国立大学法人法の一部を改正する法律(平成19年6月20日法律第89号)が平成19年10月1日に施行されたことにより、国立大学法人大阪外国語大学(以下「大阪外国語大学」という)は解散し、その権利及び義務は国が承継するとしたものを除き国立大学法人大阪大学(以下「統合後の大阪大学」という)へ承継することとされている。
大阪外国語大学は、中期目標の期間が終了したものとして、中期目標期間の最終年度の財務諸表の承認及び積立金の統合後の大阪大学の中期目標期間への繰越承認を行うこととなるが、それに先立ち、評価委員会の意見をお伺いするもの。
本件は、中期目標期間の最終年度における取扱いであり、期中における取扱いとは次の点で相違している。
通常の業務の実施に伴う収益化に加え、期末時点における運営費交付金債務は、精算のため収益化する取扱いとされている。期中における剰余金(当期総利益)は、国立大学法人法の一部を改正する法律(平成19年6月20日法律第89号)附則第2条第11項において適用される独立行政法人通則法第44条第1項に基づき積立金とされ、積立金のうち国立大学法人法第32条第1項に基づき文部科学大臣の承認を受けた金額については、統合後の大阪大学の中期目標期間へ繰越す取扱いとされている。その相当額は、統合後の大阪大学の事業の用に供すると認められるものであり、残余については、国庫納付することとされている。(参考1)
なお、大阪外国語大学の国庫納付相当額を除く一切の資産負債は、国から再度統合後の大阪大学へ出資される取扱いとなっている。
財務諸表は、国民その他の利害関係者の判断を誤らせることのないよう国立大学法人の財政状態及び運営状況を適切に表す必要がある。大阪外国語大学の決算における積立金の額が適正か、また、統合後の大阪大学の中期目標期間への繰越申請を受けた額が適切か確認する必要がある。
したがって、事務局においては、文部科学大臣による財務諸表の承認、積立金の統合後の大阪大学の中期目標期間への繰越承認にあたって、合規性の遵守及び表示内容の適正性の確保の観点から確認を行った。財務諸表等の数値については、事業報告書の一部を除き、会計監査人等による監査の対象となっているため、主要な計数等について確認を行った。
財務諸表の承認及び統合後の大阪大学の中期目標期間への繰越承認について、法令上の位置付けは異なるが、下記「合規性の遵守」及び「表示内容の適正性」について、確認すべき項目は基本的に重複していると考えられるため、下記リストにより一括して確認を行った。
チェック項目 | チェック結果 |
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提出期限は遵守されたか。 | 12月末日までに財務諸表等を提出した。 |
必要な書類は全て提出されたか。 | 以下の書類を提出した。
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会計監査人及び監事の監査証明に、財務諸表の承認にあたり考慮すべき意見はないか。 | 監査証明は、適正意見表示であり、財務諸表の承認にあたり考慮すべき特段の意見はなかった。 |
チェック項目 | チェック結果 |
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記載すべき項目について、明らかな遺漏はないか。 |
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計数は整合しているか。 |
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書類相互間における数値の整合は取れているか。 |
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行うべき事業を行っているか。 |
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運営費交付金に係る会計処理は適正か。 |
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チェック項目 | チェック結果 |
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提出期限は遵守されたか。 | 12月末日までに承認申請書等を提出した。 |
必要な書類は全て提出されたか。 | 以下の書類を提出した。
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チェック項目 | チェック結果 |
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記載すべき項目について、明らかな遺漏はないか。 | 全ての書類について、明らかな記載誤りや遺漏はないことを確認した。 |
執行計画及び繰越申請額は相当性を失していないか。 | 統合後の大阪大学の中期目標等に照らし、執行計画及び繰越申請額について相当性を失したものとはなっていない。 |
大阪外国語大学の財務諸表等について確認した限りでは、特段の過誤などはない。
特に、損益計算において、当期総利益から精算のため収益化した運営費交付金の相当額を控除すると欠損が生じることとなるが、これは、統合後の大阪大学における大学運営をより円滑に行うため、大阪外国語大学において、統合前の大阪大学と協議の上整備等を先行して行った結果生じたものであり、運営上の問題に起因するものではないことを確認した。
したがって、事務局として、文部科学大臣による財務諸表の承認及び積立金の統合後の大阪大学の中期目標期間への繰越承認にあたって、特段のコメントはない。
高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室