3.「個人および大学レベルの金銭的利益相反(報告と勧告)」※1(2001年10月 全米大学協会(AAU)研究の説明責任に関する特別専門委員会)

注)平成13年度21世紀型産学連携手法の構築に係るモデル事業「産学連携に伴う利益相反への対応のためのガイドラインの作成 -資料編-」(平成14年3月)より引用。

全米大学協会(Association of American Universities)報告と勧告の概要※2

個人レベルの利益相反の運用ガイドライン10項目

  1. 研究における金銭的な利益相反への対応には大学に強力なマネジメントシステムが必要。
  2. 金銭的利益の多くは相反ではなく、多くの相反はマネージ可能である。
  3. 例えば学生等の研究への参加者については特別に精密な調査が要求される。
  4. 研究資金の性格に関係なく、全ての研究を同じ基準で取り扱う。
  5. 研究機関において指定された役職者に金銭的な情報を公開する。
  6. 学術論文の際に金銭的な情報を公開する。
  7. 学術口頭発表の際に金銭的な情報を公開する。
  8. 政府関連機関(研究資金提供機関)に金銭的な情報を公開する。
  9. 研究に参加する人を審査する際に金銭的な情報を公開する。
  10. 利益相反に関する業務のためのリソースを増加させる。

有効なマネジメントの方策22項目

一般論

  1. 研究をバイアスから守るという原則を周知する。
  2. 研究者とアドミニストレーターが協調してシステムを作る。

委員会

  1. 研究者とアドミニストレーターからなる委員会を利用する。
  2. 大学全体が単一の利益相反委員会を利用する。
  3. 委員会には少なくとも1名の外部メンバーを入れる。
  4. 委員会構成を大学全体の事例の分布が反映されるものにする。

教育

  1. 定期的に教員に利益相反のマネジメントについて教育、周知する。
  2. 簡潔なハンドブックを作る。
  3. 大学で利益相反のセミナーを開催する。

公開

  1. 開示とマネジメントの明確なポリシーと手順を作成する。
  2. 開示(申告)のための簡潔なフォーマットを用意する。
  3. 制度への対応と、利益相反ガイドラインへの防止策的な対応のための方法を別々に整備し、両者の背景にある理念の周知を図る。
  4. 情報のプライバシーの維持を前提に、利益相反の審査責任者が情報を共有する。また、利益相反の審査を大学での産学連携活動推進の必須の過程と位置づける。
  5. 開示のためのフォーマットの記入必要事項をチェックする監査システムを用意する。
  6. 学生が取り組んでいる研究プロジェクトが教育、研究上妥当なものかどうかをチェックする質問を、開示のためのフォーマットの必須項目とする。
  7. 臨床試験実施担当者には会社の株式やオプションについて開示することを義務づけることを検討する。
  8. 学術雑誌への投稿責任者に投稿時に添付した金銭的な開示報告書のコピーを大学の利益相反委員会等に送付させる。

マネジメント

  1. 各大学で利益相反の管理の際に考慮に入れる検討事項をリストアップする。
  2. 遵守されない場合の制裁について明示する。
  3. 利益相反を管理するための資金を科学的な公平性を最大にする方法で配分する。
  4. 個々人の開示がどのように審査、決定され、管理され、場合によっては連邦政府に報告されたかが分るよう十分な文書管理を義務づける。

モニタリング

  1. 利益相反の重要なチェックポイントを定めて重点的にモニタリングする。利益相反の審査対象の行為に関係する当人はモニタリングのプロセスから排除することを義務づけることを可能にする。

エグゼキュティブ・サマリー

  研究大学は金銭的な利益相反を懸念している。なぜなら、金銭的な利益相反は、大学の公正性※3と、その公正性に対する国民の信頼の根幹を揺さぶるものだからである。本委員会は、そのような利益相反から大学を保護するためには、次のような価値基準を充たすことが重要であると考えている。

  • 学生の教育に対する責任
  • 学問の自由に対する責任
  • 科学の進歩に対する責任
  • 大学で治療を受けている患者および治験の被験者の安全に対する責任
  • 知識のオープンかつタイムリーな伝達と普及に対する責任
  • 研究、教育および公共サービスの公正性と客観性を、外見上・実際上ともに保護する責任

  大学で開発した知識を民間部門に伝えることは、研究成果が社会に利益をもたらすことにより、連邦政府から助成を受けている研究の目的の一つを実現することである。この重要な技術移転により、産学関係がますます緊密になっている。このことは利益ももたらすが、次に述べる二つの点から、学問研究が損なわれるリスクも増大させる。

  1)個人レベルの金銭的利益相反:これは、研究を実施し、または成果を公表する場合に、金銭的な要因で研究者の職業上の判断力が損なわれる、または損なわれたように見える状況を指している。このような利益相反が生み出すと考えられるバイアスはデータの収集や分析、解釈のみならず、スタッフの採用や、資料の入手、結果の共有プ ロトコールの選択、臨床研究における被験者の選択、統計法の使用にも影響を及ぼす 可能性がある。

  2)大学レベルの金銭的利益相反:これは、当該大学、その上級役員や理事、学科、学部その他のサブユニット、または提携機関や団体が、大学の研究プロジェクトに金銭的な利害関係を有する企業と外的関係または金銭的な利害関係を有する場合に起こる可能性がある※4。大学の上級役員や理事がその大学と商取引の多い団体の役員を務めている(またはその他の公的関係を有している)場合も利益相反が生じる可能性がある。このような利益相反の存在(またはそのような外見)は、大学の研究の審査や遂行において、現実のバイアスや、バイアスの可能性に対する疑いを生む場合がある。このような利益相反を評価または管理しなければ、大学の使命、義務または価値基準と一致しない選択や行動につながる可能性がある。

  本委員会は、特定の利益相反そのものが問題であることは稀であり、問題はむしろ利益相反のための対策にあると結論した。ほとんどの場合、利益相反が明らかにされないか、評価または管理されない場合に問題が発生している。被験者を用いる臨床研究の場合を除き、大学にとっての問題としては、上記の二種類の利益相反を開示、評価および管理する強力な制度をつくることが大きな部分を占めている。個人レベルの利益相反の場合は、既存の管理制度と規制遵守を改善することが中心となるのに対し、大学レベルの利益相反の場合は、この分野を規定する法制がないため、方針および原理原則を定めることが中心となる。

  本委員会は、個人レベルの利益相反の管理に関するガイドラインを作成した。これはやむを得ない場合を除き、被験者を用いる臨床研究と結びついた金銭的利益を原則的に認めないという、開示・審査手続の一般的アプローチと、被験者の保護制度との相互関係とを中心とするものである。このガイドラインのほか、有望な管理法をまとめ、大学の上級職員が制度の設計および機能を評価するために利用することができる質問のチェックリストを作成した。

  本委員会は、大学における大学レベルの金銭的利益相反に関する手続(所有財産に関連する利益相反および上級職員が関与する利益相反のいずれも)は次の三つのアプローチに従うべきであると結論した。

  • 必ず開示する。
  • 大部分の場合は利益相反を管理する。
  • 公共の利益または大学の利益を保護するために必要な場合は、当該活動を禁止する。

  主要な目標は、金銭的活動と研究活動を別個独立に管理することができるように、これらの活動に関する意思決定を分離することである。

  大学レベルの利益相反について過去に作成された方針がほとんどなく、今回の作業がこの分野における手続の作成および制度化の第一歩にすぎない。大学コミュニティ内での今後の評価を通じ、および国内研究機関として我々のパートナーである連邦機関との対話を通して、本稿に述べる指針および業務が継続的に洗練・強化されることを本委員会は希望する。

  大学は機関として適切な方針、手続およびインセンティブを提供することにより、研究、教育および公共サービスが責任をもって行われる風土を維持すべきであり、そうすることにより、開放的で公正な雰囲気を醸成すべきである。

  研究大学と、連邦政府を含むその主要な研究助成者とのパートナーシップは、大学は大学が行う研究に関して説明責任があるという信念に基づいたものでなければならない。研究大学が個人および大学レベルの利益相反についての説明責任を全うする能力を証明することができない場合は、おそらく行政府または立法府、またはその両方がより指令的なアプローチをとるであろう。

  従って、本委員会は大学に対し、利益相反に関する大学の方針および管理法を、セクション2の個人レベルの利益相反に関する運営ガイドラインと、セクション3に述べる大学レベルの利益相反の管理に関する三つのアプローチを用いて審査し、必要な場合は強化することを早急に考慮することを強く勧める。この作業は、研究大学の公正性を維持し、研究大学が奉仕する国民の信頼を維持することを確保する一助となるであろう。

1.序論および本委員会のアプローチ

  全米大学協会(Association of American Universities、 AAU)は、大学で行われている研究が最高水準の倫理および公正性※5を満たし、国民の健康を増進させることを確保することが大学コミュニティのリーダーにとって最重要の課題であると考えている。このため、AAUは2000年3月に研究の説明責任に関する特別専門委員会を設置した。

  本委員会の最初の課題は、臨床研究に参加する被験者の保護に関する大学の研究管理上の問題を評価することであった。この調査は2000年6月に発表された『研究の被験者に対する大学の保護に関する報告』にまとめられた。本委員会の第二の課題は、産業界と研究大学の協力関係の拡大から生じる問題、特に個人および大学レベルの金銭的な利益の相反を検討することである。本委員会は、これら両方の課題について、大学の研究に関する適切な説明責任を定め、また、規制遵守を監視するための勧告を作成した。

  以下のセクションで述べる個人および大学レベルの利益相反の実用的な定義を作成したところ、本委員会には二つの非常に異なる課題があることが明らかになった。個人レベルの利益相反が生じ得る場合に、研究の客観性を達成するという大学の義務を達成するためには、既存の管理制度と規制遵守を改善すればよいのに対し、大学レベルの利益相反が生じ得る場合は、この問題を規定する一般的なアプローチや法制がないことから、研究の客観性を達成するためには方針や原理原則を定めなければならない。

  個人レベルの利益相反の検討を始めた当初、本委員会は有望な管理法のリストを作成すれば大学による研究の客観性の確保を促し、アプローチに関する大学ごとのばらつきを少なくできると判断した。そこで本委員会は、大学がそれまでに作成した運営指針を調査し、運営の一般的アプローチが一致するかどうかを検討するため、2001年1月に個人レベルの利益相反の実情に関するワークショップを開催した。このワークショップの資料に基づいて、セクション2で述べる運営ガイドラインと有望な管理法のリストを作成した。

  本委員会は、大学レベルの利益相反に対処する指針の作成には別のワークショップが必要であると判断し、2001年6月に、この目的のため現在および過去のAAU会員大学の学長や総長の会議を招集した。このワークショップの資料がセクション3の資料の基礎となった。

  本委員会は当初、学長や総長が各大学で各種管理制度の適切さの評価を学内で依頼するに際して、質問表が役立つと考え、個人レベルの利益相反の管理に関する大学の管理者向けの質問表を作成した。同質問集は末尾に補遺として収載した。

  本委員会が到達した一つの結論は、要するに、特定の利益相反そのものが問題であることは稀であり、問題はむしろ利益相反への対策だということである。ほとんどの場合、利益相反が明らかにされないか、評価または管理されない場合に問題が発生している。被験者を用いる臨床研究の場合を除き、利益相反を開示、評価および管理する強力な制度をつくることが大学にとって主要な課題になっている。

2.個人レベルの利益相反

A.個人レベルの利益相反の定義

  本報告書では、1990年に米国医科大学協会(Association of American Medical Colleges, AAMC)が作成した定義に基づく個人レベルの利益相反の定義を採用した。

  学問における個人レベルの金銭的利益相反という用語は、研究を実施し、成果を公表する活動で、金銭的な要因で研究者の職業上の判断力が損なわれる、または損なわれたように見える状況を指す。このような利益相反が生み出すと考えられるバイアスは、データの収集や分析、解釈のみならず、スタッフの採用や、資料の入手、結果の共有、プロトコールの選択、臨床研究における被験者の選択、統計法の使用にも影響を及ぼす可能性がある。

  この一般的定義に基づき、本委員会はさらに分析範囲を次に掲げるとおりに設定した。

  • 生物医学の分野のみならず、全ての学問分野で利益相反を検討する(生物医学における利益相反には特有の課題があり、特別な努力と関心を呼び起こす分野ではあるが)。
  • 分析は、研究における金銭的な利益相反を中心とし、責務相反(conflicts of commitments)、研究自体と関係がないもの、金銭的な関係ではないものは対象外とする。これらについては別途調査すべきである。
  • 個人レベルの利益相反は、まず教員について問題となるが、研究管理に関与するその他の役員や職員についても検討する※6。
  • 高い地位を有する個人(学長、総長、学科長、学部長、学長、理事など)の金銭的な利益相反には、若干異なる特質があるため、大学レベルの利益相反のセクションで検討する。

B.どのくらい深刻な問題なのか。なぜ対策が必要なのか

  近年、個人レベルの利益相反に関する大学の責任遂行状況に疑問を提起する学術雑誌やニュース記事、政府の発表や報告書が非常に多い。この個人レベルの利益相反については、1995年に二つの主要連邦機関が公布した規則で明確に述べられているとおりである。本委員会は、入手可能な情報を調査した結果、利益相反の発生状況に関する明確なデータは不足しているが、産学連携は明らかに拡大しつつあり、それに伴って、大学で行われる研究の公正性を損なう利益相反が起きるリスクも増え続けていると結論した。学術雑誌で、金銭的な利益相反に関する方針の厳格さは機関によってかなり程度差があり、施策遂行面の努力についても同様であることが明らかにされている。

  本委員会は、個人レベルの利益相反が学術研究の公正性に及ぼすリスクが大きいことから、研究大学は研究の客観性を確保するためになお一層の努力を払うべきであると結論した。大学がこのように利益相反の管理に一層の努力を払えば、個人レベルの金銭的利益相反に適用される連邦規則の遵守状況を改善することにもなると考えられる。

  大学が利益相反の管理に一層の努力を払い、このようなプロセスの可視性と透明度を高めることは、国民が目にする日進月歩の研究成果がいかに公正に生み出されたものであるかについて、国民の納得を得るうえで役に立つ。本委員会は、管理ガイドラインと有望な管理法の策定が、大学による利益相反管理手続の改善に役立つであろうと結論した。

C.個人レベルの金銭的利益相反に関する管理ガイドラインと有望な管理法の策定

  知識の開発と技術移転のプロセスは、これまで大きな成功を収めてきた。このことは、個々の研究者や大学レベルのみならず、臨床試験の場合は患者やその家族にとっても、また、産業界や社会全体にとっても重要である。研究成果が社会に利益をもたらすことで、連邦政府から助成を受けている研究の目的の一つが達成されるからである。この技術移転という重要な活動に伴い、産学の関係がますます緊密になっているため、研究の公正性を保護し、被験者を用いる臨床研究の場合は被験者をも保護する強力な利益相反に関する手続の必要性が増大している。研究大学が自主的な知識の追求者としての立場を維持するためには、最高の倫理水準に従って研究の遂行を続けなければならない。利益相反※7の確認および管理に対するアプローチを変更する際には、学問上の発見の進行過程を不当に妨げないように注意すべきであると同時に、研究の公正性と治験における被験者の利益が十分に保護されることを確保するようにすべきである。

  全米科学財団(NSF)および米国公衆衛生局(PHS)が定めた1995年の要求により、連邦の助成を受けた研究者は、客観的に見てPHSまたはNSFの助成を受けた研究に影響を及ぼすと思われる一定基準以上の金銭的利益を所属機関に開示することが義務づけられている。開示を受けた機関は、利益相反の有無を調査しなければならず、利益相反がある場合は、それを管理、軽減または除去する方法を決定しなければならない。1998年、食品医薬品局(FDA)は、新薬申請書を提出する会社に対し、研究結果が研究者の報酬に影響を及ぼすような金銭的な取決めが研究者との間で行われていないことを証明することを義務づけ、また、関係する全研究者に対し、金銭的な取決めおよびバイアスが生じる可能性を最少限に抑えるための対策をFDAに開示することを義務づける規則を定めた。

  上記のNSFとPHSの新制度が定められてからの6年間に、産業界と研究者の相互関係は増大し続けており、各機関が独自の運営指針および手続を作成した結果、実務と方針にかなりのばらつきが生まれている。この6年間の経験を踏まえて、大学から次のような疑問が提起されている。

  1. 開示と事例ごとの管理で十分なのか。つまり、個人レベルの金銭的利益相反を引き起こす全ての取決めを管理することができるのか、あるいは禁止すべき利益相反もあるのか。
  2. 臨床研究の被験者の重要な利益をどのように利益相反に関する方針(例:利益相反を管理するか、禁止するか)および手続(例:被験者を用いる研究にどの規則が適用されるのか。PHS/NSFの利益相反に関する規則・政策か、それとも研究の被験者に適用される「コモン・ルール」の規則か)に組み入れるべきか。
    本委員会は、大学がどのような運営指針を作成しているかを調査し、長期間のうちにそれらの指針にどのような共通点や相違点が生まれているかを調べるため、2001年1月に個人レベルの金銭的利益相反の実情に関するワークショップを開催した。大学の専門家集団が7件のケーススタディを分析し、その結果、ほぼ全ての大学が同様に取り扱う事例もあれば、そうでない事例もあることが明らかになった。また、各事例は非常に複雑で、微妙な相違点がある場合もあることから、利益相反の判定手続では事例ごとの審査が中心的な役割を果たしていることも明らかになった。

  ワークショップでは、共通の運営方法として合意が得られるアプローチを特定する作業を行なうとともに、各大学で個々の金銭的な利益相反の管理に有益であることが認められた有望な方法を確認することを目指した。多くの場合、現行の規制要件を一歩進めたレベルで合意が得られた。ここで確認された事項のリストを基に、次項の「運営ガイドライン」およびそれに続く「有望な管理法」のリストを作成した。

  「運営ガイドライン」は規範的陳述(normative statement)形式で書かれ、大学における利益相反の管理には一定の限界があるべきことを示している。このことは、研究大学のコミュニティが共通の管理法を確認し、その一部をコミュニティ全体として採用すべきであるというAAUワークショップで表明された多数意見と一致している。また、「運営ガイドライン」は全ての利益相反を通常の事例ごとの審査により管理することができるわけではなく、特別な調査が必要な場合や、禁止が妥当な場合もあることを示そうとするものでもある。

  これに対し、「有望な管理法」は大学コミュニティ内の情報共有の精神から提供するものである。各大学が自身の利益相反の管理制度を改善する際に参考にしてほしい。

D.運営ガイドライン

1.研究における金銭的な利益相反には強力な大学の管理制度が必要である

  機関は年1回の情報開示により潜在的な利益相反を確認する適当な手続を有するべきであり、かかる情報開示の厳格かつ一貫した審査を確保すべきである。このような手続は、関係職員(臨床試験の場合は被験者も)に利益相反を知らせる方法および利益相反の管理法を示すものでなければならない。大学は利益相反に関する決定を十分に文書化し、その遂行をモニタリングすべきである。大学は学生や被験者を含む研究関係者の全てが方針、手続、定義および不遵守に対する制裁を十分に理解させなければならない。最後に、大学はさまざまな関係部署(研究助成課、治験審査委員会、技術移転機関、研究政策決定機関、管轄学部/学科長など)による利益相反の管理に関する問題を大学内で調整する体制を確保すべきである。

2.金銭的利益は相反しない場合が多く、利益相反は管理できる場合が多い

  大学内の金銭的な関係の複雑さに鑑みると、利益相反の状況を処理する最善の方法は、事例ごとの審査により、研究者の金銭的利益が大学での研究と結びついて利益相反を構成するかどうかを調査し、利益相反を構成する場合はその利益相反をどのように管理するかを決定することである場合が多い。個人レベルの金銭的利益は研究における利益相反ではない場合が多く、利益相反である場合でも、研究結果や被験者の治療に影響を及ぼすような利益相反とならないよう管理することができる場合が多い。しかし、大学と研究者は、研究の公正性を維持し、または被験者を保護するために、特定の研究を行ってはならないと決定する場合もある。この場合、大学または研究者は、プロトコールの変更、金銭的利益の剥奪、または研究の中止を決定することができる。

3.被験者を用いる臨床研究は特別な調査を要する

  被験者を用いる臨床研究では、それ以外の研究にはないリスクが生じるため、被験者を用いる研究に結びついた金銭的利益は原則として認めるべきではない。やむを得ない事情によりこの原則の例外を認める場合は、研究の公正性と被験者の安全を確保するため、一層厳格な方法(被験者および学生への情報開示など)で研究を管理すべきである。また、損害を与えず、何よりも被験者の福祉を保護するため、医師と被験者の関係およびこれに伴う特別な要求に配慮することも重要である。

4.資金源のいかんにかかわらず、研究を平等に扱う

  大学レベルの全ての研究プロジェクトについて、助成金を連邦政府から受けているか、連邦政府以外の法主体(non-federal entity)から受けているか、機関自身から受けているかにかかわらず、利益相反について同一の手続で管理し、同様に取り扱うべきである。

5.金銭的な情報を大学に開示する

  研究に従事する者は、大学での研究に関連する全ての金銭的利益を年1回開示し、新たな金銭的な状況が利益相反となるおそれがある場合および研究助成金申請書を提出する場合には最新情報を提供すべきである。開示は、PHSおよびNSF規則を遵守し、大学が指定した役職者に対して行うべきである。

  • 上記において、「者」には研究の企画、遂行、管理または報告に関与する教員、職員および管理者が含まれ、「金銭的利益」には株式およびコンサルティング料その他の報酬が含まれる。金銭的利益には、連邦規則では現在全部の開示が義務づけられているわけではないロイヤルティの請求権も含まれるべきである。
  • 連邦政府以外から助成を受けている研究(規制対象外)に関する金銭的利益を開示することにより、潜在的な利益相反に長い手続を要するものとそうでないものがあるのではなく、全ての潜在的な利益相反を同様に確認し取り扱うことが確保される。
6.金銭的な情報を公表文献で開示する

  研究に従事する者(「者」については上記の定義参照)が公表論文の原稿を提出する場合は、当該研究に関連する全ての金銭的利益を開示すべきである。医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors)が採択した利益相反の開示に関する方針に合わせて、公表論文に情報を公表して、国民が関連情報を知ることができるようにすべきである。

7.金銭的な情報を口頭発表で開示する

  研究に従事する者が研究結果を発表する場合は、報告する研究に関連する全ての金銭的利益を聴衆に開示すべきである。

8.金銭的な情報を連邦機関に開示する

  1995年7月11日の連邦官報で発表された連邦規則および政策は、PHSの助成金を利用する大学に対し、大学が明らかにした利益相反の存在を保健・福祉省(HHS)に報告し、助成金を使う前にその利益相反を管理、軽減または除去したことをHHSに対して保証することを義務づけている。これに対し、NSFの助成金を利用する機関は、利益相反を十分に管理することができないと当該機関が考える場合のみに報告を行わなければならない。大学はこれらの義務を遵守しなければならない。開示義務の省庁間の整合性が増すことによって、遵守状況の改善に役立つ可能性がある。※8

9.金銭的な情報を治験の被験者審査手続で開示する

  利益相反に関する手続と被験者の保護制度は、いずれも利益相反に関する次のような役割を担っている。

  - 大学の治験審査委員会(Institutional Review Board、IRB)は、関連する金銭的利益(および該当する場合はその管理法)を研究の被験者に開示すべきかどうかを決定し、開示すべき場合には、どのような形式でどこまで詳細に開示すべきかを決定する管轄権を有する。大学の被験者保護制度は、被験者がそのような情報の提供を受けることを確保する責任を負う。

  - PHSとNSFの利益相反に関する規則および政策は、管理、軽減または除去を要する利益相反が個人にあるかどうかを判定する権限を、大学の利益相反に関する手続に責任を負う学内役職者(institutional officials)に付与している。しかし、17の連邦機関で被験者保護に適用されるコモン・ルールは、被験者を用いる研究を承認する権限をIRBに付与しており、利益相反には触れていない(IRBの委員の利益相反を除く)。大学におけるこの二つの手続は、いずれも臨床試験に関して、研究における金銭的な利益相反があるかどうかを判定し、ならびに提案された救済手段が研究の公正性と被験者を保護するために十分であるかどうかを判定するうえで重要かつ正当な役割を有する。

  上記の手続を統合する一つの効果的な方法は、利益相反委員会または担当職員が、被験者のプロトコールに関する金銭的利益の開示を、プロトコールがIRBに提出される前に審査するよう努めることである(どのようなタイミングとなるにしろ、意図するところは利益相反がインフォームド・コンセントに影響を及ぼす前に利益相反の審査を行おうとするものである)。そうすれば、利益相反委員会または担当職員は、利益相反の有無を判定することができ、利益相反がある場合は、その利益相反が管理すべきもの(このような利益相反は原則として認められるべきではないとする前述のガイドライン参照)または管理できるものであるならば、最善の管理法を決定することができる。その結果、プロトコールがIRBに提出される際に、この決定および金銭的利益に関する情報の概要をプロトコールに添付することができる。また、IRBは当該プロトコールを承認するかどうか、およびどのような条件で承認するかを決定する際に、この情報を考慮に入れることができると考えられる。

  大学は、管理を要する金銭的な利益相反の有無や、利益相反委員会または担当職員が遂行する管理計画を一層厳格化すべきであるかどうかもIRBが判定することができるような制度の設計を検討すべきである。そのような制度では、IRBも利益相反委員会も他方の管理要件を無効にすると管理要件を緩める結果となる場合は、いずれの機関も互いの管理要件を無効にすることができないこととなろう。また、金銭的な利益相反が除去または軽減されない限り、いずれの機関も研究の進行を阻止することができることとなろう。このような二重保護システムは、臨床試験に適用される二系統の連邦規則と一致し、被験者を用いる研究に必要な一層の安全性を提供するであろう。大学の利益相反と被験者保護制度をどのように設計する場合でも、この二つの制度の調整とコミュニケーションは重視すべきである。

10.利用できる資金を増加させる※9

  大学は、適用される利益相反に関する法令の要件を充足し、最高の倫理水準および専門的水準を満たすために必要な資金を提供すべきである。研究の依頼者も利益相反に関する制度の費用の一部を公正な割合で負担すべきである。管理費用の回収に上限を設けると、実際の費用の償還が制限される場合があり得る。このため、直接的または間接的に費用を回収する別の方法を開発すべきである。

E.一部の大学で有効であると報告されている管理法

  本委員会は、上記の運営ガイドラインのほか、個人レベルの金銭的利益相反の管理の成功例があることを認めた。利益相反に関する手続とIRBの手続は大学によりまちまちである場合が少なくない。本委員会としては、管理法の一部を示すこのリストを全大学が採用すべきであると勧告することではなく、研究大学コミュニティーでこの管理法のリストを共有および討論すべきであることを勧告したい。

一般原則

  1. 研究を事務手続(paperwork process)からではなく、バイアスから保護するという原則を重視する。
  2. 方針が幅広く理解されるため、また、その方針を遵守する必要性を周知するため、全ての手続を研究者と管理者の協力により作成する。

委員会

  1. a)開示情報の審査、b)管理計画の設計、c)管理中の事例の進捗状況の調査、d)大学の指定職員(campus's designated official)に対する特定の事例および利益相反に関する方針についての助言の提供、という大学による伝統的な管理法に最適な、教員、研究職員および管理者の混成集団からなる委員会を利用する。委員会を方針の作成のみに利用する大学もあれば、利益相反に関する手続の運営において中心的役割を与える大学もある。
  2. 大学全体の利益相反に関する手続を単一の利益相反委員会に管理させることを検討する。この方法は、同様の事例が同様の取扱いを受けるようにするためである。二つの制度を並列して運営する大学の場合は(医科大学内の制度と学外の制度など)、開示情報に問題となる一定基準以上の金銭的利益※10が含まれているかどうかの判定に用いられる全ての基準、ならびにその他の手続および管理計画に関する要因を厳密に調整することが不可欠である。
  3. コミュニティーの信頼が非常に重要であることから、利益相反委員会には、学外コミュニティー出身の委員を最低1名は含めること。
  4. 利益相反委員会の委員に、キャンパス内のさまざまなカレッジで起こる幅広い利益相反の事例に対応できるように努める。

教育

  1. 利益相反に関する方針の目的および遵守すべき手続について、研究に従事する者に一定の教育を行う。
  2. 研究者および管理者がその義務をより明確に理解するのを助けるため、大学の方針および手続に関する簡潔なハンドブックを作成し、規則の付録として役立てる。
  3. 利益相反に関する問題についてキャンパスセミナーを行う。

開示※11

  1. 開示および管理計画の明確な方針および手続を作成する。
  2. 開示に関する一連の書式はできるだけ簡潔なものを使用する。IRBのプロトコール別開示書式が役に立つことが明らかになっている大学もある。
  3. 法令および連邦機関と大学のガイドラインに従って研究を実施している教員を支援する方法を、一般的方法と利益相反に関する方法の両方について整備する。研究者には、これらの支援方法およびかかる方法が機能する根拠となる規則を認識させるべきである。
  4. 開示および利益相反の管理に関する情報を、情報のプライバシーを維持するための適切な保護手段を用いつつ、必要に応じて外部資金研究管理機関(sponsored project offices)、技術移転機関、IRB、利益相反管理職員および学科長/学部長と共有する。これらの機関間の統合された管理システムを支援する電子開示形式を利用している大学もある。利益相反の審査が完了するまでは、利益相反を開示したライセンス付与、助成プロジェクト、贈与、またはIRBの承認を認めず、または処理を行わない大学もある。電子システムはそのような統合の能率を高める。
  5. 開示書式が完全に記入され、適切に処理されているかどうか、および必要に応じてその他の機関と共有されているかどうか(13.で述べたように)を判定するため、一定の制度監査を利用する。
  6. 研究助成申請書とともに提出される開示書式に、学生が有益な研究プロジェクトに取り組んでいるかどうかに関する質問を含め、学生の学位論文または研究プロジェクトの独立性を損なうおそれのある状況の発見に努める。
  7. 研究者、特に被験者を用いる臨床研究を行っている研究者に対し、PHSやNSFの規則や政策が定めるように、株式の5%または1万ドルという高い基準値を設けるのではなく、株式に関する全ての利害関係(会社の株式やオプション)の開示を義務づけることを検討する。
  8. 学術雑誌の投稿者に、雑誌編集者に提出した金銭的な開示報告書の写しを利益相反委員会または担当職員に送付させる。

管理

  1. 管理することのできる利益相反の管理法を大学が決定する際に考慮に入れる検討事項をリストアップする。例えば、臨床試験の第何相か、株式は私的に保有されているのか公開取引されているのか、会社の規模、介入の種類(診断的か治療的か)、教職員がその会社に影響力を有するか、金銭的関係は固定的か(例:固定報酬)変動的か(例:株式、ストックオプション)など。
  2. 不遵守の場合の制裁を明示する。これは、下される可能性のある制裁のリストを示すことから、職業上の違反行為に関する手続と関連する制裁を挙げることまでさまざまな形をとり得る。
  3. 利益相反の管理に利用できる資金を、利益相反に関する教育、規定以上のサービス、遵守の風土の醸成、制度の管理、モニタリング、監査など、科学的な公正義務が最も達成されやすい方法で配分する。
  4. 個々人の開示がどのように審査され、どのような判定が行われ、どのように利益相反が管理され、必要な場合はどのように連邦機関に報告されたかが利益相反に関する書類から明確にわかるよう、十分な文書管理を義務づける。

モニタリング

  1. 利益相反の管理手続では、開示、助成申請、IRBによる審査、機関(NIH、NSF、FDAなど)に対する必要な報告、公表、技術移転活動などの重要な管理点を重点的にモニタリングする。利益相反を有する個人を大学が管理する場合は、被験者の登録、インフォームド・コンセントの取得、データ解析などの重要な活動等、その研究が利益相反の影響を受ける可能性のある全ての重要なポイントから、当該個人を排除することを義務づけることができる。利益相反/開示に関する手続を正確に示し、かかる手続の有効性を測定するために用いる重要な管理点を確認する一助として、学内の監査機関を利用する大学もある。

F.前述のガイドラインを遵守し、管理法の一部を採用すれば、個人レベルの金銭的利益相反の管理は改善するか

  前述のようなガイドラインの共有および採用ならびに有望な管理法の確認により、利益相反の管理が改善され、大学によるアプローチの共通性が増し、大学の利益相反に関する手続の透明性(国民の信頼につながる)も向上すると期待される。中でも、これらの活動によって大学コミュニティーが利益相反※12を減少させ、かかる利益相反に伴う研究機関の公正性に対する脅威と、臨床研究の被験者の福祉に対する脅威が軽減されことを本委員会は願っている。

  治験の被験者については、人命に関わる問題であることから、運営ガイドラインでは、被験者を用いる研究における金銭的関係には一層高い基準を適用するのがふさわしく、利益相反に関する制度と被験者保護制度を調和させる必要があると定めている。本委員会は、AAMCがこの問題に関する委員会を召集したことを知っており、そのAAMCの委員会が上記の一層高い基準を実現するために必要な運営細則をある程度付け加えるであろうという理解のもとに、本委員会のガイドラインでは、この分野に関する記述を一般的なものにとどめた。

  前述のガイドラインおよび管理法の一部が現行連邦規則の範囲を超えていることに注目してほしい。例えば、あらゆるロイヤルティに関する情報を開示すること、被験者を用いる研究に関連する金銭的利益を原則として認めないこと、連邦政府の助成を受けていない研究についても開示すること、現行の規制基準値は5%の株式所有または1万ドルであるにもかかわらず、株式に関する全ての利害関係を開示させることなどである。本委員会は、大学が運営ガイドラインと有望な管理法を慎重に審査・検討し、できるだけ多くの事項を採用することを奨励する。連邦規則を変更する必要があるかどうかは、各大学がどの程度積極的かつ足並みをそろえて個人レベルの利益相反の管理に関する方針と実施を強化するための措置を自発的にとるかによる。

3.大学レベルの金銭的利益相反

  研究大学は大学レベルの金銭的利益相反も懸念している。その理由は、大学レベルの金銭的利益相反は、大学の公正性と、その公正性に対する国民の信頼の根幹を揺さぶるものだからである。本セクションでは、大学レベルの金銭的利益相反を定義し、かかる利益相反のうち特に問題となるタイプについて検討し、そのような利益相反から大学を守るために必要な価値基準を概観し、そのうえで大学レベルの利益相反の評価・管理法をいくつか提案する。

A.大学レベルの金銭的利益相反の定義

  いくつかの定義があるが、本稿で用いたアプローチは次のとおりである。

  大学レベルの金銭的利益相反は、当該大学、その上級役員や理事、学科、学部その他の組織、または提携機関や団体が、大学の研究プロジェクトに金銭的な利害関係を有する企業と外的関係または金銭的な利害関係を有する場合に起こる可能性がある※13。大学の上級役員や理事がその大学と商取引の多い団体の役員を務めている(またはその他の公的関係を有している)場合も利益相反が生じる可能性がある。このような利益相反の存在(またはそのような外見)は、大学の研究の審査や遂行において、現実のバイアスや、バイアスの可能性に対する疑いを生む場合がある。このような利益相反を評価または管理しなければ、大学の使命、責務または価値基準と一致しない選択や行動につながる可能性がある。

B.大学レベルの利益相反の分類

  大学レベルの金銭的利益相反は大学内のさまざまな場面で起こるが、一般に、分野や場面にかかわらず、大学の使命を損なう可能性が高い場合に大学(および国民)に影響を及ぼす。このような利益相反の主要なカテゴリーは次の二つである。

  • 大学の株式保有またはロイヤルティに関する取決めと研究プログラムに関する潜在的な利益相反
  • 学科長や研究室の指導者なども含めて、大学機関全体に影響を及ぼす決定を行う大学職員が関与する潜在的な利益相反
株式
  • 第一のカテゴリーで研究に関する決定を行う際にバイアスが生じるおそれが最も大きい場合とは、大学が研究に関連する株主の地位やロイヤルティに関する取決めを有し、かつその株式やロイヤルティが大学による発明やスタートアップ会社の設立その他の大学による技術移転に起因する場合である。
      大学が研究上の協力を行っている会社に直接的な金銭的な利害関係を有することにより、研究の内容が影響を受ける可能性があるであろうか。1980年のバイ・ドール法に伴い、大学から民間部門への技術移転はますます加速している。特に、技術を小規模なスタートアップ会社に移転する場合は、大学は株式未公開の会社の株主になることが少なくない。バイ・ドール法により、大学は株式およびライセンス付与の収入を(ライセンス付与に関する費用のみならず)教育・研究活動のために使うことが義務づけられているので、このような種類の株式は大学の基本財産の持ち分とは切り離して管理される場合が少なくなく、研究責任を負う部署が管理する場合もある。株式保有もロイヤルティも技術移転に起因し、また、近年は大学の研究に対する産業界の関与が増大していることから、利益相反の可能性は著しく高まっている。リサーチパーク、インキュベーター・プログラム、ベンチャーキャピタルファンドなどは大学にその使命を認識させるうえで役に立っているが、これらは同時に金銭的な利益相反を引き起こす可能性もあり、これにより大学による研究プロセスのモニタリングに対する信頼性の問題が生じる。
      大学の基本財産やギフト・ファンドに対する持ち分など、より普通に見られるタイプの大学の株主としての地位も、このカテゴリー内における大学レベルの金銭的利益相反の原因となる可能性がある。しかし、ほとんどの大学には、これらの基金の管理法と、これらの基金を大学の研究機関から分離する旨を規定する長年の「防火壁」的取決めがある。このような防火壁は、株式が大学レベルの一般基本財産または投資ポートフォリオの一部であり、特別な制限や検討事項のない標準的な大学レベルの投資方針に従って管理され、大学のプログラムや運営に対する支配権を行使しない適切な監査委員会または理事会の財政投資委員会により監督される場合に規定される。このような防火壁は不可欠であり、慎重に設計されている必要があるが、技術移転から生まれた新しい種類の株式保有やロイヤルティ収入に対処するために作成しなければならない方針や手続に比べれば、ここでは直接的には重要ではない。
職員
  • 大学レベルの金銭的利益相反の第二の主要カテゴリーは、機関全体に影響を及ぼす決定を行う立場にある個人に関するものである。このような個人には、学長や総長その他の上級職員、学部長、研究センターの指導者、理事会の理事などが含まれる。第一の最も明白な利益相反の原因は、個人的な所有財産とその個人レベルの機関としての責任の対立である。個々の研究者の所有財産とその研究活動のコンフリクトから起こる利益相反に似ているが、これらの利益相反は、上級職員が行う決定の種類によって区別される。すなわち、後者の場合は、上級職員が行う決定は機関全体に影響を及ぼし、機関を代表して行われるものである。大学にはさまざまな種類の運営機関があるが、理事会であれ評議会であれ、その構成員には全て利益相反が生じる可能性がある(現在は州法で管理されている場合が多い)。
      これほど明白ではないが、個人が関与する大学レベルの利益相反(研究とは無関係のもの)のもう一つの原因は、例えば、大学の職員が、その大学に商品やサービス(電力など)を納入する主要取引先会社の役員である場合などに発生する。この場合に問題となるのはその個人自身の金銭的な利益ではなく、大学の利益と、その大学職員が経営しなければならない会社の利益が相反する可能性である。大学と相当量の取引を行っている会社の役員である理事も、これらの問題を同様に調整しなければならない。
      政府が任命する委員会の委員である大学上級職員も類似の状況にある。このような委員会が大学に研究資金を提供する連邦または州の機関に関与している場合は、その大学職員は大学とその政府大学レベルの利益が相反する可能性を調整しなければならない。
      公立大学の場合は、通常は州の倫理法令が大学の上級職員や理事の個人的所有財産に関する利益相反を、さまざまな程度の厳格さで管理している。
多重利益 相反(Multiple Potential Conflicts)
  • 利益相反の可能性が幾重にも重なっている場合があることも注目に値する。例えば、大学と治験責任医師がどちらも大学による技術移転の成功に起因する株式を保有し、大学の金銭的利益もその医師の金銭的利益も当該会社が関与する提案された研究活動により影響を受ける可能性があるという場合である。しかし、大学の監査機能と説明責任のため、懸念の程度は異なる。いずれの利益相反も大学が処理すべきであり、個人および大学レベルの金銭的利益相反に関する決定は一貫したものでなければならない。多重利益相反の事例には、個人レベルの利益相反を評価した結果、提案された研究が遂行されないことになる場合もあるため、大学レベルの利益相反の事例の中には、大学レベルの利益相反に関する手続がとられる前に争訟性が失われるものもある。

C.問題は何か。なぜ大学は大学レベルの金銭的利益相反に対処したいのか

  研究大学が金銭的な利益相反に対処することに関心を寄せる理由は、大学の使命との関連で本質的に正しいからであるが、それと同時に、そのような利益相反に対処しなければ国民からの信頼が損なわれる可能性があるからである。大学レベルの利益相反は、国民から預託されて、客観的に知識を追求することを許されている大学の役割を低下させる可能性がある。また、連邦機関や議会がこの分野の規制に関心を表明しており、研究大学コミュニティーは、関心の高まりに自ら対処しなければ、外部から介入されるであろうことを認識している。

  大学が大学レベルの利益相反による害から保護したいと願う重要な価値基準とは何であろうか。それには少なくとも次に掲げるものが含まれている。

  • 学生の教育に対する責任
  • 学問の自由に対する責任
  • 科学の進歩に対する責任
  • 大学で治療を受けている患者および治験の被験者の安全に対する責任
  • 知識のオープンかつタイムリーな伝達と普及に対する責任
  • 研究、教育および公共サービスの公正性と客観性を、外見上・実際上ともに保護する責任※14

  なぜ現在この問題に対処する必要があるのだろうか。個人レベルの利益相反に関するセクションで述べたように、大学はその研究、教育およびコミュニティーサービスの使命を果たそうとする際に産業界と協力する機会が増えており、地域の「経済的エンジン」とみなされる場面が増えている。このような協力の増加のせいで、大学は前述の大学レベルの金銭的利益相反の二つの主要カテゴリーに対処する制度を設置しなければならない。

D.大学レベルの潜在的な利益相反への対処

  本委員会は、大学における大学レベルの金銭的利益相反に関する手続(所有財産に関連する利益相反および上級職員が関与する利益相反のいずれも)は次の三つのアプローチに従うべきであると結論した。

  • a)必ず開示する。
  • b)大部分の場合、利益相反を管理する。
  • c)公共の利益または大学の利益を保護するために必要な場合は、当該活動を禁止する。

  大学レベルの利益相反のうち、大学レベルの所有財産に関連する部分については、金銭的活動と研究活動を別個独立に管理することができるように、これらの活動に関する意思決定を分離することが主要な目標である。高い水準でこの分離を達成することが要点である。

  大学が上記のアプローチを実行するためには、大学レベルの利益相反に関する現在の方針と管理構造を見直し、次に掲げる措置を講じることを積極的に検討すべきである。

1.明確な方針の策定と公表

  大学は、大学レベルの利益相反に対処する基準やガイドラインなどの明確な公開の方針を有するべきである。このような方針は、前述の三つのアプローチにより提起される無数の疑問(誰が何を誰に開示するのか。誰が何を管理するのか。誰がどの行為を禁止することができるのか。理事はどのように規制範囲に含められるのか。このような方針と既存の基本財産に関する方針との関係はどのようなものか、など)に対する解答を確実に出せるものでなければならない。この方針策定には、大学と会社が共同研究関係を継続する意思があるときに、大学が会社の株式を取得する場合など、管理するのではなく回避すべき取決めを定めることが含まれる。理事会は、このような方針が、状況変化に的確に対応できているかどうかを確認するため、定期的にこれらの方針を見直すべきである。

2.管理手続の確立

  大学は、1.で確立した方針を遂行するため、大学レベルの金銭的利益相反を評価・管理するための明確な手続を設けるべきである。手続には、遵守を確保するためのチェックポイントおよび制度監査、ならびに上級管理職への報告などが含まれるべきである。

3.大学レベルの利益相反に関する審査機関の設置

  相反の事例に対する対策の優先順位の決定を行い、潜在的な利益相反の対処法に関する勧告を行うため、法務顧問、教員およびおそらく市民の参加者を含めた上級職員の混成集団により構成される場合があるであろう。あるいは、大学の理事会の構成員により構成され、理事会内に設置された委員会に報告を行う場合もあるだろう。この場合は、多くの大学の監査機関の運営方法と類似の方法で組織化することもできるであろう。別の選択肢は、上級職員により構成され、学長や総長に報告を行う審査機関を設置することである。さらに別の選択肢は、審査機関に同じような規模や学部構成の大学の職員を含めることである。審査機関が機関について二種類の利益相反を両方とも処理することもできれば、大学の所有財産に関する場合を大学の職員や理事が関与するものとは切り離して処理するために下位機関を設置することもできよう。

4.審査機関に対する潜在的な利益相反の開示

  管理手続は、審査機関に対し利益相反の開示を、例えば年1回のペースで行う必要がある個人レベルのタイプ、ならびに審査機関に開示し審査を受けることを要する大学の株式やロイヤルティに関する取決めおよび関連する研究活動のタイプを具体的に定めるべきである。

5.審査機関に潜在的な利益相反を評価させ、リスクと利益を比較考量させる

  判定の手がかりは、利益相反の除去を要求するのではなく、容認して管理することが妥当であり公共の利益となる場合とはどのような場合かを分析することである。一方では、ある大学で提案された研究活動を行う利益が高く、リスクは低く、かつその利益相反を除去すると(例えば、その研究を行わないことにより)国民に利益を与える可能性も除去されるような場合もある。他方、ある大学で研究を行う学問上の利益が疑わしく、かつリスクが非常に大きいため、産業界との研究関係を拒絶することにより利益相反を回避すべき場合もある。審査機関はこのような評価を行ったうえで、運営手続の構造次第で学長や総長または理事会に対し、対策の勧告を行うべきである。

6.大学レベルの利益相反に関する措置の実行

  潜在的な利益相反が措置を要する場合、大学が講じることのできる措置には無数のタイプがある。大学の投資が研究活動と相反する場合、審査機関が勧告することのできる選択肢には次のようなものがある。

  • a.提案された研究をその大学では行わず、始まっている場合は中止する。
  • b.問題となっている金銭的な利益(株式またはロイヤルティ)を削減する、またはその他の方法により修正する。
  • c.金銭的活動に関する意思決定と研究活動に関する意思決定の分離を強化する。
  • d.潜在的な利益相反が研究(および大学)の公正性を損なわないことを確保するため、研究を厳密に調査することができるように、研究のモニタリング手続を確立する。
    大学の職員または理事が関与する大学レベルの利益相反の場合に審査機関が勧告することができる行動としては、当該職員を研究に関する情報の入手、または研究に関する意思決定から隔離/忌避することが挙げられるが、これより頻度は低いが、株式保有またはロイヤルティの利益を削減することを勧告することもできよう。
7.ヒトに関わる大学レベルの利益相反の厳格な調査

  大学はヒトを患者や研究の被験者として取り扱う場合に特別な責任を負う。研究の被験者に対する特別な責任はIRBが負う。しかし、大学レベルの利益相反の審査機関が被験者に関わる潜在的な利益相反に直面した場合は、その潜在的な利益相反の特別な調査が必要になる(個人レベルの利益相反について前述したことと同じ)。なぜなら、大学は研究そのものに対する責任よりも大きな責任を患者や被験者に対して負うからである。さらに、IRBは利益相反の問題に広く対処するために設置される機関ではない。審査機関がこの特別調査を行い、個人レベルの利益相反について前述したところと同じ方法で(セクション2参照)、大学のIRBと情報交換すべきである。

8.非流動的または流動性が低い株式の厳格な調査

  一般に、大学が会社に有する株式の利益の流動性が低いほど、審査機関は潜在的な利益相反を警戒すべきである。大学が会社に有する非流動資産の価値は、流動資産の場合よりも大学による研究その他の活動による影響をはるかに受けやすい。

E.上記の原則およびアプローチの遵守は有益か

  大学は機関として適切な方針、手続およびインセンティブを提供することにより、研究、教育および公共サービスが責任をもって行われる風土を維持すべきであり、そうすることにより、オープンで公正な雰囲気を醸成すべきである。大学が、機関としての公正性という大学が最も重視する価値基準を守り続けるためには、責任を持って大学レベルの利益相反に関する有効な手続を確立しなければならない。大学の信頼性は、大学が大学レベルの利益相反を認定・管理するために確立した管理制度の信頼性にも左右される部分がある。

  大学が審査機関を用いて、必ず開示を行い、ほとんどの事例を管理し、必要な場合は禁止するための明確な管理の方針・手続を確立する限りにおいて、国民は研究大学の公正性に信頼を寄せるのであり、このことは個々の大学にとっても大学全体にとっても非常に重要である。本委員会は、大学レベルの利益相反について過去に作成された方針が少なく、本委員会による作業がこの分野における手続の作成および制度化の第一歩にすぎないことを認識している。大学コミュニティー内での今後の評価を通じ、および国内研究機関として我々のパートナーである連邦機関との対話を通じ、本稿に述べる指針および業務が継続的に洗練・強化されることを希望する。

4.結論と行動の呼びかけ

  個人レベルの利益相反に関する手続が必ずしも満足の行くレベルに行われておらず、大学レベルの利益相反に関する方針が策定されている例がほとんどないことが懸念された。そのような状況を動機に、本委員会は鋭意検討を進めた。また、研究の客観性は大きなリスクに直面しており、迅速な行動を要すると結論した。本委員会は、AAU加盟大学に対し、各大学がそれぞれの制度の妥当性の評価をまだ行っていない場合はそれを直ちに実施するよう勧告する。

  本委員会は、本報告書の勧告が公正性を保護する非常に重要な上記の制度の改善のために有益な手引きとなると考えており、各大学が本報告書の提案の採用を積極的に検討することを奨励する。そうすることが、個々の大学にとっても大学コミュニティーにとっても有益であると考える。本委員会が臨床研究の被験者に関する報告書で述べたように、現代の変転きわまりない研究環境では、大学が研究を遂行する場合と同じくらい慎重に、研究の管理を実施することが必要である。このことは利益相反についてもいえる。

  最後に、研究大学と、連邦政府を含むその主要な研究助成者とのパートナーシップは、大学は大学が行う研究についての説明責任を有するという信念に基づいたものでなければならない。研究大学が個人および大学レベルの利益相反についての説明責任を全うする能力を証明することができない場合は、おそらく行政府もしくは立法府、またはその両方が、より指令的なアプローチをとると考えられる。

  従って、本委員会は大学に対し、利益相反に関する大学の方針および管理法を、セクション2の個人レベルの利益相反に関する運営ガイドラインと、セクション3に述べる大学レベルの利益相反の管理に関する三つのアプローチを用いて審査し、必要な場合は強化することを早急に考慮することを強く推奨する。この作業により、研究大学の公正性が維持され、研究大学の奉仕対象である国民による信頼が維持、確保されよう。

補遺 個人レベルの利益相反の管理に関する大学指導者用の質問チェックリスト

  1. 大学で起きた個人レベルの利益相反事例について決定を行うのは誰か、かかる決定は大学レベルのどのレベルに位置づけられているか、およびこの手続の監督責任を負うのは誰か。事例に関する情報と手続の妥当性に関する情報はどのような経路を通って学長や総長まで達するのか。この手続をフローチャートで表すとどのようになるか。
  2. 教員の利益相反に関する方針はどのように策定されているか。かかる方針に対する最終的権限は、学部教授会、学務部長、学長、理事、州政府のうち誰が有するか。医療センターには別個の方針があるか、または別個に実施が行われているか。
  3. 教員が規定に従って大学の基幹職員に対し金銭的な利害関係を開示した場合、次に何が起こるか。
  4. 教員はどのような金銭的な利益を、誰に対し、どのような場合に開示する必要があるかを明確に知っているか。
  5. 金銭的な利益の報告義務を負っているが報告しなかった者に対する制裁はあるか。そのような者が発見され、制裁が適用された例があるか。
  6. 金銭的な開示により潜在的な利益相反が発見された場合、ほとんどの事例は個々に処理される。大学が利益相反事例の管理に用いる手段は、被験者およびおそらく助成機関に対する開示、利益の剥奪、モニタリング、その他の手段のうちどれか。大学がどの手段を用いるべきかを決定するために用いる基準はどのようなものか。どの手段が各種の利益相反の評価に最も有効か。利益相反が認定された最近の10件はどのように管理されたか。これらの各事例について連邦機関に通知を行うことが連邦規制により義務づけられているか。義務づけられている場合は、これらの事例を通知したか。
  7. 研究者のプロトコールの審査で利益相反が特定された場合、IRBは大学の利益相反委員会または役員から通知を受け、利益相反がどのように管理されているかを知らされるか。研究者に研究に関連する金銭的な利益がある場合は、それを被験候補者に通知することがIRBにより義務づけられているか。関連する機関に金銭的な利益がある場合は、被験候補者に通知しているか。被験者は全ての事例について通知を受けているか、それとも一部の事例のみについて通知を受けているか。
  8. 研究の提案を審査する大学の委員会の委員の利益相反に関する大学の方針(IRB、利益相反委員会、動物管理委員会などの方針)は整備されているか。
  9. 大学が株式(大学の技術移転活動により獲得したもの)を有する会社が大学に研究を依頼することができるかどうかを決定する規則はあるか。株式が大学の基本財産からの投資により得たものである場合に関する規則はあるか。会社が研究を依頼することができる場合、その研究の責任者がその会社の株式を所有することはできるか。その研究の責任者(principal investigator)がその会社の役員であることは許されるか。
  10. 個人開業計画における教員グループのように、自己の資金を用いて自己の研究または臨床実務の分野に直接関係のある会社の株式を大量に購入する教員グループを管理する規則はあるか。
  11. 大学の方針では利益相反をどのように定義しているか。規則は教員、管理者、理事会や大学が管理する財団の理事に平等に適用されるか。
  12. 大学の技術移転機関(Office of Technology Licensing、 OTL)がどのように業務を行なっているかやOTLがどのように研究管理機関や利益相反管理機関と連携しているかを誰が監視しているか。OTLは誰に報告を行うか。OTLが大学から任されて行った決定の詳細は誰が審査するのか。OTLの業務にはどの程度のばらつきがあるか。OTLの自由裁量度について述べ、これを拘束するガイドラインは文書として公表されているか。
  13. 大学/教員の知的財産の商品化に対する理事会の関与(ベンチャー資本家など)に関する規則はあるか。
  14. 問題が発生し、追跡調査が必要な場合にデータを追跡し、管理機関の注意を喚起する統合されたデータシステムはあるか。

  • ※1 出典:http://www.aau.edu/research/conflict.html
    翻訳文責:奈良先端科学技術大学院大学 今田 哲
  • ※2 本‘まとめ’は原文にはなく、当利益相反プロジェクトで追加した。
  • ※3 本稿ではintegrityの訳として、‘公に照らして正しいこと’の意で公正性という単語をあてた。
  • ※4 大学と同盟関係にある財団が大学を通して、ある研究プロジェクトに単に資金援助を行い、同プロジェクトから何らの金銭的な利益も得ないような場合がある。そのような場合は利益相反の可能性は排除されているので、この文章は、大学とそのような関係にある財団には当てはまらない。
  • ※5 本稿ではintegrityの訳として、‘公に照らして正しいこと’の意で公正性という単語をあてた。矜恃に近い概念でもあり、公人の行動規範の基になる統合された(integrated)価値基準と、それを重視する徹底的な誠意や責任感が含まれる。
  • ※6 本稿では教職員について次の訳語を当てた:faculty(教員)、official(職員または役職者)、staff(事務職員)、research staff(研究職員)、administrator(管理者)
  • ※7 原文ではこの部分の利益相反はreal or perceived conflicts(現実の利益相反または認識される利益相反)となっている。
  • ※8 平成12年度21世紀型産学連携手法の構築に係るモデル事業、産学連携に伴う利益相反への対応のためのガイドラインの作成、奈良先端科学技術大学院大学、p.6~14参照。
  • ※9 利益相反プロジェクトによる注:利益相反への対応のために応分の予算措置を提言していることは注目すべきである。
  • ※10 Significant financial interestを「一定基準以上の金銭的利益」を訳出した。
  • ※11 Disclosureの訳(=申告)
  • ※12 原文ではこの部分の利益相反はreal or perceived conflicts(現実の利益相反または認識される利益相反)となっている。
  • ※13 大学と同盟関係にある財団が大学を通して、ある研究プロジェクトに単に資金援助を行い、同プロジェクトから何らの金銭的な利益も得ないような場合がある。そのような場合は利益相反の可能性は排除されているので、この文章は、大学とそのような関係にある財団には当てはまらない。
  • ※14 "Institutional Conflicts of Interest: Points for Consideration" (the Council on Government Relations)、 November 21, 2000に基づき、臨床治療と研究に関する参考文献を含めるよう改訂。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)