鈴木大地スポーツ庁長官 二周年記者会見

平成29年10月2日(月曜日)
スポーツ

10月1日付けで、文部科学大臣より任命いただき、スポーツ庁長官としての任期の更新となりました。引き続き全力を挙げましてスポーツ行政の諸課題に取り組んでまいります。
スポーツ庁長官として新たな任期に臨むにあたり所信を述べさせていただきます。

初代のスポーツ庁長官として一昨年10月に就任しました。それまで文部科学省が担ってきた国際競技大会に向けた競技力の向上をはじめとして、スポーツを通じた健康増進や障害者スポーツの振興、地域・経済の活性化、国際交流・協力など、スポーツ行政を総合的・一体的に推進してまいりました。
私自身、選手・指導者・大学教授・競技団体役員といった様々な立場からスポーツに関わってきたという経験を活かし、できるだけスポーツの現場に足を運ぶとともに、国内の各団体・地方公共団体やIOC・IPCをはじめとした国際スポーツ団体とも積極的に交流し、我が国スポーツ界の「顔」となるべく全力で取り組んでまいりました。

一昨年の就任は、2020年東京大会を間近に控えた段階ということもあり、スポーツ庁として、大会の成功に向けて直接的に関わる事案として、競技力の向上や、新国立競技場の整備をはじめとした準備への協力が目の前の重要課題でありました。
昨年10月には、スポーツ庁発足から1年の日に、競技力向上のための強化の方針、いわゆる「鈴木プラン」を発表しました。「J-STARプロジェクト」のスタートや、直近の国際大会における若手選手の活躍など、徐々にその成果も見えてきたと感じています。

これらは、今後も引き続き、しっかりと取り組んでいかなければなりません。
その一方で、2020年東京大会の成功にとどまらず、大会を契機に、次世代に誇れる遺産、レガシーをいかに創出していくのか、我が国のスポーツ全般の振興を預かる立場として、どのように責務を果たすべきか、ということも改めて考えてきた2年間でありました。

文部科学省では、本年3月に第2期のスポーツ基本計画を策定し、スポーツ立国の実現に向けて、スポーツを「する」「みる」「ささえる」参画人口の拡大等を目標に掲げました。
特に、このスポーツを「する」の部分については、国民の週1回以上のスポーツ実施率を、現在の約40%から5年後には65%にまで伸ばすことを目標としております。

スポーツには、することによる個人の楽しさや喜びだけでなく、心身の健全な発達や健康・体力の増進、生活習慣病の予防、これらの結果として健康寿命の延伸といった様々な効果が期待できます。
このような個人的な利益だけでなく、スポーツによる健康増進は医療費の抑制にもつながり、国家財政にも貢献するものです。

先ほど、2020年東京大会のレガシーと申しました。
このキーワードを一言で表すならば、ずばり「健康」であると思います。間違いなく、この「健康」が大きなレガシーとなります。
2020年以降の未来において、誰もが気軽にスポーツに親しみ、健康で生きがいのある生活をおくれる社会、高齢化が進展しつつも成熟した活力ある社会、こうした世界が当たり前になったとき、その時代の人々が振り返って、「そうか今の時代があるのはこの2020年大会がきっかけだったのか」と気づく。
このような社会の実現こそ、スポーツ庁が取り組むべき、次世代に遺すレガシーではないか。スポーツ政策の「本丸」は、まさに「国民の健康」ではないか。
これまで長官職を務めてきた中で、このように考えるに至りました。

このような社会変革を実現するためには、今回、私に任期として与えられた、3年間が勝負だと考えます。
この3年の間には、2019ラグビーワールドカップ、2020東京大会、2021ワールドマスターズゲームズ関西といったイベントが相次ぎ、スポーツの機運が最高に高まる、この時期に、将来花を咲かせるために、今、種をまいておかなければなりません。
「スポーツが変える。未来を創る」
これは昨年決定したスポーツ庁の評語です。
未来を創る仕事に、この3年間取り組みます。

スポーツ基本計画に掲げる目標は、スポーツ実施率を現状の約40%から65%に引き上げるというものですが、これは、新たに2000万人の方にスポーツに親しんでいただく必要があり、容易には実現できないチャレンジングな目標です。
再任に先立って、本年7月には、スポーツ審議会に対し、スポーツ実施率の飛躍的な向上に向けた方策について諮問いたしました。
従来の延長線上にはないものも含め、あらゆる手立てを検討し実行してまいります。

スポーツに、より多くの方に親しんで頂くためには、スポーツに対するイメージを変える必要もあると思います。つまり、スポーツの「定義」です。
例えば、国民の皆様の中には、スポーツというものは、現役時代に私自身が行ってきたような、競技性の高いものを想像する方が多いと思います。つらく苦しい練習に耐え、歯を食いしばって、肩で呼吸をするような、そういうスポーツです。
しかしながら、スポーツの定義は元々、「楽しみ・気晴らし・娯楽」という意味も含まれています。
激しく泳いだり走ったりしなくとも、個人の楽しみとして行われるヨガやダンス、気晴らしの散歩は立派なスポーツですし、体力向上など何らかの目的意識があれば、エスカレーターではなく階段を使うことや布団の上げ下ろしであっても、スポーツの要素は十分あると思います。
今般、小中学校の体育科・保健体育科の学習指導要領を改訂しましたが、「運動の楽しさや喜びを味わうこと」を一層重視する内容としました。まず、スポーツは「楽しい」ものであることを、この機会に改めて強調させていただきます。

そこで、新たな任期のスタートにあたり、私の考えを色濃く反映した取組を始めたいと思います。
スポーツということで何か特別なことをするということではなく、楽しく健康的に、もっとも身近で手軽な「歩く」ということに主眼を置いた、「FUN+WALK PROJECT」(ファン・プラス・ウォーク プロジェクト)です。
この官民連携の新たな取組については、後ほど、詳細をご説明いたします。

「FUN+WALK PROJECT」をはじめ、今後の3年間では、より多くの国民にスポーツに親しむきっかけや機会を設けるよう新たな取組に挑戦し続けてまいります。
健康寿命の延伸に関しては、厚生労働省も、『スマート・ライフ・プロジェクト』などを推進されていますが、スポーツ庁としてもスポーツの実施を通じた健康増進の観点から、厚生労働省とさらなる連携強化を図っていきたいと考えています。
具体的には、生活習慣病対策等の分野での合同会議の開催等について、現在両省で検討しているところです。
これらを通じて、スポーツ実施率の向上と健康増進はもちろん、スポーツが文化として日本各地に根付き、人々の生きがいや幸せ、豊かな生活の基盤となることを目指します。

最後に、今回与えられた3年という任期は、これは、当然、2020年東京大会に向けてのものと受け止めております。
スポーツの機運を最高に高めるためには、自国開催での日本選手の活躍が不可欠であり、その意味でも競技力向上にこれまで以上に全力を挙げなければなりません。
また、「する」スポーツだけでなく、「みる」「ささえる」の観点からも、東京大会の盛り上がりを全国へ広げ、経済や地域の活性化にもつなげてまいります。

私からは以上でございますが、ただいま申し上げたことは、我々だけでは不十分であり、国民の皆様のご理解があって、一緒になって進めていけるものです。今後とも、皆様の一層のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
以上

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スポーツ庁政策課

(スポーツ庁政策課)