|
(1) |
太陽電池パドル
 |
太陽電池パドル
「みどり 」の太陽電池パドルは、観測センサの校正及び冷却のため、太陽光及び地球からの輻射光が当たらない深宇宙側が構造物で遮られないようにすることなどが必要なため、「みどり」と同様に一翼式太陽電池パドルを採用している。太陽電池パドルの構成及び主要諸元は、図 −2−2、表 −2−1に示すとおりである。
太陽電池パドルは、高い収納性及び軽量化を実現するため、太陽電池セル(高効率シリコンセル)が膜面構造からなるフレキシブルなブランケット部(48枚のアレイブランケットと2枚のセルを貼っていないブランケットから成る。)に配置されている。ブランケット部には、発生した電力及び各種信号を伝達するため、銅ハーネスが埋め込まれている。
打上げ後は、まずブーム部を展開し、高剛性の伸展マストを伸ばして太陽電池パドルを展開する。ブランケット部は、定張力機構により定められた範囲の張力に保たれている。
また、太陽電池パドルには、その状態をモニタリングする加速度計や温度センサ等が取り付けられており、これらの信号は、電力線と同様に銅ハーネスから太陽電池パドルハーネスを通り、パドル駆動機構を経由して衛星本体に送られる。
|
 |
太陽電池パドルの電力ライン
太陽電池パドルの電力ライン(以下「太陽電池パドル電力ライン」という。)は、1系当たり32回路の2系統(合計64回路)に分かれている。
各太陽電池セルは、インタコネクタ及びバスバーで接続され、870枚で1回路を構成している。各回路は、アレイブランケットに埋め込まれた銅ハーネスを通じてコネクタに接続される。
銅ハーネスは、ポリイミドフィルムでできたアレイブランケットの間に埋め込まれている。また、各ブランケット間は、ピンヒンジ及び接着ヒンジで結合されており、銅ハーネスははんだで接続されている。
太陽電池ブランケットの断面図は、図 −2−3に、太陽電池パドル上での銅ハーネス配線図は、図 −2−4に示すとおりである。 |
|
|
(2) |
パドル駆動機構
太陽電池パドルは、太陽を追尾するため回転することから、パドル駆動機構を通じて、電源系に電力及び信号を伝えている。パドル駆動機構シャフト内部と衛星構体取り付け部付近内側の2箇所に温度センサが取り付けられており、スリップリング側及び衛星構体インタフェース温度をモニタリングしている。パドル駆動機構の構造は、図 −2−5に示すとおりである。
|
|
(3) |
太陽電池パドルハーネス
太陽電池パドルとパドル駆動機構間は、電力または信号を伝達するため、196本のハーネス(以下「太陽電池パドルハーネス」という。)で接続されている。太陽電池パドルハーネスの設計に当たっては、熱及び放射線等の耐宇宙環境、ハーネスに流れる電流値、及び打上げ後にバネ力により駆動されるブーム部の展開動作への影響が考慮されている。
この観点から、被覆には耐宇宙環境性に優れる架橋ETFE(四フッ化エチレン−エチレン共重合)樹脂を用いた電線(ハーネス)が使われている(図 −2−6)。また、ブーム部の展開動作を阻害しないためには、ハーネスの太さはできるだけ細いものが望ましく、太陽電池パドルで発生する最大電流値を考慮した上で決定されている。実装は、2本の柱で構成されるブーム部に沿って、ほぼ同じハーネス本数となるよう2つの束に分けられて束線ひもで固定されている。さらに、ハーネスが低温化し、剛性が高くなることにより展開時の抵抗力が増すことを避けるため、多層断熱材(MLI)で覆うこととした。これらは、「みどり」の設計を踏襲している。
一方、「みどり」の機能停止を踏まえた設計変更により、センサ等の信号線が増えたため、ハーネスの束ね方を変更している。電力線128本(64回路)及び信号線68本を、電力線が信号線に与えるノイズをできるだけ低減する観点から、104本の電力線と2本の信号線からなる束(以下「大電力ハーネス束」という。)と、24本の電力線と66本の信号線からなる束(以下「小電力ハーネス束」という。)の2つとした。
太陽電池パドルハーネス実装の概念図は、図 −2−7に示すとおりである。
|
|
(4) |
パドル駆動機構電力ライン
太陽電池パドルハーネスからパドル駆動機構内部のスリップリングまではコネクタを介しハーネスで接続されておりパドル駆動機構内は、スリップリングとブラシが接触して導通している。板バネを介してブラシが固定されているブラシブロックは、ネジ止めにより筐体に固定されており、ブラシブロックと出力側コネクタ間もハーネスで接続されている。
パドル駆動機構と電源系サブシステム間は、パドル駆動機構接続ハーネスにより接続されている。 |