情報基盤センターの在り方及び学術情報ネットワークの今後の整備の在り方 はじめに

 学術研究全般を支えるコンピュータ、ネットワーク及びデジタルな形態を含む学術図書資料等の学術情報基盤は、研究者間における研究資源及び研究成果の共有、研究活動の効率的な展開、更には社会に対する研究成果の発信、普及並びに次世代への継承等に資するものであり、極めて重要な役割を担っている。

 近年、コンピュータの普及と電子化の進展による教育研究の高度化・多様化と国際的な展開により、学術情報基盤に対する要請も高度化・多様化してきている。一方、平成16年度の国立大学の法人化に伴い、国立大学及び大学共同利用機関(以下、「大学等」という。)における運営上の変化、特に財政緊縮化への対応において様々な課題も生じている。

 こうした状況変化に適切に対応し、学術情報基盤が学術研究活動を継続的に支え、その高度化を可能にするための基本的な考え方や国が考慮すべきこと等について、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会学術情報基盤作業部会において検討を行い、平成18年3月、(1)学術情報基盤としてのコンピュータ及びネットワークの今後の整備の在り方、(2)学術情報基盤としての大学図書館等の今後の整備の在り方、(3)我が国の学術情報発信の今後の在り方の3項目を内容とする「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」(以下、「報告」という。)を取りまとめた。

 いうまでもなく、学術研究は絶えず進展するものであり、また、学術情報基盤は情報科学技術の発展によって大きくその姿を変える可能性を持つものであることから、その在り方については不断の見直しを行っていくことが必要である。このため、報告を踏まえ、学術情報基盤を取り巻く状況を把握し、課題等について整理するとともに学術情報基盤の整備に関する推進方策等について検討を行うため、平成19年2月、改めて学術情報基盤作業部会を設置した。

本作業部会においては、特に、次世代スーパーコンピュータ・プロジェクトの本格実施や、学術研究の推進体制に関する審議が科学技術・学術審議会の下に設置された他の部会等において行われている状況を踏まえて、当面、全国の7国立大学に設置されている情報基盤センターの在り方及び学術情報ネットワークの今後の整備の在り方について優先して審議を行うこととした。

 本作業部会は、設置以降、14回審議を行い、この間、情報基盤センターの現地訪問やセンター長からの意見聴取、並びに情報基盤センターや学術情報ネットワークを利用している国公私立大学関係者等からの意見聴取を7回にわたって実施し、議論の取りまとめに役立てた。

 本審議のまとめにおいては、我が国の学術研究を支える学術情報基盤、特に情報基盤センター及び学術情報ネットワークについて、現状を把握するとともに今後の在り方の方向性等を示した。

 これを踏まえて、大学及び国立情報学研究所等の関係機関は、我が国の学術研究及び教育活動全般を支えるうえで不可欠である学術情報基盤の整備について検討をすすめることが期待される。また、国においても、世界をリードする学術研究や教育活動の一層の発展を図るため、最先端学術情報基盤(CSI)の構築に向けた整備を戦略を持って推進することを期待する。

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研究振興局 情報課 学術基盤整備室

(研究振興局 情報課 学術基盤整備室)