初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第428号【臨時号】(令和3年12月24日)

[目次]

【お知らせ】 令和4年度予算案閣議決定
【特別コラム】 小学校高学年教科担任制の本格的導入
〔初等中等教育局財務課長 村尾 崇〕

【お知らせ】 令和4年度予算案閣議決定

〔初等中等教育局財務課〕

 本日(2021年12月24日)、令和4年度予算案が閣議決定されましたのでお知らせいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響等により、我が国は依然として厳しい状況にありますが、文部科学省が担う行政分野は、我が国の未来を切り拓くための中核であり、今回確保した予算は「未来への先行投資」です。
 我が国がコロナ禍を乗り越え、希望に満ちた社会となるよう、未来への先行投資に全力で取り組んでまいります。

(令和4年度文部科学省予算(案)のポイント)
https://www.mext.go.jp/content/20211223-mxt_kouhou02-000017672_1.pdf

【特別コラム】小学校高学年教科担任制の本格的導入
〔初等中等教育局財務課長 村尾 崇〕

 令和4年度予算案のうち、初等中等教育関係の重要トピックとして「小学校高学年における教科担任制」があげられます。
 そこで、初中教育ニュース(初等中等教育局メ-ルマガジン)では臨時号として、村尾初等中等教育局財務課長による特別コラム「小学校高学年教科担任制の本格的導入」を掲載します。
 ぜひ文部科学省による「令和の日本型学校教育」の実現に向けた取組の一つとして、ご覧いただければ幸いです。

1.はじめに

 今夏に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されたことが遠い昔に思われるほど時の移ろいは早く、年の瀬を迎えておりますが、昨年に引き続き今年も新型コロナウイルス感染症を巡る状況が刻々と変化し、学校にも大きな影響を与える中、児童生徒のために日々ご尽力いただいている関係者の皆様に対し、心から感謝申し上げます。

2.小学校高学年における教科担任制の推進に関する令和4年度予算案の概要

 本日、閣議決定された令和4(2022)年度予算案では、今年3月の法改正を踏まえた学年進行に合わせた小学校35人学級の段階的な整備(3年生分)や、障害のある児童生徒への通級指導の充実等のための教職員の定数改善に加えて、12月22日の末松文部科学大臣・鈴木財務大臣間の折衝を踏まえ、新たに小学校高学年の教科担任制を推進していくための定数改善が盛り込まれています(※1)。これは、中央教育審議会等における議論を経て(※2)、学習が高度化する小学校高学年において、各教科の系統性を踏まえながら、専門性の高い教科指導を行い教育の質の向上を図るとともに、教員の持ちコマ数軽減など学校の働き方改革を進めるため、地域や学校等の実情に応じた取組が可能となるよう専科指導教員の計画的な配置充実を図るものです。
 文部科学省としては、教師の確保の観点も踏まえつつ、小学校35人学級が完成する予定と同じ年度である令和7(2025)年度までの今後4年間で、STEAM(※3)教育の充実等の観点から算数、理科、外国語、体育の4教科を優先的に専科指導の対象とすべき教科として、5、6年生の教科担任制を進めることとしています。

※1・・・令和4年度文部科学省予算(案)のポイント:https://www.mext.go.jp/content/20211223-mxt_kouhou02-000017672_1.pdf P9
※2・・・「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)(令和3年1月):https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm P44~45
義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について(報告)(令和3年7月):https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/159/mext_00904.html
※3・・・科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)

3.小学校高学年における教科担任制の意義

 小学校高学年において教科担任制を導入することの意義としては、先に述べたように、(1)専門性の高い教科指導を通じた教育の質の向上、(2)教員の持ちコマ数軽減など学校における働き方改革、が挙げられます。

(教育の質の向上)

 (1)の「専門性の高い教科指導を通じた教育の質の向上」については、デジタル化・グローバル化などが進み急激に社会が変化していく中で、義務教育9年間を見通しつつ早期から専門性・系統性の高い教科における学びを充実することにより、学習内容の理解度・定着度が高まり、授業の質の向上に資することになると考えています。全教科が直ちに教科担任制になるわけではありませんが、例えば一人の先生が特定の教科について同じ学年で複数のクラスの授業を持つことになれば授業準備の負担は軽減でき、教材研究の深化にもつながります。複数の教師の目による児童の多面的な理解が可能になることも利点です。
 また、小学校の学級担任制から中学校の教科担任制に指導体制を段階的に移行することにより、よく言われる中1ギャップの解消や、小中学校間の教師の人事交流の促進による一貫したカリキュラム形成などに役立つことも期待できます。私も今秋、教科担任制を取り入れている小学校をいくつか訪問する機会がありましたが、中学校理科免許を持ち、現在は小学校で理科の専科指導を行っている先生と懇談した際に、「小学校ではゴールに向かうための過程を重視するため、伝える知識量が多い中学校とは授業の進め方が根本的に違い、小学校での学習の深さを中学校の指導にも生かせると感じることが多い」と仰っていたことが印象的でした。
 このように、小学校高学年における教科担任制は小学校のみに影響を与えるものではないと考えておりますし、来年度予算案における教職員定数の改善においては、小中一貫・連携教育の観点からの中学校への配置や、中学校における生徒指導体制の強化など、中学校にも配慮したものとしているところです。

(学校における働き方改革)

 (2)の「教員の持ちコマ数軽減など学校における働き方改革」については、既に述べた授業準備の負担軽減は学級担任間の授業交換の場合でも生じる効果ですが、それとともに、特定の教科について専科指導教員が入る場合は、学級担任に一定の空きコマが生じることになるため、その時間を例えばテストの採点など別の業務処理に回すこともできるようになります。小学校の学級担任の持ち授業時数は平均すると週当たり24.6コマ(令和元年度学校教員統計調査)ですが、今回の措置により段階的に教科担任制が進めば、令和7(2025)年度には、高学年の学級担任の持ち授業時数は計算上3.5コマ程度減ることになるものと考えています。
 なお、学校における働き方改革に関し、本日、「令和3年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」の結果を公表しました(※4)。これによれば、平成30(2018)年度からの時間外勤務は概ね改善傾向にあり、これまでの取組の成果は着実に出つつあるものの、長時間勤務をしている教師も依然として多いことが明らかになっており、引き続き、国・教育委員会・学校それぞれの立場において、教師が教師でなければできない仕事に全力投球できるための環境整備を総合的に進めていく必要があります。
 文部科学省においては、小学校における35人学級や高学年教科担任制などの教職員定数の改善だけではなく、全国の取組事例の紹介とともに(※5)、来年度予算案においては教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)や学習指導員、部活動指導員、また、スクール・カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーなどの支援スタッフについても、更に配置数の拡充を図ることとしています(※6)。部活動改革は、特に中学校の働き方改革を進める上で避けて通れない喫緊の課題であり、早急な地域移行に向けて検討しています(※7)。教員免許更新制についても発展的解消に向けた法改正に向けた準備を進めているところです(※8)。このほか、先日成立した令和3(2021)年度補正予算及び令和4(2022)年度予算案においては、ICT環境整備に関連し、指導者用端末や専門性の高い技術的支援などを提供して教師のサポートができる運営支援センターの整備、新型コロナウイルス感染症に関連し、教室等の消毒作業の外部委託等地域の実情に応じた感染症対策を実施するための経費を盛り込んでいます(※9)。

※4・・・令和3年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/uneishien/detail/1407520_00009.htm
※5・・・全国の学校における働き方改革事例集(令和3年3月):https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/mext_01423.html
※6・・・令和4年度文部科学省予算(案)のポイント:https://www.mext.go.jp/content/20211223-mxt_kouhou02-000017672_1.pdf
P10(教員業務支援員、学習指導員、部活動指導員)、P32(スクール・カウンセラー、スクール・ソーシャルワーカー)
※7・・・運動部活動の地域移行に関する検討会議:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/035_index/index.html
※8・・・皆さんからの10の質問にお答えします!(「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議まとめ)に関するQ&A):
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/013/1420173_00002.htm
※9・・・令和3年度文部科学省補正予算事業別資料集:https://www.mext.go.jp/content/000147433.pdf P1~2、P66~68

4.終わりに

 現在は、急激に進む少子高齢化、グローバル化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、そして新型コロナウイルス感染症への対応など、世の中全体が転換期にあり、教育界や学校だけではなく、どの業界も変容を迫られています。学校や、そこにおける教育の在り方が社会の変化との関係において新たな形が模索されているのは、OECD(経済協力開発機構)においてもカリキュラム・オーバーロードが共通の課題として議論されていることにみられるように、諸外国でも同様です(※10)。
学校は、学力・学習機会や全人的な発達・成長を保障し、更には居場所・セーフティネットとしての役割も担っています。そのような学校が、新たな技術を活用しつつ、多様な関係者と協働し、レジリエント(しなやかな強靭さなどの意味)で、社会の明るい未来をつくる場であり続けるためには、学校の教職員やそれを支援するスタッフが重要であることはいうまでもありません。
 令和4(2022)年度予算案には、小学校における35人学級や高学年教科担任制の推進など4,690人の教職員定数の改善とともに、教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)、学習指導員、部活動指導員といった支援スタッフ予算についても拡充し、32,900人を配置するための経費を盛り込むことができました。これも教育関係者の皆様の御支援のおかげです。
 来年度は教員勤務実態調査の実施も予定しています。学校における教育環境の充実や働き方改革を着実に進め、先生方が子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるよう、私としても関係者の皆様と協働しながら全力で取り組みたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

※10・・・OECD Future of Education and Skills 2030:https://www.oecd.org/education/2030-project/

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