スポーツ審議会健康スポーツ部会(第7回) 議事録

1.日時

2018年10月2日(火曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. スポーツ実施率向上のための行動計画の策定の報告
  2. スポーツ実施率向上のための新たな制度創設・制度改正も視野に入れた中長期的な施策について
  3. 総合型地域スポーツクラブにおける登録・認証制度の整備について
  4. その他

4.議事録

【渡邉部会長】  ただいまから第7回スポーツ審議会健康スポーツ部会を開催いたします。
 まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。
【安達健康スポーツ課長】  それでは、お手元の資料をごらんください。
 議事次第の次に資料1、前回の健康スポーツ部会での主な御意見でございます。資料2、前回の健康スポーツ部会開催後の動きでございます。資料3、関係省庁との連携・協力をお願いしたい事項についてでございます。資料4、スポーツ実施率向上のための行動計画の白表紙でございます。資料5、スポーツ実施率向上のための行動計画の概要でございます。資料6、地方スポーツ推進計画の策定状況調査結果についてでございます。資料7、スポーツ実施率向上のための民間企業等の取組でございます。資料8、スポーツ実施率向上に係る主な平成31年度概算要求についてでございます。資料9、地域における健康スポーツ活動、津下委員からの提出資料でございます。資料10、スポーツ実施率向上のための新たな制度創設・制度改正も視野に入れた中長期的な施策についてでございます。資料11、総合型地域スポーツクラブにおける登録・認証制度の整備についてでございます。また、今年の「体育の日」中央記念行事 スポーツ祭りのパンフレット、そして10月1日に「FUN+WALK月間」の広報をした報道発表資料を入れてございますので、御参照ください。
 また、委員の皆様の机上には、津下委員からの配付資料としまして、健康スポーツ医学委員会答申という冊子、認定健康スポーツ医の手引、健康スポーツ医学講習会開催要領を置かせていただいています。
 不足等ございましたら、お知らせください。以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 本日はオブザーバーとして、厚生労働省より武井健康局健康課長においでいただいております。スポーツ庁と厚生労働省が今、強力なタッグを組んで、これからスポーツと健康増進というものを推進していくのですが、課長より一言、御挨拶いただければと思います。
【武井厚生労働省健康局健康課長】  御紹介ありがとうございました。厚生労働省健康課長の武井です。どうぞよろしくお願いいたします。
 僭越ではございますけれども、私の方から、最近の取組について御紹介をさせていただきたいと思います。
 今、御紹介があったようにスポーツ庁と厚生労働省、今までも共同でいろいろな取組をしていたわけでございますが、さらにこれを強化してまいりたいというところでございます。最近の厚生労働省における取組ですけれども、第二次健康日本21の中間評価というのを行いました。これは厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会というところで進めているんですが、そこでちょうど中間評価が取りまとめられたところでございまして、これはいつまでに達成するかと申しますと、2022年度に目標達成というところでございます。
 そうした中で、よく我々が進めているのは、適度な運動ということですとか、適切な食生活、禁煙・受動喫煙防止、検診の受診の勧奨ですとか、こうしたことをテーマに進めております。また、こうした内容を、健康づくりに取り組む企業ですとか団体、自治体を支援するスマート・ライフ・プロジェクトと推進しているところでございます。このスマート・ライフ・プロジェクトの中に「健康寿命をのばそう!アワード」というものがございますけれども、今年度、スポーツ庁長官賞を創設することといたしました。既に今年度の分は締め切っており、11月19日に表彰式を行う予定でございます。
 それから、先月公表いたしました国民健康・栄養調査ですけれども、運動習慣のある人の割合は、男性平均で35.9%、女性平均で28.6%でございます。これを年齢別で見ますと、30歳代の女性で14.3%、20代女性では11.6%と、若い女性においてかなり低い数字であるということが分かってきております。このような状況の中、特に若い女性の運動不足が大変懸念されておりますので、体を動かすきっかけづくりになればと考え、毎年9月の健康増進普及月間のイベントとして、昨年からナイトヨガを神宮球場で実施しております。9月3日には約1,300人の来場者の中、スポーツ庁の鈴木長官にもお越しいただきました。実際にヨガを体験していただいたところです。
 以上のように総合的な施策を進めることとし、今後とも両省庁共催のイベント等の開催も含め、引き続きスポーツ庁と厚生労働省で連携の上、積極的に健康づくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。委員の先生方には今後とも多面的な観点から御支援、御協力を賜るかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉部会長】  武井課長、ありがとうございました。なお、武井課長は公務で席を外されます。
【武井厚生労働省健康局健康課長】  ありがとうございました。
【渡邉部会長】  それでは早速、議事に入りたいと思います。
 議題の1番、スポーツ実施率向上のための行動計画の策定の報告についてでございます。こちらにつきましては、資料2から資料8に基づきまして、それぞれ前回の健康スポーツ部会開催後の動き、地方スポーツ推進計画の策定状況調査、あるいはスポーツ実施率向上のための民間企業等の取組について、さらにはスポーツ実施率向上に係る主な平成31年度概算要求について、事務局より御説明いただきたいと思います。
【安達健康スポーツ課長】  それでは、資料2から順次、説明をしたいと思います。
 まず資料2をごらんください。前回の部会、6月25日以降の動きでございます。6月25日の第6回におきましては、行動計画の答申案について御審議いただき、部会長一任を頂きました。大変熱心に御議論いただき、ありがとうございました。その後、7月26日、スポーツ審議会総会が開催され、御議論いただき、山脇会長に一任されました。8月6日、スポーツ審議会として、鈴木長官宛てに答申が手交されました。その後、9月4日にスポーツ推進会議を開催し、行動計画について説明しました。この推進会議は、スポーツ基本法に基づき、関係省庁がスポーツ施策の一体的・効果的な推進を図るために設置されたものでございます。その後、9月6日に正式に行動計画を決定し、公表させていただき、現在、各機関に周知、あるいは関係機関への協力依頼を実施しているところでございます。
 次に、資料3をごらんください。9月4日に開催したスポーツ推進会議での資料でございます。関係省庁との連携・協力をお願いしたい取組事項をこういった形で説明しております。
 行動計画の中で、関係省庁と連携して取り組むべき事項がかなりございました。その中で、7点ほど協力を依頼しております。1つは、先ほども御説明ありましたけれども、「スポーツを通じた健康増進のための厚生労働省とスポーツ庁の連携会議」による連携です。健康とスポーツというのは非常に密接な関係がございまして、今、連携会議を立ち上げておりますので、こういう会議も活用しながら行動計画を進めていくということで協力をお願いしています。
 2つ目は、「FUN+WALK PROJECT」についてでございます。下に、連携省庁として、例えば厚生労働省におきましては「スマート・ライフ・プロジェクト」との連携、経済産業省については健康経営の観点、あるいは環境省とは、例えばクールチョイスの取組との連携、様々な形での連携が考えられるということで、協力をお願いしております。
 3つ目はスポーツエールカンパニー認定制度への協力依頼でございます。こちらも下に厚生労働省、経済産業省等とございますけれども、様々な形での企業へのアプローチの協力をお願いしております。
 4つ目は、国民の健康増進や介護予防、予防医療の促進ということで、こちらは行動計画の中で厚生労働省、経済産業省等との連携を既にお願いしている記載もございますけれども、こういった形で連携を進めていきたいということでお願いをしています。
 5番目は、まちづくり計画との連携でございます。この部会におきましても豊岡委員より、まちづくりを活用した、歩くことの促進や健康づくりの御報告もございました。こういった形で行動計画に盛り込んでおります。こういった中では、例えば地方自治体のスポーツ部局と健康関係部局とまちづくり部局との連携が重要ということで、これは国土交通省へ連携をお願いしています。
また、6つ目としまして、スポーツをする場の確保。スポーツをする場につきましても、この部会でも多くの御意見を頂きました。学校の活用ですとか、いろいろございます。その中でこちらでは、例えば一番下に「都市公園の活用など」とございますけれども、こういった部分につきましては国土交通省との連携をお願いしております。
 最後に7つ目、障害者スポーツの振興に向けた医療機関等との連携でございます。こちらにつきましては、障害者福祉行政を所管する厚生労働省の連携をお願いしています。
 こういった形で、様々な項目について協力をお願いしながら、これから具体的に進めていきたいと考えています。
 続きまして、資料6をごらんください。地方スポーツ推進計画の策定状況についてでございます。第2期スポーツ基本計画のほか、行動計画においても、各自治体に対して地方スポーツ推進計画の策定をお願いしております。その中で、スポーツ実施率についての目標設定がどうなっているかですとか、そういったものを、今年8月1日時点での調査を実施した結果でございます。
 8ページをごらんください。こういった地方でのスポーツ推進計画を含めまして、各自治体におきましてスポーツ実施率に関する数値目標があるかどうかというところでございます。都道府県、指定都市におきましては、かなりのところで目標設定して取り組んでいるのに対しまして、9ページ、指定都市以外の市町村、1,535団体とございますけれども、そのうち953団体につきましては現在数値目標がなく、今後対応を検討しているということでございました。こういったところも、今回の第2期スポーツ基本計画、あるいは行動計画も踏まえて、目標設定、あるいは計画の策定も是非促していきたいと考えております。
 12ページでございます。都道府県、指定都市の範囲内でございますけれども、どういったスポーツ実施率に関する目標設定をしているかということでございます。多くのところが65%、スポーツ基本計画と同じ目標を設定しているものもございますし、あるいは7団体につきましては、より高い目標を設定しているところもございます。一方で65%よりも低い目標を設定しているところも19団体ございますので、こういったところは今後の計画の見直し等を是非促していきたいと考えております。
 次は14ページでございます。第2期スポーツ基本計画ですとか、例えば今回の行動計画ですとか、そういったものを踏まえてスポーツ実施率に関する数値目標の策定あるいは改定を行う予定があるかというところでございます。既に目標設定しているところもございますので一概に言えませんけれども、予定がないというところも4割ぐらいございます。例えば計画が策定されていないところや、先程申し上げた目標設定が65%を下回っているところで予定がないというところにつきましては、是非見直しをお願いしていきたいと考えております。
 最後になりますけれども16ページ、それぞれの自治体で、非常に創意工夫を凝らして、スポーツ実施率向上に取り組んでいただいております。例えば1の、キャッチフレーズを設定したスポーツ習慣化の促進、いわゆる住民向けに分かりやすい形で、例えば宮崎県の1130運動、いろいろ語呂を合わせながら住民へのアプローチをしたり、4のウォークビズ・ウォークイベント等の取組というのも進んでいます。この中にはスポーツ庁のFUN+WALKの取組とも連動したものもございます。また、5に、スポーツ部局と他分野と自治体内で連携している取組もございます。健康づくりとの連携、あるいは介護部局との連携、あるいは健康経営との連携、様々な形がございます。
 以上のような取組がございまして、やはり地方自治体における取組というのは行動計画の中で非常に大きなものと考えております。是非取組を進めていただくよう、引き続きお願いしたいと考えております。
 続きまして、資料7でございます。スポーツ実施率向上のための民間企業等の取組についてでございます。先行している様々な企業の取組を紹介しながら、行動計画のメニューに盛り込んだものもございます。そういった中で、今現在取り組んでいるところを何点か紹介したいと思います。
 まず2ページ目、スポーツの実施によりインセンティブが図られる取組でございます。これは、健康増進の取組によって保険料のディスカウントが図られるといった取組でございます。こちらは東京海上日動あんしん生命の取組で、歩くと保険料の一部が返ってくる保険です。平均8,000歩以上になって一定期間をクリアすると還付が受けられるということで、このために少し歩いてみようかと、運動習慣につながることが非常に期待されるような取組でございます。
 3ページ、こちらも保険商品でございますけれども、健康増進型保険、住友生命の「Vitality」でございます。今年の7月に販売されたと聞いております。こちらは、歩くというもののほか、右側の運動というところに歩数のポイント、心拍数ですとか、あるいはイベントとございまして、例えばウォーキング、ランニング、水泳、様々なイベントの参加、こういったもののポイントを合算しまして、左にございます保険料の変動を得られるということで、こういった保険商品の中で運動、スポーツ習慣のインセンティブを促すようなものでございます。
 4ページでございます。企業におけるスポーツ大会の例でございます。こちらは行動計画の中ではビジネスパーソン向けの取組で御紹介しています。1つは、ザ・コーポレートゲームズ東京でございます。中央の囲みにございますけれども、今年は第5回となります。企業の運動会ということで、参加人数が1万人を予定しております。下に写真がございまして、私も以前お話を聞きましたけれども、こちらの大会に参加する要件といいますと、参加チームは必ず同じユニフォームを作ってくださいということがございます。まずは準備段階で、同じユニフォームを作って、会社のロゴをどういうふうに入れるかとか、だんだんコミュニケーションをとって、練習して本番を迎えようかということで、行動計画の中に書いてございますけれども、社内コミュニケーションの活性化が非常に期待されるということです。3つ目の丸にございますけれども、リピート率は60%を超え、参加者は平均年齢も35歳という、最もスポーツに時間を割けない方々がこうやって参加をしているという取組でございます。
 5ページでございます。企業交流運動会 in KOBE、こちらは地域でのスポーツ大会の例でございます。神戸商工会議所につきましては、こういった取組に非常に熱心に取り組んでいただいておりまして、9月に、33の企業、390名が参加して、こういった企業運動会を開催しております。下の目的のところにございますけれども、スポーツ実施率向上はもちろん、健康経営の推進、会員企業間のスポーツを通じた交流促進のほか、様々なスポーツの価値が見出されているのではないかというふうに考えています。
 6ページ、企業におけるスポーツ促進の例としまして、イオンモールウォーキングがございます。行動計画の中では大規模商業施設の活用ですとか、女性が参加しやすいスポーツの場というところでも紹介がありました。4つのポイントにございますけれども、買い物ついでに時間を有効活用できる。歩くという目的ではなくて、何かのついでにできる。あと時間や天候に左右されない、そういったところが非常に気軽に取り組めるというところです。下のウォーキングコースでございますけれども、店舗の中といっても全長1キロメートル以上ある、かなりのコースになっているということです。右にございますけれども、FUN+WALKとも連動した取組という形で、今取り組んでいただいております。
 次の7ページ、オフィス街におけるスポーツイベントの例でございます。こちらはMARUNOUCHI Sports Fesの取組でございます。こちらはエリア就業者と、街にいらっしゃる方に、ビジネスエリアとスポーツのコラボ企画という形で実施をしております。中央の囲みにございますけれども、参加人数は1万5,000人、来場者は5万人を数えたということで、かなり大掛かりなものになっています。8ページにございますけれども、昨年に引き続き、今年も長官がオープニングセレモニーに参加しました。体力測定のイベントですとか、あるいは様々なスポーツ体験ができるところですとか、そういった形でスポーツに親しんでいただくという場になっております。
 次の9ページを見ていただくと、この取組の中では、オフィス街の道路空間における子供の運動遊び(みちあそび)というものにも取り組んでいるということと、2つ目の丸にございますけれども、通常の交通規制時間は17時までですが、こちらの場合は、働いている方も利用しやすいよう22時まで延長するという形で、先進的な取組を実施していただいているという例でございました。
 次の10ページからは、まちづくりの計画の中に健康増進効果を取り入れている自治体の例を御紹介したいと思います。地方自治体にとりましては、このまちづくりというのは、当然非常に重要な課題でございます。そういった取組の中に健康、スポーツですとか運動を取り入れているという例でございます。1つ目は11ページ、新潟の見附市の例でございます。コンパクトシティを進める中で、右下に健康とございますが、こちらでは、歩こう条例、健幸基本条例の施行、健幸ウォーキングロードにおける環境の整備、あるいは健幸ポイント制度の導入、そういったまちづくりの中で、歩く、健康という要素を取り入れて、下にございますけれども、例えば高齢者の介護費用の5億円強の削減を図るですとか、そういったことに取り組んでいます。
 次に岐阜市の取組でございます。こちらもコンパクトシティに取り組む中で、右下にございますけれども、まちなかへ出掛ける仕掛けづくりがございます。こちらも、例えばウォーキングコースの案内、トイレの設置ですとか、健康づくり活動へのポイント制度の導入、住民参加型の健康づくり運動の推進、そういったことで1日8,000歩歩く人の割合を倍増させようと取り組んでいる例でございます。
 13ページ、福岡県飯塚市の取組でございます。こちらも同様でございます、右側に健康寿命の延伸とございますけれども、まちなかのウォーキングコースの整備、ジムの整備、健康教室の開催、こういったことで歩行量を増やして、医療費の削減を図っていこう、こういった様々な自治体の、まちづくりと健康あるいはスポーツが連動したような取組が進んでいることを御紹介させていただきました。
 最後の14ページ、「まちづくりにおける健康増進効果を把握するための歩行量(歩数)調査のガイドライン」が平成29年3月に国土交通省より出ております。こちらのガイドラインの目的は、地方公共団体において、まちづくり、立地適正化計画を進めるために、地域の健康づくり計画と連携してまちづくりを進めよう、そういったところに、こういった歩行量の調査のガイドラインを活用していただくということになっておるようです。こういった取組が今進んでいるということを御紹介させていただきました。
 次に、資料8をごらんください。平成31年度の概算要求で、スポーツ実施率向上に係るものを幾つか御紹介させていただきます。
 8月末に財務省に概算要求を提出したところです。1つはスポーツ参画人口拡大プロジェクトということで、下にメニューがございます。全体的に前年度より少し増要求をしております。
 3ページです。まずはスポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクトでございます。右の3、事業内容の一番上に、ビジネスパーソン向け国民運動、「FUN+WALK PROJECT」の推進とございます。こういった取組を引き続き進めていくということと、一番下の緑色の枠に、マッチング機能によるスポーツ活動ワンストップ化促進事業とございます。こちらは行動計画の中で、運動したい人とスポーツ機会のマッチングを図るということが書かれておりますので、新規の要求として出しております。
 次に4ページ、女性スポーツ推進事業でございます。こちらは、左側の女性のスポーツ参加促進というところで、いずれも行動計画に盛り込ませていただいた、女性スポーツ促進キャンペーンの実施、女性スポーツアンバサダーの任命、健康課題とスポーツの実施効果に関する情報の発信、こういったものに取り組むよう盛り込んでおります。
 5ページでございます。運動・スポーツ習慣化促進事業でございます。こちらは地域における住民の方のスポーツの習慣化を図るという、継続してやっておるものですけれども、右下の2、医療と連携した地域における運動・スポーツの習慣化の実践でございます。こういった医療と健康、スポーツとの連携を図りながら、スポーツ実施率と健康増進を図っていくということ、これも行動計画にございますので、こういったメニューも新しく追加させていただいております。
 6ページ、子供の運動習慣アップ支援事業。こちらは、従来、プレイリーダー等を活用しながら、運動遊びプログラムを通して、楽しみながら多様な動きを身に付けることができることを図っております。こちらは、右の四角に新規とございますけれども、公共空間を活用した身近なスポーツの場づくり推進実証調査でございます。最近はなかなか公園でボール遊びができないですとか、いろいろなことがございますけれども、まずはこういった公共空間の活用を図っていくための実証調査を行うことを考えております。
 次は7ページ、スポーツ活動支援事業でございます。事業内容の(1)に総合型クラブの質的充実に向けた支援推進事業がございます。総合型クラブにつきましては、議題の3番で改めて御説明申し上げます。(3)のところに、スポーツを通じた健康増進のためのマネジメントシステムの構築とあります。行動計画の中でも、地方自治体における地方スポーツ推進計画の実施、あるいはPDCAサイクルの構築について書いてございますので、そういったものを支援するようなデータの提供ですとか、客観的な評価が可能となるような仕組みづくりということで、こういったものも新しく用意をしております。
 8ページでございます。障害者スポーツ用具エコシステム構築推進事業でございます。障害者スポーツの推進におきましては、スポーツ用具が必要になる場合がございまして、そういったスポーツ用具を手軽に使えるようなリース制度のような制度的な構築を行っていこうということで、これは新規事業でございますけれども、新しく組み立てることを考えております。
 9ページでございます。障害者スポーツ推進プロジェクトでございます。こちらは中央のところの1、地域の課題に対応した障害者スポーツの実施環境の整備事業でございますけれども、赤字の(4)障害当事者以外に対する障害者スポーツ種目の体験・理解の推進ですとか、(5)障害種を越えた、障害の有無に関わらず参加できるスポーツ大会の開催支援、行動計画の中で盛り込まれたものを、こういった事業の中でも取り組んでいきたいと考えております。
 次に13ページをごらんください。スポーツ産業の成長促進事業でございます。このうちの2、スポーツエコシステム構築推進事業でございます。こちらも行動計画の中で盛り込んだものでございますけれども、ICTを活用して、地域が有するスポーツ指導者と施設といった資源をシェアリングして有効活用する、施設の稼働率を上げてスポーツの実施率を上げていく、そういった事業も展開します。
 14ページ、スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業でございます。こちらは地域の資源とスポーツ、そして観光を融合して、スポーツツーリズムを推進するというところでございます。現在スポーツ庁では、コンテンツとしてはアウトドアスポーツと武道を重点テーマとしておりますけれども、こういった取組の中で地域におけるスポーツの実施率の向上も図っていくというものでございます。
 一番最後になりますけれども、15ページでございます。運動部活動改革プランでございます。運動部活動につきましては、今年3月にガイドラインを発出して、各地域においての取組が現在進んでいるところでございます。この事業におきましては、運動部活動の様々なニーズに対応するため、こちらに5つの課題が書いてございますけれども、そういったものの実践、あるいは調査研究を実施して、水平展開、普及を図っていく、こういった取組でございます。
 以上、行動計画策定後の現状の取組を御説明させていただきました。行動計画は公表されたばかりですけれども、今後もそれぞれのテーマにつきまして重点的に取り組んでいきたいと考えています。各委員の皆様におきましては、引き続き御協力をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。質問も含めた意見交換は、この後、時間をとります。その前に、きょうは津下委員から、日本医師会の取組などにつきまして御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【津下委員】  よろしくお願いいたします。今回は、日本医師会の健康スポーツ医学委員会の取組として御紹介させていただければと思います。資料9、それから認定健康スポーツ医の手引、それからスポーツ医学答申などをお手元に置いて、聞いていただければと思います。
 資料9の2ページにありますように、運動・身体活動は、高血圧や肥満、メタボの改善、さらには循環器疾患、がんなどにも好影響、その予防につながる。また、それらの疾患になった方も、運動習慣がある方の方が再発予防などにつながるというエビデンスが集積しておりまして、運動の重要性は医学の中でも非常に重要なテーマとなっています。
 次のページですけれども、4ページ上ですが、加齢に伴って、いわゆるメタボ系の生活習慣病のほかに、ロコモ、フレイルなどの整形外科、運動器の疾患が増えてきまして、これらは薬剤で改善できるものではなく、運動習慣の獲得、定着というのが非常に重要であり、日本医師会の中でも健康スポーツ医学の重要性というのを再認識しているところでございます。
 この日本医師会認定健康スポーツ医制度につきましては、行動計画の中にもところどころ盛り込んでいただいております。どんな制度かといいますと、平成3年、生活習慣病という言葉が出てきた頃から、この制度が始まっておりまして、25単位1,500分の講習受講をもって認定、これまでに2万3,000人の医師が既に受講しております。主な診療科は内科が中心です。5ページには医師が取得できるスポーツ医学関係の資格を掲載しておりますが、日本体育協会公認スポーツドクター、これは競技スポーツを主な対象としており、おそらくスポーツの世界の先生方とは、競技スポーツの関係でお付き合いがあるのではないでしょうか。また、スポーツ障害などの対応には日本整形外科学会認定スポーツ医という制度があり、整形外科学会を中心としたスポーツ医があるわけです。今回ご紹介する日本医師会認定スポーツ医は内科系とか各科にまたがっておりまして、全ての医師に取る資格があるということや、基本的な科目、25科目と履修することで、かかりつけ医が日常診療に役立つスポーツの知識を得るという場になっております。こちらに認定健康スポーツ医の手引、並びにスポーツ医学講習会、11月に開催される分なのですけれども、スポーツ医学の基本的な考え方から疾病に関すること、ドーピングや障害スポーツに関すること、リハビリテーションなど、医師が関わる場面でのスポーツ医学の知識を、2日間×2回、缶詰になって勉強していただくという、そういうようなコースになっています。これを多くの先生に受講していただいています。
 ということで、6ページにありますように、医師のスポーツの関わりとして、かなり運動に専門性の高い方、又は心臓リハビリテーションや整形外科のリハビリテーションのように専門職としてやっている方も見えますけれども、一般的には、診療科の中で生活習慣病の診療やロコモ改善などで患者さんの背中を押すというようなことや、地域のスポーツ活動に貢献できる、そういう人材を育成するというのがこの狙いになっています。
 この健康スポーツ医の果たせる役割の代表的なものを、次のページに記載しています。既に運動している方はスポーツの指導者に出会えるわけですけど、医師は健診や診療の場面で運動していない方に遭遇して、運動をするように背中を押せる立場にあります。それから内科系や整形外科系など複数のリスクを抱える患者さんに対してアドバイスができることが求められております。さらに、運動指導を直接できる立場ではないので、地域の指導者につないで運動実践の場につなげていく役割や、産業医、学校医として助言をするなどの役割が期待されているということになります。
 健康スポーツ医学を受講した先生方がやはり関心があるのは、一般診療の中で生活指導をしたり、地域住民全体の健康増進や予防に役立ちたいということで、先ほど健康スポーツ課より御説明いただきました運動・スポーツ習慣化促進事業などは、このような健康スポーツ医学の知識が活用できる場になるのではと期待しているところです。また、10ページにありますように、運動の場としまして、リハビリなど保険診療で行うこともありますし、リハビリ終了後に運動を続けたい場合に継続して実施できる場が必要です。医療機関の中には、医療法42条により保険診療外で運動できる施設を持っているところも少数ですがございます。あと健康スポーツ医等と連携した厚生労働省認定の運動療法施設などがあります。医師のかかわりとしては濃淡はございますけれども、このような健康スポーツ医の活用をしていただけるように、スポーツ医学委員会としては都道府県単位でスポーツ医学委員会を組織化して、各スポーツ団体とネットワークを組めることを推進したいと考えています。
 答申の方をごらんいただきますと、目次のところに、国民の運動習慣の中で、様々なリスクの層別化のことや、運動を始めたくなる環境づくりに向けたスポーツ医の役割、どのような役割を果たせるか、それから具体的な事例などについてまとめています。25ページなのですけれども、運動習慣定着に向けて健康スポーツ医が、これは今年度の予算の事業紹介ですが、こういうスポーツ庁の事業なども広く健康スポーツ医に知っていただいて、地域でこういう連携体制を組むという話があったときに、ああ、その話ですねと医師会が動けるように周知していく。これはスポーツ医の再研修会の中でも盛り込んでいる内容でございます。
 それから、後ろの方に都道府県医師会に対するアンケートが掲載されていますが、14ページなんですけど、健康スポーツ医は地域活動ということを狙っているわけですけれど、実際にはスポーツ組織や運動指導者との連携は、「連携していない」が6割でございます。具体的な連携がなかなか進んでいないのと、それから、地域でかなり熱心に活動されているところや組織化されていないところなど、都道府県の医師会ごとにかなり濃淡があると。また郡市医師会レベルでもこういう組織化を進めている地域もあるということで、健康スポーツ医の資格は取ったけれども活躍の場がないというような声も出ています。今回のスポーツ習慣化促進事業などで、スポーツの関係者とともに、背中を押す役割として医師などが関われるといいのではないかなと思います。健康上のリスクを持った方が安全に楽しく運動していただくような事業に関われることができたら、また健康スポーツ医のやりがいも増えるのではないかというふうに考えております。
 以上、簡単ですけれども、健康スポーツ医が地域にいるということをまずは知っていただいて、御活用願えればと思います。どうもありがとうございました。
【渡邉部会長】  津下委員、ありがとうございました。
 事務局から資料について説明がございましたけれども、ここで再確認ということで、配付された資料5をごらんいただきたいと思います。先般、私たちが議論して、まとめられました行動計画につきましては、これは速やかに行動に移すというのが狙いであります。具体的にスポーツ実施率を高めていくということであります。そういった意味において、本日の事務局の説明、あるいは、今、津下委員から御説明ありましたけれども、健康スポーツ医とのいい形のマッチングが図られることが、この行動計画を実行あらしめるために必要なことだと思っております。
 そうしましたら、先ほど来、事務局から説明のありました中身について、あるいは津下委員からただいま御説明ありました内容につきまして、質問あるいは意見交換の時間をとりたいと思います。どのようなことでも構いませんので、積極的に手を挙げていただいて、質問されるなり意見を提示されるなり、お願いいたします。
 では、中村先生、お願いいたします。
【中村委員】  分かりやすい御説明ありがとうございました。課長から説明を頂いた中の資料6でございますが、質問です。例の地方スポーツ推進計画、これは今どこでもこういったことを策定する、計画を作ってやっていますが、確認ですが、この調査は全数、いわゆる悉皆調査として考えてよろしいですか。
【安達健康スポーツ課長】  そうです。
【中村委員】  分かりました。8月1日現在で調査されて、この集計の結果なんですけれども、これの各地方、都道府県とか政令指定都市や市町村へのフィードバックというのはどのようにされているか、教えていただけますか。
【今村課長補佐】  調査を実施した政策課からお答えいたします。まず、今、健康スポーツ課長から御説明した内容は、先日、都道府県、指定都市の担当者を集めました会議におきまして御紹介いたしました。今後、市区町村に対しても含めて、文書でも周知をしていきたいと考えておるところです。
 あと、全数調査について1点、補足させていただきますが、本日御紹介した内容は、地震の影響もございまして、北海道を除く分を集計して資料としておるところでございます。
【中村委員】  ありがとうございました。非常に有効なデータだと思います。自分のところだけではなくて、ほかのところがどういうふうな形で、例えば今回の課題となっているスポーツ実施率を考えているのかということがなかなかつかみ切れていないような実態があると思いますので、この行動計画をより明確に普及していくためにも、この調査の結果をきちんとお伝えいただいて、現在策定中のスポーツ推進計画の中にきちんと生かすというふうなことを考えていければいいかなと思います。
 もう1点、資料7ですけれども、これは民間の各企業さんの取組なので、こちらの方から云々ということは多分ないと思いますが、こういったイベントをやって、例えばイベントをやる前とやった後でどのように意識が変わったとか、あるいはイベントが終わった後どのぐらいの継続率でスポーツをしているかというものが、もちろん全部でなくていいんですけれども、ある程度そういった、きちんとした調査というかエビデンスをとっていくことというのが私はすごく大事だというふうに思いますので、そういったことを呼び掛けていただいたりとか、あるいはスポーツ庁さん中心に、ほかの省庁さんも中心でやるときは、そういった形のものをしっかりとっていくということを是非やっていただければと思います。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。中村委員がおっしゃったように、資料6を拝見しますと、まだまだ市区町村では数値目標も設定されておりませんし、ましてや第2期スポーツ基本計画を参酌したスポーツ推進計画ができていないというのもよく分かります。行動計画には具体的な行動が示されていますので、ここはやはり中央と地方と一気通貫して、意思疎通を図りながら具体的な行動に移す必要があります。そのためには、今言ったようなフィードバックというのが必要になりますよね。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょう。どんなことでも結構だと思います。
 髙﨑委員、お願いします。
【髙﨑委員】  ありがとうございます。説明をお伺いし、これから楽しみな活動が始まっていくと思います。我々が独自にやっているところがまだお伝えできていないところがありますので、それを紹介し御報告したいと思います。
 この行動計画ができ発表されてから、周囲はたいへん活性化しており、たくさんのお問い合わせを私たちスポーツクラブにも頂いております。昨日も民間スポーツクラブがどうやって部活を手伝えるかというようなことを考えたいという方がお越しになられて、民間企業でまとめてほしいという話しも来ております。それからFUN+WALKを、経団連が協力して、経産省のプレミアムフライデーとどう連携するかという活動も始まっています。
 今日の議論では、この後の中長期的な施策とか総合型スポーツクラブと絡んでくることが幾つかあります。1つは、自治体にスポーツをやりましょうと持っていくと、どうしても1つの部局に入っていきますので、そうではなくて、1つの動きは中心市街地活性化法、例えば震災被災地で街づくりをしているグループがあります。そこにスポーツ、健康を軸にしたいというオファーを頂いております。有力者が集まり、日本全国20地域ぐらいでつくっていくという活動が始まっています。次に未利用、低利用の公共施設や公園、廃校、特にゆとり教室を含みますが、文部科学省が推進しており今年8月に大きなイベントもありました。廃校利用をどう進めていくのか?という御相談をたくさん頂いており、具体的な場所づくりを進めています。このような活動をしないと、具体的に進まないと思いますので、手いっぱい広げているところです。
 次に、活動する人が足らなくなり指導人材の問題があります。今、日本スポーツクラブ協会の方に関わっており、研修の在り方を野川理事長達と一緒に、総合型地域スポーツクラブがどうあるかというのを、研修も含めてやり直しております。以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。いつも明るい話題提供、ありがとうございます。
 津下委員、お願いします。
【津下委員】  先ほど言いそびれてしまったのですけど、運動部活動改革プランというのがありまして、学校医、産婦人科医との連携というのが資料8にございます。今、健康スポーツ医学委員会の川原先生を中心に、全国行脚して、婦人科の先生に女子スポーツ選手の三主徴といいますか、無月経になったり、あと骨密度が落ちたりとかいろいろなことがありますので、産婦人科医の方々にスポーツに関して講習を受けていただいて、現場で声が掛かれば動けるように準備を進めている段階というふうに聞いておりますので、このあたりも連携を深められればというふうに思いました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 久野委員、お願いします。
【久野委員】  資料を拝見して、これまでの議論で本当に必要な具体化した課題を、一個一個丁寧に挙げられているところは、非常に進んできたなと思うので、これをきちんと成果を出していくためにというような観点で、お話しします。
 例えば、資料3の関係省庁との連携・協力ということで、とても多様にそれぞれの施策で関係省庁を挙げられているんですが、結構現実的には難しいではないですか。このあたりをどのように考えておられるでしょうか。予算との絡みでは、どのように考えておられるでしょうか。スポーツ庁が主となって、どちらかというと関係省庁に協力していただくのか、関係省庁が従来から動いている中にうまく入れ込むのか、多分幾つかのパターンがあると思いますが、その辺の検討はこれからなのか、あるいはある程度イメージがあるのでしょうか。
 厚労省との連携の会議が始まったというような御報告は前回もお聞きしていますが、その辺の状況を1つ教えていただきたいと思います。
もう1点は、資料6で、先ほど中村先生からもありました策定状況の調査結果のあたりですが、きょう豊岡三島市長さんもいらっしゃるので、できたらコメントを頂けるといいのではないかなと思います。私はいろいろな自治体とのお付き合いも多く自治体の実情を知る機会があるのですが、現状、いいことだから進むというふうに限らずに、自治体の方の職員の方が、特にこういう計画づくりで疲弊しているというか、これを本当に作って政策効果を出していくためには、やはり何らかインセンティブが自治体側にないと、ただ作れということでは上手くいかない。特に小さな自治体はまず作らないだろうという感触を持っています。
 もう概算要求は終わっているので、今年度は無理なのかもしれませんが、やはりその辺の戦略に関してどういうふうに今後お考えなのか。特に、逆にこのあたりは津下先生が一番お詳しいと思うんですけど、データヘルス、厚労省のところで、かなりそろって、いろいろお聞きしている。多少見せていただいている部分があるのですが、結構コンサル会社丸投げで、コピペで出ているような部分もあるというふうに聞いていますし、ひどいのは、ある自治体名で、ほかの自治体の名前が出たのがそのまま出てきたという場合もあるようです。(それは本当にレアケースなのかもしれません)ですから作ることが目的ではなくて、作って動かすところがアウトカムなんだという中で、今後これをどのように進め、あるいは国として見ていくのか。この辺の議論というか具体化がポイントのように思います。如何でしょうか。
【渡邉部会長】  そうしましたら、関係省庁との連携の進め方は、事務局よりお答えいただいた方がよろしいですかね。お願いします。
【安達健康スポーツ課長】  ありがとうございます。資料3の関係省庁との連携につきましては、今、久野委員おっしゃったように、スポーツ庁が主になるもの、スポーツ庁が乗っかるようなものがありますし、一つ一つに担当省庁とか、担当省庁でもかなり複雑に分かれるものでございますので、今、個別のメニューごとに各省庁と話をして、一個一個進めているような状況です。ですから、今始まったばかりで、全部同じように進むかどうかは別ですけれども、それぞれ個別に進めているというふうな状況でございます。
【久野委員】  そうすると、何か、どこかのタイミングで具体化したものがまた出てくると理解してよろしいでしょうか。
【安達健康スポーツ課長】  そうですね、出てくるというのもございますし、この行動計画全体のフォローアップをこの部会でもいたしますので、また全体的な御報告はさせていただきます。
【渡邉部会長】  2点目の各自治体への普及等の戦略につきまして、もし、スポーツ庁としての今のお答えがあれば。
【安達健康スポーツ課長】  ありがとうございます。まず1点目の自治体へのインセンティブというのは、非常に難しいテーマでございますけれども、先ほど予算の中で御説明しましたが、まず住民の方への習慣化の事業があるというのが1つ。ただ、これは数が限られると思います。あともう一つは、やはり自治体でスポーツ実施率を上げる活動をするための評価を適切に、PDCAをうまく回すようなデータ提供ですとか、そういった事業も新しく作るということで、インセンティブということではないですが、側面支援のようなものはこの概算要求の中で盛り込んでいるような状況です。
【久野委員】  例えば健康ポイントについて紹介させていただきましたが、厚労省が国保調整交付金で実施するポイント制度として、リストに挙げた施策に取り組むと国保調整交付金が上乗せされるといったインセンティブを用意して、誘導しているわけですよね。ただ、当然、どういう財源があるかで、それをやれるかどうか左右されますし、すぐにはできなくても、今後検討して取りにいかなければ、財源もできない。今非常に厳しい中で、かなり無理なことを言っていると承知していますが、少し知恵を出さない限り何も変わらないので、そういう点も今後検討して、仕掛けをしていく必要はあるのではないかと感じています。
 どうもすみません。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  先ほどお名前が出ましたので、豊岡委員、地方の現場として、インセンティブ含めた地方での施策展開をどのように捉えて、どう展開されているか、少しお話しいただければと思います。
【豊岡委員】  まず、スポーツ庁さんにいろいろと応援していただいておりまして、大変ありがたく思っているところでございますが、スポーツ推進計画を作りまして、もちろん競技スポーツの部分もあるわけでございますけれども、それ以外は健康づくりの分野と、それから観光につなげていくというところが、私どもの市としては中心的に考えているところでございます。
 健康づくりに関しましては、スマートウエルネスの取組をしておりまして、これも単にスポーツを推進する課だけではできないものですから、全庁的な取組にしておりまして、様々な分野から健康づくりに取り組んで、いろいろな、障害者のことも含めまして、その取組は全てスマートウエルネスの取組につなげていくというようなことをしながら健康づくりをしていくということでございます。
 それからもう一つは観光の方で、スポーツツーリズム、これはまた別の組織を作っておりまして、静岡県の場合にはスポーツ産業振興協議会というのがあり、私どもの方は富士川から以東の20の市町で、産業界と一緒にスポーツ産業振興協議会というのを作っておりまして、そちらで、例えばオリンピック・パラリンピックの自転車競技が静岡県東部で行われますので、それに絡めての様々なアクションであるとか、あるいはアウトドアスポーツであるとか、様々な取組をそちらの側でやっていただくというようなことをしています。それからもう一つは、乳幼児から高齢者までの一貫した体系でスポーツの推進に取り組んでいかなければならないということがございまして、幼児の1歳半のときに健診がありますけれども、そこでボールをプレゼントしまして、スポーツ推進委員さんがお母さんに遊び方を教えて、やると。そういうところからスポーツになじませていくというようなこともやっているわけです。また、女性の再スタート、お産後体型が若干緩んだりしますので、そういう女性たちが立ち上がってジョギングのチームを作ったりしているところもあるわけでございます。
 非常に幅広に私どもの市は取り組んでいるところでございますが、いずれにしましても、健康づくりと、それから競技力の向上と、また産業や観光につなげていくということを考えながら取り組ませていただいているところでございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 友添委員、お願いします。
【友添委員】  ありがとうございます。ちょっと次の議題と絡むのかなというふうに思っていますが、実は、私たちの大学院時代私たちが当時教わったのは、エリアサービスとプログラムサービスとクラブサービスがあって、そのサービスの内実がどう違うかという階層性の問題を随分叩き込まれて、政策論にどうつなげていくのかということを考えたことがあります。
 今行動計画ができて、いい状態が生まれてきたんだけれども、スティミュラスとレスポンスの関係、つまり刺激と反応の図式で言えば、外的な刺激、つまりポイント制があったり様々な誘因があって、実際にアクションを起こしてレスポンスをするわけですが、実際にそれがどこまで持続するのかというと、なかなかやはり現実的には持続しない、短期的に終わってしまう。その短期スパンが、例えば1年だとか2年だとか、様々な区切りはあるにしても、外発的な動機付けだけではなかなか、やはり実はうまくいかない。
 具体的にスポーツ庁が他の省庁と決定的に違うことは何かといったら、スポーツ環境をどう作るのかだとか、あるいはスポーツをする人の条件設定についてももちろん十分やってきたんだけれども、内発的動機付け、つまり楽しいからスポーツをするんだという、楽しさの指標だとか、楽しさの分類、枠組みから次の施策の具体的な中身を構想していく段階に来たのかなと思っています。
 今まであえてその発言を控えてきたのは、時期尚早かなと思ってあまり話さなかったのですが、楽しさには実は質的な、研究レベルで言うと、やはり階層性があるというのがはっきりしていて、運動欲求を満たすだけの楽しさの段階から非常に高次な段階まで、実は楽しさの階層性は幾つか分かれてきて、そのどの楽しさの質に応じてこういう具体的な施策が行われていくのかを、ある程度分類しながら枠組みを示すことによって、実際にやる人たちの内発的動機付けを行うための情報提供をしていくということも有効ではないかということ。前回の会議のときに感じてきたことなんですけれども、あと「する・見る・支える・知る」と、今スポーツ庁は「知る」まで含めてスポーツの楽しさを言っているわけですけれども、スポーツツーリズムの楽しさというのは、あるいは大相撲や武道で外国人のインバウンドを増やすというのは、何をスポーツの中の楽しさの質として出そうということなのか。
 施策の一貫性という意味では、具体的には楽しさの分類でもう少し、今度は整理をしていかないと、具体的な問題を考えてきたときに、施策の中で一貫性がなくなってしまうということも懸念される事態が出てくると思います。そういう意味で言うと、次の議題に近いとは思うんですけれども、楽しさということに着目して、実は楽しいから人々が運動する、楽しくなければ、体によくて健康によくて、あるいは様々な疾病予防につながるのは分かっていても、それでもあえて運動しない人たちというのがデータ的にやはり出てくるし、それから具体的に言うと、健常者が、運動器の障害が1つ出てきた、それだけで実は運動をもうやめてしまうというのもはっきりデータ的に分かっているので、むしろそこをどう越えていくかということを考えたときに、楽しさということを、少し今度の施策の柱の1つにしていく必要があるのではないかということを思っています。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。楽しさの階層性と施策の連関の話でした。津下委員、お願いします。
【津下委員】  楽しさは大切ですね。先ほどの話はきっかけづくりについて申し上げましたが、健康のためにという、そこが始めるポイントかもしれないですけど、運動をやってみて、検査データがよくなったねとか、そういう体の変化のフィードバックというのもやりがいにつながるようです。日常の診療とか健診の場面で、「運動で数値がよくなったね」というメッセージを意識的に出していくことで、運動のモチベーションを維持していくという、そういうことも重要なのかなというふうに思います。
 それからもう一つ、先ほど久野先生からデータヘルスの話がありました。その一環として経済産業省と厚生労働省が一緒になって健康スコアリングというスコアを出しています。その中で、特定健診の中に運動3項目がありまして、その運動のスコアを、実際の健診ベース、抽出調査ではなくて、ナショナルデータベースからきちんと出すというような動きがあります。健保の中で、運動習慣は上位か中位か下位か、健保全体の中でのランクや業態平均と比べて高い低い、そういう成績を生データから出すことが始まっています。先ほどの民間企業の動きも、このような指標として手応えを感じていくというのも1つだとおもいます。これを国保にも広げていく、市町村にも広げていく話にもなるということを聞いております。これまでの運動習慣についての調査は、都道府県・市町村ごとに基準や表現が違ったり、スポーツの捉え方が違っていることもあり、比較は難しいという課題がありました。全国共通の指標で並べてみて、そのランキングの中で市長さんにやる気になってもらえるようになりそうです。三島市はさすがすごいとか、そういうようなデータに基づく施策の展開というのがこれから非常に重要になってきて、その素地はできつつあります。欠点としては、特定健診の対象である40歳から74歳までしかデータがないことですが、そういうところとの連動もこれから考えていくのもいいのではないかなというふうに思いました。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 ここで、日本スポーツ協会の取り組みについて、行動計画との絡みで、現状を説明いただければと思います。
【泉部会長代理】  まず、今度のこの行動計画は、60項目にわたって具体的に記されており、部会長を中心に、事務局のまとめも大変だったなと思っております。やっとこれがスタートしましたので、今後は、友添先生が先ほどおっしゃっていました中長期の計画立案はこれからですが、今度のこの行動計画は、まずは目標を達成する、ここに主眼があると思います。また先日、9月27日に各都道府県・政令指定都市のスポーツ主管課長会議でスポーツの担当者を集めて、いろいろな説明をもう既にしていただいているようでございます。
 この60項目のうち日本スポーツ協会が窓口になるものが多く、加盟団体としっかり連携していかなくてはいけないと考えております。残念ながらまだ、スポーツ協会も含めて、この行動計画ができて、さあ、行くぞというスタートラインまで、何となくまだ走り切れていないかなという実感を持っておりまして、まずは、自分のところは何をやるんだといったようなところをしっかりと。先ほど安達課長からも、今、周知、依頼している最中ですということでしたが、ここをしっかりやらないと、せっかく計画を作ったのに上滑りということではいかんのかなと、感じております。
 今現在の取組状況も含めて紹介をということですので、補足も含めて説明を何点かさせていただきます。行動計画8ページのスポーツの捉え方1のところでございますが、ここは今、日本スポーツ協会で中長期事業計画、事業方針の、スポーツ推進方策2018というものを策定いたしまして、競技として行うものだけではなくて、健康維持のための体操、運動、あるいは新たなルールやスタイルで行うもの、こういったものも全てスポーツとして捉えようということを明記いたしました。そして現在、日本スポーツ協会の加盟の在り方について検討を進めています。
 続いて13ページ目、16の、スポーツに関する人材の一層の活用を図るという項目でございますが、ここも記載のとおり、モデル・コア・カリキュラムを本会のスポーツ指導者養成のカリキュラムに導入するために、現在、改定を既に進めております。平成31年度から随時、改定後のカリキュラムで養成講習会がスタートする予定でございます。
 それから、18ページの2、子供の発達段階に応じた指導のところでございますが、ここにつきましても、公認ジュニアスポーツ指導者のカリキュラムにアクティブ・チャイルド・プログラムの考え方、これを反映したカリキュラムに改定いたしました。今年度から既に養成を進めておるところでございます。
 最後、19ページでございますが、地域の実情に応じたスポーツ環境の整備を図る、5のところですが、これは6月にスポーツ協会が提言いたしました「今後の地域スポーツ体制の在り方について-ジュニアスポーツを中心として-」という提言がございますが、スポーツ少年団あるいは総合型地域スポーツクラブ、運動部活動の連携を進めることを明記しておりまして、まずは地域においてそれぞれの組織での連携の実情をしっかりと把握しようということで、今現在、準備をしているところでございます。
 一部補足も含めて、取組状況について御報告をさせていただきました。以上でございます。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 そうしましたら、議題の2番の方に移りたいと思います。議題の2番につきまして、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
【安達健康スポーツ課長】  それでは、議題の2でございます。
 もう一度、資料5をごらんください。先ほど部会長からも御説明がありましたけれども、繰り返しになりますが、今回の健康スポーツ部会には2つのミッションがございます。1つは、中央にございます行動計画、即効性のある取組を策定ということで、これは現在、策定をさせていただきました。次は、右側にあります新たな制度創設・制度改正も視野に入れた中長期的な施策ということで、こちらは行動策定後1年をめどに取りまとめ予定ということで、本日のこの議題をキックオフに、これから御議論を頂くということでございます。
 資料10をごらんください。それに関する資料でございます。こちらに、中長期的な施策についてということで御議論いただきたい主な事項を書いています。まさにこういった中長期的な施策について今後取りまとめを行うということでございます。
 この中長期的な施策の事務局としての考え方を申し上げさせていただきたいと思います。まず行動計画では、熱心に御議論いただき、非常に広範囲かつ施策の対象ごとの、バランスのとれた60のメニューを策定いたしました。こちらは第2期スポーツ基本計画の計画期間である2021年度末まで、しっかりと今後取り組んでいきたいというふうに考えます。今後の中長期的な施策につきましては、今までの御議論の中で、即効性のある取組というよりも、例えば実現に向けて一定の検討を要するものですとか、60の行動メニューをさらに効果的に実施するために考えられる仕組みですとか見直す点ですとか、そういったもので、ものによりましては制度改正も視野に入れて取り組んでいくことだというふうに考えております。ですから、行動計画のように数多くのものを出すというよりも、できるだけ優先度、効果の高い取組を絞り込んで見直しを考えてはどうかと考えてございます。
 「制度改正も視野に入れた」とございますけれども、制度というといろいろ考えられると思います。例えば、新たな予算を獲得した上で事業を創設するですとか、関係省庁に絡むものにつきましては、十分な調整をしてルールを作るですとか、いろいろな段階の制度がございますので、そこは幅広く考えていきたいというふうに考えてございます。こちら中長期とございますけれども、やはり第2期スポーツ基本計画の目標を達成するという観点から、計画の期間中に何かしら実施をして、一定の取組あるいは成果を求めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 こちらに想定される論点の例を挙げてございます。先ほど友添先生からも早速御意見を頂きましたけれども、こちらは今までの部会での御議論での課題抽出といいますか、横串を刺すような大くくりなもので整理をしたものを御紹介させていただきたいと思います。
 1つ目、第1回から第6回までの御議論で、まずスポーツをする場所の確保についていろいろな課題があるということで、随分御議論も頂きました。その中で、全国に3,580ある総合型クラブの今後の在り方をどうするかですとか、あと学校開放、公共空間の活用についても、先ほど髙﨑委員から御意見いただきましたけれども、これをどういうふうに仕掛けていくかということもございました。これらについては、もちろん行動計画にも記載はありますけれども、さらなる活用を図るための仕組みが考えられないかというのが1つ目でございます。
 2つ目、人材の育成について。こちらは本日も御意見を頂いております。例えば、全国に5万人いますスポーツ推進委員の活用をどう考えていくか。あるいは公認スポーツ指導者、あるいは運動、スポーツということではなくて、健康福祉関係者ですとか、あるいはスポーツ周辺の関連する資格ですとか、そういったものも含めて何か仕掛けなり、見直すことが考えられないかというのが1つ。
 3つ目は子供のスポーツ環境について、今までも随分御議論を頂きました。1つは学校内での取組というものをどう考えていくか、あるいは子供の運動嫌いですとか、そういった御議論もございまして、子供の興味関心を引き付ける環境づくりとして何か考えられることはないかということ。
そして4つ目は従業員のスポーツ環境についてということで、実は企業、職場における取組というのは、就業者の数を考えると非常に裾野が広いところでございます。第1回のパブコン、政策提言の中でも、企業での取組もかなり御提案を頂きまして、ここに「スポーツ休憩等の取組」とございますけれども、いろいろな御提案がございました。こういった企業における取組として何か考えられないかというのが1つ。
 5つ目、無関心層については、以前から、久野先生からも御紹介がございましたけれども、こういった方々をどう動かしていくのか、スポーツ以外と連携した誘因策についてでございます。
 そして、こちらは事務局の提示したものでございますので、これ以外にどういったものがあるか、その他ということでございます。
 こちらの進め方につきましては、1の2パラに書いていますけれども、今後、例えば有識者ですとか関係団体へのヒアリングを実施したいと考えてございます。どういった方に、あるいはどういう団体に、どういった論点でヒアリングを行えばいいかということにつきましても、御意見、アドバイスを頂ければと考えております。
 2ページ、今後のスケジュールの案でございます。あくまで想定でございます。本日は中長期的施策のキックオフになりますけれども、第8回までの間に、今申し上げましたヒアリングを進めていきたいと考えています。第8回で、ヒアリング結果を踏まえた課題の整理、第9回で中長期的施策の骨子の御議論、第10回目で事務局案の御提示、第11回で、これは6月頃めどとなりますけれども、取りまとめといった流れを想定したスケジュールです。大きな流れはこのような形で進めさせていただきたいと考えております。
 本日は、1ページに示しました論点ですとか、あるいは今後のヒアリングについてアドバイスを頂ければと考えていますので、よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。私も今、どういうふうに進めていったらいいのかなと思いながら話を聞いていたんですけれども、今、安達課長からお話ありましたように、行動計画には60の施策がありますが、今度、中長期的な施策を考えるときには、当然、優先順位をしっかり付けて、絞り込みを行いながら、かつ財源も絡めて考える必要があります。したがって、どういう視点で、どう中長期的な施策づくりを進めていったらいいのか皆さんに御意見いただきたいと思います。
 では、髙﨑委員、お願いします。
【髙﨑委員】 この夏も各地の自治体に行ったんですけど、「もったいないなぁ」と思うことがたくさんあります。それぞれの地域では、総合型地域スポーツクラブ・スポーツ推進委員・市長や町長・自治体の企画調整部門の方・教育委員会の方々など多くの方にお会いします。それでスポーツ推進事業や健康関連事業の検討が始まるのですが、うまくまとまっていないことが多くもったいないのです。先ほどの泉委員のお話にもありましたが、例えば「通知、依頼する」いう大切な仕事があり、その先の受け取る側の進め方のところへもう少し踏み込み、その部分の課題を整理することが必要だと感じています。
 先ほどスポーツ庁の強みはあると、友添先生が褒めてくださいました。今のスポーツ庁の圧倒的な発信力は、霞が関の中でも一番であり、「ここまでやるか」と感じています。先ほどの発言の通り「インセンティブがたくさんあれば、みんなが動く」のですが、それほど無尽蔵にインセンティブに使える予算はありません。であれば、例えばスポーツに関連する協会やスポーツ庁が主催する研修会・会議で、この公共政策の進め方の研修の知恵を共有するというのはどうでしょうか?「通知、通達すれば、各自治体もやらねばならない、やるだろう」という前提で今までやってきましたが、現実的にはそれだけでは違います。私は経営の領域にいますが、最近では「コレクティブインパクト」という考え方を持って自治体等との協働事業を進めています。時には資金をパワーとして使い事業を推進しようというケースがありますが、それだけではなく公共政策を進める手法として、様々な手法が研究されているので、そういうことを共有するのも大切なことだと思います。
 今から1年半ほど前、マーケティングとプロモーションに関する書籍を健康スポーツ課に持ち込んで、一緒に勉強会をしたことがありました。次はマネジメントやストラテジーなのだと思います。今回のスポーツ実施率を推進する計画の中で、考え実行していくといいなと思います。できるだけ早い時期に、この公式の会議ではなくても非公式な会議も活用し、フランクな意見交換をして、我々の総熱量も上げた方がいいと思います。私たちも汗はかきますので、よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 友添委員、お願いします。
【友添委員】  ありがとうございます。議論を進めていく上での前提の確認ということでお尋ねですが、資料10、よく考えられた論点の例ということをお示しいただいて、ありがとうございます。
 これについて議論していくには、幾つか確認しておかなければいけない点があると思うんですけれども、例えばハードの側面とソフトの側面の2つが実はあるかなというふうに思っています。例えば、次の資料11で入っていますので、何か御説明いただけるかと思っているんですけれども、総合型地域スポーツクラブ、地域クラブについても、全国で3,500あって、現実には認証・登録制が確立しないことには、実は団員の把握だとかクラブ員の把握だとか指導の実態が把握できない、それから補助金についてもなかなか限界があるということで言えば、これはハードの側面でまずやらなければいけないことが幾つかあると思うんですね。学校開放についても、実質的には学校長の管轄でやっているものについて、地方の教育委員会、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校設置者等との関係をどうするのかというハードの側面をやはり触っていかなければいけない。それから公共空間についても、これはスポーツ庁だけで実は担保できるものではない。そういう意味でいうと、幾つか越えなければいけない壁がある。
 人材の育成についても、例えば全国スポーツ推進委員連合においては、スポーツ推進委員の任命の基準を設けていて、研修制度も設けていますし、あるいは公認スポーツ指導者についても、泉副会長がいらっしゃいますけれども、日本スポーツ協会の方でこれについてはプログラムを設定して、具体的なテキストも準備されて、カリキュラムもあると。健康福祉についてのところでも同じく、関連する資格についても同じだと思うんですね。
 では、こういうハードの側面をどうするのかということですよね。これに対してスポーツ庁が何か施策的にこうすべきだという勧告をするのか助言をするのか、あるいは協力関係を作るという形に持っていこうとするのか。あるいは、もうちょっと別な言い方をすると、スポーツ指導者の質的な担保をするために必要な内容というのは、スポーツ教育学のレベルではっきりしているわけですよね。だったら、そういう、いわば別の側面からの提言をしていこうとするのか、あるいは両面でいくのかというような優先順位も考えられる。
 それから、子供のスポーツ環境についても、学習指導要領があって、なおかつ学習指導要領の中では各運動領域の中のプログラムがはっきりしている。それから運動部活動についても、学校体育室を中心に、今これについての通知を出しているところで、改革が行われている。こういうハード面が現実に動いている、ではここに対して、何かここで提言をするのか。スポーツ参加の、いわゆるデータを上げていくためにという立場です。
 つまり、どういう形でここで議論をしていくのか、そしてその議論が具体的にどういう施策として提言が可能なのかというイメージが、ちょっと今よく分からないんですね。だから、そのあたりをもう少し、この論点の例をお示しいただけた以上、その中で、今お考えになられている想定の範囲内でのお話を頂ければというふうに思います。
【渡邉部会長】  いかがでしょうか。
【安達健康スポーツ課長】  ありがとうございます。友添委員が今おっしゃったような、ハードといいますか、ここのそれぞれの制度には、それぞれの仕組みがございまして、委員がおっしゃったような、何か勧告をして見直すというよりは、むしろ合意形成をして、今までのハードの運用ですとかルールを変えるですとか、それによってスポーツの実施が今以上に上がるものがないのかというのを、議論いただきたいと考えています。ですからそういう面で言いますと、優先度の高いものに取り組んでいきたいというふうに考えています。
 スポーツ推進委員についても、おっしゃるとおり一定のルールがある中で活動していただいていますけれども、そういった中で、より一層の活用を図っていくためには、もしかしてそういうルール自体を見直した方がいいのか、それともルール以外の上乗せで活用する方策はないのかですとか、そういった見直しが考えられないかということで、それぞれにつきまして、例えば現状あるものをどういうふうに見直すですとか、一定の実現可能性も見て合意形成をした上で、できるものがないかというのを少し探っていきたいと考えています。
 そういった意味でヒアリングというのは、その問題点ですとか御要望ですとか実現可能性ですとか、そういったものもよくお聞きした上で、優先度等、効果の高いものと先ほど申し上げましたけれども、テーマを探っていきたいと考えているところです。
【友添委員】  例えば全体に共通するような内容としては、先ほど申し上げた、例えばスポーツ参加のための内発的な動機付けをどう担保していくのかというのは、それぞれのレベルにとってやはり必要な内容だろうと思うんです。むしろこれを担保するためにどういう条件が必要で、そのためにはどういう環境が作られていく必要があるのかということは、丁寧にこのあたりで議論をしてお示しをするということは非常に有効なんだろうなというふうに思っています。ありがとうございます。
【渡邉部会長】  久野委員、お願いします。
【久野委員】  友添先生とちょっと違う観点で、私から想定される論点の例を4点、挙げさせていただきます。
 1つ目は、今回こちらに出席させていただいて、エビデンスが足りない領域が幾つかあると感じました。子供、女性あるいは無関心層対策のエビデンスは、すぐに出るものではないので、研究者が自分たちの意図で勝手にやる研究ではなく、政策的な意図で例えば厚労省だと厚労科研費の中に、政策とリンクした研究枠がありますが、そうした枠を作るようなことを考えるべきではないかと。科研費の中に作れるのかどうか、よく分からないですが、イメージとしてはスポーツ政策科研費みたいな、多分そういうのがあると、こういう政策づくりに今後もつながっていくので、あった方がいいのではないかと思います。
 2つ目は、やはり成果にこだわりたい中で、先ほど髙﨑さんからSIBの話があり、我々もSIBを立ち上げて、なかなかいいなと思っているんですが、SIBというのは民間からの投資をうけ、それから成果型、KPIを設定して、(いわゆる役務型は役務がされれば成果が出なくても払われますが)、成果が出ていなければ必ずしも払われないという制度なんですけど、僕は後半のところだけをとったような仕組みを入れるべきではないかなと思います。もちろん完全なSIBをやるときは良いのですが、民間からお金を入れる仕組みまで全部作るのは結構大変なものですから、いわゆる役務型ではなくて成果型で、特に自治体の事業とか、税金が入るところに関しては、ヘルスケアの産業も育ちますし、いいもので成果が出てくるというようなものをやはり考えていくべきではないかと思います。
 3つ目は企業のところで、すごく今、健康経営やスポーツ庁の動きも含めて、先ほどのを見てもいい例が出てきていますが、やはり問題意識として、非常につらいのが中小企業のところだと思います。経産省との議論でも、中小企業の健康経営がなかなか進まないと。やはりこの中小企業のところをきちんとやっていかないと、健康格差の是正にもならないので、中小企業へのスポーツ実施率をどのように上げていくのかという具体的な政策を立てる必要があると思います。
 我々もこれまで中小企業にトライアルで関わっていますが、かなり難しいです。1つは経営者の捉え方という問題と、もう一つは、やはり社員の皆さんの質、ヘルスリテラシーという観点での課題が、大企業に比べると明確にあって、具体化していく必要があるのではないかと思います。
 最後に4つ目ですが、人材育成というような観点でお話しさせていただくと、保健師の方々とスポーツ指導者系の方々のリンケージをどうするのか。特に保健師の方々に、スポーツの力が予防、健康づくりにもっと貢献するという理解を深めていただくとのは非常に重要だと、各地域でやっていて感じます。今、筑波大学が茗荷谷に、15年前から社会人の大学院(スポーツとヘルスプロモーションの大学院)を立ち上げ、私はヘルスプロモーションの方を15年間担当しておりますが、ここはヘルスプロモーションだけで入ってくるので、スポーツに全く興味がない保健師の方とか管理栄養士の方が入ってくるんですけど、授業の中でスポーツをとらざるを得ないので、2年たって卒業する頃に、保健師の方、そういった専門職の方が、スポーツの重要性というのをかなり理解して。いろいろ話をしていると、スポーツの、これだけの効果とか、漠然とはもちろん保健師、そういう専門職も知っているんですけど、教育も受けていないし、その研修が全くないわけではないんですが、どちらかというと苦手とされていて、先ほど津下先生が健康スポーツ医の、この動きから比べると、もっとレベルがまだ落ちている部分もある。
 本当に熱心な、いい保健師さんたちも一方ではいるんですが、全体、マスで見たときのレベルというのは非常に低くて、両方が動く必要があって、特にこれから75歳以上が増える社会の中で、リスクがある高齢者へのスポーツへの働き掛けが大きな政策課題になっていく中で、やはり医療系の保健師の方の関わりは多分非常に重要になってくると思います。、今ふっと思ったんですが、日本看護協会と、日本スポーツ協会が連携協定を結んでいただいてフレイル対策を一緒にやるんだというような具体的な取組の中で、これまでの医療側の人材に更にスポーツを理解してもらう仕掛けも具体化していくことが非常に大事で、もちろん厚労省との連携の中でも入ってくるテーマのような気もしますが、そんなことを感じました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。とても大事な点だと思います。
 近藤委員、お願いします。
【近藤委員】  今、久野先生が言われたことは、すごく問題意識が近いなと思いながら伺っておりました。さっき出た話で言うと、他省庁との連携という視点でもありますし、インセンティブの設計という意味でもありますし、あと財源をはじめとする資源をどう確保して政策を進めるかという視点から、是非3つのことを御検討いただきたい。
 久野先生が言われたスポーツ科学政策研究でしたか、そのテーマにこの3つを設定したらどうかなというふうに、聞きながら思いました。まず1つは、全く同じ、SIBとか、あるいは髙﨑さんの言ったコレクティブインパクトとか、この辺はとても面白い動きです。今まで価値があるのに予算が付きにくかったところにお金を流す仕組みとして研究されてきた、国際的な新しいトレンドで、まだ試行錯誤で、怪しいという声もいっぱいあるんですけど、でも、金銭表示は今までされなかったんだけれど、みんなが薄々価値を感じているものを、どう持続可能にしようか。その仕組みを何とか作りたいという試行錯誤の中で生まれてきたものなので、こういうスポーツとはとても親和性が高いのではないかなというふうに思います。そこは他省庁も今動き出していますので、その辺の蓄積も利用しながら、是非検討されたらどうかなというふうに思います。
 医療費とか介護費用節減だけがスポーツの目的ではないと思いますけど、金銭換算しやすいという意味では、行政の方で、さっきも先進事例の中で、岐阜では医療費が27億円浮くだとか資料にありました。あとは民間企業ですら保険料をフィードバックしますよということは、これはそこまでやっても損しないというのが分かっているからやっているわけですね、営利企業なのだから。ということは、スポーツをやる人が増えれば、確実に医療費とか介護費用が浮くというのはもう分かっている。なので、今までの粗い数字を拝見すると、スポーツをやる人が国民の中で1割から2割増えれば2兆円ぐらいは浮きそうだという粗い数字なんかが出ていますので、それぐらい頑張ったスポーツ関係者に、頑張って、2兆円浮かしたのだったら、1兆円返してあげるよ。そのお金を使ってもっと頑張ってよというふうにする社会インパクト投資という方法は、みんながぴんぴんころりを実現できる社会のためだったら受け入れてくれるような気がします。その辺を是非テーマとして設定して御検討いただく価値は大いにあるのではないかなと思ったのが1つ目です。
 2つ目は、それを関係者が皆さん納得していただくためには、なるほど、そうやってやれば、そういう計算になるよねというところが深く納得が得られないと、スポーツ推進派が鉛筆をなめて数字を出しているんだろうみたいになってしまう。それでは合意形成ができないものですから、評価方法の研究というのがもう1個、柱として要ると思うんですね。
 スポーツ実施率の数字がインターネット調査でいいのかよという声もありますからその数字が一体どれぐらい現実を反映しているか、ぶれていないのかとか。さっき万歩計を使ってどう歩行量を評価するかというガイドラインを出した例が紹介されていましたけれども、今後市町村間でいろいろ進捗度合いを比べるときも、自治体によって質問の仕方が違ったりすると、何かの割合が何%と出しても、1割、2割ずれてしまうなんて幾らだってあるんですよね。例えば3択でやるのか4択でやるのか5択でやるのかで、スポーツをやっていますという丸の割合が大きく変わってしまうとか。その辺ある程度国が標準化するような、そういう評価方法の研究というのは1つ大きなテーマになるのではないかなというふうに思います。
 3番目が、どうやってスポーツをやる人を増やすのかという戦略開発のための研究です。これは前に御紹介したJAGESで、今度、2006年から10年でスポーツをやった人がどれぐらい増えた自治体があるかというのを調べてみました。そうしましたら、高齢者対象ですけれども、4年間にスポーツをやった人が7%増えたという自治体が3つ見付かったんですね。例えばそういう自治体は何をやっているのか、高齢者のうち7%が4年間で新しくスポーツを始めたとわかったらそれはどんなスポーツをやっているんだろうとか、これを見ただけでもいっぱいリサーチクエスチョンが出てきて、そんな中からグッドプラクティスとかヒントがいっぱい見付かりそうな気がします。そういうところをにテーマ設定して研究するというのは、すぐにでもできることなので、是非やっていただきたいなと思います。
 もう一つ、戦略開発の中で、少し時間が掛かるんですけれども是非チャレンジしていただきたい、どこかで腰を据えてやらないと、国が旗を振らないとできないのではないかなと思うのが、ライフコースの影響の研究です。子供の頃のスポーツ体験とかいろいろな環境がその後どれぐらい影響するのかというのが、これも断片的には見えてきていて、やはり子供の頃の体験がすごく大事なのではないかというのが示唆されています。その辺がしっかりと裏付けられると、そこにしっかり投資しようと、それがお金が掛かるように見えても最も効率のいい投資なんだなんて、ノーベル経済学賞をもらった人もいるぐらいなので、その辺は深掘りする価値があるテーマなのではないかなと。
 以上、SIBとかコレクティブインパクトの政策研究と、2番目が評価方法の研究と、3番目が戦略開発の研究、この3本を是非、腰を据えてやっていただきたいなと思います。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。 増子委員、お願いします。
【増子委員】  ありがとうございます。子供のスポーツ環境というか、障害者スポーツについてなんですけれども、今まで半世紀近く進めてきたこの障害者スポーツ、パラスポーツというのは、医学的な観点、リハビリテーションが発展したものです。今回の第2期スポーツ基本計画の中で、また、スポーツ実施率向上のための行動計画にもありますように、今後は教育の現場、学校での、新たな、障害児が子供の頃から、発達段階に合わせたスポーツの取組というような、体育の授業や部活動も含めて取り組んでいくことになると思います。その場合に、今までは、特別支援学校や特別支援学級がある、対応していた先生というのは試行錯誤で、若しくは特別支援学校では、もう長年のリハビリテーションスポーツの中から授業を構築してやってきたと思うんですが、一般の学校の中で、今は普通学校に障害児も入っています。
 そうした中で、新たにこういった障害者のスポーツ環境を学校の中で取り組んでいく場合に、今、現場対応として、学校が、働き方改革で先生の就労の状況が変わって、少子化で子供が少なくなって、そして教員の採用人数も少なくなってきていて、そしてそういう中で新たに障害児のスポーツ、体育の授業の指導というようなところが加わった場合に、対応し得るのかというような学校の現場の状況というのも1つ重要な調査というか、ヒアリングの対象になるかと思います。
 ただ、学校現場における、教育現場における障害者スポーツの浸透は非常に重要な部分で、今までのようにリハビリテーションスポーツから発達してトップスポーツの方に行きますと、何かのイベント、パラリンピックの年や、こういった大きな、東京2020のようなオリンピック・パラリンピック開催のときに機運がすごく高まるんですが、やはり日本の教育文化の中に新たな教育文化としてずっと根付かせていかないと、今後本当に浸透していかないと思うんですね。
 そうした中で、現場の状況を調べていただいて、外部講師の活用なども入ってくると思います。でも、これも日中での活動になりますので、大学との連携であったり、元気な高齢者の活用であったり、障害者の指導になりますので知識を持った方も必要になってきますので、今までの障害者スポーツ指導者は量を増やそうということで何万人という数字を設けていましたが、質的な、学校の現場、教育現場に派遣でき得る、授業として理解して対応できる人材の育成のようなところも必要になってくると思います。
 また、その中にあって、指導要領等ありますが、子供の発達段階に合わせたアクティブ・チャイルド・プログラムのようなプログラムがありますように、障害児のそうした詳細なプログラムのようなものも必要になってくるかと思います。これはまだ先の話にはなるんですが、障害を持っている場合においては多岐にわたりますので、非常に時間が掛かるものと思います。また医学的な観点等、専門家の皆さんの御意見なども必要とする部分も出てくると思います。ただ非常に重要な部分ですので、是非、学校の状態というのをお調べいただければ、非常に先が見通せるのかなというふうに思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 中村委員、お願いします。
【中村委員】  まず最初に、先ほど髙﨑委員が提案された勉強会というんですか、非公式の、大賛成ですので、是非、私ができれば協力しますので、やりたいなと思っています。それが1点。
 2点目は、先ほどお話があった子供の頃スポーツをやっていることという、大人になってからの、いわゆる持ち越しです。この研究というのは持ち越し効果の研究で、20年ぐらい前からアメリカで始まっているんですけれども、日本でも多くの研究者が最近手掛けている。ただ、あまり、今のところ前向きのコホートがまだできていないんですね。成人の方々、高齢者の方々の後ろ向きコホートで、子供の頃何をやっていたかということを聞きながらやっていく。
 分かっていることは、別にスポーツをやっていた人がスポーツをやっていないです。だからスポーツ少年団や部活で、そういったスポーツをやった人たちが、大人になってからスポーツをやっているということはない。あまり相関はない。むしろ大きいのは、先程の友添先生の内発的動機付けにかなり近いんですけど、面白いとか、のめり込んだとか、気持ちよかったとか、そういうふうな気持ちで運動を経験した人は持ち越しているというふうなことが分かってきた。福島を中心にした震災以降の東北のデータが、そろそろ10年を迎えて、ここは前向きコホートでやっていますから、多分それで明確に出てくる。今まで蓄積したデータを見ても、その傾向が出ているということです。
 もう一つ、最後に言いたかったのは、子供のことをやっていますので、よくスポーツ指導者の方が子供たちの運動イベントをやる機会を多く見ます。そういう機会が多いんですけれども、マスコミさんもいっぱい来て、大体、きょうは子供たちが楽しくやっていますねとか、いい顔をしていますねとか言います。指導者の方も、終わると、きょうは楽しかった? と言うと、みんな手を挙げて、楽しかったと言った子どもが、ふと、親のところに行って、そろそろ遊んでいい? と言うわけです。これが現実です。
 つまり、何が言いたいかというと、やはり今、育成ですから、養成ではないわけですよね。今、教員の世界は育成が非常に大事になって、養成と採用と研修の一体化というのが大きな課題ですから、考えると、いわゆるこういった新しい試みをするときの人材の育成、きちんと養成の後の研修をやっていくと。新しく変わるわけですから、そこをきちんと伝えていって、しかも内発的動機付けで、私は指導者の内発的動機が非常に大事だと思います。自分がやって伝えているということではなくて、自分が伝えることに対して喜びを持つというふうなことが非常に大事だと思うし、それは単に研修のときだけに得られるものではなくて、多分、OJTの中で得られる。そのOJTで得られたことをきちんと振り返って評価をするような仕組みみたいなものを作っていかないと、やはり質の高い指導者というのは育成できないのかなというふうに思っています。
 そんなことを皆さんの意見から感じましたので、付け加えさせていただきました。ありがとうございました。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 皆さんおそらく発言したいことがたくさんあると思いますが、時間の制約がありますので、ここは、冒頭申し上げましたけれども、どういった視点でどう進めていくかという話です。ですからある程度発散的な話で、私はいいと思います。きょう発言したいんだけど時間がないという方もたくさんいらっしゃいますので、後刻、是非健康スポーツ課の方に皆さんのお考えをメールで送っていただけたらと思います。
 ただ、1点、聞いていて大事だなと思ったのは、いろいろな、行動計画にしろ、これから中長期的な施策を作るにしろ、実施主体となる自治体の皆さん、あるいは学校の現場、そういったところの実情と課題をしっかり理解していないと、効果的な施策が実施できないんだろうと、私も勉強になりました。また、コレクティブインパクトの話ではないんですけど、産官学民のそれぞれの強みを掛け算しながらスポーツ実施率の向上を図っていくとか、大きな命題に向かっていくとか、目標設定をしっかりやっていかなければいけないんだろうというふうに思いました。
 それでは、皆さんにメールを送っていただけることをお願い申し上げまして、議題の3番に移りたいと思います。
 では、安達課長、よろしくお願いします。
【安達健康スポーツ課長】  それでは、資料11をごらんください。総合型地域スポーツクラブの登録・認証制度の整備についてということでございます。
 2ページでございますけれども、現在、3,580の総合型クラブがございます。そういった中で、右にありますけれども、行政との関係でいきますと、地域課題解決のために市町村行政と連携しているクラブはまだ2割弱ということで、こういうところも1つの課題になっているというところでございます。
 3ページ、第2期スポーツ基本計画における記載でございます。第2期スポーツ基本計画の中で総合型地域スポーツクラブの質的充実が記載されています。施策の目標としては、登録・認証制度を新たに構築し、自立的な運営を促進し、先程申しました地域の課題解決に向けた取組を推進するとなっています。具体的施策の中で、水色でございますけれども、下線部に「国は登録・認証等の制度の枠組みを策定し」とございます。そういったことで、きょうは枠組みについての在り方をお示しさせていただきまして、こういった制度を2020年までに導入したいと考えておりますので、きょうはその在り方について御意見を頂ければと思います。
 4ページにございます登録・認証制度の必要性でございますけれども、1つは質的な充実を図るということで、クラブにとっては認知度ですとか信頼性の向上が図れる。2の地域住民、利用者にとっても、利便性が向上したり安心感が得られる。3の公的機関、関係機関にとっても利便性が向上したり安心感が醸成される。そういった質的な充実なり効果が得られるのではないかというところを考えています。
 5ページです。昨年度、当時の日本体育協会に委託をしまして調査研究を実施した内容を踏まえて、この枠組みの案を考えております。登録・認証制度の登録というのは、クラブが一定の基準に合致したと判断した場合に登録されるというものを考えいています。もう一つ、認証というのは、登録クラブが行う各種プログラムですとか活動のタイプに応じて、タイプ別の基準に合致しているかどうかというのを証する。そういったクラブ全体とプログラムの、2つの登録・認証の形を考えております。
 (1)の登録基準については、1つ目の丸は多世代、多種目、多志向を志向しているか。2つ目の丸は持続的な活動をするための持続可能な運営体制、あるいは活動に見合った財源の確保。3つ目の丸には、規約に基づく運営、自己点検・評価に基づく活動計画の策定など、一定のガバナンスが確保されているか、そういったものを登録基準として考えて、今後、より精査をしていくという形で考えています。
 (2)の認証については、総合型クラブは地域課題に応じた様々な活動をすることが考えられますけれども、例えば介護予防事業を実施しているですとか、児童クラブ、放課後子供教室、子ども向けのプログラムはどうですとか、あるいは昨今の運動部活動に貢献するような活動をするですとか、タイプ別にそれぞれの認証の基本的な要件を定めて、例えば介護予防をきちんとするクラブですねとか、そういった活動を促す効果があるものと考えています。
 制度の運用体制の(1)ですけれども、1つ目の丸にございますが、全体的なものはここにありますが、日本スポーツ協会がSC全国ネットワークを基盤として整備してはどうかということ。3つ目の丸にございますけれども、都道府県における運用は都道府県体育・スポーツ協会と都道府県ごとの総合型クラブ連絡協議会を主体として運用してはどうか。
 (2)、この登録・認証の手続については、都道府県単位で行いまして、運用主体である先程の両者と、例えば都道府県行政等の第三者を含む会議体で、書面あるいは実地調査により審査してはどうか。(3)にありますけれども、更新制というのをとって、自己点検・評価を実施してはどうか。そういうところをこの登録・認証制度の枠組みとして考えてございます。
 現在このように、先程言いました2020年からの運用を考えて今検討を進めておりますので、こういった場をお願いして、御意見いただければと思います。よろしくお願いします。
【渡邉部会長】  そうしましたら、工藤委員、いかがでしょう。
【工藤委員】  私、実はスポーツ協会の、この総合型のある事業の審査をする研究会の方にも関わっておりまして、総合型地域スポーツクラブのガバナンスがとても貧弱なところですとか、様々なクラブがあることを実感しておりまして、そういう意味では、きちんとある程度の公益的な活動をしてもらえる、そして志としても、さっきの介護予防とかいろいろな事業の、こういう部分を担ってくれているんだなという、見える化するというのがやはり必要なのではないかなと思います。
 今はスポーツ協会さんの職員の方が、スポーツ協会さんに関わる事業をされている総合型地域スポーツクラブにかなり御指導されていて、問い合わせなどのお仕事をされていますので、もっと広い意味でのガバナンスを利かせるというのは、時代として必要になってきたのかなと。ただ、これは毎年見直しをしますとされていますけれども、やはりクラブへの評価も変わってくるし、まだ総合型ですと、ある志の、熱意のある方が引っ張っているときはいいんですけど、ちょっと代が替わったりとか運営体制が変わると、去年まではよかったんだけど、今年はどうかなというのもあったりしますので、そういった課題みたいなところが今後うまく整理できれば、非常にいい制度ではないかなというふうに思いました。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 萩委員、お願いします。
【萩委員】  ありがとうございます。1つ質を高めるという点では、こういう1つの基準が明確になっていくということはいいと思うんですが、多分現場では、逆に、こういうふうに評価されて、自分たちが認められないんじゃないかとか、非常に心配しているような声も聞きます。今3,500あるうちの2,700が登録をしている、さらに2,700の中で、この基準に、オーケーというか、きちんと基準を満たせるところがどれぐらいあるのかなということがちょっと気になることと、あと、やはり質を上げるという、促進をするということであれば、ただ単に認定で終わるのではなくて、その認定に至るプロセスをどうサポートするかというところも併せてやっていかないと、質の向上にはつながらない。そうすると、もう認められるのは1,000で、減りましたみたいになっても困るし、今、工藤さんがおっしゃったように、やはり現場ではどうしていいか分からないというような部分もありますし、公私混同というか、本当に、ある会社が何か法人格を作ってやっているようなところもあるので、そこの精査もしていかなければいけないと思いますが、本当にしっかり地元で頑張ってやっていきたいなと思うようなところに対しては、是非何か次のステップまで考えていただけるといいかなというふうに思います。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 泉委員、お願いします。
【泉部会長代理】  貴重な御意見ありがとうございました。そこをしっかりと改善しながら一歩一歩進めていこうということで、まず2020年には、この制度を導入するということで、今年は新潟県と兵庫県で実証実験を始めています。その結果、ここは改善していこうといったような点、特にガバナンスも含めてしっかり対応していきたいと思っております。
 ただ、スポーツ協会としては、大変大きな仕事をさせていただけるわけですが、やはり一番気になっていますのは、行政と一緒になっていかないと、民間クラブとしてはなかなか自分だけではできないところがいっぱいあるわけです。学校開放も含めて、それから予算の問題も含めてです。都道府県の行政がいかに、県体協あるいは県スポーツ協会、市町村も含めて、しっかりと御指導いただけるかが非常に大きなポイントかなと思っています。ここについては、スポーツ庁からも是非力強く御支援をいただきたい。
 以上です。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。 髙﨑委員、お願いします。
【髙﨑委員】  ガバナンスという観点からいうと、様々な団体や組織の関わり方について整理をされたらどうかと思います。この案件は例えば日本スポーツ協会だと決まるのであれば、そこに集約するという判断は、スポーツ庁しかできないはずです。関連する団体が多過ぎる、複雑すぎるのであれば、それを整理し束ねる役割は多分スポーツ庁です。同時に、従来の各地域の体協なりスポーツ協会と総合型スポーツクラブの関わりはいろいろありますが、そこも1回整理してガバナンスの再構築が必要だと思います。今回私たちが関わっている地域ですが、人口616人の村で活発に活動する総合型スポーツクラブがあります。そこにはスキー場もあれば温水プールもあるという、そんな地域を私たちは、まだ見逃していました。そんな地域も含めてきちんと整理するといいかなと思いました。お願いします。
【渡邉部会長】  ありがとうございます。
 そうしましたら、この議題については一旦ここで締めたいと思います。
 次回のスケジュール等につきまして、事務局より御説明お願いします。
【安達健康スポーツ課長】  本日も非常に活発に御議論いただきまして、ありがとうございます。次回の日程等につきましては、また追って事務局より御連絡させていただきます。
 なお、本日は大変時間も限られておりましたので、先ほど部会長からございましたように、お気付きの御意見ですとか、特に今後行いますヒアリングに向けたアドバイスも含めまして、事務局にメール等でお知らせいただければ幸いと考えています。どうぞよろしくお願いします。
【渡邉部会長】  ありがとうございました。
 本日はこれにて閉会といたします。


―― 了 ――

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