2024年6月4日(火曜日)10時00分~12時00分
文部科学省15F1会議室 及び WEB会議(Zoomを使用)
スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第27回)
2024年6月4日
【渡邉部会長】 皆様、おはようございます。
定刻になりましたので、第27回スポーツ審議会健康スポーツ部会を開催いたします。
皆様、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、13名の委員の方々に御出席いただいております。
なお、岩田委員、豊岡委員、近藤委員は、都合により欠席されております。
岩田委員の代理といたしまして、公益財団法人日本スポーツ協会の伊藤様、豊岡委員の代理として、三島市の佐野様に御出席いただいております。
スポーツ審議会令第6条第1項及び第3項におきまして、本部会の開催及び議決に当たりましては、委員の過半数の出席が求められておりますが、本日は定足数を満たしており、開催とさせていただきます。
スポーツ庁におかれましては、4月に人事異動がございました。
今村障害者スポーツ振興室長、一言、御挨拶いただければと思います。
【今村障害者スポーツ振興室長】 ありがとうございます。
4月に障害者スポーツ振興室長に着任いたしました、今村でございます。
私は2019年までスポーツ庁政策課におりまして、その後、オリパラの組織委員会で大会運営に携わっておりました。希望して、またスポーツの分野に戻ってこられて大変うれしく思います。引き続き、委員の皆様から御指導いただきながら、施策を進めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。どうぞ引き続き、よろしくお願いします。
そのほか、スポーツ庁からは、室伏長官、茂里次長、橋場審議官、和田健康スポーツ課長に御出席いただいております。さらに、オブザーバーといたしまして、厚生労働省健康生活衛生局健康課からもWEBで御出席いただいております。
傍聴に関しましては、一般の方については、YouTubeでのライブ配信で傍聴していただくことになっております。
開催に当たり、事務局より諸連絡及び資料の確認をお願いいたします。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
開催に当たりまして、諸連絡になります。
本部会は前回と同様に、対面とZoomによるハイブリッド形式での会議とさせていただいております。本日、対面御出席者は、渡邉部会長、久野部会長代理、佐々木委員、塩野委員、4名となります。その他の委員はオンラインにて御出席いただいております。
なお、藤田委員におかれましては、オンラインで途中からの御出席との連絡を頂いております。
もしオンライン参加者の委員より資料共有等の御希望がございましたら、Zoomの共有機能にてお願いいたします。不明瞭な場合には、事務局に御連絡願います。
また、途中で御退席される場合には、Zoomのチャット機能で、その旨、お知らせいただき、適宜御退席いただきますようにお願いいたします。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
本日の配付資料でございますけれども、議事次第にありますとおり、資料1といたしまして、「『Sport in Lifeガイドブック』の活用について」、資料2「ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツを推進するための取組状況について」、資料3「スポーツ実施率の向上に向けた総合研究事業について」、資料4「久野委員提出資料」、資料5「令和6年能登半島地震の被災者の健康保持に係る運動・スポーツの観点からの支援について」でございます。
参考資料といたしまして、参考資料1から参考資料4をお付けしております。
本日の配付資料につきましては、事前にメールでもお送りさせていただいておりますけれども、何か不備等がございましたら、事務局まで御連絡いただきますようにお願いいたします。
以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
それでは、議事に移りたいと思います。
議題1、「『Sport in Lifeガイドブック』の活用について」となります。
3月27日に開催されました、前回の本部会におきましては、案として提示した「Sport in Lifeガイドブック」について、事務局からメールでも御報告させていただきましたが、3月29日にスポーツ庁のホームページで公表いたしております。約1年半の長きにわたります、委員の皆様の御協力に、改めて感謝いたします。
今回は、ガイドブックの活用に関して、事務局より御説明をお願いいたします。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
改めまして、委員の皆様方におかれましては、約1年半にわたって、現場視察、ヒアリングに御協力いただくとともに、ガイドブックの執筆を賜り、誠にありがとうございました。
おかげさまをもちまして、無事、昨年度末に「Sport in Lifeガイドブック~スポーツによる健康増進とライフパフォーマンスの向上を目指して~」として策定をさせていただきまして、スポーツ庁ホームページにおいて公表することができました。
前回の部会では、分かりやすく、活用可能なガイドブックになっているといった御意見を頂戴し、大変ありがたく存じます。
他方で、ガイドブックは策定して終わりのものではなく、いかにして現場で活用していただくかという、普及に向けた取組も必要との御意見を頂戴しているところでございます。
本日は、本ガイドブックを現場で御活用いただくための周知方法などを中心に御説明させていただきます。
それでは、資料1を御覧ください。
資料1を1ページめくっていただきまして、こちらが「Sport in Lifeガイドブック」の概要になります。
2つ目の丸のところに書いてございますけれども、第3期スポーツ計画基本計画で掲げる目標や施策の着実な実施に向けて、子供(幼児)女性、働く世代・子育て世代、高齢者、障害者、多様な主体の各ターゲット別に、取組やポイント等をまとめたアクションガイド。この図で言いますと、中央の下の「アクションガイド」でございますけども、アクションガイドと、実際の取組を掲載する。資料の右下のほうに取組事例の絵がありますけれども、そういった取組事例を掲載するとともに、関連するテーマのコラムも掲載させていただいております。
次のページに行きまして、このガイドブックをどのように周知していくかといった方針の案をまとめさせていただいたものが、3ページ以降になります。
まず、関係機関・団体等に対して、次のような方法により周知を実施ということで書かせていただいています。
なお、この方針の中には、既にスポーツ庁で実施済みのものも含まれております。
まず、1点目といたしまして、国民全体ということで、スポーツ庁のホームページやSNSにおける発信でございます。
次に、スポーツ庁長官による記者懇談会、そういったものを活用しての長官による発信というものが2点目としてあります。
その他といたしまして、スポーツ庁の会議や、講演、イベント等の場を活用した発信などを考えております。
地方公共団体向けの周知といたしましては、地方公共団体の関係部局であります、スポーツ主管課、健康・福祉・介護予防主管課、地域振興・子供・生涯学習関係部局等の周知を考えております。
具体的には、スポーツ庁より事務連絡をする予定でございます。
また、厚生労働省等の関係省庁との連携も重要だと考えております。
次に、地方公共団体の周知といたしまして、これは既に実施済みの取組でございますけれども、Smart Wellness City首長研究会において、事務局からのメールマガジンを発信させていただいておりますし、5月28日には、長官が研究会で講演をさせていただいております。その場で、ガイドブックについても周知と活用のお願いをさせていただいております。
次のページに行きまして、民間事業者への周知ということで、まず、1点目が、メールマガジン等を活用したSport in Lifeコンソーシアム加盟団体への周知でございます。
その下に書かせていただいているものでございますけれども、スポーツ審議会や健康スポーツ部会の委員の御協力を賜りまして、日本商工会議所、健康スポーツ産業団体連合会等への周知や、SPORTEC等のスポーツイベントにおける周知をスポーツ庁で検討しておりますので、委員の皆様方におかれましては、御協力を賜ればありがたく存じます。
次に、スポーツ関係団体の周知といたしましては、先ほどの地方公共団体と同様に、スポーツ庁から事務連絡の発出を予定しております。
具体的に、発出先といたしまして、日本スポーツ協会、日本パラスポーツ協会、その他のスポーツ関係団体を考えております。
次に、保険者・医療機関等への周知といたしましても、本部会の委員の御協力を賜ればと考えておりまして、具体的には、日本全国健康保険組合連合会の周知や、医療機関・医師会等の周知の部分については、委員の御協力を賜りたく存じますので、よろしくお願いいたします。
その他といたしまして、学会等を活用した周知、大学といったものを活用した大学・研究機関への周知を検討しております。
次のページ以降でございますけれども、策定いただきましたガイドブックの目次を参考としてお付けしております、また、本日の参考資料の1といたしまして、ガイドブック本体の全体版をお付けしております。
説明については、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
ただいまの説明の中で、活用に向けて、委員への協力のお願い、厚生労働省をはじめとした関係省庁、関係団体との連携についても言及がありました。
この点も含めまして、御意見、御質問等ございましたら、画面上のリアクションボタンから「手を挙げるボタン」を押していただきますように、よろしくお願いします。
また、発言が終わりましたら、同じくリアクションボタンから「手を下ろすボタン」を押していただきますように、お願いします。
それでは、皆様、御意見等いかがでしょうか。
佐々木委員、いかがでしょうか。
【佐々木委員】 スポ団連の佐々木でございます。
周知でございます。私たちスポーツ健康産業団体連合会といたしましては、まず、会員各企業、テニス、ゴルフ、ボウリング場をはじめとする各団体様への周知を必ず行っていくことと、SPORTECでは、スポーツ庁様、室伏長官をはじめとする各セミナーを、今回、企画させていただいております。その中での告知及びブースの設置も、今、スポーツ庁と連携して検討させていただければと思っておりますので、ぜひ、4万人近い業界関係者、我々は広く国民というよりは、業界関係者に周知できる活動を3日間、そして、日にちが終わっても活動を続けていければと思っております。ぜひ全面的に協力させていただければと思っております。ありがとうございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。塩野委員、お願いします。
【塩野委員】 塩野です。日本商工会議所と記載していただいております。
ホームページでの周知や、機関紙は新聞系のものと雑誌系のものとございまして、これらを活用して周知を行いたいと思います。また健康経営を推進する商工会議所ともうまく連携して、周知して参りたいと考えております。
簡単ですが、以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
ちなみに、私の組織は笹川スポーツ財団と言いますが、4月の頭にこの情報をアップしました。
そして、ガイドブックをダウンロードできるような状況もつくりまして、4月の1か月で、約100件のダウンロードがございました。ということは、1日当たり3件くらいでしょうか。
5月はまだ集計しておりませんけれども、御紹介させていただいた自治体の取組等についても、それぞれの自治体も非常に喜んでおりまして、まちづくりに対して弾みがつくのではないかといった感想をお持ちのようでございました。
そのほかの皆様、いかがでしょうか。遠藤委員、お願いします。
【遠藤委員】 遠藤です。
周知方針の2の案なんですが、全国の教育機関でも、小・中学校の先生方や保護者の目に映ると良いなと思ったんですけれども、教育機関のほうには周知を頂いていたのかなと思って、お伺いしたいと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 では、続いて、津下委員、お願いします。
【津下委員】 ありがとうございます。
厚生労働省関係省庁との連携、との記載があるのですが、ちょうど健康日本21の第三次がスタートしたところで、自然に健康になれるまちづくりなど、健康づくりにアクセスできることが求められるとあります。具体的なアクションの事例が知りたいという要望が、研修会の中で挙がってきております。そういうところで御紹介させていただく機会が増えているかなと思います。
また、健康運動指導士会の更新研修、また、学会関係では、日本臨床内科医会の産業医研修や、日本産業衛生学会など、産業医の方々が働く人の健康づくりという観点で、運動の取組に関心があるようです。ご紹介すると、すぐにURLを調べていただいている先生もいらっしゃったりしているので、具体的にURLもつけて、きちんと御紹介することで、見ていただける感触があります。参考になる取組情報が非常に貴重だという御意見を頂いておりますので、いろいろな場面での普及が重要かなと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。宮脇委員、お願いします。
【宮脇委員】 ありがとうございます。
このたびのガイドブック、大変ありがたく思っております。団体の方、あるいは事業者たちが調べようと思うときに、事例のケース別に入っていけて、非常に簡便に自分たちの悩んでいるところを考える、解決するのに役に立つと思っております。
私の町内では、ガイドブックをこども園、あるいは施設などに提供して、組織的には町村会辺りで少し紹介したりもしてみたいと思っております。
そのような形で周知したいと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。松永委員、お願いします。
【松永委員】 龍谷大学の松永です。御報告ありがとうございました。
健康体力づくり事業財団が、健康運動指導士と健保運動実践指導者の養成をされていますが、そちらの機関紙の『健康づくり』という雑誌の8月号に今回のガイドブックの特集を組んでくださるということで、少しお手伝いさせていただいております。本学も養成校としてお世話になっています。
先ほど、津下委員からもありましたが、健康日本21(第三次)についても、5月号に特集を組まれていました。まさにおっしゃっていただいた取組というところで、地域において活用していただく契機となると思います。全国の養成大学、専門学校をはじめ、全国の関係機関にも機関紙は配られておりますし、資格取得者などにもネット等で閲覧出来るようになっているので、この特集は非常に大きな意味があると思っており、ありがたいと思っておりますので、共有させていただきます。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。北出委員、お願いします。
【北出委員】 ありがとうございます。
本当にすばらしい形になって、利用しやすいバイブルになったかなと思います。本当にありがとうございました。
いろいろな周知の方法なんですけれども、こちらに記載されているように、医療関係だと、津下委員もおっしゃっていましたけれども、医師会や、健保連、あと医療機関へということがあると思うんですが、先日、久野委員からも御説明があったと思うんですけれども、日本産科婦人科学会で、スポーツ庁長官の室伏長官に御講演いただきまして、とても会場に入り切れないような人気で、そこからすごくモチベーションが上がったということを聞いております。
なので、医師会とはまた少し違う立てつけになっておりますが、ぜひ学会にも周知いただければ非常にありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。そのほかはよろしいでしょうか。
課長から、今までのコメントで何か返答、あるいは回答すべきことはございますか。
【和田健康スポーツ課長】 ありがとうございます。
委員の皆様方におかれましては、周知につきましても、多大なる御協力を賜っておりますことを、まず御礼申し上げたいと思います。
また、只今、委員の皆様から頂いた意見を踏まえまして、周知については、今後、さらに進めていきたいと考えております。
遠藤委員から、学校の現場に対する周知について御意見を頂きました。そういったことにつきましても、今後、自治体に対して事務連絡を出すことにしておりますので、そういった中でどのようなことができるかということを考えていきたいと思います。
また、スポーツ庁から御説明した内容、委員の皆様方から頂いた周知の取組以外にも、今後、周知についてこういったことが考えられるのではないかといった御意見がありましたら、事務局までお寄せいただけるとありがたく存じます。ありがとうございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
先ほど、津下委員から話がありましたけれども、リンクを貼るというのも一つの手なんですが、私が月100ダウンロードとお話ししましたが、直接、笹川スポーツ財団からダウンロードできるような環境をつくると、よりダウンロードの数が増えるかなと思ったところであります。
あとは、北出委員から話がありましたけれども、やはり長官が伝道師的にいろいろな場所に行かれて、長官の知名度と説得力というのは非常に大きいかなと思いますが、長官、いろいろ回られておりますが、一言コメントございますでしょうか。
【室伏スポーツ庁長官】 ありがとうございます。室伏です。
本当にすばらしいガイドブックが出来上がりまして、周知にも積極的に取り組んでいただいて、本当に感謝申し上げます。
私もしっかりと周知してまいりたいと思いますけれども、これをどうフォローアップしていくかということも考えながら周知することが重要だとも思っております。実際に皆様が運動できるような環境になってきているのか、本当に利用していただけるかというところをどうフォローアップしていくかということも大切なことで、できていないのであれば、それをどうするかということを検討することが重要だと思います。また、若い世代は動画を見ますので、こういったところにリンクを貼っていただくとホームページに直接飛んで見ることができるということもあります。今後、こういったと点も踏まえながら、さらに良いものにしていくことはできるのではないかなと思いました。
【渡邉部会長】 塩野委員、お願いします。
【塩野委員】 一つお聞きしたかったのは、ダウンロード数はどのぐらいあるかという点です。
そうしたところ、今、渡邉部会長から、笹川スポーツ財団でのダウンロードのお話がありました。ダウンロード数が増えることは非常に良いことですが、トータルのダウンロード数を把握できる状況があるのかどうかを知っておきたいと思います。現状のダウンロード数が幾つかというところと、ダウンロードサイトが分散するとしたら、何かうまい手があるのかというところもお聞きしたいと思います。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
このガイドブックが載っているホームページの閲覧数は把握可能でございます。
ただ、現在はダウンロード数までは把握できないという状況でございます。
以上でございます。
【塩野委員】 分かりました。
【渡邉部会長】 分析ツールがあるんですけれども、スポーツ庁全体の問題かなと思いますが、もしそういったものがあると、しっかりと分析、それから、長官がお話しされましたけれども、アウトカムを求めるときの対応策を考えるところにも多分つながると思いますので、もしスポーツ庁のほうで対応できるところがあれば、対応していただいたらよろしいかなと思います。ありがとうございます。
そのほか、皆様、いかがでしょうか。
特になければ、次の議題に移りたいと思います。ありがとうございます。
続きまして、議題2、「ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進について」、事務局より御説明をお願いいたします。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
前回までの部会でも御報告させていただきました、ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進について、その後の取組状況について、資料2を使って御説明をさせていただきます。
資料2を1ページめくっていただきまして、まず、調査研究の関係でございます。次のページでございますが、ここに掲げるものが、目的を持った運動・スポーツの推進関係の調査研究事業になります。
1番のコンディショニングに関する研究につきましては、令和4年度から2か年実施いたしまして、昨年度末で終了したものでございます。
2番目の目的を持った運動・スポーツの推進に係る調査研究事業については、昨年度、令和5年度から2か年で実施中のものでございます。
3番目の先端技術を活用したコンディショニング基盤実証研究事業につきましては、今年度、令和6年度から3か年位を目途に実施するということを予定している事業でございます。
それぞれの研究事業について、簡単に触れたいと思います。
コンディショニングに関する研究事業につきましては、これまでの部会でも御報告させていただいております。大きく3つの研究事業から成り立っていまして、1点目がスランプの要因と解決策に関する研究。2点目が、運動器機能低下に対する地域における効果的な運動療法の在り方に関する研究。3点目が、スポーツの価値を高めるための運動・スポーツが身体に与える影響に関する新たな研究促進と医学的知見の集積に向けた研究となっております。
この研究の成果につきましては、前回の部会でも御説明させていただいたとおり、昨年度末、マスコミ向けの記者報告会を実施させていただきまして、そこで研究の成果も報告させていただいています。
この記者報告会の様子については、スポーツ庁のメールマガジン「DEPORTARE」の記事になっておりまして、それは参考資料としてもお付けさせていただいております。
次のページに行きまして、現在実施中の調査研究事業になります。1点目が、目的を持った運動・スポーツの実践に関する実態・ニーズ調査です。これにつきましては、真ん中辺にありますとおり、実態・ニーズを把握するため、これからアンケート調査や文献調査も予定しております。
また、ハイパフォーマンスサポートで得られた知見の集約や整理も予定しておりまして、最終的には、3つ目の丸で書かせていただいているとおり、運動・スポーツ実践プログラム(方法例)を検討して提示することになっております。
2点目が、指導者養成のための手引き、ツール、カリキュラムの作成で、これはスポーツ庁が推奨しております、長官のセルフチェックを指導できるような指導者の養成、そのための手引きやツール、カリキュラムを作成する事業になっております。
3点目は、運動・スポーツの欲求等を高め、多くの人々の運動・スポーツの実施を促進するセンシングディバイスを含む計測機器で得られたデータの活用方法等に関する研究を実施しております。
次のページに行きまして、これが本年度からの開始予定であり、目下、開始に向けて準備を進めている事業でございます。
ハイパフォーマンス分野の取組と連携をしまして、先端技術を活用したコンディショニングの基盤、具体的には、データ測定、フィードバック等の方法等、様々なコンディショニングの方法について、実証研究を推進することによって、多くの国民の皆様方がライフパフォーマンスの向上を目指して、多様なコンディショニングを気軽に行うような環境を整備することを目的に実施する事業になっております。開始に向けて、目下、様々な準備を進めているところでございます。
次に、周知啓発の関係でございますけれども、1ページめくっていただきまして、前回の部会以降、具体的には、令和5年4月以降に行った周知啓発の主な取組について、掲げさせていただいております。
大きく分けて、関係団体・機関、関係省庁と連携した周知啓発、メディア・ホームページ等を活用した周知啓発になっております。
次ページ以降を使って説明させていただきたいと思います。
まず、関係団体・機関、関係省庁と連携した取組といたしまして、先ほど、北出委員も若干触れられたかと思いますけれども、4月20日に日本産科婦人科学会学術講演会で、長官が「ハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへ 国民のライフパフォーマンス向上を目指した取組」という演題で講演いただいております。
次のページに行きまして、5月22日に環太平洋大学で、長官が「地方からの挑戦・スポーツで夢をつかむ」という演題で講演いただいております。講演の対象者が大学生や高校生になっており、コンディショニングの考え方からライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツを実施する重要性について、長官から御説明いただいております。
続きまして、先ほどのガイドブックのところでも触れましたけれども、Smart Wellness Cityの首長研究会において、5月28日に長官が御講演しておりまして、その中でも、ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの取組について、長官から説明いただいております。
次のページに行きまして、メディア・ホームページを活用した周知啓発ということで、4月初めに実施しました長官による記者との懇談においても、ライフパフォーマンス関係にも触れていただいております。また、文藝春秋や、教育学術新聞で記事が掲載されておりますので、ここで少し御紹介させていただきたいと思います。
この記事では、セルフチェックや、紙風船トレーニングが長官のインタビューの中で紹介されております。
次のページに行きまして、先ほど、コンディショニングに関する研究のところでも触れましたけれども、スポーツ庁の広報メールマガジン「DEPORTARE」に、3月に実施したコンディショニングに関する研究の記者報告会の記事が掲載されました。なお、この記事の全体版は、本日の参考資料2に付けておりますので、ここで御紹介をさせていただきます。
説明は以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
室伏長官から補足等がございましたら、よろしくお願いします。
【室伏スポーツ庁長官】 ありがとうございます。
今後も積極的に周知させていただきたいと思いますけれども、また皆様方から御意見を頂いて、どういったところで周知させていただいたら良いか等、お伺いできればと思います。お願いします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
一通り御報告いただきましたが、皆様から御意見等ございましたら、挙手をお願いします。いかがでしょうか。
どうでしょう。特にございませんでしょうか。
そうしましたら、一旦、次の議題に移らせていただきたいと思います。ありがとうございます。
議題3、「スポーツを通じた健康増進に係る調査研究について」でございます。
まず、事務局から御説明いただきまして、質疑応答の時間を10分程度設けさせていただきます。その後、久野委員より、今後、健康スポーツ部会において取り組むべき政策課題について、有識者の立場から御発表いただきまして、皆様と意見交換という流れをつくっていきたいと思います。
それでは、事務局より御説明をお願い申し上げます。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
まず、事務局から、スポーツを通じた健康増進に係る調査研究といたしまして、Sport in Life推進プロジェクトのスポーツ実施率の向上に向けた総合研究事業で行いました、調査研究事業について、御説明させていただきたいと思います。
この総合研究事業につきましては、令和4年度からスタートした研究事業になっていまして、大きく分けて、コンディショニングに関する研究と、スポーツによる社会課題解決推進のための政策に関する研究事業と、2本の柱でこれまで実施してきております。
それで、先ほど御説明したとおり、2か年の研究が終わりましたが、コンディショニングについては、今まで本部会でも御報告させていただきましたけれども、社会課題解決の関係は、今まで報告をさせていただいていなかったので、今回、事務局から御説明をさせていただくものでございます。
まず、この社会課題解決推進のための施策に資する研究事業でございます。
事業の趣旨でございますけれども、2つ目の四角で書かせていただいておりますとおり、スポーツの価値をさらに高め、国民のスポーツ実施率の向上や、スポーツを通じた社会課題解決を推進するための施策に資する研究等を実施し、得られた成果を科学的根拠に基づいた施策立案や、健康スポーツの普及啓発の利用に資することを目的に実施しておりまして、大きく分けまして、ここにあります3つの事業で研究を実施しました。
実施期間は、先ほど御説明したとおり、令和4年度から2か年で実施しました。
次のページに行きまして、まず1つ目の研究事業でございます。スポーツ実施が社会保障(医療・介護)に及ぼす効果及びその評価に関する研究です。
この研究につきましては、久野委員に検討委員会の委員長もお務めいただいておりまして、多大なる御協力、御支援を頂いた研究となっております。
次のページをお願いいたします。
この研究は、スポーツを通じた健康づくりによる社会保障の効果検証を行うことにつなげるために実施しておりまして、背景といたしましては、高齢化に伴う医療費・介護給付費のさらなる増加が懸念される中、運動・スポーツによる健康増進効果に関する研究がたくさん報告されております。
ただ、一方で、社会保障費のデータを活用して評価を行う自治体は僅か数%にとどまるといった背景がございまして、この社会保障費のデータを活用して評価を行う自治体の数をもっと増やせないかといった問題意識から、そういうことを後押しできないかということで、この研究がスタートしております。
具体的な目的でございますけれども、1点目に社会保障費の効果検証により事業・施策の質・量の改善、予算の確保を図るということを一つの目的としております。2点目に、なぜ社会保障費データを活用した分析を行うのかという視点も書かせていただいております。
具体的には、医療費、介護費は、全国レベルでデータが集積されているので、客観的・継続的・横断的な比較が可能という点で、そういった評価にも用いることが有効な指標の一つになるのではないかということで掲げさせていただいております。
3点目といたしまして、地方自治体はマネジメント機能の強化といった役割を求められているのではないかということ。
あとは4点目といたしまして、社会保障費の評価のためには、スポーツ部局と健康部局との連携が重要だといった視点も目的で書かせていただいております。
次のページに行きまして、まず、この事業では、文献レビューと事例調査をやっておりまして、その事例は、今までスポーツ庁が行いました、運動・スポーツ習慣化促進事業などの事例の調査もさせていただいております。それに基づいて、社会保障費適正化効果のガイドラインというものをこの事業では作成しております。その作成したガイドラインの中で、評価のチェックポイントというものをお示ししております。
具体的に少し紹介させていただきますと、評価方法のチェックポイントといたしましては、分析を行う上での参加者数は100人以上が望ましい、参加者に対する非参加群を用いて比較検証が推奨される、非参加群は参加群の3倍以上の人数とし、両群での条件をそろえる、効果検証は、縦断調査を行う必要がある、医療費等の観察期間は3年以上継続することが望ましい、高齢医療費を外れ値にする、除外する。小さな自治体ですと人口が少ないので、1人でも高齢の医療費を給付すると、その分データに影響を与える。そういったものは除外する必要があるのではないかといったものをチェックのポイントとして入れさせていただいています。高齢者に対しては、医療分析と併せて介護保険情報を突合の上、分析するといったチェックポイントを示させていただいております。
次に、ガイドラインの中では、事業展開の方法のチェックポイントということで、ここに掲げるポイントといたしまして、効果を確認し、事業施策を拡大し、ポピュレーションアプローチを展開する、自治体の関与後の受皿づくりも望まれる、ウエルビーイングやQOLなど、社会保障費データ以外の指標の併用も必要である、エビデンスに基づいた運動・スポーツを選択する、事業を評価し、施策を見直すということを挙げさせていただきます。
以上が、社会保障費の関係の調査研究事業の概要でございます。
次に、女性スポーツの実施促進に係る環境整備等に係る研究について、御説明させていただきたいと思います。
この研究の目的でございますけれども、次のページ行きまして、女性のライフサイクルに応じたスポーツ実施のための環境整備に係る課題を整理するとともに、それらの課題に対する方策を示し、女性スポーツ実施促進につながるための一助とすることを目的としております。
調査方法といたしましては、文献収集や、ソーシャルメディア分析、インタビューなどを実施いたしまして、調査をしました。
そういった調査を踏まえまして、次のページでございますけれども、女性のライフサイクルに応じたスポーツ実施に係る課題と方策ということで、横が女性のライフサイクル、10代以前から80代以降を幅広く示しておりますけれども、幼児期・思春期から老年期と示していまして、そういったライフサイクルに応じて、どういった課題があるかというのは、生物学的観点と社会的観点ということで、その2つに分けて課題を書かせていただいて、その課題に対してどういう解決方策があるかという整理を、この研究事業ではさせていただいております。
次のページ行きまして、そういった調査分析を行ったものを、こういった提言レポートとして取りまとめをさせていただいています。スポーツ庁のホームページにも公表させていただいていまして、御活用いただきたいと考えています。
次に行きまして、3つ目の研究事業でございます。地域における健康づくりに資する安全かつ効果的な運動・スポーツを推進するための事業の在り方に関する研究ということで実施させていただいております。
次のページに行きまして、この研究の目的でございますけれども、地方自治体が補助金によることなく、運動・スポーツの習慣を図るための取組事業を継続的に実施するようになるための要因を明らかにするということを目的に、この調査研究を実施しております。
具体的には、スポーツ庁で行いました、運動・スポーツ習慣化促進事業に参加し、この事業を活用していた自治体について、いろいろフォローアップ調査を実施させていただきました。そのフォローアップ調査に基づいて、そういった要因を明らかにするといった研究事業になっております。
次のページに行きまして、この研究事業は非常に分量が多い研究事業になっていまして、一部について抜粋して御紹介させていただければなと思っております。
先ほど御説明したとおり、フォローアップ調査を実施させていただきまして、その調査結果に基づいて、単年度ごとにPDCAサイクルを回したらどうかということで、こういった提言を頂いているものでございます。
これは、1年ごとのPDCAサイクルということで、運動・スポーツ習慣化促進事業から自走に向けた成功のイメージです。翌年度以降の継続につなげるためには、事業の必要性や、効果性を認識し、そういったものを図っていただいて、それに基づいた予算確保が必要だということで、まず申請段階で翌年度以降の事業、補助金がなくなってからの事業も見据えていくことが重要ということで、外部組織と連携したターゲットに対する事業の計画を立てて、それに基づいて予算確保をして、具体的な計画に基づいて庁内で連携をして実施、投じた予算と事業効果の適切な検証を実施して、その検証結果を踏まえ、次年度事業を見直してといったサイクルを回すようなイメージということで、この調査研究の中では、こういった提言を頂いております。
次のページでございますけれども、只今、御説明しましたPDCAサイクルは、1年のPDCAサイクルでございます。調査結果に基づいて、2年目以降のPDCAサイクルというものをお示ししたものが、この図になっております。 真ん中に、先ほど御説明したPDCAサイクルが入っていまして、翌年度以降の事業の継続を判断するというPDCAサイクルになっています。
2年目以降につきましては、持続的な体制づくりや、住民の意欲、意識の変容といったものを掲げさせていただいております。
5年目以降につきましては、長期的な観点での効果検証や、自治体計画への組入れを念頭に置く。
10年後以降、先のことで仮説になりますけれども、事業効果のレビューや、ターゲットの再考といったものを念頭に置いたPDCAサイクルをお示しさせていただいております。
ここに年数を2年、5年、10年と入れさせていただいていますけれども、この年数については仮置きということになっております。
この3つ目の事業で、補助金をもらった後、自治体が事業継続のためにどういったものが判断材料になっているかということもお示しさせていただいていまして、具体的には、財政面での解決策の提示や、住民へのプラス効果や、継続希望の声、体制面、場所の確保、医療機関との体制面での構築といったものが、2年目以降、補助金が終わった後、事業を継続するための判断材料になっているということを、この事業ではお示ししていただいていますので、スポーツ庁といたしましては、自治体が、今、御説明したような判断をしていただけるような、そういった後押しができるような施策についても考えていきたいと思っております。
順番が逆転して恐縮でございますが、先ほど、社会保障費の関係の調査研究事業を御説明させていただきました。自治体における、こういった社会保障費の効果検証を促進するため、本年度からは、運動・スポーツ習慣促進化事業の中で、社会保障費の効果検証を実施する自治体については、応募のあった事業計画書を評価する際に、加点要素とさせていただくとともに、そういった取組を行う事業自治体については、補助金をプラスアルファで交付するようにしております。
雑駁でございますけれども、説明は以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
社会課題解決推進のための政策に資する研究について、3つの事業を御説明いただきました。
それでは、皆様から御意見、あるいは御質問等ございましたら、挙手の上、発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。佐々木委員、お願いします。
【佐々木委員】 御説明ありがとうございます。
これらの3つの調査、非常に有効かつ今後のスポーツの実施率向上につながっていくと考えられます。
私たち展示会、また、スポ団連の様々な調査の中では、今、女性の健康づくりをテーマにしたセミナー、研究を進めておりまして、今回、主に女性の生涯サイクルを表していただいているグラフ、10ページでございます。今、女性の生涯未婚率が約20%となって、5人に1人が結婚されないという形になっている中で、やはり結婚と出産、育児ということをベースにして考えられている部分がかなり多いのかなという印象を少し受けるところございます。
例えば、仕事を優先に考えている中で、スポーツをする機会がつくれない女性というのも非常に多いと、今、我々の中でも報告がございます。そういった男性、女性、今はジェンダーレスでございますので、その考えがない中でも、最前線で働く方々がスポーツができる環境づくりというのも、女性の健康増進、スポーツ実施に関して調査を進めていただければ、いわゆるスポーツの実施率向上という部分で、非常にフェアなデータになってくるのではないかなと思います。
5人に1人となってくると、数千万人という単位になってまいりますので、そちらもスポーツ庁として少し御検討いただければと思います。
私からは以上です。
ぜひぜひ、この調査事業、私たち団体としても、非常に協力して、また、応援してまいりたいと思いますので、引き続き、よろしくどうぞお願いします。失礼いたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。勝目委員、お願いします。
【勝目委員】 単純な質問ですけれども、社会保障費適正化効果のガイドラインについて、非常に重要な研究だと思いました。
スポーツがどれだけ健康に寄与するかということは、いろいろ実証研究がなされている一方で、実際に政策が社会保障費にどのように影響を与えるかという研究は、あまりなかったということがよく分かりました。その中で、実際にスポーツ施策を実施して、さらに社会保障費で評価するのは、非常に実施自治体としてはハードルの高そうなことだなと思いました。このガイドラインを作成していく中で、実際に実施する段において、一番ボトルネックになりそうなところが、もし見えてきていたのだとすると、それを教えていただきたいなと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。久野委員、お願いします。
【久野部会長代理】 ありがとうございます。
こちらを取りまとめた関係で説明させていただきます。
この審議会のメンバーでは、千葉大学の近藤委員もメンバーの一人に入っていただいていて、近藤委員からも、割合その意見を強く言われていたのは、私もそこは同意なんですが、少し失礼な言い方になってしまうんですけれども、正直、しっかりと医療費や介護費を統計的に分析できる自治体の人材は不足している。そこが、非常にボトルネックになる。
それから、現実的に筑波大学のチームが、かなり丁寧なシステマチックレビューをして論文を見ていくと、学術的に課題があり過ぎるものや、あるいは報告書まで見てもらったんですが、自治体の中だけでやっている分析においては、科学的な分析としては認められない統計手法で、いわゆるコントロール群を置かずに見ている。それで、これだけ抑制があったと出ると、逆に批判を招いて炎上してしまうリスクもある。その中のガイドラインには、やんわりと書いてあるんですが、もちろん、1,700もあればしっかりとやれる自治体もあるはずなので、できないということではないと思うんですが、ただ、そういう中でアカデミアや、あるいは、今、民間でもそういうことをサポートするところがあるので、やはりそういうところを活用したほうが、うまくいくのではないかというのが現状です。
そういう面で、今の勝目委員のお答えの中で一番は、科学的に正しい形でオープンにしたときに、その値が結構インパクトが強いものですから、独り歩きするリスクがありますので、しっかりとしたデータを出せるかという辺りが非常に重要なポイントだと考えています。以上です。
【渡邉部会長】 長官、お願いします。
【室伏スポーツ庁長官】 今、久野委員がおっしゃったように、自治体では、データを取ってもばらばらで使えないような状況も生じてしまい、せっかく計画したものが縮小していって、1年、2年後に違うことをやろうということを繰り返すのは難しそうだと思いますし、さらに踏み込むと、マイナンバーの活用なども進めて、一律でやらない限りは、何年たってもできないこともあるのかなと思います。
自治体がアプリなども使って、統一した形でやらないと、なかなか難しいなと少し思いましたけれども、データサイエンティストも、スポーツの分野では少ないですし、そういうことを理解した方が自治体にも少ないということを考えますと、人口減少、高齢化社会が進展する中で、デジタル、マイナンバーの活用などをどうするのかという検討も必要だと感じます。
【久野部会長代理】 長官、ありがとうございます。
そういう面では、この委員の中でも共通理解をしておいていただきたいのが、結局、自治体の事業は、市民に対してやっているんですけれども、自治体が、いわゆる医療費や介護費は保険者が持つので、自治体が保険者として持っているのは国保だけなんです。いわゆる社保に関しては、別の保険者なので、実際にこの分析をしている、特に日本の場合、分析しているペーパーも、自治体事業も、全部国保の人しか見られない。
あと、後期高齢も自治体は使えるんですけれども、都市部だと、国保は市民の20%ぐらいなんです。協会けんぽを入れて、ようやく60%、70%ぐらいになってきて、結局、自治体が国保の方だけの事業は逆にやりづらい。市民からするとその辺は関係なくて、実際にはそういう面の一部の人、例えば、100人参加していても、その割合でいくと、国保の人は20人しかいないので、20人しか分析できない。そうすると、20人の医療費で、一人500万円、1,000万円という人がいると、平均を取っても、そこで全然ずれてしまうので、そういう課題の中で、今、長官が言われたような形で、いわゆる保険者間のデータが容易に入って、全体で分析できるようになってこないと、これは自治体を主語にした場合ですが、非常に難しくて、この辺は重要な課題だと思っています。
少し追加発言させていただきました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。すごく分かりやすい説明でした。山口委員、お願いします。
【山口委員】 御説明ありがとうございました。
このような研究は、どれも非常に重要だと思っております。
多分、この後、ずっと進めていくと思うので、少し思うところを御案内させていただいて、次の研究につなげていただきたいなと思うんですけれども、私自身はスポーツが好きですし、スポーツを長くやってきたので、スポーツすることが当たり前のような感じですが、ただ、今、いろいろなことで周りを見渡すと、やはり経済状況ですよね。経済格差が非常に広がっているので、スポーツをやりたい、いわゆる優先順位が、生きていくことに必死で、その後にスポーツ、それは女性にも関係していると思います。
例えば、シングルマザーや、非常に多忙な、先ほど、佐々木委員からもお話がありましたけれども、そういった中でスポーツの優先順位がどこにあるのかといったところ。これは、教育格差もそうですけれども、やはり日本を取り囲んでいる経済状況とスポーツの実施率といったところも併せて見ていかないと、健康21やウエルビーイングは分かるんですけれども、そこまで行き着かない、いわゆる弱者が増えているような印象を受けています。
ですから、そこにどうやってアプローチするのかといったところも、ぜひこういった研究で明らかにしていっていただくと、また、そこへは違うアプローチがもしかしたら必要になるのではないかなと考えていますので、ぜひその辺りも考えていただけるとありがたいなと思います。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。遠藤委員、お願いします。
【遠藤委員】 御説明ありがとうございました。
今のお話を聞いて、障害者のスポーツ実施率が低い無関心層について、少し思ったことがあるので、発言したいと思います。
障害者のスポーツ実施率が低い無関心層につきましては、スポーツとの出会いの場が少ないことが挙げられるというのが、もう既に分かっています。リハビリテーションの期間の短縮によって、中途障害者介護の効率が課題となっていて、スポーツは外出のきっかけとなるとともに、成功体験や仲間づくりなどを通して、更なる社会参加につなげることができる有効なツールであることは、もう様々な取組事例で分かっています。
先天性の障害者にとっても、障害があることで失われた遊びや、身体活動、学校体育への参加機会を、スポーツは補填することができるということも分かってきています。
今、御説明いただいた、これら3つの調査で、全ての項目において障害者も関わってきますので、障害者の部分を抜き出してスポーツの実態を把握して、障害者のスポーツ実施率向上につながると良いと思いました。
また、障害者スポーツ関係者に加えて、障害者スポーツに関わっていない研究者、機関、大学の皆様に御協力いただいて、客観的な目線で研究することも必要なのではないかと思いました。
理由としては、我々障害者スポーツ関係者というのは、どうしても今までの経験の中だけで視野が狭くなっている部分もあるかなと自覚している部分があります。そうした我々が見えない部分を客観的に見て、拾い上げていただくことで、解決が見えてくるのではないかなと思いました。
この調査研究に関わる人材を広げることで、新たな取組が発見されるといいなという希望的観点というか、そのように感じました。
ぜひこの調査に関して、障害者スポーツ関係だけではなく、様々な大学のいろいろな知見の御指導を頂ければなと、手を挙げていただければいいなと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
突然ですが、今村室長、今の遠藤委員の発言に対して、コメントございませんでしょうか。
【今村障害者スポーツ振興室長】 障害者のスポーツ実施率については、今日御説明したものとは別に、毎年、継続でデータは取っておりますので、おっしゃっていただいた点も踏まえて、今後、より実効的なデータを取り、さらにそれに基づいた適切な施策が打てるよう検討してまいりたいと思います。
また、遠藤委員も御参加いただいている、障害者スポーツのワーキンググループにおきましては、さらに障害者スポーツの振興に向けた施策を、今まさに取りまとめようとしておりますので、引き続き、御協力のほどよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
和田課長、私も失念しているんですけれども、先ほど、山口委員のおっしゃっていた経済格差の問題なんですが、スポーツ庁のスポーツ実施率の調査がありますよね。あそこで世帯収入等は聞いていましたでしょうか。あるいは、それをクロスしていましたでしょうか。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
スポーツ実施率の調査では、世帯収入は項目に入っていない状況でございます。
【渡邉部会長】 分かりました。
笹川スポーツ財団は、毎年スポーツの実態調査をやっていまして、その点も調査の項目に入れて、一応、クロスは掛けています。実際にその傾向は見て取れます。北出委員、お願いします。
【北出委員】 ありがとうございます。
とてもきれいにまとめていただきまして、すごく理解が深まりました。
私、9ページの女性のライフサイクルに応じたスポーツ実施に関わる課題と方策のところで、少し思うところがあって、発言させていただければと思います。
まさにスポーツ庁でデータを出されている、二極化というか、男女差があるところ。この思春期の女性のスポーツ実施率の低さというところかと思いますし、実際、確かに、この世代の子たちはスポーツをしない。そして、太りたくないから食べないというところで、久野先生からも次にお話があるかと思うんですけれども、SIPでも取り組んでいる、思春期の女性が痩せて、骨粗鬆症になっている状態を何とかしなければいけないという取組も、それだけではなく、いろいろなところでされていると思います。
私たちも施策中にいろいろ思うところは、プログラムも重要なんですけれども、誰がやるかということも非常に重要で、やはり現場の先生たちも、養護教諭、栄養教諭、いっぱいいらっしゃるとは思うんですけれども、本当に時間がなくて忙しい方ばかりで、また、教育委員会のハードルも非常に高くなっております。なので、プログラムですと、授業を少し変えるだけでもとても苦労しているという現状がございます。スポーツ庁だったら、そこもできるかなというところもありますし、多分、一個人、一団体がやるよりは、ぜひそちらのほうも考えていただきたいと思っています。
女性の指導者を配置することも重要なんですけれども、配置するということは、違うところからその女性を異動させるということにしかならないですし、逆に女性ということも重要なんですけれども、男性にも指導者としてそういうことを理解していただく。そして、授業としても、女性だけではなくて、男女がしっかりそれを聞けるような環境がいいのかなと思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。
それと、もう一つ、少し細かいところなんですけれども、性成熟期のところで、課題が、妊娠、出産、育児に伴う時間的、金銭的制約というものがございましたけれども、この時期というのは、妊娠、出産に関わらない働く女性もいらっしゃいますし、先ほど、山口委員からもお話が出ていましたけれども、例えば、仕事で時間の制約がある。例えば、不妊治療を行っていて、金銭的な制約もある。そういう方たちもいると思うので、ぜひそちらも課題に取り入れていただければと考えております。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。佐々木委員の御指摘にもつながるようなお話だったかなと思います。
津下委員、お願いします。
【津下委員】 ありがとうございます。
私は、13ページのPDCAサイクルのところで、まず意見を申し上げたいと思います。
PDCAサイクルを自治体や保険者などで回していくときに、PDから始めてしまうと、なかなかCAまで行かないということがございます。また、課題を分析しても、それと事業とがうまくリンクしていない事例もあるかなと思っています。
自治体のプランニングを支援するときに、足元の事業の確認、すなわち実際にどんなことをしてどんな結果になっているのか、何ができていて、何ができていないのかということをチェックすること、そこをしっかり考察する中で次年度計画に生かしていく。そこを丁寧にすることが有効かなと、私自身の経験では思っています。
チェックをして、それを次の事業にどう生かしていくかは、3年ぐらい関わっていくと、企画書が非常にブラッシュアップされていく感じがします。調査結果や事業を見る目が育っていき、きちんと評価できるようになるんだなということを、自治体の実績報告書の分析などを見ていて感じるところです。
健康課題の分析から入るぞというと、どうしても統計的な理解の問題とか、いろいろなハードルが高いと思うんですけれども、自分たちがやっている事業について、誰に対して、どういう事業をやっていて、カバー率はどうで、その結果、参加した人はどうで、参加していない人はどのぐらいいてというような、事業をしっかり見ていくところから、当事者の目線に立った評価が必要かなと。
学術的な研究はもちろん重要なんですけれども、このPDCAサイクルを回すときには、当事者ができる評価。当事者としてどういうことをすれば次の事業改善につながるのかという、評価の仕方をしっかりと学習し、自走できるようにしていくという考え方も必要なのかなと思います。
その点で、例えば、ポピュレーションアプローチを展開する。6ページにありますけれども、ポピュレーションアプローチの評価は結構難しくて、現状では参加人数を書いている自治体が非常に多い。どういう事業を、どれだけやりました、どれだけ参加しました、で終わりです。運動施設の利用人数もそうですけれども、何人参加しましたというのがあるんですが、それは決してカバー率ではないです。参加している人は1人で何百回も参加しているし、参加してない人はゼロということで、どう住民に届いているかということを測っていけていないのが実態かもしれません。
一人一人のデータをつなげてみるとか、カバー率を見なければという視点を持って、実人数を把握することや、山口委員がおっしゃったように、経済的にも厳しくて、参加できない人に対してどうするのか。障害のある方もそうなんですけれども、全体としてのパーセントだけではなく、参加できない層というのが、それは、本人が無関心とかではなく、参加できない事情に合わせてどうしていくのかという戦略を考えていかなければいけないかなと考えます。経済的な負担が少なく、誰でも参加できるようなものを、どう提供していくのかというところに目が向くような評価が望ましい。そういう考え方も必要ではないかなと。
もちろん、運動が好きな人がどんどんやれるというのも必要なんですけれども、社会保障費という観点からいくと、いろいろな事情で参加できない人を減らすというところに着目した分析も重要で、自治体などが等身大でできる手法の提供なども御検討いただけるといいのかなと感じた次第です。
健康づくり、健康は資源であって、目的というよりは手段、本当は忙しいからこそ健康づくりをしないといけないとか、そういう逆説の見方も必要です。ヘルスプロモーション自体がそういう考え方だと思うので、何のための分析かということも考慮した提案をしていただけるとよりよいのかなという気がしております。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。宮脇委員、お願いします。
【宮脇委員】 ありがとうございます。
先ほど、久野委員がおっしゃいましたことは、本当に私どもも強く感じているところでございます。
私の町では、「ヘルシーくらぶ」というものをつくりまして、スポーツによる健康づくりに取り組んでいるんですけれども、そのときに、対象者を国保の被保険者に限るわけにはいかないですし、町民全員、誰でも受けられますよという形でなければ、町村としては取り組みにくい。かといって、国保のただでさえ苦しい財源を使って町民全員が対象な取組はできないという事情がございまして、そういう事情を克服するには、やはり3点目の検討事項でございます、10年辺りを過ぎたときに運用をどうやっていくかということが一つの大きな課題になると思っています。
国保のデータベースシステムである、KDBを活用して、KDBを見れば、ある程度町民の健康状況等は理解できますから、当町では、保険証をきっかけにして取り組むということもやっております。
その際に一つの課題になるのが、ほかの被保険者の方たちをどうするのかということでございます。これは、ありていに言えば、別の保険が、例えば、町村が保険を活用した健康づくりをやっているなら委託するという方法もあるかと思います。町としては、住民に一番身近なところで、公平な観点でやりたいわけですから、プライバシーの壁ということも一つの大きな制限になっているとも思っております。その辺を克服していくということは、本当に大切なことだと思っておりまして、市町村がこれを本気になってやっていこうと思うと、体制づくりが必要だと思っております。
それで、一つの方法としては、当町の「ヘルシーくらぶ」の中で、実は、町内に270人ほどを雇用しておられる企業がございまして、そこの会社が従業員全員の年会費を払われて管理していただくという事例も生まれました。そういうことになれば、将来の財源確保の一つの方法としてもあり得るのかなということも考えております。
そのような状況でございまして、本当に貴重な御意見をありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。小松原委員、お願いします。
【小松原委員】 ありがとうございます。
健保連の小松原でございます。
先ほど、津下委員がおっしゃったPDCAに関する指摘について、私も同じような意見を持っています。現在、医療保険者では、でデータヘルス計画を進める上で、PDCAを回して実施していますが、PDCAのPから始めてしまうと、風呂敷が大きく広がり過ぎてしまい、うまく行かないことが多々ございます。
そういった中で、我々保険者も、先ほど、津下委員がおっしゃったようにCから始める、CAPDサイクルと呼ばれるものがあり、まず自分たちが実施している事業をチェックしてからアクションを起こすというサイクルを回している保険者も多々ありますので、このような実施方法も、少し推奨されても良いのかなと思います。
もう1点は、宮脇委員がおっしゃっていたように、各地域で実施した場合、国保の加入者だけの医療費を使って効果測定を行うことになってしまうので、先ほど、長官からマイナンバーカードの話も出ておりましたが、医療保険者の枠を超えた医療費の統計を取らなければ、国保の医療費だけでは、高齢者を中心とした、働いていない人達の医療費になってしまうので、健保組合や協会けんぽも含めて、オール保険者の医療費を使った分析も、少し考えなければならない時期に来ていると思います。
私からは以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、松永委員で、一旦区切りたいと思います。お願いします。
【松永委員】 コンパクトにまとめていただくのは本当に大変だと思います。非常に分かりやすくまとめていただいてありがとうございました。
その中で、1点だけ、9ページのところです。難しいとは思いますが、10代以前のところ、特に社会的観点のところで、学校卒業に伴うというところにフォーカスしていただいています。一方で、この会議でも度々出ていますが、幼児期の遊びなどの体を動かすのが楽しいという観点など、運動・スポーツの出発点のところの対策が中々できていないのではないかというところが非常に大きな課題かなと思っています。
恐らく方策のところの、運動で得られるメリットを体感できるプログラムの構築というところでまとめてくださっているとは思うんですけれども、やはり具体的に楽しいなど、運動・スポーツなど体を動かすことの価値というところを、早い段階である幼児期の段階で体感することの重要性を感じているところです。例えば、アクティブチャイルドプログラム(ACP)等の日本スポーツ協会の取組等も、事例に挙がると思いますがが、幼児期のところがボトルネックになっているのかなということを感じています。
今、特に中学校の女子の運動・スポーツを一つのターニングポイントというか、そこから運動・スポーツをしない女性が増えていくということが分かっている段階で、その方々が、今度は成人となり、保護者等になられるということを考えたときに、またそこで運動・スポーツの機会が少なくなってしまうという御家庭が増えてしまうことも危惧します。重要な他者である保護者の意識とリンクしているというところを考えると、子育て期においても、保護者に体を動かすことが楽しいということを、いま一度認識していただくような、健康づくりの情報プラス、運動・スポーツの楽しさ、価値というところをあらかじめ認識してもらうような取組も必要かなと感じております。
併せて、女性の指導者という視点も、北出委員もおっしゃったように大切であると思います。もちろん現状では、マンパワー的には男性のほうが多いということもありますので、理解を深めていただくことと、女性の指導者については、トップアスリートの世界ではサポート体制も整備されつつありますが、地域レベルに目を向けると、やはり女性指導者が活躍できるサポート体制が整っているとは言い難い状況にあります。それは、ハード、ソフト面の両方だと思いますが、併せて課題というところで、以上2点、難しい点であるとは思いますが、感じたところでございます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
貴重な御意見がたくさん出ましたので、事務局におかれましては、これからの事業展開、あるいは政策立案等に生かしていただきたいと思います。
それでは、課長、お願いします。
【和田健康スポーツ課長】 先ほどの発言で、1点、訂正させていただいてよろしいでしょうか。
【渡邉部会長】 はい。
【和田健康スポーツ課長】 スポーツ実施状況等に関する世論調査で、世帯収入は取っていないと先ほど御説明しましたけれども、世帯収入も把握しておりまして、実施率とクロスして分析も行っておりますので、訂正させていただきます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。
今まで出た発言等も踏まえまして、久野委員から、健康スポーツ部会として、今後、取り組むべき政策課題について、御発表をお願いしたいと思います。
【久野部会長代理】 では、よろしくお願いします。
今、議論をお聞きした中で、非常に重要な点が幾つか御指摘されたと思うんですが、ただ、一方で、今後、我々の委員会や、委員の立場として、あるいは、特にこの中でアカデミアの先生方、私も含めてという意味ですが、指摘するだけではなくて、そこの答えとなるような根拠となるエビデンス、あるいはエピソードベースをどんどん重ねていかないと、結局、こうあるべきだと言っても、その根拠はと求められたときに答えられないんですね。
だから、状況だけを明らかにするのではなくて、もっと介入策のこういう研究が各分野で増えないと、今、幾つかのスポーツ庁と関わらせていただく仕事の中で、いろいろなレビューをすると、特に日本人の女性に対する介入策や、子供に対する介入策の研究は、すごく不足しているんです。
そこは、アカデミア側というのは、どうしても自分の好きな研究をやるので、政策的に足りないからといって、それがなかなかモチベーションにならない場合が普通だと考えると、今回のこういうスポーツ庁の研究事業の取組は、すごく大事なことだと個人的に思っているんですが、その辺の詮索をしていく中で、エビデンスが弱いところを、少しスポーツ庁のほうで誘導していただくという視点も大事だなということを、委員の皆様からお聞きした中で、感想を持ちました。
少し大上段のタイトルをつけてしまいましたが、我々の研究グループ、あるいは今、内閣府の仕事としてやっている辺りの、特にスポーツ庁に関わっていただきたいところを中心にお話をさせていただきます。
まず、この無関心層を、いわゆる教育だけではなくて、まちづくりという観点でやっていこうという観点は、非常に重要だと考えています。
次を見ていただきますと、これは、産総研と我々の研究室の共同研究で、今はもう少し進化しているんですが、まだ一番最初の段階のものしかオープンにできないので、これでお許しいただきたいんです。今、AI等の発達も含めて、類型化の技術が非常に発達してきていて、そういう個別的な特徴が明らかにできるので、そこに合わせた介入策というのが、かなり可能になってきている。
もちろんスマホを持てない80代、90代という少ない層はあるんですが、今後のことを考えた場合に、非常に個別的なアプローチができる。さらに、スマホのところも、単に情報を送るだけではなくて、対話型AI的な技術革新の中で、いわゆる集団指導でトップの指導者がやれていたことを、ある面、AIを使ってやっていくということも、技術的には、かなり可能になってきていることを考えると、やはりそういう観点へどう誘導していくかというのは、産業界との関係という観点でも非常に重要だと思っています。
このデータは14分類されまして、例えば、医療費との関係を見たときに、例えば、「S08」。赤くしてあるんですが、こういう類型ができてしまいました。「生きがいがなく、人との会話もなく、地域に頼れる人がいない人」という、もうめちゃくちゃやばいのではないか。
これは6,300人ぐらいで調査しているんですが、一定数、ここに400人以上が該当して、どうしても独居の高齢者にそういう方が多いのではないかという仮説があって、確かに6割ぐらいは高齢者なんですが、見ていただくと、これは医療費の関係があって、40歳以上で取っているデータなので、いわゆる中年世代でも、4割はここに該当して、こうなった割合。つまり、こういう孤立、孤独の問題というのは、必ずしも高齢者だけではなくて、かなり多くの世代にある。
例えば、こういう社会課題がある中で、先ほど、山口委員の話もあったんですが、スポーツがどういう形でここに貢献できるかという観点でのエビデンスが、どういう形でできてくるのかということが、一つはスポーツの力を高めていくことになっていくのではないかなと考えました。
これは、最初の頃の健康スポーツ部会でお話をさせていただいたときにも出したデータなんですが、私自身がまちづくりに興味を持ったきっかけのデータで、2009年の為本先生という方の論文にあって、ピンク色を見ていただくと、東京、大阪、愛知の、いわゆる自動車分担率という言い方をするんですが、日常の主な移動手段が自動車だという方が都市によってかなり違う。
右側は、糖尿病の外来者数で、これが非常に比例的に出ている。もちろん、この間にはいろいろな要素があるんですが、一方で、非常に興味深いのは、愛知と東京でヘルスリテラシーに関しては特に差がないということは、東京の人は健康に意欲的で歩いている人が多いから車を使わないということではなくて、多分、お分かりのように、東京の地下鉄や山手線等、あるいは車で行くと駐車場代がばか高いなど、そういう都市の構造が結果的に影響しているのではないか。そういう面では、私自身は、10年前ぐらいに、無関心のまま健康になってしまう力が都市にはあるのではないか。つまり、歩きたくなるまちという観点は、結構言われてきたんですが、歩かされてしまうまちという視点でのまちづくり。
私も、自宅から筑波大学の東京キャンパス、茗荷谷なんですが、大手町で千代田線から丸ノ内線に乗り換えるんですけれども、少し腹が立つくらい離れていて、あそこは乗換えに500メートルあるんです。ということは、往復の通勤で、黙っていても1キロを歩いてしまう。やはりそういうことが、このようなデータに影響してくるのではないかと考えます。
そういう観点で行ったときに、健康格差という観点で行くと、今、地方の公共交通がさらに厳しくなってきていて、車社会にならざるを得ない。
これは、市長の了解を取って使わせていただいているんですが、新潟県三条市の三条小学校区という、三条市では一丁目一番地的な中心市街地だったんですが、これは平日の午前11時で、誰も歩いていない。通過交通はありますが、シャッター街になっている。
これを見たときに、先ほどのデータを知ってからは、いわゆる地域経済の問題だけではなくて、実はこういう都市になっていることが、一つは不健康になっている。私は、人を健康にするには、町を健康にするという発想、これは、もちろんスポーツ施設などの兼ね合いも含めてなんですけれども、そういう観点があるのではないかと考えるようになりました。
このようなことを、実は10年以上前からWHOが言っていて、我々が大学の頃習った予防に関しては、一次予防、二次予防という観点だったんですが、WHOがゼロ次予防という概念を定義していまして、そこに書いてありますが、従来の一次、二次予防というものは、健康教育や健診を受けるなど、本人が自覚・努力して自分の健康を守るということで、主な介入対象は個人である。
これは、決して一次、二次が要らないというゼロ・イチを言っているわけではなくて、もちろんこれはこれで大事です。ただ、加えて、ゼロ次予防ということで、原因となる社会経済的・環境的・行動的な健康悪化の発生を防ぐための対策というもの。いわゆる主な介入対象が社会環境という考え方というか、施策の進め方も併せて進めることで効果が出やすくなる。高まる。我々は必ずどこかの町に住んだり、働いているので、その町が変わるということは、そこへのインパクトが強くなるんだろうと考えます。
そういう観点で、厚労省のプロジェクトで、シンガポールを視察してきました。なぜシンガポールだったかと言うと、スポーツ実施率が、今、日本が大体52%前後だったと思うんですけれども、シンガポールは74%ということで、赤道に近い国で、何でこんなにスポーツ実施率が高いんだろうというのが、私たちの研究班の一番の視察動機になりました。
このスポーツ施設が、MRTの駅から歩いて10分以内。シンガポールは都市国家で、これを日本にそのまますぐに適用というわけにはいかないんですが、シンガポール内に、こういう大きなスポーツ施設、ハブが大体5から6ぐらい、さらに、今、新たなものを造ろうとしている。基本的にMRT、地下鉄なんですけれども、10分以内。
この施策がものすごく国交省とスポーツ庁が連携していて、国交省はMRTをより使ってもらうために行き先を整備していかないといけないので、その行き先の中にスポーツ施設が非常に重要だということで、そこに力を入れているということがヒアリングから分かりました。
これは結構有名な話なので、御存じの方も多いんですが、そういう各所にある施設に関して、国立競技場、日本で言う国立競技場、全てのスポーツハブにはショッピングセンターが併設されているんです。つまり、日本のスポーツ施設は、スポーツをするためだけの施設としてあるんですが、シンガポールは、日常的に行く場所ということになってしまうんです。
さらに、塾や文化施設など、全てを包含的にやっていて、若干自虐的にシンガポール政府の方が言っていましたが、ハンバーガーショップも全部あって、健康にはよくないんだけれども、必ずハンバーガーショップを入れるのは、いわゆる親が子供を連れて行く、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんが子供を連れて行くのに、やはり子供が行きたい場所として必須のもので、逆に言うと、子供たちが日常的に、必ずしもスポーツをやりに行かないけれども、こういう場所に行って、そこでスポーツをやっている環境を、小さいときから日常的に刷り込まれていく。そういうものが、結果的にはスポーツ実施率を高めることにつながっているのではないかという考察が生まれてきました。
それから、整備として、一番左は、ダウンタウンから空港まで5キロ以上、海岸沿いに自転車道路、ジョギング道路みたいな、いわゆる専用道路で車から一切邪魔されずにできるような施設や、町並みを見て、我々は朝、ジョギングをしていたんですが、やはりこういう環境というのが、スポーツをやりたくなる一つ。
次は、インクルーシブ、多様性というのが、社会、政府としてもキーワードなんですが、それも今、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム、略してSIPという形で、14課題走っている中の一つにこれが動いていまして、私がプログラムディレクターをさせていただいています。
包摂力の向上を求める中で、この包摂は、一般の方はなかなか難しくて答えられない部分もあるので、我々は社会の寛容性を上げる、そして、個人の自律性を上げるということを目的に置いていて、この中に、いわゆる健康というものをもう一個置いていまして、スポーツをやる人が自律的にやっていただけるようにどう持っていくかということも、このプロジェクトの中でやっています。
それが、結果的に個々及び社会のウエルビーイングを高めるということで、このSIPというのは、論文を何本出しても評価されずに、最終的に社会実装されるかが評価のポイントで、そこを支えるビジネスができる、あるいはそれを促進する国としての制度ができるということがアウトカムなために、今、そこに向けて、ちょうど昨年からスタートしまして、今は2年目、5年間でこれをやるということで進めています。
一応、体制図なんですが、今、ここで参加いただいている北出委員にもサブプログラムディレクターという形で関わっていただいていまして、SPDの青木さんは、元国交省の都市局などの局長をされていた方で、唐澤さんは、厚労省の保険局長や、介護保険をつくられたうちのお一人で、そういう方々と、民間の方を含めたチームで、つまり、SIPの我々の役割は、我々が直接研究するのではなくて、公募をかけまして、今、下にある9つのテーマが動いています。特に今日の中での課題としては、サブ課題C、女性の健康というところで、筑波大学がやっているところ、あるいは順天堂大学がやっているところで、非常にスポーツが関係するセッションになってきます。
まず、その中で、価値観を多様性に変えていかないといけないんですけれども、そこを変える技術を我々は社会技術と呼んでいるんですが、日本の科学技術の研究は進んでいるんですが、社会の価値観を変えていくような社会技術の開発が遅れているという認識の下に、ここをどうやっていくのかというのが、一つの大きなテーマとしてあります。
例えば、今、少子化の問題も含めて、子育ては楽しいという空気感を社会に醸成するにはどうしたらいいかというPR技術。先ほど、今日の冒頭の中にも、ガイドブックに関して、どう広げるかということがありましたが、これに関しても、かなり科学的な知見も出てきていて、そういう面では、よりうまくやっていく方法を具体化していきたい。
ただ、一方で、これは気をつけないと、非常に変な方へ誘導したり、宗教的な危なさも出てくるので、そこのバランスをどうとるかということを考えながら進めています。
そういう中で、例えば、もともと人間が1から5のような本能を持っていて、そういう前提の中で、では、この場合をスポーツに置き換えると、どうしたらスポーツが嫌いな方や、今、忙しくてできないという方に関して、その優先順位を上げられるかという、そのPR技術みたいなものを開発しています。
これは、有名なものなので、御存じの方も多いかもしれませんが、広げていくときに、16%の壁というものがあるとよく言われていて、そこを越えていくと、民間のビジネスでもそうですが、一気に広がっていく。
ある面、いろいろなプロジェクトのイノベーターや、アーリーアダプターは、すぐ動く人のところで止まっていて、アーリーマジョリティーは、特にレイトマジョリティーまで、ある面、「ラガード」と書いてあるところは、私はてこでも動かない無関心層、鉄板層と呼んでいて、ここは政策的には表立ってはいないんですが、ひとまず諦めようと。まず、動く層を類型化した中で、どう動かすかという戦略が必要ではないかと、今、我々は考えてプロジェクトを動かしています。
これは、昨年の一つの実績なんですが、いわゆる運動と健康の妊産婦のところなんですけれども、そこに無関心層を投げても動かないということで、ロバート秋山さんに手伝っていただいて、YouTubeでロバート秋山さんを見たくて入ってきたら、なぜか女性の妊産婦の人たちが結果的に運動した方がいいよという方に誘導するような番組を作りました。
これは割合バズりまして、こういうプロジェクトではまあまあだと思うんですが、55万再生というところまで行っています。
ただ、次のものは3万ぐらいしか再生できずに、やはりなかなか壁はあるなと。
視聴者に関しても、一応、捕まえられるので、我々が捕まえたい女性のところが45%ぐらい見てくれていたとか、こういうデータは取ることができます。
最後に、今後の方向性ということで。
これは、私たちの研究者が新潟県の見附市というところと20年間一緒にやってきて、先ほど、自動車、いわゆる車の分担率が影響するというお話をしたんですが、実は、見附市は、社会参加できる場づくりということで、20年間でつくってきたんです。
これが、従来は箱物行政と批判されたんですが、非常にソフトを重視して、これを見ていただくと、人口4万人の町で、例えば、一番左上の「ネーブルみつけ」は年間50万人が外出する場なんです。実は、そこにスポーツ教室、中高齢者の運動教室を作ってあって、そして、全部ガラス張りで、中もガラス張りというか、見えるようになっていて、非常に日常的に見えるという空間を作ることによって、ある面、成功したという事例があります。
それから、ここは健康部会なので、違うかもしれないんですが、歩いていただくという観点で、公共交通の整備という中で、各自治体がコミバスを走らせているんですけれども、ほとんど空気しか乗せていないという自治体が多いんです。見附市の場合は、このように右肩上がりで、かなりの人が車からコミバスを使うようになった。コミバスは、左にあるような、行きたくなる場所をループさせているんです。しかも、便利にできるように、といっても地方なので、20分に1本なんですけれども、両側に。つまり、理想だけでは人は動かないので、動くところまでどう環境を整えていくのかという辺りに関しても、自治体は、ある面、結構勘というか、経験論でやっているところに対して、スポーツ施設との関係のところに関して、スポーツ庁からそういうもののつくり方、その施設のつくり方だけではなくて、立地の在り方から含めて、先ほど、シンガポールの10分という話がありましたけれども、そのような観点も、多分、非常に重要な視点になってくると思います。
最後は、女性の問題ということと、今、健康経営の中で、厚労省と経産省を含めて、制度面も含めて、女性の健康経営をどう評価していくのか。その中の健康経営の中に、この運動・スポーツというものを、ある面、中核にした形で進めていきたいと考えているので、最後、紹介を含めてさせていただきました。
これは、最初にお聞きしたのは、順天堂大の田村先生からこのお話を聞きまして、今、日本人の女性の健康問題、特に若年女性に関しては、いわゆる病的リスクの高い痩せが、OECDの中で1位であると。
2位の韓国の2倍以上も高いということで、女性で痩せていても、最近、糖尿病になることも分かってきていて、これが、さらに女性が中年、高齢期になったときに、転倒、骨折になって、結果的に寝たきりになるリスクが高まるという意味でも、非常に痩せの問題というのが、日本の場合、ずっとメタボということに取り組んできたんですけれども、一方で、今、痩せという問題が、特に女性の場合は大きな課題になってきています。
さらに、ここは目的を持った運動でのライフパフォーマンスのところにもかなりリンクするんですけれども、痩せだと、実は筋肉が少ないんです。この筋肉が少ないということが糖尿病の発生にも関係している可能性がありますし、その後のいろいろな問題に、そして、子育てのときの体力がなくて、疲れやすいという問題にも、この筋力がないということが非常に影響しているのではないか。
そして、体力がないため疲れやすいので、子育ては非常にハードワークだし、いつ泣くか分からないという中で、疲れやすいことによって、結果的には、メンタルヘルスが悪化しやすい。その究極の先に、自殺や、あるいは虐待というものにつながっていくという中で、実は、ここに関しては、スポーツ、体力を上げていくということが、非常に今の社会課題に貢献できる分野であるということを、今日は強く主張したいと思っています。
いろいろなデータが出てきていまして、これも田村先生から頂いた素材ですが、新生児死亡率が、妊婦さんが肥満の場合ももちろん高いんですが、見ていただくと、痩せでも高いというデータが出てきている。
今、低出生体重児が増えてきているというのも問題点として出ていますが、その要因が母体の痩せであるという、少子化で、ある面、子供をどう増やそうかという社会課題があるんですが、一方で、せっかく生まれてくる赤ちゃんにも、少し健康上の課題があるということになります。
これが非常に重要なデータなんですけれども、こういう理論が出てきています。
左側を見ると、痩せの妊婦さんのおなかの中で、いわゆる低栄養状態で10か月間育つことが、結果的に、生まれてから疾病になりやすい体になってくるということが分かっていて、さっきの若い女性が痩せていることが美しかったり、そこを目指しているんですけれども、結局、知らないことによって、自分の体も、その後のライフスパンにおいてリスクを高めていると同時に、実は、結婚されたときに、その子供まで影響を与えるというリスクが出てきている。この辺りの問題を何とかしていきたいということを、今、考えています。
それから、健康経営のところで、今、かなりデータを取り出しているんですが、仕事への影響に関して、例えば、月経等の影響に関しては、女性が感じているものに、男性の方が低く捉えていて、やはり男性のリテラシーを上げていくということ、あるいはプレゼンティーズム、仕事への悪影響に関して、男性の方がかなり大きいと考えているけれども、女性は必ずしもそうでもないという、男女によるここの捉え方が、女性の健康経営に関しては、ある面、難しさというか、改善すべき観点がこの中にあるんだろうと考えています。
さらに、今度は大企業だけではなくて、中小企業ということで、今、埼玉県をモデルにして、中小企業経営者のヒアリング、それから、アンケートをやったんですが、予想どおり、今、この辺の問題が3つ挙がっていますが、知らないという経営者が80%以上なんです。
さらに、こういうときには運動した方が良いなど、そういう話もほぼ同様なところで、いわゆる健康経営という観点でスポーツを広めていくという中で、中小企業経営者のリテラシーをどう上げていくのかという観点は、かなり大事だと考えています。
これが最後のスライドですが、順天堂大学の田村先生が調べると、アメリカやヨーロッパで、このボディーイメージ教育というのが、小・中・高の保健の授業に位置づいているんです。
これが、日本では、残念ながら位置付いていなくて、いわゆるルッキズムという観点で女性が痩せを目指しているところがある。今、我々の方でいろいろな調査をしたり、あるいは順天堂の長官の妹さんも、日本ではその研究の第一人者というか、すごくペーパーを出されているんですが、そういうものを見ていても、実は、友達から言われるということがあるんですけれども、もう一つ、ダイエットを目指すのが母親かなという割合が我々の研究では高くて、この問題というのは、当事者だけの働きかけではなくて、非当事者の周りの人への働きかけを両方やっていかないと、多分この問題は解決していかない。この辺りを、どう政策的にしていくのか、あるいは将来的にボディーイメージ教育というのを必修化していくようなことを、我々SIPとしては目指していきたいということです。
ただ、そのエビデンスや、それをやるとちゃんと変わるのかとかというものがないと、なかなか必修化にはなっていかないので、今、そこをしっかりとやっていこうということを考えています。
必要なエビデンスという形で書いてありますが、こういう点を含めて、今後、健康スポーツ課題の中で、ある面、国の政策課題とリンクした形の中で進めていくことによって、先ほど、山口委員からあったような、あのような問題は、どうしても財政面の問題を解決していかないと動かない部分もあるので、そういう観点からも、今後、どこを狙っていくのかという辺りは、この部会でも議論していただけるといいのではないかなということで、説明を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
【渡邉部会長】 久野委員、どうもありがとうございました。非常に分かりやすい説明でもあったと思います。
ただいまの説明に関しまして、御質問等ございましたら、挙手の上、お願いします。
【久野部会長代理】 もしよかったら、北出委員も一緒に、特に女性のところをやっているので、北出委員、まだいらっしゃいますか。いらっしゃったら、少し追加コメントがあれば、お願いしたいんです。
【北出委員】 ありがとうございます。
今、一緒にさせていただいている施策の、特に女性のところというのは、分かっているけれども、今まで目をつむられてきたところも結構あるかと思います。
実際、さっき、久野委員がおっしゃった、小・中学生の児童のところではあまり分かってこなかった。あとは、痩せ女性の問題でも、あまり周知はされていなかったですけれども、健康経営の部分というのは、上司は何となく薄々は気づいているけれども、少し目をそらしていたところもあるような、そういう社会的課題が生まれると思います。
実際、この研究で思うのは、最初に久野委員がおっしゃった、無関心のまま健康になれる仕組みが結構重要かと思っていまして、運動しようと頭では分かっているんですけれども、やはり長続きしないと思うんです。それが、例えば、通勤や、楽しさ、ゲーミフィケーションみたいなものや、美容など、最初は何かのきっかけがあって、それでもスポーツを続けたら疲れにくい体になったり、痩せたり、健診データが改善するという流れが自然に行くような仕組みというか、体制ができれば、ある程度無関心の人だったら乗ってくれるのではないかなと考えております。
今、久野委員たちとともに、いろいろ御指導を頂きながら、一緒に取り組んでいるところなんですけれども、いろいろな難しい課題もあって、とても刺激的なところです。
ぜひ委員の皆さまの御意見を頂ければ非常に参考になるところです。ありがとうございます。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。皆様、いかがでしょうか。
私も再認識できる部分を含めて、非常に勉強になりましたが、今回のこのテーマについて、もし特になければ、一旦ここで区切りをつけますけれども、今後、部会の運営に当たりましては、もう各委員それぞれ専門領域をお持ちでございます。そういったお話を、これから御発表いただく中で、多分、専門領域は持っているんだけれども、この部分は気がついていないとか、新しい知識だということもたくさんあろうかと思います。そういったものを皆様で持ち寄っていただいて、この健康スポーツ部会の議論もより一層深めて、それがまた政策につながるような部会の運営をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
引き続きの御発表者に関しましては、事務局から個別に御相談させていただきますので、その節には、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議題4、その他に移りたいと思います。
和田課長から、御説明をお願いします。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
事務局から1点、御報告となりますが、スポーツ庁では、引き続き、能登半島地震の被災地への支援に取り組んでおります。4月に室伏長官が被災地を訪問いたしましたので、御報告をさせていただきます。
資料5を御覧ください。
室伏長官が4月24日に珠洲市の宝立小中学校、石川県立飯田高校を訪問しました。子供や被災者の運動不足による健康被害等が懸念される中、被災地の学校で、長官自らがエクササイズを実演し、児童生徒や被災者の方々と一緒に交流をいたしました。
また、珠洲市長、教育長との意見交換や、校内等の被災状況について視察をされました。
事務局の報告は、以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。長官から補足等ありましたら、お願いします。
【室伏スポーツ庁長官】 ありがとうございます。
なかなか復興が進んでいない現状で、テレビでも見ていますが、まだ瓦礫の中で、私が行ったときも、まだまだ本当に大変なことだなと思っていましたけれども、機会を頂きまして、能登の珠洲市に行かせていただきました。若い子供から、高齢は95、6歳の方まで、一緒にエクササイズをさせていただきました。年齢、性別、いろいろなことに関係なくできることもたくさんあるのではないかなと思いましたけれども、このような活動をしっかりと、また継続して取り組んでいきたいと思っております。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。ちょうど時間も押してまいりました。
皆様から、今までのところも含めまして、何か御意見等ございますか。
特にないようでしたら、本日予定していた議題は以上でございます。
続いてになりますが、長官から最後に一言お願いします。
【室伏スポーツ庁長官】 ありがとうございます。
本日はお忙しい中、第27回健康スポーツ部会に御出席いただきましてありがとうございます。
Sport in Lifeのガイドブックにつきまして、ホームページに公開させていただいておりますけれども、たくさんの方に御覧いただいて、参考になっていくように、また実施率向上も含めて、さらに広がっていくことを期待しているところでございます。また、先生方におかれましては、御協力賜れればと思います。
ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動スポーツの推進についても、私自身も講演等をさせていただいておりますけれども、引き続き、取り組んでまいりたいと思います。
スポーツ実施率の向上に向けた総合研究事業においても報告させていただきました。
また、久野委員からもSIPの御報告を頂きまして、女性スポーツをはじめとする研究結果の取組について、大変重要な取組に関して御知見を頂きました。
加えて、こちらのスポーツ実施率の向上に向けた総合研究事業、また繰り返しになりますけれども、僕も医療費をいかにして抑えていくということに関しては、スポーツだけでできることではないと思いますが、やはりスポーツは、減らすということもそうですけれども、先ほど、体力の話が久野委員からありましたけれども、元気に働ける人を増やしていき、健康寿命の延伸を目指していくところに貢献していくことができると思いますし、ただ運動しただけではなくて、ライフスタイルや生き方が変わってくる中で、まちづくりの話もございましたけれども、こういった取組は本当に重要なことで、スポーツならではの調査の仕方で、もう少しカードが出てもいいのではないかと思います。また委員の皆様の御知見を頂ければと思います。
今日は健康スポーツ部会ですけれども、スポーツ庁の中で健康に結びつくことは他の課でもやっています。庁内でしっかり連携して、例えば、スタジアムアリーナの改革、人々が集まる、核となるような取組、これは、人々がスポーツを見るだけではなく、するスポーツ、そして、健康増進、多くの方が集まりにぎわうという取組もしていますし、当然、そこに日本の経済に少しでも貢献できるような形に、こういうアリーナの改革は、省庁を超えてやっております。
また、まちづくりで長官表彰をさせていただいたり、実際に大学生のコンペをさせていただいて、若い方の様々なアイデアが出て、今年もやりますけれども、久野委員や、建築家の方など、様々な方が関わっています。
やはり健康スポーツ部会も、いろいろな方々に関わってやっていただいて、また委員の皆様の御知見も頂いて、総合的にやっていくと、さらにいいのかなと思います。
委員の皆様におかれましては、直接現地に行っていただいて、本当に健康スポーツ部会が回を重ねるごとに発展していき、すばらしいものになってきましたけれども、課題も見えてきていますので、今後も御知見を頂き、さらに取り組んでいきたいと思っております。
また次回、皆様に直接お会いできる方はさせていただきたいと思いますし、意見交換等ができればと思っております。
以上になります。
【渡邉部会長】 長官、ありがとうございました。
それでは、最後、事務局から御報告等ございましたら、お願いします。
【和田健康スポーツ課長】 事務局でございます。
委員の皆様方におかれましては、本日も貴重な御意見ありがとうございました。
ガイドブックの周知方針につきましては、頂いた御意見を踏まえまして、関係団体や関係機関等に周知を図り、積極的な活用を促していきたいと考えております。
また、委員の皆様方におかれましても、ガイドブックを周知する機会がございましたら、ぜひ事務局にお知らせいただきますとありがたく存じます。
以上でございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。
それでは、本日の部会を終了させていただきます。皆様、ありがとうございました。
―― 了 ――
スポーツ庁健康スポーツ課