スポーツ審議会健康スポーツ部会(第31回) 議事録

1.日時

2025年3月11日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室 及び WEB会議(Zoomを使用)

3.議題

  1. 第3期スポーツ基本計画中間評価について
  2. その他

4.出席者

委員

   相澤委員、岩田委員、小熊委員、甲斐委員、勝目委員、金岡委員、北出委員、久野委員、小松原委員、近藤委員、佐々木委員、塩野委員、津下委員、熊瀬委員、藤田明美委員、藤田紀昭委員、前田委員、松永委員、宮脇委員、渡邉委員

文部科学省

   室伏長官、橋場審議官、中村健康スポーツ課長、今村障害者スポーツ振興室長

オブザーバー

厚生労働省健康局健康課

5.議事録

スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第31回)
2025年3月11日
 
 

 

【久野部会長】 定刻になりましたので、ただいまから第31回スポーツ審議会健康スポーツ部会を開催いたします。改めまして、皆様、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 
 本日も20名全員の委員の方々に御出席いただいております。スポーツ審議会で第6条第1項及び第3項において、本部会の開催及び議決に当たっては委員の過半数の出席が求められておりますが、本日は定足数を満たしており、開催とさせていただきます。
 また、本日はスポーツ庁より、室伏長官、橋場審議官、中村健康スポーツ課長、今村障害者スポーツ振興室長に御出席いただいております。さらに、オブザーバーとして、厚生労働省健康局健康課にもウェブで御出席いただいております。寺門次長は用務により御欠席と伺っております。
 傍聴に関しましては、報道機関及び一般の方については、ユーチューブでのライブ配信での傍聴とさせていただいております。御承知おきください。
 まず、開催に当たり、事務局より諸連絡、配付資料の確認をお願いいたします。


【中村健康スポーツ課長】 この部会は、Zoomによるウェブと対面のハイブリッドの会議とさせていただいております。本日、対面での御参加は、久野部会長、渡邉部会長代理、相澤委員、岩田委員、小熊委員、甲斐委員、金岡委員、小松原委員、能瀬委員、藤田委員の10名となりまして、それ以外の委員におかれては、オンラインで御出席をいただく形になっております。御都合により途中退席される場合は、Zoomのチャットによりその旨をお知らせいただいて適宜御退出いただければと思います。
 まず、資料の確認をさせていただければと思います。お手元に、資料1から3ということで、まず、資料1で、これは本日公表となっておりますけれども、令和6年度の世論調査の結果、それから、資料2として、こちらが議論に使っていただくものになると思いますけれど、第3期スポーツ基本計画前半の進捗状況と課題、それから後ほど御説明させていただきますけれども、資料3としてスポーツ庁とJAXAの連携協定の調印式についてということで御用意をさせていただいております。それ以外に、参考資料として1から4までを御用意させていただいておりまして、さらに、お手元のほうにスポーツ庁が実施をしております施策、これは健康スポーツ課以外も含めて全体を御覧いただける資料をお手元に御用意させていただいておりますので、議論に当たっての御参考にしていただければと思います。
 以上です。

【久野部会長】 ありがとうございます。
 今日はメインが第3期スポーツ基本計画の中間評価です。この後再度中村課長から今日の審議のポイントをお話しいただきますが、中間評価の取りまとめが少し延びたということもありまして、今日は少しじっくりとこの議論ができるということと、ぜひ今日は委員の皆様、ウェブから入っていただいている委員の方も、我々の今日のミッションは中間評価取りまとめということで、そこが議論のポイントということです。前回も若干どうしても今後こうしたい、こうすべきだという議論に、私もしたいほうなのですごくそのお気持ちは分かるんですが、逆にそれは次のミッションとして、年度が替わりましてそこをしっかり議論する時間があると聞いております。今日はそこにあまり行った場合には、すみません、途中で私が権限で「やっちゃいました」というようなサインをうまく送りますので、そうした場合に戻ってきていただくよう、ぜひそこだけ注意して、集中して議論することに御協力をいただけると非常に助かります。「やっちゃいました」とは言いませんが、ぜひよろしくお願いいたします。
 では、中村課長、よろしくお願いします。

【中村健康スポーツ課長】 今、久野部会長のほうからも話がありましたけれども、当初の計画ですと今年度中に中間評価の結果をまとめるということで、本日もう取りまとめという予定にしていたのですけれども、計画部会のほうの議論のスケジュールの見直しなどもありまして、本日取りまとめということではなくて、取りまとめは次回にさせていただこうと思っております。ですので、本日は前回に引き続いての御議論をいただくという形で進めていければなと思っておりますので、よろしくお願いします。
 まず、議論に当たりまして、私のほうからお手元の資料で簡単に御説明をさせていただければと思います。
 まず、資料2、これは前回もお示しをさせていただいた第3期スポーツ基本計画期間前半の進捗状況と課題です。2枚おめくりいただきまして、3ページ目からが前回御議論いただいたものに前回いただいた御意見を赤字で加えたものとなっております。これを簡単に御紹介させていただきます。
 今後の課題のところで前回いただいた御意見としては、健康経営に関心が低い企業の経営者へのアプローチも重要であるという点、それからSport in Lifeコンソーシアムの加盟団体の地域差、業態格差、団体格差などについて現状分析が必要なのではないか、それからスポーツエールカンパニーの認定を受けるメリットの明確化と認知度の向上が必要ではないか、そしてスポーツの実施効果に関する調査研究だけではなくて、スポーツ実施者を増やす方策、スポーツの推進方策そのものに関する調査研究も行うことに加えて、調査結果を適切に施策に反映させていくためのスキーム構築が必要なのではないかと、こういった御指摘をいただきました。
 この御指摘を踏まえて、今日追加の資料を御用意させていただいております。いろいろ行き来して申し訳ないですけれども、参考資料3のSport in Lifeコンソーシアム加盟団体、スポーツエールカンパニー認定団体に関するデータという、円グラフが書いてある資料を御覧いただければと思います。
 こちらが最新のデータになりますけれども、コンソーシアムに加盟している団体、それからスポーツエールカンパニーとして認定されている団体の特徴をグラフで表したものになっております。1ページ目にありますのが、それぞれの地域別の分布です。コンソーシアム、スポーツエールカンパニーともに4割ほどを東京都が占めております。それ以外の地域分布は上位10まで具体的な名前を入れており、地域分布の状況を示しているのが1枚目の円グラフになります。
 それから、2ページ目が、規模別の分布です。どのような規模の団体が加盟をしていただいているかということで、こちらは御覧いただけるとお分かりのように、コンソーシアムとスポーツエールカンパニーで大分特徴が変わっております。コンソーシアムのほうは非常に規模の小さい企業、100名以下のところが4分の3ほどを占めているというような状況になっておりますけれども、スポーツエールカンパニーのほうは規模の大きい企業が中心、多い傾向になっている特徴が見られるかなと思います。
 それから、3枚目が、それぞれどのような業種、種類の団体が加盟をしているかというデータです。コンソーシアムのほうは実は業種まで取っておりませんので団体種別になってしまいますけれども、73%が民間企業になっております。スポーツエールカンパニーのほうは、御覧のような業種分布になっておりまして、何か特定の業種に集中しているというような形ではなくて、幅広い業種の方が認定をされているという状況になっております。
 それからもう一つ、また資料が飛んで申し訳ないんですけれども、資料1、この報道発表資料は本日解禁になっておりますけれども、令和6年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表しますという資料を御覧いただければと思います。こちらは毎年実施しているスポーツ実施率などの調査ですけれども、今年発表させていただいたポイントを幾つか御紹介させていただきます。
 1つ目のグラフにありますのは、性・年代別の週1日以上の実際のスポーツ実施率と、週1日以上スポーツを実施したいと思っている率を比較してグラフにしたものになっております。黄色が実際の実施率、緑が希望率になっておりまして、その間にかなり差があることが今回初めて集計して分かったと。特に、女性の実施率が低いとこの会議でもいろいろ議題になっておりますけれども、希望率は必ずしもそこまで低くないということで、特に現役世代である20代から40代女性は、実施率と希望率の差が20%近く開いているということなので、潜在的にスポーツを実施したいとは思っているけれども、なかなかできていないという実態がここから分かるのかなと思っております。
 それから、その下を御覧いただきますと、こちらも今回初めて調査したのですけれども、勤務先で運動・スポーツを従業員に促す取組があるかないかで実際のスポーツ実施率にどのぐらい差があるか調べたところ、このグラフを御覧いただければ分かりますように、かなり差が開いているということが分かりました。緑色が職場での取組がある場合、灰色がない場合ということで、二十数%の開きがあります。実施率が低いと言われている女性も、職場の取組がある場合は60%を超えた数字になっているということが今回分かりました。
 それから、1枚おめくりいただきまして、2ページ目の上半分は、実施率の推移を示したものになっております。下は、先ほど御紹介した実施率と希望率の差を少し具体的に数字でお示しをしたものになっております。
 さらに1枚おめくりいただきまして、3ページ目、職場における運動・スポーツの取組が個人の生活中の充実感とか幸福感にどの程度影響しているかということですけれども、緑色が職場の取組がある場合ということで、充実感や幸福感にも差が見られているということが今回分かりました。
 その下の「その他のポイント」の(1)ですが、実施率が低いと言われている女性について、実際にやっているスポーツ・運動の種別に男性とどういう差があるかということを見ていくと、体操やエアロビクス・ヨガ・バレエ・ピラティス、ダンスで特に女性が実施率が高い傾向があるということです。
 次の4ページ目のほうに行っていただきまして、こちらも今年初めて公表したものです。前回も議論になりましたけれども、地域別のスポーツ実施率を色づけで分かりやすく示したものになっております。オレンジ色が濃いところほど実施率が高い、灰色が濃いところほど低いという状況になっております。東京が一番高いのですけれども、関東や近畿辺りが高い傾向はここから見てとれるかなと思っております。
 それから最後に、5ページ目になります。スポーツ基本計画の中でも「する・みる・ささえる」という取組を進めているところですけれども、スポーツへの関わり方によって幸福感がどういうふうに変わるかを集計したものです。単にするだけとか、見るだけとか、支えるだけという取組のみをするよりも、複合的な取組をすればするほど幸福感は高くなるということが今回の調査で分かったというものになっております。議論の御参考ということで今回御紹介をさせていただきました。
 元の資料2のほうに戻りいただければと思います。元の資料2の4ページ目、今後の施策実施の方向性というところです。こちらは、前回の御議論を踏まえて追記したものを、先ほどと同様に赤い字で示しております。今御説明したように、加盟団体の実態を把握した上で、スポーツエールカンパニーの認定における企業側のメリットやポジティブな影響の明確化を行って認知度を高めていくべきではないかということ、それから自治体の負担感にも留意した上で、自治体におけるスポーツ実施に関する調査項目のひな形をスポーツ庁が示して、活用してもらえばいいのではないかといった御意見、それから、施策間で相乗効果が発揮されるような庁内の連携について検討を行うべきであろうという御意見を追記しております。
 それから、調査研究に関しては、研究成果が施策に適切に反映されるような研究事業の在り方について検討を行うべきだろうという御意見をいただきました。
 それから、運動・スポーツ習慣化促進事業、これは地方公共団体を支援する事業ですけれども、こちらも同様に、庁内での連携について検討を行うべきだろうという御意見をいただいております。
 その他として、女性関係の御意見をいろいろいただいております。子育てをしながら働く女性や、運動・健康のどちらにも興味がない無関心層へのアプローチに工夫が必要なのではないかという御意見、それから子育て女性については産婦人科医との連携も必要なのではないかということで、生後1か月までの間などを活用して運動プログラムを提供して、その後につなげていくような仕組みをつくってはどうかといった御意見をいただいております。それから、子育て女性がスポーツを行うと鬱になる確率が下がるというようなこともあるので、子供と一緒に運動ができる場づくりが必要なのではないか、それから生活習慣病予防で行われている運動処方などとの連携についての御意見、それから障害者スポーツの取組と高齢者・女性といったスポーツが苦手な方々との取組というのは、縦割りではなくて連携した施策推進をやるべきではないかといった御意見をいただいておりますので、今後の方向性ということに追記をさせていただいております。
 次の5ページは、個別の御紹介は省かせていただこうと思いますけれども、先ほど久野部会長からもありましたように、3期の評価というよりは、今後、4期に向けた御意見・御提案ということでいただいたものをまとめたものになっております。
 続きまして、7ページ目、障害者スポーツについて、前回の御議論を踏まえたものでございます。7ページ目のKPIの部分ですけれども、目標には達してないけれども、スポーツ実施率が伸び続けているのは施策の方向性として間違っていないのではないかという御意見、それから今後の課題について、全てのスポーツ団体において、障害のある方も含めて指導を行うことが可能となるよう指導者への知識の横展開が必要なのではないか、それから指導者に対して障害自体の教育とパラスポーツの教育をセットで行う必要があるのではないか、スポーツ庁で作っておりますハンドブックが有効なのではないかといった御意見をいただいております。
 障害者スポーツにつきましても、行ったり来たりで申し訳ないのですけれども、先ほどの資料1の6ページ目に、こちらも本日報道発表しておりますけれども、令和6年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査結果」ということで最新の実施率を公表させていただいております。20歳未満の実施率は青い点線で、20歳以上がピンクで描いておりますけれども、昨年と比べて率は上がっているということが分かるかと思います。
 それから、次の7ページ目のほうに、運動・スポーツに対する関心ということで、赤い線で囲っておりますけれども、週1回未満や、全く行っていない層については、例えば週1回未満の方については、スポーツを行いたいと思うができない、それから全く行っていない層については、そもそも関心がないといった部分が課題となっているということで、8ページ目、9ページ目にありますのは、どういうことが障壁になっているかということについての調査結果も記載をしておりますので、御議論の参考にしていただければと思います。
 最後になりますけれども、元の資料2に戻っていただきまして、障害者スポーツの推進についての今後の施策の方向性ということで、前回いただいた御議論を追記している部分として、障害者スポーツの理解促進ということで、障害の有無にかかわらず参加可能なインクルーシブなスポーツイベント等の開催を支援して、参加者の増加、障害者スポーツの理解促進を図ってどうかと、こういった御意見をいただいているというところでございます。
 ここから、意見交換ということで久野部会長にお預けしたいと思いますけれども、私のほうから今御説明した資料2においてもう少し御議論をいただけるとありがたいと思う点を幾つか御紹介させていただければと思います。
 まず、Sport in Lifeの取組につきましては、円グラフでもお示しをさせていただきましたけれども、そもそもコンソーシアムやスポーツエールカンパニーに参加していただく方をどうやって増やしていくといいのか、その何か具体的な取組のアイデアなり助言なりについて御意見をいただけるとありがたいと思っております。
 それから、先ほどの円グラフにありましたように、やはり大都市圏が中心になってしまっているので、地方の企業の方々、団体の方々をどういうふうに、中小企業が多いと思うんですけれども、誘導していくのがいいのかといったことについて何か御助言がいただけると非常に助かると思っております。
 それから、報道発表資料のほうにありましたけれども、スポーツの実施希望と実際に実施している割合にかなり乖離があるということで、ここをどういうふうにすれば埋めていけるのかというようなことについても御議論をいただけると非常にありがたいと思っています。以上がSport in Lifeに関しましての論点でございます。
 続いて、その下の調査研究について、幾つか御意見もいただいているんですけれども、どういう調査研究が今後必要かということについても何かアイデアをいただければと思っております。
 それから、その下の習慣化事業、これまでのべ200団体ほど支援をしてきましたけれども、もともと財政も厳しくて人も少ないという自治体においてもどうすれば持続的な取組が進んでいくのか、どうすれば点ではなくて面に取組が広がっていくということについて何か御示唆があれば非常にありがたいと思っております。
 最後になりますが、その他として女性関係の御意見をいろいろいただいておりますけれども、どうすればスポーツ実施をしたいと思いながらもできていない女性をスポーツができるように取り込んでいけるのかということについても、何か具体的なアイデアなり、御助言がいただければと思っています。
 これ以外にも委員の方々からいろいろ御意見いただければと思いますけれども、議論のポイントとして御紹介させていただきました。よろしくお願いします。

【久野部会長】  ありがとうございました。では、一気に御説明いただきましたが、これに関して予定では5時45分ぐらいまで議論が可能ですので、それぞれ熱心な御議論をぜひよろしくお願いいたします。
 では、今、中村課長からも議論していただきたい観点に関してもありましたので、ぜひその点を含めて進めてまいりたいと思います。今のこの資料2の4ページ、これに沿っていければと思っております。オンラインの方は挙手ボタンを押していただければ助かります。よろしくお願いいたします。
 ではまず、Sport in Life推進プロジェクトに関して御議論いただきたいんですが、今、中村課長からは4点テーマを出していただきました。一気に言ったので、もう一度私のほうで申し上げると、1つ目はコンソーシアムやエールカンパニー拡大のため効果的と考えられる具体的な取組のアイデア・助言をお願いしたいと。誰に対してどのようにアプローチすると効果的など、そういうような御意見がいただけないかと。
 2つ目は、加入数が少ない地方部を巻き込む方法について。
 3つ目は、スポーツの実施希望と実態の大きな乖離を埋めるため考えられる手だて。特にこれは、今日解禁された情報でも20代から40代の女性のところが顕著だったという辺りは、非常に面白いデータというか、政策を考えるヒントだなと思いながらお聞きしていましたが、その辺りで委員の皆様のアイデアをぜひいただければと思います。
 4つ目は、日常生活の中にある運動、例えば徒歩・自転車通勤、徒歩・自転車による子供の送り迎え、掃除などの家事などをスポーツ庁としてはどう評価するべきかということも議論として挙げられています。
 どの観点でも結構ですし、もちろん委員独自の観点でも御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 では、ウェブの上の方は挙手ボタンをお願いしたいんですが、そうしたら、まず、この辺りは何となくアイコンタクトが来ましたので、甲斐委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【甲斐委員】  ありがとうございます。では、最初の論点から。スポーツエールカンパニーは、私も非常に良い制度だと思っています。今年、過去最高を記録したということはすばらしいと思いました。これをどう増やすかという点については、民間企業との連携がいいかなと思っています。
 というのも、私自身が、スポーツエールカンパニーではないんですが「健康経営認証」、要は、企業の何かしらの認証取得を後押しできないかという実証研究をやっています。横浜市と一緒にやった研究なのですが、民間企業の中には企業をまわる職種があります。営業など、いろいろな職種があると思いますがが、そういう民間企業に、自分の顧客企業に対して、「健康経営を知っていますか」と推奨して欲しいと頼んだところ、横浜健康経営認証を取得する企業数が1.7倍に増えたんですね。しかも人がアウトリーチしてサポートしてくださるので、50名未満の中小企業の割合が57%から75%まで増えました。
 この経験や研究を踏まえると、特に今議論になっている中小企業にスポーツエールカンパニーを広げるためには、メディアキャンペーンで増えるところはもう取得していると思いますので、あとは実際に人が寄り添って支援する仕組みを、どう社会にビルトインしていくかが大事です。そうすると、行政の力だけでは難しくなります。企業を回っている民間企業や団体と連携して、スポーツエールカンパニーを増やしてくださいという施策を提案します。

【久野部会長】  ありがとうございます。実際の横浜の事例を含めて非常に面白いというか、ユースフルな提案だと思うんですが、今、中小企業のところが出たんですけれども、健保組合の関係で小松原委員からまず次にいただけると助かります。

【小松原委員】  ありがとうございます。健保連の小松原です。健保組合の視点より、今のお話に私は通ずるところがあり、地方企業のコンサル的役割をされているのは、地銀や生保や損保の営業の方になりまして、そのような方々が例えば中小企業に行かれたときに、「このような仕組みが国にあって、このような表彰制度があります」ということをしっかりとコンサルしていただくと、意外に企業の経営者は納得をして、取り組んでみようと思うわけです。
 健康経営について先ほど横浜のお話が出ましたが、例えば青森県でも地銀が健康経営に取り組む企業に対してインセンティブをつけていました。具体的には、社員へ健康投資をしている企業の従業員にお金を貸し付けるときは低利で貸しますという「融資のインセンティブ」です。途中で健康を害して仕事を辞める確率が減るので、そのような方々には低利でお金を貸せますという戦略です。そうすると、その地域がかなり上がるわけなので、そのような企業をコンサルする民間企業の人を少し刺激するという方法があると思いまして、健保組合の視点としてそのように思ったところです。健康経営もそれでかなり推進していったという部分もあると思います。
 また、今年度、体力測定をいろいろな地域でモデル的に企業の方に体験をしてもらったところ、やはり地銀の方に刺さり、別の地銀では、自分のお客さんに紹介をしたいので導入を考えたいという話も出てきているので、健保組合向けではあったのですが、健保組合が事業主を一緒に連れてきてコラボヘルスでできないかという話の中で、これは自分のところの商品として使えるのではないかという話もありましたので、少し参考になればと思いました。

【久野部会長】  ありがとうございました。今、偶然なのか、仕込んだかのように、これは仕込んだというのは全く冗談なんですが、金融のところの活用というところの御提案がありました。
 すみません、私のほうのことで恐縮ですが、今、内閣府のSIPの中で、やっぱり金融と連携して中小企業を取り込んで、その結果、その先に女性のウェルビーイングを上げる、その中に実はスポーツ実施も含まれるということをかなり今仕込んでいるんですけれども、多分、金融を巻き込むことで中小企業を巻き込むということは非常にいい方法なんですが、ただ一方で、例えばトップが理解しても、結局動くのは、各支店のいわゆる金融の銀行員の方々がそこに腹落ちしたり、そのことが評価されるような仕組みにならないと実は動かないというようなところも今見えています。その辺の金融を使うというだけでは多分動かなくて、どう金融が動くような仕掛けをつくっていくのかという辺りが結構ポイントだと思うんですけれども、その辺り、甲斐委員や小松原委員、何かアドバイスあれば。ではまず、甲斐委員からお願いします。

【甲斐委員】  ありがとうございます。おっしゃるとおりで、企業を回るほうの企業、仕掛け手側の企業のトップだけではなく、実際に企業を回っていただく方々にどれだけ腹落ちしていただくかというのは非常に大事です。私が横浜でやったときは、その方たちにとっても顧客に喜んでもらうことが、本業にどうプラスになるか考えられる研修もやりました。その結果、なるほど、これは顧客が喜んでくれるから、じゃ、自分もやろうというふうになったと聞きました。
 あともう一つは、省庁間連携というのが出ていましたけれども、報道を見ていると、労働安全衛生法が改正される可能性が高くて、エイジフレンドリーガイドラインに沿って、例えば体力測定が企業の努力義務になる可能性があります。さきほど体力測定の話があったと思うんですけれども、今後は体力測定をやりたいけれども、どうしていいか分からないという企業が増えると思います。体力測定のサポートをセットにして、体力測定を実施するとスポーツエールカンパニーも取得できるというインフォメーションもいいと思います。このようなことを実施するには、厚生労働省との協力が必要ですので、ぜひ厚労省との連携もお考えいただければと思いました。すみません、追加です。

【久野部会長】  ありがとうございます。小松原委員、何か追加の発言はありますか。

【小松原委員】  銀行も保険会社も、自分の商品のリスクが下がることになり、団体保険に入ってもらいたくて営業に行っているわけですが、健康になればそのリスクが下がることになり、自分たちの商売にもなるというところがメリットなので、紹介することによって自分たちにもメリットがあるということを企業にしっかりと伝われば、営業社員も理解が早いと思います。

【久野部会長】  ありがとうございました。大事なポイントで。
 ウェブから津下委員が手を挙げていただいているので、津下委員、よろしくお願いします。

【津下委員】  ありがとうございます。ウェブで失礼いたします。今の銀行関係の方々の動きというのもあるんですけれども、大企業が例えばSport in Lifeの活動やスポーツエールカンパニーに多く参加されているということ、また、東京都に多いということはあるんですけれども、東京都に本社はあるけれども、支社とか営業所は地域にあるということなので、一つの方策は、本当に東京都だけの取組なのか、支社も含めて全社的な取組をしているかどうかというところを評価して、全社的な取組にしていくことはいかがでしょうか。本社だけの一部の取組ではないということを申請、認定のときにどう評価をするかというのは、方法としてあるのかなと思いました。
 それからあと、健康経営についてもそうですが、関連企業、例えば取引先とか派遣元企業などが関わっていると思うんですが、そこへの波及効果は結構強いと思っています。例えば労働安全衛生週間のイベントは毎年やっていらっしゃるところが多いと思うんですが、そのイベントには、本社だけではなくて、いろいろな関連企業の方々が集まったりとかされる。そういうところで横のつながりが出来て、一緒に取り組もうという動きが出てくる。特に運動というのはポジティブなイメージがありますし、一緒に和気あいあいというチームビルディングにも役立つという観点で、関連企業を巻き込むような路線というのもありなのかなと思いました。
 一方、コンソーシアムのほうは、ハードルがあまり高くないということをどう知っていただくか、が課題。何かハードルが高いんじゃないかと思って自分のところはあんまり関係ないかなと思っているところがあるとは思うんですけれども、ここは本一緒にやろうよという仲間づくりなんだ。というメッセージをもっと出して、気軽に参加していただく。スポーツの世界じゃないですけれども、成績がいいところが取るのはスポーツエールカンパニーだとかそういう認証というところなんですけれども、その構造をもう少し分かりやすく示して、地域単位で動いていただく仲間づくりの機会。同業者の中のイベントとかがありますので、そういうところにまずはコンソーシアムのほうに入っていただいて、そこからスポーツエールカンパニーにも興味を持っていただくような構造を見える化してはどうかなと感じております。
 以上です。

【久野部会長】  重要な視点ありがとうございます。塩野委員が手が挙がっているんですけれども、今、津下委員から意見をいただいた中で、ちょうど先週の金曜日が国際女性デーということで、それに合わせたいろいろなシンポジウムとか仕掛けがあって、1個呼ばれて関わったのは、そこにマスコミの方々がそういうときに合わせてやっぱりネタ探しというか非常に集まってこられているのを見ていたので、何か今のお話、うまくこういうものをどういうところとリンクできるのかなと思ったんですが、マスコミを代表して勝目委員、その辺りを含めて何かアドバイスあればお願いいたします。

【勝目委員】  NHKの勝目です。もう一度論点を伺ってもよいでしょうか。

【久野部会長】  すみません、何か突然言って。いわゆるマスコミの立場から、取材をするときに、「○○デー」といういろいろなものがあると思うので、そういうものとこういうような施策をうまく引っかけてマスコミの方に多く取り上げていただくような仕掛けはあり得るのかなと津下委員のお話を聞いて思ったんですけれども、その辺に関して何かアドバイス、いや、あんまり効果がないんじゃないかとか含めていかがでしょうか。

【勝目委員】  失礼しました。ありがとうございます。ストーリーを描きやすいと取材する側としては取り上げやすいと思います。先ほどありました、地方の金融機関や信用金庫などがコンサルティングに入って、そこでスポーツを推進していくとか、大企業がグループ企業に働きかけていくというのは非常に共感しやすい取組だと思いますし、そういった日に合わせてやるというのはとてもいいと思います。
 すみません、本当に議論がすごく煮詰まっていて、なかなかここに付け加えられることはないなと思っておりますが、すみません、今言えるところはこれぐらいだと思います。

【久野部会長】  とんでもないです。こちらからお当てして。適切なコメントありがとうございました。
 では、塩野委員、よろしくお願いします。

【塩野委員】  ありがとうございます。先ほどお話がありましたような、企業に働きかける形についてです。例えば私どもですと、健康経営についてもう何年も前から生命保険会社、損害保険会社と連携し、セミナーを開催するなどして、推進しております。当初はあまり広がりませんでしたが、今、健康経営優良法人の認定は中小法人で1万九千超となりました。大分増えましたねと言っておりますが、その分母は三百何十万社ですので、なかなか大変な作業だなと思っています。
 一つは、この健康経営優良法人認定企業1万9,000社超はかなり意識が高いので、加えて、健康経営の認定に比べればスポーツエールカンパニーなどは、クリアする項目が多くなく、比較的に難しくないと思っていますので、この企業群に展開することは、ほかに比べれば楽だろうと思っております。
 誤っていたら申し訳ありませんが、今の段階で健康経営と、スポーツエールカンパニー、Sport in Lifeを比べると、健康経営の認知度の方が相当程度高いだろうと思っています。この認知度を上げる必要があります。全国の商工会議所には126万の会員さんがいらっしゃるので、そこに向けての広報などは十分できますから、こういった取組によって会社が元気になっているという事例を幾つか御提供いただけると、展開しやすいと思っています。
 もう一つはやはり、現在、中小企業にかかわらず、どこの会社においても恐らく一番大変なのは人手不足だと思っております。スポーツエールカンパニーなどは、就職を考える人が強く意識するようになると、かなり魅力的なものになるだろうと思います。健康経営に取り組んでいて、いかにもホワイト企業かつアクティブな企業であるという印象を与えることができると思います。好事例の提示、あるいは室伏長官の訴求力の強さをぜひ発揮していただいて、スポーツエールカンパニーやSport in Life加盟企業が非常に元気で明るくホワイトであるといった印象を強く持ってもらえるような紹介をしていただけると、こちらも非常に協力、周知をしやすいと考えます。非常に簡単ですが、以上です。

【久野部会長】  ありがとうございました。長官のお名前が出たので、少し長官から一言。

【室伏スポーツ庁長官】  不勉強で申し訳ないんですが、もし教えていただければと思います。いかにして健康な方を増やすかということで今議論して、スポーツエールカンパニー、Sport in Lifeの加盟を増やしていこうということですけれども、今まさにホワイト企業というお話がありましたけれども、スポーツ選手も最近意識が高い方が、スポンサー契約をするときに、この企業、このシューズはどういう過程を通ってここにプロダクトとしてあるのか、ちゃんとした労働の基準に基づいてやっているのかどうか、結構そういうところを、企業じゃなくて社員だったり、若い人は選ぶ立場になってきていないのかなと思っています。そういう方が会社を選ばれるときに、ホワイト企業ということとつながるのかもしれませんけれども、商売を通してすごく健康に気をつけている企業で、こういうところに入ったら家族も幸せになるなとか、何かそういう視点というのはやっぱり最近のトレンドというか、あるのかどうかまたお聞きしたいと思いました。すみません。

【久野部会長】  今みたいなお話は、多分すごくいろいろな企業や、我々もSIPの仕掛けでいろいろマーケティングをしている中でやっぱり一つの傾向として出ているので、この辺どういう形で活用するかというのは多分企業の方々なんかはすごくイメージしやすいお話じゃないかなと思ってお聞きしていましたが、その辺りお詳しいのはどなたでしょうか。いらっしゃいませんか。
 小松原委員が何か言いたそうにされているので、いかがでしょうか。

【小松原委員】  健康経営の委員会に入っているものですから、経産省のアンケートで出てきたデータのお話をすると、今長官がおっしゃったように、就活生は健康経営のマークを取っているかという点を気にされているという結果は出ています。我々が就職したときはバブル崩壊前だったので、どちらかというと企業の知名度であったり、お給料がいいとかが優先順位として高かったのですが、今はいかに従業員に優しい企業か、働きやすい企業かというところを就活生が見ているのは如実に出ていますので、今長官がおっしゃった視点は大事だと思います。

【室伏スポーツ庁長官】  新世代。

【久野部会長】  そうですね。Z世代含め。
 大事な視点をいただきました。ありがとうございます。
 あと、中村課長、今お話の中で、会員の方に事例があればやれそうだと。その辺りはスポ庁のほうで対応は可能でしょうか。

【中村健康スポーツ課長】  実は私たちのほうも、訴求する相手によってコンテンツをいろいろ工夫しなければいけないのではないかと思っていて、スポーツエールカンパニーやSport in Lifeをどうやって誰に訴えて伝えていくかということについて、もう少しPRしていくコンテンツを工夫して作っていきたいなと思っているところなので、また委員の皆様にも御相談させていただければと思っています。

【久野部会長】  そろそろ次の論点に移りたいんですが、ぜひ委員の皆様やスポーツ庁のほうでお考えいただくときに、ある面、企業からすると、何かいろいろなものを取ったり整備するというのは、特に中小にとってはそこもある面重荷の部分もあるので、政府として健康経営もやっているし、スポーツエールカンパニーもあるという中での、その辺りをどういう形でリンクさせていくのかという辺りももし広げていくとなると、何かそういう話が今度は現場から出てきそうな気がしていますので、その辺を視野に入れながらやっていく部分もあるのかなと。
 ただ一方で、少し観点が違うというようなところが多分あるので、その辺りもうまく整備をして進めていくことで、また、これを取っていくことによって健康経営にもプラスだという話になっていけば、健康経営を推進しているほうの省庁も特にウエルカムの話になるので、やっぱり何かその辺の戦略は大事かなと感じました。
 あと、今、割合この件に議論が集中したんですが、先ほど、今日発表されたデータで、スポーツの実施希望と実態の大きな乖離を埋めるといいますか、結構やりたいという意欲があるんだということが今回示されたのは、これはある面非常に重要なデータだと思っています。ただできていないという、この辺りをぜひ委員の皆様から御意見をいただきたいんですが、このきっかけはまずアカデミア側で、近藤委員、いかがでしょうか。

【近藤委員】  一つ気になる点が、今日説明いただいた資料のどこかにもあったんですけれども、スポーツの定義、運動の定義絡みの点が少し気になりました。果たして答えている人が「運動していますよ」というときに、例えば通勤の途上で歩いている人というのは働き盛りではかなりいて、定義によっては運動をやっている人はいるような気がするんです。けれども、そういう生活の中での身体活動を運動・スポーツと捉えてない方たちがこの中に結構いたりすると、実態をこの数字が捉え切れてないという可能性はないのかなというのが気になりました。調査の文言の中に、通勤途上で歩くことも含むんですよみたいな説明があると、5%とか10%動いたりしないかなというのが、数字の読み方というか、その背景にある答える人の認識とのギャップがないかという点まず気になった点です。
 それとちょっと離れるかもしれませんが、資料の2の4ページ辺りに書かれていることに沿ってという点でいきますと、スポーツの効果に関する調査だけではなく、実施者を増やすための方策と赤字で書き加えていただいたのは、前回このような趣旨の発言をさせていただいたので、受け止めていただいてうれしく思いました。
 その立場からすると、PDFのページでいうと5ページ目、右下に書いてある数字でいうと4ページ目のところの表記で、赤字で加わっている赤ポチの2つ目のところの右端のほうに「横断的なデータ収集」という表現があります。これは複数の自治体からデータを集められるようなひな形をスポーツ庁が示すという意味で「横断的」と表現されていると思うんですが、同じ自治体があるスポーツ振興のための取組をしたときに、その前後でスポーツ実施者が増えたかどうかという、そういうものを捉えられるようなデータの集め方というほうに着目すると、これは一時点のデータという意味での「横断的な」ではなく、いろいろな取組をやったビフォー・アフターで変化を捉えるという意味では縦断的なデータという側面もあるなと感じました。丁寧に説明すると長くなるので、程度問題かもしれませんが、多市町村間で比べられるという意味での横断的なデータとともに、施策の前後で変化を捉えるという意味では縦断的なデータ収集ということも方向として位置づけておいていただくほうが、スポーツ実施率を高めるのを支援するデータの集め方としては適切ではないかなと感じました。
 あと、これは第4次に向けてで、気が早過ぎるかもしれませんけれども、久しぶりにロジックモデルのところのキーパフォーマンスインジケーターを資料の中で拝見していった中で感じたことを1点補足させていただきたいと思います。インプットのところは、例えば今たくさん発言があった企業に着目する取組あるいは自治体に着目する取組等でインプットが表現されているんですが、初期アウトカム、中間アウトカム、長期アウトカムのほうがみんな個人に着目した指標になっているなということに改めて気づきました。アクティビティー、インプットのところが企業であったり自治体であったりするのであれば、アウトカムのほうにも企業とか自治体とかそちらでモニタリングする指標があってもいいのではないかなというのを思いました。といいますのは、参加しやすい環境づくりが大事だということを意識しますと、そういうことに取り組む企業あるいは自治体が増えることによって実施する個人が増えるという順番だと思いますので、その辺のことを4期に向けて論議を始めるときにはぜひ加えていただきたいなと思いました。
 以上です。

【久野部会長】  近藤委員、重要な御指摘を複数ありがとうございました。調査の内容に関しては、中村課長から少しお願いいたします。

【中村健康スポーツ課長】  今回の調査のスポーツの定義についてお話がありましたけれども、基本的にスポーツ庁でやっている調査については、ウオーキングも含めて自発的な運動・スポーツの実施状況を調べていますので、非自発的な、要は、通勤で絶対歩かなきゃいけないとかというものは基本的には入れていないです。そういうものを入れるべきかどうなのかというのは一つ大きな議論かなと思いますし、それが本当にスポーツの価値を高めるような活動なのかというのも、単に数字だけ上げればいいということではないと思いますので、そこはきちんと議論して整理したほうがいいかなと思います。

【久野部会長】  ありがとうございます。今日は論点が多々あるので、個人的にはここはもうちょっと議論したいんですが、ほかが議論できなくなるので。近藤委員が言われた観点でもそのリスクはあるんですが、一方、他の研究を、今、我々SIPでやっている、特に女性のところは、やりたくても、それは子育てで忙しいということもあるので、非常にやれないということはかなりデータが出ているので、そういう面で我々、女性の部分の乖離が非常に広いというのはSIPのほうのデータとある意味で一致するなと思います。
 それから、先ほど、今回日本地図で初めて出たのも面白く私は見ていて、やっぱりあの辺で東京や都市部が比較的その中でも高い。もうちょっと上がってほしいんですけれども。ということは、やはりその辺りの環境、アクセスのよさとか、民間のそういうサービスも絶対数が多いのでやっぱりそういう辺りが影響していることもあり得るという一応今日前提に立って、特に女性のところが顕著にあったので、この辺に関しての考察や御提言を女性の専門の北出委員と能瀬委員からそれぞれコメントをまずいただければと思うんですが、北出委員からまずお願いします。

【北出委員】  ありがとうございます。私も、さっきの女性のところのデータは、確かにSIPでやっているところと同じなんですけれども、やっぱり20歳から40歳が実施率とやりたい率に乖離があって、ということは、やはり女性が大半が無関心というわけではないということがあると思うんです。
 私自身も実は年代によって何でスポーツがやりたくてもできないかというのは調べてみたところ、やっぱり若い女性は、汗をかくとか、髪型が変わって格好悪いというのもありますし、筋肉量が最近は少なくて疲れやすかったり、勝ち負けを嫌ったり、そういう理由がまたほかの年代とは違うと思います。一方、妊産婦では、時間がなかったり疲れやすかったりすることもあると思うんですけれども、やっぱり人に見られることで、育児や仕事より優先しているという罪悪感もあるようです。そして中高年になると、時間もないですけれども、運動から遠のいていたり、体形が気になっていたりというところもあって、それぞれが別の理由があるんですが、例えばなんですけれども、御提案としては、若い世代がスポーツをできないというのは、もしかすると子供の頃の体育の授業も原因になっている可能性もありますので、例えば保健体育の教育プログラムを何とかてこ入れするというか、そこから変えるとか、部活の地域移行を利用していくとか、そういう方針もあるかなと思います。
 あとは、中高年とか妊産婦の辺りは、イギリスであるようなThis Girl Canのようなスポーツの推進キャンペーンというのが、何かあるようでまだ大きいものは日本にはないような気がしていまして、東京オリンピック、パリオリンピックが終わってそういうイベント性が少なくなっている、最近は支えるスポーツをやる方が少ないというのもあるんですけれども、みんなが平等にスポーツをやろうというような、そういうキャンペーンのようなものがあってもいいのかなと考えております。
 それとあとは、女性の場合は、さっきの通勤のお話も出たんですけれども、家事も結構あります。家事も、言ってみれば仕事も、あとは、最近レンタサイクルとかも貸出しとか結構増えていますけれども、やっぱりそういう日常生活の運動というのは、もし健康というところを医療費の削減ということで考えたら、やっぱりスポーツとは言えなくても、そちらも例えば身体活動レベルを出してリスト化して、それも入れるというような工夫も一つかなと思います。また、別のアウトカムだとちょっと違うところもあるのかなとは思います。
 以上です。

【久野部会長】  北出委員、ありがとうございます。今、北出委員がおっしゃった中で、若い女性の、特にやせ願望の強さなんかも何か影響しているなと思いながらお聞きしましたけれども、その辺は北出委員、いかがでしょうか。

【北出委員】  ありがとうございます。やっぱり本当に最近、若い女性というのは、やせ願望がそれこそ小学生からあるというふうなデータも出ております。そうすると、筋肉量というのがもう明らかに脂肪、体重量が減っているというのがもうデータでも出ているんですけれども、そうすると、本当に昔の野山を走り回っていた頃と比べると、疲れやすかったり、家で過ごすことが多いというか、そういうのが中高年じゃなくて若い女性から結構増えてきているというのが大きな問題かなと思いますし、やっぱり骨粗鬆症も若い女性でも多いということもありますので、ここは割ともう早急に進めていかざるを得ないのかなと考えております。

【久野部会長】 ありがとうございます。そういう面では、北出委員が言われたように、何かもう少し小中の例えば保健体育の授業のところで、その辺りが今のカリキュラムでいいのか、少しその辺りも、ある面、体育のところはスポ庁のほうで割合動きやすいところでもあるはずなので、その辺りは今お聞きして、早くやれる一つだなと思いながらお聞きしていました。
 では、能瀬委員、いかがでしょうか。

【能瀬委員】  ありがとうございます。20代から40代のところで希望と実施率に差が一番顕著に見られているということで、恐らく女性の7割が働いているというデータがあるかと思うんですけれども、20代から40代でこの乖離が見られる人というのは、子育てと仕事を両方やっている人ほど差があるんじゃないかなと思いました。背景がこのデータからは分からないんですけれども、自分の例を挙げて恐縮なんですけれども、私も今保育園のお迎えがあって、働いていてとなると、やっぱりいくら働いているときに、例えば休み時間で運動してくださいと言われても、帰宅の時間がもう決まっているので、お昼時間はできるだけおにぎり食べながら仕事をやっつけたいんですね。できるだけ仕事を済ませていきたい、終わらせていきたいということを考えると、仕事と子育てをやっている方が運動する場はやっぱり週末になってしまうと思うんです。
 週末であれば例えば子供と一緒にできるスポーツとか公園で遊ぶというのであればいいと思うんですけれども、自分が集中してスポーツをしたいというときはやっぱり子供を預かってくれる、見てくれる人が30分でも良いので地域にいないと実現しないと思います。実際私もやりたくても1分もやってない状況なので、やっぱりスポーツクラブに例えば託児室を推奨するようなことをするとか、地域で子供を見てくれる環境を整えないと、なかなかこの世代は実施率が上がっていかないんじゃないかなと思いました。
 ちょっと話がそれるかもしれないですけれども、スポーツクラブに通っている、ジムに通っている方が妊娠すると退会させられるというところが多いんですね、今。私も、アスリートでトレーニングをしたいという方が、やっぱり妊娠しちゃうとできませんと。それで、みんな隠しながらやっているという状況なので、そこら辺も整備が必要かなとは感じました。
 あとは、ちょっと1点気になっているのは、研究のところでいろいろ取組をされているというのはもう重々承知しているんですけれども、研究の中には、この政策を議論する上で結果を提示していただく必要があるものがいくつかあると思います。例えばSport in Life推進プロジェクトで、女性スポーツ促進に関わる環境整備に関する研究をされているかと思うんです。今日提示はないと思うんですけれども。あとは、ライフパフォーマンスの向上に向けた運動スポーツ推進に関わる調査研究というところも、その研究結果を踏まえて私たちも議論したほうがいいかなと思うんですが、結果が提示されていないというところで、なかなかせっかくやっている調査が次につながっていかないんじゃないかなというところがちょっと気になっておりました。
 以上です。

【久野部会長】  ありがとうございました。能瀬委員から、妊娠するとスポーツクラブを退会させられるという、ある面、これってこの健康スポーツ部会の割合初期の頃の議論の中で、心筋梗塞の心疾患がある人がスポーツクラブに入会させてもらえないみたいなことをこの部会でも取り上げて、その中で、習慣化事業などでも医療と連携して、そういう方こそ実は今エビデンス的には効果が、運動療法が高いという部分もあるので、やれるようなそういうプロジェクトを募集したりとかという活動になっていったということを思い出したんですけれども、妊娠のところもそうなんだというのを改めて認識をいたしました。
 あと、今、最後に能瀬委員のほうからのデータ調査の件もあるので、時間の関係で、次に、調査研究と習慣化事業のディスカッションに移っていきたいと思います。それから、障害者の方々の件に関しても、いつも最後でちょっと尻切れとんぼで、藤田議員とかにもうちょっと早く、プレッシャーは全然されていないんですけれども、勝手に感じているので、障害者のところも併せて次に議論をして、最後に今日は女性のところをやりたいと思います。
 この辺り、調査研究や習慣化事業は、健康スポーツ部会でずっと議論をしてきている部分もありますので、ずっとその辺を見つめてきていただいている渡邉委員からまずきっかけづくりで御発言いただきます。その後、習慣化事業は自治体が手を挙げるということもありますので、今日自治体の委員として藤田委員と宮脇委員もお入りいただいていますので、続いてお当てしていきますので、御発言内容を少し整理をしておいていただければ。ここを含めて、ちょっと別の、前へ戻っていただいたり、ほかの観点も御発言いただくのは全然構いませんので、よろしくお願いいたします。
 では、渡邉委員からお願いします。

【渡邉部会長代理】  ありがとうございます。ちょっと久野委員のリクエストに応え切れなかったらすみません。
 まず、先ほどの話に戻るんですけれども、Sport in Lifeの話で、要は、裾野を広げる、その手段として、地銀だとか金融機関、損保、生保、いろいろな話が出ましたよね。あれは裾野を広げるという意味ではすごくいいと思うんですけれども、本当にコンソーシアムに入ってくれる企業とか、ほかの団体を入れるためには、コンソーシアムのそもそもの目的であります取組の事業、組織間の連携や協力による事業共創、これをやっぱり促進していくということが大事なんだと思うんです。いろいろな業態だとかセクターを超えて、それが多分目的だと思います。
 取組事例がこの分厚い参考資料の中に幾つか載っているんですけれども、これを促進するようなことをまずスポーツ庁のほうも仕掛けていく。そこでいろいろな成功事例をつくっていく。では、成功事例とは一体何かというと、企業にとっても自治体にとっても、あるいは市民・従業員にとってもメリットがあるし、かつその地域にとってはいろいろな社会課題の解決につながるような取組事例が創出できましたと。それを分かりやすく、いろいろな形で伝達、周知・啓発していく。
 周知・啓発する手段としては、経済界、商工会議所の塩野委員も入っていますけれども、経団連さんとか、あと、小松原委員のほうの健保組合とか、そういったところにも協力してもらう。JAXAとも連携協定を結んでいるわけですから、ほかのところとしっかりと連携を結んで、点を線、面に変えながら成功事例も示して裾野を広げていくという立体的な戦略が多分ここは必要かなと思います。その流れでスポーツエールカンパニーの捉え方というのもまた変わってくるのかもしれませんので、そこはさっきのお話を聞いていて私が気がついたところであります。
 それと、近藤委員のほうから、日常生活の身体活動という話がありました。これは第4期の計画に多分つながるかもしれないんですが、私の団体で2020年から、WHOのGlobal Physical Activity Questionnaireというものがあるんです。世界標準化身体活動量の質問票による調査を実施しています。甲斐委員にもおお手伝いいただいているんですけれども。それをやると、家事も含めた仕事、あるいは通勤も含めた移動、それから余暇、ここに恐らくスポーツというのが自発的に関わるところなんですね。それから、座位時間、こういったものを調査して、「スポーツライフ・データ」という冊子で今発表しております。
 ここは調査研究とも多分絡んでくると思うんですけれども、今いろいろなエビデンスありますよね。身体活動が精神疾患を含めた健康にどうつながるかとか、認知症にどうつながるかとかですね。スポーツの実施率というのは、さっき言った余暇の部分で大多数取られるんですけれども、本当に身体活動の調査をやったときに、仕事とか移動というものがどれだけのインパクトがあるのかということも、これも調査研究の一つのテーマとしてやってみたらどうかなとそんなふうに思います。
 それから、私の取組ばっかりで申し訳ないんですけれども、久野委員もいろいろな健康まちづくりもされていますよね。私のところでいろいろ事業をやってきて、個々にいろいろな展開をしてもどうしても限界があるので、自治体と組んで、スポーツ推進プラットフォームというものをつくって、そこで展開を進めているところなんです。ここにはもう産官学金労言士といったような各セクターの人に集まってもらって、地域課題を共有してもらって、そこで対策を考えて、実際にやってもらう。そうすると、課題も分かりますし、方向性もしっかり共有できる。だから、そういった取組もこれから必要になってくるのかなと。そこにスポーツ庁としてどうやって手を差し伸べていけるか、ここは大事じゃないかなと、そんなふうに思います。
 取りあえず一旦。

【久野部会長】  これまでの議論のところもうまくコメントをいただいて、今後の方向性もいただいて、さすがこれまでずっと部会長をやられていた渡邉委員だなと思いながらお聞きしていました。
 では、首長さんお二人からお聞きして、その次に、少しアカデミアの医療の部分も含めて、整形系と内科系で金岡委員と小熊委員からそれぞれのお立場から御発言をいただければと思います。
 ではまず、加茂市長の藤田委員のほうからお願いいたします。

【藤田(明)委員】  加茂市長の藤田です。よろしくお願いします。首長の立場としてお伝えしたいと思います。まず、女性のスポーツの参加についても、子どもの頃から経験している子としていない子の差があるのではないかなと思っています。学校生活の中で、体育の授業のほかにどれだけ経験できる場があるかというところはとても大切であると感じました。
 スポーツを経験している子の中でも、指導者から、食事を制限するようにと言われることでなかなか食べないことがあり、やはりスポーツをしていても、ずっと食事の制限をしなければならないということが頭の中にインプットされている子も中にはいるのではないでしょうか。学校の給食でも全部は食べない、残してしまうという子がいて、その中でも特に女子の割合多いと感じているところです。
 また、当市も健康増進プロジェクトとして活動量計を持ち歩いてポイントをためるといった事業をしており、参加者は口コミで広がっています。そのような場で歩く、また、活動量計をかざしポイントを得られる専用読取端末の『あるこう!かざすくん』を地元のスーパーなどに対して設置のお願いをすることで、人が立ち寄りやすいということもあり、利用者が更に増えています。なお、現在、当市は24,000人ほどの人口ですが、この事業に参加されている方々が2,000人ほどいます。
 また、当市の場合、地元に私立の4年制大学と短期大学が一つずつ、高等学校が三つあり、学校と連携することでスポーツに関してできる事業が多くあるのではないかと考えています。 

【久野部会長】  いえ、ありがとうございます。加茂市の取組も御紹介いただいた中で、逆に今後スポーツ庁のほうで、自治体の首長から見ていて、スポーツと健康という観点で例えばこういうデータがあると政策を組みやすいとか、何かそういうような観点があれば、ちょっと宮脇委員、続いてお当てして、また戻しますので、ちょっと考えておいていただければありがたい。特になければそれでもちろん結構です。よろしくお願いいたします。
 では、宮脇委員、お願いいたします。

【宮脇委員】 環境関係のISOが国全体の取組として非常に成果を上げている。要するに、企業としてISOもきちんとやっておられるというのが企業の看板としてあったけれども、やはり健康づくりは我が国にとっても世界にとっても大きな課題でしょうし、それぐらいの気持ちをかけることが肝要かなと思っております。
 先ほど出ておりました、どうやって企業のほうに参画していただくかということですけれども、当町では、健康経営企業の資格も持っておられる企業の方たちに健康づくりに参加していただいております。スポーツエールカンパニーやコンソーシアムへの参加につきましては、やはり情報の発信といいますか、インセンティブのようなものを設けながら、成果と一緒にこういう効果が上げられましたということできちんと世間に知っていただくこともとても大切なことだと思っております。いつも久野先生がおっしゃっている成果やエビデンスのことです。
 それから、この間、「新プロジェクトX ~挑戦者たち~」という番組で秋田県の藤里町というところで、4,000人ぐらいの町に百十数名のひきこもりの方がおられたけれども、頑張ってこれが今、ゼロになっているというような、そういう番組が放送されました。当町は最近、ひきこもり対策を始めたところで、とてもありがたい情報として見させていただきました。
 それから、女性の20歳から40歳の女性のスポーツの割合が少ないということにつきましては、これは当町でも去年から始めています。津下委員のお話に属することかもしれませんけれども20歳になってからプレコンセプションケアをしようとするのではなく、学校教育の中で、みんなの健康を守って、生涯を生きていくためにどういうことが必要かというようなお話を取り上げていくことが必要ではないかなと感じているところでございます。
 以上でございます。

【久野部会長】  ありがとうございます。湯梨浜では内閣府のほうのプロジェクト、健康ポイントの中で成果連動型でこれまでやられてきていると思うんですけれども、こういう国の事業が、提案に対して、成果が出ても出なくてもそこのいわゆる役務的にやっていれば、ある面、事業費というかそういう補助金が出ると。それに対して、成果連動型を特に入れていくということを率先してやられてきたわけですが、その辺の手応えとか、今後の運動・スポーツ習慣化促進事業にもそういうような観点を入れたほうがいいとか、いや、なかなかこれは厳しいですよとかその辺の実感はいかがでしょうか。

【宮脇委員】  これまでやってきまして、効果が上がっているのは明確に上がっているというふうに担当課長と認識いたしております。これをやっていこうとするときに、先ほどスポーツエールカンパニーのことなんかにつきまして連携ということを申し上げましたけれども、やっぱり自分の自治体だけでやるんじゃなくて、保険者の皆さんとも連携したりしてお互いに補い合いながらやればより効果も上がるでしょうし、経費削減の面でも私どもにとってはいい面が生まれてくるということも思っておりまして、そういったことも連携して何とか、せっかくここまで来たものだから、これを途中でやめるというようなことはしたくないわけでして、何とかこれを軌道に乗せて、より多くの町民がさらに健康づくりに楽しみながらやっていただけるようにということを思っておりますので、その辺、地方が頑張っている部分について、ぜひとも国の厚労省さんなり、こちらのスポーツ庁さんなりのほうの支援をお願いいたしたいと思っております。

【金岡委員】  ありがとうございます。運動器・整形外科的な状況として、慢性的な運動器疾患というか症状、腰痛とか肩こりとかそのような状況に対して、なかなか保険で湿布を出したりとかということができなくなりそうだというふうな流れがあると、それはメディアからの情報でしかないんですけれども、聞いております。つまり、それのような、今は湿布だけもらって何か症状をごまかしているような方々は、恐らく運動器の機能を改善するような運動療法がより重要になってくる。スポーツ庁によりそういうふうな方々の期待が大きくなるんじゃないかなと思っています。ですので、このようにスポーツ実施率、運動の実施率、自分の体をちゃんと自分でケアしてやっていくというふうなそういうふうな健康リテラシーを高めていくというふうなことはとても重要なんじゃないかな、これからますます重要になるんじゃないかなと感じています。
 先ほどのこの報道発表用のデータを見させていただいて、20代、30代、40代の女性は、今まで健康リテラシーが少ないからやっていないのかなと私個人的には感じていたんですけれども、そうじゃなくて実際にはやりたいんだけれども、やる環境がない、あるいは社会がそれを何か認めていない、そういうふうなことがあるのかなというふうな気がします。若い女性が家事や育児をほったらかしてスポーツやっているというのは、先ほど能瀬委員も言っていましたけれども、何となく後ろめたい気がするというふうな、何かそういうバリアがいまだに日本の社会の中にはあるんじゃないのかなというふうなことを今日の議論の中で感じております。
 企業が何らかの運動する機会をつくっている状況においては、この下のグラフで、女性は62%スポーツができていますので、会社が女性もスポーツしましょうよというふうに環境を整えればやっているというふうなことですので、これはすごくポジティブに捉えていい結果なんじゃないかなと思います。同時にやはり、企業というかソサエティー、その人が所属しているコミュニティーが理解を示してそういう運動の場を提供するというか何かチャンスを与えるというふうな形が求められると思うんですけれども、例えば先ほど能瀬委員のおっしゃっていた、フィットネスクラブも妊娠したら使えなくなるとかというふうな、その状況もいろいろと、ちゃんとした医学的な情報が伝われば、それはもうナンセンスなんだというのが分かってくれると思いますので、その辺りは少しリテラシーを高めていくような活動も必要でしょうし。
 あと、私もフィットネスクラブで泳ぐんですけれども、子供たちは泳いでいるけれども、親は見ていると。見ている時間がもったいないなと。親子一緒に運動できるような、そういうふうな機会があってもいいかなとは思います。あと、部活動が地域移行されて、スポーツとか運動というのがもう世代関係なしに縦になっていくようになれば、子供たちが所属していたクラブで親も一緒に何かスポーツをやるというふうな場が出来ていくといいなと感じております。
 ちょっと取り留めもないことですけれども、以上です。

【久野部会長】  いえいえ、ありがとうございました。大事な視点をいただいた中で、すみません、金岡委員のところにかぶせて私も恐縮なんですが、先日、厚生労働省の政策統括官のところの方と議論をしていた中で、厚生労働省としてこれから85歳問題というのに取り組まなきゃいけないんだという言葉が出てきました。
 私も5年前ぐらいから、80歳への対策というか、非常にこれから、2040年ぐらいまで非常に80歳以上人口、特にこれから85歳以上の高止まりなので、そういう面ではそこのウェルビーイングを高めていく、結果的には社会保障へのインパクトも出すという意味で、スポーツの力が非常に可能性があるんですけれども、一方でリスクもある部分、金岡先生の専門の運動器を含めて。そういう面で、働き盛りとか女性というところにこの健康スポーツ部会もかなりそこにフォーカスが行っているんですが、一方でやっぱり高齢者という捉え方の中で80歳以上というところの捉え方が日本の政策課題になってくる中で、そこにどうスポーツ庁、特に健康スポーツ部会でやっていくのか、そういう部分で調査研究事業あるいは自治体からの提案の中でもその辺りを求めていくという辺りは戦略的に今お話を聞いていて必要だなということでここで発言をさせていただきました。
 では、小熊委員、よろしくお願いいたします。

【小熊委員】  ありがとうございます。まず、内科系の医療というところで役割があると思いますので、そちらの観点からお話しさせていただくと、今、久野先生おっしゃった件、年齢が上がるにつれリスクも高まる、その中でどうスポーツを安全に行っていくかというような文脈もあろうかと思います。本当に国レベルでは省庁間連携がすごく大事な部分だと思いますけれども、実際、地域で運動している方々は、高齢者だと何らか疾患を持っている方がほとんどで、通院していたりするのですけれども、あまりそこは気にせずに運動は運動で行っていることが多いです。今回、厚生労働省のほうから専門家向けの「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」と一般の方向けの「アクティブガイド2023」というガイドが出ています慢性疾患を持つ人向けのインフォメーションシートや安全安心に行うためのインフォーメーションシートも含まれております。その中でも示されていますが、実際、定期的に健診を受けるとか通院をするとかということとセットで、楽しく運動する、スポーツするというのが当たり前の社会になっていく必要があるかと思います。
 医師もそれをサポートする必要があるし、赤字で4ページに書いてある生活習慣病管理料が変わり、運動処方とか療養計画書を作成することが重要になってきているといった点追い風が吹いていると思います。医師へのメリットをちゃんとつけていく必要があるし、そのためにスポーツの事業をしたときに、医療費がどうなるかとか、実際にどうそれが保険点数に換算していけるかというようなところも意識して施策、事業を行っていったほうがいいとも思います。
 評価という意味では、一人一人、行った人の前後の評価というのももちろん大事だと思うんですけれども、どれだけの方が参加したか、といったことも加味したうえでの集団全体での効果とかあと、環境面とか先ほども出てきていましたけれども、マルチレベルでの指標の検討、評価すべき指標の検討というのはあるのかなと思います。国レベルだったり、自治体レベル、あるいは集団レベル、企業とか学校とかというような組織でのレベルでの評価、あるいは各レベルでの多分野連携等が必要と思っております。
 先ほどGPAQの話が渡邉委員から出ていましたけれども、GPAQで領域(ドメイン、場面)を分けて身体活動を見ることができるんですけれども、これで例えば国際的に見ると、ヨーロッパのほうですと、実際GPAQで評価した身体活動量が上がっているんですね。日本とかほかはあまり芳しくなかったり、分からないだったりするんですけれども、よくなっているところはどういうところなのかというと、やっぱりスポーツが根づいているというか、システムとしていろいろなところが多分野連携して行う土壌が出来ているというところもあるし、評価を行う姿勢が出来ているという点もあると思います。値がよくなっているところの要因についてはぜひもっと知りたいなと思っているとこです。そんなところも含めて、スポーツ・運動・身体活動を行う土壌を育てていく必要があるのかなと思いました。
 身体活動の話とスポーツの話は、どこまでがどこまでかと明確に分けるのではなく、やっぱり連携していく必要が大事だと思いますし、今回の健康日本21の第3次の身体活動のところですと、生活活動と運動と分けることで、運動の部分はかなりスポーツと一緒というか近いところがあって、その中で何をやるかなんていうことの提案ができてきているかと思いますし、先ほど中村課長がおっしゃったように、自発的なものとそうでないもので、自発的なものはかなりスポーツと言ってもいいのかなというところもあり、その辺の定義を明確にしつつ、多くの人が協働してやっていく必要があるのかなと思っております。

【久野部会長】  ありがとうございました。幾つか重要な点とこれまでの議論もまとめていただいた部分があって、ありがとうございます。
 そうしましたら、今度、障害のところが御専門のお二人にお当てさせていただくんですが、その後に相澤委員、岩田委員、それから佐々木委員、松永委員には、ここの論点のその他のところ、あるいは自由に全般に御発言いただければと思いますので、準備のほうよろしくお願いいたします。
 ではまず、前田委員からよろしくお願いします。ウェブからですね。お願いいたします。

【前田委員】  障害者の話をする前に、すみません、女性の話をさせてもらってもよろしいですかね。女性の20代から40代の方が、やる気はあるんだけれども、なかなかできていないということが分かってきたという話なんですけれども、僕もうちの家内とかを見ていて、ああ、そうだなと思ったりするんですけれども、見ていて思うのが、先ほど面白い意見というか、同じ意見を言おうかなと思った話が金岡委員から出たんです。スイミングに子供も行ったりして行くんですけれども、親は見ているだけなんです。それは子供が泳いでいるので、それはしたくなるだろうな、運動したくなるだろうなと思うんですね。また、子供をさせているということは、やっぱり運動をさせる意義が恐らくあるということはみんな分かっているし、それでさせているんだと思うんですけれども、させながら自分は何もやってへん。見ているだけ。
 水泳はまだいいんですけれども、うちの子供は小学校の頃から少年団で野球とかをしていたんですけれども、野球なんかは真冬でも大会があったりとか、練習試合があったりとか、行きます。そうすると、親は吹雪の中、吹雪に耐えながら見ているわけです。また、うちの子供は全然レギュラーでも何でもないのに、全然出てこない試合をずっと雪の中見ている。何とかならないのかなと。あの時間に一緒に、それこそ先ほども親子でできるというプログラムの話がありましたけれども、そういったものがあれば、みんなが楽しめるんじゃないかなと思います。
 また、うちの家内を見ていると、やっぱり野球の知識がいまだにない。結局、子供は高校まで野球をしていたんですけれども、やっぱり野球のルールがいまだに分からないということなんですね。そうすると、1つのプレーを褒めることができないんですね。それはホームランを打てば褒めるでしょうけれども、そうじゃなくて、野球とかは、進塁打といって、ただのセカンドゴロかもしれないけれども、アウトになるけれども、1塁ランナーを2塁に送れたというのも、1つアウトになるけれども、すごく褒めるべきプレーだったりするんですけれども、そういうときに褒められるということで、何かルールも含めて親も一緒にやれると、褒めるポイントとかそういったのも分かる。やっぱり褒めてあげるってすごく大事なので、そういう褒めるという、そういうのもルールを覚えることによってもできるし、また、自分も一緒に体を動かせると、よりスポーツが好きになってもらえるんじゃないのかなと一つ思いました。何かそういうプログラムとかを取り入れてくれるスポーツ少年団があったり、部活とかでも親御さんも一緒にするようなプログラムをもっとできたらいいなと思いました。
 次に障害者の話をさせてもらいます。今日の報道発表、資料の1番の中で報道発表の6ページのところに障害者の運動・スポーツの実施率というのがありまして、新しいデータが出てきました。週に1回以上運動する方の割合ということなんですけれども、やはり7歳から19歳が上で、週に1回以上やる20歳以上というのはずっと下のままなんですね。今回の場合は、子供たちは数字が伸びているんですけれども、大人は横ばいだというような結果になっています。
 こういったものを見て、やっぱりこういったデータというのは日本全国でも見ますし、いろいろな市町村とかでもしっかり見ている数字です。僕も鹿児島市のスポーツ推進委員をやっていまして、その会合があったりしますので、やっぱりこういったものを見ます。こういったものを見ていると、やはり子供の頃とかというのは学校があります。学校の体育の中で週に1回2回ということで体を動かしているので数字が上がってくるのかなと思ったりはするんですけれども、卒業してしまうとなかなか難しい。特別支援学校に行っておられる方々も、特別支援学校に行っている頃は県の障害者スポーツ大会に参加してくれたりするんですけれども、卒業されると、全然出てこられないという、顔も見なくなってしまう、そんな方が多くなるので、その辺何とかできませんかねということで、実はこういう取組どうですかということで提案したのが、総合型地域スポーツクラブ、そういったのが鹿児島市内にもあったりしますので……。

【久野部会長】  前田委員、ちょっと長いので、すみません、時間が大分迫ってきていまして、まとめていただいていいですか。

【前田委員】  分かりました。その総合型スポーツクラブと何とか学校をうまく連携できないかということで、学校の近くのスポーツクラブを学校を使ってやったらどうかと。学校にいる間に1回そういうスポーツクラブのところでこういう活動ができるということを知ってもらうというのが大事かなということでやってみようかと思ったんですが、なかなか学校側のほうで体育館が開放できないということで、スポーツクラブ側はオーケーだったんですけれども、なかなかそういったところが難しくて。ですので、何とか学校側もそういった場づくりというところに今後協力していただければ、卒業してからの受皿になるのではないかなということですので、何かそういった方策ができればと考えております。
 以上です。

【久野部会長】  ありがとうございます。やっぱり学校のところの問題点、過去にも何度も議論になってきて、まだまだそこに課題があるということを御指摘いただきました。
 では、藤田委員、よろしくお願いします。

【藤田(紀)委員】  どこからお話をしていいかあれなので、長くなったら止めてください。
 今回の今日渡していただいた資料1の7ページ、スポーツを行っていない人はほとんど無関心層ということが出てきております。次のページに障壁となっているものはというのは、これはやっている人、やってない人も、体力がない、体調に不安がある、障害に適したスポーツがないとかというところが挙がってきています。なので、一つは、無関心層に向けた行動変容を促すような施策が今後必要になってくるだろうと。
 もう一つは、無関心層をつくらない施策というのが必要になってくる。無関心層に向けた行動変容を促す施策って、いろいろなことをやって少しずつ実施率は伸びてきているんですけれども、思ったほどガンと伸びてきていないというところも一方であるかと思います。特に障害のある人にスポーツをやり始めてもらうためには、一つ、先天的な人は学校の中でスポーツをやるとか、あるいは体育以外のスポーツ経験が非常に少ないので、その辺りのことをやっていくということになるかと思います。
 あと、行動変容を促す施策として、これまでいろいろな、県レベルとか、それからスポーツ庁のワーキンググループもそうだったんですけれども、スポーツ関係者、それから各当事者団体の方は入ってくるんですけれども、医療関係者が非常に少ないような気がするんですね。ワーキンググループのときも、PTの資格を持っている大学の先生は入っていたんですけれども、でも、PTの方というのは、障害を持って中途障害になった人たちに対するリハビリを実際に対峙してやるのはPT、OTさんなので、そういった方にも入ってもらって連携をして行くということが必要なのかなと思います。
 それからあと、障害者福祉の方。私たち、いろいろ網はかけているんですけれども、スポーツ関係の網はかかっているんですけれども、障害者福祉の、例えば障害のある人は在宅の方が多いので、そういう人たちにどう網をかけていくかと考えたときには、やはり障害者福祉とか当事者団体の方とかそういったところと連携してやっていく必要があるかなと感じました。
 それから、無関心層をつくらないということでいくと、やはり北出委員からも出ましたけれども、学校体育とか部活動の地域移行の中で、これまではうまい子、上手な子、できる子をつくるというのが目標になっていたかと思うんですが、スポーツ嫌いをつくらない、逆にスポーツ好きをつくるというところに目標を変えてやっていく必要があるのかなと思いました。
 100人近い障害者スポーツの選手にインタビューをやったんですけれども、ほとんどの人がスポーツに関心ある人で、スポーツに関心なくてスポーツを始めたというのは、重度障害でスポーツ何が、自分でできるものがないと思っていた人が途中で、あるときに例えばボッチャを知ってやるようになったという人はいるんですけれども、大体の人は聞いてみると、親がスポーツを勧めてくれたとか、親もスポーツをやっていたとか、障害を持つ前にスポーツをやっていたとかということがあるので、とにかく関心のある人をつくらなければいけないんですけれども、無関心層をまずつくらないということが重要なのかなと思います。
 あと、医療の方というお話をさっきしたんですけれども、障害によって、影響の仕方が違うんですね。例えば切断した後スポーツをやるようになった人というのは、割とお医者さんで手術するときから、切り方をどこで切るか、スポーツがやりやすいようにというふうなところで手術をして、その後スポーツができるように、それはお医者さんに非常に知識があるということだと思うんですけれども、どの障害の人がどういうときにどの段階で障害を持って、そういう人たちにはどこからの情報が重要かということを少し丁寧に見ていって、施策を組んでいくということが必要かなと思いました。
 以上です。

【久野部会長】  ありがとうございます。すみません。今回から委員が多くなっていて、何とか全員と思ってきたんですが、予定の時間を超えてしまっていて、相澤委員、岩田委員、佐々木委員、松永委員が今のペースでお話しすると30分ぐらい延びそうなので、大変恐縮なんですが、どうしても言いたいということだけ1分以内で、あとはメールで、すみません、いただくのでいいでしょうか。本当に申し訳ありません。私のハンドリング不足で。
 では、相澤委員、岩田委員、それからウェブで松永委員、佐々木委員ということで、計っていますので、1分超えたら止めますので、よろしくお願いします。

【相澤委員】  今の藤田委員のコメントを受けて、無関心層をつくらないというのは、リハビリテーション専門職はかなりそこで貢献できるんじゃないかなというのは同意できます。
 あとは、現在、スポーツ庁の事業で、前回もコメントさせていただいたんですけれども、一般の指導者のために、障害者とか障害とかの知識を踏まえたスポーツ指導に対応するツールがもうほぼ出来上がってくると思いますので、それを用いて、障害を持った方の可能性が、パラスポーツの可能性が広がっていくようなそういうメッセージ性を持たせて、それをどんどん普及していく活動を推進すべきじゃないかと思っています。
 あと、場合によっては、調査研究の枠組みで、その直接・間接効果を実際に確かめることでそれがエビデンスになりますので、それをまたリコメンドするときの根拠になるんじゃないかなと思いながら聞いておりました。
以上です。

【久野部会長】  御協力ありがとうございます。
 では、岩田委員、よろしくお願いします。

【岩田委員】  私も手短に。ちょっと手前みそになるんですが、昨日国体の国スポの在り方検討委員会、有識者会議が提言を出していただきました。それにはトップアスリートと地域スポーツの好循環という二兎を追いましょう、今後やりましょうと。トップアスリートの参加も含めて、やはり地方創生に寄与すべく、開催地の県・自治体・市町村の活性化に重きに置くという提言をいただきました。これはやはり日本商工会議所の小林会頭が座長だったからだと思います。
 これは何が言えるかというと、やっぱり地方の企業と国スポが連携して地方を活性化していく。そうすると、法人税収入も上がる。それから、企業も社会貢献に寄与できる。これがやはりさっきの中村課長からの最初の宿題で、スポーツエールカンパニーを増やしていくには、やっぱり国スポなんかもきちっと利用していただいて、今年は滋賀、来年は青森、その次は宮崎といったエールカンパニーをどんどん増やしていく。国スポと連携してというのが一つ。
 それからもう一つは、スポーツ実施率が、やっぱり20代~40代の女性が40%程度ということで、ここも国スポが連携できるんじゃないか。県民スポーツムーブメントというのは必ず各県・各市町でやられるので、そこを利用できればと。
 もう1点だけ、すみません、追加して言うと、私はやっぱり大学の初等教育の限界かなと思っています。小学校の先生のほとんどが女性の中で、やっぱり大学の初等教育で体育嫌いの学生がそのまま育って教員になる。教員が小学校の体育を教えるときに、やはり体育をきちんと教えられないというところはきちんと改善していかなければいけない。それを補うためにJSPOが行うアクティブ・チャイルドスポーツの利用とか、それから先ほど御批判をちょっといただいたスポーツ少年団、少年団という、少女じゃなくて男、少年、そういったネーミングがやっぱり男の子ばっかりなんです、小学校の。だから、女性をちゃんとスポーツ好きにする少年団の活性化なんかも考えていかなきゃいけないと思います。
 以上です。

【久野部会長】  ありがとうございます。今、ボーイスカウト、ガールスカウトだなと思いましたし、今の経済のところで、今日の日経が結構大きくこの件、日経が珍しくこんなに大きくと思ったのは、その辺りだなということで非常に理解ができました。ありがとうございます。
 では、佐々木委員、お願いいたします。

【佐々木委員代理(小野寺)】  申し訳ありません。佐々木の代わりに、私、小野寺のほうから発言させていただいてもよろしいでしょうか。

【久野部会長】  はい。すみません、1分以内でお願いいたします。

【佐々木委員代理(小野寺)】  先ほど皆様からいろいろ拝聴しておりまして、私どもの立場のほうからは、実際に民間・公共の例えばスポーツ施設であったりとか、そういったスポーツをする人を支える人たちが動いているところ、そちらのほうともやっぱりもっとニーズとマッチングのところが非常に重要かなということを申したいと思います。
 例えば先ほど能瀬先生がおっしゃった女性のところもそうですし、障害者スポーツのところなんかでもそうですが、介護予防の事業のほうでやったことがあって、愛知県の豊明市でデイサービスの施設と、あと、スーパー銭湯でやっていることがほぼ同じだろうということで、理学療法士をスーパー銭湯に配置して回らせて、そちらで介護予防事業としてリハビリをした事例がありました。スーパー銭湯の売上げが少し下がったという、そんなような話で、もう少し民間事業者とのニーズのマッチングのところをできれば、そこの部分の場としていただければというところは。
 以上になります。

【久野部会長】  すみません、御協力いただいてありがとうございます。
 では、松永委員、最後よろしくお願いします。

【松永委員】  松永です。できるだけまとめます。
 女性のところで、皆さんの御発言にもありましたが、実は20年前に女性のスポーツ実施の調査をしたときにも、既に未就学児の末子をもつ女性がスポーツを実施する際に「罪悪感」を抱く割合が高いという結果が出ていました。
 その調査では、スポーツを子供と一緒にしたい人、子供を預けて、子供の様子が見える場所で自分がスポーツを安心してしたい人、子供を預けて、子供が見えない場所で思い切りリフレッシュしてスポーツをしたい人など、さまざまなニーズがあることが明らかになりました。ですから、今回の資料には、「子供と一緒にスポーツを実施する」としか明記されていないので、さらに追記する必要があると思いました。
 あと一つだけすみません。今日御報告いただいたスポーツ参画と幸福感のデータが非常に興味深く、幅広く活用すべきではないかと感じました。例えば、NHKの勝目委員の御回答に関連付けさせていただくと、都道府県の幸福度ランキングなどは非常に感心度が高いため、トピックス的に、スポーツ参画と幸福感の都道府県ランキングを広報したりすると、ちょっと興味を持っていただける可能性は高いと思います。やはり、「幸福」というキーワードは、スポーツ基本法にも出てくる重要なワードだと思いますので、調査研究のところでも、さらに分析など掘り下げていただけるとありがたいと思いました。以上です。

【久野部会長】  どうもありがとうございました。熱心に意見交換いただきまして、ありがとうございました。まだまだ言い足りないということは間違いないと思いますので、メールで事務局まで忘れないうちにぜひお送りいただくようお願いいたします。
 実はまだ今日、大事な議題2が残っていまして、議題2に入らせていただきます。事務局及び室伏長官から御報告お願いいたします。

【中村健康スポーツ課長】  資料3を御覧いただければと思います。2月19日にスポーツ庁とJAXAとで連携協定を締結しました。報道などで出ておりますので、御存じの方もいらっしゃるかと思います。スポーツの発展と宇宙開発利用とで連携をすることでより新たな価値を生み出していけるのではないかということで、連携協定締結式にはパラアスリート、それから宇宙飛行士の方々にも来ていただいて、それから金岡先生に進行していただいて、有識者同士の意見交換なども行いました。
 どういうことを連携していくのかということで、この3枚目を御覧いただきますと、連携協定内容というのがあります。パラアスリートを含むトップアスリートと宇宙飛行士の一体的な強化を進めるとか、長官がいつもおっしゃっている一器多様の観点を踏まえた人間の能力開拓を進めていくための連携とか、コンディショニングの技術と宇宙活動における健康管理の技術の連携とか、あと、宇宙における新たなスポーツの開拓とか、そのためのルールづくりとか、今後の未来像の提示とか、こういったことをJAXAと一緒に考えて、研究も含めて新たな価値を創り出していこうと、こういうことで2月19日に協定を締結させていただきました。これがキックオフになりますので、今後いろいろな協力連携活動を進めていきたいと思っております。御報告になります。

【久野部会長】  ありがとうございます。昨日別のスポーツ庁の会議でこのお話を聞けて、ビデオも昨日は見させていただいて、あのビデオを本当は委員の方に見ていただくといいなと。後で見られないんですかね。あれはパラの選手の方々とかJAXAの、やっぱり聞いていただくとすごくいいと思ったんですけれども。すみません、また宿題を増やしちゃいますけれども。

【中村健康スポーツ課長】  見やすい形になるよう今編集していまして、近日公開予定ですので、皆様にまた御連絡させていただきたいと思います。

【久野部会長】  ありがとうございます。
 最後に、この件も含め、あるいは今日の議論に対して、ぜひ室伏長官から一言、感想なり何でも結構ですので、一言ぜひお願いいたします。

【室伏スポーツ庁長官】  ありがとうございます。先ほどもいろいろ議論していただきましたけれども、JAXAは、我々文部科学省内の話ですので、比較的早く進んだこともあります。スポーツは、健康増進ということももちろんありますけれども、人の能力を開拓していく可能性。高齢になってもですね。今日の議論も地球上の話です。1Gがあって、それが前提ですけれども、木村選手が言っていますけれども、足に例えば問題があるパラのアスリートは、宇宙空間に行けば障害がなくなる可能性があり、むしろ障害が逆転する可能性もあると。あくまでも1Gで地球での話で完結していますけれども、我々が環境と人の、前、グラフ、関数を置いたものがあったと思うんですけれども、どういう環境にいてどういう人に行動変容を与えるかというところを、人と環境を置いたときに常識も変わってくるものがたくさんある。
 しかも我々は、木村選手も言っていますけれども、もう宇宙と関連していますよね。GPS使っていますよね。歩数をカウントしているのも宇宙と関係していて、宇宙ステーションがあり、ボールがあって運動なんかもできるような状況、火星・月に人が行き住む計画があり、将来そこで子供が出来て生まれると、そういう話にもなっているときに、あまり地球上だけで考えると限界があったものが、無重力とか低重力のところでやっていくということを考えるとまた新たな知見が加わってくるのではないかということで、人がまた新たな能力を開拓していく可能性さえあるのではないかという期待の下、しっかりこれを取り組んでいきたいと思っています。

【久野部会長】  室伏長官、ありがとうございました。
 最後なんですが、諸事情により、今日の会議をもちまして勝目委員が委員を辞職されるということで、最後に御挨拶をいただきたいと思います。勝目委員、よろしくお願いいたします。

【勝目委員】  お時間をいただきありがとうございます。このたび4年間務めさせていただいた委員を職務上の都合により退任することとなりました。任期を全うできず退任というのは大変無念なんですけれども、その一方で医療やスポーツ畑の人間でもない私が一流の専門家の皆様と一緒に議論に参加させていただいたことは大変光栄に思っております。毎回についていくのも大変でしたけれども、この部会の活動を通じて改めて運動やスポーツのポテンシャルを感じ、すごく刺激的な時間でもありました。
 今後、委員の立場を離れますけれども、皆様の議論やスポーツ基本計画の行く末を見守りつつ、応援したいと思っております。今なかなかチャンスがないんですけれども、いつかここで得た知見を社会に還元できるような仕事、番組作りに取り組みたいと思っておりますが、先ほど松永委員がおっしゃっていたことは早速何らかの形で取り組みたいなと思っております。
 これまで御指導いただいた委員の先生方、スポーツ庁の皆さんに本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

【久野部会長】  本当に勝目委員、長い間ありがとうございました。引き続きいろいろな形でサポートいただければと思います。
 では、本日はこれにて終了させていただきます。長時間ありがとうございました。お疲れさまでした。

 
―― 了 ――

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