国の研究開発全般に共通する
評価の実施方法の在り方についての大綱的指針


第6章  研究開発機関の評価


  研究開発機関の評価については、優れた研究開発成果を生み出す効率的・効果的な組 織運営を実現するとの観点から、共通原則に加え、研究開発機関の種類に応じて以下の とおり実施するものとする。

1.国立試験研究機関

  国立試験研究機関の評価については、その設置目的等に応じ、機関の研究能力が最大 限に発揮されるような条件が整備され、研究成果があがるように当該機関の運営全般 (組織・人事管理、研究開発分野・課題の選定、研究資金等の研究開発資源の配分、施 設設備・情報基盤・研究支援体制等の整備、共同研究・民間資金の導入状況等外部との 交流その他)を対象とし、評価の結果をその改善に反映することが必要である。

  機関評価の実施に当たっては、研究成果の数値的指標が評価の参考資料として有効に 活用し得ることは既に述べたが、更に、具体的な社会的・経済的ニーズへの対応のほか、 新しい研究領域・方法等の創造能力、研究の最前線の変化に適切に対応していく柔軟性、 組織の効率的運営等が重要な指標であり、被評価機関の使命や任務に応じての総合的な 評価が必要である。

  機関評価を実施する評価者の構成については、小規模な機関又は運営に関する機密の 保持が必要な機関を除いては、本指針に定める評価実施上の共通原則を踏まえたものと する必要がある。また、これら研究機関の活動全般について広く国民の理解を得ること の重要性にかんがみ、できる限り国民各般の意見を評価に反映させるものとする。なお、 評価者には、必要に応じ海外の卓越した研究者を選任することも有効である。

2.大学等

  各大学等の機関評価については、大学設置基準等に規定する自己点検・評価(「外部 評価」を導入した場合を含む。)の一層の定着及びその内容の充実を推進するものとす る。この場合、本指針に定める評価実施上の共通原則を踏まえつつ、例えば、全学・全 機関的な評価のための組織を設けるとともに、学部等の部局ごとに評価を行うための委 員会を設けるなど、各大学等の実状に応じ、実施体制を整えることが効果的である。ま た、こうした評価のための組織には、必要に応じ海外の卓越した研究者を選任するもの とする。なお、評価の結果については、外部への積極的な情報発信に努めることが必要 である。

  特に、大学共同利用機関については、すべての機関で、当該機関を利用する外部専門 家の参加による評価を行うための全機関的な組織の整備を図るとともに、既に外部専門 家や外部有識者により組織される評議員会等が行っている研究教育活動や管理運営につ いての恒常的評価の実施等について、その一層の充実に努める必要がある。

3.研究開発を実施する特殊法人等

  研究開発を実施する特殊法人等についても、当該特殊法人等の設置目的等に配慮しつ つ、国立試験研究機関に準じた措置が講じられるようにするとともに、評価結果につい ては、それを十分に活用し、国の施策・事業に的確に反映するものとする。

4.その他の機関

  委託先や共同研究の相手先として国費の支出を受けて研究開発を実施する民間機関、 国費による支援を受けて研究開発を実施する公設試験研究機関等、競争的資金による研 究開発を実施するセクター横断的研究グループ等について、各評価実施主体は、課題評 価の際などに、これら機関における当該課題の研究開発体制など、その運営面に関し、 国費の効率的・効果的執行を確保する観点から、必要な範囲で評価を行うものとする。



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