初中教育ニュ-ス(初等中等教育局メ-ルマガジン)第405号(令和3年1月29日)

[目次]

【お知らせ】
(1) 中央教育審議会「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)」について
(2) 動画で解説!令和3年度予算案をはじめとする専修学校関係の最新の動向について
(3) 高等教育の修学支援新制度について
(4) 震災と人権に関するシンポジウムの開催について
(5) 〆切間近!オンラインシンポジウム『食文化あふれる国・日本』の開催について

【地方教育行政研修生リレーエッセイ】
〔初等中等教育局幼児教育課 内田健一(千葉県市原市)〕

【課長コラム】デジタル教科書の普及促進について
〔初等中等教育局教科書課長 神山弘〕

【お知らせ(1)】中央教育審議会「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)」について

〔初等中等教育局初等中等教育企画課〕

 令和3年1月26日に開催された第127回中央教育審議会総会において、「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」が取りまとめられました。
 平成31年4月に文部科学大臣が「新しい時代の初等中等教育の在り方について」諮問して以来、初等中等教育分科会の下に置かれた「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」を中心に、約1年9ヶ月にわたって審議を重ねていただきました。

 本答申においては、急激に変化する時代の中で、我が国の学校教育には、一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう、その資質・能力を育成することが求められているとされました。また、そのために、新学習指導要領の着実な実施が重要であることや、ICTが学校教育を支える基盤的なツールとして必要不可欠なものであることなどが示されました。その上で、2020年代を通じて実現すべき学校教育を「令和の日本型学校教育」とし、その姿が「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」と描かれました。これらを踏まえ、令和の日本型学校教育の構築に向けた改革の方向性と、今後進めるべき具体的な取組が示されております。

 答申に示された姿の実現に当たっては、「文部科学省をはじめとする関係府省及び教育委員会、首長部局、教職員、さらには家庭、地域等を含め、学校教育を支える全ての関係者が、それぞれの役割を果たし、互いにしっかりと連携することで、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた必要な改革を果敢に進めていくことを期待する」とされております。文部科学省といたしましては、答申の内容について、学校教育を支える全ての関係者に丁寧に発信するとともに、「令和の日本型学校教育」の実現に向け、関連する取組に全力で取り組んでまいります。

■「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm

(お問合せ先)
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室
 電話:03-5253-4111(内線3749)

【お知らせ(2)】動画で解説!令和3年度予算案をはじめとする専修学校関係の最新の動向について

〔総合教育政策局生涯学習推進課〕

 文部科学省では、令和3年度予算案をはじめとする専修学校(専門学校など)に関する最新の動向について、4つのポイントに分けて説明する動画を作成。
 昨年10月に公開した概算要求などの説明動画から一定の時間が経過したことや、各種研修会が開催されず直接、皆さまに御説明する機会がなくなったことを踏まえ、ここ最近の専修学校施策の動向について情報を共有します!

○詳しくは、こちらを御覧ください。(掲載場所:文部科学省YouTubeチャンネル)
 令和3年度予算案をはじめとする専修学校関係の最新の動向について
 https://www.youtube.com/watch?v=Vhu9evva7r8&feature=youtu.be

○動画のポイント
(1) 令和3年度予算案を含む予算関係
(2) 新型コロナウイルス感染症に係る主な通知等のポイント
(3) その他(修学支援新制度関係など)
(4) 最後に(専修学校関係者の皆様へメッセージ)

○見ていただきたい方
・専修学校関係者(専門学校など)
・中・高校生や高等専修学校などの生徒やその保護者の方
・専門学校の動向について知りたい方
・各都道府県庁の担当者
など

(お問合せ先)
総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室
 電話:03-5253-4111(内線2915)

【お知らせ(3)】高等教育の修学支援新制度について

〔高等教育局学生・留学生課高等教育修学支援室〕

 2020年4月から、大学・短期大学・高等専門学校(4・5年生)・専門学校に在学する学生等を対象にした「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。
 対象となる住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生等は、授業料等の減免と給付型奨学金の2つの支援が受けられます。

■受付期間
・予約採用:大学等への進学前(前年度)に申し込む
2021年4月下旬~ 
・在学採用:大学等への進学後に申しこむ
2021年4月上旬~・9月上旬~
※締切日は学校ごとに異なります。

■支援の金額や条件について
詳しくはこちら(特設ページ)→ https://www.mext.go.jp/kyufu/index.htm

(お問合せ先)
高等教育局学生・留学生課高等教育修学支援室修学支援係
 電話:03-5253-4111(内線3505,3410)
 E-mail:qafutankeigen@mext.go.jp

【お知らせ(4)】震災と人権に関するシンポジウムの開催について

〔教育総合政策局男女共同参画共生社会学習・安全課〕

 1月31日(日曜日)、震災と人権に関するシンポジウムをオンラインで開催します。
 阪神・淡路大震災から25年が過ぎ、東日本大震災から間もなく10年を迎えようとしている今、コロナ禍の避難所で必要とされる人権への配慮について、これまでの教訓を踏まえながら一緒に考えてみませんか。
 学校における災害への備えの一つとして、教育関係者の皆様も是非ご参加ください。

※詳細・お申込みは、こちら
http://www.jinken.or.jp/archives/23453

(お問合せ先)
法務省人権擁護局人権啓発課
 電話:03-3580-4111(内線5877)
 E-mail:keihatsu@i.moj.go.jp

(本件担当)
教育総合政策局男女共同参画共生社会学習・安全課共生社会学習企画係
 電話:03-5253-4111(内線3276)

【お知らせ(5)】〆切間近!オンラインシンポジウム『食文化あふれる国・日本』の開催について

〔文化庁参事官(食文化担当)〕

 日本の多様な食文化を次世代に継承していくため、「郷土料理」「発酵文化」「食の技や道具、しつらえ」をテーマに日本人が育んできた食文化の魅力を語り合うオンライン食文化シンポジウムを開催します。是非ご参加ください。

■日時 2021年2月13日(土曜日)14時00分~15時30分(13時45分開演)
■パネリスト 植野 広生(dancyu編集長)
太下 義之(文化政策研究者/同志社大学経済学部 教授)
中澤 弥子(長野県立大学健康発達学部食健康学科 教授)
柳原 尚之(懐石近茶流嗣家)
■参加費 無料
■詳細・申込 https://www.bunka.go.jp/foodculture/symposium.html

(お問合せ先)
文化庁参事官(食文化担当)
 電話:03-5253-4111(内線5044)
 E-mail:syokubunka@mext.go.jp

【地方教育行政研修生リレーエッセイ】

〔初等中等教育局幼児教育課 内田健一(千葉県市原市)〕

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、例年とは異なる状況の中、研修生を受け入れてくださっている関係部署の皆様に、まずは御礼申し上げます。慣れない環境、流動的な状況の中で、何とか業務を行ってこられたのは、ひとえに皆様のご尽力のおかげです。本当にありがとうございます。

 リレーエッセイというせっかくの機会をいただきましたので、私の派遣元であります市原市について、紹介をさせていただきたいと思います。
 市原市は千葉県、房総半島の中央に位置する、県内市町村で最大の面積を持つ市です。東京湾に面する北部には工場や住宅地が、南部には豊かな自然やゴルフ場が広がっています。(ゴルフ場の数は33箇所で、なんと全国一です!)
 また、昨年1月には市原市の養老川沿いで見られる地磁気逆転地層が、前期―中期更新世地質年代境界のGSSP(国際境界模式地)に決定され、約77万4千年前~約12万9千年前(新生代第四紀更新世中期)の地質年代に「チバニアン」という名前がつきました。残念ながら「イチハラニアン」ではないので、市原市の知名度には繋がりづらいですが、この国際的な基準となる地層が市原市で見られることを、もっとPRしていけたらと考えています。
 この場をお借りして宣伝させていただきますが、昨年12月に、市原市出身のSKE48山内鈴蘭さんを起用した市プロモーション動画が公開されました。ゴルフ場巡りを始め、ローカル線の小湊鐵道、チバニアン、市原湖畔美術館など、多彩な魅力をご紹介しています。以下のリンクからご視聴いただけますので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/s5JsHF8mQW4

 私の研修期間も残すところ2か月程度となりました。この期間で学んだことは多々ありますが、私にとって最も大切だと思ったことは、職員の皆様が、「どうしたら実現できるか」を考えて業務に取り組む姿勢です。私はこれまで行政職員として、つい、規則や金額やスケジュールなどの制限から、「~~だからできない」と、できない理由を考えてしまいがちでした。皆様を見習い、市原市をより良い市にしていくため、尽力していきたいと思います。
 研修の成果をきちんと市に持ち帰るためにも、最後まで業務に励みたいと思います。皆様には色々とご迷惑をおかけしていますが、どうぞよろしくお願いいたします。

【課長コラム】デジタル教科書の普及促進について

〔初等中等教育局教科書課長 神山弘〕

<学習者用デジタル教科書を活用した指導の充実>
 通常の紙の教科書の内容をデジタル化したデジタル教科書(デジタル教科書には学習者用のほか指導者用もありますが、ここでは前者を単にデジタル教科書と呼びます。)は、内容は紙の教科書と同じでも、デジタル化したことで授業の改善・充実に資する様々な使い方ができるようになります。例えば、画面に直接書き込みを行った場合に、それを瞬時に消去して簡単にやり直しができるので、試行錯誤する活動も容易に取り組めるようになります。また、紙の教科書では端末でQRコードを読み込んでいた内容も、インターネットを通じて直接リンク先の教材にアクセスできるようになることから、例えば、英語の音声を聞いたり、関連の動画を見るなどの活動を取り入れやすくなり、児童生徒の学びの幅を広げたり、理解を深めたりできるといった効果が期待されます。さらに、授業支援システムと連携すれば、教師側の端末で児童生徒の作業の状況や書き込みの内容を確認しながら、きめ細かく児童生徒の実態に応じた授業を行うことも可能となります。或いは、児童生徒がデジタル教科書に書き込んだ内容を大型提示装置に表示すれば、その内容を共有しながらの指導や、児童生徒に自ら発表させるなどの活動も円滑に行うことができます。
 上記のほか、ドリルやその正誤確認ができるような教材と連携すれば自学自習に資することも考えられます。しかし、デジタル教科書は導入しさえすればその教育効果を得られるというものではありません。デジタル教科書も紙の教科書と同様、授業において指導者がそれを有効に活用することで教育効果を発揮するものであり、デジタル教科書はあくまでその活用の幅が広がるところに強みがあるものだからです。このため、デジタル教科書を授業で利用する際には、例えば、デジタル教科書に書き込んだり消したりしながら児童生徒が自ら試行錯誤を行うための時間を確保したり、対話的な学びができるようグループ学習の際に試行錯誤の結果を書き込んだものを見せ合って自ら説明したり話し合ったりする活動を取り入れるなど、児童生徒の「主体的・対話的で深い学び」を実現するとの視点からデジタル教科書の特性を生かした授業展開を工夫していただきたいと思います。

<デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議>
 デジタル教科書については、現在、検討会議において今後の在り方等について議論が進められています。その議論の中で、デジタル教科書を用いて児童生徒が試行錯誤することによって動的思考を培うところで終わらせず、その後、紙の教科書やノートを組み合わせて活用しながら、考えたことを書いてまとめ、抽象化・普遍化するなど、静的思考を促すことによって確かな理解につながるよう指導することが重要との御指摘もありました。デジタル教科書の利点は前述の通りですが、紙の教科書には一覧性に優れているなどの利点があることから、児童生徒に身につけさせたいことに応じて、適切な指導方法を選択し、それに適した教材を紙やデジタルの特性を踏まえつつ選択することが重要なのであり、デジタル教科書の利用自体が目的とならないよう留意する必要があります。
 また、検討会議では昨年12月に、デジタル教科書の使用を各教科等の授業時数の2分の1未満とする現行の基準について、撤廃することが適当との報告がまとめられました。報告書では、これは「デジタル教科書の活用の可能性を広げて児童生徒の学びの充実を図るため」の措置であるとされ、「デジタル教科書を各教科等の2分の1以上において必ず使用しなければならないということを意味するものではない」ことも明記されています。また、児童生徒の健康に関する留意事項について周知・徹底を図り、必要な対応方策を講じるとともに、ICT活用に係る教師の指導力の向上のための施策を講じていくことも求められています。
 これを踏まえ、文部科学省では、その基準を定めている告示の改正や、学習者デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドラインの改訂、また、学習者用デジタル教科書実践事例集の一部更新などを予定しております。
 なお、検討会議では、今年度中に中間的な報告を、今年の夏頃までに最終的な報告をまとめることを予定しています。(関係資料等は下記URLにアクセスして御参照ください。)

【ガイドライン】
 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/139/houkoku/1412207.htm
【実践事例集】
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/seido/1414989.htm
【検討会議の資料・議事録】
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/157/index.html#pageLink4

<デジタル教科書の利用の現状と来年度の普及促進事業>
 前述の通り、教育内容や児童生徒の実態に応じた適切な指導の幅を広げる上で、デジタル教科書はとても有用ですが、まだ学校現場に十分に普及していないのが実情です。
 令和2年3月時点では、公立小・中・高等学校等における学習者用のデジタル教科書の導入率は7.9%でした。指導者用のデジタル教科書の導入率56.7%と比べるとかなり低いと感じられますが、その背景の一つとして、小学校用教科書のうちデジタル教科書が発行されていたのは、令和元年度には20%に過ぎなかったという事情があります。その後、小学校で新しい学習指導要領が実施されるのに合わせて令和2年度には94%で発行されるようになりました。同様に、中学校用教科書に関しては、令和2年度は25%に過ぎませんが、令和3年度に95%となる見込みです。もう一つの背景として、学習者用のデジタル教科書は指導者用とは異なり、授業を受ける児童生徒全員が使用するものですから、児童生徒の一人一台端末環境の整備が前提となるという事情があります。この環境整備は、いわゆるGIGAスクール構想のもとで令和2年度に急速に進められているという状況ですので、全国的に見れば、令和3年度からがデジタル教科書を使用する環境が整うスタートの年だと考えられます。
 このため、令和3年度予算案には、学習者用デジタル教科書普及促進事業として、全国のおよそ半数の義務教育諸学校において小学校第5・6学年、中学校全学年を対象として、1教科分のデジタル教科書をパブリッククラウドを通じて配信する事業等に必要な予算として約22億円を計上しています。
 この事業は、今後のデジタル教科書の在り方を更に検討していくために、実際にデジタル教科書を広く学校現場で活用しつつ、デジタル教科書の効果や影響の研究を行うとの役割も担っていますが、いずれにせよ、多くの学校でデジタル教科書を利用していただく絶好の機会であることは間違いありません。特に初めて導入する場合には準備等が大変な面もあるとは思いますが、是非この機会を積極的に御活用いただき、授業の改善・充実に役立てていただきたいと思います。

お問合せ先

初等中等教育局「初中教育ニュース」編集部

03-5253-4111

(初等中等教育局「初中教育ニュース」編集部)