2024年12月23日(月曜日)14時00分~16時00分
文部科学省3F1特別会議室 及び WEB会議(Zoomを使用)
スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第29回)
2024年12月23日
議題(1)部会長等選任について
スポーツ審議会令(平成27年政令第329号)第5条第3項に基づき、委員の互選により、以下の者が部会長に選任された。
久野 譜也 筑波大学人間総合科学学術院教授
また、会長の指名により以下の者が部会長代理に選任された。
渡邉 一利 公益財団法人笹川スポーツ財団理事長
【久野部会長】 それでは、議事を再開いたします。
傍聴に関しましては、一般の方については、ライブ配信での傍聴とさせていただいておりますので、御承知おきください。
先ほど部会長の選任と部会長代理の指名が行われまして、部会長に選任されました、筑波大学大学院人間総合科学学術院の久野でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
健康スポーツ部会、これまで私も何回か委員をさせていただいて、ある面、非常にアクティブな会議で、この会議でかなり議論したことが政策に直結していきますといいますか、また、その成果がちょうど出始めている。ただ、これ、出始めているというところがみそでして、確実なものにしていくという意味でも、今回非常に大事な時期だと認識しておりますので、委員の皆様とぜひ連携して、よいものを生み出せればと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
また、部会長代理として渡邉委員が指名されておりますことを御報告させていただきます。
それでは、第29回健康スポーツ部会の開催に当たり、室伏スポーツ庁長官から御挨拶をお願いいたします。
【室伏スポーツ庁長官】 久野部会長、ありがとうございます。改めまして、スポーツ庁の室伏です。本日はお忙しい中、第29回健康スポーツ部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
2022年4月から第3期スポーツ基本計画がスタートし、本年10月に5年間の計画期間の折り返し、ちょうど半分になります。計画を踏まえまして、これまでに実施している政策について、残りの計画期間における目標達成に向けて、本部会において中間評価として、委員の皆様それぞれの御専門の立場から貴重な御意見を賜れればと思います。また、今後、策定を予定している第4期になりますけれども、基本計画に向けた議論を本部会で行っていただくことになっておりますので、今後の日本におけるスポーツの在り方について、大変重要な先生方、御意見をいただくことになっておりますけども、忌憚なく議論いただければと思います。気楽な感じでやっていただければいいかなと思います。
第3期計画を踏まえまして、アスリートのみならず、国民全体がスポーツに親しみ、スポーツを通じたライフパフォーマンスの向上や健康増進を図ること、東京大会のレガシーとして、共生社会の実現を目指すことは非常に重要であり、本部会における議論は非常に貴重なものであると考えておりますので、引き続き、積極的な議論をいただきますようお願いいたします。
【久野部会長】 長官ありがとうございました。
それでは、議事の中身に入っていきますが、議題2として、健康スポーツ部会運営規則案について、審議をしたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いいたします。
【中村健康スポーツ課長】 資料3を御覧いただければと思います。そちらは、何か中身的な修正というよりは、事務的な修正と御理解いただければと思いますけれども、これまで健康スポーツ部会を運営してきたわけでございますけれども、一部、規定が十分でなかった部分がございまして、今回、2ページ目のところに赤字で書いておりますけれども、例えば、ウェブでの開催についての規定でありますとか、議事の公開について規定というものがあると位置づけられていなかったということで、今回スポーツ審議会の運営規則を準用した形で定めさせていただくというものでございます。よろしくお願いします。
【久野部会長】 ありがとうございます。
それでは、運営規則の改正案の御説明を中村課長からいただきましたが、何か御質問とか御意見ございますでしょうか。もし御意見があれば挙手をお願いします。ウェブの方は、ウェブの「手を挙げる」を押していただければと思います。よろしいでしょうか。特に問題なく、このとおり改正でよろしいでしょうか。
では、特に御意見がないようですので、議題2の健康スポーツ部会運営規則(案)については御了承いただいたということで、こちらの運営規則に基づきまして、以後の審議を進めさせていただきます。ありがとうございました。
では、引き続いて、議題3の健康スポーツ部会の所管に関わる第3期スポーツ基本計画中間評価の実施等に移ります。基本計画というものが非常に重要でして、これに基づいて、日本の様々なスポーツ行政が進められています。その上に基本法がありますが、基本法はすごく細かいところまでは規定されません。具体的な政策の中身がこの計画に位置づけられており、ちょうど中間評価の時期になりましたので、この点に関して、この後、事務局より、また御説明をお願いいたしたいと思います。中村課長、お願いいたします。
【中村健康スポーツ課長】 本日初めての委員もいらっしゃるということで、まず、資料の4-1を御用意させていただいたんですけれども、資料の4-1はこれまで、健康スポーツ部会でどういう議論をしてきたかということを簡単にまとめた資料になっております。
もともと健康スポーツ部会が設置されたのが平成29年7月ということで、第2期スポーツ基本計画に基づいて、スポーツ実施率をどう向上させるか、そういう議論から始まっております。その後、委員としては、今日もお集まりいただいている皆様もそうですけれども、地方公共団体、スポーツ団体、民間事業者、有識者、研究者などから広く参集して、働く世代、障害者、子供や女性向け、こういった方々へのスポーツ施策をどうするか、そういう議論を重ねてきたわけでございます。
第3期スポーツ基本計画、今、3年目になっておりますけれども、その中では、スポーツを通じた健康増進、共生社会の実現に向けた方策についても議論してきておりまして、直近の状況を申し上げますと、昨年の8月に、後ほど御紹介させていただきますけれども、ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進についてという取りまとめを行っておりまして、その後、様々な現場の視察やヒアリングも行いまして、「Sport in Lifeガイドブック」というものも、これは様々な関係者の方々に参考にしていただけるような事例を集めたものでございますけれども、こういったものも取りまとめております。
それから、障害者スポーツの関係では、この部会の下にワーキンググループを設けまして、今後の障害者スポーツの振興をどのような方策で進めていくかということで議論をしていただき、中間まとめ、最終報告書の取りまとめということを今年行っております。
一枚おめくりいただきますと、ライフパフォーマンスについてということで、初めて耳にされる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、単に運動、スポーツを通じて健康増進を図るというだけではなくて、様々な性別とか年齢とかライフステージにおいて、最高の能力を発揮できるような状態を目指していこうということで、ライフパフォーマンスの向上ということを今、スポーツ庁では掲げておりまして、定義は真ん中に赤い字で書いてございますけれども、困難な状況に陥ったとしてもそれを乗り越える力、それぞれのライフステージにおいて、環境変化や加齢等に心身機能を適応させながら、個々の課題解決や目標達成に向けて発揮できる能力、これを高めていこう、そういう取組を進めているところでございます。
次の3ページ目のほうにも、部会で取りまとめたものの概要を載せておりますけれども、ライフパフォーマンスの向上に向けて、ただ単にスポーツをするというだけではなくて、真ん中の推進のねらいと方向性というところにございますけれども、きちんと運動、スポーツの要素に着目して、目的をはっきりさせた上での運動、スポーツをやることで効果を高めること、そういう取組も進めてきているところでございます。
次の4ページ目のほうに事例を書いてございますけれども、運動が持つ特徴として、筋骨格系、神経系、呼吸循環・内分泌代謝系、メンタル系の4つに、この場では分類して議論しておりますけれども、それぞれの目的に応じて、どういう運動が適しているのかということで、例えば、単にウォーキングといっても、目的に応じた歩き方を変えることで効果が変わっていく、こういったことを意識しながら運動、スポーツを進めていくということが大事なんじゃないか、こういう議論をこれまで部会ではさせていただいております。
それから、先ほど御紹介した「Sport in Lifeガイドブック」、5ページ目のほうでございますけれども、こちらは少し分厚い冊子になっておりますけれども、先ほど御紹介したように、様々な取組を取り上げて取りまとめて、いろいろなところに周知を進めて、活用していただけるようなガイドブックになっております。
6ページ目、7ページ目に目次を載せておりますので、御参照いただければと思います。
それから、8ページ目が先ほど申し上げました、この部会の下に設けました障害者スポーツ振興ワーキンググループの中間まとめが8ページになっております。これは障害者スポーツセンターをどのように今後強化していくのかということで取りまとめたものになっておりまして、都道府県単位に1つ以上設けるという方針でありますとか、4つの機能としてネットワーク機能、情報拠点の機能、人材育成機能、指導・相談機能、こういったものを整備していくというような取りまとめをしてございます。
9ページ目のほうが最終報告書となっておりますけれども、障害者スポーツを振興していく上で、3つの論点を議論しておりまして、先ほど中間まとめで取りまとめた障害者スポーツセンターの在り方に加えて、障害者スポーツを支える人材の在り方、それから、団体の強化、こういった点も御議論していただいてまとめております。障害者スポーツ人材の育成として、どのように進めていくかということ、それから団体の基盤とか民間企業との連携強化も含めて、今後どのように進めていくか、こういったことを今年の夏に取りまとめておりますので、それを踏まえて、また、来年度の予算要求などもしておりますけれども、こういった取組をこれまで進めてきているという御紹介でございます。
続きまして、これを踏まえてということになるんですけど、資料4-2のほうに、まさにこれから委員の皆様方に御議論いただきたい、第3期スポーツ基本計画の中間評価になります。資料4-2は、先日開催されましたスポーツ審議会のほうでまとめられた、中間評価をどう進めるかという紙になっておりますけれども、長官からもお話ありましたように、今、前半期、3年が終わろうとしているところですけれども、その取組状況を評価、公表して、新たに取り組むべきものでありますとか、改善すべき取組というのを後半期、もう残り2年少しになりますけれども、に向けて示すという目的で行うものでございます。
進め方として、1、2、3と書いてありますけれども、後ほど御紹介しますけれども、健康スポーツ部会の関係でもKPIが設定しておりますので、その数値がどのように推移しているのか、進捗状況を整理して、今後の課題や方針について議論を行って評価していこうということで進めていく方針になっております。
下に、個別テーマ案ということで出ておりますけれども、特に健康スポーツ部会の所掌する内容につきましては、健康スポーツ部会のほうで議論をするという整理にしておりますので、多様な主体におけるスポーツの機会創出でありますとか、スポーツによる健康増進、それからスポーツを通じた共生社会の実現、その下に障害者スポーツの推進等々ありますけれども、こういったテーマについては、健康スポーツ部会のほうで御議論をいただければと思っております。今年度、3回ほどこの部会も開催予定にしておりますけれども、その中で議論を進めていければと思っております。
これから御議論いただくに当たりまして、第3期計画の上半期3年間でどういう取組を主にしてきたのかということを、皆様の議論の参考になるように御用意させていただいたのが資料4-3になっております。非常に簡単な説明にはなってしまうんですけれども、議論に当たっての御参考になればということでございまして、まず、開いていただきますと、そもそもスポーツ基本計画とは何ぞやという資料になっておりますけれども、2011年に制定されたスポーツ基本法に基づいて、スポーツ基本法は、スポーツに関する基本理念を規定した法律でございまして、スポーツを通じて全ての人が幸福で豊かな生活を営む、それは全ての人の権利だと。健康の保持増進や安全の確保の規定などが整備をされた法律でございますけれども、この法律に基づいて制定されているのがスポーツ基本計画になります。久野部会長のほうからもありましたように、スポーツ庁の政策というのは、基本的にはこの基本計画に立脚して、様々、進められているというものになっております。
3ページ目のほうにございますけれども、2012年に制定されて以降、5年ごとに制定されておりまして、今は第3期の3年目ということになっております。
次の4ページ目、5ページ目でございますけれども、スポーツ基本計画におけるスポーツの捉え方ということで、世界共通の人類の文化であること、スポーツを「する」「みる」「ささえる」ということでスポーツ文化を進めていこうという考え方がございまして、5ページ目のほうにありますけれども、第2期から第3期にかけても考え方を踏襲しつつ、第3期では新しい考え方を取り入れていますということで、6ページ目のほうにありますけれども、スポーツを「つくる・はぐくむ」、それから「あつまり、ともにつながる」、「誰もがアクセスできる」、こういった新たな視点で進めていこうということで、第3期の計画というのが策定をされております。
7ページ目のほうに基本計画の方向性ということで、第1部、第2部とございますけれども、具体的な方針については、第2部の第3章、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策というところに、基本的には記載をされておりまして、ここで御議論いただく中間評価も、これに基づく政策の進捗状況がどうなのか、その効果はどうなのかと、そういったことが中心になるかというように考えております。
次の8ページ目に、5か年総合的かつ計画的に取り組む施策ということで、11本の柱が設定されておりますけれども、この部会に関わる柱としては、「1.多様な主体におけるスポーツの機会創出」、それから、「5.スポーツによる健康増進」、そして「8.スポーツを通じた共生社会の実現」、この3つの柱が中心的に関わるものになっておりまして、それが9ページ目のほうに書いてあるとおりでございます。
具体的に何が書いてあるのかというと、細かく説明をすると時間がかかってしまうのですけれども、10ページ目以降に簡単にまとめてありまして、まず、多様な主体におけるスポーツの機会創出ということで、ここは明確なKPIを設けておりまして、1つ目の黒い丸のところがありますけれども、広く国民一般に向けたスポーツを実施する機会を創出しようということで、実施率、週1回以上の実施率を70%以上に引き上げようと、年1回は100%に近づけよう、こういった目標を設けております。障害者のほうは、週1回が40%、年1回が70%ということで、目標をつくって取組を進めているということにしております。
それから、もう一つの柱のスポーツによる健康増進については、様々な調査研究などでエビデンスを積み上げていこうというようなことも進めておりますし、5つ目の柱の12ページに、障害者スポーツの振興ということでも、様々取組を進めておりますので、具体的には次の13ページ目以降で、前半期の取組について、簡単に御紹介したいと思います。
まず、14ページ目を御覧いただきますと、御覧になったことのある方も多いと思いますけども、70%、障害者の場合は40%という目標に向けて、現状がどうなっているかというものでございます。御覧いただければおわかりのように、現状は52%ということになっておりまして、なかなか目標達成が厳しいという状況になっております。障害者のほうも40%の目標には、まだ到達していないというのが現状になっております。
15ページのほうに世代別のグラフがありますけれども、先ほども委員のほうからも話がありましたように、20代から50代という、いわゆる現役世代の方のスポーツ実施というのが課題になっているということがおわかりになるかと思います。
それから、16ページ目のほうに障害者のスポーツについての障壁となっているものが何かという調査結果をまとめたものになっております。
こういった現状を踏まえつつ、様々な取組を進めているわけですけれども、17ページ目から19ページ目にかけては、これはそれぞれのスポーツ基本計画に書いてある記載に対して、どういう取組をしているかということを整理した表になっておりますので、これは御参考に御覧いただきつつ、20ページ以降に具体的な取組をまとめておりますので、お開きいただければと思います。
まず、20ページ目にあります、Sport in Life推進プロジェクト、こちらは、先ほど課題といった現役世代へのアプローチの一つになっておりまして、民間企業の方や地方公共団体、スポーツ団体の方の御協力もいただいて、コンソーシアムをつくって、スポーツ実施率を引き上げていこうと、そういう取組をしております。それ以外に、スポーツ実施率をどう上げていくかという調査研究でありますとか、これも後ほど御紹介しますけれども、先端技術を活用したコンディショニング研究なども進めております。
具体的には、21ページ目のほうにコンソーシアム、これからスポーツエールカンパニーが出てきますけれども、Sport in Lifeコンソーシアム、現在4,400以上の団体に加盟をいただいておりまして、スポーツを推進していこうという理念に共感いただいた団体の方々に加盟をいただいておりまして、取組モデル創出事業、スポーツ実施の人口を拡大するのに効果的と思われるような取組をつくっていくということを支援するような事業を実施したり、あとスポーツエールカンパニーとして、従業員のスポーツ実施を促進する取組を進めている企業、団体を認定する。優れた取組をやっている団体をアワードとして表彰する、こういったことを進めております。
22ページ目のほうは、スポーツエールカンパニーのほうの説明になっておりますけれども、1年ごとの更新になっておりますので、長期で継続していただくことが大事だろうということで、5回以上がブロンズ、7回以上がシルバー、10回以上はゴールドというように段階をつけながら認定をしているという状況でございまして、まだ始めて10年になっておりませんのでゴールドはありませんけれども、順調に数は増えているというのが、23ページにもグラフをつけておりますけれども、御覧いただけるかと思います。直近で約1,500弱に増えてきているという状況でございます。
それから、24ページ目のほうにアワードということで、優れた取組を進めていただいている企業、団体、自治体の方々に対して、賞を授与するというような取組も進めております。
それから研究事業として、スポーツ実施率の向上に資するようなものとして、ここに3つテーマがありますけれども、スポーツ実施が社会保障費にどのような効果を及ぼすのかというような研究であるとか、特に実施率が低くなっている、女性の実施率、実施促進を促すための研究であるとか、地方における持続的なスポーツの習慣化に資するような方策を研究するものであると、こういった取組も進めてきております。
それから26ページ目のほうにいきますと、最近非常に広がりを見せているデジタルデバイス、スマホやスマートウォッチなど、こういったデジタルデバイスも活用して、国民にスポーツを促していくような仕組みがつくれないかというような研究も今、進めているということでございます。
27ページ目のほうは、こちらは地方におけるスポーツの習慣化をどう進めるかということで、地方公共団体の取組に対する支援というものになっております。地方公共団体だけではなくて、地域にある団体でありますとか企業でありますとか、様々なところと連携をしていただいてスポーツを習慣化することで、健康増進、介護予防、ライフパフォーマンスの向上、それから働く世代の実施率を引き上げる、こういった取組を進めていただいているところに国が支援をすると、こういった取組を進めてきておりまして、28ページ目がこれまでに御利用いただいた団体になってございますので、御参考に御覧いただければと思います。
それから29ページ目は、女性の実施率が低いことへの取組として、女性のスポーツ参加のためのサポートページというようなものもつくって、周知啓発をしていくというような取組も進めてきているところでございます。
最後に、障害者スポーツにつきましては、30ページのパラスポーツ推進プロジェクトということでございますけれども、こちらも、実は今年の10月から新たにコンソーシアムをつくりまして、現時点で30団体ほど入っていただいていると聞いておりますけれども、これも裾野を広げていければなと思っております。こちらもモデル事業を実施したり、それ以外に重度障害のある方への支援でありますとか、特別支援学校への支援でありますとか、それから民間企業とパラスポーツ団体との連携強化、こういった取組も進めているところでございます。JPSAとの連携の強化ということで、パラスポーツセンターの機能強化、来年に迫っておりますけれども、デフリンピックに対する支援などの取組を進めているということでございまして、最後のページ、32ページに載せておりますけども、特に、今、部活動、地域展開などの議論が進んでおりますけれども、障害者がスポーツをするハードルをいかに下げていくかということで、指導者向けに、「障害者スポーツの初歩的な指導方法ハンドブック」というようなものをつくって広く今、普及を図っているというような取組も進めております。
非常に駆け足で、分かりづらい説明で申し訳ございませんでしたけれども、3期の間に取り組んだ取組ということで、御紹介をさせていただきました。
【久野部会長】 中村課長、ありがとうございました。
新しい委員の方は、物すごく広い範囲を所管しているのだなという感想をお持ちではないかと思います。多様なところでも抜け落ちないように、そしてある面、選択と集中というような観点で今後、中間評価をし、更なる発展を目指すということかなと思っております。
あとは、前半にありましたライフパフォーマンスという言葉を健康スポーツ部会でしっかりと規定して、ハイパフォーマンスで得られた知見をいかにライフパフォーマンスに転換していくのかというような点も非常に、力を入れているところだと私も認識しております。お隣に長官がいらっしゃるので何となく言いづらいですけど、少し前までのスポーツ政策はまず、スポーツをやる人の裾野を広げるというところにずっと力点を置かれていたところに対して、室伏長官になられてから、そこに加え、もちろん裾野は広げないといけないんですが、ここは健康スポーツ部会なので、健康とかウェルビーイングの向上につながるスポーツを、どう実施者をいかに増やしていくのか、あるいはそれができる環境をつくっていくのかと、そこに論点が移ってきています。そこにおいては政策的にもすごく進化をしつつあるところで、それを次の第4期に進めるための中間評価という位置づけが、あるのかなと思いながら、今、中村課長のお話を聞いていました。
もし長官のほうから、今の課長のコメントに加えて追加発言あれば、お願いいたします。
【室伏スポーツ庁長官】 久野部会長、ありがとうございます。また、ライフパフォーマンス、温かく見守っていただきまして、少しずつ進展しておりますので、引き続きお願いしたいと思いますけども、今、久野部会長がおっしゃったとおりで、もちろん運動することは健康なんですけども、果たして、ただやればいいということ、プロモートすればいいのかというとそうではないんじゃないかということで、実施率もそうですけども、実施質的なものも、スポーツですので考えていく必要があるということでこれまで議論してきました。
また、健康スポーツ、スポーツらしい健康とは何かと言いますと、もちろん安定性、向上性を求めるようなものも、世の中では疾患を持っている方にも運動していただく必要ももちろんあると思いますし、あるんですが、一方でスポーツ庁らしい、スポーツらしいといいますと、パラスポーツを抱えていますけど、もともと障害者スポーツは厚生労働省が所管でしたけど、スポーツ庁に来た意義は大変大きなものがあり、これは能力の開拓そのもので、恒常性、安定性だけを求めていましたらパラスポーツは成り立たなくて、目が見えない方に泳がすわけですし、スケボーであえて危ないことをして、下に飛び降りたりとか、体操もそうです。危ないことばかりスポーツはしているんですけども、それを抑えろと言っても、子供たちは運動欲求を高めて、やれと言われなくてもやりたいなと思う気持ちがどんどん出てくるようにということを、今、地域移行のほうでやっていますけども、大人も少しチャレンジしたいなとか、気持ちが動くようになると自らするようになっていくと思いますので、こういったスポーツらしい健康の定義として、ライフパフォーマンスを今まさに、久野委員、津下委員も含めて議論していただき、何もないように過ごそうというのも大事、いいかもしれませんけども、何かあっても立ち直って頑張っていこうと。それが1人で難しければ、集団をつくってスポーツはチームですのでやろうと。そういう前向きに進むような、こういう方向になっていくといいということで、エビデンスもそうですし、東川町などの町単位でも随分今、そういう成果も得られていることもありますので、これが点が面になっていきますように、皆さんからまたお力添えいただきたいと思います。
実施率、これは今の実施率の取り組み方も調べ方、あとは阻害要因とか等いろいろ調べていますけども、考え方についても、もしこの時点で、第4期につなげるような新しい考えも、「する」だけじゃなくて「みる」ほうも、観戦することでの幸福感もあるでしょうし、そういうこともそうですし、年に1回のスポーツとありますけども、それってなかなか効果としてどうなのかというところもあり、例えば今話しているような、10回、しゃがんでやるスクワット運動みたいなものがスポーツ的にあったならば、階段を1階から2階ぐらいまで上がると同じぐらいの、「ながら」は私、よくないと思うんですけども、日常の運動効果として、そういうことが2階ぐらい上るとスクワット10回ぐらいになるのとつながるとなると、運動したことになるみたいなものも考えられるのかとか、そういうところまで議論が今後行くといいなと思っていますが、ぜひ委員の皆様方にもライフパフォーマンスのところ、さらに進展していきますようにお力添えをいただきたいと思います。
【久野部会長】 室伏長官、ありがとうございました。
では、意見交換に移ります。第4期部会は本日、1回目ですので全員に御発言をいただければと思っております。この間、中村課長からお聞きしたんですが、健康スポーツ部会のように、スポーツ基本計画の部会が審議会の下にあって、そこが基本的に中間評価をするんですが、今日御説明があった部分は健康スポーツ部会で中間評価を進めるという役割がありますので今日はこれだけ時間を割いてお話して頂きました。初参加の方は追いつかないところがあるかと思うんですが、キャッチアップをぜひよろしくお願いいたします。
あと1時間残っておりますので、全員から御発言いただけると思っているんですが、今、改めて委員を数えたら20人いらっしゃるので、お一人2分程度、満遍なく御専門の方がいらっしゃるので、自分の役割は何かを意識をしていただいて、そこにフォーカスを当てて御発言をいただけるとありがたいです。ただ、それ以外も気になったところがあれば御発言いただければと思います。
では、前回から引き続いた委員ということで、渡邉部会長代理からお願いいたします。
【渡邉部会長代理】 ありがとうございます。振り返りますと、健康スポーツ部会はいろいろなことをやってきたなというのが実感です。ただ、先ほどスポーツ実施率等の紹介もありましたけども、なかなか数値が上がっていないと。計画を立てる段階では各部会の議論があって、それが本会のほうに行ってスポーツ基本計画にまとめるんですけども、課題は、つくった計画を実行するという実行性と、実行した成果としての効果を高めるという意味の実効性、ここのところが重要です。これまでもどう周知して、どんな展開をしようかといった議論がありましたし、モデル事業としても行われてきたものがありますが、モデル事業というのは予算もつくし、人もそこに加わりますから、伴走しているときにはいい結果が出るんだと思うんです。ところが、これを自走させるにはどうしたらいいのか、ここがやはり課題になってくると思います。健康スポーツ部会ではありますけれども、ここでいろいろな議論をしたものを取りまとめて周知していくんですけども、周知したものがどうやって成果を獲得していくのか、その展開プロセスも一緒に、この部会でも議論していければいいと、思っています。短めに終わります。
【久野部会長】 さすが渡邉委員、流れをつくっていただきましてありがとうございます。では、ウェブのほうから宮脇委員お願いいたします。
【宮脇委員】 資料4-3の8ページのところに計画的に取り組む施策と書いてございます。冒頭でも申し上げた通り、私どもの町でも、グラウンドゴルフの国際化というのを進めているんですが、グラウンドゴルフは誰でも楽しめるスポーツであること、健康にもいいということの裏付けがあって、これを国際化していくのがいいんじゃないかと思い、取り組み始めました。要するに、地方創生的に言えば、オンリーワン的な施策を生かして、スポーツツーリズムみたいな形でグラウンドゴルフを楽しんでいただけるような世界をつくりたいというのがあるんですが、その取組が項目の中の「4.スポーツの国際交流・協力」や「5.スポーツによる健康増進」にに当てはまりますし、それから、地方創生、まちづくり、多分野にわたる事業が私どもの町のやっていることには入っていると、包含しているなということを感じて、読ませていただいたところです。
きちんとした意見になっていませんけれども、今、浮かびましたので、申し上げました。
【久野部会長】 ありがとうございました。地方自治を預かるといいますか、そういうお立場での御発言をいただけたかなと思います。
では、松永委員、同じくウェブからお願いいたします。
【松永委員】 松永です。先ほど渡邉部会長代理からもありましたけれども、これまで推進してきたライフパフォーマンスもそうですし、この部会でも力を入れてきた「Sport in Lifeガイドブック」もそうなのですけれども、良いものができても、それを実際に活用していただかないと意味がありません。周知のための広報に力を入れている段階ではありますが、まず、周知が現場レベルに行き届き、活用されているのかというようなところの確認および検証も今後必要になってくるかと思います。 地域、あるいは各団体や組織で事業を展開していく人材は、健康系、スポーツ系、あるいは生涯学習系等々を含めて、様々な役割の人材がいます。縦割りではなく、横串を刺して横断的にコーディネートするような人材、マネジメント人材の発掘・養成が今後、課題になってくると思います。そこについては、引き続き、どのように展開して、どのように評価していくのかというところも重要になってくるのではないかと思います。
また、この部会マターではないのですが、スポーツ庁を中心に部活動改革を進めている中で、地域のスポーツや芸術活動を含めた健康にも関わるような新たな仕組みというところが、今後、非常に大きな動きになってきます。このことについても学校の部活動だけの問題と捉えず、地域の健康スポーツを考えるこの部会にも関わってくるところは十二分にあると思いますので、意識を高めていく必要があると思います。
【久野部会長】 松永委員、ありがとうございました。ちょっと一つだけ質問をさせていただきたいんですけど、マネジメント人材の育成が重要だと今、御発言があったんですが、松永委員も大学にいらっしゃいますが、全国でマネジメント人材を育成する場合、大学の役割は重要じゃないかと思いますが、その辺り御意見ございますか。
【松永委員】 ありがとうございます。近年では全国の大学や専門学校の学部・学科・コースにおいて、スポーツマネジメントを学ぶことができる状況にあります。さらに、スポーツマネジメント関連の資格には、例えば日本スポーツ協会さんが展開されている公認クラブマネジャー、公認アシスタントマネジャー資格というものがあります。特に、公認アシスタントマネジャー資格は、全国の都道府県協会のみならず、大学や専門学校においても講習・試験免除適応コースとして所定の科目を修得できるカリキュラムを用意して申請すれば、資格取得のための受験資格を得ることができ、試験に受かれば資格を取得し、マネジメント人材を地域に輩出することができます。
マネジメントを核とする学科、コースなども増加傾向にあり、卒業生たちがスポーツ界などで活躍するケースも増えている一方で、総合型地域スポーツクラブなどの地域の現場においては、マネジメント人材として生計を立てるということが現状では難しい部分もありますので、そこについては課題だと思っております。以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。では、オンサイドから藤田(紀)委員、藤田(紀)委員には先ほど、中村課長から説明がございました、障害者の事業の取りまとめをしていただいております。では、藤田(紀)委員、お願いいたします。
【藤田(紀)委員】 まず、評価ということで、障害のある方のスポーツ実施率を見てみると、最初、調査を始めたところは18.2%だったのが32.5%と、目標は達していないんですけども、ここまでわりと順調に伸びていっているのかなと思っています。
そういう意味では、ここまで様々な施策を打ってきたことが、それほど的外れなものではなかったんだろうなと考えています。ただ、スポーツ庁が中心になってやっている施策というのは点なんです。いろいろなことをやっても、そのことを多くの方が知っているかというとそうではないところがあるので、一番いいのはスポーツに関わっている人みんなが、障害のある方のことも全部指導者は知っていて、いろいろな協会がありますが、そこも全部障害のある方の対象としてやってくれるようになってくればもっと上がってくると思うので、そこまでは至っていないということなので、そういう横展開というか、どう点を面にして広げていくかというところをこれから考えていく必要があるのかということが1点あります。
もう一つ、先ほど長官がおっしゃった、スポーツ実施質という言葉、非常に僕はいいなと思ったんですが、質の中には健康を高めていくという目的を持った質というのもあるでしょうし、特に子供の頃というのは、スポーツの楽しさを知っているかどうか、知ることができるかどうかということがすごく重要で、私、別の財団のプロジェクトで、ほぼ100人の障害のあるスポーツ選手にインタビュー調査を行ったんです。分かってきたことは、みんなスポーツに関心がある人たちなんです、やっている人は。だから、そういう人たちをどれだけつくるかということが、今、スポーツをやっていない人たちに対して、これは障害あるなし関係なしですけども、どうやってスポーツをやってもらうようにするかという考え方も重要ですが、合わせて、スポーツの楽しさとか、子供の頃にどれだけ知ってもらっているかということが、そういう人が多くなれば、特にそんな一生懸命、施策を打たなくても、もしかしたら実施率は上がってくるのかもしれないわけです。そういうところも含めて、今後考えていく必要があるのかなと思いました。以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。実施率の上げ方についてお話がございましたが、どうやって上げるかじゃなくて、背景のところからしっかりとつくることによって自然と上がるような、そういう仕掛けづくりという観点は、健康まちづくりでも同じことが言える程、重要な御指摘だなと思ってお聞きしておりました。
では、次にウェブから津下委員、お願いいたします。
【津下委員】 ありがとうございます。私からは、ライフパフォーマンスと運動・スポーツ習慣化促進事業について触れたいと思います。
ライフパフォーマンスという視点で、トップアスリートに対するサポートや、そこから得られた知見というのは本当に報告書を見せていただくとすばらしいなというか、潜在能力を引き出す、または、いろいろな環境、極限の中で自分の力を発揮できる、これは意外と高齢者とか体力が落ちた状態とか、または暑熱環境とか、いろいろなときに役に立つ知見がスポーツの世界の中に封じ込められていて、一般の方は知らないままいるというような状況から、そういうことを一般の人に広げていく。子供たちに、トップアスリートじゃなくて普通の中学生、小学生の方々がちゃんと知見を活用できるようにするというのは非常に重要なことだなあと感じています。
それからパラスポーツ、できないと思っていたことができるようになる、人間の潜在能力のすごさというのも、検討に関わる中で感じ取っていることですので、そういうことを一つ一つ広げていくことが大事かなと思います。学会や、そして関係団体、いろいろな機会を通じて、ライフパフォーマンスに関する情報発信が広がることをこれからも期待したいと思っておりますし、私自身もやれることはやっていきたいなと思っております。
2点目なんですけど、運動・スポーツ習慣化促進事業、これは、例えば、障害を持つ方が運動を始めた理由として、医療職から運動を勧められたというのが一番の理由になっています。中高年の方も健康のために運動を始めたと、健診で言われたからというようなことがきっかけになっている方が結構多いと。なので、そのきっかけづくりをきちんと行うことは重要なんですけれど、その人たちが楽しんでずっと続けられる環境にないと、言われたからやらされ感、または続かないということになってしまうので、健康セクター、予防、医療の関係者と、スポーツ関係者が27ページにありますように、共に協議して、地域における運動のある暮らしをつくっていく。これは行政でいうと、衛生部局とスポーツ部局が一緒になって取り組まないといけないということになりますので、現在、全国1,700の自治体のうち、延べ225自治体ということなんですけど、これのカバー率をどんどん上げていくことや、そして、参画した自治体がだんだん自走化していく、それも含めて事業評価をきちんとできるといいのかなと思います。どういうことが促進要因になって、どういう課題をクリアにして、こういう連携体制がつくれていけたのかということを、第3期のまとめとして整理できるように、ここの参画自治体の事業について深掘りの分析などを行っていくことが必要ではないかなと考えております。以上です。
【久野部会長】 津下委員、ありがとうございました。今、特に後半にお話がありました、中間評価の方向性の中で、これまでいろいろな多様な補助事業の中でスポーツ庁も自走化を求めてはいるんですが、受けた自治体側に投げられてしまっていて、自治体の予算が少ない中、うまくいっていない部分もある。この辺りをクリアしない限り解決していかないという状況ですので、今回の評価の視点としても、改めて大事だなと感じました。
では次に、働いている方のスポーツと健康という観点で、塩野委員、佐々木委員、小松原委員、3人の方に御発言をいただきたいと思います。では、塩野委員からお願いいたします。
【塩野委員】 ありがとうございます。
企業の観点からと言えるかどうか分かりませんが、スポーツ実施率の向上にはスポーツの無関心層への働きかけがなければ数字は上がっていかないだろうと考えます。また、スポーツに関する施策を講じてくれない、そ無関心な経営者を動かすには、スポーツの効果の見える化の促進が必要と、以前から申し上げております。特に3期、それから次の4期に向けては、書かれているDXの推進や、デジタル技術やデータ活用の促進の徹底により、見える化、あるいは見せる化できるような方向に進むと良いと考えております。大変簡単ですが、以上です。
【久野部会長】 では、佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】 ありがとうございます。私どもはスポ団連が、民間団体が多く加盟している団体でございますので、民間への広報活動、これを更に周知の協力ができればと思っています。特に、Sport in Life、昨年から周知と広報をされております。これは民間にも多く周知することが必要かと思っております。
学識者や研究者、行政などの専門家の方々の周知だけでなく、今のスポーツ産業は皆さん御存じのとおり、あらゆる企業様が続々と新規参入されているのが非常にスポーツ産業の特徴かと思います。NTTさん、また、トヨタ自動車、様々大手企業も今、スポーツというのが一つ、CSRの活動だけでなく、企業としての活動として大分中心に置いていただいているというのが特徴かと思います。スポ団連としては、引き続きスポルテックの活動を通じて情報発信をしていき、あらゆる層のアプローチができればと思っておりますし、昨年もスポ庁で本活動のほうの告知をブースで行っていただいておりました。このように積極的に前に出ていって活動を周知していき、また、多くの民間とつながっていく、こういった機会もぜひ議論していただいて、取り入れていただければと思います。
昨年も室伏長官、並びに、その他の様々な委員の方々にも御登壇いただいた機会もございました。また、2025年も引き続きスポルテックを開催してまいりますので、ぜひ皆様、活発な御意見で、スポルテックで提言いただく機会をつくっていただければと思います。私からは以上でございます。ありがとうございます。
【久野部会長】 ありがとうございます。本学の話で恐縮ですが、来年4月からの社会人大学院で、雰囲気が確かに変わってきたなあと思うのは、メガバンクの方や、メガ証券の方が、スポーツウエルネスの分野に入学を希望されてきておりまして、やはりそういう流れが出てきていますので、佐々木委員がおっしゃったようなことを感じております。
小松原委員、では、健保のお立場でお願いいたします。
【小松原委員】 保険者の立場で発言をさせていただきます。週1回以上のスポーツ実施率70%以上というKPIがありますが、これがなぜなかなか上がらないかを考えたときに、現状、保険者に義務づけられている特定健診、保健指導のKPIが、保健指導は実施率45%ですが、半分ぐらいしか達成していない状況があります。
共通しているのは実施する主体者が、KPIの意味をしっかりと理解できていないのだと思っています。企業や保険者が実施率を70%に上げたときにどういう世界が待っているのかという絵が見えないことによって、そこに対してコミットして実施していくことができないのではないかと考えています。ですから、実施率が70%になったときにどう健康になるのかということを分かりやすく説明をしていく必要があると思います。
例えば、スポーツエールカンパニーは、70%以上を達成している企業が認定されていると思います。では、その70%以上を達成している集団が、達成していない集団と比べて、メンタル不調者がこれだけ減っているかや、職場での転倒災害がこれだけ少ないかなど、企業の人がやってみようと思えるような情報を分かりやすく発信していく必要があると感じているところです。
【久野部会長】 ありがとうございました。小松原委員に一言お聞きしたいんですが、少し前に厚生労働省の保険局保険課のほうとも議論していたときに、厚生労働省もいわゆる検診、特定健診、特定保健指導、ある面、一本鎗というと言い過ぎなんですが、中核でやってきたんですけど、少し最近方針が変わってきて、多様な世代、女性の問題とか非常に広く施策が変化してきているように思っているんですが、その辺りを受けて、今、健保のほうも変化はどのような感じなのか。特に、今回は健康スポーツ部会としても多様な方が、特に女性の場合は今、就労率が8割に来ているということからも、ある面、企業での役割は非常に重要だと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
【小松原委員】 御質問ありがとうございます。久野委員おっしゃるとおり、メタボ対策一本足打法から、いろいろな事業に施策が広がってきています。私のほうも、メタボ対策というのは、カロリー消費をどうさせるかということだとか、あと食事を抑えてカロリーをとらないというところに着眼点が行っていたんですが、例えば食事指導だけにしてしまうと、骨の強度が足りなかったりですとか、あるいは、転倒災害、要は筋力が落ちてしまっていますので、それにもつながっています。
そういった意味で、メタボという概念からほかの概念も含めて、実はメタボ対策をやっているんですけど、そこにスポーツを足すことによって、メタボ対策プラス、ロコモ対策やフレイル対策にもつながっていくんだと、そういったシームレスでの事業のつながりという形で、今、保険者のほうは新たな事業を展開しようとしております。
【久野部会長】 ありがとうございました。今後、企業のところは大事だなとお聞きしていて思いました。ありがとうございました。
では、次は女性のスポーツ実施率が、特に若い女性は低いという課題を抱えていることもありまして、北出委員にお話しいただいて、オンサイドから能瀬委員に御発言いただきたいと思います。北出委員、お願いいたします。
【北出委員】 ありがとうございます。今回の計画を拝見しまして、かなり前期と比べてすごくいろいろ詳細に検討されているなと思った次第です。
例えば、地域における医療と連携した運動施策の取組とか、DXのところもそうですし、時代に即しているなと思ったんですが、女性のところも女性特有のプログラムというのも準備されていて、詳細に検討されていると思います。私自身が女性で思うのは、若い中学生ぐらいの子が、ジュニアが運動率がすごく少ないというのは、なかなか時間がないこともあるかもしれないんですけど、子供の頃から苦手意識を植え込まれている、そういうこともあるかと思うので、子供の頃にやるスポーツの質というか種類を、また検討していくというのも一つかなと。勝ち負けのないものだったりとかダンス系のものだったりとか、そういうことも一つかと思いました。
あとは、上の世代になりますと、本当に疲れやすくてエネルギー低代謝型の痩せ女性というのが10代から20歳、結構多いんですけれども、そういう子たちと、妊娠出産して時間がない人たちのスポーツ実施率がなぜ低いのかというのを分けて考える必要があるのかなと思った次第です。
それと、女性とは異なるんですけれども、KPIの週1回、運動実施率というのは、以前から討議がありましたように、運動って何を指すかというのが難しいところだと思うんですが、さっき室伏長官もおっしゃったんですけど、これをまた年1回の実施率を100%にするというところの意味合いが、果たして本当に健康に対するエビデンスがどこまであるのかなと少し思った次第で、例えばそれは月1回の運動を85%とか、いろいろ考え方はあると思うんですけど、逆に年1回でいいんだと思ってしまう人がいないかということを少し危惧しております。また、それは今後いろいろ討議があるかと思うんですけれども、女性のプレコンセプションでは1週間に150分以上運動しましょうという、そういう目標がありますので、回数は難しいと思うんですけど、150分だと毎日10分ずつ、日によってはもう少し長い日があってもと、そういう考え方もあるかなと思いました。
ぜひ、いろいろ御相談、いろいろ教えていただければと思います。以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。すみません、能瀬委員に次、お当てすると申し上げたんですが、岩田委員に次の御予定があって、申し訳ありません、岩田委員、どうぞ先にお願いします。
【岩田委員】 能瀬委員、申し訳ありません。私も前期からの再任となります。前期では、スポーツ庁作成資料4-1、これまでの取組に記載の通り、現場視察、ヒアリングを実施し、「Sport in Lifeガイドブック」の作成に携わらせていただきました。また、障害者スポーツ振興ワーキンググループの委員も務めさせていただき様々勉強をさせていただきました。
また、資料3ページの下段ですが、ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進という点では、スポーツ基本計画で従前から掲げられている、「する」「みる」「ささえる」というキャッチーなフレーズは今でこそ、どこに行っても当たり前に浸透していますが、当初はそこまで浸透していませんでした。先日、佐賀県で開催した国民スポーツ大会においても、総合開会式から「する」「見る」「支える」というフレーズが大きく掲げられていました。ただ、「見る」、「支える」が漢字で記載されていた点は少し気になりました。特に、「みる」には様々な漢字があるため気になったところですが、長官がいつもおっしゃっているように、「ハイパフォーマンスの知見からライフパフォーマンスへ」や、「Sport in Life」という言葉が、もうそろそろ「する」「みる」「ささえる」に匹敵するぐらい社会に浸透していくのではないかと期待しております。
さらに、先ほど申し上げましたが、前期では「Sport in Lifeガイドブック」の作成に携わらせていただき、私は、「1.子供(幼児)」というカテゴリーで、徳島県美馬市や青森県弘前市(NPO法人スポネット弘前)を視察しました。学識経験者の先生やスポーツ庁、それから現場の皆様との現地視察や子供との交流、そして、自治体の皆様との積極的な意見交換を行い、私自身に非常に有意義な時間でありました。JSPOが育成するスポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブそしてその他の様々なスポーツ関係団体の現場の声を聞くことができる素晴らしい取組であったと思います。
続いて、障害者スポーツ振興ワーキンググループでは、今村室長に御指導いただきながら、障害者スポーツ(パラスポーツ)の課題、人材の在り方、そして団体の基盤強化について意見交換を行いました。特に団体の基盤強化が最も重要な点であると感じました。競技力向上の部分では、メダル獲得に向けてワーキンググループにおいても様々な課題について検討を進めながら、JPC(JPSA)、JOCとの連携はもちろん、オリパラ一体となり競技団体(NF)、それから都道府県スポーツ協会、都道府県行政等が連携してく必要があると認識しました。
今後の進め方、中間評価に向けても、引き続き微力ながら貢献できればと思っております。以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。もう御所属が非常にこの分野、貢献いただくこととなると思いますので、引き続きぜひよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。では、戻しまして、能瀬委員よろしくお願いいたします。
【能瀬委員】 ありがとうございます。女性のところでお話しさせていただきますと、これまで本当にすばらしいスポーツ実施促進に向けた調査研究、またはガイドブック、動画、様々作成されているかと思うんですけれども、1点気になるのが、これがどれだけ活用されているのかというところと、本当にニーズに合っているのかというところが気になりましたので、そこの評価というのが必要かなと感じました。
あとは、スポーツ実施の阻害要因というところで、最も男女差が大きいのは運動、スポーツが嫌いだからというところが14%で、最も男女の開きが大きいかなということで、先ほどの長官からも話がありましたとおり、スポーツの定義、例えば、階段をちょっと上ることもスポーツとしてカウントしようとか、少しスポーツの定義をより優しいほうに変えて入りやすいようにしてあげるという工夫も何か必要なんじゃないかなと感じています。
あとは、第3期のスポーツ基本計画のところで女性のところ、たしか痩せに伴う骨粗鬆症というのが加わっていたかと思うんですけども、先日、今の骨粗鬆症の患者数が1,580万人ということで310万人以上増えていて、しかもその中で女性が8割ということで、むしろ増えているという現状かと思います。ここに対してどのように取組がされているのかというところが1点気になっております。
あと、女性と別になるんですけども、4つの要因に着目して取り組んでいくというところがすばらしいなと感じました。スポーツが健康にいいということは皆さん知っているけどやらないというところだと思うので、ただやりなさいという工夫では、ということではなくて、例えば自分事として捉えられるように、就労者が必ず受ける、例えば健康診断のときに1個簡単なスポーツテストみたいなのをさせて、あなたは低いから、この運動をやりなさいとか、自分事として捉えられるように数値化して、その場で運動プログラムを提供してあげられるような、工夫をしてあげるところが必要なのかなと感じました。以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。先生のお話を聞きながら、中小企業の女性の方々のスポーツと健康というのも、格差を広げない政策にしていくという観点も大事かなあと。ある部分だけやって、よくなるんですけど取り残されるところがいると、結果的に政策によって格差が広がったという点も起こるので、中間評価の中でも、一気にはできないとしても、ある部分を動かしてから、その次の部分、動かせるような順番、政策が組まれているのか。そういう中で、今、結構中小企業にヒアリングしていると、人手不足というのがすごくフォローになる可能性があるのです。中小企業のオーナーから、何で社員にスポーツなんか勧めなきゃいけないのかと、よく言われます。ところが実際に社員にそうした働きかけをする企業だと知られると、社員が集まってくる。社員には長く働いていただけるというメリットを実感することによって、すごく中小企業の経営者の行動変容が起きるという感触を今得ております。その辺り、スポーツを前面に出して広げていくだけじゃなくて、社会ニーズを応えるためにどうスポーツを使ってもらうのかという、ニーズも非常に大事だなと、今、委員のお話を聞きながら感じていました。
特に今、私も女性のところにすごく関心があるので、ぜひまた教えてください。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
今、評価のところで、あと能瀬委員の中で、活用とニーズに関する評価が大事じゃないかということがあったんですが、国民、生活者に広げていくという観点で、NHKの勝目委員、ぜひ御発言をお願いいたします。
【勝目委員】 よろしくお願いします。実施率の低いところをどう上げていくかというのは大変難しい問題だと、ここ何年も思っています。強制するわけにはいかないため、社会の多くの人の認識が変わっていくことが必要で、それには長い時間がそれなりにかかると思っております。
幾つかスポーツに興味関心の無い人に関心を持ってもらう方法とはあると思いますが、一つは便益がはっきりするということは大事だと思います。長官が目的を持ったスポーツの実施ということを掲げられたのは非常によかったと思っていまして、何のためにするのか、すると、どういった便益があるのかということを積み上げていくというのは一つ、これも時間がかかることですけれども大事かなと思います。特に、それは行政や企業等お金を出してスポーツを実施してもらう側にとっても支出の理由になりますので、これは、すぐ事業の名前が思い出せないんですけれども、社会保障費が縮小するなどのエビデンスを求めていくことは非常に大事なことだと思っております。
もう一つ、無関心な方にやっていただくにはどうしたらいいのかという点で言いますと、気づいたらやってしまうというような環境づくりもとても大事だなと。スポーツにおけるアクセスのしやすさというのを整えることが非常に重要だなと考えています。
もう一つは、やる側のスイッチを押すために、楽しいということを伝えていくということも大切だなと思っています。先にお話しされたように、何人かの方がスポーツが楽しいということを、特に子供の頃に経験することが大事ではないかというのをおっしゃっていましたけれども、まさにそのとおりだなと思います。これから実施率を上げていく、無関心層の方にどれだけやっていただくかについて改めてまとめると、便益がはっきりするということと、気づいたらやってしまうという環境、アクセスをよくするということと、楽しいということをより意識して伝えるということが大事だと思っております。簡単ですが、以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。便益をはっきりさせるというところを非常に重要な御指摘だと感じました。
能瀬委員には先にお当てさせていただきましたが、ここから今回から参加いただいた委員の皆様に、今度はあいうえお順の上から行きたいと思います。まず、相澤委員、よろしくお願いします。
【相澤委員】 ありがとうございます。相澤です。ライフパフォーマンスの向上に向けて、国民一人一人が向上したい心身機能とか生活、パフォーマンスを定めて、自分で選択して、人生100年時代において、現状は問題なくても、なるべく今の段階から潜在能力を少しでも高めておくということは、私の専門領域から見ても非常に重要なことだと思いますし、今後も、中間評価以降も推進すべきことであろうと思っております。
あと、資料の中間評価に関するコメントということで、参考資料4を見ておりますが、鍵となるゴールに向かって、鍵となるパフォーマンスの指標を一旦評価して、測定可能なものであれば、具体的な数値目標を上げていくということがロジックモデルだと認識しております。この中で100%に近づけるという目標が少しだけ気になっております100%に近づいたというように、何をもって達成されたと判断、反省するのかなというところがあります。各項目をみると幾つかもう既に達成できそうなこととか、おおむね順調、なかなか厳しいものがありそうという中で、100%に近づけるという目標が、仮に例えば95%以上とか定められるものであれば、そのほうがいいのではないかと思いながら見ておりました。以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。現実的に100%というのはあり得ないのでという中で、以上という指標の立て方、なるほどなと思いながらお聞きしていました。
近藤先生、お願いいたします。
【近藤委員】 感じたのは、中間の評価で振り返って後半何を強化するか、第4期に向けて何をするかという視点から資料を拝見していました。それでいきますと、今回の資料でいうと、ロジックモデルが参考資料にあって、そこにはキーパフォーマンスインジケーターを6つほど、数字も入れていただいています。今日の会議の資料のほうでいきますと、スポーツ実施率の状況というのがありまして、7割を目指しているんだけども、52%でもう少し頑張らなきゃという実態が分かりました。
次の15ページのところで、特に若い働き盛りの層の実施率が低いから、この底上げが必要だというようなことが本日の資料で分かります。今、企業のほうで、健康経営のほうに関心が高まって取り組む企業が増えています。企業と、連携して、底上げしてもらう。職場全体で取り組むという環境からのアプローチという意味でも大事かなと思っています。健康経営の評価指標というのを経済産業省のホームページで見ていたんですけども、その指標とスポーツ庁が掲げる指標が一致していないといいますか、少しずれているようです。
この辺、ぜひ第4期に向けては、経済産業省の評価のガイドラインとかも改定されるでしょうから、スポーツ庁が目指すものと擦り合わせたりして、健康経営に頑張ってもらうことで働いている人たちの底上げを図るとか、そういうことというのはでき得ることだなと思いました。以上は今日、出していただいた資料から、今できること、あるいはできない要因探し、強化すべき対策が見えてくるという一例として説明させていただきましたが、ほかのKPI、スポーツ庁は5つ掲げています。それについても、ぜひ次回とかに、その数字をどのように読んだのか、それに対して後期に向けてどういうことを取り組もうとするのか、その辺のことをお示しいただいて、みんなでさらに知恵を出し合うような、そんな時間が次回以降あるといいのかなと思いました。
その延長線上で感じるのは、第4期もロジックモデルを改定してKRIより多く配置する。そうすることで、ここが遅れているから例えばアウトカムが実現しないんだとかいうようなことを、みんなで共通認識つくる。その上で、4期が始まる前のベースラインの時点のデータがないと進捗管理ができない、変化が捉えられない。そう考えますと、実はそんなに時間がない。今年から準備を始めて来年度予算を確保して、最終年度にデータを取って間に合うのかなと考えると、場合によっては来年度ぐらいにはベースラインとして使う数字を集めるような作業が必要ではないか。そうすると、もう今年ぐらいから第4期のロジックモデルのコアの部分についての論議とかも始めないといけないタイミングなのではないかと、そんなことを考えながらお話を聞いておりました。
【久野部会長】 近藤委員、ありがとうございました。大事な点、今、後半はロジックモデル評価に対して御提言をいただきましたし、前半は健康経営のところで経済産業省ヘルスケア産業課が所管していると思うんですけど、今、我々内閣府のほうのプロジェクトで、健康経営、女性のところを強化する件、定期的に議論をしている中で、毎年評価は見直すということを経済産業省から聞いていますので、今、近藤委員の御提案、経済産業省と調整をしていくことは現実的には可能かなと思いながら、お聞きしていました。ありがとうございました。
では、小熊委員、よろしくお願いします。
【小熊委員】 ありがとうございます。先ほどいただいたように、自分の役割ということで考えたときに、私自身は内科医で生活習慣病の運動療法とかを行いつつ、地域におけるポピュレーションレベルの運動の促進といったことにも取り組んできました。健康づくりのための身体活動運動ガイド2023が、2024年1月に厚生労働省から出て、そこで慢性疾患を抱える人も含めた目安も出てきました。超高齢社会の中で、何らか疾患を持つ人は非常に多くなっている中、運動を行うのは、自分は対象ではないと思っているような方が非常に多いというような話もあり、医療とのつながりの中でスポーツを勧めるとか、健診を受けた際にスポーツを勧めるといったようなところも大事な部分と思います。年代性別スポーツ実施率、週1日以上で見てみると女性、特に若めの女性というところは非常に大きなターゲットだと思いますし、KPIとして、KPIの⑤に出てくるようなところも含めて考えていく中で、各地域で医療との連携を現実的に進めていけるような体制をつくっていくことが大事とも思っております。以上でございます。
【久野部会長】 ありがとうございました。特に医療との連携に関して御発言をいただきました。これはまさしく重要で、しっかり入っているんですが、小熊委員や津下委員のような方ばっかり医療側にもいるわけでもないし、あともちろんスポーツ側の問題。だから、この辺りを多分どうつなげるか、何らか具体的に打たないとずっと言っているだけなんだろうなと思いまして、また、その辺り、ぜひいろいろと教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
では、甲斐委員、お願いいたします。
【甲斐委員】 私は、最近研究では、産業保健の中で働く人をどうやって体動かしてもらおうかという研究をやっており、今年スポーツ庁が作成されたライフパフォーマンスの産業保健向けのツールにも関与させていただいております。とてもいいものができたと思っているんですが、現場の皆さんにお会いすると、残念ながら知られていなくて、長官の動画もお勧めはしているんですが、なかなか知られていないというのが非常にもったいないです。この「Sport in Life」のガイドブックもいいものができているのに知られていない、もったいないなというのはいつも感じています。
そのため、皆さんおっしゃっていましたプロモーションをどうしていくかが課題と考えています。また、スポーツ庁の事業のほうも幾つか関わらせていただく中で、補助事業を活用したら良いように感じます。例えば、それらのツール類を活用する内容であれば、少し加点したり、ツール類をプロモーションすること自体を目的とした補助事業をやってもいいかもしれません。
働く人のスポーツ実施率向上では、確かに健康経営が非常に追い風です。しかも今、働く人が高齢化していて、転倒とか腰痛といった労災が問題になっています。ここにスポーツが貢献できるのではないかと非常に期待されています。かつ、テレワークが進んでコミュニケーションが課題なのですが、ただの身体活動じゃなくて、スポーツはコミュニケーションという価値があって、コミュニケーション活性化という社会の要望に応えられるなというのを感じています。
ただその一方で、健康経営は大企業ではとても進んでいますが、久野委員おっしゃったように、中小企業では、認知していない経営者もたくさんいて、そこにどう広げていくのかが大きな課題として残っています。
あと、スポーツエールカンパニーが今すごく増えていまして、健康経営度の調査の運動の取り組みの年次推移を見ていると、今回からスポーツエールカンパニーを取得しているという企業がとても増えているんですが、何を仕掛けられたのかぜひ教えていただければと思っています。プロモーションについては、学会でもプロモーションはすごく大事で、先日、日本公衆衛生学会で中村課長が講演されていて非常に新鮮でした。例えば、産業看護職や産業医が多数参加されている日本産業衛生学会など、運動やスポーツと違うところでスポーツ庁からシンポジウムや出展をいただけると、専門職への普及はかなり進むんじゃないかなと思っています。
KPIについては私もまだ不勉強なので、次回までに勉強してきますので、次回意向に議論させていただければと思います。
【久野部会長】 ありがとうございました。この間の公衆衛生学会、札幌の、中村課長と一緒に仕掛けさせていただいたんですけど、アンケートの結果とかを見ていると、学会といっても、公衆衛生学会のアカデミアだけじゃなくて、専門職の方がかなりいるので、企業とか自治体の保健師さんとか、そういうような方がいる学会に入れると、そこからそこの住民や社員に伝わって施策をつくるほうのそこへの仕掛けの学会の使い方ということかなというふうに思いますけど、甲斐委員、合っていますでしょうか。
【甲斐委員】 合っています。なので、産業衛生学会や協議会とかもたくさんありますので。
【久野部会長】 企業も、産業衛生学会がいいですよね。
【室伏スポーツ庁長官】 次はいつですか。
【甲斐委員】 次年度は5月に仙台です、私は、行きますので。
【久野部会長】 ありがとうございます。では、金岡委員、よろしくお願いします。
【金岡委員】 先ほど長官がおっしゃっていたように、質を高めるという点で、スポーツ実施率自体、もちろんそれを高めることも非常に重要なんですけれども、全体としての効果を高めるためには、スポーツ1個1個の質を高めるということが結構重要かなというふうに考えています。そのためにはどのようなことが必要か、それぞれの人にはそれぞれの身体機能の程度というのがあると思いますので、それを何らかの方法で評価して、それに合った、その人に一番必要な運動を、スポーツを、私の立場からいうと処方するという形になってしまいますけども、やってもらう、そういうふうなことが効果を高めるためにはとても重要なんじゃないかなと思います。
実際、その人それぞれの体を評価する方法としては、健診を行って、メタボについてはかなり広く洗い出すことができているとは思うんです。あと、整形外科学会が行っているロコモティブシンドローム、それも高齢者に対する運動機能低下を早めに察知するという点では役に立っているとは思うんですけども、それよりも広い一般の方々、特に若い勤労者、そのような方々を含めて、身体機能を評価して、それに対して自分自身が何が低下しているのかを気づいてもらって、それを、先ほど能瀬委員言っていましたけど、自分事として捉えて、それをちゃんと改善しようというふうな意識を持ってもらってやってもらう。そういうふうな過程において結果的に実施率も増えていくんじゃないかなというふうに考えております。
その評価方法としては、今、室伏長官がいろいろとホームページでも出していますけども、身体機能を評価する方法というのは、整形外科医の私が言うのもあれですけども、正直あんまり世界中で使われている評価方法というのがなくて、自分の体の機能がどこがどの程度落ちているのかというのをちゃんと知る方法がないのが現状で、その中で室伏長官が考えられている方法というのは先駆的ですし、ぜひそういうのを使って広めて、自分自身の体のことに気づいてもらう、そういうふうなことをやっていくのが重要なんじゃないかなと思っております。以上です。
【久野部会長】 ありがとうございました。ライフパフォーマンスのところで、金岡委員がお話になった、コンディショニングというような概念を認知させるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
【金岡委員】 まさに自分の体の状態については、コンディショニング、それは広い意味ですけども、特に私が言っている部分については運動器のコンディショニング。それに加えてメンタルもですし、内科的なものでもありますし、様々なコンディショニングを整えていくということは概念として重要です。ありがとうございます。
【久野部会長】 ありがとうございました。では、加茂市長の藤田(明)委員、お願いします。
【藤田(明)委員】 ありがとうございます。
私もライフパフォーマンスを向上させることでよりスポーツ自体が身近になると感じました。そして、この言葉をもっと広く知っていただけるといいなと思います。
また、私から2点、お話しさせていただきたいと思います。28ページに記載のとおり加茂市においても運動・スポーツ習慣化促進事業に取り組ませていただき、特に妊産婦さんに対して久野委員からもご指導いただきながら、ヨガであったり体操クラブの指導者から指導していただいたりという機会を設けました。その場に参加される方のきっかけは、市の保健師が声をかけたり、保護者同士での声掛けや口コミなどがあったりとそういったきっかけが大きいと思ったこと、また、当市では総務省の地域活性化企業人の制度を活用して、スポーツを通じたまちづくりの人材として3名の方にご協力いただいています。そのうちのお一人が都内でスポーツトレーナーをされている方なのですが、その方に、当市職員向けのコンディショニング講座をしていただいており、勤務時間内で1時間ほどご指導いただいています。参加する職員の内訳は女性が約7割と多く占めています。呼吸法や体幹トレーニングという大きく体を動かす内容ではありませんが、腰痛の解消や肩こりの解消をきっかけに参加しやすいということもあり、職員からは続けてほしいという意見が多いです。やはり女性が体を動かすという点では、そういった身近な課題を解決するところから入るというパターンも多いのかもしれないです。
このようなことから、身近なところで誰かに声をかけていただいたり、すぐに職場で体を動かす機会があるというところは、女性が参加しやすいのかなと思っています。
2点目として、先ほど人材の話などありましたが、加茂市は小さい自治体ということもあり、スポーツをする課題として、それを指導してくれる人がいない、やりたいスポーツがないということがあるかと思います。そういった点で、スポーツ協会があったり、総合型スポーツクラブがあったり、それが割と自治体単位になっているので、地域、近隣の自治体で連携する仕組みができると、人材の取り合いにならずに済むのではないでしょうか。特にパラスポーツはさらに教えてくださる人がいないので、住まいの近くではできない。特に、障がいがある方だと、自分一人でその場所に行くことがなかなかできないので誰かが連れていってくれないとできないとなると、経験する機会がなくなってしまうのかと思います。
そして、先ほどの妊産婦さんの運動・スポーツ習慣化促進事業にも関係しますが、そこに関わっている市役所の組織は、当市の場合、スポーツ振興課、こども未来課、健康福祉課など複数の課にわたっているので、1つの課で完結しません。そのため、複数の課が連携しやすい仕組みや人、組織が動きやすい仕組みをつくっていくと、さらにスポーツを経験できる人も増えていく環境が整えられるのではないかと感じています。
【久野部会長】 ありがとうございました。首長さんならではの御発言だったということと、パラスポーツのところの問題は、非常に大事な視点だったと感じました。
お待たせしました。最後に、前田委員、よろしくお願いいたします。
【前田委員】 よろしくお願いします。
スポーツの実施率というのが毎年話題になっておりまして、我々も注視をしています。障害のない人、ある人も含めてなのかもしれませんけど、一般の数字と、それと障害のある人の数字、この辺りを見ています。なかなか目標値に近づかないんですけれども、先ほど藤田委員からもありましたけれども、着実に障害のある人の実施率というのが増えていっています。いろんな要因が考えられると思うんですけど、パラスポーツを知るきっかけとして、東京パラリンピック2020というのは非常に大きかったと思います。また、それを見て、若い選手なんか、こんなことができるのかというふうに気づいた人、こんな選手になりたいと思って憧れた人、すごく多かったと思います。実際、東京、それから今年パリでパラリンピックがありましたけれども、出られた選手の多くは、自分が選手になりたいと思ったきっかけというのが、パラリンピックの映像とかを見てやりたいと思ったと言われる選手が非常に多いというところで、そういう放映も最近増えてきました。いろんなコンテンツで見られるようになったのが非常に大きいと思います。
地域に目を向けると、鹿児島県は昨年度、燃ゆる感動かごしま国体、それから燃ゆる感動かごしま大会、全国障害者スポーツ大会が開催されております。これと前後で、かなり変わってきたように思います。なかなかパラリンピックというのは、将来の目標ということで、若い選手にとってはいい目標になるのかもしれませんけれども、シニア層とかになってくると、今からなかなか難しい。昔はもうちょっと簡単に出られたのかもしれませんけど、今パラリンピックは本当に出るのが難しくて、お金もいっぱいかけないと出られません。いろんなサポートを受けないと出られないのが現状なんですけど、全国障害者スポーツ大会は頑張れば手が届く目標ということで、また、たまたま鹿児島県の場合はコロナの関係で、2020年にあったはずだったのが、2023年、昨年に延期されたということで、実はそれに向けていろいろと、それをきっかけにスポーツを推進させていくという期間が長かったんです。それもあったので、非常によかったです。前と後とで、障害のある人にとってもできるスポーツ、ヒントがいっぱい出てきたし、自分でもできるんじゃないかなと思うきっかけになったと思います。それ意外の方々も、いろいろ見てもらったり、報道を見る機会があって、啓発という意味でもすごくよかったなと思います。
その中で、そういうのがあれば、ぐっと実施率が高くなってほしいところなんですけど、なかなか多分そうもいかないと思うんです。先ほど、藤田明美委員からもあったように、パラスポーツというのはしたいと思っても環境が整わないとなかなかできません。先ほど指導員という話もありましたけれども、それだけじゃなくて、いろいろとハードの問題があったりとか、そういうところがあったとしても、そこまで行くアクセスの問題があったりとか、なかなかいろいろと問題があるんです。また、そのやり方を少しでも、今やりたい仕事、やれる場所と、そういったマッチングであったりとか、スポーツ指導員も養成していますから、そういう人と障害のある人をマッチングさせていきたいんですけど、なかなか難しい問題があります。いろいろと、スポーツ庁さんも企画されて、いろんな事業を展開されています。また、日本パラスポーツ協会が受託して、それをまた我々の地域のスポーツ協会が手を挙げてとやるんですけど、なかなか人がいないんです。先ほど、障害者スポーツ団体の基盤強化という話がありましたけれども、本当に基盤が弱くて、鹿児島なんかも、鹿児島県パラスポーツ協会、統括する団体かあるんですけども、正規の職員が1人もいません。私も身体障害者福祉協会の職員をしながら事務局長を兼任しているような状況で、なかなか手を挙げたくても挙げられない。これができたらいいのになとか思うんですけれども、なかなか手が挙げられないのが実は現状で、九州ブロックとかでも横のつながりが出てきまして、いろいろ話をするんですけど、皆さん、そんな感じでおっしゃっておられるので、その辺りの基盤をしっかり強化していくことで、マッチングというところがうまくすれば、もう少し実施率が伸ばしていけるんじゃないかなと思っておりますので、これから策をいろいろと考えていきたいと思います。どうかよろしくお願いします。
【久野部会長】 前田委員、ありがとうございました。パラスポーツの現場におられる方ならではの御意見に、非常に考えさせられるポイントをいただいたと思います。ありがとうございました。
すみません、初めての司会ということで時間がオーバーしたことを最初にお詫びを申し上げます。もう時間が超えましたので、私から最後に1点だけお話させてください。基本計画を立てるときに中間評価に向けて女性と子供のエビデンスが足りないと議論をした記憶がありまして。ここに関しては、有識者の意見に基づいて政策をつくっていかないといけないと思っております。
加えて、健康まちづくりのところでは国土交通省、厚生労働省も、どういう形で評価をしていくのかという観点で政策が打ち出されているので、省庁連携というような見方も大事かなと思いながら、冒頭の中村課長のお話を聞いていました。
ありがとうございました。時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。
長官、一言ございますか。ぜひお願いいたします。
【室伏スポーツ庁長官】 ありがとうございます。たくさん御意見いただきました。次は、私の紙風船トレーニング、皆さん、百聞は一見なんですよ。パラの女性もおられますし、一遍にできますので、楽しいですので、指導者がそんなにたくさんいるのかな、必要かと思われることもあるかもしれませんし、ぜひ私にやらせていただけると分かりやすいかと。
あと、女性の痩せのところもそうですけども、これは委託事業で、令和4年度から5年度にかけて金岡委員のところですか、やっていただいて、内臓、運動器の関係性があるというものを出しているんですが、なかなかそれも伝わらなくて、それをやらなきゃいけないんですけど、内臓は横隔膜とくっついていますので、呼吸と関係あり、内臓脂肪と痩せの、ありますよね。内臓があまり動かない人というのは、そういう可能性があるかもしれませんし、新たなスポーツならではの運動器と内臓の動きが、関係が40名程度のデータがあって、それでまた、機会があったらあれですけども、意外とそういうところにはあると思いますし、あと数字は、引きずられ過ぎないほうがいいのかなという感じも最初言っていたんですけども、数字は数字できちっと計画としてやるんですけども、それだけじゃないところも必要かなと思いました。
ぜひ次も、実践をちょっと、5分ぐらい時間いただきますと。お願いいたします。
【久野部会長】 次回は多分ウェブ参加が減って現地参加が増えるんじゃないかなと思いました。ありがとうございました。ぜひ楽しみに。
その件も含めて、今後の日程を含めて、最後、中村課長、お願いします。
【中村健康スポーツ課長】 本日は非常にいろいろ示唆に富む御意見とかアドバイスをいただき、ありがとうございました。なかなかこれからも非常に中身の濃い議論ができそうな部会だなと思いましたので、何か追加の御意見とか御質問あれば、事務局にメールでいただければと思います。よろしくお願いします。
次回は、1月28日の10時からということでございますので、なるべく大人数で紙風船トレーニングができるように、可能な限り対面で御参加いただけると非常にありがたいです。よろしくお願いします。
【久野部会長】 ありがとうございました。すみません、10分ほどオーバーいたしましたが、以上で終わらせていただきます。どうもお疲れさまでした。
―― 了 ――
スポーツ庁健康スポーツ課