スポーツ審議会健康スポーツ部会(第32回) 議事録

1.日時

2025年5月15日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15F1会議室 及び WEB会議(Zoomを使用)

3.議題

  1. 第3期スポーツ基本計画中間評価について
  2. 「セルフチェック」の普及について
  3. その他

4.出席者

委員

   相澤委員、岩田委員、小熊委員、甲斐委員、金岡委員、久野委員、小松原委員、近藤委員、佐々木委員、津下委員、熊瀬委員、藤田紀昭委員、前田委員、松永委員、宮脇委員、渡邉委員

文部科学省

   室伏長官、橋場審議官、中村健康スポーツ課長

オブザーバー

厚生労働省健康局健康課

5.議事録

スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第32回)
2025年5月15日

 

【久野部会長】  

 定刻になりましたので、スポーツ審議会健康スポーツ部会(第32回)を始めさせていただきます。

 まず、定数の確認ですが、本日は16名の委員の方々に御出席いただいております。スポーツ審議会令第6条第1項及び第3項において、本部会の開催及び議決に当たっては委員の過半数の出席が求められておりますが、定足数を満たしておりますので開催とさせていただきます。

 また、本日はスポーツ庁より、室伏長官、橋場審議官、中村健康スポーツ課長に御出席いただいております。さらに、オブザーバーとして、厚生労働省健康局健康課にもウェブで御出席いただいております。

 傍聴に関しましては、報道機関及び一般の方についてはユーチューブでのライブ配信での傍聴とさせていただいております。御承知おきください。

 まず、開催に当たり、事務局より諸連絡、配付資料の確認をお願いいたします。

 

【中村健康スポーツ課長】  

 まず、事務的な御連絡でございますけれども、毎回と同様に、本日はウェブと対面でのハイブリッドとさせていただいております。対面での御参加は、久野部会長、渡邉部会長代理、相澤委員、岩田委員、岩田委員は少し遅れての御参加と伺っております、金岡委員、小松原委員、津下委員、前田委員の8名が対面で御参加をいただいておりまして、その他の委員におかれてはオンラインで参加をいただいているという状況でございます。

 資料の御確認ですけれども、本日は資料1から3ということで、まず、資料1として「第3期スポーツ基本計画期間前半の進捗状況と課題」、資料2として「「セルフチェック」の普及について」、資料3として「「スポーツ活動における熱中症事故防止について(依頼)」の発出について」という3種類を御用意させていただいております。そのほか、参考資料としまして、次第にありますけれども、参考資料1から5までを御用意させていただいております。お手元にないようでしたら事務局まで言っていただければと思います。よろしくお願いします。

 

【久野部会長】  

 ありがとうございます。

 それでは、議題1として、第3期スポーツ基本計画中間評価についてです。

 まず、事務局より御説明をお願いいたします。

 

【中村健康スポーツ課長】  

 第3期スポーツ基本計画の中間評価につきましては、これまで何度か先生方に御議論いただきまして、本日取りまとめ予定とさせていただいておりますけれども、前回までの御議論を踏まえて、今後の方向性のところについて、今回事務局のほうで取りまとめ案を作っておりますので、そちらの説明をさせていただいて御議論いただければなと思います。

 資料1の4ページ目を御覧いただければと思います。4ページ目のところに、今後の施策実施の方向性ということで、これまで先生方から様々御意見をいただいたものを、今後ということなので、あと今年度、来年度の2年間で取り組むべき方向性ということでまとめさせていただいております。

 まず、Sport in Life推進プロジェクトにつきましては、様々御意見いただきましたけれども、この中でスポーツエールカンパニーがどのような効果を生んでいるかということをきちんと検証したほうがいいのではないかという御意見もいただいておりますので、Sport in Lifeの中のスポーツエールカンパニーについて、どういう効果があったのかということについて調査研究を行うということを記載させていただいております。その中で、その結果を踏まえて、経営者等へのスポーツエールカンパニー加入についてのPR資料なども作ってPRに活用するということを、まず1ポツ目に書かせていただいております。

 そのPRに関しては、経産省でやっております健康経営の取得企業でありますとか、健康保険組合・労働組合、それから日本産業衛生学会など職域に関わる学会などとの連携、それから、この会議でも御意見いただいておりますけれども、金融機関や保険会社と連携して中小企業に普及をしていくといった取組を実施するということを、御意見を踏まえて書かせていただいております。

 それから、こうした取組でスポーツエールカンパニーの拡大をしていくということですけれども、その中で、目的を持った運動・スポーツの考え方とか実践方法も周知啓発をしていくということもここの議論にありましたので、書いております。

 そして、その大本となるコンソーシアムがなかなか生かせていないのではないかという御議論もありましたので、この中で加盟企業同士の事業連携につながるような仕組みを構築して提供していくということもやりながら、コンソーシアムの拡大をしていくということを記載しております。

 Sport in Lifeの最後の部分ですけれども、モデル創出事業をこれまでも毎年続けてきているのですけれども、もう少し効果的なやり方をしたほうがいいのではないかという御指摘も踏まえて、セルフチェックなど、スポーツ庁が社会に広めていこうとしている取組の具体的なモデルを作っていくような形でやってはどうかということで、そういった内容についてここに記載をさせていただいております。

 続いて、調査研究事業です。調査研究事業はこれまでライフパフォーマンスの考え方なども含めて、目的を持った運動・スポーツの実施、セルフチェック、それから、前回御紹介させていただいておりますライフステージごとの運動プログラムなどをきちんと、やりっ放しではなくて、社会に普及・還元していくということで、Sport in Lifeの事業とか習慣化事業とうまく連携しながらきちんと社会に普及をしていくと、これは何度も御指摘をいただいた点でございます。

 そして、今、進めているデジタルデバイスを使ったコンディショニング方法を開発する取組は着実に進めていくということ。

 それから、本日、後ほど御議論いただこうと思っておりますけれども、この部会でも何度も御意見をいただいております、日常生活における多様な身体活動をどのように整理をするのかということについても検討することを記載しております。

 そして、今後も様々な社会経済の変化も踏まえながら必要な研究をしていく必要があるということで、そのことも記載をさせていただいております。

 3点目、地方公共団体に対する支援として進めております運動・スポーツ習慣化促進事業については、これも御紹介させていただいておりますように、今年度から制度を変えて、3年間支援をすると、そして自走化に向けた支援をしていくという制度変更を着実に行っていくということ。

 それから、実際に地方公共団体における取組がきちんと成果に結びついているのかということで、その中で多様な身体活動の取組とか、実施結果の科学的な知見に基づく分析などについて検討するということで、そうした各自治体の取組結果の分析などを集めて横展開をしていくと、そういったことも記載をさせていただいております。

 3点目として、これまでも実施してきております「運動・スポーツ関連資源マップ」、身体の症状に応じて利用できる運動施設をマップ上に案内するという取組を引き続き続けていくということを記載しております。

 その他として、その他という名前になっておりますけれども、この部会では特に女性のスポーツの促進ということで多くの意見をいただいておりますので、そのことを記載させていただいております。女性のスポーツ実施率と希望率にかなり開きがあるということで、その背景・原因を分析して、どうすれば実施しやすい環境を整えていけるのか。それから、産前産後女性の運動実施というのがキーポイントになるという御指摘もありましたので、そうしたところに対する対策についての調査研究ということをまず1つ目に書かせていただいております。

 そして、全体を通じてですけれども、女性のライフステージごとに切れ目なく運動・スポーツが継続的に行えるような支援を検討していくということ。

 そして、女性が運動しやすいような環境づくりということで、国民のリテラシー向上に向けた周知啓発もやっていくべきだろうということで、いろいろな御意見を踏まえてこのような形でまとめせていただいております。

 続きまして障害者関係の今後の方向性ということで、7ページ目を御覧いただければと思います。こちらもこれまでの御意見を踏まえてまとめさせていただいているものでございまして、まず1つ目、障害者スポーツセンターの在り方、これは前回までと同様でございますけれども、都道府県単位で一つ以上整備を進めていくということ。

 それから、人材の育成ということで、障害者スポーツを支える人の活躍づくり、それから、指導者の研修機会の拡充を進めているということ。

 それから、3番目として、組織の基盤強化ということで、様々な団体との連携、それから民間企業との連携、障害者スポーツ団体の基盤強化といった取組を進めていくということ。

 それから、障害者スポーツ推進体制の整備として、特に都道府県においてスポーツ部署と障害者部署、福祉部署との関係性ということで、一元化した都道府県から成果や課題をお伺いして、他の県に示していくという取組。

 そして、昨年から始めておりますU-SPORT PROJECTコンソーシアムを拡大していくということが4点目でございます。

 そして、5点目として、こちらも前回までと同様の内容ですけれども、インクルーシブなスポーツイベント等の開催を支援して、共生社会の実現の取組を進めていくということ。

 そして、6点目が、今回新しく加えさせていただいておりますけれども、障害者に対するスポーツ指導のハンドブックというものをスポーツ庁のほうで作成しておりまして、こちらはこれまで障害者、障害のある方へのスポーツ指導をやったことがない、専門としないような指導者に対しても指導の仕方などが分かりやすくまとめられているものでございますので、裾野を拡大する、環境を整備するという観点で、このハンドブックの積極的な周知や、これを活用した研修を促進していくという内容を今回追記させていただいております。

 以上が事務局のほうでまとめさせていただきました中間評価の案でございまして、御議論をいただければと思います。よろしくお願いします。

 

【久野部会長】  

 ありがとうございました。

 今、中村課長のお話からもありましたが、今日、健康スポーツ部会として中間評価結果案を取りまとめることに関して、最終的に座長一任をいただきたいというふうに思っております。これまで部会でいただいた委員の皆様の意見を踏まえた内容になっているとは思いますが、さらに付け足しが必要、あるいは取り込むべき御意見や御質問等がありましたら、ウェブの方は画面上のリアクションボタンから手を挙げるのボタンを押していただきますようお願いします。また、現地参加の方は挙手をしていただければと思います。

 もうこれは大分議論してきましたので、この議題の議論としては30分程度を予定しております。今日は御発言がある方を中心に、特になくなれば取りまとめに入っていくという進め方でさせていただければと思います。

 では、皆様から御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

 津下先生、目が合いましたので、ぜひお願いします。

 

【津下委員】  

 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 施策の実施の方向性、いずれも賛同するものでございますけれども、まず、厚生労働省でスマート・ライフ・プロジェクトを進めております。そのことも入れていただければと思います。、それはスポーツ・運動だけではなくて食生活とか禁煙とかいろいろなことに取り組む企業が、次にスポーツに取り組もうというようなつながりにもなるかなと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

 それから、今回セルフチェックとかライフパフォーマンスに関するもの、目的に合った運動ということが強く発信力があるものができましたので、これをぜひ広めていただくことについて、例えば学会とかいろいろな機会を通じての普及というのも今後計画的にお願いしたいなというふうに思っております。

 それから、日常生活における多様な身体活動の関係についてですけれども、ウオーキングをどうするかということが議論になっていたと思うんですが、例えば本当に通勤のときに歩くというときでも、スニーカーを履いてさっさと歩こうと。これはスポーツ庁が前のときにスニーカービズということを言われて、スニーカーで通勤するのもスポーツのうちだというメッセージを出されていたと思うんですけれども、やはりその辺りも踏まえると、革靴でとかパンプスでちょっと行くというのと、もう歩くんだぞという意識でもって通勤をするというのは少し分けて聞いてもいいんじゃないかなと思います。実際に働き盛りはまとまった時間の運動というのは難しい状況の中で、通勤経路の中で歩くというのをスポーツとして捉えることができれば、より皆さんがスポーツしているということにもつながると思います。

 特に階段を上るときに、上るという行動はもう体力テストみたいなもので、体調が悪かったり運動していないと階段を上りたくなくなると思うんですけれども、そういう階段を使うというようなことについてもやはり意識がないとなかなかできないと思いますので、その辺りも聞いた上で、それは日常生活なんだけれどもスポーツに準ずる活動だという位置づけをしていただいたらいいのかなと思っております。

 それから、運動・スポーツ習慣化促進事業のマップについて、医師会のほうも頑張って取組を進めているところで、各都道府県で広がっているところになります。また、保険診療においても生活習慣病管理指導料の中で、運動指導を具体的にすることが求められているという中で、簡単なコンテンツというか指導教材を作るということを医師会の健康スポーツ委員会でやっております。その際に、スポーツ庁で作られた各種資材なども病態に合わせてとか目的に合わせて使用させていただけると大変ありがたいと委員会の中でも意見が出ておりましたので、よろしくお願いします。今後、日常の診療だけではなく学校医、または産業医向けの媒体を作るということで計画しております。その中での資材活用ということについて御理解と御承諾をいただければありがたいし、また、もう少しこういうふうにしたらという御助言もいただければありがたいなというふうに思っております。

 以上になります。

 

【久野部会長】  

 ありがとうございました。

 スポーツ庁のほうから、何か今の津下先生のコメントに対してございますか。

 

【中村健康スポーツ課長】  

 長官からお願いします。

 

【室伏スポーツ庁長官】  

 スポーツは何かというところを議論しますと、多分相当込み入ってくる話だとは思うんですが、当然津下先生がおっしゃったように、通勤でも意識して階段をちょっと多く上ろうとか、そういうのは運動に入るといいと思うんですが。我々は、次の資料2のほうになってしまうんですけれども、6ページをお開きいただきますと、今、目的を持った運動・スポーツということで4つ挙げています。これまでこの100年の歴史のうちに、METsもそうですけれども、この3番を中心にしか話されていない。歩数もそうだと思いますし、いかに消費するか、これはメジャーメントは結構簡単にできています。

 じゃあこの階段を上るは、筋力を恐らく使うであろうけれども、どのぐらいの筋力を使うかというメジャーメントの仕方がないことは、これはスポーツを通じて新しいサイエンスじゃないですけれども、どのぐらいの筋量を使ったかみたいなメジャーメントも必要なのかなと思います。どうしても3番だけに寄りがちなものを、スポーツらしくこういった4つをバランスよくやっているかとか、意識して通勤でも、筋トレじゃないですけれども、筋肉に刺激を与えるようにもできると思います。

 何かこういう、せっかくこれを作りましたので、これを展開し、さらにSport in Lifeのほうのホームページでもこれを動画で、例えば通勤のときに筋トレできるにはどうしたらいいか、つり革でやっちゃうとまずいと思いますけども、こうやって。恥ずかしくなければ何でもできるんですけれども、これを通して日本人が国際化を果たし、恥ずかしがらずに、スポーツは恥ずかしいからやらないとか、みっともないとか、格好悪いとか。アスリートでさえ、投げた後におかしいなとかいって、首をひねって、自分が投げたにもかかわらず、結構恥ずかしいとかそういうのがあって、それさえなくなれば多分実施率は上がるんじゃないかと思うんですが。それは置いておいて、いろいろな形で通勤でもやり方を考えますと、どうやったら筋肉に刺激を与える、こういうのを動画とかで結びつけて、これはできるだけ早くやろうと思っていますけれども、ぜひこういったものも生かしながらやっていければと思います。すみません。

 

【久野部会長】  

 長官、ありがとうございます。

 この後、セルフチェックのところでもスポーツと身体活動の在り方は議論しますので、これに関しては後でということにさせていただきますが、中村課長、補足ございますか。

 

【中村健康スポーツ課長】  

 すみません、後でという話ですけれども、補足です。参考資料3で、後で説明しようと思っていたんですけれども、お配りしている手引きの3ページ目を見ていただきますと、今、長官が御説明したその4種類のスポーツで実際にやられているスポーツは何なのかというのを、3ページ目の一番下のグラフに書いています。これはスポーツ庁が調査している、どういうスポーツをやっているかというデータですけれども、圧倒的に3番のところのスポーツばかりが行われているということなので、どうやってバランスのいい運動・スポーツを普及していけるか。やり方、目的の持ち方というのもあると思うのですけれども、そういう課題があると思っていますので、これからこの考え方をさらに社会に広めていくということを進めたいと思っています。

 それと、先生からいただいた厚労省との連携とか日医との連携というのは、おっしゃるとおり進めていきたいというふうに思っております。

 

【久野部会長】  

 ありがとうございました。

 では、そのほか御意見が、ウェブから手が挙がっていますので、まず甲斐委員からお願いします。

 

【甲斐委員】 

 ウェブから失礼いたします。スポーツエールカンパニーと、SILコンソーシアムを広げていくことについてですが、以前の部会で、産業衛生学会でもっとインフォメーションしてはとお伝えしましたら、今年の日本産業衛生学会でシンポジウムが実現しまして、今日の朝9時から仙台で、中村課長にも来ていただきまして、シンポジウムをやってきました。驚くほどの大盛況で、立ち見が出て部屋に人が入り切れないぐらいでした。学会員からの反応が非常に強いので、ぜひこのようなインフォメーションをどんどんやっていただければと思っています。企業担当者からスポーツエールカンパニーを取りたいとか、コンソーシアムに入りたいという話をもう早速いただきました。ただ参加者からは、スポーツエールカンパニーの表彰式をやってほしいという意見はたくさんありました。表彰式の写真を広報に使ったりするので、実施方法の工夫は必要ですが、表彰式もご検討いただきたいというのが、1点目です。

 次に、調査研究については、「するスポーツ」が多いんですけれども、「見るスポーツ」を「するスポーツ」につなげる方法も研究できるのではないでしょうか。これが2点目です。

 あと最後の3点目は、一番下の女性のスポーツのところです。今、書いてあるものも本当に賛成なんですが、妊娠出産期がメインで書かれているのですが、更年期も女性の健康課題として大事だと思います。更年期に対するスポーツの効果については、最近エビデンスが出てきています。スポーツをやっていると更年期症状が軽いとか、骨密度が低くなりにくいとか、脂質代謝異常になりにくいなどです。加えて、更年期以降の女性の労災が非常に増えているので、この問題にスポーツが役立つというのは企業に刺さるのではないかと思います。また、次年度から職場健診の問診で、女性の健康に関する項目が追加される可能性があります。ただ、女性特有の健康問題を把握したときに、企業は何をしたらいいのかというのはまだクリアできていません。ここにスポーツ・運動が必要とされるチャンスが非常にあると思うので、更年期とスポーツも少し考えていただければいいと思いました。

 以上3点です。まずはシンポジウムを実現させていただいて深く感謝申し上げます。ありがとうございます。以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 もう一方ぐらいお聞きしてから、まとめて事務局からお答えをいただこうかと思うんですが。引き続いて松永委員、お願いします。

 

【松永委員】 

 松永です。失礼します。

 今のその他の女性のところのお話です。全般を通してこれまで議論をしてきたので、異論はもちろんございませんし賛成なのですけれども、「楽しさ」というようなキーワードがどこにも入っていない点が気になりました。例えば、先ほどの4番目のシートのその他の女性関連のことが記載してある一番下の部分です。「女性が運動・スポーツの実施に積極的になることができるよう、運動・スポーツの効果や楽しさについて国民のリテラシー向上に向けた周知・啓発を行う」というような感じで、やはり「楽しい」というキーワードは、欠かせないと思いますので、周知・啓発のところに入れてはどうかと思いました。

 あと、先ほど甲斐委員もおっしゃったように、産前産後、出産後の育児期というのはもちろん課題であるということは、この会議の中でも議論を重ねているところなのですけれども、それ以外についても私も気にはなっていました。更年期という視点は、なるほどという思いで参考になりましたが、男性にも更年期はありますので、そこは女性だけにならないような配慮を踏まえて追記をするか否かの検討が必要になるかと思います。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。

 甲斐委員、松永委員のコメントに対して、事務局から何かありますか。

 

【中村健康スポーツ課長】

 特に。

 

【久野部会長】 

 特によろしいでしょうか。

 では、引き続いて近藤委員、お願いします。

 

【近藤委員】 

 資料1の1ページなどを見ると、ロジックモデルがあって、その進捗を管理するためにKPI、キー・パフォーマンス・インジケーターを設定されて取り組んできています。第3期の今後に向けて、後半の間にやるべきこととして、4期を視野に入れた、3期でどこが順調に進んでどこに課題があったのかというのを捉えて4期を作る、基礎資料を作るというようなことが調査研究の課題といいますかテーマとして、あるいは今後の方向のところにあってもいいのではないかなというふうに感じました。

 といいますのは、ほかのところでも経験するんですが、ロジックモデルに対応したKPIを一生懸命設定しようとしても、既存のデータだけだとどんぴしゃというのがなくて、それに近いものでよしとするという現実的な対応をせざるを得ないということがあるんですが、第4期に向けて新しいものを設定しようとかいう場合は、その4期の前に、だから3期の後半のうちにどのような指標がいいかということを考えて、そのベースラインの値を作っておかないと、第4期の現状と目標値みたいなものが作れない。第4期の策定の論議を始めてからだと間に合わないというので、結局なかなか、関係者がみんなこういうのがあるといいよねと思いながら、そういうKPIが立たないままいってしまうという面があるように感じています。

 ですから、今後の施策実施の方向性の調査研究事業のところに、第4期に向けて必要なKPI、その基となるデータの整備、そういうものを行うというのを位置づけていただくといいのではないかなと思いました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 では、引き続いて藤田(紀)委員、お願いします。

 

【藤田(紀)委員】 

 ありがとうございます。私は障害者のところで意見を述べさせていただきたいと思います。これまでの意見を非常にきれいにまとめていただいていてすばらしいなというふうに思っているんですが、いろいろな連携であるとか様々なことを考えると、障害のある人が実際にスポーツをやる場というのはやはり市町村レベルのところが多いんです。なので、そこの市町村レベルで活動しているような指導者に対してきちんと研修であるとかそういったものがされていかないと、今32%程度、30%でしたか、スポーツ実施率が上がっていかないのかなというふうに思います。

 その対象としては、もちろんスポーツ指導者、JSPOの指導資格を持っているようなスポーツ指導者に対する研修であるとか、これも重要だと思います。あと、教員です。障害のある人でスポーツをやっている人はやはりスポーツが好きな人がほとんどなんです。スポーツ嫌いをつくるとスポーツをやらなくなっちゃうので、特に障害のある人の場合は関心がないとかそういう方が多いものですから、そこをスポーツ嫌いをつくらないように、学校の先生、小学校の教員あるいは中高の体育教員に対する研修であるとか。

 それから、もう一つは福祉施設等の指導員の方、こういう方はほとんどスポーツのことを知らないです。ですので、そういうところでも研修とか、障害のある方のスポーツ指導であるとか、どういうスポーツがあるかというふうなことを知らせていくということは重要だと思います。

 そういったところでは、最後に出てきているハンドブックの利用というのは非常にやりやすいのかなというふうに思います。その上で、そういうふうなことを実現するためにはどことどこが連携すればいいのか、市町村レベルでどことどこが連携すればそういう研修がうまくいくのかというところを具体的に挙げて、そこを想定して次のステップに進んでいくということが重要ではないかなというふうに思います。

 また、いわゆるスポーツ施設の指導者に対する研修という意味では、そういう人に直接指導していくということもあるんですが、例えば指定管理の仕様書の中に障害者スポーツ指導員の資格を持っている人を複数名置かなきゃいけないというような、そういうことをもう明記していくような、積極的に入れていくような働きかけも必要なのかなというふうに思います。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 ここまでで特にありますか。事務局からお願いします。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 近藤先生からいただいた4期に向けた検討というのは、まさにこれからこの部会で議論をさせていただこうかなと思っておりますので、その議論の状況を見つつ、あと、毎年やっている世論調査の中でどういうデータを取っていくのかということについても大事だと思いますので、そういった議論も踏まえながら検討させていただければと思います。

 藤田(紀)委員からいただいた御指摘はそのとおりだと思いますので、今後の取組において参考にさせていただきたいというふうに思います。

 

【久野部会長】 

 では、長官からお願いします。

 

【室伏スポーツ庁長官】 

 1件だけ、藤田(紀)委員の障害を持った方のスポーツということで、この間パーソンズ会長、IPC会長が来られて、東京大会の話をされて、ボッチャが国民的スポーツになってすばらしいんだ。我々のスポーツのイメージをパラのスポーツは変えてくれたと思います。何もスポーツができる人だけではなく、足が速く走れる人とか跳べる人だけじゃなくて、いろいろな人がスポーツを楽しめるんだということをまさに示していただいたわけであって、それはスポーツだからできたはずですので、障害の有無に関わらず、まさに新しいスポーツの在り方を示していただいた。これはしっかり捉えて4期に考えていかなければ、いつまでたっても分けた政策になってしまうんじゃないかと思います。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。相澤委員、お願いします。

 

【相澤委員】 

 ありがとうございます。SILの推進プロジェクトで、目的を持った運動・スポーツの考え方とか実践方法をしっかり広めていくということは改めて大変重要なことだと思います。あとは、社会実装に向けた具体的なモデルに選択集中して募っていくというのはすごくいいやり方じゃないかというふうに思います。

 調査研究に関しては、セルフチェック、あとはそのセルフチェックの要素がふんだんに含まれたライフステージごとの運動プログラムは、実は運動器の機能不全とか低下を改善することに加えて、その不全とか低下というのは放置すると代償しかばって動くので、そのとき症状がなくても、実は積み重なっていつか症状、障害に発展します。その予防の要素がふんだんに実は含まれているので、そういったこともしっかり調査研究の要素として文言を入れていくのは非常に重要ではないかというふうに改めて思っています。

 あとは、ライフステージごとの運動プログラムというのは、女性に特化した内容も当然含まれていますので、そういった意味でも重要だろうというふうに思います。

 あと、最後はこのハンドブックです。入門ハンドブックは非常に具体的なツール、コンテンツなので、上の2とか5の項目にも十分に生かせるものであり、すごく波及性の高いものになっていると思いますので、このまま続けてぜひ強化していただきたいというふうに思います。ぜひともよろしくお願いいたします。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 どうもありがとうございました。

 そのほか、いかがでしょうか。前田委員、どうぞ。

 

【前田委員】 

 障害者スポーツの関係で、今、ハンドブックの話が話題になっておりますけども、非常にいいと思っています。今日持ってきたんですけれども、先日、本県のパラスポーツ協会、それからパラスポーツ指導者協議会にも届けていただきまして、ちょうど先週土曜日にパラスポーツ指導員の総会がありましたので、その会に来られた方の参加特典ということで配らせてもらいました。これのすごいところというか、いいところは、日本パラスポーツ協会の公認のスポーツ指導員の数が3万人近くいますとかということが書いてあったりするんですけれども、そのテキストとは若干かぶらないですよね。その下の段階の、そこに入る前の最初の段階のことが書いてあるんです。ここを勉強して、さらに勉強したい場合は指導員の資格を取ってくださいということで、うまくその辺の構成ができています。

 ですので、いつも我々がスポーツ推進委員の方々とかと話したりするときに、パラスポーツ指導員の資格を取ってくださいと言うんですけれども、なかなか4日間あって、それを受けてもらわないといけないし、お金もかかります。テキスト代と最初の申請料とか認定料とか、その辺を合わせると1万円以上は絶対してきますので、その辺もちょっとネックになるな。でも、すごく大事なことなんで学んではほしいんだけれども、それを取ってくれというのはなかなか難しい注文だなというのは肌で感じているところです。

 そういったときに、この研修は結構されているんですよ。推進員の方々もされているし、いろいろ教員の方々も夏休みに勉強されたりしているし、そんなときにこれを使ってもらったらいいということです。また、研修等と書いてあるんですけれども、もうちょっと突っ込んで、それこそセルフチェックのようなああいった動画のコンテンツがあれば非常にいい研修ができると思うんです。なかなか講師を呼んできてしゃべってくださいと言っても、そのとおりしゃべってもらえるかどうかも分からないし、なかなか講師料もかかってくるし大変なんですけれども、じゃあみんなでそれを見ましょうとかという研修であれば非常にやりやすいんじゃないかなと思います。

 ですので、せっかくなんで、ここまで作るんであれば動画のコンテンツをぜひ作っていただいてやっていただくと結構広まるんじゃないかなと思います。よろしくお願いします。

 

【久野部会長】

 ありがとうございました。

 この基本計画の中間報告の部会があって、その部会長を渡邉委員がされているということで、最後、ポイントを、この議論の感想を含めてお願いします。

 

【渡邉部会長代理】

 ありがとうございます。健康スポーツ部会の今までの議論がよく集約されていると思います。今、発言された話は置いておいて、1点だけお願いしたいことは、運動・スポーツ習慣化促進事業に関して、単年度から複数年度ということで、伴走の期間から自走へという話がありますけれども、実際に自走するためには、財源の問題であったり、担当する人員の問題であったりということがありますので、そこをぜひスポーツ庁のほうでいろいろフォローできるような、そんなお金の出し方をしていただければいいのではないかなと思います。

 ともすると、今までは単年度でやって、お金もついていろいろな人も関わっていたんでモデル事業はよかったんだけれども、その後になるとだんだんシュリンクしていくといったようなことが多いので、そこのやはり資源的なものを、どうやって財源を確保したらいいのかと、どれだけの人員をそこにあてがったらいいのかと。

 あとは、藤田(紀)委員の話ではありませんが、官だけでは当然できませんので、産官学民、最近で言うと金言士、こういった地域のリソースをどうやって絡めたらそれが自走が持続的になるのか、そのあたりもアドバイスしてもらえるといいのではないかなと思います。部会の取りまとめとしては基本計画部会でしっかりと受け止めさせていただきます。ありがとうございます。

 

【久野部会長】  ありがとうございました。本日も熱心な御議論いただいたと思っております。この議題の冒頭にお伝えしましたように、今日のいただいた御意見も踏まえて最終取りまとめを事務局のほうでしていただきますが、その取扱いに関しては部会長である私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。それでは、今後事務局とも相談した上で、本中間評価結果案につきましては、スポーツ基本計画部会や総会のほうに報告させていただきます。

 改めまして、委員の皆様には第3期スポーツ基本計画の中間評価を行うに当たり多大な御尽力を賜りましたことを感謝申し上げます。この中間評価結果が来年度以降の施策実施や次期基本計画につながっていくよう部会としても議論を今後も重ねていきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 では、引き続いて議題2の「セルフチェックの普及について」に入りたいと思います。

 では、まず事務局より御説明をお願いします。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 ただいまもいろいろ御議論が出ましたけれども、今後セルフチェックをどのように普及していくかということについて、いろいろ御意見をいただければなと思っております。

 先生方もよく御承知かと思いますけれども、毎年皆様が受けている健康診断は基本的に内臓を見るものだと思いますし、心を見るものとしてはストレスチェックがあるんですけれども、運動器を見るという仕組みがないということです。そういった非常に大事な部分、これは津下先生もおっしゃっておりますように、転倒などの災害を防ぐという意味でも非常に大事だと思うんですけれども、運動器をチェックする「セルフチェック」をどうすれば社会に実装していけるかということで、いろいろお知恵をいただきたいと思っております。

 2ページ目に書いておりますのは、復習のような形ですけれども、身体診断「セルフチェック」というのはどういうものかということで、この資料の10ページ目、11ページ目、12ページ目に、体の運動器全体をチェックできる11項目というのがこのセルフチェックというものになっております。そこでうまく動かなかったものを改善していくためのエクササイズとして、11ページ目、12ページ目にあるのが改善エクササイズでして、セルフチェックと改善エクササイズをどう社会に広めていけるかということが課題になっているということでございます。

 3ページ目のほうに、これまでセルフチェックを広めていく取組としてスポーツ庁はどういうことをやってきたかということを簡単にまとめておりますけれども、長官がいろいろなところで講演をしていただくことも含めて、スポーツ庁の広報媒体で様々なPRをしたり、学会で話したりというようなこともやってきておりますし、このセルフチェックは実際にどういう効果が得られるのかということを、令和5年度以降、金岡先生などにもいろいろ御協力をいただきまして、実証研究もやってきております。

 資料の14ページ目に記載をさせていただいておりますけれども、セルフチェックの指導をする方を育てようということで、令和6年から指導者育成のセミナーをやって、これまで37名の指導者を育成してきております。さらに、そういった指導者が実際に企業に行って指導するという実証も、これは今年の2月にJTBコミュニケーションデザインの協力をいただきまして実施しております。そういったことも踏まえて、先ほど先走って御紹介しましたけれども、参考資料3にありますセルフチェックの手引きを作成しております。

 現状で言いますと、次の4枚目にございますけれども、世の中の人が運動器のチェックをどのぐらい受けているのかということを昨年度の調査でも調べたところ、まだまだ13%程度しかいない、特に現役世代ではその割合が低くなっているということで、例えば年1回など、定期的に運動器のチェックを受け入るような仕組みをつくっていけないかなということを課題として今、捉えております。

 今日御議論いただくための論点として幾つか御用意をさせていただいたのが5ページ目にございまして、まず、運動器のチェックはなかなか皆さんになじんでいないということも含めて、どうすれば運動器をチェックする重要性が国民に広めていけるかということについて、お知恵をいただけないかなというのがまず1点目でございます。

 それから、2点目としまして、スポーツ庁のほうで先ほども御説明したように三十数名の指導者を育ててきたわけですけれども、これをずっと続けていってもなかなか日本全体に広がるような数が確保できるわけではないので、どうすれば指導者を今後さらに効果的に育成をしていき、日本全体にセルフチェックを普及していけるかと、そういう組立て方で何かお知恵があればということが2点目でございます。それにおいて、この第1期生である37名の方々をどううまく活躍していただけるかということも含めて、何か御意見があればいただけないかなということでございます。

 3点目として、セルフチェックを広めていくに当たり、今日御参加いただいている委員の方も含めまして、スポーツ団体とか医療機関とか学会とどういうふうに連携をしていけばよいのかというのが3点目でございます。

 4点目として、特に働く世代となると企業の協力が大事になってきますので、定期的に運動器のチェックをしていくということを企業に根づかせていくためにはどういう仕掛けがいいだろうかということについても御意見をいただければと思います。

 最後に、地方公共団体との連携というのも、その方策について何か御意見があればいただければありがたいと思っております。

 以上です。よろしくお願いします。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 そうしましたら、今の5ページの5つの論点、中村課長から御説明をいただきましたが、まず前半は上3つ、広報、セルフチェック指導者の育成、それから関連団体との連携という、この3点に関して議論して、後半は企業や自治体への普及、連携というようなことを議論したいと思います。

 では、現地、ウェブからでも、どなたか挙手ボタン、手を挙げていただければと思いますがいかがでしょうか。広報やセルフチェック指導者の育成、関係学会との関係に関して御意見ございますでしょうか。

 まず、金岡委員、この3点の中でどれかコメントはありますか。いかがでしょうか。

 

【金岡委員】 

 ありがとうございます。

 先ほど中村課長に御紹介いただいたように、自治体とか大学生とか、いろいろな対象者に対して検証してきて、運動器を専門とする整形外科医として、壊れてしまったものの評価はできるんですけれども、その以前の段階を評価する方法がほとんどなくて、いわゆる血液検査等で健診でメタボで対策をというふうなことが、今のところ全く運動器に関してはできていないような状況ですので、それの必要性が高いということに気づきました。その先どのようにして普及していけるのか、どのような方策があるのか、今、私自身そこまであまり具体的ないいアイデアが出ていないようなところではあります。でも、その重要性には非常に気づいているところですので、ぜひこれを広げていただきたいなというふうには思います。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 甲斐委員から手が挙がっております。甲斐委員、どうぞ。

 

【甲斐委員】 

 ありがとうございます。関連団体になると思いますが、健康運動指導士の皆さんに学んでもらうのは一つあると思います。健康運動指導士を認定されている健康・体力づくり事業財団、もしくは、健康運動指導士の必修講座や更新講座をされているの健康運動指導士会なので、こういうところの講座に入れていただくと一定数普及するのではないでしょうか。健康運動指導士の方々が自治体や企業で運動指導するときに、こういうのがありますよと紹介してもらう方法があると思いました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 健康運動指導士等のところは大きな影響力があると思いますので、一つの重要なポイントだなと思いました。

 津下委員、お願いします。

 

【津下委員】 

 健康運動指導士については、予防的なところから集団的なスポーツまでやっておりますし、THPの活動などにも関わっているということで、私も賛同します。また、健康スポーツ医の研修会もあります。そこの中でいろいろなスポーツの、それは障害になってからの話も多いんですけれども、産業医とかそういうところは障害になる前の予防ということ、対策にすごく関心があると思うので、その辺りの研修の中に入れ込んでいくというのも一つ可能性としてはあるのかなとに思っています。

 それから、学会に関して言いますと、11月に2日、3日で臨床スポーツ医学会を開催させていただく予定で今準備を進めておりますが、「ライフパフォーマンスを高めるスポーツ医学」ということで、これに関するシンポジウムや、室伏長官のお話も、特別講演も含めていろいろな場を準備しております。そのシンポジウムの中で、金岡先生の研究とか、中田先生に今、大阪大学でやっていらっしゃる研究のご紹介とか、スポーツ庁さんの取組の成果を皆さんに見ていただけるような場にしたい、そこをかなり強調したいと思っておりまして、そういうような準備を進めているところになります。

 その中で、展示とかいろいろなブース、シンポジウムだけではなくて見ていただくとか、資材を取っていただけるような機会をつくることができたらいいかなと思っています。関連学会も10個ぐらい合同になっていますので、いろいろなところでそこからまた横に広がっていくとか、学会同士のつながりというのを普及していくというのも一つあるのかなということで、やれるところを一つずつ、仲間を増やしていくというようなことと。

 指導者がこれを持つことでどういうインセンティブというか、何か特別感があるとこれを取りたくなるということです。例えばトップアスリートとの接点があるというのは非常にうれしいことでもありますので、みんなで健康づくりしましょうにプラスアルファの価値をどうつけて、運動指導者がそこは行きたいとか、そこの仲間に入りたいみたいな仕掛けもつくっていくといいのかなというふうには思いました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。セルフチェック指導者の育成という観点でも、これだけをやる人をつくるというよりは、津下先生のお話のように、既存のところにうまくここの付加価値として入っていくほうが広がりやすいというふうな理解をしたんですけれども、先生、合っていますでしょうか。

 

【津下委員】 

 はい、そう思います。どうしてもこれだけをやろうと思うとすごくエネルギーがかかったり特別感があるんですけれども、一定の基礎的なものがあった上で、さらに、長官がおっしゃるようにウオーキングだけじゃ駄目でしょうとか、ちゃんとその人の状態をどう見るかということが大事ですというようなメッセージの下に伝えていくと、ちょっと上のランクというようなイメージになるのかなというふうに思いました。

 もう1点なんですけれども、実はボランティアで地域の健康づくりをやっている住民主体の活動というのは非常に広がっていて、そういう中で簡易版じゃないですけれども、その年齢とか地域の指導者がおります。そういう専門的な指導者資格ではないけれども地域のボランティア組織で頑張っている人たちが、こういうのを勉強することでその効果が測れるよとか、自分たちは頑張っているんだけれどもどんな効果があったのといったときに、こういうのをやるといいんですよみたいな、そういう人たちにも広げていけるとよいのではないでしょうか。ボランティアは数が多いので、やっていくといいのかなということも思いました。簡単バージョンが必要かなとは思います。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。

 では、もうお一方、手が挙がっていますので、それをいただいた後、後半の企業や自治体への普及のところに入っていきたいと思います。

 では、小野寺さん、よろしくお願いします。

 

【佐々木委員代理(小野寺)】 

 スポ団連の小野寺です。佐々木の代わりに発言させていただきます。

 まず指導者関連のところで言いますと、先ほど健康運動指導士、あとほかにはNSCAであったりとか、JATIであったりとか、あとほかの指導者の認定団体のところ、それともう一つは理学療法士協会などもありますので、そういった方々にぜひ知っていただくのが、まず一緒にやっていくのがいいのではないかなと。

 もう一つ、私どものところに入っているフィットネス産業協会であったりとか、テニス場、ボウリング場であったりとか、あとゴルフ場などの団体などもありますので、そういったところでまず先行的に、先ほどの30名の方であったりとか、あと、例えば理学療法士協会などの一つの事業として、スポーツ庁の普及啓発の事業として、各スポーツ施設の事業者のところで利用者の方々にこのセルフチェックを実際に知っていただく周知活動みたいなことを行っていただくというような座組が組めるのではないかなというところを思っております。

 理学療法士協会やトレーニング指導者団体の皆様は私どもが共催で入っている展示会SPORTECの実行委員のメンバーにも入っていただいていますし、展示会を活用してスポーツ庁の皆さんと一緒にキャンペーンを仕掛けるというようなことも十分できます。そういうところは実務的な企画、実行可能な企画として御検討いただけるのではないかなと思っています。

 以上になります。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

やはりこれだけの委員の方がいらっしゃるので、いろいろなステークホルダーを御紹介いただきましたので、ぜひその辺り参考に事務局のほうでしていただければと思います。

 では、企業への普及や地方公共団体との連携という観点で、小松原委員と湯梨浜町長から御発言いただいて、そのほかまた手を挙げていただければと思います。では、小松原委員、お願いします。

 

【小松原委員】  

 ありがとうございます。健保連の小松原でございます。

 企業への普及面では現在、健康経営優良法人が花盛りになっております。他方で、健康経営優良法人の認定における設問表に「定期的な体力測定やセルフチェックを行っていること」という設問が入っているものの、企業側は何をすればよいかわからず、大変困っているかと思います。そのため、私はぜひ長官のビデオメッセージをつけていただき、「健康経営を目指している企業はこのような取り組みを行っていただくと定期的にセルフチェックを行っていることになります」ということを発信していただくと、一気に普及するかと思います。

 また、先ほどの議論で国民向け広報について言及がありましたが、セルフチェックの動画を見たところ、自分でできないものがたくさんあると感じました。気づきを与える手段として、例えば、交通広告を利用するという方法があると思います。タクシーの車内にタブレットがついていますので、首の可動域であればタクシーに乗っているときにチェックができると思います。「答えはホームページで」という方法でもよいと思いますので、気づきを与えるためにも、ホームページへ誘導する仕掛けがあるとよいのではないかと感じたところです。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 では、湯梨浜の宮脇町長、宮脇委員、お願いいたします。

 

【宮脇委員】 

 宮脇でございます。よろしくお願いいたします。

湯梨浜町では、これまで食と運動による健康づくりから入ってまいりました。久野先生の御指導をいただいて実際のデータを見ながら進めているところでございます。

去年とおととしは、町がやっている事業ですから、保険者の国保あるいは健保の方たち、健保協会の方たちも一緒に対象にできないかということで、モデル事業として実施しました。それを引き続きやっていこうとするには、やはり先ほどお話が出ていた財源の問題というのがございます。それは私どものほうにもたくさんくださいというわけじゃなくて、その人が病院に通い出してどうなったかとか、そこまで調査しないと全然お金を出さないということです。では保健師の指導とかはどうなるんだろうという、問題を抱えているところでございますが、続けていきたいというふうに町としては思っております。

それで、実は職域連携ということもやっておりまして、町内にあります医療機関と連携して保険の部分を一緒に進めてきたところでございます。

 ちょっと違った観点になりますけれども、実はせんだって、町の食生活改善推進員の紹介がありまして、ある比較的大きめの集落で、130人いた食改善の推進委員さんが、今や39人というような状況になっておりました。これは大変残念なんですが、湯梨浜町は今健康づくりを一生懸命やっていますので半分は皆さんが背負うつもりで、ぜひまた頑張ってやっていただきたい、魅力がなければ魅力としてやりたいことを一生懸命教えてくださいということをお願いしたりしているところでございます。そういう関係を強化しながら、この5年間の成果をきちんとまた住民の皆さんにも還元したいと思っております。

 もう一つ参考になるかなと思っておりますのが、実は今年度か自分でLINEを使って入力していけばフレイル予防に対する回答が出るというシステムを導入いたしました。1か月目の時点で39人ほどだったということで、数は多くないですけれども、月に1回ぐらいデータを入力してもらい1か月ごとに結果を送っています。将来的には、LINEのように日常的に使うもので自動的にデータを記録してセルフチェックする世界もあるかなと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

【久野部会長】 

 宮脇委員、ありがとうございました。自治体の首長さんのお立場から重要な御意見をいただいたと思います。そのほか御意見いかがでしょうか。

 

【渡邉部会長代理】 

 では、先生、いいですか。

 

【久野部会長】 

 ぜひ、渡邉委員、お願いします。

 

【渡邉部会長代理】 

 最終的には国民との接点をどれだけ増やすかという話になると思うんですけれども、広報であれ、育成、連携、普及であれ、全部これはセットものだというふうに思います。先ほどいろいろな、健康運動指導士だとか、理学療法士だとか、健康経営優良法人とかいろいろ出てきましたけれども、こういったところと連携するときには当然指導者の養成と広報、さらには連携というのが全部セットになってくると思うんです。例えばここを見渡すだけでも、岩田さんがいて、JSPOのスポーツ指導員の方がいらっしゃいますよね。こういった研修の中でも1コマ設けてもらうだけで全然違ってくると思うんです。

 それと議題の1番でありましたけれども、Sport in Lifeコンソーシアムの組織、スポーツエールカンパニーの組織、こういったところに何かインセンティブを与えながらセルフチェックの指導者を育成してもらって、実際にそれぞれの組織の中でそういった人たちに伝道師になってもらうといったことが多分普及につながっていくと思いますので、点から線、さらに面へという戦略を考えてもらえると随分広がるかなと、そんなふうに思います。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 重要な視点ありがとうございます。

 では、藤田(紀)委員、お願いします。

 

【藤田(紀)委員】 

 ありがとうございます。どこの段階で言おうかなと思っていたんですけれども、障害のある方のことはこの中では全く触れられていないんです。安全面であるとか、そういったところのことがあってのことだとは思うんですが、とはいえ、例えば前田委員のことを出してはあれですけれども、前田委員だって首の可動性とか、そういうのはできると思うんです。なので、全部やりなさいではなくて、何かできるものを安全に配慮してやるとか、そういう部分が一言入っていてもいいのかなという気がしました。分からない場合は先ほどの指導者ハンドブックを参考にでもいいと思うんですけれども、そういう部分、一言も触れていないというのは何かちょっと気持ち悪いと感じました。

 以上です。

 

【久野部会長】

 藤田(紀)委員、ありがとうございました。重要な御指摘だと思いました。

 では、能瀬委員、お願いします。

 

【能瀬委員】 

 すみません、遅れての参加となり申し訳ありませんでした。

 全体にも関わってくるかと思うんですけれども、やはりセルフチェック単独でとなると実施率が低くなる可能性もあるので、例えば企業との連携というところでは、健診のときにセルフチェックを実施してもらうと。それが運動実施につながるには、やはり個別化した運動プログラムの提供というのがなければなかなか実施につながらないと思いますので、セルフチェックを健診時にやってもらって、その結果を基に、そこに運動指導員が健診のときに実際にそこにいて、個別化した運動プログラムを提供するというのができれば、連携して1からの御質問が全て連携してまとまるんじゃないかなと感じました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 津下委員、どうぞ。

 

【津下委員】 

 すみません。これは本当にいろいろな取組があり得ると思います。その中で、先ほど渡邉委員が言われたことにも近いんですけれども、目標として、どういう人にどこまでどういうふうに広げていくかとか、KPIじゃないですけれども、目標をどう立てていつまでにどどこまで達成していくのかとかスケジュール感、それから、スポーツ庁のもともとの基本計画のKPIにどうこれを結びつけていくかという構造的なものとか、プラットフォームを誰がそれを見て進捗管理していくかという、そういうような構造的なものも必要なんだろうと。それに、指導者養成はできたけれどもその先に広がっていないのかどうなのかとか、いろいろなことが分かると思うので、そんな観点も入れていただくといいのかなと思いました。

 以上です。

 

【久野部会長】

 ありがとうございました。 相澤委員、どうぞ。

 

【相澤委員】 

 先ほど来、何度か理学療法士協会とか理学療法士というキーワードが出てきましたので、相澤は理学療法士なので少しコメントさせていただきます。理学療法士は専門領域がかなり多岐にわたっていて、その中でも運動器を専門とする人とか、スポーツを専門とする、さらに認定、専門という資格を持っている一定水準以上の上位資格者がいます。

 広めるという意味では、何か受講して、試験を受けて、ハードルを設けてというのも大事なんですけれども、一定水準以上の上位資格者にそういう課程を免除して、何か指導する権限を与えてしまって、それで一気に広めていくという考え方もあるのではないかというふうに思います。こつこつ積み上げつつも、一定水準以上のしっかりとした知識、技量を担保できる人であれば権限などを与えてしまって、少しパワーを持って広めていくという考え方もあるのではないかというふうに一応言っておきたいと思います。

 以上です。

 

【久野部会長】

 ありがとうございます。では、最後に小熊委員、よろしくお願いします。

 

【小熊委員】 

 ありがとうございます。私自身が十分理解し切れていないところもあると思うんですけれども、どういう方に特に効果が期待できるかとか、均一にみんなにというのはなかなか難しいと思うので、効果を見据えてターゲットをある程度決めて行っていくというのも大事なところかと思いました。普及の戦略として考えていく必要もあるかと思ったので、手を挙げさせていただきました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 大事な視点ありがとうございました。

 すみません、最後に私からも発言をさせていただきたいんですが、先ほど金岡委員の冒頭の発言からこの議論が始まって、それで、ここに近い概念でロコモティブシンドロームというのがあって、だけれどもそれが必ずしもすごく広がっているわけでもないし、なぜそういうなのかなと皆さんの意見を聞きながら考えたときに、やはりロコモという言葉から入っていくと、これは高齢者のところだけの世界なので、若年者や中年者にはちょっと遠い世界というイメージがあって。

 それからもう一つは、スポーツ・運動の健康への効果は疾病予防というエビデンスを出すことが我々その領域の研究者も重要なことだったんですけれども、100歳時代を求めた中で、疾病がかなりコントロールされてきて、疾病予防だけを求めていくことが我々の世界の限界が出てきています。その中で、ウエルビーイングを求めていくとなると、疾病予防という観点だけでセルフチェックを広報していても響かない可能性が高いんじゃないかと思いました。

 そういう面では、もう少し人生100歳時代の中でウエルビーイングを高めていくという観点と。

 それからもう一つ、子育てのあたりの20代から40代ぐらいの女性の健康課題を取り扱っていると、不定愁訴、つまり腰痛や肩こりという問題がとても大きい。先日、浜松での3,000人ぐらいが集まる子育ての女性だけのイベントでいろいろな調査をかけさせていただいたんですけれども、8割ぐらいが不定愁訴を訴えているんです。だから、やはりそういう問題に響くようなセルフチェックの持っていき方をしていくことによって、多様な世代にも広がっていくんじゃないかなと思っています。

 厚労省がいきなり健康、疾病予防の看板を外してびゅーんと行くわけには絶対いかないんですけれども、スポーツ庁の健康・スポーツという考え方は、疾病予防だけじゃなくてウエルビーイングみたいな方向に行くほうが役割分担も明確になりますし、具体化してくるんじゃないかなと皆様の議論を聞いて感じました。

 このテーマは非常に長官の思い入れも持ってやってきたものでもありますので、最後、この議論に関して長官から一言いただけますか。

 

【室伏スポーツ庁長官】 

 ありがとうございます。我々は生きている間に体を使わなければ衰えるわけであって、全部がまとまって載っているページがありましたけれども、例えばこの格好ができるのかみたいなことは大事なことだと思います。使わなければもうどんどん衰えていく一方ですけれども、エビデンス的にはありますとおり、これはいろいろなほかの筋肉、筋力もそうですけれども、大体50歳前後から衰えていく一方ですので、これは食い止めなければ、労働生産性のこともありますけれども、まさにスポーツをする以前に体の機能がどうかというところを着目していくことは、スポーツらしい健康を求める上では大事なことだと思います。

 また、先ほど障害のある方はどうかということですけれども、ここに一言も無理にやりなさいということは書いていないですし、できる範囲でもちろん、むしろパラの精神じゃないですけれども、持っている機能をいかにして高めるかという精神に立っているかと思いますので、その点も必要な記載があるんであればそういったことも書く必要があると思いますが。

 全員100%の人が要るわけではなくて、できる人をつくっているわけじゃなくて、気づきの話がありましたけれども、「ああ、できないんだ」とか、「じゃあもうちょっとやろう」と。運動能力がすごくあってもできない人は多いです。これは別に運動能力を測っているものではないです。なので、一般の方、スポーツ選手もあまり変わりがなく、しかも、運動選手は機能が悪いとけがをして、引退してしまうようなけがをしてしまうということもあるわけです。我々は自分の体を知らなさ過ぎて、せめてちょっと頭を、首を回して回るかなのチェックぐらいしても罰は当たらないのかなというふうに思います。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。熱心な議論をしていただきました。

 課長から何かありますか、この点に関して。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 非常にいろいろ参考になる御意見いただいてありがとうございました。全体の戦略から既存の仕組みをどううまく使うかということも含めて、よく我々整理して、今日はセルフチェックだけ取り出して議論しましたけれども、当然全体が連携してやっていく話ですので、よく考えて進めていきたいと思います。ありがとうございます。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。最後の長官のコメントや、ここまでの議論で、もう少しこういう点を御発言されたかったというようなこともあると思いますので、その場合には事務局のほうまでメールにてお伝えいただくよう、お願いいたします。

 では、議題3のほうに移らせていただきます。事務局から報告をお願いいたします。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 議題3の報告ということでございますけれども、資料3を御覧いただければと思います。これは暑くなる前に熱中症予防についての通知を毎年出しているものでございます。今年は少し早めに出しています。 中身として、今年はJSPOさんのほうで調査をされた、熱中症予防が実際に現場でどのぐらい行われているのかということの調査結果を参考に、1枚目の下半分に載せさせていただいております。できているものもできていないものもあるのですけれども、2ページ目にいきますと、例えば暑熱順化などは十分に行われていないとか、実際の現場の実態が分かる数字でありますので、これを参考に載せました。

 また、2ページ目の下半分の重点として取り組むべき事項というところに、毎年、暑くなると、マスコミなどでも運動・スポーツは控えましょうという発信ばかりがされているような状況にあって、夏は全く運動しなくていいのかという話になってしまいますので、きちんと熱中症対策を講じながら、夏の期間も運動・スポーツを続けることは大事ですよというメッセージも含めて出していこうということで、こういった記載を今年は新たに設けました。重点的に取り組んでほしい事項も入れました。ということで、この件は御報告でございます。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

 以上をもちまして、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。

 なお、本日はもう1点、これまでの会議において次期基本計画に向けた御意見も多くあったところ、その中で日常生活の身体活動の位置づけ、評価についても、多くの意見をいただいております。この点について、スポーツ庁ではスポーツの実施状況等に関する世論調査において運動・スポーツの実施率を調べているところですが、こうした日常生活における多様な身体活動を調査の中でどのように把握し、その結果をどう活用し、国民の運動・スポーツ実施のハードルを下げていくかといった観点から、少し委員の皆様から御意見をいただきたいという要望をいただいております。

 では、これに関して、もう少し詳細な説明を事務局よりお願いいたします。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 参考資料の5を御覧いただければと思います。この部会でも、これまで何度か先生方から御意見をいただいておりますけれども、特に働く世代のスポーツ・運動をどういうふうに促していくかという観点について、現在スポーツ庁が毎年実施している世論調査では、基本的には日常生活の中で行われている身体活動というものは対象にしていないという状況にあります。

 他方で、働き世代、子育て世代の運動・スポーツの促進という観点で、日常生活における身体活動も運動・スポーツとして捉えてはどうかという御意見を、この部会でも何度かいただいております。この部会に限らず、学会などに行ってもそういう御意見を聞くことが私も多くて、これをどういうふうに今後考えていくべきか、今日、別に結論を出すというわけではございませんが、委員の先生方のお考え、御意見もお伺いできればなということで取り上げさせていただきました。

 2枚目のほうに、御意見いただくに当たってこういうことが気になっていますということで書かせていただいているのですけれども、まず、日常生活における身体活動について、スポーツ庁が行っている調査の中でどういうふうに位置づけていけばよいのかということに関して、一つは日常から切り離された運動・スポーツと日常生活における身体活動、通勤・通学による移動でありますとか、家事によって体を動かすことでありますとか、そういった日常生活における身体活動を同列に扱ってよいのかというのが一つ観点としてあるかと思います。

 仮に、2つ目にありますけれども、日常生活における身体活動を入れていこうということになった場合、この部会でもずっと議論させていただいております、目的を持ってスポーツを実施しようという考え方とどういうふうに折り合いをつけられるのかという観点があるかということでございます。

 さらに、3つ目として、そもそも日常生活における身体活動を運動・スポーツとして捉えるということが、働く世代や子育て世代に運動を促す手段として本当に有効なのかということ。もう少し具体的な話として、もし実施状況の中でこういったものを拾い上げてスポーツ実施率に仮に組み込んでいくということになると、もともと想定していなかったものでございますので、第3期スポーツ基本計画の目標の継続性なども含めてどういうふうに整理をするべきなのかといったことが、まず論点としてあるかなと思っております。

 もう一つ、日常生活の身体活動を運動・スポーツとして入れていくかどうかということについて、国民にどういうふうにメッセージを伝えていけばよいのか、もしくは伝わってはいけないのかということについて、例えば普通に日常生活を送るだけで運動になりますというようなメッセージになってしまうと、そもそも運動・スポーツをやろうという気持ちをそぐのではないか、マイナス効果があるのではないか、目的を持った運動・スポーツを進めることとの齟齬が生じないかということがまず一つ気になるところとしてあるかなと思っております。

 他方で、女性も含めて育児、介護、家事などで時間のない方々に対して、もっとスポーツをやれ、もっと運動やれというようなメッセージをかなり否定的に捉えている御意見もある中で、どうすればそういった方々にも応援メッセージのような形で、運動・スポーツを促すような形でメッセージを出していけるのかということも、これを併せて考えなければいけないかなというふうに思っています。

 最後に、論点として書いてありますが、スポーツと一言で言った場合に、なかなかスポーツの定義というのは難しいんですけれども、一般的にはサッカーとか野球とか、そういう競技性のあるものがスポーツだろうと捉えている方が現実としては多い中で、なかなかスポーツに対して苦手意識とかを持っている方にどうすればハードルを下げて、じゃあ自分もやってみようかなというふうな気持ちになっていただけるかという観点でも、メッセージの出し方というのは大事かなと思っております。

 なかなかすぐに答えが出る話ではないんですけれども、委員の先生方のお考えもお伺いできればなということで取り上げさせていただきました。よろしくお願いします。

 

【久野部会長】  

 中村課長、ありがとうございました。

 今、御説明があったように、健康スポーツ部会においてもこの辺りは今後いろいろな観点で考えなければいけないことなので、ブレインストーミングということで、自由に御発言いただければと思います。

 今日まだ岩田委員が御発言いただいていないので、最初に岩田委員から始めていただいて、あとはぜひ挙手ボタン、現場の方は手を挙げていただければと思います。

では、岩田委員、よろしくお願いします。

 

【岩田委員】  

 これはとても難しい問題であると思います。JSPOとJOCが100周年を記念し、「スポーツ宣言日本」という日本スポーツ界の志が発表されました。その中で、スポーツは自発的な運動の楽しみを基調とする人類共通の文化であると示しています。運動、動き、身体活動の中に楽しみがあって初めてのスポーツであると定義しました。では、例えば家事などは、もちろん楽しみがある場合もありますが、すごく重労働であるとも言える中で、これがスポーツであるとはなかなか思えません。そういった点を踏まえると、日常の身体活動を全て入れ込んだものをスポーツ実施率であるとカウントし、実施率が上がりました、下がりましたという統計をスポーツ庁として出すことはなかなか難しい判断だと思います。

 さらに、スポーツの定義は、明確な結論を導き出すことが難しいものであるため、来年のスポーツ実施率の調査までに結論を出すことは難しいと思います。健康スポーツ部会の中で先生方とも議論を進めながら、スポーツ庁として、あるいはスポーツ界としての方向性だけでも示し、それに基づき進めていくことができればよいのではないかと思っております。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。トップバッターに重要な論点を提示いただいたと思うんですが、そのほかいかがでしょうか。せっかくですので御自由にどんどんお願いできればと思いますが。じゃあ、金岡委員からお願いします。次いで、甲斐委員、小熊委員といきます。

 

【金岡委員】 

 先ほどの目的を持った運動かどうかという、確かに御飯を食べて生きているという、基礎代謝でもエネルギーを使っているわけで、それはさすがに運動とは呼ばないかもしれません。しかし、例えば有酸素運動能力を高めようと思って駅のエスカレーターを使わずに階段を上る。あるいは、駅までたらたら歩けば20分だけれども15分で頑張って歩いていく。それで有酸素運動能力を高めようという目的があれば、それはそれで有酸素運動として捉えていいんじゃないかなというふうには思います。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。

 甲斐委員、お願いします。

 

【甲斐委員】 

 ありがとうございます。今の金岡委員の目的を持ってというところは、個人の中の目的意識なので、それは外から分からないというのはあるんですが、私自身はスポーツの定義、特に調査に関しては今のままがいいと思っています。というのも、疫学としては、定義が変わってしまうと数値の連続性がなくなってしまうので、やはりこのままがいいと思います。

 あと、エビデンスに基づいて考えても、私は運動とメンタルヘルスの研究をしていたのですが、余暇での運動、つまりほぼスポーツですが、それは1年後にメンタルヘルスが悪化することを予防します。一方、通勤で歩いているだけではメンタル悪化の予防につながりませんでした。また、先ほど資料の中には介護も入っていましたが、自宅で介護をしている人は、自宅での身体活動量が高いとメンタルヘルスが悪くなっていたんです。

 ですので、先ほど久野委員長もウエルビーイングとおっしゃられたんですが、体を仕事や介護で動かすのは「労働」なんです。労働として体を動かすのは逆に健康に悪影響があるんじゃないかという、パラドックスという仮説もあるくらいです。私はやはり日常の労働からは切り離されて、楽しさとか自主性を伴うことがスポーツの一つの価値であり、スポーツ庁らしいのではないかと考えます。すみません、まだ答えはないんですが、以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。

 小熊委員、お願いします。

 

【小熊委員】 

 ありがとうございます。身体活動という意味では、身体活動は体を動かすこと全般なので、その中で、甲斐委員もおっしゃったように、ドメインとか場面とか言いますけれども、余暇で行う部分、移動で行う部分、家事で行う部分、仕事で行う部分とわけたりします。基本健康への効果はその合計が大事だというようなエビデンスがある中で、やはり場面ごとのものも分けて考えることも重要であると言われているかと思います。

 特に、今、職業上の身体活動が同じように効果があるかというと、パラドックスと言ってくださったように、コントラバーシャルのところでもあるので、やはりそこは混同しないほうがいいのではと思います。日常生活の中で行う部分も、調査という意味ではそこを混ぜてしまって運動実施率が上がったところで、それは違うものを見ているだけだと思うので、そうではなく、やはりコンスタントに取っていく中で考えていったほうがいいと思います。

 一方で、今、ZOOMの背景を変えさせていただいたんですが、私自身はこの慶應スポーツSDGsというセンターで活動もしています。その中ではスポーツをかなり広く捉えていて、身体活動もある意味スポーツというか、それは誰でも毎日身近に行えることであるし、楽しいものだし、他人ごとにならない自分事ができるものであるというようなことでスポーツを定義して使っています。異論のある方もいらっしゃるかもしれませんが、そうやってスポーツを誰でも身近なものにするのも大事だと思っています。調査で行うものとか、定義を変えていくことはかなり慎重にしないといけないかと思います。

 厚労省から「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が出ていますけれども、そちらでも運動や身体活動について定義がなされています。その辺もなるだけ相互に理解して、いろいろな定義が存在するよりは、共通に理解できるように、一般の方などメッセージを受ける側が理解しやすいような形に発信していくことも大事だと思いました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。

 近藤委員、お願いします。

 

【近藤委員】 

 数字の変化を見る上では質問を変えないほうがいいと私も思います。一方で、身体活動も少なくとも健康にはいいというのは、先ほど甲斐委員が言ったように、一部の人においては裏目に出る場合もあるんでしょうけれども、トータルで見ればいいというエビデンスのほうが多いと思います。なので両論併記というか、今と同じのを聞いた後に、通勤のときとか育児等で体を動かすのを含めたらどうですかというのをもう1問を加えることで、今までと同じ数字で変化を見つつ、働き盛りとか育児に忙しい世代で運動ができない理由として多いのはそういうもので忙しいからだというのはスポーツ庁のホームページにも書いてあって、今チャットに送りましたけれども、スポーツ庁のホームページで通勤という言葉を入れて検索してみると、そういうものをスポーツ庁も推奨してきたという面もありますので、その両面を捉えるというふうにしたらいかがかなと思いました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。

 能瀬委員、それから藤田(紀)委員、松永委員の順でお願いします。

 

【能瀬委員】 

 すみません、今、近藤委員がお話しされていた、両方の視点を入れて質問を作るというのは私も賛成です。

 コメントではないんですけれども、スポーツ庁の方でもし御存じでしたら教えて頂きたいんですけれども、これまでも諸外国との運動実施率の比較をスポーツ庁では出されていると思いますが、海外ではスポーツの定義とかはどのようにされているのか、もし御存じでしたら教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

 

【久野部会長】 

 中村課長、いかがでしょうか。。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 今この場ですぐにはお答えが難しいです。すみません。

 

【久野部会長】 

 能瀬委員、そこは宿題といいますか。今、こちらでは戸惑いの雰囲気が流れていますので。

 

【能瀬委員】 

 すみません、欧州委員会の調査もされていると思いますが、そこでは、「運動・スポーツを週1回以上やりますか」という質問が海外でもされていることは私も調べたんですけれども、もし今後情報がありましたらお願いします。

 

【久野部会長】

 最近、私のほうでシンガポールとやり取りすることが多くて、シンガポールとの調査で、ほぼ一緒の部分もあるんですけれどもやはりちょっと異なっている部分もあるので、単純に海外比較というのは難しい部分もあるかなと個人的には感じています。

 では、藤田(紀)委員、お願いいたします。

 

【藤田(紀)委員】 

 ありがとうございます。私は意見ではなくて確認というか質問なんですけれども、スポーツ庁の世論調査のスポーツ実施の中にはウオーキングとか散歩ぶらぶら歩き、一駅歩きなどを含むというふうに出ているんです。これは日常生活から離れたものとして捉えているということなんでしょうか。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 日常生活の範囲がどこまでなのかという議論もあるんですけれども、必ず毎日例えば通勤するために行かなければいけないルートとか、そういうものが我々の中では日常生活上の必ず自分の意思によらずに行う身体活動という捉え方をしているので、例えば家に帰ってきた後に散歩に行きますというのは、それはこの調査の中でも運動・スポーツとして捉えております。

 

【藤田(紀)委員】 

 何かちょっと分からない。じゃあ一駅歩きというのも自分の意思でやっているから運動と捉えると。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 そういう捉え方をしています。

 

【藤田(紀)委員】 

 なるほど。分かりました。ありがとうございます。ちょっと考えます。

 

【久野部会長】 

 では、松永委員、お願いします。

 

【松永委員】 

 そこは各自治体も悩ましいところで、スポーツ庁さんがどういう判断をされるのかというのは全国が注目されている点だと思います。現在、京都市のスポーツ推進会議の委員長をさせていただいていて、スポーツ振興計画策定の際などに実施する、運動・スポーツに関する意識・活動状況調査の項目の中に、「日常生活に組み入れた運動」という選択肢を入れています。参考までに、コロナ前後において、ウオーキングに次ぐ第2位で推移しています。調査結果は公表されるため、周知・啓発という点においても意味があると理解しています。今日は、詳細な質問文の御提示まではできないのですが、一政令指定都市の京都市の事例をご紹介させていただきました。ただ、今回の議論は国の調査となるため、非常に慎重な議論が必要だということも御承知しております。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 京都の実例も含めてありがとうございます。

 津下委員、どうぞ。

 

【津下委員】 

 ありがとうございます。先ほど、日常生活で、東京は本当にスニーカーの率が高いなと思って、通勤経路が長いし、そういうところで運動の代わりをしないととても運動する時間がない、そういう人たちが多いんだなということは実感していて、また、子育て世代とかそういう人も、日常生活に組み入れられる身体活動というのを聞いてもらえると少しほっとするなというのはあります。

 ただ、頻度の問題があって、スポーツ庁が聞いているのは週1回以上のスポーツ実施率と言っています。なので、週1回することと毎日日常生活の中に組み入れているというのは、毎日ですから頻度は多いわけですけれども、それと区別して週1回は自分の体のために、または目的を持って、日頃かなり仕事で運動している人はストレッチとか、そういうような運動でもスポーツとして意図的に体のメンテナンスをしています。それはそういうスポーツだし、日頃は残業が多い人は意識的にいろいろなスポーツに取り組むとか、楽しみとかということを含んだ意図的なものという、今までのスポーツ実施率の考え方もすごく大事だなというふうに思いますので。私もほかの委員の先生方と同じように、両方聞いて区別して、同列ではなくて、そういう時間、ただ週1回でもやろうという気持ちがあれば体が機会を探すようになるので、そういうことも重要なんだろうというふうで見ました。同列ということではなく、しかしエンカレッジするようなメッセージが必要というふうに思いました。

 また、競技スポーツ、成人のスポーツなので、競技スポーツのようなものとはちょっと違うと思うんですけれども、楽しいという、スポーツに対して、(3)なんですけれども、苦手意識というか、昔スポーツというともう厳しくて苦しくてつらくて逃げ出したくなるようなスポーツを経験してきて、結局勝てればいいんですけれども負けて達成感もないという、そういうところを経験している人も。上にいるのは本当に一部なので、悔しい思いした記憶がある人たちもいらっしゃる、いらっしゃるというか、自分自身もいっぱい負けたんでそうだと思うんですけれども。やはりそういうことに運動のイメージの再構築というか、これをうまくやってきてよかったことを捉え直すとか、そこから自分自身でまたセルフチェックじゃないですけれども、意外とやれるじゃないかという自信につなげていく、やってきてよかったよねというようなスポーツの捉え方をしていくような取組というのがすごく必要なのかなという気がして、この論点はこれからもディスカッションをいろいろ重ねたほうがいいのかなというふうに思いました。

 以上です。

 

【久野部会長】 

 小松原委員。あと、小松原委員ともう一方ぐらいで時間です。

 

【渡邉部会長代理】 

 では、最後。

 

【久野部会長】 

 最後、では渡邉委員で。お願いします。

 

【小松原委員】  

 ありがとうございます。資料5の参考の一番上に書いてあるコメントは、おそらく私が当時発言したものかと思いますが、スポーツと運動と身体活動の定義は異なるものと考えます。国民に対して定義をしっかり説明しておかないと、いくら継続性のあるデータがあっても、自分がやっているものが運動なのか、スポーツなのか、単なる身体活動なのか分からず答えているのだと思います。

 私は学生時代に、スポーツとは一定のルールがあって、勝敗がはっきりつくものと習ったように記憶しております。現在そのような定義があるのかどうか分からないですが、スポーツ実施率を本当に上げていくことを目的にしているのであれば、ルールや競技性のあるスポーツを実施しているか否かという点を、私は数値としてきちんと把握すべきだと思います。それと並立して、運動をどのような形でやっているかということも聞いて、スポーツ庁として運動・スポーツ実施率をきちんと把握することが大事だと思います。運動だけでよいとしてしまうと、スポーツをする人たちが一切いなくてもよいのかという話にもつながりかねませんので、同じ「歩くこと」であっても、タイムを競う歩き方もあれば、ぶらぶら歩きや一駅歩きもありますので、それらを同列にスポーツだとくくるのは、私は捉え方が大雑把ではないかと思います。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございます。

 では最後、渡邉委員、お願いします。

 

【渡邉部会長代理】 

 いろいろな意見、勉強になりました。小熊委員が先日東京大学で、「スポーツ推進計画と健康増進計画を同時に推進・達成するための自治体戦略」というシンポジウムを開かれました。これは身体活動をそのために促進しましょうと、そこにはソーシャルマーケティングの観点からアプローチしていきましょうといったようなシンポジウムだったんです。

 今、話している議論はこれにすごく近いかなというふうに思っていまして、実は笹川スポーツ財団も、スポーツ庁の世論調査と同じように、スポーツの実態調査、全国調査をやっています。ベースになる調査票についてはスポーツ庁とニアイコールになっています。ただ、先般も申し上げたとおり、WHOのGPAQ、世界標準化身体活動質問票、これを過去3回、メインの調査票とは別に調査をかけています。これは近藤委員がおっしゃっていたように、やはり身体活動も総体的には健康の維持増進につながるといった観点から調査をしているわけなんですが、実際にどの程度、仕事だとか移動だとか、こういったところで身体活動があるのかというのがよく分かっていなかったものですから、それで調査をかけています。

 ただ、ここについてはスポーツ庁が考えるスポーツ政策というところには直接的には結びついてこないのではないかなと私は思います。健康増進といった意味の身体活動という意味ではすごく大事な調査になると思いますけれども、政策の中にダイレクトにこれを用いてしまうと、ちょっとスポーツ政策というところでどうかなというふうには個人的には思っております。その上でこれから議論を進めていけばいいのではないかなと思います。

 

【久野部会長】 

 ありがとうございました。

非常に多様な論点といいますか観点でお話しいただき、また、やはりこの問題はこの委員の中でもまとまっていくのに相当広い考え方があるなと。逆に言うとそれぐらいいろいろな捉え方、あるいは重要性があるんだなとお聞きしながら思っていました。

 あともう一つ、今後もしこういう議論があるとしたときに、やはりいわゆる世論調査の設問がかなり昔からやられていて、答えているほうが相当その人のイメージで答えているので、本当に正しいメジャーメントになっているかというと、かなりクエスチョンなんです。スポーツ庁が、そこを一つの根拠に政策をつくっていくというところにも少し課題があるような気がしていて。もちろんこれまで取ってきたものを、連続性ということの重要性も甲斐委員が言われたように物すごく重要なんですが、実施率というものをスポーツ庁の政策の中でどう使っていくのかということも含めて考えても、これは問題じゃないかなと、私は皆様の御意見を聞きながら感じておりました。どこかのタイミングでこの議論をしていくことになると思いますが、また、引き続きよろしくお願いいたします。

 若干時間が限られていたので、必ずしも全員の委員からこの点を御発言いただけませんでしたので、もし追加の御発言あればぜひ事務局にメールでお届けいただければと思います。そういう面では突然の議論だったんですが、本当に活発な議論ありがとうございました。

 以上で今日の議題は全て終えたと思いますが、最後に事務局から何かございますか。

 

【中村健康スポーツ課長】 

 特にございません。

 

【久野部会長】 

 よろしいでしょうか。

 長官から、最後一言、よろしくお願いします。

 

【室伏スポーツ庁長官】 

 ありがとうございます。大変重要なポイントを最後に議論していただきました。整理して、スポーツ庁ですのでスポーツ庁らしい、かといって、やはり国民一人一人のウェルビーイングにつながるというところも大切なことだと思いますので。

 また、ボッチャの話もしましたけれども、スポーツも変わってきている、社会において変革していったりしていると思いますし、ぜひこれを通して日本が国際化を果たしていけるような、これは人が変わっていくと社会も変わっていくと思いますので、特に閉鎖的なものを破っていくものもスポーツだと思います。活動すればいいだけじゃなくて、やはり前向きに社会が変革する力を持っていると思います。

 ですので、今日お手元に資料ありますけれども、スポーツのツーリズムをやっています。スポーツの武道も力を入れています。スポーツは様々な角度があります。ここは健康スポーツ部会ということでありますけれども、やはりここはスポーツ庁らしいところを見せていきながらも、多面的にスポーツの価値をまた皆さんと一緒に議論していければというふうに思います。ありがとうございます。

 

【久野部会長】 

 長官、ありがとうございました。

 では、以上をもちまして今日の部会を終わらせていただきます。積極的な御発言いただきまして感謝申し上げます。どうもお疲れさまでした。これで終わらせていただきます。

―― 了 ――

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