令和7年1月
「感動していただけるスポーツ界を目指して」
新年あけましておめでとうございます。
昨年は、パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、オリンピックでは金メダル数、総メダル数が海外開催大会で過去最高となり、パラリンピックでは海外開催大会では過去最多となる11競技でのメダルを獲得する等、大変輝かしい結果を収め、選手の皆様が限界に挑む姿から多くの人々に勇気と感動をお伝えすることができました。
そして、今年は東京2025世界陸上競技選手権大会や第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025が開催され、来年以降はミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・パラリンピック競技大会、愛知・名古屋 アジア・アジアパラ競技大会、ワールドマスターズゲームズ2027関西の開催が控える等、国際競技大会が続いてまいります。
スポーツ庁は、これらの大会において、選手の皆様が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、スポーツ医・科学の知見等も活用しながら競技直前まで選手をサポートする体制の構築を図る等、国際競技力の向上に取り組むとともに、今後日本において開催されるデフリンピック、世界陸上、アジア・アジアパラ競技大会等の機運醸成にも取り組んでいきます。更に、これらの大会を通じ、障害の有無に関わらず多様な方々が参画する共生社会を実現してゆきたいです。
今年の4月からは大阪・関西万博も開催されます。大阪・関西万博に向けてはオールジャパンで準備を進めているところ、スポーツ庁としても、万博会場においてスポーツが共生社会や健康長寿社会の実現に資する好事例や先端技術を活用した新しい「する」「みる」「ささえる」等のスポーツに係る取組の発信等を行い、スポーツの多様性や新たな可能性を国内外に訴求したいと思います。
アスリートのハイパフォーマンスへのサポート等で得られたスポーツ医・科学等に係る知見を、広く国民の皆様の健康の保持増進や効果的な運動・スポーツの実施に還元していくための取組も進めます。これらの取組を進めることが、運動・スポーツの質を高め、その後の継続や定着が図られるとともに、運動・スポーツを通じてライフパフォーマンスの向上が図られることにより、健康増進、QOLを高められる等、生きがいのある人生を送ることに繋がると考えています。推進にあたっては、私が考案・実演する身体診断「セルフチェック動画」や「紙風船エクササイズ」の活用も含めた普及啓発活動にも取り組んでいますので、皆様も是非体験してください。
少子化による学校の小規模化によってチーム編成ができない、やりたいスポーツができないといったケースが増えており、学校の部活動だけで子供たちのスポーツ機会を確保することは困難になってきています。未来を担う子供たちが、持続可能な形で多様なスポーツ活動を行うことができるよう新たな地域スポーツの創造にも力を入れていきます。改革推進期間最終年を迎えるにあたり、各地域で取り組む実証事業の更なる充実を図ることでこれまでの成果の普及に努めるとともに、令和8年度以降の方向性についても有識者会議にて議論を進めながら、全国的な取組を加速していきます。
また、子供時代に多様なスポーツに触れる経験は、子供たち自身の可能性を引き出すとともに、将来の選択肢を広げることにも繋がっていくと考え、子供たちが多様なスポーツに親しめるよう「マルチスポーツ」の環境を構築・充実してまいります。これにより、各種体験会の開催など、スポーツで子供やその家族が集まる場が作られ、交流人口を拡大させて地方創生につなげることにも貢献できるでしょう。
そして、今回の改革を通じて、学校という枠からスポーツを解放し、生涯を通してスポーツに親しむ環境を実現していきます。
スポーツは経済や地域を活性化させることに大きく寄与します。武道をはじめとしたスポーツツーリズムの推進、自治体や学生によるスポーツ・健康まちづくりのアイデア等の表彰や好事例の発信等の取組を通じて、各地域が意欲的に取り組めるよう後押しするとともに、スタジアム・アリーナ改革を更に発展させ、他の施設等とともにまちづくりとして総合的・複合的に整備・活用する「スポーツコンプレックス」を推進していきます。また、スポーツと他産業との連携による新事業創出等を支援し、全国各地で多様なスポーツオープンイノベーションを推進してまいります。
こうしたスポーツの価値を社会に広げていくためには、スポーツ・インテグリティを高めていくことも重要です。ガバナンスコード等に基づくスポーツ団体のガバナンス強化やコンプライアンスの徹底、暴力やハラスメント等といったスポーツに根差す問題の根絶、アスリートへの誹謗中傷等に係る対策等を推進していきます。
また、ドーピングもスポーツ・インテグリティを脅かす要因の一つであり、自己の可能性を否定するのみならず、健康を害し、命を軽んじる行為です。ドーピングをしない、させないということは、自分の命そして他者の命を守ることであると言っても過言ではありません。そこで、巧妙化するドーピングに対応した検出手法の研究開発等に加え、スポーツ団体や医療関係団体とも連携して、多くの人に対してアンチ・ドーピングに関する教育・啓発をすることにより、スポーツの価値を守り、広く国民のライフパフォーマンスの向上に寄与してまいります。
「スポーツ」は、楽しさ、喜び、感動や勇気等といった様々な価値を生み出し、人生を楽しく、健康的で生き生きとしてくれるものです。スポーツ界が一丸となって、時代の変化に柔軟に対応し、スポーツの持つ可能性を更に広げていくことにより、国民の皆様に感動していただけるスポーツ界を実現していけるよう精一杯取り組んでまいります。
スポーツ庁政策課