スポーツ審議会健康スポーツ部会(第21回) 議事録

1.日時

2023年3月28日(火曜日)10時~12時

2.場所

WEB会議(ZOOMを使用)及び文部科学省16F3会議室

3.議題

  1. 現場視察・ヒアリングについて
  2. 目的を持った運動・スポーツの実施について
  3. その他

4.議事録

スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第21回)
2023年3月28日

【渡邉部会長】  皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第21回スポーツ審議会、健康スポーツ部会を開催いたします。改めまして、皆さん、年度末のお忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 ただいま、15名の委員の方々に御出席いただいております。本日欠席されておりますのは、豊岡委員、藤田委員となります。スポーツ審議会令第6条第1項及び第3項におきまして、本部会の開催及び議決に当たりましては、委員の過半数の出席が求められております。本日は定足数を満たしており、開催とさせていただきます。
 また、本日はスポーツ庁より室伏長官、角田次長、星野審議官、和田健康スポーツ課長、そして佐々木障害者スポーツ振興室長に参加いただいております。
 また、オブザーバーといたしまして、厚生労働省健康局健康課からもウェブで御出席いただいております。ありがとうございます。
 傍聴に関しましては、一般の方については、YouTubeでのライブ配信での傍聴とさせていただいております。御承知おきください。
 まず、開催に当たりまして、事務局より諸連絡及び配付資料の確認をお願いいたします。
【和田健康スポーツ課長】  事務局から、開催に当たり諸連絡をさせていただきます。
 本部会は、前回と同様、Zoomによるウェブと対面でのハイブリッド形式での会議とさせていただいております。本日、対面出席の委員は、渡邉部会長、久野部会長代理、塩野委員3名となっております。その他の委員におかれましては、オンラインで御出席いただいており、もしオンライン参加の委員より資料共有等の御希望がございましたら、Zoomの共有機能でお願いいたします。御不明な場合には事務局に御連絡願います。また、御都合により途中退席される場合には、御退席の際、Zoomのチャットにその旨お知らせいただき、適宜、御退室いただきますようお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日の資料でございますが、お手元に議事次第を用意しておりますので、御覧ください。オンライン参加の委員におかれましては、事前にメールで送付させておりますが、もし不備等がございましたら事務局まで御連絡をお願いいたします。
 資料でございますけれども、資料1といたしまして、令和4年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果について(概要)、資料2、令和4年度「障害児・者のスポーツライフ調査」の結果について(概要)、資料3、現場視察・ヒアリングについて(御報告)、資料4、目的を持った運動・スポーツ、金岡先生御説明資料、資料5、目的を持った運動・スポーツの推進について、事務局説明資料というふうになっております。また、参考資料といたしまして、参考資料1から4までとなっております。資料に不足等がございましたら、事務局までお申しくださいますようお願いいたします。
 また、本日、部会では、議題3の目的を持った運動・スポーツ実施についてでは、早稲田大学教授、金岡先生に外部有識者として御出席いただいており、目的を持った運動・スポーツの方法やその意義について、専門的知見から御説明をいただくことになっております。金岡先生におかれましては、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からの連絡は以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。それでは、議事に移りたいと思います。
 議題の1、令和4年度スポーツ実施率調査結果について、事務局より御説明をお願いいたします。
【和田健康スポーツ課長】  事務局でございます。
 それでは、資料1及び資料2に沿って御説明をさせていただきます。
 まず、令和4年度のスポーツの実施率状況等の調査結果について御説明いたします。
 スポーツ庁では、昭和54年度から、スポーツの実施状況等に関する世論調査を実施しています。令和4年度の調査結果につきましては、先週金曜日に公表させていただいております。なお、この調査の概要につきましては、本日の参考資料1にお付けしております。適宜御参照いただければと思います。
 この調査の頻度でございますけれども、昭和54年度から平成27年度までは、おおむね3年ごとに実施しております。平成28年度よりサンプル数や質問項目等の一部を見直して毎年実施しております。令和4年度、本年度はサンプル数を2万件から4万件に拡大しております。調査の対象でございますけれども、全国18歳から79歳の男女、先ほど申しましたように4万人を対象に、調査方法としてはウェブ調査、時期といたしましては令和4年12月に実施しております。本調査による20歳以上の運動・スポーツの実施率は、第3期スポーツ基本計画の数値目標のフォローアップにも使用させていただくことになっております。
 それでは、資料1を御覧ください。こちらは、令和4年度の結果の概要になっております。
 まず、1.の運動・スポーツの実施率についてでございますが、20歳以上の週1回以上の運動・スポーツの実施率は52.3%と、前年度から4.1%減少しております。また、男女別では、男性が54.4%、前年度から4.1ポイント減少、女性が50.2%、前年度から3.9%と減少となっており、引き続き、男性より女性の実施率が低いという状況になっております。年代別では、週1回以上の運動・スポーツの実施率は、全ての年代層において前年度を下回っており、特に20代から50代の働く世代で引き続き低い傾向になっております。20歳以上の年1日以上の運動・スポーツの実施率は77.5%、前年度から2.4ポイント減少しております。1日30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上実施し、1年以上継続している運動習慣者の割合は、20歳以上で27.2%になっております。これは、本年度から新しく調査項目として入れたものでございます。
 次に、2.の実施状況に関する要因でございますけれども、2つ目の○のとおり、実施頻度が減ったあるいは増やせない理由として、「仕事や家事が忙しいから」が41.0%と前年度から1.1ポイント増加し、最も多い要因となっております。「面倒くさいから」が29.4%と続いており、前年度から2.8ポイント増加になっております。
 次の○でございますけれども、「現在運動・スポーツをしておらず今後もするつもりがない」と答えた無関心層の割合は16.6%、前年度に比べまして2.7ポイント増えております。
 次の○でございますけれども、スポーツが個人や社会にもたらす効果については、ほとんどの項目で前年度を下回っており、「健康・体力の保持増進」と答えた者の割合は72.6%と、前年度から3.9%減少しております。これが最も多くなっております。続いて、「人と人との交流」、「精神的な充足感」、「リラックス、癒し、爽快感」と続いております。
 3.の今後の対応でございますけれども、スポーツ基本計画を踏まえまして、Sport in Lifeコンソーシアムの加盟団体の表彰・認定等を通じまして、特に働く世代のスポーツ実施促進に係る取組、スポーツ人口の拡大に向けた取組モデルの創出などに取り組んでいくとともに、女性のスポーツ実施促進に関する研究や、地域における健康づくりに資する運動・スポーツを推進するための研究等によりまして、スポーツの実施率の向上を目指していきたいと考えております。
 次に、障害者のスポーツ実施状況等の調査結果について御説明いたします。平成25年度から障害児・者のスポーツライフ調査を実施しており、令和4年度の調査結果につきましては、先ほどの一般の実施率と同様に、先週の金曜日に公表しております。なお、この調査の概要については、参考資料2にお付けしております。
 調査頻度でございますけれども、毎年実施しております。令和元年度までは2年ごとに実施しておりました。調査対象・方法でございますけれども、全国7歳以上の障害児・者について、本人または家族がウェブで回答するというものになっております。本年度の調査では7,093人の障害児・者についての回答を集計しております。本調査による障害者の運動・スポーツ実施率は、第3期スポーツ基本計画の数値目標のフォローアップにも使用することとしております。
 資料2を御覧ください。これが、調査結果の概要になっております。
 20歳以上の運動・スポーツの実施率は、週1回以上では30.9%、前年度から0.1ポイント減、年1回以上では54.1%、前年度から4.6ポイント減、週3回以上では16.9%、前年度から0.4ポイント増となっております。7歳から19歳のスポーツ等の実施率は、週1回以上では35.3%、前年度から6.5ポイント減、年1回以上では64.0%、前年度から9.1ポイント減、週3回以上では16.1%、前年度から2.8%減となっております。
 3つ目の○でございますけれども、20歳以上、7歳から19歳ともに、コロナ禍前の平成元年度から本年度までの経年変化を見てみますと、令和2年度は減少しましたが、令和3年度に大幅に増加しております。本年度は前年度と比べて減少しておりますが、令和元年度と比べて増加しております。
 次に、2.の運動・スポーツに関する関心、スポーツ等を行うに当たっての障壁について御説明いたします。
 スポーツ等を実施する上での障壁は、「特にない」、「十分に活動できている」を除き、「体力がない」が25.8%、「金銭的余裕がない」が13.4%、「運動・スポーツが苦手である」が11.4%、「やりたいと思うスポーツがない」が11.2%の順で続いております。
 スポーツ等を実施する上での障壁につきましては、「特にない」と回答した者の割合は32.3%と、前年度から6.1%増加しております。現在のスポーツ等への取組について、スポーツ等非実施者のうち、「特にスポーツ等に関心はない」と答えた者の割合は78.1%、前年度から4.4ポイント増加しております。スポーツ等に無関心な者の割合は、依然として高い割合を示しているという状況になります。
 次に、3.の運動・スポーツを行うきっかけ、やってよかったとやらない理由、スポーツがもたらすものについて、4つ目の○でございますけれども、運動・スポーツが何をもたらすと考えるかにつきましては、「健康、体力の保持増進」が最も多く、「精神的な充足感」、「リラックス、癒し、爽快感」と、生活の豊かさにつながる、そういった回答が上位を占めております。
 今後の対応でございますけれども、障害のある人とない人が共にスポーツをするインクルーシブなスポーツ環境の整備、障害者特有の障壁・課題の解消をはじめとした障害者のスポーツ実施環境の整備等により、スポーツ実施率の向上を目指していきたいと考えております。
 説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。ただいまの説明にありました資料1、資料2の説明にあるように、両方とも対前年度で比べると実施率は下がってます。また、資料1にありますように、今回の調査からは、サンプル数は2万から4万人に増加しました。さらに、新たな調査項目といたしましては、1日30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上実施したという割合も調査しておりました。
 さて、ただいまの説明に対しまして御意見、御質問等ございましたら、挙手するボタンを押していただき、御発言いただきたいと思います。皆さん、いかがでしょうか。
 泉委員、お願いします。
【泉委員】  ありがとうございます。泉です。御報告ありがとうございました。
 極めて厳しい調査結果が出たなと認識しております。コロナの影響という要因が全く出ておりませんが、少なくともコロナの影響で運動する方の数が相当減ったところも要因としてあるのではないかなと感じております。
 今後の対応についてです5月8日にコロナウイルス感染症の分類が2類から5類に移行するタイミングで、もう一度スポーツ実施率70%が目標として掲げられていることを全国に発信すべきではないかと思います。第2期基本計画のときと比べるとややアピールが弱いと感じております。各スポーツ団体、あるいは全国の自治体の長に向けて、実施率が下がってきている、子供たちの体力も落ちてきている、こういう実情の中で、きちっと運動しましょうというようなメッセージを、室伏長官からも発信していただけると大変ありがたいと思っています。
 障害者の実施率については、先ほど報告がありましたように、令和3年度は伸びたということですが、これはオリパラの影響も結構あったと感じております。ぜひ、何かのイベントの際でも結構ですので、もう少しこの情報を発信していただきたいと思っております。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。続いて、津下委員、お願いします。
【津下委員】  ありがとうございます。この結果については、非常に重要な結果ですので、きちんと受け止めて対策につなげていく必要があると感じました。
 まず、今回新たに加えた質問票の中で、厚生労働省でも取っている1日30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上継続している割合というのが27.2%ということでした。いつも厚生労働省の運動実施率の統計とスポーツ庁の実施率で大きな乖離があるなということを思ったんですけれども、運動の習慣化につながっている状況、定期的な実施や健康のアウトカムに影響が出るような量の運動をしているということになるとさらに厳しい結果だったというのが、この結果からも分かりました。健康のために運動を実施している人も多い状況ですので、どのような運動が望ましいかについて厚生労働省とスポーツ庁と協力して広げていく必要があると思いました。
 2点目ですが、今回の調査では居住地域とか都市規模別という情報をとっております。確かに、公共の交通網が発達したところ、自動車が使いにくいところと使いやすいところで随分様相が違うし、それから本人が、スポーツの環境があると感じているところとそうじゃないところとで、他の回答状況に差が出る可能性があるのではと思っておりますので、対策につながるような、より精緻な分析が必要かなというふうに思っています。
 また、職業についても、雇用状況なども確認しているようですので、例えば自営業とか主婦については、地域住民の対策でしょうし、それから雇用者に関しては、職域というか健保組合、労働のセクターに働きかけていくということがありますので、それぞれのセクターに分けた運動・スポーツを実施しにくい理由とかアピールポイント、そういうところの人が、何が原因で始めたのかということについてもう少し分析をしていただいて、それをスポーツ基本計画の中で対象者別の対策につなげていただくことが重要と思いました。
 3点目ですが、この調査では、本人の健康状態も聞いています。生活習慣病がある人のほうが医師とか周りに勧められて運動する場合も多くなりますので、本人の健康状態を聞く質問が入っていなかったのかなと思います。性、年代別は分かるんですけれども、本人が生活習慣病とか、何かの疾病で運動を進められている人なのか、そういうふうなことの特に健康でそういうような状況ではないのかということで、応援する中で医療関係者がどのように関われるかということも考察できるといいかなと思いました。次回の調査時には、医師等から勧められたことがあるかどうかなどの質問を入れていただくと、健康スポーツ医等へのアピール度も上がるのかなというふうに感じました。
 以上です。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。続いて、遠藤委員、お願いします。
【遠藤委員】  ありがとうございます。私からは、質問が幾つかあります。
 まず、障害者のスポーツ実施率のサンプル数ですが、前回と比較して多かったのか少なかったのかというのを事務局にお尋ねしたいです。また、7歳から19歳のスポーツ実施率がとても下がっていることが、学校の現場での教員の働き方改革とか、そういったものが影響しているのかなど、そういった背景を少し分析して知りたいなというふうに思いました。また、東京オリンピック・パラリンピックの影響で、スポーツの実施率がもうちょっと上がっているかなと思ったのですけど、思ったよりも上がっていなくてショックでした。その中でも、今までは医療関係者や理学療法士の先生方にスポーツを勧められるというのが多かったように思ったのですが、それが家族から勧められたという結果が出てきたのが、すごく前向きに捉えてもいいのかなというふうに思いました。ここに、学校の先生だったり教育現場の方がもう少し関わってスポーツを勧めてくれると、もっといいのかなと思いました。
 もう一つ、無関心層の数値があまり変わっていないというところの背景も、しっかりと考えていかなきゃいけないなと思いました。
 最後に、やりたいスポーツがないというところがあったのですけども、これだけパラスポーツの認知度が高まって、色んな情報もあふれている中で、やりたいスポーツがないということは、障害のある当事者に、どんなスポーツがやれるかという情報が届いていないということを改めて認識したので、その情報発信の仕方も考えていかなきゃいけないのかなと思いました。
 ちょっと質問と感想みたいな感じになってしまいましたが、以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 ちょっとここまでのところをまとめますと、津下委員の発言にありましたが、いろんなクロスの集計と分析というのは、もう1歩2歩進める必要があるのかなと。それをまた、対策というところにどうやって落とし込んでいくのか。
 それから泉委員からの話と、今の遠藤委員からの話も踏まえますと、やはり周知啓発広報活動というのが基本計画でもしっかり謳われていますので、プロモーションとかアウトリーチというところですね、いま一度、どうしたら効果的なものが考えられるか、実践できるかというところ、そういった課示の提案だったと思います。
 それでは、佐々木室長から、遠藤委員のサンプル数の質問についてお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【佐々木障害者スポーツ振興室長】  サンプル数につきましては、昨年の回答者総数が7,245でございますので、今年のものが全体としては7,093ですから、おおむね数字としては同じということになろうかと思います。
 あと、オリパラを契機に上がって今年度下がったということで、下がったと捉える観点からの御指摘でしたけれども、調査を分析する有識者の会議におきましても、この検討結果について分析をいただいた際、昨年の上がりについてはかなり高かったものですから、やはり継続的な観点で見るという意味では、コロナ禍以前から、オリパラを契機にどれぐらいに現状上がっているのかというのを見たほうがいいのではないかという御意見が多くて、現状からすると、そういう意味では、増加傾向を維持できているのではないかという御意見が多かったという状況でございます。
 あと、家族の働きかけというところにつきましては、これはまさに今回の分析の中での、家族の勧めでスポーツをするようになっているという方が多くなっているということについては、前向きに捉えているところでございます。
 あと、19歳以下のところが減少しているところにつきましては、恐らくいろいろな事情があろうかと思います。コロナ禍、そしてオリパラ、いろいろな契機を経ているわけですけど、特に19歳以下のところが減少したというところについての理由は、複合的でなかなか完全に分析することは難しいと思うんですが、他方、まさにその後の無関心層につながってしまっているという意味では、早いうちからスポーツに関心を持っていただくということが重要かと考えておりまして、当室の事業におきましても、来年度の事業につきましては、まさに特別支援学校等での学齢期のスポーツへの誘因といいますか、スポーツ活動の充実というところに特に焦点を当てて取組を進めていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 続いて、久野委員、お願いします。
【久野部会長代理】  ありがとうございます。
 すいません、事務局への御質問ですが、今回、倍近くn数が増えたということで、非常に精力的にいいなと思ってお聞きしていたのですが、、参考資料の1を見ると、分布に関して、年代に関しては前回と同様になるように調査をしたというふうに読み取れるんですけど、先ほど津下委員がおっしゃったことにつながるのですが、都市規模とか居住地域に関しては、昨年度までとほぼ割合は一緒でしょうか。そこも揃えているデータという理解で良いのでしょうか。
【小番健康スポーツ課課長補佐】  サンプル数は増えていますけども、これまでどおり全国の人口割合の分布に合わせて取っているという形になります。
【久野部会長代理】  都市規模居住地域に合わせてやる。
【小番健康スポーツ課課長補佐】  調整は都市ではなく都道府県単位までです。
【久野部会長代理】  都道府県で合わせてやるという、なかなか難しいのかもしれないのですが、結構居住地域の影響がスポーツ実施といったものにかなり影響することが分かっているので、もしかすると今回の結果に若干影響があるのかなというところは、精査をしていただく必要があるのかなという心配と、比較して継続的に見ていく場合には、非常にそこが議論になるかもしれないと思いました。ただ、全体はそれはそれとして、先ほどから皆様からありましたように、どの地域が低いとか、年代別のはこれまでよく見ていますが、この分け方でも良いのですが、都市の大きさや環境での分け方も1回見ておくと次の打ち手が見えるような気がしましたので、先ほど津下委員がおっしゃったような視点というは非常に大事かなと感じました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。それでは、斎藤委員、お願いします。
【斎藤委員】  私どもはスポーツクラブ等を運営している団体ですから、一般の人よりはスポーツについて積極的な人たちです。実は先週、スポーツ・健康産業推進議員連盟、元オリパラ大臣の遠藤先生はじめ数人の議員の方、それからスポーツ庁からも皆さんいらっしゃって、経産省、厚労省より報告があったのですが、いわゆるスポーツクラブへの参加者は、コロナ前に比べて、大体70%くらいでした。最近はそれから80数%まで回復し、クラブによって結構玉虫色ですが、コロナが始まってすぐのときよりは落ち着いてきました。
 総合スポーツクラブの上位10社のデータが発表されていましたが、業績をオープンにしたのは上場している4社であり、約半分のスポーツクラブが経営的には赤字で厳しいという状況になっています。ただ、これはフィットネスクラブのことですが、逆にコロナという現象に対して、ゴルフ事業は、むしろコロナ以前よりもいい状況だそうです。外で運動しようということで、いわゆるインドアからアウトドアに移っている。テニスも、アウトドアのほうは状況はいいということなので、必ずしも先ほど述べたパーセンテージが、スポーツをやめたということではなくて、オンラインで自宅でやっている人もいる。いろいろそういうデータまで全部取れてはいないんですが、ただ、そんな状況で、お互いに会社同士といいますか、業態同士で助け合っていこうというようなことをやっています。
 それから、議員の方から意見が出たのは、スポーツとは言えないんですが、運動したほうがいいという介護施設のケースなど、ここで運動できるようなことを考えてくれないかというような要望も出ています。事例としては少ないですが、介護施設に対してオンラインでの運動を提供するなど、いろいろ努力しているケースはありますが、なかなか介護施設に外部の人が入っていけないという現実がありますので、身体的に弱い方々がさらに弱くなっているという状況はあると思われます。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 北出委員、お願いします。
【北出委員】  ありがとうございます。この調査を詳細に提示していただきありがとうございました。
 びっくりしたのは、スポーツ等に関心がないといった方が8割ぐらいいらっしゃると思うのですけど、関心率が軒並み増えているのは、やはりオリパラの影響がすごくあると思います。先日のWBCを見ていても、やはりみんな一体となって感動を受けたと思いますが、そこから「するスポーツ」に十分に繋がっていないのかなという気がしています。私も泉委員や遠藤委員のおっしゃるように、広報がすごく重要だと思うのですけど、スポーツ庁のホームページはもちろんですけれども、SNSや雑誌、テレビ等で、アニメや動画も使って分かりやすくする。例えば、体力がなくてもできるし、お金や時間や運動神経がなくてもできるような、こんなスポーツがありますよ、というような簡単なものを提示したり今まで本当にホームページも読む時間もなくて忙殺されているような人たちが、ぱっと何かのついでに動画が目に入ってきて興味を持てるような、そういうような広報をしたりといった取り組みがあればいいのかなと思います。
 本当に、この委員会で私自身もすごく勉強になっていますし、今までも、かなりいろんなデータも出されて案も出されたと思うのですけども、あとは、アウトソーシングも含めて考えると、また全然違ってくるのかなというふうに思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。それでは、塩野委員、宮脇委員、そこで一旦この議題は終了したいと思います。塩野委員、お願いします。
【塩野委員】  まずは、スポーツ実施率調査については、先ほど泉委員からありましたけれども、実施率の低いことは非常に重大な問題だなと思います。先ほどおっしゃったように、ここで今回コロナを全く理由というか言い訳にしない理由があるのかなというのは、お聞きしてみたいなという質問が1つです。
 それからもう一つは、前から、無関心層は一体どうしたらいいのかというのは全然私も分からないでいるのですが、私自身、スポーツは楽しさとか充足感とか爽快感とかということでいうと、恐らく自分自身はやっていないととても耐えられないぐらいの人なので、正直分からないというところがあって、もう少し無関心層のいったところに対するヒアリングのようなことをしてもいいのかなというふうに思っておるところです。
 あと一つだけ、もう皆さんが今持ち歩いているスマホに歩数計がついていて、人によって、もちろんスマホを持っているか持っていないかは別ですけれども、この調査の瞬間に、年間で平均何歩歩いたかみたいなことを聞いてみると、何かとのクロス集計の中で使えるのではないかなと。現場ですぐ見られるような話なので、少し項目として考えてみてもいい、補助の項目と考えてみてもいいのかなというふうに思った次第です。
 以上です。
【渡邉部会長】  宮脇委員、お願いします。
【宮脇委員】  ありがとうございます。今後の対応について、地方公共団体の取組への支援ということを掲げていただき、ありがとうございます。
 私の町でも、今どこの自治体でも健康寿命の延伸ということを大きな課題として捉えており、それを考えるときにスポーツをするということが大切な手法だと考えております。そのような観点から、歩くことによる健康づくりや、あるいは筋トレによるフレイル防止策などを講じております。その前提として、1つには、町民総スポーツのような町全体でスポーツをする体制をつくりたいということで、その行政機関あるいは団体、それからスポーツ団体等の方を委員とする「みんなが元気推進会議」を設置しました。町民総スポーツの議論にスポーツ団体の人にも参加していただいているのは、放課後の部活動の地域移行というようお話もあり、その辺りで、多少受皿づくりもしっかりやりたいという思いであり、取り組んでおります。ただ、行うには、デジタル田園都市国家構想の地方創生の枠を使って国の御承認を得ながら行っているという実態があります。このような取り組みは大抵の市町村で行われていると思うので、例えばガイドラインを通じた事例紹介や、あるいはスポーツ環境整備のための財政支援、ノウハウを持った人材確保、これらについて補助金や交付金なりのメニュー化をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 和田課長から、塩野委員への御説明があればお願いします。
【和田健康スポーツ課長】  今回は、昨年度と比較しつつ報告しておりますが、もう少し長いスパンで見てみますと、20歳以上の週1回以上の運動・スポーツの実施率については、令和2年度の59.9%がピークになっています。コロナ禍に入った年がピークで、その後、令和3年度は56.4%、令和4年度は52.3%というふうに減少しています。令和元年度は53.6%となっていますので、一般の成人、20歳以上の実施率については、コロナ禍の最初の年にピークを迎えて、その後、減少して、令和元年度と同じくらいに下がったと、そういった傾向にあります。
 コロナ禍が何らかの影響をこの実施率に与えているかと思われますが、様々な要因が考えられ、断定までは至っておりません。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。津下委員から話があったように、厚労省等の調査結果も多分ありますので、そういうのと照らし合わせてみると、また見え方が違ってくる可能性もありますね。ありがとうございました。
【和田健康スポーツ課長】  ありがとうございます。
【渡邉部会長】  恐れ入ります、皆さん、御発言される方につきましては、議題が終わった最後のところで、また時間を設けたいと思いますので、御容赦いただきたいと思います。
 続きまして、議題の2、現場視察・ヒアリングについて御報告いたします。
 前回は、鳥取県の湯梨浜町、東京都狛江市、電設工業健康保険組合の実施報告がありましたが、今回は神戸商工会議所、バンドー化学、アシックスの3件について御報告いただきます。
 今回御推薦いただきました塩野委員及び視察された松永委員におかれましては、感想などを含めて御発言を後ほどお願いしたいと思います。また、他の委員からも御質問、御意見などありましたら、ぜひ御発言いただきたいと思います。
 まずは、事務局より御説明をお願いいたします。
【和田健康スポーツ課長】  御説明させていただきます。前回に引き続きまして、ガイドブックの策定に当たりまして、現場視察・ヒアリングを行うため、委員の御協力を賜り、現在視察を進めているところでございます。本日も実際に御視察いただきました委員に所見をいただきたいと思います。
 資料3を御覧ください。今回は、働く世代、子育て世代を対象とした取組として、先ほど部会長から御紹介がありました神戸商工会議所、バンドー化学、アシックスに視察・ヒアリングをさせていただきました。
 1ページめくっていただきまして、視察先の基本情報について、この3団体のものをお付けしております。御参考にしていただければと思います。
 さらに1ページめくっていただきまして、神戸商工会議所、バンドー化学株式会社の視察概要について説明いたします。
 日時は2月17日(金)、視察委員は先ほど説明のあったとおりでございます。
 視察内容につきましては、神戸商工会議所では神戸スポーツ産業懇話会を設立しており、この懇話会におけるスポーツを通じた健康増進や健康経営の取組を視察させていただきました。具体的な取組といたしましては、1つ目にありますように、懇話会を設立して、スポーツ産業の規模の拡大、スポーツシティーとしての知名度の向上を目標に掲げて、意見交換や交流を実施していること、会議所会員のバンドー化学におきましては、従業員自ら自身の健康について考え、「わくわく」行動できる仕組みづくり、会社・従業員・健康組合が「がっちり」一緒に考える健康経営の推進に取り組んでいることです。
 視察のポイントでございますけれども、神戸商工会議所につきましては、企業がスポーツと「健康経営」を掛け合わせて考えるような取組を実施していること、企業単位での健康マインドの向上に大きく貢献していることになります。バンドー化学につきましては、健康経営において、一人ひとりの心身の健康が企業経営の基盤として、強化を宣言して、コロナ禍での健康管理の強化としてオンライン化や従業員の高齢化のへ対策見直しの取組になります。そういったことに着目して視察・ヒアリングをさせていただいております。
 続きまして、株式会社アシックスでございます。同日、神戸商工会議所、バンドー化学のヒアリング後に、アシックスに赴き、視察・ヒアリングを実施しております。
 視察内容は、従業員のスポーツを通じた健康増進の取組等で、取組概要につきましては、スポーツを通じて人々の健康をサポートし、価値ある製品・サービスの提供を目指す企業として、社内外を巻き込んで、スポーツを通じた健康・快適な社会を実現につながる取組を推進していることです。また、スポーツエールカンパニーのブロンズプラス認定を受けており、継続して認定を受けていただいている企業になっております。
 視察のポイントでございますけれども、従業員のスポーツ推進の様々な取組に着目して視察しております。具体的には、ランニングアプリ活用によるオンライン駅伝大会の開催、企業向けの健康増進プログラムを活用した体力測定会の実施、健康経営の取組としてASICS Well-Being活動、従業員を対象とした各種運動イベントの開催、地域のスポーツイベントの参加などです。そういったことをポイントに視察・ヒアリングを実施させていただいております。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。では、今回、神戸商工会議所を御推薦いただきました塩野委員より、所見をまずお願いしたいと思います。
【塩野委員】  神戸商工会議所では、商工会議所を中心にして、この神戸スポーツ産業懇話会ということで、現時点で96社くらいが関わっています。例えば企業交流運動会を企画すると、この運動会自体で何をやるのかをかなり参加企業の方々が自発的にいろいろ工夫されて、楽しめるような取組にしてみたり、また、今度は自転車の競技について、オンラインでの競技をやった上で実際の現場に行くようなこと等のスポーツツーリズムにつなげるようなことを考えられたりと、非常にこんなことができたらいいなという取組がうまくできております。これには地域柄であったり、アシックスという企業もいらっしゃるので、大変強いリーダーシップがあってできていることではあるのですけれども、ほかの地域でも似た活動ができるのではないかなということで推薦をさせていただきました。まさに、自発的にという辺りが非常にすばらしいなと思って見てきたということでございます。
バンドー化学につきましては、もう20年以上前から、会社として健康増進の取組ということを進められているので、社員一人一人が健康チェックをすることが当たり前の文化として根づいていて、ほかではやっていないんですかという気持ちになるくらいの、うまい浸透のさせ方というのが、これもほかの見本となるようなものとしてガイドブックに載せられるのではないかなと思っておるところでございます。
 アシックスについては、もう皆さん御承知のとおりで、恐らくは社員の方々、皆さんスポーツに非常に関心の高い方々だろうと推測をする中で、スポーツ実施率が、何とか70%みたいなところなので、我々が掲げている目標の高さというのをちょっと思い知ったところもあるのですけれども、様々な取組、アプリ等も使っていろんな取組をされていて、オンラインの駅伝大会をやってみたり、様々なことをされています。
 そういった中で、特に、私であったり部会長から、やはり生活の中での身体運動の測定というのを、いろいろウエアラブルを使いながらやっていらっしゃるところがあるんですけれども、そこをできる限り深めてほしいということをお願いしてきました。
 簡単ですけれども、以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。それでは、同行いただきました松永委員、お願いいたします。
【松永委員】  龍谷大学の松永です。ありがとうございます。
 まず、神戸商工会議所の懇話会ですが、スポーツ産業関係の委員会等を設置しているところは他にもあると思いますが、このような形で、商工会議所さんがプラットフォームとなって、企業と大学が1しっかりタッグを組み、成果を挙げている点については、非常に参考になる事例ではないかなと思いました。
 現在、スポーツ庁や大学スポーツ協会(UNIVAS)においても、大学が地域貢献、社会貢献等の様々な取組や仕組みづくりを支援していることも含めて、大学を巻き込むという点も非常に参考になる事例だと感じました。
 また、柱の一つの健康経営の支援のところで、各企業だけで実施するよりは、地域の中で複数の企業が束になって、お互いに一緒に実施することで、エネルギーあるいはマンパワー、費用等も軽減できると思います。あと、そこの地域の横のネットワークというところもつながっていくというところが、ほかの柱になっているスポーツツーリズムあるいはビジネスマッチングという3つの柱のところにも相乗効果があるように感じました。
 次にバンドー化学さんですが、先ほど塩野委員からもありましたけれども、比較的喫煙率が高くて、健康状態があまりよくない方の割合が高いというところが、社内でも共通の認識になっていて、もう20年以上前から社員一人ひとり
がそういった健康について意識を高めるということが文化として根づいているというところが非常に大きいようでした。あと、保健師さんや担当部署だけではなくて、各事業所で有志がリーダーになって、健康について推進していくということが当たり前になっているので、そのような文化が根づいているという背景や仕組み作りも参考になると思いました。
 さらに、アシックスさんについても先ほどお話がありましたが、用品用具のメーカーというイメージが強いと思うのですが、アシックス工学研究所などをはじめ想像以上にICTを活用した取組を展開されていました。冒頭のスポーツ実施率の報告で話題になった若い世代などが、身近なスマホやアプリで簡単に楽しみながらスポーツに参加できそうな取組をされていましたので、各企業の健康経営にも導入できるのではないかなと思いました。
 一方で、バンドー化学さんは、アシックスさんのICT関連の取組は導入していなという状況も分かりました。このことから、若い世代には身近なのですが、ある程度の世代年齢以上になると、やはりアプリと言われても難しいというハードルもあるかもしれません。度々この会議でも話題になっていますが、ICTリテラシーの課題をどう解決していくのかというところも併せて必要だと思いました。
 最後に、これは私の個人的な見解ですが、この会議に参加して、北出委員あるいは久野委員からも指摘されている妊産婦や産後の育休取得対象の方々に、今回のアシックスさんの様々な健康アプリあるいはオンラインで楽しみながら参加できる運動・スポーツの仕組みについては、活用できるのではないかということを強く感じました。
 総務部や人事部は、当然、産休・育休に入ることが分かっているわけですから、そのお休みに入る時にこういったアプリを活用して、お休みの間にも健康について社内でサポートができるというような新たな展開については可能性があるということを強く感じました。
 以上です。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 私も同行させていただきましたので、手短にお話し申し上げます。
 まず、神戸スポーツ産業懇話会については、やはり神戸という土地柄、この特性がうまく現れている印象。具体的には、歴史や文化、コミュニティーなど、そういったものが、そのプラットフォームの形成と利活用というところに生きているのではないかなというふうに思いました。
 この懇話会がうまく機能しているのは、3つ理由があると思うんですが、1つは、ミッションが明確だということです。細かな話は報告書に譲りますが、ミッションがすごく明確になっています。それから2つ目はリーダーシップです。産学連携の機能体ですけども、産業界はアシックスの尾山会長、学のほうは神戸大学名誉教授の山口泰雄先生、この2人のリーダーシップが非常に大きいというふうに感じます。それから3つ目は、加盟企業と従業員が主体性を持ってこの事業の取組に関わっている。与えられたものをやるというわけではなくて、それぞれが課題を自分事化し主体的に関わる、これが成功の秘訣かなというふうに思います。
 バンドー化学とアシックスにつきましては、今二人の委員からお話ございましたので、そこに譲りたいと思います。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問、もしくは御意見等ございましたらよろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 特にないようでしたら、次の議題に移らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 続きまして、議題の3、目的を持った運動・スポーツについてに移りたいと思います。前回、前々回と、長官自ら御説明いただきましたけれども、この議題については、今回をもって一旦収束させていきたいというふうに思います。
 まずは、ゲストスピーカーといたしまして、早稲田大学、金岡先生に御来会いただきました。金岡先生のほうから、金岡先生の資料に基づいた御説明をまずいただきたいと思います。その後、スポーツ庁のほうからの御説明に移りたいと思います。
 まずは、金岡先生、よろしくお願いいたします。
【金岡早稲田大学教授】  どうも皆さん、こんにちは。このような会議に、このような発表の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 今日は、目的を持った運動・スポーツというタイトルの中で、特に運動器障害とモーターコントロールエクササイズということを中心に話をさせていただきたいと思います。
 よく競技パフォーマンスの要素としては、心技体、これが重要であると言われるかと思います。心の要素としてはメンタルとか、いわゆるマインドフルネスというような心の持ち方というようなことが言われています。技としては体の使い方、使い方というのは恐らく筋肉をどのようにうまく協調させて働かせるか、そのようなことを最近ではモーターコントロールというような言い方でも表現しております。体力、体としては、最も一般的な筋力、あるいは関節の可動性、柔軟性、それと持久力、有酸素能力、そのようなものの要素が分けられるかと思います。
 ちょっと軽い感じになってしまいますけども、競技パフォーマンスという言葉が、一般の人間についても当てはまるのではないかと。人間は皆、寿命が尽きるまで二足歩行ができるかどうか、それが結構健康寿命延長という点で重要な要素になってくるのかと思うんですけども、それを最後まで争う、ある意味アスリートなのではないかということで、最近ではライフパフォーマンスという言葉をよく聞くようになっています。競技パフォーマンスに合わせて、最後まで二足歩行をできるようになるかどうか、それだけじゃありませんけども、ライフパフォーマンスという言葉で人間の機能について語られることが多いです。
 そういう点でいうと、競技パフォーマンスという要素はライフパフォーマンスの要素に通ずるものがあるだろうと。もし、それらの機能が低下した場合にどのような兆候が出てくるか。心の部分が低下した場合には鬱になっていくでしょうし、体力要素としての筋力が低下した状態がサルコペニア、柔軟性や持久力が低下していく、柔軟性が低下してというのは、いろんな体の動かし方が不自由になってくるというようなことは起きるかと思います。持久力が低下する、有酸素能力が低下する、そのようなことは、循環器系、呼吸器系の機能低下、それが代謝系の機能低下にもつながってメタボリック症候群という状況になっていく。それが、ひいてはロコモやフレイルというふうな形になっていくんじゃないかと思います。
 この技術的なこと、筋の協調性やモーターコントロールが低下したらどのような問題が起きるか。それは、恐らく運動器障害、腰痛や肩こりを代表するような症状につながっていくのではないかと思われます。
 これらの要素一つ一つをチェックする方法として、いろんな方法が用いられます。スポーツの世界ではメディカルチェックという形で、年に一度、これらの項目、計測して評価します。一般の人にとっては、健康診断というふうな形で評価が行われます。もしその機能が低下している場合には、何らかの介入をしていい状態に保とうと、そういうふうなコンディショニングが行われることになるかと思います。
 その評価の方法として、メンタルの部分は、競技スポーツ選手に対してはPOMSというふうな評価方法があります。アンケートによるものなんですけども、それらに対する介入としてはメンタルトレーニングという形でいろいろと行われています。筋力は、いわゆるニュートン、筋肉の力の量を計測して、それが足りない場合には筋力トレーニングを行う。柔軟性の場合には可動域という形で数値で評価されて、それを拡大するためにはストレッチが行われる。持久力、有酸素運動能力、VO2maxが低下している、そのような人に対しては有酸素運動が推奨されるというふうなことになるかと思います。
 技の問題で、モーターコントロール、筋協調性、これらをよくするような介入としては、運動学習という言い方や、あるいはモーターコントロールエクササイズと呼ばれる、後でもちょっと言いますけども、腰痛に対する運動療法などがあります。ですけども、この技の部分を評価する方法というのが、今まであまりありませんでした。つまり、筋肉がうまく使えているのかどうか、それを評価するというのは非常に難しくて、見た目でちょっとうまくいってないね、じゃ、こうしましょうという形で、人からアドバイスがあったりはしますけども、きちんと定量的に評価する方法はありませんでした。ちなみに、この技の部分は、メンタルの部分、心の部分とより密接につながっていて、メンタルが何らかの問題を起こすと、この技術的な面が低下するというふうなことで、競技スポーツ選手は、様々な試練が与えられるというふうなことになるかと思います。
 このモーターコントロール、筋肉の協調性、それを評価する方法として、今、我々の研究室でもいろんなことをやっております。そのことを、今日は主に紹介させていただきたいと思います。
 これは左側、バタフライを泳いでいるときに筋肉がどのように活動しているのかというのを、右側の筋電計で計測しています。体に様々な筋肉があって、それらに筋電計をつけて、どの筋肉がどのタイミングで働いているのか、そういうふうなのを見た結果になります。この右側のグラフ見ていて、実際にどういう動作が行われているのかというのを推察するのはかなり難しいかと思います。下の筋電計波形、このようなデータが得られますけども、それを活動のタイミングと重み付けケースに分けて解析する方法がシナジー解析と呼ばれる方法で、最近、いろいろと用いられるようになってきています。
 ちょっと分かりにくいですけども、協同収縮をする筋肉のグループ分けをして、その筋肉がどのタイミングで働いているのかというのを解析する方法になります。筋肉がこのように5つあるとして、mの1番がこのように最初に働いて後に働く、mの5番も、最初に働いて後に働く。この2つの筋肉は、この最初の段階で同じような活動、協同収縮をしていると。つまり、緑で見られる部分は動きの始めに活動して、その働いた筋肉としては、このmの1とmの5が要素としては大きいよというふうな形で解析を行います。
 ある意味、このような解析というのはオーケストラに似ているというふうに言われます。この右側の音符、これを見ても何が何だか普通は分かりませんけども、どの楽器をどのグループにして、どのグループをどの瞬間に音を出させるか、そういうふうなことが指揮者は指示していると。つまり、一人一人の演奏者に指揮者がいちいち指示するというわけではなくて、グループ分けして、そのグループがどの瞬間に音を出すか、そのような形で美しいオーケストラが、美しい音楽が奏でられます。体の中にあるたくさんの筋肉も、脳によって一つ一つ、どの瞬間に働けというふうなことを指示する、それだけのキャパシティーは脳にはないと言われていて、実際には、先ほど言ったような、どこかの筋肉とどこかの筋肉が同時にこの瞬間に働きましょうというふうな形で、脳からの指示によって洗練された動作ができるようになっています。
 ちょっとこの辺が分かりにくいところなんですけども、先ほどお示ししたバタフライをしているときの筋肉の働き、それをこのシナジー解析を行って解析しました。その中で見えてきた1つの結果として、バタフライを泳ぐときには、手が入った瞬間に腹筋が同時に入っているというような結果が得られています。この入水したとき、このときに山が高くなっていますけども、この高くなっている山をつくっている要素としては、このIO、EO、RAというのが腹筋群なんですけども、その腹筋が入っている。それと同時に、上腕二頭筋や大胸筋、それらの筋肉が一緒に働いています。つまり、バタフライを正しく泳ぐためには、このような筋肉の使い方をしなければ泳げないということになります。
 このような筋肉の使い方がどういう意味を持っているかということなんですけど、手を入水して水を下にかいたとき、あと足が水を蹴ったとき、そのときに腹筋がちゃんと働いていると体が真っすぐに保てる、いい姿勢が取れる、そのようなことが結果として得られているんだろうと思います。もしもこのときに腹筋がきれいに入らない、ここで筋の協調性が乱れている、モーターコントロールが低下している、そういうふうなことになると、腰椎が不安定になって腰痛を起こしたり、あるいは抵抗が増えますのでパフォーマンスも低下してしまいます。腰に反るような負荷が加わり続けると、腰椎分離症という疲労骨折を招くことが多いというふうに考えられます。
 このような、上肢と体幹が同時に収縮するような筋肉の使い方を学ぶためのエクササイズとしてどのようなものがあるかということなんですけど、競泳選手が結構やっている、このスリングエクササイズというのがあります。体を前に倒していって、体が真っすぐな状態をキープできるような、このときに上肢と体幹の筋の協調性がなければできません。逆に言うと、これをやることによってその協調性が養われるということになるかと思います。同じような動作として、恐らく雑巾がけとか、あとアブローラーというのがありますけども、そのようなエクササイズの中では、上肢と体幹が同時に働いているというふうになって、それは自然にモーターコントロールエクササイズというふうになるのかと思います。雑巾がけ、昔やったのではないかと思いますけども、そのような効果があるんだろうと思います。
 競泳選手、バタフライ選手、これは一流のバタフライ選手なんですけども、レースの直前にこのようなエクササイズをしていました。つまり、上肢と体感が同時に収縮しなければできないような動作をやらせていると。これは、恐らく演奏会の直前に指揮者が音合わせをしますけども、それと同じように、レースでバタフライを泳ぐときに、この協調性がうまく発揮できるように、試合前にチューニングをしているというようなイメージかと思います。ある意味、トレーナーはこのような体の筋肉のバランスをうまく使わせるようなオーケストラの指揮者といってもいいのかと思います。
 続いて、腰痛症例に対して行った介入なんですけども、これは11歳の水泳の選手で、腰痛が起きて、それによって練習ができないというふうな選手でした。レントゲン所見なんですけども、これ、第5腰椎の分離症が起きています。ここの骨が分離しています。通常、このように後ろの骨はつながっているんですけども、ここからここにつながる部分で分離していると。それは疲労骨折の結果こうなってしまって、それに伴って、この5番目の骨が下の骨よりも前にずれています。これは腰椎すべり症というんですけども、かなり整形外科的疾患の中では進んでしまった状態になってしまっています。
 この選手に対して、先ほどの上肢と体幹の協調性を見るような形で、このエクササイズをやらせてみました。そうしたところ、非常に不安定でよたよたして、1回もうまくできないというような状況でした。つまり、上肢と体幹がうまく一緒に働くような筋肉の使い方が、この子の脳の中にはできていないということになります。これを自宅で毎日お父さんと一緒に練習してみましょうといって練習してもらったところ、1か月後には、このように上手にできています。
 つまり、筋力を高めるとか、柔軟で関節の可動域を高めるとか、そのような介入というのは時間かかりますけども、こういう筋肉の使い方はうまくできるようになればすぐに身につくと。特に若い人では、いわゆるゴールデンエイジという子供たちにとっては、ちょっと教えればすぐできるということが多いです。
 この子に対してこのような介入を行ってできるようになったところ、1か月で腰痛がかなり軽減して、それと同時に200メートルの個人メドレーでベストタイムが出ているというような結果が得られています。練習に復帰して、今かなり量が増えてきて、そうなってくると、やはり持久力の問題でまた腰椎に負担がかかって痛みが出たりということで、まだ今でもちょっと通院は続けているんですけども、1か月でこのような変化が見ることができました。
 つまり、今の介入によって、介入前は上肢・体幹のモーターコントロールがうまくいっていなくて腰椎に負荷が加わっていたものに対して、そのモーターコントロールのエクササイズを介入することによって体幹の安定性が高まって、それによって腰痛が減って、同時に競技力も高まったのではないかと推測しています。
 私は日本水泳連盟の医事委員長をしばらく務めて、泉専務に大変お世話になったんですけども、水泳選手、意外と腰痛が多くて、2008年の段階で、腰痛者が多いので、それを減らすために何らかの介入をしようということで、腰痛予防プロジェクトという形で、先ほどお示ししたような様々なモーターコントロールエクササイズを、今までもやっている選手はいましたけども、より重点的に選手に行うようにしました。そうしたところ、それを行う前と後とで比較すると、腰痛者が有意に減ったというふうな結果が得られております。また、競技力についてですけども、水泳、北京オリンピック、ロンドンオリンピック、それなりにメダルが取れて、競技力にも何らかのいい影響があったんじゃないかというふうには考えております。
 運動器障害の中で一般的な慢性腰痛なんですけども、この慢性疼痛に対する診療ガイドラインというのが出されていますけども、推奨される対処方法として、ここには薬や心理的なアプローチよりも運動療法が最も推奨されるというふうに言われています。その方法として、モーターコントロールエクササイズも挙げられています。もちろん一般的な運動療法、有酸素運動も必要ですし、何らかの筋トレも必要ですけども、それに加えて、体の使い方を改善するようなモーターコントロールエクササイズ、これも非常に重要であろうというふうに報告されています。
 これは室伏長官からお借りしたスライドなんですけども、長官がおっしゃるように、筋・骨格系、運動器系、あるいは神経系、モーターコントロール系、循環器、呼吸器、代謝系、それらのいわゆる体力系、あとメンタル、これらに対してそれぞれの介入方法があると思われますので、これらは、その人それぞれに何が足りないのかを評価して、それを補うような介入を行う、そのようなことがスポーツ、運動の効果を高めるために有効なのではないかと思います。
 これは最後のスライドになるんですけども、縦にパフォーマンスを取って、これはもちろん競技パフォーマンス、ライフパフォーマンス、両方含んだパフォーマンス向上に対して、身体機能、先ほど言った筋力や可動性や協調性、持久力、それに加えて心理、先ほど言った心技体のいろんな要素、それを高めることによってパフォーマンスは高まっていくと。この赤線は要介護のライン、緑が日常生活が普通に送れるライン、黄色のラインは競技レベルのライン、それぞれの人の立ち位置によって、もし日常生活に不自由があればリハビリテーションが必要ですし、この辺りの人はエクササイズと呼ばれる何らかの運動介入が、パフォーマンスを高めることに有効だと考えられますし、アスリートにとってはトレーニングを行うことで競技力が高まっていくというふうに考えられますので、これらの機能を高めて、それによって健康寿命を延ばしてライフパフォーマンスを高めていく、そのようなことが、これからの日本の社会で、より求められるのではないかと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。
【渡邉部会長】  金岡先生、どうもありがとうございました。私も実は椎間板ヘルニアというのを30代のときに診断されて、今年還暦を迎えるんですが、まだまだ先生のお話を聞いたので、頑張ってやりたいと思っております。
 続きまして、事務局よりお話を伺いたいと思います。そして、その後に、ただいまの説明と併せて、質問、御意見を受け付けたいと思います。
 それでは、和田課長のほうから、よろしくお願いします。
【和田健康スポーツ課長】  事務局から、資料5に沿って説明をさせていただきたいと思いますが、その前に、参考資料4に前回の部会における主なご意見をお付けしておりますので、簡単に触れてから資料5の説明に入りたいと思います。
 前回の部会では、議題3として、目的を持った運動・スポーツの実施について御議論いただきましたけれども、いただいた主に御意見でございます。
 まず、1つ目の○でございますけれども、総合型地域スポーツクラブが、地域と連携してどのように進めていくか考えて取り組んでいきたいという御意見をいただきました。
 次の○でございますけれども、実施率向上という量的のみならず、質的もという方向性の議論になってきていると感じる。目的別運動の種類、連帯感などに目を配りながら、図などでロジックを示すとよいのではないかという御意見をいただいていました。
 次の○でございますけれども、どこに行けば、どのような方が目的に応じた運動ができるのか、どのような運動から始めてよいのか、段階的に進めなければならない。運動の楽しさにハマって幸せにつながることもある。目的が変わってきて、上位の目標に変わっていくこともあるのではないかという御意見をいただいていました。
 次の○でございますけれども、スポーツ医科学として当然行くべき方向性であり、例えば無関心層対策や、自然と歩かせるようなまちづくりなど、考える必要がある。自治体で実際に携わる担当者が混乱しないよう、政策的には組合せをどうするか、担当者にどのように理解してもらうかに課題がある。具体的なやり方と政策的広げ方の検討が必要という御意見をいただきました。
 次の○でございますけれども、例えば、障害者スポーツではリハビリが大事だったが、勝つことで楽しさを感じる上位目標があるからこそである。自己新記録を出していくような動機付けは効果的で、今自分がどのような段階にあるかを示すことも重要という御意見をいただきました。
 最後の○でございますけれども、健康づくりの3条件の中で、休養、栄養の必要性も発信していく必要があるという御意見をいただきました。
 続きまして、資料5に基づいて説明させていただきたいと思います。
 資料5でございますけれども、3つの資料から成っていまして、1ページめくっていただきまして、目的を持った運動・スポーツの推進について(案)ということで、取りまとめの案として事務局からお示しさせていただいたものでございます。
 何ページかめくっていただきますと、ロジックモデルのような図で示すと分かりやすいのではという御意見を前回の部会でいただいておりますので、事務局でたたき台として用意したものを最後から2枚目にお付けしております。最後のページでは、今後、特に国でどういうふうな方策をやっていくか、この時期に何をやるかということをイメージしたロードマップをお付けしております。
 次に、目的を持った運動・スポーツの推進について(案)ということで、取りまとめの案でございますが、まず、この構成でございますけど、はじめにがあって、その後に、趣旨、現状、課題があって、そういった現状や課題を踏まえた実施推進のための方策について、国の役割と関係機関に求められることというふうに整理をさせていただいておりまして、最後は参考資料になっております。
 まず、はじめにでございますけれども、基本的には、前回部会でお示した事務局資料に肉づけするとともに、長官のプレゼン資料に入っている要素も十分に入れたものになっております。
 上から3つの○でございますけど、ここはスポーツの捉え方について書かせていただいているもので、1つ目と3つ目の○の黒字の部分は、スポーツ基本法におけるスポーツの捉え方をほぼそのまま持ってきております。それに加えまして、事務局で検討させていただいた結果、スポーツ庁が進める施策という観点から、1つ目の○に「体を動かすことは人間の本源的な欲求に応えるとともに」を追記しております。2つ目の○でございますけれども、スポーツ庁で調査研究などを進めているコンディショニングも非常に重要な要素でございますので、「スポーツは、それを支える土台としての身体機能調整(コンディショニング)方法や、その調整方法としての多様な目的を持った運動(エクササイズ)とともに、人間の潜在的な身体能力を開拓するものである」を追記させていただいております。また、このページの下から2つ目の○にも、「人間の本源的な欲求」、「潜在的能力の開拓」を追記させていただいています。
 次のページに行きまして、趣旨でございますけれども、前回の議論、再度事務局で検討させていただいた結果を踏まえまして、最初のところで、目的を持った運動・スポーツとはどういったものかということを書かせていただいていまして、具体的に読み上げさせていただきますと、「個人のライフスタイルや健康状況等に応じて、身体機能への効果等や影響に着目して行う運動・スポーツのこと」であります。ここの部分は前回と同じですが、趣旨のところでしっかりと入れさせていただいた上で、更に「維持・強化が必要な機能に焦点を当て、目的を持って行うことで、その機能に多様な変化を与えることができる」を追記しております。これは、この取りまとめ案の副題にも書かせていただいております「目的を定め、心身に多様な変化を与える」といった趣旨をここに入れさせていただいたものです。先ほどの「本源的な欲求」についても入れさせていただいています。
 2つ目の○でございますけれども、先ほどの金岡先生のお話にもありましたが、アスリートはハイパフォーマンスを目指して取り組まれ、アスリート以外の多くの人々はライフパフォーマンスの向上を図るということで、ここでは、ライフパフォーマンスという言葉を使わせていただき、「目的を持った運動・スポーツを実施することで、個人の持つ潜在的身体能力を開発し、ライフパフォーマンスの向上も図ることができる」ということを書かせていただいております。そういったことから、3つ目の○では、これまでの実施率の向上に向けた取組に加えまして、目的を持った運動・スポーツの実施を更に推進し、多くの人々がスポーツの持つ楽しさや喜び、スポーツを通じたライフパフォーマンスの向上といったスポーツの価値を享受できるような社会を目指すということを、施策の目指すところとしてここで書かせていただいています。
 2.の目的を持った運動・スポーツの実施に係る現状でございますが、1)では、運動、スポーツの心身機能への効果等を整理させていただいています。ここは前回御説明させていただいたことと基本的には変わっておりません。ただ、今の御覧になっていただいているページで、下から2つ目の○は、新たに加えさせていただいたものでございます。先ほど金岡先生から二足歩行の維持が重要だというお話もございましたが、そういった機能を強化、維持を図る上では、筋骨格系が身体機能の土台をなすものであり、スポーツ庁が推進する施策という観点から、この重要性をここで現状として、認識として記述した方が適切ではないかということで、赤字でここを追加させていただいています。具体的には、「老化は、骨格筋量及び筋力の低下、そして歩行を含めた日常生活動作(ADL)及びQOLの低下をもたらすことが報告されている。二足歩行の維持を含めQOLの維持・向上及び健康寿命の延伸のためには、高齢者の骨格筋量及び筋力の維持・向上が重要であり、そのためには、筋骨格系に対するトレーニングが推奨されている」という、そういった現状をここで入れさせていただいております。
 次のページの2)の目的を持った運動・スポーツの実施状況ですけれども、ここは基本的に前回と同じですが、トップアスリートは、「ハイパフォーマンスのため」ということをここで入れさせていただいています。
 3.の目的を持った運動・スポーツの実施に係る課題についても、最初の○でございますけど、「人間の本源的な欲求にこたえる」、「ライフパフォーマンス」という言葉を入れさせていただいております。
 次のページに行きまして、「QOLを高められること等が期待できる」ということを入れさせていただいています。このページの真ん中辺のなお書きについても、「さらに、適度な運動・スポーツの実施とともに、スポーツを支えるコンディショニング法(栄養、回復方法、休息、睡眠を含む)を適切に行うことの重要性に留意する」ということを入れさせていただいています。
 4.の目的を持った運動・スポーツの実施推進のための方策でございますけれども、1)の国の役割については、2つ目の○のところで修正追加をさせていただいております。「これまで推進してきた国民のスポーツ実施機会の創出に係る取組と、目的を持った運動・スポーツ実施推進に係る取組とを、両輪として総合的に推進していくことに留意する」ということを入れさせていただいています。
 次に、その下に掲げている三角矢印でございますけれども、3つ目までが周知啓発について書かせていただいているものでございます。
 その次の4つ目、5つ目につきましては、目的を持った運動・スポーツに関する実態やニーズを明らかにするとともに、これに即した科学的知見に基づいた具体的な方法例等を提供するため、国で調査研究をやっていくことを念頭に書かせていただいているものでございます。また、国民の実践を支援するためのツール等の検討は、このための事業を念頭に入れさせていただいています。
 次の矢印でございますけれども、民間事業者等による目的を持った運動・スポーツの実施に関するモデルの創出を支援する。これはSILプロジェクトで既にやっている取組の中でモデル創出の取組がありますので、その中でこういった考えを取り入れてやっていくということを念頭に書かせていただいています。次の矢印の地方公共団体による地域での目的を持った運動・スポーツの実施に係る取組の支援は、スポーツ庁の今やっております運動・スポーツ習慣化事業の中でこういった要素を取り入れられないかということで書かせていただいております。2)の自治体、民間企業等の関係機関に求められることについては、前回の資料でお示しさせていただいたものと同じものを書かせていただいています。
 次に、参考文献がありまして、その次のページで、目的を持った運動・スポーツを目指すもの、イメージを、あくまでもたたき台ということでお示しさせていただいております。左側が目的を持った運動・スポーツの例、多様な集中としてウォーキングを例に挙げさせていただいています。その下の※印で、スポーツを支えるコンディショニング法(栄養、回復方法、休息、睡眠を含む)、コンディショニング法が適切に行われることが重要ということもここで書かせていただいています。
 そういった目的を持った運動・スポーツをやることによって、下位目標といたしまして、ウォーキングの例ですと、上から、筋力向上、姿勢制御、持久力向上、リラックス、下のところでは、交友関係、つながり、信頼関係、協調性があります。さらに、それらによって得られる上位目標としては、身体的なウェルビーイング、情緒・心理的なウェルビーイング、社会的なウェルビーイングがあります。上位目標は、ここで例として考えられるものを書かせていただいています。こういったことによって、目的を持った運動・スポーツが目指す姿として、運動意欲の高まり、適合能力の向上、ライフパフォーマンスの向上、生きがいが最大化、QOL向上、健康寿命延伸、回復力に富んだ生活、勝つことの喜びが得られて、スポーツが継続的に実施されるための土台となっていくような姿を目指しております。
 次のページでございますけれども、目的を持った運動・スポーツの実施推進のための方策のロードマップのイメージということで、主に国として今年度、来年度、それ以降やっていくことをロードマップ、イメージとして整理させていただいたものでございます。
 実施事項について周知、調査研究、地域における体制整備で分けておりまして、周知啓発については来年度、広報活動や、Sport in Lifeプロジェクトを通じて積極的に周知啓発を進めていきたいと考えております。
 調査研究でございますけど、既にコンディショニングに関する研究が本年度から始まっておりますので、そういったものに加えまして、先ほど御説明いたしました実態・ニーズ把握や具体的方法例の検証・提案、指導ツールの作成、国民の実践を支援するための新たな技術の開発など、そういった調査研究ができないか今検討しているところでございます。
 地域における体制整備の支援につきましては、先ほど御説明した民間事業者等による取組モデルの創出、地方公共団体による取組の支援を考えております。また、そういった取組を実施するに当たりましては、関係省庁、関係機関、関係団体との連携を促進し、取組を推進するということが重要ですので、※印で書かせていただいております。
 説明は以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。長官のほうから何か補足があれば。
【室伏スポーツ庁長官】  大丈夫です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 それでは、金岡先生の御説明、そして事務局の説明について、御意見、御質問等ございましたら、挙手のボタンを押して発言を願いたいと思います。それでは、まず、口火を切っていただく意味を含めて、久野委員、いかがでしょうか。
【久野部会長代理】  ありがとうございました。体系的になっていったと思いながらお聞きしていました。
 事前に見せていただいたときにも事務局のほうにコメントさせていただいたのですが、なかなか表現が難しいとも思います。この趣旨のところで、「目的を持った運動・スポーツとは」と定義されています。これを読むと、これまでもいろんなスポーツと健康の現場でやられて処方されたり、国民が取り組んでいることと何が違うのかというところが、分かりづらいように思います。現場の自治体や、会社員の健康づくりをサポートしているところに対して、今まで自分達がやってきたのとどこが違って何をスポーツ庁は求めているのかというところを、より明確にしていくことが、すごく大事だと思います。今日の金岡先生の事例や、前回長官の新聞紙で我々もやった、そういう今までにない、新たな視点、広がっていない視点が、動きだと分かるのですが、文章にすると結構伝わりづらいと、今日改めて感じたものですから、全体の方向性はこれでいいと思っておりますが、今後何か授業をしていくときに、定義の辺りはもう少し工夫をしていくことが必要じゃないか、金岡先生の先ほどの事例や長官の事例の図とか、もう少し事例が入ったほうが理解が進むかなと思いながらお聞きしていました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。津下委員、お願いします。
【津下委員】  ありがとうございます。私も久野委員のおっしゃったこととかぶっているところもありますけれども、一般的な運動・スポーツの効用とかよさというのはあるんですけれど、特にその目的を意識してアプローチをすることで、より効果が出るターゲットはどこかということを明確にすることも重要と思います。例えば金岡先生のお話にあったバタフライで腰痛ですが、このため競技を諦めてしまった水泳選手、がほどいるんです。ご紹介いただいた選手は、たまたま金岡先生のところでモーターコントロールトレーニング実践できたからよい結果につながったのですが、それを知らない選手やコーチが多くいます。こういうトレーニングをすればできるようになるという具体的な目標があったから取り組めて競技に戻れたということになると思います。スポーツ障害などによる中断者を減らすこと、本当は運動したいんだけど、できない。どういうふうに体を使っていったらできるようになるんだろうか、そこの間のステップが分からなくて、単に自分はできないんだということで自信をなくしてしまう。その階段が見えないということが大きいのではないかというふうに思いました。
 運動をしない、やろうとしない人の中にも、本当は無関心じゃなくて、やりたくてもできないとか自信がない、そういう人たちを一歩動かすための支援が必要だと思います。競技スポーツで培われたノウハウを、この健康スポーツの中にも導入していくことが重要だと感じました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。小松原委員、お願いします。
【小松原委員】  ありがとうございます。久野先生や津下先生がおっしゃったことと重複する部分もございますが、保険者の目線で申し上げると、今まで保険者が実施していた、例えばスポーツとか運動への取り組みが、今後どう変わっていくのかが見えづらいと思います。
 9ページ目に目的の概念図がありますが、例えば個々人に目的を持ってスポーツをしましょうといっても、限界があると思っていまして、関係機関や関係団体を巻き込んで個々人のスポーツ実施率をどうやって上げていくかが非常に大事だと思います。そのときに、例えば厚労省のセクターでは、メタボ対策やロコモ対策、メンタル対策等に対して個人のみならず関係きかにゃ関係団体等それぞれのプレーヤーの目的に応じた取り組みを関係図で整理していただくと非常に分かりやすくなると感じたところです。
 
【渡邉部会長】  ありがとうございます。北出委員、お願いします。
【北出委員】  ありがとうございます。金岡先生に一つお聞きしたいなと思います。非常に勉強になったんですけれども、実際モーターコントロールエクササイズでけがの予防もできるのであれば、本当にすばらしいなと思いましたし、もしアスリートに対するだけではなくて初心者の方がいきなり運動をやるとやっぱりけがが多いと思うのですけど、そういう予防にもなりますでしょうか。
【金岡早稲田大学教授】  ありがとうございます。恐らくは、正しく使えないことによって起きる障害は、正しく使えるようになれば予防できると思いますので、障害予防にも効果があると思います。
【北出委員】  ありがとうございます。
【金岡早稲田大学教授】  先ほどの御質問にもありましたけども、バタフライを習って泳げないからやめる、あるいはやったら腰が痛くなったからやめる、多分そういう小学生はいっぱいいるんじゃないかと思うんですけども、そこでコーチがどのように教えるか。ただ単に泳げ、泳げというだけでそれが身につくわけではなくて、手が入った瞬間おなかが入るように、先ほど見せたような、ああいうふうなエクササイズをやらせて、あれができるようになってから泳がせる、そのような段階を踏むというふうな、そのような形での運動介入というのも、これからもっと精密にやっていく必要があるんじゃないかとは思います。ありがとうございました。
【北出委員】  ありがとうございます。トレーナーの方とかはよく御存じないのかもしれないですけど、実際に先生おっしゃるように、中高とか、教育委員会とかを通じて、実際指導する一般の先生とかも、体育の時間を見ているような先生にも、こういう知識があると非常にいいかなと思いました。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。近藤委員、お願いします。
【近藤委員】  3点あります。
 1つは、これが誰向けのものなのかということを少し整理して、明記していただいたほうがいいのかなというふうに思いました。一人一人がこういうことを知ってやるというのはもちろんあっていいと思うんですけども、結構オタクっぽい人じゃないと、ここまで行けないんじゃないかなという気もします。これは指導者層とか事業者であったり、運動の専門家たちが、もう少しこういうことを意識してやってくださいねという、そういう意味合いなのかなというふうに伺いながら感じました。
 その背景といいますか狙いとしては、今まではスポーツの実施率のような量的指標でスポーツを普及しようということを言ってきたんだけれども、安全性、事故を起こさないというのも含めて、これからは質も重視して、目を配ってスポーツ庁としては進めていく、そういう次のステージに向けて、こういうことをやるんですよというようなことを背景に書き加えていただくと、これの位置づけみたいなものが見えるんじゃないかなと思ったというのが2点目。
 3点目が、目的を持ったのかな、という点です。持った運動というと、目的を持たない運動じゃ駄目だよというふうに聞こえてしまうのですけれども、体を動かすことが本源的な欲求という文言もあるので、そんなに本人は目的を意識していなくても楽しいからやっているんだというのでもいいんじゃないかなという気がします。スポーツの指導をするような人が、その一人一人の目的に合わせて、やり方とかを指導してあげる。そういう目的に合わせたというようなことのほうが、ニュアンスとしては伝わるのかなというのを感じたというのが3点目です。
 1つだけ、私たちがやった研究で、こういうことに資する研究になるかもしれないなと思ったのは、今チャットに貼りましたけども、同じスポーツクラブでやっている人たちでも、個人で黙々とやっている人とグループでやっている人では、1年後の継続率が3倍も違うなんていう結果が出ています。そういう継続という目的だとしたら、同じ種目だとしても1人で黙々とやるより、グループ形成を促してやることが有効だとか、そういう知見を今後加えていく。こういう目的だったらこれがお勧めですなど、ガイドラインみたいなものが数年後に整理されたら、指導者層にとってはすごく有用で、その指導を受けた国民も、目的に合わせて、その人の課題となるところが克服されるような質の高い運動を経験できる、そんな社会ができるんじゃないかなと思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。続いて、宮脇委員、お願いします。
【宮脇委員】  ありがとうございます。このロードマップを見せていただき、本当にたくましく進んでいくのではないかという期待を持ちました。それから地方公共団体、各種団体、関係団体との連携強化をはじめ、様々な取組、支援、周知啓発をするということが挙げられておりますが、分かりやすく情報を発信していただき、自治体が住民に運動・スポーツの効果や価値を説明する際などに、ポスター、リーフレットを含め、エビデンスとして活用できるようなものをつくっていただければ、とてもありがたいと思いております。
 もう一つは、先ほど話題に上がりましたが鳥取県の国保連合会辺りでは、自分の国保のデータベースを基にして、AIのほうで3年後の自分の病気を予測できると放送されていましたが、要するにKPIのデータを活用しながら、かかる病気を想定して伝え、その対応を進めるというような事業も始めておられます。地元大学と連携したりする中で、1つは、先ほど、学校との連携のようなお話もございましたけれども、本日は、厚生労働省の方もオブザーバーとして御出席のことと伺っておりますが、ぜひ、そうしたことを進めるに当たって、その裏でスポーツと結びつけたような、そうした住民へのサービス提供が進めばありがたいと思っております。
 ちなみに、鳥取県の国保連の活動は、これまでは大学と連携していただけでしたが、鳥取県では後期高齢は後期高齢者医療広域連合でやっていますが、その保険も一緒に行うことに決まっております。そのようになれば、後はその範囲を拡大して円満な範囲で広がっていき、スポーツに関する取組をされる方も増えていくという要素も生まれてくるのではないかということも考えており、その辺の連携もよくお願いできたらと思っております。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。そのほかの皆さんはいかがでしょうか。せっかくですので、御発言いただいていない委員の方にちょっとお話を振らせていただきたいと思います。勝目委員、いかがでしょうか。
【勝目委員】  目的を持った運動・スポーツの推進についてお話しさせていただきます。
 長官のプレゼンテーションを始めてお聞きしたときは、はっきりと理解できなかったところがありましたが、前回の長官の実演や今回の金岡先生のプレゼンテーション、そして事務局の皆さんの整理のおかげで、自分の中で腹落ちする形で理解することができました。
 それで思うのが、やはりこれは非常に高度な目標だということです。先ほど近藤先生も、誰向けなのか明記したほうがいいんじゃないかというふうにおっしゃいましたけれども、推進側の方がしっかり把握されることを目的にすると、とてもいいのじゃないかなというふうに思いました。一般の方に関しては、13ページや80ページで整理されている図でも、かなり分かりやすいのですが、さらにもう少し具体的な運動名などが入ってくると、よりこの趣旨が理解しやすいと思いました。人に伝えるためにはここのデザインがかなり重要になってくるんじゃないかなというふうに思いながら聞いておりました。
 「目的を持った運動・スポーツの推進」は本当にすごく高度な目標で、目指すべきところだなというのも改めて感じましたので、息の長い取組というか、当面目指すべき方向として、長期的視野で取り組むといいんじゃないかなというふうに思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。萩委員、いかがでしょうか。
【萩委員】  ありがとうございます。この目的を持ったというのは、どちらかというと、指導者やスポーツ振興をしていく側のアプローチかと思います。ただ、最終的には、自分が何をしたらいいか、どこへ行けばいいのか、誰に聞けばいいのか、そういう情報が一連となって出てくれば、国民も一人一人あるのかなというところはありますので、そこへ向けてのロードマップのような調査研究を進めていただくといいのかなと。そこまでいかないと、結局途中で頓挫をする可能性が多分にあるなという気がします。
 それと、障害者スポーツに関しては、やはりまだハード的なハードルが高い気がいたします。個人へのアプローチというよりは、ハード的にどうなのか。それがその地域の問題とか、その地域での社会資産、そういう部分というのはやっぱり無視できない。むしろそちらの障害が大きいのではないかなと感じておりますので、その辺りも並行してやっていく必要があるかなと思います。
 それと、事例研究については、ぜひ、最大公約数じゃないですけど、他のところでも使えるような汎用性のある部分というのをもっと強調していただけるといいかなと。これは表現の仕方ですけれども、できること、できないことあると思うので、これは他の地域でも応用が利くなというような部分に関しては、少し大きめに書いていただくというか、しっかり書いていただくと、事例研究として参考になるのではないかなと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。久野委員、お願いします。
【久野部会長代理】  2回目ですいません。資料40ページのロードマップでは調査研究のところでコンディショニングという言葉が使われています。目的を持ったというと、メタボ予防とか介護、そういうものをイメージする人が多いと思います。多分長官が言っていることはそこを、ダイレクトに言っているわけではないのではないか。ネーミングを含めて、コンディショニングという言葉を前面にすると違ってしまうのか、その辺は長官のお考えをお聞きできればと、そんな印象を持ちました。
 以上です。
【渡邉部会長】  長官、今の御質問に対してはいかがでしょうか。
【室伏スポーツ庁長官】  ありがとうございます。近藤委員のほうからありましたけど、目的に合わせたとか、そういう言い方でもいいとは思うのですけども、言葉で引っかかるのであれば、そこはちょっともう一度、事務的にも1回預からせていただいて検討したいと思います。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
【室伏スポーツ庁長官】  これまで、スポーツ庁ですので、スポーツ庁がスポーツとして、今日健康スポーツ課しかいないんですけども、僕は競技スポーツ課がもっと関わるべきだと思います。スポーツで最先端でけがをしないように安全に運動することはもうやってきているのが落とされていないというのは、スポーツ庁としてはちょっと残念なことなので、ちょっと難しい説明になっていると言いつつも、3回ぐらいに分けて少しずつ御理解していただいていると思いますので、今日、お話、いろいろ御意見いただいていますので、またさらに分かりやすく、誰にというのも両方あると思うんです。私も自治体や何かに行かせていただいて、講演で、この間みたいに、ウォーキング、どれにフォーカスをするとどういう効果があるかということは、一緒にやってもらうと、その場で一般の方も分かるし、障害を持っている方も特に男女関係なしにできることですので、もうちょっと普及のところを、今後、難しいところは努めていきながらも、指導者、特にそういった専門の知識を持っている人も分かりやすくちゃんと指導できるように、日本スポーツ協会のほうもまたお願いして、スポーツ庁らしいところを出していくということが大切かなというふうに思います。
 また、スポーツの捉え方そのものをどう考えるかというところも多くあって、ですので、この辺ちょっとお示ししたらあれですけど、スポーツを目指す、それを支える土台となるようなコンディショニングや体の使い方だったりと、これを下支えしているものも大変重要で、それをスポーツに至らなくても大事な、先ほどの水泳の話も、金岡教授の、これは水泳だけの話じゃなくて、立ち上がるとき、皆さん、どこの筋肉を使って立ち上がりますかというのが、例えば腰痛になりやすい人の立ち方だってあるわけであって、筋肉の使い方、単に立つというときにどこから力が働くかとか、座るとか、歩くとか、こういう基本的なことにもシナジー効果の話がありますが、こういうのを上手に広報して、難しいところもあるとは思うんですけど、できるだけ国民の身体に対する失われたリテラシー、みんな頭のほうを、メリットのほうはいきますけど、体のほうに意識が向かない時間が多いということをどうするかということは、スポーツが貢献できるところだと思いますので、今日いただいたところも含めまして、また部会長、副会長も含めて、分かりやすく努められるようにしたいと思っております。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。私、個人的に金岡委員のお話も伺いながら思ったのは、やはり今長官もおっしゃいましたけども、競技パフォーマンスからライフパフォーマンスまで非常に幅広いところ、そこを室伏長官は、目的を持った運動とどうつなげるかという話だと私は理解しているんです。そうすると、周知啓発とか広報のパスというものを考えると、ダイレクトに市民に届くということも必要ですし、先ほど近藤委員等からもお話ありましたように、2次利用的に使われる地方公共団体だとかスポーツ団体とか、あるいは小松原さんがいるような健康組合とか事業所とか、多分いろんなパスがあると思うんです。ただ、それが今混在した形で表現されているのでちょっと分かりにくいというのが、各委員の御発言だったかなというふうに思います。
 ですから、そこのところもうまく整理していくと、萩委員がおっしゃったように、非常に大事なお話になっていますので、分かりやすいものをうまく周知啓発できて、それが結果的にはアウトカムという成果に結びついていくんじゃないかなと、そんなふうに思って聞いておりました。
 ただ、これは言うはやすしで、するはなかなか難しいところがありますので、一緒に皆さんと考えていければいいかなというのが私の感想でございます。
 お時間となりましたけども、皆さん、ほかに御発言よろしゅうございますでしょうか。金岡先生、お願いします。
【金岡早稲田大学教授】  一言。先ほど、誰に対してというふうな御議論もありましたけども、恐らく年に1回健康診断していろいろな値を評価していると同じように、全人類がこのような機能を評価して、足りなければそれをやりましょうと。ある人に、もう既に備わっている人に対してやる必要はなくて、足りなくて腰痛になった人、肩凝りになった人、それはそれが原因なんだから、これを目的を持ってやったほうがいいですよというふうなニュアンスだと私は感じていて、ですので、誰に対してというのはもう全人類に対してなんじゃないかというふうに感じております。
 すいません、ちょっと最後に、ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 もしないようでしたら、最後に長官のほうからまとめの御発言をいただいて、和田課長のほうから事務連絡をいただきたいとお願いします。よろしくお願いします。
【室伏スポーツ庁長官】  渡邉部会長、ありがとうございます。久野副会長、ありがとうございます。
 本日は、お忙しい中第21回健康スポーツ部会に御出席いただきまして、また、活発な御議論、アドバイス等いただきまして、感謝申し上げます。
 まず、委員の皆様におかれましては、本日御議論いただいたスポーツ実施率の向上や第3期スポーツ基本計画で掲げる政策の着実な実施に向けての現場視察も、またヒアリングもしていただいて、多大なる御協力、じかに行っていただきまして、本当に感謝申し上げます。
 また、目的を持った運動・スポーツについて、本日、金岡教授より、専門家の観点から非常に貴重な御発表いただきまして、また、委員の皆さんからも、引き続き様々な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。皆様からの貴重な御意見を踏まえまして、目的を持った運動・スポーツを推進していくための具体的な方策について、大変貴重な御意見いただきましたので、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
 本日、金岡教授からの話も最後にもありましたけども、東京大会で得られた知見を、またアスリートのハイパフォーマンスを、国民全体の健康増進にもつなげられるところが多々あるかと思います。国民の皆様のライフパフォーマンス、クオリティーライフとかウエェビーイングとか、また生涯二足歩行でしっかりとか、生涯健康でやっていくというところでは、みんなアスリートになってもらうぐらいのつもりで、もちろん意識の差はいろいろあると思うんですけど、でも、それぞれがライフパフォーマンスの向上に結びついていくというふうに思っております。
 本日は今年度最後の部会となりましたが、委員の皆様からは、来年度以降も健康スポーツ部会において貴重な御意見賜ればと思います。ぜひスポーツ庁に来ていただいて、今日の金岡教授のあれじゃないですけども、いろいろシナジートレーニングも含めて、今度一緒にさせていただく機会があればうれしいです。お待ちしておりますので、お願いいたします。
 では、部会長、ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 それでは、課長のほうから事務連絡をお願いいたします。
【和田健康スポーツ課長】  本日は、貴重な御意見ありがとうございました。追加の御意見、追加の御質問ございましたら、事務局にメールでお寄せいただければと思います。現場視察や部会の今後のスケジュールにつきましては、事務局より改めて連絡をさせていただきます。
 本日はありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 本日も拙い進行でございましたが、皆さん御協力いただきまして、ありがとうございました。ただいまをもちまして、第21回健康スポーツ部会を閉会といたします。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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