課題番号:7002
気象庁地磁気観測所
伊豆半島東部における地磁気全磁力観測
伊東市御石ヶ沢付近における地磁気全磁力観測(連続及び繰り返し)を実施し、地磁気異常減少と地殻活動等との関連を解明する。また自然電位の観測領域を拡大し、空間的な電位分布を調査する。平成18年度は地磁気全磁力及び自然電位を観測する。
伊東市御石ケ沢において地磁気全磁力連続観測(1点)、繰り返し観測(4点)及び自然電位観測を実施するとともに、伊豆半島東部の地震活動、地殻変動等のデータを収集する。
1999年から始めた地磁気全磁力の連続観測を継続した。また7月に地磁気全磁力繰り返し観測および自然電位観測を実施した。第1図に地磁気全磁力観測点の位置と自然電位の観測測線を示す。
第1図 御石ヶ沢付近における地磁気全磁力観測点および自然電位観測測線 |
第2図に、柿岡地磁気観測所を基準とした連続観測点の夜間(01h00m〜03h59m)の平均値を旬平均したものを、1999年3月から2007年1月まで示す。2006年4月下旬に3nT(ナノテスラ)程度の減少が見られるが、これは観測点の近くにコンクリートブロック製作用の鉄製型枠が置かれたことによる。
第2図 柿岡地磁気観測所を基準とした連続観測の結果 |
第3図に、柿岡地磁気観測所を基準とした各繰り返し観測点の観測結果を示す。値は繰り返し観測を実施した日の夜間(01h00m〜03h59m)毎分値の平均である。また繰り返し観測実施日と同時期の連続観測点の差も示してある。N点は2004年に観測点の標石が工事で無くなったため、新たにN(new)点を設置した。2006年の観測ではN参照点、W点およびS点で増加傾向となった。連続点の減少はコンクリートブロック製作用の鉄製型枠が置かれたことによるもので、N(new)点も鉄製型枠が置かれた場所から比較的近いため、その影響により減少としたと考えられる。
この地域の地震活動は、1998年4月の活動後比較的静穏であったが、2006年1月から徐々に活動度が高まり、4月頃をピークにその後低調となっている。全磁力の観測を開始した1999年以降では、最も地震活動が高まった期間であるが、この地震活動に伴う全磁力変化は現在のところ不明である。
第3図 柿岡地磁気観測所を基準とした繰り返し観測の結果 |
第4図に自然電位観測の結果を示す。観測は地磁気全磁力連続観測点の近傍を電位の基準点とし、ほぼ50メートル間隔に御石ケ沢を登り基準点に戻る測線で測定した。
北側の基準点付近および南側の御石ケ沢付近に標高が高くなるにつれ電位が高くなっていることがわかる。電位を高くする要因のひとつとして、地下の熱水対流の存在が上げられるが、このデータだけでは断定できない。
第4図 自然電位観測結果 (この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の「2万5千分の1地図(伊東)」を複製したものである(承認番号 平17総複、第650号)) |
なし
気象庁地磁気観測所
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