課題番号:1010
北海道大学大学院理学研究院
日本列島地殻活動データベース
上記データベース(a)は日本列島全域を対象としているが、四国地方には全くデータが含まれないなど、データの分布や均一性に問題点を残した。また(b)は大学を中心とする研究グループによるもので稠密・均一かつ高精度な重力データが収録されているが、東北南部を北限とする西南日本列島を対象とするものであった。このためこれらのデータベースを5ヶ年の間に日本列島全域に拡大し、可能な限りの高精度、稠密、無空白という特徴を備えたデータベース構築を目標とするものである。この計画の中で平成18年度は、引き続き北海道内のデータ空白地域について、既存データの収集、新たな観測を行い、北海道地域および道内内陸地震地域の重力データベースの構築をめざす。
18年度は、北海道地域の山岳地のデータ収集を実施する。日高山地は山が深いので、この地域のテクトニクスや地震発生を考える上に重要であるにかかわらずデータの空白地域が多い。このような地域のデータを埋めることは、データベースにとって重要であろう。また、道東や道北地域の内陸地震発生地域でのデータを集める。
本年度は、2004年12月14日に発生した留萌支庁南部地震の震源域周辺の重力データを収集した。
この地域では、既存の旧地質調査所によるデータが212点公開されていたが、それに加えて、今回、北海道大学で251点測定した。さらに、石油公団から1,450点余りのデータを参照させてもらい、合計約2,000点で図1のような重力異常図を作成した。この図の震源、余震分布は一柳・他(2005)から引用した。この地域は、基本的に日本海東部地域に連なる南北方向の褶曲構造が発達している地域であるが、今回の結果によると、本震の震源は背斜構造の中でドーム上に高密度岩体が高まった所の南端にあり、それから北にドーム上構造の中に余震が広がっている。
北海道大学:茂木透、神山裕幸、本多亮
なし
![]() |
図1 留萌支庁南部地震地震震源周辺の重力異常 |