参考 用語集

【A~Z】

ASTRO-G
 「はるか」につづく、超長基線電波干渉計のための人工衛星計画

LMSA計画
 国立天文台が昭和58年に立案した大型ミリ波サブミリ波干渉計計画

【ア行】

アタカマコンパクトアレイ(ACA)システム
 直径7メートルの超高精度アンテナ12台とその較正用の超高精度12メートルアンテナ4台からなる小口径の干渉計システム。電波強度を正確に測定し、物質の量についての定量的な解析や、他波長の観測データとの定量的な比較を行う。

アルマ(ALMA)
 アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計の略称。「ALMA」はスペイン語で「心」や「魂(たましい)」の意。

アルマ観測所の所長に次ぐポジション
 アルマ計画の建設・運用実行の中枢である「アルマ観測所」のプロジェクトマネージャー。国立天文台の長谷川教授が就任。なお、同観測所の所長は欧州から選出されている。

アルマ評議会
 アルマ計画における最高意思決定機関。日米欧の天文台長のほか、関係者から組織されている。建設割合によって委員数を決定している。

宇宙生物学
 宇宙における生命の発生とその後の進化について研究する学問分野。

欧州南天天文台
 南半球から見える天体を観測するためにヨーロッパ諸国が組織した国際機関。アルマ計画のヨーロッパ側の推進母体。すでにチリ北部でラ・シヤ観測所とパラナル観測所を運用中。現在の加盟国は、イギリス、イタリア、オーストラリア、オランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、チェコ、デンマーク、ドイツ、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル。

欧州の大型南天干渉計
 ミリ波観測に重点を置く大型南天干渉計(LSA)の共同建設計画

【カ行】

干渉計
 電波観測において、複数のアンテナを組み合わせ、極めて大口径のアンテナに匹敵する解像力を実現するための装置。可搬アンテナや地球の自転を利用して像合成に必要なデータを取得する。その他の条件が同じであれば、アンテナ台数が多いほど得られる画像の品位が高く、アンテナの集光面積が大きいほど感度が高い。

組上げ調整試験
 アンテナに受信機等を搭載し、観測システムとして技術仕様を満たすことを確認する試験。仕様・性能はアルマの中で厳しく定められている。

原始惑星系円盤
 原始星のまわりにある、ガスと粒子からなる円盤。惑星系の材料である。

高分散相関器
 広い帯域を同時に高分散(高い周波数分解能)で周波数分析(電波分光)処理できる相関器。さまざまな分子の「輝線の森」に隠されている微量の分子の検出などに威力を発揮する。

国立科学財団
 米国政府の独立行政法人で科学振興の目的で設立された。天文学分野では地上計画のみを管轄し、スペースの計画はNASA(ナサ)が管轄している。長官はArden Bement博士。アルマ計画の米国側の推進・管轄機関。

【サ行】

サービス観測
 研究者が観測所に赴くことなく、観測手順書に基づいて現地の観測所のスタッフが観測実行を行う方法。

サブミリ波
 波長1ミリメートル未満0.1ミリメートル以上の電波。ミリ波と赤外線の中間に位置する。可視光や近赤外線と異なり星間減光の影響をほとんど受けないので、星間塵の雲に深く覆われた原子惑星系円盤(後述)や原始銀河などの観測的研究に適している。今まで殆ど本格的な研究がなされていない波長域である。

小惑星における族(=同じ性質を持つグループ)の存在の発見
 大正7年(1918年)に元東京天文台の平山清次氏が、小惑星のうち、固有離心率、固有軌道傾斜角がほぼ等しい値を示すグループがあることを発見。同じ母惑星から生まれた小惑星の集まりと考え、「族」と命名した。

人工衛星「はるか」
 超長基線電波干渉計(VLBI)技術をもとに、宇宙空間に大型パラボラアンテナを展開し、地上の複数の電波望遠鏡とスペースVLBIを形成する。平成9年2月打上げ、平成17年11月運用終了。

星間化学
 星間空間における化学反応や化学組織を研究する学問分野。星間空間は限りなく真空に近いため、このような極限的な環境を実験室と見立てて分子合成反応の素過程の研究が行われているほか、宇宙における物質進化の観点から研究が進められている。

赤方偏移
 運動している物質から出される輝線が、遠ざかる場合に波長が長く(エネルギーが低く)なったように観測される。可視光観測の場合は波長が長くなることで赤方へ偏移する。宇宙は膨張しており距離が遠い銀河ほど赤方偏移が大きくなる。(ハッブルの法則)

相関器
 個々の素子アンテナから集められた天体の電波信号を処理し、天体画像を合成したり、周波数スペクトルを解析する装置。

【タ行】

多波長天文学
 宇宙に存在する電波や赤外線、X線など様々な波長によって研究する天文学の学問分野。

地球自転における謎のZ項の発見
 地球が太陽や月の引力で揺さぶられるときに、流体部分と固体部分とでは、わずかに異なった動きをする現象。明治34年(1901年)に水沢緯度観測所の初代所長木村栄(ひさし)氏が実際の緯度の変化に観測点の経度によらない「項」を付け加えることを発見した。

中央研究院天文及天文物理研究所
 中央研究院は台北市南港区に位置する台湾の最高学術研究機関。組織上は総統府に直属し、人文、科学の研究、指導、連絡、学術振興、人材育成を行なっている。現院長は翁啓恵氏。

超新星爆発
 恒星が一生を終えるときに引き起こす大規模な爆発。

超長基線電波干渉計(VLBI)
 概ね数百キロメートルから地球規模に離れた複数の望遠鏡の信号を合成し、一つの大きな望遠鏡の役割を果たす技術。

超伝導素子
 絶対零度付近まで冷却することにより生じる超伝導効果の特性を生かした素子。電波望遠鏡の受信機に用いる場合は、従来の半導体素子よりも高い感度(低い雑音)を達成できる。

電波信号増幅素子
 電波信号を元の信号よりも大きな出力信号を得るような作用にする個々の部品。

【ハ行】

ハッブル宇宙望遠鏡
 1990年(平成2年)に米国が打ち上げた可視域では初めての天文観測衛星。搭載望遠鏡の口径は2.4メートル。観測装置としては、撮像装置や分光装置を搭載し、宇宙空間では地球大気による像の劣化がないため、地上での従来の観測の1/20以下という鋭い星像が得られる。また、地上では大気による吸収のため観測できない紫外線域での分光観測も可能。

バンド4
 合計10バンド設定されているアルマの観測周波数バンドの一つで、周波数125~163ギガヘルツ(波長1.84~2.40ミリメートル)のサブミリ波を観測する。

バンド8
 合計10バンド設定されているアルマの観測周波数バンドの一つで、周波数385~500ギガヘルツ(波長0.600~0.779ミリメートル)のサブミリ波を観測する。

バンド10
 合計10バンド設定されているアルマの観測周波数バンドの一つで、最高周波数となる787~950ギガヘルツ(波長0.135~0.381ミリメートル)のサブミリ波を観測する。

東アジア科学諮問委員会
 アルマによるサイエンスの方針について議論するための東アジアの委員会。

東アジア中核天文台連合
 東アジア4地域(日本・中国・韓国・台湾)の天文学研究機関の代表により、天文学における協力に関して協議する組織。

物質の同定
 天体から受信された電波スペクトルに現れる輝線や吸収線の分析から、その信号が天体に含まれるどのような物質(原子、分子など)に起因するかを突き止めること。その結果、宇宙でしか安定に存在し得ない分子が発見されることもある。

米国のミリ波干渉計画
 ミリ波観測に重点を置くミリ波干渉計(MMA)計画。

VERA計画
 日本国内の4か所に電波望遠鏡を設置し、同時に同じ天体を観測することにより、日本列島サイズの電波望遠鏡と同じ働きをさせて、天の川銀河系の立体地図を作る計画。

星形成領域
 宇宙空間の中で星が生まれている領域を星形成領域。冷たくて密度の濃いガスが集まっていて、特に密度の濃い部分のガスが収縮して星になると考えられている。

【マ行】

ミリ波
 波長10ミリメートル未満1ミリメートル以上の電波。比較的低温低密度の星間物質の観測に適している。

【ワ行】

惑星科学
 惑星の構造・起源・進化の研究や、生命・地球外惑星物質の起源の研究を行う学問分野。

惑星形成領域
 惑星が形成される領域。標準シナリオである「京都モデル」によると、まず原始星の周りに原始惑星系円盤が作られ、塵粒子が円盤の赤道面に沈殿・合体して微惑星となり、それが成長して惑星となると考えられている。

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研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)