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平成9年度
  科学技術の振興に関する年次報告(概要)


[目次]

   はじめに

   第1部  変革の時代において
     第1章  求められるもの  −変革に向けて対応が求められる内外の諸課題−
         第1節  閉塞状況の打破と生活者の要請への対応
         第2節  地球的、かつ人類的な課題の解決
     第2章  科学技術で何ができるか  −変革の時代と科学技術の役割−
         第1節  重要性増す科学技術の役割
         第2節  国民の科学技術に対する見方
     第3章  どのような取組が重要か  −変革の実現に向けた研究社会の取組強化−
         第1節  「見つめる」  −変革の時代に求められる視点−
         第2節  「生み出す」  −変革につながる成果の創出−
         第3節  「活かす」  −研究成果の社会への還元−
         第4節  「評価する」  −研究評価の強化−
         第5節  まとめ  −変革の時代における新たな「創造」−

   第2部  海外及び我が国の科学技術活動の状況
     第1章  研究費
     第2章  研究人材
     第3章  研究成果関連の動向

   第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
     第1章  科学技術政策の展開
     第2章  総合的かつ計画的施策の展開
     第3章  研究活動の推進


[はじめに]


   この報告は、 科学技術基本法 (平成7年法律第130号)第8条の規定に基づく、科学技術の振興に関して講じた施策に関する報告である。
  本報告では、第1部及び第2部において、広範多岐にわたる科学技術活動の動向を紹介し、第3部の科学技術の振興に関して講じた施策を理解する一助としている。
  第1部では、「変革の時代において」と題して、対応が求められる内外の諸課題の状況、それら諸課題への科学技術面からの対応などについて分析を試みている。第2部では、各種のデータを用いて、我が国と主要国の科学技術活動を比較している。



[第1部  変革の時代において]


   社会の大きな変革の実現に向け積極的な行動が求められている時代を「変革の時代」として捉え、この時代において、科学技術面ではどのような対応が重要となっているかとの観点から考察。



 第1章  求められるもの
          ―変革に向けて対応が求められる内外の諸課題―


 第1節  閉塞状況の打破と生活者対応


 1  従来の日本型経済社会システムの行き詰まり・閉塞感の打破



2  生活者の関心やニーズへの的確な対応



 第2節  地球的、かつ人類的な課題の解決


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 第2章  科学技術で何ができるか
          ―変革の時代と科学技術の役割―


 第1節  重要性増す科学技術の役割


 1  新世紀に向け重要性増す科学技術の役割



2  技術予測調査から見た科学技術への期待と要請



 第2節  国民の科学技術に対する見方


 1  科学技術に対する国民の期待と不安


2  社会が受け入れやすい科学技術


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 第3章  どのような取組が重要か
          ―変革の実現に向けた研究社会の取組強化―


 第1節  「見つめる」  ―変革の時代に求められる視点―


 1  求められる総合的・俯瞰的視点

   (1)内外の諸課題の性格と世界の動向

     1.内外の諸課題の複雑性

○細分化、専門化した狭い個別の科学技術分野だけでは対応が困難である


○ある問題への対処が別の問題を引き起こすことがある


○科学技術面からだけでは対応困難


     2.今、世界では

○主要国の科学技術政策の動向


○競争と連携の調和 


   (2)研究社会全体として重要となる総合的・俯瞰的視点


 2  国民・国際社会との相互理解の増進

   (1)国民と研究社会の相互理解の増進

○国民と研究者の間に意識の差はあるか


○研究社会全体としての経済的、社会的ニーズの把握、反映


○国民の関心と国民への説明


○宇宙開発に対する国民の理解と支持の獲得


○科学技術と倫理問題


○動燃の抜本的改革と国民の信頼回復


○国民と研究社会との相互理解の増進


   (2)国際社会との相互理解の増進


 第2節  「生み出す」  ―変革につながる成果の創出―


 1  総合的・俯瞰的視点に立った成果創出努力

○最適な目標設定と連携


○関係省庁の有機的連携


2  創造的、世界的成果を生み出す努力

   (1)求められる創造的、世界的成果


   (2)創造的、世界的研究成果を生み出す研究運営


     1.日本の研究水準


○研究拠点としての日本 


○世界に通用する研究運営


 第3節  「活かす」  ―研究成果の社会への還元―


 1  民間企業の産学官連携・交流への期待


2  研究成果の社会還元に対する取組の強化

○産学官の連携・交流


○国研や大学の研究成果の社会への還元


 第4節  「評価する」  ―研究評価の強化―


○研究評価への取組の現状


○変革の時代における研究評価


 第5節  まとめ  −変革の時代における新たな「創造」−

  1. 我が国は、今日、経済社会システムの行き詰まり・閉塞状況の打破、生活者の関心・ニーズへの的確な対応、地球的、人類的な課題の解決など多様かつ複雑な内外の諸課題への対応を図り、大きな変革を実現していかなければならない時代を迎えている。
      本章では、こうした時代において、内外の諸課題に的確に対応していくためには、次の点が重要であることを見てきた。これらは互いに独立したものではなく、全てが密接に関連し合い進められていくべきものである。

    • 「見つめる」
      −  狭い個別の科学技術分野から捉えるのではなく「総合的・俯  瞰的視点」を持つこと、即ち、
      • 幅広い科学技術の視野を持つこと、科学技術面以外の対応  や状況を踏まえること、世界的視野を持つこと 

    • 「生み出す」
      −  総合的・俯瞰的視点に立った成果創出努力を行うこと
      • 最適な目標設定と多分野の科学技術の知識の結集・連携 

      −  創造的、世界的成果を創出するための活力を確保すること
      • 世界に通用する研究運営の実現(柔軟性、競争性、優秀な指導者など 

    • 「活かす」
      −  優れた研究成果の社会への還元を図ること
      • 産学官連携・交流の促進、大学、国研の研究成果の社会への還元 

    • 「評価する」
      −  厳正な研究評価の実施
      • 上記取組の確実な進展のための研究評価の実施 

       社会が大きく変わろうとしている時代、研究社会に求められているものは、変革につながる従来にない新たな成果の「創造」であり、また、そうした成果を生み出すための活力の「創造」である。
      こうした変革の時代における新たな「創造」を実現していくためには、今、次の取組の強化に向けた努力が必要である。

    • 総合的・俯瞰的視点を持ち内外の諸課題を捉えていくこと、その上で、最適な目標設定、多くの科学技術の知識の結集・有機的連携を図りつつ研究開発を行うこと。 
    • その中から優れた成果を創出するため、世界に通用する研究運営を行うこと、 

       国としても、これら取組を強化することにより、科学技術政策の戦略性を高めていくことが必要である。

  2. 昨年12月、行政改革会議は21世紀における新たな行政体制の在り方について最終報告をとりまとめた。政府は、この報告を最大限に尊重し中央省庁等の改革を実施すべく、現在所要の準備を行っているところである。
      行政改革会議のとりまとめにあたって、橋本総理は行政改革では特に、創造的な科学技術行政体制の整備に力点を置いたとし、その結果、科学技術を戦略的に、かつ夢を開くものにする体制が十分整備されたとしている。具体的には、行政改革会議最終報告では科学技術に関し、概括次のような改革を行うことが提言されている。

    • 内閣府に総合科学技術会議を置き、人文・社会・自然科学を総合した科学技術を対象とした総合戦略を策定するとともに、科学技術に関する予算、人材等の資源配分の基本方針や国家的に重要なプロジェクト等について評価を行う。 
    • 内閣府に原子力委員会及び原子力安全委員会を置き、現行の機能を継続する。 
    • 当面総務省に日本学術会議を置くが、今後その在り方について、総合科学技術会議で検討する。 
    • 教育科学技術省を置き、創造的な人材の健全育成、学術・文化の振興、科学技術の総合的な振興などを行う。また、同省の編成にあたって、同省において、総合科学技術会議の策定する科学技術に関する総合戦略を踏まえ、より具体的な研究開発計画の策定・推進や、これに基づく各省間の調整を行うとともに、学術・科学技術行政に関する総合的・戦略的取組の強化、大学行政・科学技術行政の統合による学術・科学技術研究の調和、総合性の確保などを図る。 
    • 国立試験研究機関については、類似研究機関、必要以上に細分化されている小規模研究機関、地域別の研究機関、業種別の研究機関等を原則的に統廃合する。また、このような国立試験研究機関全体にわたる省庁の壁を超えた統廃合と並行して、国として重要かつ総合的に取り組む必要のある研究分野、広範な行政目的に関係する横断的な研究分野を担う中核的な研究機関を育成することにより、今後のわが国の科学技術への取組を充実させる。 

       以上の報告を踏まえ、今後は総合科学技術会議や教育科学技術省の設置等の体制整備により、学術及び科学技術研究の調和と総合性を確保しつつ、人文・社会・自然科学を総合した国全体の科学技術政策の総合性、戦略性を高めていくこととしている。この体制整備が実を上げ、新世紀における活力と自信にあふれた社会の創造に科学技術が貢献できるよう今後の具体化に当たって努力していくことが必要である。

       21世紀までわずか2年半を残すのみとなっている今日、変革の実現に向けた取組の強化は喫緊の課題である。科学技術基本法の制定、それを受けた科学技術基本計画の策定により、科学技術創造立国をめざした取組は着実に進展している。変革の実現に向けた取組の強化が科学技術創造立国につながっていくものであり、一層の努力が求められる。


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    [第2部  海外及び我が国の科学技術活動の状況]


      各種データ、統計を用いて海外と我が国の研究費、研究人材、研究成果関連 の動向を示した。

      第1章  研究費
        ・研究費総額
        ・研究費の組織別の負担及び使用
        ・性格別研究費

      第2章  研究人材
        ・研究者数の状況
        ・研究者一人当たりの研究費
        ・研究関係従事者数
        ・学位取得者数の動向

      第3章  研究成果関連の動向
        ・特許
        ・論文
        ・技術貿易
        ・ハイテク産業


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    [第3部  科学技術の振興に関して講じた施策]


      平成8年度に講じられた科学技術の振興施策について、平成8年7月に策定された 科学技術基本計画 を踏まえつつ、施策の分野ごとに報告した。

      第1章  科学技術政策の展開
        ・ 科学技術基本計画
        ・ 科学技術会議
        ・科学技術行政体制及び 予算

      第2章  総合的かつ計画的施策の展開
        ・研究者等の養成・確保と研究開発システムの整備等
        ・研究開発基盤の整備・充実
        ・多元的な研究開発資金
        ・民間の研究開発の促進と国等の研究開発の成果の活用
        ・国際的な交流等の促進
        ・ 地域における科学技術の振興
        ・科学技術に関する学習の振興及び理解の増進と関心の喚起

      第3章  研究活動の推進
        ・基礎科学の振興
        ・重要研究開発分野の推進
        ・組織別の研究活動
        ・主な研究開発制度


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    [概要図表索引]


    第1図(1)  国民の意識  科学技術の貢献すべき分野
    第1図(2)  国民の見方  科学技術の発達に伴う不安
    第2図  研究者の意識  科学技術の発達の社会への影響
    第3図  国民の意識  科学技術が貢献すべき分野
    第4図  企業の中途採用研究者の人材源
    第5図  企業が研究者に求めるもの
    第6図  企業の意識  社会や生活者への貢献
    第7図  科学者に対する国民のイメージと研究者の意識
    第8図  経済的・社会的ニーズの把握と反映に関する研究者の意識
    第9図  研究者の経済・社会的ニーズの把握の仕方
    第10図  科学技術に対する関心と理解
    第11図  研究者の意識  国民の理解を得るための努力
    第12図  経済的、社会的ニーズに対応していくための取組
    第13図  他分野の研究、科学技術面以外の取組の研究目標・計画への反映状況
    第14図  研究開発戦略(計画)を見直す際に重視している点
    第15図  基礎・応用研究の日米・日欧比較
    第16図  世界に占める論文数と被引用回数の割合
    第17図  我が国の研究所・施設の立地条件の欧米との比較
    第18図  最大の研究成果をあげたときの動機づけ要因
    第19図  研究者が望む研究運営
    第20図  マックス・プランク学術振興協会及び米国国立衛生院(NIH)の人員構
    第21図  理化学研究所における人員構成
    第22図  他機関との研究協力を行う理由
    第23図  個人帰属を目的とした特許出願
    第24表  米国の特許出願数上位20大学のノーベル賞受賞者数等
    第25図  国の研究開発課題の望ましい評価視点
    第26図  研究テーマの評価体制のあり方

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    年次報告についてのお問い合わせは こちら まで

    科学技術庁科学技術政策局調査課

    TEL: 03-3581-5271 (内線326)