スポーツ庁長官による記者との懇談(第80回)

令和7年9月

室伏スポーツ庁長官 記者懇談会冒頭発言 映像版

令和7年9月26日(金曜日)に行われた、室伏長官の記者懇談会冒頭発言の映像です。

室伏スポーツ庁長官 記者懇談会冒頭発言 映像版
 

令和7年9月26日室伏スポーツ庁長官記者懇談会 冒頭発言(※「YouTube」スポーツ庁動画チャンネルへリンク) 別ウィンドウで開きます

室伏スポーツ庁長官 記者懇談会冒頭発言 テキスト版

 第80回スポーツ庁長官による記者懇談会を始めさせていただきたいと思います。冒頭、私のほうから振り返りも含めて少しお話しさせていただきたいというふうに思っております。今月30日付で任期満了に伴いましてスポーツ庁長官を退任することになりました。令和2年10月1日にスポーツ庁長官に就任して以来、多くの方々の御支援のもと、御協力いただきながらスポーツ庁長官職を5年間全うさせていただくことができました。また、スポーツ庁10周年の節目というところにもなりますが、こういった記念すべきタイミングで長官として迎えることができて多くの方に感謝申し上げたいと思います。また、来週職員に対して話しがありますけれども、140名の職員、皆さんが一丸となって私を支えていただきました。大きく皆さんの力を借りてスポーツ行政が前進したというふうに思っております。身内ではありますが、皆さんにも感謝したいというふうに思っております。

 5年前就任し、ここでお話しさせていただきましたが、感動していただけるスポーツ界を目指すということで取り組んでまいりました。その所信を忘れずにここまで取り組んでまいりました。自分としては、できることを精一杯させていただきましたけれども、いくつかこれまで取り組んだ内容もお話しさせていただきたいと思いますが、スポーツ基本法の理念である「スポーツを通じて『国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む』ことができる社会の実現」を目指し、国民の健康増進、地域や経済の活性化、国際交流・貢献等、スポーツがいかに幅広い社会課題の解決等に貢献できる価値を有するかをさまざまな形で可視化し、スポーツの価値を高める道筋を示すことができるように努めてまいりました。

 いろいろな取り組みをしておりますけれども、5年間で取り組んだ主なところで言いますと、地域スポーツの環境を総合的に整備充実していく、部活動の地域展開という道筋、そしてまたスポーツと宇宙というところ、何でスポーツと宇宙とあるかもしれませんけれども、アスリート、スポーツの目指すフロンティア精神と宇宙進出に向けるフロンティア精神がマッチし、これはJSC(日本スポーツ振興センター)を中心に、またJAXA(宇宙航空研究開発機構)さんの宇宙飛行士とアスリートがともに取り組んでいく、強化していく方法はないのかということを既に模索しているところですけれども、調印式でも木村選手が障害の有無はあくまでも環境が変われば逆転することもあるのだということで、我々は地球上の常識を破ることが、また地球は宇宙の一部でもあるのですけれども、そういった常識を覆すところにまた素晴らしいところがあるのではないか。またスポーツと防災というところも取り組んできて、人と自分と社会、コミュニティの命を守る身体づくりということも取り組んできて、まさに今これが取り組まれようとしているところかと思います。

 パラスポーツについても、障害の有無に関わらずスポーツというものは取り組んでいきますが、指導者が安心して取り組めるような指導者ツール、高度なコミュニケーション能力を高めるためのこういった指導者ツールなどを通して、障害の有無に関わらず取り組むような取り組みをやってまいりました。

 国際競技力の向上にももちろん取り組んでまいりました。東京大会、パリ大会、また北京の冬季大会もありましたけれども、こういったところにさらに今後の持続可能な国際競技力向上プランの策定により道筋もつけてきたところかと思います。クリーンでフェアなスポーツを推進し、風通しの良いスポーツ界を実現するためにアンチドーピング、ドーピング防止活動の推進であったり、またトップアスリートだけの問題ではありません。日本製薬団体連合会とのスポーツにおける医薬品の不適切使用の防止に関する共同宣言をさせていただきましたが、いろいろなインターネットも含め、医療用に、病気のために使われる薬がパフォーマンスに転用されることは後を絶たないということで、こちらに関しては皆さんも報道等していただきましたけれども、今後もこういったところはしっかりと取り組む必要があるかというふうに思っております。

 また、インテグリティの確保、スポーツ団体のガバナンスコードの改定ですが、これまでの前鈴木長官のときより前は、ルールも何もないというわけではないですが、社会とのずれや、そういったものが生じないようにやはりしっかりとした自分たちがインテグリティを確保した上で運営していく、団体を運営していくことが大変重要で、こちらに関しても取り組んでまいりました。

 その他、スポーツを活用した地域社会・経済の活性化の観点では武道のツーリズムであったり、またスポーツツーリズム全般、スポーツ健康まちづくり、スタジアム・アリーナ改革であったり、健康スポーツ関係では人々の心と身体の健康をどう維持し向上させていくかという観点では、「Sport in Life」のプロジェクトを中心にさまざまなことを実施してまいりました。先ほど健康スポーツ部会があったばかりだったのですけれども、これまで運動すれば健康になる、医療費を削減するというところにとどまり、実施率のみを調査しているというところもあったのですが、もう少し実施の質、中身に関して、ただ運動するというだけではなくて目的を持った運動、スポーツを行うことによってより効果を高めるということであり、またスポーツですのでスポーツらしい健康の定義として、アスリートのパフォーマンス、ハイパフォーマンスになぞらえライフパフォーマンス向上ということで、こちらも委員の先生方に定義を作っていただきまして、人生のパフォーマンスを向上していこうと、Quality of Life(クオリティー オブ ライフ)であったり、また労働生産性を高めるということで実際に理念だけではなく(北海道)東川町を中心に3カ月のトライアルを行い、さまざまなエビデンスが出てまいりました。こういった社会実装に向けて、横展開がさらに今後推進されるのではないかというふうに思います。

 また、これまでサイエンスという観点がありませんでしたけれども、研究発表など、内臓の動きと身体の外の動きであったり、イップス、伸び悩みの原因は何か、こういったところにも着目し研究発表の場も作らせていただき、また自ら身体の、ただ運動するだけではなくて身体のセルフチェックを軸に身体の機能が十分であるか確認し、それを改善することでよりいい運動、スポーツが実施、質を高めていく、こういったものも、さらには指導者育成であったりとか、こういったものを推進してまいりました。

 これはスポーツ基本法の制定からスポーツを取り巻く環境が大きく今変化しているスポーツを通じた社会課題の解決に期待が高まっている現状に対応するとともに、ウェルビーングの向上等に向けた観点からも改正されましたけれども、こういった内容が改正法の中にも盛り込まれてきたということは素晴らしいことかと思います。こういうことで、自分のやれることとしては精いっぱいさせていただいてきまして、これも皆さんから温かい御支援をいただいたからだと思います。新しいことに広い視野を持って多くの取組、そういったこれまでにない視点で取り組めたことは本当に皆さんのおかげかと思います。

 そういう中で、スポーツ庁長官職をこれまでしたのは二人しかいないですのでどんな職業だったのかなという感想をお話ししたいなというふうに思います。この5年間、スポーツ庁長官という大きな役割をいただきました。担いましたけれども、今改めて思うのはこの職はシンボリックなところもありますけれども、決してそういったシンボリック的な存在だけではなく強い覚悟が必要な職務だったと思います。就任に当たっては、それまで全ての職を辞して利害関係も断ち切り、そして全てリセットし覚悟を決めてお受けいたしました。何があろうともやり抜こうと思い、覚悟を決めてこの職に専念させていただきました。終わるに当たり、言い方がいいか分かりませんけれども、何か鉛のようなものが、コーティングされたものが剥がれていくような感覚もします。これはやはり緊張感は当たり前ですけれども、こういった公務に就いていますので緊張感を持って取り組んできたからかと思います。また、特にスポーツは多くの団体や人々とのかかわり合いが深いですので、スポーツ庁長官職は公平性、公正性、中立性が常に求められ、一層緊張感を持って臨ませていただいたと思います。当然、厳しく監督指導する立場としてはこういうことかと思います。また、もともと私の持っている専門性であったり背景もあります。そういった専門家として専門性もあるのですが、その強みに頼るのではなく、全て政策を幅広く円満に向き合うことが重要で、腰を据えて一つ一つの課題に職員の皆さんとともに真剣に取り組むことが大切だと思ってやってまいりました。また、この仕事は理想だけ語っていても意味がないというふうに私は思っていて、理想やスローガン的なものだけではなく政策一つ一つに対して心と力を寄せて地道に取り組み、現場感覚を忘れずに地道に積み重ねていくことが大事だということで思いました。今後もこういった職に就かれる方がいるかと思いますけれども、より一層また頑張っていただきたいというふうに思っております。私も、今後さらにスポーツの持つ可能性を広げていき、多くの方々が感動していただけるスポーツ界になるよう、引き続きスポーツ政策の推進に少しでもお手伝いができればというふうに思っております。

 続きまして、次の私がどうなっていくのかということですけれども、報道等でございましたとおり、つい昨年、東京医科歯科大学と東京工業大学が合併し東京科学大学が設立されて間もないところですが、そちらで副学長職をいただきましてスポーツサイエンス担当として10月1日から勤務することになっております。スポーツを通じた社会と世界の良き未来を創造するスポーツ科学の拠点として、グローバルスポーツサイエンスセンターを設立することが来年の4月ということで、その準備に取り掛かるところになっております。東京科学大学では、Visionary Initiativesという世界最高水準の研究力と社会的にこういったさまざまなサイエンス分野を横断、融合する研究により社会にインパクトを与えていくということに取り組んでいますが、この世界をリードする医学、歯学、理工の知の融合、新たなサイエンス、そしてそこにスポーツサイエンスを加えた新たなサイエンス領域の開拓をしっかりと取り組んでいきたいと。これまでスポーツ庁長官職によるスポーツポリシー、スポーツの政策を取り組んできましたけれども、これをさらに実現する場として計画を持ち社会に、そして国家への橋渡しを実現できるように取り組んでいきたいというふうに思っております。

冒頭、以上になります。ありがとうございました。

以上

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