スポーツ審議会健康スポーツ部会(第33回) 議事録

1.日時

2025年7月24日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

  文部科学省15F特別会議室 及び WEB会議(Zoomを使用)
 

3.議題

 1. 今後の施策実施に向けたヒアリング
 2. その他

4.出席者

委員

相澤委員、岩田委員、小熊委員、甲斐委員、金岡委員、北出委員、久野委員、小松原委員、近藤委員、佐々木委員、津下委員、藤田明美委員、藤田紀昭委員、前田委員、松永委員、宮脇委員、渡邉委員

文部科学省

室伏長官、籾井審議官、大杉スポーツ総括官、廣田参事官(地域振興担当)、中村健康スポーツ課長

オブザーバー

厚生労働省健康局健康課

5.議事録

スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第33回)
2025年7月24日
 
 

【久野部会長】  定刻になりましたので、ただいまから第33回スポーツ審議会健康スポーツ部会を開催いたします。改めて、皆様、お忙しいところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。信じられないぐらい暑くて、駅から文科省に来る間だけでさえ嫌になっちゃうぐらい、何とかしてほしいという感じだと思いますが、本当に今日はありがとうございます。
 本日は、こちら文科省、そしてウェブでの両方合わせまして17名の委員の方に御出席いただいております。スポーツ審議会令第6条第1項及び第3項において、本部会の開催及び議決に当たっては委員の過半数の出席が求められておりますが、定足数を満たしておりますので開催とさせていただきます。
 まず、スポーツ庁におきまして、この7月、人事異動があったということなので、中村課長から御紹介をお願いいたします。
 
【中村健康スポーツ課長】  7月15日付でスポーツ庁のほうに人事異動がございました。まず、スポーツ庁の次長として浅野次長が着任しております。本日、公務で欠席です。それから、審議官として籾井審議官が着任しております。
 
【籾井スポーツ庁審議官】  よろしくお願いいたします。(拍手)
 
【中村健康スポーツ課長】  以上でございます。
 
【久野部会長】  ありがとうございます。
 また、今日はスポーツ庁より、室伏長官、大杉スポーツ総括官、今御紹介いただいた中村健康スポーツ課長、それから、今日は議題の関係で廣田参事官(地域振興担当)にも御出席いただいておりまして、廣田参事官はこの会初めてだと思いますので、ちょっと一言お願いいたします。
 
【廣田地域振興担当参事官】  廣田です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【久野部会長】  ありがとうございます。
 さらにオブザーバーとして、厚生労働省健康・生活衛生局健康課からもオンラインにて参加をいただいております。
 続きまして、本日の会議開催に当たり、諸連絡及び配付資料の確認をお願いいたします。
 
【中村健康スポーツ課長】  事務的な御連絡になりますけれども、毎回のとおりでございますが、Zoomによるウェブと対面でのハイブリッド開催としておりまして、傍聴につきましては報道機関、一般の方はユーチューブでのライブ配信での傍聴となっております。
 それから、本日の出席者は、お手元にお配りしている一覧のとおりとなっております。
 本日、北出委員が遅れてオンライン参加ということになっております。途中退席される場合は、御退席の際にZoomのチャットにその旨お知らせいただければというふうに思っております。
 資料の確認でございます。本日、配付資料として9種類御用意をさせていただいておりまして、議事次第の方にございますけれども、資料1 久野委員の提出資料、資料2 小熊委員の提出資料、それから、スポ庁の方で御用意させていただいた資料3 大学期からの取組の意義、資料4 藤田委員の提出資料、資料5 岩田委員より提出いただいた熱中症の資料のほか、6から9までスポーツ庁の方から用意をさせていただいた資料になっております。参考資料は1-1、1-2、2と用意しておりますので、もし不足などがありましたら事務局までお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、議題が2つございます。1つ目が今後の施策実施に向けたヒアリングということ。議題2が熱中症対策、まさしくタイムリーなテーマだと思いますが、あとそのほか、事務局より取組報告をいただきたいと思います。
 会議2時間のうち、前半90分間を議題1、後半30分間を議題2として進行していく予定でおりますので、御協力よろしくお願いします。
 それでは、議題1として、今後の施策実施に向けたヒアリングについてです。初めに事務局より御説明をお願いいたします。
 
【中村健康スポーツ課長】  健康スポーツ部会の今後の予定も含めての御案内になります。
 これまで、第3期スポーツ基本計画の中間評価についてこの部会で御議論いただきまして、計画部会を経て7月15日にスポーツ審議会総会にも御報告をさせていただきました。改めまして、これまでの議論に御協力いただきましてありがとうございました。本日、この中間評価結果全体について参考資料としてお配りをしておりますので、お時間あるときにでも御一読いただければというふうに思います。
 中間評価はこれで終了ということになりますけれども、今後4期に向けていろいろ取組を進めていくという中で、これまでの議論でも、この健康スポーツ部会で取り扱っております国民へのスポーツの普及という観点で、女性、地域、高齢者、企業という観点での取組の重要性をいろいろ御議論させていただいてきたところでございますので、今後それぞれの御専門お持ちの委員の方々から、今後の取組に向けてそれぞれの分野について御発表いただいて、深掘りした議論を進めていければというふうに考えております。
 本日は女性のスポーツ実施促進に関しまして、久野部会長、小熊委員より、それから、地域におけるスポーツ振興について藤田明美委員より御発表をいただきたいというふうに考えております。
 次回は、企業におけるスポーツの実施促進というテーマで、甲斐委員、松永委員より御発表をお願いしたいというふうに考えております。一応こういう流れで進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 それでは、まず、女性のスポーツ実施促進をテーマに私からということで、この後、小熊委員からも御発表いただいて、この2つに関して皆様とのディスカッションをしたいと思います。
 ディスカッションの時間を取りたいので、15分リジッドに行かせていただきますので、私も今ちゃんとタイマーを見ながらやりますが、小熊委員もすみません、15分超えるようだと制止に入りますので、ぜひ時間内ということでよろしくお願いいたします。では、ちょっとストップウォッチを押しますので。
 まず、お手元に、急遽、内閣府のSIPで取り組んでいる女性のプロジェクトの資料を配付させていただきましたので、これは説明しませんが、後でお時間があれば見ていただければと思います。
 では、資料1のパワーポイントの方で御説明させていただきます。今2ページ目なんですが、女性のライフコースにおいて見られる健康課題というようなことを、我々のプロジェクトの観点でまとめています。妊産婦において7割が運動不足とか、痩せた20代の糖尿病リスクは正常と比べ7倍となっており、痩せている若い女性の糖尿病患者が増え出しているという実態があります。それから、20代女性の体力低下傾向、30、40代女性は過去25年間で最低水準ということも出ていると。
 それから、更年期女性の昇進意欲が低下していて、いわゆる更年期の問題がありますが、スポーツが更年期症状を和らげるということが分かっています。更年期の問題もスポーツの力である面解決できていくテーマだと思っています。
 さらにもう少し年齢がいきますと、転倒骨折による介護認定割合は、女性が16.5%で男性の2.8倍高いというデータも出ています。それから、勤労者の転倒災害発生の約4割が55歳以降の女性です。先日私の研究室を出たデパート健保の保健師の方とちょっとディスカッションしたときに、今60代以降の女性が、小売業界で数多く働いていただいていて、転倒骨折は予期できませんし、しばらく来られなくなってしまうので、現場で大きな課題になっているという話を聞いたところです。では、次の3ページをお願いいたします。
 まず、母子の方の課題からお話をさせていただきます。ここが今、少子化の問題も含めてこども家庭庁ができたりして1つの大きな政策の流れがある中で、特定妊婦というメンタルの課題がある方の人数が2009年と2020年を比べていただくと、約9倍増えていると。今度は下を見ていただくと虐待の数なんですが、虐待の数も、残念ながら右肩上がりで増えていて、現状虐待の加害者の第1位は女性、母親の占める割合が48から49%ぐらいというのが実情としてあります。
 それから、これもずっと結構この会でも何回か私の方から御紹介したデータなんですが、右側にあるところで、妊産婦の死亡原因の1位が、コロナ前から自殺であると。特に9割は、そのうち出産後1年未満でそういう問題が起きているということで、この辺りに関して、じゃあどうスポーツが関係しているのかというあたりは、この後にお話をしていきたいと思います。
 それから、もう一つ、今日は宮脇委員や藤田委員、自治体の首長さんがいらっしゃいますが、いろんな今この問題で基礎自治体とのやり取りの中で、母子保健の現場が、いわゆる保健師さんたちがハイリスク対応で手いっぱいになっている、疲弊しているという現状もあります。ただ一方、どんどん今のデータで増えていっているのに、そういう方を増やさないという施策が皆無に近い状態があって、実はそこにスポーツがどのように関われるかということを、今日はこの後お話をしたいというふうに思っています。
 まず、4ページ目なんですが、「日本の若い女性の痩せ過ぎが健康悪化をもたらす」というタイトルなんですが、今お話ししてきたように糖尿病の患者が増加していると。それから、痩せというのは非常に筋肉がない状態で、体力の低下も招いて、これが結果的に子育ての女性のメンタル悪化を誘引していて、今第一子が高齢出産の女性が増えているんですが、そこの子育てで非常にメンタルが悪くなる経験から、もう2人目は無理みたいな気持ちになられている実態も見えてきて、少子化対策という観点でも、まず、生まれる方を増やすという観点も必要なんですが、実は第2子を増やしていくという少子化対策上の考え方も1つの考え方としてあるときに、非常に体力がない、疲れやすくてメンタルが悪化するというサイクルのところに、いわゆる結婚前から、20代の女性がスポーツ庁のデータを見ても一番運動してない層であるということがはっきりと出ているわけで、痩せてもともと体力が低くて運動してない中で出産し、子育てし、重労働の育児に入っていくという悪循環をどのように断ち切るかということが課題だと。
 その中で、4ページのデータを見ていただいて分かるように、いわゆる18.5BMI、これ以下を疾病リスクの高い痩せと国際標準で定義をするわけですが、それが残念ながら日本は1位である。2位の韓国を大幅に引き離した1位であるということです。
 それから、5ページ目を見てください。写真でちょっと見にくくて恐縮なんですが、SIPのプロジェクトの一環として万博で講演とか女性のイベントをやってきました。130か国の方がイベント会場に来ていただきましたが、女性のいろんな体型を提示して、自分が望ましいと思う体型に自分の国旗のシールを貼っていただいたんです。赤いのがいっぱいあるのは日の丸です。もちろん日本人の方が多いので日の丸が多くなるんですが、18BMIより左の方に日の丸がいっぱい貼られている。つまり、こういう体型が今、日本人の多くの女性の方が望む体型であって、20から21、右の方に、よく見ていただくと、もちろん日本の国旗もあるんですが、結構海外の方は20から右に多くあって、痩せの方にはないんですよね。これ、ルッキズムという言い方をするわけですが、スポーツをすると筋肉がつくとか汗をかくのが嫌だという若い女性が現実的に多い実態がやっぱり変えられてないという問題があると思っています。
 それから、もう一つ、ここでは分からないんですが、ずっといた方からの報告を受けると、実は18BMI、17BMIの辺にかなり国旗を貼ったのは、小学生の女の子たちということらしいです。つまり、小学生の前半からこういう細い体型を望んでいる。教育の問題としても考えていく必要があるのかもしれません。
 次に6ページですが、これは厚労省の国民栄養調査から出したものなんですけれども、18年前の50代と今の50代というのを比較しています。肥満と痩せ過ぎを見ていただくと、肥満は18年前に比べて現在は5%減ってきています。それに対して痩せ過ぎは逆に5%ぐらい増えているということで、実は若い人の痩せだけではなくて中年世代においても痩せ過ぎというのが女性において問題になってきていて、これは我々と、あと順天堂大学の今一緒にやっている田村教授のグループ、両方がやったデータで見えてきているんですが、若い今の中高大学生ぐらいの女性が過度なダイエットに走るきっかけは、何が一番かと我々調べているんですが、母親からの一言というのが第1位です。第2位が友達や、あるいは彼からの一言ということで、いわゆるアイドル世代で育ってきて、非常に細いことが美しいという概念が、多くの世代に広がって、それが親子の関係でも伝播しているという現状が見て取れていまして、ただ健康のためにスポーツをしましょうなんていうプロモーションをやっても、まずそこは変わらないんだろうと。やっぱりそこに関しては、かなり綿密な戦略を組んだ仕掛けが必要になってくると思います。
 それから、7ページ目ですが、DOHaDという概念が産婦人科領域でも割合確立してきているんですけど、痩せたお母さんの中で育つ胎児は、生まれてから生活習慣病になりやすいということも分かってきています。運動不足、体力不足がいろんな悪影響がありながら、多分そのリテラシーが国民に広がっていないためにこういうことが起こっているんだろうと思います。
 今お話ししてきたことをまとめたのが8ページ目です。いわゆる不定愁訴、肩凝り、腰痛、疲れやすいという、健康部会でここ数年熱心に取り組んできたコンディショニングの普及という観点が非常に重要で、この辺りのコンテンツは長官や金岡委員含めかなり進めていただいたおかげで出てきているんですが、これをどう実践、実装させていくのかというフェーズが非常に大事だと感じております。
 9ページ目は、今、我々内閣府のSIPで進めています、DXを活用して、どの地域に住んでいても、運動指導や、保健師による相談を受けられる仕組みをつくろうということで、今、全国13自治体とモデル事業をさせていただいていまして、今日御参加いただいている新潟県の加茂市の藤田市長のところでもモデル実証をやっていただいています。
 どんなことが分かってきたかといいますと、まず、質的なデータが10ページにありまして、これはMUM UP PARKという名前をつけて展開をしていますが、B子さんというのは38歳で初産で、今、産後10か月ぐらいなんですが、産後に心身の健康度が非常に低下して、妊娠中の運動習慣がなく、体力低下のまま出産、子育てに入ったと。参加前、強い不定愁訴を訴えていて、自覚としてはずっと怒っているという感覚を持っていると。自宅に閉じ籠もっていて他者との交流もないという状態で、MUM UP PARKにオンラインで参加いただいて、心身の健康状態が、オンラインでもちゃんと解決するというようなことが一応確認されています。30人の、すみません、ちょっとn数は少ないんですが、11ページを見ていただくと、当然ながら介入後に変化があるということで、身体機能度はKoji Awarenessを使わせていただいていまして、これもしっかりと改善したという結果が出ています。
 12頁では、中年世代の問題に入りたいんですが、各年代の更年期障害の実態ということで、更年期って基本的に50代ぐらいのイメージなんですが、実は厚労省のデータを見ていただいても、20代から軽い更年期症状を出す女性が増えているということが、こういうデータを見ると分かっていただける。ですから、更年期の問題というのは、もちろん中年が多いですし、症状的も強いんですが、必ずしも中年の方だけの問題ではないという捉え方が必要です。
 13ページにいっていただきますと、これを企業の視点で見たときに、企業のヒアリングを役員側にしたときに、女性役員や管理職比率のKPIを求められる企業において、キャリアアップに対する女性社員のモチベーションは、結構健康状態に左右されやすい側面があると。特に更年期症状の発症は、それらの適齢期と、これは50代の方ですが、重なりやすくて、企業からすると、ちょっと上から目線の言い方かもしれませんが、せっかく育ってきて次の活躍を期待していた段階で更年期症状が強くなって、結局会社を辞めるとか、重たい職位を受けられないということで、結果的にオファーをしたことがきっかけで離職につながったみたいな事例もあります。
 じゃあなぜ健康スポーツ部会でこのテーマをお話ししたかというと、14ページを見ていただきますと、スポーツによる女性の更年期症状を抑える効果に関しては、一定のエビデンスが蓄積されつつある。まだ弱い点も多々あるんですが、ただどうやら結構効きそうだということをにおわすデータというのは、ある程度ここにありますし、下に書いたように、若いときからのスポーツ習慣があると更年期症状が軽減されるというような可能性も示されていますので、そういう面ではやはり10代、20代からの女性のスポーツ実施率を高めていくということは、女性のライフコース全般に、ウエルビーイングを上げるために重要な視点だということを改めて強調しておきたいと思います。
 じゃあどうしていけばいいのかということで、15ページですが、健康経営がかなり一定の広がりを持ちましたが、課題は大企業が中心にあって、中小企業の実施率はまだ15%ぐらいというデータも出ていて、今回我々この問題を大企業と中小企業両方入ると。そこが多分体制が違うので、それぞれの手を考えていくことが非常に重要な視点じゃないかと考えています。
 今、SIPのプロジェクトで見えているのは、健康経営という言葉は、中小企業のオーナーにはほぼ響かないというのが我々の結論です。健康経営という言葉から来るイメージで、ほぼ中小企業のオーナーが心のシャッターを下ろすというところがあって、じゃあどういう持っていき方をすればいいのかというのは、今、非常に人手不足に対して、女性にも入ってもらえる会社、働き続けていただける会社というような視点を持ちましょうと。それから、女性特有の健康課題として更年期のお話をしましたが、もう一つは月経、生理痛の問題等による生産性の低下が日本全体で年間約3兆円、今我々は埼玉県でプロジェクトをやっていますが、埼玉県だけでこの間計算したら年間100億円、生産性が落ちている。こういうような数字を見せながら経営者に話していくと、何かしなきゃいけないと思ってくる。女性特有の健康課題に関して、実は体力の低下やスポーツ実施がプラスになるということをお話ししていくと、それならやれそうかもしれないというような、そういう意味での行動変容が少し見えてきていまして、じゃあこれを今度どうやって広げるかということで、16ページを見ていただきたいんですが、今そういう診断1それから、リカレント研修というふうに書いてありますが、やっぱり経営者の考え方は、こういうことを知っていただかないと変えないので、リカレントな形でしっかりとやろうと。そしてAIを活用した、いわゆるお金があまりかからないような形で中小企業を支援できるような、今そういうアプリやそういうものをSIPの方で開発をしています。
 ほぼ最後ですが、17ページを見てください。我々筑波大学は、東京の茗荷谷にもキャンパスがありまして、そこでこの秋から、武蔵野銀行と城南信金という金融と組んで、中小企業の外で、大宮と、それから羽田でリカレントを立ち上げます。これは今回、文科省のリカレントモデルに採択をいただいて、そのモデルづくりをやろうと。なぜ金融と組むかというと、この参加者を大学が集めることって、我々は多分できないんです。それを金融と組んで、金融がここに一緒に集めていただくと。じゃあなぜ金融がやるかというと、今地銀や信金は、今後10年、20年のビジネスモデルを考えていくときに、中小企業が存立してくれないと、ビジネスモデルが成り立たない。人手不足から、黒字倒産というのも増え出していまして、そういう意味で金融側が理解をして、いい感じで動かすことができています。こうすべきだけじゃなくて、実際に動いていく仕組みづくりが重要だと思っております。
 私からの話題提供は以上にさせていただきます。
 では、次、小熊委員、よろしくお願いいたします。
 
【小熊委員】  ありがとうございます。では続いて、慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの小熊が話させていただきます。よろしくお願いします。
 今日、女性のということだったんですけれども、どちらかというと地域とか高齢者のほうが経験値があるものですからそこも含ませていただいていいということだったので、そちらも少し話させていただくような形にさせていただきました。
 所属先の紹介と自己紹介に関しては、また御覧いただければと思います。神奈川県の日吉に本拠地がございまして、あと藤沢市や横浜市、川崎市といったところとも比較的連携を取ってやらせていただいております。
 まず、女性の身体活動・スポーツ促進のところですけれども、特に更年期についてということで、ここの部分に関しては自分のデータとしてはそんなに持ち合わせてないものですから、少しこれを機に調べさせていただいたことも含めて御紹介申し上げます。
 こちら、5ページですかね、久野先生のお話にもありましたが、女性のこの時期というのは物理的にも非常に忙しい。仕事や子育てで忙しい、自分の時間を取りにくい、費用や実施場所に制約がある。心理的にも、これは人それぞれかもしれませんが、ほかの楽しいことだったり、体力や運動することへの不安になることの抵抗等々で、なかなかやりにくい。気軽さ、簡単さが大事なんじゃないかということが出ていますし、次はスポーツ庁の調査で、やはり20代、30代、40代のところのスポーツ実施率が非常に低いということが示されているところです。
 7ページにいきますと、国民健康栄養調査の方で、歩数で見るとそれなりにというか、全く動いてないわけじゃない。スポーツをしてない部分とギャップがあるというか、それなりに忙しいというか、身体活動量は少なくない状況であることが分かりますし、その下の8ページの社会生活基本調査で見ますと、二次活動時間というのを見ているんですが、8ページが男性で、ちょっとページがお手元資料分かれちゃっていますけれども、8ページと次のページに女性のものがあるんですけれども、どうでしょう、16年なので今はもう少し変わってきているかもしれませんが、男性においては就労世代は仕事がかなり多い。点々となっているところが仕事です。それに対して女性の方は、仕事もそれなりにあるんですけれども、その上に黒字に白の点々が家事。家事がかなり30代ぐらいから亡くなるまでというか、85歳以上まで続いているような状況です。育児も白の部分ですよね。育児がこの時点で、やっぱり男性と女性で大分違うなというのが見えております。
 2023年度に藤沢で30から50代の方々に調査をしたんですが、そのときには比較的女性の就労が増えているんですが、費やす時間という意味では、まだまだ男女差があるといったようなところも見えてきました。この辺は日本の特徴でもあろうかと思います。時代とともに変わってくるところではあろうかと思いますが、介入も必要なところかと思います。
 10ページ、当たり前のことかもしれませんが、更年期女性の特徴として、先ほど若年の更年期症状というのを聞いてびっくりしたんですけれども、通常閉経の前後5年、合計10年ということで更年期と定義されているかなと思うんですけれども、それで更年期症状として、更年期にあらわれる多様な症状、特に器質的変化に起因しないものを更年期症状といっていて、ここに書いてあるような、のぼせ、ほてり、身体症状、疲労感や動悸と頭痛、精神症状、いらいら、不安、抑鬱といったようなものが特徴的。障害となると、日常生活に支障を来す状態ということに定義されています。
 次のページに、この辺の運動とか身体活動のエビデンスって最近どうなんだろうということで、少しレビュー等を調べてみました。比較的最近のものとして11ページ、2024年のものですけれども、メノポーズ症状を経験している女性を対象とした運動介入の効果を評価したもののレビューです。これで見ると、有効であることはきっと間違いはないのですが、要は有酸素運動の一部が更年期症状に有益。ただ、より具体的にどんなことをという運動形式を推奨するにはエビデンスが不十分であるといったような状況でした。身体活動、補完医療、教育プログラムなんていうのが整理されてきておりました。
 12ページは、これも23年の論文で、システマティックレビューをしているんですけれども、ストレングスエクササイズ、筋トレ等が更年期症状を改善するのに効果的かどうかというシステマティックレビューでは、足、あるいは骨盤底のストレングストレーニングが更年期症状の軽減に効果的であるといったようなことが結論つけられておりました。
 ただ、すごく細かいところまで効果が認められているかというと、この下にございますように、筋力強化や骨密度の向上に寄与する、ホットフラッシュとか血圧改善、ホルモンバランスの安定化に効果があるとか幾つか示されていますが、細かいどういうトレーニングがいいかとか、回数とかという部分まではまだ未解決な状況であるということです。ヨガや有酸素運動に関しても、効果があるということはほぼ示されているけれども、細かい状況はまだ分からない。短期のものに関してはかなりエビデンスが出てきているのですが、持続性という意味では、まだ不十分なところがあるということ。
 ただ、更年期症状に限らず身体活動、あるいはスポーツの全般的な利点という意味では、次のページに厚労省のガイドを載せていますけれども、全般的な意味で非常にいろんな効果がある。レジスタンス運動、あるいは有酸素運動、あるいはピラティスを出していますけれども、骨密度の維持や筋力向上にも有益であるし、健康感、自己効力感アップにもいいということで、更年期症状に限らず、運動することは有益であるということは結論として示されているような状況です。
 それと関連し、改めて出すこともないかと思いますけれども、13ページに、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を示しました。2013年に出されたガイドのアップデートとい形で、2014年の1月に厚労省からリリースされ、このような形でまとめられております。全体の方向性として、個人差を踏まえた上で、強度や量を調整して可能なものから取り組むとか、今より少しでも多く体を動かすといったようなところを留意しつつ、それぞれ高齢者、成人、子供の目安量が出ているといったような状況です。座りっ放しを減らすといったようなところも強調されています。参考までにです。
 その下は、これもよくあるものではありますが、ライフステージに応じたというか、生活場面や健康課題に応じた対策が必要でありますし、就労世代は、職場が中心な取組をしていく必要がありましょうし、高齢者は比較的地域がターゲットになってくるということ。あと、子供との関係ということで、学校とか保育園・幼稚園からの介入というのもあり得るということ。いろんなデバイスも出てきている中で、うまく活用する。あと健診というところに丸をつけていますが、日本で健診が非常に進んでいるので、ちゃんと健診にかかってもらうとか、かかりつけ医との関係の中で、運動やスポーツをすすめるというのも非常に大事なところかなと私自身は思っております。
 ということで、一応女性に関連するところで、比較的更年期に関わるようなところとして、ここまでまとめさせていただきました。このまま進めてしまってよろしいでしょうか。
 
【久野部会長】  はい。あと5分で、すみません。
 
【小熊委員】  はい。
 高齢期のところは、今までやってきたことでもありますので、何かこの辺に関してはお手伝いできることもあろうかと思うので、もし見ていただいて、御関心のあろうところはまたお声がけいただければと思います。
 2013年ぐらいから行っていて、高齢者を主のターゲットとして、地域全体への多面的な介入ということで、何か1つのことを行うというよりは、濃さの違ういろんな介入を、研究側だけでなく自治体とか市民の方も巻き込んで一緒にやらせていただいて、5年ぐらいかかって成果が出てきているといったような状況です。ツールの提供とか、私たちが中心に動くというよりはサポート側に回って効果が出ているような状況です。ずっと先に進めていただいて。
 
【久野部会長】  すみません、何ページか。
 
【小熊委員】  今出ているのがふじさわプラス・テン体操ということで、次、24ページをお願いします。
 量的なところの効果も出ているのですけれども、質的にもこういうコミュニティーが地域の中での資源になる、インクルーシブなコミュニティーがつくられている、というようなところも示されています。
 あと25ページ、26ページは、こういうグループで行うようなコミュニティーづくりに活用できるツールをつくっておりますので、もしよかったら御活用ください。
 この辺は研究者側だけでできることではなく、グループ運動の普及事業を自治体の方でつくったりというようなことで、両者併せて行ってきています。
 少し端折りまして、31ページです。第1回のSport in Lifeアワードの自治体部門を受賞させていただいていて、室伏長官から、コロナ禍で一部オンラインでしたけれども、賞をいただいております。
 あともう一つ、考える際に重要な考え方と思うのがシステムズアプローチというところです。これはある意味多分野連携なんですけれども、33ページを見ていただきますと、WHOが身体活動に関する世界行動計画というのを2018年に出しておられて、この中で、システムズアプローチで身体活動促進をいろんな分野と連携して行っていくことが重要だし、アウトカムとして、健康面だけでなく社会面や経済面にも多様な効果があるということを示しております。自治体で考える上でも、多分野で考えていく際に、こちらを活用したシステムズアプローチを活用した取り組みは、非常に有用な取組となっておりますので、御覧いただければと思います。
 あと関連する部分で、地域で進めていくという意味で、先ほどちらっと出てきた医師が関わるとか、健診とか、かかりつけというところがもっとうまく機能していくといいなと、私自身医師の立場でそんなことも考えて、この部分はしっかり普及していく必要があろうと思っております。
 38ページ、39ページ、40ページ、41ページ辺りは厚労省からも出ている部分なんですけれども、疾患を持つ人、高齢になるほど疾患を持っている方が多く、疾患を持つ人向けのこういうガイドが出ていますので、御参考にされていただければと思います。
 地域においても、疾患を持っている方や高リスクの方も結構いらっしゃる中で、適材適所でやっていく必要があるといったようなところが、モチベーションとして、スポーツ庁や医師会とも連携して、運動・スポーツ資源マップといったようなもの、ハードとソフト面も含めて、地域の資源を整理して、ソフト面でも連携していく必要があるといったようなことを整理して進めているところで、この辺も進めていくことが非常に大事かと思います。
 44ページが、うまくいったときの図といったようなところで紹介させていただきます。
 大学としては、KEIO SPORTS SDGs。この間もちらっと話させていただきましたが、こんな形でスポーツの普及ということも含め、いろいろ実践していますので、御参考になれば幸いです。
 以上でよろしいでしょうか。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。時間も守っていただきまして、感謝いたします。
 では、意見交換に移る前に、スポーツ庁より関連して、この内容について御説明があるということですので、中村課長、よろしくお願いします。
 
【中村健康スポーツ課長】  私から簡単に1点だけ、話題提供として資料3を御用意させていただいたんですけれども、健康スポーツ部会では基本的には成人になってからの取組をどうするかということが議論の中心になっておりますけれども、大学での取組も重要ではないかという問題提起でございます。渡邉委員の笹川スポーツ財団の方で調査いただいている、2ページ目にグラフを載せておりますけれども、高校まではかなりスポーツの実施レベルというのは高い。週5日以上スポーツをしている方が女性でも半分近くいるのですけれども、大学で実施レベルががくっと落ちて、そのまま社会人の低い実施レベルにつながっている状況であり、大学でのスポーツ環境をどうつくっていくかという観点が重要ではないかと思っております。
 1ページ目の真ん中ぐらいに書いてありますけれども、早稲田大学の戸山キャンパスでリフレッシュスタジオという学生向けのヨガとかピラティスのプログラムを提供しているところに取材に我々行かせていただきました。ヨガ、ピラティスという種目であったこともあって、ほとんどの参加者が女子学生だったのですけれども、普段から部活にも入っていない、運動習慣もないという方が参加をしていらっしゃって、大学が提供してくれるので非常に安く体験できるのが有難い、運動が苦手な方でもすごく入りやすいプログラムであるといった声が多かったほか、話をお伺いした全員から、大学で経験をしたことによって、社会人になってからも続けられそうだというお答えをいただきました。したがって、大学での介入やアプローチは社会人につながるものとして非常に大事だと思いました。
 下の方にありますけれども、ヨガ、ピラティスなどは、スポーツ庁の調査でも、女性に人気のスポーツとしてはウォーキングに次いで第2位ということになっていて、そういうことも踏まえると、大学の頃から社会人になっても続けられそうなスポーツという意味での、このスポーツだけに限りませんけれども、介入ということが大事なんじゃないかと。この健康スポーツ部会の中でも、成人対策が中心にはなりますけれども、大学での対策ということも視野に入れながら議論を進めていただけると、ライフステージ全体を見た中では、意味のある取組になっていくのではないかということで話題提供させていただきました。以上です。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 では、約20分間の意見交換に移りたいと思います。ウェブの方は挙手のボタンを押していただいて、こちらオンサイトの方は挙手をお願いします。時間も限られていますので、全員の方順番にというほどの時間はありませんので、その点御容赦いただければと思います。
 私と小熊委員のプレゼンに関する御質問やコメントも歓迎ですし、今後これを施策化していくという中で、例えば、産婦人科とか小児科、子育て女性のあたりは医療との連携がまだ弱いという部分があって、その辺りに関してもサジェスチョンをいただければと思いますし、場所としては職域、地域に、今、中村課長から大学というような場も提示された中で、そういう場所での在り方とか、それともう一つは、私もこの部会の委員、渡邉部会長の頃からさせていただいているんですけど、ずっと女性が低いまま来てしまっていて、ですから、そういう面ではこれまでの打ち手とかそこだけでは多分変わらないんだろうというふうな考え方を少ししているんですが、これが正しいかどうかは別として、じゃあどうしていけばいいのかというところをある程度具体化していかないとまた同じことが続くんじゃないかという中で、ぜひ委員の皆様から自由な御意見をいただければと思います。
 最初にちょっと産婦人科で、今日は北出委員がウェブから御参加いただいていいますので、まず北出委員からスタートさせていただいて、実はSIPでも御一緒しているので、最初に当てやすくて申し訳ないんですが、その間にぜひ皆様、御自身の論点、頭の整理をして積極的に御発言いただければと思います。
 では、北出委員、お願いいたします。
 
【北出委員】  よろしくお願いいたします。すみません、本日はちょっと遅れての参加になりました。本日の2人の御発表をお聞きしまして、本当にまさにそのとおりだと思いますし、私たちはやっぱり細かく女性の一生を見ているんですけれども、やはりいろんな世代でスポーツの効果というのはひしひしと感じております。実際アスリートを見ているその手法が、やはり一般の方にもとても当てはまることが本当に最近よく分かってきたんですが、ただちょっと1つ気になっているというか、例えば更年期症状1つ取っても、とてもスポーツが効果的なものと、実はそこまでではないというものがあったりすると思っています。
 例えば、疲れやすいとか、いらいらとか抑鬱とか、あとは骨量低下には非常に効くかなと思うんですけれども、血管運動症状、ほてりとかそういうのにはあまり効きづらかったり、肩こりとか、こりにはとてもよく効いたり、また睡眠の質も向上させる、そういうメリットもあると思うんですけれども、ちょっと難しいのは月経前半症状で、月経前半症状は、実はそれがつらい症状でメンタルが落ちやすいところを改善する効果は非常にあるんですけれども、やはり血流はよくなるんですけれども、そこまでまだ強い痛みを抑制するまでのエビデンスは、ちょっとあったりなかったりというようなのが現状かなと思っています。
 それとあと若い女性の部分、私たちも久野先生と一緒にSIPをさせていただいてすごく思うんですけれども、やっぱり痩せている若い女性は本当に筋力がなく、筋肉量自体が少ないのでエネルギー低回転型で、そういう意味ですごく疲れやすかったり不定愁訴がありますので、ここは本当に非常にスポーツが有用かなと思っています。そして、やはり除脂肪体重、筋肉というか筋肉量を上げることが重要なんですけれども、大学生というとなかなか忙しいわけではないんですけれども、ほかにも興味を持つことがいっぱいあると思いますので、例えば、ヨガ、ピラティスなどもいいですし、ダンスとか登山とかそういうのもはやっているみたいですけれども、隙間時間に気軽にできることや、格好よかったり楽しかったり、あとはきれいになれるという副産物的なそういう要素があると、とても魅力的なのかなと。それはやっぱりインフルエンサーの人を立てて周知していくのは時間がかかるかもしれないんですけど、そこはスポーツ庁がバックについていると、この前長官がお話しいただいたように、どういう症状にはどういうスポーツがいいかということもしっかりと解析されていますので、とてもそういう意味では確かというか、安心感があるように感じるのではないかと思いました。
 以上です。ちょっと感想になってしまって申し訳ありませんけれども、以上になります。
 
【久野部会長】 北出委員、ありがとうございました。産婦人科医の立場からコメントをいただきましたが、今、不定愁訴の話が北出委員からもあって、不定愁訴に対してコンディショニングがもっと普及していくことによってそこが弱まるんじゃないかなと思うんですけど、何かその辺りで、今度は整形外科医の立場で金岡委員。そこにこだわらなくてもいいですが、今日のコメント、御質問含めてよろしくお願いします。
 
【金岡委員】  ありがとうございます。私ちょっと今、いろんな産院の先生方と一緒に、出産前後での運動の介入がどういう影響を与えるかというのを調査していまして、スポーツ庁からの委託事業としてやらせていただいておりまして、やっぱりかなりいい効果はあるんじゃないかとは思います。特に腰痛に関しては産後の腰痛が減っているというふうなデータは、まだ公表できてないんですけれども、出てきております。
 その一環として、早稲田大学と産婦人科の先生方と一度シンポジウムみたいなのをやって、妊娠、出産の時期にどの程度の運動をしていいものかどうかというふうな意見をいろんな産婦人科の先生に伺ったんですけれども、あんまりきちんとした基準はないんですよね。いつ頃から、どのぐらいの負荷の運動をしていいかとかいうふうな基準は定まっていなくて、やっぱりどうしても大事をとって、何かあったらやめておきましょうというふうな形になっていって、運動があんまり普及してないというふうなことの1つの原因にもなるのかなと。
 これはちょっとあんまり、感想なんですけれども、その中で産婦人科の先生方が言っていたのは、産婦人科の先生たちの中にも、やっぱり運動させて何かあっちゃ困るからというふうな形で、積極的にするように勧める人はあまりいないんじゃないかというふうな、そういうふうなある意味世の中の感覚というのも少しネガティブに働いているんじゃないかなというふうには思います。
 あと、前回の会議でしたでしょうか、女性のスポーツ参加が阻まれている理由としては、やっぱり社会的な見方、家を空けてスポーツをしているというのはどうなのというような捉え方というのも問題になっているということを言っていましたので、そういうデータもありましたので、そういうふうな状況も関係しているんじゃないかなというふうに感じました。
 
【久野部会長】 ありがとうございました。今の産婦人科の実態について、北出先生から見た辺りを少しお話しいただいて宜しいいでしょうか。
 
【北出委員】  ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりで、ちょっと耳が痛いところではあるんですけれども、かなりちょっと知識に幅があるという印象かなと思っています。実際やっぱり大きなところ、大学病院や総合病院のようなところでは、研究ベースで妊産婦のスポーツの効果がとても高いということが分かってきていまして、DOHaD仮説のところからも、やはりしっかり食べて運動させるということが産後鬱の予防にもつながることはかなり学会でも言われているんですけれども、やっぱり開業医さんは1人で患者さんを見て、そこでやはりもしスポーツをしたことで破水ですとか早産になると、やっぱりそこの責任がなかなか取りづらかったり、サポート体制もあると思うので、そこが少し知識の幅とか、実際勤務環境といいますか、そういうところも影響しているのかなと思います。
 10年前と比べて明らかに妊産婦のスポーツはさせましょうという方向になっているんですけども、実際今、スポーツ庁の先生方と産婦人科の幹部の先生方と一緒にミーティングをこれからさせていただく予定でもありますし、もう少し迅速に進める必要があるのかなというふうにも感じております。以上です。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 時間もあるので、ちょっと産婦人科領域の件はもし何かあればまたいただいても結構ですが、少し職域という観点で御意見をいただければと思うんですが、何か甲斐委員から連絡が来たような気がしますので、まず、甲斐委員からどうぞ。
 
【甲斐委員】  ありがとうございます。現在、女性特有の疾患に関する質問項目を、職域の健診の問診に入れるという議論が進んでいて、昨年11月に中間取りまとめが出たはずです。その後の動向は追っていないのですが、それが実現すると、健診でスクリーニングされることになります。スクリーニングされると、産業医から婦人科に紹介する等の対応になると思います。先ほど、妊婦は少し怖いというお話もあったんですが、更年期については、婦人科を受診して、運動は更年期障害にいいよと勧めててもらうのが第一歩だと思います。
 更年期女性を対象とした、更年期症状への対処方法で何が有効か知っていますかという調査があります。ホルモン療法と漢方は半数以上の人が有効だと認識しているのですが、運動療法が効くと答えた人はたしか10%という結果でした。ですので、まず運動の有効性を知ってもらう、そのためには医師に勧めていただく。今後、健診を契機にそのルートができるかもしれないのは、大きなチャンスだと思っています。以上です。
 
【久野部会長】  ありがとうございます。甲斐委員にもう一つ、すみません、特定健診の保健指導実施率がずっと悪いという実態があると、そこだけの政策でとどまっていると、結局は実施率につながらないんじゃないかと考えざるを得ないんじゃないかと。その辺りに対して何か次、打ち手を考えるために必要な情報という観点ではいかがでしょうか。
 
【甲斐委員】 ありがとうございます。確かに特定保健指導実施率がたしか二十何%なので、それだけに頼っていてはいけないというのはとてもよく分かります。健診に質問項目が入るかもという情報が広がっているからなのか、今企業では女性の健康づくりに対する興味がとても高まっています。産業医からのルートに頼るだけではなくて、スクリーニングするからには、やはり何かの打ち手をしなきゃいけないと思う企業は確実に増えるのではないでしょうか。ですので、そこに対して、例えばミナーや勉強会の機会等はとても大事かなと。つまり、企業単位での取組というのは大事だと思います。
 
【久野部会長】  これで小松原委員にいくなという、準備をしていただいたお顔をしていましたので、ぜひちょっと企業健保の立場からお願いします。
 
【小松原委員】  ありがとうございます。健保連の小松原でございます。
 先ほど、労働安全衛生法に基づく健診に女性の健康課題が入るとのお話がございましたが、入るのは職場において困っていることがあるか否かを問う項目だけで、個別具体的な課題を企業側は把握しないような仕組みになっております。健診機関側でスクリーニングされて、健康課題が判明した場合に専門医につなぐ仕組みになっており、健診では健康課題の有無しか聞いていないため、どのような健康課題があるか企業が分からないというのが実情です。現在、企業側が最も対応に苦慮しているのは、女性の健康課題を正確に把握するための調査を行おうとすると、セクハラと言われるなど、様々な非難を浴びて把握できない状況にあります。「このような聞き方を統一的にしましょう」という国の指針を策定いただくと、正しい健康課題の把握につながると私は感じております。
 
【久野部会長】  重要な視点が出てきていますが、そのほかはいかがでしょうか。子育て女性や更年期、いわゆる高齢者じゃない手前のところの状況について、佐々木委員、何か御発言いただくことは可能ですか。
 
【佐々木委員】  ありがとうございます。私たちスポーツ健康産業団体連合会は、基本的にスポーツを実施する施設の団体が会員で、今、フィットネス団体では会員の方々について60歳以上が大体50%というようになっております。女性の方々の参加というのも、フィットネスクラブは現状では多いという形でございます。
 一方で今、スポーツ団体などで課題となっているスポーツ参加率についてですが、競技スポーツに参加していただく方々というものには、もうほぼ全てリーチをしている状況じゃないかと思われます。いわゆるスポーツに参加されない方々にどうリーチしていくのかということです。来週、SPORTECというスポーツ・健康産業の展示会がございますが、ここにはまさにスポーツのパフォーマンスを上げるための製品などが出ております。一方、これは1つの意見になりますが、民間企業の方々からすると、スポーツをしない方へどうアプローチしていくのかというところで、コンディショニングや食品というようなリーチがあります。そこで、11月にコンディショニングや食品に関する企業・団体が集合いたしまして、Wellness Tokyoという新たな見本市を立ち上げることになっています。これはいわゆるコンディショニングと、あと、食・栄養からのアプローチという2つに絞った日本でも初の展示会が民間から立ち上がってきております。
 こういったいわゆる民間の企業・団体の方々が一丸となって、スポーツをしない方々、もしくはスポーツをいかに日常に取り組んでいくのか、というような動きも出てきているという形です。少しそちらの方を情報としてお入れさせていただければと思います。ありがとうございました。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 地域という観点で、女性のスポーツ実施、世代は幅広く捉えていただければと思うんですが、宮脇委員、首長の立場から、特に女性の健康とスポーツという観点で、湯梨浜町の現状や考えられている点をぜひお願いいたします。
 
【宮脇委員】   何回かここで申し上げていますけれども、私たちの町はグラウンドゴルフの発祥地でございまして、ウォーキングとか、そのほかのスポーツにも力を入れております。町でグラウンドゴルフの大会を急にこの日にやりますよと言えば400人くらいは集まってこられるということがあります。女性同士で誘い合って、日課みたいにして楽しむ方もおります。
それから、トレーニングジムといいますか、筋トレする部屋を公民館につくったんですが、女性の利用状況について聞いてみたところ、意外だったのは、高齢者がそんなに多くないということです。高齢者の方も思って整備したんですけども、利用しているのは60歳以下の方たちばっかりみたいなところがありまして、それはうれしい誤算だったんです。
 女性のスポーツ実施のところは、スタジオプログラムでいろいろなスポーツをやっております。地域おこし協力隊員と、職員1人を充てながらやっているんですが、過疎地域に施設を置いて、そこに人が集められる仕組みをつくりました。町内でも人口が増えている地域減っている地域がありますのでそういう観点からやったんですが、効果を発揮しております。
 ちょっと今日持ってきているデータだと、性別ごとの利用状況については御紹介できませんけれども、結構トレーニングルームに女性の方は来ていらっしゃるというふうに伺っております。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。1つの実態を御説明いただきましたが、あともう一方、日本スポーツ協会の岩田委員、日本スポーツ協会の方で特に女性のスポーツというような観点で、少し御紹介いただいていいでしょうか。
 
【岩田委員】 日本スポーツ協会(JSPO)の岩田です。ありがとうございます。
 2点。一つ目は、女性のスポーツ実施率を増やす、いわゆる女性のスポーツ愛好家や、アスリートを増やすということは、指導者を増やす、さらに言えば指導者の中でも、スポーツドクターという指導者資格。JSPOでは女性アスリート健康支援委員会を立ち上げておりまして、これは日本産婦人科医会、それから日本医師会さんと連携して運営しております。2年前まではJSPOに事務局があったのですが、今は日本産婦人科医会に事務局を置いて取り組んでいます。この団体は、アスリートだけじゃなくて全ての女性のために産婦人科受診体制の構築ですとか、産婦人科の疾患の啓発という事業を展開しております。さらに言えば、スポーツドクターは今、全国で6,000名の先生方に御活躍いただいているんですが、産婦人科の専門のスポーツドクターを増やすことに取り組んでおります。言えば産婦人科医のスポーツドクターを増やすということで、実はスポーツドクターの資格取得の際には、都道府県のスポーツ協会、それから中央競技団体からの御推薦をいただくんですが、待っている状態の方もたくさんいらっしゃっていただいて、その中で産婦人科医枠を増やしていくためには、この支援委員会からの推薦も15名~20名御推薦いただき産婦人科医を増やしていくという取組に力を入れております。
 もう一つは、先ほど中村課長からありました大学スポーツの点です。やはり国立大学の教育学部あたりの小学校教員養成課程のところで、小学生を指導する小学校の教員になるための教育学部の女性学生にスポーツの楽しさを知っていただくことが大事かと。この教育学部の女性学生が、まずスポーツはつらいと、楽しくないと、先ほど小熊委員の中にもありましたように、他に楽しいことを優先してしまうということは、他に楽しいことがやっぱりあるので、スポーツは楽しいという認識をしていただくことが必要だということです。やはり国立大学の教育学部、特に今、岐阜大学さんなどが一生懸命やっていただいているんですが、JSPOで開発しましたACP(アクティブチャイルドプログラム)あたりで子供たちと一緒に楽しく動きづくりをやっていく。そうすると小学生の体育の授業にも取り入れて、小学生の女子児童がスポーツは楽しいという認識の下、中学校、高校と進んで大学でもやるという好循環が生まれればいいなと思っています。以上です。
 
【久野部会長】  ありがとうございます。対照的に起こっているところへの対応ではなくて上流から攻めていくということで、非常に面白いというか重要なお話をいただいたと思います。
 ここまでのディスカッションの取りまとめを含めた形で、ぜひこの分野の造詣が深い津下委員、コメントをお願いします。
 
【津下委員】  ありがとうございます。本日はウェブでの参加になり、申し訳ございません。
 女性の痩せの問題ですが、現在私、大学で女子学生中心に疾病全般の講義をしている中で、「とくに気になる健康障害」を尋ねると第一に上がるのが摂食障害や痩せ。お友達の話、自分自身もそうなりそうだったということですが、やはり知識を得るということはすごく大事で、多くの生徒が自身の行動目標としてきちんと食べ。運動をすることを入れてくれたとことから見ると、大事な時期にきちっとアプローチをするということの大切さを実感しながら伺っておりました。
 一方、企業とかいろんなところで、また、自治体も運動の機会、女性に向けたというのを用意していただいている。これ、入り口として非常に重要で、ヨガとかピラティスとか、が良く上がりますが、ただ1つだけ心配しているのは審美系のものが多くて、やはりそこで止まってしまうと、何となく痩せ願望の延長みたいな形になってしまうといけないかなと。そこを入り口にして、次の本当に有酸素運動とかレジスタンストレーニングとか、これから一生生き抜いていくための体力要素というのを取り入れたトレーニングにつなげていく。また、更年期に向けて、継続や仲間づくりが非常に重要と思いますので、健康体操など、何らかの形でスポーツに関わっていけるといいかなと思っています。
 その点で、先ほどの子供の頃からスポーツ嫌いを減らすことは非常に重要なことですし、もう一方、高校ではやっていたスポーツをやめてしまうという、引退という言葉でスポーツと別れてしまうというのは非常にもったいない。引退ではなく、これからのマイスポーツどうするんだということも含めて、濃淡はいろいろあれ、生涯スポーツをやめなくて済むよう、ライフコースに合わせた取組というのが重要と思います。それは人に対して働きかけるだけでなく、そういうのに触れやすい環境をつくっていただくのが重要かなと。
 何よりもこの会議で、女性のスポーツの在り方というのをしっかり議論されたというのは非常に意義が深いかなというふうに思いました。どうもありがとうございました。
 
【久野部会長】  いえいえ、すみません、最後急に当てまして、私がまとめずに済んで助かりました。ありがとうございます。
 では、最後に室伏長官からぜひお願いします。
 
【室伏長官】  ありがとうございます。もう委員の方々がほとんどおっしゃっていますが、ちょっと疑問というか、痩せた方、女性の糖尿ということで、スポーツ、筋肉、糖尿、肝臓と考えますと、肝臓の機能を高めることが、もしかしたら、一気に力を出すにも糖使いますし、ということはあくまでも統計学的な話でしかなくて、本当にどうなっているのかということをまでは解明されてないのであれば、肝臓の代謝に今有効なのがレジスタンストレーニングと一番言われています。そうすると、ウォーキングだけでは乳酸出ませんので、しかも乳酸が最近は悪いものではなく、肝臓の代謝にもいい、脳にもいいとか、血管にもいいとありますので、そうすると4つの要素の話の中で、やはり筋肉に、有酸素ではなく刺激を与えるようなことをし、乳酸が出てくることが肝臓の代謝を高めるということになると、痩せていても肝機能がいい人がいるわけなので、もしかしたらそういう考えを持つと全く違う話になって、トレーニングの仕方、今、週2回ぐらいのレジスタンストレーニングは肝機能に関係するみたいな、乳酸と関係ある話もあるので、こういう考えも今後具体的に示していくと変わってきて、痩せていても肝臓がよければいいみたいな話になるか分からないですけど、そういう考えもあるのかなと思いました。
 あと、スポーツができることはたくさんあると思うんですけど、日常生活レベルとスポーツと両方あって、スポーツでエクササイズをする。そして、日常生活のレベルで、昔はお母さんたちがバーゲンでも安ければどこまでも行った、服を取り合ってとかテレビでやっていましたけど、今ワンクリックで動く理由を失ってしまって、動く必要はないんですよね。動く必要ないものをどうして動かすんだということは大変大きな問題なので、生活のスタイルをどうするか。例えば、大腿部の筋肉も一番血流が大きくするのはお尻とか臀部ですけれども、机じゃなくて座位になれば、オフィスじゃないですけどなれば、毎回立ち上がらなければいけないので、股関節もいいですし、腰痛、疾患がある方はまたちょっと別のこととして捉えていただきたいとは思うんですが、全部今の話は。しかも我々人間は7割ぐらい前後しか、力7割余らせているんですかね。70%前後に制限されて、ほとんど力を日常出さないでやっていますので、どうやったら一気に仕事でもスポーツでも、何か力を発揮できるか。やはりパフォーマンスという点も含めて、仕事をこれだけしなくてもいい、動く理由を失う、買物も行かなくなったみたいなことの生活スタイルは、大変危機的な状況じゃないかなと思うんですけれども、何かそういう辺りで新しい考えを持ってやっていくと、またよりスポーツの効果も高まってくるのかなというふうに思いました。以上になります。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。ここまでこのテーマで、熱心な御議論ありがとうございます。
 では、次に移りたいと思います。次は、地域におけるスポーツ実施促進に関してということで、藤田明美委員の方から御発表をお願いいたします。
 
【藤田(明)委員】  加茂市長の藤田明美です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、地域のスポーツの事情について、特に高齢者にスポットを当ててのお話になりますので、よろしくお願いいたします。
 まず表紙をめくっていただきまして、2ページをお願いします。加茂市の概況をご説明させていただきたいと思います。加茂市は新潟県の新潟市と長岡市のちょうど真ん中にありまして、新幹線の停車駅ですと燕三条駅が一番近く、車で30分程度のところにあります。現在、加茂市の人口が2万4,000人弱、高齢化率も40%になりました。昨年の子どもの出生率も68人と70人を切っておりまして、20年前と比べて4分の1ぐらいの子どもの数になっています。左側に人口推移のグラフがありますが、現在、加茂市では公共施設の再編を行う計画としており、今後20年間かけて、公共施設を人口減少割合に合わせて約38%床面積ベースで減らしていきたいと考えています。そのための説明会を、各地域を回り開催しています。この説明会は全部で100回の開催を予定しており、その際に使用している資料になります。今後も人口が減っていくということを市民の皆さまにもお伝えしており、国勢調査時の数字として、2020年に2万5324人、推計値として2050年で1万3027人ということで、この30年間で人口が約半分になるということを説明しています。
 加えまして、今から10年すこし先、ちょうど黄色と緑の線がぶつかっているところがありますが、65歳以上の老年人口構成比と生産年齢人口構成比が同じくなる時が近々やってくるということ。また2045年頃には、人口の約半数が65歳以上の高齢者になるというお話をさせていただいています。
次に、3ページをお願いいたします。
 先ほどの公共施設については、もちろんスポーツ関係の施設もやはり再編の対象になっており、様々なご意見をいただいています。3ページの内容としては、加茂市民の健康課題が多く、身体活動を1日1時間以上実施している人が県平均と比べて低いということであったり、糖尿病が疑われる人の割合も、県平均よりも非常に高くなっていたりします。理由がはっきり分からないところですが、運動不足の人が多いこと、生活習慣病発症者が多いということが非常に大きな課題となっています。そういったことを踏まえまして、次の4ページをお願いいたします。
 現在、加茂市では健康ポイント事業を行っているところです。これは活動量計を持っていただいて、いかに普段歩いているかを数値化・見える化の場として計測会を行っています。ほかにも市内の公共施設とスーパー、民間事業者にもお願いし、活動量計をかざす場所としてチェックポイントも設けて、都度チェックしてもらうようにしています。また、年に一度スタンプ賞という表彰もするようにして、なるべくインセンティブをつけるようにしています。もちろんたくさん歩いた方にも景品を差し上げるようにすることで、なるべくたくさん歩いてもらえるようにしたいと思っているところで、令和4年から比べますと、参加者は着々と増えてきています。活動量計を持っているけれども活動していない人も中にはいますが、アクティブユーザーは年々増えてきている状況です。続きまして、5ページをお願いいたします。
 健康ポイント事業の続きですが、健康ウォークという形で市の事業として開催しており、歩く機会も増やすようにしています。以前は年1回のみ健康ウォークを開催していましたが、趣向を変えて長い距離を歩いたりや長くないけれども気軽に歩けるイベントとして年4、5回開催するようにしています。内容も季節に合わせて、新緑を感じながら歩く、桜の時期は桜を見ながら歩くようにする。また、親子の芋掘り遠足、冬であれば新潟県として割と特徴的な雁木がありまして、雨や雪が降っても商店街、まちなかは比較的歩きやすい環境にもなっていますので、そういったところを歩く。やはり大勢の方で歩くと、1人で歩くよりは楽しんで歩きやすいと思われます。また、この事業は民間事業者の方々とも連携しておりまして、例えば、ボランティアの皆さま、地元の高校生、大学生も一緒にボランティアとして参加してくださり、地元の薬剤師会の皆さまとも連携しています。
 また、データとして、参加されている人は、その下の表にも出ているとおり、40歳から64歳まで、65歳から74歳の方々が多くなっています。
 5ページの右下にもデータで示しているとおり、介入前と実施してからを比較すると、歩数、歩幅が広くなってきた人が増えていることが分かります。続きまして、6ページをお願いします。
 6ページは医療費に関するデータですが、国保と後期高齢の方のデータがありますが、これも医療費は削減されているということが分かります。続きまして、7ページをお願いします。
 7ページも、先ほどの健康ポイント事業について記載しています。また歩く機会を増やしていくということで、やはり全ての年代で85%以上の対象者の方が60点以上の満足度を示しており、やはり運動のモチベーションの向上、また、将来の体のためといった前向きな理由でこの事業に参加していることが分かります。続きまして、8ページをお願いします。
 高齢者が取り組んでいる具体的なスポーツ、どんなスポーツをやっているかということについてですが、今回このようなお話をいただくまで、高齢者においてスポーツや通いの場は、認知症予防という観点では、比較的事業を意識することが多かったのですが、実際、スポーツという視点でなかなか意識してこなかった点にも新たに気づかせていただきました。ほかの自治体の皆さまにとっても人気のスポーツではないかと思いますが、高齢者の方がよく参加されているものとして太極拳。これは指導者の方がいることもあり、太極拳をされる方が多いと思われます。中には、全国大会に出場される方々もいます。また、グラウンドゴルフやゲートボールをされている方も多くいます。続きまして、9ページをお願いします。
 市民登山としては加茂市は三百名山と言われている粟ケ岳、比較的に上りやすい猿毛岳、薬師山という山があり、登山される方も非常に多いです。市民登山に参加される方もやはり高齢者の方が多いということ。まちなかにも加茂山公園、加茂山もありまして、トレッキングされる方も非常に多くいらっしゃいます。この分野とは異なる課題ですが、最近、クマがまちなかに出るようになりまして、気軽に加茂山に入りにくくなっているという状況になっています。その対策も今後は必要になってくると思っています。
 また、その下のバレーボール大会として、全国的な傾向かと思いますが、昨年から高齢者の部門も設けており、ことぶきの部、おふくの部といって65歳以上の方、70歳以上の方もチームをつくって参加されています。実際、80代の方も選手として参加されていまして、長年バレーボールを続けていらっしゃるということは大変すばらしいことであると感じました。
 また、水泳教室につきましては、市が委託しており、市営の温水プールにて事業を行っています。また、水泳教室にも高齢者の方が多く参加しています。
 続きまして、10ページをお願いします。3つ目は、通いの場として、健幸さんの家として行っている事業があり、地域活性化企業人を活用し、下の方に出ている小瀧さんという方を医療政策専門員として採用しています。活動の目的としましては、日常生活に支障が出ないように、高齢者の方に運動習慣をつけてもらうということ、住民同士の交流の促進、地域活性化、そして認知症予防があります。また加茂市では昨年、認知症に関する条例として、認知症とともに生きる笑顔あふれるまち加茂基本条例というものを制定し、認知症に対してもしっかり予防もする、また、それにも備えるということを目的に条例の制定をしています。この事業はその一環となります。
 通いの場では1回に平均で20人ぐらい参加しておりますけれども、参加者は圧倒的に女性が多い状況で、男性は1人か2人です。
 続きまして、11ページをお願いします。同じく健幸さんの家の主なプログラムの内容ですが、特徴的なのは、地域活性化企業人の小瀧さんでもあるかと思います。椅子に座って空手をする椅子空手を教えており、それを1年後にみんなで演舞を披露するということを目標に、皆さんで日々トレーニングに励まれています。椅子空手の目的としても、身体機能の向上や全身運動による筋力・体力向上、体幹強化、バランス感覚の向上等があります。
 また、それ以外にもこの通いの場におきまして、理学療法士や薬剤師、司法書士、地元の地域包括支援センターの皆さまと連携して、健康相談、健康教育も行っています。小瀧さんや演舞を指導する方は毎回加茂市に来られるわけではありませんので、その場合はオンラインにて、画面を見ながら参加者の方々は椅子空手をされています。小瀧さんは参加者から非常に人気があり、オンラインではなく実際にご本人がいらっしゃると特に女性の皆さまの参加率も高まるというような状況になっています。
 続きまして、12ページ。こちらが最後のページになりますけれども、これらを通じて、今、加茂市として課題だと感じていることを述べさせていただきたいと思います。まず、一つ目ですが、まず、スポーツ推進計画が策定されていないので、市としてのスポーツの方向性が曖昧であることです。
 二つ目として、健康スポーツ無関心層への参加を促すアプローチがなかなか難しいと思っています。先ほどの健康ポイント事業についても、関心がある方が参加しているのですが、一番大事な無関心層の方については、声をかけてもなかなか参加してくれないという状況にあります。
 三つ目としては、公共施設の再編をしていく中で、公共のスポーツ施設も減っていくということ。ただ、減らしたとしても機能はしっかりと保てるようにはしたいとお話をしているのですが、それでも減らさざるを得ないということ。地方ならではの問題かと思いますが、民間のスポーツ施設がほぼ無い状態です。そうしますと、なかなか、施設にアクセスしづらい状況にはあるのかなと思います。もちろん施設がなくてもできるスポーツとして、先ほどのウォーキングのようなものもあります。しかし、施設があることでできるスポーツもありますので、そういった部分では、やはりスポーツをする機会が失われているのではないかと実感しています。
 フィットネスジムが欲しいという要望も多くいただいており、加茂市でも公共施設の中にジムはありますが、器具の老朽化も進んでおり、民間のジムと比べて豊富にないという点も課題になっています。その部分をこれからどうしていきたいかということもこの再編に踏まえて、可能な限り市民の皆さまの要望も叶えられるようにしていきたいなと思っているところです。
 四つ目として、再編をすることで公共施設が減っていく中で、スポーツ施設までの移動手段というものも確保していかなければいけないと思います。特に高齢者になればなるほど負担になります。現在、公共施設を再編するに至っては、スマホと携帯電話の位置情報からデータを集めており、その結果を見ると公共施設まで車で移動して利用している方が多いと思われます。高齢者にとっては移動が難しくなると思われ、施設までも行けなくなってしまうという意味で、地域公共交通自体も変えていかなければいけないと思っています。
 さらに、ここに載せていませんが、現在、市役所の組織の改編もやりたいと思っており、来年度から少しずつ着手する予定ですが、その中で、今、スポーツ振興課という部署が加茂市役所にあり、スポーツに関する部署を今後はどこに持っていくのかという点が一番の課題になっています。最初の案では健康づくりに関する部署に、今のスポーツ振興課の仕事を持っていきたいと思っていたのですが、職員の感覚ですと、やはり健康づくりではなくて、生涯学習なのではないかという意見が多くなっています。ただ同じスポーツに関しましても、やはり大人になってからスポーツをするということと、子供たちが競技としてのスポーツで力をつけたいという観点だと、また全く施策が異なってきますので、そこは分けたほうがいいのかどうかということも、課題になっています。そういった意味では、スポーツとして市の事業を進めるにあたっての根本的なところの市役所の部署についても、少し課題が多いなという点は実感しています。
 私からは以上となります。ありがとうございます。
 
【久野部会長】  どうもありがとうございました。自治体の首長として抱えておられる施策と課題を的確に御説明いただきました。
 地方都市で、これだけ人口減が見えている中で、スポーツ施設も公共施設の場合が多いんですけど、これ、首長さんとして数を減らそうとすると大体反対しか出てこないんですよね。ただ現実的にそういうことを進めていくことと同時に、住民の方のスポーツがやりやすい環境をどう維持していくかということは非常に重要なテーマだなと感じましたが、この辺りを含めて、地域にも詳しい渡邉委員から、議論の口火をお願いしてよろしいでしょうか。
 
【渡邉部会長代理】  ありがとうございます。
 藤田委員のお話、よく分かります。一番最後、12ページにある検討事項というのは、多くの自治体に多分共通することなんだろうと思います。先ほどお話にあったスポーツを推進する部署をどこに置くかというのは、これはやっぱり地域事情だとか行政事情があると思うんですけども、一番大事なことは、市役所の各機能に横串がちゃんと刺さるかということだと思うんです。学習する部署にあろうが、健康福祉の部署にあろうが、しっかりとした連携を市役所内で取れるかどうかというところが大きいんだと思います。
 それともうひとつは、市役所の外にありますスポーツ協会さんとか、スポーツ推進委員の連合会さんとか、あるいは民間のフィットネスクラブなどの関係者との連携をきっちり図れるかどうか。いわゆる産官学民のプラットフォームをつくって、市のスポーツ推進を継続的に進めていくことができるかどうか、ここがポイントと思って聞いておりました。
 スポーツ推進計画をつくったことがない自治体って意外と多いんです。総合計画の中では取り扱っているんですが、特出しして個別の計画をつくっていないというのは多いと思います。だから、つくるということ自体がまず第一歩になると思って聞いておりました。
 それと、前半の話にもちょっと戻っていいですかね。
 
【久野部会長】  どうぞ。
 
【渡邉部会長代理】  久野委員と小熊委員の話、すごくよく分かりましたし、勉強になりました。私、基本計画部会の方も絡んでいるんで、そことの絡みで申し上げますと、やはり今日の女性のテーマもそうですし、地域住民のスポーツ無関心層、どうやってアプローチして、要は主体的に行動変容を起こしてもらって、それを継続するかという話ですよね。そのためにどうしたらいいんだろうという話を、さっきお話聞いてずっと考えていたんですけれども、久野委員や小熊委員の資料のようなものを一旦きっちり整理して、エビデンスがしっかりしているものとないものがあろうかと思いますけれども、そういうものを整理して、スポーツ庁のホームページの中で公開してもらう。当然それは見たい人しか来ませんから、どうやって無関心層の人に届けるかというのは、議論が必要なんだろうと思います。
 ただ、それをまず最初にやりながら、やはり受け取る方のリテラシーをきっちり高めるということと、あとは女性の場合でいうと、物理的な時間をいかに確保するか。これはやっぱり男性の協力も必要になってくると思いますので、これはスポーツ庁だけの政策ではなかなか難しいところがあろうかと思いますので、中央省庁の連携というのもここで図る必要があると思います。
 個人の行動変容を促すためには、背中を押すことが大事ですよね。久野委員のところは金融機関等とも絡んで、ご自身の所属は大学という教育機関ですし、小熊委員のところは藤沢という自治体との連携協定というのがあったと思うんですが、様々なリソースと関係があると思うんです。JSPOさんもそうなんですけども、プロリーグがこれだけ今出来上がってきていますし、佐々木委員のところのようなスポ団連の加盟企業もありますから、こういったところといかに協力連携が図れるか、これが何より大事なのかなと思います。
 当然行動変容を起こして継続してもらうには、身近な環境が何より大事になってくると思います。ここはさっき言った、自治体とか企業とか様々なところとの連携を図りながら、身近にスポーツができる環境整備というのを、国全体で進めていかないとなかなか成果が上がらないと思います。楽しい環境、一緒にスポーツを楽しめる仲間、こういったものを確保することが何より大事だと思います。
 本日は女性というテーマでしたけど、高齢者も一緒だと思いますし、働く世代に関してもみんな一緒だと思います。そういった全体的な俯瞰的な施策を司令塔として、これからスポーツ庁が政策にどう落とし込んでいけるかどうか。私自身、スポーツ審議会は5期目を迎えましたので、今度はそこもじっくりと議論できればと思います。すみません、こんな話で。
 
【久野部会長】  いえいえ、すごく重要な点、総括的にまとめていただきましてありがとうございました。
 地域のことに非常に詳しいという観点で、近藤委員、ぜひ御発言をお願いしてよろしいでしょうか。
 
【近藤委員】  ありがとうございます。今お話を伺って、ハードとソフト両面からのアプローチで、大分手がかりが増えてきていますので、手短に御紹介したいと思います。
 私たち全国の数十の自治体の、特に高齢者についてはデータが集まったものですから、おおむね小学校単位ぐらいでいろいろ分析させていただきますと、同じ市内でもスポーツ実施率が4倍ぐらい違うということが見えてきています。それで市の職員の人たち、地域をよく知る人たちに集まっていただいて、スポーツ実施率が高いエリアってどういうエリアなんでしょうか。いろいろヒアリングしたり、ワークショップで仮説をだしていただいた後、データでそれを裏づけるということを重ねてきました。
 ハード面でいきますと、やっぱりスポーツ関連施設、スポーツしやすい環境のところでスポーツ実施率が高いということは繰り返し出ています。農村的な中山間地域でもスポーツ実施率が高いエリアがあって、どういうところなんですかと聞いてみると、グラウンドゴルフ、あるいはゲートボールができるところがあって、その地域の老人クラブがそれを活用して一生懸命やっているというようなエピソードといいますか、そういう事例も得られています。
 あとソフト面でいきますと、やっぱり中山間地域ですごくスポーツ実施者が多いエリアを見つけて、どういう地域かと聞いたら、年間何と50種類の大会がある。ウォーキング大会からゴルフ大会まで、そういうイベントがあると、やるんだったら勝ちたいというので時々集まって練習もしているという事例だったり、あと健康ポイント制度については、世界中の無作為化対象比較試験のシステマチックレビューが出たりしています。
 あとはネットを使ったインストラクターがやるスポーツとか体操とかがあるんですけれども、考えてみますと、日本はラジオ体操という歴史的にも学術的にも検証済みのものがありまして、リモートでみんなでやるというのも、効果があるということが分かってきています。そういうものは人口が減っていくエリアで、言い方を変えると高齢化が進んだエリアで、どうやってマネタイズ、資金を確保して民間を巻き込むかという視点からいきますと、先ほども御紹介あったように、運動している方たちでは医療費が1人10万円から20万円抑制されるというのが、久野先生たちの研究はじめ大分たまってきています。ということは1,000人やると医療費が1から2億円の医療費が抑制できるという粗い試算も可能です。それをスポーツ庁もぜひ成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)とかソーシャルインパクトボンドなどの仕組みも使って民間を巻き込んでいく、そんな好事例をつくって全国に普及するということも、ぜひ第4期には書き込んでいただいたらどうかなと思いました。以上です。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 もう一方、すみません、時間の関係があって、まだちょっと議題があるので、最後、男性の方の藤田委員、ぜひコメントいかがでしょうか。
 
【藤田(紀)委員】  突然振られてびっくりしたんですけど。今の地域のスポーツ実施率にしても、それから女性の実施率にしても共通しているところがあって、私は障害スポーツだけじゃなくてスポーツ社会学という分野の研究をしておりまして、皆さん今日ここにいらっしゃる方は、女性のスポーツのことのスペシャリスト、それから、どう実施率を上げていくかというところに議論が集中しているかと思うんですが、一方で実施率を下げないためにはどうすればいいかというところを考えていくのも1つかなと思っています。
 先ほどのグラフなんかでも20代、30代、40代でぐんと実施率が下がりますよね。それから、部活動の女性の実施率というか加入率を見ても、中学校からどんどん下がってきますよね。それは何でなのか、どうして女性のスポーツ離れが起こるのかというところに注目をして、その原因をもう少し深掘りができないのかなというふうに思います。もしかしたら指導の仕方がよくないのかもしれないし、もしかしたらニーズに合ったものが準備できてないのかもしれないんですよね。ピラティスとか、それからヨガというのを、もしかして小学校、中学校ぐらいから授業の中でやっていたらずっと続けられるかもしれないですよね、女性。あるいはボクササイズですか、暗いところでやって女性ががんがんやっているという話も聞きますし、何かそういうニーズに合ったものをもう少し準備していく必要があるんじゃないかなと思いました。
 実施率を上げるというところに注目するのも1つ、これは端的なところでは非常に重要な施策になると思うんですが、いったんスポーツに対する関心を失った人に行動変容を起こすことは難しい、中長期的に見るときには、子供の頃からの実施率をどう下げないでいくかスポーツ嫌い、無関心層を作らないというところに注目するのも必要かなというふうに思いました。以上です。
 
【久野部会長】  ありがとうございます。さすが藤田委員で、急にお当てして、非常に重要な観点をお話しいただいたと思います。
 最後、すみません、皆さんお当てしていないのに、私からぜひ。ちょっとこの辺は割合専門分野でもあるので、今日の藤田委員さんに少しでも参考になればと思いご紹介します。シンガポールが、施設の再編でミックスドユーズドな施設に変えたんです。スポーツ施設だけ、文化施設だけじゃなくて、そこでスポーツも文化も、さらにショッピングもできる、塾もある、病院もあるという場にすることによって人が集まりだして、活用している姿を日常的に見られるようになって、それまで日本と同じスポーツ実施率だったのが、ここ10年から15年で今74%ぐらいまで上がったという事実がある。施設の再編の工夫次第で、すごく違ったまちづくりができるんじゃないかと感じました。
 あともう1点は、今日の人口動態のデータを見せていただいて、特にこれは加茂市だけじゃなく、85歳以上人口の高止まりが2040年まで続きます。そういう中で、高齢者という見方だけではなくて、例えば75歳後期高齢者、あるいは80歳以上の方々が実際にスポーツをし続ける環境や雰囲気をどうつくるかという視点が、高齢者が多い自治体ではすごく大事だなと思いながらお聞きしていました。ありがとうございます。
 最後、この話題で、長官からぜひ一言お願いします。
 
【室伏長官】  格好いいお年寄りつくるといいですよね。多分格好いいかどうかの問題かな。そうすると医療費もあるんですけれども、我々どこまで、ピラティスやる、ウォーキングするとやると、シューズ買ったりとか、マット買ったりとか、服も買ったり、このまま行くわけではないので、むしろスペンドすることによってリターンがどうあるかという考えをそろそろしないと、抑制したことでハッピーになっているとも限らないところもちょっとありまして、それはもちろん行政的にやらなきゃいけない、医療費を抑えなきゃいけないんですけれども、ポジティブなところもちょっとどうですかね、格好いいですよね、先生も。すぐに運動できそうな雰囲気みたいな、やっぱり格好いいですよね。それに乗っていくみたいな、そういう憧れの世代のモデルみたいな人がいるといいですね。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
とても熱心な討論をありがとうございます。もう少し本当はやりたいんですが、もう時間がなくて申し訳ありません。御発言できなかった方もいらっしゃいますが、あるいは御発言されてももう少しこの点に気がついたという方は、ぜひ事務局にメールで御連絡をお願いいたします。
 では、議題2に移らせてください。熱中症対策の取組について、日本スポーツ協会における取組を岩田委員より御発表をお願いしております。岩田委員、10分でお願いしているんですが、若干早めていただけますでしょうか。申し訳ありません、よろしくお願いします。
 
【岩田委員】  資料5を御覧ください。資料5、2ページを御覧ください。
 先ほど座長からもありましたが、熱中症の新聞記事が出ない日がないぐらいでございます。熱中症予防の取組は、JSPOでは1991年、1回目の世界陸上が、東京でありました年から始まりました。その頃から我々は研究を取り組んでおります。ただ97年から5年間、ジュニア期の冬季トレーニングということで、ちょっとタイトルを変えて、また2003年からは現在に至るスポーツ活動中の熱中症予防に関する研究としてやっています。これは東大の川原貴先生を中心に、我々の方で研究班を立ち上げてやっております。3ページを御覧ください。
 昨年2024年に、公認スポーツ指導者、資格を持っている方約1万人に対する調査を実施しました。ですから、ある程度学んでいる方に対しての調査ということで、1のところを御覧ください。水分補給が大事だと。これは100%近い98%の方が分かっていらっしゃる。ただし、下の方、いわゆるスポーツ活動時間を変更するとか、身体冷却をやるとか、暑熱順化をやるというところはまだまだ知識が、公認スポーツ指導者ですら、まだ認識が少ない。
 2のところを見てください。その中でも身体冷却の部位で、頭部とかそういったところは、4分の3の方が冷やせばよいとの認識なんですが、最近一番効果があるという、上から4番目の手掌冷却、手を冷やすと、動静脈吻合という部位があるので、そこを冷やすと冷やされた血液が静脈を通して深部体温を下げるということが研究発表で分かっています。ですから、手掌冷却というところも大事かと。ただ、そこはまだ認識が少ない。3番目のところ、さらに言えば身体冷却のところは水分補給というのは、ある程度皆さん分かっていますが、最近、アイススラリーという細かい氷の粒子にしている飲物があるんですが、やっぱり細かい粒子にしていることによって、これも深部冷却に関しては単純な水分補給よりいいという結果が出ておりますので、この辺も知識として持っていた方がいいんじゃないか。
 それから、暑熱順化。これは5月、6月から30度を超える日がありますので、暑熱順化が大事だというところでございます。
 4ページを御覧ください。新聞記事でWBGTという文字がかなり出ておりますので、WBGTを知っているという方が公認スポーツ指導者のほとんどかなと思ったら、知らない方も約9%いるというところでございます。
 さらに6番目を御覧ください。WBGTを知っていても、実際測定している人は4分の1、26%しかいない。もっと言えば34%、3分の1の人が、WBGTを知っているのに活用していないという方がいるということです。
 7番のところを御覧いただければと思います。WBGTを知っていて使っているのに、活動内容の変更をしない。31度を超えている、もしくは31度近いのに、活動内容の変更をしない方が16%もいる。これはちょっと公認スポーツ指導者ですらこういう状況なので、資格を持ってない指導者はどうだったんだろうという、ちょっと恐ろしい状況であるということがあります。
 5ページを御覧ください。JSPOのほう、先ほど言ったように熱中症予防ガイドブックをずっと発行しています。この6月に第6版に改訂しました。これはもちろんWBGT31度を超えると原則スポーツ活動は中止です。そういった指標、指針は変えておりません。
 6ページを御覧ください。何を変えたかというと、熱中症予防の5か条に関しては、1、2、3、5は変えておりませんが、4番の「冷やそう、からだの外から内から」というところを変えております。これは今までは「薄着スタイルで爽やかに」ということだったんですが、やはりスポーツメーカーさんの努力でウェア等の機能がよくなっておりますので、そういう薄着でというよりは、そこの部分を変えて、冷やそう、からだの外から内からというふうに変えております。
 7ページを御覧ください。JSPOとしては、こういうガイドブックで予防方針をしている中で、我々の主催事業も、特に子供を中心とした事業に関してはこういった対応方針を強化していこうと思っています。2に書いてありますとおり、休憩時間を取る。活動時間を調整する。それから、環境を整備する。また、体調チェック、これは当たり前ですね。看護師・医師の常駐、それから、緊急体制の整備、病院の搬送のスキームの作成など、我々の主催事業はこういった体制できちっとやっていこうと考えております。
 8ページを御覧ください。スポーツ庁さんの後援名義をいただきまして、JOCと我々で、熱中症フォーラムを6月28日に開催しました。
 9ページを御覧ください。約800名の方に参加いただき、これも公認スポーツ指導者の方が中心なんですが、スポーツ庁の審議官にも御挨拶いただいて、健康スポーツ課の皆さんにも来ていただきました。こういった形で我々啓発活動を続けながら、今言ったガイドラインの徹底ですとか暑熱順化等、また順大の今井正人さん、箱根駅伝の初代山の神にも来ていただいて、順大ってカラーがブルーなんですが、やはり暑い日には白いウェアで練習するという大事な話もしていただきました。
 この中で1点だけ、実は演者の先生から、屋外の施設の屋根つきスペースの設置の強化をやったほうがいいんじゃないかとの発言がありました。これは予算にも関わるところです。ガイドブックにも出ていることなんですが、幼稚園、保育園、それから学校施設に屋根つきのスペース、簡易な屋根つきでもいいので、そこでスポーツ活動やるのと、屋根がないところでやるのとは全然違うというような話をしました。ぜひ長官、公的助成で何か施策をしていただくと大変ありがたいなということでございます。
 10ページを御覧ください。これはスポーツ団体の取組で、最近、日本陸連、サッカー協会が今徹底しております。日本陸連さんはこういった形で、JSPOのガイドブックに基づいてきちっとやっておるところで、書いてある7、8月に開催する競技については、限りなく徹底するということでございます。
 11ページを御覧ください。先般の7月4、5、6日の陸上の日本選手権、これは徹底されました。投てき競技、フィールド競技は競技時間を変えました。これ私、TVが中継している中でタイムテーブルを変えるというのはすごいことなんです。選手にとってもTV中継についても。でも陸連は徹底してやりました。結局トラック競技ではタイムテーブルの変更はなかったんですが、やるということで事前に徹底をされました。さらに国立競技場の1週間前からWBGTを各所に置いて、どこが一番暑いか測って、それで本番にそなえた。また、審判の方、運営者も1時間交代でやるといったような徹底した対応をしました。
 それから、12ページでございます。サッカー協会さんはもっと早い時期に、7、8月は原則主催大会、リーグフェスティバルはやらないと、日本サッカー協会が打ち出しました。こういった形で各NFの大きな団体がこういった熱中症に取り組んでおります。
 最後ですが、13ページを御覧ください。実は今日開会式、広島でやっておりますインターハイに関して主催の高体連さんに関しても同じようにやっています。昨年からインターハイ全体の改革をやっている中で、最優先項目で熱中症の対策というのを掲げました。やはり8月1日が大体インターハイはスタート、今年は少し早めにやっているんですが、これに関してもインターハイでも各競技、陸上競技なんかでは、やはり陸連と高体連がきちっと議論して、実は400m、800mなんかは通常予選、準決、決勝とあるんですが、準決は今日やりません。決勝はタイムレースでやりますとかと画期的な、これ、選手にとっては結構きつい対応ですが、最後決勝がタイムレースだと駆け引きができなくてというところがあるんですが、そういったことも大胆にやっています。中体連もこの後、沖縄で8月17日から開催しますが、中体連も、きちっと熱中症対策をしている。ただ課題に書いてあります7、8月の総合体育大会、総合ではなくてもスポーツ大会をどうするかというのは喫緊の課題かと思います。以上でございます。
 
【久野部会長】  岩田委員、大分分かりやすく御説明いただいてありがとうございました。
 これに追加して、健康スポーツ課から御発言があるということです。よろしくお願いします。
 
【中村健康スポーツ課長】  資料6を簡単に御紹介しますけれども、熱中症声かけプロジェクトという多くの自治体、企業、いろいろ巻き込んで熱中症予防を進めていこうという取組をやっている方々と連携を始めますというご報告でございます。
 主な取組は2ページ目から3ページ、4ページ、5ページと、いろいろ連携のイベントとか呼びかけとかをやっているということで、5ページ目の方には熱中症対策アドバイザーも2万5千人ぐらい育てていますと。
 こういう方々からお声がけがあって、6ページ目ですけれども、暑い時期に運動やスポーツ、スポーツ観戦含めてきちんと予防をすることで、夏に運動人口を減らさないことで国民の健康を守ろうというキャンペーンをやっていきましょうというお声がけがあって、8月からキックオフしようと思っていますので、今後、いろいろなところで皆さん目にされるかもしれませんけれども、スポーツ庁としてこういう取組も進めていきたいと思っているという御紹介でございました。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。多分この部会で考えていかないといけないのは、非常に危険な状態でスポーツが実施されないようにしていくことと、今、中村課長からありましたように、暑いとスポーツはできないという空気になりつつあるとちょっと感じるところがあって、適切にどうやるか。今2か月以上運動やスポーツをしないと、健康に対して害になることは明白なので、そういう面でもここは重要な取組だと、今日お聞きしながら感じました。
 本来少し御質問を受けたいところなんですが、時間がなくて本当に申し訳ありません。もし御意見とか御質問があれば、事務局のほうにメールでお話をいただければと思います。
 では、最後にそのほか、最近のスポーツ庁の取組に関して、中村課長からお願いいたします。
 
【中村健康スポーツ課長】  3点、簡単に御報告だけさせていただきます。
 今お話もいただいた熱中症対策とも絡むんですけれども、資料7ですが、運動・スポーツ中の安全確保対策、外傷とか障害とか熱中症を防ぐためのガイドラインをつくろうという検討会を6月からキックオフして議論をしております。1年ぐらいかけて議論をして、ガイドラインという形で取りまとめていこうと思っております。また適宜、皆様にも情報共有をさせていただきながら進めていきたいと思っております。
 それから、資料8ですが、いろいろなところで聞かれていらっしゃるかもしれませんけれども、スポーツと宇宙との連携を進めていこうということで、2月にJAXAとスポーツ庁で連携協定を締結させていただきました。マスコミでも取り上げていただきましたけれども、これに基づいて、スポーツによる知見と、宇宙飛行士も含めての知見をうまく連携をさせながら新しい価値を生み出していこうということで、2ページ目ですが、これまで取組を進めてきております。先日は、大西宇宙飛行士が、国際宇宙ステーションの日本実験棟で、長官発案の紙風船トレーニングをやりましたというXを投稿していただいて、すごい数の反応があったんですけれども、こういった取組も進めております。
 3ページ目には、具体的に今後どういう取組を進めていくかという有識者を集めた会議もやっておりますので、またまとまってきましたら御報告をさせていただきたいというふうに思っております。
 最後、資料9でございますけれども、今日も参考資料でお配りさせていただいています、障害のある方のスポーツ指導の入門ハンドブックというものをスポーツ庁の方でまとめて、広く普及を図っております。2ページ目にあるように、これまでの周知状況として、地方公共団体でありますとかスポーツ団体、大学、医療関係幅広く、これまで周知をして、講演などでも広く広報しています。今後、このハンドブックを活用した研修の事例集を作成したり、この研修の実施について10団体ほどと今、連携を進めているという状況でございます。皆様も周知について、いろいろ御協力いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 私からは以上になります。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の議事は全て終了しました。
 次回の連絡の前に、長官から最後、一言ございます。
 
【室伏長官】  ありがとうございます。今日は女性のスポーツに関係するところ含めて、最初に御説明ありましたけれども、スポーツは様々な社会課題解決にも寄与できるものだと思います。先生方の御知見いただきまして、よりスポーツが社会のお役に立てるように、我々もしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 以上になります。ありがとうございます。
 
【久野部会長】  ありがとうございました。
 では、最後に、次回の予定について事務局よりお願いいたします。
 
【中村健康スポーツ課長】  次回は、9月26日金曜日の午前中10時から12時半までを予定しております。どうぞよろしくお願いします。
 
【久野部会長】  次回は2時間半の予定です。2時間ではございませんので、よろしくお願いします。
 すみません、5分ほどちょっとオーバーしましたが、以上で全議題終わりました。ウェブの皆様もありがとうございました。
 では、本日はこれで終了させていただきます。どうもお疲れさまでした。

―― 了 ――

 

 

お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課