おわりに

○ 本報告においては、教育基本法や学校教育法が示す理念や目標等、新しい学習指導要領の趣旨・内容が的確に反映された、質・量ともに格段に充実した教科書となるよう改善方策を提言するとともに、教科書検定に対する国民の信頼を一層確保するための教科書検定手続きに関する改善方策を提言した。
 文部科学省においては、この提言を受けて、速やかに検定基準や検定規則等の諸規定を改正するなどの対応を行い、新しい教育課程の実施に対応した平成21年度以降の教科書検定が適切に行われることを求めたい。

○ 教科書発行者においては、新しい教育課程の実施に向けて教科書が切り替わるこの時機に、教科書の作成に携わる者の意識を変えて、新たな視点で教科書の著作・編集に取り組むことを望みたい。

○ 本審議会においても、この報告で示された方向性や改善方策を踏まえて、新たな視点に立ち、公正・中立で専門的・学術的な審議を実施し、適正な検定審査を行っていくこととする。

○ また、多くの教員や保護者の間に定着している、「児童生徒は、教科書に記述されている内容をすべて学習しなければならない」とする、従来型の教科書観については、「個々の児童生徒の理解の程度に応じて指導を充実する」、「児童生徒が興味関心を持って読み進められる」、「児童生徒が家庭でも主体的に自学自習ができる」といった観点から、教科書に対する考え方を転換していくことも求められる。
 このため、文部科学省や教科書発行者においても、従来型の教科書観からこのような考え方へ転換が図られるよう、教育委員会、教員、保護者等に対し周知に努め、一層の理解を促すことが必要である。

○ 教科書検定制度は、民間が教科書の著作・編集を行うことにより、その創意工夫に期待するとともに、検定を行うことにより適切な教科書を確保することをねらいとして設けられているものである。
 今回の報告を受けて、検定手続きの改善を着実に実施し、教科書検定に対する国民の信頼を一層高めるとともに、内容豊かで読み応えのある教科書が提供される必要がある。
 今後、教科書や教科書観がどう変わっていくのか、その推移を見極めつつ、教科書検定制度の一層の充実を図ることが求められる。

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