スポーツ審議会健康スポーツ部会(第16回) 議事録

1.日時

2021年6月25日(金曜日)15時~17時

2.場所

WEB会議(Webexを使用)

3.議題

   (1)地域スポーツ体制整備について
   (2)ライフステージに応じたスポーツ実施の在り方について
   (3)その他  

4.議事録

スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第16回)

2021年6月25日

【渡邉部会長】
定刻になりましたので、ただいまから第16回スポーツ審議会健康スポーツ部会を開催いたします。
改めまして、皆様、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
ただいま、15名の委員の方々に御出席いただいております。スポーツ審議会令第6条第1項及び第3項において、本部会の開催及び議決に当たっては、委員の過半数の出席が求められておりますが、本日は定足数を満たしており、開催とさせていただきます。
なお、御欠席の塩野委員より御推薦いただき、塩野委員と同じく、商工会議所の立場の方として、東京商工会議所より藤田様にオブザーバーとして参加をいただいております。
また、本日はスポーツ庁、室伏長官、藤江次長、牛尾スポーツ総括官に御出席いただいております。さらに、オブザーバーといたしまして、厚生労働省健康局健康課より清水課長補佐、磯崎課長補佐に御出席いただいております。
まず、開催に当たりまして、事務局よりウェブ会議におけます留意事項、また配付資料の確認をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 本部会は前回と同様に、Cisco社のWebexによるウェブ会議とさせていただいておりますので、事前にメールで送付させていただいているWebexの使い方についてのPDFファイルを御確認いただき、御対応をお願いいたします。
なお、特に資料の共有の御希望がある際は、ページ7、8のとおり御対応いただければと存じます。
次に、本日の配付資料につきましては事前にメールで送付させていただいておりますので、おそらく漏れはないと思いますけれども、もし何かファイルが壊れていて読めない等がありましたら、事務局のほうまで御連絡をお願いいたします。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、議事に移りたいと思いますけれども、本部会につきましては、前回同様に事前に資料を配付させていただきました。
したがいまして、事務局の説明及び議題にありますけれども、各委員からの御発表の後に、活発な御発言を賜りたいと願っておりますので、あらかじめ御承知おきください。
それでは、議題1、地域スポーツ体制整備について、議題2、ライフステージに応じたスポーツ実施の在り方についてです。
まず、ライフステージに応じたスポーツ実施の在り方・地域スポーツ環境の整備について、また、地域スポーツ体制の現状について、事務局より御説明をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 説明させていただきます。まず、資料1のほうでございますけれども、こちらは前回の振り返りということでございますので、説明は省略させていただきます。事前に資料をお送りさせていただいておりますので、お時間のあるときに御確認いただければと思います。
それから、資料の2でございます。こちらのほうも前回と同じように、御議論いただくための論点を私どものほうで整理をさせていただいたものになります。
1ページ目の検討の視点につきましては、第二期のスポーツ基本計画で書いてある内容等でございますので、2ページ目の検討の論点というところから説明をさせていただきます。
検討の論点につきましては、子供、働く世代、それから高齢者、女性、障害者といった形で項目ごとに構成されておりますので、それぞれ説明をさせていただきます。
まず、子供のスポーツ実施につきましてですが、丸が4つございます。1つ目の丸につきましては、そちらに書いてございますように、子供の体力向上ということを考えますと、就学前の幼児期からの運動習慣づくりが大切であると。そうなってまいりますと、やはり保護者や保育者の方、そういった方々の御協力が必要になってまいります。そういうことで、保護者や保育者、そういった方々の外遊びや運動遊びについての理解を得るための方策としてどのようなことが効果的であるか、こういった論点で御議論をいただきたいというものでございます。
2つ目の丸は地域の子供のスポーツ環境ということになります。総合型地域スポーツクラブですとかスポーツ少年団、それから、民間にもスポーツクラブがございますけれども、こういったものをどのように活用して、取組を進めていくべきかということについてでございます。
3つ目の丸につきましては、中学校の部活動の段階的な地域移行、こういう方向性の中で、その受け皿をどういう形で整備をしていくかということになります。
4つ目の丸でございますけれども、生涯スポーツの実現ということになりますと、そもそもやはり子供のときに体育の授業でスポーツ嫌いになってしまうと、なかなかその後続かないということがございますので、体育授業の改善という観点で、どのような取組をしていったらよろしいかということについて御意見を賜れればと思っております。
続きまして、働く世代・子育て世代でございます。1つ目の丸につきましては、働く世代や子育て世代は、そもそもスポーツ実施率が低くなっておりますので、こういった方々のスポーツ環境の整備ですとか、それから、一日の生活パターンの中に運動習慣、身体活動を組み込む方法について、どういう方法があるかということについて御議論をいただきたいというものでございます。
2つ目の丸につきまして、その働く方については、やはり企業等から働きかけていただくというものも非常に効果的ではないかということでございます。そういうことで企業の方々、経営をされる方々が、少し納得感があるような形で、どうやって働きかけをしていただく方法があるのかということで、健康経営の概念などそういったものを使って、少し経営者の方々から御理解をいただく方法はないでしょうかというものでございます。
3ページ目に参りまして、こちらの1つの丸は、働く方々御本人の話になりますけれども、そちらのほうはなかなか、多分20代、30代、40代、50代の方もそうですけれども、健康な方が基本的には多くなってまいりますので、そういう健康な方に健康になりましょうと言ってもなかなか響かないということで、また、違った「美容」であるとか「格好良さ」、そういった違った視点で訴える工夫が必要なのではないかということで書かせていただいたものでございます。
続きまして、高齢者でございますが、高齢者につきましては2つございまして、1つ目の丸は、スポーツを活用したコミュニティー、こういったものをつくってお互いに皆さんが集まっていただいて、もちろん運動することも大切なのですが、少し話をする中で、コミュニティーをつくって認知機能なんかも高めていただく、そういったものが1つ目の丸でございます。そういったことをやっていくべきではないかというものになります。
2つ目の丸につきましては、医療と介護、こういった部分の予防的な観点から、具体的にどのように連携をしてスポーツとして取り組んでいくかということでございます。
続きまして、女性でございますが、女性につきましては、女性に多い健康障害というのがございますし、あと、若年の女性を中心に「やせ」の問題がございます。あとそれから、妊産婦の方、子育て期の女性の方の心と体の健康の問題、こういったものがございますので、それぞれの女性のライフステージに応じた課題にどういうふうに対応していくべきかという視点でございます。
続きまして、次の丸は女性のスポーツ実施率、こちらも男性に比べて低くなっているわけでございますが、特にその若いときにしっかり運動しておかないと、なかなか将来急に運動してもよろしくない。特に骨の量なんかにつきましては、16歳ぐらいがピークというお話も伺っておりますので、そういう意味で、将来の健康に大きく影響するということも考慮して、特に若い女性に着目した施策を講じていかなくてよろしいでしょうか、そういったものでございます。
それから、3つ目の丸につきましては、これはちょっと健康などということとは少し違うのかもしれませんけれども、女性が実際スポーツをする、特に育児期の女性がスポーツをするということになると、子供さんの面倒をどうやって見ていくのかという話が出てまいりますので、そういったような部分も含めて、育児期の女性がスポーツをしやすい環境をどうやってつくっていくかというものになります。
続きまして、障害者ということでございます。4ページ目のほうに参りまして、一番上の丸でございますけれども、情報ですとか設備、スポーツの場、そういった環境の整備が必要。それから、具体的にどういった取組がそのために必要になってくるのかというのが1つ目の丸でございます。
2つ目の丸は障害のある方、そしてない方、「ともに」スポーツをする環境、こういう中で共生社会を目指していく。そういったための具体的な取組についてどうあるべきなのかというものでございます。
3つ目の丸でございます。障害者の方につきましては、以前のこちらの部会でも御説明させていただいたとおり、スポーツの非実施者、それから、無関心層の割合が比較的高くなっておりますので、そういった方々にスポーツに対する関心を持っていただくにはどういう取組があるのかということになります。
最後に、ライフステージを横断した課題ということでございまして、1つ目の丸は、子供の部分と重複してまいりますけれども、総合型クラブ、スポーツクラブ、地域スポーツクラブ、それからスポーツ少年団、民間のスポーツクラブ、フィットネスジム、こういったもののスポーツ環境を担う拠点それぞれにどのような役割を期待するのか。
2つ目の丸は、既存の拠点の連携を促進するための何か仕組み、仕掛け、コーディネーターとかリエゾンとこちらに出てまいりますけれども、そういったものについて何か有効な取組がないかというものでございます。
それから3つ目の丸でございますが、一方で安定的、継続的な地域スポーツ活動、こういったものをやっていくためには、なかなかボランティアだけでやってきた現状のやり方で本当にうまくいくのかどうかということで、安定的な財源を確保するということをどのように進めたらよろしいかということでございます。
最後の丸につきましては、スポーツと健康ということについてもう少しエビデンスを集めてはどうかというものになります。これが本日御議論いただきたい論点ということで資料2になります。
続きまして、資料3でございますけれども、こちらのほうはライフステージに応じたスポーツの実施についてということで全体のイメージ図でございます。一番上のほうを見ますと幼児期から高齢期まで、各ライフステージが書かれておりまして、縦のほうは主な実施の場所であるとか機会とかそういったものが上段になってまいります。当然、子供のうちは学校とかが多かったりすると、だんだん大人になってくると地域の運動教室とか、地域のクラブ、民間のクラブという形になっていくということが出てくると。あとその下のほうは、運動・スポーツ実施促進に係る私どもの取組の例などが書かれているというものになります。御参考でございます。
それから、資料4でございますが、こちらのほうは地域のスポーツ体制の現状ということで、ごく簡単に説明させていただきますと、1ページ目でございますけれども、地域スポーツ体制の現状図というのがございます。こちらの上のほうは幼稚園から御高齢の方まで、それぞれどれくらいのボリュームの方々がおられるのかということが出てくるということでございます。
下側のほうが、そういった方々を受け止めるスポーツの実施場所としてどういったものがあるのかということで、総合型地域スポーツクラブですとかスポーツ少年団、それから民間のスポーツクラブ、その他自治体などの運動教室、そういったような形で受け止めているというものになります。
2ページ目でございますけれども、総合型地域スポーツクラブについて、ごく簡単な説明でございます。要は多種目、いろんな種目のスポーツを一度に楽しめる、1か所で楽しめる、それから多世代、お子さんから御高齢の方まで一緒に楽しめる。それから、多志向ということで、競技的なものにしっかり取り組みたい方もいれば、もう少し楽しむような緩い感じのスポーツを楽しみたいという方、そういったものにも対応できるということで、なおかつ地域住民によって自主的・主体的に運営される、そういうものが総合型地域スポーツクラブというものになります。
3ページ目でございますけれども、こちらのほうは総合型地域スポーツクラブの現状ということで、全国で今現在3,600ほどあるというものでございます。
4ページ目でございますが、こちらのほうは総合型地域スポーツクラブの登録・認証制度、これは第2期のスポーツ基本計画やスポーツ実施率向上のための行動計画の中にも出てまいりますけれども、そういったものの概要ということで、ごく簡単に申しますと、登録制度というのは基本的にはボランティア的に運営されている総合型地域スポーツクラブのガバナンスをきちんと向上していくという観点からつくる制度。認証につきましては、総合型地域スポーツクラブで主に解決できるというか、解決していこうとしているその地域の課題ということで、例えば介護の予防であるとか子育ての女性の方を支援するとか、そういった形のタイプを認証すると、そういう二階建てづくりになっているということでございます。
5ページ目でございますが、こちらはスポーツ少年団で、現状では基本的に小学生を対象として特定のスポーツ種目、例えば野球でありますとかサッカーでありますとかバレーボール、バスケットボール、こういった特定の種目について行っているというものでございます。
ただ、これ自体はもともと前回の1964年の東京オリンピックの頃につくられたものでございまして、中学校の運動部活動というのがなかなか十分でなかった時代に、本来は中学生を対象としてつくったのですが、その後中学校のほうに運動部活動というものが結構定着したということで、今は小学生を対象に主に活動していると、そういう状況でございます。
6ページは民間のフィットネスクラブについての現状になります。
資料1から4までは以上でございまして、あと御参考に少しお時間をいただきまして、参考資料の1-2というものがございますので、御説明をさせていただきたいと思います。
参考資料の1-2でございます。現在のスポーツの実施状況に関する参考資料ということで、私どものスポーツ実施率の調査の中で聞いているものをもう少し深掘りした資料になります。
1ページ目でございますけれども、まず、1番目の表でございますが、健康に対する認識ということで、あなたは健康だと思いますかということを調査で聞いております。そうすると8割の方がここにあるとおり健康ですとお答えをしていると。
2のほうで下の半分でございますが、本当に健康なのかということで、他省庁のデータも探ってみたところでございますが、例えば定期健康診断、職場のほうでございますが、こちらのほうで調べますと5割を超える方に何らかの所見があると。なおかつ(2)のところで入院・通院ということでございますけど、年間850万人ほどの方が入院・通院されているということで、8割の方は健康と答えているのですが、現実にはなかなかそうではないということが少し見えるのかなということでございます。
2ページ目ですが、3のところでございまして、体力に対する認識ということで、「あなたは、体力についてどのように感じていますか」という問いについて、先ほど8割は健康とお答えだったのですが、体力に自信があるという方は半分になってしまって4割しかおられないということでございます。
それから、その下の4というところで運動不足ということでございますが、こちらのほうはさらに少なくなってまいりまして、健康だという方は8割で、体力に自信があるという方は4割であるところ、運動不足を感じない、要はそれなりに運動しているという方は2割しかおられないという状況があります。
続きまして、3ページ目でございますけれども、5-1でスポーツを実施した理由ということでございます。こちらを見ていただきますと分かりますとおり、基本的には健康のためということがどうしても出てきてしまって、私どもとしては、楽しみとか気晴らしとか、そういった部分を非常に期待しておったのですが、やはり若い世代から御高齢の方まで、基本的に健康のためにやるという方が多いと。ただし、真ん中ほどに楽しみ・気晴らしの欄もございますけど、若い方になればなるほどそういった部分の比率も高まってくるという部分もあるということでございます。
また、スポーツを実施した理由のうち最も大きなものというのが5-2ということでございまして、これは1個だけ選ぶというものですが、そうすると10代、若い人については楽しみとか気晴らしというのが健康を抜いて一番高くなるということでございます。
それから4ページ目でございます。スポーツを実施できない理由ということでございまして、これはよく言われるとおり忙しいからとか面倒くさいからということで、以前の健康スポーツ部会でも御報告させていただいたとおりでございます。これは複数回答の場合です。
最も大きな理由ということになりますと、もちろん忙しいから、面倒くさいからが1番と2番を占めていますが、実は運動・スポーツが嫌いだからということが3番目に入ってまいりまして、なおかつその傾向も若い10代で顕著に高くなっているということは、私どもとしても気をつけなければいけないと思っております。
それから5ページ目でございますけれども、現在のスポーツ実施状況について、運動・スポーツが嫌いな理由ということでございます。ここに書いてありますとおり、10代におきましては、苦手だから、人に見られたくないからというのが、ほかの世代に比べて顕著に多くなっています。働く世代は時間を取られるからという答えが多くなっております。また、男性に比べると女性のほうが苦手だからという答えが多いです。
こういったことから、スポーツが嫌いな理由につきましては、様々な心理的な要因が考えられまして、やはり私どもとしても深掘りをしていかないといけないということは思っているというところでございます。
6ページ目でございますけれども、まず、スポーツをする仲間についてでございます。こちらのほうは、誰とスポーツをしたかということで、個人や家族といった自由に気兼ねなくできる人とやっているという割合が高くなっておりますが、スポーツを通じたコミュニティーの形成ということから考えますと、少し工夫をしていかないといけないのかなということは感じているところでございます。
それから、9番目がスポーツの実施場所でございますが、基本的にはウォーキングとかジョギングというのが大きいので、そういう意味では道路という回答が多くなるというのは自然かと思います。
7ページ目でございますけれども、こちらのほうはこの1年間に多く実施したスポーツの種目や、この1年間で始めたとか再開した種目、それから、今後やってみたいスポーツの種目ということで調査をしたものになります。基本的には個人または少人数で行えるスポーツというのが上位を占めておりまして、サッカーのような仲間と行う競技的なスポーツが書かれているということは非常に少なくなっているところでございます。
仲間と行うスポーツは、今後始めてみたいスポーツとしても少し人気が低くなっておりまして、そういったものをもっとやっていくべきだという御意見もこの部会で出ておりますけれども、少し理由の深掘りと同時にやはり工夫をしていかないといけないのかなというところでございます。
最後8ページは幼児の運動能力ということで、4歳から6歳という未就学のお子さんたちの色々な運動能力を調べたものでございまして、要はピークといいましょうか、結果がよかった1986年頃、昭和61年になりますけれど、その頃と比べるとまだ全般的に低下傾向にあるということが分かっているということでございます。
少し長くなりましたが、私からの説明は以上になります。

【渡邉部会長】 課長、ありがとうございました。本日は3名の委員の方から御発表をいただきたいと思っております。
まず、お一人目、泉委員より、地域スポーツクラブの整備について御発表いただきたいと思います。泉委員、お願いします。

【泉委員】 貴重なお時間いただきまして、ありがとうございます。
お手元に、日本スポーツ協会が考える「地域運動部活動」を受け入れる地域スポーツクラブの規模(イメージ)という資料を用意してご覧ください。
また今、スポーツ庁が用意された資料4、地域スポーツ体制の現状についてという資料の中に、総合型スポーツクラブと少年団の詳細の分析データが載っておりますので、併せて参考にしていただければと思います。
令和5年度からの休日の運動部活動の地域移行を見据えて、現在、全国で実証実験が行われていることは御存じかと思います。いろいろなモデル、いろいろなケースが出てくることを期待しておりますが、今日はJSPOが考える、休日に行われる地域運動部活動を受け入れる地域スポーツクラブ、この規模感について、具体的にお話をさせていただきたいと思います。
全国に公立中学校が9,291校ございますが、この中学校区に総合型地域スポーツクラブを一つ配置し、地域スポーツクラブの拠点として捉えることを考えております。スポーツ少年団は全国に約3万1,000団ありますが、平均すると1中学校区に3つの少年団が存在することになります。この少年団も含めて運動部活動を受け入れることをイメージしております。その際、1つの中学校と2つの小学校そして中学校区内の公共の施設を利用することを想定しております。
当然ながら実現に向けて幾つか課題もあります。まず現状では、地域運動部活動の受入れ先となる総合型地域スポーツクラブの数が不足しております。現在3,594しかございません。9,291の公立中学校に対して、残りあと約6,000近い総合型クラブをつくらないとこれが実現できません。JSPOとしても、この数を増やすことに注力しなければなりません。また、中学校区に平均して3つの少年団がありますので、これらを統合させて、総合型クラブをつくっていくことも考えられます。将来的には、総合型地域スポーツクラブと少年団を1つの登録の枠組みの中に統合する、これがJSPOが考える基本的な方向性です。
また、指導者の数も十分ではないため、人材の育成が不可欠だと思っております。体育系大学の卒業者を対象としたスポーツ指導者資格の免除適応コースのさらなる活用も含めて、新規指導者の養成と併せて退職教員、あるいは商業スポーツ施設の指導者の活用といった、指導者になり得る人材の掘り起こしも必要と考えています。
さらには、経済団体等とも連携をして、企業等に在籍する指導者資格保有者のスポーツボランティア休暇の仕組みを構築し、不足する人材を少しでも補うための施策も必要と考えます。
日本スポーツ協会が目指す幼児から高齢者まで、切れ目なくスポーツに親しんで楽しむ環境の構築、このためには、幼児と高齢者の運動スポーツ環境の充実が重要だと思っています。スポーツ少年団には3歳からの登録が可能となっておりますが、団員の多くを占める小学生高学年と一緒に活動するのはなかなか困難です。
幼稚園、保育園、そしてこども園に通う幼児も含めて、小学校低学年までをターゲットにした「幼児少年団(仮称)」を組織化して、アクティブチャイルドプログラム等の運動遊びを通じて運動習慣を身につけることを目指していきたい。このことが運動習慣の持ち越し効果になって、生涯スポーツにつながる運動嫌いをなくす。この取組を市町村の体育スポーツ協会、スポーツ少年団が中心となって、スポーツ推進委員も連携をしてもらって進めてまいります。
高齢者については、JSPOが主催する日本スポーツマスターズ、各中央競技団体が主催するマスターズ大会等の参加者が減少しています。その一方で、パンパシフィックマスターズ大会、アジアマスターズ大会等の開催の打診もございます。統括団体として中央競技団体と協力し、競技としてのスポーツを高齢者に楽しむことができる環境を整備してまいりたいと思います。
最後に、スポーツの実施率についてですが、現在の対象は成人の実施率のみになっております。2030年以降を見据えて、現行の調査方法を踏襲しつつ、国民全体の実施率を把握することが必要ではないかと考えています。全体の実施率、1億総スポーツ社会の実現に向けて、幼児から高齢者まで、国民の全てを対象とすることが望ましいのではないかと思っています。その際には、スポーツ運動実施率調査として行っていただき、バーチャルスポーツ等も対象に含めるか否か、この辺の検討も必要と考えております。
以上、日本スポーツ協会が考える地域スポーツクラブの規模感について発表させていただきました。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 泉委員、大変分かりやすい説明ありがとうございました。
続きまして、北出委員より、女性の健康とスポーツ実施について御発表いただきたいと思います。北出委員、よろしくお願いします。

【北出委員】 よろしくお願いいたします。共有されていますでしょうか。

【渡邉部会長】 はい、大丈夫です。

【北出委員】 ありがとうございます。順天堂大学の北出と申します。本日は大変貴重な機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。ちょっと配付資料がなくて申し訳ありませんが、本日は私、「女性におけるスポーツの必要性」というテーマで、10分前後お話しさせていただきたいと存じます。ちょっとスライドが多いので、早めに行きたいと思います。
すいません、私のほうで動きが悪いので、もしよろしければ、事務局のほうで出していただくことは可能でしょうか、申し訳ありませんが。

【小沼健康スポーツ課長】 事務局のほうでできますので、事務局のほうで共有させていただきます。

【北出委員】 お願いいたします。そうしたらお時間もないので、進めたいと思います。次をお願いいたします。
こちらは平成27年の内閣府のアンケートを解析した年齢別スポーツ実施率で、本会でも毎回討議されていると存じますけれども、このように20代、30代の実施率が3割弱と、ほかの世代に比べて最も低くなっております。もちろん時間の取れない子育て世代ということもありますが、どうもそれだけではないように思います。
スライドをお願いいたします。こちらはスポーツ庁からお借りしたもので、本部会でも以前に御提示いただいたと思いますが、こちら上のほうの左側は男子中学生、右側が女子中学生のスポーツ実施率になりますが、このように女子のほうでは二極化が見られておりまして、先ほども御紹介ありましたように、実施率低下の理由としては忙しい、面倒くさい、お金がないなど、やってやれないことはない理由が上位に来ていると思われます。
次をお願いいたします。こちらは立教大学スポーツウエルネス学科が作成した女性スポーツ改革プロジェクトから引用したものでございます。
こちらの112名、一番左上ですけれども、112名の高校生にアンケートを取った結果、この左上の結果では、女子高生の8割は実はスポーツが好きと答えております。そして左下になりますけど、こちらは9割がスポーツの必要性を理解しているということでございました。
ただ、実際には半数近くの女子高生の運動頻度は週1日以下であって、これは円グラフになります。これがスポーツに関与するかどうかは何とも言えないんですけども、右下のグラフというのは、約6割の女子学生がきゃしゃな体型のほうが魅力的と考えていることが分かりました。これはスポーツすると少し筋肉がつくといったこともマイナスに捉えている可能性があると考えられます。
次をお願いいたします。同プロジェクトでは、若年女性のスポーツ実施率が低い原因を大きく4項目に分けていて、こちらの一番左側上の4つの円なんですけれども、周囲の視線、女性らしさへの固定観念、運動・スポーツの男性性・女子の集団心理となっております。右の絵のほうに少し視線を移していただければと思うんですが、この4つの要因から、項目からそれぞれに理由を考えていらっしゃっていまして、一番上の2つというのはジェンダーに関するものだと思うんですが、女性らしさ、男性性というものですけれども、部活での髪型や服装の強制が嫌だとか、競い合って順位や成績がつくのが嫌という意見があったようです。これも全てアンケートに基づいての回答のようです。
女子の集団心理としましては、その次になりますけれども、周りの友達がやらないなら自分もやらないとか、できる/できないで目立ちたくないということがございました。一番下は周囲の視線ということで、できないことを周りに見られるのが嫌、全力で運動する姿が格好悪い、人と比べられるのが嫌ということで、もともと運動に苦手意識があったところで、それをまた人から注目されるのが少し苦手ということがあるようです。
一番下の表は、運動不足のリスクになりますけれども、こちらは骨粗鬆症、筋力低下、よく高齢者でサルコペニアと言っているものが若年者でも起きることが分かっております。そして抑鬱、肥満やメタボ、2型の糖尿病ということがありまして、こちらの下の字に書いてあります、萩原らの若年女性の骨格筋に関する研究からは、エネルギー、たんぱく摂取量、活動量、座位時間と筋力低下が関与するということが報告されております。
次をお願いいたします。続きまして、若年女性のもう一つの大きな、近年言われている問題点としまして、やせ症というのがございます。症候性と体質性というのがありまして、左下のグラフは不健康やせ・思春期やせというのが、女性、男性と分かれておりまして、オレンジが中学1年生、青が高校1年、グレーのほうが中1から3ということになりますけれども、この不健康やせというのは、摂食障害を含め、ボディーイメージが変わっていて、普通の原因不明のものではなくて、ある程度疾患が特定されるものと言われておりますけれども、やはりその割合が2割近くになっております。平成25年度になります。
そして、右のグラフは小児期の小児思春期の摂食障害の有病率になりますけれども、これは横軸が小5から中3の学年になっていまして、ちょっと見づらいんですけど、前が男子で後ろが女子になりますけれども、女子のほうが、中1ぐらいから徐々に年齢が高くなるに従って摂食障害という、最も多い精神疾患の一つである食事の接触の異常を認めるということが分かりました。そして中3になると、この傾向がかなり深まってまいるということが分かっております。
次をお願いいたします。思春期やせ症のリスクとしまして、ここに挙げられるようなものがありまして、もちろんエネルギーが足りてないわけですので、成長・成熟が停止しますし、あとは、それによって女性ホルモンも低下しますので、無月経・不妊、将来的な不妊ですけれども、こういうリスクがございます。また、成長ホルモンや女性ホルモン、カルシウム不足等が相まって骨粗鬆症になったりですとか、あとは貧血、脱毛、あと先ほどのサルコペニア、抑鬱、摂食障害というのもございます。こちらのサルコペニアもエネルギー摂取量、活動量、座位時間と関連するというのは先ほどお伝えしたとおりでございます。
次をお願いいたします。そういう大きな問題がある思春期のやせ症ですけれども、こちらに左の絵を少し御覧いただきたいんですけど、これは成長スパートと骨量の増加の関係を表しているグラフでございます。これは一般のやせ症とは限らず、一般の子供たちがどういうふうになっているかということなんですけれども、この最大年間成長量というのは、こちらの紫のグラフで示された1年に何センチ伸びるかというところのピークが11歳になっていることが示されております。
そして、こちらのピンクの折れ線グラフが骨強度の変化を示します。横軸が年齢になっていますけれども、この成長率のピークが来て、その後に骨量がかなりのスピードで増すということになりますので、身長の伸びが止まって初めて骨が増してくるような仕組みになっています。これが成長が遅れると骨が強くならないので、若年者でも骨粗鬆症になるリスクがあります。
これの最たるものが女性アスリートですけれども、右の円のイラストを見ていただければ分かるように、女性アスリートだけではなく、これはアスリート全般なんですけれども、やはり消費エネルギーが高いということで、相対的なエネルギー不足になりやすいということで、女性アスリートの三主徴にあるような、月経機能異常とか骨の異常、あとはエネルギー不足というだけではなくて、全身の異常があるということが国際オリンピック委員会から提唱されております。
次、お願いいたします。そして、これも女性アスリートの例なんですけれども、こちらの成長曲線を見ていただくと分かりますように、成長曲線の緑が身長で、青が体重を表しております。
そして、このようなグラフの理想のラインに乗らないで横ばいになってしまった場合、これは成長ピークが来ないということになるんですけれども、そうなると骨量が増えなくて、スポーツのときに疲労骨折を起こしやすくなってしまうということで、学生アスリートの場合は大体16歳、17歳が疲労骨折のピークになるということが言われております。
そして成長曲線に書かせていただきましたように、成長ホルモンは、この年齢を通してずっと出ますけれども、5歳まで甲状腺ホルモンが出て、12歳以降は女性ホルモンが加わるということになっていますので、成長ピークが来ないということはホルモンの分泌も低下して、成長だけではなく骨とか筋力の低下にもつながるということが言われております。
次、お願いいたします。そういう意味で、やせ症にもすごくこれが言えることなんですけれども、実際摂食障害の学童というのは、スポーツをしてなくてもやはり全然食べないということで、先ほどと同じような現象になっています。それを払拭できるのが運動になります。運動はやはり骨と筋力を向上させるということで、やはり若年女性にどうにかして運動率を向上させなくてはいけないと考えていますけれども、やっぱりきっかけと継続というのが重要で、前回も先生方お話しいただいたと思いますけど、若年者が運動・スポーツを行いやすい種目と環境を考えてみましたけども、自分の気分やペースでできる、気軽にできる、勝敗関係ないこと、友人と楽しくできること、適度な強度であること、新しいスポーツ、格好よいスポーツなども興味深いと書いてありました。ウエアが格好よい、あとはシェイプアップの効果があったり、髪型が変わらなかったり、ストレス解消になるなど、なかなかちょっとしたことですけれども、このモチベーションを上げてあげるという工夫が、非常に重要なんじゃないかと考えております。
次をお願いいたします。すいません、ちょっと長くなって申し訳ないんですけど、最後に少し妊産婦のお話だけさせていただければと思います。
妊産婦におけるスポーツの必要性なんですけれども、実は妊産婦にもすごくそれが重要ということが分かってまいりまして、こちらは米国産婦人科学会から出ている左側の表は、全国的に妊婦のスポーツを推奨している、全面的に推奨しているということなんですが、メリットとしては、この右にまとめてありますように妊娠糖尿病、肥満、妊娠高血圧症候群、経膣分娩率、巨大児の予防、睡眠障害、こういう妊娠中の疾患ですとか、悪いことを全部下げる、低下するということが分かってまいりました。そして産後鬱も低下、産後鬱の率も低下するということが分かってまいりました。
次、お願いいたします。
そして、これは同じようにシステマティックレビューで、様々な論文を最終的に見て、これはRCTの報告例なんですけれども、妊婦508例で見たところで、こちらは分娩時間の相違をこのグラフで表していますけど、やはり妊娠中にエクササイズをやっていた人のほうが、子宮口が開いて、赤ちゃんが娩出するまでの時間が有意に短くて、また、妊娠中の体重増加が有意に少なく、硬膜外麻酔という無痛分娩やあとは巨大児の発症率というのも、運動をやっている群のほうが低かったということが分かっております。
次、お願いいたします。そして、最近私たちの分野では最も問題になっているのは妊産婦における自殺率でございますけれども、こちらの上の棒グラフは、この年次推移、東京23区の妊産婦の異常死を見たその理由がこの色分けしてあるところですけど、自殺が濃い紺色のところになります。
これは実は今でもどんどん増えていっている傾向にあって、89例中63例が自殺という、すごく悲惨な状況になっております。この円グラフ左側は妊娠中で、やはり鬱病が最も多く、大体4分の3ぐらいを占めておりまして、右が産後で、産後はかなりまた鬱病が増えてまいります。これはほかの国と比べても高い自殺率の高い傾向にあります。
次をお願いいたします。こちらは、システマティックレビューでいろんな論文を集めて、妊娠中のエクササイズは周産期の鬱予防に効果的かどうかというのを見たものですけれども、こちらのピンクのラインがその倍率で、1を超えない0.4倍ということで、鬱病を有意に下げるということが分かってまいりました。
次をお願いします。これが最後になります。世界トップレベルの周産期領域は治療から予防の時代になります。妊娠、妊婦の運動が広がることを期待できることとしまして、周産期の合併症を予防すること、妊娠前後の時間を豊かに過ごすこと、母体の出産後の合併症を予防し、生まれてくる次世代の合併症を予防するということが言われております。
以上になります。すいません、長くなって申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 北出委員、ありがとうございます。科学的な根拠に基づきまして、女性におけるスポーツの必要性について、御説明いただきました。
それでは、3番目となりますけれども、津下委員より、地域スポーツ環境の整備について御発表いただきたいと思います。津下委員、よろしくお願いします。

【津下委員】 どうもありがとうございます。お時間いただきまして、ありがとうございます。スポーツ庁のほうで共有をお願いできますでしょうか。
資料の7になります。今回の論点ペーパーにもありますように、ライフステージに応じたスポーツの実施と地域スポーツ環境の整備ということが主要なテーマになっております。
1については、ライフステージに応じた望ましい運動様式の普及や、そして、その世代に合った関係機関との連動というのが非常に重要になると考えて、資料をまとめました。
また、地域スポーツ環境の整備、総合型スポーツクラブも含め非常に重要だと思っています。ただ、今現状いろいろあってもそれがうまく届いていない、よく知られていない現状があると思います。なのでどういう場所がどういう人に対してあるのか、それが足りているのか、公民、それから自然環境も含めて運動できるスペースがどれだけあって、そして、それがいわゆるウォーキングみたいなものなのか、それともちょっとスポーツ競技というか、ボールゲームとかやっても許されるような環境なのかとか、そういうことがなかなか住民でも把握できないという状況ですので、その地域のスポーツ環境の実態把握をこれは調査で、5年に1回やるとかでは間に合わなくて、常にこの状況が分かっているようにすることが必要かなと思いまして、3の運動環境とか事業とか、それがその対象者に合ったところがどこにあるのかというのを常に情報が共有できたり、それから、ボランティアの方も負担が大きいとなかなか参加できないし、スポーツドクターもそうですけど、1回協力すると、もうそこからもう縁で、言葉は悪いですけど、もうはまってしまうというか、抜けられなくなってしまって、なかなか頼む人もいないという状況になってしまうのが、皆さんが警戒感を持ってしまうというのも、実態的にはあるということなので、限られた時間の中でどのような形で参加していただけるかという参加の導線とか、これはスポーツ参加者だけじゃなくて、ボランティアとか地域住民の参加という点でも必要じゃないかなと考えて、以下の資料をまとめてきました。
次、お願いします。必要な対象者に情報が届くということで、本人の周りの人たち、例えば今の先生のお話でも子供のこと、母子とかいろいろな健康づくりの庁内連携がありますし、学校との連携がありますし、それから学校・保育園から家庭、働き盛りへの情報提供については実は子供、学校や保育園からの情報で親に届くというルートが比較的、親に届きやすいルートということで、私たち健康づくりのイベントするときも、学校から配布していただく、保育園からそういう健康イベントなんかの紹介をするというルートが非常に有効であるということは分かっていますので、そういうところの巻き込み。また、医療機関も小児科や健診の機関などもあり、健康な人も集まってくる機会もありますので、そういうところへの情報提供が必要になってくる。
健康スポーツ医活動については、今、日本医師会でも活性化する方向で、都道府県の協議会を活性化する仕組みづくりも行っているところなんですけれども、医療機関をうまく巻き込んでいく。また、健康経営とタイアップということ、ボランティアについても適切に参加しやすい状況をつくっていくということが必要だと思います。例えば、希望しても1回参加してみると、もうベテランさんたちが占拠されていて、なかなか自分の入り口がないとか、それから、上手な人がかなり運動していて、下手というか、初任者はなかなか入りにくいという状況もあるので、例えば参加人数だけではなく、初回参加者の数とかカバー率とか、そういうことを見ていくような仕掛けが必要なのかなと思っています。首長さんなどに健康づくりや運動、スポーツ実施に対する熱意があるときはわっと連携が進むんですけれども、そうでないとすっとトーンダウンしてしまうと。できるだけ仕組み化を進めていくことが大事ではないかなと思っています。
次をお願いします。それから、ちょっとこれは前回の会議でもあったんですけれども、どちらかというとこの会議の中では、何か健康のためというんじゃなくて、楽しみのためのほうがいいなというニュアンスだったと思います。私も健康を目的にするとなぜ魅力がないのかなと考えてみたんですけど、何かあなたのためだからとか、押しつけがましさとか、本当に全てのスポーツが健康と言えるかとか、スポーツ指導者が本当に健康かとかいろんなことを突き詰めると、なかなか健康を旗頭にして進めるのは難しいなという抵抗感が、この会議の委員の中でも多いんだなという印象を持ちました。
理由を書けと言われると、ほかに理由がないから健康のためと書いているかもしれないなと思って、運動したら体調がよくなったとかいろいろなことを実感して、健康のためなんだねと本人が納得しているのかなというようにも思いました。なので、押しつけではなく、でも健康を実感できるという仕掛けが必要ということと、あと医療分野、保健の分野と連携するのであれば、本人が納得して自分事として健康に、運動に携われるようなサポートをより強化していくということが必要かなと思いました。
次をお願いします。健康経営など会社の取組や学校の取組に、かなり影響力があると思っています。自己決定とか本人が運動したいと思っても、会社が運動は暇な人がやっているといった見方をしているとしたら、なかなかしにくいということもあるので、やはり会社ぐるみでとか、それから、運動というのは健康経営にも非常に重要なんだという認識が広まるということが大事で、アジア的かもしれませんけれど、即効性を期待するにはその周りをしっかり巻き込んでいくと。その中で、自己決定を促すプロセスをやってよかったなという自己効力感を高めていくという作成になるのかなというふうにも思っています。
次をお願いします。最後に、運動って子供のときからいろいろやるチャンスはあるけれど、運動をやめてしまったり、していない子供もいるという状況になっています。やはりどちらかというと、運動より優先すべきものがあるということなんだろうと思うんですけれど、そこの優先順位を変える、教育とか声かけとか、子供についても勉強、塾通いも大事だけど、やっぱり睡眠と運動の時間の確保が非常に重要だというメッセージを繰り返し親にも伝えていく、学校の先生自体もそう思っていただくということが大事かなと思いますし、子供、女性についても子供とか託児、結婚して子供がいる母親と、それからそうではない、シングルで仕事を頑張っている人たちもいて、その人たちに対してやっぱりどこからどう働きかけるかということも、考えていかなきゃいけないのかなと思っています。
それから、病気になっても障害があっても運動ができるんだよということを、医療職が知ることでかなりプッシュができることかなと思います。
それから競技スポーツの方は、必ず引退とか負けてやめるとか、節目で何かで区切りをつけるとか、何かきれいにやめることというのが美学のように言われているというか、やめさせられるみたいな部分もあるかもしれないですけど、引退せずに生涯スポーツを楽しむ姿というのをもっとアピールしてほしいなと思っています。
それから、スポーツクラブに行って1回入るんだけど、中断されるケースが非常に多いという話も伺っておりまして、やっぱり指導者の文化の中では当たり前のことでも、そうじゃない方には受け入れられないこともあることをもう少し精査をして、継続率を上げていくような取組というのも、もう少し進めていく必要があるのかなと感じています。
以上で、ちょっと雑駁な話ですけれども、議題に関してお話をさせていただきました。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。津下委員はいつも様々な角度からの御説明いただいております。ありがとうございます。
本日は、地域スポーツ体制整備、環境整備、あるいはライフステージに応じたスポーツ実施の在り方についてというのが主な論点でありまして、先ほど事務局のほうから検討の視点、あるいは論点、こういったところの説明がありました。また、3名の委員の方からは、それぞれの知見、立場に基づいた御発表をいただきました。
今日は残り1時間強、時間がございますので、今までの説明をベースにしながらも、皆さんの御意見、御質問等いただいて、意見交換に移りたいと思います。できるだけ前回と同様、皆さんに御発言いただきたいと思いますが、まず、自主的に挙手の上、御発言される方、お願いしたいと思います。どなたかいかがでしょうか。
久野委員、お願いします。

【久野部会長代理】 筑波大の久野でございます。
非常に頭の中が整理できるプレゼンしていただきましたし、津下委員の最後のお話も、これから我々が考えるのに重要な視点をお話しいただいたと思っております。
すみません、渡邉部会長、一、二枚だけスライドを共有しようと思ったらうまくできないので、共有のやり方をもう1回見てから、最後手を挙げます。中途半端で申し訳ございません。

【渡邉部会長】 分かりました。久野委員は後ほどご発言いただくということで、ほかの委員の方、いかがでしょうか。
萩委員、お願いします。

【萩委員】 意見ではなくてちょっと御質問したくて、手を挙げさせていただきました。泉委員のお話はすごく今後大事だなと思って感じておりましたし、津下先生のお話、すごく抽象的なところをより具体的に実践に向けるように説明していただいて、大変勉強になったんですけれども、お尋ねは、資料でいただいているライフステージに応じた各種スポーツ振興施策参考資料集の中の11ページと書いてある新しい生活様式における地域のスポーツ環境の基盤強化というスライドが1枚あろうかと思うんですけれども、これも今年度新たにスポーツ庁のほうで予算を組んで、新規事業として始めたところかと思うんですが、ちょっとこれの現状というか、どういうところが助成を受けてやるのかどうか分からない、この具体的な中身、次につなげるのにすごく重要に思いますので、ちょっと御説明いただけるとありがたいと思います。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、事務局の皆さん、お願いします。萩委員、今準備しておりますので、もうちょっとお待ちください。

【萩委員】 現状としてこれも今年予算が組まれてスタートしている事業ですよね。

【小沼健康スポーツ課長】 はい。

【萩委員】 それのちょっと状況というか、進捗を御説明いただけたらと。

【小沼健康スポーツ課長】 分かりました。まず、この地域スポーツ環境の基盤強化ということで、まず今まで割と総合型地域スポーツクラブとかスポーツ少年団とか、あとスポーツ推進委員とかいろいろと個別にあったものが一体的に集まって、そこに例えば日本医師会とか地域の企業の方も含めて、地域で集まって議論をしながら対策を進めていくということをなかなかできていなかったものですから、今年から予算を取りまして、現状では日本スポーツ協会さんを通じまして、各地域のほうにこういう協議体の場をつくっていただくという状況で、現在の段階でどの程度のところで動いているかというのは今のところちょっとまだ分かっていないという状況でございます。

【泉委員】 よろしいでしょうか、泉でございますが。

【渡邉部会長】 泉委員、お願いします。

【泉委員】 ちょっと御報告をいたします。令和3年度の予算で1億800万の予算いただきまして、現在、日本スポーツ協会としてこの事業に取り組んでおります。今は中央協議会を設置する準備を進めておりまして、基本的にはこの資料にもありますように総合型、あるいはスポーツ少年団、スポーツ推進委員、こういった地域のスポーツの関係者、有識者、そして日本医師会の方も入ってもらって、中央協議会をつくって、それで何をどうやるかということを議論していただきながら、地域に落としていく。
特に基盤強化です。地域のスポーツ環境の基盤強化に対する支援ということで、本来はプラットフォームとしての都道府県体育スポーツ協会をもうちょっと強くしよう、それと同時に、市町村体育スポーツ協会の活性化ともいいますか、地域のスポーツをどうコーディネートしていくのか。これをスタートさせようということで、すいません、まだ中央協議会を設置する準備を今進めているところで、具体的な落とし込みがまだできておりませんので、しっかりと事業が推進したところで、また、途中で報告をさせていただければなと思います。
以上です。

【渡邉部会長】 萩委員、いかがでしょうか。

【萩委員】 ありがとうございました。まさにこれからというところということですね。中央協議会というものが出来上がって、それが各都道府県、さらには市町村に順次下りてくるという感じなのでしょうか。実は私は大田区のスポーツ協会の理事長しているんですけれども、やっぱり現場では、なかなかそのスポーツ少年団と総合型地域スポーツクラブの人が、情報交換をしたりとかお互いに何をやっているかなんということを話す場がないんですよね。そういう仕組みができていない。それを統括するのがもしスポーツ協会ということであれば、積極的にそこら辺りが活性化されていくことが、やっぱりこれを具現化して実現していくのに非常に重要なので、まずはそこがしっかりしないといけないのかなと思ったので、ちょっと質問をさせていただきました。今後の活動に期待をしたいと思います。ありがとうございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。萩委員のお話は至極ごもっともな話でして、先ほどの論点でも、地域連携、リエゾンといったような話も事務局からありましたけども、まずはスポーツ関連組織がしっかり連携するということ、そこから医療、介護の分野との連携も必要になってくるし、同じ参考資料の中に地域スポーツコミッションというところで、これはもう自治体から企業までいろんなところでリエゾンというのが形成される必要があるというところへ多分つながっていくんだろうと思いますね。ちょっと私も進捗を見守りたいと思います。ありがとうございます。
久野委員、準備大丈夫でしょうか。

【久野部会長代理】 すいませんでした。

【渡邉部会長】 よろしくお願いします。

【久野部会長代理】 皆さん、見えているでしょうか。ありがとうございました。それで発表を聞きながら、事務局で御用意いただいたものの中で、私から発言したい点をメモに致しました。
まず、高齢者のところの論点に関しましては、毎回言っていること、いいかげん分かっていると思われるかもしれませんが、やはり2040年問題に向けて、後期高齢者のスポーツ実施率の増加施策に関して具体化していく。特に先ほどの論点の中でも医療、介護との連携と書いていただいておりましたが、この視点は非常に重要なので繰り返しということでお許しください。
2番も何度か発言させていただいていることですが、もう一つ、医療ということが大分、スポーツ庁あるいは厚労省健康局との連携で進み出していますが、75歳以上後期高齢者、80代、90代を考えると介護施設との連携、フィットネスクラブや総合型スポーツクラブとの連携のスキームづくりが、特に健康格差をつくらないという視点でも、例えばフィットネスクラブがない地域に総合型が貢献する、あるいは今オンラインでサポートするというのも出てきていますから、フィットネスクラブの施設は造れないけど、オンラインでサポートしていただく。結果的にそういうビジネス市場が大きくなると、いわゆる指導者の働く場所が非常に増えていくという好循環をどうつくるかという視点が改めて重要だと思いました。
財源に関しての論点も今日書かれていたんですが、一つは私が首長さんとの研究会を持っているんですが、その中で地方創生交付金の健康スポーツのまちづくりについて私の研究所のテンプレートに張りつけていますが、第2期のまち・ひと・しごと創生総合戦略にスポーツ・健康まちづくりという枠がつくられて、こういう形で地方創生交付金を自治体が使って、財源としてやっていけるというのがあるんですが、実はこれを理解している首長さんって非常に少ないのが現状で、新たな財源を探す、つくっていくという発想と既存のある、これは内閣府ですから、他省庁ということになりますが、そういうところをうまく全部スポーツ庁が財源をつくるということも、多分、今厳しい時代だと思いますから、このあたりがポイントかなと思います。
それからもう一つ、民間の投資という中で、これも内閣府が進めていますが、ふるさと納税企業版というのがあり、ふるさと納税の一般のほうは非常に広がりましたが、企業版のほうは必ずしも広がっていなくて、これなんかも非常に私はスポーツの健康づくりというのは親和性があると思っていまして、このあたりの財源としての視点としてふるさと納税の活用はあるんじゃないかと思っております。
それから今日の視点の中で、エビデンスづくりというところで、スポーツ政策における科学研究費枠みたいな、いわゆるエビデンスが取れない領域が、今日の小沼課長の御説明にも出てきたわけですが、結局、今の科研費という枠は研究者がやりたい研究を応募してやっていくので、政策的に足りないかどうかというのは必ずしもマッチしてこないという問題点があって、厚労科研というのがありますけど、厚労科研のほうは結構政策的な研究テーマがその中で組まれているということを我々何度か見ていて、少しそのエビデンスがないところを政策的に埋めていく仕組みづくりが、今度の計画に入れて具体化できると、非常にいいのではないかと思っています。
また、さらにそういう発想で、AMEDに、健康スポーツプロジェクトみたいな、ヘルスケアという分野がAMEDの中でもターゲットとして入ってきているので、AMEDの中にも入れられないのかなと感じていました。
それからライフステージ全般ということで、従来とは異なる新しいルートの開発促進、いわゆるスポーツする人の個別の国民にうまく網をかけて、自主的に入っていただくだけではなくて、うまく網をかけて、ぼんとにたくさん釣れるような仕掛けをつくる必要があるんじゃないか。特に健康領域で医療との連携はその一つであり、今後介護との連携もその一つではないかと思います。
最後に、細かなデータで恐縮ですが、最近、研究班をつくりまして、6,000人ぐらいの方のデータを取り、分析し、セグメント、クラスターをつくりました。
今このように、クラスター分析が結構うまくできるようになってきまして、どういう人が一番危ないかとか将来的に危ないかとか、健康という視点から行政側からするとそういう課題がある方をうまく取り込みたいと。こういうところも今まではとにかく人数とか、とにかく誰でもいいから、もちろん全体で増えることはいいことなんですが、やっぱり健康という視点では、リスクがある人をどう取り込んでいくかというあたりの研究促進や、あるいはこれが現場で動くような仕組みづくりが必要じゃないかと。
もう時間がないので最後の1枚にします。これを見ていただくと赤いS08と、6,000人がどこかに入っていて、複数にはダブってないという意味なんですが、生きがいがなく人との会話もなく地域に頼れる人がいないというクラスターに入る人たちが一定数いて、その人たちが介護給付率が高いとか、入院率も高いとか、当然のような結果が出てきていまして、そういう面ではライフステージごとの目標で、単に数だけじゃなく、どういう人をつかまえていくのかという発想が、北出先生のお話を聞いてた中でも、妊産婦でストレスが高まっている人たちが今増えている中で、そういうような人を取り込むとか、その辺りの視点が非常に重要じゃないかと思いました。
以上でございます。

【渡邉部会長】 久野委員、どうもありがとうございます。
北出委員のお話にもありましたように、若年女性の運動率を向上させるためには、きっかけと継続が重要だといったようなお話ございました。子供のスポーツ実施促進ということで、スポーツ嫌いをなくすための取組等について、ちょっと指名になってしまうんですが、山口委員、何かコメントがあればお願いできますでしょうか。

【山口委員】 ありがとうございました。今日御発表をいただいた、泉委員から始まりまして、例えば運動部活動、地域スポーツの問題、女性のスポーツ実施率の問題等々、少子化であったりとか、それから女性の活躍を、政権もそうですし、促進していくと。いろいろ社会の変化の中で、そこにやはりこのスポーツ・健康といったところの政策等がなかなか追いついていかないというか、難しい課題がいろいろ出てきているんだけれども、長い歴史の中で例えばスポーツ運動部活動などでも、歴史の中でやってきたのでそれを大きくかじを切ることになかなか難しいことがあるんじゃないかと思います。
また一方で、運動部活動の在り方といったものも、少しずつ変わってはきているんだと思うんですけれども、やはり大会を目指して、勝利を目指すといった意識がどうしても拭い切れないというんですか、そこだけが目標ではないと思うんですが、そういったこともあって、これは体育の授業にも同じことが言えるかと思うんですが、どうしてもスポーツというものが楽しい、あるいは気を紛らわせるですとか、気分転換だとかと、やっぱりそういったところから少し、離れてはいないんだと思うんですけど、やっぱりそういったのが日本の長年の文化というんですか、培ってきている。
ですから、これは先ほど御発表のあった、例えば女性のやせに対しての憧れみたいなものも、やっぱり急に始まったことではなくて、刷り込まれていることだと思うんです。ですから、やはりそういう文化とすごくかぶさっているところがありますので、これをやはり変えていくというのは非常に難しいと。難しいと言ってしまっては駄目なんですけれども、ただ、やはりそういうところに根っこがあるということを認識した上で、どういうふうなアプローチをして、どういうふうな提言をしていくことが効果的なのかという、多分これは一つではないと思うんですけれども、そういったところに視点を持ちながら何かやっていけないかなというような、ちょっとすいません、感想じみているんですけれども、やはりそろそろ日本も何かドラスティックにというか、何かやっぱり変わっていければいいなと個人的には思っています。
すいません、感想みたいで。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いてやはり各ライフステージに向けたメッセージの発信方法というのが大事だといったことに、今の発言、つながると思うんですけれども、効果的な発信媒体の選定であるとか、届きやすい、響きやすいメッセージをどう考えるか、こういった視点から勝目委員、御意見いただけたらと思うんですが、どうでしょうか。

【勝目委員】 今日の発表で印象的だったのが、今やっているスポーツも、これからやろうとしているスポーツも、個人的な運動だったり、非常に小規模なグループでできる運動に限られていて、グループでできる、グループでないとできない運動をしている人も、これからしようとしている人も少ないということです。
孤独というのが今大きな社会問題として考えられているのかなと思うんですけれども、個人的な運動だったり小規模なグループでやる運動だったりが好まれているのは、コミュニティーがもうなかなかないことが原因なのか、あるいは逆にスポーツをすることはコミュニティーをつくることになるというメッセージにもなるんじゃないかとか、その辺ちょっとまとまりませんが、スポーツと孤独というのを考えたいなとちょっと今思っていました。
スポーツの目的というのは、先ほど山口さんも大会や勝利を目指す傾向が強いんじゃないかということをおっしゃっていたと思うんですけれども、スポーツはコミュニティーをつくる手段になり得るとか、孤独を解消する手段になり得るとか、そういうメッセージの投げかけ方もあるのかなみたいなことをちょっと考えていました。
すいません、私も感想みたいですが、以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。近藤委員、お願いします。

【近藤委員】 画面共有できたでしょうか。どうやってスポーツ実施率を上げるか、私は高齢者を対象にやっています。その経験から、もうちょっと上手にエビデンス使いながら、できるんじゃないかという趣旨で御発言します。
日本の多分6割、7割の自治体が既に実施している高齢者の介護予防・日常生活圏域ニーズ調査データを、市町村から御提供いただいて分析したものなんですけども、大変きれいにスポーツの会に参加している人が多いまちほど、介護予防に直結するフレイルが少ないとかということはもう繰り返し観察されています。
さらに、健康無関心層をどうするんだという論議があるんですけども、調べていくと幸せな人ってスポーツをやっている人に多いということも出てきます。健康はどうでもいいんだけども、幸せにはなりたいという人は結構いると思うのです。これがなぜかって考えると、下にあるように鬱はスポーツをやると減る・改善するということも、これ相当エビデンスがあります。鬱の人は幸福度が下がってしまうという知見もあって、運動をやっていると鬱が減って,その結果,幸せになる人が多い。そんなことが相当裏づけられてきています。
それをさらに市町村の中で見てみると、同じ市内でスポーツをやっている人が多い町内会、少ない自治会がある。比べてみると4倍ぐらい差があるというのは、複数の自治体で確認されています。今後は高齢者だけじゃなくて全年齢においても、こんな調査をすることで、我がまちの実施率を上げるべき重点対象地域はここだと狙いを定めてやる。なおかつ、町内で実施率が高いところに何か手がかりがあるはずなので、それを参考にして働きかけて底上げを図るということが今後大事ではないかなと思います。
こういう調査がなぜできたかというと、厚生労働省が各市町村に、この調査票にぜひ準拠してやってくださいというのを呼びかけたことで、市町村がそのひな形を使って調査をやったことで、データをプールすることができるようになったのです。全国の市町村がスポーツ振興計画を立てる前の調査やろうとしていると思います。ぜひスポーツ庁もそのひな形を示して、これをぜひ使ってやってくださいと提案して、なおかつ調査をやったらそのデータをスポーツ庁に上げてください。そうしたら、それを全国のスポーツ科学の研究者で分析し,その結果をお返しします。そんな仕組みをぜひつくっていただきたいなと思います。
それができると例えばこんなこともできるようになります。これは12市町村で、スポーツというのは赤い棒ですけども、左の全くやってないと答えた人たちに比べて、スポーツのグループに参加している回数が多い人たちほど、右に行くほど、その後6年間の累積の介護費用が大体10万から12万円安かったという、そんな結果が得られました。これ1人当たりですから、もし1万人当たりに換算するとこれ10億円、介護給付費が安くできるということです。
こういうことを市町村にフィードバックしていましたら、だったらこれをソーシャルインパクトボンドに使おう。例えば介護給付費が減ったら、それを減らすのに貢献したNPO、例えばスポーツの総合クラブとか、あるいはその企業に対して、10億円浮かしてくれたんだったら6億円返すよと、その代わりそれを使ってもっと広げてほしいという取組みです。
そういうことをやることで、それなりの財源が確保できます。これをやるためには、これだけ減っているんですよということを誰が見ても明らかな形で、第三者評価をする仕組みをつくらないといけない。そのデータ基盤をぜひスポーツ庁につくっていただきたいと思います。
以上、もっとエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングを進めるために、高齢者では既にあるのでそのデータを使うこと、あとは全年齢層について、市町村に対して国がひな形を示して、そのデータをスポーツ庁に集めることで蓄積する仕組みをつくっていただきたい。それを住民に見せたりすることで、住民を巻き込むということができるようになりますし、第三者評価をしてこれだけ経費が浮いているんですよ、だから、ソーシャルインパクトボンドの財源できますよ。それを明示することで、企業とかNPOを巻き込むこともできるようになります。
その規模というのは既存の高齢者のデータでいくと、1万人が動き出せば年間2億円という規模が試算できますので、この辺をもうちょっと緻密なデータで裏づけつつやれば、それなりの財源も確保できるのではないかなと期待しています。
以上です。

【渡邉部会長】 近藤委員、ありがとうございます。ちょっと私、部会長という立場で、前回のスポーツ実施率向上のための中長期的施策の中で、そのひな形をつくって、全国の基礎自治体に調査をかけようというのが決まったんですけども、その進捗状況がどうなっているかというのを、事務局の皆さんからお答えいただきたいというのが1点。
それと近藤委員に1点、教えていただきたいんですけども、先ほど勝目委員のほうからスポーツとコミュニティー、孤独といった話がありました。特に高齢者は独居世帯も随分増えていると思うんですけども、こういった方々をどうやってコミュニティーの中に巻き込んでいるのか。具体的に好事例等があったら教えていただきたいと思います。
まず、近藤委員のほうからお答えいただけますでしょうか。

【近藤委員】 自分が自ら動き出すってかなりエネルギーが要ると思うんです。実際にスポーツやっている方が、市内の中で一番多かった地域に行って、一体この地域はどうやってスポーツの会への参加者を増やしているんですか。そんなヒアリングしたり、仮説を出したりして裏づけてみたら、スポーツイベントが多いまちはスポーツの会参加者が多いという傾向が見えてきました。どうしてですかねというんで、いろいろヒアリングしてみると、スポーツ大会があると出場者を確保しなくちゃいけない。それでおまえ、暇だろう、手伝えとか、おまえ、昔、野球やっていたよなというんで、チームのメンバーが1人足りないんだから出てこいとか言って、誘われる。仕方ねえなあとか言いながら行って、行ってみたらそれなりに楽しかったということもある。周りに誘われるというのが結構大事なようで、誘う口実として今度何とか大会があるから、おまえも一緒に出ろというのが結構機能している場合があるということは見えてきています。だから、環境から攻めていく、環境を変えるというのが大事ではないかなと思います。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。健康づくりとコミュニティーづくりの相乗効果が見られるということだと思います。すいません、事務局の皆さん、突然の話を振りましたが、いかがでしょうか。

【小沼健康スポーツ課長】 調査票みたいなものなんですが、まず、私どものほうでも、国のほうでもやっている調査ありますけども、その調査票に類似した形でおつくりをさせていただいて、自治体のほうにはこういうものをつくって、自治体の実態把握をしていただけませんでしょうかということについては、既にお願いはさせていただいております。
ただ、その調査の結果とかを例えば私どものほうにくださいというところまではちょっとできていなくて、その部分で自治体の実態とかを全国的に集めて、もう少し精緻に深掘りした調査をするということまではちょっとできていないという状況でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。ちょっとまだこれからの課題もあろうかなと思って聞いておりました。ほかの委員の皆さんいかがでしょうか。御遠慮なく御発言いただければと思います。
近藤委員、お願いします。

【近藤委員】 一言補足ですけど、自治体と一緒にやるノウハウを私たちそれなりに持っています。もしスポーツ庁から数自治体でも10自治体でも、仲のいいというか、話が通りやすい自治体に声かけていただいて、まず、その10自治体でやってみせる。すると、そういう結果を返してくれるんだったら、うちもデータを出してもいいというところが増えていきます。最初はモデル事業でやらせていただけたらなと思いました。

【渡邉部会長】 近藤委員、どうもありがとうございます。ほかの皆さんいかがでしょう。まだまだ時間もありますので、御遠慮なく挙手をしていただければと思います。
豊岡委員、手を挙げられました。豊岡委員、よろしくお願いします。

【豊岡委員】 今日の先生方のいろんな研究成果とか、御意見、大変勉強させていただきまして、ありがとうございました。
それで、一つだけ私も常に気になっておりますことは、競技スポーツと、それからそれ以外の健康づくりであるとか楽しむスポーツだとか、生涯スポーツだとかというものと一緒に議論すると、なかなかすっきりしないところがあるんです。例えば資料4の中学校の部活を外に出してしまおうというところです。これは分からなくはないんですけれども、競技スポーツの面から考えると、それぞれの部活は競技スポーツをやっているわけですので、勝つということも非常に重要な要素だと思うんです。勝つためにどのように練習したり、どのように生活スタイルをつくっていったり、あるいは栄養面で様々な取組をしていったりだとか、そうしたことで大変教育的な意味で物すごく大きなものがあると思うんです。
それでちょっと話が横にそれますけれども、今中学校が勉強は塾で、スポーツはスポーツクラブということで、それぞれ両方ともアウトソーシングしたら、中学校って何するところなのとなりかねないところがあるんです。
ですから、私は外に出すのではなくて指導者を学校の中に入れていくと、先生方といろいろ議論しながら、それぞれの部活をよりよい部活動にしていくということのほうがいいのではないかなと思っている一人でございます。
もう一方の楽しむスポーツとか、健康づくりのスポーツとか、工夫次第でいろんなことがやれるんじゃないかなと思っておりまして、私の市でも様々な高齢者向けのものであるとか、幼児向けに様々なことをしているわけでございまして、そういうものはいろんな事例を積み重ねていきますと、全国的にも本当にみんなが楽しく体を動かして健康づくりをしていくような日本になるんじゃないかなと思っているところでございます。
繰り返しになりますけれども、競技スポーツと、ほかの健康づくりや楽しむスポーツを分けて議論していったほうがいいんじゃないかなということをちょっと申し上げさせていただきたいと思ったところでございます。

【渡邉部会長】 豊岡委員、どうもありがとうございます。首長という立場、あるいは教育行政にも携わったという経験からのお話だったかと思います。
続きまして、斎藤委員、お願いします。

【斎藤委員】 私、スポーツクラブを経営している立場でお話ししますと、我々の会社に入ってくる人は大体100%近くが、学校時代スポーツをしていたということでスポーツ大好き人間ですね。選ぶ基準もホスピタリティーマインドがある人を主体的に採用していました。我々実はこのコロナ禍で、特に去年の4月、5月は緊急事態宣言で2か月間、全く営業できなかったわけです。それと今年も4月25日から5月末まで東京と大阪の、1,000平米以上のスポーツクラブは閉鎖ということになりました。スポーツクラブ事業だけをやっていると、今後パンデミックもまた可能性もあるということで不安です。もう少し事業の幅を増やそうということで、もう大分前から準備はしていたんですが、ヘルスケア事業本部というのをつくって、これは主に健康経営だとかいろんなことやっているんですが、今年から特に新しく始めたのが、事業開発型社外留学制度という取り組みです。これは、私どもの社員が主に3つのジャンルで、いわゆる社外留学をするということで、一つは前からお話ししている介護施設で運動指導をすることと、我々も今「元氣ジム」という名前でリハビリ型のデイサービス施設を展開していますので、さらに本格的に介護事業をやる可能性を考えて介護も学んでくることです。
この事例としては、感染の問題があって、最初なかなかそこに行くということができなかったときは、オンラインで我々の指導者のリードで入居者に運動していただいておりました。今は、既に十何人か先方の介護事業所、特に提携しているのはSOMPOケアで大手さんなんですが、そこに行って運動をご指導して、逆に介護のノウハウなどを学習してくることになっています。
あともう二つあります。実は専門学校さんも、スポーツがメインの専門学校だったら、これは運動の指導、スポーツの指導するというのは当たり前なんですが、それ以外でもやはり運動のニーズということがあるんで、現在は三幸学園さんに我々の社員を派遣しています。これはやはり留学ですから、我々も学ぶことがたくさんあり、非常に生き生きと学生さんとのやり取りをブログで送ってくると、私は必ず「いいね」を押しているんですが、自分の特技を実地で学生さんに伝達してきているようです。
あともう一つは、地方の自治体さんに行って1年ぐらい、あるいは半年ぐらいそこに滞在して、これは地方創生の意味で、既におととしあたりからやっているのが例えば鳥取県の伯耆町です。ここはふるさと創生で、いわゆる温浴施設を造っているんですけど、なかなかそれが活性化してないというところで、これは我々のほうが運動施設の設計図を書いて、町民の方が大勢入会して、黒字になりまして、ある程度指導した後は地元の方をご指導できるように育てて、そこで定着したということもあります。
ただ、実は合併した村か何かがあって、そこの施設が空いているということなんで、運動施設を造ると同時に、そこで、高齢者の人が働けるような施設にして、我々は半年ぐらいそこに滞在してご指導申し上げて、あとは引き揚げ、今は地元の方の働く場になっております。現在は北海道の小清水町でも同じような試みを始めており、だんだんそういうことが伝わって、何か所かから引き合いがあります。
我々はフィットネスクラブとインドアのテニススクール、それからスイミングスクール、この3つをメインでやっているから大型で1,000平米以上なのですが、運動施設というのは重要なんだということで、東京と大阪の緊急事態宣言の延長になった時には、我々運動施設のほうは今度は運営ができる事になりました。もちろんこれはスポーツ庁さん、経産省さん、厚労省さんから理解いただいて、営業できるようになってはきましたけど、やはりもっと事業を広げていこうということで、先ほど申し上げたような留学制度という形で、お互いに学び合うということで、我々の事業の幅も広げていこうということで努力しております。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。当然営利を追求するというのはもちろんなんですけども、企業市民としての公益事業への参入というのも積極的にしていただければ、地域スポーツ環境も整備されますし、各ライフステージに応じた実施率の向上にもつながると思いますので、また、引き続きよろしくお願いします。
それでは、藤田委員、よろしくお願いします。

【藤田委員】 ありがとうございます。私、今からお話しするのは感想的なものでエビデンスベースじゃないので、申し訳ないんですけども、2点少し感じたことをお話しさせていただきます。
1点目は、女性のスポーツの実施率に関することなんですが、女性がスポーツ実施率低いというのは、子供のときに経験してないから、中学校、高校になって、スポーツあんまり好きじゃなくて、汗かくとか日焼けするとかという理由でスポーツをやらない。スポーツやらないから、そういう経験がないので、成人になってからもスポーツ実施率が低くて上がってこないという流れがやっぱりつながっていると思うんです。
これは最近の調査ではないんですが、男性に比べると女性というのは、スポーツを始めるきっかけに重要な他者として、母親を挙げる人がやっぱり多いんです、男性と比べると。そういうことを考えても、やはりこうつなげていく、そういう何か施策というか、取りあえず子供のときにそういうスポーツを好きになろうという、好きにさせてあげるような経験を積んでもらうということが非常に重要じゃないかなと思っています。
近藤先生、どうですか。例えば親子運動教室やっている地域は女性のスポーツ参加率が多いとか、そういうエビデンスはないでしょうか。であれば、総合型地域スポーツクラブでもこれは別に母親と娘さんということではなくて、親子でスポーツに参加できるような機会を積極的につくっていくというのは、必要なことではないかなと思いました。
それぞれのライフステージでこういう施策が必要、こういう施策が必要ということももちろん見ていく必要があるんですが、つなげて見ていくという視点も必要じゃないかなと思いました。それが1点目。
2点目なんですが、これは私の専門である障害者スポーツに関わってくるところなんですが、先ほどの説明ありました、例えば泉委員からあった新しい生活様式における地域スポーツ環境の基盤強化であるとか、子供の運動遊びのための官民連携推進事業であるとか、「Sport in Lifeプロジェクト」であるとか、こういったところに障害者スポーツ関係者も入れてもらえれば、障害者スポーツは障害者スポーツで、そこで独自でやっていかなきゃいけない、特出ししてやっていかなきゃいけないことはやっていかなきゃいけないと思うんですが、一緒にやれるところがあるんであれば、そういうところも一緒にやっていただいたほうが、何回も何回も違うところから呼び出されて会議に参加しなきゃいけないということも、特に地域になっていくと、レベルでいくと、なかなか難しくなってくるかと思いますので、特出しすべきところはやっぱり特出ししてきちんとやっていくんですが、行く行くはそういったところも含めて一緒にやっていけるようなことを視野に入れてはどうかなと思いました。
以上です。

【渡邉部会長】 藤田委員、貴重な御意見だと思います。共生社会をつくっていくと、多様性と調和を考えたときには、委員がおっしゃったようなことも必要になると思います。
近藤委員に何か投げかけされていましたけども、お答えいただけますか、近藤委員。

【近藤委員】 チャットにも書いたんですけれども、できると思います。例えばさっきの母子でやっている取組、やっていますかというのを各市町村にお尋ねしたり、あるいは市民にそういうプログラムに参加したことありますかということをお尋ねして、それでそういう取組をしている市町村あるいはそういう取組に参加している人において、その後の参加率が高いということが出てくれば、それは期待できそうですねということになりますし、全く関連がないということになると、仮説としては期待できるんだけれども、ちょっと現状のやり方では十分な効果を発揮してないですねという形で、仮説とかいろんな試みが期待できる効果が上がり始めているのか、現状のままでは駄目なのかということを一個一個検証しながらやり方を改善して、PDCAを回し続けると、徐々に効果的なものが見えてくるんじゃないかなと思いました。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。続いて、遠藤委員、よろしくお願いします。

【遠藤委員】 藤田委員の流れで障害者スポーツ関連について、一つ重要なところというか、まず今資料の3で、9ページになりますけど、ライフステージに応じたスポーツ実施について、全体イメージの中に、相当な障害者スポーツの施策が盛り込まれていて、いろんなプロジェクトや施策があって、全国的にも展開しているんだけれども、障害者のスポーツ実施率が上がらないという現状があります。
それを考えると、よく私どものほうにもお問合せが来るんですが、障害者スポーツの参加に関して、やはり障害のある当事者、情報が入手しにくいということがありまして、インターネットとかICTの活用に関しては、やはりできる人はできますし、そういった環境がない人が多いんです。
なので、やはりそういった情報の入手の方法として、障害者の方がスポーツに参加するきっかけというのが医療関係者、お医者さんであるとか理学療法士からの勧めであったというものが多かったというのがアンケートにもありましたけども、やはり障害者スポーツって、医療と福祉とが切っては切れないというところはあります。
ですので、もう一度原点に返れば、例えば病院から退院した後、地域に移行して、福祉行政サービスを受ける際に、障害者の方もスポーツに取り組むことができるという情報を、そうした福祉行政のところから発信をして、そして障害者スポーツの窓口につないでいただくような、もしくはスポーツの所管につないでいただくような、やっぱり一連の流れをしっかりとした体制を取っていく必要があるだろうと改めて思いました。
もう一つは、スポーツ実施率の数値に関するところなんですが、前回この数値で、障害者スポーツの数値の目標ということであったんですが、インターネットの調査だけではやはり不十分かなと思いますので、国のほうで各県に委託をしている福祉行政のほうで、地域生活支援事業であったり、そういった個々の事業がありますので、そういったところに参加をしている障害者数というのは出ていますので、そういったことも踏まえて数字を取っていくということが大事なのではないかなと思います。スポーツ行政に移管されているところもありますが、福祉行政と医療関係との連携というのも引き続き行っていく必要があるということは重要だと思います。
ここで一つだけ、私、障害者スポーツに関係のないところでお話を伺いたいんですけど、泉委員のこの日本スポーツ協会が考える地域運動部活動を受け入れるという、ここの御説明をお聞きして、地方行政でスポーツ関係で、総合型地域スポーツクラブにもちょっと携わっているのでお聞きしたいんですけども、総合型地域スポーツクラブが現在3,600弱あって、そしてそれを9,000ぐらいに、9,300ぐらいにすると、公立中学校の数ぐらいにするという話なんですけど、それをプラス部活動の数というのもあると思うんですが、それを考えると、総合型地域スポーツクラブの体制というのは増やすのもいいんですけど、現状体制って結構厳しいところが多くあるんです。若干数字が減っているところもそこに表れていると思うんですが、そこに運動部活動をスポーツ少年団とか、そういったところと連動してやって、学校と連携してやっていく中で、現状体制の充実とかそういった部分や、あとは当面の間は運動部活動を指導する学校の教員及び退職教員による部活動への協力が必要不可欠とあるんですけど、こうなると結構長い期間をかけて、今の状態にするのに20年以上かかっているので、長い時間をかけてこれをやっていくということになると思うんですが、どのぐらいのビジョンでこのイメージを持たれているのかなというのをちょっとだけお聞きしたいなと思いました。
すいません、ちょっと最後に質問は関係ないですけど、以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。泉委員、お願いできませんでしょうか。

【泉委員】 御質問ありがとうございます。何年ぐらいでという具体的な年数はちょっとなかなか今お答えしにくいところでございますが、総合型地域スポーツクラブに、ほとんど中学生はいないんです、ほぼ皆無。といいますのが、今まで部活動があったためにこの総合型地域スポーツクラブのほうに中学生があまりいない。これから今中学生だけでも230万、230万人のうち190万、199万人が運動部活動をやっているんです。その子供たちが外に出てくるということになりますと、当然ながら総合型クラブの数も自然にやっぱり増えてこざるを得ないんだろうと思っています。
現実、総合型クラブ3,594クラブありますが、非常に脆弱なところがあるのもよく分かっています。それを改善するために、資料にもございますけれども、登録認証制度、全国できちんと登録してもらって、認証制度をつくって、レベルを上げていこうとこれも同時に動いていこうと。
それから、先ほどお話ししましたようにスポーツ少年団、こういったところとも合併をしながら、新しいクラブをやはりつくっていく必要があるかな、そんなふうに思っています。内容的に実施率を上げるには人数だけじゃなくてやっぱり楽しいクラブをつくって、スポーツでスポーツの楽しさ、ここをやはりしっかりと考えながら進めていく必要があるかなと考えています。ちょっと回答にもあまりなっていないかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
以上です。

【渡邉部会長】 遠藤委員、よろしいでしょうか。恐らくこの運動部活動の地域移行というのは、歴史的にも大転換ということになろうかと思います。したがって、豊岡委員のお話というのもごもっともな部分もあろうかと思いますので、やはり現状がどうなっているかということをまずみんなが認識できることと、それから、中長期的にどういう展開が行われるかというのを、やっぱりどこかのタイミングで、スポーツ庁になるんでしょうかね、示すことが大事じゃないかなと思って、私、個人的には聞いておりました。
すいません、残りが少なくなってまいりましたが、御発言されていない方があと3名いらっしゃいますので、簡潔に御発言いただければと思います。
まずは小松原委員、いかがでしょうか。

【小松原委員】 ありがとうございます。小松原でございます。
私のほうからは久野先生もおっしゃっておりましたが、スポーツ・運動は体に良いということは国民の皆さん既に御存じだと思います。ただ、健康効果との因果関係が明確に示されているエビデンスというのは本当に乏しく、やはりここは久野先生もおっしゃったように、政策的にエビデンスを積み上げていく必要があると感じておりまして、エビデンスが出てくれば、必然的に我々医療保険者もそうですし、企業の健康経営にもどんどんスポーツというものが取り入れられてくるのではないかと感じております。
もう一点は、遠藤委員もおっしゃっていましたが、今回スポーツ庁さんのインターネット調査の資料がありますが、インターネット調査というのはどうなのかなと思うところもございまして、例えば御自身が健康であるかどうかという調査があったと思います。ページでいくと、参考資料1-2の1枚目のところですが、健康に対する意識で、「あなたは、このところ健康だと思いますか」というところで、健康だということと、どちらかといえば健康だというのを足すと、7割、8割近い方が健康だと言ってます。
一方で、我々医療保険などでよく使っているOECDのヘルスレポートがございまして、こちらOECDの35か国の中で、日本人で健康だと思っている人は、後ろから2番目なんです。韓国が一番健康だと思っている人が少なくて、次に、日本が少ないということで、35%ぐらいしか健康だと思っていないということでして、このスポーツ庁さんのアンケート調査との乖離というのはどういうところにあったのかということをしっかりと見極めないと、ここに出てきた数字だけを使って施策を打っていくと、少し間違った施策になってしまうのではないかということを私は危惧しています。
以上です。

【渡邉部会長】 貴重な意見ありがとうございます。
続きまして、左三川委員、いかがでしょうか。

【左三川委員】 ありがとうございます。資料第2の論点ペーパーにあるビジネスパーソンに関しまして、健康経営と関連づけていただきまして、どうもありがとうございます。経団連では、毎年の春季労使交渉を前にして、経営者側のスタンスを示す報告書を出しておりまして、その中では、併せて労使に関わる様々な課題を挙げております、今年の1月に出した報告書でも健康経営の推進、とりわけウィズコロナの健康経営を課題に挙げていて、例えば健康スコアリングレポートの活用、健保組合様との連携などに言及しています。その中で社員、従業員に対する直接の働きかけとしましては、ラジオ体操等の動画配信や、社員同士で消費カロリーや歩数などの運動量を競うオンラインイベントなどを取り上げています。
これはコロナ下だけでなく、今後もある程度テレワークが定着するのであれば、そういった取組がますます重要になってくるという問題意識を企業側でも持っておりますので、そうした観点から働きかけるべき情報を引き続き頂戴できればと思います。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、大トリになりますが、松永委員、よろしくお願いします。

【松永委員】 短くまとめます。先ほど話題になっていました地域スポーツ環境の基盤強化のところで、藤田委員からも障害者スポーツ協会関係のお話がありました。さらに、競技スポーツと健康スポーツを分けて考えていくという御発言も含めると、スポーツ基本法、そしてスポーツ基本計画にも明記されている、「スポーツ・レクリエーション」という文言を加えることとレクリエーション協会との連携についても必要になると思います。やはり都道府県、市町村の各地域では、レクリエーションやニュースポーツなどの、「スポーツ・レクリエーション」は健康に親和性のあるワードになってまいります。地域スポーツ環境の基盤強化については、都道府県、市町村の特徴に応じて、障害者スポーツ、スポーツ・レクリエーションなどは、キーワードに加えるべきだと思います。
あと、検討の論点のライフステージを横断した課題についてのところで、今日も総合型地域スポーツクラブをはじめ、運動部活動についても話題になっていましたけれども、やはりその新しい仕組みをつくっていくときに、コーディネートする人材というものが非常に重要になります。それがスポーツ経営人材なのですけれども、地域の核になる経営人材をどう発掘して、育成していくのかというところが課題です。現在、スポーツ団体ガバナンスコードの策定などにより、地域のスポーツ組織運営体制についてもかなり意識を高めておられ、女性役員のみならず外部識者の登用なども含め、新たな視点での見直しを積極的に行う良い機会になっています。その辺りも含めて、まずは地域スポーツの基盤強化、そして、スポーツを通じた地域の活性化をめざし、スポーツ以外のまちづくり等の活動に関わっている組織団体とのリエゾン(橋渡し)も含めたコーディネーターとしての経営人材とどう連携していくかというところは、大きなキーワードになってくると思いました。この辺りのところはまたお時間があれば、発言させていただきたいと思います。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。ちょうどお時間となりました。本日予定していた議題は以上で終了ということになりますけども、最初から最後までお付き合いいただきましたが、室伏長官のほうから最後、一言いただければと思います。よろしくお願いします。

【室伏スポーツ庁長官】 皆さん、本日は部会に御出席いただきまして、また、活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。閉会に当たりまして、一言御挨拶させていただきます。
今回の健康スポーツ部会では、第3期スポーツ基本計画の策定を見据えまして、地域スポーツの体制整備、また、ライフステージに応じたスポーツ実施の在り方について、活発に御議論していただきました。
地域スポーツの体制整備については、今後休日の運動部活動の段階的な地域移行が控えていることからも、受け皿として、総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団の整備、そして関係団体との連携体制構築等が必要になってくるものと思います。
また、ライフステージに応じたスポーツ実施の在り方については、子供、ビジネスパーソン、高齢者、女性、障害者といったカテゴリー別に考えていく必要もあり、各カテゴリーの中でも、それぞれ個々、人によって異なる状況においてライフスタイルによって、一人一人にとって最適な運動・スポーツを実施していただけるように、また今後検討していくことが重要だと思っております。
次回健康スポーツ部会では、健康スポーツ部会からスポーツ基本計画部会への報告内容について御議論いただくことになっております。徐々に具体的になってくるかと思いますけども、今日もたくさん活発な御議論いただきまして、本当に貴重な様々な角度からいただきましたので、これは本当に参考にして我々もしっかりとまとめていきたいと思います。引き続きの御指導よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【渡邉部会長】 長官、どうもありがとうございました。それでは、事務局より次回に向けての御説明をお願いしたいと思います。

【小沼健康スポーツ課長】 本日は長時間どうもありがとうございました。次回の日程でございますけれども、また後日改めまして、事務局より御案内をさせていただきます。
それから追加の御意見、御質問等ございましたら事務局までメールでお寄せいただければと思います。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。今、長官から次回のテーマ、お話ありましたけども、引き続き、ぜひ御協力いただきたいと思います。
本日はこれにて部会を閉会といたします。皆さん、どうもありがとうございました。
 

―― 了 ――

 

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