令和五年 年頭の所感

令和5年1月

 

「感動していただけるスポーツ界を目指して」

 

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 
スポーツ庁は、東京大会のスポーツレガシーを継承・発展させ、スポーツの価値を更に高められるよう、昨年4月からスタートした「第3期スポーツ基本計画」に基づく各施策を推進してまいりました。

まず昨夏以降多くの報道がなされた東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会を巡る事案は、公正性が重視されるスポーツ界において、スポーツの価値を大きく貶めるもので、決して許されるものではありません。こうしたことから大会運営を担う組織のガバナンス体制や情報公開の在り方について検討するプロジェクトチームを設置しました。公正性を取り戻すため、スポーツ界の各構成員が一致団結して今後の大規模な国際又は国内競技大会の円滑な開催に資する取組を厳正に進めてまいります。

さて、東京大会で高まったスポーツ実施の機運を生かし、「楽しさ」や「喜び」といったスポーツの持つ価値を広めるとともに、性別、年齢、障害の有無等にかかわらず、様々な立場の人が「ともに」スポーツを楽しめる環境づくりも重要です。特に、昨年は運動部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行について、検討会議の提言の取りまとめ、実践研究の成果をまとめた事例集の公表、部活動指導員の配置と併せ、新たな支援策を講じるとともに、新たな地域クラブ活動の在り方や、地域連携・地域移行の進め方等を含む、総合的なガイドラインを示すことになりました。今後も多くの関係者のご協力をいただきながら、子供たちがスポーツに継続して親しむ機会を確保し、体験格差の解消に取り組んでいきます。また、企業や団体によるコンソーシアムの構成を通じた連携を促す「Sport in Lifeプロジェクト」への加盟数は2,000を超え、スポーツ実施の情報・資源のプラットフォームとして確立しつつあります。こうした取組に加えて、令和4年度からは新たに「スポーツ実施率の向上に向けた総合研究」を開始しました。その中では、「コンディショニングに関する研究」などスポーツならではの研究テーマも進め、世界に向けて発信していきます。東京大会で得られた科学的知見や医学連携の取組を、アスリートのみならず国民全体に普及することを目指しており、新たな成果が生まれるものと期待しています。今後もスポーツが生涯を通じて生活の一部となるよう、取組を進めていきます。

国際競技力の向上については、昨年11月にとりまとめられた「地域におけるスポーツ医・科学支援の在り方に関する検討会議提言」を踏まえ、居住地域にかかわらず、全国のアスリートが、スポーツ外傷・障害・疾病を予防し、健康を維持しながら安全に競技を継続できる環境の整備に向け、国と地方が一体となってスポーツ医・科学の知見等を活用した国際競技力の向上に取り組んでまいります。

スポーツを通じ、地域や経済の活性化を促す取組も重要な施策です。スポーツを活用したまちづくりに積極的に取り組もうとする自治体を応援するため、「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰制度」を創設し、第2回の表彰式では、20の自治体の特色あるアイデアを表彰しました。また、まちづくりや地域活性化の核となるスタジアム・アリーナの実現に向けて、国・地方自治体・民間事業者が一体となって取り組む「スタジアム・アリーナ改革」を推進すべく、モデル施設の選定や優良事例の横展開を図るとともに、スポーツチームと民間事業者等との共創による新しいビジネスモデルの創出支援などにより、全国各地域で多様なスポーツオープンイノベーションを促進し、スポーツを通じた経済活性化・社会課題解決を図ってまいります。

さらに、関係省庁や団体等との連携・協力をより一層深めていくことも重要です。様々な取組・施策に「スポーツ」という軸を通し、社会の活性化や課題解決等に取り組む「中核的な」役割を果たすのがスポーツ庁です。今後は、これまで以上に省庁間の垣根を超えた連携・協力を通じて、スポーツ施策の推進に取り組んでまいります。

私が発案した、身体活動のセルフチェック動画や熱中症対策動画の作成・配信をはじめ、SNS等を活用して様々な場面でスポーツの魅力や安心安全な楽しみ方などの発信に努めてまいりました。今後も国民の皆様に、スポーツへの一層の関心を持っていただけるよう、普及啓発活動に注力してまいります。

スポーツは国民のみなさまを元気づけ、心と身体の健康に寄与するものと考えております。「感動していただけるスポーツ界」を目指し、精一杯取り組んでまいります。

 

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