11.国立大学教員の兼業制度

1.制度の概要

根拠法令 制度の概要 許可・承認の事例
国公法
103条
  • 営利企業の役員、顧問、評議員の職を兼ね又は自ら営利企業を営んではならない。
  • 所轄庁の長の申し出により人事院承認を得た場合は兼業可能。
  • 国立大学教員等のTLO(技術移転事業者)役員兼業
  • 研究成果活用企業役員兼業
  • 株式会社等の監査役兼業
  • 自営の兼業(不動産の賃貸等)
国公法
104条
  報酬を得て営利企業以外の事業の団体の役員、顧問、評議員を兼ね、その他いかなる事業に従事し、事務を行うにも、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を要する。
  • 営利企業での研究開発・技術指導
  • 特定TLO及び認定TLOにおいて行う技術指導
  • TLO事業者が行う技術関連の研究成果発掘、評価、選別
  • 営利企業の経営及び法務に関する助言を行う場合
  • 裁判所家事調停委員
  • 地方公共団体の審議会委員、公立病院の非常勤医師
  • 日本原子力研究所、理化学研究所の非常勤研究員
  • 営利企業付設診療所の非常勤医師・医療法人の非常勤医師 等
教特法
21条
  教育公務員は、任命権者が認める場合には、給与を受け又は受けないで、教育に関する他の職を兼ね又は教育に関する他の事業・事務に従事することができる。
  • 公・私立学校、各種学校の非常勤講師
  • 教育委員会の文化財保護審議会の委員

2.具体的な承認・許可基準及び手続き

(1)国家公務員法第103条関係

1.主な承認基準

  • その職員の占めている官職と当該営利企業との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
  • 職務の遂行に支障がないこと。

(人事院規則14ー8、第1)

  なお、国立大学教員等が営利企業役員等兼業を行う場合(下記ア~ウ)は、上記基準に加え各々次のような基準が定められている。

ア TLO役員兼業(平成12年4月から)
  • 役員等としての職務に従事するために必要な知見を有していること。
  • 役員等の職務の内容が、主として技術移転事業者(TLO)に関係するものであること
  • 公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。

(人事院規則14‐17、第4条)

イ 研究成果活用企業役員兼業(平成12年4月から)
  • 事業において活用される研究成果が当該教員等が、自ら創出していること。
  • 職務の内容が、主として研究成果を活用する事業に関係するものであること
  • 公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。

(人事院規則14‐18、第4条)

  ※ 休職については2.(1)末尾の注を参照

ウ 株式会社等の監査役兼業(平成12年4月から)
  • 監査役の職務に従事するために必要な知見を有していること。
  • 公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。

(人事院規則14‐19、第3条)

2.自営兼業(不動産の賃貸等)

  平成12年12月26日付けの「人事院規則14‐8の運用について」の一部改正に伴い、職員が不動産又は駐車場の賃貸を行う場合で、次のいずれかに該当するときは兼業の承認を要するが、それ以外の場合は承認が不要となった。

  • ア 不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
    • (ア)独立家屋の数が5棟以上
    • (イ)独立家屋以外の建物の賃貸が10室以上
    • (ウ)土地の賃貸件数が10件以上 など
  • イ 駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
    • (ア)建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場
    • (イ)駐車台数が10台以上
  • ウ 不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額が年額500万円以上

3.承認手続き

  平成14年6月20日付けの人事院規則14‐17及び同14‐18の一部改正により、本年10月1日より、TLO役員兼業及び研究成果活用役員企業兼業の承認権限が人事院より文部科学大臣に委任され、文部科学大臣は各国立学校長等にその承認権限を委任することとなった。

承認手続き

(注)研究成果活用企業役員兼業のための休職

  国立大学教員等が研究成果活用企業の役員等の職を兼ねる場合において、次に掲げる基準のいずれにも該当するときで、かつ、主として当該役員等への職務に従事する必要があり、当該国立大学教員等として職務に従事することができないと認められる場合、休職することができる。
(人事院規則11‐4(職員の身分保障)第3条第1項第3号)

基準

  • 事業において活用される研究成果が当該教員等が、自ら創出していること。
  • 職務の内容が、主として研究成果を活用する事業に関係するものであること
  • 公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。

承認権者

  • 任命権者

休職の期間

  • 3年以内(3年を超えて期間を更新する場合、人事院の承認が必要。2年以内)

(2)国家公務員法第104条関係

1.許可基準

  職員の官職と兼業先との間に特別の利害関係がなく職務の遂行に支障がない場合

〈昭和41年総理府令〉

  次のいずれかに該当する場合は、原則として不許可

  1. 兼業のため勤務時間をさくことにより、職務の遂行に支障が生じる場合
  2. 兼業による心身の著しい疲労のため職務遂行上その能率に悪影響を与える場合
  3. 兼業先との間に免許、許可、物品の購入等の特殊な関係がある場合
  4. 兼業する事業の経営上の責任者となる場合
  5. 兼業することが国家公務員としての信用を傷つけたり不名誉となる場合

〈昭和41年総理府人事局長通知〉

  次のいずれかに該当する場合は、原則として不許可

  1. 営利企業の事業に関与する場合
    (ただし、研究開発・技術指導、TLOが業務として行う企業に対するコンサルティング、経営・法務アドバイザー、営利企業付設の診療所の非常勤医師、研修所の非常勤講師等は許可できる。)
  2. 営利企業以外の事業の職で次に掲げるような職責が重大なもの
    医療法人、社会福祉法人、学校法人、公益法人の役員(理事長、理事、監事)、病院長、学校長等
    (ただし、国際交流、学内活動、育英奨学を目的とする法人等、学会、その他教育・学術・文化・スポーツの振興を目的とする法人等は許可できる。)

〈昭和58年文部省人事課長通知〉

2.許可手続き

許可手続き

(3)教育公務員特例法第21条関係

1.承認基準

  次のいずれかに該当する場合は、原則として不承認

  1. 公私立学校、専修学校、各種学校の長
  2. 公私立の図書館等の社会教育施設の長
  3. 教育委員会の委員(ただし、機関の長、部局長等以外の教員は承認できる。)
  4. 学校法人、社会教育関係団体の理事長、その他の役員
  5. 国会、裁判所、防衛庁、公共企業体又は地方公共団体附置の教育機関・施設の長

〈昭和58年文部省人事課長通知〉

2.承認手続き

承認手続き

3.独立行政法人における兼業の扱い

公務員型 非公務員型
国家公務員
法第103条
  • 現行同様、国家公務員法の適用を受け、人事院の承認を受けることに変わりはないが、人事院への承認の申出は文部科学大臣ではなく法人の長が行う。
  • 就業規則等で定める。
国家公務員
法第104条
  • 現行同様、国家公務員法第104条の適用を受けるが、職員は、内閣総理大臣及び所轄庁の長ではなく、法人の長の許可を受ける。
  • 各法人で手続、基準を定める。
  • 就業規則等で定める。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)