スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第1回) 議事録

1.日時

平成28年6月29日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

一橋大学一橋講堂 特別会議室

3.議題

  1. 部会長等の選任について
  2. スポーツ審議会スポーツ基本計画部会運営規則について
  3. 第1期スポーツ基本計画の進捗状況と課題について
  4. その他

4.議事録

スポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第1回)
平成28年6月29日

【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。ただいまから第1回スポーツ審議会スポーツ基本計画部会を開催させていただきます。
皆様、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は最初の会議ということで、後ほど部会長をお決めいただくことになっております。それまでの間、便宜的ではございますが、事務局でありますスポーツ庁政策課長の私、澤川が議事を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それではまず、本日の配付資料の確認をさせていただきます。お手元に配付しておりますクリップ止めの資料に沿って御説明させていただきます。まず、資料1でございますが、部会の委員名簿でございます。資料2-1と2-2が、スポーツ審議会の概要、並びに本部会の設置についてとされている紙でございます。資料3は、後ほどお諮りいたしますが、この部会の運営規則の案でございます。資料4-1、4-2が、先日6月1日に行われましたスポーツ審議会に対する諮問ということでございます。資料5が、第1期、現行のスポーツ基本計画の進捗状況と課題ということで、検証状況の評価でございます。資料6-1が今後のスケジュール、6-2が今後予定しております団体ヒアリングの日程(案)でございます。参考1以下は、スポーツ基本法等になってございます。御確認いただきまして、不足等ございましたら事務局までお申し付けいただければと思っております。
また、本日新たに臨時委員として発令された委員の方々には、僭越でございますが、お手元に任命の辞令を置かせていただいています。併せてお収めください。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日御出席の委員の方々を御紹介させていただきます。資料1に沿いまして、出席の委員の方々を五十音順に御紹介させていただきます。
まず最初、泉正文委員でございます。
【泉委員】  泉でございます。おはようございます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  伊藤数子委員でいらっしゃいます。
【伊藤委員】  伊藤でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  大塚眞一郎委員でいらっしゃいます。
【大塚委員】  大塚です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  久木留毅委員でいらっしゃいます。
【久木留委員】  久木留です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  久住時男委員でいらっしゃいます。
【久住委員】  久住です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  桑田健秀委員でいらっしゃいます。
【桑田委員】  桑田です。どうぞよろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  境田正樹委員でいらっしゃいます。
【境田委員】  境田でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  髙橋秀文委員でいらっしゃいます。
【髙橋委員】  髙橋でございます。よろしくお願い申し上げます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  田口亜希委員でいらっしゃいます。
【田口委員】  田口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  田中ウルヴェ京委員でいらっしゃいます。
【田中委員】  田中です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  友添秀則委員でいらっしゃいます。
【友添委員】  友添です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  萩裕美子委員でいらっしゃいます。
【萩委員】  萩でございます。よろしくどうぞ。
【澤川スポーツ庁政策課長】  原田宗彦委員でいらっしゃいます。
【原田委員】  原田です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  増子恵美委員でいらっしゃいます。
【増子委員】  増子恵美です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  結城和香子委員でいらっしゃいます。
【結城委員】  結城と申します。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  和久貴洋委員でいらっしゃいます。
【和久委員】  和久です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  また、本日所用にて御欠席でございますが、朝原宣治委員、福井烈委員がいらっしゃいます。
なお、本日はスポーツ審議会の山脇会長にも御出席いただいております。
【山脇会長】  山脇です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  山脇会長におかれましては、今後の部会も御都合のつく限り御参加いただくというふうに伺っているところでございます。
それでは、続きまして、スポーツ庁からの出席者を御紹介させていただきます。
まず初めに、鈴木大地スポーツ庁長官でございます。
【鈴木スポーツ庁長官】  おはようございます。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁次長の髙橋でございます。
【髙橋スポーツ庁次長】  髙橋でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  同じく、審議官の木村でございます。
【木村スポーツ庁審議官】  木村でございます。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ総括官の平井でございます。
【平井スポーツ総括官】  平井です。よろしくお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁参与の木藤でございます。
【木藤スポーツ庁参与】  木藤です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  健康スポーツ課長の井上でございます。
【井上健康スポーツ課長】  井上でございます。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  競技スポーツ課長の先﨑でございます。
【先﨑競技スポーツ課長】  先﨑でございます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁国際課長の今泉でございます。
【今泉スポーツ庁国際課長】  今泉です。おはようございます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁参事官(地域振興担当)の仙台でございます。
【仙台スポーツ庁参事官】  仙台です。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)、由良でございます。
【由良スポーツ庁参事官】  由良でございます。よろしくお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  最後になりますが、私、スポーツ庁政策課長の澤川でございます。よろしくお願いいたします。
あと1名、オリンピック・パラリンピック課長の勝又がおりますけれども、所用のために遅れてまいるということでございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、議事に入らせていただきます。
まず、本部会の所掌事務について御説明申し上げます。資料2-1並びに2-2を用いて御説明させていただきます。お手元に御用意ください。
まず、資料2-1、スポーツ審議会の概要でございます。
もう御存知かと思いますが、平成27年、昨年10月にスポーツ庁が設置されたことに伴いまして、スポーツ庁にスポーツ審議会が設置されております。その事務でございますが、1番のところをご覧いただければ、(1)でございますが、スポーツ庁長官の諮問に応じと、スポーツに関する施策の重要事項を調査審議するということが、主な事務となっております。この、スポーツ庁長官の諮問ということで、後ほど御説明させていただきますが、去る6月1日に第2期スポーツ基本計画の策定についてということで諮問がなされているところでございます。
あと、下のところになりますが、米印のところ、このほか必要があるときは部会並びに臨時委員を置くことができるということになっております。部会に関する規定は、この資料の3ページに、スポーツ審議会令第5条が部会についての規定を置いてございます。
かいつまんで御説明申し上げますと、5条1項のところで、審議会は部会を置くことができると。2項で、部会に属すべき委員、臨時委員等は会長が指名する。3項は、部会に部会長を置き、委員の互選により選任をする。1つ飛びまして5項、部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理する、部会長代理についてということでございます。
これにつきまして具体的に規定を置いておりますのが、資料2-2になります。これは、去る6月1日のスポーツ審議会総会におきまして、この表題にございますスポーツ審議会の部会が設置されたと、部会の設置について決定したというような紙でございます。部会の名称は、中ほどにございますが、スポーツ基本計画部会ということでございます。部会の所掌事務は、諮問に対応いたしまして第2期スポーツ基本計画について調査審議することとなっております。なお、この部会の設置期間についてでございますが、所掌事務に関する審議、すなわち第2期スポーツ基本計画に関する審議が終了したときには廃止するという形になっているところでございます。
以上が、スポーツ審議会並びに基本計画部会の概要についての御説明でございます。
続きまして、議事のその2でございますが、本部会の部会長をお選びいただきたいと思っております。部会長の選任につきましては、先ほど御説明申し上げましたが、スポーツ審議会令第5条第3項の規定によりまして、部会に属する委員の互選により選任するとなっております。
ということでございまして、どなたか委員の方から部会長につきまして御推薦いただけませんでしょうか。
【伊藤委員】  伊藤でございます。私のほうから友添委員を御推薦させていただきたいと思っております。私、スポーツ審議会で御一緒させていただいておりますが、会長代理をお務めでいらっしゃいまして、それから、早稲田大学でスポーツ科学学術院長もお務めでいらっしゃいます。本計画検討において、スポーツ政策全般に精通していらっしゃるということで御推薦させていただきたいと思います。お願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  ありがとうございます。
ただいま伊藤委員から、部会長に友添委員の御推薦がございました。皆様、いかがでございましょうか。
                            (「異議なし」の声あり)
【澤川スポーツ庁政策課長】  ありがとうございます。それでは、友添委員が部会長として選任されました。
恐れ入りますが、友添委員には部会長席にお移りいただくよう、お願いいたします。それでは、一言御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【友添部会長】  改めまして、おはようございます。微力ではありますけれども、2020東京オリパラを迎えて、非常に大きな局面を迎えてくるかと思います。是非、円滑な協議と御議論を頂ければと思います。よろしくお願いしたいと思います。
【澤川スポーツ庁政策課長】  ありがとうございます。
それでは、今後の議事進行につきましては友添部会長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【友添部会長】  それでは、早速ではありますけれども、今、お話がありましたように、部会長代理を決めさせていただきたいと思います。部会長代理でありますけれども、部会長に事故等の不都合があるときに、職務を代理いただくことになる職であります。部会長代理の選任につきましては、資料2-1の3ページにございますスポーツ審議会令第5条第5項の規定によりまして、審議会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名することとされております。
そこで、私といたしましては、是非、泉委員にお願いをしたいと考えております。御承知のように、泉委員は我が国のスポーツ団体を統括しております日本体育協会におきまして専務理事を務めていらっしゃいます。スポーツ審議会総会の委員としてもスポーツ政策全般に深く関わっておられますことから、是非、部会長代理にお就きいただければと思っております。
いかがでしょうか。
                            (「異議なし」の声あり)
【友添部会長】  御異議ございませんか。ありがとうございます。それでは、泉委員に部会長代理をお願いしたいと思います。
恐れ入りますけれども、泉委員、部会長代理席にお移りいただければと思います。一言御挨拶をお願いいたします。
【泉部会長代理】  改めて、おはようございます。先ほど資料を拝見しておりましたら、この部会は結構ハードスケジュールでございまして、微力でございますが、友添部会長を支えて、しっかりとした新しい基本計画を作るために邁進いたしたいと思います。是非御支援を頂きたいと思います。ありがとうございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。ハードワークとハードスケジュールが待っております。是非円滑に進めてまいりたいと思います。
それでは、次の議事に入ります。スポーツ審議会スポーツ基本計画部会運営規則(案)につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは、資料3、スポーツ基本計画部会の運営規則(案)をご覧ください。この部会の運営規則(案)でございますが、既に定められております総会の運営規則をベースに、部会に特有のもの、不要な規定を削除しつつ、やっておりますので、基本的には総会の運営規則と同じでございます。
第1条をご覧いただきますと、趣旨でございます。「基本計画部会の議事の手続その他部会に運営に関し必要な事項は、この規則の定めるところによる」となってございます。
第2条が、会議の公開でございます。「部会の会議は、次に掲げる場合を除き、公開して行う」とありますので、原則公開ということでございます。ただ、例外に当たります非公開の事例が、1号、部会長の選任その他人事に関する事項、第2号でございますが、公開することで公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる場合ということでございます。
第3条は、会議の傍聴となってございます。あらかじめ登録を受けなければいけないとなっております。登録された方は、部会長の許可を得て、撮影、録画、録音ができるようになってございます。
おめくりいただきまして、第4条でございます。会議資料の公開についてとなっております。「部会長は、部会の会議において配付した資料を公開しなければならない」となりますので、先ほどと同じように、会議資料につきましても原則公開となっております。「ただし」と書いてあるところで例外規定を設けておりまして、公開することで公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるという場合につきましては、資料の全部又は一部を非公開というふうになっております。
第5条は、議事録の公開でございます。同じように、部会の会議の議事録については、これを作成し、公開しなければならないとなってございます。例外規定については、会議資料の公開等と同じでございます。第2項は、非公開とする場合には、議事要旨を作成し、これを公開するとなっているところでございます。
第6条については説明を省略させていただきます。
運営規則(案)についての説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、本部会の運営規則につきまして、今お示しをさせていただきました原案のとおり決定したいと思います。ありがとうございました。これで、本部会の発足に必要な手続は全て終了いたしました。
それでは、ここで報道関係者等の入室を許可したいと思います。なお、本日は、報道関係者から会議全体についてカメラの撮影を行いたい旨の申し出がございます。許可いたしますので、御承知おきいただければと思います。
それでは入室をお願いいたします。
                        (報道関係者、一般傍聴者 入室)
【友添部会長】  それでは、スポーツ基本計画部会の発足に当たりまして、鈴木スポーツ庁長官から御挨拶をお願いします。
【鈴木スポーツ庁長官】  皆さん、おはようございます。スポーツ庁の鈴木でございます。本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
スポーツ審議会の基本計画第2期を策定するわけですが、非常に日本のスポーツにとって重要な会議だと思っています。日本のスポーツの方向性を示すものでありますので、是非皆さんの御協力をお願いしたいと思っています。
この5年間、第1期のところで何があったのか申しますと、もちろん2020年大会の開催の決定、あるいはスポーツ庁の創設といったところも含まれてくるかと思います。この5年間でいろいろスポーツのところも変化をして、社会も変わっているわけですが、スポーツ庁もできまして、これから、これまでにない所掌としてスポーツが産業化していこうというものであります。それから、もう1つは、地方を巻き込んで、スポーツで地方を活性化し、元気にしていく、そういったこともこれまでにない非常に重要なところかなと思っています。
この5年間で全般として少子化だとか高齢化だとかが進んでおりまして、こういったところにもスポーツが有用ではないかというのも示していく必要があると思います。これまでの、国際競技大会で何個メダルを取るということだけではなくて、それ以外の、スポーツのよさ、価値を示していくことが、スポーツとしての全体の存在感を示していくことではないかと思っています。
一方で、競技力を上げながらも、スポーツ団体等の組織等のコンプライアンス、ガバナンスを徹底しなくてはいけませんし、全体としてのインテグリティを高めなくてはいけないと思っています。
また、日本のスポーツをこれまで支えてきた組織の1つとして部活動というものが挙げられますが、部活動も、地方に行ってしまいますと、もうチームも組めないというような、子供の少子化、そしてメンバーの不足というものも考えられていますので、こういったところにも民間をいろんな形で巻き込みながら、国として何ができるのかというのも考えなくてはいけないと思っています。
それから、スポーツ庁でもこれまでは、健康寿命の延伸だとか寿命との差を縮めるとかって言ってきましたけれども、ここで、スポーツをして元気になって寿命がどんどん伸びていって、今まで例えば80で寿命が来ていたものが、これからは90歳、100歳になるかもしれない。そうしたときの社会保障費だとか年金だとか、トータルコストで考えたらどうなのかというのも含めて、スポーツ界が何ができるのかというのも考えていく必要があるのではないかと思います。
私が余りべらべらしゃべり過ぎても時間がなくなりますので、この辺にいたしますが、どうか皆様の活発な御議論をお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。基本計画のこの部会にとって重要な御示唆を頂けたと感じております。
それでは、次の議題に移りたいと思います。第2期スポーツ基本計画の策定について、これは諮問でございます。これと、第1期スポーツ基本計画の進捗状況と課題につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは、お手元に資料4-1、4-2、並びに資料5を御用意ください。
まず、資料4-1と4-2でございますが、先日、6月1日、スポーツ審議会に対して鈴木長官から行われた諮問についての概要でございます。今後の検討の観点ということで、参考までにお手元に配らせていただきます。資料4-2は諮問文そのもの、本体でございまして、全文でございます。その概要ということで資料4-1がございますので、これについて御説明させていただきます。
繰り返しになりますが、6月1日に行われた諮問ということで、今年度中に第2期スポーツ基本計画を策定いただきたいという趣旨でございます。このオレンジのところが、諮問の際に総会に投げかけられた検討の観点、検討の視点でございます。大きく4つございます。
まず、第1にということで、5年間の諸施策の達成状況等の検証を行っていただきたいということでございます。これにつきましては、本日、後ほど、資料5に沿いまして現状について御説明をさせていただきたいと思います。
第2につきましては、第2期スポーツ基本計画の総論に当たるところでございますが、計画の方向性を分かりやすく簡潔に国民に発信できるようにということで、具体的に4点でございます。スポーツに関わる全ての人がスポーツの価値を学び、具体化・共有化するということで、究極的にスポーツを国民の文化として根付かせるということ。第2は、スポーツ界のコンプライアンスやインテグリティ。第3は、スポーツの価値ということで、共生社会の実現など、スポーツが社会の発展、変革に貢献し得るということを具体的に示すと。第4は、2020年東京大会に向けて価値を高め、レガシーをしっかり残す、引き継がれるということでございます。
第3は、計画の具体的内容、具体的施策についてでございます。後ほど御説明いたしますが、現行、7つの柱、政策目標があるわけですが、それに捉われることなく、簡潔な形で体系化を図っていただきたいということ。2つ目が、分野横断の視点として、縦割りではなく、人材とか場といった切り口からも御検討いただきたいということ。3つ目でございますが、スポーツ庁が創設されたということを踏まえまして、スポーツによる健康増進、地域の活性化、国際交流や貢献、スポーツビジネスといった点についても、積極的に御議論いただきたいということ。
第4は、できる限り成果指標を設定していただきたいということでございます。
こういう観点に沿いまして、今後、第2期スポーツ基本計画の策定に向けた御議論を賜れればと思っております。
それでは、現行、第1期のスポーツ基本計画の進捗状況と課題につきまして、資料5に沿いまして御説明をさせていただきます。資料5は総論と各論、2部構成になってございます。
現行のスポーツ基本計画は7つの柱によって構成されております。順に、一番最初、第1の柱が、子供のスポーツの機会の充実でございます。1ページ中ほどにございますが、2つ目の柱が、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進です。3つ目の柱が、地域のスポーツ環境の整備となっております。ページをおめくりいただきまして2ページ、4つ目の柱がございまして、国際競技力の向上に向けた人材の養成、環境の整備等々ということで、国際競技力の向上でございます。5つ目の柱が、国際競技大会の招致等による国際交流・国際貢献。6つ目の柱が、ドーピング防止、スポーツ仲裁等によるスポーツ界の透明・公平性の確保ということ。7つ目の柱が、トップスポーツと地域スポーツの連携・協力による好循環ということでございます。
具体的な内容につきましては、4ページ以下に沿いまして御説明をさせていただきたいと思っております。時間の関係でちょっと早口になりますが、御了承ください。
まず1つ目の柱、子供のスポーツの機会の充実でございます。上のところ、政策目標ということで、現行のスポーツ基本計画が掲げております目標でございます。子供のスポーツにつきましては、今後10年以内に子供の体力が昭和60年頃の水準、統計上は最高というふうになっておりますが、60年頃の水準に戻るということで、今後、体力の向上傾向を維持していこうということでございます。
この政策目標に応じまして、左側にあります施策目標ということで、3つの柱を入れております。1つ目の柱、子供体力向上方策につきましては、中ほど、これまでの取組の成果というところをご覧いただきますと、体力調査をやっております。ほとんどの年代で緩やかな向上傾向にあるということでございますが、ただ、昭和60年頃と比較すると、依然低い水準になっているということになっております。
5ページにお移りいただきますと、2つ目の施策目標であります、学校体育の充実ということでございます。中ほどのところ、これまでの取組と成果の2つ目の白丸になりますが、小学校における体育の専科教員の配置を進めるなど、指導体制の充実を図っております。また、下から5つ目をご覧いただきますと、部活動につきましては、複数競技合同など多様な運動部活動作りということで、運動の苦手な子を含めたきめ細やかな指導を目指しているということを言っております。また、下から3つ目のところでございます、部活動の運営の適正化ということでございます。右側のところをご覧いただきますと、教員の負担軽減とか、スポーツの魅力を伝える指導ということで、外部指導者の活用促進に努めていると、これが今後の課題になっているということでございます。
1枚おめくりいただきまして、6ページでございます。施策目標3つ目の柱、子供を取り巻くスポーツ環境の充実ということで、一番上は、スポーツ少年団の加入率について触れております。一番下の白丸のところは、障害児のスポーツの実施状況ということで、7歳から19歳までの障害児が週1日以上スポーツ・レクリエーション等を行った日数は30.7%となってございます。
この1つ目の、子供の体力向上についての全体的な取りまとめでございます。進捗状況と課題というふうになっております。ほとんどの年代で緩やかな向上傾向を示しておりますが、ただ、昭和60年代と比較すると依然と低いということ。また、学校体育と地域スポーツの連携を一層進めることが重要だということを示しております。
2つ目の大きな柱でございます。ライフステージに応じたスポーツ活動の推進ということで、この政策目標につきましては、成人の週1回以上のスポーツ実施率が3人に2人、65%程度になることを目標として掲げているところでございます。具体的な進捗状況につきましては、7ページの中ほど、一番上の白丸になりますが、平成27年度に実施した調査では、週1回以上スポーツを行った方の割合が40.4%となっております。特に20歳代、30歳代の方が低いというデータが見えております。また、1つ下の丸でございますが、スポーツ無関心層にどうやって働きかけるかということが課題となっております。下から4つ目、障害者、これは成人でございますが、成人の方のスポーツ実施状況につきましては18.2%ということで、上にございます健常者の方に比べて低い数字になっているというデータが見てとれるところでございます。
おめくりいただきまして、8ページでございます。柱でございます、スポーツにおける安全の確保につきましては、ここに書いてあるような取組、課題がございます。
全体の取りまとめ、進捗状況と課題についてでございますが、成人のスポーツ実施率につきましては、平成27年度の調査では実施率が減少しているということで、多様なニーズを踏まえた新たな取組が必要となってきております。また、スポーツ庁が発足したということで、スポーツを通じた健康増進ということで、健康寿命をできるだけ平均寿命に近づけるような、そういう取組が必要だということ。また、障害者が身近な地域でスポーツに親しむことができる、そういう環境の実現が課題だということでございます。
3つ目の柱、9ページになりますが、地域のスポーツ環境の整備ということでございます。政策目標につきましては、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ指導者・スポーツ施設の充実ということを掲げてございます。これまでの取組と成果のところでございます。1つ目の白丸でございますが、総合型クラブの設置率は伸びているが、まだ目標には達していないということになっています。その他、総合型クラブについては、財政的な自立を含めた質的な充実であるとか、そういうことが課題になっているということを書いてございます。
おめくりいただきまして、10ページでございます。スポーツ指導者の充実につきましては、ここに掲げてございますような、日本体育協会の補助等を通じて指導者養成に係る取組を進めているところでございます。
また、地域スポーツ施設の整備でありますとか、企業・大学等との連携につきましては、ここに書いてあるところでございます。
この柱の全体的な取りまとめ、進捗状況と課題につきましては、総合型クラブについては、市町村の割合は80.8%ということで、設置・創設が進んでございますが、財政的な自立を含めた質的な充実が今後の課題という形でございます。あと、下の中ほどにございますが、スポーツ指導者の資質能力の向上、アスリートのキャリア形成支援、ボランティア、審判員などスポーツを支える人材の育成が課題でございます。あと、一番下の白丸でございますが、スポーツ施設の計画的整備、民間活力の導入、収益性の向上が課題となってございます。
4番の柱、おめくりいただきまして12ページでございます。国際競技力の向上ということで、政策目標には、国際競技力の向上を図るため、体系的な人材養成システムなどスポーツ環境の整備を行うということを掲げております。また、オリンピック・パラリンピックにおけるメダル獲得についても一定の目標を掲げているところでございます。
施策目標ということで、(1)は、戦略的支援の強化ということになります。具体的な施策として、ジュニアアスリートの発掘とか、スポーツ医・科学、情報による支援等々を掲げてございます。また、13ページの一番下のところになりますが、障害者スポーツ行政につきましては、平成26年度に、これまで厚労省の所管でございましたが、文科省スポーツ庁の所管に移管されているところでございます。
おめくりいただきまして、14ページ、15ページでございます。
(2)のところは、スポーツ指導者や審判員等々の養成でございます。
(3)につきましては、トップアスリートの強化・研究の拠点の構築ということでございます。NTCの拡充整備でありますとか、JISS・NTCのオリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用などを打ち出しているところでございます。
15ページの下のところ、進捗状況と課題でございます。こういったことを踏まえまして、2012年ロンドンオリンピック並びに14年のソチオリンピックでは、総メダル獲得数で一定の成果が得られたところでございます。ただ、金メダルランキングにつきましては、当時設定した目標にはまだ達成してないということでございまして、ここに掲げております様々な取組を推進することが求められているところでございます。
5つ目の柱、国際交流・貢献でございます。16ページ、17ページをごらんいただければと思います。政策目標としては、国際競技大会の積極的な招致、国際情報の収集・発信、国際的な人的ネットワークの構築等々を掲げてございます。
(1)の、競技大会の招致につきましては、まず一番大きなのが、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の招致の成功ということでございます。その他、ラグビーワールドカップ2019、2017年の冬季アジア札幌大会、関西ワールドマスターズ等々があるところでございます。
17ページは、いわゆるIFへの人材の派遣でありますとか、下のところは、国際的な人材ネットワークの構築等々を掲げてございます。
18ページをご覧いただきますと、進捗状況と課題のところでございます。大規模な国際競技大会の招致を契機とした国際貢献に取り組みつつあるという形で、一定の成果を述べているところでございます。あと、今後は、2020年以降のオリパラのレガシーをどう残し、スポーツの価値をどう高めていくのかでありますとか、国際スポーツ界における我が国のプレゼンスの向上が課題、重要であるということでございます。
第6の柱が、ドーピング防止やスポーツ仲裁等々でございます。政策目標として、ドーピング防止活動、スポーツ団体のガバナンスの強化、スポーツ紛争の仲裁等々、掲げてございます。
(1)ドーピング防止活動につきましては、副大臣の下でタスクフォースを設置し、検討を進めてございます。
(2)の、ガバナンスにつきましては、平成26年度にフェアプレーガイドラインを策定しているということがございます。また、JPCと日本財団が連携してパラリンピックサポートセンターを昨年度設置したというような取組もございます。
おめくりいただきまして、(3)は日本スポーツ仲裁機構等々についての規定でございます。
進捗状況と課題につきましては、今後、国際的な水準のドーピング検査体制の充実が必要になってくるということでありますとか、NFのガバナンス向上、スポーツ紛争の予防及び迅速・円滑な解決でありますとか、3つ目の丸では、スポーツ界におけるコンプライアンスの徹底とか、インテグリティの確保、自律・自立的な活動の基盤整備ということが求められてございます。
最後、好循環のところですが、政策目標として、トップスポーツの伸長とスポーツの裾野の拡大で好循環を創出していこうということでございます。
1つ目の丸にございます、「地域スポーツとトップスポーツの好循環プロジェクト」等々で取り組んでいるというところでございます。
最後になりますが、22ページ、進捗状況と課題ということにつきましては、2つ目の丸で、トップスポーツと地域スポーツの人材の好循環を促すさらなる取組が必要ということを言っております。あと、スポーツ関連産業の活性化ということで、その収益をスポーツ環境の充実に再投資する好循環ということも、新たに必要になってくるということを言っているところでございます。
駆け足で恐縮でございますが、現行スポーツ基本計画の進捗状況と課題について御説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
鈴木長官からの諮問内容の概要と、24年度から28年度までの第1期の課題と進捗状況について御説明いただきました。
きょうは、最初の会議ということでもありますので、各委員の自己紹介を頂きながら、ただいまの御説明に対しまして御意見等についてお伺いしたいと思います。恐縮なんですけれども、お一人約3分程度で、時間は計りませんので、そこのところは御協力いただきながら3分程度で御発言を頂きたいと思います。伊藤委員から和久委員まで順次お願いをしたいと思います。それではよろしくお願いします。
伊藤委員、よろしくお願いします。
【伊藤委員】  伊藤でございます。よろしくお願いいたします。
長官から冒頭にありましたように、平成24年からの5年間というのは、本当にこの国のスポーツの環境が劇的に変わった時期だなと思います。そういう意味で、次の5年間の計画の策定というところに身を置かせていただくことは、非常に光栄でありますし、引き締めて、地に足を着けてやってまいりたいと思います。
1枚のペーパーで3点、申し上げたいと思います。
1点目は自己紹介です。「Universal Communication」を掲げて、パラスポーツを通して共生社会を創りたいという事業を行っています。その内容が大きくオレンジの枠3つです。
一つ目はWebで情報を発信しています。2003年から障害者のスポーツの大会のインターネット生中継を行いました。そのときに「おまえらは障害者をさらし者にするつもりか」と言われたことが、私の活動のきっかけとなりました。そういう言葉がなくなる社会にしたいというのが、私の共生社会を目指す道の始まりです。
二つ目は、体験会です。いろんな方にスポーツを体験をしていただくイベントをしています。これは全国でやれるようになってまいりました。障害が人にあるのではなくて、階段や社会にあるねということを体験していただく、スポーツ体験会。
三つ目が、ボランティアアカデミー。これは、2020年の東京大会が決まったことにより、たくさんの人がオリンピックではなくパラリンピックのお手伝いをしたいというお申し出くださったことから、始めたことでございます。ボランティアのスピリットを学ぶ講座を計画しました。結局は、受講生の中に、(この星マークにあるように)「実技の講座の次の日に視覚障害の人を街の中で見つけて、生まれて初めてお声掛けをして、駅まで御案内しました。」という方がいらっしゃいました。ボランティアのことを学ぶ目的で受講してくださった方が、共生社会を創っていく1人になってくださいました。アカデミーでは、これを目指して継続していけたらいいなと思っております。
次に、これからやっていきたいと考えていることです。特に、私は地域でスポーツを、ということを進めていきたいと思っております。とても重要じゃないかと思っています。もともと始めたのが、金沢の電動車椅子サッカーチームのインターネット生中継から始まっています。ここの金沢ベストブラザーズの重度障害の選手、この方は施設で暮らしていましたけれども、「サッカーを始めてから私の人生が白黒からカラーになった」と言いました。私は、そういう人がどんどん、住んでいる地域で増えていけばいいなと考えております。
スポーツは、東京でもやるものでもテレビの中でやるものでもなく、やはり自分の住んでいる地域で、したり見たり支えたりということが行われていくのが、とても重要じゃないかなと考えております。
星の3つ目ですけれども、そういう意味で、大学との協定というのを昨年から進め始めました。最初に昨年は関西学院大学さんと包括協定を結びまして、大学の皆さんと一緒に授業を進めたり、あるいは大学が市民講座というものを開いたりして、様々な事業を行っています。今年は広島大学の客員を拝命いたしましたので、西日本でも活動を進めてまいりたいと考えております。
特に、東京オリパラのことに関して、地元の金沢なんかに帰りますと、「そういえば、あったっけ」というような、大変な温度差を感じますので、ここの部分も4年間で差が開いてしまってはと危惧しております。地方へ、ムーブメントの展開をしていけたらと思っております。
最後、3点目ですが、私が今の御説明いただいた計画に対して考えていることです。今までの5年間とこれからの5年間、大きく違うのは、障害者スポーツが厚生労働省にあったときにはできなかったこと、一元化したからこそできることではないかと考えています。
その中の一例を最後に挙げております。障害のある子供が小学校、中学校、高校とも普通学校に進むケースが増えてきている。そんな中で、子供たちが算数や国語は一緒に授業が受けられるんですが、体育の時間になると見学になっちゃうというケースがとても多い。せっかく一緒に、みんな一緒だよって言っているのに、体育はいつも見学ってなると、やっぱり障害のある子は川の向こうの特別の子だねっていうことになってしまう。そういったことがなくなっていくように。ある障害のある子が先生に言いました。「先生、体育の時間、みんなで一緒にできたらいいね」って。そういう声に応えられるような制度が、一元化したからこそできるんじゃないかなと考えております。こんなことも進めていけたらと思っております。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、大塚委員、お願いします。
【大塚委員】  おはようございます。日本トライアスロン連合、そして国際トライアスロン連合、また日本オリンピック委員会ということで、今回からお邪魔させていただいております。
私は、トライアスロンという新しいスポーツを30年前に日本に導入し、オリンピックスポーツとなり、また国体となり、ここまで普及させていただいた、そういった実体験がこの計画策定において御参考になればいいなと思っております。
第1期スポーツ基本計画の策定の御苦労と、また、それのここまでの7つの柱で実施してきた内容に関して、競技団体の立場から非常にそれが目に映り、実践の場として既に世の中に出てきているということを今、実感させていただいております。ただ、今度、国際トライアスロン連合、国際の立場から見ると、日本のスポーツ自体の相関図がどのようになっているかというところが見えにくいというような部分も、これからの課題としてあるんじゃないかなと思っております。
また、全体的に、私が個人的にも、また日本オリンピック委員会の立場の中でも、2020に向かって何を一番主眼と置くべきかというところにおきますと、日本オリンピック委員会の役割、使命というところで、将来構想プロジェクトなどにも関わっておりますが、スポーツを通じた人材育成、これがJOCの主たる使命ではないかと考え、この人材育成を成し得ることで、ここにある7つの柱もいろいろなものが解消されていくんじゃないかなと思っております。
そういった中、2020に向かってまだまだ不足しているのが、オリンピック教育、オリンピックムーブメント、またオリンピズムを広げることではないかと思っております。1964年に、今日の資料にもありましたスポーツ少年団がオリンピック青少年運動として、国民運動として発生させたようなオリンピックの国民運動を、是非とも2020に向かってやっていきたいなと考えておりますので、これはJOCの立場からこれからも御提案させていただければなと思っております。
また、障害者の皆さんのスポーツに関して、私どもトライアスロンは、30年前から健常者と障害者を同じフィールドで全て競技をしてもらうようにしております。また、今も競技団体としてはオリンピック・パラリンピックを1つの競技団体でやるモデルケースというか、競技団体としては当たり前のように健常者と障害者の皆さんが同じフィールドで競技ができる環境作りをやっておりますので、そういった点でも御参考になればと思っております。
さらに、2020のレガシーということが話題になっておりますが、我々ができるレガシーは、建物や造るものもあると思いますが、先般もスポーツ庁のほうから御指導いただいた経営力強化、スポーツ産業の強化、こういったものも必ずレガシーにつながると思いますし、各競技団体が今までになかったマーケティング能力、それによる人材が育つ、そういったことも大きなレガシーになってくるんじゃないかなと思っております。
皆様と一緒に勉強しながら、この第2期の基本計画策定に尽力していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
久木留委員、お願いします。
【久木留委員】  私は、専修大学と日本スポーツ振興センターという2つの立場がございます。と申しますのは、文部科学省と経済産業省に設置していただいたクロスアポイント制度で、昨年、スポーツ庁設置とともに日本スポーツ振興センターのほうに在籍出向させていただきました。今、フルタイムのスタッフとしてハイパフォーマンス戦略部の部長を務めさせていただいております。
その中で私は、今回の第2期の基本計画について、5つの点でお話を少しさせていただきたいと思っております。
まず一つは、皆さん御承知のとおり、2013年9月7日に招致が決まって、アドバンテージがいろんな意味であったと思います。それが実はもう3年過ぎてしまったと。残り4年しかないというこの危機感を皆さんで共有しながら、スポーツが変わっていく、スポーツを通して変わっていくというところを、計画の中に入れていくべきだろうと思っております。
二つ目は、2020年の東京大会があるわけですから、そこまでの限定性と継続性・持続性ということをさらに意識する必要があるだろうと考えています。
三つ目は、組織委員会が終了後に出すレガシープラン若しくはレガシーレポートとの連動性を意識した計画にしていくべきであると思います。
四つ目が最も重要な点だと考えています。それは、スポーツ基本法のコンセプトである、デベロップメントスルースポーツ(Development through Sport)をより具現化した計画にしていかなければいけません。その中で私は、スポーツは社会の中のエコシステムになっていくべきだと思っています。エコシステムというのは共存共栄していく仕組みです。そうなることで、スポーツ×教育、スポーツ×ビジネス、スポーツ×健康、スポーツ×国際協力、その他、主要なものについてスポーツを通して社会を良い方向に変えていくことができると考えています。これらを、どういった形で具現化していくのかということを、第2期スポーツ基本計画に書き込んでいく必要があると思っています。
五つ目ですが、私は2012年ロンドンオリンピックまで3大会、レスリングのナショナルコーチを務めていました。その背景を基に話しさせて頂くと、実は、スポーツ界の中でトレーニングについて日常的に数値を活用した評価を行っている所は少ないんじゃないかと思っています。もちろん行っている団体や個人もいらっしゃると思います。これらのことを踏まえて、第2期スポーツ基本計画の中においても実効評価の表裏一体というのは、必ず入れていかなければいけないだろうと考えています。そのときに、評価をする場合は、責任体制を明確にする必要があります。さらには、評価の基準であるKPI(Key Performance Indicator)重要業績評価指標はどんなものが適切なのかも考えなければいけません。また、定期的に第2期スポーツ基本計画は評価をしていく必要があるでしょうから、モニタリングシステムをどうするかということも、やはり同時に考えておくことも重要となります。
最後に、第2期スポーツ基本計画を実行することで、スポーツを通して雇用を作っていくことも重要だと思います。 よろしくお願いいたします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
久住委員、お願いいたします。
【久住委員】  私は自治体の首長という立場と、それから、ここにスマートウェルネスシティ首長研究会の会長ということで書かれております。
私、4期目ということで、市長になって13年半なのですが、当初から健康施策というのを打ち上げました。当時は、健康を行政がやることに対しては理解がなかなか頂けない。それは行政とかそういうところが絡むものではないという認識がありましたけれども、健康政策自体は最も幸福論に近いだろうということで、今、スマートウェルネスの「ウェルネス」を、「健やかな幸せ」という当て字をしております。こういう施策をやってきました。当初、これを理解してもらうためには、運動する人としない人で、どのぐらい医療費が違うかを、個人情報に注意しながら調査しました。その結果、年間10万円違うということがエビデンスとして出され、今、国においても使われる1つの指標になっています。
そのことが実証されましたので、市民の皆さんに、もっと参加できるように施設とか整備をしたのですが、なかなか参加してくれないということがわかりました。私ども行政の中では、7・3の法則と言っておりますが、これは、どんないい成果、どんなにいいことだからと国民や市民に話をしても、残念ながらそれを素直に受けて、意識変換だとか行動変容につなげていく方は3割だというのが、各地の自治体でわかりました。
7割の無関心層に参加してもらわなければ、医療費とか介護を含めて成果にならない。これの闘いでありました。いろいろな施策をやったのですが、なかなか成果が上がらない中で、今、スポーツ庁で支援をいただいている健康ポイント制度で実証を行いました。事前にどれだけの年間インセンティブで人が参加するようになるか。報酬金額は大き過ぎてもだめ、少な過ぎてもだめということで、今、設定の年間2万円から2万4,000円というのが自分の御褒美として行動変容につながる。日本人の今の一般的なレベルということでこの実証実験は、6市で3年目に入りました。その結果として、今まで動いてなかった、すなわち無関心層の約7割ぐらいが参加をしてくれたという、すごいエビデンスが出ています。
骨太でもインセンティブという言葉が書かれているように、これは従来の考え方とはちょっと矛盾するが、人をいい方に導くためにはインセンティブ。残念ながらそれしか無関心層は動かない。こんな話に今、方向性を定めております。
その動かなかった人たちがなぜ動いたかというのを分析しますと、一番が実は口コミでありました。行政の方からの直接的アプローチだけでは動かないということがわかりました。しかし、仲間、日常的に接する友達からの話であれば、人が動くということがあります。今、200万人のインフルエンサー(伝道師)というのを、私も担当で、健康長寿推進委員ということで名前を付けてやろうと思っています。
今、スポーツを小さいときから行うことが人生にとっての大きな支えになるということを、リテラシーとして家族もお母様も、また地域全体が理解するというところからスタートすると、私どもが進めようというものを受け取り側のレベルとしてもかなり高くなる。そのことを誘導していくというのが、大きな基本的なものだろうと思います。
健康施策として考えている中に今回、スポーツというものを入れ込んで、そして、スポーツ自体が人生や地域を豊かにする、子供たちの教育の中からも進めていく、こういうふうになっていければと思っておりますので、現場を持っている者として、皆さんのお知恵をかりながら、1つの方向性ができあがればと思っております。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。
桑田委員、お願いします。
【桑田委員】  桑田でございます。現業は、今御案内の名簿にありますように、地域総合型スポーツクラブを経営いたしまして、15年経っております。略歴としては、モントリオール五輪にバスケットボール選手で参加したオリンピアンとしての経験と、その後の日本リーグの指導者、競技団体の経営、並びに地域の総合型地域スポーツクラブの関係を長年やらせていただきました。その経験を踏まえまして、今、2020年のオリパラが決まり、そしてスポーツ庁ができ、大変、スポーツ環境が目に見えて変わってきているのかなということを、地域でやっていてものすごく実感している1人であります。
それは、やはり、地域におけるスポーツのソフトインフラ。これは、いろんなお話を伺いますと、それぞれの団体は一生懸命やっているんですが、どうもその団体だけでということで完結していて、地域を俯瞰して見るコーディネーションがまだまだ現場にはないのかなという感じがしております。
そして、スポーツだけじゃなくて、健康目的の運動ですね、軽運動だとかそういうことも含めて、どうやってコーディネーションしていくかということが大変重要なんじゃないかなという気がしております。それには、場所の問題とやはり適切な指導者、本物の指導者を提供できる環境というのが、実は現場ではまだまだ少ないような気がしております。
そういう中で、先ほど、雇用という概念を言われた先生がいらっしゃいましたけれども、地域スポーツにおける雇用ということは言っていましても、その環境を創るのはなかなか難しいテーマでございます。やはり、地域で1人の指導者を受け入れていく、あるいはマネジメントターを受け入れていくというような、地域スポーツが組織として雇用という概念を持つことが今後の課題と考えます。地域スポーツの産業化――今、スポーツの産業といういろんなお話を伺いますが、スポーツに関係する企業分の産業を活性化しようという概念にしか、どうも私、は受け取れない。そうじゃなくて、地域のスポーツをやっている方々が、ちゃんとお金が回っていって、最低の生活ができ、地域のスポーツ振興にフルタイムで没頭できる環境づくり、これが非常に大事であって、その環境ができないと、トップアスリートのセカンドキャリアとかいろいろ言われますけれども、受け皿が実はないんですね
私も、専業で、24時間、365日、生活をかけてやっておりますけれども、やればできる環境というのは作れるなということを、15年かけて非常に実感しておりますので、それをベースに、ライフステージに合ったスポーツの場の提供ということ。もちろん企業のスポーツ環境、いろいろあるかもしれませんけれども、一番多いのは地域でやっているフラダンスのサークルから、我々の総合型、地区体協等、既存の地域スポーツの財産はいろいろありますので、そこがちゃんと有機的に効果的に連携をしながら、スポーツを提供する側が生活ができなきゃ、ボランティアではできませんので。だからといって、全部がそういう事業化ということではありませんが、ボランティアを残しつつ、しかるべきポイントの方々が事業化を目指しながら地域の専門職として生活をしていける環境作りということが、今後の2020年東京オリパラが終わった後のレガシーということにも直結する話で喫緊の課題だと思っております。
もう1つ、付け加えますが、地域はスポーツだけではもう動きません。やっぱり運動だとか地域包括との協働、あるいは文化振興、産業振興、こういうことをやはり1つのキーワードとしてコーディネーションしていく機能が必要で。なかなか現場では、難しいなということを15年間実感しておりますが、でも、それは、最近スポーツ庁ができたおかげ、オリパラが決まった影響で、少しずつ地域の行政も変わりつつあるなということをものすごく実感しておりますので、そういうような御提案とかそういう議論を是非この場でさせていただければうれしく思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
【友添部会長】  境田委員、お願いします。
【境田委員】  私は今弁護士であり、あとは、日本バスケットボールの協会の理事と、新しくできましたBリーグの理事と、あと、東京大学の理事もやっておりますので、それぞれの立場から簡潔にお話ししたいと思います。
まず、私がスポーツに関わるようになったきっかけは、弁護士として、スポーツ界のある不祥事案件の依頼を受けたことでした。その後、スポーツ団体で起きた不祥事案件について第三者委員会の委員として調査に関わったりするようになりましたが、それらの経験を通じて思ったのが、やはりスポーツ団体のコンプライアンスとガバナンスを確立していくということがいかにはなかなか大変な作業かということです。さらに、スポーツ団体は、他の団体に比べても、世間から結構厳しい目で見られますので、一層注意深くガバナンスやコンプライアンスを確立することが求められます。ところで、一昨年、文科省の委託事業で、スポーツ団体のガバナンスについて調査を行うことになり、20ぐらいのスポーツ団体にヒアリングをさせていただいたことがあったのですが、そのときにわかったことは、日本サッカー協会等を除くほとんどのスポーツ団体において、バックオフィスの人材が少なくて、コンプライアンスを指導する人とか、ガバナンスやマネジメントを指導をする人とか、そういった人材がものすごく不足しているということでした。
特に、一昨年、国際バスケットボール連盟の日本バスケットボール協会に対する制裁案件において、タスクフォース委員として関わるようになって分かったことが、スポーツ統括団体(NF)というのは、自分の組織だけガバナンスを確立すればよいというのではなく、NFというのはその競技のピラミッドの頂点にあるのだから、その頂点の下にある様々な団体、たとえば都道府県のバスケットボール協会、その下の市町村の協会、さらに大学バスケットボール連合、高体連、ミニバスケットボール連盟等、そういった下部団体まで含めて全てガバナンスを確立しなきゃいけないということです。そういった下部団体までガバナンスするためには、本当に人手が必要なわけで、やっぱり、現状のNFには本当にスタッフの数が全然足りないということを身をもって痛感いたしました。
次に、先ほどの日本バスケットボール協会の問題に関わるようになってわかったことは、やはりNFは、マーケティング活動でお金を稼いで、それで、良いマネジメント人材を雇うことが必要だということです。この1年間で、Bリーグができて、スポンサー収入は従前の2つのリーグ(bjリーグとNBL)の合計スポンサー収入の5倍から7倍、日本バスケットボール協会のスポンサー収入も5倍から7倍に恐らくなっていると思います。まだ確定はしていませんけれども。
これらのマーケティングの経験を通じて分かったことは、スポンサーは、単にNFのホームページにスポンサー企業名を露出するとか、また、単に競技会場のコート上にスポンサー企業名を出すだけでは、お金をあまり出してくれないということです。スポンサー企業が、多額の協賛をしてくれるためには、協賛先の事業を通じて、自らの事業を拡大できるチャンスがある、さらには、新技術の開発やその広告宣伝のチャンスがある、などの条件がそろえば、スポンサー企業は多額の協賛をしてくれるということです。具体的に言うと、AIとかIoTとか、3Dとかバーチャルリアリティーとか、高密度Wi-Fiとかそういった最先端の技術導入、技術革新とマーケットの拡大の見込みがあるからこそBリーグに多額のスポンサー収入が集まったということです。 だから、やっぱり、スポンサー側がどうやったらお金を出しやすいかという視点に立って新しいリーグを作っていく、これがすごく重要だなということがよく分かりました。今年の5月には東京大学でスポーツ先端科学研究拠点というものを作りました。そこでは、全学の14の部局が設立に賛同してくれて、これまでに、約50の研究テーマが出てきたのですが、その研究テーマを見てみると、恐らく今後のいろんなスポーツ科学の発展、トップアスリートの競技力向上に大きく貢献できるような優れた研究テーマがいくつもあります。だから、東京大学においても、単に自分の関心のある研究を行うというだけではなくて、実際にいろんなスポーツ界の人たちと交わり、彼らに対して、新たな技術や価値を提供するための仕組み作りがとても重要だと考えています。その実践を通じ、そのスポーツ団体にいろいろ企業から、スポンサー料が集まる、そしてそのスポンサー料からスポーツ科学技術へ投資が行われるみたいな、そういった好循環が作れるんじゃないかと、今、考えております。 あと、馳大臣が日本版NCAAということをお考えになっていますけれども、これもやっぱりアメリカのNCAAをそのまま日本に持ち込むのではなくて、日本における様々な先端テクノロジーを大学スポーツ界に導入し、そのコンテンツをライブ配信をするなど、新たな市場を開拓する仕組みを作っていけば、恐らく多くの企業がすごく興味を持ってくれると思いますし、
それによって収入が増えれば、日本版NCAAのヘッドクオーターの機能も充実してくるし、大学スポーツ全体を取りまとめる求心力も出てくると思います。
あと、日本バスケットボール協会の場合も、協会とその傘下の都道府県協会との関係があまりうまくいかなかったのですが、今回の制裁問題を契機に、日本バスケットボール協会が収入を増やし、その増やした収入を都道府県協会に対し分配した、そしてその分配金を使って、都道府県協会は、運営の公正化、透明化を図るために法人化を実現したのですが、このやり方で、日本バスケットボール協会にはやはり大きな求心力が生まれたんですね。ですから、日本では、NFがきちんとマーケティングでお金を稼いで、それを傘下の下部団体に分配するというやり方が実践できれば、すごく、競技界全体のガバナンスも実現できるし、競技の普及発展もできるし、いい人材もそろう、結果としてこのような好循環が生まれると考えています。まだ模索中なところもありますが、またそういったことも具体的に提案させていただきたいと思います。
【友添部会長】  ありがとうございました。
髙橋委員、お願いします。
【髙橋委員】  髙橋でございます。今日は3点申し上げたいと思います。1点は、私の立ち位置でございます。2点目は、第1期5年間の評価、そして3つ目は、私どものビジョンと課題について、申し上げたいと思います。
まず、1点目の、私の立ち位置でございますけれども、私は障がい者スポーツ協会常務理事ですが、障がい者会スポーツ協会は、1964年の第1回の東京パラリンピックにおいて、日本人選手の多く施設や病院から参加した。一方外国の選手は、はつらつと、社会人として生き生きして活躍した。是非日本もそうなるべきだということで、1965年、第1回東京パラリンピックの選手に当協会ができて、50年がたちました。したがって、もともとは障がい者の方のスポーツの普及・振興が目的でできた団体でございます。
そうしている中で、1998年に長野のパラリンピックがございまして、競技力を向上させよう、みんなでやってみようということで頑張ったら、成果も出たということで、私どもの障がい者スポーツ協会の中に、長野パラリンピックの翌年の99年に日本パラリンピック委員会ができました。そうした意味では、私どもの障がい者スポーツ協会の内部組織にパラリンピック委員会があって、ここは、健常者の方が体協さんとオリンピック委員会さんが各々法人化されているのとは別で、両方の機能を1つで持っているという協会の一員として今回参加させていただいているということを、まず申し上げたいと思います。
それから、2つ目は、第1期の5年間についてでありますけれども、私どもはやはり、スポーツ基本法に障害者スポーツというのが明記されたということが大きい転機になって、そして基本計画の中でそれを現実化させていく政策が出て、大変ありがたく思っております。東京オリパラが決まり、スポーツ庁に一元化され、そして昨今のマスコミの報道をみても、本当に障がい者スポーツとかパラリンピックとかいう言葉をこれだけ目にするようになったことを大変うれしく思っておりますが、これを一過性に終わらせるのでなく、私は担当しているからこそ非常に盛り上がっているように感じてしまいますが、国民全体から見れば、まだ、ある意味では、パラパラぐらいの感じだと思っておりますので、これを大きい火に育てていきたいと思っております。
3つ目、私どものビジョンと課題について申し上げて、終わります。私ども、2030年までのビジョンを2013年に公表いたしました。ビジョンを一言で言えば、スポーツの力を使って共生社会を実現しようということになります。障がい者スポーツの普及振興を横軸におきながら、斜め上に競技力を向上させて、ゴールデントライアングルの面積を増やして、共生社会の実現と、スポーツの力で共生社会を創っていきたいというビジョンを持っております。
しかし、現実的には、まだ課題がいっぱいありますが、とりあえず3つの差、アンバランスを申し上げれば、1つは、健常者と障害者にやはりいろいろアンバランスがあるだろうと思っています。施設の問題、環境の問題、運動実施率の問題、競技団体の力の問題等々、障害者と健常者ではまだまだアンバランスがある、差があると思います。2つ目の差は、障害者スポーツの中においても、アスリートと一般障害者では少し差があるんではないかという反省を踏まえております。こういうところもバランスよくやっていかなくちゃいけない。3つ目は、先ほどからも出ておりますが、首都圏というか東京大都市圏と地方との障害者スポーツに対するアンバランスというか差というかを感じざるを得ません。
こうした3つの視点を持ちながら、この部会に参加させていただいて、さらに今後5年間が大きく発展するように意見を申し上げたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
【友添部会長】  田口委員、お願いします。
【田口委員】  田口です。日本パラリンピアンズ協会の理事をやっておりまして、今、車椅子に乗っているんですけれども、私は実は大人になってから病気で足が悪くなって、車椅子に乗るようになりました。私は周りに恵まれていたんだと思うんですけれども、退院してそのままスポーツ、射撃なんですが、行いまして、当たり前のようにどんどん目標を持って始めていくことができまして、いつの間にかパラリンピックに出ていたっていうことなんですけれども、それが自分にとっては当たり前だったんですね。例えば、病院にも入っていましたけれども、そのときのリハビリのPTの先生、理学療法士の方々が障害者スポーツをされていて、私に勧めてくれたり。
ですので、私の中にも、それが当たり前なんだと思っていたんですけれども、実際はそうではなくて、この間も小学校に講演に行ったんですが、障害を持った子供たちは体育を見学しているとか、あと、同じ地域に住んでいる障害者の方々に会ったら、そういう障害者スポーツとかに触れる機会がなかったり、リハビリが途中で終わってしまって、自分の生活すらまだできていないっていう方たちがたくさんいることに、私は大変驚きました。
実際、私がスポーツを始めたことによって、やっぱり、体とか体力、健康面だけでなくて、いろんな人と関わるっていうことがありまして、そういう、人と関わるということが、いろんな人に関わっていくと自然と共生社会というのが生まれると思うんですね。何かを教えたりとか、無理やり何か勉強するっていうよりも、もっと普通に一緒に過ごしていくっていうことが共生社会を創れると思いますので、先ほど申し上げたように、障害を持った小学生とか中学生の子たち、子供たちですね、あと、まだまだ地域でスポーツに触れていない障害者の方たちがいかにスポーツに触れて、いろんな方々と関わっていくことが大事っていうのを、私は今、身をもって感じています。
先ほど髙橋さんもおっしゃっていましたけれども、第1期の基本計画で障害者スポーツというのを盛り込んでいただいて、随分いろんな意味で変わってきたとは思うんですけれども、まだまだパラリンピアンだけがスポーツをやっているという意識も周りにはたくさんありますので、さらに第2期の基本計画には、障害者スポーツの推進とか環境整備とか、そういうのをもっと踏み込んで入れていけたらなと思います。もちろん、障害者スポーツだけではありませんので、いろいろなことを私も勉強しながら、第2期のスポーツ基本計画に尽力させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  田中委員、お願いします。
【田中委員】  田中ウルヴェ京です。スポーツとの関わりの変遷を通して自分の自己紹介をさせていただきます。
一番最初はシンクロナイズドスイミングの選手でした。その後に、オリンピックに出た後、そのまま、日本、フランス、アメリカでオリンピックの代表コーチを経験しました。その後、解説者という立場でオリンピックには関わりました。現在は、メンタルトレーニングの指導士という資格をアメリカの大学院後、取得をしましたので、そのメンタルトレーニングの指導という面で、専門は大きく分けて2つです。
1つ目は、オリンピックやパラリンピックの選手に対しての、本番での実力発揮のメンタル。簡単に言えば、勝つためのメンタルを指導していくことが1つ。それから、もう1つは、その後、必ずどんな選手も、勝とうが勝たまいが競技引退をします。引退後の人生のほうが長いので、引退後の人生の、一言で言ってしまえば、その人の人生の意味、次の人生の意味を一緒に考えるというキャリアプランニングという、この2点が専門でメンタルトレーニングをやっています。
やっている対象者としては、オリンピックやパラリンピック選手、そしてプロゴルフ、プロサッカーというような選手たちを個別に見ていたり、先日は、国際オリンピック委員会に行ってまいりまして、IOCがやっているアスリートキャリアプログラムというものが2006年からありますが、そのプログラムの認定トレーナーという資格も得てまいりましたので、その立場からまたいろいろなキャリアプログラムの意見などもさせていただければとは思っています。
一言で申し上げると、選手、コーチという立場として、一点集中でのスポーツのよさもたくさん知りました。でも、同時に、その後にいろいろ悩み、心理学を勉強するに当たって、スポーツを多視点で見たときのスポーツのすばらしさというものもたくさん感じました。なので、この部会では是非、どんなスコープで自分は意見をしていきたいかなと考えたときに、長官も先ほどおっしゃっておられましたが、メダルだけではない、スポーツの価値の可視化というところに視点を当てて、できるだけ自分は意見をしていきたいなと思っています。
もうちょっと言い換えれば、暗黙知でたくさんすばらしいよいことが隠れているのに、それが言語化されていないということが、スポーツの中ではすごく大きな問題だと思います。抽象的に聞こえるかもしれませんが、この言語化の中に、先ほど言っておられました、施策の中でもあったインテグリティの意味。こんなことは大変抽象的なことです。でも、これを言語化して、スポーツには全く興味のない人にも分かってもらえるような言葉に換えていかなきゃいけない。あるいは、産業化の方略だったり、少子化・高齢化といったような、既に文面ではあるんだけれども、じゃあどうするという方略化についても、これは暗黙知の可視化ということに当たるかと思います。
心理学はとても抽象的な言葉での表現が多いですが、それを可視化するという意味では、システム思考あるいはデザイン思考というところからの可視化というようなことも今、勉強中でございます。自分もまだまだいろいろ勉強させていただく立場ですが、是非そのような立ち位置で意見をさせていただければと思います。
よろしくお願いします。
【友添部会長】  ありがとうございました。
萩委員、お願いします。
【萩委員】  萩と申します。このような会議に参画して意見を述べられることを大変光栄に感じております。私の自己紹介とともに、今の日本のスポーツ振興について感じている点、3点ほど述べさせていただきます。
私、平成20年から文科省の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の委員をやらせていただいておりまして、その中で事例の検討委員会というのもございまして、その関係で、幾つかすぐれた学校を訪問させていただきました。幾つかの学校を見て感じるのは、もちろん体育の授業だけではなくて、学校全体が一丸となってやっているということと、一番強烈に感じましたのは、まず先生方が非常に喜々としてお仕事をなさっているという姿です。
子供の体力の問題は、どうしても子供の問題と捉えがちですが、そうではなくて、子供の周りにいる大人の問題であると。そうしますと、学校であれば、やはり教師、教員がいかに自分たちの仕事を楽しくやっているかということが、子供に影響しているんだなというのを感じました。ですから、教師の仕事の仕方等も併せて考えていかないと、なかなか元気が出るような学校が増えていかないのではないかと、ちょっと懸念しております。
それと、私自身の研究の関心事というのが、運動習慣者を増やす、いかに増やせるかという研究課題なんですが、先ほど運動実施者の結果が出ておりましたけれども、どうしても天井かもしれないと。これ以上増やしていくには、違うアプローチが必要であるということと併せて、今の研究課題は、運動が苦手とかあまり好きではないとか関心がないという人たちが、どうしてそういう気持ちになっていくか、どんなイメージを持っているかということを調査しているんですけれども、どうもその根は幼児期の体験にもあるようで、小さい頃にどういう体験をしたかということが大きいようなんですね。
そうなりますと、幼児に対する対策というのも大変重要かと思うのですけれども、もう1つ、そういうイメージというのは、多分、いい経験をしたり再教育をすることで十分改善する可能性があると思います。そうしますと、そこの最後の砦というのは、実は大学なんですね。私も大学に勤めておりますし、今の東海大学はいろんな学部がございますので、スポーツの苦手な方もいっぱい入っている大学なんですけれども、そこでの調査の結果でも、やはり、いいアプローチをすると変わっていっているんですね。そこでスポーツの価値や体を動かすことの楽しさを体感して社会に出ていきますと、その人にとっては生涯にわたってスポーツは常に生活の中にあるものになっていくのではないかと。そういう意味で、最後の砦である大学の教育の中でそういうものを実践して、しっかりと身に付けさせていくことができるのではないかと考えております。
東海大学は、いまだに一般体育が必修ですので、全員が行っております。約2,500名の学生がいるのですが、その学生全員に教養としての体育を身に付けて卒業させています。このあたりが、長い目で見ますと、やはりスポーツ好き、あるいはスポーツへの理解を持った国民を育てていくことにつながっていくのではないかと感じております。
最後に、人材育成の場におりますけれども、参考資料にも出ておりますが、こういう体育・スポーツ系の学部の在学生というのが、何と4万2,180という結果が出ております。そんなにたくさんの人材を養成しているにも関わらず、そういう方々が社会の中でどの程度活躍できているのか。非常にここは大きな問題でして、一方では人材不足あるいは専門性が足りない、もろもろ出てくるわけですけれども、大学4年間こういうことを専門的に勉強している学生が4万人余りいるわけなんですね。こういう人材をどうやって活かしていくのかということをやはり早急に考えていかないと、大変もったいないなと思っております。
こういう、とても重要な会議の委員というのは初めての経験で、非常に不慣れなことが多いのですけれども、いろいろと勉強させていただきながら、私の経験の中からいろいろお話ができたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【友添部会長】  原田委員、お願いします。
【原田委員】  早稲田大学の原田と申します。現在、観光庁の政策の中からスピンオフした、日本スポーツツーリズム推進機構の代表理事を務めております。先週、5周年の記念セミナー、パーティーがあり、鈴木長官と髙橋次長にお越しいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。
先ほど7本の柱について説明を受けましたが、その中で少し弱い部分があるなと思いましたので、それを3つにまとめてお話しいたします。
1点目が、企業とスポーツについてです。2020年のオリンピックに向けて、現在、企業の関心が高まっており、2020年の組織委員会に対する協賛金も北京を上回る史上最高額が集まっています。企業とスポーツについては、日本では世界的にもユニークな企業スポーツが盛んで、チームやアスリートを所有しています。ただ現在では、所有の段階から、支援の段階、そしてパートナーやスポンサーの段階へと、徐々に進化を遂げています。ただし、企業の基本的な姿勢は、まだスポーツのために何かいいことをやってあげようというCSR的な姿勢が強いのも事実です。特にパラリンピックに対して、企業は、これだっていうことで今、積極的に支援していますが、2020年を過ぎると、ガラッと風景が変わると思います。そうならないためにも、企業と一緒に価値を共創していこうというCSRからCSVの方向性をつくる作業も次の基本計画の中では重要になるかと思います。
同じ、企業というくくりの中でいうと、フィットネスクラブがあります。全国で3,500カ所、4,000億円の市場に成長しています。特に関東圏、東京、埼玉、横浜では、成人の5%が会員です。総合型の地域スポーツクラブを上回る会員が集まっている。すでに地域に密着したフィットネスクラブやYMCAといった組織と今後どう連携をとるか、あるいは高齢者がもっと手軽に使えるように補助金を出すとか、そのような具体的施策が必要だと思います。
2点目が、地方とスポーツに関することです。今、スポーツツーリズムの世界では、地方創生特別交付金を使って新しいスポーツ振興の組織、いわゆる地域スポーツコミッションを作る動きが目立ってきています。例えば札幌ではグローバルスポーツコミッションが設立され、長崎ではJリーグのV・ファーレンというチームの事務局の中に長崎スポーツコミッションが誕生し、イベントを誘致しながら地域スポーツを振興しようという新しい動きが出てきています。このような地域とスポーツの中での最先端の動きについても議論していくべきだと思います。
最後に、スポーツとイベントについてですが、現在日本は、スポーツイベントが非常に盛んです。例えば、フルマラソンの大会は197開かれていますが、これにチョコランとかスイーツラン、そしてゾンビランといったファンランを全部加えると、約3,000のランニングイベントが開かれています。トライアスロンは、全国で300近い大会が、トレイルランは270大会が毎年開かれています。国際舞台に目を転じると、2020年の後、どのようなメガスポーツイベントを招致するべきかという国際的な戦略が必要となります。
イギリスは2012年にオリンピックをやりましたが、その後2014年にグラスゴーで英連邦大会、2015年に全国でラグビーのワールドカップ、そして17年にカーディフで世界陸上ということで、メガスポーツイベントの招致を着々と、そして計画的にやっています。そのおかげもあって、2012年に3,000万人のインバウンドの観光客が、今、3,500万人に増えています。今後、2020年のレガシーを考えた場合、スポーツツーリズムによるインバウンドの増加という視点から、国家レベルでのスポーツイベントの招致を戦略的に行うことが重要ではないかと考える次第です。
以上です。
【友添部会長】  増子委員、お願いします。
【増子委員】  福島県障がい者スポーツ協会に勤務しております増子と申します。車椅子バスケットボールの選手をしておりまして、去年まで現役で、昨年の11月のアジアオセアニア予選を最後に引退をました。20年間、日本代表を務めさせていただいていた中で、併せて、地方の行政の中にあって障がい者スポーツ協会に勤務しておりまして、地域の障害者スポーツの振興にずっと携わってまいりました。
先ほど、いろんな方が障害者スポーツについて説明していただいたので、省きますが、一元化された以降、福島県も障がい者スポーツ協会が、障がい福祉課から、今年の4月からスポーツ課の方に一元化され、業務が移管されました。その前に福島県では2002年からスポーツ推進委員会に、振興会議で審議会に入れていただいて、障害者のスポーツに関しての文言を入れていただいて、一部ではありますが、非常に行政、首長、全てにおいて障害者スポーツに対して理解が深かったということもあって、そうした形で障害者スポーツの振興をしてきていました。
ただ、一元化されたとはいえ、まだ障害者のスポーツ、特にパラリンピックは今、先ほどからおっしゃっているようにメジャー化されて、支援体制も非常に大きくなっていますが、地域において、手の届く方、目の届く方がパラリンピック以外のところでスポーツをする環境が整っているかというと、なかなか大変な状況が続いております。障害をお持ちの方が身近な地域で一般の人同様にスポーツをする環境が整うというのは、これから進めていかなければいけないということでこの場に私がいるのかなとは思いながら、おります。
障害をお持ちの方がスポーツをすることは、圧倒的に障害をお持ちの方って社会経験が少ないんですね。そういう中で、スポーツをすることで、楽しみながら、そして、その中でパラリンピックの選手、私のようにいろんな国際大会に出場させていただいて、いろんな経験をさせていただく選手も出れば、地域の中で社会性を身に付けながら人間性を高めて、そして就労して、自立に向けて頑張っていく。地域はむしろそっちのほうに力を入れているところですね。ですので、そうした、日々、地域のそういった障害者のスポーツに関して、この場でそれを基に発言させていただけたらと思います。
この基本計画の中に、パラリンピックというところが非常に特化して障害者のスポーツで目立つところですが、障害者の生涯スポーツに関して、ここの中で「障害者が」というような文言が少しでも増えるような形にしたいなとは思っています。といいますのは、子供、若者、高齢者っていうふうに、この中では入ってきています。で、一元化されたとはいえ、まだまだ障害者のスポーツの文化は始まったばかりですので、特化した特別な配慮が必要な、支援が必要な状況ですので、是非、障害者のスポーツ、体力作りのこの2番のところに特に、障害者の方の明記がされるように、私が微力ながらお役に立ちたいなと思っていますので、よろしくお願いします。
【友添部会長】  結城委員、お願いします。
【結城委員】  読売新聞編集委員の結城と申します。よろしくお願いいたします。
私は、年がばれますが、22年間、IOC、オリンピックの取材をしてまいりまして、この夏のリオのオリンピック・パラリンピックが五輪12大会目、パラリンピック7大会目の取材となります。私、五輪の開催都市でも駐在した経験が2度ございますので、ある意味で、オリンピック・パラリンピックが起きたときに何が起きる、その周りで双眼鏡の逆側から見ているように、それをじゃあどうやって今、準備したらいいのか、そういう思いで現状を見ているところがございます。
さっき、鈴木長官が、この5年間、次の第2期というのはスポーツのこれからを大きく変えるすごく大事な時期になるとおっしゃった、非常に共感をしています。1つは、やっぱり、この2020年をどう捉えるか、どういうふうにつかまえるかということで、この先がどんどん変わっていってしまうからだと思います。私のほうのそういった視点から、この第2期の計画で、これまでも恐らくあったでしょうが強めていっていければなと思うことが2点ございます。
1つは、オリンピック・パラリンピックというのは、過去の開催都市では、いわゆる行政側として地方行政も含めた組織体が、これまで連携しなかったところが連携をする大きな機運を生みます。ロンドンの経験者、組織委員会経験者の方でIOC委員は、「そんなことが起こるのは、あとは戦争ぐらいかね」って言ったぐらいでございます。平和裏のときに国が1つになる、ある意味で1つの方向性を持って、この辺にもうやらなきゃいけないことが起こるわけですから、それに向けてどうするのか、そのレガシーをどういうふうにつかまえるのかということで、一丸となれるのはこの機会だと。要は、この基本計画というのは、スポーツ庁の枠組みの中で考えるわけですけれども、前回のは文科省の中でございますが、文科省スポーツ庁の予算の枠組みではなく、専権事項の枠組みだけではなく、そこからスポーツを軸にどのように、行政である、そして地方である、いろんな形でまとめていくかという視点が必要になってくるのではないかと感じています。
もう1点は、意識改革です。先ほども委員の方々、先生から、意識改革、大事だね、難しいけれども大事だねというお話がございました。全く同感です。パラリンピック側で共生社会に向けての意識改革というのもテーマになっています。オリンピック・パラリンピック全体を通じて、スポーツをする、運動をする、体を動かすということに対しての大きな意識改革を日本の中で作り出したい、そのための計画にしたい、そういう視点があればいいなと思っています。
1つの鍵は、私は別にメディアだから申し上げるわけではございませんが、情報だと思います。情報というのは、私の世代は特に、情報と聞くと、新聞・テレビであったり、それから行政からの発信であったりというのを想像しますが、もう、今の情報は、さっき久住委員の方からございましたように、口コミです。ネットであったり、スマホであったり、友達であったり、おばちゃん同士であったり、口コミの世界というのは非常に重要になる。
日本の今のスポーツ文化というのは、結局、よく比較になりますけれども、外国で近代スポーツの曙から、スポーツをすることがプレステージであり、上流のよさげなところの証明であった、そういうイメージをずっと持っているスポーツ文化、スポーツをすることのすばらしさ、楽しさを感じましょうっていう流れと、日本というのはどちらかというと、まだ、やっぱり、「スポーツをしている人、暇なのね」、「いいわね、ジョギングできて。仕事はどうなっているのかしら」、「あ、あの子、よくスポーツできる、スポーツバカ」、そういうようなイメージがどうしても何だかつきまとって、スポーツそのもののプレステージが上がってないような気がいたします。ここを大きく変えたい。
日本で風なんか吹くのかしら。吹きます。オリンピック、64年のときだって、その後の市民スポーツへの隆盛というものは非常に大きく、その後、バブルが崩壊してしぼみましたけれども、非常に大きく流れができました。その大きく吹く風をやっぱり、こう広げて受けなきゃいけない。その、こう広げるためには、そういった情報、意識改革といったものを、認識変革といったものを1つの柱にした、どのようにじゃあ国民に、健康であなたの脳に、それから体に、そして人生に、いろんないいことがあるんですよっていうような情報であるとか……。
若しくは、私なんか、外国の欧米の記者仲間の話を聞いていますと、例えば、活動量計リストバンドってありますね、「俺、これ」、「私、これ。かっこいいでしょ。明日6時、ジョギングする?」、「眠いけどいいや。ジョギングする」、そういうふうな会話をしているんです。彼らの中ではかっこいいわけです。そういうリストバンドをして、活動量計をはめて、朝、どんなに忙しくても、4時間睡眠でもジョギングするっていうのは、かっこいいわけです。
そういった流れを、企業というのは広報的な媒体として、能力、非常に強いものを持っている。そのビジネスのいわゆる技術開発であるとか広報能力だとかといったものを取り込みながら、国の中で、「スポーツって実はすごくおもしろそうなものじゃない? かっこいいんじゃない? 自分にとってもどうもいいみたいだよ」っていう話をどんどん高めていければなと思っています。
何かの形で大きく2020のレガシー、受け皿を作る、それを是非、一緒に考えさせていただければと思っております。
【友添部会長】  和久委員、お願いします。
【和久委員】  JSC情報・国際部の和久と申します。よろしくお願いいたします。情報・国際部と私のバックグラウンド、現行の計画について、それと第2期基本計画について幾つかの意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、私のバックグラウンドですけれども、JSC情報・国際部で仕事をしています。情報・国際部の前身は、国立スポーツ科学センター・スポーツ情報研究部で日本のトップスポーツの競技力向上のための情報収集と分析・提出を行うセクションとして立ち上げられました。ここで10年ほど、主として、トップスポーツの国際競技力向上に向けて世界はどのような取組を行っているか、世界は何を考えているのか、様々な情報を集めて分析し提供するという仕事をしてまいりました。2011年のJSCでの組織再編において、JSC本部直下の情報・国際部という新しい部署になりました。これにより、我々のカバー範囲が広がり、現在は、トップスポーツに加え、スポーツ参加促進、スポーツ国際協力、国際スポーツ等の情報について、日々収集・分析・提供するという仕事をしております。
次に、現行の基本計画についてのレビューについてコメントします。まず、子どもの体力向上については一定の成果があったということは認めつつも、今後の日本の人口動態を考えますと、フィジカルリテラシーに対するアプローチが非常に重要と思います。特に幼少期の子供と保護者に対するフィジカルリテラシーをしっかりと行う必要があると思います。最近、このフィジカルリテラシーという概念が世界で注目をされて、各国で取り組まれています。
2点目のスポーツ参加促進については、それを考える上で2つの軸が必要です。1つは、先ほどもお話がありましたように、スポーツに参加していない無関心層へのアプローチ、もう1つは、スポーツを既に実施している人たちへのアプローチ。この2つの軸を同時に考えていく必要があります。いずれにおいても重要なのは、スポーツを消費財、スポーツに参加する人を消費者と捉えて、マーケティングの考え方を活用した無関心層のスポーツへの取り込みとスポーツを既に実施している人たちへのアプローチが重要と思います。
無関心層へのアプローチについては、世界ではインサイドというマーケティング手法を活用し、詳細な分析に基づき、戦略的に取り組んでいます。この点は今後の課題になるかと思います。
既にスポーツに参加している人については、スポーツの実施スタイルが変容しているという認識を持つ必要があります。つまり、これまでは組織化されたスポーツの中でスポーツに参加するというシステムであったのが、個でスポーツや身体活動を行うというライフスタイルが変わっています。したがって、個人の行動変容を促していくアプローチと同時に、環境そのものを変えていくという取組が今後の課題になると思います。
3点目の、トップスポーツについては、2000年のスポーツ振興基本計画の策定以降、この10数年の間、様々な変革が行われました。すなわち、イノベーションの時代でした。ところが、2012年以降、世界はイノベーションの時代から組織能力の強化の時代に変わってきています。すなわち、競技団体の組織能力をいかに高めていくかという点が重視されるようになっています。恐らく2016年から2020年ぐらいまでは組織能力の競い合いということになるので、スポーツ団体の競技力向上事業をいかにプロフェッショナルに展開していくか、その組織能力の強化は、直面する課題です。しかし、その先のことを考えると、いかにトップアスリートを見つけ育てていくシステム化が重要になると思われます。スポーツ参加レベルには、多様なステージがあるので、その各ステージの結節点をどのようにつないでいくかというところが、今後重要になると思います。
国際スポーツ関係については、ネットワークを整理する必要があります。国際スポーツネットワークには、IOCやIFを中心とする国際スポーツネットワーク、政府系スポーツ機関のネットワーク、アンチ・ドーピングに関する国際ネットワーク、スポーツと教育を中心とする国際ネットワークが主にあります。こうした国際的ネットワークへの取組については、残念ながら、必ずしも十分ではないというのが現状だと思います。ここをしっかり取り組み、国際的プレゼンスあるいは国際的インフルエンスの保持・強化を推進する必要があります。アジアの中でも、シンガポール、マレーシア、タイ、中国、韓国などは国際力をつけてきていますので、その辺に危機感を持って取り組む必要があると思います。
5つ目のインテグリティの問題は、非常に重要な問題です。今後の基本計画の柱がスポーツの価値で、スポーツの価値を活用して社会を変えていくことを軸とするならば、現在の日本のスポーツは、それに耐えうるインテグリティが保護されているかをもう一度見直しした上で、強化をしていく必要があろうかと思います。
今後、第2期基本計画を考える上での視点として、3点ほどお話ししたいと思います。第一は、我々が危機感を持つべきことは我が国の人口動態です。2020年以降、人口減少と人口構成の変化が加速することを前提に考える必要があります。東京オリンピック・パラリンピック後も第2期基本計画は係りますので、この人口動態を見据えて、種をまく、そしてその芽を出させる計画作りというのが重要であると思います。
2点目は、日本そして日本のスポーツは今、世界から注目されています。トップスポーツの世界では、その国のスポーツシステムを変えるチャンスは3つあると言われています。1つは、オリンピックでメダルが取れなかったとき、第二にカリスマ的リーダーが現れたとき、そして、第三はオリンピックを自国開催するときです。世界は、日本はそのチャンスを得たとみています。第2期基本計画は世界からも見られているという認識を、我々は持つ必要があろうと思います。
最後に、これらのことを考えると、社会課題の解決に対してスポーツがどのように貢献していくかという視点から、基本計画の施策体系そのものを見直ししていく、つまり柱立てそのものを組み換えていく必要があろうかと思います。また、スポーツ界では、国からの補助や助成という考え方今なお強いですが、補助・助成から投資に時代が変わっているという認識を持つことが重要で、そのために戦略が重要であると思っています。
以上です。
【友添部会長】  ありがとうございました。
それでは、泉委員、お願いします。
【泉部会長代理】  私の所属いたします日本体育協会については皆様よく御存知かと思いますが、各競技団体、そして47都道府県の体育協会と一緒になりまして国民体育大会や日本スポーツマスターズ大会、それから総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、指導者養成、医・科学研究等、多岐にわたって事業を展開いたしております。そのような背景を踏まえまして、本日は全体的な意見を1つだけ述べさせていただければと思います。
当然、スポーツの振興に当たりましては様々な組織、機関、団体が取り組んでおります。国においてはスポーツ庁をはじめ厚生労働省、経済産業省、国土交通省、外務省等、また日本スポーツ振興センターといった機関も担っております。スポーツ団体としては、私ども日本体育協会と一緒にJOC、日本障がい者スポーツ協会、競技団体、都道府県あるいは市町村の体育協会等の多くの団体が取り組んでいるところでございます。
現行のスポーツ基本計画にも、「関係者の連携・協働による計画的・一体的推進」として、関係組織などの連携について記載されておりますが、今後策定していくスポーツ基本計画における政策目標を達成していくためには、関係する組織などがそれぞれの役割をしっかりと認識した上で、責任を持って実行していくとともに、単体では取組が大変難しいというものについては、一体化して推進していく必要があるものと考えております。
さらに、スポーツ界での取組のほか、スポーツ庁発足後、スポーツ産業の発展、スポーツによる健康づくりなど、スポーツが関連する事項が大変多岐にわたっており、スポーツ界の中だけではなく、他の様々な分野との連携・協働が促進されるような機会を創出するようなことも、この場を踏まえて皆様と大いに議論したいと考えております。よろしくどうぞお願いいたします。
以上です。
【友添部会長】  次は私が何か言う番だということですので、一言お話ししようと思います。
もう委員の皆様方から大方意見が出たかと思います。大学に勤めながら、オリンピアンから、高校時代、運動部に所属したことがない、でも、スポーツするの、見るのが大好きだという学生まで、パラリンピアンもいますし、いろんな学生を相手にスポーツ教育学とかスポーツ倫理学というのを専門にやっております。
1つ言えるのは、1960年代あたりにスポーツ・フォー・オール運動というのが起こって、スポーツの大きな地殻変動がありましたけれども、また今、50年たって、先進諸国ではスポーツの大きな地殻変動が起こっているということを痛感する毎日です。きのうも外国から学部長が来られて、ランチをしながら1時間ほど意見交換したんですけれども、やはり、日本の国内だけ見てる時代ではないことを、改めて強く感じる毎日でもあります。
いろいろ出ましたけれども、1つは、ちょうど学習指導要領の改訂期でもありますので、それとの、保健体育との連動も必要だろうということも思っていますし、仕事柄、保育園、幼稚園のいわば自由保育から、小学校、中学校、高校の保健体育の授業も参観することが多いですし、総合型の地域スポーツクラブに出向くことも多くありますし、また、私の周りにはトップアスリートが、いっぱいいますので、競技の世界についてもよく存じているつもりです。
それらをどうつなげていくのかというのは、結局のところは、今、幾つか出ましたけれども、官と民と大学がここで本当にオールジャパンの体制が組めるかどうか、それから、スポーツ組織がインテグリティやガバナンスを重視しながら、それがまあ肝だと思うんですけれども、幾つか御意見がありましたけれども、自己財源をどう作れるかっていう、そういうところに来ているということかと思います。
と同時に、この基本計画、長官から諮問がありましたけれども、今まで私たちはスポーツの価値を論ずるときには、内在的な価値って難しい言い方をするとお叱りを受けますが、楽しみだとか勝利の追求だとか、いわば、プレイするある一面の価値しか実は扱ってこなかったように思います。で、それは、もっと言えば、外在的な価値、スポーツによる価値、それをどう言葉にしていくのか。すばらしいとか楽しいっていうことを経験を語ってももうしようがないんですね。何が楽しくて、何がすばらしくて、何が国民にとってプラスになるのか、こういうことをエビデンスを持ってしっかりと示していかなければいけない。まさにスポーツは、Physically Educated Person、つまり身体的に教養を備えた人たちを作っているんだということを、しっかりと皆さんに理解をしてもらうことが必要な時期に来ていると思っています。
いろいろ議論を重ねながら、また御意見を集約しながら、私も適宜発言をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
それでは、お待たせしました。山脇会長、真打ち、待ってました。
【山脇会長】  山脇でございます。オブザーバー参加なので、余り発言はないかなと思っておりましたが、せっかくですので、一言だけ。
本日はいろんな視点から活発な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。鈴木長官からは、冒頭にもありましたが、スポーツ審議会に対して、これからのスポーツ施策の方向性を具体的にかつ簡潔に、国民に発信するという、非常に簡潔で難しい諮問をいただいております。
中身についてはここの概要に書いてありますが、ざっくり3つあります。1つは、スポーツを文化として、先ほど、スポーツのプレステージをもっと上げるというような言葉がありましたけれども、文化としてどういうふうに根付かせるか、その具体策。2つ目は、スポーツとかスポーツ界が持っています課題や問題と、これらを解決するための具体策。それからもう1つ、スポーツを通じて意識変革をして、それを通じて社会の変革を行い、どう共生社会の実現につなげていくか、この具体策。
具体策は、先ほどありましたけれども、どう言語化するか、可視化するかということも大切だと思います。この3つの具体策はお互いに重なり合っているところがあります。2020年の大会を絶好のチャンス、多分千載一遇、ラストチャンスかもしれませんけれども、というふうに捉えて、これらの具体策をどう実現して、国民が共有できるレガシーとしてどのように残していくか。計画というと、今までの計画は、何かをすべきだとか、何かを検討するとかで終わっているのですが、今回は、できるだけ具体策を作って、そのKPIなども作って、それをチェックできるというところまでやっていきたいと思っています。
今日の議論をお聞きしまして、具体策のかなりヒントが出ていると思いますので、この基本計画部会を通じて、大変難しい使命ですが、皆さんとともにやっていけば、しっかりした基本計画が策定できると思いますので、友添部会長には大変重い任務になりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
【友添部会長】  ありがとうございました。
きょうは初回ということで、ウォーミングアップということで、きょう皆様からいただきました御意見は、これから基本計画の検討に生かしてまいりたいと思っています。
本日予定をしておりました議題はこれで終了ということでございます。時間もちょうど参ったところでもあります。
今後の日程案につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【澤川スポーツ庁政策課長】  失礼いたします。それでは、資料6-1と6-2をごらんください。
資料6-1がこの基本計画部会の今後のスケジュールについてでございます。縦に2列ありまして、左側が総会、右側がこの基本計画部会になっております。右側のほうをご覧いただきますと、きょう6月29日が第1回ということでございます。既に御案内しておりますが、7月5日、7月25日にそれぞれ第2回、第3回を行いまして、関係団体からのヒアリングということでございます。関係団体のヒアリング日程は資料6-2でお示ししてございます。グループごとに入れ替えをしながら、計26団体からヒアリングを行うとい形になっております。日程的にかなりタイトでございますが、よろしくお願いします。なお、7月5日は三田共用会議所で13時からということでございます。7月25日につきましては、13時からミツヤ虎ノ門ビルということで、文部科学省と虎ノ門ヒルズの間ぐらいにあるビルでございます。地図を送っておりますので、お間違えのないようにお願いいたします。
あと、その後でございますが、8月下旬から9月上旬、リオのオリンピック・パラリンピックの間の期間ということで考えておりますが、この回ではスポーツ審議会の総会と部会の合同で会議を開催いたしまして、スポーツ基本計画のミッションというんでしょうか、総論に当たるところ、具体的に申し上げれば、スポーツの価値の具体化という観点で御議論を賜れればと思っております。その後、9月からは、次期計画における主要課題についてということで、現時点では事務局として腹案を持っておりませんが、この後の議論の行く末を見ながら、何かテーマを設定して個別に突っ込んだ議論をしていただければと思っております。
その後、10月以降は、次期計画の中間まとめに向けた御議論をということで、骨子案、素案、中間報告案ということで、12月下旬には、部会、総会として、このスポーツ基本計画の中間報告をまとめていきたいと思っております。その後、パブリックコメントということで国民の皆様から御意見をいただきまして、それを踏まえて、さらに答申案をどうするかという御議論をいただきたいと思っております。最終的には、3月中には答申案としておまとめいただき、年度内、3月末までに文部科学大臣の決定として第2期スポーツ基本計画を策定していきたいと思っております。
月1回から月2回というかなりハイペースの審議になりますが、何とぞよろしくお願いします。
私からは以上でございます。
【友添部会長】  ありがとうございました。
タイトな日程ではありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたけれども、鈴木長官からまとめの御発言をお願いします。
【鈴木スポーツ庁長官】  皆さん、非常に幅広い議論をいただきまして、ありがとうございました。聞いていても、これだけやっぱりスポーツの課題だとか守備範囲が広いんだなということを実感しました。
聞いていて、いろいろ皆さんからアイデアも出てきましたけれども、これから、1つは、これまで参画していなかった人たちにどうやってスポーツに入ってきてもらえるのか。無関心層であったり、あるいは経営者人材がいかにスポーツに入ってくるか。それから、あと、既にあるもので遊んでいるものをもっと利活用しなくてはいけない。体育系の学生が、もちろん頑張っている人もいますけれども、まだまだ生かされていなかったり、あと、オリンピアン・パラリンピアンの第2の人生としてもまだ生かされていなかったりする場合もあるでしょうし、それから、スポーツの場のほうの施設ですね。学校の施設であったり、企業の厚生施設の利用されてないところ、こういったところを利用しながら、うまくいろいろ盛り上げていけるんではないかということを思いました。
今こちらにお集まりいただいている方はもう、今考えられる最高の人選で、このスポーツ基本計画を進めていけると本当にありがたく思っていますし、誇りに思っています。どうぞ、次回以降もよろしくお願いいたします。
以上です。(拍手)
【友添部会長】  それでは、本日はこれで全て終了いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――

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