令和六年 年頭の所感

令和6年1月

 

「スポーツの可能性を拓く」

 
新年あけましておめでとうございます。
 
昨年のスポーツ界は、野球のWBC優勝に始まり、バスケットボール、ハンドボール、バレーボールや陸上、アジア大会・パラ大会も含め、これまで日本が得意としてきたスポーツだけではなく、様々な競技種目において日本選手の活躍が広がりました。世界最高峰レベルのプレーをどのスポーツにおいても国民の皆様が楽しむことができるようになった一年であったといえます。また、若い世代の選手が大きく躍進しました。これは、文部科学省が取り組んできた、ゆとりのある教育や、アクティブラーニングなど、学校教育や社会教育を通じて育まれた主体的に学ぶ姿勢の表れでもあり、指導者との関係性など含め、アスリートとしても自己の可能性を絶えず追求する向上心と実行力に繋がっているのではないかと感じます。
 
そして今夏には、いよいよパリオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。出場する選手の皆さんの活躍を期待するとともに、最高のパフォーマンスを発揮できるよう、スポーツ医・科学の知見等も活用しながら競技直前まで選手をサポートする体制の構築を図るなど、国際競技力の向上に取り組んでまいります。
 
さらには、アスリートのハイパフォーマンスへのサポート等で得られたスポーツ医・科学等に係る知見を、広く国民の皆様の健康の保持増進や効果的な運動・スポーツの実施に還元していくための取組も進めます。目的を持った運動・スポーツの推進を図り、年齢・性別・障害の有無等にかかわらず、誰もがそれぞれのライフステージにおいて最高の能力を発揮できる状態(ライフパフォーマンスの向上)を目指します。推進にあたっては、私が考案・実演する身体診断「セルフチェック動画」の活用も含めた普及啓発活動にも取り組んでまいります。
 
未来を担う子供たちが、持続可能な形で多様なスポーツ活動を行うことができるよう部活動改革の推進にも力を入れていきます。改革推進期間2年目を迎えるにあたり、各地域で取り組む実証事業の更なる充実を図ることで好事例の創出と普及を進めるとともに、スポーツ団体や民間事業者等、多様な主体との連携強化に取り組みます。
少子化による学校の小規模化によってチーム編成ができなかったり、やりたいスポーツができないケースが増えており、学校の部活動だけで子供たちのスポーツ機会を確保することは困難になってきています。学生時代に多様なスポーツに触れる経験は、子供たち自身の可能性を引き出すとともに、将来の選択肢を広げることにも繋がっていくと考えます。
プロスポーツの発展が地域を活性化させ、健康志向によりフィットネス産業が活発となり、既に学校だけでスポーツを行う時代ではなくなりました。子供たちのスポーツ環境を充実していくことは急務であり、今回の改革を通じて、学校という枠からスポーツを解放し、生涯を通してスポーツに親しむ環境を実現する時が来たと言えます。
 
スポーツは地域や経済を活性化させる大きな可能性を秘めています。武道をはじめとしたスポーツリーズムの推進、自治体や柔軟な発想を持った学生によるスポーツ・健康まちづくりのアイデア等の表彰や好事例の発信等の継続的な取組を通じて、各地域が意欲的に取り組めるよう後押しするとともに、地域活性化の核となるスタジアム・アリーナの実現に向けて、国・自治体・民間事業者が一体となって取り組む「スタジアム・アリーナ改革」を一層推進します。さらには、スポーツ界が持つ資源と民間事業者等のノウハウを融合させた新しいビジネスモデルの創出支援などにより、全国各地域で多様なスポーツオープンイノベーションを促進してまいります。
 
こうしたスポーツの価値を社会に広げていくためには、スポーツ・インテグリティを高めていくことも重要であり、ガバナンスコード等に基づくスポーツ団体のガバナンス強化やコンプライアンスの徹底、暴力やハラスメント等といったスポーツに根差す問題の根絶、巧妙化するドーピングに対応した検出手法の開発等を含むアンチ・ドーピング活動の推進に向けた取組を進めます。 
 
人々の働き方やライフスタイルが多様化する現代において、新しいスポーツの楽しみ方も広がりつつありますが、どの時代においても、スポーツは国民の皆様を元気づけ、生活や心を豊かにするものです。スポーツ界が一丸となって、時代の変化に柔軟に対応し、スポーツの持つ可能性を更に広げていくことで、国民の皆様に感動していただけるスポーツ界を実現していけるよう精一杯取り組んでまいります。
 

 

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