスポーツ文化を継承する。

 

[現状と課題]


国際競技団体等における日本人役員は23名(平成28年11月現在)で先進諸国に比べ少なく,また,国際的な情報収集能力及び戦略的な情報発信能力が不足している。


スポーツを通じた国際交流・協力に関して,国内関係機関の連携が十分でなく,スポーツ団体の国際業務体制も十分に整っているとは言えない。また,スポーツに関する国際的な動向と国内の施策の連携が十分でない。


 


[具体的施策]


国は,JSC,JOC,JPC及び中央競技団体と連携し,国際人材の発掘・育成,ロビー活動支援及び職員派遣・採用の増加等を通じて,国際スポーツ界の意思決定に積極的に参画する。(国際オリンピック委員会,国際パラリンピック委員会,国際競技団体等の国際機関における役員数 現状25人→目標35人)。


国は,国際競技大会や国際会議等のスポーツMICEの積極的な招致,開催を支援することにより,国際的地位の向上及び地域スポーツ・経済の活性化を推進する。


国は,国際連合教育科学文化機関(UNESCO)のスポーツ会合等への積極的な参画や,アジアを中心とした政府間会合を積極的に開催することを通じて国際的なスポーツ政策づくりに貢献するとともに,二国間協定・覚書を戦略的に締結することにより,計画的な対外アプローチを推進する。


国は,地方公共団体及びスポーツ団体等の関係機関と連携し,スポーツ・フォー・トゥモロープログラム等により、計画的・戦略的な二国間交流や多国間交流・協力を促進する。(目標:SFTによりスポーツの価値を100か国以上1,000万人以上に広げる。)


国は,国際連合の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の提言等の国際動向も踏まえ,スポーツによる国際交流・協力をSFTが終了する2020年以降も継続できる仕組みを構築することにより,スポーツの価値の持続的な共有を推進する。


国は,地方公共団体及びスポーツ団体等と連携し,諸外国におけるスポーツに関する情報を戦略的に収集・分析・共有するとともに,スポーツ団体等における国際業務の体制の強化及び国内の関係機関との効果的な連携体制の構築を実現する。


国は,ラグビーワールドカップ2019及び2020年東京大会について,政府の基本方針に基づき,開催都市,ラグビーワールドカップ2019組織委員会及び東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委員会)による円滑な開催を支援することにより,両大会の成功に貢献する。


両大会後に開催され,30歳以上なら誰でも参加できる国際競技大会であるワールドマスターズゲームズ2021関西の円滑な開催に向けて関西ワールドマスターズゲームズ2021組織委員会等と協力する。


国は,新国立競技場について,関係閣僚会議において決定した整備計画に基づきJSCの整備プロセスを点検し,2020年東京大会のメインスタジアムとして着実に完成させるとともに,同大会後の運営の在り方や手法を検討し,スポーツ事業を主とした利用率の向上や維持管理費の抑制を図る。


国は,組織委員会,東京都,JOC及びJPCと連携を図りつつ,スポーツやオリンピック,パラリンピックの意義を普及啓発するオリンピック・パラリンピック教育等によりオリンピックムーブメントやパラリンピックムーブメントを推進し,スポーツの価値を全国各地に拡大する。併せて,スポーツに関する多様な資料を保有する社会教育団体,スポーツ団体及び大学等は相互に連携し,資料のアーカイブ化やネットワーク化を推進し,当該資料の利活用を促進する。

お問合せ先

スポーツ庁国際課

(スポーツ庁国際課)