スポーツ審議会健康スポーツ部会(第13回) 議事録

1.日時

2021年2月22日(月曜日)14時~16時

2.場所

WEB会議(Webexを使用)

3.議題

   (1)健康スポーツ部会(第12 回)での主な議論について
   (2)コロナ禍における運動・スポーツのあり方について
   (3)その他  

4.議事録

スポーツ審議会 健康スポーツ部会(第13回)

2021年2月22日

【渡邉部会長】 皆さん、こんにちは。ただいまから第13回スポーツ審議会 健康スポーツ部会を開催いたします。
皆様、大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。本日は、全ての方々に御出席いただいております。スポーツ審議会令第6条第1項及び3項の規定において、今部会の開催及び議決に当たっては、委員の過半数の出席が求められているところ、本日は定足数を満たしております。よって無事に開催ということになります。また、本日はスポーツ庁、室伏長官、藤江次長にも御参加いただく予定になっております。オブザーバーといたしまして、厚生労働省健康局健康課より山口課長補佐、磯崎課長補佐、子ども家庭局母子保健課より猿渡母子保健指導専門官に御出席いただいております。
まず、開催に当たりまして、事務局よりウェブ会議における注意事項また配付資料の確認をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 健康スポーツ課長でございます。
本部会は前回と同様にCisco社のWebEXによるウェブ会議とさせていただいておりますので、事前にメールで送付させていただいている「WebEXの使い方について」というPDFファイルを御確認いただき、御対応をお願い申し上げます。なお、特に資料の共有の御希望がある際は、先ほど申し上げましたPDFファイル7ページと8ページに、御対応の方法がありますので、そちらのほうでよろしくお願いしたいと思います。
それから、資料でございますが、事前にメールで送付させていただいておりますが、本日の配付資料を確認させていただきますと、資料1から資料6-2というものまでと、参考資料1というものになっております。ファイル等がもし壊れていて読めないということがございましたら、また事務局のほうに御連絡をお願いいたします。
資料の確認は以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、議事に移ります。
議題1、健康スポーツ部会(第12回)の主な議論についてです。まずは第12回部会での委員の皆様からの主な議論について、事務局より説明をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 それでは、資料1に沿って説明をさせていただきます。前回の健康スポーツ部会における主な御意見をまとめたものになります。
御意見の種類と申しますか、分野ごとにまとめておりまして、健康二次被害対策、子供の体力低下、ビジネスパーソンにおけるスポーツ、女性スポーツ、障害者スポーツといった具合に整理をいたしております。
簡単にざっと御説明をいたしますと、まず、最初の国民の健康維持(健康二次被害対策)という部分でございますが、1つ目の丸にありますように、コロナ禍において認知機能の低下が見られる高齢者の増加が著しい、こういった御指摘がございます。
それから、2つ目の丸でございますが、子育て中の女性、妊産婦の方のメンタルヘルスの悪化が懸念される。
それから、3つ目の丸でございますが、マタニティスポーツによって産後鬱の割合が低下するという、そういったような御指摘がございました。こういったこともございまして、本日は厚生労働省の子ども家庭局さんのほうにお願いをいたしまして、説明をいただくということになっているものでございます。
それから、国民の健康被害の最後の丸でございますが、現在のコロナ禍ですとか、そしてアフターコロナのときに、どのようにスポーツや健康づくりに取り組んでいけばいいか議論したいというような御意見もいただいております。
続きまして、子供の体力の低下が懸念されると、こういったような御指摘がございます。
あと続きまして、ビジネスパーソンにおけるスポーツでございますが、テレワークが浸透する中で、そういった企業のほうから、あるいは労働者の方への有益な情報を提供していく、こういったことが必要ではないかといった御意見をいただいております。
それから、女性スポーツでございますが、女性につきましてはインドアで格好よくできるスポーツに関心を持つ傾向がありますと。ボディーメークでありますとかヨガ、筋トレ、こういったものについてもやっていってはどうかというような御意見がありました。
障害者スポーツでございますが、障害のある方に対して、スポーツをする場所にどうやって結びつけていくのか、どのようにしてそういった場に行っていただけるようにするのか、そういったようなことが大切だというような御意見をいただいております。
あとその下でございますが、障害のある方も日常的に運動する機運を高めたいというような御意見をいただいております。
2ページ目でございますけれども、スポーツ実施率向上全般ということでございます。一番上の丸にございますように、コロナ禍での運動の重要性を痛感した方、そういうものを認識した方が多いということでございます。そういったものをどう今後につないでいくのか、そういったような感じの御意見をいただいたと思っております。
それから、2つ目の丸でございますが、行動計画、基本計画とは別に行動計画があるわけでございますが、こういった行動計画、非常によくできていると。それを今後どう実施していくのか、どう周知・広報していくのか、どう現場で機能させていくのか、そういったことが大切ではないかという御意見をいただいております。
それから一つ飛ばしまして、スポーツに楽しむことによって、医療費の削減でありますとか国民保険も安くなる、そういった仕組みになるといいのではないかというような御意見をいただいております。
その下でございますが、特定健診、住民健診の関係でございますが、そういったものの保健指導でありますとか、企業が行うその健康上のいろんな経営、そういったものと連携していくとよいのではないかというような御意見をいただいております。
一つ飛ばしまして、運動好きの人だけが運動するのではなくて、より多くの人に運動してもらう、そういう親しみやすい運動環境へのアクセス、こういったことも考えていくべきではないかというような御意見をいただいております。
少し飛びまして、下から2番目でございますが、女子高生が自分たちで運動会を考えて実施したということがありまして、そういった中で、楽しい仕掛けを啓発していってはどうかというような御意見をいただいております。
一番下でございますが、地面が芝生になるだけでも行動変容が起こると。こういったことからも身近な施設の環境整備ということをやったらよいのではないかというようなこともいただいております。
最後の3ページ目でございますが、一番上でございます。勝ち負けによらないスポーツのよさを発信することが必要と。負けたら終わりで、試合に出られない子供もいると。そういう意味でも、広くスポーツをすることの楽しさを分かち合えるようにすることが大切ではないかというような御意見をいただいております。
あと災害大国の日本ということもございますので、スポーツ施策を考える際には、自然災害への対応ですとか、新しい感染症への対応、こういったことも視野に入れていくべきではないかといったような御意見をいただいております。
続きまして、スポーツの定義でございます。スポーツの定義、実施率の定義、こういったものについて少し検討してみてはどうかというようなことでございます。コロナ禍における「ながら運動」ですとか、ちょっとした体を動かす、あるいはテレビゲームなども増えたと。そういったことも少し考えてはどうかというような御意見がございました。
あと地域スポーツ、部活動改革ということでございますけれども、学校の部活動改革というのが本格化していまして、令和5年度からは地域のほうでもある程度、土日の部活動を移行していくということが必要になるということでございまして、そういう中で、地域におけるスポーツの環境づくりですとか、総合型地域スポーツクラブの質的充実などについても、少し議論をしてはどうかということでございます。
それから、スポーツマネジメント人材ということで、コーディネート・マネジメントする経営人材の育成・発掘、こういったものが大切ではないかと。特に行動計画を進めていく上で、こういう方々のお力添えというのがキーになってくるというようなことについて御意見をいただいております。
それからオリパラレガシーということで、オリンピック・パラリンピックが終わった後も、それぞれの競技団体、こういったところがレガシーとしてどのような方向に進んでいくのか、考えてもらうことも必要ではないかというようなお話をいただいております。
それから、スポーツ産業の支援ということで、スポーツ施設ですとかスポーツ用品の産業、こういったことも支えるということも考えていただきたいというものでございます。
あとデジタル化ということで、過疎地域を中心にデジタル化が進めば、その行動計画の実行面でもサポートなんかも行いやすくなるということではないかと。
それから、高齢者につきましては、やはりその高齢者と一口に言いましても、70代とか80代という世代によって少しICTのリテラシーといいましょうか、アクセスのしやすさなどが違ってくるということもありますので、そういったことも考えておかないといけないのではないか、こういうふうな御意見をいただいております。
以上ちょっと振り返りとして、ごく簡単でございますが、ポイントのみ説明させていただきました。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。健康スポーツ課のほうで、要領よくまとめていただいたと思います。
続きまして、前回の部会でも久野委員、北出委員から御発言がありました、コロナ禍における妊産婦に対するケアについて、厚生労働省子ども家庭局母子保健課、猿渡母子保健指導専門官より御説明いただきたいと思います。
どうぞ、専門官、よろしくお願いいたします。

【猿渡厚生労働省健康局母子保健指導専門官】 よろしくお願いいたします。このような機会をお与えくださいまして、誠にありがとうございます。
私のほうからは、厚生労働省のほうで取り組んでおります妊産婦に対するケアの中でも、子育て世代包括支援センター、産前・産後サポート事業、産後ケア事業、新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業、この4つに絞って御説明を申し上げたいと思っております。
それではまず、1つ目の資料でございますけれども、子育て世代包括支援センター、こちらは妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の提供を目的とし、全国展開を目指して設置を推進しております。具体的には、保健師等を配置して、妊産婦からの相談に応じて様々な訪問活動も行っておりますけれども、乳幼児健診であるとか、そういった母子保健サービスと地域の子育て支援拠点、公民館など様々な拠点で子育て支援サービスが行われておりますので、そういったものが一体的に提供できるよう、必要な情報提供や関係機関との調整、または少しサポートが必要な妊産婦の方には保健師が支援プランを策定し、その後のフォロー、ケアにつなげていくということを行っている機関でございます。
もともと市町村において、母子保健課であるとか子育て支援課というところで、戦後ずっとこつこつと積み重ねられてきた地道な活動がございますけれども、やはり明文化をして、センターと銘打つことで、妊産婦の方から相談しやすいように看板をかけてくださいということで、母子保健法を改正し、22条に市町村は子育て世代包括支援センターを設置するよう努めなければならないと法定化をされたものでございます。実施市町村数としましては、1,288市区町村に設置をいただいております。
この下の部分はそのイメージ図になりますけれども、妊産婦を囲んで子育て世代包括支援センター、そこには保健師、助産師、看護師、ソーシャルワーカー、こういった方々が配置されて様々な相談支援、連絡調整を行って他機関とも調整を行っていく。その下の部分は、母子手帳の交付から、時系列に右に流れていきますけれども、様々な事業を展開する中で、子育て世代包括支援センターがハブのような存在で調整を行っていくというものになります。このセンターのほうで、例えば、産後ママのエクササイズ講座であったり、体操教室であったり、その市町村の実情やニーズに応じて様々な場を使って行われております。
そういった活動を展開していただきたいと厚生労働省でも考えておりますので、市町村で、こういった講座や教室がなされていますという取組事例集を厚労省のホームページでも周知をしているというような状況でございます。
それでは、次のスライドをお願いいたします。続きまして、産前・産後サポート事業でございますが、こちらは平成26年にモデル事業、そして、27年から国2分の1、市町村2分の1で、補助率で行っている事業でございますが、こちらも目的としましては、妊産婦等が抱える妊娠・出産や子育てに関する悩みなどについて、助産師などの専門職や子育て経験者、シニア世代等の相談しやすい「話し相手」による相談支援を行い、家庭や地域での妊産婦等の孤立感の解消を図ることを目的として、市町村が行っているものです。
こちらの真ん中のほうに事業の概要とございますが、その内容でマル1、利用者の悩み相談対応やサポート。マル2、産前・産後の心身の不調に関する相談支援。特にこちらが今回の部会に関係するところと思われますけれども、こういった内容を事業で対応するということになっておりますので、こちらもその地域の市町村が、先ほどお伝えしたような産後ママのエクササイズとかヨガとか骨盤ケアとか、ニーズに応じて様々な教室等を開催し、それが終わった後に、妊産婦の方々に子育ての悩みであるとか、そういったことを聞いてアドバイスを差し上げるというようなものを行っていただいているものでございます。
ですので、その下の実施方法、マル2、「デイサービス(参加)型」となりますけれども、公共施設等を活用し、集団形式により、同じ悩みなどを有する利用者からの相談に対応という中の一環として体を動かす、そして、お互いに少し打ち解けられる関係性になってから、少し相談というような、本当に地域に応じた活動を市町村が行ってくださっているというものでございます。
次のスライドをお願いします。続きまして、産後ケア事業の全国展開でございます。先ほどもお話がありましたが、少子化、晩婚化、晩産化、地域社会のつながりの低下などで、妊産婦が孤立しやすい、そして育児負担が増大しているということがございまして、事業目的としましては、出産後1年の母子に対して、心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を行う産後ケア事業について、市町村が行っていただくというものになります。対象者は、今までは出産後4か月でしたが、母子保健法改正で17条の2に規定され、再来月、4月1日から施行になりますけれども、こちらは対象者が褥婦、産婦並びにその新生児及び乳児というものになります。
そして、その下になります事業の概要でございますが、こちらのほうで保健指導、授乳指導、そしてマル4のところに心理的ケアやカウンセリング、マル5、育児に関する指導や育児サポート、こういったものの中にそういった体操のようなものも入ってくるものでございます。
その下の実施方法(2)の「デイサービス型」、こちら個別・集団で支援を行える施設において、日中、来所した利用者に対し実施しますので、保健センターであるとか子育て世代包括支援センターであるとか公民館であるとか、そういったところで行っていただいております。先ほど御説明した産前・産後サポート事業に比べますと、少しメンタルヘルスケアが必要な方が対象となりますので、その実施方法のところ(1)宿泊型とございますけれども、病院、助産所等の空きベッドの活用によって、まずは休んでいただいて、とにかくお母様方は睡眠不足、もう夜泣きがつらいということで、休養を取っていただいた上でのケアになりますので、産婦の状況に合わせて宿泊型だったり、デイサービス形でスポーツを行う中でケアをしていったり、そして、必要に応じて(3)「アウトリーチ型」ですけれども、自宅へ訪問し、生活環境を整えるというような、そういったことも含めた産後ケア事業というものを強く推進しておりまして、法改正をして、4月1日から施行されていくというような運びでございます。
次のスライドをお願いします。今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業というのを二次補正、三次補正で対応しております。こちらに関連してきますものとしては、マル3のオンラインによる保健指導を実施するための設備及び職員の費用を補助しています。こちらも保健指導の一環として、エクササイズということも可能な状況になっております。
以上でございます。

【渡邉部会長】 猿渡専門官、どうもありがとうございます。
ただいまの説明、その前には事務局の説明がございましたが、皆様のほうから御意見がございますれば、挙手をするボタンを押していただき、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。久野先生、よろしくお願いします。

【久野部会長代理】 筑波大学の久野です。ご説明有難うございました。厚労省の方への御質問が2つあります。1つは保健師や助産師の方、今日はこちらのスポーツ庁の会議ということで、スポーツということで、そういう活用もあり得るというお話をいただいたんですが、現実的にそんなに理解された活動があるのかどうか、厚労省はどのように見ていらっしゃるかを教えていただけないでしょうか。

【猿渡厚生労働省健康局母子保健指導専門官】 御質問ありがとうございます。現実的にと申しますと、繰り返しになりますが、1スライド目の子育て世代包括支援センター、こちらにおいて産後ママのエクササイズ講座であるとか体操教室であるとか、様々な取組が長年行われている実態がございまして、とても重要なものであると厚労省でも考えておりますので、その実態を取り上げた事例集を当省のホームページで広報し、広く普及を図っているという状況にございます。
以上です。

【久野部会長代理】 ありがとうございます。もう少し教えていただきたいんですが、多分御存じのようにコロナ前から、妊産婦の方の死因の第1位が自殺というようなショッキングなデータも出てきていますし、コロナになって妊産婦のストレスが非常に高まっていて、逆に言うと運動・スポーツが心理的ストレスを軽減するというエビデンスは、20年ぐらい前から一定数出ておりまして、のですがポピュレーション的に、ハイリスクな状況の方、ストレスが高い方にスポーツをやるというのはいろんな考え方あると思うんですが、ポピュレーション的にもしできていると、もう少しストレスへの問題軽減につながったんじゃないか、あるいはスポーツだけで全てが解決するわけではないので、実際にこの辺りの活動が機能していれば、違った結果が出ているんじゃないかと思うのですが、どのようにお考えになっているのか、教えていただけないでしょうか。

【猿渡厚生労働省健康局母子保健指導専門官】 御質問ありがとうございます。そういった意味では、とにかく妊娠期からつながっていく、支援していくということが重要ですので、新型コロナウイルス流行下においても、先ずはオンラインでつながれるようにというようなところの設備や費用補助をしているという状況にございます。
以上です。

【久野部会長代理】 そうしますと何か責めたように聞こえてしまったら大変恐縮なのですが、ここがすごく大事なものですから、すみません。厚労省のほうでこれだけのメニューを用意していただいているというのは非常にいいことで、逆にスポーツのほうの、自治体の部局なども、もう少し保健部局と連携して関わっていくといいんじゃないかと思いますが、実際に自治体が国のメニューを使って、例えばお母さんたちのこういう参加率はどれぐらいでしょうか。
なぜこういうことをお聞きするかというと、我々スポーツの健康づくりをずっと研究をしてきているんですが、基本的に我々が10年ぐらい前に取ったデータでは、関心がある3割だけが参加して、ほぼ7割の無関心層はほとんどやってないというデータを持っているんです。
通常、お母さんたちが急に関心を持って運動するとはなかなか思えないんですけど、その辺り何かデータをお持ちでしょうか。もしお持ちだったら教えていただければと思います。

【猿渡厚生労働省健康局母子保健指導専門官】 申し訳ございません。こちらのほうでは今そういったデータを把握しておりません。
以上です。

【久野部会長代理】 厚労省のほうから何か調べたときに、運動・スポーツじゃないのですが、参加率が1%ぐらいだというデータを見つけたことがありまして、実態はあまり利用されてないような気がしております。その辺はいかがでしょうか。

【猿渡厚生労働省健康局母子保健指導専門官】 申し訳ございません、そのデータの出典等が分からないので、何とも回答できかねます。

【久野部会長代理】 逆に厚労省は利用率、参加率といったデータをお持ちではないのでしょうか。

【猿渡厚生労働省健康局母子保健指導専門官】 その辺りは何度も申し上げて恐縮ですが、母子保健は妊産婦に最も身近な市町村が地域の実情に応じて、その地域に合わせた形で様々に行っていただいていますので、こちらでは今回答できかねます。

【久野部会長代理】 長くなりましてすみません。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
津下先生、よろしくお願いします。

【津下委員】 ありがとうございます。私は愛知県の刈谷市というところで、大人のスポーツの場、公共の施設なんですけれど、そこと子育てのセンターが同居しているところに関わったことがあります。子育て中のお母さんたちが子どもについての相談に行きながら、すぐそこに運動の機会があるとか、いろいろ工夫されて取り組んでいらっしゃいます。核家族のために実の親子でも世代間の交流がなかなか難しい中で、地域で新しい交流の場ができているという、この動きが進展するといいかなというふうに思っています。
ただ今年度はコロナで、特に春先、緊急事態宣言でいったん市町村の通常の保健活動が一度止まってしまう状況になりました。多くのところが閉めざるを得なかったと。マンパワー的にも体制が取れなかった、正しい情報をどう把握していいかとか、オンラインとかもなかなか準備ができなかったということで、かなり課題感はあったと思うんですけれど、これをきっかけにオンラインでもつながることが加速しました。それまではオンラインでつながるよりは、とにかく会ってつながりましょうとか、健診のときにサロンみたいにして集まりましょうというような感じで、市町村も人が集まるように頑張っていらっしゃったと思うんですけれど、ここがやはりオンライン化という新しいつながり方が始まってきたなというふうに思います。
今離れていてもオンラインでつながれるという、そういうプラスの面もありますので、今回の経験をどう生かしていくのか。その中に気分転換の効果もあるし、体力づくりの面もあるし、スポーツが一緒に関わっていけるとすばらしいかなというふうに思いました。これからすごく期待していますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】 猿渡専門官、どうもありがとうございました。
健康スポーツ部会のほうで、妊産婦の問題というのも非常に大きな問題、課題だというふうに捉えております。そして私たちもまた、分かりました。すみません、話の途中なんですが、北出先生、お願いします。

【北出委員】 申し訳ありません。本日いただきましたお話は、本当に手厚いサポートケアがこのように詳細に配慮として設定されていることに大変感銘を受けております。
ただ、私も久野先生と同じ意見を持っていまして、ハードは完璧なんですけれども、実際に参加する人たちというのがちょっとハードルがある自治体とか、あと例えば広報によるかなと思っていますので、やはり自治体次第だと思うんですけど、ホームページ等で周知をしていただくと、自分の地域にこんなものがあると知らない方も多いのかなというふうに思った次第です。
あとは、もう一つの問題点としましては、これは産婦人科の問題もあると思うんですけども、運動許可と、あとはその運動強度の問題があると思うんです。誰でももちろんオーケーできるわけではなくて、切迫早産があるとできないとか、あとは心拍数がここまででやめましょうとか、そういう基準が実は結構ばらばらだったりしますので、できればこういう専門家の先生方と産婦人科医とともに共同でデータを出しながら、そういうものの基準を全国共通してつくれると非常にいいのかなというふうに思いました。
以上です。ありがとうございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。
もしほかにないようでしたら、次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
続きまして、議題2、コロナ禍における運動・スポーツの在り方についてです。
本議題の進め方といたしましては、事務局よりスポーツ庁の施策の説明、課題の提示をさせていただきます。その後、健康二次被害、ビジネスパーソン、子供、障害者といった切り口からそれぞれ委員の先生から御説明をいただきたいと考えております。
流れといたしましては、事務局説明後、近藤委員より健康二次被害のテーマについて御発表・御説明いただきます。その後、1回目の意見交換を行わせていただきます。
1回目の意見交換後、萩委員より子供、塩野委員よりビジネスパーソン、藤田委員より障害者のテーマについて、続けて御発表・御説明いただきます。その後、2回目の意見交換を行わせていただきます。
それでは、最初に事務局より、コロナ禍における運動・スポーツに関するスポーツ庁の施策等について説明をお願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 健康スポーツ課でございます。資料3になりますので、こちらを御覧ください。コロナ禍における運動・スポーツの実施状況などや、スポーツ庁、地方自治体、企業における取組について説明をさせていただきまして、その後に私どもとして委員の先生方に御議論いただきたいことを説明させていただくと。先ほど部会長の御説明のとおりでございます。
それでは、最初にコロナ禍のスポーツへの影響について説明をさせていただきます。2ページを御覧ください。皆様も御承知のことかと思いますが、2020東京オリンピック・パラリンピックですとかプロスポーツ、それから、学校の部活動や国体などのアマチュアスポーツ、こういったものの延期ですとか中止が続いていると、こういったような状況が書かれたものになります。
続きまして、3ページを御覧ください。Withコロナ時代における健康二次被害ということで、左側の折れ線グラフになりますけれども、コロナ禍の前後で1日の歩数がどのように変化したのか、これは海外の論文になりますが、これを抜粋したものになります。
歩数そのものではなくて、歩数の変化率のデータではありますけれども、欧米の先進諸国ですとか韓国、台湾といった国・地域に比べまして、日本の歩数の落ち込みが大きくなっているということが分かります。大体歩数でいきますと日本の場合、7,000歩強から5,000歩強に2,000歩ぐらい減少しているということでございます。
それから、昨年秋の段階では、実は歩数ということでいきますと、日本はここに出てくるグラフの中の国の中では最も歩数が多かったんですけれども、この6月の段階になってしまっていますと、スウェーデンですとか韓国ですとかイタリアとか、そういった国に抜かれてしまって4番目ぐらいに落ちているという状況でございます。
それから、右側の棒グラフでございますが、緊急事態宣言下における日本での歩数の変化になります。コロナ禍前の1月から2月頃、この時期につきましては、1人当たり9,000歩以上歩く方が24%以上おられ、大体4分の1近い方が歩いておられたわけでございますが、その一方で、逆に3,000歩未満というあまり歩かないという方は15%と少なくなっておりました。これが緊急事態宣言期間の4から5月ぐらいにかけまして、この傾向が逆転するような形になりまして、9,000歩以上歩かれる方は18%程度に減少、3,000歩未満の方が倍増して30%近くになったということでございます。
緊急事態宣言が解除されて以降は、こうした傾向は改善しておりますけれども、コロナ禍前には戻っていないというところでございます。また、1月以降の緊急事態宣言、現在も入っておりますけれども、こういった部分でのちょっとデータは取れておりませんけれども、そういったものも引き続き見ていくということで考えております。
4ページを御覧ください。子供の体力低下についての報道になります。臨時休校が明けてから子供が転んで骨折することが増えたですとか、運動機能が低下したと、こういったような御指摘があるというものでございます。
続きまして、5ページを御覧ください。こちらはスポーツ・運動がもたらす効果になります。むしろ先生方のほうがよく御存じのとおりでございますが、自己免疫の向上でありますとかストレスの解消、体重や体力の維持などに効果があるということをまとめたものになります。
続きまして、7ページを御覧ください。スポーツ庁における取組ということでございます。まず、上段につきましては、昨年4月の緊急事態宣言下において、主に外出して行うジョギングですとかウォーキングを安全安心に行う方法を取りまとめたものでございます。運動する人と行わない人双方が気持ちよく過ごせるようにということで、こういう周知と啓発を行ったということでございます。
下段のほうにつきましては、屋内でできるスポーツメニューですとかダンス動画、子供と一緒にできる運動遊びの広報活動、こういったものを行ったというものになります。
続きまして、8ページから9ページでございますが、こちらのほうは子供を持つ御家庭ですとか、テレワークを行うビジネスパーソン、それから、高齢の方々やその見守りをされる方向けに、セルフチェックと簡単な運動の方法、高齢の方々については、これに加えて周囲の方の見守りですとかコミュニケーションの確保、こういったものを取りまとめたリーフレットですとかガイドラインを作成して広報活動を行ったものになります。
続きまして、10ページを御覧ください。こちらはスポーツ科学の専門家でもあります私どもの室伏長官の発案もありまして、新聞を使ったエクササイズの動画を作成したり、それから政府広報番組のほうにも、健康二次被害防止に向けた取組の重要性について、長官より御発信をいただいたというものになります。
続きまして、地方自治体・企業における取組ということで12ページから13ページ、まとめて説明をさせていただきます。こちらのほうは高松市、それから東村山市、寄居町、埼玉県における取組例になります。それぞれ運動動画ですとかパンフレットの作成、それから、地域の住民の方々へのそういったものの周知、それから、中にはスマートフォンのアプリなどを用いまして、時間とか空間が離れた方々に参加してもらうランニングイベント、こういったものなども行われております。
14ページを御覧ください。こちらのほうは企業における取組になります。上のほうはソフトバンク株式会社になりますが、社員向けのヨガですとか自分の会社の自分のデスクですか、そういった自席ですとか、それから自宅でできるストレッチの動画を社員向けに配信しているというものでございます。
また、ウイングアーク1st株式会社さん、情報通信とかソフトウエアの関係の会社のようでございますが、こちらのほうではウォーキングアプリを活用して、全社大会を開催したり、それからその中で「社長賞」を設定されたり、部門対抗戦などを行うとか、参加者が楽しく取り組める工夫をした社内イベントを行っていると、そういったものが出ているものでございます。
最後に16ページでございます。御議論いただきたい主な論点ということでございます。本日御議論いただけるとありがたい論点について簡単にまとめたものになります。
新型コロナウイルスに、新規に感染する方は減少傾向にございますが、当面の間はやはりウィズコロナですとかアフターコロナという状況を念頭に置きながら、運動やスポーツを推進していくということになろうかと思います。
こうしたことを踏まえまして、コロナ禍において、運動やスポーツを行う際の留意点、コロナを過度に恐れて健康二次被害を発生させないようにするための発信の仕方、それから、コロナ禍で健康に対する意識が高まり、運動やスポーツに取り組む方が増えたのではないかと、こういった調査結果も出ておりますので、こうした動きを定着化させるためのアプローチにはどのようなものがあるのか、そういったようなことなどにつきまして、先生方に少し御意見を頂戴できるとありがたいというものでございます。
なお、これは本日の御議論に当たりまして、こういったことも議論をしていただければということでございまして、この論点に、完全に縛られるというものではございませんので、これ以外のものを含めまして、先生方からいろんな御意見を伺いたいと思っております。
以上で事務局からの説明とさせていただきます。

【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。
続きまして、近藤委員のほうから、健康二次被害の観点からのコロナ禍における運動・スポーツ実施について、御説明いただきたいと思います。近藤委員、よろしくお願いいたします。

【近藤委員】 私のほうでは、健康二次被害と、特に高齢者における対策ということでこの間の経験を御紹介させていただきます。
次をお願いします。これはイギリスの話ですけども、日本でも今月になって、孤独担当大臣として坂本大臣が当たるというようなことが報じられるようになりました。このような動きが言わば加速と言っていいんでしょうか、広がっている背景には、社会的な孤立がいろんな面で自殺の増加とか、健康で言うとたばこ1日15本に相当するとか、そのようなエビデンスがたまってきたからであります。
次をお願いします。日本の高齢者のデータで見てみましても、左が毎日いろんな人と交流している人、右が月に1回未満しか交流しない人で、棒の高さで要介護認定とか認知症とか死亡の確率を示しております。
御覧のように交流頻度が少なくなるほど、右に行くほど健康を損なう人が増えていく、このような関係が明らかにありまして、交流がない、社会的に孤立した状態が、健康に悪い影響を及ぼすということは、日本でもイギリスでも共通で、さらに日英比較研究してみますと、実は日本のほうが社会的に孤立している人が多いということも分かってきています。
次をお願いします。コロナの下で、そういう外出交流がどうなっているかということを幾つかの研究グループが発表していますが、私たちもある町で4年間続けて、いわゆるサロンに来ている、通いの場に来ている高齢者を対象に調査を繰り返しています。
高齢者は毎年1歳ずつ年取るので、コロナが来ない年でも、これでいいますと下のほうの2017、18あたりでも、前年に比べて外出が減っていると答えた方が2割前後いらっしゃいました。
それが今年の9月の緊急事態宣言の2回目が解除された頃にやった調査ですけども、その頃で6割を超える方、これは例年に比べると3倍ぐらいの方が、やはり外出を控えているという実態があって、健康の二次被害が起きることが、このままほっとけば、健康二次被害が起きるだろうという規模だと考えられます。
次をお願いします。それがもう既に表れていると思われるのが、この要介護認定の要介護度1、2、3、4、5とありますけども、今まで2だったんだけども、もう状態が悪くなって3とか4になっているんじゃないか、だから区分を変更してほしい、そういう申請が、緊急事態の宣言後に増えると、このようなことが時事通信の調査で出ておりまして、既にこの要介護度が悪化するという健康二次被害が実際に起きている可能性が高いというふうに考えられます。
次をお願いします。これに対してどんな対策があり得るかということです。一つは「3密」がよくないということが分かってきましたので、それを極力避けて外出したり交流する、例えば屋外でということが考えられます。そういうものに対して、リスクがゼロじゃないからおっかないという不安が非常に強い方も中にはいらっしゃいます。そういう方にも勧められるのは、電話とかネットとかを活用した交流ではないかということで、それぞれどんなことがあり得るかということを、いろいろ調べたり試したりしています。
次をお願いします。まず、屋外を歩くということについては、これは横浜市に御協力いただいて、ウオーキングポイントというのをやっていらっしゃるんですが、果たしてそれに効果があるのかということで検証したところ、1日僅か3.6分で大したことないじゃないかと思われるかもしれませんが、既に15万人の高齢者が参加しているというので、国土交通省が出している一歩当たり医療費がどれぐらい違うかというのを当てはめますと、年間でいうと12億にも相当するという計算になっちゃうんですけども、それなりのインパクトがあるということで、ウオーキングポイントだとか、いろんなものを仕掛けも工夫しながら歩いていただくというような取組が一つあり得るだろうというふうに思います。
次をお願いします。それからネットを使ってということについて、やっぱりリアルワールドにはかなわないだろうという御意見あって私もそう思っているんですけども、ネットに効果がないのかという視線で分析をしてみたところ、ネット交流であっても、している人としていない人がその後3年間の間に、新たに鬱を発症する確率が3割ほど違う、ネット交流している人では、新たな鬱発症が3割ほど少ないということが確認できました。
また、興味深かったのは、ネットを使っているかどうかではなくて、ネットショッピングとかネットで情報収集しているというだけでは効果がなくて、ネットで誰かと交流しているという場合に鬱が少ないということが出ていました。やはり人間というのは社会的動物ですので、ほかの人と交流するということ自体にも意味があるようだということが、こんな分析からも見えてきました。
次をお願いします。高齢者はネット無理なんじゃないかと、先ほどもそんなことがありましたが、私たちの2万5,000人ほどに聞きました調査データを改めて見てみたところ、既に19年の時点でネットを月1回以上使っているという方が6割、後期高齢者でも47%の人が既に使っているよというふうに答えていらっしゃいました。
次をお願いします。この46%という数字は、ロジャーズの有名な普及の理論から見ると、既にもう過半数の人が使っているという、高齢者全体では使っているということ、後期高齢者でも46%といいますと、深い溝と言われるキャズムもとっくに乗り越えて、もうアーリーマジョリティの大半が使っているという段階ですので、今後さらに例えば10年後であれば、今の65歳が75歳になっていますから、さらにより多くの高齢者が使うのが当たり前の社会が確実にやってくるだろうと予想されます。
次をお願いします。では、高齢者にこういうタブレットとか使ったことない人に使ってみてもらったら使うようになってくれるんだろうかというので、今、実証実験みたいなことをやっています。そうしましたら思いのほか高齢者の方たち、スマホを持っている方も、実は電話機能しか使ってないという方が多くて、あら、これはテレビ電話もできたのねみたいな声があって、どこをやればできるのというんで教えてあげると、それを契機に使い始める方が結構いるということが分かってきました。
次をお願いします。これは本当は動画をお送りしたんで動画を見ていただくといいんですけど、みんなで体操しているなんていう場面もあって、一人だとなかなかできないんだけど、やっぱりみんなの顔を見ながらだと楽しくできたというような声もありまして、全ての人ができる状況ではありませんが、できる人だけでも、このような形で運動をしてもらうということはもう可能な時代が近づいている、あるいは既にできる高齢者も一定数いらっしゃるということが分かってきたと。
以上、御紹介でした。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。非常に分かりやすい、また、信頼のおけるデータ、エビデンスに基づいた説明だったと思います。
それでは、ただいまの事務局の説明並びに近藤委員の御説明を踏まえまして、意見交換を実施したいと思います。先ほど同様、希望される方は挙手ボタンを押していただきますようによろしくお願いいたします。
勝目委員、お願いします。

【勝目委員】 スポーツ庁さんのほうのコロナ禍におけるスポーツへのネガティブなインパクトのことと、近藤先生が御説明いただいた孤独とスポーツというか、みんなでやると割と一人でやらない人もやるよというようなお話もあったと思うんですけれども、前回も少しお話ししたかもしれませんが、やはりコロナがあったおかげで人と人がつながる、物理的にはつながりにくくなったけれども、オンラインでやっぱりつながりやすくなった、その手段を皆さん、手に入れたということは本当に最大限生かしたほうがいいなというふうに思っていまして、先ほどのみんなで顔の笑顔で笑うという体操もそうですけれども、最近バーチャルスポーツと言って、eスポーツとは違って、例えばサイクリングをある特殊なエアロバイクみたいなものにつけると、あたかも仮想空間を走っているような体験できるというのがあって、それが世界中の人と同じ場所でレースをできるかのような体験ができるということもありますし、すごいトップレベルのスポーツから、すごくお年寄りの交流というか、ちょっとした日々の運動というところまでみんなでできるというインフラが整いつつあるので、何とかそれをもう少し活用できるような提案とかあればいいなというふうに、2つの話がちょっと結びついて聞いておりました。
意見というか感想ですね、以上でございます。

【渡邉部会長】 勝目委員、どうもありがとうございます。
先ほど課長のほうから、本日議論いただきたい主な論点というのが、大きく3つ示されたと思います。直接今の事務局の説明、あるいは近藤委員の説明に関わらなくても構いませんので、せっかくの機会ですし、多彩な方が委員として御参加いただいておりますので、どうぞ積極的に挙手されて、御発言いただきたいと思います。
いかがでしょうか。津下委員、お願いします。

【津下委員】 すみません、何度も出てすみません。先ほどの16ページの論点のところで、運動・スポーツを行うことの必要性なんですけれど、今の生活で足りてないということを自覚して、プラスアルファどれだけやろうかというふうに、まずは認識することが大事かなというふうにも思います。
スマートフォンの中に、またはいろんなものの中に歩数が出る機能があるということをもっともっと知っていただくといいのかなというふうに思っています。家の中にスマホを置いているからって、家の中ではそれほど歩数は伸びないことが普通ですので、やはり今どれだけ自分が動いているかということを確認する機会を作る。健康とスポーツの関係というのは非常に明確に分かってきていて、それがどれだけ足りないと健康を害するかというエビデンスもあり、活動基準も出ていますので、その辺りと照らし合わせると、自分の持っているものでまず認識していただく。
例えばいろいろな健康づくりの教室や保健指導では、歩数計を貸し出して、自分が足りないということを認識するところから計画を立てるというケースも多かったと思います。コロナ禍でも屋外で歩くということについては、コースを選べばいろいろ楽しいやり方もあると思うんですけれど、そういうマイコースをお互いに自慢し合うとか、そんなようなことも含めて歩くということをより進められるといいかなと思います。どこまで歩いたとかいろいろな楽しみ方もあって、それを自分だけでやっているんじゃなくて、人と一緒に歩いたことを認め合うというか、その楽しさを共有することも励みになると思います。
それからもう一つ、起伏があるところを歩くとか、階段で体力を意識するということも大事だと思います。知らない間に筋力低下が起こっているということに気づく。疲れやすさを測る。今まで普通で歩けたところが歩けないということを自覚する意味では、階段なども非常に分かりやすい。日常の中で自分の体力の変化に気づける機会を作ることを、いろんなところで試してもらえるということがすごく大事かなというふうに思います。
あと子育てのということもありましたけれども、在宅で家族と接する時間があって、子供と遊ぶというのも立派な運動ということになります。なので、その辺の普及も世代に分けて発信をする、基本的な話ですけれども、そういう基本に立ち返って、自分事化できるような情報をきちんと届くようにアナウンスをしていくことが重要かなと思います。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。手が挙がっておりました久野委員、お願いします。

【久野部会長代理】 私も2回目なのでちょっと遠慮しようと思ったのですが、津下先生が発言されたのでと発言しやすくなってしまい、手を挙げてしまいました。すみません。
これからスポーツ庁としての論点が2つあると思っています。、この間かなり複数の自治体の事業担当者の方々にヒアリングをかけたのですが、事業を休止してしまう理由として2つあるなということが見えてきました。、一つはこれはあまりいいことではない、ある面しようがない部分もあるんですが、やっぱり自治体の担当の方々がリスクをヘッジしたいということで消極的になっている部分があるということです。
ただもう一つが、実は何かを開催していると、市民の方から物すごい数の投書、クレームの電話やメールが来るという話も聞いておりまして、やりたくてもなかなかできないという状況が自治体側にもあったということが分かってきました。
そういう面で、先ほど資料でスポーツ庁が11月にガイドラインを出していただきましたが、やっぱり国があのようなガイドラインを出していただくと、説明していくときに後ろ盾があるということが、自治体がこういう事業を休止しないということにおいては、非常に背中を押すんだなということが見えてきました。ですので、今後問題は、全国約1,700の自治体担当者が、スポーツ庁が出されたガイドラインを基に、どれくらい説明できているのか、担当者にいかに届けるかという工夫を考える必要があるんじゃないかと思います。
もう一つは、今申し上げた中で市民の方が非常に自粛警察的なクレームを出すということ、これは別に高齢者のところだけじゃなくて子供も含め、いろんな世代であったかと思うんですが、やっぱり国民のヘルスリテラシーを上げていくということ。国民側にこの健康二次被害の問題をダイレクトにもっと届けていくような仕掛けが、これから次の手として大事ではないかというのが論点の1つ目じゃないかと思います。
それから論点の2つ目は、先程津下先生がおっしゃったように、歩いて楽しんだり、あるいは起伏とかいろんなアイデアを頂きましたが、我々がこの間取ってきたデータで、特に高齢者におけるこの健康二次被害は、一つはこういうフレイルか虚弱かという問題、もう一つが認知機能の低下というこの2つなんです。
そうしますと、このフレイルの低下は、一人でのウオーキングや室内での筋トレ的な体操というのは非常に重要なので、それをどう普及していくのかというのはいいんですが、認知機能の低下に関しては近藤先生が先程非常に分かりやすく、データに基づいてお話しいただけたんですが、やっぱり元が会話の減少だというのが我々の研究室のデータです。
会話が減少して、生きがいが低下してきてメンタルヘルスが悪化することが認知機能の低下に非常に影響する。そうしますと、一人でやるウオーキングだけをやって、フレイルや体力の維持にはいいんですが、会話がないわけですから、そういう面では、ある程度やっぱり人と人が集まれるようなスポーツ・運動、あるいはもちろんその趣味の世界も含めて、何が課題か、そこに応じてどう組み立てるかという政策の組立て方が大事じゃないかと感じております。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。近藤委員、続けてお願いします。

【近藤委員】 論点でいきますと、2番目の運動・スポーツを行うことの必要性について、どのように発信すべきかというところについてです。政府の基本対処方針のところで、不要不急の外出自粛という表現が使われてしまったために、国民の大半は外出しちゃ危ないんだというメッセージを受け取って、家から一歩も出てはいけないんだというふうに行動してしまったという面があったと思います。
改定はもう何回もやっているので、スポーツ庁からも強く申し入れていただいて、外出自粛ではなくて、危険な交流の自粛という別の表現にするように働きかけられないでしょうか。これはWHOに前例がありまして、WHOは最初、ソーシャルディスタンスを取りましょうという表現をしたんですが、それをやるとかえって危険だということに気づいて、WHOは途中からフィジカルディスタンスの確保というふうに言い方を変えて、ソーシャルディスタンスという言葉は使わなくなったということが、議事録に明示されています。
基本、不要不急の外出自粛ではなくて、危険な交流の自粛というふうに表現を変えるということができると、国民になぜそのように表現を変えるのか、それは健康二次被害が分かってきたからだ。だから必要な外出はしてください、体力は維持してください。あと安全に配慮して交流もしてください、そういうメッセージを説明する機会を増やすためにも、ぜひ基本対処方針の表現の改定を申し入れてほしいと思います。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。長官もいらっしゃることですので、またこれはお預かりということになります。
続いて、もう3名の委員の方に発言いただきます。まずは泉委員、お願いします。

【泉委員】 今日インターネットで見ましたら、世界におけるパンデミックについてはワクチンの接種率が75%にならないと、集団免疫が発生しないんだというような情報がございまして、これを達成するには世界のパンデミックが7年かかるだろうというふうに書いておりました。日本のワクチンについてもやっと接種が始まりましたけども、あと何年、どれぐらいの期間が集団免疫にかかる必要があるか、ちょっと私も分かりませんが、この状態が間違いなくまだしばらくは続くという認識をしておかないといけないのかなというふうに思います。
私は久野先生と同じように、一生懸命発信することは大事なんですが、具体的なやっぱり事業に落としていかないと、なかなかその実数の数字が出てきませんし、いかに発信の効果が出てきたかというのもちょっと分かりにくいかなというふうに思っております。
よろしければ、ここ1年間のスポーツ協会の取組としては、先ほどスポーツ庁がつくっていただきました資料の18ページをちょっと画面に出していただけるとありがたいんですが、「子供の運動不足解消のための運動機会創出プラン」というところでございます。これは第一次補正で予算をいただきまして、その結果、36件で740事業、740か所でアクティブ・チャイルド・プログラムをつくりました運動遊び、この事業が740企業、おかげさまで3億近い予算をいただいて、つくることができました。
このほかにスポーツ活動継続サポート事業、これは二次補正で最大1か所150万までコロナによる活動継続をしているところを申請いただいて、給付をする事業をやらせていただきましたが、全体で申込みが4,743件ありました。給付対象になりましたが、4,037件、まずまずの結果が出たかなというふうに思っております。
スポーツ協会としては、このほかにガイドラインとしては、国体のコロナの感染防止のガイドラインですとか、2件のガイドラインもいろいろデータとして発表させていただきました。そのほかに啓発活動として8件。例えば伊藤会長から全国の子供たちへの支援メッセージですとか、今スポーツにできることですとか、こういったような啓発活動を8件。これは残念ながら一方的に、一方通行で発信をするだけということでしたので、どの程度これが実際の事業として、あるいは活動としてできたかというのは、ちょっとまだ把握ができておりませんが、次に19ページをちょっと開いていただければと思います。
今後、これはスポーツ庁が御報告をすることかと思いますが、子供の運動遊び定着のための官民連携推進事業、2億9,800万の、これも三次補正の予算をいただいておりまして、今準備を進めております。具体的に日本スポーツ協会で推進プロジェクト本部をつくりまして、各県の推進プロジェクトと一緒になって、官民連携で企業も巻き込んで、この子供の運動遊びの定着を図ろう。といいますのが、なかなかインターネットで我々もウェブでその後発信作業はやっておりますけども、企業とのつながり、経団連その他の企業とのつながりは意外と希薄なものですから、こういったような今後は地元、現場で企業とも一緒になった推進プロジェクトをつくって、実際具体的な事業展開をしていくと、こういった今の段階でございます。
そういう意味で、いろんな情報発信することは、たくさん発信するのは大事なことかと思いますが、よりこういう具体的な事業をやっぱり着実に進めていくことも重要ではないかなとそんなふうに最近感じております。
以上でございます。すみません、長くなりました。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。続いてお二方、藤田委員と左三川委員にお願いします。まず、藤田委員のほうからお願いします。

【藤田委員】 1点だけなんですが、近藤委員の発表の最後のところで、「みんなで、顔筋体操」の御紹介がございましたが、こういうリモートでライブでいろんなことをやるというのは非常に可能性があると思うんです。交流の仕方とかコミュニケーションということも出てきましたが、コミュニケーションの取り方であるとか、まだまだこれ私たち知らないやり方が多分あると思うんです。
私たちも大学の授業で実技をリモートでやれって言われたときにはどうしようか悩んで、まだ十分それに対応できてないんですが、何かこういうリモートで、一緒にやる交流の仕方、体の動かし方というものの開発というか、そういうプログラムをもう少し開発していけば、高齢者に限らず様々なところで利用ができるんじゃないかなというふうに考えました。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。最後に左三川委員、お願いします。

【左三川委員】 2点ございますが、その前に、先ほど泉委員から経団連など経済界との連携に関するお話をいただきましたので、改めて御担当の方と御相談させていただきたいと思います。
2点のうち1点は、スポーツ庁さんの資料「主な論点」の中の、どのように運動・スポーツについて発信していくかという点です。経団連はこの1年間、テレワークに関する情報発信や協力要請を日常的に会員企業に対して行っております。今のような緊急事態宣言下では、テレワーク7割の達成に向けて協力要請やアンケート調査を実施しています。そういう仕組みが半ばできておりますので、その中でビジネスパーソンの運動についても、発信すべき情報はぜひ発信したいと思いますので、スポーツ庁さんにもいろいろ御教示いただきたいと思います。
本日御説明があった自治体や企業様の好事例でもいいですし、在宅勤務の中で体を動かす、そのための時間を取る工夫でも良いと思います。また、先ほどご説明があった国際比較の資料によれば、コロナ下での歩数減少率は日本が特に高いようですので、それに対する危機感を持ってもらうのもいいと思います。会員企業に流すべき情報について、別途御相談をさせていただきたいと思います。
もう一つは質問ですが、今の話に関連して、とりわけ日本で歩数が減っている理由として、どんなことが考えられるのでしょうか。例えば、そもそも日本人は通勤とか通学が歩数の大半であった、家が狭いなどの事情もあるかも知れませんが、何か考えられる原因があったら教えていただきたいと思います。
以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。課長のほうでもし何かお答えできることがあれば、どうぞ。

【小沼健康スポーツ課長】 まず、ただいま左三川委員からいただいた件でございますけれども、まずいろいろと経団連の会員さん向けにいろんな情報を流していただけるということでございますので、これは非常に私どもとしてもありがたいことでございますし、私どももいろいろとスポーツ庁のホームページを見ていただくと、非常にいろんなコンテンツございまして、ただ、そういったものが本当にきちんと届けられているかというところについては、やはりちょっと私どもも心配しているところがございまして、そういったものも含めて少し経団連さんを通じて、企業の方あるいは企業で働く方々の御家族なんかも含めて何か情報が流れればいいなと思いますので、ちょっとその辺はまた御相談をさせていただきたいと思っております。
それから、2つ目の日本人は歩く数が減った理由でございますけれども、正直言いまして、このデータだけでその理由というのはよく分からないというのと、あと恐らくこの年齢階層とか見ないと、例えば子供たちから恐らくビジネスパーソンの世代から高齢者の方もいるので、単純には分からないんですが、まさに左三川委員おっしゃったように、多分一番の国民のボリュームゾーンは、まさにビジネスパーソンのところでございまして、そちらのほうは多分、特に都市部なんかに住んでいる方につきましては、通勤でもう自動的にかなりの歩数を歩いているというのは間違いないところでございますので、恐らくその部分が減ったということがかなり大きな理由なのではないかなと思っております。
ただ今後テレワークというのはなかなかこの流れは、多分どんどん進んでいくと思いますので、そういう中でいかに歩いていただくかということをやっぱり考えていかなければいけないというふうに思っております。
それが左三川委員の関係でございます。あと、近藤先生のほうからもきちんと基本的対処方針のほうで書き方を変えてもらったらどうかというような御意見がございました。この辺も実は、基本的対処方針もよく読みますと、外出を自粛するということは書いてあるんですが、その自粛に該当しないものとして、一般的な健康維持のための散歩なんかはもともと自粛の対象ではないということが書かれております。そういう意味でなかなか全面的に外出自粛という部分を削るということは、私どもとしても言いにくいというものはございます。
ただ一方で、最初にコロナがパンデミックということで言われたときに、例えば中に卓球場でありますとかスポーツジムというような言葉が入っておりまして、やっぱりそれがそういったところに通う人たちに結構ブレーキをかけたことは間違いございませんので、そういったものは削ってくださいということは、私どもと経済産業省さんのほうで申入れをしております。そういった中で、今の基本的対処方針からそういったものは削られておりまして、そういうできることは私どもとしてもやっておりますが、引き続きそういう誤解のないようにしていくということは大事だろうなと思っております。
あとそれから昨年の緊急事態宣言が出たときも、例えば当時の安倍総理もきちんと明確に外出、健康維持のための運動とかそういうものの外出はいいということは言っているんですけれども、そういったものもなかなかうまく伝わっていない部分がありますので、私どもも含めてその辺はきちんとそういったものを伝えていく工夫を今後しっかりしていきたいというふうに思っております。
それから久野先生の関係ですが、自治体の担当者の方にちゃんとうまく届いているのかという御指摘でございます。全くおっしゃるとおりでございまして、私どももいろんなガイドラインをつくって、過度に心配して活動を停止しろということを言っているつもりはございませんので、そういった部分はやっぱり担当者の方がきちんと説明できるようにしていくということは、私どもとしても大事だと思っております。そういった意味でも、自治体に対するお知らせといいましょうか、通知の在り方も含めて、通知の書きぶり、そういったものを少し工夫してきちんと自治体の方々が説明しやすいようにしていくということは大事かなと思っているということでございます。
あとそれから、人と人が関わりを持って集まれるということも大事だというお話でございましたので、その辺もまさに私ども最初のほうで御説明いたしましたとおり、高齢者のガイドラインの中でやっぱりきちんと集まる、人と人のつながりを持つ、もちろんお年寄りと御家族、または御家族であっても御近所であったり同郷であったりあるいは遠隔地であったりするわけでございますが、そういった中で電話でもいいですし、もちろんテレビ電話でもいいですし、場合によっては手紙でやり取りするでもいいですし、そういったことも大事にしましょうと。あと当然お年寄りの周囲の御近所の方々、そういった方々の見守りということもぜひともお願いしたいというふうなことを書かせていただいております。そういったものもまたしっかりやっていきたいというふうに思っております。
最後になりますけど、勝目先生の関係でバーチャルスポーツとおっしゃっていましたけれども、これは確かにフィジカルeスポーツと私どもも最近言っておりまして、実は政策提案の公募というのを昨年までやっておりまして、パブリック・コンペティションといってやっているんですが、その中でも実は昨年度の入賞案件の中にそういう自転車とコンピューターを接続しまして、自転車のペダルをこぐと観光地を観光して回れるというようなものがありまして、そういったものなんかも今後やっていきましょうということでやっているところでございます。
この辺何分新しい分野でもございますし、いろんな自転車だけにかかわらず、例えばマラソンなんかでも同じようなものがございますので、そういったものも含めて少し私どもとしても研究をさせていただきたいと思いますので、引き続きまた御指導をお願いします。
以上でございます。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。丁寧な説明ありがとうございます。
何名かの方が、挙手のマークが出ておりますけども、一旦この会を閉めて、次の会に移りたいと思いますので、後ほどまたお願いいたします。
続きまして、子供の観点からコロナ禍における運動・スポーツ実施について、萩委員より御説明いただきたいと思います。

【萩委員】 まず、最初におわびをしなきゃいけないんですけれども、私のコンピューターの設定が悪かったらしく、ビデオがオンになりませんので、声だけの出演で失礼をいたします。共有画面で、資料のほうを御提示いただければと思います。
私に与えられた課題は、コロナ禍における運動・スポーツの在り方の中の子供編ということで、5分という短い時間ですので、幾つかの事例を端的に御紹介できればと思います。
では、次のページをお願いいたします。実は昨年私どものゼミで、中学生のスポーツ実施率の二極化というところ、非常に興味関心を持って本当にそうなのかどうか。あるいは苦手な生徒たちはどんなことを思っているんだろうかということを知りたいということで、ある中学校に協力をいただきまして、調査を行わせていただきました。
ちょうどそれが昨年の9月ということでしたので、ステイホームの時期にどんなふうに活動していたのかなということも併せて聞きましたので、その点ちょっと御紹介をしたいと思います。
次のスライドをお願いいたします。これは左側の円グラフは、運動部活動に入っている生徒たちが、4月、5月のステイホーム中に、家でどれぐらい運動していたかというのを示しています。
一方右側は、この運動部活動に入っていない生徒たちです。人数的には多少違いがあるんですが、このステイホーム中にどんな頻度で運動していたかということが表されております。これを見ますとやはり日頃から運動をしてきた生徒、もちろん運動部活動に入っているということは、そもそも体を動かすのが好きですし、動かし方も分かりますし、学校に行けない分、自分の体力落としちゃいけないとか、記録をもっと伸ばしたいとか、いろんな思いもあるんでしょう。結構な生徒が、週に三、四日、体を動かしていたということに対しまして、やはり運動部活動に入っていない生徒の場合には、自分を奮い立てて、自主的に取り組むというのはなかなか難しいということで、この辺りもやはり日頃の運動習慣等が、それなりに影響を及ぼしてくるということと、やはり日頃からあまり運動してない生徒たちに対しては、違うアプローチを考えないとなかなか促進できないのかなというのを感じたところです。
次のスライドをお願いいたします。これはちょっとコロナとは関係ないんですけれども、この研究テーマの中に、運動が苦手とか嫌いとかという人たちが、一体どんなときに運動を楽しいと思ったんだろうかということで聞いてみた結果なんですけれども、一つとても面白い結果が出ましたので、御紹介をしたいと思います。
苦手な人や嫌いな人が楽しいと思う瞬間というのは、例えば仲間と一緒にやるとか、できなかったことができるようになるとか、褒められたときとか、この辺りは一般的に私たちも想像がつくことなんですが、実は一番多かったのが勝負に勝ったときというのが出てきたんです。やはり苦手だったり嫌いであっても、チームが勝ったりすれば、そこは非常に楽しい瞬間になると。つまり何やっても負けてばっかしというのはつまらない。しかし、何かみんなと一緒に頑張って勝てれば、やっぱりそのときはうれしい。
スポーツはやはり勝ち負けがあるというのが一つの特徴かと思います。もちろん勝ち負けのないものをという推奨の仕方も、本日の一番最初の議題のまとめのところにもございましたけれども、もう一方で、スポーツの勝ち負けというのが楽しさの一つでもあるということで、全ての生徒が勝つ体験をするということも、やっぱり楽しさを感じさせる一つなのかなということを感じさせる結果でしたので、ちょっと御紹介をさせていただきました。
それでは、次のスライドをお願いいたします。次は実際にコロナ禍で、子供たちの大会を開いてうまくいったというか、いろいろな工夫をしながら何とか成功させた事例を2つ御紹介したいと思います。
これは大田区のスポーツ協会と、大田区の卓球連盟が協力をしてやって、先ほどの話も出てきましたけれども、卓球場からいろいろな問題が出て、何か卓球をすることが感染につながってしまうような印象があったわけですけれども、11月3日に大田区スポーツ協会としては、「子ども卓球大会」というのをやりました。これまではずっと今年度事業ができずにいて、あれも中止これも中止という中で、何もしないというわけにもいかないだろうということで、思い切って始めたのがこの子ども卓球大会でした。
先ほど久野先生のお話にもありましたけれども、自治体としては、なるべくやらないでほしいというようなこと、やはりリスクヘッジを考えているというようなこともありまして、ことごとくいろんな行事ができなかったんですけれども、これは実際の定員を半分に減らして、しかもグルーピングをして、小学生の1年生から3年生、4年生から6年生、5年生6年生の男子というふうにブロックをつくって、しかもそれぞれのブロックの時間を区切って、なるべく短い時間の中で、決勝トーナメントまで行けるような仕組みにしました。
ですから、当初9時から4時という1日かけてやるイベントだったわけですが、圧縮をしまして、お昼過ぎには全て終わるということで実際にやったということです。やっぱり参加した子供たちにとっては試合ができたということで、大変意義のある大会になったということです。それと大田区スポーツ協会のほうも、このイベントをして、広い会場で時間を区切ってうまくマネジメントすれば、十分大会を開くこともできるんだということで、少し自信を持った事例の一つであります。
続きまして、次のスライドお願いいたします。これは川崎市の事例です。川崎市が「親子で初めてのスポーツにチャレンジ!」ということで、ラグビー、陸上、野球、サッカー、それとバスケットボールと、この5つの種目を親子で初めて体験してみませんかということで始めたものです。これは等々力の緑地公園を使っているんですが、そういった場所がきちんと確保されているということと、それぞれの種目において20組とか10組とか非常に少ない人数で実施をしたこと、それとさらにA組、B組と時間を分けて人数も制限をしてやったということ。
さらにこのイベントのすばらしいところは、先ほど官民連携というお話もありましたけれども、川崎市には川崎フロンターレとか、あるいはベイスターズとか、あるいはブレイブサンダースとか、様々なプロのチームがございまして、実はこういうチームの選手たちが指導するということで、そういう意味では非常に人気があるというか、多くの方たちが参加したいイベントの一つだったわけです。
参加した方たちは人数が制限されて、非常に少ない人数で教わることができて、非常に充実をしていたと。ふだんだと多人数で、ほとんどプロの選手に関わることも少なくて終わってしまうんですけれども、今回は非常に濃密で、短い時間ではありましたけれども、とても充実した時間だったという感想を持たれておりました。こういうインパクトがその後の運動の継続に続くのではないかなというふうに思います。それと親子というところも非常に重要で、お父さんと息子さんとかお嬢さんとか、そういうところで一緒に何か取り組めたということが、今後のスポーツ活動にも影響を及ぼすのではないかなと思います。
こういうイベントができたのは、もう一つ、重要なことがあると思っております。もともと川崎市、この等々力の公園は、このスポーツ施設を指定管理者制度で行っているんですが、この指定管理をしているところがまさに川崎フロンターレとか、もちろん自治体とかスポーツ協会とか、まさに官民連携の形で指定管理者制度を使って、管理をしているんです。ですから日頃からハード的な面、どのようにこの施設を利用したらいいかということを分かっているわけなんです。
そういう中で感染対策も十分に行えて、満足なイベントができたのではないかなと思います。ですから、急にできたイベントではなくて、やはり日頃から関係性を持っている、あるいは指定管理者制度の組織が、官民連携のコンソーシアムの組織であるということが、こういうイベントを成功させる一つの大きなバックボーンになっていたのではないかなと思います。
ということで、以上子供編ということで、親子のイベントと子ども卓球大会、これによってちょっと自信をつけて、来年度以降も少しずつ大会を開いていきたいということです。
以上で私の御報告、終了させていただきます。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 萩委員、どうもありがとうございます。具体的で分かりやすい事例の紹介だったと思います。また、最後の川崎のところはしっかりとした要因についても言及されていまして、分かりやすかったと思います。
この後、ビジネスパーソンについて塩野委員より、また、障害者につきまして藤田委員より、御説明いただきたいと思います。
まずは、塩野委員、ビジネスパーソンに関する御説明よろしくお願いします。

【塩野委員】 塩野です。事例を中心に簡単に御説明いたします。1ページは、東京商工会議所の調査です。経営者の方が従業員の健康管理に対する不安を抱えており、やや不安も含めると85.4%の方が不安を感じていると答えているというものです。商工会議所が経営に関する調査を行う中のごく一部の設問となりますが、こういった数字が出ております。
以降は外部の公表されているデータです。例えばパーソル総合研究所さんが行ったテレワーク業務時の困りごとというところで、一番に運動不足を感じると出ております。これは4月、5月、11月と3回にわたっての調査で、徐々に数値が下がってきてはいますが、それでもまだ6割という大変高い数値がでております。
続いては、産業医の方に聞いた調査で、最近企業からの相談が増えているものは何ですかという設問に対して、もちろん感染症対策がトップですが、メンタルヘルス/ストレス対策が65.8%という非常に高い数字となっております。
次のページからは事例となります。よく聞かれる対策としては、オンラインで朝礼の際にラジオ体操をするとか、オンライントレーニングのコンテンツを配信するといったことがあると思います。そういったところはおそらくご存知だと思いますので、ここからは商工会議所が関係している2つの事例を御説明させていただきたいと思います。
まず、神戸で開催されました企業交流運動会という事業でございます。これまで企業の交流を図るための運動会を実際にやっていたということですが、今年コロナ禍の中で悩まれた結果、このようにしたということです。チームを募りまして、そのチームのメンバーさんにスポーツあるいは、身体活動をしていただく。この身体を動かした時間を申告していただいて、ポイント化して順位づけをするということでございました。このポイントの数え方は自己申告で、かなり緩いルールですけれども、今回は初回ということでこれでよいのではないかと思います。今後、こういったこともうまく支援できるようなシステムが何かあるとよいのかなと思っております。
次のページは、「ほっかいどう大運動会DX」というものでして、昨日まで開催されていたものです。もともとランと運動会を掛け合わせたイベントとして行われていたものですが、今年の場合は、ウオークとランをアプリで計測して登録していただく。その累積キロ数がチャリティーとなって、北海道を元気にする目的で使われるのだそうです。もう一つが、昨日開催されたバーチャルスタジアムというもので、ウェブ上に札幌ドームを造り上げて、御自宅からアクセスして運動行為に参加していただく、そんなイベントを行ったということでございます。昨日のことなので、まだどのくらいの成功ぶりかというのは聞けておりませんが、こんな事例がございます。
さて、最後に求められる対応といたしましたが、これも本当に当たり前のことです。1つ目は今までも話が出ておりました、「個々人の意識への働きかけ」で、「適切な情報提供」、「スポーツの身体やメンタルに与える好影響」としました。また、逆にマイナス面も、少し警戒していただくように伝える必要があると思います。例えば長時間座り続けることでの死亡リスクがアップするといった話というのは、実はあまり人々に知られていないと思いますので、こういったことも伝えたほうがよいと考えております。
次に「スポーツ・運動意識の涵養」としましたが、先ほど萩先生の子供編のお話にもあったように、やはり楽しさや達成感、連帯感、また、先ほどは勝利を強調されていましたが、そういうことを伝えるのは非常に大事だろうと思っております。
もう一つは、スポーツ庁の資料にもありましたが、やはりオリパラを個人的にはぜひとも開催していただきたいと思っております。すばらしい競技を見て自分でも身体を動かしたくなるということはよくあることだと思います。また、先日の大坂なおみさんの全豪オープンの優勝を見ても、身体を動かしたくなるということだけでなく、全く別の何か大きなパワー・エネルギーをも与えてくれるものですので、ぜひとも開催していただきたいと思っております。
2つ目、経団連さんのお話にもありましたように、経営者層に訴えるというのは、私どももできる限り御協力をしたいと思いますが、ここでは「人事・健保担当者に対する支援」とさせていただきました。
ビジネスパーソンの背中を押してくれる人たちへの支援がうまくできるとよいと考えておりまして、オンラインのコンテンツ、室伏長官のエクササイズ動画でもそうですし、渡邉委員長のところでやられていたスポチャレのようなものも有効なのではないかなと思いますが、これらを人事や健保の担保者の方に二次的に利用してもらいやすいようにするとか、啓発メールのサンプルを提供するといったことが有効ではないかと思っております。
次に書きましたのは「アプリの提供」でして、スマホに歩数計などがありますが、そこから情報をうまく取り出して、管理できるようなアプリがあるとよいと思います。例えば先ほどの神戸の運動会の例では、自己申告でどれぐらい動いたか登録していたものを、スマホのデータから自動的に登録できればよいと思います。人事の面で考えますと、社員に対して月間の歩数が平均で1,000歩伸びた人について表彰するとか、少ない人には啓発を促すといったことが簡単に行えるようになってくるということです。
もう一つ、ビジネスの観点からいきますと、テレワークが多くなっての悩みの中に、コミュニケーション不足、会話不足などが心配されております。これを各自がウオーキングをしながら雑談や仕事面の会話ができるような仕組みが提供できると、一石二鳥になるという感じもあります。アイデア出しのような場面では、身体を動かしながらの発想は柔軟でかなり斬新なものも出てきますので、想像を大きく超えた生産性向上につながることもあるのではないかと思っております。
これ自体は、例えば今はやりのクラブハウスのようなアプリでもできるはずですが、例えばそれこそ「長官と話しながら歩こう」といったイベントを行っていただいたら、インパクトもあって、いろいろと記事などでも取り上げられて、スポーツの促進に繋がるのではないかと、そんなことを皆さんのお話を聞きながら考えました。
最後は「健康関連産業への支援」と書かせていただきました。このような話をしているとオンラインに偏りがちになりますが、あくまでもリアルとオンラインの融合が欠かせないと思います。前回もお話ししましたが、スポーツクラブ、ボーリング場といった民間のスポーツ施設は、最初の緊急事態宣言下で休業要請が出た印象が非常に強く、利用者は相当減っているという状況です。いつでも誰でも手軽に利用できる民間のスポーツ施設は、スポーツ実施率の安定的な基礎数値をつくっていると思いますので、決して倒産、閉鎖ということにならないように、しっかりと支援をしていただく必要があると思います。経産省の所管なのかもしれませんが、だからこそスポーツ庁からしっかり声を上げていただくことが、効果的ではないかと思っております。
私からは以上です。ありがとうございます。

【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。続いて障害者に関する説明を藤田委員にお願いします。

【藤田委員】 では、私のほうからは、最初にコロナとは関係ないんですが、パラリンピックの無形のレガシーということについてお話をさせていただきたいと思います。その後に、コロナ禍での障害者スポーツの活動の可能性ということでお話をさせていただきたいと思います。
次の次をお願いします。これは新聞の報道量と障害者スポーツの実施率を一緒の同じグラフの上で示したものなんですが、前回のところで私、昨年は1万を超える報道があったというふうに申し上げましたが、地方面を除いたもので今回お示しをしてあります。毎年のように2013年以降、特に新聞の報道量、これは朝日、読売、毎日の3社の合計なんですが、増えているのが分かるかと思います。昨年は若干減っておりますが、それでも、かなりの量はある。
それから、スポーツの週1回以上の障害者のスポーツ実施率がその下に書いてあります。青いほうが7歳から19歳、下が20歳以上ということになりますが、大きな変化はないんですが、若干上がってきているというのが分かるかと思います。今年度も調査をしてありますので、また、3月ぐらいには御報告できるのではないかと思います。
次をお願いします。その中で、これはパラスポーツの認知度について調べたものなんですが、オリンピック・パラリンピックという言葉もほとんどの皆さんが知っている。車いすテニス、車いすバスケも7割ぐらいの人が知っていますが、ボッチャ、ゴールボール、パラ・バトミントンという言葉に注目していただきたいんですが、2014年ソチ・パラリンピックの頃は、ボッチャに関しては1.9%しか知っている人がいなかったのが、2019年では3割以上の人が知っていると。ゴールボール、パラ・バトミントンについても同様の傾向が見られて、かなり認知度が上がってきているというのが分かるかと思います。
国民の多くが障害者スポーツの競技について認知してくるようになった。これは一つの無形のレガシーかなというふうに思います。
次をお願いします。これは障害者、障害者スポーツに対する意識を見たものです。一番下が障害のある人に対する意識の変化で、5点法で一番肯定的に見ている人を5点、否定的に見ている人を1点とした場合の平均を14年、16年、18年、19年で見たものですが、赤いところが青いところに対して平均が、差が見られたというところになります。サンプル数が多いものですから、差が出やすいということもあるんですが、徐々に障害のある人に対する、あるいは障害者スポーツについても、肯定的な見方をする人が増えているのかなというところです。
次をお願いします。こういったことから推察されることなんですが、多くの人たちがパラスポーツを知るようになったということは、これは間違いないと思います。しかし一方で、障害者スポーツの実施率は僅かにしか向上していないということが分かります。それから、障害者、パラスポーツに対する人々の意識も僅かにポジティブになってきている。ただ、パラスポーツを見たことある人とない人を比較してみると、見たことある人のほうがポイントが高いというところが明らかになっています。
こういったことから考えると、パラリンピックをやっていただいて、その後も同じようにそこでいろんな政策がおしまいではなくて続けていかないと、人々の意識の変化というのは起きてこないのじゃないかなというふうに考えるところです。
人々はたくさんの人が知るようになったという、知るということは非常にいいことなんですけども、ただ知るだけじゃなくて、次にそれをどういうふうに実際に障害のある人の実施率向上に結びつけていくかという、次のステップを考える必要があるのかというふうに思います。
次をお願いします。次がコロナ禍でのということになります。ここに各財団のやった調査の結果が出ていますが、簡単に書いておりますが、大体我が国は3月に報告ということになりますと、あまり詳しいことが申し上げられないので御了承ください。
障害者施設の実態を見た調査では、ほとんどスポーツレクリエーションに関する行事・教室というのは行われていなかった、中止になっている。ただ、実施しているのはウオーキングとか体操とか簡単なものです。これは実施されています。それから、今年のスポーツの調査ですけども、全体として実施率はそれほど低下していないんじゃないかなというふうな数字が出てきております。これも2月、3月になって出てくるかと思います。
それから選手は、工夫して練習を継続しているということが分かってきております。障害者スポーツの各種大会に関して言うと、もう軒並みこれは中止になっているということです。それから、重篤化リスクの高い障害のある人、それから、医療関係者が多く関わっているということで、大会等が開けないというような事情もあるということです。
次をお願いします。好事例を挙げてくださいということだったんですが、これは増子委員のところで出しているものなんですが、福島県で緊急事態宣言下で、Withコロナでの活動ガイドラインを作成していると。もしあれでしたら、後ほど補足をしていただければと思うんですが、これは非常にきめ細かなものになっております。資料6-2に添付されておりますので、御覧いただきたいと思います。
あと、いろんなことをやっている、少しずつ動き始めているんですが、徹底した感染対策により感染者がその中にいたとしても、濃厚接触者を出さないようなやり方、工夫を当然ですが、しています。そこに参加していた人が後々トレースできるような工夫をして実施するということで、イベント等を始めようとしているところがあります。
それから、障害者施設とリモートでつなげて運動の指導を計画しているところもあります。これは先ほど発言もさせていただきましたが、やれることが非常に制限されてしまいますので、ぜひこういったところも含めて、プログラム開発ができればいいのかなというふうに思います。こういったリモート、オンデマンドによる指導というのは、コロナ禍でなくても非常に有効なものだと思いますので、今後プログラム開発していければいいのじゃないかなというふうに思います。
以上でございます。ありがとうございました。

【渡邉部会長】 藤田委員、ありがとうございました。
ただいま子供、ビジネスパーソン、そして障害者に関して各委員より御説明いただきましたが、ここでまた再度意見交換を実施させていただきたいと思います。御発言を希望される方は挙手をお願いしたいと思います。
まず、先ほど挙手されておりました斎藤委員、もし発言がございましたらよろしくお願いします。

【斎藤委員】 前回の会議でも少しお話ししましたが、フィットネス産業としては、去年2月、まだコロナのことがよく分からない状況の中で、新型コロナに感染したお客さんが数か所のスポーツクラブを利用したことで、最初にクラスターという言葉が使われてしまい、結果として、感染リスクの高い危険な場所というイメージで、スポーツジムという言葉が独り歩きしてしまいました。その後、日本フィットネス産業協会として、経産省や内閣府の協力を得て、非常に厳格な感染防止のガイドラインをつくり、以降は、このガイドラインをしっかり遵守する事業者においては、今日に至るまで、例え新型コロナに罹患した方の、ご利用があったとしても、一件もクラスター化は発生していません。この件で、一番ありがたかったのは、元オリパラ大臣の遠藤先生を中心に、スポーツ・健康産業推進議員連盟を立ち上げていただいたことです。議員連盟として室伏スポーツ庁長官を始め、各省庁に「新型コロナウィルス禍におけるスポーツ・健康産業の振興に関する緊急決議」の申入れを行っていただくことで、ガイドラインを遵守しているスポーツ健康産業施設の安全性をきちんとご説明いただくことで、最近では、ほとんど話題にならなくなりました。
今日は有識者や自治体の皆様にお話しいただきましたので、私からは、民間企業として、スポーツクラブルネサンスの創業者の立場から、お話ししたいと思います。我々は、シニアや子供、ビジネスパーソンの健康作りに対して、何か役に立つことをしなくてはとの思いから、色々な取り組みを行ってきました。特にシニアについては1995年には3%だった会員が、現在では全体の30%にまで増えています。内訳としては60代が15%、70代以上が15%を占めています。フィットネスクラブ利用者という観点から見ると、今、日本のシニアの人たちは比較的、相対的に元気になっているということがあるのではないかと思います。
しかし、このコロナ禍では、健康二次被害の影響を直接受けるシニアの人たちが、「おじいちゃん、おばあちゃん、フィットネスクラブには危ないから行かないで」というような家族からの声もあります。この問題は、先ほどお伝えしたように政府あるいはマスコミにも、ガイドラインを遵守しているクラブは安全であるということのご理解を、より深めていただく必要があります。と同時に、我々は、民間の努力として、もっとシニアの人たちが来たくなるような場所をつくりたいと考えています。現在では運動が嫌いな人でも自然と入れることができる、「いきいき健康教室」という、従来のスポーツクラブとはイメージ違う教室をつくり、実験的にスタートしています。
それとシニアついては、もう一つ、運動を通じて認知機能の低下防止を行う「シナプソロジー」というデュアルタスクエクササイズを大学の先生たちと開発しました。特に筑波大学の大藏先生には実証実験も協力してもらっています。シナプソロジーは、当社のスポーツクラブと、「元氣ジム」というリハビリ型デイケアセンターでも提供しております。今後は、こうしたプログラムを、運動を必要とする人たちに提供していくことも、大きな社会貢献になろうかと思い、今、久野先生ともいろいろ相談させていただいています。例えば、介護施設では、ご家族も含めて、一般の人が、なかなか入りにくいという状況の中で、コミュニケーション不足や運動不足になる入居者の方が増えていると聞いています。オンラインのプログラムも含めて、施設に定期的に、人を派遣するような形で提携する形で、運動指導するというようなことで、認知機能低下やロコモの予防もご支援もできるのではないかと考えています。
それから子供の運動に関しては、スイミングスクールは世界に類を見ない日本独特のシステムなんですが、現在は、やはり密になるということで、見学席に父母の方がなかなか来られないというようなことも起きています。そこでソニーさんと提携してスマートスイミングレッスンというAIを活用したサービスを、当社で始めることにしました。これはプールに設置されたカメラで撮影された映像をレッスン中に活用したり、クラウドを通じてお子さんやご家族に、動画を配信できるシステムです。一人一人の上達に寄り添うサービスが提供できることで、スクールのサービス価値向上にもつながっています。これは当社だけではなくて、ソニーさんと一緒に他のフィットネスクラブや学校等、御希望のところには、このシステムを提供していきます。わたしたちはこうしたテクノロジーの力で、泳ぐことが好きになるお子さんを増やしていきたいと思っております。
それから最後に、日本でアウトドアスポーツを10年以上やっているBEACHTOWN社という会社が、もっと大々的に展開したいということで御相談にお見えになり、我々のグループに入っていただきました。今、各自治体ではパークPFIという公園に運動施設をつくることに許可が出るようになりました。公園を運動施設にすることで、ただ歩くだけではなくて、例えばノルディックウォーキングで運動量を高めるとか、あるいはヨガを公園の芝の上でやるとか、そのような新しい運動の取り組みを努力してやっていきたいと思っております。 我々は、このコロナが起きる今までずっと、業績が30年間右肩上がりだったこともあり、ゆでガエルになりかかっていました。今回のコロナ禍をきっかけにして、もう一度フィットネスクラブの在り方や提供できる価値を、一から変えたいと思っております。ぜひ民間の立場から官学との連携で国民のスポーツ実施率向上に貢献していきたいと考えています。また、皆さんからもいろいろ御指導いただければと思っております。
決意表明のようになりましたけども、よろしくお願いします。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございます。ここで増子委員のほうから手が挙がっておりました。増子委員、お願いします。

【増子委員】 藤田先生、発表ありがとうございました、分かりやすくてまとめていただいて。私からも一つお話をさせていただきたいんですが、資料、2番目に添付されたものなんですが、昨年5月に国内に初めて緊急事態宣言が発出された当初、新型コロナウイルスの脅威がどれほどのものなのか予測ができなかったので、障害者が運動・スポーツができなくなることのほうのリスクが高くて、できる限り運動の場を確保できるよう、スポーツ活動を再開するに当たって、指導者、現場の不安を軽減しようと現場目線の細かい内容の事業再開方針をまとめたものです。
しかし、11月より事業再開をしましたが、12月中旬あたりから福島県も障害者スポーツの身近なところでも、感染拡大やクラスターが発生し出しまして、障害者は感染すると重症化するとか、指導者も御高齢の方が多いということもあり、現場に不安が広がり出したんです。
指導者の指導上の関係で、やはり本部に医療、福祉関係や教員が多かったというのもあるんですが、障害者スポーツを支える側の人員確保が困難になってきたことや、現場からやっぱりスポーツ教室を開催すると、募集定員に対していっぱいになるなど、参加者が多くて、指導する側にも安全に開催することへの不安があるとの声もありまして、本年度においては、事業については一旦中止をしまして、今年度のうちに次年度の開催に向けて、事業内容を(聴取不能)準備を整えていこうということに(聴取不能)。
ということで、今年度につきましては、来年度についての事業の見直しとか計画をしようということになりました。年度内の事業を一旦止めるに当たっては、やはり参加者よりは残念といった声は当然ありつつ、そして今まで指導を受けてきた体操やストレッチなど、自宅でできるものがJSPOさんとか、いろいろなところで発信されていますので、そういったものを障害者の方に応用してやっていただくようにといったような指導させていただきつつ、ただ、本県の障がい者スポーツ医科学委員会のドクターの皆さんからも、障害者がスポーツ活動をしないことのリスクのほうが、発達障害児のストレスの増大であったり、精神疾患の、前回もお話しましたが、鬱であったり様々なリスクが発生しているという報告がありまして、県の障がい者スポーツ協会が事業を中止してしまうことが、県内全域の障害者スポーツ活動を中止するような印象づけを行ってしまうおそれがあるので、県の事業として、そういった先ほどありましたけど、発信の仕方として障害者スポーツ活動を一部中止しても、スポーツ活動をどうすればできるようになるかという継続できるような情報も合わせて発信してほしいという意見もありました。
本件に関してはこのような話なんですが、一方で、地域によっては障害者スポーツの振興を継続しているところもございまして、スポーツ庁が日本障がい者スポーツ協会に委託している障害者スポーツの地域振興事業に関しては、例年ですと全国の障がい者スポーツ協会から15団体程度の申込みがあるんですけれども、2020年度に関しましては7団体と例年の半分以下の申込みになっているんですが、これは当然コロナの影響なんですが、それでも7団体が本事業を活用して、感染予防対策の徹底はもちろん試行錯誤しながら、このコロナ禍における地域スポーツの振興に取り組んでいます。
先週、実施団体の報告会がありまして、一部御紹介したいんですが、通常の参加型の教室などを実施しているところもあったんですが、岩手県の障がい者スポーツ協会が、事業実施内容の一つに、オンラインを活用して他県とのフライングディスク競技による交流とか、eスポーツを活用して、重度肢体不自由者が在宅で参加交流できる取組などを行っていたのがとても印象に残りました。
岩手県のeスポーツの活用は娯楽性だけではなくて、進行性難病の当事者の方、病気が進んでしまう方、機能が落ちてしまう方などが、通常のスポーツなどで体を動かすことが困難な場合、eスポーツを通して外部との交流ができるなど、今までスポーツとあまり接点がなかった人たちが参加することができたということがあったんです。
前回の本部会でも話題になったんですが、高齢者のICTの活用同様、重度障害者のICTの活用、合わせて全身性障害者の電子機器等の補助装置の開発とか、eスポーツの種目選定等を検討すれば、こうしたオンラインを活用しての社会との接触とか交流、技術開発も含めて広く期待できるんじゃないかなというふうに、報告を聞いていて思いました。
もっと先ほどから話題になっていますが、できれば重度障害者がeスポーツにもっと参加できるようなコントローラーであったり、目線で何かクリックをして、何か意思表示ができたり、ノウハウを言葉に変換して文字化したりというようなことが非接触性のコントローラーなどあって、夢のような技術開発が今の時代ならできるんじゃないかななんて話を聞きながら思ったので、そうした企業や大学、研究機関と連携して進めることができないかななんていうのを、今、皆さんのこの会議を通して思っていたところでした。
長くなってしまってすみません。以上です。

【渡邉部会長】 増子委員、どうもありがとうございます。松永委員より手が挙がっておりますのでお願いいたします。

【松永委員】 すみません、時間の関係があったので手を下ろしたのですけれども、せっかくなので、手短にお話をさせていただきます。
子供の視点のところで、先ほど萩先生から御報告がありましたのでその関連で発言をさせていただきます。前回会議でも報告しましたが、地域特性はやはりとても重要な視点になると改めて感じました。私も昨年末に過疎地域の村の全中学生を対象とした調査に関わりました。やはり部活動の種目数が限られているので、既存の部活動以外の種目のスポーツを実施したいという希望があることは想定していたのですけれども、「放課後に何をしたいか?」という問いには、「友達と過ごす、友達と話をしたい」という回答が3割ぐらいあったのです。
先ほど久野先生からの中高年者などの対話などのコミュニケーションに関する御報告がありましたが、運動・スポーツの実施を推進していく中で、コロナ禍でも一人でできる運動・スポーツを想定していたと思います。しかし、中高年者のみならず、子供や若者たちもやはり対話をしながらみんなで楽しく運動・スポーツをするという視点がとても重要になると思います。特に過疎地域では、部活動以外の種目をコミュニケーション取りながら、実施する場の確保ということを考えたときに、前回も話題になっていますが、令和5年度から部活動の改革の地域スポーツクラブとの連携・協働はとても重要な視点になってくるということを、コロナ禍において、強く感じました。この事例については、また機会があれば報告させて頂きます。以上です。

【渡邉部会長】 ありがとうございました。限られた2時間という時間の中で、今日もいろいろ御発表いただいたり、テーマもターゲット別に細かくつくり上げた関係もあって、もしかしたら発言し切れなかった方もいらっしゃると思います。ぜひ健康スポーツ課さんのほうに、御意見ございましたらお寄せいただきたいと思います。
本日の発表については、エビデンスに基づいた実態の報告あるいは事例報告、さらにその先にある問題提起、これをしっかりと事務局のほうで受け止めさせていただきまして、また、私のほうで健康スポーツ課の皆さんと次回に向けた整理を行い、テーマ出しをしていきたい、そんなふうに思っております。私の進行のまずさからまた時間になってしまいましたけれども、本日予定しておりました議題は以上で一旦終了とさせていただきたいと思います。
最後に、室伏長官より一言いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【室伏スポーツ庁長官】 皆さん、一言御挨拶させていただきます。本日は2時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございます。
妊産婦に関するケアであったり、また、コロナ禍における運動・スポーツの在り方について御議論いただきました。特にコロナ禍における運動・スポーツの在り方については総論的な観点や高齢者、ビジネスパーソン、子供、障害者といった個別な観点から大変活発に御議論いただきました。大変有意義な会議になったかというふうに思います。
コロナ禍において、今、本当に国民の皆様の健康に対する意識が高まっていることもございますので、これを一過性のものとするものではなく、ぜひ皆さんと今後も議論させていただきまして、本当に定着させていきたいと思いますので、御指導をお願いしたいと思います。
近藤先生のほうから、フィジカルディスタンス、ソーシャルディスタンスはむしろソーシャルには近くならなきゃいけなくて、フィジカルなディスタンスはちゃんと距離を保つということであると思いますけども、認知機能と体とどうやって、こういったものを維持していくかということも、また引き続き皆さんと御議論していければというふうに思います。本日はどうもありがとうございました。

【渡邉部会長】 長官、ありがとうございました。
それでは、今後の日程等について、事務局より御説明お願いいたします。

【小沼健康スポーツ課長】 最後でございます。今後の日程につきましては、別途また調整をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

【渡邉部会長】 また、時間が超過してしまいましたが、本日はこれにて終了、閉会といたします。皆さんどうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

スポーツ庁健康スポーツ課