資料2−2

第1回目で出された意見の概要

1.科学技術の在り方そのものについて

  • 開発から維持というように、時代の精神というものが大きな変換を遂げている中で、従来のスキルがついていっていないことが問題を引き起こしている。このような状況の下では、人文社会科学と科学技術のサイドとが、一緒のプロジェクトの中で研究するということが必要。  
  • 人間と対象とを分けて考えるのが従来の科学だったが、今後は、人間込みの自然を考えなければいけない。従来の知識体系そのものの転換が必要となっている。  
  • 科学技術について、人間は一体何をどこまで知り得るかという問いとともに、いま何が一体知るに値するかという問いが重要になっており、両者を内在的に関係づけることが必要。  
  • 職業人としてのサイエンティストは、競争にうち勝たないといけない状況に置かれており、研究のスローダウンや環境への配慮等、いろいろ指摘を受けても、競争原理に代わるものが十分確立されていない中では対応が困難。  
  • 学問分野の細分化問題については、現役研究者は、競争に勝ち残るため細分化をいわば強いられる立場にある。現場の声を十分聞きながら検討することが重要。  
  • パースペクティブの長い知の体系を構築する営みが重要。目先のことばかり追いかけていると、世の中の大きな変わり目に対応できない。  


2.経済産業との係わりについて

  • 今後日本が経済成長を維持する上で、技術進歩の役割は非常に重要。また、そのためのナショナルイノベーションシステムの在り方を考えた場合、特に大学の役割が重要。  
  • 日本は、研究費の額や人口当たりの研究者の数は多いというデータもあるが、研究と経済とのリエゾンがうまくいっていない。米国のように、ダイナミックな流動化が図られることが必要。  
  • 日本の大学は、経済活動とのリンクについて、米国等の例も踏まえて改善して行くべき。  
  • 普通に基礎研究と言われるものの中にも、国益に係わる研究が多く存在しており、諸外国では戦略的に強化しようとしているが、日本はそうした意識が乏しい。  
  • 知的財産権等、技術進歩に係わるルールの国際的な調和を図ることが重要。  


3.情報公開や教育について

  • 科学技術に係わる問題の情報公開について議論をすることが必要。  
  • 科学技術が人々から疎遠になっているのは、研究者にも責任がある。研究者が自己の科学について語ることは重要。  
  • 環境問題について、研究者が持っている知識と市民社会が持っている知識とが乖離している。市民に対する情報伝達をマスコミに一方的に任せているのは問題。  
  • 小中学校や高校での倫理教育や自然教育等も含めて、科学を支える教育の役割が重要。  
  • 若者の科学技術に対する関心の低下が懸念される。  


4.人間との親和性について

  • 教育やコミニュケーションなどの場面での人間関係におけるスキルと、テクノロジーというものとを、どう結びつけて考えていったらよいのか検討が必要。  
  • 人間の技法や技術というものが、テクノロジー化して外在化していくことによって、個人の能力として、人が何を獲得し、何を失うのかということを見定めることが必要。  
  • コンピュータについては、その性質上、思ってもみないことが起きるような創発性を追求するよりも、むしろ安全性や人間との親和性ということについて考えるべき。本当の意味での情報化社会をもたらすにはどうすべきかを考えたい。  
  • 医学の力は世の中に多くのものをもたらしたが、一方で、科学としての医学が進めば進むほど、医学への不信感が増すような状況がある。ゲノムの解読を通じて個の医学の実現を図るとともに、臨床の知というものを発展させることが必要。  


5.科学技術政策について

  • 先見性を備えた科学技術政策を可能とするメカニズムづくりが重要。政策や研究についての評価を、社会的側面についての先見性を持たせる手段にしていく必要がある。  
  • 明るい戦略目標を立てることが、社会全体が暗い方向に向かっているときには、大事なこと。米国のように、多くの人を惹き付けるような戦略目標について議論したい。  
  • 地方公共団体が、科学技術の振興について関心を高めるための方策について考えたい。  


 6.安全保障との係わりについて

  • 安全保障の問題と科学技術の問題とを正面からきちんと考えることが必要。  
  • 科学技術と軍事との関係は非常に重要。  
  • 安全保障の観点というものが重要。  


7.その他

  • 生命科学は、命に対する理解の深化や、人間の健康の保持、新産業の創出、地球上の生命世界の保持など、今後非常に重要な役割を果たすことが期待される。しかし、それを支える教育などの面で、日本の現状は、変えていかなければならない課題を抱えていると考えられる。  
  • 環境汚染について、余り環境重視にとらわれすぎると、別の大量消費・大量廃棄社会をつくってしまうおそれ。安全性をどこまで追求するのか考えるべき。  

記号     「21世紀の社会と科学技術を考える懇談会」のホームページへ戻る

記号     審議経過のページに戻る

記号     議事次第(第2回)に戻る