令和4年8月10日
1.事業名
令和4年度 Sport in Life 推進プロジェクト「コンディショニングに関する研究」
2.事業の趣旨
スポーツ庁では、スポーツを通じて一人一人の人生や社会が豊かになることを目指し、国民のスポーツ実施率を向上させ、日々の生活の中でスポーツの価値を享受できる社会を構築するという目標を掲げている。その達成に向け、特に2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京大会」という。)で得られた科学的知見の活用やスポーツ実施の機運等のレガシーを継承することが重要である。 スポーツ科学分野では、パフォーマンスを向上させるための研究も行われており、アスリートの心と身体を支えるべく、コンディショニングに関する研究も近年盛んに行われている。その中で東京大会のレガシーとして、トップアスリートの競技力向上にとどまらず、スポーツ科学や身体運動科学の成果と新しい知見を、国民全体の心と身体の健康に寄与させるための取組も重要である。 また、成人の週1回以上のスポーツ実施率は56.4%であり、長期的には増加傾向にあるものの、依然として成人のスポーツ非実施者(過去1年間に1度もスポーツを実施していない者)は2割近く存在しており(令和3年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」)、更なるアプローチが必要である。 令和4年3月に策定された「第3期スポーツ基本計画」においても、「国は、地方公共団体やスポーツ関係団体、民間事業者、経済団体等に対し、科学的根拠に基づき、スポーツによる健康づくり、コンディショニングの方法、栄養・休養の取り方等 の健康に資するスポーツに関する情報を分かりやすく発信する」こととされている。 これらを踏まえ、東京大会で得られた科学的知見等の一般への普及と、新たな視点でスポーツの価値を高めることによるスポーツ実施率の向上を目指す。
3.事業の内容
上記2の事業趣旨を踏まえ、以下3点の事業を委託する。
(1)スランプの要因と解決策に関する調査研究
コンディショニングを考える際には、食、運動、睡眠、ピーキングなど広い観点があるが、コンディションが整えられていない状態(最たるものとしてスラン プやイップス等)に着目する必要もある。 アスリートに限らず、人生における心身の不調は、発育・発達期から老齢期において誰にでも起こり得るため、スランプに着目し、その実態と発生の要因を解明し、解決策をまとめることにより、多種多様な環境下においても、自らが持つ パフォーマンスを最大限に発揮できるような身体的・心理的状態を、スポーツや日常の仕事、生活の中に作り出すことができる手がかりとする。
1.調査研究の内容
スランプに関して、基礎的及び発展的な調査研究を通じ、国民全体がスランプや精神的な負担、伸び悩みなどの問題解決に寄与できるよう、以下の通り、a)脳・ 神経系、b)運動系、c)心理系の3つの分野から、スランプの実態について検証する。
a)脳・神経系 脳や神経等の役割に着目して調査を行い、原因解明、早期発見方法、解決・ 回復法に結びつけるための仮説をまとめるため、既存の研究に関する文献レビューを行う。
b)運動系スランプには、怪我や故障の前兆や過剰な繰り返し動作の実施(過剰学習) によるもの等、様々な原因が考えられる。これらについて、まずは既存の調査や仮説を整理した上で、スランプの要因に関する仮説を立て、実験により仮説を検証する。 検証結果を踏まえ、さらに調査対象を拡大し、その結果の信ぴょう性を高めるとともに、例外事例や最適事例などの詳細を調査する。
c)心理系アスリートの心理状態が競技の成績と関連があると考えられることから、ス ランプがメンタルの落ち込みや伸び悩み、モチベーション等と関係しているという仮説の下、スランプと精神状態の関係性について解明する。そのため、まずは現役を引退したアスリートを中心にスランプに関するヒアリングやインタビュー調査を行い、心理学的な背景と競技成績について調査・分析しまとめる。
※b)運動系においては、c)心理系におけるヒアリング結果に留意の上、調査を実施することも検討する。
2.調査研究委員会の設置・運営
上記1.の効果的な実施推進のため、以下の通り、有識者からなる調査研究委員会を設置し、協議・検討を行う。
・同委員会の委員は、スポーツ庁健康スポーツ課(以下、「担当課」という。) に諮った上で選定し、委嘱を行う。また、委員の中から委員長1名を選出する。
・受託者は、委員及び担当課と調整した上で調査研究委員会の日時を決定し、必要な資料の作成・準備を行うこと。
・会場の手配は受託者にて行うとともに、必要に応じてオンラインでの開催に必要な機材や環境等の準備を行うこと。
・調査研究委員会終了後、議事録を作成し、2週間以内に担当課に提出すること。
・受託者は、委員に対する旅費及び謝金を支払うこと。旅費及び謝金の単価については、文部科学省の基準単価及び「国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年4月法律第114 号)」を用いてもよい。
3.事業報告書の作成 ・受託者は、事業の成果をまとめ事業報告書を作成する。作成した報告書は、委託要綱で定められた期日までに、印刷物 50 部及び電子データをスポーツ庁に提出すること。
(2)運動器機能低下に対する地域における効果的な運動療法のあり方に関する研究
東京大会の選手村総合診療所(ポリクリニック)においては、アスリートの怪我の回復やコンディションの調整のために、多職種が連携して介入が行われた。こうしたポリクリニックの経験や、国際レベルのアスリートのサポートの知見を応用し、アスリートだけでなく、腰痛等の痛みや運動器機能低下が認められる者が身近な地域で安心して安全に質の高い運動療法を受けられるよう、地域での運動器機能改善のための運動療法に係る介入スキームを確立し環境整備を推進することが期待される。 そこで、東京大会を含むアスリートに対しての運動器機能改善のための多職種連携による運動療法に関する調査を実施し、腰痛等や運動器機能低下に対する地域での運動療法モデルの提案・検証及び地域における運動療法のあり方に関する提言をまとめることを目的として調査研究を実施する。
1.調査研究の内容
A.アスリートの運動器機能改善のための多職種連携による運動療法に関する調査
・東京大会のポリクリニックの活動及び国内外の事例等の文献調査やヒアリング調査等を実施し、アスリートの運動器機能改善のための多職種連携による運動療法に関する介入方策及びその効果等をまとめる。
B.腰痛等や運動器機能低下に対する地域での運動療法モデルの提案及び検証
・上記(A)の調査結果に基づいて、腰痛等や運動器機能低下に対する地域での運動療法モデルを検討する。
・検討したモデルに係るパイロットスタディーを行い、その結果を踏まえてモデル案を作成し、モデルの実証実験を行う。
C.腰痛等や運動器機能低下に対する地域での運動療法の方策等の整理・上記
(B)の結果を踏まえ、効果的な地域での運動療法の方策及び体制、多職種の役割及び連携方策、運動療法を推進していく際の留意点及び課題等の整理を行う。
D.腰痛等や運動器機能低下に対する地域における運動療法のあり方に関する提言
・上記(C)を踏まえ、腰痛等や運動器機能低下に対する地域における運動療法のあり方に関する提言をまとめる。
2.調査研究委員会の設置・運営
・上記1.の効果的な実施推進のため、以下の通り、有識者からなる調査研究委員会を設置し、協議・検討を行う。
・同委員会の委員として、運動器疾患に関する医学的専門家、スポーツ医科学に関する専門家、運動療法に関する専門家、運動器疾患に係る地域の医療関係者、スポーツ施設関係者等について、担当課に諮った上で選定し、委嘱を行う。また、委員の中から委員長1名を選出する。
・受託者は、委員及び担当課と調整した上で調査研究委員会の日時を決定し、必要な資料の作成・準備を行うこと。
・なお、会場の手配は受託者にて行うとともに、必要に応じてオンラインでの開催に必要な機材や環境等の準備を行うこと。
・調査研究委員会終了後、議事録を作成し2週間以内に担当課に提出すること。
・受託者は、委員に対する旅費及び謝金を支払うこと。旅費及び謝金の単価については、文部科学省の基準単価及び「国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年4月法律第114号)」を用いてもよい。
3.事業報告書の作成・受託者は、事業の成果をまとめ事業報告書を作成する。作成した報告書は、委託要綱で定められた期日までに、印刷物 50 部及び電子データをスポーツ庁に提出すること。
(3)スポーツの価値を高めるための運動・スポーツが身体に与える影響に関する新たな研究促進と医学的知見の集積に向けた調査研究
スポーツ科学分野では、これまでも様々な研究結果やエビデンスが蓄積されているが、新たな視点で科学的知見を集積していくことも必要である。特に、近年運動・スポーツの医学的効果が見直されていることなどを受けて、スポーツと医学のより一層の連携を図っていくことが求められている。運動・スポーツが身体に与える影響に関しては、例えば運動・スポーツ実施時の内臓位置の変化とその影響や、消化器系、循環器系などの各器官系にもたらす影響等、まだ医学的知見が集積されていない分野もある。 こうした中、新たな視点でスポーツの実施促進と医学との連携を図る観点で運動・スポーツが身体に与える影響を明らかにし、発信していくことは、スポーツ非実施者がスポーツに取り組むきっかけや国民がスポーツを実施・継続するインセンティブとなり、ひいては運動・スポーツの価値や意義を高めることが期待される。そこで、運動・スポーツが身体に与える影響に関する医学的知見・データを収集し、それに基づき仮説を立て、当該分野での研究促進に寄与することを目標とする。
1.調査研究の内容 ・運動・スポーツが心身に与える影響に関し、新たな視点(未発達の分野)で解明する課題を選定する。その際、類似の研究についても文献調査を行う。
・選定した課題に関し、医学的知見・データの収集と分析を行う(医学連携)。 その際、 磁気共鳴断層画像装置(MRI)や X 線 CT 検査装置等をはじめとした医療機器 の活用も検討する。
・収集した医学的知見・データに基づき、運動・スポーツが心身に与える影響に関し、仮説を立てる。
・上記の結果を踏まえ、この分野における更なる研究、運動・スポーツの価値や意義を高めるための活用等に関し、示唆を与える。
2.事業報告書の作成 ・受託者は、事業の成果をまとめ事業報告書を作成する。作成した報告書は、委託要綱で定められた期日までに、印刷物 50 部及び電子データをスポーツ庁に提出すること。
4.事業の実施期間
契約を締結した日~令和5年度(2カ年事業(予定))
ただし、2年目以降の契約については、技術審査委員会にて、1年目の事業実施状況等について評価又は確認等を行うとともに、2年目の事業実施計画書の内容を審査し、予算の状況等を踏まえ委託事業を継続することが適当であると認められた場合、事業の継続を決定し、契約を締結するものとする。なお、契約の締結は年度毎に行うものとする。
5.事業規模及び採択予定件数
調査研究1.
事業規模:6,000千円程度(令和4年度)
採択数:1件(予定)
※ 採択件数については、技術審査委員会が決定する。
※ 令和5年度以降の予算規模については、予算の状況等により変動するが、実施計画の検討に当たっては、同規模の想定とすること。
調査研究2.
事業規模:6,000千円程度(令和4年度)
採択数:1件(予定)
※ 採択件数については、技術審査委員会が決定する。
※ 令和5年度以降の予算規模については、予算の状況等により変動するが、実施計画の検討に当たっては、同規模の想定とすること。
調査研究3.
事業規模:3,000千円程度(令和4年度)
採択数:1件(予定)
※ 採択件数については、技術審査委員会が決定する。
※ 令和5年度以降の予算規模については、予算の状況等により変動するが、実施計画の検討に当たっては、同規模の想定とすること。
6.企画競争に参加する者に必要な資格に関する事項
(1)予算決算及び会計令第70条の規定に該当しない者であること。 なお、未成年者、被保佐人又は被補助人であって、契約の締結のために必要な同意を得ている者は、同条中、特別の理由がある場合に該当する。
(2)文部科学省の支出負担行為担当官等から取引停止の措置を受けている期間中の者でないこと。
(3)各研究テーマに関する専門的な知見を有するとともに、国などの公的機関の委託事業を受託した実績があることに加え、スポーツ実施率の向上に資する研究事業が実施可能な法人格を有する団体であること。
7.選定方法及び選定結果の通知
選定に係る審査は、スポーツ庁が設置する技術審査委員会において、提出された企画提案書等について書類審査を実施する。必要に応じてスポーツ庁から企画提案者に対してヒアリングや提出書類の内容確認、追加資料の提出等を求めることがある。 審査方法については、別添「審査基準」のとおり。 選定終了後、30 日以内に全ての企画提案者に設定結果を通知する。
8.公募説明会の開催
開催日時:令和4年8月18日(木曜日)16時30分
開催場所:中央合同庁舎第7号館東館4F 入札室又はオンライン
(オンライン URL は以下の通り)
https://mext-go-jp.zoom.us/j/81964174875?pwd=RFBTbW9yaGtrZ3hKMTBIZTdWMGt3dz09
ミーティング ID: 819 6417 4875
パスコード: 20220818
9.参加表明書の提出
本企画競争においては、参加表明書の提出は要しない。
10.企画提案書の提出場所・提出方法・提出書類・提出期限
(1)企画提案書の提出先、問合せ先
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2 スポーツ庁健康スポーツ課
TEL:03-5253-4111(代)(内線2688)
FAX:03-6734-3792
E‐mail:kensport@mext.go.jp
(2)提出方法
1. 用紙サイズはA4版、横書きとする。
2. 研究テーマごとに企画提案書を提出するものとし、企画提案者は、複数の研究 テーマに企画提案することができる。
3. 企画提案書は、日本語で作成し、電子データを E-mail で提出すること。
・ 企画提案書のデータをメールに添付して送信すること。
・ メールの件名及び添付ファイル名はともに「(事業名)_(法人名)」とすること。
・ 提案資料は、下記4。示す電子データ形式で提出すること。
・ 受信通知は、送信者に対してメールにて返信する。
・ メール送信上の事故(未到達)について、スポーツ庁は一切の責任を負わない。
④ その他
・ 企画提案書を提出する際には、組織の代表者名で提出すること。
・ 電子データの形式は、Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint (Microsoft365 で閲覧可能なもの)のいずれか、及び PDF ファイル形式(Adobe Acrobat Reader DC で閲覧可能なもの)とする。
・ 企画提案書等の作成費用については、選定結果にかかわらず、企画提案者の負担とする。また、提出された企画提案書等については返却しない。
(3)提出書類
1. 企画提案書
2. 審査基準にある「ワーク・ライフ・バランス等の推進に関する評価」の認定等又は内閣府男女共同参画局長の認定等相当確認通知がある場合はその写し
3. 誓約書(下記11.のとおり、地方公共団体、独立行政法人及び国立大学法人には適用しない。)
4. 企画提案者の概要(要覧、企業案内等)
5. 最新の財務諸表等の資料
6. その他必要と思われる資料
(4)提出期限
令和4年8月31日(水曜日)12時必着
※ すべての提出書類をこの期限までに提出すること。
※ E-mail でデータを送信した書類については送信時に提出されたものとみなす。
※ 提出期限を過ぎてからの書類の提出及び提出期限後の書類の差替えは一切認めない。
11.誓約書の提出
(1)本企画競争に参加を希望する者は、企画提案書の提出時に、暴力団等に該当しない旨の別添の誓約書を提出すること。また、企画提案書の内容に業務を別の者に再委託する計画がある場合はその再委託先も誓約書を提出すること。
(2)前項の誓約書を提出しない者、虚偽の誓約をした者及び誓約書に反することとなったときは、当該者の企画提案書は無効とするものとする。
(3)上記(2)については、地方公共団体、独立行政法人及び国立大学法人には適用しない。
12.契約締結に関する取り決め
(1)契約額の決定方法について 選定結果が出た後に、採択者と契約額及び契約の条件等について調整を行う。 契約額については国が業務計画書と参考見積価格等を精査し、委託要項等で経費として認めているもの以外の経費、業務の履行に必要ではない経費、過大に見積もられた経費などは負担しない。したがって契約額は採択者が提示する参考見積価格とは必ずしも一致しないのでその点を承知しておくこと。また、契約額 及び契約の条件等について双方の合意が得られない場合には、採択決定を取り消すこととなるのでその点についても留意しておくこと。
(2)契約締結前の執行について 国の契約は会計法により当事者双方が契約書に押印しない限り確定しないため、たとえ本事業に採択されたとしても双方が契約書に押印していない間は事業に着手することはできない。したがって、それ以前に採択者が要した経費につ いても国は負担することはないのでその点について十分留意するとともに、採択後は迅速に契約締結を進めて行くこと。なお、業務の一部を別の者に再委託先 する場合はその再委託先にも伝えておくこと。
13.スケジュール
(1)公募開始:令和4年8月10 日(水曜日)
(2)公募説明会:令和4年8月18日(木曜日)16時30分
(3)公募締切:令和4年8月31日(水曜日)12時必着
(4)審査:令和4年9月上旬頃
選定及び委託事業実施計画書の提出:令和4年9月中旬頃
(5)契約締結:令和4年10月上旬頃
(6)契約期間:契約締結日から令和5年3月31日まで
14.その他
(1)採択件数は現時点の予定であり増減する場合がある。最終的な採択件数は技術審査委員会が決定する。
(2)公募期間中の質問・相談等については、当該者のみが有利となるような質問等については回答できない。質問等に係る重要な情報はホームページにて公開している本件の公募情報に開示する。
(3)事業実施に当たっては、Sport in Life 推進プロジェクト委託要項、スポーツ庁事務処理要領、契約書及び委託事業実施計画書等を遵守すること。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定など企画提案書に記載した事項について、認定の取り消しなどによって記載した内容と異なる状況になった場合には速やかに発注者に届け出ること。
(4)審査終了後ただちに採択者と契約に向けた手続きに入る。すみやかに契約締結するため、遅滞なく以下の書類を提出すること。業務計画に再委託が予定されている場合は再委託先にも周知しておくこと。
〔契約締結に当たり必要となる書類〕
・ 委託事業実施計画書(委託業務経費内訳を含む)
・ 再委託に係る事業経費内訳(再委託の実施を希望する場合のみ)
・ 委託業務経費(再委託に係るものを含む)の積算根拠資料(謝金単価表、 旅費支給規定、見積書など)
・ 別紙(銀行口座情報)
・ 確認書(知的財産)(知的財産権の帰属を希望する場合のみ)
企画係
電話番号:03‐6734‐2688(直通)
メールアドレス:kensport@mext.go.jp