スポーツ審議会健康スポーツ部会(第15回) 議事録

1.日時

2021年6月7日(月曜日)15時~17時

2.場所

WEB会議(Webexを使用)

3.議題

   (1)国民のスポーツ実施に関する目標設定について
   (2)その他  

4.議事録

スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第15回)

2021年6月7日

【渡邉部会長】 皆さん、こんにちは。部会長の渡邉です。今日もよろしくお願いします。
それでは、第15回スポーツ審議会健康スポーツ部会を開催いたします。皆様、大変お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、16名の委員の方々に御出席いただいております。スポーツ審議会令第6条第1項及び第3項の規定によりまして、本部会の開催及び議決に当たっては、委員の過半数の出席が求められているところ、定足数を満たしております。したがって、開催とさせていただきます。
また、本日は、スポーツ庁藤江次長、牛尾スポーツ総括官に御出席いただいております。また、オブザーバーといたしまして、厚生労働省健康局健康課より清水課長補佐、磯崎課長補佐に御出席いただいております。
まず、開催に当たりまして、事務局よりウェブ会議におけます留意事項、配付資料の確認をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 健康スポーツ課長、小沼でございます。本部会は、前回と同様に、Cisco社のWebexによるウェブ会議とさせていただいておりますので、事前にメールで送付させていただいておりますWebexの使い方についてのPDFファイルを御確認いただき、御対応をお願いいたします。
なお、特に資料の共有の御希望がある際は、資料のページ7、8のとおり御対応いただければと思っております。
次に、事前にメールでお送りしております資料でございますが、確認をさせていただきます。資料のほうでございますが、議事次第にございますように、資料1、資料2、それから資料の3-1、3-2、資料4、それから参考資料1ということでございます。事前にメールでお送りさせていただいておりますので、不足ということはないと思いますが、ファイルが開けない等ありましたら、事務局のほうにチャットで御連絡をいただければと思います。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。皆さん、今の課長の声、拾えましたでしょうか。大丈夫ですか。
それでは、議事に移りたいと思います。議題1番、国民のスポーツ実施に関する目標設定についてでございます。まず、第三期スポーツ基本計画における目標設定について、また、スポーツ実施に関する各種目標・調査、あるいは諸外国におけるスポーツ実施に関する目標設定について、事務局より、本日の議案に関します資料の御説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【小沼健康スポーツ課長】 それでは、資料の内容につきまして、説明をさせていただきます。
まず、資料1でございますけれども、こちらは、前回の振り返りになります。事前に資料をお送りさせていただきましたので、説明は省かせていただきます。
それから、資料2でございますけれども、本日御審議いただきたい第三期スポーツ基本計画の目標設定について、あらかじめ論点をまとめさせていただいたものになります。
最初に、検討の視点についてですが、第二期スポーツ基本計画では、成人の週1回以上のスポーツ実施率を65%に引き上げることを政策目標に掲げてきたものの、指標について、運動やスポーツの強度、時間、量といったことが含まれていなくてよいのかというものになります。こうした観点から、新しい異なる指標について検討しておきたいというものになります。
次に、検討の論点という部分でございますけれども、現在65%を目標としている「スポーツ実施率」の指標については、緩やかな定義の下に、気軽にスポーツに親しんでいただく方々の状況を把握するという観点からは意味があるというふうに考えているところでございます。その上で、スポーツ実施の効果について、健康増進や地域社会の活性化といったスポーツに期待される役割を考えながら、新たな指標を設定してはどうかというものになります。
先ほども申しましたとおり、回数だけでなく、運動の強度や継続時間といった指標も取り込んではどうかというものですけれども、健康増進や体力向上のために必要な運動量、こういったものは個人差が出てきますので、こういったことをどうしていくのかということもやはり検討が必要になるのかなというふうに考えております。
続きまして、一番下の部分でございますが、障害者スポーツにつきましては、障害の状態などが個々の方々で異なる面があろうかと思います。新たな指標を考える場合には、政策の対象からはみ出してしまう方が出ないように、こういったことに注意していく必要があるのかなと思っております。
それから、障害者の方々のスポーツ実施率については、前回の資料で御説明をさせていただきましたけれども、過去1年間に一度もスポーツをされなかったという方が半数程度おられますので、こうした方々がスポーツの場に参加できるような施策、こういったものが出てくると、これと整合した目標設定というものも、私どもとして出しやすくなってくるのかなというふうには考えてございます。この辺、また御意見をぜひともお聞かせいただきたいと思っております。
続きまして、2ページに参ります。指標については、ただいま説明いたしましたスポーツの実施率や強度、量といった目標だけでよいのかというものになります。例えば、スポーツを楽しいと感じてくれる方、それから、スポーツでストレス解消になったという方、こういった方々を増やしていくといった目標というのも、場合によってはあるのかなと思っておりますので、そういったことについても、ぜひとも御審議をいただきたいと思っております。
続きまして、その下の丸の部分でございますけれども、第二期のスポーツ基本計画では、週1回と週3回のスポーツ実施率を目標としておりますが、この週3回という部分につきまして、引き続き目標とする必要があるのかどうかということでございます。
それから、最後の部分でございますが、政策目標に係る指標や目標値の設定、こういった部分になりますけれども、簡単に申しますと、達成状況を把握できる指標にしたい。それから、容易に達成できる、あるいは達成が著しく難しい、こういった目標は避けたいというものになります。加えまして、現行の65%という目標をどのようにするのか、70%あるいはそれ以上に引き上げていくのか、それが現実的なのか、こういった点についても御審議をいただきたいと思っております。
3ページの参考1でございますが、これは第12回以降、今年の1月以降でございますが、この期間の部会における主な御意見ですので、説明は省かせていただきます。
それから、6ページの研究報告などは、北出委員から、健康とスポーツの関係性を表す各種論文というものを御提供いただきましたので、事務局におきまして、アブストラクトをさらに省略したような形で恐縮でございますが、取りまとめております。後ほどお目通しをお願いしますとともに、北出委員からも補足などありましたら、ぜひともお願いしたいと思っております。
続きまして、資料の3-1でございます。こちらは、各種目標と調査ということでございます。
最初に、おめくりいただきまして、2ページからでございますけれども、こちらは、どういう目標値がいろいろな国や国際機関で設定されているのかということでございます。2ページは、運動・スポーツの実施に係る目標ということで、これは第二期スポーツ基本計画の、私どもスポーツ庁の目標で65%、あるいは3回以上ですと30%、障害者の方ですと、週1回40%、それから3回ですと20%、こういうものになります。
続きまして、3ページ目でございますが、こちらのほうは厚生労働省さんの健康日本21(第二次)における目標になります。主に年齢や性別ごとに、歩数などが目標値として設定されているというものでございます。
それから、同じページの下の段の健康づくりのための身体活動基準、これも健康日本21と連携したものでございますけれども、こちらのほうでは、それぞれ年齢階層ごとに、それから、運動ごとにメッツ数という強度を示すような指標が決まっていますので、それに基づいて、例えば23メッツ・時/週というような形で、具体的な数値目標を掲げておられるというものになります。
続きまして、4ページでございますが、国際機関のWHOで、身体活動・座位行動ガイドラインというものが昨年の11月に公表されております。こちらのほうも、年齢階層ごと、それから障害のある方ない方、それから、例えば妊産婦の方とか、いろいろな対象ごとに目標が示されておりまして、例えば、18歳から64歳の一般に成人と呼ばれるような方につきましては、中強度の身体活動を週に150から300分といったような形で目標が設定されているというものになります。
続きまして、5ページ目からは、国内におけるスポーツの実施状況に関する調査について、私どもで調べたものになります。
6ページ目でございますが、これは運動・スポーツ実施に係る各種調査ということで、私どもスポーツ庁で行っている、例の65%を目標とする指標の測定を含む調査でございます。これはインターネットで2万人の方に御協力をいただきまして、調査をしているというものになります。
続きまして、7ページ目でございますが、こちらのほうは笹川スポーツ財団さんが実施をいただいております、スポーツ活動に関する全国調査ということでございまして、下のほうの箱になりますけれども、週2回以上、実施時間1回30分以上、運動強度「ややきつい」、こういう3条件を満たす、高頻度・高強度実施者をアクティブ・スポーツ人口というふうに定義して、割合を算出している。こういった調査をされているというものでございます。
続きまして、8ページでございますが、こちらのほうは厚生労働省さんが行っております国民健康・栄養調査報告というものでございまして、運動・スポーツの実施に係る主な調査項目という箱のところでございますが、週に2日以上、1回30分以上、1年以上の継続、この3項目全てに該当する場合に運動習慣ありと判断し、また、1日の活動量ということで、歩数などといったものを調査されているというものでございます。
その下は特定健診、いわゆる住民健診と呼ばれるものでございまして、こちらのほうも厚生労働省さんがデータを取っておられまして、下の箱でございますが、運動実施状況ということで、1日30分以上、週2日以上、1年以上継続、そういったような形で幾つか条件がございまして、こういう方々のデータをお取りになっているというものでございます。
それから9ページは、私どもスポーツ庁で行っております体力・運動能力調査ということで、こちらのほうは、いわゆる体力そのものをはかりますので、握力や、上体起こし、いわゆる腹筋でございますが、こういったようなものについて、8項目ほどございますけども、年齢階層ごとに調査をして、毎年公表しているというものになります。こういった調査があるということでございます。
それから、資料3-2でございますけれども、こちらは、諸外国におけるスポーツ政策における目標設定の状況ということでございます。
一番下の欄に具体的な数値目標が記載されておりますけれども、御覧いただきますと分かりますように、我が国の基本計画のように数値目標が出てくる国はかなり限られているようでございます。真ん中辺りに豪州、オーストラリアがございますが、こちらのほうはWHOのガイドラインを取り入れていると思われますが、毎週中等度から高強度の活動を150分以上行いましょうといったような目標を掲げているようでございます。御参考までに私どもとして資料を出させていただきました。
事務局からの説明は以上となります。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。
前回までのいろいろ反省を踏まえまして、事前に資料を送らせていただくということと、説明はしたがって手短に行うと。これからお二人の方に発表していただきますが、発表についても、5分間の発表ということで、それぞれ時間厳守でお願いしたいと思います。そしてその後に、皆さんいろいろ御意見ございますので、十分時間を取っておりますので、その点あらかじめ御了解ください。
それでは、久野委員より、5分間の時間の中でのプレゼンテーションということでお願いしたいと思います。久野先生、よろしくお願いします。

【久野部会長代理】 これは事務局のほうで資料は共有いただけますか。

【小沼健康スポーツ課長】 事務局のほうで資料を共有いたします。

【久野部会長代理】 すみません。部会長のほうから5分でという今厳命をいただきましたので、皆さん見ていただいているということで、多少早口、スキップで行きたいと思います。
次のページをお願いします。2枚目を。今、今後第三期に向けての件と、、目標設定の方針の考え方で、8項目挙げてあります。
1つは、先ほど楽しいとか、ストレスのとか、そういうことも大事なことですが、健康スポーツ部会としては、1番の疾病や介護予防における成果が得られるスポーツ実施者を増加させるという視点は一丁目一番地だと思います。
ただし、成果に関する評価法とか評価指標が難しすぎたり、現場で時間がかかりすsぎると現実的ではないので、その辺りの整備あるいはバランスも考えながら最終的に決めていく必要がある。
評価に関しては、単に疾病予防の視点ばかりではなく、コミュニティーでの活動、生きがい(well-being)など、人とつながることは重要である。皆さん御存じかもしれませんが、最近、Pigginさんのこの論文が結構有名で、身体活動の定義をエネルギー量と捉えるのではなく、文化的に特定の空間や関係性の中で動き、行動し、演じ、相手との関係から興味、感情、アイデアなどを受ける活動というふうに変えられたことなどを含めて考えていくべきではないか。
4番目は、目標設定が一律全国民というのは当然無理で、各ライフステージや、障害の有無といったものに応じてある程度きめ細かな、あまりきめ細か過ぎても駄目なんだと思いますが、そういう視点が必要だろうと思います。
5番目は、政策実施側の評価、政策効果をきちんと見られるという視点も必要だろうと思います。
6番目は、狭義のスポーツ施策にとどまらず、いわゆるまちづくり的な総合的な視点も必要だろうと考えています。
次、お願いします。このページは、今御説明した、いわゆる身体活動などの定義が変わっていったというページなので、次で結構です。
これが今お話ししましたPigginさんの定義をまとめたものということになります。
次お願いいたします。目標設定のためのエビデンスや先行モデルの事例を5つ挙げました。まず、子育て女性です。
次お願いします。妊産婦の運動の身体的・心理的効果というような点に関しては、海外ではかなり論文が出ていますし、また、こういうガイドラインも、これはイギリスの例が150分というのが妊婦さんでも出ていまして、こういうような方向性にやはりつながっていくようなところが、特にスポーツという視点でどのように打ち出せるかということが大事と考えております。
次お願いいたします。先ほどまちづくりの発想が必要と言ったんですが、これは、国交省が定期的に調査をしているパーソントリップというデータです。65歳以上の高齢者を囲っているところだけ見ていただくと、電車が映っているところと、バツと映っているというのは、いわゆる首都圏で公共交通が整備されている地域に住んでいる高齢者だと、67.1%が出ていると。その下の51.8は、同じ首都圏で公共交通がありながら、やっぱり車がない高齢者は減ってくるという意味になります。
右側の公共交通がないところでは、60.2%の車を持っている人が出ている。それでも7ポイント低いんですが、車がない高齢者は40ポイントぐらいに落ちる。これは公共交通の例ですが、いわゆるスポーツ施設といったものとの関係、あるいはそこに高齢者、今後80、90歳の人たちのスポーツも考えると、その場に行くまでという問題もスポーツ実施率に効いてくるということを我々は頭に入れて、第三期を考えていく必要があると思っています。
次お願いします。これは新潟県見附市の事例です。左側の棒グラフを見ていただくと、年々コミバスの利用者が非常に増えておりまして、これがいわゆる車からの転換、あるいは外出の増加が実際にやれている自治体が日本にあるという実例として示しました。
次お願いします。なぜ見附市でできたかというと、見附市でこの20年間にハードとソフトを市内にこのように整備をしてきて、その間にコミバスを通したので、人が出るようになったと。ソフト的な対策だけではなくて、ハード的な対策も整備して、しかもスポーツの場だけではなくて、高齢社会の中では足の問題が非常に重要になってくるという視点も、今回考える上では非常に重要と思いましたので、このデータを入れました。
次お願いします。今、孤立の問題が非常に出てきていまして、時間の関係で右側だけを見ていただくと、社会的活動を行っていないという理由から、30%の率で体力的に難しいということが上がっていまして、この辺り、特に高齢者のスポーツ実施を上げる意味が見えるデータだと思います。
次お願いします。これは、日本のデータは千葉大の近藤先生がかなりエビデンスをためられていますが、社会的孤立に関して、こういう目途も出ているということは皆さんも御存じかと思います。そういう面で、スポーツによるコミュニティをつくっていくという発想が、今回重要な視点だということを付け加えさせていただきます。
次お願いします。もう一つは、飛び地の自治体が連携してスポーツによる健康づくり事業をやっているという例です。これは我々がちょっとサポートしているのですが、飛び地での連携を可能にしたという点で、ICTの活用も非常にポイントになってくるだろうと思います。それから、飛び地連携によってコストを下げることが出来て、いわゆる大きな事業の展開も可能になってきたということも、重要な視点になります。
次お願いします。これは我々の研究室で出してきたデータです。ウオーキング主体の運動・スポーツによる後期高齢者への介入効果の中で、評価の視点でこれまで医療費がよく言われますが、今後は介護の負担抑制という視点も、高齢者のことを考える場合には非常に重要です。スポーツの社会保障へのインパクトということで、介護に関しても、これは川西市、兵庫県の例ですが、複数の自治体で確認をしております。
次お願いします。これはここ三、四年、健康スポーツ課が進めて来られた医療連携という視点も非常に重要だと考えていまして、1個の自治体で成功例ができると1年で6倍と大きく出るんですが、横連携していく仕掛けになる評価の考え方もポイントだと考えています。
次お願いいたします。それからもう一つ、医療連携は健康スポーツ課で進んでいますすが、介護連携という視点が非常に大事で、一番右側だけ見ていただきたいんですが、いわゆる要介護者がデイサービスでリハビリ介護を結構受け出していて、介護を外れる方が出てきているんですが、そうすると、これを受け入れるスポーツできる場所がないので、3か月から半年でまた介護認定を受けて、要介護に戻っていくということが全国で起こっています。sこうしたこともスポーツの力でなくさないといけないということを評価を含め、第三期の方向性にどう入れていくかという視点が大事だと考えています。
次お願いします。最後に、今後の部会に向けての議論の視点をまとめました。スポーツの力で疾病者、要介護者、障害者等が健幸になれる体制整備、この視点としては、その場、指導者、プログラム、そしてもう一個大事なのは、ビジネスモデルがあって、そこに関わる人をどう増やせるか、あるいは産業として大きくできるかという視点も、評価するときの重要な視点ではないか。
後期高齢者の視点というのが第三期は非常に重要だと考えていまして、80代や90代でもスポーツコミュニティーで楽しめる地域をどう増やすか。医療との連携による疾病者も、スポーツの力でどう増やしていくか。心臓病や腎臓病、透析患者といった、一昔前ではスポーツが駄目だという人を取り込んでいける状況をどうつくっていくか。障害者に関しては、すみません、ここは藤田先生の専門なので、藤田先生と書いてあります。介護事業者との連携をどうするか。
私は、フィットネス業界や総合型地域スポーツクラブ等の連携は重要だと思います。
また、国及び自治体や民間が運営するにあたりインセンティブの制度化が重要になってくるだろうと思います。
もう一方で、先程も見て頂きましたが、スポーツによる介護会計における抑制効果についての研究も増やしていく。スポーツ庁主導でこういうエビデンスをどう増やしていくのかという視点も、今後評価をする上で重要だと思っております。
以上でございます。

【渡邉部会長】 久野委員、ありがとうございます。大変まとまった資料、簡潔に説明いただきまして、感謝しております。
時間の制約というのが厳しいんですが、津下委員、引き続いて第2のプレゼンをお願いします。

【津下委員】 すみません。私のほうでファイルを共有しようと思ったんですけど、うまくいかないようですので、事務局のほうで私のファイルをアップしていただけませんでしょうか。すみません。
私のほうは、今回、スポーツ基本計画における目標設定についてということで論点が挙がっておりましたので、目標設定に関する情報についてまとめたものを御提示させていただきたいと考えております。
すみません。事務局さん、できますでしょうか。

【事務局】 事務局でございます。すみません、少し時間がかかりそうですので、資料の説明のほうを先に進めていただいてもよろしいでしょうか。

【津下委員】 分かりました。すみません。では、進めます。私のほうは、目標設定について、健康や疾病予防に関して、今までにどんなエビデンスが蓄積しているのかということを御紹介し、そして、目標について、頻度だけではなく、強度や継続時間など、どのような指標が考えうるかということをまず御紹介したいと思っています。
2番目に、指標としてはモニタリング可能な指標としてどんな指標があるのかという点を御紹介させていただきたいと思っております。国民健康・栄養調査、そして、特定健診のナショナルデータベースのデータがあります。さらに今、久野先生から後期高齢者の話がありましたけれども、後期高齢者については、令和2年度から後期高齢者の質問票というのが厚生労働省で実施することになっておりまして、既に8割以上の自治体がそれを活用している状況になっておりますので、そういうデータの活用も視野に入ると思います。
そして、このような目標設定やガイドラインの普及・実用化に向けては、有疾患者とか高齢者に対して働きかける意味で、医師が果たせる役割があるだろうということで、今、医師会で議論している最中でございまして、関係者の連携に向けたテキストを作成しています。
今回、このエビデンスの整理については、日本臨床スポーツ医学会の中で議論している最中のスライドも含まれていますことから、関係者限りとさせていただいていることを御了承お願いしたいと思います。
ページ開けていただきまして、最初のページは、現在の日本の身体活動基準2013が発表されている根拠としては、死亡、生活習慣病発症、がん発症、ロコモ・認知症という4つのアウトカムを指標とした場合に、どのぐらいの身体活動量があれば、そういうリスクが減らせるかという観点から、週23メッツの運動を行うというような指標が出ていまして、それが身体活動基準になっているということ。その次のページですけれども、座位時間が長いほど、1よりも右側に行っておりますけれども、健康障害を起こしやすいというような多くの研究の結果から、身体活動の基準がつくられているということがあります。
その次のページを御覧ください。41ページになりますけれども、内科系臨床学会では、運動療法に関して、各学会で、その疾患の改善に向けたガイドラインを出しています。

【渡邉部会長】 津下委員、すみません。今、事務局のほうで手間取っているようなところがございますので、後ほど共有できる段階になりましたら、もう一度お願いしたいと思いますけれども……。

【津下委員】 すみません。不手際で申し訳ありません。了解しました。すみません。失礼します。

【渡邉部会長】 それでは、ちょっと進行のほうを進めさせていただきたいと思います。
今まで健康スポーツ課の課長から説明いただいた資料、及び久野委員から御説明いただいた資料等をベースにしながら、皆さんが今お考えのことにつきまして、忌憚のない御意見をいただきたいと思います。
すみません。また状況が変わりました。資料が準備できましたので、一旦津下委員の説明を先に行いたいと思います。よろしくお願いします。

【津下委員】 大変申し訳ありません。今、ここの1ページ目のスライドは説明いたしました。
次のページお願いします。これが現行の身体活動基準で、運動の身体活動量の基準を決めるために、論文を整理したというものでございます。
次お願いします。その次お願いします。これは、内科系の臨床学会で推奨されている、ガイドラインをつくるときに多くの論文を整理した上で、臨床医に対してこのぐらいの運動を患者さんに勧めてくださいというような指針になっております。各学会共通しているのは、有酸素運動主体、そして、レジスタンス運動とストレッチングを組み合わせるということ、本人が楽しめる内容ということ、日常生活活動の増加、座位の減少ということで、低等度から中等度ではじめ、慣れてきたら段階的に強度を上げるということ。
そして、最近の傾向としましては、若年者や心肺機能が高い者では、高強度インターバルトレーニングも可という指針もでています。一般的には、週150分以上の運動で糖尿病や肥満の改善・予防につながるというエビデンスはかなり多くあります。そして、それは中等度程度の運動ということで、ウォーキングなど、週150分以上の運動が推奨されています。
ただ糖尿病の分野においては、高強度インターバルトレーニングで週75分以上でよいとの記載もある。強度の強い運動ができる人は、より短い時間でも、健康に対する効果はあるというような報告が相次いでいて、海外のガイドラインにも取り入れられているという状況になっております。
次お願いします。これは、その根拠となる論文を、例えば、一般を対象に肥満予防だったら、週当たり150分から250分の運動により3%以上の体重増加を予防できると。これは米国スポーツ医学会のガイドラインの記述というような整理で記載しておりまして、このように中等度の運動を継続すると良いいうのは多くの研究で示されています。
肥満の方が減量したい場合には、実は週150分未満では有意な効果は確認できない。週150分以上の身体活動が必要で、2から3キロの減量につながるということ。それから、食事との組合せが有用。また、減量後も身体活動、週当たり200から275分を続けていることが有用ということは、米国スポーツ医学会で出しているということです。それから、脂肪肝についても、有酸素運動及び筋力トレーニングというのを、欧州肝臓学会が出しているということになります。
糖尿病については、予備軍から糖尿病の発症を予防するという意味で、週150分以上の中等度の運動というのが推奨されています。また、筋力トレーニングや、長時間の座位を減らすこと、これについても複数のRCT研究で、ランダム化比較試験で認められている効果ということになります。
糖尿病になった患者さんについても、週150分以上の中等度から高強度の有酸素運動を少なくとも週3回実施するということで、1日にかためて実施するよりも、週3回は運動することが必要というようなメッセージになっています。高強度であれば、最低75分という基準が出ています。
それから高齢者では、糖尿病だとサルコペニア、筋肉量が減りやすいし、サルコペニアがまた糖尿病の悪化につながりやすいということで、二、三回の筋力トレーニングを加えるということが記載されています。それから、転倒防止のために、バランストレーニングというのを米国糖尿病学会が記載しています。
次お願いします。それから、高血圧、虚血性心疾患、それから腎臓病、がんなんですけれど、いずれにおいても週150分以上の中等度の運動が推奨されています。腎臓病については、安定期の腎臓病は可能な範囲で、また、透析患者さんについても運動療法を行うことを推奨するということで、腎臓学会は、運動について、リハビリテーションという観点からも実施を推奨するように大きく変わってきたと言えます。
がんについては、がんの予防の効果、また、がんサバイバー、がんの患者さんががん関連死亡や全死亡リスクを減らすとか、QOLをよくするとか、そういうことについて、米国スポーツ医学会でガイドラインに掲載されています。
次お願いします。高齢者に対しては、WHOのICOPEというのが、多数の論文を整理した上で推奨の運動を提言しているわけですけれども、歩行速度や握力等の身体能力の低下が見られる高齢者、これはフレイルの高齢者については、弱い負荷から徐々に段階的に増やしていくことや、バランスや柔軟性を高める運動、有酸素運動を含む複合的な運動を推奨しているということであります。
それから、認知機能の予防にも運動、運動不足は認知症のリスクになるということや、50歳以上における中等度、高強度の身体活動プログラムが、認知機能などの改善に影響するとか、様々なエビデンスが出ているということになります。
次お願いします。整形外科系については、これは量とかそういうものはあまりはっきりしないのですけど、肩こり、腰痛、変形性膝関節症、骨粗鬆症について各学会で運動が推奨されておりまして、このような筋力訓練とか、バランス訓練とか、様々な運動の形態が示されていまして、症状の軽減などの効果が期待できるというような記載になっております。
次お願いします。女性についても、月経困難症について、米国産婦人科学会では、エビデンスが十分とは言えないけれども、45から60分の運動を週3回以上実施することを推奨しています。
また、妊娠中の場合も、臨床スポーツ医学界の提言で、自覚的運動強度としては「ややきつい」以下、また、連続運動の場合は「やや楽である」というような運動の強度で、実施時間などについても提案がされているという状況です。
更年期以降、老年期については、有酸素運動、筋力・骨盤底トレーニングなど、尿失禁などについて骨盤底トレーニングが望ましいとされていますけれども、どういう運動をどのぐらいしたらどういう効果があるかということについてのエビデンスは、まだ十分とは言えないという状況になっているかと思います。
次お願いします。スポーツを実施する上での留意事項が記載されているガイドラインについて列挙しています。例えば、肥満の場合は、整形外科的な問題を引き起こす場合があると。糖尿病の場合では、整形外科的な問題のほかに、合併症が進行している方では病状が悪くなることもあるので、定期的な合併症チェックを事前に行うとか、それから、その他疾患がある場合は、医師と連携しながら徐々に強度を高めるなどの運動プログラムが推奨されているというようなことで、各学会、運動についての記載が徐々に充実してきたのではないかと考えております。
次お願いします。それから、運動の指標としてどういう指標があり得るかという質問に対する、現状、手元にあるデータを持ってきました。国民健康・栄養調査は、健康日本21でも広く用いられておりますし、長期的な安定した方法で実施されています。国民生活基礎調査において設定された地区から層化無作為抽出された地区でもって測定をされているということで、長期間にわたる信頼があるというふうに思っております。
都道府県レベルだと、国民健康・栄養調査の都道府県分を使うというのがあるんですけれど、客体数が少ないので、移動平均を使ったりしているケースが多いです。県民健康・栄養調査は、都道府県とか自治体により実施方法に差があるので、標準化することが望ましいというふうに思われます。特定健診の標準的な質問票は、ナショナルデータベースに掲載されておりますので、こういうデータを使って、地区別の運動実施状況を確認することは可能です。
次お願いします。これは国民健康・栄養調査の結果で、年次的に推移はどうかとか、性・年代別のことがどうかとか、運動習慣と歩数と分けて表示があるということで、安定して使っているものになります。比較的歩数は増えていないなというような結果がずっとこのトレンドから分かります。
次お願いします。都道府県別に、例えば平均歩数がどうなっているかという、年齢調整値なども公表されている年がありますから、そういうのを見て、各地域の歩数の状況などを比較したり、対策に使うということが可能ではないかと思います。
次お願いします。それから、年度ごとに、例えば、テーマを決めて調査をすることがあって、例えば運動への習慣がある人が今後やりたいかどうかとか、関心度を聞いている年もありまして、そういうのはほかの分野でも参考になるのかなと思いました。
次お願いします。特定健診の質問票は、特定健診は今3,000万人受けています。40から74歳に限定されていますけれども、悉皆データ、受診率55%、企業だと95%ぐらい、働いている人のデータはあるということで、かなり客体数は多いということになります。
この運動習慣についても、歩数、意識的な運動とか、それから、日常生活の活動などが運動のスコアとして活用される、スコアリングレポートなどでも活用されるということで、健保などでは広く用いられている指標になるし、それから、各健保とか各自治体とか、個別に対象者の状態を見ることができるので、手元で扱いやすい指標ではないかというふうに思います。
次お願いします。例えば、NDBの結果を見て、1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上しているかという質問があるわけですけれども、これの性・年代別の「はい」と回答した数がどうなっているかとか、右側は医療保険者別に実施率を見ていまして、これで見ると、市町村国保と共済組合は比較的実施率は高いけれども、協会けんぽと健保組合の実施率は低いとか、そういう保険者別の習慣なども可視化することができ、これは検討会で報告されているデータになります。
次お願いします。日常生活における歩行とか、同年齢と比較して歩く速度が速いかどうかということについても、同様にデータ化されています。
次お願いします。それから、例えばメタボ判定別に、メタボの基準に当てはまる人、予備軍の人、非該当の人で、運動習慣がどうかなどの分析をNDBを使って実施することもできます。これによると、メタボ非該当の人のほうが運動習慣、身体活動、歩行速度とも良好な結果という結果でした。
次お願いします。都道府県の中で、各自治体の運動実施率などをマップ化したりとかして、見える化することで、地域の対策につなげることが可能ではないかというふうに思っています。
ということで、以上、指標に関する手元のデータをお示ししました。あと、今後、これをどうしていくかとか、それから、医師がどうこういうものを活用していくかとか、いろいろな議論が進んでおりますので、また別の機会に報告させていただければと思います。以上です。

【渡邉部会長】 津下委員、ありがとうございました。エビデンスの整理から、基準ガイドラインの普及・実用化に向けた示唆に富んだ御説明をありがとうございます。
途中いろいろありましたけれども、ここからは皆さんの意見をできるだけ伺っていきたいと思います。本日のテーマは、国民のスポーツ実施に関する目標設定についてということであります。できるだけ皆さんに御発表いただきたいと思いますが、まずは挙手で発言のある方からお願いしたいと思います。
それでは、私のほうから、進行上、振らせていただきます。先ほど久野委員のところでお名前出ました藤田委員、特に障害者のスポーツという観点でしょうが、よろしくお願いします。

【藤田委員】 ありがとうございます。障害者のスポーツの指標、目標となる指標なんですが、障害のない方のように、強度であるとか、あるいは持続時間であるとか、週の総計時間であるとかというところで、なかなかはかりにくいところがあるかと思います。と申しますのも、強度を、障害のない人と同じ指標ではなかなかはかれないところがあります。例えば、車椅子ユーザー、これは、遠藤委員にお聞きしたほうが確実だと思いますが、長時間運動しても、心拍数が上がってこないというようなところもあります。ですので、同じもので強度で、あるいは時間ではかっていくのはちょっと難しいところがあるかなと。できる運動、それから、体の動きでできないこともあります。また、逆に、重度障害のある人で、電動車椅子に乗っているような人ですと、他動的に車椅子を動かしてもらっても、心拍数が上がっていくというような結果もございますので、なかなか多様性に富んでいる人たちがいるところで同じ指標を使ってというのは、ちょっと難しいのかなというふうに一つ思います。
それから、障害者のスポーツ実施率でいきますと、スポーツを実施している調査の中で、以前にも、先ほどの事務局からの説明にもございましたが、1年間全く運動しない人が結構いらっしゃるんですね。6割ぐらいたしかいたかと思います。そこを減らしていくというのが一つの指標かなというふうに思います。と申しますのも、障害のある方が、自分がスポーツができるであるとか、運動ができるというようなところを十分認識できていないところがありますので、そういう方々に、運動できるんですよ、こういうことをこう工夫をすればできるんですよというふうなところが分かってもらえれば、一回やってもらえれば、継続的にスポーツをやっていただける可能性があるかなというふうに思っております。ですので、そういった、年間全く運動をしていない方を減らしていくというのが、一つの指標かなというふうに思います。
突然振られましたので、準備ができておりませんでしたが、取りあえずこういう形で意見表明させていただきたいと思います。

【渡邉部会長】 藤田委員、ありがとうございます。
先ほど来、定性的な部分も非常に大事だといったようなお話もありましたが、萩委員、御意見あればお願いします。

【萩委員】 ありがとうございます。本当に多様性に対応しようとすると、たくさんの指標をつくらなきゃいけないと思ったところでありますけれども、やはり国の指標として、目標値ということですから、もちろん実施率というこれまでの部分を継続していって、しかし、その中でも、やはりセグメントしないといけない部分もあるかなと思うんですね。かなり目標値が明確に出ているわけなので、とはいいながらも、子供と、例えば先ほどナショナルデータベースの話が出てきましたけど、これは40歳から75歳ということですので、20歳代30歳代の人たちをどうやって取り込んでいくのかなとかいう問題もあるかなと思うんですが、せっかく二期のほうでセグメント分けしたので、そちらのセグメントに合わせて、女性とか、高齢者とか、いわゆる二、三十代のビジネスパーソンとかというところを少し分けて、目標値の設定というのは考えておいたほうがいいのかなということがあります。
それと、1つ今お話を聞いて感じたのは、スポーツ庁がするのは、どちらかというと予防という視点だと思うので、改善となると本当にもっと細かくなっていくと思うので、予防という観点で、これは最低限必要だよねという基準が出せたらいいのかなと思ったところです。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
それでは、泉委員、お願いします。

【泉委員】 ありがとうございます。発言の機会をいただきありがとうございます。
まずは、スポーツ実施率の向上のために何をすべきかということと目標設定かと思います。目標設定については、理想は100%ですが、なかなかそうもいきません。基本的には、この5年間で何をどうするかということが決まらないと、5年間で達成する目標の設定はなかなか難しいのではないでしょうか。
これは私の個人的な意見ですが、現行のスポーツ実施率の調査には、今まで蓄積をしてきましたビッグデータがあるわけですし、大きなエビデンスとなっています。そういう意味では、全体の枠組みについては、大きく変えなくてもいいのではないかと考えておりますし、現行の実施率の調査の踏襲が必要ではないかと思っています。
ただ、答申にもありますように、2030年以降を見据えた社会の在り方、あるいはスポーツの未来を念頭に置く必要があると考えます。例えば、eスポーツ等も含めた、調査項目の追加、また、今は18歳から79歳という年齢でアンケートをやっていますが、調査対象の拡充はしっかりと検討していくべきかと思っています。こういったことを踏まえて、2点、私のほうから御提案します。
まず1つは、日本スポーツ協会が主催する中高年層を対象にした日本スポーツマスターズの大会そして各競技団体が主催するマスターズ大会も、参加者が減っていっています。コロナ禍ということもありますが、大変心配をしています。
その一方、2022年開催のワールドマスターズ2021関西、それが終わると、パンパシフィックあるいはアジアのマスターズ、こういった国際的なマスターズ大会の日本開催の要請が寄せられています。そのため、競技団体と議論をしながら、競技志向だけでなく、中高年層のスポーツとしての競技のてこ入れにしっかり取り組まないと、スポーツの実施率は上がってこないのではないかと思っています。
以前、久野先生から、他者と競い合うスポーツが高齢者の認知能力の向上にもつながるといった発表もいただきましたが、運動の実施率だけではなくて、競技として行われるスポーツの実施率も分析できるような調査にしていくと、スポーツの実施率を計画的に向上させることの意味がより明確になるのではないかと思います。
2点目は、幼児期の運動・スポーツの実施率の調査です。これが今までなされていません。幼児の場合は、むしろスポーツというよりも、そこまでは到達しておりませんので、運動遊びの実施率のほうがふさわしいかもしれませんが、幼児期の運動習慣の持ち越し効果、これも大変大きなものがあると思いますので、こういった実施率を把握して、体を動かす楽しみを身につけた子供たちを増やすことにつなげることが望ましいのではないかと思います。この時期に運動嫌いをつくらない。これは現在問題となっています、特に中学生の女子の運動嫌い、運動離れ、スポーツ離れ、こういったようなことを防ぐ手だてにもなると思います。
最後に1点加えさせていただきます。日本スポーツ協会では、スポーツは「自発的な運動の楽しみを基調とする、人類共通の文化」であるという認識の下にスポーツの振興を進めています。その結果、健康にもいい、医療費の削減にもつながるものと考えています。ただ、実際に現在のスポーツ実施率調査の中の項目を見てみますと、釣りだとか、キャンプだとか、これもスポーツ実施率の中に入っています。身体活動をあまり伴わないものを調査項目に加えることに反対はしておりません。ただ、調査は、「運動・スポーツ」実施率調査として行われます。これが結果としてスポーツ実施率として出ていくところに多少違和感を覚えます。そしてスポーツの範疇とはどこまでなのかということを、先ほど述べたeスポーツの問題も含め、もう少し考えていく必要があると感じております。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
先ほど萩委員のほうから、スポーツ庁という立場からすると、やっぱり予防という観点が大事だといったような話があります。
小松原委員、健保関係に……、聞こえておりますか。

【小松原委員】 はい。ありがとうございます。やはり健康スポーツ部会という名称がついておりますので、健康予防とか介護予防というのは、久野先生が一丁目一番地っておっしゃいましたが、私もここは外せない部分だと思います。
我々保険者も特定保健指導を実施している中で、あなたの健康のために保健指導をしますよと言うと、なかなかいらっしゃらないです。ただ、あなたを美しくするために少しお時間をくださいですとか、きれいになるために時間をくださいとかと言うと、結構寄ってきてくれたり、運動も同じで、健康のために運動しましょうと言っても、なかなか人は集まってこないと思います。やっぱり楽しさであったりだとか、何かそういったことを伝えていかなきゃいけないと思いますので、スポーツ庁の目標としては、予防とかも大事だと思いますが、国民に伝えていくときに、もう少し柔らかい伝え方というのが必要でないかと私は思っています。
あともう一点、ちょっと論点がずれてしまうかもしれませんが、実施率の65%、あるいは40%というのがありますが、この検証を私はやっぱりすべきだと思います。検証というのは、無関心層が多くて実施率が達成できていないのか、そうではなくて、本来スポーツを実施したいと思っている人たちが実施できない、要は環境がないということで達成できていないのか、これによって次の打ち手が変わると思っています。
この間、スポーツ庁の課長さんがいらっしゃったときにもお話ししたんですが、我々の職場でも、本当は毎日でもテニスをアフターファイブにしたいと思っている者、たくさんいるのですが、実際やれる場所がない。運動を週1回、2回やりたいと思っていても、なかなかできない環境であるということもありますので、65%40%を達成するときに、無関心層の掘り起こしだけでなくて、社会環境をどう変えていくかということも少し議論の中に入れていただけるといいかなと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
今、小松原委員のほうから伝え方といったような話がありましたけれども、この辺については、NHKの勝目委員もいらっしゃいますので、御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【勝目委員】 よろしくお願いします。そうですね、今、小松原さんおっしゃったこと、すごく共感して、私、去年まで「あさイチ」という番組、特に40代50代の女性向けの番組を5年間ぐらい担当していたんですけれども、健康という言葉の使い方ってすごく難しくて、高齢者向けの言葉だと思われているところがあって、健康をテーマにした番組であっても、なるべく健康という言葉を前面に出さないようにしたりしていました。
ただ、本当のところすごく大事なものなので、伝えるメッセージは健康なんだけれども、看板はちょっと別のものをかける。それこそ快適だったりとか、きれいになるためだったりとか、前向きな響きのある言葉ですね。なので、目標を掲げるときの言葉としては、久野先生もおっしゃっていましたけど、well-beingを前面に出したほうがよいのではないかと。全体の議論を通しても、「高齢スポーツ部会」になっているんじゃないかという印象をどうしても受けるので、それよりは全世代向けに、快適に暮らすためにはスポーツって良いんだよというのがもう少し前面に出てくるといいなと思っています。多分中身は変わらないんですけども、装いだけでもそのようになると、受け取る側としても、これは厚生労働省の施策じゃなくて、スポーツ庁の施策なんだというのが受け取りやすいんじゃないかなと思っています。もちろん細かい数字のことは私には分からないんですけれども、伝え方という面では、何かマイナスをゼロにするとか、マイナスにならないようなというよりは、プラスにしていくんだという、そっちの伝え方があるといいなと思います。
あと、すみません。目標の数字に関してなんですけれども、ずっとこの会議に参加していて思っているのが、特に最初、65%というのが明確な根拠がないということを伺ったときにちょっと驚いたんですけれども、でも、この65%を目標に積み重ねてきた調査なりがあるわけで、今度はその数字に根拠をつけることもできるんじゃないのかと思っているので、それは先ほどおっしゃった検証ということに結構近いんですけれども、数値目標をつくるんだったら、ちゃんと65%はこうだったのでという意味づけができるか、もしくは、少なくとも数値目標を掲げないけど、1%は改善するというか、改善していく数字に変えたほうが、根拠がないんですという数字がずっと目標に掲げられているよりはよいのではないかなというふうなのはちょっと思っています。
今考えているところは以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。
今、65%、根拠づけというのが必要ではないかといったような話もありましたが、今日は久野委員、津下委員から、やはり自然科学的な見地から、エビデンスを基にいろいろ提案いただきましたけれども、同じくお医者さんでもいらっしゃいますが、北出委員、御発言いただければと思います。

【北出委員】 ありがとうございます。順天堂の北出です。本日は本当に勉強になり、すばらしい御講演を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
また、先ほどからのお話を聞かせていただいていますと、私も全くそう思うのが、全世代に対して運動の魅力をアピールする伝え方というのは本当に非常に重要だと思っております。それには、やはり対象者の多様性というのがあるので、評価法もそうなんですけれども、目的をはっきりするというのが重要なのかなと思っておりまして、例えば、中高年だとメタボもそうですし、高齢者だとサルコペニアですとか骨粗鬆症とか認知症とか、いっぱい目的はあるんですけれども、次回のときにお話しさせていただくかと思うんですけど、例えば妊婦に対してのアウトカムというのもちょっと難しくて、妊娠、分娩予後にするのか、産後の抑鬱の予防にするのか、あと、最近分かってきたのは、生まれた子供がその次に分娩するときですとか、その子供が大人になったときのメタボにも非常に大きな関係があるということが分かってまいりましたので、そういうちょっと複雑な対象もいるかと思いますし、あとは、先ほどお話があった若い世代ですよね。青年期ですとか、あと、本当に幼児、児童というような人たちをどういうふうにアピールをするのかというのもあるんですけど、その前に何を目標にするか。一見何か中高年と比べるとほとんど問題がないような世代も、一体どうしてこの運動率を上げるようにするか、健康部会としての考え方というのが、もしかすると、世代別に明らかになれば、それがアピール性につながるのかなというふうに考えております。
以上です。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
続いてなんですが、精力善用、自他共栄の精神から始まって、スポーツ全体をいろいろなところから捉えていらっしゃる山口委員、御発言お願いできませんでしょうか。

【山口委員】 皆さん、こんにちは。山口です。ありがとうございます。今、本当にいろいろな指標を出していただいて、改めて日本がこういう現状なんだなというのを勉強というか、認識をさせていただいたところです。
ちょっと私の感じたところを何点か述べさせていただきたいと思うんですが、これは私の感覚的なものですけれども、どうも日本は、スポーツというと、若いうちは勝つためにやる。運動部活動等で試合に出て、勝ち負けに向かって頑張るというようなところが少し強いような気がします。それを終えると、働き盛りのところに入って、女性でいえば、ライフイベントで結婚、妊娠、出産というところに入ったり、また、女性も男性も働く。そして、家事ですとか育児ですとかというところに追われて、運動から離れる。そして、その後は何になるかというと、今度は健康のために運動するようになると。
ですけど、多分、そもそもスポーツというのは、きっとそういうことではなく、もう少し、勝つためでもなく、ただ単に健康のためでもなく、やはりやったら楽しいことあるよねとか、やっぱり汗かきたいよねとかという、その根本のところがなかなかまだ根づいていないような気がするんですね。
ですから、本来はスポーツ庁は、そこのところを国民にいかに文化として根づかせていくかというところを、鶏か卵かというところはありますけれども、本来的なところはやっぱりそこをきっちりしないと、何となくスポーツの目的がちょっと違うのかなという印象を受けています。
もちろん私たちスポーツの世界に生きている人間も、そこのところのアプローチが少し弱いと思います。柔道などはまさにそうで、若いときはやるけど、年を取ったらもう全然やらなくなってしまい、剣道と比較すると全然違うので、やっぱりその辺りは改善の余地があるなというふうに考えております。
そしてまた、どなたの委員だったかちょっと私、お名前あれなんですけども、おっしゃっていた、やはり環境というのも非常に大事だなというふうに思っております。子供もそうですけれども、遊ぶ場所がない。運動する場所がない。それは大人にも同じことで、場所もありますけれども、運動する時間など、環境って多分、いろいろなものが入ってくると思うんですね。経済的なこともそうですし、やはりそういった環境が整っていないので、やりたい、やったらきっといいんだろうなと思いつつもなかなかできないということが実際にはあるので、そこにどういうふうにアプローチをしながらサポートしていくか、支援していくか。これは恐らく障害者の方にとっては特に大きなところだと思います。私もいろいろな運動施設に行きますけれども、やはりまだまだ障害者の方が御利用いただくような、アクセシビリティーというんですかね、そういったことが担保されていないところがほとんどだと私は思っているんですね。ですから、やっぱりそういうところをきちんと、スポーツ基本計画では国民の権利というふうにうたっているわけなので、その権利を担保するためのきちんとした施策をやっていくといったことは必要で、つまり、そういった環境が整っていかないと、実施率というのもつながっていかないと思います。
そして、指標と目標値といったところが今日のテーマだと思いますので、最後にそこに触れさせていただきたいと思うんですが、私、今、大学のほうでダイバーシティーの役員というか、担当させていただいていて、ダイバーシティーも、女性の役員比率を何%にしろとか、教員の率をこれぐらいにしろとかという、何かそういうのがありまして、何をしているかというと、あんまり大きな声では言えないんですが、比率を上げるためにどうしたらいいんだみたいな、なぜ女性が必要かとか、何でというところが後になってしまって、まずはやっぱり比率ありきみたいな感じになってしまって、そういうことを一生懸命言うと、いやいや、そうやって言うけど、女性も別にそんなに仕事を増やしてもらっても困るんですよねとかっていって、女性に怒られるというようなことがあって、ですから、何が言いたいのかというと、この指標が私は大事だと思う反面、私たちというか、評価する側であったり、研究者だったり、そういった側にとっては大事な数字であっても、一般の人たちにこの指標がどういうふうに映っていて、それがどういう効果を上げているかということがやはり大事なのかなと思うんですね。
何十%達成しましたっていったときに、障害者の方も含め、一般の人も含めて、やっぱり日本って運動できるようになってきたよねとか、やっぱりスポーツを楽しめるようになってきたよねといったことが感覚として感じていただけないんであれば、あんまり意味がないとは言わないですけど、やっぱりそこの相乗効果でスポーツが定着していくと思いますので、そこの辺りの工夫が本当にすごく必要だなというふうに思っております。
すみません。取り留めのない話になりました。ありがとうございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。一般の人が納得できる指標には、当然、エビデンスも必要ですし、伝え方の工夫が必要になってきますよね。
今、障害者ということでお話がありました。実際にいろいろな課題に直面しております、遠藤委員、お願いします。

【遠藤委員】 遠藤です。久野委員、津下委員の発表を伺いまして、障害者にも、久野先生のおっしゃった交通アクセシビリティーの足の問題、そうそうと思いながらお聞きして、そして、津下先生の、各生活習慣病のことも、障害のある方というのはそもそも社会の中で身体活動量が少ないということで、車椅子の人も運動している間はいいんですけれども、私のように現役を引退してしまうと、やはり食事の栄養の摂取量をよっぽど考えないと、普通に食べると、成人女性と同じカロリーを取ると、どんどんどんどん体重が増えていくという事態にもなっていきます。お二人の発表を聞きながら、障害者にも十分当てはまることだよねって思いながら聞いておりました。
ただ、一方で、藤田委員がおっしゃったように、今度は障害のある人たちに、体力テストであったり、そういったことを求めるとなると、それこそ障害ごとの体力テストを考えて、参考数値程度にしかなりませんし、例えば、競技レベルの高い人たちは、クラス分けというのがあって、その中である程度の体力テストをして基準値を出すことはできますが、一般的な日常生活の中でお過ごしの方は、そういった体力テストをする場も機会もございませんので、難しいだろうと。藤田委員がおっしゃったように、多様な障害のある方々が一様に、一つのそういった体力テストができないような状況ではあるんです。
ただ、そんな中でも、前回もお話しさせていただきましたように、地域におけるスポーツ施設などの資源の活用について、体育施設、公共施設のバリアフリーのチェックであったり、そういったところを利用する方々にアクセスの、どういった公共交通機関、もしくは自家用車で来たのかといようなことは調査ができるのではないかとか、あとは、スポーツ基本計画第二期では、各使用施設のほうで用具の確保ということで、障害のある方が利用できるような用具の設置などというのも入っていましたので、そういったものがどの程度配備されているかというような、公共施設のそういったバリアフリー化のチェック、そういった調査というものはできるのではないかなというふうには、少し考えていました。
もう一つは、先ほど資料の中でも、先天性の障害と後天性の障害ではスポーツのきっかけが、先天性では学校や保護者、後天性では医師や医療関係者というふうに異なるといった話になりましたが、今、共生社会、インクルーシブなどと言いつつも、専門のサービスを受けている施設に入っている、福祉事業所の施設に入っていてインターネットを通してスポーツ実施率に対して回答ができないような状況の方々もいらっしゃるので、そうした方々に対しては、厚労省とか、そういったところとの横断的な連携を取ってデータを取れると良いと思います。例えば各都道府県で全国障害者スポーツ大会の予選会を兼ねる大会というのを必ずやっていて、そういったところには、福祉事業所や特別支援学校の児童生徒さんが参加していますので、年1回の数値というものが取れると思います。また、そういったところに出る施設というのは、事業所さんも積極的にスポーツに取り組んでいて、各都道府県等で施設のデータを持っているので、そういったところで週1回など、どういう状況でスポーツを実施しているのかといったような大まかな数字は取れるのかなというふうには考えて聞いておりました。
ちょっと駆け足になりますが、ざっと今お話を伺ってそのようなことを思いました。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
スポーツを実施するための環境整備といった観点で言うと、民間企業の立場からいろいろな方にその場の創出を行っていらっしゃいます、斎藤委員、お願いします。

【斎藤委員】 私、結構経済界で経済団体等も含めて長々と生きてきたわけですが、実はもう今経済については、GDP、世界で3位っていいますけど、これ、人口が関係していますので、1人当たりのGDPでいくと、OECDの先進国のグループではかなり下のほうになっているわけですね。
ただ、私、今コロナで行けませんけど、結構サービス産業の人たち、経営者と、あるいは経産省、ジェトロの人たちと、ASEANの国とか、その他もありますけど、訪問してきたわけですけど、やはり日本についていろいろお話し合いをすると、非常に評価されている、あるいはブランドと言っていいのが健康というポイントなんですね。ヘルスケアというようなことではかなり日本に学びたいというようなことがあって、今でも中国の介護であるとか、それから、最近、中国とアメリカの平均寿命について、コロナのせいで順位が逆転しそうだというようなことを、これ、記事で読んだんでどこまで本当か知りませんが、そういった点において、まだ日本はその2か国よりずっと上なんですね。
そういうことを考えると、これは国民皆保険制度だとか、そういうこともあってだと思いますが、日本はそうした点で、データ的には今優れていると思うんですね。
ただ、やはり何となく西欧の人たちの運動好き、スポーツ好きに比べると、何か活動を一生懸命していると。いわゆるスポーツという意味で、健康づくりのいろいろな地道な努力はしているんですが、スポーツという意味で何か目立っているところは、もちろんオリンピックでいい成績を取っていますから、結果としてはそうなんでしょうけど、一般国民がそういう状況になっていないという状況はあるとは思うんですね。
こうした状況で、やはり子供の頃からスポーツになじむことを促進するという点においては、我々の努力もまだ足りないんですが、それでも日本独自のものとして、いわゆるスイミングスクールというものに参加するパーセンテージというのは、一時期、40%ぐらいと聞いたことがありましたけど、結構高いと。それと、子供のいわゆる今のテニス人気によって、当社のテニススクールでも子供さんの参加率が増えてきたりしているんですね。
うちの孫たちなんかは、むしろサッカーだとかそういうようなことで、いろいろなサークルでやっていますから、そういう意味では、環境はあると思うんですね。ただ、そこに何%の人が参加しているかというようなことで、やはり今回の目標づくりというようなことがあるんだと思いますが、まず、そういう意味で言ったら、子供の時代に何かいわゆる楽しむという意味、あるいは競う意味でのスポーツをもう少しやれる環境を整えていく仕組みをつくっていくというようなことが大事だと思います。
ただ、今、一番大事なのは、成人のスポーツの目標値、第三期スポーツ基本計画に対しての目標値づくりですが、今回この間、ここの課長さんと話したときに、現在、第二期のスポーツ基本計画、目標値が65%で、現状が59.9で、ほぼ60%なんですね。何となく思っていたよりいいような気がするんですが、でも、このぐらいのパーセントが達成されているんだとすれば、やはり第三期、目標値まであと5%しかないというよりは、目標値をもう少し上げないと、何か頑張っているようにはならないんじゃないかなと。あまり科学的じゃないんですが、65%目標よりは、70ぐらいにするとか、あるいはもうちょっと上げるか、そのくらいにしたほうが、やる気が出てくるというようなことになるのかなと。
それと、やっていない人も、60%ぐらいの人が運動しているんだよということをもう少し宣伝したほうが、みんなやっているんだからという意識が出てくると思います。日本人の場合、ほかの人がどうかというようなこともあろうかと思いますので、もっと宣伝したほうがいいのかなというような気がしますね。
ただ、結構、このパーセンテージを上げているのが、私も含めたシニア層だというようなことで、当社でもこの間ちょっと統計を取ってみたら、シニアの人たちが、いわゆるフィットネスクラブとテニススクールについて、コロナから一時――今は再度できるようになりましたが、一時期、2か月間休業して、その後戻ってきた率から考えると、テニススクールとかスイミングスクールの戻ってくる率は90%を超えているんですが、フィットネスがちょっと戻ってくる率が七十数%とか80%とか、ちょっと低かったんですね。
ですから、やっぱりこれはコミュニティーづくりが大事なんじゃないかということで、コミュニティーづくりで今実験的なことをやっております。いずれデータも含めて発表しますけど、やはりそこで中心になっている人が、主に新しいスタイルを実験しているもの全体では男女ほぼ同じパーセントなんですが、この新しいコミュニティーづくりということに参加されるのは、やっぱり一番多いのが50代の女性の方なんですね。その次は60代の女性で、大体女性が多く、男性はもうちょっとそこから参加率が二、三十%低いということになっているんです。
また、やはりある程度の年齢になってから、日本の場合、いろいろなマスコミの働きかけもあるでしょうし、シニアになってから運動することが大事だというようなことが行き渡っているためか、そのぐらいの人たちが運動する環境が、ほかの国よりは多いんじゃないかと。これは経済の問題もあるかと思います。個人の収入の問題もあるかと思いますが、そういうような気がします。
ただ、久野先生おっしゃったように、やはり今私が話したのは、どちらかというと、オペレーションアプローチの類いのことだと思うんですが、ハイリスクアプローチって言っていいのかどうか、学問的にはちょっと違うかもしれませんが、今やはり介護施設、老人施設にいる人がコロナ禍で運動ができなくなって、フレイルの状況になってくるというようなことを言われておりまして、久野先生が中心になっていろいろ活動して、それに対してフィットネスクラブ業界がどう貢献できるかというようなことをいろいろ努力していただいているんですが、実は我々、リハビリ型のデイケアセンター、「元氣ジム」と言っていますが、それを30か所ぐらいやっている経験もあり、介護施設とのお付き合いというものがありますので、かなり大手の会社ですが、そことお話合いをして、実は現在なかなかそういう、介護施設の中で運動する機会が減って非常に状態が厳しくなっているというお話を直接聞いたものですから、現在我々が、いわゆる椅子に座ってもできるようなスポーツをオンラインで開発したものを介護施設のほうに流して、そこで運動してもらっています。
ただそれだけでも、映像を見るだけで、さあ、やってくださいと言っても、なかなか環境が整いませんので、やっぱり介護施設の人たちがそこで補助をするとかというようなことが大事だということで、現在、これは4月から実験的にやり始めて、ある程度定着しています。
それともう一つ、我々のほうで、やはり介護の事業を学ぶという意味も含めて、事業開発型社外留学制度というものをつくりまして、我々のスタッフが介護施設にお邪魔して、そこに時々行くのではなくて、そこの中で何か月か、いわゆるそちらのスタッフと同じように働くというようなことで、留学制度と言っておりますけど、そこで運動指導、あるいは逆に我々も習うことということで、介護施設でどのような先進的な試みをしているかというようなことを習得し、運動については、我々がそこに行って御指導申し上げるというようなことで、いわゆる身体的に弱くなった高齢者の方たちに貢献できる、そういう事業をやっている人に貢献できるようなことを今実験でしていると思います。
そういう意味で、ピンポイントで一番厳しくなったところに対してどういうお手伝いができるかと。あと、それから全体的に平均値を上げていくという意味で、先ほど言った、いわゆる児童のスポーツとか、そういうようなことについて両方から努力していく必要があるかと思っております。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。
ここで左三川委員、御発言お願いします。

【左三川委員】 経団連の左三川です。ありがとうございます。
まず、今、斎藤会長からお話しいただいたことで、まさにそうだと思ったことがあります。スポーツ実施率が65%がいいのか70%がいいのか、根拠がどうかは別として、大体3分の2ぐらいの人が目に見えてやっていたら、そうでない残り3分の1の人も「自分も何かしなくては」と思うのではないでしょうか。そういう意味はあるのではないかと思います。
また、先ほど小松原委員から御指摘があった「健康という言葉の良し悪し」ですが、確かに、「健康になるために」と言われても、すでに今健康だから大丈夫ですとなりかねないので、もっと前向きな概念が必要だと思います。他方、企業経営の観点から、企業経営者にどう訴えていくのかという観点からは、健康経営というキーワードを使うと、ああ、これは経営マターなんだなとすっと入ってきて、我々経済団体が企業に情報を展開したときに聞いてもらえそうだという感じがしております。言い方の問題かもしれませんが。
また、スポーツ実施率にどう反映していくのかは別として、ビジネスパーソンの場合、通勤時間をどう有効活用するかも重要な点ですが、今のコロナ禍でテレワークが一気に浸透したことによって、これまで知らないうちにやっていたことすらできなくなっているような気がいたしまして、今のウィズコロナだけではなく、今後のポストコロナの時代にもある程度のテレワークの普及が当然想定されますので、そうしたときに何をすればいいのかという問題があるのではないかと思います。理屈で考えれば、空いた通勤時間に、近所を走ってくればいいだろうという気もしますが、人間、そんなに意志が強いとも限らないので、例えば、こういう時間の使い方、生活リズムがいいですよといった、そういうヒントをスポーツ庁さんやこの部会からいただければ、我々も企業に展開させていただきたいと思っております。
最後に、障害者スポーツの問題についても、先ほど御指摘、御意見を伺いまして、我々の印象としては、ここ数年パラリンピックに向けた機運の中で、障害を持った方と一緒にできるスポーツを企業人がやってきた経験からいうと、そういう輪に普通の健常者も参画する機会があると、お互いの理解も深まり、そういったものをもっとやっていかなければいけないということを広く国全体で捉えることもできると思います。せっかくのパラリンピックレガシーとして、そういう取組があってもいいと思います。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
残りの方にまたお話をしていただこうと思うんですが、ここで今までのところで、事務局の皆さんのほうから何か御質問なり感想なりあれば、手短にお願いして、次の部に移りたいと思うんですが、小沼課長、いかがでしょう。突然で申し訳ないです。

【小沼健康スポーツ課長】 いろいろな御意見をお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました。
やっぱり私どもも伺っておりまして、伝え方の問題というのは、いろいろな先生方からお話がございましたので、その辺は非常によく考えないといけないなと。役所言葉で書いているだけではいけない。しかも、伝える相手によってどう使い分けるのかということも考えていかなきゃいけないなということは、非常に私どもも気がつかされたなという感じはいたしております。
それから、運動がやりたくてもできないのか、それとも、そもそも本当に無関心でやりたくないのかという、その辺のところももうちょっと深掘りしたほうがいいのではないかというお話もありましたので、その辺りは私どもも調査の仕方についてもう少しいろいろと工夫をして、よく深掘りをして、どういう形でやっていったらいいのかということは少し考えてみたいなと思っております。
あとは、コミュニティーの話とか、この辺りもスポーツ基本法の前文の部分をよく読みますと、そういうコミュニティーをきちんとつくっていくというようなことが書いてございますので、やっぱりもう一度法律の基本に立ち返って、少し何か考えていかなければいけないなと。こういったことも少し考えさせられたなというふうに今感じております。
私のほうからは、大体そういう感じでございます。

【渡邉部会長】 すみません、突然の振りで。ありがとうございます。
続いて、地域でも学校内でもいろいろなスポーツの普及に励んでいらっしゃいます、松永先生、お願いします。

【松永委員】 皆さんのご発言の全てに、関連する内容のコメントをさせていただきたいところですが、時間の制限もありますので、まず、冒頭の久野先生の御発表に関連する子育て女性について、述べさせて頂きます。久野先生からは、妊産婦に関する御紹介があり、北出先生からも、これまでの会議でも御発言がありました。その内容に加えて、子育て期の女性については、特に未就学児以下の末子年齢のお子様がいらっしゃる女性、もちろん女性だけではなく、保護者の方の運動・スポーツ実施率が明らかに低いということは、調査・研究が積み重ねられてきていると思います。私自身も20年前に子育て期の女性のスポーツ参与に関する調査を実施しましたが、末子年齢が未就学児以下、特に3歳以下のお子様がいらっしゃる場合は、運動・スポーツ実施率、観戦率がかなり低い結果であり、その後の調査・研究からも大きく状況は変わっていないと思います。
萩先生からも御発言ありましたが、5つのカテゴリーに分けて行動計画を策定しましたが、そこをもう少し細分化する必要があると思います。例えば、女性というキーワードでも、妊産婦の切り口もあれば、今お話しをしたような子育て期の切り口もあり、末子年齢に注目をすることも重要です。。
久野先生がまとめられたところで、総合型地域スポーツクラブ、あるいは民間スポーツクラブ、地域のスポーツ施設もそうですけれども、子供を連れていっても運動・スポーツができる環境整備やしくみづくりが重要です。私たちが調査したときも、未就学児の子供と一緒にスポーツをするのか、子供を預けてスポーツをするのか、その場合にも子供の姿が見えている状況で安心して預けてスポーツをするのか、あるいは安心して預けらる人や場所があり、子供の姿が見えていない状況で集中してスポーツをするのか、その希望も皆さんそれぞれ違います。地域や公共・民間それぞれの組織は、多くの子育て期世代の課題解決に応える環境整備やしくみづくりが急務となります。
さらに、女性というキーワードだけでも、山口先生の御発言あったように、ライフステージ毎の展開も様々ですが、男性も改正育休法によって環境が変化すると思います。男女問わず、子育て期の方々も働いておられているため、ビジネスパーソンとして健康経営の話などにも関わってきます。その辺りの環境の整備というところも踏まえると、地域や公共・民間だけなく、職場なども含め、多岐にわたる対応が求められます。
ライフステージと一口で言っても様々で、どのステージを集中的に展開していくのかというと、やはり20代30代40代、特に20代30代の女性を中心とした子育て期、そしてビジネスパーソンの運動・スポーツ実施率が低いという点はずっと課題になっていますので、おのずと引き続き集中する点ではないかなと思ってお伺いしておりました。
また関連では、泉委員からありました幼児期についても私も重要だと思います。子供のスポーツというと、これまでは小学校に入ってからの内容が中心でしたが、結局、幼児期の運動・スポーツ実施を決定するのも、前述した、子育て期の保護者の意識や行動がかなり大きく影響してきます。子育て期の女性の特に末子の年齢が未就学児以下、3歳以下のお子様がいる点だけでなく、今後は育休もしっかり取れるようになってくる男性も含めて、幼児期の子供たちの環境整備やしくみづくりの点からも、ビジネスパーソン、あるいは女性のところのカテゴリーにも絡んでくると思って聞いておりました。
その辺りをフォローしていくためには、繰り返しになりますが、企業・団体、そして地域スポーツクラブ、総合型地域スポーツクラブ、民間フィットネスクラブ、民間スポーツ施設、公共スポーツ施設も含めた多岐にわたる環境整備を展開していかないと難しいというところになると思います。
最後に、指標に関してですが、私が関わっている政令指定都市の5年に1回の調査の事例を紹介させていただきます。運動・スポーツ実施に関する調査では、「ウォーキング」、あるいは「ウォーキング(散歩)」がかなり高い数値を挙げていました。加えて、スポーツ庁さんの調査では「階段昇降」が入っています。今の議論の中でも、スポーツというところをもう少しスポーツ庁として出したほうがいいのではないかという議論と、やはり健康スポーツ部会なので、健康というところに重きを置くといった議論のときに、この「階段昇降」というのはスポーツなのかと言われると、なかなか難しい判断だとは思います。しかし、運動であることは間違いありません。このような議論を踏まえ、私が委員長として関わっている市の調査項目を決めているときに、市民公募で選ばれた方から、スポーツ庁の調査で「階段昇降」が入っているのであれば、市民としては、スポーツや運動という切り口の議論よりも、自分の中で積極的に身体を動かしているという実感が湧く活動、行動を選択肢に入れるべきとのご発言があり、コロナ禍における運動・スポーツの実態や、他の委員や市の意見を踏まえて、「日常生活に組み入れた運動」という項目を新たに設定しました。つまり、階段昇降のみならず、子供を抱っこしながらスクワットをするとか、掃除を少しオーバーアクションでやってみるなど、日常生活の中に意識的に身体を動かすという行為や行動を組み入れたという意識があるなら運動です。恐らくイメージはそれぞれであり、強度までは回答していただいていないとういう課題はありますが、その項目を入れたところ、ウォーキングに並ぶ60%近い数字で実施種目のトップを争う結果が出てきました。つまり、指標を上げる、指標、目標値に近づけるというのは、実は調査項目にある程度そういった幅を持たせた活動を含めるか否かが大きく影響してきます。それは、今回の市の調査でも明らかになりました。スポーツ庁の健康スポーツ部会として議論になっているように、数値を上げることだけが目標なのかというと、もちろんそうではないと思います。久野先生の今日のご発表にあった身体活動という定義のところをやはりしっかり議論し、提示をすることが必要になると思います。指標ももちろん重要ですが、最終的に運動・スポーツの実施種目等の調査項目のところもかなり影響してくると思います。皆さんの御発言にもたくさんございましたが、私も重ねてそこのところは重要になると思いますので、さらに議論を重ねていきたいと思いました。長くなりました。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。
もうお二方の発言を受けた後に、意見の交換、あるいは追加説明等を受けたいと思います。
それでは、環境整備、スポーツによるまちづくり、こういったところに励んでおられますみなべ町長の小谷委員、よろしくお願いします。

【小谷委員】 和歌山県のみなべ町です。各市町村同じかと思いますけれども、住民の介護予防とか健康寿命の延伸にスポーツや運動を取り入れたり、トレイルランとかボルダリングのようなスポーツイベントでも地域活性化を図るといった事例が示すように、地方自治体では、地域課題解決の一方策として、スポーツの多面的な効果を活用する施策推進が考えられてございます。
そこで、様々な施策を通して、地域住民の方々にスポーツや運動に親しんでいただくきっかけづくりをしていく上でも、地方自治体が施策の中に落とし込みやすい指標、目標設定である、こういうことが望ましいのではないかなというふうに思ってございます。
ちなみに、みなべ町では、健康寿命と平均寿命の差がかなり縮まってまいりまして、女性で3歳、男性で1歳半です。必ずしも喜ばしいことではないんですけれども、平均寿命が低いというのもあるのか、かなり御高齢になるまで農業で働いておられて、寝込むことなく、ピンピンコロリの町だというふうに言われてございます。
いずれにいたしましても、介護予防、介護保険料が全国で16番目に高かったみなべ町なんですけれども、最近、いろいろな形でスポーツを取り入れて、町民の皆様が健康になられてきてございます。
ただ、1点、申し上げたいんですけれども、要介護3以上であれば、特別養護老人ホームに入所することができます。そこでリハビリをされて要介護2になると、施設から退所しなければならないケースが発生しておりまして、非常に悩ましい問題を抱えてございます。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
それでは、最後となりますが、塩野委員、お願いします。

【塩野委員】 お世話さまです。ありがとうございます。皆さんの御発言とほぼ重なるところも多いのですけれども、できるだけコンパクトに。
まず、久野先生の御説明のところにあったように、大目標は何かというところがあったので、疾病者とか要介護、障害者が健康になれるというようなこと、それから、ほかの方もおっしゃった予防の目的といったところ、この辺りのところって、どうなんでしょうね。明確にこういうものだというものを広くしっかりと伝えていただく必要があるのかなと、改めてちょっと思ったところであります。
それから、65%という数字は非常に分かりやすい数字であって、既に使ってきている数字なんで分かりやすい数字でありますので、これはこれで生かしていくのかなと思っております。以前からこの会で何回か申し上げていますけど、やはり今、斎藤さんおっしゃったように、定義の問題というのは、正直言って質問の仕方で全然変わる数字だよなと私も思っておりますけれども、ただ、時間をかけてつなげてきた数字がそろそろ達成しそうな数字になっているというところなので、これは少し5年間の先の目標ですので、情報を修正しながら、やはり数字としては出していくのがいいんだろうなとは思っております。
その際に、先ほど勝目委員からもあったようなことと近いかもしれませんけれども、今度はライフステージ別、例えば、私どもでビジネスパーソンというところがよく話がまとめられますけれども、それぞれのライフステージとか、そういう層に対してどんな施策をすることによって、個々についてどのくらいのパーセンテージを上げていくといったことを、少し数値に現象をつくってみて、それらを積み上げていってできるような数字にしていくというようなことがあってもいいのかなというふうに思っておりました。
それから、見せ方というところで、先ほど左三川さんもおっしゃっていただいたように、私どもの立場からすると、やはり健康経営という言葉の使い方によって、大分経営者層に響かせることができると思います。この辺は、まるっきりそのまま賛成でございます。
それから、見せ方というところの一つでは、健康寿命、いわゆる普通の言葉だったら健康寿命なのかもしれませんけれども、あなた自身があと何十年、20年、30年元気でいるためにというのなのか、それとも85歳まで、あるいは90歳まで元気でいられる方は実際に過去このくらい運動してきたようですよというような見せ方みたいなものもあるのかななんていうふうに思っておりましたけれども、あとは、メッツの表現というのは、なかなか一般の人々に伝わりにくい表現だなと思ったりもしていて、ああいうところも何かうまい見せ方がないのかなと思っているところがございます。
すみません。3番ですが、あともう一つだけ。先ほど左三川さんおっしゃったように、例えば、通勤のときに、確かに何千歩か歩きますみたいなことがありまして、それでテレワークだから減っているということがあったりという話もございますと。それから、前から言っている話なんですけど、地域差が相当大きいものでもありまして、東京とか都会目線で考えているとまさにそうなんですけれども、よく私も知り合いの地域の経営者の方々とかといろいろお話しして、経営者に限らずなんですけれども、私がここで東京で暮らしている限りは全く考えられないんですけども、やっぱりそういう人たちはこの角のコンビニまで車で行きますので、本当に歩かない人というのが、1,000歩とか歩かないで過ごしている人というのはたくさんいるんだろうと思いますので、それぞれの生活スタイルというのをかなり個別にイメージをしながら、少しどこをしていけばいいかなということを具体例を挙げながら考えていきたいななんていうこともちょっと思っておりました。
3番ですけれども、以上でございます。どうもありがとうございます。

【渡邉部会長】 塩野委員、ありがとうございました。
それでは、残りの時間なんですけれども、それぞれの発言に対する御質問、あるいは追加の説明等ございましたら、お願いしたいと思います。
久野委員、手を挙げていたようですので、お願いします。

【久野部会長代理】 渡邉座長、ありがとうございます。筑波大、久野です。
皆さんの意見をお聞きして、自分自身の考えがまとまったいい委員会だったなと感じたんですが、その中で、スポーツ実施率と目標の考え方の中で、少し次に進んでいかなくちゃいけないので、今日お聞きした中での私見といいますか、たたき台的な考え方ですと、今までと一緒だと、まだ届いてはいないんですが、やはり上がってはきているものの、あまり目標を上げていないことに対する批判が間違いなく出るだろうと思います。先ほど斎藤委員からもありましたが、70%とか75%という辺りを考えていくことは必要だと感じました。
ただ、同じ5%上げるのも、50%台から上げる5%と、60%台ぐらいから上げる5%は、多分難しさは相当違ってくるはずだと思いますので、70%以上みたいな考え方が一つあり得て、その代わり、今日の議論、健康との関わりという面では、これまでのエビデンスから健康に必要なスポーツの強度や内容を、例えば、今、厚労省でエクササイズガイドで歩数で出していますが、それを実施している人という基準を新たに付け加えるというのが一つの考え方ではないかなと。
その場合、これは、2010年なので、少し古い我々のデータですが、我々が5,000人ぐらいでランダム調査をして、無関心層ということを言い始めたときのデータでは、7割がその基準に達してなかった。つまり、3割しか達していなかったということを考えると、そこを50%、半数以上スポーツ実施で、いわゆる生活習慣病等の予防に関わるスポーツをやっている層をやりますと。実施している人を70%、そういう2段構えの考え方が一つはあり得るんじゃないかなと思って聞いておりました。
そこの50%というのは、まず、30%だったところから半数以上というような考え方ですが、この辺りはまた津下先生や皆さんのいろいろな御意見の中で当然詰めていくべきだと認識しております。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
津下委員、お願いします。

【津下委員】 ありがとうございます。私も、先ほどお示ししたのは、健康をアウトカムにしたものがどのぐらいあるかという一つの参考資料としてお出ししたもので、スポーツの定義からいうと、もうちょっと幅広に捉えて、健康アウトカムにつながるスポーツや身体活動として基準をクリアしている人という厳しい見方、狭義の見方と、そうではなくても、それには達していなくても、スポーツを何とかやろうとしている人たちとか、いろいろな状況の中でスポーツを諦めずに続けている、忙しい中でもとか、基準には達しないけれども、スポーツマインドを持っている人たちをベースとして広げていく、その目標値は高くしてもいいのかなと。
累計として様々な、先ほど子育て世代の身体活動も、階段も、こういうのも幅広く、体を動かしたいという、体を動かそうという意思の下にされるようなものとか、文化的な活動とか、踊りとか、いろいろなことも含めて、幅広に体を動かしたいという活動をしている人の目標は、今、3分の2の目標を思い切って4分の3、75%とか、幅広に運動する人を増やしたいと。その中で、健康アウトカムとか、いろいろなことを意識して、より狭義の目標を立てるとか、そういうような考え方もあり得るのかなというふうに、聞いて思いました。
そうしたより協議の目標の基準値に満たなくても、環境が整えばやりたい、環境を見つけてやりたい、そういう人たちをどうやって増やしていくのかというのがすごく大事ですし、それから、健康経営の中で位置づけているというのは非常に大きくて、企業の環境の中で運動をできる、リモートの中でも運動をしやすい環境とか、インセンティブとか、そういう仕掛けをつけているような企業を増やすとか、そういう外回りの指標、そういうのもつくってもいいのかなというふうに思いました。健康だけに縛られない幅広な議論というのが大事かなというふうにも思います。
それから、もう一つ、1つだけ気になるのは、子供の頃は学校等でいろいろなスポーツの機会があり、部活もあってスポーツもやるんですけれど、山口さんも言われましたけど、競技だけが中心でその後やめてしまうといった人をできるだけ減らすというのは、その世代で非常に重要なことと思います。競技スポーツにとらわれない、そういう指標をぜひスポーツ庁から打ち出していただくといいのかなというふうに思いました。それは子供たちに対するメッセージだけじゃなくて、スポーツ指導者に対して、競技だけじゃなく、そういうスポーツのある人生を過ごす子供を育てることが指導者として非常に重要なんだということをスポーツ庁からおっしゃっていただくというのが、大事なことかなというふうに思いました。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
そのほかの皆さんいかがですか。もうお一方、どなたかいらっしゃればと思います。
勝目委員、お願いします。

【勝目委員】 今、津下先生おっしゃったこともあるんですけれども、子供の頃スポーツをやっていて、なぜやめてしまうのか。大人になってなぜスポーツができないのかというのをずっと考えていたんですけれども、スポーツのある生活というのを、具体的にイメージしにくいのかなというのが一つありまして、やっている人はいろいろな機会だったり場所だったりというのは御存じだと思うんですけれども、スポーツのある生活って、スポーツをしていない人にとってはなかなかイメージしにくいもので、それが一つの大きな参入障壁になっているような気がします。
学校のときに競技スポーツをやっている子たちも、楽しむスポーツが生活の中にあるということが多分イメージできないから、そこでうまく移行できないのかなというふうに思っていまして、何かしらそういうスポーツのある生活というのが目標設定とともに何か提示できるとすごくいいなというふうに、ちょっと今日、皆さんのお話を聞いていて思いました。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
今の点、泉委員、持ち越し効果のお話をされていましたけれども、子供のときの運動習慣が健康に与える影響、持ち越し効果ということであると、大人になってからの運動習慣とか、そこでの健康とかいった観点から、何かコメントございますでしょうか。

【泉委員】 すみません。ありがとうございます。私も今、同感でございまして、私自身は学生のときには一生懸命スポーツをやっていたんですが、会社に入ると、ぱったりと何十年も実は運動していなかったという実践者でございます。
大変お恥ずかしい話なんですが、非常に最近思いますのは、今回私、実は関西ワールドマスターズゲームズの会社の件で組織委員会に入って、いろいろな活動をさせていただきましたが、企業との連携、先ほどから健康経営だとか、会社としては職員の健康管理も含めてということですが、実は、運動部活動をやって本当に大学でも頑張った人たちが企業戦士として働いていて、本当は体を動かしたいんですが、なかなかそういうチャンスがないと。これをやっぱりすごく感じました。
そういう意味では、官民連携とも言いますし、これから経済団体の連合会さん、こういったところと今までスポーツ界って意外とドッキングしてこなかったので、これからやっぱり企業の皆さんと、例えば、スポーツボランティア休暇を立ち上げていくとか、そういったようなことをしっかりしていかないと、ビジネスパーソンが運動をまた始めるというのは非常に難しいのかなというふうに思っていまして、その辺の根本的なところをもう一度、スポーツ庁さんのほうとも相談したいなと思っています。
以上でございます。

【渡邉部会長】 皆さんどうもありがとうございます。
ちょうどお時間となりました。本日は論点ペーパーもございましたけれども、こういったところをベースにまた議論を進めていきたいと思うんですが、いろいろなキーワードが今日出てきたと思います。1つは健康スポーツ部会、健康とスポーツといった切り口ですね。それともう一つは、スポーツ本来の本質的なところの喜びとか楽しむという、定性的なところにつながる話なんですけれども、こういったものも指標の中にどう取り込むかというような話があったと思います。それと、やっぱり人と人が交流して、コミュニティーづくりといったような観点、このスポーツの価値というのをどういうふうに指標に盛り込んでいくのか。また、つくられた指標を分かりやすく国民に届ける。伝える。そして行動を促す。こういったところも必要なのではないかといったようなお話があったかと思います。
今日はたくさんのエビデンスも御提示いただきましたし、物の考え方、伝え方といったところの御意見もいただきましたので、また事務局の皆さんと一旦相談させていただきながら、次回を迎えたいと思っております。
それでは、今後の予定につきまして、課長のほうから御連絡をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 本日は長時間にわたり、どうも御議論ありがとうございました。委員の皆様におかれましては、本当に非常に貴重な意見をお聞かせいただいて、私どもとしても非常に参考になったところでございます。
また、それから、追加の御意見、御質問等ございましたら、事務局までメールでいただければと思っております。
次回につきましては、既に連絡調整させていただいておりますとおり、6月25日金曜日の15時から17時でオンラインで実施をさせていただく予定でございます。本日同様、しっかりとご議論をいただけるよう、お時間も確保しながら、また事前に資料などもお送りしながら、進めさせていただければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。
今日は冒頭から今まで牛尾総括官に御陪席いただきましたので、一言コメントをいただいて、この会を閉会したいと思います。

【牛尾スポーツ庁総括官】 スポーツ庁総括官の牛尾でございます。今日は多様な観点から、先生方からたくさん意見をいただきまして、ありがとうございました。いずれの意見も大変参考になる意見でございました。
特に健康スポーツ部会ですので、健康のためのスポーツという観点を大事にしていきたいと思いますけれども、同時に、やはりスポーツ庁としては、先生方からも既に御指摘のあったとおり、スポーツそのものの価値、スポーツをすることによる楽しみであったり喜びであったり、こういったものもぜひ大事にしていきたいと思います。
それから、今日はちょっと時間の関係で御紹介できませんでしたけど、スポーツ実施の調査にも実はいろいろな関係のデータが出ておりまして、例えば、何でスポーツをやるんですかと聞くと、第1位は、全ての年代で圧倒的に健康のため、これは若い方についても7割以上の方が健康のためにスポーツとおっしゃっていただいているので、やはり健康はそうは言っても非常に訴求効果のあるキーワードかなというふうにも思っております。
また、障壁について言うと、やはり時間がない、面倒くさいという2つの御意見が、スポーツをされない方の大きな御意見でございまして、「時間がない」はちょっと我々でなかなかしづらい部分があるんですけれども、面倒くさいと思っていらっしゃる方に、どうスポーツの魅力を伝えていくのかといった辺りについては、また先生方からいろいろお知恵をいただければありがたいというふうに思っております。
今日は時間が限られた中でしたけれども、どうもありがとうございました。御礼申し上げます。

【渡邉部会長】 皆さん、どうもありがとうございました。これをもって、第15回の健康スポーツ部会を閉会といたします。失礼いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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